JP6321163B2 - 仮接着用積層体、仮接着用積層体の製造方法およびデバイスウエハ付き積層体 - Google Patents

仮接着用積層体、仮接着用積層体の製造方法およびデバイスウエハ付き積層体 Download PDF

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Description

本発明は、仮接着用積層体、仮接着用積層体の製造方法およびデバイスウエハ付き積層体に関する。より詳細には、半導体装置などの製造に好ましく用いることができる、仮接着用積層体、仮接着用積層体の製造方法およびデバイスウエハ付き積層体に関する。
IC(集積回路)やLSI(大規模集積回路)などの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、デバイスウエハ上に多数のICチップが形成され、ダイシングにより個片化される。
電子機器の更なる小型化および高性能化のニーズに伴い、電子機器に搭載されるICチップについても更なる小型化および高集積化が求められているが、デバイスウエハの面方向における集積回路の高集積化は限界に近づいている。
ICチップ内の集積回路から、ICチップの外部端子への電気的な接続方法としては、従来より、ワイヤーボンディング法が広く知られているが、ICチップの小型化を図るべく、近年、デバイスウエハに貫通孔を設け、外部端子としての金属プラグを貫通孔内を貫通するように集積回路に接続する方法(いわゆる、シリコン貫通電極(TSV)を形成する方法)が知られている。しかしながら、シリコン貫通電極を形成する方法のみでは、上記した近年のICチップに対する更なる高集積化のニーズに充分応えられるものではない。
以上を鑑み、ICチップ内の集積回路を多層化することにより、デバイスウエハの単位面積当たりの集積度を向上させる技術が知られている。しかしながら、集積回路の多層化は、ICチップの厚みを増大させるため、ICチップを構成する部材の薄型化が必要である。このような部材の薄型化としては、例えば、デバイスウエハの薄型化が検討されており、ICチップの小型化につながるのみならず、シリコン貫通電極の製造におけるデバイスウエハの貫通孔製造工程を省力化できることから、有望視されている。また、パワーデバイス・イメージセンサーなどの半導体デバイスにおいても、上記集積度の向上やデバイス構造の自由度向上の観点から、薄型化が試みられている。
デバイスウエハとしては、約700〜900μmの厚さを有するものが広く知られているが、近年、ICチップの小型化等を目的に、デバイスウエハの厚さを200μm以下となるまで薄くすることが試みられている。
しかしながら、厚さ200μm以下のデバイスウエハは非常に薄く、これを基材とする半導体デバイス製造用部材も非常に薄いため、このような部材に対して更なる処理を施したり、あるいは、このような部材を単に移動したりする場合等において、部材を安定的に、かつ、損傷を与えることなく支持することは困難である。
上記のような問題を解決すべく、表面にデバイスが設けられた薄型化前のデバイスウエハと加工用支持基板とをシリコーン粘着剤により仮接着し、デバイスウエハの裏面を研削して薄型化した後に、デバイスウエハを穿孔してシリコン貫通電極を設け、その後、デバイスウエハから加工用支持基板を脱離させる技術が知られている(特許文献1参照)。この技術によれば、デバイスウエハの裏面研削時の耐研削抵抗、異方性ドライエッチング工程などにおける耐熱性、メッキやエッチング時の耐薬品性、最終的な加工用支持基板とのスムースな剥離と低披着体汚染性を同時に達成することが可能であるとされている。
また、ウエハの支持方法としては、ウエハを支持層システムにより支持する方法であって、ウエハと支持層システムとの間に、プラズマ堆積法により得られるプラズマポリマー層を分離層として介装させて、支持層システムと分離層との間の接着結合を、ウエハと分離層との間の接合結合より大きくなるようにし、ウエハを支持層システムから脱離する際に、ウエハが分離層から容易に脱離するように構成した技術も知られている(特許文献2参照)。
また、ポリエーテルスルホンと粘性付与剤を使用して、仮接着を行い、加熱により仮接着を解除する技術が知られている(特許文献3参照)。
また、カルボン酸類とアミン類からなる混合物により、仮接着を行い、加熱により仮接着を解除する技術も知られている(特許文献4参照)。
また、セルロースポリマー類等からなる接合層を加温した状態で、デバイスウエハと支持基板を圧着することで接着させて、加温して横方向にスライドすることによりデバイスウエハを支持基板から脱離する技術が知られている(特許文献5参照)。
また、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンと光重合開始剤からなり、放射線の照射により接着力が変化する粘着フィルムが知られている(特許文献6参照)。
さらに、ポリカーボネート類からなる接着剤により、支持基板とデバイスウエハとを仮接着し、デバイスウエハに対して処理を行った後、照射線を照射し、次いで、加熱することにより、処理済のデバイスウエハを支持基板から脱離する技術が知られている(特許文献7参照)。
また、軟化点の異なる2層で、支持基板とデバイスウエハを仮接着し、デバイスウエハに対して処理を行った後、加温して横方向にスライドすることで支持基板とデバイスウエハを脱離する技術が知られている(特許文献8参照)。
また、特許文献9には、シクロオレフィン重合体と、シリコーン構造、フッ素化アルキル基構造、フッ素化アルケニル構造および炭素数8以上のアルキル構造の少なくとも1種の構造、ならびにポリオキシアルキレン構造、リン酸基を有する構造およびスルホ基を有する構造の少なくとも1種の構造、を有する化合物を含む仮固定材を介して、支持体と基材とを仮固定することが開示されている。
また、特許文献10には、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含むエラストマーと、ワックスとを含む接着剤組成物を用いて、デバイスウエハと支持体とを接着することが開示されている。
また、特許文献11には、デバイスウエハのデバイス面に接着層を塗布形成し、支持体の表面にフッ化シラン化合物を含む離型層を塗布形成し、デバイスウエハ上の接着層と支持体上の離型層とを接着させて、デバイスウエハと支持体とを接着することが開示されている。
また、特許文献12には、特定のポリイミド樹脂を含んでなる仮固定用フィルムの両面または片面に、低接着力層を有する仮固定用フィルムシートを用いて、デバイスウエハと支持体とを接着することが開示されている。
特開2011−119427号公報 特表2009−528688号公報 特開2011−225814号公報 特開2011−052142号公報 特表2010−506406号公報 特開2007−045939号公報 米国特許公開2011/0318938号明細書 米国特許公報2012/0034437号明細書 特開2013−241568号公報 特開2014−34632号公報 国際公開WO2013/119976号パンフレット 特開2014−29999号公報
ところで、デバイスが設けられたデバイスウエハの表面(すなわち、デバイスウエハのデバイス面)と支持基板(キャリア基板)とを、特許文献1等で知られている粘着剤からなる層を介して仮接着する場合には、デバイスウエハを安定的に支持するべく、接着層には一定の強さの粘着度が要求される。
そのため、デバイスウエハのデバイス面の全面と支持体とを粘着剤層を介して仮接着する場合においては、デバイスウエハと支持体との仮接着を充分なものとし、デバイスウエハを安定的に、かつ、損傷を与えることなく支持しようとする程、反面、デバイスウエハと支持体との仮接着が強すぎることにより、支持体からデバイスウエハを脱離する際に、デバイスが破損したり、デバイスウエハからデバイスが脱離してしまうという不具合が生じやすい。
また、特許文献2のように、ウエハと支持層システムとの接着が強くなりすぎることを抑制すべく、ウエハと支持層システムとの間に、分離層としてのプラズマポリマー層を、プラズマ堆積法により形成する方法は、(1)通常、プラズマ堆積法を実施するための設備コストは大きい;(2)プラズマ堆積法による層形成は、プラズマ装置内の真空化やモノマーの堆積に時間を要する;および(3)プラズマポリマー層からなる分離層を設けても、加工に供されるウエハを支持する場合においては、ウエハと分離層との接着結合を充分なものとしながら、反面、ウエハの支持を解除する場合においては、ウエハが容易に分離層から脱離するような接着結合にコントロールすることは容易ではない;等の問題がある。
また、特許文献3、4、5記載のように、加熱により仮接着を解除する方法では、支持体からデバイスウエハを脱離する際にデバイスが破損する不具合が生じやすい。
また、特許文献6、7のように、照射線を照射して仮接着を解除する方法では、照射線を透過する支持体を使用する必要がある。
また、特許文献8のように、デバイスウエハ側の接合層の軟化点が基板側の接合層の軟化点よりも20℃以上大きい場合は、剥離後に基板側の接合層がデバイスウエハ側の接合層に転写し、デバイスウエハの洗浄性が低下する問題が発生する。
また、特許文献9の接着剤を仮固定材として使用した場合、剥離性が不十分なため、デバイスウエハを剥離する際にデバイスが破損する不具合が生じやすい問題があった。
また、特許文献10では、接着剤組成物を、デバイスウエハまたは支持体に塗布して接着層を形成している。接着層を塗布形成した場合、厚みムラが生じ易かった。接着層に厚みムラが生じると、デバイスウエハや支持体に対する接着性が劣る傾向にある。また、特許文献10に開示された方法では、デバイスウエハからの支持体の剥離性が不十分であった。
また、特許文献11では、接着層や離型層をデバイスウエハや支持体にそれぞれ塗布形成しているので、接着層や離型層に厚みムラが生じ易く、接着性が劣る傾向にあることや、厚みムラが生じた結果デバイスウエハの裏面を均一に処理ができない問題があった。
また、特許文献12に開示された方法では、デバイス表面の形状に対する追従性が不十分であり、接着性が十分ではなく、空孔が発生する問題が生じた。デバイス裏面を研削して薄化すると、均一な厚みに薄化できない問題もあった。
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、その目的は、デバイスウエハや支持体との接着面における平坦性が良好で、デバイスウエハと支持体とを安定して仮接着できるとともに、デバイスウエハと支持体との仮接着を容易に解除できる仮接着用積層体、仮接着用積層体の製造方法およびデバイスウエハ付き積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、後述する特定のフィルムの片面または両面に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を有する仮接着用積層体を使用したところ、平坦性が良好で、高い接着力によりデバイスウエハと支持体を仮接着できるとともに、デバイスウエハと支持体との仮接着を容易に解除できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下を提供する。
<1> デバイスウエハのデバイス面と支持体とを、剥離可能に仮接着するために用いる仮接着用積層体であって、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンエーテルおよびポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種を含むフィルムと、フィルムの少なくとも一方の表面に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を有する、仮接着用積層体。
<2> フィルムが、ポリスチレン系エラストマーおよびポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種を含む<1>記載の仮接着用積層体。
<3> フィルムが、ポリスチレン系エラストマーを含む<1>に記載の仮接着用積層体。
<4> ポリスチレン系エラストマーが、水添物である<1>〜<3>のいずれかに記載の仮接着用積層体。
<5> ポリスチレン系エラストマーの、25℃から、20℃/分で昇温した5%熱質量減少温度が250℃以上である<1>〜<4>のいずれかに記載の仮接着用積層体。
<6> 離型剤が、シランカップリング剤である<1>〜<5>のいずれかに記載の仮接着用積層体。
<7> フィルムの両方の表面に離型層を有する<1>〜<6>のいずれかに記載の仮接着用積層体。
<8> フィルムの片方の表面のみに離型層を有する<1>〜<6>のいずれかに記載の仮接着用積層体。
<9> ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテルおよびポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種を含むフィルムの表面に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を形成する工程を含む、仮接着用積層体の製造方法。
<10> デバイスウエハと支持体との間に、<1>〜<8>のいずれかに記載の仮接着用積層体を有し、仮接着用積層体の一方の表面がデバイスウエハのデバイス面に接し、他方の表面が支持体の表面に接している、デバイスウエハ付き積層体。
<11> 仮接着用積層体は、フィルムの両方の表面に離型層を有する、<10>に記載のデバイスウエハ付き積層体。
<12> 仮接着用積層体は、フィルムの片方の表面のみに離型層を有し、離型層がデバイスウエハの表面に接している、<10>に記載のデバイスウエハ付き積層体。
<13> 仮接着用積層体は、フィルムの片方の表面のみに離型層を有し、離型層が支持体に接している、<10>に記載のデバイスウエハ付き積層体。
本発明によれば、デバイスウエハや支持体との接着面における平坦性が良好で、デバイスウエハと支持体とを安定して仮接着できるとともに、デバイスウエハと支持体との仮接着を容易に解除できる仮接着用積層体、仮接着用積層体の製造方法およびデバイスウエハ付き積層体を提供可能になった。
半導体装置の製造方法を示す一実施形態の概略図である。 従来の接着性支持体とデバイスウエハとの仮接着状態の解除を説明する概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性光線」または「放射線」は、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本明細書において、「光」とは、活性光線または放射線を意味している。
本明細書において、「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、紫外線、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線およびイオンビーム等の粒子線による描画をも意味している。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタアクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタアクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
なお、以下に説明する実施の形態において、既に参照した図面において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略化する。
<仮接着用積層体>
本発明の仮接着用積層体は、デバイスウエハのデバイス面と支持体とを、剥離可能に仮接着するために用いる仮接着用積層体であって、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンエーテルおよびポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種を含むフィルム(以下、接着フィルムともいう)と、フィルムの少なくとも一方の表面に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を有する。
本発明の仮接着用積層体は、フィルムを用いるので、デバイスウエハや支持体との接着面における平坦性が良好である。すなわち、塗布によって形成される塗布膜等を接着層として用いると、接着層中に溶剤を含むため、乾燥収縮などにより膜厚が均一になりにくく、接着性が劣るが、フィルムとして成型されたものを接着層として用いることにより、接着層中の溶剤の含有量を少なくでき、接着層の厚さの不均一性を抑制でき、結果として接着性を向上させることができる。さらに、接着フィルムが上述した材料を含むので、デバイスウエハや支持体の微細な凹凸にも追従し適度なアンカー効果により、より優れた接着性を達成できる。そして、接着フィルムの表層には、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を有するので、優れた剥離性を達成できる。このため、本発明の仮接着用積層体は、平坦性、接着性、剥離性に優れる。
なお、本明細書において、「デバイスウエハのデバイス面と支持体とを、剥離可能に仮接着する」とは、デバイスウエハと支持体とを仮接着して一体化した状態(デバイスウエハ付き積層体)から、デバイスウエハと支持体との仮接着状態を解除して、両者を分離することを意味する。仮接着状態の解除は、機械剥離による解除が好ましい。
本明細書において、「フィルム」とは、平坦な膜状または板状のものを意味する。「平坦」とは、例えば、後述するフィルムの一方向に沿った断面において、最大膜厚と最小膜厚の差が、フィルムの平均膜厚の20%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。なお、塗布膜は、厚みムラが生じやすく、更には、塗布膜は溶剤を含むため、乾燥収縮などにより膜厚が均一になりにくい。
フィルムの溶剤含有率は、例えば、20質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、含有しないことが特に好ましい。フィルムの溶剤含有量は、ガスクロマトグラフィーで測定できる。
フィルムは、例えば、後述する溶融製膜法、溶液製膜法などの方法で製造できる。
以下、本発明の仮接着用積層体について具体的に説明する。
<<接着フィルム>>
本発明の仮接着用積層体において、接着フィルムの平均厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜500μmが好ましく、0.1〜200μmがより好ましく、10〜200μmが更に好ましく、50〜200μmが特に好ましい。接着フィルムの平均厚みが上記範囲であれば、平坦性が良好である。なお、塗布膜の場合、厚みが大きくなるに伴い(例えば、10μm以上)、平坦性が低下する傾向にあったが、フィルムであれば、厚みが大きくても平坦性に優れる。
本発明において、接着フィルムの平均厚みは、接着フィルムの一方向に沿った断面において、一方の端面から他方の端面に向かって、等間隔で5か所の場所における厚みを、エリプソメトリーにより測定した値の平均値と定義する。
なお、本発明において、「接着フィルムの一方向に沿った断面」とは、接着フィルムが矩形状である場合は、長辺方向に直交する断面とする。また、接着フィルムが正方形状である場合は、いずれか一方の辺に直交する断面とする。また、接着フィルムが円形または楕円形である場合は、重心を通過する断面とする。
本発明の接着フィルムは、接着フィルムの一方向に沿った断面において、最大膜厚と最小膜厚の差が、平均膜厚の20%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
本発明の仮接着用積層体において、接着フィルムは、熱可塑性フィルムであってもよく、熱硬化性フィルムであってもよい。好ましくは、熱可塑性フィルムである。熱可塑性フィルムであることにより、優れた接着性が得られる。また、デバイスウエハの表面に凹凸が有していても、凹凸形状に対する追従性が良好である。
なお、本発明において、熱可塑性フィルムは、例えば、ガラス転移温度が−50〜300℃であり、150〜300℃における貯蔵弾性率が、101〜109Paであることが好ましく、102〜108Paであることがより好ましく、103〜107Paであることが最も好ましい。貯蔵弾性率は、一定昇温条件下で粘弾性測定装置を用いて測定した値である。動的粘弾性装置としては、例えば、Rheogel−E4000(ユービーエム社製)を用いることができる。
<<<ポリマー成分>>>
本発明の仮接着用積層体において、接着フィルムは、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンエーテルおよびポリエーテルスルホンから選ばれる1種以上のポリマー成分を含む。ポリマー成分は、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマーおよびポリイミド系エラストマーから選ばれる1種以上のエラストマーが好ましく、ポリスチレン系エラストマーが特に好ましい。また、エラストマーは、水添物であることが好ましい。特に、ポリスチレン系エラストマーの水添物が好ましい。
上記ポリマー成分を含む接着フィルムは、支持体やデバイスウエハの微細な凹凸にも追従し適度なアンカー効果により、接着性に優れた接着層を形成できる。また、支持体をデバイスウエハから剥離する際に、デバイスウエハなどに応力をかけることなく、支持体をデバイスウエハから剥離でき、デバイス等の破損や剥落を防止できる。特にエラストマー、さらには、ポリスチレン系エラストマーを使用した場合上記効果が顕著である。
また、エラストマーが水添物であると、熱安定性や保存安定性が向上する。さらには、剥離性および剥離後の仮接着用積層体の洗浄除去性が向上する。ポリスチレン系エラストマーの水添物を使用した場合上記効果が顕著である。
なお、本明細書において、エラストマーとは、弾性変形を示す高分子化合物を表す。すなわち外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有する高分子化合物と定義する。
本発明のエラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(20℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、かつ外力を除いたときに、短時間で130%以下に戻る性質を有することが好ましい。
上記ポリマー成分のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、−50〜300℃が好ましく、0〜200℃がより好ましい。Tgが上記範囲であれば、接着時にデバイスウエハ表面への追従性がよく、ボイドのない良好な接着力の仮接着用積層体を作成することができる。なお、ポリマー成分がTgを2種類以上有する場合は、上記Tgの値は、低い方のガラス転移温度を意味する。
上記ポリマー成分の融点は、−50〜300℃が好ましく、0〜200℃がより好ましい。融点が上記範囲であれば接着時にデバイスウエハ表面への追従性がよく、ボイドのない良好な接着力の仮接着用積層体を作成することができる。なお、ポリマー成分が融点を2種類以上有する場合は、上記融点の値は、低い方の融点を意味する。
上記ポリマー成分の重量平均分子量は、2000〜200、000が好ましく、10000〜200、000がより好ましく、50、000〜100、000が最も好ましい。この範囲にあることで、支持体をデバイスウエハから剥離後、デバイスウエハおよび/または支持体に残存する仮接着用積層体を除去する際にも、溶剤への溶解性が優れるため、デバイスウエハや支持体に残渣が残らないなど利点がある。
上記ポリマー成分は、25℃から、20℃/分で昇温した5%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましく、400℃以上であることが最も好ましい。また、上限値は特に限定はないが、例えば1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着用積層体を形成しやすい。特に、250℃以上の環境で使用可能な仮接着用積層体を形成しやすい。なお、質量減少温度とは、熱重量測定装置(TGA)により、窒素気流下において、上記昇温条件で測定した値である。
<<<<ポリスチレン系エラストマー>>>>
ポリスチレン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)およびこれらの水添物、スチレン−エチレン−ブチレンスチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
ポリスチレン系エラストマーにおける、スチレン由来の繰り返し単位の含有量は10〜90質量%が好ましい。易剥離性の観点から、下限値は、25質量%以上が好ましく、51質量%以上がより好ましい。
ポリスチレン系エラストマーは、スチレンと他の樹脂のブロック共重合体であることが好ましく、片末端または両末端がスチレンのブロック重合体であることがより好ましく、両末端がスチレンのブロック重合体であることが特に好ましい。ポリスチレン系エラストマーの両端を、スチレンのブロック重合体(スチレン由来の繰り返し単位)とすると、熱安定性がより向上する傾向にある。これは、耐熱性の高いスチレン由来の繰り返し単位が末端に存在することとなるためである。特に、スチレン由来の繰り返し単位のブロック部位が反応性のポリスチレン系ハードブロックであることにより、耐熱性、耐薬品性により優れる傾向にあり好ましい。また、これらをブロック共重合体とすると、200℃以上においてハードブロックとソフトブロックでの相分離を行うと考えられる。その相分離の形状はデバイスウェハの基板表面の凹凸の発生の抑制に寄与すると考えられる。加えて、このような樹脂は、溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
また、ポリスチレン系エラストマーは水添物であると、熱に対する安定性が向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。さらに、溶剤への溶解性およびレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
なお、本明細書において「スチレン由来の繰り返し単位」とは、スチレンまたはスチレン誘導体を重合した際に重合体に含まれるスチレン由来の構成単位であり、置換基を有していてもよい。スチレン誘導体としては、例えば、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等が挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシアルキル基、アセトキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
エラストマーは、25℃から、20℃/分で昇温した5%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましく、400℃以上であることが最も好ましい。また、上限値は特に限定はないが、例えば1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着用積層体を形成しやすい。
ポリスチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、タフプレンA、タフプレン125、タフプレン126S、ソルプレンT、アサプレンT−411、アサプレンT−432、アサプレンT−437、アサプレンT−438、アサプレンT−439、タフテックH1272、タフテックP1500、タフテックH1052、タフテックH1062、タフテックM1943、タフテックM1911、タフテックH1041、タフテックMP10、タフテックM1913、タフテックH1051、タフテックH1053、タフテックP2000、タフテックH1043(以上、旭化成(株)製)、エラストマーAR−850C、エラストマーAR815C、エラストマーAR−840C、エラストマーAR−830C、エラストマーAR860C、エラストマーAR−875C、エラストマーAR−885C、エラストマーAR−SC−15、エラストマーAR−SC−0、エラストマーAR−SC−5、エラストマーAR−710、エラストマーAR−SC−65、エラストマーAR−SC−30、エラストマーAR−SC−75、エラストマーAR−SC−45、エラストマーAR−720、エラストマーAR−741、エラストマーAR−731、エラストマーAR−750、エラストマーAR−760、エラストマーAR−770、エラストマーAR−781、エラストマーAR−791、エラストマーAR−FL−75N、エラストマーAR−FL−85N、エラストマーAR−FL−60N、エラストマーAR−1050、エラストマーAR−1060、エラストマーAR−1040(アロン化成製)、クレイトンD1111、クレイトンD1113、クレイトンD1114、クレイトンD1117、クレイトンD1119、クレイトンD1124、クレイトンD1126、クレイトンD1161、クレイトンD1162、クレイトンD1163、クレイトンD1164、クレイトンD1165、クレイトンD1183、クレイトンD1193、クレイトンDX406、クレイトンD4141、クレイトンD4150、クレイトンD4153、クレイトンD4158、クレイトンD4270、クレイトンD 4271、クレイトンD 4433、クレイトンD 1170、クレイトンD 1171、クレイトンD 1173、カリフレックスIR0307、カリフレックスIR 0310、カリフレックスIR 0401、クレイトンD0242、クレイトンD1101、クレイトンD1102、クレイトンD1116、クレイトンD1118、クレイトンD1133、クレイトンD1152、クレイトンD1153、クレイトンD1155、クレイトンD1184、クレイトンD1186、クレイトンD1189、クレイトンD1191、クレイトンD1192、クレイトンDX405、クレイトンDX408、クレイトンDX410、クレイトンDX414、クレイトンDX415、クレイトンA1535、クレイトンA1536、クレイトンFG1901、クレイトンFG1924、クレイトンG1640、クレイトンG1641、クレイトンG1642、クレイトンG1643、クレイトンG1645、クレイトンG1633、クレイトンG1650、クレイトンG1651、クレイトンG1652、クレイトンG1654、クレイトンG1657、クレイトンG1660、クレイトンG1726、クレイトンG1701、クレイトンG1702、クレイトンG1730、クレイトンG1750、クレイトンG1765、クレイトンG4609、クレイトンG4610(Kraton製)、TR2000、TR2001、TR2003、TR2250、TR2500、TR2601、TR2630、TR2787、TR2827、TR1086、TR1600、SIS5002、SIS5200、SIS5250、SIS5405、SIS5505、ダイナロン6100P、ダイナロン4600P、ダイナロン6200P、ダイナロン4630P、ダイナロン8601P、ダイナロン8630P、ダイナロン8600P、ダイナロン8903P、ダイナロン6201B、ダイナロン1321P、ダイナロン1320P、ダイナロン2324P、ダイナロン9901P(JSR(株)製)、デンカSTRシリーズ(電気化学工業(株)製)、クインタック3520、クインタック3433N、クインタック3421、クインタック3620、クインタック3450、クインタック3460(日本ゼオン製)、TPE−SBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロンシリーズ(三菱化学(株)製)、セプトン1001、セプトン、8004、セプトン4033、セプトン2104、セプトン8007、セプトン2007、セプトン2004、セプトン2063、セプトンHG252、セプトン8076、セプトン2002、セプトン1020、セプトン8104、セプトン2005、セプトン2006、セプトン4055、セプトン4044、セプトン4077、セプトン4099、セプトン8006、セプトンV9461、ハイブラー7311、ハイブラー7125、ハイブラー5127、ハイブラー5125(以上、クラレ製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業製)などが挙げられる。
<<<<ポリエステル系エラストマー>>>>
ポリエステル系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジカルボン酸又はその誘導体と、ジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオール、下記構造式で表される2価のフェノールなどが挙げられる。
Figure 0006321163
上記式中、YDOは、炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基、−O−、−S−、及び−SO2−のいずれかを表すか、ベンゼン環同士の直接結合(単結合)を表す。RDO1及びRDO2は各々独立に、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。pdo1及びpdo2は各々独立に、0〜4の整数を表し、ndo1は、0又は1を表す。
ポリエステル系エラストマーの具体例としては、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、レゾルシンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用して用いてもよい。
また、ポリエステル系エラストマーとして、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることもできる。マルチブロック共重合体としては、ハードセグメントとソフトセグメントとの種類、比率、及び分子量の違いによりさまざまなグレードのものが挙げられる。具体例としては、ハイトレル(東レデュポン(株)製)、ペルプレン(東洋紡績(株)製)、プリマロイ(三菱化学製)、ヌーベラン(帝人化成製)、エスペル1612、1620(日立化成工業(株)製)、プリマロイCP300(三菱化学社製)などが挙げられる。
<<<<ポリオレフィン系エラストマー>>>>
ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができり。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレンなどの炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィン共重合体などが挙げられる。また、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性ニトリルゴムが挙げられる。具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン・α−オレフィン共重合体ゴムなどが挙げられる。
市販品として、ミラストマー(三井化学(株)製)、サーモラン(三菱化学製)EXACT(エクソン化学製)、ENGAGE(ダウケミカル製)、エスポレックス(住友化学製)、Sarlink(東洋紡製)、ニューコン(日本ポリプロ製)、EXCELINK(JSR製)などが挙げられる。
<<<<ポリウレタン系エラストマー>>>>
ポリウレタン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、低分子のグリコールおよびジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオールおよびジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位を含むエラストマーなどが挙げられる。
高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン・ネオペンチレンアジペート)などが挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましい。
低分子のグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。
ポリウレタン系エラストマーの市販品としては、PANDEX T−2185、T−2983N(DIC(株)製)、ミラクトラン(日本ミラクトラン製)、エラストラン(BASF製)、レゼミン(大日精化工業製)、ペレセン(ダウ・ケミカル製)、アイアンラバー(NOK社製)、モビロン(日清紡ケミカル製)などが挙げられる。
<<<<ポリアミド系エラストマー>>>>
ポリアミド系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリアミド−6、11、12などのポリアミドをハードセグメントに用い、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルおよび/またはポリエステルをソフトセグメントに用いたエラストマーなどが挙げられる。このエラストマーは、ポリエーテルブロックアミド型、ポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別される。
市販品として、UBEポリアミドエラストマ、UBESTA XPA(宇部興産(株)製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス(株)製)、PEBAX(東レ(株)製)、グリロンELY(エムスジャパン(株)製)、ノパミッド(三菱化学(株)製)、グリラックス(DIC(株)製)、ポリエーテルエステルアミドPA−200、PA−201、TPAE−12、TPAE−32、ポリエステルアミドTPAE−617、TPAE−617C((株)T&K TOKA製)などが挙げられる。
<<<<ポリイミド系エラストマー>>>>
ポリイミド系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、芳香族ポリイミド等のエンジニアリングプラスチックと、ソフトセグメントである分子量が数百〜千のポリエーテルやポリエステルやポリオレフィン等のゴム成分とからなり、ハードセグメントとソフトセグメントが交互に重縮合したブロックポリマーが好ましく使用できる。市販品の具体例としては、例えば、UBESTA XPA9040F1(宇部興産(株)製)などが挙げられる。
<<<<ポリアクリル系エラストマー>>>>
ポリアクリル系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステルを主成分としたものや、
アクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。さらに、アクリロニトリルやエチレンなどの架橋点モノマーとを共重合してなるものなどが挙げられる。具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体などが挙げられる。
<<<<シリコーン系エラストマー>>>>
シリコーン系エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、オルガノポリシロキサンを主成分としたもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。市販品の具体例としては、KEシリーズ(信越化学工業(株)製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)などが挙げられる。
<<<<その他エラストマー>>>>
本発明では、エラストマーとして、ゴム変性したエポキシ樹脂(エポキシ系エラストマー)を用いることができる。エポキシ系エラストマーは、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂あるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られる。
<<<<ポリエーテルエーテルケトン>>>>
ポリエーテルエーテルケトンとしては、特に制限なく使用することができ、例えば、ケトロン1000 PEEKシリーズ、ケトロンHPV PEEKシリーズ、ケトロンGF30PEEKシリーズ、ケトロンGA30PEEKシリーズ(クオドラントポリペンコジャパン製)が挙げられる。
<<<<ポリフェニレンスルファイド>>>>
ポリフェニレンスルファイドとしては、特に制限なく使用することができ、例えば、テクトロン1000PPS、テクトロンHPVPPS(クオドラントポリペンコジャパン製)が挙げられる。
<<<<ポリフェニレンエーテル>>>>
ポリフェニレンエーテルとしては、特に制限なく使用することができ、例えば、ユピエースシリーズ、レマロイシリーズ(三菱エンジニアリングプラスチック社製)、XYRONシリーズ(XYRON S201Aなど)(旭化成ケミカルズ社製)、NORYLシリーズ(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン製)が挙げられる。
<<<ポリエーテルスルホン>>>
ポリエーテルスルホンとしては、例えば、特開2006−89595号公報、特開2004−352920号公報、特開2002−338688号公報、特開平07−97447号公報および特開平04−20530号公報に記載のポリエーテルスルホンが挙げられる。
ポリエーテルスルホンの中でもポリマー中にアレーン構造を有するポリエーテルスルホンを用いることにより、フィルムの結晶性が上昇し、ある一定温度以上の高温環境下においてもデバイスウエハの処理時に付加される剪断力に対してデバイスウエハを保持しうる剪断接着力を維持することが可能な仮接着用積層体が得られやすい。アレーン構造を有するポリエーテルスルホンとしては、例えば、式(IV)で表される構成単位を有するポリエーテルスルホンが挙げられる。
Figure 0006321163
式(IV)中、R1〜R3は、アレーン構造を有する2価の有機基であって、ただし式(IV)中の結合手はR1〜R3中のアレーン構造に直結している(すなわち、式(IV)中の−O−R1−O−、−O−R2−SO2−および−SO2−R3−O−における−O−および−SO2−は、R1〜R3中のアレーン構造に直結している)。R1〜R3は、それぞれ同一であっても異なってもよい。
2価の有機基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基およびピレンジイル基等のアリーレン基;−C64−C64−等の2つのアリーレン基が直接結合してなる基;式(IV−1)〜(IV−3)で示される2つのアリーレン基の間に2価の炭化水素基を有する基などが挙げられる。
Figure 0006321163
式(IV−1)〜(IV−3)中、*は結合手を示す。
ポリエーテルスルホンの重量平均分子量(Mw)は、1,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜500,000がより好ましい。ポリエーテルスルホンの数平均分子量をMnとするとき、Mw/Mnで示される分子量分布は、1〜5が好ましく、1〜3.5がより好ましい。
ポリエーテルスルホンとしては、市販品を用いることもできる。ポリエーテルスルホンの市販品としては、例えば、BASF社製の「UltrasonEシリーズ」(UltrasonE6020など)、ソルベイアドバンストポリマー社製の「レーデルAシリーズ」、住友化学社製の「スミカエクセルシリーズ」が挙げられる。「スミカエクセルシリーズ」としては、例えば、スミカエクセル(登録商標)PES3600P、スミカエクセル(登録商標)PES4100P、スミカエクセル(登録商標)PES4100MP、スミカエクセル(登録商標)PES4800P、スミカエクセル(登録商標)PES5003P、スミカエクセル(登録商標)PES5200P、スミカエクセル(登録商標)PES5400Pが挙げられる。
接着フィルムは、上記ポリマー成分をフィルムの全固形分に対して、50〜100質量%含有することが好ましく、70〜100質量%がより好ましく、88〜100質量%が特に好ましい。この態様によれば、接着性および剥離性に優れた仮接着用積層体を得やすい。ポリマー成分は上記に挙げた種類を複数含んでいてもよい。
また、ポリマー成分は、スチレン系エラストマーを50〜100質量%含有することが好ましく、80〜100質量%含有することがより好ましく、90〜100質量%含有することがさらに好ましく、スチレン系エラストマーのみで構成されていることが特に好ましい。この態様によれば、接着性および剥離性に優れた仮接着用積層体を得やすい。
<<<酸化防止剤>>>
接着フィルムは、加熱時の酸化によるポリマー成分の低分子化やゲル化を防止する観点から、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが使用できる。
フェノール系酸化防止剤としては例えば、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、BASF(株)製「Irganox(登録商標)1010」、「Irganox(登録商標)1330」、「Irganox(登録商標)3114」、「Irganox(登録商標)1035」、住友化学(株)製「Sumilizer(登録商標) MDP−S」、「Sumilizer(登録商標) GA−80」などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては例えば、3,3’−チオジプロピオネートジステアリル、住友化学(株)製「Sumilizer(登録商標) TPM」、「Sumilizer(登録商標) TPS」、「Sumilizer(登録商標) TP−D」などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスフィト、ジフェニルイソデシルホスフィト、2−エチルヘキシルジフェニルホスフィト、トリフェニルホスフィト、BASF(株)製「Irgafos(登録商標)168」、「Irgafos(登録商標)38」などが挙げられる。
キノン系酸化防止剤としては例えば、p−ベンゾキノン、2−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては例えば、ジメチルアニリンやフェノチアジンなどが挙げられる。
酸化防止剤は、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)1330、3,3’−チオジプロピオネートジステアリル、Sumilizer(登録商標) TP−Dが好ましく、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)1330がより好ましく、Irganox(登録商標)1010が特に好ましい。
また、上記酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤と、硫黄系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤とを併用することが好ましく、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが最も好ましい。特に、エラストマーとして、ポリスチレン系エラストマーを使用した場合において、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが好ましい。このような組み合わせにすることにより、酸化反応によるエラストマーの劣化を、効率よく抑制できる効果が期待できる。フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用する場合、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤との質量比は、フェノール系酸化防止剤:硫黄系酸化防止剤=95:5〜5:95が好ましく、25:75〜75:25がより好ましい。
酸化防止剤の組み合わせとしては、Irganox(登録商標)1010とSumilizer(登録商標) TP−D、Irganox(登録商標)1330とSumilizer(登録商標) TP−D、および、Sumilizer(登録商標) GA−80とSumilizer(登録商標) TP−Dが好ましく、Irganox(登録商標)1010とSumilizer(登録商標) TP−D、Irganox(登録商標)1330とSumilizer(登録商標) TP−Dがより好ましく、Irganox(登録商標)1010とSumilizer(登録商標) TP−Dが特に好ましい。
酸化防止剤の分子量は加熱中の昇華防止の観点から、400以上が好ましく、600以上がさらに好ましく、750以上が特に好ましい。
接着フィルムが酸化防止剤を有する場合、酸化防止剤の含有量は、接着フィルムの全固形分に対して、0.001〜20.0質量%が好ましく、0.005〜10.0質量%がより好ましい。
酸化防止剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。酸化防止剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<<高分子化合物>>>
接着フィルムは、必要に応じて上述したポリマー成分以外の高分子化合物を有していてもよい。
本発明においては、高分子化合物は任意のものを使用できる。高分子化合物は、重量平均分子量が2000以上の化合物であり、通常は、重合性基を含まない化合物である。高分子化合物の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることが好ましく、100,000〜300,000であることがより好ましい。
高分子化合物の具体例としては、例えば、炭化水素樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、テフロン(登録商標)、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテラフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂などの合成樹脂や、天然ゴムなどの天然樹脂が挙げられる。中でも、炭化水素樹脂、ノボラック樹脂、が好ましく、炭化水素樹脂がよりさらに好ましい。高分子化合物は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
炭化水素樹脂として任意のものを使用できる。
炭化水素樹脂は、基本的には炭素原子と水素原子のみからなる樹脂を意味するが、基本となる骨格が炭化水素樹脂であれば、側鎖としてその他の原子を含んでいても良い。すなわち、炭素原子と水素原子のみからなる炭化水素樹脂に、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂のように、主鎖に炭化水素基以外の官能基が直接結合する場合も本発明における炭化水素樹脂に包含されるものであり、この場合、主鎖に炭化水素基が直接結合されてなる繰り返し単位の含有量が、樹脂の全繰り返し単位に対して30モル%以上であることが好ましい。
上記条件に合致する炭化水素樹脂としては例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、変性ロジン、ロジン変性フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン石油樹脂、インデン石油樹脂、ポリスチレン−ポリオレフィン共重合体、オレフィンポリマー(例えば、メチルペンテン共重合体)、および、シクロオレフィンポリマー(例えば、ノルボルネン共重合体、ジシクロペンタジエン共重合体、テトラシクロドデセン共重合体)などが挙げられる。
炭化水素樹脂は、中でも、テルペン樹脂、ロジン、石油樹脂、水素化ロジン、重合ロジン、オレフィンポリマー、または、シクロオレフィンポリマーであることが好ましく、テルペン樹脂、ロジン、オレフィンポリマー、または、シクロオレフィンポリマーであることがより好ましく、テルペン樹脂、ロジン、オレフィンポリマー、または、シクロオレフィンポリマーであることがより好ましく、テルペン樹脂、ロジン、シクロオレフィンポリマー、または、オレフィンポリマーであることが更に好ましく、シクロオレフィンポリマーであることが特に好ましい。
シクロオレフィンポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれら重合体の水素化物などが挙げられる。シクロオレフィンポリマーの好ましい例としては、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体、および、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上をさらに含んでなる付加(共)重合体が挙げられる。また、シクロオレフィンポリマーの他の好ましい例としては、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体が挙げられる。
Figure 0006321163
式中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X1〜X3、および、Y1〜Y3は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR1314、−(CH2)nNR1516、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、または、X1とY1、X2とY2、若しくはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR17を表す。R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ、水素原子、または、炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基)、Zは、炭化水素基、または、ハロゲンで置換された炭化水素基を表し、Wは、SiR18 p3-p(R18は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子を表し、−OCOR18または−OR18を表し、pは0〜3の整数を示す)を表す。nは0〜10の整数を表す。
ノルボルネン系重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、US2004/229157A1号公報あるいはWO2004/070463A1号公報等に開示されている。ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合することによって得ることができる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエンとを付加重合することもできる。このノルボルネン系重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同5013、同6013、同6015などのペレットが発売されている。さらに、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
ノルボルネン系重合体の水素化物は、特開平1−240517号公報、特開平7−196736号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭62−19801号公報、特開2003−1159767号公報あるいは特開2004−309979号公報等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合した後、水素添加することにより製造できる。
一般式(III)中、R5およびR6は、水素原子またはメチル基であることが好ましく、X3およびY3は水素原子であることが好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系重合体は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250、同280、同480Rという商品名で市販されており、これらを使用することができる。
接着フィルムが、高分子化合物を有する場合、高分子化合物の含有量は、接着フィルムの全固形分に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、高分子化合物の含有量の上限は、仮止め接着剤の全固形分に対して、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が特に好ましい。
接着フィルムは、ポリマー成分以外の高分子化合物を実質的に含有しない構成とすることもできる。「高分子化合物を実質的に含有しない」とは、例えば、接着フィルムの全固形部に対し、高分子化合物の含有量が1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないことが一層好ましい。
<<<界面活性剤>>>
接着フィルムは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用でき、フッ素系界面活性剤が好ましい。界面活性剤を含有させることで、液特性(特に、流動性)が向上し、接着フィルムを塗布形成する場合において、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素含有率が3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%がより好ましく、7〜25質量%が更に好ましい。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的である。さらには、溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレートおよびプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」、「トーレシリコーンSH21PA」、「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
接着フィルムが界面活性剤を有する場合、界面活性剤の含有量は、接着フィルムの全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。
界面活性剤は1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。界面活性剤が2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<その他の添加剤>>
接着フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、硬化剤、硬化触媒、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は接着フィルムの全固形分の3質量%以下が好ましい。
<<離型層>>
本発明の仮接着用積層体は、接着フィルムの片方の表面(片面)または両方の表面(両面)に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を有する。
離型層の膜厚は、薄膜であっても効果が得られるので、特に限定はない。例えば、0.001〜1μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましい。上記範囲であれば、仮接着用積層体が適度な接着力を有し、デバイスウエハや支持体との接着性が良好であるとともに、仮接着用積層体を基材や支持体から容易に剥離することができる。
本発明において、離型層の平均厚みは、離型層の一方向に沿った断面において、一方の端面から他方の端面に向かって、等間隔で5か所の場所における厚みを、エリプソメトリーにより測定した値の平均値と定義する。「離型層の一方向に沿った断面」は、上述した「接着フィルムの一方向に沿った断面」と同義である。
離型層のフッ素含有率は、5〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、50〜75質量%が特に好ましい。フッ素含有率は、「{(1分子中のフッ素原子数×フッ素原子の質量)/1分子中の全原子の質量}×100」で定義される。
離型層は、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を、離型層の全固形分に対して、5〜100質量%含有することが好ましく、50〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が更に好ましい。離型層は複数の種類の離型剤を有していてもよい。
<<<離型剤>>>
離型剤は、フッ素原子を少なくとも含む化合物が好ましく、フッ素原子とケイ素原子を含む化合物がより好ましい。
また、離型剤は、シランカップリング剤が好ましく、フッ素原子を少なくとも含むシランカップリング剤がさらに好ましい。
フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤は、熱硬化性の化合物であっても非熱硬化性の化合物であってもよい。熱硬化性の化合物としては、例えば、シランカップリング剤などが挙げられる。このような化合物としては、フッ素原子が一分子中に2個以上含まれる、一般的にパーフルオロ基と呼ばれる基を有している化合物であることが好ましい。なお、離型剤がモノマー成分を含む場合においては、モノマー成分の少なくとも一部は、重合してポリマーとして存在している。
<<<<熱硬化性の化合物>>>>
熱硬化性の化合物としては、フッ素原子および架橋性基を有する化合物を好ましく使用できる。架橋性基としては例えば、水酸基又は加水分解可能な基を有するシリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、反応性不飽和二重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルオキシ基等)、開環重合反応性基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基等)、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、酸無水物、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が挙げられる。
これらの中でも、架橋性基として、水酸基又は加水分解可能な基を有するシリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、または反応性不飽和二重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルオキシ基等)を有する化合物が好ましい。
水酸基又は加水分解可能な基を有するシリル基を有する化合物としては、具体的には、フッ素原子を少なくとも一つ有する基と、シリル基を少なくとも一つ有する化合物が挙げられる。フッ素原子を少なくとも一つ有する基としては、フッ素原子が一分子中に2個以上含まれる、一般的にパーフルオロアルキル基またはパーフルオロエーテル基と呼ばれる基を有している化合物であることが好ましい。フッ素原子を有する基は置換基を有していてもよい。置換基としては、反応性や熱安定性の観点から任意に選択することができ、例えば、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基及びフェナントリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホニル基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;及びジアリールアミノ基チオキシ基;又はこれらの組み合わせが挙げられる。
シリル基としては、シラノール基または加水分解性シリル基を有することが好ましい。加水分解性シリル基とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は下記式(B−1)で表されるものが好ましい。
Figure 0006321163
式(B−1)中、Rh1〜Rh3の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基よりなる群から選択される加水分解性基、又は、ヒドロキシ基を表す。残りのRh1〜Rh3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機置換基(例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基を挙げることができる。)を表す。
式(B−1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
アルコキシ基としては、剥離性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
ハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子であり、より好ましくはCl原子である。
加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物は、上記式(B−1)で表される基を1つ以上有する化合物であることが好ましく、2つ以上有する化合物も使用することができる。
加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜4個の範囲で結合することができ、式(B−1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であることが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
好ましいアルコキシ基として、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などを挙げることができる。これらの各アルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよいし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシモノアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシジアルキルシリル基を挙げることができる。
フッ素原子およびシリル基を有する化合物としては、具体的には、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、メチルジクロロ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン、ジメチルクロロ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン、メチルジクロロ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン、オプツールDSX(ダイキン(株)製)、エフトップDB2−EOS(三菱マテリアル電子化成(株))が挙げられる。
フッ素原子を有する基および反応性不飽和二重結合を有する化合物としては、フッ素原子を有するラジカル重合性モノマーが挙げられ、以下の一般式(1)で表すことができる化合物が好ましい。
一般式(I):Rf{−L−Y}n
(式中、Rfは少なくとも炭素原子及びフッ素原子を含み、酸素原子及び水素原子のうちいずれかを含んでも良い、鎖状又は環状のn価の基を表し、nは2以上の整数を表す。Lは単結合又は二価の連結基を表す。Yは重合性基を表す。)
上記一般式(I)において、Yは重合性基であり、例えば、水酸基又は加水分解可能な基を有するシリル基(例えば、アルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、反応性不飽和二重結合を有する基((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルオキシ基等)、開環重合反応性基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基等)、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、酸無水物、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)等が好ましい。
より好ましくは、Yは、ラジカル重合性基を表し、反応性不飽和二重結合を有する基が更に好ましい。具体的には、Tは下記一般式(9)で表されるラジカル重合性官能基を表すことが好ましい。
Figure 0006321163
(一般式(9)中、R901〜R903は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。点線は、Lへ連結する基への結合を表す。)
アルキル基の例は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アリール基の例は、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。R901〜R903はとしては、なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。
Lは単結合又は二価の連結基を表す。二価の連結基としては、2価の脂肪族基、2価の芳香族基、−O−、−S−、−CO−、−N(R)−、及びこれらを2種以上組み合わせて得られる2価の連結基を表す。ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
Lがアルキレン基又はアリーレン基を有する場合、アルキレン基及びアリーレン基はハロゲン原子で置換されていることが好ましく、フッ素原子で置換されていることがより好ましい。
Rfは、少なくとも炭素原子及びフッ素原子を含み、酸素原子及び水素原子のうちいずれかを含んでも良い、鎖状又は環状のn価の基を表す。Rfは、フッ素原子を有する繰り返し単位を有する線状または分岐状の高分子構造であってもよい。
このようなフッ素原子を有するモノマーとしては、特開2011−48358号公報の段落番号0019〜0033に記載の化合物も好ましく使用でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、フッ素原子を有するラジカル重合性モノマーは、下記構造式(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
CH2=CR1COOR2f ・・・構造式(1)
(構造式(1)中、R1は、水素原子、またはメチル基を表す。R2は、−Cp2p−、−C(Cp2p+1)H−、−CH2C(Cp2p+1)H−、または−CH2CH2O−を表す。Rfは、−Cn2n+1、−(CF2nH、−Cn2n+1−CF3、−(CF2pOCn2ni2i+1、−(CF2pOCm2mi2iH、−N(Cp2p+1)COCn2n+1、または、−N(Cp2p+1)SO2n2n+1を表す。ただし、pは1〜10の整数、nは1〜16の整数、mは0〜10の整数、iは0〜16の整数をそれぞれ表す。)
CF2=CFORg・・・構造式(2)
(構造式(2)中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。)
CH2=CHRg・・・構造式(3)
(構造式(3)中、Rgは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表す。)
CH2=CR3COOR5j6OCOCR4=CH2・・・構造式(4)
(構造式(4)中、R3およびR4は、水素原子、またはメチル基を表す。R5およびR6は、−Cq2q−、−C(Cq2q+1)H−、−CH2C(Cq2q+1)H−または−CH2CH2O−、Rjは−Ct2tを表す。qは1〜10の整数であり、tは1〜16の整数である。)
CH2=CHR7COOCH2(CH2k)CHOCOCR8=CH2・・・構造式(5)
(構造式(5)中、R7およびR8は、水素原子、またはメチル基を表す。Rkは−CyF2y+1である。yは1〜16の整数である。)
構造式(1)で表されるモノマーとしては、例えば、CF3(CF25CH2CH2OCOCH=CH2、CF3CH2OCOCH=CH2、CF3(CF24CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、C715CON(C25)CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF27SO2N(CH2)CH2CH2OCOCH=CH2、CF2(CF27SO2N(C37)CH2CH2OCOCH=CH2、C25SO2N(C37)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、(CF32CF(CF26(CH23OCOCH=CH2、(CF32CF(CF210(CH23OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF24CH(CH3)OCOC(CH3)=CH2、CF3CH2OCH2CH2OCOCH=CH2、C25(CH2CH2O)2CH2OCOCH=CH2、(CF32CFO(CH25OCOCH=CH2、CF3(CF24OCH2CH2OCOC(CH3)=CH2、C25CON(C25)CH2OCOCH=CH2、CF3(CF22CON(CH3)CH(CH3)CH2OCOCH=CH2、H(CF26C(C25)OCOC(CH3)=CH2、H(CF28CH2OCOCH=CH2、H(CF24CH2OCOCH=CH2、H(CF2)CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF27SO2N(CH3)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF27SO2N(CH3)(CH210OCOCH=CH2、C25SO2N(C25)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF27SO2N(CH3)(CH24OCOCH=CH2、C25SO2N(C25)C(C25)HCH2OCOCH=CH2、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
構造式(2)または(3)で表されるフルオロアルキル化オレフィンとしては、例えば、C37CH=CH2、C49CH=CH2、C1021CH=CH2、C37OCF=CF2、C715OCF=CF2、C817OCF=CF2、などが挙げられる。
構造式(4)または(5)で表されるモノマーとしては、例えば、CH2=CHCOOCH2(CF23CH2OCOCH=CH2、CH2=CHCOOCH2(CF26CH2OCOCH=CH2、CH2=CHCOOCH2CH(CH2817)OCOCH=CH2、などが挙げられる。
フッ素原子を有するラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーとして、フッ素原子を有する繰り返し単位と、ラジカル重合性官能基を有する繰り返し単位とを有するオリゴマーも好ましく使用できる。
フッ素原子を有する繰り返し単位としては、下記式(6)、(7)および(10)で表される繰り返し単位の少なくとも1種から選択されることが好ましい。
Figure 0006321163
式(6)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又は1価の有機基を表し、R1、R2、R3、及び、R4の内の少なくとも一つは、フッ素原子、又は、フッ素原子を有する1価の有機基である。
式(7)中、R5、R6、R7は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又は1価の有機基を表し、Y1は、単結合、または、−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Rfは、フッ素原子、又は、フッ素原子を有する1価の有機基を表す。
式(10)中、R8、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又は1価の有機基を表し、Y2およびY3は、単結合、または、−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Rfは、フッ素原子を有する2価の有機基を表す。
式(6)及び式(7)中のフッ素原子を有する1価の有機基としては、特に限定はないが、炭素数1〜30の含フッ素アルキル基が好ましく、炭素数1〜20がより好ましく、炭素数1〜15の含フッ素アルキル基が特に好ましい。この含フッ素アルキル基は、直鎖(例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2H等)を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有していてもよく、エーテル結合(例えば、−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CF2OCF2CF2OCF2CF2H等)を有していてもよい。また、ペルフルオロアルキル基であってもよい。
式(10)中のフッ素原子を有する2価の有機基としては、特に限定はないが、炭素数1〜30の含フッ素アルキレン基が好ましく、炭素数1〜20がより好ましく、炭素数1〜15の含フッ素アルキレン基が特に好ましい。この含フッ素アルキレン基は、直鎖(例えば−CF2CF2−、−CH2(CF24−、−CH2(CF28CF2−、−CH2CH2(CF24−等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF3)CF2−、−CH2CF(CF3)CF2−、−CH(CH3)CF2CF2−、−CH(CH3)(CF25CF2−等)を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有する連結基でもよく、エーテル結合(例えば−CH2OCH2CF2CF2−、−CH2CH2OCH248−、−CH2CH2OCH2CH2816−、−CH2CF2OCF2CF2OCF2CF2−、−CH2CF2OCF2CF2OCF2CF2−、ポリパーフルオロアルキレンエーテル鎖等)を有していてもよい。また、ペルフルオロアルキレン基であってもよい。
式(6)、(7)、(10)中の1価の有機基は、3〜10価の非金属原子から構成される有機基であることが好ましく、例えば、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から選ばれる少なくとも1種以上の元素から構成される有機基が挙げられる。
より具体的な例としては、下記の構造が単独又は複数組み合わさって構成される有機基を挙げることができる。
1価の有機基は、更に置換基を有してもよく、導入可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、複素環基、等が挙げられる。また有機基は、エーテル結合、エステル結合、ウレイド結合を含んでいてもよい。
1価の有機基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が好ましい。アルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アルケニル基、炭素数2〜20のアルケニル基であることが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられる。アルキニル基は、炭素数3〜10のアルキニル基であることが好ましく、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アリール基は、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。更に、ヘテロ環基は、炭素数2〜10のヘテロ環基であることが好ましく、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基などが挙げられる。
式(6)中のR1、R2、R3、およびR4、式(7)中、R5、R6、R7、式(10)中、R8、R9、R10、R11、R12、R13はで表される1価の有機基としては、アルキル基又はアリール基が好ましくい。
アルキル基の例は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アリール基の例は、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。R901〜R903はとしては、なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(7)中のY1および、式(10)中のY2およびY3で表される−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基の具体例を以下に挙げる。なお、下記例において左側が主鎖に結合し、右側がRfに結合する。
L1:−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
L2:−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
L3:−CO−2価の脂肪族基−O−CO−
L4:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−
L5:−2価の脂肪族基−O−CO−
L6:−CO−NH−2価の芳香族基−O−CO−
L7:−CO−2価の芳香族基−O−CO−
L8:−2価の芳香族基−O−CO−
L9:−CO−O−2価の脂肪族基−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−
L10:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−2価の脂肪族基−O−CO−
L11:−CO−O−2価の芳香族基−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−
L12:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−2価の脂肪族基−O−CO−
L13:−CO−O−2価の脂肪族基−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−
L14:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−2価の芳香族基−O−CO−
L15:−CO−O−2価の芳香族基−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−
L16:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−2価の芳香族基−O−CO−
L17:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
L18:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
L19:−2価の芳香族基−2価の脂肪族基
L20:−2価の芳香族基−2価の脂肪族基−O−2価の脂肪族基−
L21:−2価の芳香族基−2価の脂肪族基−O−2価の脂肪族基−O−
L22:−CO−O−2価の脂肪族基−
L23:−CO−O−2価の脂肪族基−O−
ここで2価の脂肪族基とは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基またはポリアルキレンオキシ基を意味する。なかでもアルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基および置換アルキレン基がさらに好ましい。
2価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。2価の脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜12であることがさらに好ましく、1〜10であることがさらにまた好ましく、1〜8であることがよりさらに好ましく、1〜4であることが特に好ましい。
2価の脂肪族基の置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基およびジアリールアミノ基等が挙げられる。
2価の芳香族基の例としては、フェニレン基、置換フェニレン基、ナフタレン基および置換ナフタレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。2価の芳香族基の置換基の例としては、上記2価の脂肪族基の置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
フッ素原子を有する繰り返し単位の含有量は、フッ素原子を有するラジカル重合性オリゴマーの全繰り返し単位に対して、2モル%〜98モル%であることが好ましく、10モル%〜90モル%であることがより好ましい。
ラジカル重合性官能基を有する繰り返し単位としては、下記式(8)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0006321163
(一般式(8)において、R801〜R803は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子を表す。Y8は、単結合、または、−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Tはラジカル重合性官能基を有する構造を表す。)
801〜R803としてのアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
Tは一般式(9)で表されるラジカル重合性官能基を表すことが好ましい。
Figure 0006321163
(一般式(9)中、R901〜R903は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。点線は、Y8へ連結する基への結合を表す。)
アルキル基の例は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アリール基の例は、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。R901〜R903はとしては、なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。
8は、単結合、または、−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。組み合わせからなるY8の具体例を以下に挙げる。なお、下記例において左側が主鎖に結合し、右側が式(9)に結合する。
L1:−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
L2:−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
L3:−CO−2価の脂肪族基−O−CO−
L4:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−
L5:−2価の脂肪族基−O−CO−
L6:−CO−NH−2価の芳香族基−O−CO−
L7:−CO−2価の芳香族基−O−CO−
L8:−2価の芳香族基−O−CO−
L9:−CO−O−2価の脂肪族基−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−
L10:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−2価の脂肪族基−O−CO−
L11:−CO−O−2価の芳香族基−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−
L12:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−2価の脂肪族基−O−CO−
L13:−CO−O−2価の脂肪族基−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−
L14:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−2価の芳香族基−O−CO−
L15:−CO−O−2価の芳香族基−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−
L16:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−2価の芳香族基−O−CO−
L17:−CO−O−2価の芳香族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
L18:−CO−O−2価の脂肪族基−O−CO−NH−2価の脂肪族基−O−CO−
ここで2価の脂肪族基とは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基またはポリアルキレンオキシ基を意味する。なかでもアルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基および置換アルキレン基がさらに好ましい。
2価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。2価の脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜12であることがさらに好ましく、1〜10であることがさらにまた好ましく、1〜8であることがよりさらに好ましく、1〜4であることが特に好ましい。
2価の脂肪族基の置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基およびジアリールアミノ基等が挙げられる。
2価の芳香族基の例としては、フェニレン基、置換フェニレン基、ナフタレン基および置換ナフタレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。2価の芳香族基の置換基の例としては、上記2価の脂肪族基の置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
ラジカル重合性官能基を有する繰り返し単位の含有量は、フッ素原子を有するラジカル重合性オリゴマーの全繰り返し単位に対して、2モル%〜98モル%であることが好ましく、10モル%〜90モル%であることがより好ましい。
フッ素原子を有するラジカル重合性オリゴマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、2000〜20000であることが好ましく、2000〜15000がより好ましく、2000〜10000であることが最も好ましい。
ケイ素原子を有するラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーは、シリコーンモノマーまたはシリコーンオリゴマーであることが好ましく、例えば、ポリジメチルシロキサン結合の少なくとも片末端が(メタ)アクリロイル基およびスチリル基等のエチレン性不飽和基となっている化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
ケイ素原子を有するラジカル重合性オリゴマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の数平均分子量は、1,000〜10,000であることが好ましい。
ケイ素原子を有するラジカル重合性モノマーとしては、一般式(11)または(12)で示される化合物が好ましい。
Figure 0006321163
(一般式(11)及び(12)中、R11〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はアリール基を表す。Z11、Z12、及びZ13は、それぞれ独立に、ラジカル重合性基を表す。L11、L12、及び、L13はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。n及びmは、それぞれ独立に0以上の整数を表す。)
一般式(11)および(12)中、R11〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリール基を表す。
アルキル基は、直鎖状であっても、分枝鎖状であっても良く、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルコキシ基は、−OR20を意味するもので、R20はアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)を表し、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基は、−C(=O)R21を意味するもので、R21はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)を表し、具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等が挙げられる。アリール基は、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられ、それらは置換基を有していても良く、フェニルメチル(ベンジル)基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
11、L12、および、L13はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。二価の連結基としては、−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
nおよびmは、それぞれ独立に0以上の整数を表し、0〜100の整数が好ましく、0〜50の整数がより好ましい。
11、Z12、およびZ13は、それぞれ独立に、ラジカル重合性基を表し、下記一般式(i)〜(iii)のいずれかで表される官能基が特に好ましい。
Figure 0006321163
(一般式(i)中、R101〜R103はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。X101は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R104)−を表し、R104は、水素原子又は1価の有機基を表す。)
一般式(i)において、R101〜R103はそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。R101は、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子およびメチル基は、ラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R102およびR103は、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または、置換基を有してもよいアリールスルホニル基を表し、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
101は、酸素原子、硫黄原子、または−N(R104)−を表し、R104は、水素原子または1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。R104が、水素原子、メチル基、エチル基、または、イソプロピル基であることが、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Figure 0006321163
(一般式(ii)中、R201〜R205は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Y201は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R206)−を表す。R206は、水素原子又は1価の有機基を表す。)
一般式(ii)において、R201〜R205は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。R201〜R205は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または、置換基を有してもよいアリールスルホニル基であることが好ましく、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアリール基であることがより好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(i)で記載した置換基と同様のものが挙げられる。
201は、酸素原子、硫黄原子、または−N(R206)−を表す。R206は、一般式(i)のR104と同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 0006321163
(一般式(iii)中、R301〜R303は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。Z301は、酸素原子、硫黄原子、−N(R304)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R304は、一般式(i)のR104と同義である。)
一般式(iii)において、R301〜R303は、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を表す。R301は、水素原子、または、置換基を有してもよいアルキル基であることが好ましく、なかでも、水素原子、または、メチル基であることが、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。R302、および、R303は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または、置換基を有してもよいアリールスルホニル基であることが好ましく、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、または、置換基を有してもよいアリール基であることが、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(i)で記載した置換基と同様のものが挙げられる。Z301は、酸素原子、硫黄原子、−N(R304)−または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R304は、一般式(i)のR104と同義であり、1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、および、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
離型剤がケイ素原子を有するラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーを有する場合、ケイ素原子を有するラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーの含有量は、離型剤の全固形分に対して、0.01〜15質量%が好ましい。0.01質量%以上であれば、十分な剥離性が得られる。15質量%以下であれば、十分な接着力が得られる。ケイ素原子を有するラジカル重合性モノマー又はオリゴマーは1種類のみでもよいし、2種類以上であってもよい。ケイ素原子を有するラジカル重合性モノマー又はオリゴマーが2種類以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
フッ素原子又はシリコン原子を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、DIC株式会社製のRS−75、RS−72−K、RS−76−E、RS−72−K、ダイキン工業株式会社製のオプツールDAC−HP(フッ素系シランカップリング剤)、信越化学工業株式会社製のX−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E、ダイセル・サイテック株式会社製のEBECRYL350、EBECRYL1360、デグサ社製のTEGORad2700、UV−3500B(BYK社製)なども例示される。
フッ素原子又はシリコン原子を有する材料としては、上述の他、ヘプタデカフルオロ−1,1,2−テトラヒドラデシル)トリクロロシラン、(フルオロ)アルキルホスナート、フッ化パリレン、シリコンアクリレートコポリマー、テトラフルオロエチレンおよび2,2−ビス−トリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソールのコポリマー類、ペンダントペルフルオロアルコキシ基を持つポリマー、フッ化エチレン−プロピレンコポリマーなどが挙げられる。
<<<<非熱硬化性の化合物>>>>
非熱硬化性の化合物としては、非重合性のフッ素原子を有する高分子化合物が好ましい。非重合性のフッ素原子を有する高分子化合物としては、1種または2種以上の含フッ素単官能モノマーからなる重合体を好ましく使用できる。より具体的には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレンオキシド、ヘキサフルオロプロペンオキシド、パーフルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の含フッ素単官能モノマーの単独重合体又はこれらモノマーの共重合体、含フッ素単官能モノマーの1種又は2種以上とエチレンとの共重合体、含フッ素単官能モノマーの1種又は2種以上とクロロトリフルオロエチレンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種の含フッ素樹脂等を挙げることができる。
非重合性のフッ素原子を有する高分子化合物としては、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルから合成できるパーフルオロアルキル基含有の(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。
パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には下記式(101)で表される化合物であることが好ましい。
式(101)
Figure 0006321163
一般式(101)中、R101、R102、R103はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子を表す。Y101は、単結合、または、−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Rfはフッ素原子またはフッ素原子を少なくとも一つ有する一価の有機基である。
一般式(101)中、R101、R102、R103で表されるアルキル基の例は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アリール基の例は、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。R101〜R103はとしては、なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。
101は、単結合、または、−CO−、−O−、−NH−、2価の脂肪族基、2価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し、2価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。2価の脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜12であることがさらに好ましく、1〜10であることがさらにまた好ましく、1〜8であることがよりさらに好ましく、1〜4であることが特に好ましい。
2価の芳香族基の例としては、フェニレン基、置換フェニレン基、ナフタレン基および置換ナフタレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
101としては、2価の直鎖状構造の脂肪族基であることが好ましい。
Rfで表される、フッ素原子を有する一価の有機基としては、特に限定はないが、炭素数1〜30の含フッ素アルキル基が好ましく、炭素数1〜20がより好ましく、炭素数1〜15の含フッ素アルキル基が特に好ましい。この含フッ素アルキル基は、直鎖{例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等}であっても、分岐構造{例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2H等}を有していてもよく、また脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばペルフルオロシクロへキシル基、ペルフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)を有していてもよく、エーテル結合(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CF2OCF2CF2OCF2CF2H等)を有していてもよい。また、ペルフルオロアルキル基であってもよい。
パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル樹脂は、下記式(102)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
式(102)
Figure 0006321163
一般式(102)中、R101、R102、R103、Y101、Rfはそれぞれ、一般式(101)と同義であり、好ましい態様も同義である。
パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル樹脂は、剥離性の観点から任意にパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに加えて、共重合成分を選択することができる。共重合成分を形成し得るラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、N,N−2置換アクリルアミド類、N,N−2置換メタクリルアミド類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
より具体的には、例えば、アルキルアクリレート(アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましい)等のアクリル酸エステル類、(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリヌリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど)、アリールアクリレート(例えば、フェニルアクリレートなど)、アルキルメタクリレート(アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましい)等のメタクリル酸エステル類(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクゾレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど)、アリールメタクリレート(例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなど)、スチレン、アルキルスチレン等のスチレン(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲンスチレン(例えば、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、プロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリルアクリル酸、カルボン酸を含有するラジカル重合性化合物(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン、及びこれらの酸基の金属塩、アンモニウム塩化合物等)が挙げられる。剥離性の観点から特に、炭素数1〜24の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸のメチル、ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、グリシジルエステル等が挙げられ、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル等の高級アルコールの(メタ)アクリレート、特にアクリレートが好ましい。
非重合性のフッ素原子を有する高分子化合物として、市販されているものとしては、テフロン(登録商標)(デュポン社)、テフゼル(デュポン社)、フルオン(旭硝子社)、ヘイラー(SolvaySolexis社)、ハイラー(SolvaySolexis社)、ルミフロン(旭硝子社)、アフラス(旭硝子社)、セフラルソフト(セントラル硝子社)、セフラルコート(セントラル硝子社)、等のフッ素樹脂、ヴァイトン(デュポン社)、カルレッツ(デュポン社)、SIFEL(信越化学工業社)等の商標名のフッ素ゴム、クライトックス(デュポン社)、フォンブリン(ダイトクテック社)、デムナム(ダイキン工業社)等のパーフルオロポリエーテルオイルをはじめとする各種のフッ素オイルや、ダイフリーFB962等のダイフリーFBシリーズ(ダイキン工業社)、メガファックシリーズ(DIC社)等の商標名のフッ素含有離型剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、非重合性のフッ素原子を有する高分子化合物であればいかなるものでも好適に使用できる。
特に、DIC社製メガファックシリーズのF−251、F−281、F−477、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−560、F−561、F−563、F−565、F−567、F−568、F−571、R−40、R−41、R−43、R−94や、ネオス社製フタージェントシリーズの710F、710FM、710FS、730FL、730LMが好ましく使用できる。
非重合性のフッ素原子を有する高分子化合物の重量平均分子量は、2000〜100000が好ましく、2000〜50000がより好ましく、2000〜10000が最も好ましい。
<<<他の成分>>>
離型層は、離型剤に加えて、さらに本発明の効果を損なわない範囲において、目的に応じて種々の化合物を含むことができる。例えば、熱重合開始剤、増感色素、連鎖移動剤、酸化防止剤、界面活性剤を好ましく使用することができる。これらは、上述した接着フィルムで説明したものを用いることができる。
<仮接着用積層体の製造方法>
次に、本発明の仮接着用積層体の製造方法について説明する。
本発明の仮接着用積層体の製造方法は、上述した接着フィルムの表面に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を形成する工程を含む。
<<接着フィルムの製造方法>>
接着フィルムは、従来公知の方法により製造できる。例えば、溶融製膜法、溶液製膜法などにより製造できる。好ましくは溶融製膜法である。溶融製膜法であれば、平坦性を維持しながら厚膜化が可能である。更には、溶剤に溶解しにくいポリマー成分やその他添加剤を使用することもでき、材料選択の自由度が高い。特に、溶剤に溶解しにくい傾向がある、高耐熱性添加剤を用いることが可能であり、耐熱性に優れた接着フィルムが得られやすい。
溶融製膜法は、原料組成物を過熱して溶融することで流動性を実現し、この融液を押出成型装置や射出成型装置を使用してシート状にし、冷却することでフィルム(シート)を得る方法である。押出成型法では、平坦性のよい長尺フィルムを得ることができる。長尺フィルムの長さは、特に限定はないが、下限は、例えば5000mm以上が好ましく、1000mm以上がより好ましい。上限は、例えば500000mm以下が好ましく、200000mm以下がより好ましい。射出成型法では長尺フィルムを得ることは難しいが高い膜厚精度を得られる。他の添加剤も混合溶融撹拌することで添加することができる。フィルムの片面または両面に離型フィルムを貼合して、「離型フィルム付き接着フィルム」としても良い。
溶液製膜法は、原料組成物を溶剤で溶解することで流動性を実現し、この溶液をフィルムやドラムやバンドなどの支持体に塗工してシート状にし、乾燥することでフィルム(シート)を得る方法である。
溶剤としては、溶剤は、公知のものを制限なく使用でき、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート等のエステル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン、γブチロラクトン等のケトン類;
トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン等の芳香族炭化水素類;
リモネン、p−メンタン等の炭化水素類などが好適に挙げられる。
これらの溶剤は、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。この場合、特に好ましくは、メシチレン、p−メンタン、γブチロラクトン、アニソール、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
溶液の塗工方法としては、スリット状の開口から溶液を圧力で押し出して塗工する方法、グラビアやアロニクスローラーで溶液を転写して塗工する方法、スプレーやディスペンサーから溶液を吐出しながら走査して塗工する方法、溶液をタンクに溜めてその中にフィルムやドラムやバンドを通過させることでディップ塗工する方法、ワイヤバーで溶液を押流しながらかきとることで塗工する方法などが挙げられる。
支持体に溶液を塗工した後に、乾燥して固体化したシートになった後、シートを支持体から機械的に引き剥がすことにより、単体のフィルム(シート)を得ることができる。引き剥がしやすいように、予め支持体上に剥離性を付与する処理として、離型層の塗布、浸漬処理、ガス処理、電磁波照射処理、プラズマ照射処理などを行っても良い。あるいは、フィルムを支持体から引き剥がさずにそのまま残して、フィルム支持体上にシートが接着した状態のまま、「離型フィルム付き接着フィルム」としても良い。これらの処理を連続的に行うことで、ロール状の長尺フィルムを得ることができる。また、接着フィルムの両面に、離形フィルムを貼合して、「両面離型フィルム付き接着フィルム」としても良い。
<<離型層の形成方法>>
接着フィルムの表面に離型層を形成させる方法としては、ラミネート法、塗工法、共押出法が挙げられる。
ラミネート法は、離型フィルムに、上記離型剤を少なくとも含む組成物を塗工して、フィルム状の離型層(離型層フィルム)を形成し、接着フィルムの離型フィルムの無い面と、離型層フィルムの離型フィルムの無い面とを接触させて、ラミネートする方法である。
ラミネートは、ローララミネート(加熱、加圧してもよい)、真空ラミネート(加熱してもよい)など、公知の装置を使用可能である。接着フィルムの両面に離型層フィルムをラミネートすることで、接着フィルムの両面に離型層を設けることができる。
塗工法は、接着フィルムの離型フィルムの無い面に、離型層形成用溶液を塗布後、乾燥して形成する方法である。離型層形成用組成物は、上述した離型剤と溶剤とを含む溶液を用いることが好ましい。溶剤としては、離型剤を溶解可能なものであれば、何れも好ましく用いることができる。例えば、フロリナートFC40(3M社製)などが挙げられる。
接着フィルムを溶液製膜法で作成する場合は、インラインで、接着フィルム形成用溶液を塗布、乾燥後、巻き取らずに、離型層形成用溶液を塗布、乾燥しても良い。
また、接着フィルム形成用溶液と、離型層形成用溶液とが相溶性がないように溶液の物性を設計した場合には、同時に塗布し、同時に乾燥しても良い。
また、接着フィルム形成用溶液を塗布後、乾燥せずに、離型層形成用溶液を塗布し、両者を同時に乾燥しても良い。
また、接着フィルム形成用溶液と離型層形成用溶液が一旦は相溶するが、乾燥して濃度が高くなると相分離するような物性に設計した場合には、混合溶液を塗布し、乾燥中に接着フィルムと離型層に分離するようにしても良い。
また、接着フィルムの両面に離型層形成用溶液を塗工することで、接着フィルムの両面に離型層を設けることができる。
共押出法は、接着フィルム形成用の材料と、離型層形成用の材料をそれぞれ熱溶融し、同時に押出成型しながら一体化することによって、接着フィルムと離型層が一体になったシートを得る方法である。接着フィルム形成用の材料の両面に離型層形成用の材料を押出すことで、接着フィルムの両面に離型層を設けることができる。
本発明の仮接着用積層体は、溶剤含有率が、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
本発明の仮接着用積層体は、仮接着用積層体の片面または両面に、離型フィルムを貼合して「離型フィルム付き仮接着用積層体」としてもよい、この態様によれば、長尺状の仮接着用積層体をロール状に巻き取る際に、仮接着用積層体の表面に傷がついたり、保管中に貼りついたりするトラブルを防止することができる。
離型フィルムは、使用する際に剥離除去することができる。例えば、両面に離型フィルムが貼合されている場合においては、片面の離型フィルムを剥がし、接着面をデバイスウエハや支持体などにラミネートした後で、残った離型フィルムを剥がすことで、シート面の清浄をできるだけ保つことができる。
<接着性支持体>
次に、本発明の仮接着用積層体を用いた接着性支持体について説明する。
接着性支持体は、支持体の表面に、上述した仮接着用積層体を有する。
仮接着用積層体は、支持体上に、上述した本発明の仮接着用積層体をラミネートして形成することができる。例えば、仮接着用積層体を真空ラミネーターにセットし、本装置にて仮接着用積層体を支持体上に位置させ、真空下で、仮接着用積層体と支持体とを接触させ、ローラなどで圧着して仮接着用積層体を支持体に固定(積層)する方法などが挙げられる。また、支持体に固定された仮接着用積層体は、例えば円形状など、所望の形状にカットしてもよい。
接着性支持体において、仮接着用積層体は、接着フィルムの片面のみに離型層が形成されてなるものであってもよいし、両面に離型層が形成されてなるものであってもよい。また、片面のみに離型層が形成されている場合は、支持体側に離型層が配置されていてもよいし、支持体とは反対側の面に離型層が配置されていてもよい。
接着性支持体において、支持体(キャリア支持体ともいう)は特に限定されないが、例えば、シリコン基板、ガラス基板、金属基板、化合物半導体基板などが挙げられる。なかでも、半導体装置の基板として代表的に用いられるシリコン基板を汚染しにくい点や、半導体装置の製造工程において汎用されている静電チャックを使用できる点などを鑑みると、シリコン基板であることが好ましい。
支持体の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、300μm〜100mmが好ましく、300μm〜10mmがより好ましい。
支持体の表面には、離型層が設けられていてもよい。すなわち、支持体は、離型層付き支持体であってもよい。
離型層としては、フッ素原子および/またはケイ素原子を含む低表面エネルギー層が好ましく、フッ素原子および/またはケイ素原子を含む材料を有することが好ましい。離型層のフッ素含有率は、30〜80質量%が好ましく、40〜76質量%がより好ましく、60〜75質量%が特に好ましい。
離型層の材料としては、上述した仮接着用積層体の離型層で説明したものと同様のものを用いることができる。
<デバイスウエハ付き積層体>
次に、本発明のデバイスウエハ付き積層体について説明する。
本発明のデバイスウエハ付き積層体は、デバイスウエハと支持体との間に、上述した本発明の仮接着用積層体を有し、仮接着用積層体がデバイスウエハおよび支持体に接してなるものである。すなわち、仮接着用積層体の一方の表面がデバイスウエハのデバイス面に接し、他方の表面が支持体の表面に接している。
なお、仮接着用積層体が、接着フィルムの両面に離型層を有する場合は、一方の面の離型層は、デバイスウエハと接しており、他方の面の離型層は、支持体と接している。また、仮接着用積層体が、接着フィルムの片面のみに離型層を有する場合は、離型層は、デバイスウエハまたは支持体のいずれか一方のみと接している。
デバイスウエハは、公知のものを制限なく使用することができ、例えば、シリコン基板、化合物半導体基板などが挙げられる。化合物半導体基板の具体例としては、SiC基板、SiGe基板、ZnS基板、ZnSe基板、GaAs基板、InP基板、GaN基板などが挙げられる。
デバイスウエハの表面には、機械構造や回路が形成されていてもよい。機械構造や回路が形成されたデバイスウエハとしては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、パワーデバイス、イメージセンサー、マイクロセンサー、LED、光学デバイス、インターポーザー、埋め込み型デバイス、マイクロデバイスなどが挙げられる。
デバイスウエハは、金属バンク等の構造を有していることが好ましい。本発明によれば、表面に構造を有しているデバイスウエハに対しても、安定して仮接着できるとともに、デバイスウエハに対する仮接着を容易に解除できる。構造の高さは、特に限定はないが、例えば、1〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
機械的または化学的な処理を施す前のデバイスウエハの膜厚は、500μm以上が好ましく、600μm以上がより好ましく、700μm以上が更に好ましい。上限は、例えば、2000μm以下が好ましく、1500μm以下がより好ましい。
機械的または化学的な処理を施して薄膜化した後のデバイスウエハの膜厚は、例えば、500μm未満が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下が更に好ましい。下限は、例えば、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。
本発明のデバイスウエハ付き積層体において、支持体(キャリア支持体)としては、上述した接着性支持体で説明した支持体と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明のデバイスウエハ付き積層体は、上述した接着性支持体の、仮接着用積層体が形成された側の面と、デバイスウエハとを加熱圧着することにより製造できる。加圧接着条件は、例えば、温度100〜200℃、圧力0.01〜1MPa、時間1〜15分が好ましい。
また、支持体とデバイスウエハとの間に、上述した本発明の仮接着用積層体を配置し、加熱圧着して製造することもできる。
<半導体装置の製造方法>
以下、デバイスウエハ付き積層体を製造する工程を経た半導体装置の製造方法の一実施形態について、図1を合わせて参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1(A)〜(E)は、それぞれ、支持体とデバイスウエハとの仮接着を説明する概略断面図(図1(A)、(B))、支持体に仮接着されたデバイスウエハが薄型化された状態(図1(C))、支持体とデバイスウエハを剥離した状態(図1(D))、デバイスウエハから接着層を除去後の状態(図1(E))を示す概略断面図である。
この実施形態では、図1(A)に示すように、先ず、支持体12に仮接着用積層体11が設けられてなる接着性支持体100が準備される。接着性支持体100は、上述した方法で製造できる。接着性支持体100は、実質的に溶剤を含まない態様であることが好ましい。
デバイスウエハ60は、シリコン基板61の表面61aに複数のデバイスチップ62が設けられてなる。
シリコン基板61の厚さは、例えば、200〜1200μmが好ましい。デバイスチップ62は例えば金属構造体であることが好ましく、高さは10〜100μmが好ましい。
次いで、図1(B)に示す通り、接着性支持体100とデバイスウエハ60とを圧着させ、支持体12とデバイスウエハ60とを仮接着させる。
仮接着用積層体11は、デバイスチップ62を完全に覆っていることが好ましく、デバイスチップの高さがXμm、仮接着用積層体の厚みをYμmの場合、「X+100≧Y>X」の関係を満たすことが好ましい。
仮接着用積層体11がデバイスチップ62を完全に被覆していることは、薄型デバイスウエハのTTV(Total Thickness Variation)をより低下したい場合(すなわち、薄型デバイスウエハの平坦性をより向上させたい場合)に有効である。
すなわち、デバイスウエハを薄型化する際において、複数のデバイスチップ62を仮接着用積層体11によって保護することにより、支持体12との接触面において、凹凸形状をほとんど無くすことが可能である。よって、このようなに支持した状態で薄型化しても、複数のデバイスチップ62に由来する形状が、薄型デバイスウエハの裏面61b1に転写されるおそれは低減され、その結果、最終的に得られる薄型デバイスウエハのTTVをより低下することができる。
次いで、図1(C)に示すように、シリコン基板61の裏面61bに対して、機械的または化学的な処理(特に限定されないが、例えば、グライディングや化学機械研磨(CMP)等の薄膜化処理、化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD)などの高温・真空下での処理、有機溶剤、酸性処理液や塩基性処理液などの薬品を用いた処理、めっき処理、活性光線の照射、加熱・冷却処理など)を施して、図1(C)に示すように、シリコン基板61の厚さを薄くし(例えば、平均厚さ500μm未満であることが好ましく、1〜200μmであることがより好ましい)、薄型デバイスウエハ60aを得る。
また、機械的または化学的な処理として、薄膜化処理の後に、薄型デバイスウエハ60aの裏面61b1からシリコン基板を貫通する貫通孔(図示せず)を形成し、この貫通孔内にシリコン貫通電極(図示せず)を形成する処理を行ってもよい。具体的には、加熱処理における最高到達温度は130℃〜400℃が好ましく、180℃〜350℃がより好ましい。加熱処理における最高到達温度は、接着フィルムの軟化点よりも低い温度とすることが好ましい。加熱処理は、最高到達温度での30秒〜30分の加熱であることが好ましく、最高到達温度での1分〜10分の加熱であることがより好ましい。
次いで、図1(D)に示すように、支持体12を、薄型デバイスウエハ60aから脱離させる。脱離の方法は特に限定されるものではないが、何ら処理することなく薄型デバイスウエハ60aの端部から薄型デバイスウエハ60aに対して垂直方向に引き上げて剥離することが好ましい。このとき、剥離界面は、支持体12と仮接着用積層体11の界面で剥離されることが好ましい。この場合、支持体12と仮接着用積層体11の界面の剥離強度をA、デバイスウエハ表面61aと仮接着用積層体11の剥離強度Bとすると、以下の式を満たすことが好ましい。
A<B ・・・・式(1)
また、仮接着用積層体11に後述する剥離液に接触させ、その後、必要に応じて、支持体12に対して薄型デバイスウエハ60aを摺動させた後に、薄型デバイスウエハ60aの端部からデバイスウエハに対して垂直方向に引き上げて剥離することもできる。
<剥離液>
以下、剥離液について詳細に説明する。
剥離液としては、水および、溶剤(有機溶剤)を使用することができる。
また、剥離液としては、接着層11を溶解する有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)、極性溶剤が挙げられる。極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)等が挙げられる。
さらに、剥離性の観点から、剥離液は、アルカリ、酸、および界面活性剤を含んでいても良い。これらの成分を配合する場合、配合量は、それぞれ、剥離液の0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
さらに剥離性の観点から、2種以上の有機溶剤および水、2種以上のアルカリ、酸および界面活性剤を混合する形態も好ましい。
アルカリとしては、例えば、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、第二リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムなどの無機アルカリ剤や、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤を使用することができる。これらのアルカリ剤は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸としては、ハロゲン化水素、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸などの有機酸を使用することができる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性イオン系の界面活性剤を使用することができる。この場合、界面活性剤の含有量は、アルカリ水溶液の全量に対して1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
界面活性剤の含有量を上記した範囲内とすることにより、接着層11と薄型デバイスウエハ60aとの剥離性をより向上できる傾向となる。
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−アルキル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。この中で、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテル(ジ)スルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
カチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルイミダゾリニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールエチレンオキサイド付加物、フェノールエチレンオキサイド付加物、ナフトールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。この中で、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するものが好ましく、アルキル置換または無置換のフェノールエチレンオキサイド付加物またはアルキル置換または無置換のナフトールエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
両性イオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド系、アルキルベタインなどのベタイン系、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムなどのアミノ酸系が挙げられる。特に、置換基を有してもよいアルキルジメチルアミンオキシド、置換基を有してもよいアルキルカルボキシベタイン、置換基を有してもよいアルキルスルホベタインが好ましく用いられる。具体的には、特開2008−203359号公報の段落番号〔0256〕の式(2)で示される化合物、特開2008−276166号公報の段落番号〔0028〕の式(I)、式(II)、式(VI)で示される化合物、特開2009−47927号公報の段落番号〔0022〕〜〔0029〕で示される化合物を用いることができる。
さらに必要に応じ、消泡剤および硬水軟化剤のような添加剤を含有することもできる。
そして、図1(E)に示すように、薄型デバイスウエハ60aから仮接着用積層体11を除去することにより、薄型デバイスウエハを得ることができる。
仮接着用積層体11の除去方法は、例えば、仮接着用積層体をフィルム状のまま剥離除去(機械剥離)する方法、仮接着用積層体を剥離液で膨潤させた後に剥離除去する方法、仮接着用積層体に剥離液を噴射して破壊除去する方法、仮接着用積層体を剥離液に溶解させて溶解除去する方法、仮接着用積層体を活性光線、放射線または熱の照射により分解、気化して除去する方法などが挙げられる。仮接着用積層体をフィルム状のまま剥離除去する方法、仮接着用積層体を水溶液または有機溶剤に溶解させて溶解除去する方法が好ましく使用できる。溶剤の使用量削減の観点から、フィルム状のまま除去することが好ましく、フィルム状のまま除去するためには、デバイスウエハ表面61aと仮接着用積層体11の剥離強度Bが以下の式(2)を満たすことが好ましい。
B≦4N/cm ・・・・式(2)
本発明では、支持体12を薄型デバイスウエハ60aから剥離する際に、何ら処理することなく薄型デバイスウエハ60aの端部からデバイスウエハに対して垂直方向に引き上げて剥離することが好ましく、デバイスウエハ表面61a上の仮接着用積層体11を除去する方法としては、フィルム状のまま除去することが好ましい。
支持体12と仮接着用積層体11の界面の剥離強度をA、デバイスウエハ表面61aと接着層11の剥離強度Bとすると、上述した式(1)および(2)をともに満たすことにより、支持体12、仮接着用積層体11を、上述した態様で、デバイスウエハから除去することができる。
なお、デバイスウエハから支持体を剥離する際、デバイスウエハと仮接着用積層体との界面で剥離する場合(すなわち、デバイスウエハ側に仮接着用積層体が残らない場合)は、図1(E)の工程は省略することもできる。
支持体12を薄型デバイスウエハ60aから脱離した後、必要に応じて、薄型デバイスウエハ60aに対して、種々の公知の処理を施し、薄型デバイスウエハ60aを有する半導体装置を製造する。
また、支持体に仮接着用積層体が付着している場合は、仮接着用積層体を除去することにより、支持体を再生することができる。仮接着用積層体を除去する方法としては、フィルム状のままと、ブラシ、超音波、氷粒子、エアロゾルの吹付けにより物理的に除去する方法、水溶液または有機溶剤に溶解させて溶解除去する方法、活性光線、放射線、熱の照射により分解、気化させる方法などの化学的に除去する方法が挙げられるが、支持体に応じて、従来既知の洗浄方法を利用することができる。
例えば、支持体としてシリコン基板を使用した場合、従来既知のシリコンウエハの洗浄方法を使用することができ、例えば化学的に除去する場合に使用できる水溶液または有機溶剤としては、強酸、強塩基、強酸化剤、またはそれらの混合物が上げられ、具体的には、硫酸、塩酸、フッ酸、硝酸、有機酸などの酸類、テトラメチルアンモニウム、アンモニア、有機塩基などの塩基類、過酸化水素などの酸化剤、またはアンモニアと過酸化水素の混合物、塩酸と過酸化水素水の混合物、硫酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合物などが挙げられる。
再生した支持体を使った場合の接着性の観点から、支持体洗浄液を用いることが好ましい。
支持体洗浄液は、pKaが0未満の酸(強酸)と過酸化水素を含んでいることが好ましい。pKaが0未満の酸としては、ヨウ化水素、過塩素酸、臭化水素、塩化水素、硝酸、硫酸などの無機酸、又はアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸などの有機酸から選択される。支持体上の接着層の洗浄性の観点から無機酸であることが好ましく、硫酸が最も好ましい。
過酸化水素としては、30質量%過酸化水素水が好ましく使用でき、上記強酸と30質量%過酸化水素水との混合比は、質量比で0.1:1〜100:1が好ましく、1:1〜10:1がより好ましく、3:1〜5:1が最も好ましい。
<<従来の実施形態>>
次いで、従来の実施形態について説明する。
図2は、従来の接着性支持体とデバイスウエハとの仮接着状態の解除を説明する概略断面図である。
従来の実施形態においては、図2に示すように、接着性支持体として、支持体12の上に、従来の仮接着剤により形成された接着層11bが設けられてなる接着性支持体100aを使用し、それ以外は、図1を参照して説明した手順と同様に、接着性支持体100aとデバイスウエハとを仮接着し、デバイスウエハにおけるシリコン基板の薄膜化処理を行い、次いで、上記した手順と同様に、接着性支持体100aから薄型デバイスウエハ60aを剥離する。
しかしながら、従来の仮接着剤によれば、高い接着力により被処理部材を仮支持し、処理済部材に損傷を与えることなく、処理済部材に対する仮支持を容易に解除することが困難である。例えば、デバイスウエハと支持体との仮接着を充分にしようとするべく、従来の仮接着剤の内、接着性の高いものを採用すると、デバイスウエハと支持体との仮接着が強すぎる傾向となる。よって、この強すぎる仮接着を解除するべく、例えば、図3に示すように、薄型デバイスウエハ60aの裏面にテープ(例えば、ダイシングテープ)70を貼り付け、接着性支持体100aから薄型デバイスウエハ60aを剥離する場合においては、構造体63が設けられたデバイスチップ62から、構造体63が脱離するなどして、デバイスチップ62を破損する不具合が生じやすい。
一方、従来の仮接着剤の内、接着性が低いものを採用すると、処理済部材に対する仮支持を容易に解除することはできるが、そもそもデバイスウエハとキャリア基板との仮接着が弱すぎ、デバイスウエハをキャリア基板で確実に支持できないという不具合が生じやすい。
これに対し、本発明の仮接着用積層体は、充分な接着性を発現するとともに、デバイスウエハ60と支持体11との仮接着を容易に解除できる。すなわち、本発明の仮接着用積層体によれば、高い接着力によりデバイスウエハ60を仮接着できるとともに、薄型デバイスウエハ60aに損傷を与えることなく、薄型デバイスウエハ60aに対する仮接着を容易に解除できる。
本発明の半導体装置の製造方法は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
また、上述した実施形態においては、デバイスウエハとして、シリコン基板を挙げたが、これに限定されるものではなく、半導体装置の製造方法において、機械的または化学的な処理に供され得るいずれの被処理部材であっても良い。例えば、化合物半導体基板を挙げることもでき、化合物半導体基板の具体例としては、SiC基板、SiGe基板、ZnS基板、ZnSe基板、GaAs基板、InP基板、および、GaN基板などが挙げられる。
また、上述した実施形態においては、デバイスウエハ(シリコン基板)に対する機械的または化学的な処理として、デバイスウエハの薄膜化処理、および、シリコン貫通電極の形成処理を挙げたが、これらに限定されるものではなく、半導体装置の製造方法において必要ないずれの処理も挙げられる。
その他、上述した実施形態において例示した、デバイスウエハにおけるデバイスチップの形状、寸法、数、配置箇所等は任意であり、限定されない。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<仮接着用積層体の作成方法>
下記記載のフィルム作成用組成物を、厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(離型フィルム)上に、速度1m/分の速度でワイヤバーによって塗工し、140℃で10分間乾燥することによって、フィルム厚100μmの接着フィルムを作成した。
また、以下の表1記載の仮接着用積層体1−4、1−5、1−15、1−16、1−17、1−18におけるフィルム作成用組成物は、300℃5分間で溶融撹拌し、幅100μmのスリットから押し出すことで、フィルム厚100μmの押出成型シート(接着フィルム)を作成した。
また、以下の表1記載の仮接着用積層体1−R2におけるフィルム作成用組成物は、市販のポリイミドフィルム(カプトン、東レデュポン製)を押し出し、フィルム厚100μmの押出成型シート(接着フィルム)として使用した。
つづいて、接着フィルム上に、以下の離型層形成用塗布液を、バー塗布し、120℃で1分間、オーブン乾燥を行い、接着フィルムの両面に、厚さ60nmの離型層を有する仮接着用積層体を作成した。
[フィルム作成用組成物]
・表1記載のポリマー:表1に示す質量部
・Irganox(登録商標)1010(BASF(株)製):0.9質量部
・Sumilizer(登録商標)TP−D(住友化学(株)製):0.9質量部
・表1記載の溶剤:表1記載の質量部
[離型層形成用塗布液]
・表1記載の離型剤:表1記載の質量部
・表1記載の溶剤:表1記載の質量部
Figure 0006321163
表1中に記載の化合物は以下の通りである。
<ポリマー>
(a−1) セプトン2104(水添ポリスチレン系エラストマー、5%熱質量減少温度=400℃以上450℃未満、Mw=5万以上10万未満、クラレ(株)製)
(a−2) タフテックP2000(部分選択的水添ポリスチレン系エラストマー、5%熱質量減少温度=400℃以上450℃未満、Mw=5万以上10万未満、旭化成(株)製)
(a−3) UltrasonE6020(ポリエーテルスルホン、5%熱質量減少温度=450℃以上、BASF社製)
(a−4) ハイトレル7247(ポリエステル系エラストマー、5%熱質量減少温度=350℃以上400℃未満、東レデュポン社製)
(a−5) プリマロイCP300(ポリエステル系エラストマー、5%熱質量減少温度=350℃以上400℃未満、三菱化学社製)
(a−6) SIS−5200P(非水添ポリスチレン系エラストマー、250℃以上350℃未満、Mw=10万以上20万未満、JSR(株)製)
(a−7) サーモランZ102B(ポリオレフィン系エラストマー、三菱化学(株)製)
(a−8) PANDEX T−2185(ポリウレタン系エラストマー、DIC(株)製)
(a−9) UBESTA XPA9040F1(ポリアミド系エラストマー、5%熱質量減少温度=350℃以上400℃未満、宇部興産(株)製)
(a−10)XYRON S201A(ポリフェニレンエーテル、旭化成(株)製)
(Ra−1) カプトン(ポリイミド、5%熱質量減少温度=450℃以上、東レデュポン製)
<離型剤>
(b−1) メガファックF−553(フッ素基・親水基・親油基含有オリゴマー、オイル、Mw=0.2万以上2.0万未満、DIC社製)
(b−2) メガファックF−557(フッ素基・親水基・親油基含有オリゴマー、オイル、Mw=0.2万以上2.0万未満、DIC社製)
(b−3) ダイフリーFB962(フッ素系離型剤、Mw=0.2万以上2.0万未満、ダイキン社製)
(b−4) メガファックRS−72−K(30質量%溶液、反応性フッ素化合物、Mw=0.2万以上2.0万未満、DIC社製)
(b−5) オプツールDSX(20質量%溶液、フッ素系シランカップリング剤、ダイキン社製)
(b−6) トリクロロ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン (フッ素系シランカップリング剤、東京化成工業製)
(b−7) トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン (フッ素系シランカップリング剤、東京化成工業製)
(b−8) トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン (フッ素系シランカップリング剤、東京化成工業製)
(b−9) X−22−164 (シリコン系2官能モノマー 信越化学工業製)
<溶剤>
フッ素溶媒1:フロリナートFC40(3M社製)
PGMEA:プロピレングリコール−1−メチルエーテルアセテート
<接着性支持体1の作成>
上記方法で作成した接着フィルムを、真空ラミネーターにセットした。そして、本装置にて、接着フィルムを100mmSiウエハ(支持体)上に位置させ、真空下でSiウエハと接着フィルムの離型層の反対側の面とを接触させ、ローラにて、接着フィルムとSiウエハとを固定し、接着性支持体1を作成した。
<試験片の作製>
接着性支持体1の接着フィルムが形成された側の面と、100mmSiウエハ(デバイスウエハ)のデバイス面とを、真空下、190℃、0.11MPaの圧力で3分間圧着を行い、試験片を作製した。
<仮接着用積層体(1−R3)および試験片の作成方法>
上記ポリマー(a−1)を28.2質量部と、Irganox(登録商標)1010(BASF(株)製)を0.9質量部と、Sumilizer(登録商標)TP−D(住友化学(株)製)を0.9質量部と、メシチレン70質量部とを含む組成物を、100mmSiウエハにスピンコーター塗布した後、110℃で1分ベークし、さらに190℃で4分ベークすることで厚さ100μmの接着層を形成した。
次に、接着層の表面に、上記離型剤(b−5)を0.5質量部と、上記フッ素溶媒1を99.5質量部とを含む組成物をスピンコート塗布して120℃で30秒ベークし、さらに、190℃で3分加熱して、厚さ60nmの離型層を形成し、仮接着用積層体を有する接着性支持体1を作製した。
次に、接着性支持体1の仮接着用積層体が形成された側の面と、100mmSiウエハ(デバイスウエハ)のデバイス面とを、真空下、190℃、0.11MPaの圧力で3分間圧着を行い、試験片を作製した。
<平坦性>
仮接着用積層体の平均厚みを、接着性支持体の一方の端面から他方の端面に向かって、等間隔で5か所の場所における厚みを、エリプソメトリーにより測定した値の平均値(平均膜厚)と、最大厚みもしくは最小厚みとの差を測定し、以下の基準で評価した。
A:|平均膜厚−最大厚みもしくは最小厚み|が、0μm以上5μm未満
B:|平均膜厚−最大厚みもしくは最小厚み|が、5μm以上20μm未満
C:|平均膜厚−最大厚みもしくは最小厚み|が、20μm以上
<接着性>
試験片のせん断接着力を、引っ張り試験機((株)イマダ製デジタルフォースゲージ、型式:ZP−50N)を用いて、250mm/minの条件で接着層の面に沿った方向に引っ張り測定し、以下の基準で評価した。
A:50N以上の接着力
B:10N以上50N未満の接着力
C:10N未満の接着力
<剥離性>
試験片を、ダイシングテープマウンターの中央にダイシングフレームとともにセットし、ダイシングテープを上方から位置した。ローラー(および真空)で試験片とダイシングテープを固定し、ダイシングフレーム上でダイシングテープをカットし、ダイシングテープ上に試験片をマウントした。
試験片を500mm/minの条件で接着層の垂直方向に引っ張り、剥離性を確認した。また、作製された試験片を250℃で30分加熱した後に、同様に、250mm/minの条件で接着層の垂直方向に引っ張り、熱プロセス後の剥離性を確認し、以下の基準で評価した。なお、Siウエハの破損の有無は目視で確認した。
A:最大の剥離力が6N未満で剥離できた。
B:最大の剥離力が6N以上12N未満で剥離できた。
C:最大の剥離力が12N以上20N未満で剥離できた。
D:最大の剥離力が20N以上で剥離できたか、Siウエハが破損してしまった。
<除去性(溶解除去)>
剥離性試験終了後の接着フィルム付きSiウエハを、接着フィルムを上にしてスピンコーターにセットし、洗浄溶剤として下記表2に記載の溶剤を使用して、5分間噴霧した。更にスピン乾燥を行った。その後、外観を観察してSiウエハ上残存する接着フィルムの有無を目視でチェックし、以下の基準で評価した。
A:接着フィルムの残存が認められない
B:接着フィルムの残存が認められた
<除去性(フィルム除去)>
剥離性試験終了後の接着フィルム付きSiウエハ上に剥離用テープ(リンテック株式会社製)を、Siウエハ外周部の一部に貼り付け、剥離用テープを垂直方向に引っ張り、Siウエハ上より接着フィルムを機械剥離した。その後、外観を観察して薄型デバイスウエハ上に残存する接着フィルムの剥離残渣の有無を目視でチェックし、以下の基準で評価した。
A:破断することなく接着フィルムを除去でき、接着フィルムの剥離残渣が認められない。
B:剥離の途中で破断した。または、接着フィルムを除去できたが残渣が残った。
Figure 0006321163
上記結果より、実施例1〜18は、平坦性、接着性および剥離性が良好であった。更には、接着層の除去性が、溶解除去、フィルム除去のいずれにおいても良好であった。
一方、比較例1〜3は、平坦性、接着性および剥離性のいずれかが劣るものであった。
11、11a:接着層
12:支持体
60:デバイスウエハ
60a:薄型デバイスウエハ
61:シリコン基板
61a:表面
61b:、61b1:裏面
62:デバイスチップ
63:構造体
100:接着性支持体

Claims (15)

  1. デバイスウエハのデバイス面と支持体とを、剥離可能に仮接着するために用いる仮接着用積層体であって、
    ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンエーテルおよびポリエーテルスルホンから選ばれるポリマー成 分の少なくとも1種を含む熱可塑性フィルムと、
    前記熱可塑性フィルムの少なくとも一方の表面に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を有する、仮接着用積層体。
  2. 前記熱可塑性フィルムが、ポリスチレン系エラストマーおよびポリエーテルスルホンから選ばれるポリマー成分の少なくとも1種を含む請求項1記載の仮接着用積層体。
  3. 前記熱可塑性フィルムが、ポリマー成分として、ポリスチレン系エラストマーを含む請求項1に記載の仮接着用積層体。
  4. 前記ポリスチレン系エラストマーが、水添物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の仮接着用積層体。
  5. 前記ポリスチレン系エラストマーの、25℃から、20℃/分で昇温した5%熱質量減少温度が250℃以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の仮接着用積層体。
  6. 前記離型剤が、シランカップリング剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の仮接着用積層体。
  7. 前記熱可塑性フィルムの両方の表面に前記離型層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の仮接着用積層体。
  8. 前記熱可塑性フィルムの片方の表面のみに前記離型層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の仮接着用積層体。
  9. 前記熱可塑性フィルムの88〜100質量%が前記ポリマー成分である、請求項1〜8 のいずれか1項に記載の仮接着用積層体。
  10. ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリイミド系エラストマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテルおよびポリエーテルスルホンから選ばれるポリマー成分の少なくとも1種を含む熱可 塑性フィルムの表面に、フッ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも一種を含有する離型剤を含む離型層を形成する工程を含む、仮接着用積層体の製造方法。
  11. デバイスウエハと支持体との間に、請求項1〜のいずれか1項に記載の仮接着用積層体を有し、前記仮接着用積層体の一方の表面が前記デバイスウエハのデバイス面に接し、他方の表面が前記支持体の表面に接している、デバイスウエハ付き積層体。
  12. 前記仮接着用積層体は、熱可塑性フィルムの両方の表面に離型層を有する、請求項11に記載のデバイスウエハ付き積層体。
  13. 前記仮接着用積層体は、熱可塑性フィルムの片方の表面のみに離型層を有し、前記離型層が前記デバイスウエハの表面に接している、請求項11に記載のデバイスウエハ付き積層体。
  14. 前記仮接着用積層体は、熱可塑性フィルムの片方の表面のみに離型層を有し、前記離型層が前記支持体に接している、請求項11に記載のデバイスウエハ付き積層体。
  15. 前記熱可塑性フィルムの88〜100質量%が前記ポリマー成分である、請求項11〜 14のいずれか1項に記載のデバイスウエハ付き積層体。
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