JPWO2017061165A1 - 吸収性物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

吸収性物品(1)に、複数の凸部が形成された第1のシートと、第1のシートに積層された第2のシートと、を備える複合シートを用いる。吸収性物品の製造方法は、第1のシート(P12)を熱処理して嵩回復させる工程と、第1のシートを、第1のロール(52と第2のロール(53)とが互いに噛み合う領域(B1)に供給し、第1のロールに接する第1のシートの一方の面に複数の凸部を形成し、第2のロールに接する第1のシートの他方の面に複数の凹部を形成する工程と、第1のシートの一方の面が第1のロールと接しつつ、凸各部が中実になるよう、第2のロールから離れて複数の凹部の形状が緩和した第1のシートの他方の面を、第2のシート(P13)の一方の面と接合し、複合シート(P10)を形成する工程と、を備える。そのとき第1のシートと第2のシートとの接合部は各凸部に対応する領域と厚さ方向に重なる。

Description

本発明は、吸収性物品の製造方法に関する。
生理用ナプキンや使い捨ておむつのような吸収性物品の構成部材として、複数のシートから成る複合シートが知られている。複合シートは、例えば吸収性物品の表面シートに使用される。複合シートに要求される特性としては液透過性等があるが、特に着用者の肌に触れる複合シートに要求される特性としては更に柔らかさ(クッション性)や肌触りの良さなどがある。そのため近年では、略平坦の基部上に、その基部の表面から離れる方向に突出した複数の畝状又は島状の凸部を有する複合シートが用いられている。この畝状又は島状の凸部を有する複合シートは、凸部が比較的柔らかく、肌面にフィットし易いため、着用者は柔らかさや肌触りの良さを感じ易い傾向にある。特に、熱処理により嵩が回復する嵩回復性シートを用い、嵩回復の現象を利用して凸部を形成した複合シートでは、他の方法と比較して柔らかさや肌触りがより向上するため、検討が行われている。
そのような嵩回復性シートを用いた複合シートの製造方法が特許文献1に開示されている。複合シートの製造方法は、二枚のシートが部分的に接合されて多数の接合部が形成されると共に、一方のシートには接合部以外の部分に凸部が形成される。その製造方法では、両シートの少なくとも一方に熱処理により嵩が回復する嵩回復性シートを使用する。そして、一対の歯溝ロールにおける噛み合い部分に二枚のシートのうちの一方(嵩回復性シート)を供給する。次いで、そのシートを一対のロールの一方の周面部に沿わせてそのまま保持して噛み合い部分から移動させ、二枚のシートのうちの他方を一方に重ね合わせるように供給し、二枚のシートを接合して、複合シートを形成する。そのとき、嵩回復性シートの製造時における反ネット面を、重ね合わせるシートとの対向面とし、両シートの接合前又は接合後に嵩回復性シートに熱処理を施す。このとき、二枚のシートのうちの一方(嵩回復性シート)に凸部が形成され、凸部以外の箇所で二枚のシートが接合される。
特開2008−155602号公報
ところで、特許文献1の製造方法で製造された複合シートは、凸部内に繊維密度が周囲と比較して著しく低い空間、すなわち中空領域を有している。ただし、中空領域は第1のシートと第2のシートとの間に形成された隙間である。凸部内に中空領域が存在する場合、例えばその複合シートが吸収性物品の表面シートに使用されると、表面シートの肌側の表面に排泄された液体は凸部に吸収されるが、凸部内では中空領域内を移動することができず、中空領域の周りの領域、すなわち凸部の表面近傍の領域を移動することになる。そのため、複合シートでは、凸部における液体の移動経路が中空領域により制限されてしまい、複合シートの液透過性が低下するおそれがある。言い換えると、凸部が液体の移動を妨げるような中空領域を有するため、嵩回復の現象を利用して凸部が形成された複合シートでは、柔らかさや肌触りは向上するが、液透過性が低下してしまうおそれがある。
本発明の目的は、嵩回復の現象を利用して凸部が形成される複合シートを用いた吸収性物品の製造方法であって、複合シートにおける柔らかさや肌触りと液透過性とを両立可能な吸収性物品の製造方法を提供することにある。
本発明の吸収性物品の製造方法は以下のとおりである。(1)一方の面に複数の凸部が形成された第1のシートと、前記第1のシートの他方の面に積層された第2のシートと、を備える複合シートを用いた吸収性物品の製造方法であって、前記第1のシートを熱処理して嵩回復させる嵩回復工程と、前記熱処理された前記第1のシートを、第1のロールの歯部及び溝部と第2のロールの歯部及び溝部とが互いに噛み合う領域に供給して、前記第1のロールに接する前記第1のシートの前記一方の面に複数の凸部を形成し、前記第2のロールに接する前記第1のシートの前記他方の面に複数の凹部を形成する形成工程と、前記第1のシートの前記一方の面が前記第1のロールと接した状態を維持しつつ、前記複数の凸部の各々の内部が中実になるように、前記第2のロールから離れて前記複数の凹部の形状が緩和した前記第1のシートの前記他方の面を、前記第2のシートの一方の面と接合して、前記複合シートを形成する接合工程と、を備え、前記第1のシートの前記他方の面と前記第2のシートの前記一方の面との接合部は、前記第1のシートの前記複数の凸部の各々に対応する領域と厚さ方向に重なる、吸収性物品の製造方法。
本吸収性物品の製造方法では、嵩回復工程において、第1のシートを嵩回復し、形成工程において、第1のロールと第2のロールとの間に第1のシートを挟み込むことで、第1のシートの一方の面に凸部を形成し、他方の面(裏面)に凹部を形成する。その後、接合工程において、第1のロールで凸部の形状を維持しつつ、第2のロールから離れた凹部の形状が、第1のシート自身の構成繊維の反発力(又は弾性力)により緩和されて、凹部よりも小さい(浅く狭い)窪みになり、その窪みと第2のシートとが接合部で接合される。このように、その窪み、すなわち第1のシートの他方の面における凸部に対応する領域と第2のシートとを接合することで、第1のシートと第2のシートとの間に隙間が生じること、すなわち凸部内に中空領域が形成されることを抑制できる。それにより、凸部を中実な形状に形成することができる。それに加え、第1のシートの他方の面における凸部に対応する領域と第2のシートとが形状で接しているだけでなく、接合されている(例示:接着剤)ので、その後の工程で第1のシートが第2のシートから離間して中空領域が後発的に形成されないようにすることができる。すなわち、複合シートの凸部内に中空領域が後発的に形成されることを抑制でき、よって凸部を中実に維持することができる。それらにより、中実な凸部による柔らかさや肌触りと、液透過性の向上とを両立できる。
本吸収性物品の製造方法は、(2)前記第1のシートの前記他方の面は、前記第1のシートの製造時の反ネット面であり、前記第2のシートの前記一方の面は、前記第2のシートの製造時の反ネット面であり、前記接合工程において、前記第1のシートの前記反ネット面と前記第2のシートの前記反ネット面とが接合される、上記(1)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
ネットのような繊維支持体に繊維を堆積させて製造されるシートは、シートの製造時にネット(繊維支持体)に接していた面、すなわちネット面と、そのネット面の反対側の反ネット面と、を有する。シートにおける反ネット面側の部分では、ネット面側の部分と比較して、構成繊維の繊維密度が低く、構成繊維の移動が容易であり、したがって嵩回復が容易であり、毛羽立ち易い。そこで、本吸収性物品の製造方法では、第1のシートと第2のシートとを接合するとき、両シートの反ネット面同士を接合している。そのため、第1のシートにおける一方の面、すなわちネット面側の部分では、繊維密度が高いため、形成工程で凸部が形成されるとき、屈曲などの塑性変形を起こす構成繊維が多い。その結果、形成工程の後でも、凸部の形状をより容易に維持することができる。一方、第1のシートにおける他方の面、すなわち反ネット面側の部分では、繊維密度が低いため、形成工程で凹部が形成されるとき、屈曲などの塑性変形を起こす構成繊維が少ない。加えて、熱処理により大きく嵩が回復し、厚さ方向に弾性変形し易くなっている。その結果、接合工程にて第2のロールが凹部から離れると、凹部の構成繊維の反発力(又は弾性力)により、構成繊維を概ね元の状態に戻すことができ、すなわち凹部の形状を緩和して凹みを小さくでき、かつ毛羽立たせられる。それにより、第1のシートの一方の面に凸部を形成しつつ、他方の面を小さな窪みにすることができる。そして、第2のシートにおける反ネット面側の部分では、繊維密度が低いため変形が容易であるため、第2のシートの反ネット面側の部分と第1のシートの反ネット面の部分とを容易に接合することができる。そのとき、両シートの接合面の構成繊維が互いに容易に移動できるので、凸部内に中空領域が形成されることをより確実に抑制できる。すなわち、複合シートの凸部内に中空領域が形成されることをより確実に抑制でき、より確実に凸部内に中実構造を形成することができる。
本吸収性物品の製造方法は、(3)前記複数の凸部は前記第1のシートの搬送方向MDに沿って連続的に延設され、前記複数の凸部における互いに隣接する凸部の間には前記搬送方向MDに沿って基部が連続的に延設されており、前記吸収性物品の製造方法は、前記基部において、前記搬送方向MDに沿って間欠的な圧縮を行うことにより、前記第1のシートと前記第2のシートとを接合する間欠接合工程を更に備える、上記(1)又は(2)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
第1のシートと第2のシートとを接合する場合、例えば接合用の接着剤の厚さ方向の拡散が不十分な箇所では、各シートの表面の領域の構成繊維しか接合が保持されないおそれがある。その場合、隣接する凸部の間の領域、すなわち凸部が形成されていない第1シートの基部(凹部)が、第1のシートの弾性力などにより自然に嵩回復し、第1のシートの凹凸のメリハリがなくなり柔らかさ等が低下してしまうおそれがある。そこで、本吸収性物品の製造方法では、第1シートの基部を間欠的な圧縮(圧搾)により第2のシートに接合する。このように、凸部の周辺において、第1のシートの基部と第2のシートとを間欠的に接合することで、凸部の形状をより安定的に形成することができる。それにより、凸部内の中実構造をより安定的に形成することができる。また、凸部の周囲の領域において第1のシート及び第2のシートが圧搾されるので、凸部の裾の部分が圧搾部側、すなわち第2のシート側へ引っ張られることにより、凸部全体が第2シートへ押し付けられるようになる。更に、第2のシートにおける第1シートの凸部と対向する領域が第1のシート側に近接するようになる。したがって、凸部の底部(第1のシートの他方の面)は、第2のシートの一方の面に押し付けられることになり、第1のシートと第2のシートとの間に隙間が存在したとしても、その隙間を無くすことができる。それにより凸部内をより中実にすることができる。また、接合が連続的な場合には、第1シートの基部全体が硬くなり、肌ざわりが悪くなったり、接合で溶融化した部分での液体の移動が困難になったりする事態が生じ得るが、本製造方法では、接合が間欠的なので、そのような事態を回避できる。
本吸収性物品の製造方法は、(4)前記第1のロールの前記歯部を含む外周面の温度は、常温よりも高く、前記第1のシートを構成する材料のうちの最も低い融点の材料の当該融点よりも低い第1の所定温度である、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、第1のロールの外周面が上記の第1の所定温度を有するため、すなわち第1のシートの第1の面を加熱しているため、第1のシートの第1の面を容易に凸形状に賦形することができる。それにより、第1のシートの一方の面に複数の凸部の形状を安定的に形成することができる。その凸部の形状の安定化により、凸部内の中実構造をより安定的に形成することができる。
本吸収性物品の製造方法は、(5)前記第2のロールの前記歯部を含む外周面の温度は、常温以上、前記第1の所定温度未満の第2の所定温度である、上記(4)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
第2のロールの外周面の温度を上記の第1の所定温度以上にすると、第1のシートの他方の面に凹部を安定的に形成してしまうことになる。そうなると、第1のシートの他方の面を第2のロールの外周面から離しても、凹部の形状がそのまま残存して第1のシートと第2のシートとの間に隙間が生じ、凸部が中実にならなくなってしまうおそれがある。そこで本吸収性物品の製造方法では、形成工程において、嵩回復している凸部の内側に、上記の第1の所定温度より低い第2の所定温度の第2のロールを当てるようにしている。それにより、第2のロールに接する第1のシートの他方の面を嵩回復した状態に維持したまま凹形状にすることができる、すなわち第1のシートの他方の面を、反発力(又は弾性力)を保持した状態で凹形状にすることができる。そして、第1のシートの他方の面を、反発力(又は弾性力)を保持した状態に維持しているので、接合工程において第1のシートの他方の面を第2のロールの外周面から離すと、凹部が、その反発力により、その凹部より小さい窪みに緩和することができる。それにより、その窪みと第2のシートとを安定的に接合でき、第1のシートと第2のシートとの間に隙間が生じる事態をより確実に抑制できる。すなわち、複合シートの凸部内に中空領域が形成されることをより確実に抑制でき、よってより確実に凸部を中実にすることができる。
本吸収性物品の製造方法は、(6)前記第2のロールの鉛直方向の最上端は、前記第1のロールの鉛直方向の最上端を通る仮想の水平面よりも、鉛直方向の下側にある、上記(4)又は(5)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
第1のロールの温度は常温よりも高い上記の所定温度である。そのため、第1のロールの鉛直上方にある物体は第1のロールの熱で加熱され、第1のロールと同程度の温度になるおそれがある。そこで本吸収性物品の製造方法では、鉛直方向において、第2のロールを、第1のロールよりも下側に配置している。そのため、第2のロールの温度が、第1のロールに影響されて第1のロールと同程度の温度になることを防止できる。それにより、形成工程にて第1のシートの他方の面に凹部を形成した後、その凹部を略平坦な形状に容易に回復させることができる。その結果、第1のシートと第2のシートとの間に隙間が生じないようにすることがきる。すなわち、複合シートの凸部内に中空領域が形成されることをより確実に抑制でき、よってより確実に凸部を中実にすることができる。
本吸収性物品の製造方法は、(7)前記第2のロールの前記歯部を含む外周面の材料は誘電体から成る、上記(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、第2のロールの外周面の材料は誘電体からなる。そのため、第2のロールの外周面から第1のシートの他方の面が離れるとき、第2のロールの外周面と第1のシートとの摩擦により発生する静電気によって、第1のシートの他方の面の構成繊維が持ち上げられ、凹部をより小さな窪み、又はより平坦な形状にできる。それにより、第1のシートと第2のシートとをより確実に接合する、すなわち両シートの間に隙間が生じないようにすることができる。その結果、複合シートの凸部内に中空領域が形成されることをより確実に抑制でき、よってより確実に凸部を中実にすることができる。
本吸収性物品の製造方法は、(8)前記第1のロール及び前記第2のロールの各々は、前記歯部及び前記溝部が外周面上に回転方向に沿って連続的に延設されており、前記形成工程において、前記第1のシートを前記噛み合い領域に供給する速度は、前記第1のロールの外周速度以下である、上記(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
第1のシートの供給速度(送り速度)が第1のロールの外周速度を超えると、第1のシートに皺が発生してしまう。そこで本吸収性物品の製造方法では、第1のシートの供給速度(送り速度)を第1のロールの外周速度以下とすることにより、第1のシートでの皺の発生をより確実に防止して、より確実に凸部を中実に形成できる。
本吸収性物品の製造方法は、(9)前記形成工程において、前記第2のロールの外周速度は、前記第1のロールの外周速度よりも速い、上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、第2のロールの外周速度が第1のロールの外周速度よりも速いため、第2のロールが第1のロール上の第1のシートを擦り上げるので、第1のシートにおける他方の面側の部分の変形量を大きくできる。それにより、第1のシートにおける他方の面側の構成繊維をより移動・変形し易くできるので、第1のシートと第2のシートとの間に隙間が生じる事態、すなわち複合シートの凸部内に中空領域が形成されることをより確実に抑制でき、よってより確実に凸部を中実にできる。
本吸収性物品の製造方法は、(10)前記形成工程において、前記第1のシートは、前記第1のロールの前記歯部の頂部により前記第2のロールの前記溝部の底部に押し付けられて圧縮され、前記第2のロールの前記歯部の頂部により前記第1のロールの前記溝部の底部に押し付けられず圧縮されない、上記(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、第1のシートが第1のロールの歯部の頂部により第2のロールの溝部の底部に押し付けられて圧縮されることで、一方の面にて互いに隣接する凸部の間の基部を安定して形成できる。それに加え、第1のシートが第2のロールの歯部の頂部により第1のロールの溝部の底部に押し付けられず圧縮されないため、一時的に凹部を形成して凸部の形成を補助できると共に、凸部内に一時的に形成された凹部の弾性力による形状の回復(又は嵩回復)をし易くできる。それにより、凸部の形状を安定的に形成できると共に、第1のシートが第2のシートから離間して隙間が生じることを抑制できる。複合シートの凸部内に中空領域が形成されることを抑制でき、凸部を中実にできる。
本吸収性物品の製造方法は、(11)前記第2のロールは、前記第1のシートと連れ回り状態で回転する、上記(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、第2のロールが第1のシートの変位量に合わせて回転するので、第2のロールの速度の調整を行うことなく、第1のシートに皺や幅入りを発生させ難くできる。それにより、第1のシートでの皺の発生をより確実に抑制でき、より確実に凸部を中実に形成できる。
本発明によれば、嵩回復の現象を利用して凸部が形成される吸収性物品の製造方法であって、複合シートにおける柔らかさや肌触りと液透過性とを両立可能な吸収性物品の製造方法を提供することができる。
実施の形態に係る吸収性物品の構成例の一部を示す図である。 実施の形態に係る吸収性物品の表面シートの構成例を示す図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造装置の構成例を模式的に示す図である。 製造装置のロールの構成例を模式的に示す図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を模式的に説明する図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を模式的に説明する図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を模式的に説明する図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を模式的に説明する図である。
本実施の形態に係る吸収性物品について生理用ナプキンを例として図面を参照して説明する。ただし、吸収性物品の種類及び用途としては、特に限定されるものではなく、例えばパンティライナー、使い捨ておむつ(テープ型、パンツ型)、失禁パッド、汗取りシート等の衛生用品・生理用品が挙げられ、これらはヒトが対象であってもよいし、ペット等のヒト以外の動物が対象であってもよい。その吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されるものではなく、例えば着用者の液状排泄物、体液等が挙げられる。
図1は吸収性物品1の構成例を示す図であり、吸収性物品1を展開した状態での平面図を示す。吸収性物品(生理用ナプキン)1は、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、長手方向Lに延びる本体部1Aと、長手方向Lの略中央部に幅方向Wの両側に延出する一対のフラップ部1B、1Bとを備える。また、吸収性物品1は、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる中央軸線CLと、一対のフラップ部1B、1Bの長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる中央軸線CWを有する。図1において向って上方が吸収性物品1の前方であり、向って下方が吸収性物品1の後方である。なお、吸収性物品1の長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tと後述される吸収性物品1の各資材の長手方向、幅方向及び厚さ方向とは一致するので、以下では、吸収性物品1及びその各資材に共通に長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを用いる。また、「平面視」とは展開した状態の吸収性物品1を上面側から厚さ方向Tに見ることをいう。「肌側」及び「非肌側」とは、吸収性物品1の着用者による吸収性物品1の着用時、厚さ方向Tにて相対的に着用者の肌面に近い側及び遠い側をそれぞれ意味する。中央軸線CLに向かう方向及び遠ざかる方向をそれぞれ幅方向Wの内側及び外側の方向とする。中央軸線CWに向かう方向及び遠ざかる方向をそれぞれ長手方向Lの内側及び外側の方向とする。これらの定義も吸収性物品1の各資材に共通に用いる。また、本明細書では、後述される凸部に関して「中実」という場合、凸部内での液体の移動を妨げるような中空領域(繊維密度が周囲と比較して著しく低い空間)を有さないことをいう。
吸収性物品1は、少なくとも表面シート2と裏面シート3と吸収体4とで構成される。表面シート2は着用者の肌側に位置する液透過性のシートである。表面シート2としては、例えば液透過性の不織布や織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートなど任意の液透過性シートが挙げられる。裏面シート3は着用者の非肌側に位置する液不透過性のシートである。裏面シート3としては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SMS不織布など任意の液不透過性シートが挙げられる。裏面シート3の非肌側には、裏面シート3を補強し、手触りを改善する外装シート9が積層されてもよい。外装シート9としては、裏面シート3と同様の材料や撥水性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シートなど任意の撥水性シートが挙げられる。吸収体4は表面シート2及び裏面シート3との間に位置する液吸収性及び液保持性の材料である。吸収体4としては、パルプ繊維、合成繊維、吸収性ポリマーなどが挙げられる。吸収体4と表面シート2及び裏面シート3とはそれぞれ接着剤により接合され、表面シート2と裏面シート3とはそれらの周縁部分にて接着剤により接合される。表面シート2、吸収体4及び裏面シート3の間の接合用の接着剤は、吸収性物品1で一般的に使用される公知の材料、例えば熱可塑性接着剤を使用できる。
次に、表面シート2について更に説明する。表面シート2は複合シート10から形成される。図2は実施の形態に係る複合シート10(表面シート2)の構成例を示す図である。図2(a)は複合シート10の部分平面図であり、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb’断面図である。複合シート10は、第1のシート12と、第2のシート13と、を備える。ただし、厚さ方向Tのうちの一方向を上向きとし、他方向を下向きとする。
第1のシート12は、厚さ方向Tの上向きの面である第1の上面12E(一方の面)と、下向きの面である第1の下面12F(他方の面)とを有し、長手方向L及び幅方向Wに拡がるシートである。第1のシート12は、第1の上面12Eに、長手方向Lに沿って連続的に延設された複数の凸部15と、互いに隣接する凸部15の間に長手方向Lに沿って連続的に延設された基部16と、を含む。凸部15は、第1の上面12Eの基部16から厚さ方向Tの上向きに突出した突出部ということができる。第1のシート12は、第1の下面12Fにおいて第2のシート13と接合部14で接合される。凸部15の寸法としては例えば幅0.25〜5mm、高さ0.25〜5mm、ピッチ0.5〜10mmが挙げられる。
第2のシート13は、厚さ方向Tの上向きの面である第2の上面13E(一方の面)と、下向きの面である第2の下面13F(他方の面)とを有し、長手方向L及び幅方向Wに拡がるシートである。第2のシート13は、第2の上面13Eにおいて第1のシート12と接合部14で接合される。第2のシート13は凸部15において厚さ方向Tの上向きにやや盛り上がっていてもよい。すなわち第1のシート12と第2のシート13との境界は凸部15においてやや凸であってもよい。
接合部14は、第1のシート12の第1の下面12Fと第2のシート13の第2の上面13Eとを接合し、本実施の形態ではホットメルト接着剤に例示される接着剤であり、図に明示していないが厚さ方向T上向き及び下向きに拡散している。接合部14は、第1のシート12の複数の凸部15の各々に対応する領域と厚さ方向Tに重なる。言い換えると、厚さ方向Tの上方から見て、すなわち平面視で、各凸部15の領域の少なくとも一部に、接合部14の少なくとも一部が含まれる。ただし、接合部14としては、第1のシートと第2のシート13とを接合できれば特に制限は無く、例えば薄い導電性材料を塗布して誘導加熱で第1のシートと第2のシート13とを熱溶着させてもよい。
このように、凸部15の第1の下面(他方の面)12Fと第2のシート13の第2の上面(一方の面)13Eとを接合部14により接合するので、凸部15と第2のシート13との間での隙間の形成を抑制でき、凸部15内を中実な形状にできる。それにより、凸部15全体を液体の移動経路にでき、複合シート10の液透過性を向上できる。また、複合シート10には複数の畝状の凸部15を形成しているので、着用者の感じる柔らかさや肌触りを向上できる。このようにして複合シート10では柔らかさや肌触りと液透過性とを両立させている。この場合、凸部15が中実の形状のため、透液性の観点から、第1のシート12の第1の下面12Fと第2のシート13の第2の上面13Eとの距離は、基部16からの凸部15の厚さ方向Tの高さの5%以内であり、好ましくは1%以内である。
接合部14のパターンは、本実施の形態では、長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに互いに平行に並んだ複数の線状のパターン(ストライプパターン)である。ストライプパターンの寸法としては例えば幅0.5〜2mm、ピッチ1〜4mmが挙げられる。ただし、接合部14のパターンとしては、凸部15に対応する領域と厚さ方向Tに重なれば特に制限は無く、オメガパターン、ウェブパターン、スパイラルパターンであってもよい。なお、上記各パターンであれば、複合シート10の全域のうち、少しの領域において凸部15の領域に接合部14が含まれていない領域が存在してもよい。
複合シート10は、本実施の形態では、圧搾部17を更に備える。圧搾部17は、各基部16において長手方向Lに沿って間欠的に配置される。圧搾部17は、基部16において長手方向Lに等間隔に配置されてもよいし、非等間隔に配置されてもよい。幅方向Wに隣り合う基部16において、長手方向Lに同じ位置でもよいし、同じ位置でなくてもよい。本実施の形態では、基部16に関して市松模様状に配置される。また、圧搾部17の平面視の形状は楕円状など任意である。圧搾部17は、厚さ方向Tにおいて第1のシート12の上方と第2のシート13の下方とから狭持し圧縮して形成され、第1のシート12と第2のシート13とを接合する。なお複合シート10は圧搾部17を備えなくてもよい。
本実施の形態では、第1のシート12はネットのような繊維支持体に繊維を堆積させて製造されており、その製造時にネット(繊維支持体)に接していた面をネット面と称し、そのネット面の反対側の面を反ネット面と称する。第1のシート12の第1の上面12E及び第1の下面12Fは、それぞれ第1のシート12の製造時のネット面及び反ネット面である。更に、第2のシート13の第2の上面13E及び第2の下面13Fは、それぞれ第2のシート13の製造時の反ネット面及びネット面である。したがって、本実施の形態では、第1のシート12の反ネット面と第2のシート13の反ネット面とが接合される。
第1のシート12における凸部15及び基部16の坪量は概ね同じである。凸部15の繊維密度は基部16の繊維密度よりも低い。基部16の繊維密度は圧搾部17の繊維密度よりも低い。凸部15の繊維密度が低いので着用者は柔らかさを感じられる。第1のシート12の坪量と第2のシート13の坪量とはどちらが高くてもよく、同じでもよい。
第1のシート12は、液透過性であって、所定の熱処理で嵩が回復する嵩回復性のシートを用いる。吸収性物品1では第1のシート12は嵩回復している。嵩回復性のシートとしては不織布、例えばエアスルー不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布等の液透過性の不織布が挙げられる。坪量としては例えば10〜200g/mが挙げられる。また、第1のシート12の構成繊維としては、例えばポリエステル系やポリオレフィン系の繊維、又はそれらの複合繊維が挙げられる。複合繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)等の芯/鞘構造の繊維が挙げられる。本実施の形態では、ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)の芯/鞘構造の繊維を用いる。繊維の繊度としては例えば1〜20dtexが挙げられる。
第2のシート13は、液透過性であれば、嵩回復性のシートを用いてもよく、用いなくてもよい。本実施の形態では、柔らかさの観点から、第1のシート12と同じ嵩回復性の不織布であるポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)の芯/鞘構造の繊維を用いる。吸収性物品1では第2のシート13は嵩回復している。ただし、第1のシート12と異なるシートを用いてもよい。
次に、本実施の形態に係る吸収性物品1の製造装置50の構成について説明する。図3は、吸収性物品1の製造装置50の構成例を模式的に示す図である。図4は、製造装置50のロールの構成例を模式的に示す図である。製造装置50は、第1の熱処理装置51と、第1のロール52と、第2のロール53と、第2の熱処理装置54と、接着剤塗布装置55と、接合ロール56と、本体製造装置57と、を備える。製造装置50は、複合シート10の資材などの搬送に関し、搬送方向MD、搬送方向MDに直交し搬送面に沿う横断方向CD、及び搬送方向MDと横断方向CDとに直交する上下方向TDを有する。ここでは、複合シート10やそれを構成する資材(部材)の長手方向、幅方向及び厚さ方向はいずれも搬送方向MD、横断方向CD及び上下方向TDと同じである。したがって複合シート10やそれを構成する資材においても、長手方向、幅方向及び厚さ方向についてそれぞれ搬送方向MD、横断方向CD及び上下方向TDを用いる。
第1の熱処理装置51は、熱処理により嵩回復するシートに対してその熱処理を行う装置である。本実施の形態では、第1の熱処理装置51は、第1のシート12用の資材であって所定の熱処理により嵩回復する第1のシートP12aを供給される。そして、第1の熱処理装置51は、第1のシートP12aを搬送方向MDに搬送しながら、第1のシートP12aに上記所定の熱処理を行って嵩回復させて、第1のシートP12bを形成する。
本実施の形態では、第1の熱処理装置51は、第1のシートP12aを、装置内の搬送経路の両端にそれぞれ設けられた例えばニップロールによりテンションを調整しつつ搬送する。熱処理方法としては、例えば第1のシートP12aのいずれか一方(例示:反ネット面)又は両面に熱風を供給する方法が挙げられる。このとき、第1のシートP12aはコンベアベルトに接しないので全体的に均一に嵩回復し易い。ただし、第1の熱処理装置51は、この例に限定されず、例えば第1のシートP12aをコンベアベルトのようなシート支持部材に載置し搬送してもよい。熱処理方法としては、例えば第1のシートP12aにおけるシート支持部材と接する面とは反対の面(例示:反ネット面)に熱風を供給する方法が挙げられる。このとき熱風を供給された面の方が他方の面より嵩回復させ易い。
第1のロール52及び第2のロール53は、両者の歯部及び溝部の噛み合い領域にシートを狭持してシートの一方の面に複数の凸部を形成し、他方の面に複数の凹部を形成する。本実施の形態では、第1のロール52は、第1のロール52の外周面上の第1の所定位置で、第2のロールと互いに対面に配置される。第1のロール52は、その外周面に、回転方向に沿って連続的に延設された複数の歯部52aと、互いに隣接する歯部52aの間に回転方向に沿って連続的に延設された溝部52bと、を備える。第2のロール53は、その外周面に、回転方向に沿って連続的に延設された複数の歯部53aと、互いに隣接する歯部53aの間に回転方向に沿って連続的に延設された溝部53bと、を備える。仮想線EL1、EL2(図4)で示されるように両ロールの歯部及び溝部は互いに噛み合うように配置される。そして、第1のロール52の歯部52a及び溝部52bと第2のロールの歯部53a及び溝部53bとは、両者が互いに噛み合う噛み合い領域B1に第1のシートP12bを狭持して第1のシートP12bの一方の面に複数の凸部を形成し、他方の面に複数の凹部を形成する。それにより第1のロール52及び第2のロール53は噛み合い領域B1を通過した第1のシートP12b、すなわち第1のシートP12cを形成する。第1のロール52及び第2のロール53の外周面は所望の温度に設定可能である。第1のロール52では少なくとも外周面が例えば金属(例示:ステンレス)製であり、第2のロール53では少なくとも外周面が例えば誘電体(例示:合成樹脂)製である。
第2の熱処理装置54は、熱処理により嵩回復するシートに対してその熱処理を行う装置である。本実施の形態では、第2のシート13用の資材として、所定の熱処理により嵩回復する第2のシートP13aを用いる。第2の熱処理装置54は、第2のシートP13aを供給され、第2のシートP13aを搬送方向MDに搬送しながら、第2のシートP13aに上記所定の熱処理を行って嵩回復させて、第2のシートP13bを形成する。
第2の熱処理装置54は、第1の熱処理装置51と同様に、第2のシートP13aを例えばニップロールによりテンションを調整しつつ搬送し、例えば第2のシートP13aの両面に熱風を供給する方法で熱処理を行う。ただし、例えば、第2のシートP13aをコンベアベルトのようなシート支持部材に載置して搬送し、第2のシートP13aにおけるシート支持部材と接する面とは反対の面に熱風を供給する方法で熱処理を行ってもよい。
接着剤塗布装置55は、第2のシートP13bの一方の面に接着剤を所定のパターンで塗布する。接着剤は、特に制限は無いが、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。所定のパターンは、後工程で、第1のシートP12cの他方の面と第2のシートP13cの一方の面とが接合されたとき、第1のシートP12cの複数の凸部の各々に対応する領域と接着剤とが厚さ方向Tに重なるように設定される。それにより、接着剤塗布装置55は、接着剤を塗布された第2のシートP13b、すなわち第2のシートP13cを形成する。
接合ロール56は、接合ロール5の外周面と第1のロール52の歯部及び溝部との対面領域に二枚のシートを狭持して接合する。本実施の形態では、接合ロール56は、第1のロール52の外周面上における第1の所定位置と異なる第2の所定位置で、第1のロール52と互いに対面配置される。接合ロール56は、その外周面の基部56qに、回転方向及び回転軸方向に沿ってそれぞれ間欠的に配置されたピン56pを備える。仮想線EL1、EL2(図4)に示されるように接合ロール56のピン56pと第1のロール52の歯部52aとは互いに対面するように配置される。そして、接合ロール56のピン56p及び基部56qと第1のロール52の歯部52a及び溝部52bとは、両者が互いに対面する対面領域B2に第1のシートP12c及び第2のシートP13cを狭持して、第1のシートP12cの他方の面と、第2のシートP13cの一方の面とを密接させて接合部14(例示:接着剤)により接合する。それにより、第1のロール52及び第2のロール53は、第1のシートP12cと第2のシートP13cとの積層体、すなわち複合シートP10を形成する。本実施の形態では、接合ロール56のピン56pと第1のロール52の歯部52aとが、第1のシートP12c及び第2のシートP13cを狭持し、圧縮(圧搾)するので、圧搾された箇所を圧搾部17とすることができる圧搾部17を形成しない場合には、接合ロール56はアンビルロール(ピン56pを有さないロール)であってもよい。その場合、圧搾部が固くなり過ぎて、柔らかさや肌触りに悪影響を及ぼす可能性を抑制できる。接合ロール56の外周面は所望の温度に設定可能である。接合ロール56では少なくとも外周面が例えば金属(例示:ステンレス)製である。
本体製造装置57は、表面シート2用の資材である複合シートP10を供給される。そして、その複合シートP10と、別途準備(製造)された吸収体4用の資材である吸収体(図示されず)と、別途準備(製造)された裏面シート3用の資材である裏面資材シート(図示されず)とをこの順に積層して互いに接合し、製品一個分ずつに切断する。それにより、本体製造装置57は、吸収性物品P1を連続的に形成する。吸収性物品P1の形成方法については、複合シートP10を表面シート2用の資材に用いていれば特に限定されるものでは無く、公知の様々な方法を使用できる。
次に、本実施の形態に係る吸収性物品1の製造方法について図3〜図8を参照して説明する。ただし図5〜図8は実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を模式的に説明する断面図である。本製造方法は、第1の嵩回復工程S1(図5)と、形成工程S2(図6〜図7)と、第2の嵩回復工程S3と、塗布工程S4と、接合工程S5(図8)と、本体製造工程S6と、を備える。
第1の嵩回復工程S1では、第1の資材ロール(図示されず)から巻き戻された第1のシートP12aが、第1の熱処理装置51により熱処理されて嵩回復する。第1のシートP12aの材料は第1のシート12の材料と同じであり、本実施の形態では、ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)(高密度)の芯/鞘構造の繊維が用いられる。このとき、図5(a)に示すように、第1のシートP12aの一方の面20aは構成繊維の密度が高いネット面であり、他方の面20bは構成繊維の密度が低い反ネット面である。第1の熱処理装置51内では、第1のシートP12aの一方の面20a及び他方の面20bが熱風又は加熱雰囲気に曝される。それにより、図5(b)に示すように、第1のシートP12aが嵩回復して、第1のシートP12bが形成される。第1のシートP12bは第1のシートP12aと比較して、坪量は概ね一定だが、厚さが厚くなり、構成繊維の密度が全体的に低下している。この場合、第1のシートP12aをコンベアベルトに載置して熱風を通過させる場合と比較して、第1のシートP12aの両面を概ね等しく熱風又は加熱雰囲気に曝すことができるので、第1のシートP12a全体をより均一に嵩回復させることができ、より柔らかで肌触り良くすることができる。
このときの熱処理(熱風又は雰囲気)の温度は、第1のシートP21aとして使用し得る材料を考慮し、嵩回復させる観点から、第1のシートP12aを構成する材料のうちの最も低い融点の材料の当該融点よりも低く、(当該融点−50度)の温度よりも高い処理温度である。処理温度の下限は、第1のシートP12aを安定的に嵩回復させる観点から、好ましくは(当該融点−30度)の温度よりも高く、より好ましくは(当該融点−20度)の温度よりも高い。一方、処理温度の上限は、上記の最も低い融点の材料が溶融する可能性を確実に排除する観点から、好ましくは(当該融点−5度)の温度よりも低く、より好ましくは(当該融点−10度)の温度よりも低い。本実施の形態では、第1のシートP12aの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)(高密度)の芯/鞘構造の繊維を用いており、高密度ポリエチレン(HDPE)の融点を140℃として、処理温度を例えば130℃とする。
次いで形成工程S2では、第1のシートP12bが噛み合い領域B1に供給される。図6に示すように、第1のロール52及び第2のロール53により、第1のロール52に接する第1のシートP12bの一方の面20aに複数の凸部21が形成され、隣接する凸部21の間に基部23が形成され、第2のロール53に接する第1のシートP12bの他方の面20bに複数の凹部22が形成される。その結果、第1のシートP12cが形成される。なお一方の面20a及び他方の面20bは複合シート10の第1の上面12E及び第1の下面12Fに対応し、凸部21及び基部23は凸部15及び基部16に対応する。
このとき、第1のシートP12bでは、第1のロール52の歯部52a間の部分が、第2のロール53の歯部53aにより、他方の面20b側から一方の面20a側へ向かって、すなわち第1のロール52の溝部52bの底部52sに向かって押し出される。このとき、第2のロール53の歯部53aの頂部53tに対応する第1のシートP12bの部分は底部52sに接触せず、したがって第1のシートP12bは底部52sには接触しない。言い換えると、第1のシートP12bは溝部52bに底当たりしない。ただし「底当たりしない」とは、第1のシートP12bと底部52sとの間に隙間がある場合だけでなく、第1のシート12bが底部52sに触れる場合や、塑性変形しない程度に底部52sで軽く圧縮される場合を含む。更に、第1のシートP12bでは、第2のロール53の歯部53a間の部分が、第1のロール52の歯部52aにより、一方の面20a側から他方の面20b側へ向かって、すなわち第2のロール53の底部53sに向かって押し出される。このとき、第1のシートP12bは底部53sには接触してもよいし、しなくてもよい。言い換えると、第1のシートP12bは溝部52bに底当たりしてもよいし、しなくてもよい。これらにより、第1のシートP12bの一方の面20aに凸な形状、すなわち凸部21を形成でき、隣り合う凸部21間に基部23を形成でき、かつ、第1のシートP12bの他方の面20bに凹な形状、すなわち凹部22を形成できる。
本実施の形態では好ましい態様として、第1のシートP12bの基部23が、第1のロール52の歯部52aの頂部52tにより、第2のロール53の底部53sに押し付けられて圧縮される。その圧縮による構成繊維同士の熱溶着や塑性変形により、基部23の形状が固定される。それにより、第1のシートP12bの凸部21を、その凸部21における横断方向CDの両側の基部23にて実質的に上下方向TDに安定的に固定できる。その結果、第1のシートP12bにおける一方の面20a側の凸部21の形状を安定化することができる。
そのとき、第1のシートP12bでは、第1のシートP12bの凸部21が、第1のロール52の底部52sには押し付けられておらず、圧縮されていない。したがって、構成繊維同士の熱溶着や塑性変形が起こらないため、第1のシートP12bの凸部21及び凹部22は、実質的に上下方向TDに固定されない。その結果、第2のロール53の歯部53aが取り除かれると、構成繊維の反発力(又は弾性力)により、第1のシートP12bの凹部22は歯部53aにより噛まれる前の状態に戻り得る状態にある。すなわち、第2のロール53に接する第1のシートP12cの他方の面20bの複数の凹部22は元の状態(凹んでいない状態)に回復可能な状態で一時的に形成されると見ることができる。
その後、第1のシートP12cの一方の面20aが第1のロール52と接した状態を維持しつつ、第1のシートP12cの他方の面20bを第2のロール53から引き離す。このとき、図7に示すように、第1のシートP12cの一方の面20aが第1のロール52と接し続けるので、第1のロール52に接する第1のシートP12cの一方の面20aに複数の凸部21が安定的に維持される。一方、第1のシートP12cの他方の面20bが第2のロール53から引き離されるので、第2のロール53に接する第1のシートP12cの他方の面20bの複数の凹部22は元の状態(凹んでいない状態)に回復してゆく。
本実施の形態では好ましい態様として、第1のシートP21bとして使用し得る材料を考慮し、第1のロール52の歯部52aを含む外周面の温度は、常温(例示:25℃)よりも高く、第1のシート12、すなわち第1のシートP12bを構成する材料のうちの最も低い融点の材料の当該融点よりも低い第1の所定温度とする。このように第1のロール52の外周面の温度を高くすると、賦形的な効果により、第1のシートP12bにおける一方の面20a側の凸部21の形状をより安定化できる。それに加えて、第1のシートP12bにおける一方の面20aの表面よりも内側の部分に第1のロール52の熱の一部が蓄えられるので、他方の面20bが第2のロール53から引き離されて凹部22が元の状態に回復するとき、その反発力(又は弾性力)による回復を、熱による嵩回復の効果により補助することができる。第1の所定温度の下限は、凸部21の形状を更に安定化させる観点から、好ましくは(当該融点−60度)の温度よりも高く、より好ましくは(当該融点−50度)の温度よりも高い。一方、第1の所定温度の上限は、第1のシートP12bが全体的に加熱され、第1のシートP12bの他方の面20bの複数の凹部22の形状が安定化されてしまい、元の状態に回復できなくなる、ということを防止する観点から、好ましくは(当該融点−20度)の温度よりも低く、より好ましくは(当該融点−30度)の温度よりも低い。
本実施の形態では更に好ましい態様として、第1のシートP21bとして使用し得る材料を考慮し、第2のロール53の歯部53aを含む外周面の温度は、常温(例示:25℃)以上、上記の第1の所定温度未満の第2の所定温度とする。このように第2のロール53の外周面の温度を第1のロール52の外周面の温度よりも低くすると、賦形的な効果はほとんどなくなり、嵩回復の効果が強くなることにより、第1のシートP12bにおける他方の面20bの複数の凹部22をより元の状態に回復し易くできる。第2の所定温度の上限は、凹部22を更に元の状態に回復し易くする観点から、好ましくは(第1のシートP12bを構成する材料のうちの最も低い融点の材料の当該融点−70度)の温度よりも低く、より好ましくは(当該融点−80度)の温度よりも低い。好ましくは第2のロール53を加熱しない、としてもよい。
この場合、第1のロール52の歯部52aを含む外周面の温度と、第2のロール53の歯部53aを含む外周面の温度との差は、50度以上が好ましく、60度以上がより好ましく、70度以上が更に好ましい。第1のロール52の外周面の温度と、第2のロール53の外周面の温度との差を設けることで、より確実に、第1のシートP12bの一方の20a面に複数の凸部21を安定的に形成できると共に、他方の面20bの複数の凹部22を元の状態(凹んでいない状態)に回復し易い状態で一時的に形成することができる。
本実施の形態では、第1のシートP12bの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)(高密度)の芯/鞘構造の繊維を用いており、高密度ポリエチレン(HDPE)の融点を140℃とする。この場合、例えば第1のロール52の歯部52aを含む外周面の温度は約100℃とし、第2のロール53の歯部53aを含む外周面の温度は常温(例示:約25℃、ただし第1のロール52の熱でやや加熱される。)とし、第1のロール52と第2のロール53の外周面の温度差を約75℃とする。
本実施の形態では好ましい態様として、第2のロール53の歯部53aを含む外周面の材料は導電性を有さない合成樹脂のような誘電体から構成される。本実施の形態ではナイロンを用いる。そのため、第2のロール53から第1のシートP12cが離れるとき、第2のロール53の外周面と第1のシートP12cとの摩擦により発生する静電気により、第1のシートP12cの他方の面20bの構成繊維が第2のロール53に引き付けられる。それにより、第1のシートP12cの他方の面20bの構成繊維が第2のロール53の方向に持ち上げられ、凹部22をより小さな窪み又は平坦な形状に回復させることができる。それにより、後述の接合工程S5にて、第1のシートP12cと第2のシート13cとの間に隙間がより生じないように両資材シートを接合できる。その結果、複合シートP10の凸部21内をより中実にできる。それに加え、第1のロール52の外周面と第2のロール53の外周面との間に温度差をつける場合には、誘電体、特に合成樹脂は金属と比較して比熱が大きいため、第1のロール52の熱で第2のロール53の温度が上がり難く、よって第1のロール52と第2のロール53の外周面の温度差を維持し易くできる。
次いで、第2の嵩回復工程S3では、図5に示される第1の嵩回復工程S1と同様に、第2の資材ロール(図示されず)から巻き戻された第2のシートP13aが、第2の熱処理装置54により熱処理され嵩回復する。第2のシートP13aの材料は、第2のシート13の材料と同じであり、本実施の形態では、ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)(高密度)の芯/鞘構造の繊維を用いる。このとき、第2のシートP13aの一方の面30aは構成繊維の密度が低い反ネット面であり、他方の面30bは構成繊維の密度が高いネット面である。第2の熱処理装置54内では、第2のシートP13aの一方の面30a及び他方の面30bが熱風又は加熱雰囲気に曝される。それにより、第2のシートP13aが嵩回復して、第2のシートP13bが形成される。第2のシートP13bは第2のシートP13aと比較して、坪量は概ね一定だが、厚さが厚くなり、構成繊維の密度が全体的に低下する。この場合、第2のシートP13aの両面を概ね等しく熱風又は加熱雰囲気に曝すことができ、第2のシートP13aをより均一に嵩回復でき、より柔らかにできる。なお一方の面30a及び他方の面30bは複合シート10の第2の上面13E及び第2の下面13Fに対応する。
このときの熱処理の温度は、嵩回復の観点から、第2のシートP13aを構成する材料のうちの最も低い融点の材料の当該融点よりも低く、(当該融点−50度)の温度よりも高い処理温度である。本実施の形態では、第2のシートP13aの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(HDPE)の芯/鞘構造の繊維を用い、高密度ポリエチレンの融点を140℃として、処理温度を130℃とする。
次いで、塗布工程S4では、熱処理された第2のシートP13bが、接着剤塗布装置55に供給される。そして、第2のシートP13bは、一方の面30aに接着剤を所定のパターンで塗布される。本実施の形態では、所定のパターンは、図2に示されるような搬送方向MDに沿って延び、横断方向CDに所定間隔で並んだ、所定幅を有するストライプパターンである。所定のパターンは、後工程で、第1のシートP12cの他方の面20bと第2のシートP13cの一方の面30aとが接合されたとき、第1のシートP12cの複数の凸部21の各々に対応する領域と接着剤とが上下方向TDに重なるように設定される。ただし、接合部14の接着剤の幅や間隔は、凸部21の幅や間隔と同じでも良いし、異なってもよい。
次いで、接合工程S5では、第1のシートP12c及び第2のシートP13cが対面領域B2に供給される。そのとき、第1のシートP12cの一方の面20aが第1のロール52と接した状態が維持され、複数の凸部21が維持される。一方、第1のシートP12cの他方の面20bが第2のロール53から離され、複数の凹部22の形状が緩和する(凹みが小さくなる)。そして図8に示すように、接合ロール56の基部56q及びピン56p並びに第1のロール52の歯部52aにより、第1のシートP12cと第2のシートP13cとが挟持され、第1のシートP12cの他方の面20bと、第2のシートP13cの一方の面30aとが密接され接合部14(接着剤)で接合される。第1のシートP12cと第2のシートP13cとの積層体である複合シートP10が形成される。複合シートP10は実質的に複合シート10である。このとき、第1のシートP12cの一方の面20aと第2のシートP13cの他方の面20bとの距離を、基部23からの凸部21の上下方向TDの高さの5%以内、好ましくは1%以内とすることができ、したがって凸部21を中実の形状とすることができる。それにより凸部21全体での液体の透過性を高められる。
本実施の形態では好ましい態様として、第1のシートP12cと第2のシートP13cとを接合するとき、両シートの反ネット面同士を接合する。そのため、第1のシートP12cにおける一方の面20a、すなわちネット面側の部分では、繊維密度が高いため、形成工程S2で凸部21が形成されるとき、屈曲などの塑性変形を起こす構成繊維が多い。その結果、形成工程S2後でも、凸部21の形状を安定的に維持できる。また、第1のシートP12cにおける他方の面20b、すなわち反ネット面側の部分では、繊維密度が低いため、大きく嵩が回復し、上下方向TDに弾性変形し易くなる。また、形成工程S2で凹部22が形成されるとき、屈曲などの塑性変形を起こす構成繊維が少ない。その結果、接合工程S5にて第2のロール53が離れると、凹部22の構成繊維の反発力(又は弾性力)によって凹部22の形状をより小さくでき、かつ凹部22の表面を毛羽立たせることができる。それにより、第1のシートP12cの一方の面20aに凸部21を安定的に形成しつつ、他方の面20bをより小さな窪みにすることができる。そして、第2のシートP13cの反ネット面側の部分と第1のシートP12cの反ネット面の部分とをより容易に接合することができる。そのとき、両シートにおける反ネット面側の部分では、繊維密度が低いため変形が容易であるため、両シートの構成繊維が互いに容易に移動でき、凸部21内に中空領域が形成されることをより確実に抑制できる。すなわち、複合シートP10の凸部21内に中空領域が形成されることをより確実に抑制でき、より確実に凸部21内に中実構造を形成することができる。
本実施の形態では好ましい態様として、更に接合ロール56のピン56pと第1のロール52の歯部52aとにより、第1のシートP12c及び第2のシートP13cが狭持され、圧縮(圧搾)されて、圧搾された箇所に圧搾部27が形成される。すなわち、第1のシートP12cの基部23において、搬送方向MDに沿って間欠的に、上下方向TDの圧縮が行われるので、第1のシートP12cと第2のシートP13cとが間欠的に接合され、かつ接合部14(接着剤)の接合も強化される。この場合、接合工程S5は、接合部14(接着剤)の接合に加えて、圧搾部27により搬送方向MDに間欠的に接合を行う間欠接合工程を含むといえる。なお、圧搾部27は複合シート10の圧搾部17に対応する。
このように圧搾部27を設けることで、仮に第1のシートP12cと第2のシートP13cとの接合部14において接合が弱い箇所があったとしても、その接合が弱い箇所を補うことができる。例えば仮に基部23における接着剤の上下方向TDの拡散が十分でなく接合が弱いときには、第1のシートP12cは自身の弾性力などにより自然に嵩回復し、凹凸のメリハリを小さくしてしまうことが考え得る。そこで、圧搾部27により、凸部21の周辺において、第1のシートP12cの基部23を第2のシートP13cに間欠的に接合することで、凸部21の形状をより安定的に維持できる。それにより、凸部21内の中実構造をより安定的に維持できる。また、圧搾部27が連続的な場合、第1のシートP12cの基部23全体が硬くなり、肌ざわりが悪くなったり、圧搾で溶融化した部分での液体の移動が困難になったりするが、本実施の形態では、圧搾部27が間欠的なので、そのような事態を回避できる。また、凸部21の周囲の領域において第1のシートP12c及び第2のシートP13cが圧搾されるので、凸部21の裾の部分が圧搾部27側、すなわち第2のシートP13c側へ引っ張られることにより、凸部21全体が第2のシートP13cへ押し付けられるようになる。更に、第2のシートP13cにおける第1のシートP12cの凸部21と対向する領域が第1のシートP12c側に近接するようになる。それらにより、凸部21の底部(第1のシートP12cの他方の面20b)は、第2のシートP13cの一方の面30aに押し付けられることになり、第1のシートP12cと第2のシートP13cとの間に隙間があったとしても、その隙間を潰すことができる。それにより、凸部21内をより中実にすることができる。
本実施の形態では、圧搾部27の形成し易さの観点及びシートを溶融させない観点から、接合ロール56のピン56pを含む外周面の温度は、常温(例示:25℃)よりも高く、第1のシートP12c及び第2のシートP13cを構成する材料のうちの最も低い融点の材料の当該融点よりも低い第3の所定温度である。好ましくは(当該融点−60度)の温度よりも高く、(当該融点−30)の温度よりも低い。本実施の形態では、第1のシートP12c及び第2のシートP13cの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(HDPE)の芯/鞘構造の繊維を用い、高密度ポリエチレン(HDPE)の融点を140℃として、第3の所定温度を100℃とする。
次いで、本体製造工程S6では、表面シート2用の資材シートである複合シートP10が本体製造装置57に供給される。別途準備(製造)された吸収体4用の吸収体及び別途準備(製造)された裏面シート3用の裏面資材シートが本体製造装置57に供給される。それら複合シートP10と吸収体と裏面資材シートとがこの順に積層されて互いに接合され、製品一個分ずつに切断されることにより、吸収性物品P1が連続的に形成される。
以上のようにして、吸収性物品を製造することができる。
以上説明されたように、本吸収性物品の製造方法では、形成工程S2において、第1のシートP12bの一方の面20aに凸部21を形成し、他方の面(裏面)20bに凹部22を形成する。その後、接合工程S5において、第1のロール52で凸部21の形状を維持しつつ、第2のロール53から離れた凹部22の形状が、第1のシートP12cの構成繊維の反発力(又は弾性力)により緩和されて、凹部22がより小さい(浅く狭い)窪みになり、その窪みと第2のシートP13cとが接合部14で接合される。このように、その窪み(凹部22が回復して形成されたもの)、すなわち第1のシートP12cの他方の面20bにおける凸部21に対応する領域と第2のシートP13cとを接合することで、第1のシートP12cと第2のシートP13cとの間に生じ得る隙間、すなわち凸部21内の中空領域が形成されることを抑制できる。それにより、凸部21を中実な形状に形成することができる。それに加えて、第1のシートP12cの他方の面20bにおける凸部21に対応する領域と第2のシート13cとが形状で接しているだけでなく、接合部14で接合されている(例示:接着剤)ので、その後の工程で第1のシートP12cが第2のシートP13cから部分的に離間して中空領域が後発的に形成されないようにすることができる。すなわち、複合シートP10の凸部21内に中空領域が形成されることを抑制でき、よって凸部21を中実にすることができる。それにより、中実な凸部21による柔らかさや肌触りと、液透過性の向上とを両立させることができる。
また、ロールの回転軸方向に歯部や溝部が形成され、それにより横断方向CDに沿ってシートに凸部が形成される場合、形成工程で凸部が形成されても、その後の工程において搬送方向MDにシートに掛かるテンションによって凸部の形状を維持することは難しい。そこで、本実施の形態の好ましい態様では、第1のロール52、第2のロール53及び接合ロール56にはその回転方向に沿って歯部及び溝部を形成し、それにより搬送方向MDに沿って第1のシートP12に凸部21を形成する。したがって、接合工程やその後の工程において、その凸部21の形状を、搬送方向MDのテンションにより潰れ難くでき、容易に維持できる。すなわち、凸部の中実により液透過性を維持しつつ、凸部の形状による柔らかさや肌触りを維持することができる。
本実施の形態の好ましい態様では、第2のロール53は、第1のシートP12bと連れ回り状態で回転する。そのため、第1のロール52の速度に応じた第2のロール53の速度の調整を行うことなく、第1のシートP12bに皺や幅入りを発生させ難くできる。それにより、第1のシートP12bでの皺の発生をより確実に抑制でき、接合工程Sにおいて、より確実に凸部を中実に形成できる。
本実施の形態の更に好ましい態様では、第2のロール53の鉛直方向の最上端は、第1のロール52の鉛直方向の最上端を通る仮想の水平面(図3の例では第2のシートP13a〜P13cや複合シートP10を含む平面)よりも、鉛直方向の下側にあることが好ましい。その理由は以下のとおりである。上述のように、第1のロール52の温度を常温よりも高い上記の第1の所定温度にする場合がある。そのため、第1のロール52の周囲の空気は、第1のロール52の熱で加熱され、低密度になり、鉛直上方へ移動する。そうなると、第1のロール52の鉛直上方にある物体は第1のロール52と同程度の温度になるおそれがある。しかし、鉛直方向において、第2のロール53を、第1のロール52よりも下側に配置することで、第2のロール53の温度が、第1のロール52に影響されて第1のロール52と同程度の温度になることを防止できる。それにより、形成工程S2にて第1のシートP12bの他方の面を凹形状した後、凹部を略平坦な形状に容易に回復させることができる。その結果、第1のシートと第2のシートとの間に隙間が生じないようにすることがき、複合シートP10の凸部をより確実に中実にすることができる。
上記実施の形態におけるシートの坪量、厚さ及び繊維密度は下記方法で求めている。
(1)シートの坪量:シートを5cm×5cmの大きさに切り出して試料とし、100℃以上の雰囲気での乾燥処理後に質量を測定する。測定した質量を試料の面積で割り算して試料の坪量を算出する。10個の試料の坪量を平均した値をシートの坪量とする。
(2)シートの厚さ:15cmの測定子を備えた厚さ計((株)大栄化学精器製作所製 型式FS−60DS)を用い、3g/cmの測定荷重の条件でシートの厚さを測定する。1つの試料で3か所の厚さを測定し、3か所の厚さの平均値をシートの厚さとする。
(3)シートの繊維密度:シートの繊維密度は、上記方法で求めたシートの秤量を、上記方法で求めたシートの厚みで割り算して算出する。
本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。
1 吸収性物品
52 第1のロール
53 第2のロール
P10 複合シート
P12 第1のシート
P13 第2のシート

Claims (11)

  1. 一方の面に複数の凸部が形成された第1のシートと、前記第1のシートの他方の面に積層された第2のシートと、を備える複合シートを用いた吸収性物品の製造方法であって、
    前記第1のシートを熱処理して嵩回復させる嵩回復工程と、
    前記熱処理された前記第1のシートを、第1のロールの歯部及び溝部と第2のロールの歯部及び溝部とが互いに噛み合う領域に供給して、前記第1のロールに接する前記第1のシートの前記一方の面に複数の凸部を形成し、前記第2のロールに接する前記第1のシートの前記他方の面に複数の凹部を形成する形成工程と、
    前記第1のシートの前記一方の面が前記第1のロールと接した状態を維持しつつ、前記複数の凸部の各々の内部が中実になるように、前記第2のロールから離れて前記複数の凹部の形状が緩和した前記第1のシートの前記他方の面を、前記第2のシートの一方の面と接合して、前記複合シートを形成する接合工程と、
    を備え、
    前記第1のシートの前記他方の面と前記第2のシートの前記一方の面との接合部は、前記第1のシートの前記複数の凸部の各々に対応する領域と厚さ方向に重なる、
    吸収性物品の製造方法。
  2. 前記第1のシートの前記他方の面は、前記第1のシートの製造時の反ネット面であり、
    前記第2のシートの前記一方の面は、前記第2のシートの製造時の反ネット面であり、
    前記接合工程において、前記第1のシートの前記反ネット面と前記第2のシートの前記反ネット面とが接合される、
    請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
  3. 前記複数の凸部は前記第1のシートの搬送方向MDに沿って連続的に延設され、前記複数の凸部における互いに隣接する凸部の間には前記搬送方向MDに沿って基部が連続的に延設されており、
    前記吸収性物品の製造方法は、前記基部において、前記搬送方向MDに沿って間欠的な圧縮を行うことにより、前記第1のシートと前記第2のシートとを接合する間欠接合工程を更に備える、
    請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
  4. 前記第1のロールの前記歯部を含む外周面の温度は、常温よりも高く、前記第1のシートを構成する材料のうちの最も低い融点の材料の当該融点よりも低い第1の所定温度である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  5. 前記第2のロールの前記歯部を含む外周面の温度は、常温以上、前記第1の所定温度未満の第2の所定温度である、
    請求項4に記載の吸収性物品の製造方法。
  6. 前記第2のロールの鉛直方向の最上端は、前記第1のロールの鉛直方向の最上端を通る仮想の水平面よりも、鉛直方向の下側にある、
    請求項4又は5に記載の吸収性物品の製造方法。
  7. 前記第2のロールの前記歯部を含む外周面の材料は誘電体から成る、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  8. 前記第1のロール及び前記第2のロールの各々は、前記歯部及び前記溝部が外周面上に回転方向に沿って連続的に延設されており、
    前記形成工程において、前記第1のシートを前記噛み合い領域に供給する速度は、前記第1のロールの外周速度以下である、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  9. 前記形成工程において、前記第2のロールの外周速度は、前記第1のロールの外周速度よりも速い、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  10. 前記形成工程において、前記第1のシートは、前記第1のロールの前記歯部の頂部により前記第2のロールの前記溝部の底部に押し付けられて圧縮され、前記第2のロールの前記歯部の頂部により前記第1のロールの前記溝部の底部に押し付けられず圧縮されない、
    請求項1乃至9のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  11. 前記第2のロールは、前記第1のシートと連れ回り状態で回転する、
    請求項1乃至10のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
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