JPWO2017033815A1 - 含硫黄有機ケイ素化合物および樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

下記一般式(II)または(II)で表される含硫黄有機ケイ素化合物。【化1】(式中、R1〜R3はそれぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表し、R4は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、nは2〜6の整数を表す。)

Description

本発明は、新規な有機ケイ素化合物および樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、シリル基のβ位にアルキル基を有する含硫黄有機ケイ素化合物および該有機ケイ素化合物により表面処理された無機充填材を含有する樹脂組成物に関する。
樹脂成形体の寸法安定性や機械的強度、耐熱性等を改善するため、ガラス繊維をはじめとする無機充填材の樹脂への添加が広く行われている。しかし、無機充填材は樹脂との接着性が必ずしも十分とは言えず、シランカップリング剤による無機充填材の表面処理が提案されている。
シランカップリング剤は典型的にはケイ素原子にメトキシ基やエトキシ基などの加水分解基とアミノ基やエポキシ基などの有機官能基が結合した化合物で、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
シランカップリング剤の加水分解基は溶液中や空気中の水分、無機充填材表面の吸着水分等によって加水分解されて水酸基に変化し、分子間脱水縮合によりオリゴマーが生成される。オリゴマーの余剰の水酸基は無機材料表面の水酸基と水素結合を形成し、オリゴマーが無機材料と結合する。その後、熱乾燥処理等により脱水・縮合が生じ、表面にシランカップリング剤オリゴマーが強固に化学結合した無機充填材が得られる。こうして表面処理された無機充填材は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂の強化材として広く用いられている。
シランカップリング剤の中でもγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等の含硫黄シランカップリング剤は、上記した熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の他、ウレタンラバー、ポリスルフィド、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ニトリルラバー、加硫エチレンプロピレンモノマー(EPM)等のエラストマーやゴム等にも好適に適用可能である。
特に、含硫黄シランカップリング剤で化学的に処理された無機充填材を硫黄加硫系のエラストマー(加硫EPM等)に添加した場合には、エラストマーの諸物性を大きく改良することが知られている。また、タイヤ等への応用ではシリカ系充填材の分散性や強度の向上に有用である。
しかしながら、高温多湿な使用条件下においてはシランカップリング剤層の加水分解により無機充填材と樹脂が剥離し、成形体の強度が低下することが問題視されており、耐加水分解性に優れたシランカップリング剤が提案されている。例としては、長鎖スペーサー型シランカップリング剤(特許文献1)、芳香環型シランカップリング剤(特許文献2)が挙げられる。
特開平4−217689号公報 特開昭50−93835号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、前記各文献に記載のシランカップリング剤を用いた場合、シランカップリング剤層の耐加水分解性は向上するものの、無機充填材の分散性に課題があり、例えばタイヤ用途におけるゴム強度向上、ヒステリシスロス低減、耐摩耗性向上の観点からは改善の余地があった。
しかして本発明の目的は、樹脂に添加する無機充填材の表面処理用のシランカップリング剤として用いた場合に樹脂中の無機充填材の分散性およびシランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる有機ケイ素化合物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、シリル基のβ位にアルキル基を有する含硫黄有機ケイ素化合物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[4]を提供する。
[1]下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物。
Figure 2017033815
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
[2]下記一般式(II)で表される有機ケイ素化合物。
Figure 2017033815
(式中、R〜Rは前記定義の通りであり、nは2〜6の整数を表す。)
[3]下記一般式(III)で表される有機ケイ素化合物。
Figure 2017033815
(式中、R〜Rは前記定義の通りである。)
[4][1]または[2]に記載の有機ケイ素化合物により表面処理された無機充填材を含有する樹脂組成物。
本発明の有機ケイ素化合物を用いて表面処理した無機充填材を樹脂に添加して成形することで、無機充填材の分散性がよく、かつシランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる成形体を提供できる。
[有機ケイ素化合物]
以下、本発明の一般式(I)および一般式(II)で表される有機ケイ素化合物(以下、それぞれ化合物(I)、化合物(II)と称する)について説明する。
〜Rは、それぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表す。これらのうち、メトキシ基またはエトキシ基であることが好ましい。
は炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rが表すアルキル基は直鎖状に限定されず、分岐状または環状であってもよく、直鎖および/または分岐構造と環状構造が結合した構造であってもよい。
が表す炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基などが挙げられる。中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がさらに好ましく、メチル基が最も好ましい。
は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rが表すアルキレン基は直鎖状に限定されず、分岐状または環状であってもよく、直鎖および/または分岐構造と環状構造が結合した構造であってもよい。
が表す炭素数1〜10のアルキレン基の例としては、メチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基などが挙げられる。成形体の機械的強度向上の観点から、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、メチレン基またはエチレン基がさらに好ましく、メチレン基が最も好ましい。
は、化合物(I)において、無機充填材との結合に伴う脱水縮合に関わる部位と、樹脂との反応に関わる部位であるチオール基や−S−基との間のスペーサーとしての役割を有する。ここで、スペーサーとしてRが存在することにより、脱水縮合に関わる部位と、樹脂と反応するチオール基や−S−基とが適切な距離を保ち、円滑な脱水縮合が行われる。
nが表す2〜6の整数としては、2〜5の整数が好ましく、3〜4の整数がより好ましく、4がさらに好ましい。
化合物(I)および化合物(II)において、シリル基のα位の炭素は2つの水素原子を有し、β位の炭素は少なくとも1つのアルキル基を有する。化合物(I)および化合物(II)がシランカップリング剤として作用する場合、R〜Rは加水分解により水酸基となり、該水酸基のうち少なくともひとつが無機材料表面の水酸基と脱水縮合する。
この際、シリル基の近傍にアルキル基が存在すると、当該アルキル基は脱水縮合部への水の接近の障害となり、シランカップリング剤層の加水分解が抑制される。
一方で、そのようなアルキル基は、R〜Rの加水分解による水酸基の発生をも抑制しうるため、無機充填材表面への円滑な結合の妨げとなる恐れがある。
本発明者らの詳細な検討により、シリル基のα位の炭素がアルキル基を有する場合には、R〜Rへの水の接近を過剰に妨げ、R〜Rの加水分解を抑制し、無機充填材表面への円滑な結合を妨げることが判明した。一方、シリル基のα位、β位の炭素がそれぞれ水素原子を2つずつ有し、γ位の炭素がアルキル基を有する場合には、脱水縮合部への水の接近を妨げる効果が小さく、シランカップリング剤層の加水分解の抑制効果が小さいことが判明した。
しかし、シリル基に対し、α位の炭素が2つの水素原子を有し、β位の炭素がアルキル基を有する場合には、R〜Rの加水分解による水酸基の発生を妨げずに無機充填材表面に円滑にシランカップリング剤層を導入することができ、かつ、シランカップリング剤層形成後においては脱水縮合部への水の接近が適度に妨げられ、加水分解が効果的に抑制されることを見出した。
さらに化合物(I)および(II)がβ位にこのようなアルキル基を有することにより、形成されるシランカップリング剤層が適度にかさ高くなり、無機充填材の分散性が向上することを見出した。
化合物(I)の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2017033815
Figure 2017033815
化合物(II)の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2017033815
Figure 2017033815
化合物(I)および(II)の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を組み合わせることにより製造できる。例えば、まずアルケニルクロリド(IV)とヒドロシラン類(V)より中間体である本発明の一般式(III)で表される有機ケイ素化合物(以下、化合物(III)と称する)を製造し(以下、工程1と称する)、化合物(III)をNaSHと反応させることで化合物(I)が得られる(以下、工程2−1と称する)。また、各種含硫黄化合物を用いることで化合物(III)または化合物(I)から化合物(II)が得られる(以下、工程2−2と称する)。
Figure 2017033815
(式中、R〜R、nは前記定義の通りである。)
化合物(III)の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2017033815
Figure 2017033815
なお、化合物(III)は、化合物(I)や化合物(II)の他、(メタ)アクリル系シラン化合物、アミノ系シラン化合物、ウレイド系シラン化合物、イソシアネート系シラン化合物およびイソシアヌレート系シラン化合物等の製造における中間体としても有用である。化合物(III)から誘導されるこれらの化合物は、特にシランカップリング剤として有用である。
(工程1)
工程1は、触媒の存在下、アルケニルクロリド(IV)とヒドロシラン類(V)より化合物(III)を製造する工程である。
ヒドロシラン類(V)としては、例えば、トリクロロシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどが用いられる。
工程1で用いられる触媒としては、白金、ロジウムまたはイリジウムを含む化合物が挙げられるが、白金系触媒が好ましく、塩化白金系触媒がより好ましい。具体的にはヘキサクロリド白金(IV)酸(HPtCl)、塩化白金・不飽和ケトン錯体、塩化白金・β−ジケトン錯体、塩化白金オレフィン錯体などが挙げられる。塩化白金系触媒の使用量に特に制限はないが、原料のアルケニルクロリド(IV)1モルに対して、10−6〜10−2モルが好ましく、10−5〜10−2モルがより好ましい。
工程1は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。使用できる溶媒は反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、へプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;クロロベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類などが挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、原料のアルケニルクロリド(IV)に対して、通常、0.5〜100質量倍であることが好ましく、容積効率の観点からは1〜10質量倍であることがより好ましい。
反応温度は、通常、−10〜100℃の範囲であることが好ましく、20〜80℃の範囲であることがより好ましい。反応時間は通常0.5時間〜48時間である。
化合物(III)において、R〜Rがメトキシ基またはエトキシ基である化合物を得たい場合は、トリメトキシシランまたはトリエトキシシランを用いて直接合成する方法や、トリクロロシランと反応させたのちに、メタノールまたはエタノール中で所望のアルコキシ体を得る方法でも取得できる。トリクロロ体経由の場合、アルコキシ化の際に発生する塩化水素を捕捉する為に、塩基としてトリエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどを共存させることもできる。塩基の使用量に特に制限はないが、ヒドロシラン類(V)に対して、通常、0.8〜20モル倍であることが好ましく、3〜7モル倍であることがより好ましい。
反応は、常圧下または加圧下で実施できるが、通常は常圧下で行われる。
反応終了後に得られる化合物(III)は、有機化合物の単離・精製において通常用いられる方法により単離することができる。例えば、反応混合物をろ過後、濃縮し、減圧蒸留などにより精製することで、目的とする化合物(III)を得ることができる。また、反応混合物をそのまま濃縮することで次工程に使用することもできる。
(工程2−1)
工程2−1は、化合物(III)をNaSHと反応させ化合物(I)を得る工程である。
NaSHは、1)ナトリウムメトキシドと硫化水素ガスとの反応、2)無水硫化ナトリウムと硫化水素ガスとの反応、3)含水NaSHの脱水、などで得たものを用いることができるが、より簡便な方法としては、工業的に安価に入手可能な含水NaSHフレークを脱水して使用する方法である。
また、含水NaSHの脱水方法としては、1)減圧条件での加熱による方法、2)不活性ガス流通条件での加熱による方法、3)水と共沸する有機溶剤を添加しての共沸脱水による方法などが挙げられる。NaSHの脱水は、化合物(III)や化合物(I)が加水分解により高沸点のシロキサンオリゴマー等に転化し、合成収率が著しく低下してしまうことを防ぐために行われる。
NaSHの使用量に特に制限はないが、化合物(III)1モルに対して、0.8〜2.0モルであることが好ましく、1.0〜1.5モルであることがより好ましい。
工程2−1は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。かかる溶媒としては反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、へプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらは一種類を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、化合物(III)に対して、通常、0.5〜20質量倍の範囲であることが好ましく、容積効率の観点からは、1〜5質量倍の範囲であることが好ましい。
工程2−1において、反応温度は、通常、10〜200℃の範囲であることが好ましく、20〜150℃の範囲であることがより好ましい。また、反応は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。さらに、反応は大気圧下、加圧下いずれの方法で行ってもよい。反応時間は、反応条件により異なるが、通常、1〜100時間である。
反応終了後に得られる化合物(I)は、有機化合物の単離・精製において通常用いられる方法により単離することができる。例えば、反応混合物をろ過後、濃縮し、減圧蒸留などにより精製することで、目的とする含硫黄有機ケイ素化合物(I)を得ることができる。なお、R〜Rがアルコキシ基の場合、蒸留操作時に、脱アルコール反応により、目的物が環状体化する可能性があるため、塩化水素、酢酸又はギ酸等の酸類を添加して反応液を中性にする等の措置を取ることもできる。また、環状体副生によって、目的物の純度が低くなった場合においても、目的物のアルコキシ基に対応するアルコールの適量を目的物に後添加することにより、環状体が目的物に転化するため、高純度化が可能である。
(工程2−2)
工程2−2は、各種含硫黄化合物を用いて化合物(III)または化合物(I)から化合物(II)を得る工程である。
工程2−2で採用できる方法としては、1)Naと化合物(III)とを反応させる方法、2)硫化水素ナトリウムと硫黄と化合物(III)とを反応させる方法、3)無水硫化ナトリウムを極性溶媒中で硫黄と反応させることで無水多硫化ナトリウムとし、該無水多硫化ナトリウムと化合物(III)とを反応させる方法、4)化合物(I)と硫黄とを反応させる方法などを挙げることができる。
以下、上記3)の方法について説明する。
無水硫化ナトリウムは、例えば含水硫化ナトリウムを、1)減圧条件での加熱による方法、2)不活性ガス流通条件での加熱による方法、3)水と共沸する有機溶剤を添加しての共沸脱水による方法などにより脱水して得ることができる。
また無水硫化ナトリウムは、ナトリウムメトキシドと硫化水素ガスとをモル比2:1で使用し、無水メタノール中において反応させることによっても得ることができる。
無水硫化ナトリウムの使用量は、化合物(III)1モルに対して、通常0.5モル以下であり、好ましくは0.45〜0.5モルである。
反応は溶媒の存在下に実施する。溶媒は反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はないが、極性溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。溶媒の使用量に特に制限はないが、化合物(III)に対して通常0.5〜200質量倍であることが好ましく、容積効率の観点からは1〜50質量倍であることがより好ましい。
反応に使用する硫黄は、無水の硫黄であれば粉末状あるいはフレーク状などあらゆる態様で使用可能である。硫黄の使用量は、目的とする化合物(II)中の硫黄の量によって決まる。即ち、例えば無水硫化ナトリウム1モルを使用して化合物(II)1モルを合成する場合、使用する硫黄の量は(n−1)モルとすることができる。
無水硫化ナトリウムと硫黄との反応は、乾燥不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下、20℃〜溶媒の沸点の温度範囲で反応することにより実施することができる。この反応は、加えた硫黄が完全に溶解してから更に1〜10時間継続することが好ましい。反応で得られた無水多硫化ナトリウムは反応混合物から単離することなく、化合物(III)を加えて反応させる。
無水多硫化ナトリウムと化合物(III)との反応は、乾燥不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下、20℃〜溶媒の沸点の温度範囲で反応することにより実施することができる。反応速度を高めるためには、溶媒の還流下での高温条件で行うことが好ましい。反応時間は、反応条件により異なるが、通常、1〜100時間である。
反応終了後、該反応混合物を30℃以下に冷却し、生成した塩化ナトリウムを濾別し、溶媒を濃縮したのちに、減圧蒸留などにより精製することで、目的とする化合物(II)を得ることができる。
このようにして製造される化合物(I)および化合物(II)はシランカップリング剤としての機能を有し、無機フィラーの表面改質、接着剤の接着性の向上、被膜の耐久性向上、有機ポリマーの架橋化等を目的として、接着剤、プライマー、シーラント、シーリング材、塗料、コーティング材、ガラス繊維強化樹脂、無機フィラー配合樹脂、複合強化樹脂、印刷用インク、エラストマー材料、熱可塑性樹脂材料、複合材料、電気絶縁体等に広く使用可能である。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は化合物(I)または化合物(II)により表面処理された無機充填材を含有する。なお、本明細書中において、「樹脂」とはエラストマーも含む概念である。
表面処理される無機充填材としては、一般にシラノール基と反応し、結合を形成する無機材料からなるものであれば特に限定はなく、無機充填材の形状も特に限定されない。そのような無機充填材としては、例えばケイ素、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、スズ及びそれらの単独又は複合酸化物からなるフィラー;ガラス繊維、ガラスクロス、ガラステープ、ガラスマット、ガラスペーパー等のガラスフィラー;シリカ系充填材;クレー、マイカ、タルク、ワラストナイト等の鉱物系充填材;鉄、アルミニウム等の金属基材等が挙げられる。
無機充填材の表面処理方法に特に制限はない。例えば、無機充填材を樹脂に添加した後に有機溶剤や水等で希釈した化合物(I)や化合物(II)を添加し混合する方法や、無機充填材を樹脂に添加する前に予め乾式法や湿式法により化合物(I)や化合物(II)により処理する方法や、有機溶剤や水等で希釈した化合物(I)や化合物(II)を無機充填材に直接塗布するプライマー法などが挙げられる。
無機充填材の表面処理においては、熱による乾燥処理を伴ってもよい。熱による乾燥処理を行うことにより、化合物(I)や化合物(II)の水酸基と無機充填材表面の水酸基との間における脱水縮合が進行し、強固な結合を形成できる。
乾燥処理における温度は、通常60〜180℃であり、好ましくは80〜150℃である。また、乾燥時間は5分〜2時間が好ましい。
本発明の樹脂組成物を構成する樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、ポリサルファイド、ネオプレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム等が挙げられる。
これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
化合物(I)や化合物(II)は特にエラストマー組成物に対し好適に使用可能である。
本発明の樹脂組成物がタイヤ用途のエラストマー組成物の場合、例えば、ジエン系ゴム、シリカ系充填材、化合物(I)または化合物(II)、さらに必要に応じてゴム工業で一般的に使用されているゴム配合剤を配合することで製造できる。
上記ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエンゴム(スチレン5〜50重量%、ブタジエンの1,2−結合量10〜80%)、高トランススチレン−ブタジエンゴム(ブタジエンのトランス含量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム、高トランスブタジエンゴム(トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエンイソプレン共重合ゴム、溶液重合ランダムスチレンブタジエンイソプレン共重合ゴム、乳化重合ランダムスチレン−ブタジエンイソプレン共重合ゴム、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルスチレンブタジエン−低ビニルスチレンブタジエンブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー共重合ゴムが挙げられ、これらは単独またはブレンドとして要求特性に応じて適宜選択して使用される。
上記シリカ系充填材としては、例えば乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。この中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好適に使用される。更に、カーボンブラックの表面にシリカが付着している、カーボンブラック−シリカ複合体も好適に使用できる。
上記ゴム配合剤としては、例えばカーボンブラック;パラフィン系、ナフテン系、アロマ系などの伸展油;アミン系、フェノール系などの老化防止剤;硫黄、ステアリン酸、亜鉛華などの加硫助剤;スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸塩系、グアニジン系などの加硫促進剤;オゾン老化防止剤;加工助剤;粘着付与剤;ワックス等が挙げられる。
上記必須組成分に加え、シリカ用の加工助剤として、アルコキシポリシロキサンを配合してもよい。かかる加工助剤の配合によって、ゴム組成物の粘度を低下させ、スコーチ時間を長くし、更に加硫時間を短くすることができる。
本発明の樹脂組成物は、用途に応じて溶剤、界面活性剤、防腐剤、変色防止剤、酸化防止剤、難燃剤、光安定剤、表面処理されていない無機充填材等の他の添加剤を、本発明の趣旨を損なわない範囲で含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記の各構成成分を、公知の方法に従って混合することにより調製できる。例えば、樹脂とその他の成分をドライブレンドする方法、押出機を用いて各構成成分を溶融混練する方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を成形することにより、機械的強度が高く、かつシランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<参考例>
(3−メチル−3−ブテニルクロリドの合成)
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた1L反応器に、窒素気流下、3−メチル−3−ブテン−1−オール66.0g(0.697mol)、ジエチレングリコールジブチルエーテル270ml、トリエチルアミン77.5g(0.767mol)を仕込み、撹拌しながら内温5℃以下に冷却した。塩化チオニル91.2g(0.767mol)を内温10℃以下に保ちながら滴下し、滴下終了後65℃に昇温し、6時間加熱撹拌を行った。反応終了後、内温を30℃以下まで冷却し、水200gを加え該反応混合物を洗浄し、有機相を分離した。該有機相を5%炭酸水素ナトリウム水溶液500g、次いで、飽和食塩水200gで順次洗浄した。洗浄有機相を減圧蒸留することで、3−メチル−3−ブテニルクロリド46.0g(0.440mol:収率63.1%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ: 4.86(s,1H)、4.78(s,1H)、3.62(t、J=7.2Hz,2H)、2.49(t,7.2Hz,1H)、1.76(s,3H)
<実施例1>
(工程1:4−クロロ−2−メチルブチルトリメトキシシランの合成)
Figure 2017033815
窒素気流下、撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた200ml反応器に、3−メチル−3−ブテニルクロリド30.0g(0.287mol)を仕込み、HPtCl・6HO154.6mg(0.299mmol)のテトラヒドロフラン溶液15mlを加えた後、トリクロロシラン58.3g(0.430mol)を滴下し、25℃で20時間撹拌した。別途、用意した撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた1L反応器に、メタノール270mlとトリエチルアミン360mlを仕込み、5℃以下で撹拌しながら、該反応液を滴下した。滴下後、25℃で2時間撹拌した。反応液を濃縮し、ジイソプロピルエーテル200mlを加え析出した塩をろ過した。該ろ液を濃縮した後、減圧蒸留することで、4−クロロ−2−メチルブチルトリメトキシシラン33.7g(0.149mol;収率52%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.61−3.51(m,11H),1.99−1.91(m,1H),1.90−1.77(m,1H),1.71−1.62(m,1H),1.00(d,J=6.4Hz,3H),0.75(dd,J=15.2,5.2Hz,1H),0.56(dd,J=15.2,8.4Hz,1H)
(工程2−1:4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの合成)
Figure 2017033815
窒素気流下、撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた反応器に、予め、減圧乾燥したNaSH123mg(2.20mmol)、ジメチルホルムアミド1mlを仕込み、25℃で撹拌した。4−クロロ−2−メチルブチルトリメトキシシラン500mg(2.20mmol)を25℃で滴下し、25℃で2時間撹拌した。反応終了後、該反応混合物を減圧濃縮し、4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシラン850mg(net469mg,2.09mmol;収率95%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.45(s,9H)、2.58−2.49(2H,m)、1.90−1.82(1H,m)、1.71−1.50(2H,m)、1.33(t,J=7.6Hz,1H)、0.98(d、J=6.4Hz,3H),0.79−0.71(1H,m)、0.58−0.51(m,1H)
<実施例2>
(工程2−2:4,4’−ビス(トリメトシキシリル−2−メチルブチル)テトラスルフィドの合成)
Figure 2017033815
窒素気流下、撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた反応器に、NaS516mg(6.60mmol)、硫黄636mg(19.8mmol)、メタノール6mlを仕込み、還流下5時間撹拌した。該反応液に4−クロロ−2−メチルブチルトリメトキシシラン3.0g(13.2mmol)を加え、さらに5時間還流下撹拌した。冷却後、該反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、4,4’−ビス(トリメトシキシリル−2−メチルブチル)テトラスルフィド1.8g(3.5mmol;収率54%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.56(s,9H)、3.06−2.93(m,2H)、1.89−1.62(m,3H)、1.03−0.99(m,3H)、0.79−0.68(m、1H)、0.62−0.53(m,1H)
<実施例3>
厚さ5mm、縦横5cm角の石英板を濃塩酸に浸漬し、表面の付着物を除去した後、蒸留水にて洗浄し、乾燥を行った。この石英板を実施例1で得られた4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの2.0mol/Lのエタノール/水(95/5、v/v)溶液に25℃で2時間浸漬した後、オーブンを用いて110℃で3時間の加熱処理を行った。この試験片を用いて、FTA−188(First Ten Angstroms社製)にて水との接触角と耐加水分解性を測定した。結果を表1に示す。
<実施例4>
4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの代わりに実施例2で得られた4,4’−ビス(トリメトシキシリル−2−メチルブチル)テトラスルフィドを用いた以外は実施例3と同様の手順で接触角と耐加水分解性を測定した。結果を表1に示す。
<比較例1>
4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの代わりに3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例3と同様の手順で接触角と耐加水分解性を測定した。結果を表1に示す。
<比較例2>
4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの代わりに3,3’−ビス(トリメトシキシリルプロピル)テトラスルフィドを用いた以外は実施例3と同様の手順で接触角と耐加水分解性を測定した。結果を表1に示す。
(耐加水分解性)
上記方法にて調製した実施例3、4および比較例1、2の試験片をそれぞれ100℃の熱水50mLに24時間浸漬した。24時間後、ガスクロマトグラフィーを用いて水中に溶解した有機分を測定し、検出物の総面積について比較例1の値を100とした指数として表1に示した。
Figure 2017033815
表1より、本発明の有機ケイ素化合物は無機充填材上に問題なく導入されること、および従来用いられているシランカップリング剤よりも極めて耐加水分解性に優れることがわかる。
<実施例5>
油展エマルジョン重合スチレン・ブタジエンゴム:JSR1723(JSR(株)製)110質量部、天然ゴム(RSS#3)20質量部、カーボンブラック:N234(東海カーボン(株)製)20質量部、シリカ:ニプシルAQ(日本シリカ工業(株)製)50質量部、実施例1で得られた4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシラン4.0質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤:ノクラック6C(大内新興化学工業(株)製)1.0質量部を配合してマスターバッチを調製した。これに亜鉛華3.0質量部、加硫促進剤DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)0.5質量部、加硫促進剤NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)1.0質量部、硫黄1.5質量部を加えて混練し、ゴム組成物を得た。
<実施例6>
4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの代わりに実施例2で得られた4,4’−ビス(トリメトシキシリル−2−メチルブチル)テトラスルフィドを用いた以外は実施例5と同様の手法でゴム組成物を調製した。
<比較例3>
4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの代わりに3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例5と同様の手法でゴム組成物を調製した。
<比較例4>
4−メルカプト−2−メチルブチルトリメトキシシランの代わりに3,3’−ビス(トリメトシキシリルプロピル)テトラスルフィドを用いた以外は実施例5と同様の手法でゴム組成物を調製した。
実施例5、6および比較例3、4で調製したゴム組成物について下記方法によりゴム硬度、動的粘弾性、耐摩耗性を評価した。
(ゴム硬度)
JIS K 6253−1:2012に準拠し、デュロメータのタイプAにより温度20℃でのゴム硬度を測定した。比較例3の値を100とした時の指数を表2に示す。このゴム硬度が高いほどゴムの強度が高い。
(動的粘弾性)
粘弾性測定装置(レオロジー社製)を使用し、引張の動歪1%、周波数1Hz、60℃の条件にてtanδを測定した。なお、試験片は厚さ0.2cm、幅1.0cmのシートを用い、使用挟み間距離2cmとした。比較例3の値を100とした時の指数を表2に示す。指数値が小さいほどヒステリシスロスが小さい。
(耐摩耗性)
JIS K 6264−2:2005に準拠し、DIN摩耗試験機を用いて室温で試験を行い、摩耗量を測定した。比較例3の値を100とした時の指数を表2に示す。指数値が小さいほど、摩耗量が少なく耐摩耗性に優れることを示す。
Figure 2017033815
表2から、本発明の有機ケイ素化合物を用いた場合には従来用いられているシランカップリング剤を用いた場合に比べてゴム組成物の機械的強度が高く、ヒステリシスロスが小さく、耐摩耗性に優れることがわかる。これは、本発明の有機ケイ素化合物を用いることにより、シリカの分散性が向上したためであると考えられる。
本発明の有機ケイ素化合物は樹脂に添加するための無機充填材に用いるシランカップリング剤として有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物。
    Figure 2017033815
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
  2. 下記一般式(II)で表される有機ケイ素化合物。
    Figure 2017033815
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表し、nは2〜6の整数を表す。)
  3. 下記一般式(III)で表される有機ケイ素化合物。
    Figure 2017033815
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
  4. 請求項1または2に記載の有機ケイ素化合物により表面処理された無機充填材を含有する樹脂組成物。
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