JPWO2017069200A1 - 基板処理方法及びコンピュータ記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理方法は、所定のパターンが形成された基板上に極性を有する有機膜を形成する有機膜形成工程と、当該有機膜を窒化処理する窒化処理工程と、当該窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、当該ブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、相分離したブロック共重合体から、親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2015年10月23日に日本国に出願された特願2015−208713号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本発明は、親水性(極性)を有する親水性(有極性)ポリマーと疎水性を有する(極性を有さない)疎水性(非極性)ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理方法及びコンピュータ記憶媒体に関する。
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などを順次行うフォトリソグラフィー処理が行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。そして、このレジストパターンをマスクとして、ウェハ上の被処理膜のエッチング処理が行われ、その後レジスト膜の除去処理などが行われて、被処理膜に所定のパターンが形成される。
ところで、近年、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、上述した被処理膜のパターンの微細化が求められている。このため、レジストパターンの微細化が進められており、例えばフォトリソグラフィー処理における露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
そこで、親水性と疎水性の2種類のブロック鎖(ポリマー)から構成されたブロック共重合体を用いたウェハ処理方法が提案されている(特許文献1)。かかる方法では、先ず、ウェハ上に例えばレジストパターンなどによりガイドを形成する。その後、ウェハ上にブロック共重合体を塗布し、当該ブロック共重合体に対して加熱処理を行うことで親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させる。その後、ウェハに紫外線を照射してポリマーの改質処理を行い、ウェハ上に有機溶剤を供給することで、親水性ポリマーが選択的に除去される。これにより、ウェハ上に疎水性ポリマーによる微細なパターンが形成される。
日本国特開2013−232621号公報
例えば特許文献1のように、ブロック共重合体を用いてパターン形成を行う場合、レジストパターンの下地膜として中性層を形成するのが一般的である。中性層とは、親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する膜であり、例えば親水性ポリマーと疎水性ポリマーのランダム共重合体や交互共重合体が用いられる。なお、以下において、「中性」という場合は、このように親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する、換言すれば、親水性ポリマーと疎水性ポリマーの双方に対するエネルギー差が概ね等しいことを意味する。
例えばウェハの表面エネルギーが親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーのいずれか一方の表面エネルギーと近い状態にある場合、即ちウェハの表面状態が親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中性ではない場合、エネルギー差の小さい方のポリマーがウェハ表面に引き寄せられる。そのため、ウェハとブロック共重合体の界面の近傍で所望の状態に相分離しなくなるおそれがあるが、中性層を形成することによりエネルギー差を解消して、ウェハとブロック共重合体の界面においても適切に相分離させることができる。
しかしながら、本発明者らによれば、中性層を形成した場合であっても、ウェハとブロック共重合体の界面において相分離が適切に行われず、相分離後のパターンが所望の形状にならない場合があることが確認されている。
この点について本発明者らが鋭意検討したところ、中性層塗布後に行われる熱処理や液処理等により、中性層の表面の物性が変化していたり、あるいは中性層上にレジストパターンを形成する際に、中性層上から完全にレジストが除去されずに残ってしまっていたりすることにより、中性層の一部に中性でない部分が生じてしまっていることが確認された。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することを目的としている。
前記の目的を達成するため、本発明の一態様は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理方法であって、所定のパターンが形成された基板上に極性を有する有機膜を形成する有機膜形成工程と、前記有機膜を窒化処理する窒化処理工程と、前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
本発明者らは、レジスト膜やポリスチレン層といった有機膜に対して窒化処理を行うことで、レジスト膜やポリスチレン層が親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する膜になるとの知見を得た。そして、本発明の一態様によれば、所定のパターンが形成された基板上に極性を有する有機膜を形成し、この有機膜を窒化処理するので、当該所定のパターンの表面を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して中間の親和性を有する状態にすることができる。したがって、ブロック共重合体を所望の形状で相分離させ、それにより、基板上に所定のパターンを適切に形成することができる。
別の観点による本発明の一態様は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理方法であって、所定のパターンが形成された基板上に非極性の有機膜を形成する有機膜形成工程と、前記有機膜を窒化処理し且つ低分子化する窒化処理工程と、前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
さらに別の観点による本発明の一態様は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理方法であって、基板上に第1の有機膜を形成する下地膜形成工程と、前記第1の有機膜上に第2の有機膜により所定のパターンを形成する有機パターン形成工程と、前記第1の有機膜及び前記第2の有機膜を窒化処理する窒化処理工程と、前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
別な観点による本発明の一態様は、前記基板処理方法を基板処理システムによって実行させるように、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体である。
本発明によれば、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いた基板処理において、基板上に所定のパターンを適切に形成することができる。
実施の形態にかかる基板処理システムの構成の概略を示す平面の説明図である。 塗布処理装置の構成の概略を示す平面の説明図である。 塗布処理装置の構成の概略を示す正面の説明図である。 塗布処理装置の構成の概略を示す背面の説明図である。 プラズマ処理装置の構成の概略を示す平面の説明図である。 窒化処理装置の構成の概略を示す平面の説明図である。 ウェハ処理の主な工程を説明したフローチャートである。 ウェハ上に反射防止膜及びレジスト膜が形成された様子を示す縦断面の説明図である。 反射防止膜上にレジストパターンが形成された様子を示す平面視の説明図である。 反射防止膜上にレジストパターンが形成された様子を示す縦断面の説明図である。 レジストパターン上にポリスチレン膜が形成された様子を示す縦断面の説明図である。 ウェハ上にブロック共重合体が塗布された様子を示す縦断面の説明図である。 ブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させた様子を示す縦断面の説明図である。 ブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させた様子を示す平面の説明図である。 相分離後のブロック共重合体から親水性ポリマーを選択的に除去した状態を示す縦断面の説明図である。 窒化処理前のポリスチレン膜のスペクトルを示し、上側はPositive側(陽イオン)、Negative側(陰イオン)である。 窒化処理後のポリスチレン膜のスペクトルを示し、上側はPositive側(陽イオン)、Negative側(陰イオン)である。 窒化処理前のポリメタクリル酸メチルのスペクトルを示し、上側はPositive側(陽イオン)、Negative側(陰イオン)である。 窒化処理後のポリメタクリル酸メチルのスペクトルを示し、上側はPositive側(陽イオン)、Negative側(陰イオン)である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる基板処理方法を実施する基板処理システム1の構成の概略を示す平面の説明図である。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
基板処理システム1は、基板としてのウェハにフォトリソグラフィー処理などの液処理を行う塗布処理装置2と、ウェハにプラズマ処理を行うプラズマ処理装置3とを有している。
図2は、塗布処理装置2の平面の説明図であり、図3及び図4は、各々基板処理システム1の内部構成の概略を模式的に示す、正面図と背面図である。本実施の形態における塗布処理装置2は、例えば塗布処理や現像処理といった液処理を行うものである。
塗布処理装置2は、図2に示すように複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション10と、ウェハWに所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション11と、処理ステーション11に隣接する露光装置12との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13とを一体に接続した構成を有している。
カセットステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、基板処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置するカセット載置板21が複数設けられている。
カセットステーション10には、図2に示すようにX方向に延びる搬送路22上を移動自在なウェハ搬送装置23が設けられている。ウェハ搬送装置23は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板21上のカセットCと、後述する処理ステーション11の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
処理ステーション11には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション11の正面側(図2のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション11の背面側(図2のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション11のカセットステーション10側(図2のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション11のインターフェイスステーション13側(図2のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
例えば第1のブロックG1には、図3に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像装置30、ウェハW上に有機溶剤を供給する、ポリマー除去装置としての有機溶剤供給装置31、ウェハW上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成装置32、ウェハW上に処理液を塗布して有機膜を形成する有機膜形成装置33、ウェハW上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置34、ウェハW上にブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布装置35が下から順に重ねられている。
例えば現像装置30、有機溶剤供給装置31、反射防止膜形成装置32、有機膜形成装置33、レジスト塗布装置34、ブロック共重合体塗布装置35は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら液処理装置の数や配置は、任意に選択できる。
また、これら液処理装置では、例えばウェハW上に所定の塗布液を塗布するスピンコーティングが行われる。スピンコーティングでは、例えば塗布ノズルからウェハW上に塗布液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、塗布液をウェハWの表面に拡散させる。
なお、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されるブロック共重合体は第1のモノマーと第2のモノマーが直鎖状に重合した、第1のポリマー(第1のモノマーの重合体)と第2のポリマー(第2のモノマーの重合体)とを有する高分子(共重合体)である。第1のポリマーとしては、親水性(極性)を有する親水性ポリマーが用いられ、第2のポリマーとしては、疎水性(非極性)を有する疎水性ポリマーが用いられる。本実施の形態では、親水性ポリマーとして例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)が用いられ、疎水性ポリマーとしては例えばポリスチレン(PS)が用いられる。また、ブロック共重合体における親水性ポリマーの分子量の比率は約20%〜40%であり、ブロック共重合体における疎水性ポリマーの分子量の比率は約80%〜60%である。そして、ブロック共重合体は、これら親水性ポリマーと疎水性ポリマーの共重合体を溶剤により溶液状としたものである。
例えば第2のブロックG2には、図4に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理装置40、ウェハWに対して紫外線を照射する紫外線照射装置41、ウェハWを疎水化処理するアドヒージョン装置42、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置43、ブロック共重合体塗布装置35でウェハW上に塗布されたブロック共重合体を親水性ポリマーと疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離装置44が上下方向と水平方向に並べて設けられている。熱処理装置40は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。なお、ポリマー分離装置44もウェハWに対して熱処理を施す装置であり、その構成は熱処理装置40と同様である。紫外線照射装置41は、ウェハWを載置する載置台と、載置台上のウェハWに対して、例えば波長が172nmの紫外線を照射する紫外線照射部を有している。熱処理装置40、紫外線照射装置41、アドヒージョン装置42、周辺露光装置43、ポリマー分離装置44の数や配置は、任意に選択できる。
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60、61、62が下から順に設けられている。
図2に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有する、ウェハ搬送装置70が複数配置されている。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
また、ウェハ搬送領域Dには、図4に示したように、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
シャトル搬送装置80は、例えばY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置52と第4のブロックG4の受け渡し装置62との間でウェハWを搬送できる。
図2に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置90が設けられている。ウェハ搬送装置90は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム90aを有している。ウェハ搬送装置90は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
インターフェイスステーション13には、ウェハ搬送装置91と受け渡し装置92が設けられている。ウェハ搬送装置91は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム91aを有している。ウェハ搬送装置91は、例えば搬送アーム91aにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置、受け渡し装置92及び露光装置12との間でウェハWを搬送できる。
プラズマ処理装置3は、図5に示すようにプラズマ処理装置3に対するウェハWの搬入出を行うカセットステーション100と、ウェハWの搬送を行う共通搬送部101と、ウェハWに対して例えばプラズマエッチング処理を行い、親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーのいずれかを選択的に除去するポリマー除去装置としてのエッチング装置102、103と、有機膜形成装置33で形成されたウェハW上の有機膜に対して例えば窒素プラズマによるプラズマ処理を施して、有機膜の窒化処理を行う窒化処理装置104、105を有している。
カセットステーション100は、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構110が内部に設けられた搬送室111を有している。ウェハ搬送機構110は、ウェハWを略水平に保持する2つの搬送アーム110a、110bを有しており、これら搬送アーム110a、110bのいずれかによってウェハWを保持しながら搬送する構成となっている。搬送室111の側方には、ウェハWを複数枚並べて収容可能なカセットCが載置されるカセット載置台112が備えられている。図示の例では、カセット載置台112には、カセットCを複数、例えば3つ載置できるようになっている。
搬送室111と共通搬送部101は、真空引き可能な2つのロードロック装置113a、113bを介して互いに連結させられている。
共通搬送部101は、例えば上方からみて略多角形状(図示の例では六角形状)をなすように形成された密閉可能な構造の搬送室チャンバー114を有している。搬送室チャンバー114内には、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構115が設けられている。ウェハ搬送機構115は、ウェハWを略水平に保持する2つの搬送アーム115a、115bを有しており、これら搬送アーム115a、115bのいずれかによってウェハWを保持しながら搬送する構成となっている。
搬送室チャンバー114の外側には、エッチング装置102、103、窒化処理装置104、105、ロードロック装置113b、113aが、搬送室チャンバー114の周囲を囲むように配置されている。エッチング装置102、103、窒化処理装置104、105、ロードロック装置113b、113aは、例えば上方からみて時計回転方向においてこの順に並ぶように、また、搬送室チャンバー114の6つの側面部に対してそれぞれ対向するようにして配置されている。
窒化処理装置104は、平行平板型のプラズマ装置であり、図6に示すように、ウェハWを載置する載置台200が設けられた略円筒状の処理容器201を有している。処理容器201は、接地線202により電気的に接続されて接地されている。また、処理容器201の内壁は、表面に耐プラズマ性の材料からなる溶射皮膜が形成されたライナ(図示せず)により覆われている。
載置台200は、略円盤状の静電チャック203と、略円環状のフォーカスリング204を備えている。静電チャック203は、略円板状の部材であり、例えば一対のセラミックの間に静電チャック用の電極を挟みこんで形成されている。
静電チャック203の下面には下部電極としてのサセプタ210が設けられている。サセプタ210は、例えばアルミニウム等の金属により略円盤状に形成されている。処理容器201の底部には、絶縁板211を介して支持台212が設けられ、サセプタ210はこの支持台212の上面に支持されている。静電チャック203の内部には電極(図示せず)が設けられており、当該電極に直流電圧を印加することにより生じる静電気力でウェハWを吸着保持することができるように構成されている。
プラズマ処理の均一性を向上させるためのフォーカスリング204は、例えばシリコンからなる導電性のシリコンにより形成されており、サセプタ210の上面であって静電チャック203の外周部に配置されている。サセプタ210及び支持台212は、例えば石英からなる円筒部材213によりその外側面が覆われている。
支持台212の内部には、冷媒が流れる冷媒流路(図示せず)が設けられており、冷媒の温度を制御することにより、静電チャック203で保持されるウェハWの温度が制御される。
サセプタ210には、当該サセプタ210に高周波電力を供給してプラズマを生成するための第1の高周波電源230が、第1の整合器231を介して電気的に接続されている。第1の高周波電源230は、例えば27〜100MHzの周波数、本実施の形態では例えば100MHzの高周波電力を出力するように構成されている。また、第1の高周波電源230の内部インピーダンスと負荷インピーダンスは、第1の整合器231によりマッチングされる。
また、サセプタ210には、当該サセプタ210に高周波電力を供給してウェハWにバイアスを印加することでウェハWにイオンを引き込むための第2の高周波電源240が、第2の整合器241を介して電気的に接続されている。第2の高周波電源240は、例えば400kHz〜13.56MHzの周波数、本実施の形態では例えば3.2MHzの高周波電力を出力するように構成されている。第2の整合器241は、第1の整合器231と同様に、第2の高周波電源240の内部インピーダンスと負荷インピーダンスをマッチングさせるものである。
これら第1の高周波電源230、第1の整合器231、第2の高周波電源240、第2の整合器241は、後述する制御部300に接続されており、これらの動作は制御部300により制御される。
下部電極であるサセプタ210の上方には、上部電極242がサセプタ210に対向して平行に設けられている。上部電極242は、導電性の保持部材243を介して処理容器201の上部に支持されており、処理容器201と同様に接地電位となっている。
上部電極242は、静電チャック203に保持されたウェハWと対向面を形成する電極板250と、当該電極板250を上方から支持する電極支持体251とにより構成されている。電極板250には、処理容器201の内部に処理ガスを供給する複数のガス供給口252が当該電極板250を貫通して形成されている。電極板250は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体または半導体により構成されている。また、電極支持体251は導電体により構成されている。
電極支持体251内部の中央部には、略円盤状に形成されたガス拡散室260が設けられている。また、電極支持体251の下部には、ガス拡散室260から下方に伸びるガス孔261が複数形成され、ガス供給口252は当該ガス孔261を介してガス拡散室260に接続されている。
ガス拡散室260には、ガス供給管262が接続されている。ガス供給管262には、図6に示すように処理ガス供給源263が接続されており、処理ガス供給源263から供給された処理ガスは、ガス供給管262を介してガス拡散室260に供給される。ガス拡散室260に供給された処理ガスは、ガス孔261とガス供給口252を通じて処理容器201内に導入される。処理ガス供給源263から供給される処理ガスは、例えば窒素ガス、または窒素ガスを含有するガスである。
処理容器201の底面には排気口270が設けられている。排気口270の下方には、排気室271が形成されており、当該排気室271には排気管272を介して排気装置273が接続されている。したがって、排気装置273を駆動することにより、排気口270を介して処理容器201内の雰囲気を排気し、処理容器内を所定の真空度まで減圧することができる。
なお、窒化処理装置105は窒化処理装置104と同一の構成であり、エッチング装置102、103についても用いる処理ガスが異なる点以外は窒化処理装置104の構成と同様であるので説明を省略する。
以上の基板処理システム1には、図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、基板処理システム1におけるウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部300にインストールされたものであってもよい。
本実施の形態に係る基板処理システム1は以上のように構成されている。次に、以上のように構成された基板処理システム1を用いて行われるウェハ処理について先ず説明し、次いで本発明の原理及びその作用について説明する。図7は、かかるウェハ処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、塗布処理装置2のカセットステーション10に搬入される。カセットC内の各ウェハWは、順次処理ステーション11の熱処理装置40に搬送されて温度調節される。
その後ウェハWは、反射防止膜形成装置32に搬送され、図8に示すようにウェハW上に反射防止膜400が形成される(図7の工程S1)。なお、本実施の形態におけるウェハWには、予め被処理膜EがウェハWの上面に形成されており、反射防止膜400はこの被処理膜Eの上面に形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、加熱され、温度調節される。
次にウェハWは、アドヒージョン装置42に搬送され、アドヒージョン処理される。その後ウェハWは、レジスト塗布装置34に搬送され、ウェハWの反射防止膜400上にレジスト液が塗布されて、図8に示すようにレジスト膜401が形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送されて、プリベーク処理される。その後ウェハWは、周辺露光装置43に搬送され、周辺露光処理される。
次にウェハWは、インターフェイスステーション13のウェハ搬送装置91によって露光装置12に搬送され、露光処理される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、露光後ベーク処理される。その後ウェハWは、現像装置30に搬送され、現像処理される。現像終了後、ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。こうして、図9、図10に示すようにウェハWの反射防止膜400上にレジスト膜401による所定のレジストパターン402が形成される(図7の工程S2)。本実施の形態におけるレジストパターン402は、平面視において円形状のホール部402aが、格子状に複数並んだパターンである。
次にウェハWは、有機膜形成装置33に搬送される。有機膜形成装置33では、レジストパターン402が形成されたウェハW上に処理液が供給される。本実施の形態において、有機膜形成装置33で供給される処理液は、例えばポリスチレンを溶媒により溶液状としたものである。これにより、図11に示すように、レジストパターン402上に有機膜として、ポリスチレン膜403が形成される(有機膜形成工程。図7の工程S3)。
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置50に搬送され、その後カセットステーション10のウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置板21のカセットCに搬送されるウェハWを収納したカセットCは、塗布処理装置2から搬出され、次にプラズマ処理装置3に搬入される。
プラズマ処理装置3では、先ず、ウェハ搬送機構110によって、カセット載置台112上のカセットCからウェハWが取り出され、ロードロック装置113aに搬送される。そして、ウェハ搬送機構115によって、ウェハWがロードロック装置113aから搬出され、搬送室チャンバー114を介して窒化処理装置104に搬送される。
窒化処理装置104では、先ず静電チャック203にウェハWが載置されて保持される。次いで、処理ガス供給源263から処理容器201内に処理ガスとしてプラズマ生成用の窒素ガスが供給される。その後、第1の高周波電源230と第2の高周波電源240により、下部電極であるサセプタ210に高周波電力が連続的に印加され、上部電極242と静電チャック203との間において、高周波電界が形成される。これにより、処理容器201内にプラズマが発生し、当該プラズマによりウェハWの表面に形成されたポリスチレン膜403が窒化処理され、図12に示すように窒化有機膜403aとなる(窒化処理工程。図7の工程S4)。この窒化処理により窒化有機膜403aの表面エネルギーは、ブロック共重合体の親水性ポリマーと疎水性ポリマーの双方に対して同程度のエネルギー差となる。換言すれば、窒化処理によりポリスチレン膜403が親水性ポリマーと疎水性ポリマーに対して概ね中性、あるいは中性よりもやや親水性ポリマーとのエネルギー差が小さな状態となる。この理由については後述する。
その後ウェハWは、ウェハ搬送機構115によって再び搬送室チャンバー114、ロードロック装置113bを介してウェハ搬送機構110に受け渡され、カセットCに収納される。その後、ウェハWを収納したカセットCがプラズマ処理装置3から搬出され、塗布処理装置2に再び搬入される。
塗布処理装置2に搬入されたウェハWは、ブロック共重合体塗布装置35に搬送される。ブロック共重合体塗布装置35では、図12に示すように窒化有機膜403aが形成されたレジストパターン402上に、ブロック共重合体410が塗布される(ブロック共重合体塗布工程。図7の工程S5)。
次にウェハWは、ポリマー分離装置44に搬送され、所定の温度で熱処理が行われる。これにより、ウェハW上のブロック共重合体410が、図13に示すように、親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412に相分離される(ポリマー分離工程。図7の工程S6)。ここで、上述したように、ブロック共重合体410において親水性ポリマー411の分子量の比率は20%〜40%であり、疎水性ポリマー412の分子量の比率は80%〜60%である。また、ウェハWの表面の形成されたポリスチレン膜403が、上述の窒化処理により概ね中性の窒化有機膜403aとなっている。そうすると、図13及び図14に示すように、レジストパターン402のホール部402aの中心に円柱形状の親水性ポリマー411が相分離される。疎水性ポリマー412は、親水性ポリマー411外周を囲むように、当該親水性ポリマー411と同心円の円筒形状に相分離され、その結果、親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412が所望の形状に相分離する。
ポリマー分離装置44でブロック共重合体410を相分離させた後、ウェハWは、紫外線照射装置41に搬送される。紫外線照射装置41では、ウェハWに紫外線を照射することで、親水性ポリマー411であるポリメタクリル酸メチルの結合鎖を切断すると共に、疎水性ポリマー412であるポリスチレンを架橋反応させる(図7の工程S7)。
次にウェハWは、有機溶剤供給装置31に搬送される。有機溶剤供給装置31では、ウェハWに極性を有する有機溶剤(極性有機溶剤)が供給される。極性有機溶剤としては、例えばIPA(イソプロピルアルコール)などが用いられる。これにより、紫外線照射で結合鎖が切断された親水性ポリマー411が有機溶剤により溶解され、ウェハWから親水性ポリマー411が選択的に除去される(ポリマー除去工程。図7の工程S8)。その結果、図15に示すように、疎水性ポリマー412によりホールパターン420が形成される。
その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置50に搬送され、
その後カセットステーション10のウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置板21のカセットCに搬送される。その後、カセットCは再びプラズマ処理装置3に搬送され、エッチング装置102においてレジストパターン402、窒化有機膜403a及び疎水性ポリマー412をマスクとして、反射防止膜400及び被処理膜Eがエッチング処理される。これにより、被処理膜Eにホールパターン420が転写される(図7の工程S9)
その後、疎水性ポリマー412、窒化有機膜403a及びレジストパターン402が除去されて、ウェハWに所定のパターンが形成される。その後ウェハWは、カセットCに収納され、ウェハWを収納したカセットCがプラズマ処理装置3から搬出されて一連のウェハ処理が終了する。
本実施の形態におけるウェハWの処理は以上のように行われる。次に、本実施の形態においてポリスチレン膜403形成後のウェハWをプラズマ処理する理由及び本発明の効果について説明する。
既述のように、ブロック共重合体410を用いてパターン形成を行う場合、レジストパターン402の下地膜として、親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412に対して中間の親和性を有する膜である中性層が用いられることがある。
しかしながら、中性層を形成した後にウェハW上にレジストパターンを形成すると、その後の熱処理やレジスト塗布処理、露光処理、現像処理といった各種の処理により中性層の物性が変化し、中性層が親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412に対して中性でなくなる場合がある。また、レジストパターン402を形成する際、現像処理により中性層上から完全にレジストパターン402が除去されないと、残ったレジストパターン402近傍も中性な状態ではなくなる。そうすると、中性でない領域で相分離後の親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412が所望の形状とならない。また、一部で相分離後の形状が乱れると、その影響が広範囲に及ぶ場合もある。
かかる場合、レジストパターン402の形成後に、当該レジストパターンの表面に中性層を形成することも考えられるが、中性層は酸化されやすく、また酸化により極性を有するため、ブロック共重合体410を相分離させる際に中性ではなくなっていることがある。
そこで、レジストパターン402形成後のウェハWの表面状態をコントロールする手法として、レジストパターン402上に例えばポリスチレン膜403などの有機膜を形成して、当該有機膜を酸化させることで、この有機膜を中性、または中性よりもやや親水性ポリマー411(極性を有するポリマー)とのエネルギー差が小さな表面状態を形成する方法が用いられる場合がある。つまり、有機膜を酸化させることで有機膜に極性を持たせ、酸化の程度により有機膜表面のエネルギー状態をコントロールするのである。かかる場合、有機膜の表面をブロック共重合体410中の親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412の分子量の比率に応じたエネルギー状態にすることで、ブロック共重合体410を所望の形状に相分離させることができる。なお、酸化にあたっては、例えば大気雰囲気下での紫外線照射などの手法が用いられる。
しかしながら、ポリスチレンのような有機膜は、上述の中性層と同じく非常に酸化しやすく、酸化量を制御することが極めて困難である。そのため、ウェハWの表面を所望の表面エネルギーにする際のプロセスマージンが極めて小さく、実用上問題である。
そこで本発明者らが鋭意検討したところ、有機膜を例えば窒素ガスプラズマによりプラズマ処理(窒化処理)することで、当該有機膜の表面を概ね中性、或いは弱い極性を有する状態にできることが確認された。その原理について述べる。
先ず、窒化処理による有機膜への影響について、本発明者らがTOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法:Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)により分析を行って得られたスペクトルを図16、図17に示す。図16は、窒化処理前のポリスチレン膜403の分析結果であり図17は、窒化処理後のポリスチレン膜403、即ち窒化有機膜403aの分析結果である。
図16に示すように、窒化処理をしていないポリスチレン膜をTOF−SIMSにより分析すると、Positive側(陽イオン)、Negative側(陰イオン)の双方に、CHやCxHy(x、yは自然数)といった炭化水素イオンが検出される。また、Positive側ではスチレンに由来するCイオンが支配的となる。
その一方、図17に示すように、窒化処理後のポリスチレン膜403(窒化有機膜403a)においては、Negative側にCNやCnNm(n、mは自然数)といった窒化炭素イオンが検出されている。このことから、窒化処理により少なくともポリスチレン膜403の表面が窒化されていることが分かる。そして、窒化炭素は弱い極性を有するため、非極性であったポリスチレン膜403の表面は窒化処理により概ね中性、あるいは弱い極性を有する状態になるものと考えられる。より具体的には、ポリスチレン膜403を窒化処理した窒化有機膜403aは、その分子構造内に窒素原子を有しているため、分子構造内に酸素原子を有するポリメタクリル酸メチルとの間のエネルギー差は大きくなる。したがって、窒化有機膜403aとポリメタクリル酸メチルは親和性を有するとは言えない。その一方で、窒化有機膜403aそのものは窒素原子により極性を有するため、非極性であるポリスチレンとの間のエネルギー差も、窒化有機膜403aとポリメタクリル酸メチルとの間のエネルギー差と同じか或いはそれよりも若干大きくなる。その結果、窒化有機膜403aは、消極的に中性または弱い極性を有する状態になるものと考えられる。
また、窒化有機膜403aにおいては、窒化処理前にPositive側に存在していた、スチレンに由来するCイオンが大幅に減少しており、スチレンよりも分子量が低い分子が大量に検出されている。この結果から、ポリスチレン膜403をプラズマ窒化処理することで、当該ポリスチレン膜403の直鎖や側鎖が切断されることにより低分子化されて窒化有機膜403aとなり、この低分子化と相まって窒化有機膜403aの表面エネルギーが所望の状態になっているものと考えられる。即ち、窒化処理によりポリスチレン膜403の表面に窒化炭素を形成するのみでは、比較的分子量の大きなポリスチレンの影響により表面エネルギーは依然としてポリメタクリル酸メチルよりもポリスチレンに近い状態のままであるが、低分子化することで、概ね中性、あるいは弱い極性を有するようになるものと考察される。
したがって、以上の実施の形態によれば、所定のレジストパターン402が形成されたウェハW上に有機膜としてポリスチレン膜403を形成し、この有機膜を窒素含有ガスのプラズマによりプラズマ処理して窒化処理することで、レジストパターン402表面を親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412に対して概ね中性、あるいは弱い極性を有する状態とすることができる。したがって、ブロック共重合体410を所望の形状で相分離させ、それにより、ウェハW上に所定のパターンを適切に形成することができる。
また、本発明者らによれば、窒素含有ガスのプラズマにより有機膜を窒化処理する場合、有機膜はほとんどエッチングあるいはスパッタされず、また、窒化有機膜403aの表面状態は、窒化処理の時間によらず概ね図17に示すような窒化炭素が支配的な状態となることが確認されている。したがって本発明によれば、窒化処理のプロセスマージンが非常に大きく、窒化有機膜403aの表面エネルギーを安定的に所望の状態とすることができる。
なお、以上の実施の形態では、非極性な有機膜であるポリスチレン膜403を窒化処理することでレジストパターン402上に窒化有機膜403aを形成したが、窒化有機膜403aを形成するにあたり、レジストパターン402上に形成する有機膜は必ずしもポリスチレン膜403である必要はなく、たとえばポリメタクリル酸メチル、ArFレジストあるいは中性層といった他の有機膜を用いてもよいことが本発明者らによって確認されている。
図18、図19にプラズマ窒化処理前及びプラズマ窒化処理後のポリメタクリル酸メチル膜の分析結果をそれぞれ示す。図19に示すように、ポリメタクリル酸メチル膜に対してプラズマ窒化処理を行うと、窒化処理前(図18)には存在しなかった窒化炭素がNegative側に生成されていることが確認できる。その結果、極性膜であったポリメタクリル酸メチル膜の表面は、窒化処理により概ね中性、あるいは弱い極性を有する状態になるものと考えられる。より具体的には、窒化処理により窒化炭素が形成されたことで、ポリメタクリル酸メチル膜とのエネルギー差が大きくなり、その一方で、窒素原子により極性を有するため、上述のポリスチレン膜403による窒化有機膜403aと同様に、消極的に中性または弱い極性を有する状態になるものと考えられる。また、図19のスペクトルと、図17に示す窒化処理後のポリスチレン膜403(窒化有機膜403a)のスペクトルを比較すると、Positive側のスペクトルが概ね同じ状態になっていることが確認できる。この結果から、有機膜としてポリスチレン膜403、またはポリメタクリル酸メチル膜のいずれを用いた場合であっても、プラズマ窒化処理により、概ね同じ物性の窒化有機膜403aを形成できることが確認できる。また本発明者らによれば、このような傾向は、上述の他の有機膜、即ちArFレジストあるいは中性層といった膜においても確認されている。したがって、上述の通り、窒化有機膜403aの基礎となる有機膜はポリスチレン膜403に限定されるものではない。
以上の実施の形態では、窒化有機膜403aを形成する際の窒化処理としてプラズマ窒化処理を用いたが、例えばポリメタクリル酸メチル、ArFレジストのように、窒化処理前のTOF−SIMSによるPositive側のスペクトルが概ね図17に示す窒化有機膜403aのような、比較的低分子を有するものであれば、必ずしもプラズマ窒化処理である必要はない。即ち、ポリスチレン膜403のような分子量の大きな有機膜は、プラズマ処理により低分子化を行うことが好ましいが、当初より分子量が小さな有機膜については、Negative側のスペクトルのみが図17の窒化有機膜403aとは違う状態にあるため、Negative側のみを図17と同じ状態にする、即ち表面のみを窒化処理すれば足りる。
表面のみを窒化する方法としては、例えば窒素ガス雰囲気下で、ポリメタクリル酸メチルのような極性を有する有機膜に対して紫外線を照射する方法などが適用できる。但し本発明者らによれば、窒素ガス雰囲気下で紫外線照射を行った場合であっても、完全に酸素の存在を排除できず、窒化有機膜403aには若干の酸素が含まれることとなる結果、酸化により中性よりもやや極性有機膜に近い状態になる場合があることが確認されている。したがって、プロセスマージンの観点から、有機膜の窒化処理としては、プラズマ処理を用いることが好ましい。
以上の実施の形態では、ホール部402aを有するレジストパターン402を形成した後、レジストパターン402上にポリスチレン膜403を塗布することでポリスチレン膜403による円形状のパターンを形成したが、ポリスチレン膜403による円形状のパターンの形成方法は本実施の形態の内容に限定されるものではない。即ち、窒化処理により有機膜によるパターンの全面を中性化するという観点からは、有機膜のパターンは必ずしも1種類の有機膜により形成する必要はない。例えば、第1の有機膜としてウェハW上に中性層を形成し(下地膜形成工程)、中性層上に第2の有機膜としてのポリスチレン膜403を塗布し、次いでポリスチレン膜403上にレジストパターン402を形成し、このレジストパターン402をマスクとしてポリスチレン膜403をエッチングすることで、中性層上にポリスチレン膜403によるパターンを形成(有機パターン形成工程)してもよい。その後、窒化処理を行うことで、ポリスチレン膜403と、当該ポリスチレン膜403から露出する中性層の双方を窒化有機膜403aとし、パターンの全面を中性化することができる。なお、第1の有機膜と第2の有機膜の極性は、同じであってもよいし異なっていてもよい。換言すれば、極性を有する有機膜であるポリメタクリル酸メチル、ArFレジスト、中性層、あるいは非極性の有機膜であるポリスチレンといった上述した有機材料から任意の1つまたは2つの材料を選択して、適宜窒化有機膜403aを形成できる。
第2の有機膜のパターンを形成するにあたっては、上述のようにレジストパターン402をマスクとしてエッチングを行う必要はなく、例えば第2の有機膜としてArFレジスト膜を形成し、当該ArFレジスト膜に露光処理、現像処理を施して所定のパターンを形成することで、第2の有機膜のパターンを形成してもよい。
また、以上の実施の形態では、ホール部402aを有するレジストパターン402を形成した後、レジストパターン402上にポリスチレン膜403を塗布し、次いでポリスチレン膜403を窒化処理して窒化有機膜403aとした後にブロック共重合体410を塗布し、疎水性ポリマー412により円筒形状のホールパターン420を形成する場合を例に説明したが、レジストパターン402の形状は本実施の形態に限定されるものではなく、例えば平面視において直線状のラインと直線状のスペース部を有する、いわゆるラインアンドスペースのレジストパターン402を用いてもよい。かかる場合、ブロック共重合体410としては、親水性ポリマー411の分子量の比率が40%〜60%、疎水性ポリマー412の分子量の比率が60%〜40%のものが用いられる。それにより、レジストパターン402のスペース部に、親水性ポリマー411と疎水性ポリマー412が交互に配列した、所謂ラメラ構造のパターンを形成することができる。
以上の実施の形態では、ウェハW上の被処理膜Eに対してレジストパターン402を転写する場合を例に説明したが、例えばウェハWに対してエッチングを施し、ウェハW上にホール状のパターンを転写する場合にも適用できる。
以上の実施の形態では、工程S8における親水性ポリマー411の除去は、いわゆるウェット処理により行ったが、親水性ポリマー411を除去する手法は本実施の形態に限定されるものではなく、例えば上述のドライエッチングなどを用いてもよい。即ち、ポリマー除去装置としての有機溶剤供給装置31に代えて、ドライエッチングの装置を用いてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
本発明は、例えば親水性を有する親水性ポリマーと疎水性を有する疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する際に有用である。
1 基板処理システム
30 現像装置
31 有機溶剤供給装置
32 反射防止膜形成装置
33 有機膜形成装置
34 レジスト塗布装置
35 ブロック共重合体塗布装置
40 熱処理装置
41 紫外線照射装置
42 アドヒージョン装置
43 周辺露光装置
44 ポリマー分離装置
300 制御部
400 反射防止膜
401 レジスト膜
402 レジストパターン
403 ポリスチレン膜
403a 窒化有機膜
410 ブロック共重合体
411 親水性ポリマー
412 疎水性ポリマー
W ウェハ

Claims (12)

  1. 親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理方法であって、
    所定のパターンが形成された基板上に極性を有する有機膜を形成する有機膜形成工程と、
    前記有機膜を窒化処理する窒化処理工程と、
    前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、
    前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、
    前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
  2. 請求項1に記載の基板処理方法において、
    前記極性を有する有機膜は、ポリメタクリル酸メチル、ArFレジストまたは中性層のいずれかである。
  3. 親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理方法であって、
    所定のパターンが形成された基板上に非極性の有機膜を形成する有機膜形成工程と、
    前記有機膜を窒化処理し且つ低分子化する窒化処理工程と、
    前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、
    前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、
    前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
  4. 請求項3に記載の基板処理方法において、
    前記非極性の有機膜は、ポリスチレンである。
  5. 請求項1に記載の基板処理方法において、

    前記窒化処理工程における窒化処理は、窒素ガスを含有するプラズマによるプラズマ処理である。
  6. 請求項3に記載の基板処理方法において、
    前記窒化処理工程における窒化処理は、窒素ガスを含有するプラズマによるプラズマ処理である。
  7. 請求項1に記載の基板処理方法において、
    前記親水性ポリマーはポリメタクリル酸メチルであり、
    前記疎水性ポリマーはポリスチレンである。
  8. 請求項3に記載の基板処理方法において、
    前記親水性ポリマーはポリメタクリル酸メチルであり、
    前記疎水性ポリマーはポリスチレンである。
  9. 親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて、基板を処理する基板処理方法であって、
    基板上に第1の有機膜を形成する下地膜形成工程と、
    前記第1の有機膜上に第2の有機膜により所定のパターンを形成する有機パターン形成工程と、
    前記第1の有機膜及び前記第2の有機膜を窒化処理する窒化処理工程と、
    前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、
    前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、
    前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
  10. 親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて基板を処理する基板処理方法を、基板処理システムによって実行させるように、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
    前記基板処理方法は、
    所定のパターンが形成された基板上に極性を有する有機膜を形成する有機膜形成工程と、
    前記有機膜を窒化処理する窒化処理工程と、
    前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、
    前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、
    前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
  11. 親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて基板を処理する基板処理方法を、基板処理システムによって実行させるように、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
    前記基板処理方法は、
    所定のパターンが形成された基板上に非極性の有機膜を形成する有機膜形成工程と、
    前記有機膜を窒化処理し且つ低分子化する窒化処理工程と、
    前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、
    前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、
    前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
  12. 親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを含むブロック共重合体を用いて基板を処理する基板処理方法を、基板処理システムによって実行させるように、当該基板処理システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
    前記基板処理方法は、
    基板上に第1の有機膜を形成する下地膜形成工程と、
    前記第1の有機膜上に第2の有機膜により所定のパターンを形成する有機パターン形成工程と、
    前記第1の有機膜及び前記第2の有機膜を窒化処理する窒化処理工程と、
    前記窒化処理工程後の基板上に前記ブロック共重合体を塗布するブロック共重合体塗布工程と、
    前記ブロック共重合体を前記親水性ポリマーと前記疎水性ポリマーに相分離させるポリマー分離工程と、
    前記相分離したブロック共重合体から、前記親水性ポリマーを選択的に除去するポリマー除去工程と、を有する。
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