JPWO2017056797A1 - 透明有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

透明有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017056797A1
JPWO2017056797A1 JP2017543020A JP2017543020A JPWO2017056797A1 JP WO2017056797 A1 JPWO2017056797 A1 JP WO2017056797A1 JP 2017543020 A JP2017543020 A JP 2017543020A JP 2017543020 A JP2017543020 A JP 2017543020A JP WO2017056797 A1 JPWO2017056797 A1 JP WO2017056797A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
layer
organic
metal
extraction electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017543020A
Other languages
English (en)
Inventor
黒木 孝彰
孝彰 黒木
孝敏 末松
孝敏 末松
小島 茂
茂 小島
周作 金
周作 金
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Publication of JPWO2017056797A1 publication Critical patent/JPWO2017056797A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/81Anodes
    • H10K50/814Anodes combined with auxiliary electrodes, e.g. ITO layer combined with metal lines
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/12Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces
    • H05B33/26Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces characterised by the composition or arrangement of the conductive material used as an electrode
    • H05B33/28Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces characterised by the composition or arrangement of the conductive material used as an electrode of translucent electrodes
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/02Details
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/02Details
    • H05B33/04Sealing arrangements, e.g. against humidity
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/02Details
    • H05B33/06Electrode terminals
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/12Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/88Terminals, e.g. bond pads
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K2102/00Constructional details relating to the organic devices covered by this subclass
    • H10K2102/301Details of OLEDs
    • H10K2102/302Details of OLEDs of OLED structures
    • H10K2102/3023Direction of light emission
    • H10K2102/3031Two-side emission, e.g. transparent OLEDs [TOLED]

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

本発明の課題は、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のない透明有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。本発明の透明有機エレクトロルミネッセンス素子は、両面発光が可能な、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス素子部と取出し電極部を有する透明有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機エレクトロルミネッセンス素子部の非発光時の可視光領域における全光線透過率(%)に対し、前記取出し電極部の可視光領域における全光線透過率(%)が、90〜110%の範囲内であることを特徴とする。

Description

本発明は、透明有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。より詳しくは、本発明は、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のない透明有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
現在、薄型の発光デバイスとして有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)を利用した発光素子が注目されている。
いわゆる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有している。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機EL素子は、対向する2枚の電極間に有機材料からなる発光層が配置された構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成され、透明電極側から発光光が取り出される。
一方、タイリングや意匠性の高さなどから、両面発光可能な実質的に透明な有機EL素子への要望が高まっている。
両面発光可能な有機EL素子として、特許文献1では、従来のITO(酸化インジウム−スズ)等を用いた透明な陽極(アノードともいう。)に加えて、陰極(カソードともいう。)を銀薄膜で形成することによって透明度を向上し、両面から発光光を取り出すことが可能な有機EL素子が報告されている。当該技術によれば、従来一般的な有機EL素子では可視光領域での光透過率が40%に満たないレベルであったものを、50%以上の光透過率まで改善することを可能にするものであるが、更に透明な有機EL素子への要望が高い。
一方、複数の透明有機EL素子をタイリングして用いる要望も高まっているが、発光部の周囲には封止/取出し電極等の機能部材が配置されており、これらの部分は一般的に固有の光透過率を有しており透明有機EL素子と透明性が全く異なることが問題となりつつある。例えば、従来のMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いると、当該MAM電極は光透過性が低いため、当該電極部が視認されて素子全体としては、視認した際に違和感を覚えるようになる。また、ITO等の高透明度の電極を取出し電極に用いると、前記有機EL素子との透明度の差が大きいために、逆にその部分が素抜けになり、これも視認した際に違和感を覚えるという問題があるばかりか、ITOでは導電性が低く、電圧降下を生じる等の課題がある。
また、特許文献2には、透明電極と金属細線を用いた補助電極を重ねて電気抵抗を下げ、当該補助電極を取り出す際に水分侵入抑制剤を用いる技術が開示されているが、金属細線部が封止材の外まで引き出される構造であるため、耐久性に問題があるばかりか、取出し電極として、これら公知技術においては、透明性を制御すると言った技術思想は全く開示されていない。
したがって、耐久性に優れ、低抵抗であり、かつ素子全体として視認性に違和感のない透明な取出し電極を有する透明有機EL素子への要望が高い。
特開2013−04245号公報 特開2015−115191号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のない透明有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、両面発光が可能な、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス素子部と取出し電極部を有する透明有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機エレクトロルミネッセンス素子部の非発光時の可視光領域における全光線透過率(%)に対し、前記取出し電極部の可視光領域における全光線透過率(%)が、特定の範囲内であることによって、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のない透明有機エレクトロルミネッセンス素子が得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.両面発光が可能な、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス素子部と取出し電極部を有する透明有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子部の非発光時の可視光領域における全光線透過率(%)に対し、前記取出し電極部の可視光領域における全光線透過率(%)が、90〜110%の範囲内であることを特徴とする透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記取出し電極部の表面抵抗値が、3Ω/□未満であることを特徴とする第1項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.フィルム基材上に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子部を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記取出し電極部が、少なくとも金属細線を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記取出し電極部が、少なくとも金属細線及び金属酸化物層を有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記金属細線の線幅が、30μm以下であることを特徴とする第4項又は第5項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記金属細線のパターン形状が、偏光抑制構造を有していることを特徴とする第4項から第6項までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記取出し電極部が封止領域内にのみ存在し、当該取出し電極部は封止領域内外のパス部分において平面構造の第2取出し電極部に接続されていることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の上記手段により、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のない有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、以下のように推察している。
有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極(アノードともいう。)及び陰極(カソードともいう。)と外部電源とを電気的に接続する取出し電極部の透明度も問題になる。従来公知の取出し電極部としてMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いると、当該MAM電極は光透過性が低いため、当該電極部が視認されて素子全体としては、視認性に違和感を覚えるようになる。また、ITO等の高透明度の電極を取出し電極部に用いると、前記有機EL素子との透明度の差が大きいために、逆にその部分が素抜けになり、これも視認性に違和感を覚えるという問題がある。
本発明に係る取出し電極部と前記有機エレクトロルミネッセンス素子部との透明度の関係を、特定の光透過率の範囲に調整することで、透明度に違和感を覚えない視認性に優れる透明有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
一方、取出し電極部の透明度を向上するために金属細線を用いる場合は、有機エレクトロルミネッセンス素子を観察したときに、金属細線のパターン形状によって偏光によるモアレが発生する場合があるが、金属細線形状パターンを本願発明のように偏光抑制構造に調整することで、偏光発生を抑制しモアレ等の観察されない視認性の向上した透明有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができるものと推察される。
本発明の透明有機EL素子の平面図 本発明の透明有機EL素子の断面図 本発明の透明有機EL素子の変形例を示す平面図 本発明の透明有機EL素子の変形例を示す平面図 本発明の透明有機EL素子の層構成を説明する概略断面図
本発明の透明有機エレクトロルミネッセンス素子は、両面発光が可能な、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス素子部と取出し電極部を有する透明有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機エレクトロルミネッセンス素子部の非発光時の可視光領域おける全光線透過率(%)に対し、前記取出し電極部の可視光領域における全光線透過率(%)が、90〜110%の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記取出し電極部の表面抵抗値が、3Ω/□未満であることが、低抵抗な電極によって素子の電圧降下を抑制する観点から、好ましい。
また、フィルム基材上に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子部を有することが、フレキシブル性を素子に付与する観点から、好ましい。
また、前記取出し電極部が、電極として少なくとも金属細線を有することが、低抵抗な電極によって電圧降下を抑制し、かつ透明性を確保する観点から、好ましい。
さらに当該取出し電極部として、金属細線及び金属酸化物層を有することが電極を低抵抗化する上で好ましく、前記金属細線の線幅が、30μm以下であることが、透明性を向上する観点から好ましい態様である。
また、前記金属細線のパターン形状が、偏光抑制構造を有していることは、モアレ等の発生がなく視認性を向上する観点から好ましい態様である。
さらに、前記取出し電極部が封止領域内にのみ存在し、当該取出し電極部は封止領域内外のパス部分において平面構造の第2取出し電極部に接続されていることが、封止層と電極の密着性を向上し、かつ有機エレクトロルミネッセンス素子の視認性を向上する観点から好ましい態様である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の透明有機エレクトロルミネッセンス素子の概要≫
本発明の透明有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という。)は、両面発光が可能な、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス素子部と取出し電極部を有する透明有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機エレクトロルミネッセンス素子部の非発光時の可視光領域における全光線透過率(%)に対し、前記取出し電極部の可視光領域における全光線透過率(%)が、90〜110%の範囲内であることを特徴とする。
本発明に係る可視光領域における全光線透過率の測定対象となる「有機エレクトロルミネッセンス素子部」とは、最小構成として、陽極、第1キャリア機能層群、発光層、第2キャリア機能層群、陰極及び封止基材とが積層された素子をいう。第1キャリア機能層群は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層等から構成され、第2キャリア機能層群は、例えば、正孔阻止層、電気輸送層、電子注入層等から構成されている。
ここで、前記可視光領域とは、光波長400〜700nmの範囲を指す。前記全光線透過率(%)は、例えば分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−3300)を用いて、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に記載された方法にて、光波長400〜700nmの範囲における全光線透過率(%)を測定し、その値を平均値化した値である。本発明でいう「透明」とは、当該全光線透過率(%)が30%以上であることをいい、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
本発明に係る有機EL素子部及び取出し電極部について図をもって説明する。
図1は、本発明の透明有機EL素子の平面図である。図1中、本発明に係る「有機EL素子部」とは、有機機能層2と当該有機機能層2を挟持するように形成されている陽極及び陰極(不図示)の全体をいい、本発明に係る「取出し電極部」とは第1取出し電極部5をいう。
本発明の透明有機EL素子(EL)は、透明基材1上に有機機能層2を形成し、当該有機機能層2を挟持するように隣接して形成されている陽極及び陰極(不図示)に第1取出し電極部5が接続されている。発光領域3を有する有機機能層2及び第1取出し電極部5を封止材によって完全に封止する封止領域4が形成されている。第1取出し電極部5は、封止領域4内外のパス部分において平面構造の第2取出し電極部6に接続する。第2取出し電極部6は、封止内外の接続を担う部分であり、高膜密度/低水蒸気透過率であることが好ましく、且つ可能な限り小面積であることが好ましい。
図2は、図1のX−X線に沿った面の透明有機EL素子の断面図である。
本発明の透明有機EL素子(EL)は、透明基材1上に陽極7、有機機能層2、陰極8がこの順に形成され、陽極7及び陰極8には第1取出し電極部5が接続されている。陽極7、有機機能層2、陰極8、第1取出し電極部5は、完全に封止領域4内にある。なお、必要であれば、樹脂基材1の裏面に帯電防止層や陰極8上に光学調整層9等の機能性層を形成してもよい。
図3及び図4は本発明の透明有機EL素子の変形例を示す平面図である。
図3は、第1取出し電極部5を発光領域3と同じ幅に配置し、陽極及び陰極(不図示)に第1取出し電極部5が接続されている。
図4は、第1取出し電極部5を片側に配置し、陽極及び陰極(不図示)に第1取出し電極部5が接続されている。いずれも、第1取出し電極部5を封止材によって完全に封止する封止領域4が形成されており、第1取出し電極部5は、封止領域4内外のパス部分において平面構造の第2取出し電極部6に接続している。
これらの構造にすることで、複数素子のタイリングにおいて取出し電極を挟むことなく発光域を大面積化し易くなり好ましい。
図3の構成に関しては、上下方向にタイリングし細長いパネルとして形成可能であり。これら細長パネルを横方向に並べることで透明パーティションを形成可能である。
〔1〕取出し電極部
本発明でいう「取出し電極部」とは、透明な陽極(アノード)及び透明な陰極(カソード)と外部電源とを電気的に接続するものであって、「引き出し電極部」ともいう。従来のMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等を取出し電極部の金属膜として用いると、当該MAM電極は光透過性が低いため、前記有機EL素子部において当該電極部が視認されて有機EL素子全体としては、透明度にばらつきが生じ、視認性に違和感を覚えるようになる。また、ITO等の高透明度の電極を取出し電極部に用いると、前記有機EL素子部との透明度の差が大きいために、逆にその部分が素抜けになり、これも視認性に違和感を覚えるという問題がある。
本発明では、取出し電極部の可視光領域での全光線透過率(%)が、前記非発光時の有機EL素子部の全光線透過率(%)の90〜110%の範囲内である。より好ましくは、95〜105%の範囲内であり、さらに好ましくは98〜102%の範囲内である。
本発明に係る取出し電極部は、金属薄膜層、金属酸化物層、金属細線と金属酸化物層との組み合わせ、金属細線と金属薄膜層の組み合わせ及び金属細線と導電性ポリマー層の組み合わせ等の金属細線(グリッドともいう。)と導電層を用いる電極から選択できるが、金属細線を用いた電極を採用することが、低抵抗化の観点で好ましい。
〔1.1〕金属細線を用いる取出し電極部
本発明に係る取出し電極部は、透明性と低抵抗化の観点から、金属細線と金属酸化物層との組み合わせ、金属細線と導電性ポリマー層の組み合わせ、及び金属細線と金属薄膜層の組み合わせ等の金属細線(グリッドともいう。)を用いる電極から選択することが好ましい。中でも、金属細線と金属酸化物層との組み合わせが、透明性と低抵抗化をより向上する観点から好ましい。以下、金属細線を用いる取出し電極部について詳細に説明する。
〔1.1.1〕金属細線
取出し電極部を構成する金属細線パターンは、金属を主成分とし、導電性を得ることができる程度の金属の含有比率で形成されている。金属細線パターン中の金属の比率は、好ましくは50質量%以上である。
金属細線を設けた取出し電極部の表面抵抗値としては、100Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、3Ω/□以下であることがさらに好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
取出し電極部を構成する金属細線パターンは、金属材料を含有し、透明基材である、例えば樹脂基材上に開口部を有するようにパターン状に形成されている。開口部とは、透明な基材を用いた場合、金属細線パターンを有さない部分であり、金属細線パターンの透光性部分である。例えば、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。
金属細線パターンのパターン形状には特に制限はない。金属細線パターンのパターン形状としては、例えば、ストライプ状(平行線状)、格子状、ハニカム状、ランダムな網目状等が挙げられるが、細線パターン形状によっては偏光によるモアレが発生することがあるため、透明性及び偏光性抑制の観点から、格子状、ハニカム状であることがより好ましい。中でも、6方放射状(*格子)、8方放射状(+及び×の組合せ格子)であることがより好ましく、特に好ましくは6方放射状(*格子)、8方放射状(+及び×の組合せ格子)である。
また、透明な基板を用いる場合、開口部が占める割合、すなわち開口率は透明性の観点から、最適設計する必要がある。本願の特徴は、透明有機EL素子の透過率に取出し電極の透過率を揃えることが特徴であり、その制御は開口率で調整できる。即ち取出し電極の透過率は、金属細線パターン(一般に、Gridともいう。)で形成される開口率と金属酸化物等の面電極の透過率との組合せにより容易に調整可能である。
本発明の取出し電極部の全光線透過率の調整は、前記開口率で調整することが好ましい。金属細線パターン電極を用いない場合は、吸収の大きい金属薄膜電極と吸収の少ない金属酸化物電極の組合せにより、上記と同様に透過率の調整が可能である。この様な方法は、金属細線パターン電極の課題であるモアレ等の問題を生じることなく、好ましい一態様である。
金属細線パターンの線幅は、好ましくは10〜200μmの範囲内であり、更に好ましくは10〜100μmの範囲内、特に好ましくは10〜30μmの範囲内である。金属細線パターンの線幅が10μm以上で所望の導電性が得られ、また、200μm以下とすることで電極透明性が向上する。取出電極部の細線パターンの視認性を低下するためには、全幅を小さくすることが好ましく、特に30μm未満であれば細線パターンの視認性は十分に低下するため、透明性は良好となる。
ストライプ状、格子状のパターンにおいては、金属細線パターンの間隔は、0.5〜4mmの範囲内であることが好ましい。一般的に線幅が太い場合は間隔は広く、線幅が細い場合は間隔は狭くすることでトータルの開口率を調整して使用することが好ましく、30μm以下の線幅で300μm未満の間隔で線を配置した場合、観察した場合に線を感じることのない均一な濃度の膜に感じられる。
金属細線パターンの高さ(厚さ)は、0.1〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜2.0μmの範囲内であることがより好ましい。金属細線パターンの高さが0.1μm以上で所望の導電性が得られ、また、5.0μm以下とすることで有機EL素子に用いる場合に、その凹凸差が機能層の層厚分布に与える影響を軽減できる。
金属細線パターンは、金属又は金属の形成材料が配合された金属インク組成物を調製し、塗布した後、乾燥処理や焼成処理等の後処理を適宜選択して行い、金属細線パターンを形成することが好ましい。
金属インク組成物に配合される金属(単体金属又は合金)としては、粒子状又は繊維状(チューブ状、ワイヤ状等)であることが好ましく、金属ナノ粒子であることがより好ましい。また、金属原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属を生じる、金属の形成材料から形成されていることが好ましい。金属インク組成物中の金属及び金属の形成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
本発明でいう金属ナノ粒子とは、粒子径が原子スケールからnmサイズの微粒子状の金属又は金属酸化物のことをいう。
金属ナノ粒子に使用される金属としては、例えば、金、銀、銅及び白金等の金属又は、これらを主成分とした合金等が挙げられる。これらの中でも、光の反射率が優れ、得られる有機電子デバイスの効率をより一層向上できる観点から、金及び銀が好ましい。これらの金属又は合金は、いずれか1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
金属インク組成物としては、金属ナノ粒子の表面を保護剤で被覆し、溶媒に安定して独立分散させた構成の金属コロイドや金属ナノ粒子分散液であることが好ましい。
金属インク組成物における金属ナノ粒子の平均粒径としては、原子スケールから1000nm以下のものが好ましく適用できる。特に、金属ナノ粒子は、平均粒径が3〜300nmの範囲内であるものが好ましく、5〜100nmの範囲内であるものがより好ましく用いられる。特に、平均粒径3〜100nmの範囲内の銀ナノ粒子が好ましい。また、金属ナノワイヤとは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmである銀ワイヤが好ましい。
ここで、金属ナノ粒子及び金属コロイドの平均粒子径、金属ナノワイヤの幅は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、上記分散体中の金属ナノ粒子の粒子径、金属ナノワイヤの幅を測定して求めることができる。例えば、TEMの画像で観察される粒子のうち、重なっていない独立した300個の金属ナノ粒子の粒子径を計測して、平均粒子径を算出することができる。
金属コロイドにおいて、金属ナノ粒子の表面を被覆する保護剤としては、有機π接合配位子が好ましい。金属ナノ粒子に有機π共役系配位子がπ接合することにより、金属コロイドに導電性が付与される。
上記有機π接合配位子としては、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体及びポルフィリン誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が好ましい。
また、上記有機π接合配位子としては、金属ナノ粒子への配位や、分散媒中での分散性を向上させるために、置換基としてアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホスフィン基、ホスフォン酸基、スルフォン酸基、ハロゲン基、セレノール基、スルフィド基、セレノエーテル基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、及び、これらの塩から選ばれる少なくとも1種の置換基を有することが好ましい。
また、有機π接合配位子として、国際公開第2011/114713号に記載の有機π共役系配位子を用いることができる。
上記有機π接合配位子の具体的な化合物としては、下記のOTAN、OTAP、及び、OCANから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
OTAN: 2,3,11,12,20,21,29,30−オクタキス[(2−N,N−ジメチルアミノエチル)チオ]ナフタロシアニン
OTAP: 2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス[(2−N,N−ジメチルアミノエチル)チオ]フタロシアニン
OCAN:2,3,11,12,20,21,29,30−ナフタロシアニンオクタカルボン酸
有機π接合配位子を含有する金属ナノ粒子分散液の調製方法としては、液相還元法があげられる。また、本実施形態の有機π接合配位子の製造及び有機π接合配位子を含有する金属ナノ粒子分散液の調製は、国際公開第2011/114713号の段落[0039]〜[0060]に記載の方法に準じて行なうことができる。
金属コロイドの平均粒子径は、通常は3〜500nmの範囲であり、好ましくは5〜50nmの範囲である。金属コロイドの平均粒子径が上記範囲内であると、粒子間の融着が起こり易くなり、得られる金属細線パターンの導電性を向上させることができる。
金属ナノ粒子分散液において、金属ナノ粒子の表面を被覆する保護剤としては、200℃以下の低い温度にて配位子がはずれる保護剤を用いることが好ましい。これにより、低温又は低エネルギーにより、保護剤がはずれ、金属ナノ粒子の融着がおき、導電性を付与できる。
具体的には特開2013−142173号公報、特開2012−162767号公報、特開2014−139343号公報、特許第5606439号公報などに記載の金属ナノ粒子分散液が例として挙げられる。
金属の形成材料としては、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物(金属−炭素結合を有する化合物)等を挙げることができる。金属塩及び金属錯体は、有機基を有する金属化合物及び有機基を有しない金属化合物のいずれでもよい。金属インク組成物に金属の形成材料を用いることで、材料から金属が生じ、この金属を含む金属細線パターンが形成される。
金属銀の形成材料としては、「AgX」で表される銀化合物と、アンモニウムカルバメート系化合物とを反応させて作製された有機銀錯体化合物を用いることが好ましい。「AgX」において、nは1〜4の整数であり、Xは酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、及び、カルボキシレートで構成された群から選択される置換基である。
上記銀化合物としては、例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、及び、シュウ酸銀透等を挙げることができる。銀化合物としては、酸化銀や炭酸銀を使用することが反応性や後処理面で好ましい。
アンモニウムカルバメート系化合物としては、例えば、アンモニウムカルバメート、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリウムモルホリンカルバメート、ピリジニュムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート等を挙げることができる。上記アンモニウムカルバメート系化合物のうち、1次アミン置換されたアルキルアンモニウムアルキルカルバメートは、反応性及び安定性面で2次又は3次アミンより優れるため好ましい。
上記有機銀錯体化合物は、特開2011−48795号公報に記載の方法により作製することができる。例えば、上記銀化合物の1種以上と、上記アンモニウムカルバメート系化合物の1種以上とを、窒素雰囲気の常圧又は加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応させることができる。また、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒等の溶媒を使用して反応させることができる。
有機銀錯体化合物の構造は「Ag[A]」で表すことができる。なお、「Ag[A]」において、Aは上記アンモニウムカルバメート系化合物であり、mは0.7〜2.5である。
上記有機銀錯体化合物は、メタノールのようなアルコール類、エチルアセテートのようなエステル類、テトラヒドロフランのようなエーテル類溶媒など、有機銀錯体化合物を製造する溶媒を含む多様な溶媒によく溶ける。このため、有機銀錯体化合物は、金属インク組成物として、塗布やプリンティング工程に容易に適用可能である。
また、金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
カルボン酸銀としては、特開2015−66695号公報に記載のβ−ケトカルボン酸銀、及び、カルボン酸銀(4)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。なお、金属銀の形成材料としては、β−ケトカルボン酸銀及びカルボン酸銀(4)だけではなく、これらを包括する、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀を用いることができる。
また、金属インク組成物に金属の形成材料として上記カルボン酸銀を含む場合、カルボン酸銀と共に、炭素数25以下のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩、アンモニア、並びにアミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物が配合されていることが好ましい。
アミン化合物としては、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基「−NH」を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
〈金属細線パターンの形成方法〉
樹脂基材上に金属細線パターンを形成する例を説明する。金属細線パターンは、例えば、前記金属インク組成物を用いて形成する。金属細線パターンの形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が利用できる。この従来公知の金属細線パターンの形成方法としては、例えば、フォトリソ法、塗布法、印刷法を応用した方法等を利用できる。
金属インク組成物は、上述の金属ナノ粒子と、溶媒とを含有し、分散剤、粘度調整剤、バインダ等の添加剤が含有されてもよい。金属ナノ粒子含有組成物に含有される溶媒としては特に制限はないが、中赤外線照射により効率的に溶媒を揮発できる点で、OH基を有する化合物が好ましく、水、アルコール、グリコールエーテルが好ましい。
金属ナノ粒子含有組成物に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ファルネソール、デデカジエノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、ヘプタジエノール、テトラデセノール、ヘキサデセネオール、フィトール、オレイルアルコール、デデセノール、デセノール、ウンデシレニルアルコール、ノネノール、シトロネロール、オクテノール、ヘプテノール、メチルシクロヘキサノール、メントール、ジメチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキセノール、テルピネオール、ジヒドロカルベオール、イソプレゴール、クレゾール、トリメチルシクロヘキセノール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘプタンジオール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
印刷法により金属ナノ粒子含有組成物のパターンを形成する場合には、一般的に電極パターン形成に使われる方法が適用可能である。具体的な例として、グラビア印刷法については特開2009−295980号公報、特開2009−259826号公報、特開2009−96189号公報、特開2009−90662号公報記載の方法等が、フレキソ印刷法については特開2004−268319号公報、特開2003−168560号公報記載の方法等が、スクリーン印刷法については特開2010−34161号公報、特開2010−10245号公報、特開2009−302345号公報記載の方法等が、インクジェット印刷法については特開2011−180562号公報、特開2000−127410号公報、特開平8−238774号公報記載の方法等が例として挙げられる。
フォトリソ法により金属ナノ粒子含有組成物のパターンを形成する場合には、具体的には、下地層15上の全面に、印刷又は塗布にて金属インク組成物を形成し、後述する乾燥処理及び焼成処理を行った後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のパターンに加工する。
次に、樹脂基材上に塗布された金属ナノ粒子含有組成物の乾燥処理を行なう。乾燥処理は、公知の乾燥法を用いて行うことができる。乾燥法としては、例えば、空冷乾燥、温風等を用いた対流伝熱乾燥、赤外線等を用いた輻射電熱乾燥、ホットプレート等を用いた伝導伝熱乾燥、真空乾燥、マイクロ波を用いた内部発熱乾燥、IPA蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、凍結乾燥等を用いることができる。
加熱乾燥では、50〜200℃の温度範囲で、樹脂基材の変形がない温度で行なうことが好ましい。樹脂基材の表面温度が、50〜150℃となる条件で加熱することがより好ましい。基板にPET基板を用いる場合は、100℃以下の温度範囲で加熱することが特に好ましい。焼成時間は温度や使用する金属ナノ粒子の大きさにもよるが、10秒〜30分の範囲内であることが好ましく、生産性の観点から、10秒〜15分の範囲内であることがより好ましく、10秒〜5分の範囲内であることが特に好ましい。
乾燥処理においては、赤外線照射による乾燥処理を行なうことが好ましい。特に、波長制御赤外線ヒーター等により特定の波長領域を選択的に照射することが好ましい。特定の波長領域を選択的に用いることにより、樹脂基材の吸収領域のカットや、金属インク組成物の溶媒に有効な特定の波長を選択的に照射することができる。特に光源のフィラメント温度が1600〜3000℃の範囲内にある赤外線ヒーターを用いることが好ましい。
次に、乾燥させた金属インク組成物のパターンの焼成処理を行なう。なお、金属インク組成物に含まれる金属組成物の種類(例えば、上述のπ接合有機配位子を有する銀コロイド等)によっては、乾燥処理で十分導電性が発現するため、焼成工程を行わなくてもよい。
金属インク組成物のパターンの焼成は、フラッシュランプを用いた光照射(フラッシュ焼成ともいう。)により行なうことが、透明電極10の導電性向上のため好ましい。フラッシュ焼成で用いられるフラッシュランプの放電管としては、キセノン、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の放電管を用いることができるが、キセノンランプを用いることが好ましい。
フラッシュランプの好ましいスペクトル帯域としては、240〜2000nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、フラッシュ焼成による樹脂基材の熱変形等のダメージが少ない。
フラッシュランプの光照射条件は任意であるが、光照射エネルギーの総計が0.1〜50J/cmの範囲内であることが好ましく、0.5〜10J/cmの範囲内であることがより好ましい。光照射時間は、10μ秒〜100m秒の範囲内が好ましく、100μ秒〜10m秒の範囲内がより好ましい。また、光照射回数は1回でも複数回でも良く、1〜50回の範囲で行うのが好ましい。これらの好ましい条件範囲でフラッシュ光照射を行うことにより、樹脂基材にダメージを与えることなく金属細線パターンを形成できる。
樹脂基材に対するフラッシュランプ照射は、樹脂基材の金属インク組成物のパターンが形成されている側から行なうことが好ましい。樹脂基材が透明な場合には、樹脂基材側から照射してもよく、樹脂基材の両面から照射してもよい。
また、フラッシュ焼成の際の樹脂基材の表面温度は、樹脂基材の耐熱温度や、金属インク組成物に含まれる溶媒の分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、金属インク組成物の分散性や酸化性等の熱的挙動などを考慮して決定すればよく、室温以上200℃以下で行うことが好ましい。
フラッシュランプの光照射装置は上記の照射エネルギー、照射時間を満足するものであればよい。また、フラッシュ焼成は大気中で行ってもよいが、必要に応じ、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。特に、不活性ガス雰囲気中で行うことが、金属細線中に不純物の生成を抑制する観点から、好ましい。
また、金属細線パターン上にメッキ層を形成することもできる。当該メッキ層はメッキ層の塗布液を凹版印刷法、孔版印刷法、インクジェット法等により塗布してメッキ処理することにより形成することができる。メッキ処理としては、通電により塗布液中の金属を析出させて金属被膜を形成する電界メッキ処理、通電ではなく、還元剤の酸化作用によって塗布液中の金属を析出させる無電解メッキ処理がある。
メッキ層の塗布液としては、例えば溶媒中にメッキ核となる導電性物質を含有する塗布液を使用することができる。導電性物質としては、遷移金属又はその化合物を使用することができる。なかでも、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等のイオン性の遷移金属が好ましく、低抵抗で耐腐食性が高いメッキ層を形成できることから、銀、金、銅等がより好ましい。
導電性物質は、1〜50nm程度の平均粒径を有する粒子状であることが好ましい。平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により中心粒径(D50)を測定したときの平均値である。
塗布液における導電性物質の含有量は、10〜60質量%の範囲内にあることが好ましい。
電解メッキ処理の場合、メッキ核を含有する塗布液を金属細線パターンの形状で塗布した後、電解メッキ液に浸漬するか、又は電解メッキ液を塗布し、通電することで、電解メッキ液中の金属を負極に接続した金属細線パターン上に析出させ、金属被膜を形成することができる。塗布時の電解メッキ液の温度は、20〜98℃の範囲内とすることができる。
電解メッキ液としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の導電性物質、硫酸、水系媒体等を含有するものを使用することができる。
無電解メッキ処理の場合、メッキ核を含有する塗布液を金属細線パターンの形状で塗布した後、還元剤を含有する無電解メッキ液をさらに塗布することで、無電解メッキ液中の金属を析出させ、金属被膜を形成することができる。塗布時の無電解メッキ液の温度は、20〜98℃程度の範囲内とすることができる。
無電解メッキ液としては、例えば銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の導電性物質、還元剤、水系媒体、溶媒等を含有するものを使用できる。還元剤としては、例えばジメチルアミノボラン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール類等を使用できる。
また、無電解メッキ液は、必要に応じて酢酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等のカルボン酸、これらの可溶性塩、エチレンジアミン等のアミン類等の錯化剤を含有することができる。
〔1.1.2〕金属酸化物層
金属細線と組み合わせることができる金属酸化物層は、体積抵抗率が1×10Ω・cmより低い導電性の金属酸化物を用いて形成されることが好ましい。体積抵抗率は、JIS K 7194−1994の導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法に準拠して測定されたシート抵抗と、膜厚を測定して求めることができる。膜厚は接触式表面形状測定器(例えばDECTAK)や光干渉表面形状測定器(例えばWYKO)を用いて測定できる。
金属酸化物層は、シート抵抗が10000Ω/□以下であることが好ましく、2000Ω/□以下であることがより好ましい。
金属酸化物層の厚さは、10〜500nmの範囲内にすることができる。導電性を高める観点からは、厚さが100〜500nmの範囲内であることが好ましい。表面の平滑性を高める観点からは、厚さが50nm以上であることが好ましい。
金属酸化物層に使用できる金属酸化物としては、透明性、導電性、及び、フレキシブル性に優れる材料であれば、特に限定されない。金属酸化物層に使用できる金属酸化物としては、例えば、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、IGO(ガリウムドープ酸化インジウム)、IWZO(酸化インジウム・酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、GZO(Gaドープ酸化亜鉛)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)等を挙げられる。
特に金属酸化物としては、IZO、IGO、IWZOが好ましい。なかでも、IZOとしては、質量比In:ZnO=80〜95:5〜20で表される組成が好ましい。IGOとしては、質量比In:Ga=70〜95:5〜30で表される組成が好ましい。IWZOとしては、In:WO:ZnO=95〜99.8:0.1〜2.5:0.1〜2.5で表される組成が好ましい。
取出し電極部において、金属酸化物層とは、金属酸化物の結晶相(結晶粒)を有していない層であることが好ましく、上記金属酸化物が結晶相を有さず、アモルファス相のみを有して形成されている層であることが好ましい。
金属酸化物層において、金属酸化物の相状態は、X線回折(XRD)測定により調べることができる。具体的には、金属酸化物層14に対してX線回折測定を行い、全X線散乱強度のうち、結晶相(結晶粒)による結晶性の回折ピークの有無により、金属酸化物の相状態を判断することができる。
金属酸化物層がアモルファス相のみで構成されている場合には、X線回折スペクトルに結晶性の回折ピークが存在しない。一方、金属酸化物層に結晶相(結晶粒)を有している場合には、X線回折スペクトルに結晶性の回折ピークが発生する。
金属酸化物層は、アモルファス相に比べて結晶相のフレキシブル性が低下する。この原因は、結晶相では結晶粒塊や欠陥での破断が発生しやすいためであると考えている。このため、樹脂基材を用い、フレキシブル性が要求される場合においては、金属酸化物層に結晶相が存在しないことが望ましい。
さらに、金属酸化物層に結晶粒が存在すると、結晶粒塊により金属酸化物層の表面の平滑性が低下する。
金属酸化物層の表面の平滑性が低下すると、取出し電極部を有機EL素子に組み込んだ際に、不良発生の原因となる。例えば、電流リークによる整流比の悪化や、粒塊の突起部分に電流が集中し、この部分において短絡しやすい等の不具合が発生する。したがって、金属酸化物層においては、金属酸化物の結晶相が存在しないことが望ましい。
金属酸化物層は、算術平均粗さRaが5nm以下であることが好ましい。さらに、Raが3nm以下であることが好ましい。なお、算術平均粗さRaは、例えば原子間力顕微鏡(Digital Instruments社製)を用いて測定する。
金属酸化物層は、材料をスパッタリング法(例えば、マグネトロンカソードスパッタリング、平板マグネトロンスパッタリング、2極AC平板マグネトロンスパッタリング、2極AC回転マグネトロンスパッタリングなど、反応性スパッタ法を含む。)、蒸着法(例えば、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、イオンビーム蒸着、プラズマ支援蒸着など)、熱CVD法、触媒化学気相成長法(Cat−CVD)、容量結合プラズマCVD法(CCP−CVD)、光CVD法、プラズマCVD法(PE−CVD)、エピタキシャル成長法、原子層成長法等の化学蒸着法等によって層形成することが好ましい。
〔1.1.3〕金属薄膜層
金属細線と組み合わせることができる金属薄膜層に用いられる金属としては、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これら金属の表面酸化を防ぐ目的で、表面に金、パラジウムを施した粒子を用いても良い。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁被膜を施したものを用いても良い。
金属被覆樹脂粒子としては、例えば、樹脂コアの表面をニッケル、銅、金、及びパラジウムのいずれかの金属を被覆した粒子が挙げられる。同様に、樹脂コアの最外表面に金、パラジウムを施した粒子を用いても良い。更に、樹脂コアの表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いても良い。
中でも銀又は銀を主成分とする合金であることが好ましく、銀を主成分として構成する場合、銀の純度としては、99%以上であることが好ましい。また、銀の安定性を確保するためにパラジウム(Pd)、銅(Cu)及び金(Au)等が添加されていてもよい。
銀を主成分として構成する場合は、されている層であるが、具体的には、銀単独で形成しても、又は銀(Ag)を含有する合金から構成されていてもよい。そのような合金としては、例えば、銀・マグネシウム(Ag・Mg)、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム(Ag・Pd)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)、銀・インジウム(Ag・In)などが挙げられる。
銀を主成分として構成する場合は、透明性の観点から厚さが2〜20nmの範囲内にあることが好ましく、更に好ましくは厚さが4〜12nmの範囲内である。厚さが20nm以下であれば、取出し電極部の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、高い光透過率が維持されるため好ましい。
銀を主成分として構成されている層とは、透明陽極中の銀の含有量が60質量%以上であることをいい、好ましくは銀の含有量が80質量%以上であり、より好ましくは銀の含有量が90質量%以上であり、特に好ましくは銀の含有量が98質量%以上である。
また、銀を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
また、本発明においては、銀を主成分として構成する場合には、形成する取出し電極部の銀膜の均一性を高める観点から、その下部に、下地層を設けることが好ましい。下地層としては、特に制限はないが、窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する層であることが好ましく、当該下地層上に、取出し電極部を形成する方法が好ましい態様である。
前記下地層は、含窒素有機化合物を含有する層であることが好ましく、下地層が基板上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
下地層を構成する含窒素有機化合物は、分子内に窒素原子を有する化合物であれば、特に限定はないが、含窒素複素環を有する化合物が好ましい。含窒素複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
さらに、具体的な化合物として、特開2015−046364号公報段落〔0097〕〜〔0221〕に記載の化合物を参照することができる。
〔1.1.4〕導電性ポリマー層
金属細線と組み合わせることができる導電性ポリマーとしては、ポリアニオンを含有するπ共役系導電性高分子を用いることが好ましい。
使用できるπ共役系導電性高分子としては、例えばポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類等が挙げられる。なかでも、導電性、透明性、安定性等を高める観点から、ポリチオフェン類又はポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンがより好ましい。
π共役系導電性高分子は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、酸化剤、酸化触媒及びポリアニオンの存在の下、化学酸化重合させることによって容易に製造できる。π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、酸化剤の作用によって高分子化した際にも主鎖にπ共役系を有する。そのような前駆体モノマーとしては、例えばピロール類、チオフェン類、アニリン類、これらの誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル又はこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなる化合物である。ポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化又は分散させ、ポリアニオンのアニオン基はπ共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、製造を容易とし、安定性を高める観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。なかでも、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点から、スルホ基、一置換硫酸エステル基又はカルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。さらに、これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、分子内にさらにフッ素原子を有するフッ素化ポリアニオンも使用することができる。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等が挙げられる。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲内にあることが好ましく、溶媒への溶解性及び導電性を高める点からは、50〜10000個の範囲内にあることがより好ましい。
導電性ポリマーにおけるπ共役系導電性高分子とポリアニオンの比率、すなわちπ共役系導電性高分子:ポリアニオンの質量比は、1:1〜20とすることができ、導電性及び分散性を高める観点からは、1:2〜10とすることが好ましい。
導電性ポリマーは市販品を使用してもよく、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(以下、PEDOT/PSSと略す)の市販品としては、Heraeus社のCleviosシリーズ、Aldrich社のPEDOT−PSSの483095、560596、Nagase Chemtex社のDenatronシリーズ等がある。また、ポリアニリンの市販品としては、日産化学工業社製のORMECONシリーズ等を使用できる。
透明電極は、導電性ポリマーを含有する塗布液を金属細線上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜に赤外線を照射して乾燥することにより、形成することができる。
塗膜の形成方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。
赤外線の照射は、水分濃度が100ppm以下の乾燥処理槽で行うことが好ましい。乾燥処理槽の水分濃度は、乾燥処理を行う槽内における乾燥終点における水分濃度をいう。赤外線は、波長3.0μmの光放射輝度に対する波長5.8μmの光放射輝度の割合が5%以下である赤外線を照射することが好ましい。
さらに、取出し電極は、透明性を高める観点から、導電性ポリマーとともに、非導電性ポリマーとを含有することが好ましく、さらに非導電性ポリマーが自己分散型ポリマー及びヒドロキシ基含有ポリマーの少なくとも一つを含有することがより好ましい。非電導性ポリマーを用いることにより、取出し電極の導電性を損なうことなく、導電性ポリマーの含有量を減らすことができる。
導電性ポリマーと併用できる自己分散型ポリマーは、解離性基を有し、ミセル形成を補助する界面活性剤や乳化剤等がなくても、自己分散型ポリマーにより形成されるコロイド粒子が凝集することなく、自己分散型ポリマー単体で水系媒体中に分散することが可能な非導電性ポリマーである。自己分散型ポリマーは透明性が高いと、第1導電層4の透明性を高めることができ、好ましい。
自己分散型ポリマーの使用量は、導電性ポリマーに対して50〜1000質量%の範囲内とすることができる。
自己分散型ポリマーの主骨格としては、ポリエチレン、ポリエチレン−ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン−ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアクリレート−ポリエステル、ポリアクリレート−ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン−ポリカーボネート、ポリウレタン−ポリエーテル、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリアクリレート、シリコーン、シリコーン−ポリウレタン、シリコーン−ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン−ポリアクリレート、ポリフルオロオレフィン−ポリビニルエーテル等が挙げられる。また、これらの骨格をベースに、さらに他のモノマーを使用した共重合体でもよい。なかでも、エステル骨格を有するポリエステル樹脂エマルジョン、ポリエステル−アクリル樹脂エマルジョン、アクリル骨格を有するアクリル樹脂エマルジョン又はエチレン骨格を有するポリエチレン樹脂エマルジョンが好ましい。
自己分散型ポリマーの市販品としては、ヨドゾールAD−176、AD−137(アクリル樹脂:ヘンケルジャパン社製)、バイロナールMD−1200、MD−1245、MD−1500(ポリエステル樹脂:東洋紡社製)、プラスコートRZ570、プラスコートZ561、プラスコートZ565、プラスコートZ687、プラスコートZ690(ポリエステル樹脂:互応化学社製)等を用いることができる。上記水系媒体に分散可能な、解離性基を含有する自己分散型ポリマー分散液は、1種でも複数種でも使用することができる。
ヒドロキシ基含有ポリマーは、ヒドロキシ基を有する非導電性ポリマーである。
導電性ポリマーとヒドロキシ基含有ポリマーの比率、すなわち導電性ポリマー:ヒドロキシ基含有ポリマーの質量比は、100:30〜900が好ましく、電流リークを防止し、透明性を高める観点からは、100:100〜900であることがより好ましい。
ヒドロキシ基含有ポリマーとしては、例えば下記一般式(1)で表される構造単位を含むポリマーが挙げられる。
Figure 2017056797
〔上記一般式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Qは、−C(=O)O−、又は−C(=O)NRa−を表す。Raは、水素原子又はアルキル基を表す。Aは、置換若しくは無置換のアルキレン基、又は−(CHCHRbO)CHCHRb−を表す。Rbは、水素原子又はアルキル基を表す。xは、平均繰り返しユニット数を表す。〕
こうした樹脂は導電性ポリマーと容易に混合可能で、また、前述の第二ドーパント的な効果も有するため、該水溶性バインダ樹脂を併用することにより、導電性、透明性を低下させることなく、導電性ポリマー含有層の膜厚を上げることが可能となる。
水溶性バインダ樹脂とは、水溶性のバインダ樹脂であり、水溶性バインダ樹脂が、25℃の水100gに0.001g以上溶解するバインダ樹脂を意味する。前記溶解は、ヘイズメーター、濁度計で測定することができる。
水溶性バインダ樹脂としては透明であることが好ましい。
水溶性バインダ樹脂は、前記一般式(1)で表される構造単位を含む構造を有することが好ましい。前記一般式(1)で表されるホモポリマーであってもよいし、他の成分を共重合されていてもよい。他の成分を共重合する場合は、前記一般式(1)で表される構造単位を10モル%以上含有することが好ましく、30モル%以上含有することがより好ましく、50モル%以上含有することがさらに好ましい。
また、水溶性バインダ樹脂は、導電性ポリマー含有層中に40質量%以上、95質量%以下含まれていることが好ましく、50質量%以上、90質量%以下であることがさらに好ましい。
一般式(1)で表されるヒドロキシ基を有する構造単位において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Qは−C(=O)O−、又は−C(=O)NRa−を表し、Raは水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、又は分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は置換基で置換されていてもよい。これら置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等で置換されてもよい。これらのうち好ましくは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基である。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。
上記アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることがさらに好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることがさらに好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。
上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。
上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。
上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。
上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。
上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。
上記ヘテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることがさらに好ましい。ヘテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。
上記ヘテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。ヘテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。
上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。
上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。
上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる。
上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。
上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。
上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニル基の例に、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニル基の例に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例に、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシスルホニル基の例に、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例に、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。
上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例に、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。置換基は同一でも異なっていても良く、これら置換基がさらに置換されてもよい。
前記一般式(1)で表されるヒドロキシ基を有する構造単位において、Aは置換若しくは無置換アルキレン基、又は−(CHCHRbO)−CHCHRb−を表す。アルキレン基は、例えば炭素原子数1〜5が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。これらのアルキレン基は前述した置換基で置換されていてもよい。また、Rbは水素原子、アルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、又は分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は前述の置換基で置換されていてもよい。さらに、xは平均繰り返しユニット数を表し、0〜100が好ましく、より好ましくは0〜10である。繰り返しユニット数は分布を有しており、表記は平均値を示し、小数点以下1桁で表記してもよい。
以下に、一般式(1)で表される構造単位の代表的具体例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
Figure 2017056797
本発明に用いられる水溶性バインダ樹脂は、汎用的な重合触媒を用いたラジカル重合により得ることができる。重合様式としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、好ましくは溶液重合である。重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃の範囲、好ましくは0〜200℃の範囲、より好ましくは10〜100℃の範囲で実施される。
本発明に用いられる水溶性バインダ樹脂の数平均分子量(Mn)は3000〜2000000の範囲が好ましく、より好ましくは4000〜500000の範囲であり、さらに好ましくは5000〜100000の範囲内である。
本発明に用いられる水溶性バインダ樹脂の数平均分子量(Mn)、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、バインダ樹脂が溶解すれば特に限りはなく、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
〔2〕有機エレクトロルミネッセンス素子の構成及び製造方法
図5に、本発明の透明有機EL素子の層構成を説明する概略断面図を示す。
本発明の透明有機EL素子30は、透明基材31上に、陽極32、第1キャリア機能層群33、発光層34、第2キャリア機能層群35、陰極36が積層されて本発明に係る有機EL素子部が構成されている。第1キャリア機能層群は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層等から構成され、第2キャリア機能層群は、例えば、正孔阻止層、電気輸送層、電子注入層等から構成されている。第1キャリア機能層群及び第2キャリア機能層群はそれぞれ1層のみで構成されていても良いし、第1キャリア機能層群及び第2キャリア機能層群はそれぞれ設けられていなくてもよい。
また、陽極32〜陰極36を覆うようにして、接着剤37を介して封止材38によって有機EL素子は封止される。
陽極及び陰極に通電することによって、発光層の発光中心hから発光される光L、L′は、透明有機EL素子30の両面から取り出される。
以下に、本発明に係る有機EL素子部の構成の代表例を示す。
(i)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔注入輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔注入輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
更に、有機EL素子1は、非発光性の中間層を有していても良い。中間層は電荷発生層であっても良く、マルチフォトンユニット構成であっても良い。
本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
更に、電極以外の有機EL素子を構成する各層について説明する。
〔2.1〕透明基材
本発明の有機EL素子に適用可能な透明基材としては、例えば、ガラス、プラスチック等の透明材料を挙げることができる。好ましく用いられる透明基材としては、例えば、ガラス、石英、樹脂フィルム等を挙げることができ、樹脂フィルムを用いた樹脂基材であることが、フレキシブルな有機EL素子を提供する上で特に好ましい。
ガラス材料としては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、隣接する層との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜を形成することができる。
樹脂基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)及びアペル(商品名三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
有機EL素子においては、上記説明した透明基材上に、必要に応じて、ガスバリアー層を設ける構成であっても良い。
有機発光層は、酸素、水分等に非常にセンシティブであり、ガラスの様な酸素/水分遮断能が必要である。基材がガラスで無い場合(前記樹脂フィルム等の場合)、若しくは基材自体を有することなく外界と接触する層の最表層には、酸素及び水分バリアー性のある保護層が必要である。
樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリアー性フィルム(ガスバリアーフィルムともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24時間)以下の高バリアー性フィルムであることが好ましい。
以上のようなガスバリアー性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに当該ガスバリアー性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
中でも、下記一般式(A)で表す構造を有するポリシラザンをコーティング法によって基材上に塗布し、50〜200℃の範囲内の加熱処理をした後、照射波長が、約172nmの希ガスエキシマランプ(例えば、エム・ディ・コム社製のXeエキシマランプ MODEL:MECL−M−1−200)等を用いて真空紫外光によって改質処理を行ってバリアー層とすることが好ましい。バリアー層の厚さは、目的に応じて適宜設定することができるが、一般的には、10nm〜10μmの範囲内とすることができる。
一般式(A) −[Si(R)(R)−N(R)]−
〔上記一般式(A)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。〕
上記一般式(A)中のR、R及びRの全てが水素原子であるポリシラザンが、パーヒドロポリシラザンである。パーヒドロポリシラザンは、緻密な膜が得られる点で好ましい。
塗膜の形成方法としては、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、インクジェット法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布液の調製には、ポリシラザンと容易に反応するアルコール系有機溶媒又は水分を含む有機溶媒の使用を避けることが好ましい。したがって、塗布液の調製に使用できる有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類等が挙げられる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素類、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素類、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や有機溶媒の蒸発速度等の特性に合わせて選択し、複数の有機溶媒を混合してもよい。
塗布液としては、ポリシラザンを有機溶媒中に溶解させた市販品を使用することができる。使用できる市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のアクアミカNAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
真空紫外光の照度は、1mW/cm〜10W/cmの範囲内とすることができる。1mW/cm以上であれば、改質効率が向上し、10W/cm以下であれば、塗膜に生じ得るアブレーション、樹脂基材のダメージ等を低減することができる。
真空紫外光の照射エネルギー量(照射量)は、0.1〜10.0J/cmでの範囲内にすることができる。この範囲であれば、過剰な改質によるクラックの発生、樹脂基材の熱変形等を防止することができ、生産性も向上する。
〔2.2〕陽極
陽極は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。陽極を構成可能な電極物質の具体例としては、金、銀等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、金属酸化物を用いることも好ましく、例えば、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、IGO(ガリウムドープ酸化インジウム)、IWZO(酸化インジウム・酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、GZO(Gaドープ酸化亜鉛)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)等を挙げられる。
特に金属酸化物としては、IZO、IGO、IWZOが好ましい。なかでも、IZOとしては、質量比In:ZnO=80〜95:5〜20で表される組成が好ましい。IGOとしては、質量比In:Ga=70〜95:5〜30で表される組成が好ましい。IWZOとしては、In:WO:ZnO=95〜99.8:0.1〜2.5:0.1〜2.5で表される組成が好ましい。
透明有機EL素子においては、電極の透明性が非常に重要であり、前記金属酸化物が特に好ましく、更にフレキシブルな基材に対応可能なアモルファスの金属酸化物が最も好ましい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、又はパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。陽極側から発光を取り出す場合には、透過率を50%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
また、本発明では、陽極は銀又は銀を含有する合金を用いることもできる。
陽極が、銀を含有する合金で構成されている場合、当該合金としては、例えば、銀・マグネシウム(Ag・Mg)、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム(Ag・Pd)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)、銀・インジウム(Ag・In)等が挙げられる。
本発明では陽極が銀を主成分として構成された透明陽極である場合、銀を主成分とするとは、陽極中の銀の含有量が60質量%以上であることをいい、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは98質量%以上である。また、前記「透明」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
また、陽極としてのシート抵抗値は、数百Ω/□以下が好ましく、厚さは、材料にもよるが、通常5nm〜1μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内である。また、陽極が銀を主成分として構成されている場合、その厚さは、2〜20nmの範囲内であることが好ましく、4〜12nmの範囲内であることがより好ましい。厚さが20nm以下であれば、陽極による発光光の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、高い光透過率が維持されるため好ましい。
また、本発明においては、陽極が、銀を主成分として構成される場合には、銀層の均一性を高める観点から、その下部に、下地層を設けることが好ましい。下地層としては、特に制限はないが、窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する層であることが好ましく、当該下地層上に、銀層を形成する方法が好ましい態様である。
〔2.3〕発光層
有機EL素子を構成する発光層は、発光材料としてリン光発光化合物が含有されている構成が好ましい。
この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であっても良い。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あっても良い。この場合、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
発光層の厚さの総和は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内が更に好ましい。なお、発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)及びインクジェット法等の公知の方法により形成することができる。
また、発光層は、複数の発光材料を混合しても良く、リン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう。)とを同一発光層中に混合して用いても良い。発光層の構成としては、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう。)及び発光材料(発光ドーパント化合物ともいう。)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
〔2.3.1〕ホスト化合物
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。更に、リン光量子収率が0.01未満であることが好ましい。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いても良く、又は、複数種のホスト化合物を混合して用いても良い。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
発光層に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でも良く、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でも良い。
本発明に適用可能なホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2001−357977号公報、同2002−8860号公報、同2002−43056号公報、同2002−105445号公報、同2002−352957号公報、同2002−231453号公報、同2002−234888号公報、同2002−260861号公報、同2002−305083号公報、米国特許公開第2005/0112407号明細書、米国特許公開第2009/0030202号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2012/023947号、特開2007−254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
〔2.3.2〕発光材料
本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料又はリン光発光ドーパントともいう。)及び蛍光発光性化合物(蛍光性化合物又は蛍光発光材料ともいう。)が挙げられる。
〈リン光発光性化合物〉
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は、種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて、上記リン光量子収率として0.01以上が達成されれば良い。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層に、2種以上のリン光発光性化合物が含有されていても良く、発光層におけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化している態様であっても良い。
本発明に使用できる公知のリン光発光性化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78,1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許公開第2006/835469号明細書、米国特許公開第2006/0202194号明細書、米国特許公開第2007/0087321号明細書、米国特許公開第2005/0244673号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2009/000673号、米国特許第7332232号明細書、米国特許公開第2009/0039776号、米国特許第6687266号明細書、米国特許公開第2006/0008670号明細書、米国特許公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許公開第2003/0138657号明細書、米国特許第7090928号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Angew.Chem.lnt.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2006/082742号、米国特許公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許公開第2007/0190359号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許公開第2006/103874号明細書等に記載の化合物も挙げることができる。
更には、国際公開第2005/076380号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/073149号、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−363552号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
本発明においては、好ましいリン光発光性化合物としてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。更に好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
上記説明したリン光発光性化合物(リン光発光性金属錯体ともいう)は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、更にこれらの文献中に記載されている参考文献等に開示されている方法を適用することにより合成することができる。
〈蛍光発光性化合物〉
蛍光発光性化合物としては、例えば、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
〔2.4〕注入層、輸送層、阻止層
〔2.4.1〕正孔注入層、電子注入層
注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細が記載されている。一般には、正孔注入層であれば、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、電子注入層であれば陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させることができる。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン):PSS(ポリスチレンスルホン酸)、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPD(4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル)に代表されるベンジジン型や、MTDATA(4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン)に代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
正孔注入層の層厚については特に制限はなく、通常は0.1〜100nm程度の範囲内であるが、2〜50nmの範囲内であることが好ましく、2〜30nmの範囲内であることがより好ましい。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデン、酸化アルミニウム等に代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。
電子注入層はごく薄い膜であることが望ましく、構成材料にもよるが、その層厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
〔2.4.2〕正孔輸送層、電子輸送層
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層及び電子阻止層も正孔輸送層の機能を有する。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであっても良い。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー及びチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を用いることができ、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(略称:TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン及びN−フェニルカルバゾール等が挙げられる。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。この正孔輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であっても良い。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープすることにより、p性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報及びJ.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料から構成され、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層及び積層構造の電子輸送層において、発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層に伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した高分子材料又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる単一構造であっても良い。
〔2.4.3〕阻止層
阻止層としては、正孔阻止層及び電子阻止層が挙げられ、上記説明した有機EL素子の各層の他に、必要に応じて設けられる層である。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層等を挙げることができる。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
本発明に係る正孔阻止層及び電子阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
〔2.5〕陰極
陰極は、有機機能層群や発光層に正孔を供給するために機能する電極膜であり、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が電極物質として用いられる。具体的には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO及びSnO等の酸化物半導体及びこれらの組合せ/積層などが挙げられる。
また、金属酸化物を用いることも好ましく、例えば、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、IGO(ガリウムドープ酸化インジウム)、IWZO(酸化インジウム・酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、GZO(Gaドープ酸化亜鉛)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)等を挙げられる。
特に金属酸化物としては、IZO、IGO、IWZOが好ましい。なかでも、IZOとしては、質量比In:ZnO=80〜95:5〜20で表される組成が好ましい。IGOとしては、質量比In:Ga=70〜95:5〜30で表される組成が好ましい。IWZOとしては、In:WO:ZnO=95〜99.8:0.1〜2.5:0.1〜2.5で表される組成が好ましい。
透明有機EL素子においては、電極の透明性が非常に重要であり、前記金属酸化物が特に好ましく、更にフレキシブルな基材に対応可能なアモルファスの金属酸化物が最も好ましい。また陰極に関しては仕事関数の関係から金属薄膜も好適であり、銀を主成分とする薄膜/積層膜/複合膜が好ましい。
陰極は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させて作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、厚さは、材料にもよるが通常5nm〜5μmの範囲内、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
陰極の膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。また、陰極として上記金属を1〜20nmの膜厚で作製することで、透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
〔2.6〕その他の機能層
〈光学調整層〉
光学調整層の材料としては、適当な屈折率が得られれば特に制限なく既存の化合物を利用できる。有機ELの電極上に、ダメージなく成膜出来るという点から、真空成膜できる化合物が好ましい。特に、加熱蒸着やEB蒸着できる化合物が好ましい。
例えば、Al(屈折率1.6)、CeO(屈折率2.2)、Ga(屈折率1.5)、HfO(屈折率2.0)、ITO(インジウムスズ酸化物 屈折率2.1)、インジウム亜鉛酸化物(屈折率2.1)、MgO(屈折率1.7)、Nb(屈折率2.3)、SiO(屈折率1.5)、Ta(屈折率2.2)、TiO(屈折率2.3〜2.5)、Y(屈折率1.9)、ZnO(屈折率2.1)、ZrO(屈折率2.1)、AlF(1.4)、CaF(1.2〜1.4)、CeF3(1.6)、GdF(1.6)、LaF(1.59)、LiF(1.3)、MgF(1.4)、NaF(1.3)等を用いることが出来る。
層厚は適宜調整できるが、透過率向上という点から、光学調整層は、10〜500nmが好ましく、20〜250nmがより好ましく、30〜150nmがもっとも好ましい。
〈帯電防止層〉
透明導電部材においては、樹脂基材の一方の面に帯電防止層を有することが好ましい。帯電防止層は、帯電防止剤と、帯電防止剤を保持するためのバインダ樹脂から構成される。
帯電防止層は、帯電防止剤として有機帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止層が含有する有機帯電防止剤としては、共役系ポリマー、及び、イオン性ポリマーから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。また、帯電防止層は、その他の導電性ポリマーや帯電防止剤を含んで構成されていてもよい。
帯電防止層においては、有機帯電防止剤を用いることが好ましく、当該有機帯電防止剤とは、基本的には帯電防止能を有する有機材料から構成されている。有機帯電防止剤は、帯電防止層を形成する際に、帯電防止層の裏面側のシート抵抗値を1×1011Ω/sq.以下、好ましくは1×1010Ω/sq.以下、さらに好ましくは1×10Ω/sq.以下とすることができる材料である。
有機帯電防止剤としては、従来公知の界面活性剤型帯電防止剤、シリコーン系帯電防止剤、有機ホウ酸系帯電防止剤、高分子系帯電防止剤、帯電防止ポリマー材料等を挙げることができる。特に、有機帯電防止剤として、イオン導電性物質等を用いることが、帯電防止層の帯電防止の観点から好ましい。イオン導電性物質は、電気伝導性を示すイオンを含有する物質である。イオン導電性物質としては、例えば、公知の共役系ポリマーやイオン性ポリマーを挙げることができる。
〔2.7〕有機EL素子の製造方法
有機EL素子の製造方法としては、透明基材上に、陽極、第1キャリア機能層群、発光層、第2キャリア機能層群及び陰極を積層して積層体を形成する。
まず、透明基材を準備し、該透明基材上に、本発明に係る陽極を形成する。同時に、陽極端部に、外部電源と接続する本願の第1取出し電極部を接続電極部として形成する。
次に、この上に、第1キャリア機能層群を構成する正孔注入層及び正孔輸送層、発光層、第2キャリア機能層群を構成する電子輸送層等を順に積層する。
これらの各層の形成方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等が用いられるが、均質な層が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。更に、層ごとに異なる形成法を適用しても良い。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
以上のようにして第1キャリア機能層群、発光層及び第2キャリア機能層群を形成した後、陰極を形成する。この際、陰極は、有機機能層群によって陽極に対して絶縁状態を保ちつつ、第2キャリア機能層群の上方から、本願の第1取出し電極部を透明基板の封止端部近傍まで引き出した形状にパターン形成する。
次いで、本願の第1取出し電極部に第2取出し電極部を接続する。
当該第2取出し電極部は、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)や、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、IGO(ガリウムドープ酸化インジウム)、IWZO(酸化インジウム・酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)、GZO(Gaドープ酸化亜鉛)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)等の金属酸化物薄膜等を用いることができ、当該材料は耐久性の観点から、MAM電極を用いることが好ましい。
前記第1取出し電極部は封止層内にのみ存在し、当該第1取出し電極部は封止層内外のパス部分において、上記MAM電極等の平面構造の第2取出し電極部に接続されていることが、封止材との密着性の観点から好ましい。ここで、「平面構造」とは、電極形状が平面的であることをいい、その形状は台形状、蒲鉾形状、四角形状等であることが好ましい。
以上のようにして、本発明の透明有機EL素子を製造することができる。
陰極の形成後、これら陽極、第1キャリア機能層群、発光層、第2キャリア機能層群、陰極で構成される有機EL素子部及び取出し電極部を透明基材上に、封止手段を用いて封止する。
〔3〕封止
有機EL素子部及び取出し電極部を封止するのに用いられる封止手段としては、例えば、封止部材を透明基材上に接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子部及び第1取出し電極部を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、封止部材としては、前記透明基材と同程度の透明性があることが好ましい。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、フィルム、金属板、フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金が挙げられる。
封止部材としては、有機EL素子を薄膜化し透明にする観点から、ガスバリアー層付き樹脂フィルムを好ましく使用することができる。樹脂フィルムとしては前述の透明基材として挙げた材料を用いることが好ましい。
ガスバリアー層付き樹脂フィルムは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3mL/m・24h・atm(1atmは、1.01325×10Paである)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましい。
封止部材と有機EL素子の表示領域(発光領域)との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙を真空とすることや、間隙に吸湿性化合物を封入することもできる。
封止には適宜接着剤が用いられ、接着剤層は、封止部材上に形成される。接着剤層を構成する材料としては、従来公知の封止用接着剤を用いることができるが、例えば熱硬化接着剤や紫外線硬化樹脂等が用いられ、好ましくはエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化接着剤、より好ましくは耐湿性、耐水性に優れ、硬化時の収縮が少ないエポキシ系熱硬化型接着性樹脂が用いられる。接着剤層の厚さとしては、例えば、10〜30μmの範囲内とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔有機EL素子101の作製〕
(陽極の形成)
透明なガラス製の支持基板の上に厚さ100nmとなる条件でITO(In:SnO=90:10(質量%比))をスパッタ法で成膜した後、パターニングを行い、ITO層から成るアノード電極(陽極)を形成した。次いで、ITO層を設けた基板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(正孔注入層〜電子注入層の形成)
このITO層を設けた支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、各タンタル製抵抗加熱ボートにα−NPD、化合物H4、化合物Ir−4、BAlq、Alq、フッ化リチウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。なお、化合物H4、化合物Ir−4、α−NPD、BAlq及びAlqの構造は以下のとおりである。
Figure 2017056797
さらに、タングステン製抵抗加熱ボートに銀を入れ、真空蒸着装置の第2真空槽に取り付けた。
まず、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒でITO層上に膜厚20nmの正孔注入層を兼ねた正孔輸送層を設けた。
さらに、化合物H4の入った前記加熱ボートと化合物Ir−4の入った前記加熱ボートをそれぞれ独立に通電して、発光ホストであるH4と発光ドーパントであるIr−4の蒸着速度が100:6になるように調節し、膜厚30nmの発光層を設けた。
次いで、BAlqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。
さらに、Alqの入った前記加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で膜厚20nmの電子輸送層を設けた。
さらに、フッ化リチウムの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.01〜0.02nm/秒で膜厚1nmの電子注入層を設けた。
(陰極の形成)
次に、電子注入層まで成膜した素子を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.1〜0.2nm/秒で膜厚10nmの銀からなる層を形成し、カソード電極(陰極)を形成した。
(取出し電極の形成)
作製した素子の陽極及び陰極の引出し部分に対し、図1の第1取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を150nmの厚さにて形成して接続した後に、第2取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を断面形状が台形状になるように形成して接続した。
(素子の封止)
最後に、上記で得られた素子をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用い、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを図1で示すように第2取出し電極部及び素子の支持基板とを密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化・封止して、有機EL素子101を得た。
〔有機EL素子102の作製〕
有機EL素子101の取出し電極の作製において、第1取出し電極部の作製を厚さ150nmとなる条件でITOをスパッタ法で成膜し、ITO層からなる第1取出し電極部とした以外は同様にして、有機EL素子102を形成した。
〔有機EL素子103の作製〕
有機EL素子101の取出し電極の作製において、第1取出し電極部として、スクリーン印刷にて下記金属細線パターンをライン状に形成し、ITOのマスクスパッタにて覆った後に、第2取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を形成した以外は、有機EL素子101同様にして有機EL素子103を作製した。
金属細線パターン形成は、銀ナノ粒子インク1(TEC−PA−010;InkTec社製)を用いて、小型厚膜半自動印刷機STF−150IP(東海商事社製)で、50μm幅のラインを、5mmピッチに配置したスクリーン版パターンにて、焼成後の細線の高さが1μmになるようスクリーン印刷方式で金属細線パターンの印刷を行った。
印刷後、ホットプレートで焼成処理(120℃で30分間の熱処理)を施して、金属細線パターンを作製した。
形成した金属細線パターンの上記サイズは、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計WYKO NT9100(日本ビーコ社製)で位置を変えて複数回測定して得た。
〔有機EL素子104の作製〕
有機EL素子103の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンをスクリーン印刷にて50μm巾のラインを200μmピッチに配置した以外は有機EL素子103の作製と同様に形成し、有機EL素子104を作製した。
〔有機EL素子105の作製〕
有機EL素子103の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを下記インクジェット印刷にて30μm巾のラインを120μmピッチに配置した以外は有機EL素子103の作製と同様に形成し、有機EL素子105を作製した。
インクジェット印刷は、コニカミノルタ社製のインクジェットヘッドKM512SHXを取り付けた卓上型ロボットSHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、これをインクジェット評価装置EB150(コニカミノルタ社製)により制御した。
塗布後、NovaCentrix社製のPulseForge1300を用いてキセノン光を照射して焼成を行い、細線パターンを形成した。キセノン光は、500μs周期で、250μsのパルス発光により照射し、付与するエネルギーが1500mJ/cmとなるように照射量を調整した。
〔有機EL素子106の作製〕
有機EL素子105の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを前記インクジェット印刷にて10μm巾のラインを40μmピッチに配置した以外は有機EL素子105の作製と同様に形成し、有機EL素子106を作製した。
〔有機EL素子107の作製〕
機EL素子105の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを前記インクジェット印刷にて50μm巾のラインを280μmピッチにし、かつ縦横の格子状に配置した以外は有機EL素子105の作製と同様に形成し、有機EL素子107を作製した。
〔有機EL素子108の作製〕
有機EL素子107の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを前記インクジェット印刷にて30μm巾のラインを170μmピッチにし、かつ縦横の格子状に配置した以外は有機EL素子107の作製と同様に形成し、有機EL素子108を作製した。
〔有機EL素子109の作製〕
有機EL素子107の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを前記インクジェット印刷にて10μm巾のラインを60μmピッチにし、かつ縦横の格子状に配置した以外は有機EL素子107の作製と同様に形成し、有機EL素子108を作製した。
〔有機EL素子110の作製〕
有機EL素子107の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを前記インクジェット印刷にて50μm巾のラインを390μmピッチにし、まず格子状に配置し、さらに当該格子に対して45°及び135°方向にラインを追加し格子+クロス状に形成した以外は有機EL素子107の作製と同様に形成し、有機EL素子110を作製した。
〔有機EL素子111の作製〕
有機EL素子110の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを前記インクジェット印刷にて30μm巾のラインを240μmピッチにし、格子+クロス状に形成した以外は有機EL素子110の作製と同様に形成し、有機EL素子111を作製した。
〔有機EL素子112の作製〕
有機EL素子110の作製において、第1取出し電極部として、金属細線パターンを前記インクジェット印刷にて10μm巾のラインを80μmピッチにし、格子+クロス状に形成した以外は有機EL素子110の作製と同様に形成し、有機EL素子112を作製した。
〔有機EL素子113の作製〕
有機EL素子101の取出し電極の作製において、第1取出し電極部の作製を、スパッタ法にて厚さ17.5nmのAg薄膜層を形成し、さらに厚さ150nmとなる条件でITOをスパッタ法で成膜し、Ag/ITO層からなる第1取出し電極部とした以外は同様にして、有機EL素子113を作製した。
≪評価≫
以上作製した有機EL素子101〜113を用いて、以下の評価を行った。
〈全光線透過率差〉
分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製U−3300)を用いて、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に記載された方法にて、非発光時の有機EL素子部と第一取出し電極部の光波長400〜700nmの範囲における全光線透過率(%)を測定し、その差を求めた。
〇:有機EL素子の発光域と取出し電極部の光透過率の差が±10%以内
△:有機EL素子の発光域と取出し電極部の光透過率の差が±10%を超え±15%以内
×:有機EL素子の発光域と取出し電極部の光透過率の差が±15%より大きい
なお、有機EL素子101〜113の非発光時の有機EL素子部の全光線透過率(%)は、いずれも65%であった。
〈電圧降下〉
第1取出し電極部は導線抵抗により電圧降下を引き起こす。第1取出し電極部に関して、第1取出し電極両端の抵抗を低抵抗計3566(鶴賀電機株式会社製)を用いて測定し以下の基準で判定した
〇:2Ω/□未満
△:2Ω/□以上10Ω/□未満
×:10Ω/□以上
〈金属細線パターン視認性〉
通常のオフィス環境にて、透明有機EL素子をホワイトバック(背景白)で、50cmの距離で透かして見た際に、金属細線パターンが見えるかを以下の基準で判定した。
〇:全く分からない
△:ごくわずかに見える
×:明らかに見える
〈金属細線パターン偏光性〉
通常のオフィス環境にて、透明有機EL素子をホワイトバック(背景白)で、50cmの距離で透かして見た際に、素子を回転させ透過視野領域での着色やモアレの発生を目視で評価し以下の基準で判定した。
〇:透過光が均一
△:透過光が二重に見える等、僅かに違和感あり
×:透過視野が実像と異なり、違和感あり
以上の有機EL素子の構成と評価結果を、表1に示した。
Figure 2017056797
表1の結果から、本願構成によれば、従来公知のMAMやITOを用いた取出し電極では実現できなかった透明有機EL素子とのシームレスな接続を可能とし、取出し電極までも含めて視認性に違和感のない透明性を実現でき、発光部及び非発光部共に光透過率の揃った透明有機EL素子が作成可能であった。
さらに、金属細線パターンを用いた場合においても、金属細線幅と金属細線ピッチ及びパターン形状を適正に制御しなければ、本願の目的は達成できず、本願は透明有機EL素子用の取出し電極として、最適な構成形状により初めて実現されるものであることが分かる。
本願の有機EL素子を図面の天地方向に連結することで無限長に照明のタイリングが可能であり、これにより透明有機EL素子の使われ方、アプリケーションが広がる可能性があると考えられる。
実施例2
〔有機EL素子201の作製〕
実施例1の比較例の有機EL素子101の作製において、素子の支持基板として透明なガラス基板の代わりに下記樹脂基板を用いた。
(樹脂基板)
樹脂基板として、株式会社きもと製のクリアハードコート付きポリエチレンテレフタレート(PET/CHC)フィルム(G1SBF、厚さ125μm、屈折率1.59、以下CHC−PETフィルムと称する)を準備した。
(ガスバリアー層)
次に、上記樹脂基板の表面(導電層を形成する側の面)上に、ガスバリアー層を作製した。
放電プラズマ化学気相成長装置(アプライドマテリアルズ社製プラズマCVD装置 Precision5000)に、樹脂基材をセットし、ロールtoロールで連続搬送させた。次に、成膜ローラー間に磁場を印加するとともに、各成膜ローラーに電力を供給して、成膜ローラー間にプラズマを発生させ、放電領域を形成した。次に、形成した放電領域に、成膜ガスとして、原料ガスであるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスである酸素ガス(放電ガスとしても機能する)の混合ガスを、ガス供給管から供給し、下記条件にて、層厚120nmのガスバリアー層を成膜した。
(成膜条件)
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン、HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
反応ガス(O)の供給量 :500sccm
真空チャンバー内の真空度 :3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数 :70kHz
フィルムの搬送速度 :0.8m/min
作製したガスバリアー層付きPETフィルムを基板として用いて、有機EL素子4と同様にして、陽極(ITO)、正孔注入層〜電子注入層及び陰極(Ag)を形成した。
第1取出し電極部として、金属細線及びITO層を形成し、第2取出し電極部として、MAM(Moモリブデン/Alアルミニウム/Moモリブデン)を断面形状が台形状になるように形成して接続した。
封止基板として、上記作製したガスバリアー層付きPETフィルムのガスバリアー層側に熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系光硬化型接着剤:東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を厚さ30μmで塗設し、これを図1で示すように第2取出し電極部及び素子の樹脂基板とを密着させ、樹脂基板側からUV光を照射して、硬化・封止して、有機EL素子201を得た。
〔有機EL素子202〜213〕
実施例1の比較例の有機EL素子102、103及び本発明に係る有機EL素子104〜113の作製において、上記ガスバリアー層付きPETフィルムを樹脂基板及び封止基板として用いた以外は同様にして、有機EL素子202〜213をそれぞれ作製した。
作製した比較例の有機EL素子201〜203及び本発明に係る有機EL素子204〜213を用いて、実施例1と同様に光透過率差、電圧降下、視認性及び偏光性を評価したところ、実施例1を再現し、本発明に係る有機EL素子204〜213は、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のない透明有機エレクトロルミネッセンス素子が得られることが分かった。さらに、樹脂基板を支持基板及び封止基板に適用した結果、フレキシブルな透明有機EL素子が得られることが分かった。
実施例3
実施例2の有機EL素子212において、金属細線と組み合わせる導電層として、ITO層の代わりに、下記導電性高分子層を形成した以外は同様にして、有機EL素子を作製して評価したところ、実施例2を再現し、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のない透明有機エレクトロルミネッセンス素子が得られることが分かった。
[導電性高分子]
導電性高分子(PEDOT/PSS)含有液を塗布・パターニングし、導電性高分子層を作製した。
導電性高分子層は、上記金属細線パターンが形成された樹脂基材上に、インクジェット法により、後述する導電性ポリマー含有液を印刷した後、室温下で自然乾燥し、500nmの厚さに形成した。
導電性ポリマー含有液は、水溶性バインダ樹脂水溶液(固形分20%水溶液)を0.40g、PEDOT−PSS CLEVIOS PH750(固形分1.03%)(Heraeus社製)を1.90g、ジメチルスルホキシドを0.10g混合して調整した。なお、水溶性バインダ樹脂水溶液は、水溶性バインダ樹脂を純水に溶解し、固形分20%に調製されている。
また、水溶性バインダ樹脂は、300ml三ツ口フラスコにテトラヒドロフラン(THF)200mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(10.0g、86.2mmol、分子量116.12)、アゾビスブチロニトリル(AIBN)(2.8g、17.2mmol、分子量164.11)を加え、5時間加熱還流した。次いで、室温に冷却した後、2000mlのメチルエチルケトン(MEK)中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。次いで、このMEK溶液をデカンテーション後、100mlのMEKで3回洗浄し、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。次いで、THF溶液をロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量22100、分子量分布1.42の水溶性バインダ樹脂を9.0g(収率90%)得た。
ここで、水溶性バインダ樹脂の構造、分子量は各々1H−NMR(400MHz、日本電子社製)、GPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。
(GPC測定条件)
装置:Waters2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414 (Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
本発明の透明有機エレクトロルミネッセンス素子は、耐久性に優れ、低抵抗で透明な取出し電極を有し、素子全体として視認性に違和感のないことから、特に高度な透明性を要求される有機エレクトロルミネッセンス素子に好適である。
EL 透明有機EL素子
1 透明基材
2 有機機能層
3 発光領域
4 封止領域
5 第1取出し電極部
6 第2取出し電極部
7 陽極
8 陰極
9 光学調整層
30 透明有機EL素子
31 透明基材
32 陽極
33 第1キャリア機能層群
34 発光層
35 第2キャリア機能層群
36 陰極
37 接着剤
38 封止材
h 発光中心
L、L′ 光

Claims (8)

  1. 両面発光が可能な、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス素子部と取出し電極部を有する透明有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子部の非発光時の可視光領域における全光線透過率(%)に対し、前記取出し電極部の可視光領域における全光線透過率(%)が、90〜110%の範囲内であることを特徴とする透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記取出し電極部の表面抵抗値が、3Ω/□未満であることを特徴とする請求項1に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. フィルム基材上に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記取出し電極部が、少なくとも金属細線を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記取出し電極部が、少なくとも金属細線及び金属酸化物層を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記金属細線の線幅が、30μm以下であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記金属細線のパターン形状が、偏光抑制構造を有していることを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記取出し電極部が封止領域内にのみ存在し、当該取出し電極部は封止領域内外のパス部分において平面構造の第2取出し電極に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の透明有機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2017543020A 2015-09-30 2016-08-25 透明有機エレクトロルミネッセンス素子 Pending JPWO2017056797A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015192635 2015-09-30
JP2015192635 2015-09-30
PCT/JP2016/074737 WO2017056797A1 (ja) 2015-09-30 2016-08-25 透明有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2017056797A1 true JPWO2017056797A1 (ja) 2018-07-19

Family

ID=58423286

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017543020A Pending JPWO2017056797A1 (ja) 2015-09-30 2016-08-25 透明有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10305063B2 (ja)
JP (1) JPWO2017056797A1 (ja)
WO (1) WO2017056797A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6654913B2 (ja) * 2016-01-26 2020-02-26 住友化学株式会社 有機el素子の製造方法及び有機el素子
JP2018190608A (ja) * 2017-05-08 2018-11-29 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6782211B2 (ja) * 2017-09-08 2020-11-11 株式会社東芝 透明電極、それを用いた素子、および素子の製造方法
JP7048246B2 (ja) * 2017-10-05 2022-04-05 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 発光システム
WO2019093492A1 (ja) * 2017-11-09 2019-05-16 コニカミノルタ株式会社 発光部材、発光システム及び発光部材の製造方法
TWI757575B (zh) * 2019-01-23 2022-03-11 崇翌科技股份有限公司 準分子燈及準分子燈的製造方法
CN110190164B (zh) * 2019-05-21 2021-01-19 珠海纳金科技有限公司 一种柔性电致发光器件及其制备方法
TWI694748B (zh) * 2019-08-28 2020-05-21 明志科技大學 用以產生大面積電漿之電極元件
JP7433020B2 (ja) * 2019-11-07 2024-02-19 ローム株式会社 チップ部品およびその製造方法
US11696378B2 (en) * 2021-10-14 2023-07-04 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Electroluminescent cells

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6452218B1 (en) * 1997-06-10 2002-09-17 Uniax Corporation Ultra-thin alkaline earth metals as stable electron-injecting electrodes for polymer light emitting diodes
JP4631801B2 (ja) * 2005-09-02 2011-02-16 セイコーエプソン株式会社 発光装置の製造方法、および発光装置
JPWO2007077715A1 (ja) * 2006-01-05 2009-06-11 コニカミノルタホールディングス株式会社 ボトムエミッション型有機エレクトロルミネッセンスパネル
TWI479712B (zh) * 2007-10-19 2015-04-01 Semiconductor Energy Lab 發光裝置
JP2009301754A (ja) * 2008-06-10 2009-12-24 Casio Comput Co Ltd 表示装置及び表示装置の製造方法
JP5541984B2 (ja) * 2010-06-29 2014-07-09 双葉電子工業株式会社 有機el表示装置
JP5938756B2 (ja) 2011-06-15 2016-06-22 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子および照明装置
WO2013158543A1 (en) * 2012-04-17 2013-10-24 The Regents Of The University Of Michigan Methods for making micro- and nano-scale conductive grids for transparent electrodes and polarizers by roll to roll optical lithography
JP2014154212A (ja) * 2013-02-04 2014-08-25 Toshiba Corp 有機電界発光素子、照明装置及び照明システム
JP2014229546A (ja) * 2013-05-24 2014-12-08 コニカミノルタ株式会社 面発光ユニットおよびその製造方法
JP2015115191A (ja) 2013-12-11 2015-06-22 パナソニックIpマネジメント株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び照明装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20190006614A1 (en) 2019-01-03
US10305063B2 (en) 2019-05-28
WO2017056797A1 (ja) 2017-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2017056797A1 (ja) 透明有機エレクトロルミネッセンス素子
US9402299B2 (en) Transparent electrode and organic electronic element using same
EP2549560B1 (en) Organic electronic device and method of manufacturing the same
US9608226B2 (en) Method for manufacturing transparent electrode
JP5915056B2 (ja) 透明電極の製造方法および有機電子デバイスの製造方法
WO2017056635A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2017056814A1 (ja) 透明有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JPWO2014148512A1 (ja) 透明導電体、及び、電子デバイス
US20180219174A1 (en) Organic electroluminescence panel
WO2015050081A1 (ja) 導電性基板、その製造方法及び当該導電性基板が備えられている有機電子デバイス
JP6592915B2 (ja) 透明電極基板とその製造方法、電子デバイス及び有機elデバイス
JP2012243492A (ja) 透明電極の製造方法および有機電子デバイス
JP2012138311A (ja) 透明導電膜基板および有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6269648B2 (ja) 透明電極及び有機電子デバイス
JP2015106686A (ja) 電圧駆動型発光素子の低電圧駆動化剤、有機半導体含有層形成用の低電圧駆動化組成物、並びに、低電圧駆動化された電圧駆動型発光素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子
JPWO2012014740A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2015005263A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP5494390B2 (ja) 透明導電膜、および有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2018051617A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2016152822A1 (ja) 導電性フィルム及び有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2015001922A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンスモジュール
WO2011096922A1 (en) Organic light emitting device with enhanced emission uniformity
WO2015118932A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス照明装置及び照明方法
JPWO2014189094A1 (ja) 透明電極の製造装置、及び、電子デバイスの製造装置