JPWO2017006907A1 - 固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017006907A1
JPWO2017006907A1 JP2016545941A JP2016545941A JPWO2017006907A1 JP WO2017006907 A1 JPWO2017006907 A1 JP WO2017006907A1 JP 2016545941 A JP2016545941 A JP 2016545941A JP 2016545941 A JP2016545941 A JP 2016545941A JP WO2017006907 A1 JPWO2017006907 A1 JP WO2017006907A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
nonwoven fabric
fiber nonwoven
separator
fuel cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016545941A
Other languages
English (en)
Inventor
綾信 堀之内
綾信 堀之内
健太郎 梶原
健太郎 梶原
悟 下山
悟 下山
堀口 智之
智之 堀口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JPWO2017006907A1 publication Critical patent/JPWO2017006907A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/02Details
    • H01M8/0202Collectors; Separators, e.g. bipolar separators; Interconnectors
    • H01M8/0258Collectors; Separators, e.g. bipolar separators; Interconnectors characterised by the configuration of channels, e.g. by the flow field of the reactant or coolant
    • H01M8/026Collectors; Separators, e.g. bipolar separators; Interconnectors characterised by the configuration of channels, e.g. by the flow field of the reactant or coolant characterised by grooves, e.g. their pitch or depth
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/8605Porous electrodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/96Carbon-based electrodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/02Details
    • H01M8/0202Collectors; Separators, e.g. bipolar separators; Interconnectors
    • H01M8/023Porous and characterised by the material
    • H01M8/0234Carbonaceous material
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/02Details
    • H01M8/0202Collectors; Separators, e.g. bipolar separators; Interconnectors
    • H01M8/0258Collectors; Separators, e.g. bipolar separators; Interconnectors characterised by the configuration of channels, e.g. by the flow field of the reactant or coolant
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • H01M2008/1095Fuel cells with polymeric electrolytes
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Sustainable Energy (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)

Abstract

本発明は、特に湿度が高い発電条件において、且つ、セパレーターとして並列型を用いた場合においても、良好な水の排出性を有し、高い発電性能を発揮することができる、溝付きガス拡散電極基材を用いた固体高分子形燃料電池を提供することを課題とする。本発明は、炭素繊維不織布を基材とするガス拡散電極と、並列式の直線状流路が形成されたセパレーターとを有する固体高分子形燃料電池であって、当該炭素繊維不織布は、直線状の畝部と直線状の溝部が交互に繰り返される波板状の凹凸を有し、かつ畝部と溝部の光透過性が同等であり、ガス拡散電極とセパレーターとは、炭素繊維不織布の凹凸形成面がセパレーターの流路形成面と対向し、かつ畝部および溝部の延在方向がセパレーターの流路の延在方向と一致するよう配置されてなる固体高分子形燃料電池である。

Description

本発明は、炭素繊維不織布をガス拡散電極として用いた固体高分子形燃料電池に関する。
燃料と酸化剤を反応させることで発電する燃料電池システムのうち、特に固体高分子形燃料電池は100℃程度の比較的低温で発電可能であり、かつ出力密度が高い。そのため、電動モーターで走行する自動車の電源や、家庭用のコジェネレーションシステムなどで使用されている。
通常、固体高分子形燃料電池は水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスが電解質膜で分けられている。燃料ガスが供給される側をアノード側、酸化剤ガスが供給される側をカソード側と称する。アノード側のセパレーターの流路に供給された燃料ガスは、セパレーターと接するガス拡散電極内に拡散し、ガス拡散電極のもう一方の面(セパレーターと接する側と反対の面)に配されたアノード触媒層で電子とプロトンに分離される。電子は触媒層のカーボン粒子やガス拡散電極を構成する炭素繊維を介して燃料電池の外部の負荷(装置)と接続されていることで直流電流を取り出せる。この電子は、カソードのガス拡散電極を通して、アノード触媒層で生じたプロトンは、電解質膜を介してカソード触媒層に移動する。また、カソード側のセパレーターの流路には酸素を含む酸化剤ガスが供給され、セパレーターと接するガス拡散電極基材内に拡散し、ガス拡散電極のもう一方の面に配されたカソード触媒層でプロトン、電子とともに水を生成する。生じた水は、触媒層からガス拡散電極基材を介してカソード側のセパレーターの溝へ移動し、セパレーターの流路内を通って燃料電池外へ排出される。
ここで、反応で生じた水が触媒層やガス拡散電極の空隙を塞ぎ、水素や空気の輸送を妨げてしまうと、高い発電効率を得ることができなくなる。この現象は一般に「フラッディング」と呼ばれる。フラッディングを防止するためには、反応で生じた水を積極的に排出することが必要である。特にセパレーターの流路に達した水を迅速に系外に排出することが重要である。
セパレーターの流路内の水の排出を促す技術としては、セパレーターの流路と対向して設置されるガス拡散電極に溝等の凹凸を設けることが提案されている。例えば、特許文献1〜4には、ガス拡散電極に溝や貫通する孔を形成し、水の通過性を向上させる技術が提案されている。
特表平11−511289号 特開2013−20843号 特開2003−17076号 特開2006−139921号
セパレーターには、分岐のない1本の連続した流路で燃料ガスを供給する直列式の流路を有するものと、中央流路から燃料ガスを分配する分岐流路を備えた並列式の流路を有するものとがある。直列式の流路を有するセパレーターは、並列式のものと比較して流路内を通過するガスの流速が大きい。そのため、流路内に溜まった水を燃料ガスにより系外に排出することが容易となり、フラッディング現象が起こりにくい。一方、直列式の流路では流路内にガスを流すために高圧が必要となり、システムコストが高くなる。そのため、現在では並列式の流路を有するセパレーターを用いた場合であっても良好な発電を行える燃料電池システムが求められつつある。
しかしながら、本発明者らの検討によると、並列式の流路を有するセパレーターを用いた場合、湿度が高い条件においては特許文献1〜4に記載の技術のみではフラッディング現象が十分に抑制できず、安定した発電が行えないことが分かった。本発明は、並列式の流路を有するセパレーターを用いながらも、湿度が高い発電条件でも水の排出性が良好で、高い発電性能を維持することができる固体高分子形燃料電池を提供することを課題とする。
前記課題を達成するための本発明は、炭素繊維不織布を基材とするガス拡散電極と、並列式の直線状流路が形成されたセパレーターとを有する固体高分子形燃料電池であって、当該炭素繊維不織布は、直線状の畝部と直線状の溝部が交互に繰り返される波板状の凹凸を有し、かつ畝部と溝部の光透過性が同等であり、当該ガス拡散電極と当該セパレーターとは、炭素繊維不織布の凹凸形成面がセパレーターの流路形成面と対向し、かつ畝部および溝部の延在方向がセパレーターの流路の延在方向と一致するよう配置されてなる固体高分子形燃料電池である。
本発明の固体高分子形燃料電池は、並列式の流路を有するセパレーターを用いているにも関わらず、高湿度条件下でも排水性に優れるため、フラッディングを抑制しつつ安定した発電を行うことができる。
本発明の固体高分子形燃料電池のセル構成の断面模式図である。 矩形波状の凹凸を有する炭素繊維不織布の断面模式図である。 実施例1で作製した炭素繊維不織布の正立観察像である。 実施例1で作製した炭素繊維不織布の倒立観察像である。 比較例1で作製した炭素繊維不織布の正立観察像である。 比較例1で作製した炭素繊維不織布の倒立観察像である。 パラレル型(Parallel)の流路を有するセパレーターの流路形状を示す模式図である。 マルチパラレル型(Multi−parallel)の流路を有するセパレーターの流路形状を示す模式図である。 対向櫛型(Interdigitated)の流路を有するセパレーターの流路形状を示す模式図である。
〔炭素繊維不織布〕
炭素繊維不織布とは、炭素繊維前駆体繊維不織布を不活性ガス雰囲気下で加熱して炭化させたものである。炭素繊維とは、炭素繊維前駆体繊維を不活性ガス雰囲気で加熱して炭化したものである。不織布とは、ウエブの構成繊維を機械的な交絡、加熱による融着、バインダーによる接着といった方法で固定させたものである。また、ウエブとは炭素繊維前駆体繊維を積層してシート状にしたものである。なお、炭素繊維前駆体繊維については後述する。ウエブとしては、乾式のパラレルレイドウエブまたはクロスレイドウエブ、エアレイドウエブ、湿式の抄造ウエブ、押出法のスパンボンドウエブ、メルトブローウエブ、エレクトロスピニングウエブ等を用いることができる。また、これらのウエブをシート状にした炭素繊維不織布としては、ウエブを機械的に交絡させたもの、加熱して融着させたもの、バインダーで接着させたもの等が挙げられる。
炭素繊維の繊維径が小さいほど、炭素繊維不織布の高い見かけ密度を達成しやすく、導電性や熱伝導が優れる炭素繊維不織布が得られる。一方、炭素繊維不織布の平均孔径が小さくなって、炭素繊維不織布の排水性やガス拡散性は低下する傾向がある。炭素繊維の繊維径は、炭素繊維不織布の用途に応じて適宜決定すべきである。炭素繊維の繊維径は、一般的なガス拡散電極として使用する場合には3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
炭素繊維不織布の平均孔径は、40μm以上であることが好ましく、45μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。平均孔径の上限は特に限定されない。平均孔径は、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。平均孔径が40μm以上であれば、ガスの拡散と排水で高い性能が得られる。また、平均孔径が100μm以下であれば、ドライアウトを防止しやすい。なお、本明細書において、炭素繊維不織布の平均孔径とは水銀圧入法により測定される値を意味する。水銀の表面張力σを480dyn/cm、水銀と炭素繊維不織布との接触角を140°として計算した値である。水銀圧入法による測定は、例えば、PoreMaster(登録商標)(Quantachrome社製)などを用いて測定することができる。
また、炭素繊維不織布を構成する炭素繊維同士の接点にバインダーとして炭化物が付着していると、炭素繊維同士の接点で接触面積が大きくなり、優れた導電性と熱伝導性が得られる。このようなバインダーを付与する方法としては、炭化処理後の炭素繊維不織布に熱硬化性樹脂を含浸またはスプレーし、不活性雰囲気下で再度加熱処理する方法が挙げられる。この場合、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂等を用いることができる。中でもフェノール樹脂を用いることが特に好ましい。また、後述するように、熱可塑性樹脂を炭素繊維前駆体不織布に混綿しておく方法も好ましく用いられる。
炭素繊維不織布の表面には、直線状の畝部と直線状の溝部が交互に繰り返される波板状の凹凸(以下、単に「波板状の凹凸」または「凹凸」という場合がある)が形成されている。なお、本明細書において「波板状の凹凸」とは、正弦波状、矩形波状、三角波状、のこぎり波状等の断面形状を有する凹凸を含むものとする。
以下、当該波板状の凹凸の形態について述べる。本明細書においては、炭素繊維そのものによる表面凹凸の影響を排除するため、特に言及した場合を除き、炭素繊維不織布を厚み方向に1MPaで加圧した際の炭素繊維不織布の厚み(以下、単に「加圧時厚み」ということがある。)と同じ厚みになるまで炭素繊維不織布の凹凸形成面をトリミングしたと仮定した場合の形状について描写するものとする。加圧時厚みは、2.5cm×2.5cmにカットした炭素繊維不織布を、表面が3cm以上×3cm以上で厚みが1cm以上の金属板で挟み、炭素繊維不織布に対して1MPaの圧力を付与して求めるものとする。
波板状の凹凸の存在は、例えば、光学顕微鏡で炭素繊維不織布の凹凸形成面側から焦点を変化させて撮影した画像を深度合成により3次元表示することや、レーザー顕微鏡で、炭素繊維不織布の凹凸形成面側から、500μm〜5mmの視野でレーザースキャンして画像を取り込み、形状解析ソフトを用いて傾き補正を行い、高さに応じて色を変えて表示することにより判断することができる。
また、以下の説明において「断面」とは、特に断らない限り、直線状の溝部および畝部の延在方向に垂直な方向の炭素繊維不織布の断面を意味するものとする。
波板状の凹凸は、炭素繊維不織布の両面に形成されていてもよい。本発明においては、炭素繊維不織布をガス拡散電極とした場合にセパレーターとの接触面に発生する水滴の排出性を高める効果を発揮できれば足りるため、一方の面のみに凹凸が形成されていれば十分であり、また製造上も好ましい。そのため、本明細書では、一方の面のみに凹凸が形成された炭素繊維不織布について説明し、説明の中では当該凹凸が形成された面を「凹凸形成面」または「上面」、その反対の凹凸が形成されていない面を「凹凸非形成面」または「下面」と呼ぶこととする。また、以下特に断らない限り、炭素繊維不織布の下面を下にして水平に静置した状態を仮定して説明するものとする。凹凸が両面に形成されている場合には、観察対象とする凹凸形成面の反対側の面に形成された凹凸の畝部の先端を通る平面を下面と考えるものとする。
図2は、本発明で用いる炭素繊維不織布の一形態の断面を示す模式図である。図2に示す炭素繊維不織布は、矩形波状の断面を有する凹凸が形成されている。ここで、図2中Pgは溝部の形成ピッチ、Wgは溝部の幅、Wrは畝部の幅、H1は炭素繊維不織布の厚さ、H2は凹凸の高さ(溝部の底部から畝部の先端までの高さ)である。本明細書においては、波板状の凹凸の高さH2の1/2の点を通る平面Mを想定し、当該平面Mより下に存在する部分を溝部、上に存在する部分を畝部と呼ぶものとする。畝部の幅Wgは、炭素繊維不織布断面における平面Mによる畝部の切断面の幅であり、溝部の幅Wrは平面Mによる溝部の切断面の幅である。
図2に示す炭素繊維不織布は、矩形波状の断面を有し、溝部および畝部の断面はいずれも矩形状をなしている。すなわち、溝部および畝部の壁面は下面と略垂直に形成されている。溝部および畝部の壁面は、下面の垂線方向から傾斜を有していてもよい。すなわち、溝部および畝部の断面は、台形状をなすものであっても、略半円状(U字状)をなすものであってもよい。
凹凸の高さ(H2)は20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。凹凸の高さ(H2)の上限は、炭素繊維不織布としての強度を保つことができる限り特に限定されない。
溝部の形成ピッチ(Pg)は20μm〜2000μmとすることが好ましい。溝部の形成ピッチが20μm以上であれば、炭素繊維不織布表面と水滴との接触面積を小さくする効果を得やすい。溝部の形成ピッチが2000μm以下であれば、水滴が溝部へ落ち込むことがなく、畝部表面を移動しやすくなる。ここで、溝部の形成ピッチとは、隣接する溝部の中心線同士の距離の平均値である。溝部の形成ピッチは溝部の延在方向と直交する方向の炭素繊維不織布の凹凸形成部分の幅を溝部の本数から算出することができる。炭素繊維不織布表面の水滴の移動性を向上させる観点から、溝部の形成ピッチは100μm〜1000μmとすることがより好ましい。また、溝部の形成ピッチは、後述するセパレーターの流路の形成ピッチよりも小さいと、水滴の移動が容易となり、好ましい。
また、炭素繊維不織布の凹凸形成面の平面視における、畝部の面積に対する溝部の面積の比(溝部面積比率:Wg/Wr)が小さいほど水滴が溝部に留まることなく畝の表面上を移動して排出されやすくなる。そのため、溝部面積比率は0.9以下であることが好ましい。さらに、溝部面積比率を小さくすることによって、セパレーターとの基材との接触面積が増大し、導電性や熱伝導性が向上する。そのため、溝面積比率は0.7以下であることがより好ましい。また、炭素繊維不織布表面と水滴との接触面積を小さくする効果を得やすい点で、溝部面積比率は少なくとも0.1以上であることが好ましい。
本発明においては、溝部と畝部の光透過性が同等の炭素繊維不織布を用いる。なお、溝部と畝部の光透過性が同等であることは、後述する実施例の第1項に記載の方法により判断するものとする。
炭素繊維不織布の孔に液体を通過させるときの圧力(P)は、下記のヤング・ラプラスの式から求めることができる。P = −(2gcosq)/r
ここで、gは液体の表面張力、qは液体の孔の周囲面上の接触角、rは孔径である。ヤング・ラプラスの式は、孔径の異なる二つの孔が隣接して存在している場合、孔径の大きい方の孔を優先的に液体が通過することを示している。
炭素繊維不織布の溝部と畝部の光透過性が同等である場合としては、溝部と畝部の目付が同等である場合や、繊維配向性の相違によって同等になる場合、繊度の相違によって同等になる場合等が挙げられる。溝部と畝部の光透過性が同等である場合、溝部の密度は相対的に高くなり、畝部の密度は相対的に低くなる。すなわち、溝部の平均孔径は畝部の平均孔径よりも小さい。この場合、ヤング・ラプラスの式を考慮すると、触媒層において発生した水は、溝部よりも畝部を優先的に通過し、最終的に畝部から優先的にセパレーター側に排出される。ここで、後述するように炭素繊維不織布の溝部がセパレーターの直線状流路の直線部と略並行になるよう配置されていることで、畝部から排出された水は、燃料ガスの風圧によりガス拡散電極の畝部の表面を畝部の延在方向に沿って移動することが容易となる。
ガス拡散電極の撥水性能をさらに高めるためには、さらに炭素繊維不織布に撥水剤を付与することが好ましい。撥水剤は、炭素繊維不織布表面の水滴接触角を増大させる効果を有する物質であれば特に限定されない。PTFE、FEP、PVDF等のフッ素系樹脂、PDMS等のシリコーン樹脂が例示できる。
炭素繊維不織布は、撥水剤の付与により、凹凸形成面の水滴接触角が100度以上となっていることが好ましい。燃料電池における排水性向上の観点からは撥水性は高い方が好ましいため、凹凸形成面の水滴接触角は120度以上とすることが好ましく、140度以上とすることがより好ましい。
上記のような凹凸を形成した炭素繊維不織布の下面(膜電極複合体を構成した場合に電解質膜と対向する面)に、さらに、フッ素樹脂と、カーボンブラック等の炭素材料とを含むマイクロポーラス層を設けることも、排水性を向上させる上で好ましい。マイクロポーラス層に含まれるフッ素樹脂は、導電性と強度を両立される観点から、炭素材料に対して1〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、20〜60重量%がさらに好ましい。
固体高分子形燃料電池の単セルは、図1に示されるように、電解質膜1と、電解質膜1の両側に配置された触媒層2と、そのさらに両側に配置された、アノード側およびカソード側のガス拡散電極4と、更にその両側に配置された1対のセパレーター5とを有する。
本発明の固体高分子形燃料電池では、セパレーター5は、並列式の直線状流路51が形成されたものである。並列式の流路とは、中央流路から燃料ガスを分配する分岐流路を備えた流路であり、分岐のない1本の連続した流路である直列式以外の流路形状を意味する。また、直線状流路とは、流路の全長の80%以上がセパレーターの一端から他端までほぼ連続する直線部として形成されている流路形状を意味する。このような並列式の直線状流路としては、図7で示されるようなパラレル型(Parallel)、図8で示されるようなマルチパラレル型(Multi−parallel)または図9で示されるような対向櫛型(Interdigitated)の流路が挙げられる。図7〜図9においては、各図面中縦方向に形成されている流路部分が直線部に当たる。本発明の効果を得るためには、パラレル型またはマルチパラレル型の流路を有するセパレーターを用いることが特に好ましい。
本発明においては、炭素繊維不織布を基材とするガス拡散電極4の凹凸形成面がセパレーター5の流路形成面と対向し、かつ炭素繊維不織布の溝部41および畝部42がセパレーターの直線状流路の直線部51の形成方向と略並行になるよう配置されている。炭素繊維不織布の溝部とセパレーター流路の直線部とが略並行になるよう配置されている場合、燃料ガスの風圧の方向が炭素繊維不織布の溝部の延在方向と一致する。そのため、畝部表面に集約された水滴は溝部への落ち込みや引っ掛かりを生じることが少なくなり、容易に畝部表面を移動できる。一方、炭素繊維不織布の溝部がセパレーター流路の直線部と略垂直になるよう配置されている場合、燃料ガスの風圧の方向が溝部の延在方向と一致しない。そのため、畝部表面の水滴は溝部への落ち込みや引っ掛かりを生じ、移動しにくくなる。ここで、炭素繊維不織布の溝部および畝部がセパレーターの直線状流路の直線部と略並行とは、炭素繊維不織布の直線状の畝部または溝部の延在方向と、セパレーターの直線状流路の直線部の形成方向とのなす角が30°以下であることを意味する。
ここで、セパレーターの直線状流路の直線部の形成方向とのなす角は20°以下であることが好ましく、10°以下であることがより好ましい。また、セパレーターの流路の形成ピッチが炭素繊維不織布の溝部の形成ピッチよりも大きいと、水滴の移動が容易となり、好ましい。
また、炭素繊維不織布の溝部または畝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向が交差すると、畝部に集約された水滴の移動がセパレーターの流路非形成部分により遮られる。そのため、炭素繊維不織布の溝部または畝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向とが交差しないように配置することが好ましい。
<固体高分子形燃料電池の製造方法>
本発明の固体高分子形燃料電池は、一例として以下の製造方法により製造することができる。
ガス拡散電極基材に用いる炭素繊維不織布は、炭素繊維前駆体繊維不織布を炭化処理することにより得られる。炭素繊維前駆体繊維とは、焼成により炭素繊維化する繊維である。炭素繊維前駆体繊維は、炭化率が15%以上の繊維であることが好ましく、30%以上の繊維であることがより好ましい。本発明に用いられる炭素繊維前駆体繊維は特に限定されない。炭素繊維前駆体繊維としては不融化したポリアクリロニトリル(PAN)系繊維(PAN系耐炎繊維)、不融化したピッチ系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、セルロース系繊維、不融化したリグニン系繊維、不融化したポリアセチレン系繊維、不融化したポリエチレン系繊維、ポリベンゾオキサゾール系繊維などを挙げることがでる。中でも強伸度が高く、加工性の良いPAN系耐炎繊維を用いることが特に好ましい。なお、炭化率は、以下の式から求めることができる。
炭化率(%)=焼成後重量/焼成前重量×100
炭素繊維前駆体繊維不織布は、炭素繊維前駆体繊維により形成されたウエブを、交絡、加熱融着、バインダー接着等により結合して布帛状としたものである。ウエブとしては、乾式のパラレルレイドウエブまたはクロスレイドウエブ、エアレイドウエブ、湿式の抄造ウエブ、押出法のスパンボンドウエブ、メルトブローウエブ、エレクトロスピニングウエブを用いることができる。溶液紡糸法で得たPAN系繊維を不融化してウエブ化する場合は、均一なシートを得やすいことから、乾式ウエブまたは湿式ウエブを用いることが好ましい。また、工程での形態安定性を得やすいことから、乾式ウエブを機械的に交絡させた不織布が特に好ましい。
また、前述のように、炭素繊維不織布の炭素繊維同士の交点にバインダーとして炭化物が付着していると導電性と熱伝導性に優れる点で好ましい。このような炭素繊維不織布は、炭素繊維前駆体繊維不織布に炭化物前駆体を付与しておくことで製造することができる。炭化物前駆体を付与せる方法は特に限定されない。炭素繊維前駆体繊維不織布に炭化物前駆体溶液を含浸またはスプレーする方法や、予め炭素繊維前駆体繊維不織布に炭化物前駆体となる熱可塑性樹脂製繊維を混綿しておく方法が挙げられる。
炭素繊維前駆体繊維不織布に炭化物前駆体溶液を含浸またはスプレーする場合には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂といった熱硬化性樹脂を用いることができる。中でも炭化収率が高いことからフェノール樹脂が特に好ましい。ただし、熱硬化性樹脂溶液を含浸した場合は、炭化工程で炭素繊維前駆体繊維とバインダー樹脂の収縮の挙動の差異が生じることによって、炭素繊維不織布の平滑性が低下しやすい。また乾燥時に炭素繊維不織布表面に溶液が移動するマイグレーション現象も生じ易いため、均一な処理が難しくなる傾向がある。
これに対し、予め炭素繊維前駆体繊維不織布にバインダーとなる熱可塑性樹脂製繊維を混綿しておく方法は、炭素繊維前駆体繊維とバインダー樹脂の割合を不織布内で均一にすることができ、炭素繊維前駆体繊維とバインダー樹脂の収縮挙動の差異も生じにくいことから、最も好ましい方法である。このような熱可塑性樹脂製繊維としては、比較的安価なポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維が好ましい。
バインダーの配合量は、炭素繊維不織布の強度、導電性、熱伝導性の向上のため、炭素繊維前駆体繊維100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。また、排水性向上のため、80質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。
続いて、炭素繊維前駆体繊維のプレスを行う。このときの加熱温度は、炭素繊維前駆体繊維の不織布構造体に形成したプレスの形態安定性の点から160℃〜280℃が好ましく、180℃〜260℃がより好ましい。
直線状の溝部および畝部が交互に配置された波板状の凹凸は、炭素繊維前駆体繊維不織布の段階で表面に凹凸を形成し、その後炭化することにより形成される。具体的には、形成しようとする凹凸に対応する賦形部材を炭素繊維前駆体繊維不織布の表面に押し付ける方法、すなわちエンボス加工により凹凸を形成することが好ましい。エンボス加工の方法としては、溝部に対応する凸形状が形成されたエンボスロールとフラットロールで連続プレスする方法や、同様の凸形状を形成したプレートとフラットプレートでバッチプレスする方法を挙げることができる。
このように、賦形部材を前記炭素繊維前駆体繊維不織布の表面に押し付ける方法によって溝部を形成した炭素繊維不織布は、溝部と畝部の光透過性が同等になる。そのため、前述したように反応により発生した水を畝部表面に優先的に集約することができる。集約された水は、燃料ガスの風圧により畝部表面を移動し、容易に系外に排出されるようになる。
一方、炭素繊維不織布にレーザーや針等で削って加工する方法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法では、溝部の光透過性が畝部の光透過性より小さくなる。この場合、畝部よりも溝部を優先的に水が通過し、最終的に水が溝部に集約されるようになる。水が溝部に集約される場合、畝部に集約された場合と比べて水滴が燃料ガスによる風圧を受けにくく、排出が難しいため、フラッディング現象が生じやすくなる。
次いで、凹凸を形成した炭素繊維前駆体繊維不織布を炭化処理する。炭化処理の方法は特に限定されず、炭素繊維材料分野における公知の方法を用いることができる。不活性ガス雰囲気下での焼成が好ましく用いられる。不活性ガス雰囲気下での焼成は、大気圧で、窒素やアルゴンといった不活性ガスを供給しながら、800℃以上に加熱することで行うことが好ましい。炭化処理の温度は、優れた導電性と熱伝導性を達成するためには1500℃以上が好ましく、1900℃以上がより好ましい。一方、加熱炉の運転コストの観点からは、3000℃以下であることが好ましい。炭素繊維不織布を固体高分子形燃料電池のガス拡散電極として用いる場合、炭化処理後に厚みが30〜400μm、密度が0.2〜0.8g/cmとなるように炭素繊維前駆体繊維不織布の形態や炭化処理条件を調整することが好ましい。
〔撥水処理〕
撥水剤の付与は、これらの撥水剤を、溶融含浸、溶液や分散液を用いたプリント、転写、含浸等の方法で炭素繊維不織布に付与することで行うことができる。なお、水滴接触角は、温度20℃、湿度60%の環境で、炭素繊維不織布の凹凸形成面上に10μLの水滴を10点滴下して測定した平均値とする。水滴接触角は、例えば自動接触角計DMs−601(協和界面科学(株)社製)により測定することができる。
〔マイクロポーラス層〕
マイクロポーラス層は、PTFE等のフッ素樹脂とカーボンブラック等の炭素材料に界面活性剤と水などを加えたペーストを、バーコートやダイコート方式により炭素繊維不織布の下面に塗布し、乾燥し、焼結することで形成することができる。
〔固体高分子形燃料電池〕
高分子電解質膜の両側に触媒層を形成し、さらにその両側に、上記のように作製した炭素繊維不織布を配置して接合するか、高分子電解質膜の両側に、上記のように作製した炭素繊維不織布に触媒層を形成したものを配置して接合することで、炭素繊維不織布を基材とするガス拡散電極を有する膜電極接合体を得ることができる。また、さらに当該膜電極接合体の両側に並列式の直線状流路が形成されたセパレーターを、炭素繊維不織布の凹凸形成面が前記セパレーターの流路形成面と対向し、かつ炭素繊維不織布の溝部および畝部がセパレーターの直線状流路の直線部の形成方向と略並行になるよう配置することで、固体高分子形燃料電池を得ることができる。
実施例および比較例中のデータは以下の方法で測定した。
1.溝部と畝部の光透過性の同等性
下面が光学顕微鏡のステージ上に接するように炭素繊維不織布を置き、光を凹凸形成面から照射し、長方形の観察視野とした状態で溝部および畝部がその長方形の長辺と平行になるように観察視野内にそれぞれ4本〜10本含まれた状態で撮影する(正立観察像)。その後、炭素繊維不織布の下面側から下面に対して垂直に光を照射し、凹凸形成面側から同様の視野範囲を撮影する(倒立観察像)。
倒立観察像では、溝部と畝部の光透過性が異なる場合、溝部と畝部とで光の透過率が異なるため、溝部が明るく、畝部が暗い明暗が観察される。
次に、画像処理ソフトフェアを用いて倒立観察像の明度の平均値を算出し、その平均値を平均明度とする。ここでの明度はRGBカラーモデルにて0〜255の256段階で表現した数値である。
また、倒立観察像中に存在する各溝部において、溝部の幅方向に、溝部の中心線を中心として溝部の幅の半分の長さをトリミングした範囲の明度を測定し、その平均値を溝部の明度とする。
さらに、畝部も同様に、畝部の中心線を中心として畝部の幅の半分の長さをトリミングした範囲の明度を測定し、その平均値を畝部の明度とする。
上記のように観察を行い、観察視野の平均明度と、当該観察視野内に含まれる各溝部および畝部の明度を比較する。これを100本の溝部および畝部について行い、平均明度よりも明度が高かった溝部が65本以上存在し、かつ平均明度よりも明度が低かった畝部が65本以上存在した場合、畝部と溝部の光透過性は同等ではないとする。また、同様に、平均明度よりも明度が低かった溝部が65本以上存在し、かつ平均明度よりも明度が高かった畝部が65本以上存在した場合も、畝部と溝部の光透過性は同等ではないとする。そして、それ上記のいずれにも当てはまらない場合は、溝部と畝部の光透過性は同等であると判断する。
2.発電性能
各実施例、比較例において作製した固体高分子形燃料電池を用い、セル温度を60℃、水素極と空気極の露点を67.5℃とし、それぞれの極の背圧を100kPaとした。通常試験は、水素ガス流量を0.05L/分、酸素ガス流量を0.2L/分とし、電流密度を0.2mA/cmとした時の電圧値を測定した。
[実施例1]
PAN系耐炎糸のけん縮糸を数平均繊維長76mmに切断した後、カード、クロスレヤーでシート化した後、針密度300本/cmのニードルパンチを行って炭素繊維前駆体繊維不織布を得た。片面に直線状の溝の形状を付与した金属プレート(溝の幅420μm、畝の幅420μm、溝部の形成ピッチ840μm、凹部の深さ90μm、凹凸形状は矩形波状)をPAN系耐炎糸不織布の上にマウントし、220℃、1MPaの条件で4分間プレスし、金属プレートの溝形成面をマウントした側の炭素繊維前駆体繊維不織布表面に金属プレートの溝を反映した不織布を得た。次に、不活性雰囲気下、2400℃で4時間焼成することで、一方の面に直線状の溝部が形成された炭素繊維不織布を得た。溝部の幅、形成ピッチ、溝部面積比は表1に記載の通りである。
得られた炭素繊維不織布を、上記1.に従って正立法で観察すると、基材表面に溝を確認することができ、また、溝部と畝部の光透過性は同等であった。実施例1で作製した炭素繊維不織布の正立観察像および倒立観察像を、それぞれ図3、図4に示す。図3の正立観察像においては、観察視野範囲内の長軸方向に対して直線状の溝が同方向に延びており、観察視野範囲内の短軸方向に約800μmのピッチで5つ溝が存在していた。図4の倒立観察像では、溝を視認することができなかった。
このように作製した炭素繊維不織布に、固形分濃度3wt%に調整したPTFEの水分散液をPTFE固形分付着量が5wt%になるよう含浸付与し、熱風乾燥機を用いて130℃で乾燥させ、380℃で10分間加熱することで撥水剤を付与し、撥水処理を施した。溝形成面の水滴接触角は140°であり、撥水材が十分な量付与されていることを確認した。
次いで、この撥水処理を施した炭素繊維不織布の凹凸非形成面にマイクロポーラス層の付与を行った。まず、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製“デンカブラック”(登録商標))、PTFE樹脂(ダイキン工業(株)製“ポリフロン”(登録商標)D−1E)、界面活性剤(ナカライテスク(株)製“TRITON”(登録商標)X−100)、精製水を用い、アセチレンブラック/PTFE樹脂/界面活性剤/精製水=7.7質量部/2.5質量部/14質量部/75.6質量部の比で混合した塗液を調製した。その後、当該塗液を炭素繊維不織布の下面にダイコーターにより塗工し、120℃で10分加熱乾燥させた後、380℃で10分間焼結した。
次いで、Nafion(登録商標)(デュポン社製)からなるフッ素系電解質膜の両面に、白金担持炭素とNafionからなる触媒層(白金量0.2mg/cm)をホットプレスによって接合し、触媒層被覆電解質膜(CCM)を作成した。このCCMの両面に、上記のように作製した2枚のガス拡散電極を配して再びホットプレスを行い、膜電極接合体(MEA)とした。この時、ガス拡散電極基材は、マイクロポーラス層を有する面が触媒層側と接するように配置した。
このMEAと、図7で示されるパラレル型の並列式の直線状流路(幅1000μm、ピッチ2000μm、深さ500μm、)が形成されたセパレーターとを、ガス拡散電極の溝部および畝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部の形成方向とのなす角が10°以下になるように配置して、発電面積5cmの固体高分子形燃料電池(単セル)とした。
[実施例2]
実施例1において、炭素繊維前駆体繊維不織布の片面に直線状の溝の形状を金属プレートで付与する際、用いた金属プレートの溝の幅を420μm、畝の幅を210μm、溝部の形成ピッチを630μm、凹部の深さ90μmと変更した以外、実施例1と同様の方法で固体高分子形燃料電池(単セル)を作製した。
[実施例3]
実施例1において、炭素繊維前駆体繊維不織布の片面に直線状の溝の形状を金属プレートで付与する際、用いた金属プレートの溝の幅を210μm、畝の幅を420μm、溝部の形成ピッチを630μm、凹部の深さ90μmと変更した以外、実施例1と同様の方法で固体高分子形燃料電池(単セル)を作製した。
[実施例4]
炭素繊維不織布にマイクロポーラス層の形成を行わなかった以外は実施例1と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[実施例5]
ガス拡散電極の溝部および畝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部の形成方向とのなす角を10°以上20°以下になるように配置した以外は実施例1と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[実施例6]
ガス拡散電極の溝部および畝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部の形成方向とのなす角を20°以上30°以下になるように配置した以外は実施例1と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例1]
3次元交絡を有するPAN系前駆体繊維ステープルをカード加工し、ウヱッブを作製し、これを所定の枚数重ね合わせた後、連続的にノズルからの高圧水流を厚さ方向に通過させ、繊維を交絡させ不織布を作製した。この加工時において、ノズル孔のサイズや水流の位置及び間隔を調整し連続加工することにより片面に直線状の溝(溝部の幅500μm、畝部の幅150μm、溝部の形成ピッチ650μm、凹部の深さ50μm)を形成させた炭素繊維前駆体繊維不織布を作製した。次に、不活性雰囲気下、2400℃で4時間焼成することで、一方の面に直線状の溝が形成された炭素繊維不織布を得た。比較例1で作製した炭素繊維不織布の正立観察像および倒立観察像を、それぞれ図5、図6に示す。図6の倒立観察像においては、観察視野範囲内の長軸方向に対して直線状の溝が同方向に延びていることが視認でき、観察視野範囲内の短軸方向に約650μmのピッチで6つ溝が存在しているのが分かる。
この炭素繊維不織布をガス拡散電極基材として用い、実施例1と同様の方法で固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例2]
炭素繊維不織布の溝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向とのなす角が80°以上になるように配置したこと以外は比較例1と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例3]
炭素繊維不織布の溝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向とのなす角が80°以上になるように配置した以外は、実施例1と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例4]
炭素繊維不織布の溝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向とのなす角が80°以上になるように配置した以外は、実施例2と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例5]
炭素繊維不織布の溝部の延在方向とセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向とのなす角が80°以上になるように配置した以外は、実施例3と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例6]
炭素繊維不織布の溝部の延在方向と並列型のセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向とのなす角が50°以上になるように配置した以外は、実施例1と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例7]
炭素繊維不織布の溝部の延在方向と並列型のセパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向とのなす角が70°以上になるように配置した以外は、実施例1と同様にして固体高分子形燃料電池を作製した。
各実施例、比較例にて作製した炭素繊維不織布の形態および当該炭素繊維不織布をガス拡散電極基材として用いた固体高分子形燃料電池の発電性能評価の結果を表1に示す。
Figure 2017006907
Figure 2017006907
1 電解質膜
2 触媒層
3 マイクロポーラス層
4 ガス拡散電極
41 溝部
42 畝部
5 並列型セパレーター
51 直線状流路(直線部)

Claims (8)

  1. 炭素繊維不織布を基材とするガス拡散電極と、並列式の直線状流路が形成されたセパレーターとを有する固体高分子形燃料電池であって、
    前記炭素繊維不織布は、直線状の畝部と直線状の溝部が交互に繰り返される波板状の凹凸を有し、かつ前記畝部と前記溝部の光透過性が同等であり、
    前記ガス拡散電極と前記セパレーターとは、前記炭素繊維不織布の凹凸形成面が前記セパレーターの流路形成面と対向し、かつ前記溝部および前記畝部が前記セパレーターの直線状流路の直線部の形成方向と略並行になるよう配置されてなる固体高分子形燃料電池。
  2. 前記セパレーターの流路の形成ピッチが前記炭素繊維不織布の溝部の形成ピッチよりも大きい、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
  3. 前記炭素繊維不織布の溝部面積比率が0.1〜0.9である、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池。
  4. 前記炭素繊維不織布の溝部の形成ピッチが20μm〜2000μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
  5. 前記炭素繊維不織布は、撥水剤が付与されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
  6. 前記炭素繊維不織布の凹凸形成面の水滴接触角が100度以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
  7. 前記セパレーターの直線状流路の形状が、パラレル型、マルチパラレル型または対向櫛型である、請求項1〜6のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
  8. 前記炭素繊維不織布の溝部または畝部の延在方向と前記セパレーターの直線状流路の直線部分の形成方向が交差しないように配置されてなる、請求項1〜7のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
JP2016545941A 2015-07-09 2016-07-04 固体高分子形燃料電池 Pending JPWO2017006907A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015137476 2015-07-09
JP2015137476 2015-07-09
PCT/JP2016/069776 WO2017006907A1 (ja) 2015-07-09 2016-07-04 固体高分子形燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2017006907A1 true JPWO2017006907A1 (ja) 2018-04-19

Family

ID=57685728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016545941A Pending JPWO2017006907A1 (ja) 2015-07-09 2016-07-04 固体高分子形燃料電池

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20180294487A1 (ja)
EP (1) EP3322012A4 (ja)
JP (1) JPWO2017006907A1 (ja)
KR (1) KR20180026478A (ja)
CN (1) CN107710480A (ja)
CA (1) CA2991121A1 (ja)
TW (1) TW201711260A (ja)
WO (1) WO2017006907A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6850837B2 (ja) * 2019-08-08 2021-03-31 日本碍子株式会社 燃料電池用接合体、及び燃料電池
DE102021204917A1 (de) * 2021-05-14 2022-11-17 Cellcentric Gmbh & Co. Kg Strömungsfeld und Separatorplatte

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003017076A (ja) * 2001-06-27 2003-01-17 Toho Tenax Co Ltd 炭素繊維構造体
JP4172174B2 (ja) * 2001-11-12 2008-10-29 トヨタ自動車株式会社 燃料電池
JP2007073277A (ja) * 2005-09-06 2007-03-22 Toyota Motor Corp 燃料電池
JP2007299656A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Equos Research Co Ltd 燃料電池の電極
JP2007299657A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Equos Research Co Ltd 燃料電池の電極
JP2007323975A (ja) * 2006-06-01 2007-12-13 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池のガス拡散体
JP2009245869A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Aisin Seiki Co Ltd 燃料電池用ガス拡散基材の製造方法
JP5476694B2 (ja) * 2008-09-19 2014-04-23 日産自動車株式会社 燃料電池及び燃料電池用ガス拡散層とその製造方法
CA2927098C (en) * 2013-12-27 2020-07-14 Toray Industries, Inc. Carbon fiber nonwoven fabric, production method for carbon fiber nonwoven fabric, and nonwoven fabric of carbon fiber precurser fibers
CA2967295A1 (en) * 2014-12-10 2016-06-16 Toray Industries, Inc. Nonwoven carbon fiber fabric, process for producing nonwoven carbon fiber fabric, and polymer electrolyte fuel cell

Also Published As

Publication number Publication date
US20180294487A1 (en) 2018-10-11
CN107710480A (zh) 2018-02-16
WO2017006907A1 (ja) 2017-01-12
EP3322012A1 (en) 2018-05-16
KR20180026478A (ko) 2018-03-12
TW201711260A (zh) 2017-03-16
CA2991121A1 (en) 2017-01-12
EP3322012A4 (en) 2019-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6705172B2 (ja) 炭素繊維不織布、炭素繊維不織布の製造方法および固体高分子形燃料電池
TWI641180B (zh) 碳纖維不織布、碳纖維不織布之製造方法及碳纖維前驅物纖維不織布
KR20190028390A (ko) 가스 확산 전극 기재 및 그의 제조 방법 그리고 가스 확산 전극, 막 전극 접합체 및 고체 고분자형 연료 전지
US20180145335A1 (en) Gas diffusion electrode substrate and method for manufacturing same, gas diffusion electrode, membrane electrode assembly, and polymer electrolyte fuel cell
JP6500421B2 (ja) 炭素繊維不織布
WO2017006907A1 (ja) 固体高分子形燃料電池
JP5761441B2 (ja) 炭素繊維不織布
JP2018026343A (ja) ガス拡散電極基材およびその製造方法、ならびに固体高分子形燃料電池
JP2016195105A (ja) ガス拡散電極基材、膜電極複合体および固体高分子形燃料電池ならびにガス拡散電極基材の製造方法
US9163317B2 (en) Diffusion layer for an electrochemical device and method for producing such a diffusion layer
CN117063315A (zh) 电极基材和其制造方法
JP2015159058A (ja) ガス拡散電極基材およびそれを用いる燃料電池