JPWO2017057355A1 - 半導体素子の製造方法および積層体の製造方法 - Google Patents

半導体素子の製造方法および積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

ダイシフトを効果的に抑制し、かつ、仮接着剤層とモールディング層の剥離性に優れた半導体素子の製造方法および積層体の製造方法の提供。キャリア基板上に仮接着剤層を有する部材と、少なくとも一方の面に回路を有するダイとを、上記仮接着剤層とダイとが接するように、温度T1で圧着し、上記ダイの仮接着剤層と接している側とは反対側の表面に、温度T2でモールディング層を形成した後、上記キャリア基板を40℃以下の温度で剥離する、半導体素子の製造方法;ここで、温度T1は、測定周波数10Hzで測定した上記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上10000Pa・s以下となる温度であり、温度T2は、測定周波数10Hzで測定した上記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上となる温度である。

Description

本発明は、半導体素子の製造方法および積層体の製造方法に関する。
半導体素子は、表面に回路を有するダイの上に、モールディング層を形成してパッケージ化して用いることがある。このようなパッケージ化された半導体素子の製造方法の一つとして、キャリア基板上に仮接着剤層を成膜し、成膜した仮接着剤層上にダイを配列し、さらにその上に、モールディング層を形成し、キャリア基板を剥離する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4)。
米国特許第7202107号明細書 米国特許第9082806号明細書 特開2013−168417号公報 特開2001−308116号公報
しかしながら、上記特許文献に記載のように、仮接着剤層の表面にダイを配列し、さらに、その表面に、モールディング層を形成すると、仮接着剤層にダイを圧着する際のダイシフトや、仮接着剤層とモールディング層との剥離性が問題になることが分かった。
本発明はかかる課題を解決することを目的としたものであって、ダイシフトを効果的に抑制し、かつ、仮接着剤層とモールディング層の剥離性に優れた半導体素子の製造方法および積層体の製造方法を提供することを目的とする。
かかる状況のもと、本発明者らが検討した結果、ダイシフトや剥離性は、ダイの圧着時やモールディング層の形成時の加熱により、仮接着剤層が溶融してしまうことが原因であることが分かった。そして、ダイの圧着時やモールディング層の成形時の仮接着剤層の溶融粘度が高くなるようにすることで上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、下記段<1>により、好ましくは<2>〜<7>により、上記課題は解決された。
<1>キャリア基板上に仮接着剤層を有する部材と、少なくとも一方の面に回路を有するダイとを、上記仮接着剤層とダイとが接するように、温度T1で圧着し、上記ダイの仮接着剤層と接している側とは反対側の表面に、温度T2でモールディング層を形成した後、上記キャリア基板を40℃以下の温度で剥離する、半導体素子の製造方法;ここで、温度T1は、測定周波数10Hzで測定した上記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上10000Pa・s以下となる温度であり、温度T2は、測定周波数10Hzで測定した上記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上となる温度である。
<2>上記モールディング層形成後、100℃以上の熱処理を行う、<1>に記載の半導体素子の製造方法。
<3>上記キャリア基板を、40℃以下の温度で剥離した後、さらに、上記仮接着剤層を40℃以下で除去する、<1>または<2>に記載の半導体素子の製造方法。
<4>上記仮接着剤層が、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、シクロオレフィン系重合体およびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
<5>上記モールディング層が、エポキシ樹脂を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
<6>上記ダイの、温度T1での圧着前の位置と、上記ダイの、温度T1での圧着後の位置の移動距離が100μm未満である、<1>〜<5>のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
<7>上記仮接着剤層が、フッ素原子およびケイ素原子の少なくとも一方を含む、<1>〜<6>のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
本発明により、ダイシフトを効果的に抑制し、かつ、仮接着剤層とモールディング層の剥離性に優れた半導体素子の製造方法および積層体の製造方法および積層体の製造方法を提供可能になった。
本発明の半導体素子の製造方法の実施形態を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mm(内径)×15.0cm)を、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
本発明における厚さ等は特に述べない限り、平均厚さを意味するものとする。
本発明の半導体素子の製造方法は、キャリア基板上に仮接着剤層を有する部材と、少なくとも一方の面に回路を有するダイとを、上記仮接着剤層とダイとが接するように、温度T1で圧着し、上記ダイの仮接着剤層と接している側とは反対側の表面に、温度T2でモールディング層を形成した後、上記キャリア基板を40℃以下の温度で剥離することを特徴とする。
ここで、温度T1は、測定周波数10Hzで測定した上記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上10000Pa・s以下となる温度であり、温度T2は、測定周波数10Hzで測定した上記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上となる温度である。このような積層体は、チップサイズよりも大きな再配線(RDL:Redistribution layer)領域を設けることができるため、基板レス化、低背化が特徴である、FOWLP(Fan-out Wafer Level Package)に好ましく用いられる。
このような構成とすることにより、剥離性に優れた半導体素子または積層体の製造方法が提供可能になる。すなわち、従来から、仮接着剤層の表面にモールディング層を形成して、半導体素子等の積層体を製造することが行われているが、従来の製造方法では、仮接着剤層とモールディング層の剥離性が劣る場合があることが分かった。この理由について、本発明者が検討したところ、仮接着剤層を設けた後に、モールディング層を形成するが、このモールディング層の形成時の加熱により、仮接着剤層が溶融してしまい、モールディング層を構成する樹脂と仮接着剤層を構成する樹脂が表層で混ざりあってしまうことが問題であることが分かった。そこで、本発明では、モールディング層形成時における仮接着剤層の溶融粘度を4000Pa・s以上とすることにより、この点を回避している。
さらに、仮接着剤層とモールディング層の間には、回路を有するダイを設けるが、仮接着剤層の表面に、ダイを配列し圧着する場合、仮接着剤層にダイを圧着する際の加熱により、仮接着剤層が溶融し、ダイがシフトしまう場合があることが分かった。本発明では、キャリア基板上に仮接着剤層を有する部材と、少なくとも一方の面に回路を有するダイとを、仮接着剤層とダイとが接するように、温度T1で圧着することにより、ダイシフトを効果的に抑制することができる。
ダイシフトを抑制することにより、ダイ同士のピッチにバラつきが生じにくくなり、精度高く半導体素子を製造することができる。
尚、モールディング層形成時にも、大きな圧力がかかるが、ダイおよびダイのない部分の仮接着剤層に均一に圧力がかかるため、モールディング層形成時のダイシフトによる影響は殆どないと推測される。
以下、本発明の半導体素子の製造方法を例にとって説明するが、本発明の積層体の製造方法についても、同様である。
本発明の半導体素子の製造方法について、図1を用いて説明する。まず、図1(A1)に示すように、キャリア基板10上に、仮接着剤層20を設ける。
キャリア基板10は特に限定されないが、例えば、シリコン基板、ガラス基板、金属基板、化合物半導体基板などが挙げられる。なかでも、シリコン基板が好ましい。キャリア基板の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、300μm〜100mmが好ましく、300μm〜10mmがより好ましい。
仮接着剤層20は、後述する仮接着剤組成物を用いて形成できる。仮接着剤組成物の適用方法として、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、フローコート法、ドクターコート法、スクリーン印刷法、ディップコート法などが挙げられる。また、スリット状の開口から仮接着剤組成物を圧力で押し出して、キャリア基板10上に仮接着剤組成物を塗布する方法であってもよい。なお、図1では、キャリア基板10の一方の面の全面に、仮接着剤層20を形成しているが、キャリア基板10の全面に仮接着剤層20を形成しなくてもよい。
また、予め仮接着剤組成物をフィルム化し、そのフィルムをラミネートにてキャリア基板10上に製膜しても良い。
また、仮接着剤層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。例えば、本発明における積層体は、キャリア基材/第1の仮接着剤層/第2の仮接着剤層/ダイモールディング層からなる構成であってもよい。
仮接着剤組成物の適用量は、例えば、乾燥後の仮接着剤層の平均膜厚が0.1〜1000μmとなる適用量が好ましい。下限は、1.0μm以上が好ましく、10.0μm以上がより好ましい。上限は、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
仮接着剤組成物を適用した後に、乾燥することが好ましい。乾燥条件は、例えば、50〜250℃で、10〜1000秒が好ましい。乾燥温度は、90〜220℃がより好ましく、100〜200℃が更に好ましい。乾燥時間は、20〜600秒がより好ましく、30〜300秒が更に好ましい。乾燥は、二段階に分けて段階的に温度を上げて実施してもよい。
上記実施形態において、キャリア基板上に仮接着剤層を有する部材には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で他の層を有していてもよい。他の層としては、離型層、剥離層、分離層と呼ばれる層が例示される。剥離層としては、例えば、特開2014−212292号公報の段落0025〜0055の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、分離層としては、WO2013−065417号パンフレットの段落0069〜0124の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
しかしながら、本発明ではキャリア基板の表面に仮接着剤層を有することが好ましい。
次に、図1(A2)に示すように、仮接着剤層20上に、ダイ30を圧着して配置する。
ダイ30は、少なくとも一方の表面に回路を有するものであり、一方の表面のみに回路を有する方が好ましい。ダイとしては、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム燐(GaP)、窒化ガリウム(GaN)などからなるウェハチップが挙げられる。
本発明において、ダイ30の圧着は、測定周波数10Hzで測定した仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上10000Pa・s以下となる温度T1で圧着することが好ましい。温度T1は、仮接着剤層の溶融粘度が4300〜9800Pa・sとなる温度が好ましく、仮接着剤層の溶融粘度が4500〜9700Pa・sとなる温度がより好ましい。
温度T1の温度は、特に定めるものではないが、100〜300℃(下限は、好ましくは130℃以上、より好ましくは160℃以上、上限は、好ましくは260℃以下、より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは180℃以下)の範囲とすることができる。
圧着は、ダイ30にかかる圧力が0.001〜10MPaとなる条件で行うことが好ましく、0.01〜5MPaがより好ましい。圧着時間は、0.1〜15秒が好ましく、0.5〜10秒がより好ましい。
次いで、図1(A3)に示すように、ダイ30の仮接着剤20と接する側とは反対側の表面に、温度T2でモールディング層を形成する。モールディング層は、図1に示す通り、ダイの上と、仮接着剤層の表面に設けられる。モールディング層は、ダイを封止するように覆っていることが好ましいが、完全に覆っていない場合も、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。また、モールディング層は、完全な層状である必要はなく、例えば、ダイを覆うように、仮接着剤層の表面に設けられている態様も本発明の範囲に含まれる。
モールディング層形成の際の温度T2は、測定周波数10Hzで測定した仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上となる温度で行う。温度T2は、仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上となる温度であれば、溶融粘度の上限は特に定めるものではないが、仮接着剤層の溶融粘度が4300〜15000Pa・sとなる温度が好ましく、仮接着剤層の溶融粘度が4500〜12000Pa・sとなる温度がより好ましい。
温度T2は、特に定めるものではないが、20〜300℃(好ましくは、100〜260℃、より好ましくは130〜260℃、さらに好ましくは160〜240℃)が好ましい。
また、本発明では、温度T1における仮接着剤層の溶融粘度が、温度T2における仮接着剤層の溶融粘度よりも高いことが好ましく、温度T1における仮接着剤層の溶融粘度が温度T2における仮接着剤層の溶融粘度よりも、30Pa・s以上高いことが好ましい。
このような範囲とすることにより、よりダイシフトが起きにくくなり好ましい。さらに好ましくは、温度T1における仮接着剤層の溶融粘度は、温度T2における仮接着剤層の溶融粘度よりも、30〜600Pa・s高いことが好ましい。
ダイは、チップとも呼ばれ、少なくとも一方の面に回路を有する。ダイは、通常は、基板の表面に回路が設けられる。基板は、シリコン基板などが例示される。ダイは、例えば、ダイの基板の表面積が1mm〜500mm程度の四角形である。ここでの四角形は、数学的な意味での四角形の他、概ね四角形の形状をしているものを含む趣旨である。また、四角形は、通常、長方形である。通常は、シリコンウェハ等の半導体ウェハ上に形成された基板をダイシングして分離することによって得られる。
モールディング層40としては、特に限定はない。例えば、樹脂を含むことが好ましく、硬化性樹脂を含むことがより好ましい。また、モールディング層は、無機充填材および硬化剤の少なくとも1種を含むことが好ましく、さらに他の成分を含んでいても良い。
硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂などのトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂などが挙げられ、これらは単独でも混合して使用してもよい。なお、ここでエポキシ樹脂とは、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を意味する。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましい。これにより、電気特性を向上することができる。さらに、多量の無機充填材を添加しても成形可能な流動性を維持することができる。
特に、モールディング層40の主成分の樹脂としてとしてエポキシ樹脂を用い、仮接着剤層20の主成分の樹脂としてスチレン系エラストマーを用いることが好ましい実施形態として例示される。このような組み合わせを採用することにより、積層体の高い剥離性を達成でき好ましい。尚、ここでの主成分の樹脂とは、モールディング層40または仮接着剤層20に含まれる樹脂成分のうち、最も含有量が多い成分のことをいい、通常は、上記樹脂成分の80質量%以上である。
樹脂の含有量は、特に限定されないが、モールディング層全体の3〜30質量%が好ましく、特に5〜20質量%が好ましい。含有量が上記下限値以上であると流動性の低下を抑制し、ダイ30の封止をより良好にできる。また、上記上限値以下とすることにより半田耐熱性の低下を効果的に抑制できる。樹脂は1種のみ用いても良く、2種以上用いても良い。
硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドラジドなどを含むポリアミン化合物などのアミン系硬化剤、ノボラック型フェノール樹脂、フェノールポリマーなどのフェノール系硬化剤(フェノール性水酸基を有する硬化剤)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの環状脂肪酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などの酸無水物系硬化剤、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂が挙げられる。
樹脂として、上述のエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤は、特に限定されないが、フェノール性水酸基を有する硬化剤を用いるのが好ましい。フェノール性水酸基を有する硬化剤は、他の硬化剤と比較して樹脂の反応を制御することが容易となるため、半導体素子を製造する際の良好な流動性を確保することができる。また、フェノール性水酸基を有する硬化剤は、その反応性制御が容易であり、無機充填材の高充填化も可能となる。そのため、半導体素子の優れた信頼性を確保することができる。ここでフェノール性水酸基を有する硬化剤とは、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではない。具体的にはフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などの変性フェノール樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂などのアラルキル型フェノール樹脂、ビスフェノール化合物などが挙げられ、これらは単独でも混合して使用してもよい。
硬化剤の含有量は、特に限定されないが、モールディング層全体の2〜10質量%が好ましく、特に4〜7質量%が好ましい。硬化剤は1種のみ用いても良いし、2種以上用いても良い。
また、樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としてフェノール性水酸基を有する硬化剤が好ましく用いられ、その場合、上記エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール性水酸基を有する硬化剤のフェノール性水酸基との当量比(エポキシ基/フェノール性水酸基)は、特に限定されないが、0.5〜2.0が好ましく、特に0.7〜1.5が好ましい。当量比が上記範囲内であると、特に硬化性および耐湿信頼性に優れる。
モールディング層には、無機充填材を含有することが好ましい。上記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融シリカ(球状溶融シリカ、破砕溶融シリカ)、結晶シリカなどのシリカ粉末などの酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などの窒化物などを挙げることができる。前述の無機充填材は、単独でも混合して使用してもよい。これらの中でも溶融シリカ、結晶シリカなどのシリカ粉末が好ましく、特に球状溶融シリカが好ましい。これにより、耐熱性、耐湿性、強度などを向上させることができる。上記無機充填材の形状は、特に限定されないが、真球状であることが好ましく、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。これにより、モールディング樹脂組成物 の流動性を特に向上することができる。さらに、上記無機充填材は、その表面がカップリング剤により表面処理されていてもよい。
モールディング層に含まれる上記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、上記モールディング樹脂組成物 全体の20〜95質量%が好ましく、特に30〜90質量%が好ましい。含有量が上記下限値以上であると耐湿性の低下を抑制し、上記上限値以下とすると良好な流動性が維持できる。無機充填材は1種のみ用いても良いし、2種以上用いても良い。
また、モールディング層には、本発明の目的を損なわない範囲で、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7などのジアザビシクロアルケンおよびその誘導体、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどのアミン系化合物、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレートなどの硬化促進剤、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシランなどのシランカップリング剤や、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤などのカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラなどの着色剤、カルナバワックスなどの天然ワックス、ポリエチレンワックスなどの合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸およびその金属塩類、パラフィンなどの離型剤、シリコーンオイル、シリコーンゴムなどの低応力化成分、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼンなどの難燃剤、酸化ビスマス水和物などの無機イオン交換体などの添加剤を添加することができる。これらの成分は、それぞれ、1種のみ用いても良いし、2種以上用いても良い。
モールディング層の市販品としては、住友ベークライト製のスミコンEME−G750シリーズ、スミコンEME−G760シリーズ、スミコンEME−G770シリーズ、スミコンEME−G790シリーズ、日立化成製のCELシリーズ、ナガセケムテックス製のR4000シリーズ、ヘンケル製のGRシリーズ、京セラケミカル製のKEシリーズなどが挙げられる。
モールディング層40の厚さは、最も薄い部分で100μm以上であることが好ましく、1000μm以上であることがより好ましい。また、厚さの上限値としては、最も薄い部分で、3000μm以下であることが好ましく、5000μm以下であることがより好ましい。
モールディング層40の形成方法としては、フィルム状のモールディング樹脂組成物をラミネートする方法、ペースト状のモールディング樹脂組成物をスクリーン印刷やディスペンサーにより形成する方法、液状のモールディング樹脂組成物をベークする方法、固体のコンプレッションモールディング樹脂組成物 を用いて加熱する方法が挙げられる。
また、本発明では、モールディング層40の形成に際し、溶融樹脂を用いる態様も採用できる。この場合、ダイ30を覆う際の、モールディング樹脂組成物の粘度は、3.0〜20.0Pa・s程度であることが好ましい。
溶融樹脂を用いる場合、モールディング樹脂組成物は、例えばミキサーなどを用いて原料を充分に均一に混合した後、更に熱ロール、ニーダー、押出機などの混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
モールディング樹脂組成物で封止する際の粘度は、特に限定されないが、例えば、3.0Pa・s以上、より好ましくは、5.0Pa・s以上である。一方、かかる粘度は、好ましくは30.0Pa・s以下、より好ましくは20.0Pa・s以下である。これにより、ボイドの発生を抑制できる。粘度は、例えば高化式フローテスターなどで求めることができる。モールディング樹脂組成物で封止した後に、モールディング樹脂組成物を硬化する。モールディング樹脂組成物を硬化する方法としては、加熱する方法、光照射する方法などが挙げられる。
モールディング層40は、固体のコンプレッションモールディング樹脂組成物で成型して形成してもよい。すなわち、固体のコンプレッションモールディング樹脂組成物を、加熱加圧により金型内で成型して、モールディング層40を形成することもできる。ここで、固体のコンプレッションモールディング樹脂組成物 としては、上述の溶融樹脂を溶融混練し、冷却後、ペレット化してなる樹脂ペレットが例示される。
尚、モールディング層は、必ずしも、「型」を用いる必要はなく、フィルム状のモールディング樹脂組成物をラミネートする方法、ペースト状のモールディング樹脂組成物をスクリーン印刷やディスペンサーにより形成する方法、液状のモールディング樹脂組成物を塗布して硬化させる場合等も本発明の範囲に含まれる。
本発明の半導体素子の製造方法においては、仮接着剤層を反応によって硬化せずに、いわゆる、非反応系の手段によって、仮接着剤層を形成できる。
本発明の半導体素子の製造方法では、モールディング層形成後、100℃以上の熱処理を行うことができる。半導体素子の製造プロセスでは100℃以上の熱処理することがあるが、本発明では、このよう高温処理に耐えることができる点で価値が高い。加熱処理は、キャリア基板の剥離前に行ってもよいし、キャリア基板や仮接着剤層の剥離・除去後に行ってもよい。また、加熱処理温度は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、140℃以上が更に好ましい。上限は、260℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。モールディング層40に対してさらに加熱処理を行うことで、例えば、モールディング樹脂組成物として熱硬化性樹脂(好ましくはエポキシ樹脂)を使用した場合において、熱硬化性樹脂の硬化を十分に進行できる。加熱処理時間としては、10分〜10時間が例示される。
次に、図1(A4)に示すように、積層体からキャリア基板10を剥離(ここでいう剥離は、脱離、分離を含む趣旨である)する。キャリア基板10の剥離の方法は特に限定されるものではないが、好ましくは、積層体から、40℃以下の温度で機械的処理により、キャリア基板10を剥離する。このとき、キャリア基板のみを剥離してもよいし、キャリア基板と共に、1層または2層以上の仮接着剤層20を剥離してもよい。
剥離位置は、2層以上の仮接着剤層に配合する離型性の高い成分の配合量を調節することによっても、調整できる。例えば、キャリア基板とキャリア基板に接する仮接着剤層の間で剥離したい場合、上記キャリア基板に接する仮接着剤層に離型性の高い成分を多めに配合するとよい。特に、離型性の高い成分が、偏在性を有すると、効果的である。積層体のいずれの位置で剥離するかは、用途等に応じて適宜定めることができる。好ましくは、キャリア基板と仮接着剤層の界面での剥離である。
剥離は、例えば、何ら処理することなくキャリア基板の端部からモールディング層に対して垂直方向に引き上げて剥離することが好ましい。このとき、キャリア基板と仮接着剤層の隙間に刃物などの鋭利な治具で切り込みを入れてから剥離することも好ましい。上記分離の際の速度は、30〜120mm/分であることが好ましく、40〜100mm/分であることがより好ましい。
剥離の際の温度は、好ましくは40℃以下、より好ましくは10〜40℃、さらに好ましくは20〜30℃である。
上述の他、キャリア基板の剥離は、剥離液を用いて、仮接着剤層を溶解して、積層体からキャリア基板を剥離してもよい。この場合の剥離液としては、溶剤(有機溶剤)を使用することができる。
キャリア基板を剥離した積層体に、1層または2層以上の仮接着剤層が残っている場合、通常、仮接着剤層を除去する。仮接着剤層の除去は好ましくは40℃以下で行う。
仮接着剤層の除去手段としては、特に定めるものではないが、キャリア基板を剥離した積層体において仮接着剤層を40℃以下の温度で機械的に除去することが挙げられる。ここでの機械的にとは、化学的処理等を行わずに、剥離することをいい、手で剥離することも含む趣旨である。仮接着剤層の除去の際の温度は、好ましくは40℃以下、より好ましくは10〜40℃、さらに好ましくは20〜30℃である。剥離性を高めるために、放射線を照射したり、加熱して一部の接着剤層を変質させてもよい。
また、仮接着剤層は、溶剤(有機溶剤)を使用して剥離してもよい。
キャリア基板10に仮接着剤層20が付着している場合は、キャリア基板10から仮接着剤層20を除去することにより、キャリア基板10を再生することができる。仮接着剤層20を除去する方法としては、フィルム状のままと、ブラシ、超音波、氷粒子、エアロゾルの吹付けにより物理的に除去する方法、水溶液または有機溶剤に溶解させて溶解除去する方法、活性光線、放射線、熱の照射により分解、気化させる方法などの化学的に除去する方法が挙げられるが、キャリア基板に応じて、従来既知の洗浄方法を利用することができる。
例えば、キャリア基板としてデバイス基板を使用した場合、従来既知のシリコンウェハの洗浄方法を使用することができ、例えば化学的に除去する場合に使用できる水溶液または有機溶剤としては、強酸、強塩基、強酸化剤、またはそれらの混合物が上げられ、具体的には、硫酸、塩酸、フッ酸、硝酸、有機酸などの酸類、テトラメチルアンモニウム、アンモニア、有機塩基などの塩基類、過酸化水素などの酸化剤、またはアンモニアと過酸化水素の混合物、塩酸と過酸化水素水の混合物、硫酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合物などが挙げられる。
再生したキャリア基板を使った場合の接着性の観点から、キャリア基板洗浄液を用いることが好ましい。
キャリア基板洗浄液は、pKaが0未満の酸(強酸)と過酸化水素を含んでいることが好ましい。pKaが0未満の酸としては、ヨウ化水素、過塩素酸、臭化水素、塩化水素、硝酸、硫酸などの無機酸、又はアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸などの有機酸から選択される。キャリア基板上の仮接着剤層の洗浄性の観点から無機酸であることが好ましく、硫酸が最も好ましい。
過酸化水素としては、30質量%過酸化水素水が好ましく使用でき、上記強酸と30質量%過酸化水素水との混合比は、質量比で0.1:1〜100:1が好ましく、1:1〜10:1がより好ましく、3:1〜5:1が最も好ましい。
次に、本発明の半導体素子の製造方法において、仮接着剤の形成に用いる仮接着剤組成物について説明する。
<仮接着剤組成物>
本発明で用いる仮接着剤層は、通常、仮接着剤組成物を用いて形成することができる。
仮接着剤組成物は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂と溶剤を含むことがより好ましい。仮接着剤組成物は、さらに、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物を含むことが好ましい。
<<樹脂>>
本発明で用いる樹脂は、エラストマーが好ましい。エラストマーを使用することで、キャリア基板の微細な凹凸にも追従し適度なアンカー効果により、接着性に優れた仮接着剤を形成できる。また、積層体からキャリア基板を剥離する際に、積層体に応力をかけることなく、キャリア基板を積層体から剥離でき、積層体の破損や剥落を防止できる。
なお、本明細書において、エラストマーとは、弾性変形を示す高分子化合物を表す。すなわち外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有する高分子化合物と定義する。
仮接着剤に含まれる樹脂としては、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、が例示され、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体、アクリル樹脂および熱可塑性ポリイミドの少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、シクロオレフィン系重合体、各種ブロック共重合体およびアクリル樹脂の少なくとも1種を含むことがより好ましく、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーおよびシクロオレフィン系重合体の少なくとも1種を含むことがさらに好ましく、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーを含むことが特に好ましい。
<<<スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー>>>
仮接着剤組成物は、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー含有することが好ましい。スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーは、特に定めるものではなく、公知のスチレン系エラストマーを用いることができる。
本発明で用いるスチレン構造を含む熱可塑性エラストマーの好ましい実施形態として、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に50質量%以上95質量%以下の割合で含有するエラストマーXであり、さらに、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に10質量%以上50質量%未満の割合で含有するエラストマーYも含むことが例示される。
エラストマーXとエラストマーYとを併用することで、優れた剥離性を有しつつ、加工基板の研磨面の平坦性(以下、平坦研磨性ともいう)が良好で、研磨後の加工基板の反りの発生を効果的に抑制できる。このような効果が得られるメカニズムは、以下によるものと推測できる。
すなわち、上記エラストマーXは、比較的硬い材料であるため、エラストマーXを含むことで、剥離性に優れた仮接着剤層を製造できる。また、エラストマーYは、比較的柔らかい材料であるため、弾性を有する仮接着剤層を形成しやすい。また、研磨後の積層体を、加熱処理し、その後冷却しても、仮接着剤によって、冷却時に発生する内部応力を緩和でき、反りの発生を効果的に抑制できる。例えば、モールディング層を形成した後、積層体が室温まで冷却される過程において、積層体の反りは応力緩和により低減され、本発明により平坦な積層体を得ることが出来る。
また、エラストマーXにエラストマーYを配合しても、エラストマーXが相分離する領域が存在すること等により、エラストマーXによる優れた剥離性は十分に達成される。
スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)およびこれらの水添物、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、2,000〜200,000が好ましく、10,000〜200,000がより好ましく、50,000〜100,000がさらに好ましい。この範囲にあることで、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーの、溶剤への溶解性が優れることとなり、塗布性が向上する。また、加工基板をキャリア基板から剥離後、残存する仮接着剤を除去する際にも、溶剤への溶解性が優れるため、加工基板やキャリア基板に残渣が残らない利点がある。
本発明において、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーとしては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、ブロック共重合体が好ましく、片末端または両末端がスチレンのブロック共重合体であることがより好ましく、両末端がスチレンのブロック共重合体であることが特に好ましい。スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーの両端を、スチレンのブロック共重合体(スチレン由来の繰り返し単位)とすると、熱安定性がより向上する傾向にある。これは、耐熱性の高いスチレン由来の繰り返し単位が末端に存在することとなるためである。特に、スチレン由来の繰り返し単位のブロック部位が反応性のポリスチレン系ハードブロックであることにより、耐熱性、耐薬品性により優れる傾向にあり好ましい。また、これらをブロック共重合体とすると、200℃以上においてハードブロックとソフトブロックでの相分離を行うと考えられる。その相分離の形状はデバイスウエハの加工基板表面の凹凸の発生の抑制に寄与すると考えられる。加えて、このような樹脂は、溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
本発明において、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーは、水添物であることが好ましい。スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーが水添物であると、熱安定性や保存安定性が向上する。さらには、剥離性および剥離後の仮接着剤の洗浄除去性が向上する。なお、水添物とは、エラストマーが水添された構造の重合体を意味する。
スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーは、25℃から、20℃/分で昇温した5%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましく、400℃以上であることが特に好ましい。また、上限値は特に限定はないが、例えば1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着剤を形成しやすい。更に耐熱性に優れた仮接着剤の提供によりモールディング層の形成後の積層体への耐熱性付与が提供出来、つまり積層体自身を加熱処理出来、その後に剥離することが出来る。
スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(20℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、かつ外力を除いたときに、短時間で130%以下に戻る性質を有することが好ましい。
スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーの不飽和二重結合量としては、加熱工程後の剥離性の観点から、15mmol/g未満であることが好ましく、7mmol/g以下であることがより好ましく、5mmol/g未満であることがさらに好ましく、0.5mmol/g未満であることが一層好ましい。下限値については、特に定めるものではないが、例えば、0.001mmol/g以上とすることができる。
なお、ここでいう不飽和二重結合量は、スチレン由来のベンゼン環内の不飽和二重結合を含まない。不飽和二重結合量は、核磁気共鳴(NMR)測定により算出することができる。
なお、本明細書において「スチレン由来の繰り返し単位」とは、スチレンまたはスチレン誘導体を重合した際に重合体に含まれるスチレン由来の構成単位であり、置換基を有していてもよい。スチレン誘導体としては、例えば、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等が挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、アセトキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、タフプレンA、タフプレン125、タフプレン126S、ソルプレンT、アサプレンT−411、アサプレンT−432、アサプレンT−437、アサプレンT−438、アサプレンT−439、タフテックH1272、タフテックP1500、タフテックH1052、タフテックH1062、タフテックM1943、タフテックM1911、タフテックH1041、タフテックMP10、タフテックM1913、タフテックH1051、タフテックH1053、タフテックP2000、タフテックH1043(以上、商品名、旭化成(株)製)、エラストマーAR−850C、エラストマーAR−815C、エラストマーAR−840C、エラストマーAR−830C、エラストマーAR−860C、エラストマーAR−875C、エラストマーAR−885C、エラストマーAR−SC−15、エラストマーAR−SC−0、エラストマーAR−SC−5、エラストマーAR−710、エラストマーAR−SC−65、エラストマーAR−SC−30、エラストマーAR−SC−75、エラストマーAR−SC−45、エラストマーAR−720、エラストマーAR−741、エラストマーAR−731、エラストマーAR−750、エラストマーAR−760、エラストマーAR−770、エラストマーAR−781、エラストマーAR−791、エラストマーAR−FL−75N、エラストマーAR−FL−85N、エラストマーAR−FL−60N、エラストマーAR−1050、エラストマーAR−1060、エラストマーAR−1040(以上、商品名、アロン化成製)、クレイトンD1111、クレイトンD1113、クレイトンD1114、クレイトンD1117、クレイトンD1119、クレイトンD1124、クレイトンD1126、クレイトンD1161、クレイトンD1162、クレイトンD1163、クレイトンD1164、クレイトンD1165、クレイトンD1183、クレイトンD1193、クレイトンDX406、クレイトンD4141、クレイトンD4150、クレイトンD4153、クレイトンD4158、クレイトンD4270、クレイトンD4271、クレイトンD4433、クレイトンD1170、クレイトンD1171、クレイトンD1173、カリフレックスIR0307、カリフレックスIR0310、カリフレックスIR0401、クレイトンD0242、クレイトンD1101、クレイトンD1102、クレイトンD1116、クレイトンD1118、クレイトンD1133、クレイトンD1152、
クレイトンD1153、クレイトンD1155、クレイトンD1184、クレイトンD1186、クレイトンD1189、クレイトンD1191、クレイトンD1192、クレイトンDX405、クレイトンDX408、クレイトンDX410、クレイトンDX414、クレイトンDX415、クレイトンA1535、クレイトンA1536、クレイトンFG1901、クレイトンFG1924、クレイトンG1640、クレイトンG1641、クレイトンG1642、クレイトンG1643、クレイトンG1645、クレイトンG1633、クレイトンG1650、クレイトンG1651、クレイトンG1652、クレイトンG1654、クレイトンG1657、クレイトンG1660、クレイトンG1726、クレイトンG1701、クレイトンG1702、クレイトンG1730、クレイトンG1750、クレイトンG1765、クレイトンG4609、クレイトンG4610(以上、商品名、Kraton社製)、TR2000、TR2001、TR2003、TR2250、TR2500、TR2601、TR2630、TR2787、TR2827、TR1086、TR1600、SIS5002、SIS5200、SIS5250、SIS5405、SIS5505、ダイナロン6100P、ダイナロン4600P、ダイナロン6200P、ダイナロン4630P、ダイナロン8601P、ダイナロン8630P、ダイナロン8600P、ダイナロン8903P、ダイナロン6201B、ダイナロン1321P、ダイナロン1320P、ダイナロン2324P、ダイナロン9901P(以上、商品名、JSR(株)製)、デンカSTRシリーズ(以上、商品名、電気化学工業(株)製)、クインタック3520、クインタック3433N、クインタック3421、クインタック3620、クインタック3450、クインタック3460(日本ゼオン製)、TPE−SBシリーズ(以上、商品名、住友化学(株)製)、ラバロンシリーズ(以上、商品名、三菱化学(株)製)、セプトン1001、セプトン8004、セプトン4033、セプトン2104、セプトン8007、セプトン2007、セプトン2004、セプトン2063、セプトンHG252、セプトン8076、セプトン2002、セプトン1020、セプトン8104、セプトン2005、セプトン2006、セプトン4055、セプトン4044、セプトン4077、セプトン4099、セプトン8006、セプトンV9461、セプトンV9475、セプトンV9827、ハイブラー7311、ハイブラー7125、ハイブラー5127、ハイブラー5125(以上、商品名、クラレ製)、スミフレックス(以上、商品名、住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、商品名、理研ビニル工業製)などが挙げられる。
次に、「エラストマーX」に特有の好ましい範囲について述べる。
エラストマーXは、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に50質量%以上95質量%以下の割合で含有するエラストマーであり、スチレン由来の繰り返し単位の含有量は、50質量%を超えて95質量%以下が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、50〜80質量%がさらに好ましく、55〜75質量%が特に好ましく、56〜70質量%が一層好ましい。
エラストマーXの硬度は、83以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上がさらに好ましい。上限値は、特に定めるものではないが、例えば、99以下である。なお、硬度は、JIS(日本工業規格) K6253の方法に従い、タイプAデュロメーターで測定した値である。
次に、「エラストマーY」に特有の好ましい範囲について述べる。
エラストマーYは、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に10質量%以上50質量%未満の割合で含有するエラストマーであり、スチレン由来の繰り返し単位の含有量は、10〜45質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、12〜35質量%がさらに好ましく、13〜33質量%が特に好ましい。
エラストマーYの硬度は、82以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、78以下であることがさらに好ましい。下限値は、特に定めるものではないが、1以上である。
また、エラストマーXの硬度と、エラストマーYの硬度の差は、5〜40であることが好ましく、10〜35であることがより好ましく、15〜33であることが好ましく、17〜29であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
本発明では、エラストマーXおよびエラストマーY以外の他のエラストマーを配合してもよい。他のエラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマーなどが使用できる。
本発明で用いる仮接着剤組成物における、エラストマーX、エラストマーYおよび他のエラストマーの合計量は、溶剤を除いた仮接着剤組成物の質量に対し、50.00〜99.99質量%が好ましく、70.00〜99.99質量%がより好ましく、88.00〜99.99質量%が特に好ましい。エラストマーの含有量が上記範囲であれば、接着性および剥離性により優れる。
また、本発明で用いる仮接着剤組成物における、エラストマーX、エラストマーYおよび他のエラストマーは、それぞれ、複数種の組合せであってもよい。
本発明で用いる仮接着剤組成物に含まれるエラストマーの含有量のうち、エラストマーXとエラストマーYの合計量が全体の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、98質量%以上を占めることが特に好ましい。
エラストマーYを配合する場合、上記エラストマーXと上記エラストマーYとの質量比は、エラストマーX:エラストマーY=5:95〜95:5が好ましく、20:80〜90:10がより好ましく、40:60〜85:15が特に好ましい。上記範囲であれば、反り抑制と剥離性がより効果的に得られる。
<<<熱可塑性シロキサン重合体>>>
仮接着剤組成物は、樹脂成分として、熱可塑性シロキサン重合体を用いることができる。
熱可塑性シロキサン重合体は、R212223SiO1/2単位(R21、R22、R23はそれぞれ、非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基又は水酸基である。)及びSiO4/2単位を含有し、上記R212223SiO1/2単位/SiO4/2単位のモル比が0.6〜1.7であるオルガノポリシロキサンと、下記一般式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンとが、部分的に脱水縮合したものであって、上記脱水縮合させるオルガノポリシロキサンと上記オルガノポリシロキサンとの比率が、99:1〜50:50であり、重量平均分子量が200,000〜1,500,000であることが好ましい。
Figure 2017057355
(式中、R11及びR12はそれぞれ非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基を示し、nは5000〜10000である。)
このような熱可塑性シロキサンであれば、接着性、耐熱性に優れるため好ましい。
上記一般式(1)において、有機置換基R11、R12、は、非置換又は置換の炭素原子数1〜10の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基などの炭化水素基、これら水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基、好ましくはメチル基及びフェニル基である。
熱可塑性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、200,000以上、より好ましくは350,000以上、かつ、1,500,000以下、より好ましくは1,000,000以下である。更には分子量が740以下の低分子量成分含有量が0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であることが好ましい。
市販品としては、SILRES 604(旭化成ワッカーシリコーン)が例示される。
<<<シクロオレフィン系重合体>>>
シクロオレフィン系重合体としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれら重合体の水素化物などが挙げられる。シクロオレフィン系重合体の好ましい例としては、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体、および、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上をさらに含んでなる付加(共)重合体が挙げられる。また、シクロオレフィン系重合体の他の好ましい例としては、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体が挙げられる。
Figure 2017057355
式中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X1〜X3、および、Y1〜Y3は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR1314、−(CH2)nNR1516、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、または、X1とY1、X2とY2、若しくはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR17を表す。R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ、水素原子、または、炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基)、Zは、炭化水素基、または、ハロゲンで置換された炭化水素基を表し、Wは、SiR18pD3−p(R18は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子を表し、−OCOR18または−OR18を表し、pは0〜3の整数を示す)を表す。nは0〜10の整数を表す。
ノルボルネン系重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、US2004/229157A1号公報あるいはWO2004/070463A1号公報等に開示されている。ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合することによって得ることができる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエンとを付加重合することもできる。このノルボルネン系重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同5013、同6013、同6015などのペレットが発売されている。
さらに、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
ノルボルネン系重合体の水素化物は、特開平1−240517号公報、特開平7−196736号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭62−19801号公報、特開2003−1159767号公報あるいは特開2004−309979号公報等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合した後、水素添加することにより製造できる。
上記一般式(III)中、R5およびR6は、水素原子またはメチル基であることが好ましく、X3およびY3は水素原子であることが好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系重合体は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250、同280、同480Rという商品名で市販されており、これらを使用することができる。
シクロオレフィン系重合体のゲルパーエミッションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることが好ましく、100,000〜300,000であることがより好ましい。
また、本発明で用いられるシクロオレフィン系重合体として、特開2013−241568号公報の段落0039〜0052に記載のシクロオレフィン系重合体も例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<<<アクリル樹脂>>>
本発明におけるアクリル樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーを重合して得られる樹脂である。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニルメタ(アクリレート)、ベンジルメタ(アクリレート)、及び2−メチルブチル(メタ)アクリレートが例示される。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他のモノマーを共重合してもよい。他のモノマーを共重合する場合、全モノマーの10モル%以下が好ましい。
本発明では、また、オルガノポリシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂も好ましい。オルガノポリシロキサンを側鎖に有する樹脂としては、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
式(3)
Figure 2017057355
上記式(3)中、Rは複数ある場合は同じでも異なっていてもよく、CH、C、CH(CHまたはCH(CHを示す。Rは複数ある場合は同じでも異なっていてもよく、H、CH、C、CH(CHまたはCH(CHを示す。Rは複数ある場合は同じでも異なっていてもよく、HまたはCHを示す。Rは複数ある場合は同じでも異なっていてもよく、H、CH、C、CH(CH、CH(CH、またはエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基、ビニル基、シラノール基およびイソシアネート基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基で置換された炭素数1〜6のアルキル基を示す。
aは50〜150であり、bは50〜150であり、cは80〜600である。また、mは1〜10である。
オルガノポリシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂の具体例としては、信越化学工業(株)製、シリコーングラフトアクリル樹脂、商品名:X−24−798A、X−22−8004(R:COH、官能基当量:3250(g/mol))、X−22−8009(R:Si(OCH含有アルキル基、官能基当量:6200(g/mol))、X−22−8053(R:H、官能基当量:900(g/mol))、X−22−8084、X−22−8084EM、X−22−8195(R:H、官能基当量:2700(g/mol))、東亞合成(株)製サイマックシリーズ(US−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450等)、レゼタGS−1000シリーズ(GS−1015、GS−1302等)等が挙げられる。
また、上記の他、三菱レイヨン(株)製、アクリペット MF 001などが例示される。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、固形分の50〜100質量%が樹脂であることが好ましく、70〜100質量%が樹脂であることがより好ましい。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<溶剤>>
本発明で用いる仮接着剤組成物は、溶剤を含有することが好ましい。本発明で用いる仮接着剤組成物を塗布することにより仮接着剤層を形成する場合においては、溶剤を配合することが好ましい。溶剤は、公知のものを制限なく使用でき、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、アルキルオキシ酢酸アルキル(例:アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−アルキルオキシプロピオン酸メチル、3−アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−アルキルオキシプロピオン酸メチル、2−アルキルオキシプロピオン酸エチル、2−アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート等のエステル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等のケトン類;
トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、アミルベンゼン、イソアミルベンゼン、(2,2−ジメチルプロピル)ベンゼン、1−フェニルへキサン、1−フェニルヘプタン、1−フェニルオクタン、1−フェニルノナン、1−フェニルデカン、シクロプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、2−エチルトルエン、1,2−ジエチルベンゼン、o−シメン、インダン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、3−エチルトルエン、m−シメン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、4−エチルトルエン、1,4−ジエチルベンゼン、p−シメン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、4−t−ブチルトルエン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、4−t−ブチル−o−キシレン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、5−t−ブチル−m−キシレン、3,5−ジ−t−ブチルトルエン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;
リモネン、p−メンタン、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン等の炭化水素類などが好適に挙げられる。
これらの中でも、メシチレン、t−ブチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、p−メンタン、γ−ブチロラクトン、アニソール、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが好ましく、メシチレンがより好ましい。
これらの溶剤は、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。この場合、特に好ましくは、メシチレン、t−ブチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、p−メンタン、γ−ブチロラクトン、アニソール、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
仮接着剤組成物に含まれる溶剤の1013.25hPaにおける沸点は、110〜250℃が好ましく、140〜190℃がより好ましい。このような溶剤を用いることにより、より面内均一性に優れた仮接着剤が得られる。溶剤を2種以上用いる場合は、最も沸点の高い溶剤の沸点を持って上記沸点とする。
仮接着剤組成物が溶剤を有する場合、仮接着剤組成物の溶剤の含有量は、塗布性の観点から、仮接着剤組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量が好ましく、10〜50質量%がさらに好ましく、15〜40質量%が特に好ましい。
溶剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。溶剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
仮接着剤における溶剤含有率は、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
<<フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物>>
本発明で用いる仮接着剤組成物は、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物を含むことが好ましい。このような成分を配合することにより、キャリア基板と加工基板の剥離がより容易になる。さらに、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物は、シリコン原子やフッ素原子が、仮接着剤層の表層付近に偏在しやすいためこれらの化合物の量が仮接着剤組成物の樹脂等に対し比較的少なくても、加工基板やキャリア基板に対する剥離性に優れた仮接着剤を形成できる。
<<<フッ素原子を有する化合物>>>
本発明で用いる仮接着剤組成物は、フッ素原子を有する化合物を含むことが好ましい。
フッ素原子を有する化合物の実施形態としては、液体状の化合物が例示される。液体状とは、25℃で流動性を有する化合物であって、例えば、25℃での粘度が、1〜100,000mPa・sである化合物を意味する。
フッ素原子を有する化合物の25℃での粘度は、例えば、10〜20,000mPa・sがより好ましく、100〜15,000mPa・sが一層好ましい。フッ素原子を有する化合物の粘度が上記範囲であれば、仮接着剤の表面にフッ素原子を有する化合物が偏在しやすい。
本発明において、フッ素原子を有する化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態の化合物であっても好ましく用いることができる。また、オリゴマーとポリマーとの混合物であってもよい。また、オリゴマーおよび/またはポリマーと、モノマーとの混合物であってもよい。
フッ素原子を有する化合物は、耐熱性等の観点から、オリゴマー、ポリマーおよびこれらの混合物が好ましい。
オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ラジカル重合体、カチオン重合体、アニオン重合体などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる。なかでも、(メタ)アクリル重合体が特に好ましい。(メタ)アクリル重合体のフッ素原子を有する化合物を用いることで、仮接着剤の表面にフッ素原子を有する化合物が偏在化しやすく剥離性に優れるという効果が期待できる。
なお、本発明において、オリゴマーとは、重量平均分子量が500以上2000未満の化合物と定義する。また、ポリマーとは、重量平均分子量が2000以上の化合物と定義する。
フッ素原子を有する化合物の重量平均分子量は、500〜100000が好ましく、1000〜50000がより好ましく、2000〜20000が更に好ましい。
本発明において、フッ素原子を有する化合物は、仮接着に供する基板の処理時に変性しない化合物が好ましい。例えば、250℃以上での加熱や、種々の薬液で基板を処理した後でも液体状として存在しえる化合物が好ましい。具体的な一例としては、25℃の状態から10℃/分の昇温条件で250℃まで加熱した後、25℃に冷却した後の25℃での粘度が1〜100,000mPa・sであることが好ましく、10〜20,000mPa・sがより好ましく、100〜15,000mPa・sが一層好ましい。
このような特性を有するフッ素原子を有する化合物としては、反応性基を有さない、非熱硬化性化合物であることが好ましい。ここでいう反応性基とは、250℃の加熱で反応する基全般を指し、重合性基、加水分解性基などが挙げられる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル基、エポキシ基、イソシアナト基などが挙げられる。
非熱硬化性化合物としては、1種または2種以上の含フッ素単官能モノマーからなる重合体を好ましく使用できる。より具体的には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレンオキシド、ヘキサフルオロプロペンオキシド、パーフルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の含フッ素単官能モノマーの単独重合体又はこれらモノマーの共重合体、含フッ素単官能モノマーの1種又は2種以上とエチレンとの共重合体、含フッ素単官能モノマーの1種又は2種以上とクロロトリフルオロエチレンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種の含フッ素樹脂等を挙げることができる。
非熱硬化性化合物としては、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルから合成できるパーフルオロアルキル基含有の(メタ)アクリル共重合体が好ましい。
パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル共重合体は、剥離性の観点から任意にパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに加えて、共重合成分を選択することができる。共重合成分を形成し得るラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、N,N−2置換アクリルアミド類、N,N−2置換メタクリルアミド類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
より具体的には、例えば、アルキルアクリレート(アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましい)等のアクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど)、アリールアクリレート(例えば、フェニルアクリレートなど)、アルキルメタクリレート(アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましい)等のメタクリル酸エステル類(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど)、アリールメタクリレート(例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなど)、スチレン、アルキルスチレン等のスチレン(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲン化スチレン(例えば、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロム−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンなど)、アクリロニトリル、カルボン酸を含有するラジカル重合性化合物(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン、及びこれらの酸基の金属塩、アンモニウム塩化合物等)が挙げられる。剥離性の観点から特に、炭素数1〜24の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸のメチル、ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、グリシジルエステル等が挙げられ、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル等の高級アルコールの(メタ)アクリレート、特にアクリレートが好ましい。
本発明において、フッ素原子を有する化合物は、25℃から、20℃/分で昇温した10%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、280℃以上がより好ましい。また、上限値は、特に限定はないが、例えば、1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着用積層体を形成しやすい。なお、10%熱質量減少温度とは、熱重量測定装置により、窒素気流下において、上記昇温条件で測定し、測定前の重量の10%の減少が見られる温度である。
本発明において、フッ素原子を有する化合物は、親油基を含有する化合物であることが好ましい。親油基としては、アルキル基、芳香族基などが挙げられる。
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基が挙げられる。
直鎖アルキル基の炭素数は、2〜30が好ましく、4〜30がより好ましく、6〜30がさらに好ましく、12〜20が特に好ましい。
分岐アルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、4〜30がより好ましく、6〜30がさらに好ましく、12〜20が特に好ましい。
環状アルキル基は、単環であってもよく、多環であってもよい。環状アルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、4〜30がより好ましく、6〜30がさらに好ましく、12〜20が最も好ましい。
直鎖または分岐アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。
環状アルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基、ピネニル基が挙げられる。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、芳香族基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルコキシ基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましい。
芳香族基は、単環であってもよく、多環であってもよい。芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が最も好ましい。芳香族基は、環を構成する元素に、ヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子など)を含まないことが好ましい。芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフチレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、および、フェナジン環が挙げられる。
芳香族基は、上述した置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有する化合物は、親油基を1種のみ含む化合物であってもよく、2種以上を含んでいてもよい。また、親油基は、フッ素原子を含んでいてもよい。すなわち、フッ素原子を有する化合物は、親油基のみがフッ素原子を含む化合物であってもよい。また、親油基の他に、フッ素元素を含む基(含フッ素基ともいう)を更に有する化合物であってもよい。好ましくは、親油基と含フッ素基とを含む化合物である。
フッ素原子を有する化合物が親油基と含フッ素基を有する化合物である場合、親油基はフッ素原子を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、親油基はフッ素原子を含まないことが好ましい。
フッ素原子を有する化合物は、一分子中に親油基を1個以上有し、2〜100個有することが好ましく、6〜80個有することが特に好ましい。
含フッ素基としては、既知のフッ素基を使用することができる。例えば、含フッ素アルキル基、含フッ素アルキレン基等が挙げられる。なお、含フッ素基のうち、親油基として機能するものは、親油基に含まれることとする。
含フッ素アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜15がより好ましい。含フッ素アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、エーテル結合を有していてもよい。また、含フッ素アルキル基は、水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基であってもよい。
含フッ素アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜15がより好ましい。含フッ素アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、エーテル結合を有していてもよい。また、含フッ素アルキレン基は、水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキレン基であってもよい。
フッ素原子を有する化合物は、フッ素原子の含有率が1〜90質量%であることが好ましく、2〜80質量%がより好ましく、5〜70質量%が更に好ましい。フッ素含有率が上記範囲であれば、剥離性に優れる。
フッ素原子の含有率は、「{(1分子中のフッ素原子数×フッ素原子の質量)/1分子中の全原子の質量}×100」で定義される。
フッ素原子を有する化合物は、市販品を用いることもできる。非熱硬化性化合物として、市販されているものとしては、テフロン(登録商標)(デュポン社)、テフゼル(デュポン社)、フルオン(旭硝子社)、ヘイラー(SolvaySolexis社)、ハイラー(SolvaySolexis社)、ルミフロン(旭硝子社)、アフラス(旭硝子社)、セフラルソフト(セントラル硝子社)、セフラルコート(セントラル硝子社)等のフッ素樹脂、ヴァイトン(デュポン社)、カルレッツ(デュポン社)、SIFEL(信越化学工業社)等の商標名のフッ素ゴム、クライトックス(デュポン社)、フォンブリン(ダイトクテック社)、デムナム(ダイキン工業社)、サーフロン(例えば、サーフロンS243等、AGCセイミケミカル製社)等のパーフルオロポリエーテルオイルをはじめとする各種のフッ素オイルや、ダイフリーFB962等のダイフリーFBシリーズ(ダイキン工業社)、メガファックシリーズ(DIC社)等の商標名のフッ素含有離型剤などが挙げられる。
また、親油基を有するフッ素原子を有する化合物として市販されているものとしては、例えば、DIC社製メガファックシリーズのF−251、F−281、F−477、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−560、F−561、F−563、F−565、F−567、F−568、F−571、R−40、R−41、R−43、R−94や、ネオス社製フタージェントシリーズの710F、710FM、710FS、710FL、730FL、730LMが挙げられる。
本発明では、フッ素原子を有する化合物として、フッ素含有シランカップリング剤を用いることもできる。フッ素含有シランカップリング剤は、シランカップリング剤が好ましく、特にフッ素含有アルコキシシランが好ましい。市販品としては、ダイキン工業株式会社製のオプツールDAC−HP、オプツールDSXが挙げられる。
<<<シリコン原子を含有する化合物>>>
シリコン原子を含有する化合物は、いわゆる熱硬化性化合物(例えば、少なくとも、100℃以上で硬化が開始する化合物)であることが好ましい。
また、本発明で用いるシリコン原子を含有する化合物は、耐熱性の高い化合物が好ましく、25℃から、20℃/分で昇温した10%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、280℃以上がより好ましい。また、上限値は、特に限定はないが、例えば、1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着剤層を形成しやすい。なお、質量減少温度とは、熱重量測定装置(TGA)により、窒素気流下において、上記昇温条件で測定した値である。
シリコン原子を含有する化合物は、モノマーであっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってよいが、オリゴマーまたはポリマーが好ましい。シリコン原子を含有する化合物の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、3,000以上であることがより好ましく、5,000以上であってもよく、さらには、10,000以上であってもよい。重量平均分子量の上限値としては、500,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがさらに好ましい。
本発明で用いる、シリコン原子を含有する化合物は、シロキサン結合を有することが好ましく、下記式で表されるシロキサン結合を有する繰り返し単位を含有することがより好ましい。
Figure 2017057355
上記式において、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。シリコン原子を含有する化合物が、シロキサン結合を有する繰り返し単位を含有することにより、より耐熱性に優れた仮接着剤組成物が得られる。
ここで、Rは、水素原子および炭素数1〜8の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子、アルキル基およびアリール基がより好ましく、水素原子および炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
また、仮接着剤組成物に含まれるシリコン原子を含有する化合物は、その20質量%以上が上記シロキサン結合を有する繰り返し単位であることが好ましい。
本発明で用いるシリコン原子を含有する化合物は、上記シロキサン結合を有する繰り返し単位に加え、さらに、下記の繰り返し単位を含んでいてもよい。
Figure 2017057355
上記式において、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、Xは、アルキレン基またはアリーレン基である。
は、水素原子および炭素数1〜8の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子、アルキル基およびアリール基がより好ましく、水素原子および炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
Xは、炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基が好ましい。
また、仮接着剤組成物に含まれるシリコン原子を含有する化合物は、その80質量%以下が上記繰り返し単位であることが好ましい。
本発明で用いるシリコン原子を含有する化合物の好ましい第一の実施形態としては、架橋性基を有する態様が例示される。架橋性基としては、加熱(例えば、150℃以上)に加熱することにより、架橋構造を形成する基をいい、具体的には、フェノール性水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、メチロール基およびアルコキシメチロール基が好ましい例として挙げられる。第一の本実施形態では、さらに、仮接着剤組成物が、上記架橋性基を架橋させる架橋剤を含有することが好ましい。
第一の実施形態で用いるシリコン原子を含有する化合物は、一般式(21)で表される繰り返し単位を含むポリマーが好ましい。
一般式(21)
Figure 2017057355
上記一般式(21)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価の炭化水素基であり、mは1〜100の整数であり、Bは、正の整数、Aは0または正の整数である。
Xは架橋性基を含む2価の有機基である。
1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
mは、3〜80の整数であることが好ましく、8〜60の整数であることがより好ましく、10〜40の整数であることがさらに好ましい。
Bは、5〜100の整数が好ましい。Aは、0〜5の整数が好ましい。また、A/Bは、0〜20であることが好ましく、特に0.5〜5であることが好ましい。
Xが有する架橋性基としては、フェノール性水酸基、エポキシ基およびオキセタニル基が好ましく、フェノール性水酸基およびエポキシ基がより好ましい。
Xは、さらに好ましくは、下記一般式(2)または一般式(4)で表される2価の有機基である。
一般式(2)
Figure 2017057355
上記一般式(2)中、Zは、2価の連結基であり、好ましくは
Figure 2017057355
のいずれか1つ、または、2つ以上の組み合わせからなる2価の有機基である。
nは0又は1であり、1が好ましい。
5およびR6は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基または、炭素数1〜4のアルコキシ基である。
kは、それぞれ独立に、0、1、2のいずれかであり、0または1が好ましく、0がより好ましい。
一般式(4)
Figure 2017057355
上記一般式(4)中、Vは2価の連結基であり、Vの好ましい範囲は、一般式(2)におけるZと同じである。
pは0又は1であり、1が好ましい。
7およびR8は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基または、炭素数1〜4のアルコキシ基である。
hは、それぞれ独立に、0、1、2のいずれかであり、0または1が好ましく、0がより好ましい。
架橋剤としては、ホルマリンもしくはホルマリン−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、1分子中に平均して2個以上のメチロール基またはアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選択されることが好ましく、1分子中に平均して2個以上のメチロール基またはアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選択されることがより好ましい。
1分子中に平均して2個以上のヒドロキシフェニル基を有するフェノール化合物は、シリコン原子を含有する化合物が有する架橋性基がエポキシ基である場合に好ましく用いられる。1分子中に平均して2個以上のヒドロキシフェニル基を有するフェノール化合物は、1分子中に3〜5個のヒドロキシフェニル基を有する化合物が好ましく、クレゾールノボラック樹脂やα,α,α',α'−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレンが例示される。市販品としては、例えば、旭有機材工業製のEP−6030G、本州化学製のTris−P−PA、旭有機材工業製のTEP−TPA等が挙げられる。
1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物は、シリコン原子を含有する化合物が有する架橋性基がフェノール性水酸基である場合に好ましく用いられる。1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物は、1分子中に2〜5個のエポキシ基を有する化合物が好ましく、市販品としては、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、XD−1000、NC−2000−L、EPPN−201、GAN、NC6000(以上、日本化薬製)が例示される。また、下記に示す構造の架橋剤も好ましく用いられる。
Figure 2017057355
架橋剤の配合量は、シリコン原子を含有する化合物100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは1〜20質量部である。架橋剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本実施形態の仮接着剤組成物には、触媒を配合することが好ましい。触媒としては、硬化触媒であり、酸無水物などが例示され、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン(和光純薬工業製、BSDM)、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化製、リカシッドHH−A)が好ましい。触媒は、シリコン原子を含有する化合物100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲で配合することができる。上記触媒は、1種のみ用いても良いし、2種以上用いてもよい。
本発明で用いるシリコン原子を含有する化合物の好ましい第二の実施形態としては、シリコン原子を含有する化合物が、Si−H構造を有する態様が例示される。ここで、Si−H構造とは、シリコン原子の4つの結合子のうちの少なくとも1つが水素原子と結合している構造をいう。シリコン原子の残りの結合子は、水素原子と結合していてもよいし、他の原子(例えば、酸素原子や炭素原子など)と結合していてもよい。
第二の実施形態では、仮接着剤組成物が、触媒を含み、かつ、上記Si−H構造を有し、シリコン原子を含有する化合物に加え、シリコン原子を含有する化合物であって、ビニル基を含有する化合物(すなわち、シリコン原子およびビニル基を含有する化合物)、および、他のビニル基を含有する化合物(すなわち、シリコン原子を含有せず、ビニル基を含有する化合物)の少なくとも1種を含むことが好ましい。第二の実施形態では、仮接着剤組成物が、少なくとも、Si−H構造を有し、シリコン原子を含有する化合物と、シリコン原子およびビニル基を含有する化合物を含むことが好ましい。さらに、Si−H構造を有し、シリコン原子を含有する化合物、ならびに、シリコン原子およびビニル基を含有する化合物は、それぞれ、シロキサン結合を有することが好ましい。
まず、シリコン原子を含有する化合物が、Si−H構造を有する態様について説明する。シリコン原子を含有する化合物が、Si−Hを有する場合、シリコン原子を含有する化合物は、好ましくは、下記式で表されることが好ましい。
Figure 2017057355
上記式中、vは0〜1の範囲内であり、uは0〜2の範囲内であり、zは0〜1の範囲内であり、R、R、R、R、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、有機基を表し、R、R、及びR10少なくとも1つは、(u+v+z)の合計が0であるとき、水素原子である。pは、正の整数である。
上記式において、pは、好ましくは1〜100の整数であり、20〜80の整数であることがより好ましい。
Si−H構造を有し、シリコン原子を含有する化合物の例としては、Dow Corning Corp.製、F1−3546や6−3570が例示される。
Si−H構造を有し、シリコン原子を含有する化合物は、1種のみ用いても良いし、2種以上用いても良い。
次に、ビニル基を含有する化合物について説明する。本発明で用いるビニル基を含有する化合物は、モノマーであっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよいが、好ましくは、オリゴマーまたはポリマーであり、ビニル基を含有する化合物の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、3,000以上であることがより好ましく、5,000以上であってもよく、さらには、10,000以上であってもよい。重量平均分子量の上限値としては、500,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがさらに好ましい。
ビニル基を含有する化合物は、シロキサン結合を有することが好ましく、下記式E1に従い、C1、C2及びC3の3つのシロキサン結合を含む繰り返し単位構成成分の少なくとも1つを含むことがより好ましい。
式E1
E(C1)(C2)(C3)
上記式E1中、Eは、それぞれ独立に、エンドキャッピング基を表し、m、nおよびoは、それぞれ独立に、ビニル基を含有する化合物中の各構成成分のモル比を表し、mは、0.025〜1.0の範囲、nは0.0〜0.95の範囲、oは0.0〜0.60の範囲である。Eおよび(C1)の少なくとも一方はビニル基を含む。
上記式E1は、以下の式E2で表されることが好ましい。
式E2
Figure 2017057355
上記式E2中、R、R、R、R、R、R15及びR16は、それぞれ独立に、有機基を表し、R、R、R、R15、及びR16の少なくとも1つはビニル基を含む。Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、vは0〜1の範囲内であり、uは0〜2の範囲内であり、m、nおよびoは、それぞれ独立に、ビニル基を含有する化合物中の各構成成分のモル比を表し、mは、0.025〜1.0の範囲、nは0.0〜0.95の範囲、oは0.0〜0.60の範囲である。
、R、R、R15、及びR16の少なくとも1つはビニル基を含む脂肪族基またはアリール基であることが好ましい。脂肪族基の炭素数は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。また、アリール基は、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。ビニル基は、脂肪族基またはアリール基の水素原子に置換して、存在していることが好ましい。
このような化合物の例としては、Dow Corning Corp.製、SFD−119、SFD−120および6−3444が例示される。
第二の実施形態において、ビニル基を含有する化合物の配合量は、Si−H構造を有し、シリコン原子を含有する化合物100質量部に対し、20〜500質量部であることが好ましく、40〜300質量部であることがより好ましい。
ビニル基を含有する化合物は、1種のみ用いても良いし、2種以上用いても良い。
第二の実施形態で用いられる、触媒について説明する。第二の実施形態では、触媒は、シリコン原子を含有する化合物とビニル基を含有する化合物の熱硬化反応(特に、150℃以上の熱により硬化が進行する反応)を促進するために配合される。
触媒は、塩化白金酸、脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と塩化白金酸または二塩化白金とを反応させて得られた白金含有触媒(例えば、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体)、白金アセチルアセトネート、およびヒドロシリル化反応において使用される任意の他の遷移金属触媒の群から選択される。
触媒の配合量は、触媒の種類等に応じて適宜定めることができる。触媒の配合量は、配合する場合、例えば、仮接着剤組成物の質量に対し、0.01〜40質量%の割合で配合することができる。触媒は、1種のみ用いても良いし、2種以上用いてもよい。
また、第二の実施形態では、触媒反応の開始を遅らせるために触媒と相互作用することができる阻害剤を含んでいてもよい。阻害剤は、ジアリルマレアート、エチニルシクロヘキサノール、ビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)マレアートおよびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが例示される。阻害剤は、触媒の0.01〜40質量%の割合で配合することができる。阻害剤は、1種のみ用いても良いし、2種以上用いてもよい。
また、上記、第二の実施形態で述べた、Si−H構造を有し、シリコン原子を含有する化合物として、低分子化合物を用いても良い。低分子化合物としては、以下の化合物が例示される。
Figure 2017057355
上記の他、本発明で用いられるシリコン原子を含有する化合物としては、特開2012−188650号公報の請求項1等に記載のエポキシ基含有高分子化合物、および特開2013−82801号公報の請求項1等に記載の非芳香族飽和炭化水素基含有オルガノポリシロキサンも用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
仮接着剤組成物における、シリコン原子を含有する化合物の含有量は、溶剤を除いた仮接着剤組成物の質量に対し、50.00〜99.99質量%が好ましく、70.00〜99.99質量%がより好ましく、88.00〜99.99質量%が特に好ましい。シリコン原子を含有する化合物の含有量が上記範囲であれば、より接着性および剥離性に優れる。
また、仮接着剤組成物における、シリコン原子を含有する化合物は1種のみでもよいが、複数種の組合せであってもよい。この場合、上記含有量は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
本発明で用いる仮接着剤組成物における、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物の合計含有量は、仮接着剤組成物中に含まれる樹脂の合計量に対し、0.009質量%以上が好ましく、0.0001質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましく、0.005質量%以上であることが特に好ましく、0.01質量%以上であることが一層より好ましい。また、上限値としては、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、2.5質量%未満であることがより好ましい。
フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物の合計含有量が上記範囲であれば、接着性および剥離性により優れる。特に本発明では、仮接着剤組成物の量が少なくても、本発明の効果を達成できる点で価値が高い。
フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計の含有量が上記範囲であることが好ましい。
<<酸化防止剤>>
本発明で用いる仮接着剤組成物は、加熱時の酸化によるエラストマーの低分子化やゲル化を防止する観点から、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが使用できる。
フェノール系酸化防止剤としては例えば、パラメトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、BASF(株)製「Irganox1010」、「Irganox1330」、「Irganox3114」、「Irganox1035」、住友化学(株)製「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer GA−80」などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては例えば、3,3’−チオジプロピオン酸ジステアリル、住友化学(株)製「Sumilizer TPM」、「Sumilizer TPS」、「Sumilizer TP−D」などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスフィト、ジフェニルイソデシルホスフィト、2−エチルヘキシルジフェニルホスフィト、トリフェニルホスフィト、BASF(株)製「Irgafos168」、「Irgafos38」などが挙げられる。
キノン系酸化防止剤としては例えば、パラベンゾキノン、2−t−ブチル−1,4−ベンゾキノンなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては例えば、ジメチルアニリンやフェノチアジンなどが挙げられる。
酸化防止剤は、IRGANOX1010、Irganox1330、3,3’−チオジプロピオン酸ジステアリル、Sumilizer TP−Dが好ましく、Irganox1010、Irganox1330がより好ましく、Irganox1010が特に好ましい。
また、上記酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤と、硫黄系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤とを併用することが好ましく、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが特に好ましい。特に、エラストマーとして、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーを使用した場合において、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが好ましい。このような組み合わせにすることにより、酸化反応によるエラストマーの劣化を、効率よく抑制できる効果が期待できる。フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用する場合、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤との質量比は、フェノール系酸化防止剤:硫黄系酸化防止剤=95:5〜5:95が好ましく、25:75〜75:25がより好ましい。
酸化防止剤の組み合わせとしては、Irganox1010とSumilizer TP−D、Irganox1330とSumilizer TP−D、および、Sumilizer GA−80とSumilizer TP−Dが好ましく、Irganox1010とSumilizer TP−D、Irganox1330とSumilizer TP−Dがより好ましく、Irganox1010とSumilizer TP−Dが特に好ましい。
酸化防止剤の分子量は、加熱中の昇華防止の観点から、400以上が好ましく、600以上がさらに好ましく、750以上が特に好ましい。
仮接着剤組成物が酸化防止剤を有する場合、酸化防止剤の含有量は、仮接着剤組成物の全固形分に対して、0.001〜20.0質量%が好ましく、0.005〜10.0質量%がより好ましい。
酸化防止剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。酸化防止剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<ラジカル重合性化合物>>
本発明で用いる仮接着剤組成物は、ラジカル重合性化合物を含むことも好ましい。ラジカル重合性化合物を含む仮接着剤組成物を用いることで、加熱時における仮接着剤層の流動変形を抑制しやすい。このため、例えば、加工基板を研磨した後の積層体を加熱処理する場合などにおいて、加熱時における仮接着剤層の流動変形を抑制でき、反りの発生を効果的に抑制できる。また、硬度のある仮接着剤層を形成できるので、加工基板の研磨時に圧力が局所的に加わっても、仮接着剤層が変形しにくく、平坦研磨性が優れる。
本発明において、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物であって、ラジカルにより重合可能な公知のラジカル重合性化合物を用いることができる。このような化合物は産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、オリゴマー又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。ラジカル重合性化合物としては、特開2015−087611号公報の段落0099〜0180の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、ラジカル重合性化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、ラジカル重合性化合物として、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性モノマー類を用いることもできる。
ラジカル重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、NKエステルM−40G、NKエステル4G、NKエステルA−9300、NKエステルM−9300、NKエステルA−TMMT、NKエステルA−DPH、NKエステルA−BPE−4、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学(株)製)、ブレンマーPME400(日油(株)製)などが挙げられる。
本発明において、ラジカル重合性化合物は、耐熱性の観点から、下記(P−1)〜(P−4)で表される部分構造の少なくとも一種を有することが好ましく、下記(P−3)で表される部分構造を有することが更に好ましい。式中の*は連結手である。
Figure 2017057355
上記部分構造を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、本発明においてはこれらのラジカル重合性化合物を特に好ましく用いることができる。
本発明で用いる仮接着剤組成物において、ラジカル重合性化合物を添加する場合の含有量は、良好な接着性、平坦研磨性、剥離性、反りの観点から、溶剤を除いた仮接着剤組成物の質量に対して、1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。ラジカル重合性化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明で用いる仮接着剤組成物において、ラジカル重合性化合物を添加する場合のエラストマーとラジカル重合性化合物との質量割合は、エラストマー:ラジカル重合性化合物=98:2〜10:90が好ましく、95:5〜30:70がより好ましく、90:10〜50:50が特に好ましい。エラストマーとラジカル重合性化合物との質量割合が上記範囲であれば、接着性、平坦研磨性、剥離性および反り抑制に優れた仮接着剤層を形成できる。
<<その他の成分>>
本発明で用いる仮接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、フッ素原子およびシリコン原子を含まない界面活性剤、可塑剤、硬化剤、上記以外の触媒、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、エラストマーや他の高分子化合物等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その配合量は、それぞれ、仮接着剤組成物の全固形分の3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。配合する場合の下限値は、それぞれ、0.0001質量%以上が好ましい。また、これらの添加剤の合計配合量は、仮接着剤組成物の全固形分の10質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。これらの成分を配合する場合の合計配合量の下限値は、0.0001質量%以上が好ましい。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量としては、1質量ppm以下が好ましく、1質量ppb以下がより好ましく、100質量ppt以下がさらに好ましく、10質量ppt以下がよりさらに好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
仮接着剤組成物から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルタを用いた濾過を挙げることができる。フィルタ孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルタの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルタが好ましい。フィルタは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルタ濾過工程では、複数種のフィルタを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種のフィルタを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルタを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、仮接着剤組成物に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、仮接着剤組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、仮接着剤組成物を構成する原料に対してフィルタ濾過を行う、装置内をポリテトラフロロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。仮接着剤組成物を構成する原料に対して行うフィルタ濾過における好ましい条件は、上述した条件と同様である。
フィルタ濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルタ濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭などの無機系吸着材、あるいは、有機系吸着材を使用することができる。
<仮接着剤組成物の調製>
本発明で用いる仮接着剤組成物は、上述の各成分を混合して調製することができる。各成分の混合は、通常、0℃〜100℃の範囲で行われる。また、各成分を混合した後、例えば、フィルタでろ過することが好ましい。ろ過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、ろ過した液を再ろ過することもできる。
フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、例えば、0.003〜5.0μm程度が適している。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第一のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第一のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
本発明で得られる半導体素子は、ダイの温度T1での圧着前の位置と、ダイの温度T1での圧着後の位置の移動距離を100μm未満とすることができ、さらには、50μm未満とすることができ、特には、30μm未満とすることができる。下限値については、0μmが望ましいが、3μm以上でも十分実用レベルである。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<仮接着剤組成物の調製>
以下の組成物を混合し、5μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、仮接着剤組成物をそれぞれ調製した。
<<仮接着剤組成物の成分>>
・表1に記載の樹脂
・Irganox 1010 (BASF製):1質量部
・Sumilizer TP−D (住友化学(株)製):1質量部
・メガファック F−557 (DIC(株)製):0.3質量部
・溶媒(t−ブチルベンゼン (東洋合成工業(株)製)):表1に記載の質量部
各実施例で用いた仮接着剤組成物の組成を下記に示す。
Figure 2017057355
表1中に記載の化合物は以下の通りである。
Figure 2017057355
<溶融粘度の測定>
仮接着剤層の溶融粘度は、以下の方法に従って測定した。
仮接着剤組成物を直径20mmのPFA製シャーレにキャストし、3日間乾燥させた後に190℃で5分間加熱し、シャーレから回収することで、直径20mm、厚さ300μmの評価用サンプルを得た。評価用サンプルをARES−RDA(ティー・エー・インスツルメント社製)を用い、昇温速度10℃/分、測定周波数:10Hz、T1およびT2の温度にて測定した。
<実施例1〜9、12〜15および比較例1〜3>
キャリア基板として直径12インチのシリコンウェハ(1インチは、2.54cmである)を用い、その表面に、ウェハボンディング装置(Synapse V、東京エレクトロン(株)製)を用いて仮接着剤層を形成した。具体的には、上記仮接着剤組成物をキャリア基板に塗布し、ホットプレートを用いて、160℃で3分加熱し、さらに、190℃で3分加熱することで、キャリア基板上に仮接着剤層を形成した。このときの仮接着剤の膜厚は40μmであった。
キャリア基板の仮接着剤層が形成されている表面上に、ダイとして10×10mmにダイシングしたシリコンウェハ(厚さ775μm)を、フリップチップボンダー(TFC−3000、芝浦メカトロニクス(株)製)を、表3に記載の温度(T1)下、ダイにかかる圧力が0.1MPaとなるように、2秒間圧着した。
得られた積層体について、以下の通り、ダイシフトを評価した。
<評価1:ダイシフト>
上記積層体におけるダイの頂点の移動距離(|頂点の座標の設計値−実装後の頂点の座標|)を、ウェハ自動外観検査装置(Condor 203、Camtek社製)を用いて全てのダイの4頂点に対し測定を行い、ダイ1つあたりの、頂点の移動距離の総和を以下の基準で評価を行った。尚、設計値の頂点の座標と圧着前の頂点の座標は一致し、実装後の頂点の座標とは圧着後の頂点の座標を意味する。
A: 30μm未満
B: 30μm以上50μm未満
C: 50μm以上100μm未満
D: 100μm以上
上記積層体のダイが設けられた表面上に、さらに、コンプレッションモールド成型機(WCM−300、アピックヤマダ(株)製)を用いて、モールディング樹脂組成物として、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料(スミコンEME−G770H、住友ベークライト(株)製)を表3に記載の温度(T2)条件下、80x10Paの圧力で90秒間圧縮成型した。その後さらに、175℃で6時間加熱した。
尚、モールディング樹脂組成物として、実施例10ではCEL-9200 HF10(日立化成(株)製)、実施例11ではKE-300TS-1(京セラケミカル(株))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして成型を行った。
Figure 2017057355
得られた積層体について、以下の通り、反りを評価した。
<評価2:反り>
上記積層体における反りを、膜厚センサー((株)キーエンス製、ST−T80)をX−Yステージに固定して測定した。測定においては、X方向(基板面方向)およびY方向(基板面方向でX方向と直行する方向)を定め、X方向は0.1mmおきに、Y方向は1mmおきに測定した。
反りは、全測定点の最大値と最小値の差として定義し、以下の基準で評価を行った。
A: 250μm未満
B: 250μm以上500μm未満
C: 500μm以上750μm未満
D: 1000μm以上
<評価3:剥離性>
上記で得られた積層体のモールディング層を下側にし、下側のシリコンウェハを、ダイシングテープマウンターを用いてダイシングテープ中央にダイシングフレームと共に固定した。その後、ウェハボンディング装置(東京エレクトロン製、SynapseZ)を用いて、25℃で、上側のシリコンウェハを下側のモールディング層に対して垂直方向に、50mm/分の速さで引き上げて上側のシリコンウェハを剥離した。次いで、モールド樹脂面上に積層された仮接着剤層を、25℃で、垂直方向に、50mm/分の速さで引き上げて、この時の剥離力を以下の基準で評価を行った。なお、剥離力の測定は、フォースゲージ(イマダ製、ZTS−100N)にて行った。
A:30N未満で剥離が可能
B:30N以上50N未満で剥離が可能
C:50N以上で剥離が可能
D:剥離ができなかった
Figure 2017057355
10キャリア基板
20仮接着剤層
30ダイ
40モールディング層

Claims (7)

  1. キャリア基板上に仮接着剤層を有する部材と、少なくとも一方の面に回路を有するダイとを、前記仮接着剤層とダイとが接するように、温度T1で圧着し、前記ダイの仮接着剤層と接している側とは反対側の表面に、温度T2でモールディング層を形成した後、前記キャリア基板を40℃以下の温度で剥離する、半導体素子の製造方法;ここで、温度T1は、測定周波数10Hzで測定した前記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上10000Pa・s以下となる温度であり、温度T2は、測定周波数10Hzで測定した上記仮接着剤層の溶融粘度が4000Pa・s以上となる温度である。
  2. 前記モールディング層形成後、100℃以上の熱処理を行う、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記キャリア基板を、40℃以下の温度で剥離した後、さらに、前記仮接着剤層を40℃以下で除去する、請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
  4. 前記仮接着剤層が、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、シクロオレフィン系重合体およびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
  5. 前記モールディング層が、エポキシ樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
  6. 前記ダイの、温度T1での圧着前の位置と、前記ダイの、温度T1での圧着後の位置の移動距離が100μm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
  7. 前記仮接着剤層が、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
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