JP7048246B2 - 発光システム - Google Patents

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本発明は、発光システムに関する。
有機ELパネルは、液晶表示装置に比べ視野角依存性が少ない、コントラスト比が高い、薄膜化が可能などの利点から脚光を浴びており、各所で研究開発がおこなわれている。
また近年では、有機ELパネルを利用した携帯ディスプレイや携帯背面ディスプレイ等も積極的に市場投入され、視認性の高さから、大型テレビへの市場投入が期待され、一部投入計画が報道されるなどフラットパネルディスプレイでの市場投入に拍車がかかってきている。
一方、有機ELパネルは、自己発光型光源である事と、面発光光源である事から、次世代照明として脚光をあびており、有機EL照明として同じく各所で開発がなされている。有機ELはRGBそれぞれの発光材料を電極間内に形成し、RGBの発光出力を駆動又は有機膜厚含めた層設計を施すことによって、発光色、発光色強度等を自由に変えることが可能となる。すなわち、有機ELパネルは、照明用途として要求される白色として、例えば、色温度2000~3000[K]等の電球色から5000~6000[K]等の昼白色まで自由に形成することが可能であるとととに、燐光材料を使用することでLEDや蛍光灯と同等またはそれを超える発光効率も見えてきており、薄型化照明としての実現が期待されている。
また昨今は、フレキシブル基材を用いた有機ELパネルの開発が脚光を浴びている。水分に弱い有機ELは、高いバリア性を有するフレキシブル基材を用いて、電極及び機能層(発光層)を形成するフレキシブル有機ELパネルが所望されており、多くの企業、研究機関で発明され、開示されている。(特許文献1参照)。
有機EL素子は、半導体と異なり、基板又は基材の上に第一電極(例えば、アノード電極)を成膜し、素子及び第二電極(例えば、カソード電極)を約90~400[nm]の薄膜で形成するため、異物、欠陥等が発生したり、成膜直後に不安定な場合がある。特許文献2には、これらをバーンイン、エージング等で安定化させてから製品を出荷する発明が記載されている。
特開2011-156752号公報 特開2003-173873号公報
しかし、フレキシブル基材を用いた有機EL素子のアノード電極として、例えば酸化物系材料を用いた電極を形成する場合には、ガラス基板と異なりフォトパターニングが必要だったり、エッチング耐性や洗浄耐性が必要だったりするため、それらを満足させるフレキシブル基材が求められる。フレキシブル基材に前記した耐性が不足していたりする場合には、異物等が付着したままで有機EL素子を形成することとなる場合がある。このような場合には、フレキシブル基材の凹凸欠陥等の上層に電極を形成する場合等、電極が鋭利になったり、ピンホール欠陥、段差形成等といった異常欠陥部が発生したりすることによって、同部位でリーク電流が増大し、短絡が発生するという問題があった。
また、フレキシブル有機ELパネルにはフレキシブル性が求められるため、アノード電極として薄膜金属膜等を用いた電極を形成する場合もある。このような場合には、電極形成後に洗浄によるパーティクル除去ができないため、金属パーティクルや異物が除去されないまま次工程に移行する場合があり、リーク電流が増大し、短絡が発生するという問題があった。
また、タンデム素子等の厚い素子を機能層に用いた場合にはリークが発生しにくく、短絡は発生しないものと思われていたが、フレキシブル基材では前記したとおり、洗浄等が不十分だったり、フレキシブル基材の表面状態などに起因して短絡が発生してしまう事が多々発生していた。しかし、タンデム素子等といった厚い機能層をリペアする手法は見出されておらず、エージングやリーク検査等を行ってスクリーニングしても短絡が発生するという問題があった。
本発明は、前記事情に鑑みて創案されたものであり、短絡を抑制することによって信頼性を向上することが可能な発光システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための本発明は、以下の構成を備える。
1.基材と、前記基材上に設けられる第一電極と、前記第一電極上に設けられる発光可能な機能層と、前記機能層上に設けられる第二電極と、を有する発光部材と、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層を発光させるための第一信号を印加する信号発生部と、を備え、前記信号発生部は、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層に絶縁部を形成するための順バイアスの第二信号を印加し、前記第一信号は、パルス信号であり、前記第二信号は、前記第一信号のベース期間に印加されることを特徴とする発光システム。
2.前記信号発生部は、前記第一信号を印加するための第一電源と、前記第二信号を印加するための第二電源と、を備えることを特徴とする前記1に記載の発光システム。
3.前記第一信号及び前記第二信号は、パルス信号であり、前記第一信号及び前記第二信号の少なくとも一方の印加周波数は、80[Hz]以上であることを特徴とする前記1又は2に記載の発光システム。
4.基材と、前記基材上に設けられる第一電極と、前記第一電極上に設けられる発光可能な機能層と、前記機能層上に設けられる第二電極と、を有する発光部材と、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層を発光させるための第一信号を印加する信号発生部と、を備え、前記信号発生部は、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層に絶縁部を形成するための順バイアスの第二信号を印加し、前記第一信号及び前記第二信号は、単一のパルス信号であり、前記第二信号の電流密度は、6[mA/cm 2 ]以上であることを特徴とする発光システム。
5.前記第二信号の電流密度は、6[mA/cm2]以上であることを特徴とする前記1から4のいずれかに記載の発光システム。
6.前記第二信号は、前記機能層における前記絶縁部と前記第一電極との間に離間する部位を形成することを特徴とする前記1から5のいずれかに記載の発光システム。
7.前記第一電極は、銀によって形成されていることを特徴とする前記6に記載の発光システム。
8.前記基材上に設けられる前記第一電極、前記機能層及び前記第二電極を封止する封止層を備えることを特徴とする前記1から7のいずれかに記載の発光システム。
9.前記封止層の厚みは、250[nm]以上であることを特徴とする前記8に記載の発光システム。
10.前記封止層は、無機材料を含んで形成されていることを特徴とする前記8又は9に記載の発光システム。
11.前記封止層は、化学気相成長法によって形成されていることを特徴とする前記8から10のいずれかに記載の発光システム。
12.複数の前記発光部材を備えることを特徴とする前記1から11のいずれかに記載の発光システム。
13.前記信号発生部は、前記第一信号を複数の前記発光部材に対して順に印加することを特徴とする前記12に記載の発光システム。
14.前記信号発生部は、前記第二信号を複数の前記発光部材に対して順に印加することを特徴とする前記12又は13に記載の発光システム。
15.前記第一信号と前記第二信号とは、周波数が同一であることを特徴とする前記12から14のいずれかに記載の発光システム。
16.前記信号発生部は、前記第一信号を印加するための、複数の前記発光部材に共通の第一電源と、前記第二信号を印加するための、複数の前記発光部材ごとの第二電源と、を備えることを特徴とする前記12に記載の発光システム。
17.基材と、前記基材上に設けられる第一電極と、前記第一電極上に設けられる発光可能な機能層と、前記機能層上に設けられる第二電極と、を有する複数の発光部材と、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層を発光させるための第一信号を印加する信号発生部と、を備え、前記信号発生部は、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層に絶縁部を形成するための順バイアスの第二信号を印加し、前記第一信号と前記第二信号とは、周波数が同一であることを特徴とする発光システム。
本発明によると、発光システムにおいて短絡を抑制することによって信頼性を向上することができる。
本発明の実施形態に係る発光システムを模式的に示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る発光部材を模式的に示す図であり、基材の面と直交する方向から見た図である。 本発明の実施形態に係る発光部材を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る発光部材を模式的に示す断面図である。 本発明の第一の実施例及び第四の実施例に係る発光システムにおける第一信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第二の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第三の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第四の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第五の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第五の実施例に係る発光システムにおける第一信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第六の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第六の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第七の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第七の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第七の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第七の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第八の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第九の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第九の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の第十の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第十の実施例に係る発光システムを模式的に示す回路図である。 本発明の第十の実施例に係る発光システムにおける第一信号及び第二信号の経時変化を示すグラフである。 本発明の実施例に係る発光システムの信頼性試験結果を示す図表である。
本発明の実施形態について、本発明の発光部材として有機EL(Electro Luminescence)素子、詳細には、面発光可能な有機ELパネルを用いる場合を例にとり、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る発光システム1は、発光部材2と、信号発生部3と、制御部6と、を備える。
<発光部材>
発光部材2は、面発光可能な有機ELパネルである。かかる発光部材2は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。発光部材2については、後に詳細に説明する。
<信号発生部>
信号発生部3は、発光部材2を面発光させるための信号を発生し、発光部材2に印加する。信号発生部3は、第一電源4と、第二電源5と、スイッチ回路SCと、を備える。
≪第一電源及び第一信号≫
第一電源4は、発光部材2の機能層32(図3参照)を発光させるための第一信号を発生するための電源である。本実施形態において、第一信号は、順バイアスのパルス信号(パルス電流又はパルス電圧)である。例えば、発光部材2が50[mA]の直流電流によって所望の発光輝度で発光可能である場合に、第一信号は、デューティ比10[%]で波高値が10倍の500[mA]に設定可能である。
≪第二電源及び第二信号≫
第二電源5は、アノード電極31及び機能層32をリペアすることよって、アノード電極31に隙間31a(図4参照)を形成したり、機能層32に絶縁部32a(図4参照)を形成したりするための順バイアスの第二信号を発生するための電源である。第二信号は、順バイアスのパルス信号(パルス電流又はパルス電圧)である。かかる第二信号は、第一信号のベース期間(非印加期間)に印加されることが望ましい。
なお、信号発生部3は、第二電源5を省略し、第一電源4による第一信号に第二信号の機能も持たせる構成であってもよい。すなわち、第一電源4による(単一の)パルス信号が、第一信号及び第二信号の両方の機能を有する構成であってもよい。この場合において、単一のパルス信号は、印加時間が1[μsec]以上であることが望ましい。また、発光部材2が複数ある場合には、第一電源4及び第二電源5は、それぞれ、複数の発光部材2に対して共通であってもよく、各発光部材2に対して個別に設けられてもよい。
≪スイッチ回路≫
スイッチ回路SCは、第一電源4及び第二電源5を接続するための回路である。
<制御部6>
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部6は、第一電源4、第二電源5及びスイッチ回路SCを制御することによって、発光部材2に第一信号及び第二信号を印加させる。
<発光部材>
図2及び図3に示すように、本発明の実施形態に係る発光部材2は、有機ELパネルであり、樹脂基材10と、一対の取出電極20,20と、アノード電極31と、機能層32と、カソード電極33と、第一の封止層34と、第二の封止層35と、導電層40と、配線50と、を備える。
<樹脂基材>
樹脂基材10は、フレキシブル性(可撓性)を有する長尺部材である。また、樹脂基材10には、水、酸素等の侵入を抑制するバリア性が付与されている。
<取出電極>
一対の取出電極20,20は、樹脂基材10の表面に、当該樹脂基材10の長手方向中間部から長手方向端部にかけて互いに平行に設けられている。一対の取出電極20,20は、アノード電極31及びカソード電極33を封止層34,35から露出する部位に取り出すためのものであって、アノード電極31及びカソード電極33と配線50とをそれぞれ電気的に接続する。
<アノード電極>
アノード電極31は、樹脂基材10の表面に、一方の取出電極20と電気的に接続されるように設けられる電極である。アノード電極31は、銀によって形成されていることが望ましい。
<機能層>
機能層32は、アノード電極31の表面に設けられている。機能層32は、有機物を用いて形成される発光層であり、アノード電極31及びカソード電極33からの電圧印加によって発光、より詳細には面発光する。より詳細には、機能層32は、第一電源4からの第一信号がアノード電極31及びカソード電極33を介して印加されることによって面発光する。
<カソード電極>
カソード電極33は、機能層32の表面に、他方の取出電極20と電気的に接続されるように設けられる電極である。
<第一の封止層>
第一の封止層34は、機能層32の表面に、一対の取出電極20,20の電極31,33側端部、アノード電極31、機能層32及びカソード電極33を、隙間を空けることなく直接覆うように設けられる封止層である。第一の封止層34は、アノード電極31、機能層32及びカソード電極33への水分の浸入を防止するための層であり、SiN等といった窒化物によって形成されている。
<第二の封止層>
第二の封止層35は、第一の封止層34の表面に設けられる封止層である。第二の封止層35は、第一の封止層34への水分の浸入を防止するための層であり、アルペット(登録商標。アルミ箔とポリエステルフィルムとを貼り合わせた複合材料であり、以下、ALPETと記載する)によって形成されている。すなわち、第二封止層35は、金属層と樹脂層とを積層したものであって、図示しない熱硬化性接着剤によって、第一の封止層34の表面に貼り付けられている。
第一の封止層34及び第二の封止層35の少なくとも一方は、無機材料を含んで形成されていることが望ましい。また、第一の封止層34は、化学気相成長法によって形成されていることが望ましい。
<導電層>
導電層40は、一対の取出電極20,20上に設けられる異方性導電膜(ACF:Anisotropic Coductive Film)である。導電層40は、一対の取出電極20,20と配線50とを電気的に接続する。
<配線>
配線50は、フレキシブル性を有するものであって、本実施形態では、一端部が導電層40の表面に取り付けられるFPC(Flexible Printed Circuit)である。配線50の他端部は、図示しない外部電源に電気的に接続される。
<各層の厚さ>
図面における各層の厚さは、正確なものではない。実際には、第二の封止層35は、基材10、アノード電極31、機能層32、カソード電極33及び第一の封止層34と比較して、十分に厚く形成されている。なお、第一封止層34及び第二封止層35の合計の厚み(基材10からの厚み)は、250[nm]以上であることが望ましい。
≪絶縁部≫
図4に示すように、機能層32には、絶縁部32aが形成されている。かかる絶縁部32aは、第二電源5からの第二信号がアノード電極31及びカソード電極33を介して機能層32に印加されることによって形成される。すなわち、機能層32のうち、短絡が発生している部位は、第二信号が印加されることによって発熱する。発熱した機能層32は、機能層32の各層が融解して混ざり合い、局所的に絶縁部32aとなる。
≪隙間≫
また、アノード電極31には、隙間31aが形成されている。かかる隙間31aは、第二電源5からの第二信号がアノード電極31及びカソード電極33を介して機能層32に印加されることによって形成される、絶縁部32aとアノード電極31とが離間する部位である。すなわち、機能層32のうち、短絡が発生している部位は、第二信号が印加されることによって発熱し、短絡が発生している部位と接続されているアノード電極31も発熱する。発熱したアノード電極31は、融解し、隙間31aを形成する。
また、カソード電極33と第一の封止層34との間には、隙間33aが形成されている。かかる隙間33aは、第二電源5からの第二信号がアノード電極31及びカソード電極33を介して機能層32に印加されることによって形成される。すなわち、機能層32のうち、短絡が発生している部位の近傍は、第二信号が印加されることによって発熱し、融解することによって絶縁部32aとなる。その際に、絶縁部32aと接続されているカソード電極33は、絶縁部32aが形成されて機能層32の厚みが減った分だけ下がり、隙間33aを形成する。
なお、有機物によって形成される機能層32の融点は、一般的に700[℃]以下(450~500[℃])であり、銀によって形成されるアノード電極31の融点は、1000[℃]以下である。また、他の基材10、カソード電極34等の融点は、機能層32及びアノード電極31の融点よりも高い。第二信号は、アノード電極31及び機能層32の短絡部位の近傍を融解させるとともに、他の基材10、カソード電極34等を融解させないように設定されている。
絶縁部32a及び隙間31aは、第二信号によるリペア処理によって形成されるものであり、短絡を抑制することができ、かつ、発光部材2の面発光(ユーザによる視認性)に影響を与えない程度の形状及び大きさを呈する。また、絶縁部32a(及び隙間31a)を形成するリペア処理は、発光システム1の製品としての出荷前に行われてもよく、出荷後の実用段階に行われてもよい。
<発光パネルの製造方法>
まず、基材10をウェット洗浄にてクリーニングを行い、次に、基材10上にアノード電極31を形成する。基材10の洗浄で異物を除去しきれなかったり、アノード電極31形成時に金属スプラッシュや金属飛散物の付着が発生したり、機能層32を複数層にわたって形成する際に有機異物やパーティクルの付着が発生したりするケースがある。このように異物が存在している状態で、発光パネル2の定電流駆動での発光駆動を行うと、異物等が原因でアノード電極31カソード電極33との間でリークが発生したり、機能層32が機能せずオーミック電流が流れたりし、短絡による非発光状態となる機能不良が発生してしまうおそれがある。
<パルスピーク発生処理>
本発明の実施形態に係る発光システム1は、短絡要因を排除するためにパルスピーク(第一信号又は第二信号)を駆動中に発生させて、短絡を回避する。発光部材2を定電流駆動で通電発光させる場合は、徐々にリーク部位が成長し、リーク部位が修復される事が無く短絡に至ってしまう。これに対し、発光システム1は、デューティ駆動のように発光輝度を所望の値に維持するためにオフ期間を含み、高い発光電流を瞬間的に流す事で、リーク部位に発生する高いジュール熱で有機層を融解させてレイヤー機能を喪失させ、さらにはその高い温度でアノード電極31も融解させる。
ここで高い電流値を入れ続けると、アノード電極31の融解が2次元方向に広がることから、融解の広がりを止めるため、その後の電流値をオフ又は融解が止まる程度に抑えることで、アノード電極31の融解によってミクロな領域、すなわちリーク部位だけを焼損することが可能となる。
そして機能層32が融解した後に固まるため、かかる部位が絶縁部(有機絶縁膜)31aとなり、アノード電極31のうち融解した部位(隙間31a)を覆うこととなり、リーク部位をリペアしたような絶縁処理化が可能となる。
さらには、瞬間的なパルスピーク(第一信号又は第二信号)を与え、オフ期間又は低電流波高値に戻すことにより、ジュール熱で溶解したアノード電極31及び機能層32が固化するため、破壊する大きさをパルス幅と波高値の関係で制御する事が可能となる。
<フレーム周波数>
有機EL照明は、ディスプレイ用途とは異なり、通常発光を維持する必要がある。パルスピークを瞬間的に導入する場合には、有機EL照明は、オフ期間を入れても平均輝度を維持することができるが、パルスピーク(第一信号)のフレーム周波数が遅い場合には、ピーク幅が短時間の場合、ベース期間で非点灯に見えてしまう。本発明者は、非発光にならない最小周波数が80[Hz]であることを確認し、同周波数以上で、瞬間的にパルスピークを与えることによって、リーク部位をリペアできることができることを確認した。すなわち、第一信号及び第二信号の少なくとも一方の印加周波数は、80[Hz]以上に設定可能である。また、周波数の上限は特に無く、2[kHz]までの確認においては、同様なリペア効果を得ることができる。
<ピーク幅>
高いパルスピーク(第一信号又は第二信号)を入れることによって、リーク部位がジュール熱で焼かれ焼損することが可能となるが、焼き切るに必要な時間は、実験的には1[μsec]以上であることがわかった。これは、発光部材2の面積の大きさ及び配線抵抗にもよるが、CR遅延の影響によるピークのなまりを抑制することができる時間としては、1[μsec]以上が必要なことと、電流をいれてからリーク部位が焼き切れるまでの発熱及び焼損にかかる時間が1[μsec]以上必要であるためであると考えられる。
<タイリング>
一般的に、有機EL照明は、複数のパネル(発光部材2)をタイリングすることによって、発光領域(例えば、室内照明)を構成する。
その際、例えば高いパルスピークを生成する電源をドライバーIC等で構成することができれば、各パネルで波高値を含む発光波形をコントロールすることができる。一方、発光面積が大きいパネルに関しては、パルスピークに1[A/パネル]以上必要な場合があり、このような場合には、同パルス(第二信号)を入力する電源を(第二電源5)複数パネル間で共通化し、発光に寄与する電源(第一電源4)を各パネルに別電源として個別に備えることによって、発光状態を妨げることなくリペア機能を有することが可能となる。また、パルスピーク(第二信号)の周波数は、発光に寄与する発光電流(第一信号)のフレーム周波数に同期してもよく、同期しなくてもよい。
また、リペアするためだけにパルスピーク(第二信号)を定期的に入れることでリペアを実現する構成であってもよい。
さらには、そのような発光に寄与させないように瞬間的にパルスピーク(第二信号)を入力する場合は、タイリングされた複数のパネルを直列に接続し、全パネルに共通のパルス波形を入力するとともに、発光に寄与する発光電流(第一信号)に関しては、スイッチングで並列的に印可することによって、多数のパネルを少ない電源回路数でリペアすることが可能となる。
信号発生部3は、第一信号及び第二信号の少なくとも一方を、複数のパネル(発光部材2)に対して順に印加する構成であってもよい。この場合において、第一信号と第二信号とは、周波数が同一である構成であってもよい。また、信号発生部3において、単一の第一電源4が、複数の発光部材2に対して第一信号を印加し、複数の発光部材2ごとに設けられる第二電源5が、対応する発光部材2に対して第二信号を印加する構成であってもよい。
本発明の実施形態に係る発光システム1は、基材10と、基材10上に設けられる第一電極(アノード電極31)と、第一電極上に設けられる発光可能な機能層32と、機能層上に設けられる第二電極(カソード電極33)と、を有する発光部材2と、第一電極及び第二電極に対して、機能層32を発光させるための第一信号を印加する信号発生部3と、を備え、信号発生部3は、第一電極及び第二電極に対して、機能層32に絶縁部32aを形成するための順バイアスの第二信号を印加することを特徴とする。
したがって、発光システム1は、第二信号によって短絡部位を絶縁部32aとし、短絡を抑制することによって発光部材2の信頼性を向上することができる。
また、発光システム1は、信号発生部3が、第一信号を印加するための第一電源4と、第二信号を印加するための第二電源5と、を備えることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、第一信号と第二信号の電源を別にすることによって、第二信号の波高値を第一信号よりも大きくし、絶縁部32aを好適に形成することができる。
また、発光システム1は、第一信号が、パルス信号であり、第二信号は、第一信号のベース期間に印加されることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、絶縁部32aを形成する領域をコントロールし、例えば、数十[μm]程度の視認されない絶縁部32aを好適に形成することができる。
また、発光システム1は、第一信号及び第二信号が、パルス信号であり、第一信号及び第二信号の少なくとも一方の印加周波数は、80[Hz]以上であることを特徴とする。なお、印加周波数の上限値は、電波法による届出を不要とし、かつ、他の電子回路への影響を抑えるという観点から、10[kHz]に設定可能である。
したがって、発光システム1は、第一信号及び第二信号がともに印加されないオフ期間を有する場合であっても、発光部材2による発光を好適に維持することができる。
また、発光システム1は、第一信号及び第二信号が、単一のパルス信号であることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、同一の電源によって発光部材2の発光と絶縁部32aの形成とを行うことができ、システムを簡略化することができる。
また、発光システム1は、単一のパルス信号が、印加時間が1[μSec]以上であることを特徴とする。なお、単一のパルス信号の1回あたりの印加時間の上限値は、印加時間の直後に信号をオフ又は定電流にして冷却を行うため、冷却時間(=CR時定数)を1τとすると、「フレーム時間(すなわち、印加時間と非印加時間(又は定電流時間)との組み合わせからなる1サイクルの時間)-1τ」に設定可能である。
したがって、発光システム1は、一つの信号によって発光部材2の発光と絶縁部32aの形成とを好適に行うことができる。
また、発光システム1は、第二信号の電流密度が、6[mA/cm]以上であることを特徴とする。なお、第二信号の電流密度の上限値は、第二信号の印加によるジュール熱で基材(樹脂基材10)が融解しない値に設定可能である。
したがって、発光システム1は、機能層32における短絡部位の近傍を融解させ、絶縁部32aを好適に形成することができる。
また、発光システム1は、第二信号が、機能層32における絶縁部32aと第一電極との間に離間する部位(隙間31a)を形成することを特徴とする。
したがって、発光システム1は、第一電極(アノード電極31)もリペアし、短絡を抑制することによって発光部材2の信頼性をさらに向上することができる。
また、発光システム1は、第一電極が、銀によって形成されていることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、第二信号によって比較的低い温度で第一電極を好適に融解させ、第一電極のリペアを好適に行うことができる。
また、発光システム1は、基材10上に設けられる第一電極、機能層32及び第二電極を封止する封止層34,35を備えることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、封止層34,35が第一電極、機能層32及び第二電極を離間せずに直接被覆して封止する場合であっても、第一電極及び機能層32のリペアを好適に行うことができる。
また、発光システム1は、封止層34,35の厚みが、250[nm]以上であることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、第一電極及び機能層32のリペアによる影響を抑えて封止性能を好適に発揮することができる。
また、発光システム1は、封止層34,35は、無機材料を含んで形成されていることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、第二信号の印加によって封止層34,35が融解することを防止し、封止性能を好適に発揮することができる。
また、発光システム1は、封止層34が、化学気相成長法によって形成されていることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、高い密着性と高密度を有する封止層34を備えることによって、第二信号の印加によって封止層34が融解することを防止し、封止性能を好適に発揮することができる。
また、発光システム1は、複数の発光部材2を備えることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、様々な発光態様(複数表示等)を提供することができる。
また、発光システム1は、信号発生部3が、第一信号を複数の発光部材2に対して順に印加することを特徴とする。
したがって、発光システム1は、複数の発光部材2の発光を均一に維持することができる。
また、発光システム1は、信号発生部3が、第二信号を複数の発光部材2に対して順に印加することを特徴とする。
したがって、発光システム1は、複数の発光部材2におけるリペアを好適に行うことができる。
また、発光システム1は、第一信号と第二信号とが、周波数が同一であることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、複数の発光部材2の発光を均一に維持するとともに複数の発光部材2におけるリペアを好適に行うことができる。
また、発光システム1は、信号発生部3は、第一信号を印加するための、複数の発光部材2に共通の第一電源4と、第二信号を印加するための、複数の発光部材2ごとに設けられる第二電源5と、を備えることを特徴とする。
したがって、発光システム1は、発光のための第一信号を、発光部材2ごとに変えることができるとともに、リペアのための第二信号を、複数の発光部材2に対して共通化することができる。
<発光システムの作製>
続いて、本発明の実施形態に係る発光システム1の製造方法の実施例について説明する。
≪基材の作製≫
基材10として、60[cm]×60[cm]の可撓性(フレキシブル性)を有する樹脂基材を用意した。線膨張係数が15×10-6[1/K]であるPET(PolyEthylene Terephthalate resin)をベース基材とし、かかるベース基材を加工してバリア性を持たせることによって、可撓性及びバリア性を有する樹脂基材を作製した。詳細には、可撓性及びバリア性を有する樹脂基材を、特開2008-235139号公報に記載の手法によって作製した。
≪基材10のクリーニング≫
続いて、作製された基材10をウェット洗浄法によってクリーニングした。詳細には、アルカリ洗剤を5[%]に希釈し、希釈された洗剤溶液を60[℃]に加熱し、加熱された洗剤溶液に樹脂基材を浸漬させ、樹脂基材に対してスクラブ洗浄を実施し、基材10に付着した異物を除去した。続いて、基材10に対してウルトラソニック洗浄、純粋リンス、窒素ブロー及びIR(InfraRed)乾燥を順次実施した。続いて、樹脂基材に対して、UV(UltraViolet)照射を実施し、基材10に付着した有機物を除去した。続いて、オーブンを用いて基材10を乾燥させた。前記したクリーニング処理及び乾燥処理によって、基材10を準備した。
≪取出電極の形成≫
続いて、スパッタリング法によって、基材10上に一対の取出電極20,20を形成した。取出電極20は、厚みが300[nm]のMo層である。なお、取出電極20は、Moに限定されず、Al,Ag,Au,Ti,Mo,Nb,W、これらの合金又は積層体といった、低い抵抗値を有する無機金属材料によって形成されてもよい。また、取出電極20は、ITO,IZO,IWZO,AZO,BZO,SnO等といった酸化物導電性材料又はこれらの積層体によって形成されてもよい。また、取出電極20の形成手法は、スパッタリング法に限定されず、蒸着法等であってもよい。取出電極の材料及び/又は形状は、後記する発光層までの電気抵抗が100[Ω]以下となるように設定されることが好ましい。
続いて、基材10上に形成された取出電極20に対して、レジスト成膜及びエッチング処理を実施することによって、当該取出電極20を所望の形状にパターニングした。取出電極20のパターニング手法としては、フォトリソグラフィ―法、マスクパターニング法、レーザーアブレーション法等が好適に利用可能である。
≪AGR層の作製≫
続いて、樹脂基材上に、真空マスク蒸着法によって、下地層を形成した。下地層は、アノード電極31の下地となる層であり、アノード電極31の金属原子(例えば、Ag)を安定化させるためのものである。アノード電極31がAg膜である場合には、下地層の材料としては、窒素原子を含む有機化合物、Pd、Mo,Zn,Ge,Nb,In,これらの金属と他の金属との合金、これらの金属の酸化物又は硫化物(例えば、ZnS)等が挙げられる。下地層は、これらの1種を含んでもよく、2種以上を含んでもよい。特に、下地層は、Pd又はMoを含むことが望ましい。
窒素原子を含む有機化合物は、分子内に窒素原子を含む化合物であればよく、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが望ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ-C-シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
下地層における窒素原子を含む有機化合物又は金属の量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。下地層に窒素原子を含む有機化合物又は前記金属が20質量%以上含まれる場合には、下地層と導電層との親和性が高まり、下地層とアノード層との密着性が向上する。また、Pd,Mo,Zn,Ge,Nb又はInと合金を形成する金属としては、特に制限はなく、例えばPd以外のPt族、Au,Co,Ni,Ti,Al,Cr等が好適に用いられる。
下地層は、蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。蒸着法としては、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が挙げられる。蒸着時間は、下地層の所望の厚さ及び形成速度に応じて適宜選択される。
≪アノード電極の形成≫
続いて、基材10上に形成された下地層上に、真空蒸着法によって、厚さが10[nm]のAg膜を形成することよって、アノード電極31を形成した。また、アノード電極31の一端部を、取出電極20の一方に接続するようにパターニングした。
アノード電極31は、ITO,IZO,IWZO,AZO,,BZO等の酸化物導電性材料、Ag, Al,Au,Ti,Mo,Nb,W等といった金属材料、これらの合金又は積層体によって形成されてもよい。また、アノード電極31の形成手法は、真空蒸着法に限定されず、スパッタリング法、イオンビームを用いる手法等であってもよい。
また本実施例のように、高いパルスピークを6[mA/cm]以上で与え、融点が1,000[℃]以下の材料である薄膜Ag電極をアノード電極31として用いると、カソード電極33が融解する前にアノード電極31が融解し、さらにオフ期間を与える事で融解する面積を抑制可能となる。かかる手法は、アノード電極31をリペアする手法であるため、封止層34,35がカソード電極33上に直接形成されていても、封止層34,35へ影響を与えない。特に、カソード電極33にAl系材料を使用した場合には、高い熱伝導率から熱をカソード電極33の横方向であったり、封止層34,35へ熱拡散していくため、封止層34,35へ物理的なダメージを与えず、アノード電極31にける短絡部位をリペアすることが可能である。
≪機能層の形成≫
続いて、アノード電極31が形成された基材10上に、真空蒸着法によって機能層32を形成した。機能層32として、いわゆるタンデム素子を使用した。機能層32における有機層として、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/中間コネクタ/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層が順に積層される。また本実施例では層厚320[nm]のタンデム有機層を形成した。なお、機能層32は、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層の順に積層される、一般的に80~150[nm]の層厚で形成されるシングル素子であってもよい。
また、本実施例では、機能層32として、4000[K]の白色発光タンデム素子を使用したが、モノカラーや異なる白色光有する有機EL発光素子でも構わない。
≪カソード電極の形成≫
続いて、アノード電極31及び機能層32が形成された基材10上に、真空蒸着法によって、厚さが200[nm]のAl膜を形成することによって、カソード電極33を形成した。なお、カソード電極33は、Alに限定されず、Ti,Ni,Cr,Ag等といった金属材料、ITO,IZO,IWZO,AZO,BZO,SnO等といった酸化物導電性材料、これらの合金又は積層体によって形成されてもよい。また、カソード電極の一端部を、取出電極20の他方に接続するようにパターニングした。また、カソード電極33は、真空蒸着法に限定されず、スパッタリング法、イオンビーム等などの方法で形成されてもよい。
≪封止層の形成≫
取出電極20、アノード電極31、機能層32及びカソード電極33が形成された基材10上に、SiN膜及びアルペット(登録商標。アルミ箔とポリエステルフィルムとを貼り合わせた複合材料であり、以下、ALPETと記載する)を含む封止層34,35を作製した。まず、アノード電極31、機能層32及びカソード電極33が形成された基材10上に、CVD法によって、厚さが500[nm]のSiN膜(第一の封止層34)を形成した。SiN膜は、薄いAg膜であるアノード電極31及び当該アノード電極31と取出電極20との薄い接続部を物理的ダメージ(キズ等)から保護するためのものである。続いて、SiN膜上に、熱硬化性接着剤を用いてALPET(第二の封止層35)を貼り付けた。ALPETは、SiN膜への水分アタックを防止するためのものである。
このように、封止層34,35を備える構成であっても、アノード電極31をリペアすることが可能である。望ましくは、封止層34,35を、無機系材料を用いた1層250[nm]以上とすることによって、リペア時に発生する熱をカソード電極33を通じて封止層34,35側へ逃がすことが可能となる。有機系封止層35をカソード電極33へ形成する場合には、有機系封止層35が気化することを防止するため、カソード電極33を無機膜系材料によって形成される封止層34で覆うことが望ましい。
また、無機膜系材料によって形成される封止層34が、望ましくはCVD法によって形成されることによって、欠陥の少ない、有機無機ハイブリッドであっても封止構造を維持し、かつアノード電極31をリペアすることが可能な構造を維持することができる。
このように、基材10上に、取出電極20、アノード電極31、機能層32、カソード電極33及び封止層34,35を形成することによって、発光部材2としての有機ELパネルを作製した。今回作成した有機ELパネルの発光面積は、5[cm]×3[cm]に設定されている。
≪発光システム≫
可撓性を有する有機ELパネルに、厚み75[μm]のFPCを、日立化成製のACFを用いて150[℃]で熱圧着することによって、フレキシブル有機ELモジュールを作成した。また本実施例では複数種類の波形を印可できるように駆動回路を外部に形成し、有機ELモジュールに電流印可するように接続することによって、発光システム1を作製した。本実施例では、外部に回路を用意したが、専用のドライバーICを用いて駆動してもよく、例えば有機ELパネル内にCOF(Chip On Film)として接続してもよいし、FPC上にCOFを形成し発光電流を印可するような発光システム1を作製してもよい。
<強制不良例>
本発明の効果を調査するために、前記した有機ELバネルの作製途中で、金属パーティクルによる強制的な汚染を実施した。
直径が100[nm]~1[μm]程度の金属パーティクルを、使用済みのAg坩堝のAg痕又はカソード坩堝のAl痕から採取し、有機溶剤に溶かしたものを用意した。続いて、洗浄された基材10に、スピン塗布法を用いて、金属パーティクルを含有する有機溶剤を塗布し、乾燥させることによって、基材10の表面を金属パーティクルで強制的に汚染した。続いて、前記した有機ELパネルの作製手法によって取出電極20、アノード電極31、機能層32、カソード電極33及び封止層34,35を形成することによって、電子デバイスとしての発光部材1(有機ELパネル)を作製した。有機ELパネルのリーク値はさまざまであり、大きい方では500[μA/パネル]を超えており、小さい方では2[μA/パネル]であった。
かかるタンデム素子を有する有機ELモジュールの通電試験を行った。電流印可条件は、50[mA]のDC電流を加えることで、1,000[cd/m]程度の発光輝度状態で、室温環境下と85[℃]高温環境下でそれぞれ2,000[h]通電試験を行った結果、室温環境下ではn=14/30で短絡が発生し、高温環境下においてはn=28/30で短絡が発生していた。
<実施例1及び従来例>
図5に示すように、第一信号として、発光に寄与する電流に80[Hz]のフレーム周波数としてデューティ比10[%]となる電流波高値を印可した。すなわちピーク波高値に500[mA]を1.25[msec]印可することによって、1,000[cd/m]の発光輝度を有する発光部材2(発光システム1)を用意した。本実施例では、第一信号がリペア機能を有することを狙っており、第二信号は入力されていない。本駆動状態の発光部材2を85[℃]高温環境下でn=30試験投入し、短絡試験を2,000[h]時間行った。
試験の結果、短絡発生はなく、発光輝度もほぼ初期状態を維持しており、有機素子自身の劣化以外に起因する劣化は見られず、また、リペアによるダークスポット等の発生も見られなかった。また、本実施例では、扱いやすさのため、波高値が高い500[mA]の第一信号を入力後、次のフレームまではオフ期間にしたが、次のフレームまでをオフ期間とせず、特にリペアされた金属が十分に冷える程度の電流値を入力する構成であってもよい。すなわち、次のフレームまでの電流値は、例えば、発光開始電流値以下であればよく、望ましくは、アノード電極31及びカソード電極33の材料の仕事関数の差に起因するビルトインポテンシャル以下であれば、整流性電流が流れることはなく、第一信号による瞬間的なリペア効果を得ることが可能となる。
なお、従来例として、50[mA]の直流電流を連続的に印加した場合についても、短絡試験等を行った。
<実施例2>
図6に示すように、第一信号として、発光に寄与する電流に80[Hz]のフレーム周波数としてデューティ比450/500となる電流波高値を印可した。すなわち、ピーク波高値に55[mA]を印可することによって、約1,000[cd/m]の発光輝度を有する発光部材2(発光システム1)を用意した。また、第二信号として、波高値が200[mA]でデューティ比1/500相当の25[μSec]を同じくフレーム周波数80[Hz]で印可した。本実施例では、発光電流として第一信号の電流を印可し、リペア電流として第二信号の電流を印可しており、これら第一信号及び第二信号は、同じ回路から生成して印可することによって、発光部材2(発光システム1)を形成した。本実施例で重要なのは、第二信号の入力直後にオフを入れ、第一信号の入力までに時間を空けている点であり、第二信号は、第一信号のオフ期間である1.25[msec]相当時間に25[μsec]だけ入力した。そのため、第二信号が入力されてから、第一信号が再び入力されるまでに0.6125[msec]だけ時間が空くことになる。
なお、本実施例では、第一信号と第二信号との間に時間を空けているが、かかる空き時間は、無くてもよい。また、前記したように、本実施例では回路を外部に用意しているが、このような波形を単一の発光部材2(有機ELモジュール)に印可するために、例えばLED用のマトリクスドライバーICを単一又はタイリングする複数の発光部材2(有機ELモジュール)に接続することによって、同じフレーム周波数でこれら波形の異なる信号(第一信号及び第二信号)を入力することが可能である。本駆動状態の発光部材2を、実施例1と同じく85[℃]高温環境下でn=30試験投入し、短絡試験を2,000[h]行った。
試験の結果、短絡発生はなく、発光輝度もほぼ初期状態を維持しており、有機素子自身の劣化以外に起因する劣化は見られず、また、リペアによるダークスポット等の発生も見られなかった。
<実施例3>
図7に示すように、本実施例では、実施例2で印可した第二信号のフレーム周波数を160[Hz]で印可し、そのほかは実施例2と同じ構成で電流を印可した。すなわち、第二信号のリペアで印可する高い波高値を、実施例2ではおおよそ25[μsec]を1フレーム期間(12.5[msec])中に印可するが、本実施例では、2.5[μsec]の時間を1フレーム期間(6.25[msec])中に印可することになる。本駆動状態の発光部材2を、実施例1と同じく85[℃]高温環境下でn=30試験投入し、短絡試験を2,000[h]行った。
試験の結果、短絡発生はなく、発光輝度もほぼ初期状態を維持しており、有機素子自身の劣化以外に起因する劣化は見られず、また、リペアによるダークスポット等の発生も見られなかった。
また、実施例2と実施例3の短絡試験後に発光パネル2を開封し、SEM(ScanningElectron Microscope)観察にてリペア箇所を確認した結果、実施例2のフレーム周波数が低い場合は、アノード電極31のリペア径φ(隙間31aの直径)が約8[μm]程度でそれを覆う絶縁部32aの径φは約20[μm]程度となっており、カソード電極33とアノード電極31とが接触することがなく、絶縁部32aによる隙間31aの被覆率が、半径に対し約50[%]50%以上の安全率を有していることがわかった。また実施例3の発光パネル2に関して、アノード電極31のリペア径φは約5[μm]程度であり、絶縁部32aの径は約17[μm]程度となっており、120[%]の安全率を有していることがわかった。
すなわち、フレーム周波数を上げて、印可時間を短くすることで、アノード極31のリペア径をコントロールすることが可能となり、最適な周波数及び電流波高値を設定することによって、ダークスポットに見えない、極小径でのリペアを実行することが可能となることを本発明者は見出した。
<実施例4>
続いて、タイリングした発光パネル2の実施例を示す。図8に示すように、複数の発光パネル2を、実施例1と同様の駆動方法でタイリングさせる。本実施例では、第一信号が各発光パネル2に個別に印可されているため、高信頼な発光パネル2(発光システム1)を提供することができる。なお、実施例4以降において、複数の発光パネル2に関して、図面には4つの発光パネル2(2A~2D)のみを例示する。
また本実施例でのタイリング手法では、各発光パネル2が第一信号用の駆動回路を個別に有することになる。そのため、コスト等の汎用性からドライバーICを用いて駆動するタイリングに有効であり、パネルサイズの大小に関わらず有効な手法である。
同様に、第一信号及び第二信号を個別に発生するようなドライバーICを作成し、かかるドライバーICを用いて第一信号及び第二信号を各発光パネル2へ個別に印可することも可能であり、特に、大きいパネルサイズで第二信号として大電流が必要な場合、かつ、電源回路を外部に持たせたくない場合に有効な手法である。
<実施例5>
次に、同じくn=10の発光部材2をタイリングした発光システム1の実施例を示す。図9に示すように、各発光部材2(図9では、2A~2D)をパッシブマトリクスのようにスイッチングで動作させた。制御部6(図1参照)は、スイッチ7(図9では、7A~7D)を開閉制御することによって、各発光部材2に第一信号を印加することができる。図10に示すように、第一信号として、フレーム周波数160[Hz]デューティ比1/10、ピーク波高値に500[mA]を0.625[msec]印可することによって、1,000[cd/m2]の発光輝度を有する発光部材2A~2Dを用意した。
本実施例も実施例4と同様に、各発光パネル2が全て並列で駆動しており、第一信号が各発光パネル2へ個別に印可されているため、高信頼な発光パネル2(発光システム1)を提供することができることは明白である。
本実施例では、複数の発光部材2をタイリングしているが、第一信号の発生源は、外部電源を用いて生成している。同じく外部電源を用いて第二信号を生成し、同期駆動して複数の発光部材2に入力することによって、実施例1,2,4と同等の効果が得られるのは明白である。
この場合、タイリングする発光部材2の個数によって、デューティ数が増える(1つの発光部材2あたりのデューティ比が小さくなる)ため、発光部材2が増えると、電源回路の負担が大きくなる。しかし、各発光部材2においては個別のドライバーIC等が不要になるため、発光システム1の用途によっては安価の場合が見込め、場合分けして使用することが可能である。
また本実施例のように外部に電源回路を持たせる場合は、製造した発光パネル2を出荷前のエージング処理として一括処理して安定化させてから出荷するためのシステムとして使用することも可能である。この場合には、出荷前の駆動方法として本実施例のような駆動方法を適用し、さらに出荷後の発光パネル2に対しては、実施例1~3のような手法を適用することによって、さらに信頼性の高い発光パネル2(発光システム1)を提供することができる。
<実施例6>
次に、同じくタイリングした発光部材2の例として、n=10の発光パネル2を図11に示すように並列接続した。第一信号は、共通の第一電源4から各発光パネル2に印加され、第二信号は、各発光パネル2に固有の第二電源5(5A~5D)から各発光パネル2にスイッチングによって順次印加されるようにし、n=10で動作するようにした。制御部6(図1参照)は、スイッチ7(図11では、7A~7D)を開閉制御することによって、各発光部材2に第一信号を印加することができ、スイッチ8(図11では、8A~8D)を開閉制御することによって、各発光部材2に第二信号を印加することができる。
図12に示すように、実施例2と同じように発光に寄与する電流波形を第一信号として80[Hz]のフレーム周波数、デューティ比450/500でピーク波高値55[mA]の電流波高値を、各発光パネル2に個別のドライバーICに設けられた第一電源4(4A~4D)から供給させ、おおよそ1,000[cd/m]の発光輝度を有する発光パネル2(発光システム1)を用意した。
本実施例では、各発光部材2が同じ輝度になるように第一信号のパルス波形を選定したが、第一信号は、異なる波高値やPWM(Pulse Width Modulation)値を有していてもよい。好ましくは、輝度調整をPWMで行うように回路を組むことによって、第二信号を容易に印可することが可能となる。
この場合には、フレーム周波数は高い方がフリッカー視認されないため、封止層34,35を備える発光部材2においては、1[kHz]以上の周波数が最も好適である。
本実施例では、実験の都合上、フレーム周波数を低く設定しているが、フリッカー以外の効果は、他の実施例と同様である。
第二信号を、リペアのため、タイリングした各発光部材2に対して、マトリクス駆動、パッシブマトリクス等と同様に、順番に印可した。本実施例では、フレーム周波数を、第一信号と同じ80[Hz]に同期させ、デューティ比dutyを1/500相当の25[μsec]とし、波高値200[mA]のパルス波形を各発光部材2へ順次印加した。詳細には、第一信号の波形がオフになるタイミングで第二信号が各発光部材2に対して順次個別に印可されるようスイッチングで入力した。
この場合、各発光部材2には、第一信号を印加するための第一電源4が必要になるが、第二信号を印加するための第二電源5は1つでよく、スイッチングで切り替えるため、特にパルス波高値が高い場合に、1つの電源回路で済むため有効となる。
<実施例7>
第一信号も実施例6における第二信号と同様に外部回路を用いたマトリクス駆動とし、さらに第一信号と第二信号の電源及び回路を別々にして駆動した例を図13に示す。具体的には、第一電源4による第一信号を、フレーム周波数160[Hz]、デューティ比450/500に設定し、第二電源5による第二信号を、フレーム周波数160[Hz]、デューティ比1/500に設定した。そのため、第二信号は、12.5[μsec]の時間印可されることになる。制御部6(図1参照)は、スイッチ9(図11では、9A~8H)を開閉制御することによって、各発光部材2に第一信号を印加したり第二信号を印加したりすることができる。
制御部6(図1参照)は、各発光部材2に対して、第一信号及び第二信号を同じタイミングで印加してもよく(図14参照)、第一信号及び第二信号を異なるタイミングで順次印加してもよく(図15参照)、第一信号を異なるタイミングで順次印加するとともに第二信号を同じタイミングで印加してもよい(図16参照)。
また、本実施例では、第一信号と第二信号とのフレーム周波数を同じにしたが、表示品質に影響がなければ、異なる値としてもよい。すなわち、第二信号の入力は、リペアするタイミングに合わせて行われればよく、例えば、発光パネル2(発光システム1)の回路の電源が入った直後だけオンするような機構等に本駆動を組みこむことによって、第二信号が常時入力されることを防止し、回路構成を簡易化することができる。
<実施例8>
n=5の発光部材2を直列接続した例を図17に示す。制御部6(図1参照)は、スイッチ7を開閉制御することによって、各発光部材2に第一信号を印加することができる。本実施例では、第一電源4による第一信号が直列回路を介して複数の発光部材2に印加されるため、全ての発光部材2が同一駆動状態となり、個別の輝度調整等はできないが、信頼性の高い発光部材2(発光システム1)を提供することができる。なお、実施例8において、実施例1と同じ駆動手法を用いてもよく、実施例2のように第二信号を第一信号と同じ回路内で印可する駆動手法を用いてもよい。
<実施例9>
図18に示すように、n=10の発光部材2を、第一電源4(4A~4D)に対する並列接続と第二電源5に対する直列接続とをスイッチングで切り替えられる回路を用意した。
実施例2と同様に、発光に寄与する電流波形を第一信号として、フレーム周波数80[Hz]、デューティ比450/500、ピーク波高値55[mA]の電流波高値を各発光部材2に個別の並列駆動での印可を行い、おおよそ1,000[cd/m]の発光輝度を有する発光パネル2を用意した。制御部6(図1参照)は、スイッチ7(図18では、7A~7D)を開閉制御することによって、各発光部材2に第一信号を印加することができ、スイッチ8を開閉制御することによって、各発光部材2に第二信号を印加することができる。
図19に示すように、本実施例では、各発光パネル2が同じ輝度になるように第一信号のパルス波形を選定したが、第一信号は、異なる波高値やPWM値を有してもよい。好ましくは、輝度調整をPWMで行うように回路を組むことによって、第二信号を容易に印可することが可能となる。
また、リペアのための第二信号をタイリングした各発光パネル2に印可する。その際、スイッチングにて各発光パネル2が直列接続になるようスイッチングした。そして、第二信号として、フレーム周波数80[Hz]、デューティ比1/500相当の25[μsec]、波高値200[mA]のパルス波形を印可した。すなわち、第二信号は、第一信号と周期して、第一信号が印可されていた全ての発光部材2がオフ期間になるタイミングで、スイッチングされて全ての発光パネル2に対して直列に印可される。
この場合、スイッチング回路が必要になるが、第二信号に関してはデューティ駆動が不要になるため、第二電源5として大電流源を用意する必要がない。すなわち、タイリング数が増えた場合、第二電源5をデューティ駆動する実施例6では、大電流源が必要になることがあるが、本実施例では、第二電源5の電源容量は、大型化せずに済むことになる。
これらも同じく、発光パネル2のパネルサイズ、タイリングする枚数等によって使い分けることによって、安価かつ高信頼な発光パネル2(発光システム1)を提供する事が可能となる。
また本実施例は、各発光部材2の発光輝度を個別に調整可能であり、個別駆動したい場合には有効である。本実施例で最も有効な例は、第一信号は各発光部材2に設けられるドライバーICで駆動し、第二信号は外部の駆動回路内、すなわちマイコン等で制御するが、回路全体の電源をオンにした際に一瞬だけ直列駆動にして印可することによって、信頼性の高い発光パネル2(発光システム1)を提供することができる。
例えば、車のヘッドライト、テールランプ等、室内の照明、さらにはスマートフォンを代表する液晶ディスプレイバックライトに使用するローカルディミング用の照明等は、個別に輝度調整可能であることが望ましく、電源オンと同時に瞬間的に輝度として表示されてもされなくて構わないように第二信号を活用することによって、エンドユーザーには気づかれずに、第二信号によるリペア処理を行うことが可能となる。
<実施例10>
図20及び図21に示すように、本実施例は、実施例7と実施例9とを組み合わせた例である。図20に示すように、第一信号は、各発光部材2に順次に切り替えて印加されるようにし(図20に示す例では、発光部材2Aのみに印加)、図21に示すように、第二信号は、各発光部材2を直列に接続して印加されるようにした(図22参照)。制御部6(図1参照)は、スイッチ9(図20及び図21では、9A~8H)を開閉制御することによって、各発光部材2に第一信号を印加したり第二信号を印加したりすることができる。本実施例では、第二信号が全ての発光部材2に同時に印可される事になるため、信頼性の高い発光部材2(発光システム1)を提供することができる。
前記した各実施例では、同じサイズ等の発光部材(有機ELパネル)2を用いてわかりやすく説明しているが、特に第二信号に発光に寄与しない程度の印可時間で調整する場合には、第一信号に関して、各発光部材(パネル)2で輝度調整可能な設定をさらに用いることによって、サイズ、発光効率等が異なる発光部材2の信頼性及び安定性を向上することができる。すなわち、本発明の発光部材1及びその駆動手法、接続手法等は、サイズ、発光効率等が異なる複数の発光部材2を用いたタイリングに対しても好適に適用可能である。
<評価>
前記したように、評価方法として短絡試験を行った。本試験では輝度等の寿命試験も並列して実行しているが、素子特性が反映されるため、本発明の評価にはふさわしくないため、短絡試験のみで判定を行った。
具体的には、前記したように、発光部材2として、強制汚染を行った有機ELパネルを用いた。実際の有機ELパネルでは、このような汚染が入ることは稀であるが、評価時間を短縮するため、本手法を採用した。強制汚染では金属パーティクルを主に用いているが、発光部材2を作製する過程で無機物パーティクルも混在していることが、断面観察からもわかっており、相応の試験であることがわかっている。
試験は、室温環境で通電2,000[h]と85[℃]のドライ環境で2,000[h]の通電試験を行った。本発明では、全てフレキシブル基材を用いた有機ELモジュールを採用したが、ガラス基材を用いた有機ELモジュール又は有機ELパネルを使用しても構わない。
特にリーク値に関しては、測定方法や機器によっても絶対値が異なるため、一概ではないため、参考のため、試験投入前のリーク値も記載した。
また、リペアが行われる過程でリペアによる電極破損から、ダークスポットが発生することがあるため、信頼性試験後にダークスポットが発生したか否かも評価した。フレキシブル基材や固体封止(封止層)を用いた有機ELパネルにおいては、フレキシブル基材の欠陥や封止の欠陥等によりダークスポットが発生する場合があるが、高温ドライでは水分影響がないため、本試験によるダークスポット起因は、全てリペアによる電極破損である事がわかっており、評価結果に反映されている。試験結果を図23に示す。
図23に示すように、本発明の発光システム1は、短絡を抑制することによって、信頼性を向上することができる。
1 発光システム
2 発光部材
3 信号発生部
4 第一電源
5 第二電源

Claims (17)

  1. 基材と、前記基材上に設けられる第一電極と、前記第一電極上に設けられる発光可能な機能層と、前記機能層上に設けられる第二電極と、を有する発光部材と、
    前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層を発光させるための第一信号を印加する信号発生部と、
    を備え、
    前記信号発生部は、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層に絶縁部を形成するための順バイアスの第二信号を印加し、
    前記第一信号は、パルス信号であり、
    前記第二信号は、前記第一信号のベース期間に印加される
    ことを特徴とする発光システム。
  2. 前記信号発生部は、
    前記第一信号を印加するための第一電源と、
    前記第二信号を印加するための第二電源と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光システム。
  3. 前記第一信号及び前記第二信号は、パルス信号であり、
    前記第一信号及び前記第二信号の少なくとも一方の印加周波数は、80[Hz]以上である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光システム。
  4. 基材と、前記基材上に設けられる第一電極と、前記第一電極上に設けられる発光可能な機能層と、前記機能層上に設けられる第二電極と、を有する発光部材と、
    前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層を発光させるための第一信号を印加する信号発生部と、
    を備え、
    前記信号発生部は、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層に絶縁部を形成するための順バイアスの第二信号を印加し、
    前記第一信号及び前記第二信号は、単一のパルス信号であり、
    前記単一のパルス信号は、印加時間が1[μSec]以上である
    ことを特徴とする発光システム。
  5. 前記第二信号の電流密度は、6[mA/cm2]以上である
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発光システム。
  6. 前記第二信号は、前記機能層における前記絶縁部と前記第一電極との間に離間する部位を形成する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光システム。
  7. 前記第一電極は、銀によって形成されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の発光システム。
  8. 前記基材上に設けられる前記第一電極、前記機能層及び前記第二電極を封止する封止層を備える
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発光システム。
  9. 前記封止層の厚みは、250[nm]以上である
    ことを特徴とする請求項8に記載の発光システム。
  10. 前記封止層は、無機材料を含んで形成されている
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の発光システム。
  11. 前記封止層は、化学気相成長法によって形成されている
    ことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の発光システム。
  12. 複数の前記発光部材を備える
    ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の発光システム。
  13. 前記信号発生部は、前記第一信号を複数の前記発光部材に対して順に印加する
    ことを特徴とする請求項12に記載の発光システム。
  14. 前記信号発生部は、前記第二信号を複数の前記発光部材に対して順に印加する
    ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の発光システム。
  15. 前記第一信号と前記第二信号とは、周波数が同一である
    ことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の発光システム。
  16. 前記信号発生部は、
    前記第一信号を印加するための、複数の前記発光部材に共通の第一電源と、
    前記第二信号を印加するための、複数の前記発光部材ごとに設けられる第二電源と、
    を備える
    ことを特徴とする請求項12に記載の発光システム。
  17. 基材と、前記基材上に設けられる第一電極と、前記第一電極上に設けられる発光可能な機能層と、前記機能層上に設けられる第二電極と、を有する複数の発光部材と、
    前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層を発光させるための第一信号を印加する信号発生部と、
    を備え、
    前記信号発生部は、前記第一電極及び前記第二電極に対して、前記機能層に絶縁部を形成するための順バイアスの第二信号を印加し、
    前記第一信号と前記第二信号とは、周波数が同一である
    ことを特徴とする発光システム。
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