JP6655482B2 - 有機ケイ素化合物および樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な有機ケイ素化合物および樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、シリル基のβ位にアルキル基を有する有機ケイ素化合物、該有機ケイ素化合物により表面処理された無機充填材を含有する樹脂組成物に関する。
樹脂成形体の寸法安定性や機械的強度、耐熱性等を改善するため、ガラス繊維をはじめとする無機充填材の樹脂への添加が広く行われている。しかし、無機充填材は樹脂との接着性が必ずしも十分とは言えず、シランカップリング剤による無機充填材の表面処理が提案されている。
シランカップリング剤は典型的にはケイ素原子にメトキシ基やエトキシ基などの加水分解基とアミノ基やエポキシ基などの有機官能基が結合した化合物で、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
シランカップリング剤の加水分解基は溶液中や空気中の水分、無機充填材表面の吸着水分等によって加水分解されて水酸基に変化し、分子間脱水縮合によりオリゴマーが生成される。オリゴマーの余剰の水酸基は無機材料表面の水酸基と水素結合を形成し、オリゴマーが無機材料と結合する。その後、熱乾燥処理等により脱水・縮合が生じ、表面にシランカップリング剤オリゴマーが強固に化学結合した無機充填材が得られる。こうして表面処理された無機充填材は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂の強化材として広く用いられている。
しかしながら、高温多湿な使用条件下においてはシランカップリング剤層の加水分解により無機充填材と樹脂が剥離し、成形体の強度が低下することが問題視されており、耐加水分解性に優れたシランカップリング剤が提案されている。例としては、長鎖スペーサー型シランカップリング剤(特許文献1〜3)、ペルフルオロアルキレン基含有シランカップリング剤(特許文献4)、芳香環型シランカップリング剤(特許文献5)が挙げられる。
特開昭64−50887号公報 特開平4−217689号公報 米国特許第3170891号明細書 特開2000−248114号公報 特開昭50−93835号公報
特許文献1〜3に記載の直鎖アルキル長鎖スペーサー型シランカップリング剤や特許文献4に記載のペルフルオロアルキレン基含有型シランカップリング剤を用いた場合、シランカップリング剤層の耐加水分解性は向上するが、原料である末端オレフィンアルコールやペルフルオロジイオドアルカン等が高価で入手困難であるという課題があった。また、特許文献5に記載の芳香環型シランカップリング剤では、シランカップリング剤層の耐加水分解性や成形体の機械的強度は向上するが、シリル基近傍の嵩高さにより無機充填材表面への円滑な導入が妨げられるという課題があった。
しかして本発明の目的は、形成するシランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる有機ケイ素化合物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、シリル基のβ位にアルキル基を有する有機ケイ素化合物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記[1]〜[2]を提供する。
[1]下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物。
(式中、R〜Rはそれぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
[2][1]の有機ケイ素化合物により表面処理された無機充填材を含有する樹脂組成物。
本発明の有機ケイ素化合物を用いて表面処理された無機充填材を樹脂に添加して成形することで、シランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる成形体を提供できる。
[有機ケイ素化合物]
以下、本発明の一般式(I)で表される有機ケイ素化合物(以下、化合物(I)と称する)について説明する。
〜Rは、それぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表す。これらのうち、メトキシ基またはエトキシ基であることが好ましい。
は炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rが表すアルキル基は直鎖状に限定されず、分岐状または環状であってもよく、直鎖および/または分岐構造と環状構造が結合した構造であってもよい。
が表す炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基などが挙げられる。中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がさらに好ましく、メチル基が最も好ましい。
は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rが表すアルキレン基は直鎖状に限定されず、分岐状または環状であってもよく、直鎖および/または分岐構造と環状構造が結合した構造であってもよい。
が表す炭素数1〜10のアルキレン基の例としては、メチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基などが挙げられる。成形体の機械的強度向上の観点から、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、メチレン基またはエチレン基がさらに好ましく、メチレン基が最も好ましい。
は、化合物(I)において、無機充填材との結合に伴う脱水縮合に関わる部位と、樹脂との反応に関わる部位であるエポキシ基との間のスペーサーとしての役割を有する。スペーサーとしてRが存在することにより、脱水縮合に関わる部位と、樹脂と反応するエポキシ基とが適切な距離を保ち、円滑な脱水縮合が行われる。
化合物(I)において、シリル基のα位の炭素は2つの水素原子を有し、β位の炭素はアルキル基Rを有する。化合物(I)がシランカップリング剤として作用する場合、R〜Rは加水分解により水酸基となり、該水酸基のうち少なくともひとつが無機材料表面の水酸基と脱水縮合する。
この際、シリル基の近傍にアルキル基が存在すると、当該アルキル基は脱水縮合部への水の接近の障害となり、シランカップリング剤層の加水分解が抑制される。
一方で、そのようなアルキル基は、R〜Rの加水分解による水酸基の発生をも抑制しうるため、無機充填材表面への円滑な結合の妨げとなる恐れがある。
本発明者らの詳細な検討により、シリル基のα位の炭素がアルキル基を有する場合には、R〜Rへの水の接近を過剰に妨げ、R〜Rの加水分解を抑制し、無機充填材表面への円滑な結合を妨げることが判明した。一方、シリル基のα位、β位の炭素がそれぞれ水素原子を2つずつ有し、γ位の炭素がアルキル基を有する場合には、脱水縮合部への水の接近を妨げる効果が小さく、シランカップリング剤層の加水分解の抑制効果が小さいことが判明した。
しかし、シリル基に対し、α位の炭素が2つの水素原子を有し、β位の炭素がアルキル基を有する場合には、R〜Rの加水分解による水酸基の発生を妨げずに無機充填材表面に円滑にシランカップリング剤層を導入することができ、かつ、シランカップリング剤層形成後においては脱水縮合部への水の接近が適度に妨げられ、加水分解が効果的に抑制されることを見出した。
化合物(I)の具体例として下記の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
化合物(I)の製造方法に特に制限はなく、公知方法を組み合わせることにより製造できる。例としては、まず塩基の存在下、アルコール(II)と、エピハロヒドリン(III)とよりエポキシ化合物(IV)を得(本工程を工程1と称する)、次いで白金系触媒の存在下、ヒドロシラン類(V)を用いてヒドロシリル化することにより有機ケイ素化合物(I)を製造する(本工程を工程2と称する)方法がある。
(式中、R〜Rは前記定義の通りである。Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
以下、化合物(I)の製造方法について詳細に説明する。
(工程1)
エピハロヒドリン(III)の使用量に特に制限はないが、原料のアルコール(II)1モルに対して0.8〜10モルであることが好ましく、収率及び容積効率の観点からは1〜5モルであることがより好ましい。
工程1は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。
かかる溶媒としては反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、へプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類などが挙げられる。これらは一種類を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
溶媒を使用する場合の使用量に特に制限はないが、原料のアルコール(II)1質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましく、容積効率の観点からは1〜5質量部であることが好ましい。
工程1で使用する塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの第三級アミン;ピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物などが挙げられる。これらの中でも、経済性、反応性の観点からアルカリ金属水酸化物が好ましい。
塩基の使用量に特に制限は無いが、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール(II)1モルに対して0.8〜5モルであることが好ましく、0.8〜3モルであることがより好ましい。
工程1は相間移動触媒の存在下または非存在下に実施することができるが、存在下で実施するのが好ましい。
かかる相間移動触媒としては特に制限はなく、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミドなどが挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合せて用いることができる。
相間移動触媒の使用量はアルコール(II)に対し 0.1〜10.0質量%、好ましくは 0.3〜3.0質量%である。0.1質量%未満では反応に長時間を要し、10.0質量%以上使用しても効果の向上は期待されない。
工程1における反応温度は−20℃〜200℃の範囲であることが好ましく、0℃〜150℃の範囲であることがより好ましい。また、反応は、空気雰囲気下でも、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下でも実施することができる。さらに、反応は大気圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。
反応終了後、使用した塩基に応じ、適宜、反応混合物を水、または塩酸水溶液などの酸性水溶液で洗浄して塩基を除去した後、濃縮し、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの通常の精製手段で精製することによって、目的とするエポキシ化合物(IV)を分離取得することができる。
(工程2)
工程2で用いられるヒドロシラン類(V)としては例えば、トリクロロシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどが挙げられる。
工程2で用いられる白金系触媒としては、好ましくは塩化白金系触媒を用いることができ、具体的にはヘキサクロリド白金(IV)酸(HPtCl)、塩化白金・不飽和ケトン錯体、塩化白金・β−ジケトン錯体、塩化白金オレフィン錯体などが挙げられる。白金系触媒の使用量に特に制限はないが、原料のエポキシ化合物(IV)1モルに対し10−7〜10−3モルが好ましく、10−6〜10−3モルがより好ましい。
工程2は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。
かかる溶媒としては反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、へプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;クロロベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類などが挙げられる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、原料のエポキシ化合物(IV)1質量部に対して0.5〜100質量部であることが好ましく、容積効率の観点からは1〜10質量部であることがより好ましい。
反応温度は−10〜100℃の範囲であることが好ましく、20〜80℃の範囲であることがより好ましい。反応時間は、通常、0.5時間〜48時間である。
〜Rがメトキシ基またはエトキシ基である化合物(I)を得たい場合は、ヒドロシラン類(V)としてトリメトキシシランまたはトリエトキシシランを用いて直接合成する方法や、トリクロロシランと反応させたのちに、メタノールまたはエタノール中で所望のアルコキシ体を得る方法でも取得できる。トリクロロ体経由の場合、アルコキシ化の際に発生する塩化水素を捕捉する為に、塩基としてトリエチルアミン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどを共存させることもできる。塩基の使用量に特に制限はないが、ヒドロシラン類(V)1モルに対して0.8〜20モルであることが好ましく、1.0〜10モルであることがより好ましい。
反応は、常圧下または加圧下で実施できるが、通常は常圧下で行われる。
反応終了後に得られる化合物(I)は、有機化合物の単離・精製において通常用いられる方法により単離することができる。例えば、反応混合物をろ過後、濃縮し、減圧蒸留などにより精製することで、目的とする有機ケイ素化合物(I)を得ることができる。また、反応混合物をそのまま濃縮することでシランカップリング剤として使用することもできる。
このようにして製造される化合物(I)はシランカップリング剤としての機能を有し、無機フィラーの表面改質、接着剤の接着性の向上、被膜の耐久性向上、有機ポリマーの架橋化等を目的として、接着剤、プライマー、シーラント、シーリング材、塗料、コーティング材、ガラス繊維強化樹脂、無機フィラー配合樹脂、複合強化樹脂、印刷用インク、エラストマー材料、熱可塑性樹脂材料、複合材料、電気絶縁体等に広く使用可能である。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は化合物(I)により表面処理された無機充填材を含有する。なお、本明細書中において、「樹脂」とはエラストマーも含む概念である。
化合物(I)により表面処理される無機充填材としては、一般にシラノール基と反応し、結合を形成する無機材料からなるものであれば特に限定はなく、無機充填材の形状も特に限定されない。そのような無機充填材としては、例えばケイ素、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、スズ及びそれらの単独又は複合酸化物からなるフィラー;ガラス繊維、ガラスクロス、ガラステープ、ガラスマット、ガラスペーパー等のガラスフィラー;シリカ系充填材;クレー、マイカ、タルク、ワラストナイト等の鉱物系充填材;鉄、アルミニウム等の金属基材等が挙げられる。
無機充填材の表面処理方法に特に制限はない。例えば、無機充填材を樹脂に添加した後に原液あるいは有機溶剤や水等で希釈した化合物(I)を添加し混合する方法や、無機充填材を樹脂に添加する前に予め乾式法や湿式法により化合物(I)により処理する方法や、有機溶剤や水等で希釈した化合物(I)を無機充填材に直接塗布するプライマー法などが挙げられる。
無機充填材の表面処理においては、熱による乾燥処理を伴うことが好ましい。熱による乾燥処理を行うことにより、化合物(I)の水酸基と無機充填材表面の水酸基との間における脱水縮合が進行し、強固な結合を形成できる。
乾燥処理における温度は、通常60〜180℃であり、好ましくは80〜150℃である。また、乾燥時間は5分〜4時間が好ましい。
本発明の樹脂組成物を構成する樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテル、アクリル樹脂、ジアリルフタレート、ブチルゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記表面処理された無機充填材および樹脂の他、用途に応じて溶剤、界面活性剤、防腐剤、変色防止剤、酸化防止剤、難燃剤、光安定剤、表面処理されていない無機充填材等の他の添加剤を、本発明の趣旨を損なわない範囲で含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記の各構成成分を、公知の方法に従って混合することにより調製できる。例えば、樹脂とその他の成分をドライブレンドする方法、押出機を用いて各構成成分を溶融混練する方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物を成形することにより、シランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<実施例1>
(工程1)3−メチル−3−ブテニルグリシジルエーテルの合成
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた1L反応器に、窒素気流下、50%水酸化ナトリウム水溶液280g(3.5mol)、3−メチル−3−ブテン−1−オール200g(2.32mol)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド4.4g(0.024mol)を仕込み、40℃に加熱した。エピクロロヒドリン430g(4.65mol)を30分かけて滴下し、40℃で4時間撹拌を行った。反応液に蒸留水400gを加えて有機層と水層を分離した。有機層を蒸留水400gで洗浄後、減圧下に濃縮して残留物をさらに減圧蒸留し、3−メチル−3−ブテニルグリシジルエーテル175.2g(1.23mol;収率53%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:4.75(m,1H)、4.73(m,1H)、3.73(dd,J=11.6,3.0Hz,1H)、3.62(m,2H)、3.39(dd,J=11.6,5.8Hz,1H)、3.13(m,1H)、2.77(dd,J=5.1,4.2Hz,1H)、2.59(dd,J=5.1,2.7Hz,1H)、2.31(m,2H)、1.76(s,3H).
(工程2)4−グリシジルオキシ−2−メチルトリメトキシシランの合成
攪拌機、温度計を備えた25mL反応器に、窒素気流下、3−メチル−3−ブテニルグリシジルエーテル1.0g(7.0mmol)を仕込み、HPtCl・6HO5.0mg(9.7μmol)のテトラヒドロフラン溶液0.3mlを加えた後、トリメトキシシラン1.22g(10.0mmol)を滴下し、25℃で20時間撹拌した。得られた反応液を減圧下に濃縮し、4−グリシジルオキシ−2−メチルトリメトキシシラン1.22g(4.61mmol;収率66%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)δ:3.74(m,1H)、3.63(m,2H)、3.55(s,9H)、3.40(m,1H)、3.10(m,1H)、2.78(m,1H)、2.60(m,1H)、1.72(m,2H)、1.48(m,1H)、1.01(d,J=6.4Hz,3H)、0.73(m,2H).
<実施例2>
実施例1で得た4−グリシジルオキシ−2−メチルトリメトキシシランの2mol/Lエタノール−水(95/5(v/v))溶液にガラス板を25℃で2時間浸漬した後、110℃、3時間の加熱処理を行った。この板にビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート828」)とジエチレントリアミンを等モル混合した樹脂を100μmの膜厚で塗布し、硬化させ、2枚の試験片を作成した。
まず、JIS K 5600.5.6に準拠して一方の試験片に対し碁盤目付着性試験を行った。具体的には、試験片に対し、3mmの隙間間隔でガラス板に達するまでナイフで切れ込みを入れることにより25マスの碁盤目を作成し、当該碁盤目上に粘着テープを貼りあわせて、塗膜面に対して45度の角度をなす方向に粘着テープを引き剥がした。その後、樹脂が剥離したマス目をカウントし、全マス目に対する剥離したマス目の割合(%)を算出した。下記の基準で評点化した数値を表1の「初期」欄に示す。
評価点数5:碁盤のマス目の剥離率0%
評価点数4:碁盤のマス目の剥離率0%超5%以下
評価点数3:碁盤のマス目の剥離率5%超15%以下
評価点数2:碁盤のマス目の剥離率15%超25%以下
評価点数1:碁盤のマス目の剥離率25%超
次に、もう一方の試験片について、沸騰水に24時間浸漬後に、上記と同様の条件で碁盤目付着試験を行った。上記と同様の方法で評点化した数値を表1の「沸騰水処理後」欄に示す。
<比較例>
実施例2において、4−グリシジルオキシ−2−メチルトリメトキシシランの代わりに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)を使用した以外は実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
表1に示されるように、本発明の有機ケイ素化合物を用いた場合には、類似の構造を有する比較例の有機ケイ素化合物を用いた場合に比べて加水分解による性能低下が少ない。すなわち、本発明の有機ケイ素化合物を用いることで、シランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる成形体を提供できることがわかる。
本発明の有機ケイ素化合物を用いて表面処理した無機充填材を樹脂に添加して成形することで、シランカップリング剤層の耐加水分解性に優れる成形体を提供できる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物。

    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表し、Rメチル基を表し、Rメチレン基を表す。)
  2. 請求項1に記載の有機ケイ素化合物により表面処理された無機充填材を含有する樹脂組成物。
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