JPWO2017073605A1 - 印刷用シート、印刷品、メークアップ印刷品及びメークアップ印刷品の製造方法 - Google Patents

印刷用シート、印刷品、メークアップ印刷品及びメークアップ印刷品の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、印刷像に奥行き感や立体感を付与し、且つ、印刷像の上からメークを施す際の強い応力に耐えることができる、印刷用シートを提供することである。本発明によれば、基材シートと、該基材シート上に設けられた無機固体層とからなり、該無機固体層の表面は、JIS K 5600−5−4に規定される鉛筆強度試験による引っかき硬さがH以上であり、更に、該無機固体層の表面は、JIS B 0601−2001に規定される算術平均粗さ(Ra)が4〜10μm、かつ、JIS B 0601−2001に規定される要素の平均長さ(RSm)が50〜150μmの粗面となっている印刷用シートが提供される。

Description

本発明は、印刷用シート並びに該印刷用シートを利用した印刷品およびメークアップ印刷品に関する。
パーソナルコンピュータやデジタルカメラの一般家庭への普及に伴い、鮮明なフルカラーの画像をプリントすることが可能なインクジェットプリンタが、価格が安価なこともあって、広く使用されている。インクジェットプリンタに用いる印刷用記録紙として、通常の上質紙やコート紙は性能の点で使用困難である。かかる印刷用記録紙には、紙面に付着したインクが速やかに内部に吸収されること、紙面上でのインク滴の拡がりや滲みが抑制され、鮮明な画像が形成されること、得られる画像が長期にわたって色落ちなどを生じない堅牢性に優れていることなどの特性が要求されている。
このような特性を印刷面(紙面)に付与するために、種々の無機固体物質を結着剤とともに紙面に塗布した無機固体層を形成することが提案されている。例えば本出願人は、特許文献1において、基材シートと、該基材シート表面に形成されており且つ半固化状態の漆喰を含む印刷層(無機固体層)とからなる印刷用シートを提案した。
特許文献1の印刷用シートは、印刷層表面にインクジェットプリンタ等により印刷を施すと、印刷後に漆喰の炭酸化が進行し、漆喰が完全に固化して炭酸カルシウムとなるため、印刷像が印刷面にしっかりと保持されるという特性を有している。また、形成される印刷像は、凹凸感があり、絵画調の深みのある堅牢な画像であるばかりか、像を形成するインク成分が紫外線やオゾンから保護される。よって、特許文献1の印刷用シートは、印刷像の長期保存性の点でも極めて優れている。
ところで、上記のような印刷用シートは、印刷面となる無機固体層の表面に剥離可能な保護シートが設けられている。即ち、半固化状態の漆喰を含む印刷層の如き無機固体層がシート同士の擦れや外部からの押圧等によって破損しないように、その表面を保護する剥離可能な保護シートが設けられている。印刷に際し、この保護シートは引き剥がされる。
このような保護シートが設けられている印刷用シートでは、該保護シートが設けられている状態において、無機固体層の表面は半固化状態である。このため、無機固体層の表面に保護シートを密着させ、印刷に際して保護シートを引き剥がしたとき、印刷が施される無機固体層の表面には、保護シートの表面が転写される。
このように、保護シートの表面(無機固体層の表面に密着する面)は、転写により無機固体層の表面に反映されるため、保護シートとしては、織布や不織布等の繊維シートが好適に使用されている。繊維シートの表面が転写された無機固体層の表面に印刷をすると、繊維により付与される凹凸によって印刷像に立体感や奥行き感が付与されるからである。
更に、本出願人は、上記のような保護シートが設けられている印刷用シートに関して、繊維シートの引き剥がしにより、どのような凹凸を無機固体層の表面に形成することがよいかを先に提案し(特許文献2参照)、また、インクジェット印刷により印刷像が形成された無機固体層上に顔料を塗布し、固定化することにより、インクジェット印刷では得られない色域を付与した意匠シートを製造する方法を提案した(特許文献3)。
国際公開第2008/013294号パンフレット 国際公開第2012/165554号パンフレット 特開2015−167902号公報
ところで、上記のような表面に凹凸を有する無機固体層を備えた印刷用シートには、奥行き感や立体感のある印刷像が得られるという特徴を活かし、顔写真等の印刷像の上からメークアップを施したいという要望がある。しかし、メークアップは、化粧品等のメークアップ材料を例えばスポンジで叩き込む等印刷用シートに強い応力を加える動作を伴う。
従って、本発明の目的は、印刷像に奥行き感や立体感を付与し、且つ、印刷像の上からメークアップを施す際の強い応力に耐えることができる、印刷用シートを提供することである。
本発明の他の目的は、上記印刷用シートの上に、奥行き感や立体感のある印刷像を設けた印刷品を提供することである。
本発明の更に他の目的は、上記印刷品の印刷像の上に、メークアップ材料がきれいに塗布されたメークアップ印刷品及びその製造方法を提供することである。
本発明によれば、基材シートと、該基材シート上に設けられた無機固体層とからなり、該無機固体層の表面は、JIS K 5600−5−4に規定される鉛筆強度試験による引っかき硬さがH以上であり、更に、該無機固体層の表面は、JIS B 0601−2001に規定される算術平均粗さ(Ra)が4〜10μm、かつ、JIS B 0601−2001に規定される要素の平均長さ(RSm)が50〜150μmの粗面となっている印刷用シートが提供される。
また、本発明によれば、
(1)前記印刷用シートの無機固体層上に印刷像が設けられている印刷品、
(2)該印刷品の印刷像、好適には人物写真のインクジェット印刷像の上にメークアップ層が形成されている、メークアップ印刷品、および
(3)前記印刷用シートの無機固体層上に印刷像、好適には人物写真のインクジェット印刷像を設け、メークアップ材料を用いて該印刷像にメークアップを施す、メークアップ印刷品の製造方法
が提供される。
本発明の印刷用シートは、適度な硬度と複雑な表面形状を有する。そのため、例えば人物の顔写真を印刷したとき、印刷像の肌は奥行と立体感があり、肉眼で見る実際の人肌に近い凹凸を有する。また、化粧品等を用いて印刷像にメークアップを施す時、印刷品が傷つくことなく、化粧品が均一に塗布され、印刷像表面によく密着する。よって、本発明の印刷品にメークアップを施すと、実際の人物にメークアップを施すのと同様の効果が得られる。
更に、メークアップ層上に所定の保護層を設けることにより、メークアップの状態を半永久的に保存することもできる。
また、本発明の印刷品にメークアップを施して得られるメークアップ印刷品からは、例えば公知の化粧落としを用いてメークアップ材料を落とすことができる。更に、メークアップ材料を落とした後の印刷品には、再びメークアップを施すこともできる。よって、本発明の印刷用シート、印刷品、メークアップ印刷品およびメークアップ印刷品の製造方法は、例えば化粧品売り場のセールスで利用することができる。
本発明の印刷用シートの断面構造の一例を、繊維シートと共に示す図である。 繊維シートの転写用表面の電子顕微鏡写真(倍率100倍)である。 本発明の印刷品の断面構造の一例を示す図である。 本発明のメークアップ印刷品の断面構造の一例を、保護層とともに示す図である。
図1を参照し、本発明の印刷用シートを説明する。全体として1で表される本発明の印刷用シートでは、基材シート3の上に無機固体層5が形成されており、かかる無機固体層の表面5aが所定の条件を満たす粗面となっている。
本発明の印刷用シート1は、無機固体層5の表面にインクジェット印刷などにより印刷像を形成して使用される。本願明細書では、無機固体層上に印刷像を有する印刷用シートを、印刷品と呼ぶ。更に、印刷品は、印刷像に即してメークアップ材料を塗布してメークアップ層を形成することで使用される。本願明細書では、更にメークアップ層が形成された印刷品を、メークアップ印刷品と呼ぶ。メークアップ印刷品には、必要に応じて保護層を設けてもよい。
<印刷用シート1>
本発明の印刷用シート1において、無機固体層5を支持している基材シート3は、その表面に無機粉体を含むスラリーを塗布して無機固体層5を形成し得るものであれば、特に制限されず、任意の材料で形成されてよい。
その適当な例としては、木材パルプ紙、或いは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;などの各種の樹脂シート乃至樹脂フィルムなどを例示することができる。また、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布であってもよい。さらには、これらの積層フィルム乃至シートであってもよい。
好適な基材シート3は、可撓性を有しており、適度の腰の強さを有しているものである。このような性質を有する基材シート3では、折り曲げても折り目が形成され難く、基材シート3上に設けられる無機固体層5に割れ目が形成されるなどの不都合を有効に抑制することができるからである。このような基材シート3の材質は、かなり制限されることとなるが、一般的には、パルプ紙が好適に使用される。パルプ紙は、一般的に入手可能な紙であり、可撓性や曲げ強さを有し、しかも無機固体層5との密着性が良好である。さらに、パルプ紙以外にも、ガラス繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の化学繊維をバインダー繊維としてパルプ紙と混抄された合成紙を使用することができる。
基材シート3の表面は、コロナ処理などを行って親水性を向上させてもよい。これにより、無機固体層5と基材シート3との接合強度を向上させることができる。
また、基材シート3は、印刷用シート1が容易にインクジェットプリンタ等の印刷機を通ることができるような平均厚みに設定され、通常、用いるプリンタのグレードに合わせて、0.02〜0.5mmの範囲に設定される。なお、平均厚みはJIS P 8118に準拠して測定される。
印刷用シート1において、基材シート3の上には無機固体層5が形成されている。無機固体層5は、無機粉体と水との混練物を基材シート3の一方の表面にコーティングし、形成された混練物層中の水分を乾燥などにより除去することで形成される。
無機固体層5の表面5aでは、JIS K 5600−5−4に規定される鉛筆強度試験による引っかき硬さがH以上、好ましくは2H以上となっている。これにより、メークアップを施す際、刷毛やスポンジなどにより、無機固体層の表面5aに傷が入ることや、無機粉体が欠落することを有効に回避する。
更に、無機固体層5の表面5aは、JIS B 0601−2001に規定される算術平均粗さ(Ra)が4〜10μm、かつ、JIS B 0601−2001に規定される要素の平均長さ(RSm)が50〜150μmの粗面となっていることも重要である。
算術平均粗さRaは、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出し、その区間の凹凸状態(凹凸の振幅)を平均値で表したものである。算術平均粗さRaの値が小さいほど、凹凸の振幅が小さい。また、輪郭曲線要素の平均長さRSmは、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出し、その区間の凹凸間隔を表したものであり、平均長さRSmの値が小さいほど凹凸の間隔が狭い。
このような特徴を有する粗面である無機固体層の表面5aでは、細かな凹凸が数多くランダムに存在し、このような凹凸部に印刷インキが付着し且つ内部に浸透していくので、立体感や奥行き感などの自然な風合いを損なうことなく、きめ細かな印刷像を形成することができる。そのため、印刷像が人物の顔写真である場合、その表面は人肌に近い状態に視認される。かかる印刷象が形成された無機固体層の表面5aにメークアップを施すと、メークアップ材料が無機固体層の表面5aの凹凸に入り込み、強固に固定される。
無機固体層5の形成に利用される無機粉体としては、炭酸カルシウム、アルミナ、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪藻土、タルク、天然マイカ、合成マイカ、セリサイト(sericite)、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。無機固体層の粗面の状態と硬度のバランスを取りやすいという観点から、好ましくは、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、二酸化ケイ素、アルミナである。無機粉体は、単独で使用されるほか、2種類以上を混合して使用することができる。
無機固体層5は、バインダー材としてポリマーのエマルジョン固形分を含んでいることが好適である。ポリマーのエマルジョンは、水媒体中にモノマー、オリゴマー或いはこれらの重合体等が分散したものであり、例えばアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、スチレン/ブタジエンゴム系等の重合体のエマルジョンを挙げることができる。この場合、本発明の印刷用シート1の製造工程、特に乾燥工程において、ポリマーのエマルジョンからは媒体(水)が蒸発するので、本発明の印刷用シート1の無機固体層5にはエマルジョン中のポリマー成分が残存している。
ポリマーのエマルジョン固形分は、無機固体層5の結着性と靭性を向上させる役割を果たしている。また、既に述べたように、本発明では、無機固体層の表面がH以上の引っかき硬さを有している。引っかき硬さは、無機固体層中の無機粉体の割合が高いほど高くなる。即ち、無機固体層に残存するポリマー成分が多すぎると、引っかき硬さがH以上にならない虞がある。さらに、エマルジョンの固形分(即ちポリマー)が過度に存在すると、印刷像(印刷インク)の無機固体層5への浸透性が低下する傾向もある。そのため、無機固体層5の靭性と結着性を高めながら、インクの浸透性を確保し且つ引っかき硬さを得るために、一般に、無機固体層5におけるポリマーエマルジョンの固形分は、5〜50重量%であることが好ましい。
無機固体層5には、上記のエマルジョン以外にも、物性を調整するための各種添加剤、例えば各種繊維材等が配合されていてよい。添加剤は、印刷層として機能する無機固体層5の強度等の物理特性を向上させる。
繊維材の例としては、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、金属繊維等を挙げることができる。
繊維の形状としては、短繊維、長繊維、織布、不織布等が挙げられる。短繊維は無機固体層5の靱性および切断加工性の向上に特に有効である。
短繊維の長さおよび直径は特に制限されないが、長さは1〜10mm、特に2〜6mmであり、直径は5〜50μm、特に10〜30μmであることが、無機固体層5の靱性をより向上させ、場合によっては、切断加工性においても優れたものとするために好適である。
無機固体層5には、目的に応じて、上記以外にも公知の添加剤を1種または2種以上組み合わせて配合することができるが、何れにしろ、添加剤は、印刷インクの無機固体層5への浸透や固定が損なわれない程度の量で配合すべきである。例えば、無機固体層5中の無機粉体が50重量%以上に維持される範囲において、各種の添加剤が配合されることが望ましい。
無機固体層5の平均厚みは、印刷可能な適宜の範囲に設定されるが、一般的には、0.05〜0.3mm、特に0.1〜0.25mmが好適である。無機固体層が過度に薄いと、画像を印刷したときに、印刷インクの浸透により画像固定性が低下したり、或いは凹凸などにより発現する画像の深みが損なわれる虞がある。また、あまり厚いと経済的に不利となる、折り曲げによって折り目が形成され易くなるなどし、プリンタが制限される虞を生じる。
既に述べた通り、無機固体層の表面5aは、算術平均粗さ(Ra)と要素の平均長さ(RSm)が前述した数値範囲に含まれた粗面となっている。無機固体層の表面5aをこのような粗面とする方法としては、例えば、基材シート3の一方の表面に無機粉体と水の混練物、即ちスラリーを塗布して混練物層を形成し、これを乾燥し、表面をサンドペーパーやサンドブラストにより研磨するという方法がある。あるいは、図1に示すように、混練物層の表面に繊維シート7を貼り付けてから乾燥し、繊維シートが無機固体層5に密着した状態で印刷用シート1を市場に流通させ、あるいは保管し、印刷時に繊維シート7を引き剥がす、という方法もある。
無機固体層形成用スラリーの調製に用いる無機粉体としては、所望の硬度を獲得しやすいという観点から、例えば平均粒径が10μm以下、より好ましくは5μm以下の微粒子を20〜80重量%の量で含有しているものを使用することが好ましい。平均粒径は、レーザー回折散乱法による体積基準のメジアン径(d50)である。
また、スラリー中に、各種の配合剤を均一に分散させるための界面活性剤や、混練物をコーティングする際に垂れなどを生じないようにする増粘剤などを適宜配合し、スラリーを適度な粘度に調製することが好適である。スラリーのコーティングは、バーコーター、ロールコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー、ディッピング、吐出、型材転写等により行うことができ、必要に応じてコテ押さえ、口金絞り、ローラ転圧、一軸プレス等を採用することができる。
スラリーの塗布厚みは、乾燥後の無機固体層5が前述した厚みとなるように設定される。スラリー塗布後の乾燥は、無機固体層5の含水率が5%以下、特に0.1〜2.0%となる程度に行えばよい。含水率があまり高いと、層としての形態が維持できない、含水率が高い状態で維持されたまま印刷が行われたときにインクが滲み易い、などの虞がある。乾燥は、熱風の吹き付けなどにより、塗布後のスラリーを40〜150℃に加熱して行われる。加熱温度を必要以上に高くすると、基材シート3や繊維シート7の熱による変形が生じる虞がある。
繊維シート7を使って粗面化する場合、図1に示されているように、繊維シート7を無機固体層の表面に貼り付けると、無機固体層の表面部分が繊維シートの転写用表面7aから内部に侵入し、その後、繊維シート7を引き剥がすと、かかる表面部分が繊維シート7とともに脱落乃至破壊される。これにより、繊維シートの転写用表面7aが無機固体層の表面5aに転写され、無機固体層5は所望の粗面を獲得する。
また、繊維シート7は、無機固体層5の表面を保護する保護シートとしての機能も有する。即ち、本発明において無機固体層の表面は、ひっかき硬さがH以上と外部からの応力に対して高い耐久性を有しているが、それでも、流通時の運搬や保管態様によっては無機固体層が傷付く虞が残っている。繊維シート7を、印刷用シート1の製造直後から印刷直前まで設けることにより、このような不都合を有効に防止することができる。
本発明では、無機固体層の表面5aは凹凸を有しており、具体的には、算術平均粗さ(Ra)が4〜10μm、かつ、要素の平均長さ(RSm)が50〜150μmの粗面とする必要があるので、繊維シート7としては、特定の表面状態のものを採用し、繊維シート7を引きはがした際に繊維シートの転写用表面7aが無機固体層の表面5aに転写されて無機固体層の表面5aが前述の表面状態を得るようにする必要がある。
従って、繊維シート7としては、その表面に後述する凹部が形成されているものが使用され、特に熱融着性繊維からなる不織布シートであって、熱ロールによる圧着処理によって所定の凹部が転写されるように調整されたものが使用される。
具体的には、繊維シート7として、転写用表面7aにおいて、平坦部が単位面積当たり65〜90%の割合で存在しており、このような平坦面で囲まれるようにして、長径が10〜300μmの大きさの凹部Aが50〜250個/mm観察されるように設定されたものを採用する。
即ち、本発明で用いる繊維シートの転写用表面7aは、図2に示されているように、倍率100倍の電子顕微鏡写真で観察して、連続した平坦面と該平坦面に囲まれた不定形の凹部とが混在した面となっている。図2において、丸で囲んだ黒色の領域が不定形の凹部A(即ち繊維間の間隙)として観察され、この凹部Aの周囲のコントラストの高い部分が平坦面である。
繊維シート7がこのような転写用表面7aを有することは、無機固体層の表面5aにメークアップ特性に優れた印刷像を形成する上で重要である。即ち、繊維シートの転写用表面7aを無機固体層の表面5aに密着して積層することにより、無機固体層5の表面部分の無機固体が転写用表面7aの不定形凹部A内に侵入する。従って、この繊維シート7を引き剥がすとき、転写用表面7aの凹部A内に侵入した部分が破断し、この結果、無機固体層の表面5aには、このような不定形凹部Aに対応して不定形の凸部が形成されることとなる。
転写用表面7aに、上記のような大きさの不定形の凹部Aが所定の個数で形成されていることにより、これに対応して所定の大きさの不定形の凸部が無機固体層の表面5aに転写される。この結果、このような不定形の凸部の存在によって、無機固体層の表面5aに形成される印刷像は、立体感や奥行き感などともに、きめ細やかなものとなるばかりか、例えば、人物写真(特に顔)を印刷したとき、その表面は、極めて人肌に近い状態に視認され、印刷像は優れたメークアップ特性を示すこととなる。
上記の大きさの不定形の凹部Aを所定の割合で形成するためには、熱融着性繊維からなる不織布シートを使用し、この不織布シートを加熱ロールによって圧着処理したものを繊維シートして使用することが必要となる。即ち、加熱ロールによる圧着によって、繊維表面をフラットな表面とし、凹部Aを明瞭に存在させることができる。
例えば、不織布シートではなく、織布シートを用いた場合に熱融着を行うと、転写用表面7aがフラットな面となり、凹凸のある面を無機固体層の表面5aに形成することが困難となる。仮に凹部を明瞭に存在させることができたとしても、繊維が規則正しく織られているため、定形の凹部が規則正しく配列されているような面となってしまい、無機固体層の表面5aに形成される印刷像は、例えば人肌とはかなり異なったものとなり、メークアップ特性が損なわれてしまう可能性がある。
また、不織布シートを用いたとしても、熱融着がされていない場合には、剥がし取った際に繊維の一部が無機固体層の表面5aに付着し、その印刷適性を損ねてしまうばかりか、繊維表面が熱により潰されていないため、凹部Aを明瞭に存在させることができない。このため、無機固体層の表面5aに転写される凸部が不安定となり、安定してきめ細やかな画質を形成し得る印刷面を形成することができない。
さらに、上記の不織布シートは、熱融着性の芯鞘繊維(芯材を高融点繊維、鞘を低融点繊維とする)により形成されていることが好ましい。例えばポリプロピレンを芯材とし、ポリエチレンを鞘とする市販の芯鞘繊維からなる不織布シートが好適に使用される。このような芯鞘繊維からなる不織布を使用することにより、熱ロールによる圧着処理によって芯部分を溶融させずに鞘部分の低融点繊維を溶融せしめ、繊維の形態を残しながら、繊維同士の融着と同時に平坦化を行って、上述した平坦部と不定形の凹部A(即ち、繊維同士の隙間)を形成することができる。
尚、熱ロールによる圧着は、繊維間の間隙となる凹部が潰されないように温度、時間及びロール圧を調整して行われる。例えば、上記のような芯鞘繊維の不織布を用いた場合には、鞘となる低融点繊維の融点以上、芯の高融点繊維の融点未満の温度で圧着処理を行うことが好ましく、例えば、ポリプロピレンを芯材とし、ポリエチレンを鞘とする芯鞘繊維の不織布シートの場合、90〜150℃で圧着処理を行うことが望ましい。
また、不織布を構成する繊維やその目付け量は、前述した割合で平坦部及び所定の大きさの凹部Aが形成されるように設定される。例えば、前述した芯鞘繊維(ポリプロピレン繊維/ポリエチレン繊維)では、その繊維径が10〜50μmの長繊維が好適であり、その目付け量が30〜120g/mに設定することが好適である。これにより、例えば繊維シート7を適度な剥離強度で無機固体層の表面5aに密着して保持せしめることができ、安定した転写効果と保護効果を発揮させることができる。
上記のようにして熱ロールによる圧着処理がなされ且つ所定の条件を満足する転写用表面7aを有する不織布シートを繊維シート7として使用し、これを無機固体層の表面5aに密着して設け、印刷時に引き剥がすことにより、無機固体層の表面5aを印刷適性に優れた面とし、メークアップ特性に優れた印刷像を形成することができる。
かくして得られる無機固体層の表面5aは、引っかき硬さがH以上であり、算術平均粗さ(Ra)が4〜10μm、かつ、要素の平均長さ(RSm)が50〜150μmの粗面となっている。それゆえ、本発明においては、かかる無機固体層の表面5aにメークアップ特性に優れた印刷像を形成することができる。
<印刷品10>
図1とともに図3を参照し、印刷用シートの無機固体層の表面5aに、所定の顔料乃至染料が分散乃至溶解したインクを使用してインクジェットプリンタ等により印刷を行い、印刷像9を設けて印刷品10を形成することができる。
インクとしては、水溶性染料が溶解し或いは顔料が界面活性剤などで水(或いは水/アルコール混合溶媒など)に分散された親水性のインクが最も好適である。このような親水性のインクを用いた場合には、無機固体層5上に滲みがなく且つ安定に保持された鮮鋭な印刷像9を形成することができる。特に、本発明では、顔料を使用したインクが好適に使用される。
本発明においては、無機固体層の表面5aに一定の凹凸が数多く形成されているため、人物写真、特に顔写真などを印刷した場合、印刷像9の表面は、立体感のある人肌に近い状態となり、後述するメークアップ材料を施すには最適なものとなる。
<メークアップ印刷品20>
図3とともに図4を参照し、印刷品10は、印刷像9にメークアップを施して利用される。具体的には、印刷品の印刷像9の上にメークアップ層11を設けたもの、あるいは、後で詳述する保護層(図示せず)を印刷像9の上に設け、かかる保護層の上からメークアップ材料を塗布してメークアップ層を形成したものが、メークアップ印刷品20である。本発明では、顔写真等の印刷像が適度な凹凸を有しており、実物に近い状態で形成されているので、かかる印刷像の上に例えば一般的な化粧品を用いてメークアップを施すと、実物にメークアップを施した場合とほとんど変わらないものとなる。通常の写真のようにフラットな面上に印刷像が形成されている場合には、かかる印刷像は実物と違う印象を有しているので、その上に施したメークアップもまた、実際のメークアップとはかけ離れたものになる。また、通常の写真にはメークアップに用いた化粧品が滲むという欠点もある。
上記の説明から理解されるように、本発明で形成される印刷像9は、デジタルカメラなどにより撮影した人物像(特に顔写真)をインクジェット等で印刷したものが好ましい。使用されるメークアップ材料は、多くの場合、化粧品である。
化粧品は、公知のものでよく、例えば粉末状、液状、ペースト状の何れの形態を有していてもよい。具体的には、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、口紅、リップライナー、アイシャドー、ファンデーション、化粧下地、フェイスパウダー、チーク、ハイライト(highlighting powder)、コンシーラー、リップグロスなどを印刷像9の形態等に応じて適宜使用することができる。
また、印刷像を手の写真にする場合、爪の部分に予め公知の紫外線硬化性透明樹脂を塗布・硬化しておき、かかる樹脂の上にマニキュアを塗布して、マニキュアの色が肌の色や質感に合うか否かを試すこともできる。
メークアップ材料は、直接手で、あるいは、刷毛、筆、脱脂綿、布などを用いて、その種類に応じた手段により印刷像9の上に施される。
メークアップ層11は、適宜、クレンジング剤等の溶剤を用いて除去することができる。例えばメークアップ材料として化粧品を使用する場合、クレンジング剤としては、クレンジングオイル、クレンジングミルク、クレンジングクリーム、クレンジングジェル等の公知の化粧落としを使用すればよい。また、メークアップ材料としてマニキュアを使用する場合であれば、公知のマニキュア用リムーバーを使用すればよい。クレンジング後の印刷品には、再びメークアップを施してメークアップ層11を形成することもできる。
尚、メークアップ材料として化粧品を例にとって説明したが、印刷像9が人物写真ではない場合には、単に顔料を分散させた液を印刷像9上に施し、適宜乾燥することによりメークアップ層11を形成することもできる。特にインクジェットインクでは、光沢などを表現することができないため、例えばマイカや雲母などを酸化チタン等で被覆したパール顔料などを用いてメークアップ層11を形成することができ、人物像以外についても、メークアップ層11を形成することにより、金属光沢などを付与し、印刷像9の加飾性を高めることができる。
本発明のメークアップ印刷品は、更に保護層を有してもよい。具体的には、図4に示されているように、メークアップ層11の上に保護層13を設けると、その保存性を高めることができる。特に本発明のメークアップ印刷品を、長期保存或いは永久保存する場合には、このような保護層13を形成することが望ましい。
場合によっては、保護層を印刷像9の上に設け、この保護層上に、メークアップ層11を形成することも可能である。かかる手法は、メークアップ層11形成時の印刷像9の滲みなどを確実に防止する上で有効である。
保護層13は、透明な非水溶性樹脂を用いて形成される。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸ブチルなどの溶剤に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂などを溶解させた樹脂溶液をメークアップ層11などの上にスプレー噴霧等により塗布し、乾燥することにより、容易に保護層13を形成することができる。これにより、保護層13は、メークアップ層11の凹部に入り込み、メークアップ層11をしっかりと固定することができる。
なお、保護層を印刷像の上に設ける場合、保護層には、非水溶性樹脂を用いることが好適である。メークアップ材料をクレンジング材料によって拭き取る際、クレンジング材料中の水分に溶解することを防ぐためである。
<用途>
本発明の印刷品は、各種印刷像9にメークアップ層と保護層を設けて永久保存や長期保存に利用することもできるが、印刷像9が極めて自然に近いものであることから、メークアップ層11の形成手段を利用して、例えば化粧品売り場でのメークアップに利用し、メークアップのアドバイスや化粧品の販売などに好適に利用される。即ち、顧客の顔写真を撮影し、前述した印刷用シート1の無機固体層5に例えば、インクジェットプリンタにより印刷を行って顔写真の印刷像9を形成し、その場でメークアップ材料を施してメークアップ層11を形成することにより、メークアップ印刷品の形で、メークアップの効果を視認することができる。
また、本発明の印刷用シートに予めモデルの顔写真を印刷し、その上にメークアップを施してメークアップ印刷品を形成しておき、かかるメークアップ印刷品を店頭のディスプレイに飾ることで、これまでにない方法で商品である化粧品を宣伝することもできる。
このような印刷品およびメークアップ印刷品の使用形態は、これまでに全く知られていない。
本発明の優れた効果を、次の実施例で説明する。以下に、実施例および比較例で用いた各試験方法および材料を示す。
(1)無機固体層表面の粗さ
表面粗さ測定機(ミツトヨ製、SV−3000CNC型)を用いて、JIS B 0601−2001に規定される算術平均粗さ(Ra)、および、JIS B 0601−2001に規定される要素の平均長さ(RSm)を測定した。
(2)無機固体層表面の引っかき硬さ
電動鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所製、No.553−M1型)を用いて、JIS K 5600−5−4に規定される鉛筆強度試験を実施し、引っかき硬さを測定した。
(3)繊維シートの凹部の数量測定方法
電子顕微鏡(EFI社製、Qanta200.Genesis2000型)を用いて繊維シートの倍率100倍の表面画像をデジタル画像として撮影した。得られたデジタル画像データを画像処理ソフト(デジタルビーイングキッズ社製、PopImaging4.00)を使い、判別分析法により二値化処理を行い凹部と凸部を明確に区別した。さらに同画像処理ソフトの画像計測機能により、単位面積当たりの凹部の総数および面積比を計測した。
(4)印刷
印刷前実施例及び印刷前比較例で作製された印刷用シート(印刷前比較例1,2ではインクジェット用紙)(A4判)にインクジェットプリンタ(エプソン製、商品名:PX−5V、顔料が分散された水性インク使用)で実物と同じ大きさの女性の顔の写真を印刷し、室温で5時間乾燥し、印刷像を有する印刷品を作成した。
(5)メークアップ特性
インクジェット印刷像を有する印刷品に、メークアップアーチストが下記メークアップ材料を用いてメークアップを施し、メークアップ印刷品を作成した。得られたメークアップ印刷品と、同様のメークアップを施した実際の人肌とを比較し、以下の評価を行った。
[メークアップ材料]
ファンデーション:資生堂パウダーファンデーション
(品番:オークル10、パウダータイプ)
アイシャドー:資生堂ルミナイジング サテンアイカラー トリオ
(品番:BL310)
口紅:資生堂ルージュ ルージュ(品番:RD308)
[評価基準]
優:人肌に非常に近い。
良:人肌にやや近い。
可:人肌とはやや違う。
不可:人肌とは全く違う。
(6)クレンジング特性
上記(5)メークアップ特性で作成したメークアップ印刷品を用意し、化粧落とし用クレンジング剤{資生堂メーククレンジングローションN(ローションタイプ)}を用いてファンデーションを拭き取って以下の評価を行った。
[評価基準]
良:ファンデーションがきれいに落とせた。
可:ファンデーションが所々残った。
不可:ファンデーションが半分以上残った。
(A)基材シート
パルプ紙:富士共和製紙製インクジェット原紙「FKスラットR−IJ」
(商品名)(平均厚み0.17mm、目つけ量160g/m
(B)無機粉体
水酸化カルシウム:宇部マテリアルズ製「高純度消石灰CH」(商品名)
アルミナ:大明化学工業製「ベーマイトC06」(商品名)
(C)水性アクリル樹脂エマルジョン
ポリトロン:旭化成工業株式会社製「ポリトロンA1480」(商品名)
(アクリル系共重合体ラテックス、固形分40重量%)
(D)不織布
不織布A:シンワ株式会社製芯(ポリプロピレン)鞘(ポリエチレン)繊維
不織布(繊維径0.02mm、平均厚み0.12mm、目つけ量
60g/m
(印刷前実施例1、2)
不織布Aを表1に示す加熱温度の下、処理スピード30m/分、線圧100N/mmで熱カレンダー処理し、表1に示す繊維シート1および2を得た。これら繊維シートの凹部の単位面積当たりの総数と面積比を上記(3)の方法で測定した。結果を表1に示す。
次に、消石灰100重量部、水性アクリル樹脂エマルジョン60重量部、水20重量部の配合比で混練し、消石灰スラリーを得た。基材シートとして、パルプ紙(300×300mm)を使用し、その表面に得られた消石灰スラリーをバーコーターで塗布し、直後に繊維シート1および2をスラリー表面に圧着させ、90℃の乾燥機中で10分間乾燥させた。繊維シート1および2を剥ぎ取り、印刷用シート1および2を得た。繊維シート1および2をはぎ取った後の無機固体層表面に繊維の付着は無かった。印刷用シート1および2の無機固体層表面の算術平均粗さ(Ra)、要素の平均長さ(RSm)および引っかき硬度を上記(1)および(2)の方法で測定した。結果を表2に示す。
(印刷前実施例3、4)
加熱温度を表1に示す温度とした以外は、印刷前実施例1、2と同様にして、繊維シート3および4を得た。これら繊維シートの凹部の単位面積当たりの総数と面積比を上記(3)の方法で測定した。結果を表1に示す。
次に、アルミナ50重量部、水性アクリル樹脂エマルジョン50重量部、水20重量部の配合比で混練し、アルミナスラリーを得た。このアルミナスラリーを消石灰スラリーの代わりとし、繊維シート1および2の代わりに繊維シート3および4を用いた以外は印刷前実施例1、2と同様の操作を行い、印刷用シート3および4を得た。繊維シート3および4をはぎ取った後の無機固体層表面に繊維の付着はなかった。印刷用シート3および4の無機固体層表面の算術平均粗さ(Ra)、要素の平均長さ(RSm)および引っかき硬度を上記(1)および(2)の方法で測定した。結果を表2に示す。
(印刷後実施例1〜4)
印刷前実施例1〜4で得られた印刷用シート1〜4の無機固体層表面に、上記(4)の方法で画像を印刷し、印刷品1〜4を得た。印刷用シート1および2を用いた印刷品1および2においては、乾燥後、無機固体層中の水酸化カルシウムは完全に炭酸化していた。
得られた印刷品1〜4に、上記(5)の方法によりメークアップを施し、メークアップ特性を評価した。また、上記(6)の方法によりファンデーションをクレンジング剤で落とし、クレンジング特性を評価した。結果を表6に示す。以後、クレンジング後の、ファンデーションが落ち、アイシャドーと口紅はそのままの状態の印刷品1〜4を、メークアップ印刷品1’〜4’と呼ぶ。
アクリル樹脂(積水化学製、エスレックBM−1)をイソプロパンール(IPA)に溶解し、濃度が6重量%になるように調整した非水溶性樹脂溶液を、メークアップ印刷品1’〜4’上の印刷像にスプレーで塗布し、2時間室温で乾燥した。その後、クレンジング剤でメークアップ材料(口紅とアイシャドー)をふき取った。メークアップ材料は拭き取る前と変わらず、強固に固定されていた。
(印刷後実施例5〜8)
印刷後実施例1〜4で得られた印刷品1〜4の無機固体層表面(印刷後メークアップ前)に、印刷後実施例1〜4のメークアップ印刷品1’〜4’のときと同様にして非水溶性樹脂溶液をスプレーで塗布し、乾燥させ、印刷品1’’〜4’’を得た。
得られた印刷品1’’〜4’’に、(5)の方法によりメークを施し、メークアップ特性を評価した。次いで、(6)の方法によりクレンジング特性も評価した。結果を表6に示す。以後、クレンジング後の、ファンデーションが落ち、アイシャドーと口紅はそのままの状態の印刷品1’’〜4’’をメークアップ印刷品1’’’〜4’’’と呼ぶ。
さらに、印刷後実施例1〜4のメークアップ印刷品1’〜4’のときと同様にして、メークアップ印刷品1’’’〜4’’’に非水溶性樹脂溶液をスプレーで塗布・乾燥し、化粧落とし用のクレンジングシートでメークアップ材料(口紅とアイシャドー)をふき取ったところ、メークアップ材料は拭き取る前と変わらず、強固に固定されていた。
(印刷前比較例1、2)
インクジェット用紙α(フォトマット紙)およびβ(光沢紙)の算術平均粗さ(Ra)、要素の平均長さ(RSm)および引っかき硬度を上記(1)および(2)の方法で測定した。結果を表3に示す。
(印刷後比較例1、2)
インクジェット用紙αおよびβを用い、上記(4)の方法により画像を印刷し、上記(5)の方法によりメークを施し、メークアップ特性の評価を行った。また、上記(6)の方法によりクレンジング特性の評価も行った。結果を表6に示す。
インクジェット用紙αを使った場合、クレンジング剤でファンデーションを拭き取る際に、クレンジング剤中の水分で用紙が膨潤し、ファンデーションとともに用紙に浸透し、拭き取りが困難であった。
インクジェット用紙βを使った場合、表面が滑らかなため、メークアップ材料を付着させることや均一に塗布することが困難であった。
(印刷前比較例3、4)
WO2015/186583[0077]段落に記載の印刷用シートの製造方法に従い、下記表4の条件で繊維シートXおよびYを得た。このときの熱カレンダー処理条件は、処理スピードが25m/分、線圧が140N/mmであった。
上記(3)の方法により、繊維シートの凹部の単位面積当たりの総数と面積比を測定した。結果を表4に示す。
次に繊維シートXおよびYを用いて印刷前実施例1、2と同様の操作を行い、印刷用シートXおよびYを得た。印刷用シートXおよびYの算術平均粗さ(Ra)、要素の平均長さ(RSm)および引っかき硬度を上記(1)および(2)の方法で測定した。結果を表5に示す。
このときの繊維シートは線圧が高く、断面方向に密になったため、水性スラリーが進入しにくくなっており、その結果、繊維シートを引き剥がした後の印刷用シートの算術平均粗さ(Ra)が小さくなり、本発明の印刷用シートを得ることができなかった。
(印刷後比較例3、4)
印刷用シートXおよびYを用い、上記(4)の方法により画像を印刷し、上記(5)の方法によりメークを施し、メークアップ特性の評価を行った。また、上記(6)の方法によりクレンジング特性の評価も行った。結果を表6に示す。
印刷用シートXおよびYは、印刷用シート1〜4に比べて表面が滑らかなため、メークアップ材料の付着が部分的に困難であり、均一に塗布することが困難であった。
1:印刷用シート 3:基材シート 5:無機固体層
7:繊維シート 9:印刷像 10:印刷品
11:メークアップ層 13:保護層 20:メークアップ印刷品

Claims (6)

  1. 基材シートと、該基材シート上に設けられた無機固体層とからなり、
    該無機固体層の表面は、JIS K 5600−5−4に規定される鉛筆強度試験による引っかき硬さがH以上であり、
    更に、該無機固体層の表面は、JIS B 0601−2001に規定される算術平均粗さ(Ra)が4〜10μm、且つ、JIS B 0601−2001に規定される要素の平均長さ(RSm)が50〜150μmである粗面となっていることを特徴とする印刷用シート。
  2. 請求項1記載の印刷用シートの無機固体層の上に印刷像が設けられている、印刷品。
  3. 請求項2記載の印刷品の印刷像の上にメークアップ層が形成されている、メークアップ印刷品。
  4. 前記印刷像が人物写真のインクジェット印刷像である、請求項3記載のメークアップ印刷品。
  5. 請求項1記載の印刷用シートの無機固体層上に印刷像を設け、
    該印刷像にメークアップ材料を用いてメークアップを施す、メークアップ印刷品の製造方法。
  6. 前記印刷像が人物写真のインクジェット印刷像である、請求項5記載のメークアップ印刷品の製造方法。
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