JPWO2016208506A1 - 光電変換素子、光電変換素子の製造方法、および太陽電池 - Google Patents

光電変換素子、光電変換素子の製造方法、および太陽電池 Download PDF

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Abstract

導電性支持体上に、下地層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、上記光吸収剤がペロブスカイト化合物を含み、上記下地層表面のRzが250nm以下である光電変換素子、この光電変換素子の製造方法、およびこの光電変換素子を用いた太陽電池。

Description

本発明は、光電変換素子、光電変換素子の製造方法、および太陽電池に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。太陽電池は、非枯渇性の太陽エネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が期待されている。この中でも、増感剤として有機色素またはRuビピリジル錯体等を用いた色素増感太陽電池は、研究開発が盛んに進められ、光電変換効率が11%程度に到達している。
その一方で、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する金属ハロゲン化物を光吸収剤として用いた太陽電池が、比較的高い光電変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている(例えば非特許文献1)。この非特許文献1には、導電性の支持体上に酸化チタンの層(下地層)が設けられ、その上に、光吸収剤を担持した多孔質層を設けた形態が記載されている。
Science,2012年,vol.338,p.643−647
ペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」ともいう)を光吸収剤として用いた光電変換素子は、光電変換効率の向上に一定の成果が得られている。しかし、ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子は、近年、注目されたものであり、光電変換効率以外の電池性能についてはほとんど知られていない。
光電変換素子の実用化に際しては、高い光電変換効率に加え、製造した素子間の性能のばらつきを高度に低減することが求められる。しかし、ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子は、その構造と性能のばらつきとの関係に不明な点が多く、素子間における光電変換効率のばらつきを十分に低減するには至っていない。
本発明は、ペロブスカイト化合物を含む光吸収剤を用いた光電変換素子であって、光電変換効率に優れ、且つ、素子間の光電変換効率のばらつきを高度に低減することができる光電変換素子を提供することを課題とする。また本発明は、上記光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを課題とする。さらに本発明は、上記光電変換素子の製造に好適な下地層の形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子を製造するに際し、導電性支持体上の下地層の形成に用いる塗布液に特定の溶媒を用いることにより、形成される下地層の最大高さ粗さRzを特定のレベルにまで低減することができ、かかる下地層表面に、ペロブスカイト化合物を含む感光層を、必要により多孔質層等を介して設けることにより、上記課題を解決できることを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の上記の課題は以下の手段により解決された。
〔1〕
導電性支持体上に、下地層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
上記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
上記下地層表面の最大高さ粗さRzが250nm以下である、光電変換素子。
〔2〕
上記Rzが230nm以下である、〔1〕に記載の光電変換素子。
〔3〕
上記Rzが200nm以下である、〔1〕または〔2〕に記載の光電変換素子。
〔4〕
上記下地層が無機半導体材料で形成されている、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の光電変換素子。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法であって、この製造方法は、上記導電性支持体上に無機半導体材料またはその前駆体を含有する塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、該塗布膜を焼成して上記下地層を形成する工程とを含み、
上記塗布液中の溶媒が、沸点150℃以上の溶媒Sを1質量%以上含有する、光電変換素子の製造方法。
〔6〕
上記塗布液中の溶媒が、上記溶媒Sを3〜10質量%含有する、〔5〕に記載の光電変換素子の製造方法。
〔7〕
上記溶媒Sの沸点が250℃以上である、〔5〕または〔6〕に記載の光電変換素子の製造方法。
〔8〕
上記塗布液中の溶媒が、上記溶媒Sと、沸点が150℃未満であり、上記溶媒Sの沸点よりも沸点が50℃以上低い溶媒Sとを含有し、
上記下地層が、上記導電性支持体上に上記塗布液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を、上記溶媒Sの沸点よりも低く上記溶媒Sの沸点よりも高い温度で1分間以上熱し、次いで、上記溶媒Sの沸点以上の温度で焼成することにより形成される、〔5〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
〔9〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
本明細書において、各式の表記は、化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各式において、部分構造を(置換)基、イオンまたは原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオンまたは原子等のほかに、上記式で表される(置換)基もしくはイオンを構成する元素団、または、元素を意味することがある。
本明細書において、化合物の表記については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。さらに、置換または無置換を明記していない基ないし化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有する基ないし化合物を含む意味である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子は、光電変換効率に優れ、且つ、素子間における光電変換効率のばらつきが高度に抑えられる。また、本発明の太陽電池は、光電変換効率に優れ、且つ、電池間の光電変換効率のばらつきが高度に抑えられる。さらに本発明の下地層の形成方法によれば、これをペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子の製造に適用することにより、素子間における光電変換効率のばらつきが高度に抑えられた光電変換素子の製造が可能となる。
本発明の上記および他の特徴および利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の光電変換素子の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子の厚い感光層を有する好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子の別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。 下地層のRzの測定エリアの、下地層表面全体に対する位置関係を示す図面である。
<<光電変換素子>>
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、下地層と、光吸収剤を含む感光層とを有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する。ここで、第一電極と第二電極が対向するとは、第一電極と第二電極が互いに接した状態で積層された形態、第一電極と第二電極とが他の層を介して積層された形態(すなわち第一電極と第二電極が他の層を挟んで互いに対向して設けられた形態)の両形態を含む意味である。
本発明の光電変換素子は好ましくは、第一電極と第二電極の間に設けられた正孔輸送層を有する。下地層、感光層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。すなわち、光電変換素子が正孔輸送層を有する場合には、下地層、感光層、正孔輸送層および第二電極はこの順で導電性支持体上に設けられている。また、感光層は多孔質層上に設けられていることも好ましく、この場合、下地層、多孔質層、感光層、(必要により正孔輸送層)、および第二電極がこの順に設けられている。
光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含んでいる。光吸収剤は、ペロブスカイト化合物と併せて、ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤を含んでいてもよい。ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素および有機色素が挙げられる。
本発明において、多孔質層上に感光層を有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状等に設けられる態様(図1参照)、多孔質層の表面に厚く設けられる態様(図2および4参照)が挙げられる。また、感光層は下地層表面に直接設けられていてもよい(図3参照)。感光層は、線状または分散状に設けられてもよいが、好ましくは膜状に設けられる。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子および太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。
以下、本発明の光電変換素子の好ましい態様について説明する。
図1〜図4において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
なお、図1、2および4は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示してある。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向および垂直方向に詰まり(堆積または密着して)、多孔質構造を形成している。
本明細書において、単に「光電変換素子10」という場合は、特に断らない限り、光電変換素子10A、10B、10C、および10Fを意味する。このことは、システム100、第一電極1についても同様である。また、単に、「感光層13」という場合は、特に断らない限り、感光層13A、13Bおよび13Cを意味する。同様に、「正孔輸送層3」という場合は、特に断らない限り、正孔輸送層3Aおよび3Bを意味する。
本発明の光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1に示す光電変換素子10Aが挙げられる。図1に示されるシステム100Aは、光電変換素子10Aを外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第二電極2と、第一電極1Aと第二電極2の間に、後述する正孔輸送材料を含む正孔輸送層3Aとを有している。
第一電極1Aは、支持体11aおよび透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、多孔質層12上に感光層13Aとを有している。また透明電極11b上に下地層14を有し、下地層14上に多孔質層12が形成される。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離および電荷移動効率が向上すると推測される。
図2に示す光電変換素子10Bは、図1に示す光電変換素子10Aの感光層13Aを厚く設けた好ましい態様を模式的に示したものである。この光電変換素子10Bにおいて、正孔輸送層3Bは薄く設けられている。光電変換素子10Bは、図1で示した光電変換素子10Aに対して感光層13Bおよび正孔輸送層3Bの膜厚(層厚)の点で異なるが、これらの点以外は光電変換素子10Aと同様に構成されている。
図3に示す光電変換素子10Cは、本発明の光電変換素子の別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Cは、図2に示す光電変換素子10Bに対して多孔質層12を設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。すなわち、光電変換素子10Cにおいて、感光層13Cは下地層14の表面に厚い膜状に形成されている。光電変換素子10Cにおいて、正孔輸送層3Bは正孔輸送層3Aと同様に厚く設けることもできる。
図4に示す光電変換素子10Fは、本発明の光電変換素子のさらにまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Fは、図2に示す光電変換素子10Bに対して正孔輸送層3Bを設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。
本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として、機能する。
すなわち、光電変換素子10Aにおいて、導電性支持体11を透過して、または第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となる。
光電変換素子10A、10B、10Cおよび10Fにおいては、光吸収剤から放出された電子は、光吸収剤間を移動して導電性支持体11に到達する。このとき、エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となっている。導電性支持体11に到達した電子が外部回路6で仕事をした後、第二電極2を経て(正孔輸送層3がある場合にはさらに正孔輸送層3を経由して)、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
本発明の光電変換素子10においては、感光層13から導電性支持体11への電子の流れ方は、多孔質層の有無およびその種類等により、異なる。本発明の光電変換素子10においては、光吸収剤間を電子が移動する電子伝導が起こる。したがって、多孔質層12を設ける場合、多孔質層12は従来の半導体以外に絶縁体で形成することができる。多孔質層12が半導体で形成される場合、多孔質層12の半導体微粒子内部や半導体微粒子間を電子が移動する電子伝導も起こる。一方、多孔質層12が絶縁体で形成される場合、多孔質層12での電子伝導は起こらない。多孔質層12が絶縁体で形成される場合、絶縁体微粒子に酸化アルミニウム(Al)の微粒子を用いると、比較的高い起電力(Voc)が得られる。
なお、下地層14が導体または半導体により形成された場合も下地層14での電子伝導が起こる。
本発明の光電変換素子および太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。例えば、光電変換素子10Cにおいて、光電変換素子10Fのように、正孔輸送層3Bを設けない構成とすることもできる。
本発明において、光電変換素子または太陽電池に用いられる材料および各部材は、下地層および感光層を除いて、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子または太陽電池について、例えば、非特許文献1を参照することができる。また、色素増感太陽電池について、例えば、特開2001−291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
以下、本発明の光電変換素子および太陽電池の主たる部材および化合物の好ましい態様について、説明する。
<第一電極1>
第一電極1は、導電性支持体11と下地層14と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
第一電極1は、図1〜4に示されるように、導電性支持体11、下地層14、感光層13に加え、多孔質層12を有することも好ましい。
− 導電性支持体11 −
導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、または、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aとこの支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
なかでも、図1〜図4に示されるように、ガラスまたはプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11がさらに好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
支持体11aおよび導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体11または支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11または支持体11aの表面に、特開2003−123859号公報に記載の、高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
− 下地層14 −
本発明においては、光電変換素子10A、10B、10Cおよび10Fのように、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12または感光層13との間に、下地層14を有している。
光電変換素子および太陽電池において、例えば感光層13または正孔輸送層3と、透明電極11bとが電気的に接続すると逆電流を生じる。下地層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。下地層14はブロッキング層あるいは短絡防止層とも呼ばれる。
この下地層は、光電変換素子が電子輸送層を有する場合にも設けられてもよい。例えば、図1、2および4の形態において、多孔質層14と下地層との間に電子輸送層が設けられてもよい。また、図3の形態において、感光層13Cと下地層14との間に電子輸送層が設けられてもよい。
下地層14を形成する材料は、上記機能を果たすことのできる材料であれば特に限定されないが、可視光を透過する物質であって、導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質であることが好ましい。「導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質」とは、具体的には、伝導帯のエネルギー準位が、導電性支持体11を形成する材料(透明電極11bを形成する金属酸化物)の伝導帯のエネルギー準位以上であり、かつ、多孔質層12を構成する材料の伝導帯や光吸収剤の基底状態のエネルギー準位より低い化合物(n型半導体化合物)をいう。
下地層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、下地層14は、一般的に光電変換材料に用いられる材料で構成されていてもよく、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タングステン等で構成されていてもよい。なかでも下地層は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等で構成されていることが好ましい。本発明に用いては、耐久性の観点から、下地層は無機半導体で形成されていることが好ましく、酸化チタン、酸化スズまたはで形成されていることがより好ましい。
本発明において、「下地層」は、その膜厚が150nm以下である。したがって、本発明において「下地層」は、膜厚が150nmを超える、後述する「多孔質層」とは、膜厚の点において明確に異なるものである。
下地層14の膜厚は、10〜150nmが好ましく、20〜130nmがさらに好ましく、30〜100nmが特に好ましい。
本発明において、各層の膜厚は、後述するように、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
なお、本発明において、下地層の膜厚は、後述の下地層表面の最大高さ粗さRzよりも通常は小さくなる。これは、下地層の膜厚が、下地層の特定部分の膜厚の測定値の平均値であることによる。すなわち、後述するように、下地層の膜厚は、特定の膜厚測定区間における膜厚の最小値の平均値として算出されるためである。
本発明において、下地層14表面(感光層側表面)の最大高さ粗さRzは250nm以下であり、230nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。光電変換素子の下地層表面のRzを250nm以下とすることにより、素子間の光電変換効率のばらつきを効果的に低減することができる。その理由は定かではないが、かかる下地層の構造によって、導電性支持体11と光吸収剤等との接触をより確実に抑制でき、また、下地層上に多孔質層を設けた場合には、多孔質層と、第二電極やその下層である正孔輸送層との接触を効果的に防ぐことができ、逆電子移動の発生に伴う性能低下を低減できることが一因と考えられる。
下地層14表面のRzの下限値に制限はなく、小さい程好ましいのであるが、通常はRzが10nm以上となる。
Rzは、JIS B0601 2001に記載された表面粗さの指標であり、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。すなわち、下地層14表面において、0.9mm×1.2mmの矩形のエリアを無作為に5箇所選択し、各エリア内のRzを測定する。得られた各測定エリアにおけるRzの平均値(5つのRzの平均値)を、本発明で規定する、下地層14表面のRzとする。
下地層14の形成方法については後述する。
− 多孔質層12 −
本発明においては、光電変換素子10A、10Bおよび10Fのように、好ましくは、下地層14上に多孔質層12を有している。
多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。太陽電池において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも太陽光等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
多孔質層12は、多孔質層12を形成する材料の微粒子が堆積または密着してなる、細孔を有する微粒子層であることが好ましい。多孔質層12は、2種以上の多微粒子が堆積してなる微粒子層であってもよい。多孔質層12が細孔を有する微粒子層であると、光吸収剤の担持量(吸着量)を増量できる。
多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001〜1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01〜100μmが好ましい。
多孔質層12を形成する材料(多孔質材料)は、導電性に関しては特に限定されず、絶縁体(絶縁性の材料)であっても、導電性の材料または半導体(半導電性の材料)であってもよい。
多孔質材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(後述する光吸収剤を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、またはカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤおよびカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
金属のカルコゲニドとしては、特に限定されないが、好ましくは、チタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、アルミニウムまたはタンタルの各酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。金属のカルコゲニドの結晶構造として、アナターゼ型、ブルッカイト型またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、特に限定されないが、遷移金属酸化物等が挙げられる。例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、スズ酸バリウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ストロンチウム、タンタル酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、鉄酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウムランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸ビスマスが挙げられる。なかでも、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が好ましい。
カーボンナノチューブは、炭素膜(グラフェンシート)を筒状に丸めた形状を有する。カーボンナノチューブは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に分類される。多孔質層12としては、いずれのカーボンナノチューブも特に限定されず、用いることができる。
多孔質材料は、なかでも、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウムもしくはケイ素の酸化物、またはカーボンナノチューブが好ましく、酸化チタンまたは酸化アルミニウムがさらに好ましい。
多孔質層12は、上述の、金属のカルコゲニド、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、ケイ素の酸化物およびカーボンナノチューブのうち少なくとも1種で形成されていればよく、複数種で形成されていてもよい。
本発明において「多孔質層」は、その膜厚が150nmを超えるものである。多孔質層12の膜厚は、160nm〜100μmであることが好ましく、200nm〜50μmであることがより好ましい。また、太陽電池として用いる場合は、多孔質層の膜厚は200nm〜30μmがより好ましい。
多孔質層12の膜厚は、光電変換素子10の断面において、導電性支持体11の表面に対して90°の角度で交わる直線方向に沿う、多孔質層12が形成されている下層表面から多孔質層12の表面までの平均距離で規定される。ここで、「多孔質層12が形成されている下層表面」は、下地層14と多孔質層12との界面を意味する。下地層14と多孔質層12との間に他の層が成膜されている場合には、この他の層と多孔質層12との界面を意味する。また、「多孔質層12の表面」は、導電性支持体11の表面に対して90°の角度で交わる仮想直線上における、最も第二電極2側に位置する多孔質層12の点(仮想直線と多孔質層12の輪郭線との交点)をいう。上記「平均距離」は次のように求める。
光電変換素子10を、基板平面に対し垂直に切断し、その断面の、導電性支持体11の表面に対して水平(平行)な方向(図1〜図4において左右方向)における端から端までの距離を「L」とした時、一方の端からL×1/12の位置、L×2/12の位置、L×3/12の位置、・・・L×11/12の位置をそれぞれ測定中心1)〜11)とする。各測定中心から左右に1μmずつ、計2μmの範囲において、計11箇所の測定範囲それぞれで、下層表面から多孔質層12の表面までの最小距離を求める。得られた11個の最小距離値について、値の大きなものから(最小距離の長いものから)順に1番から11番まで序列をつけ、序列が4、5および6番目となる3か所の測定範囲における、3つの最小距離値の平均値を算出し、上記平均距離とする。多孔質層12の膜厚は、光電変換素子10の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、測定される。
なお、特に言及しない限り、下地層等の他の層の膜厚についても同様にして測定される。
下地層等の他の層の膜厚についても、上記の多孔質層の膜厚の測定方法と同様にして決定される。
− 感光層(光吸収層)13 −
感光層13は、好ましくは、後述するペロブスカイト化合物が、光吸収剤として下地層14または多孔質層12の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の内表面を含む。)に設けられる。
本発明において、光吸収剤は、後述するペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、2種以上のペロブスカイト化合物を含有してもよい。
感光層13は、単層であっても2層以上の積層であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、各感光層には、互いに異なった光吸収剤を用いてもよく、また感光層と感光層の間に正孔輸送材料を含む中間層を設けてもよい。
感光層13の膜厚は特に限定されず、目的に応じて適宜に調節される。例えば、感光層13の膜厚は、0.001〜100μmとすることができ、0.01〜10μmが好ましく、0.01〜5μmがより好ましい。図1のように、感光層13が薄い膜状である場合に、感光層13の膜厚は、多孔質層12の表面に垂直な方向に沿う、多孔質層12との界面と後述する正孔輸送層3との界面との距離をいう。
本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13Bおよび13C)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
〔感光層の光吸収剤〕
感光層13は、光吸収剤として、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト化合物を含む。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)またはセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
上記有機カチオンは、下記式(1)で表される有機カチオンであることが好ましい。
式(1):R1a−NH
式中、R1aは置換基を表す。R1aは、有機基であれば特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(2)で表すことができる基が好ましい。なかでも、アルキル基、下記式(2)で表すことができる基がより好ましい。
Figure 2016208506
式中、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R1bおよびR1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1)の窒素原子との結合を表す。
本発明において、上記有機カチオンは、上記式(1)の有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含んでもよい。例えば、上記式(2)で表すことができる基においてXがNH(R1cが水素原子)である有機カチオンは、上記式(2)で表すことができる基とNH とが結合してなる有機アンモニウムカチオンに加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンをも包含する。アミジニウムカチオン性有機基からなる有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(Aam)で表されるカチオンが挙げられる。本明細書において、下記式(Aam)で表されるカチオンを便宜上、「R1bC(=NH)−NH 」と表記することがある。
Figure 2016208506
1aとして採り得るアルキル基は、炭素数が1〜18のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましく、1〜3のアルキル基がさらに好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはデシル等が挙げられる。
1aとして採り得るシクロアルキル基は、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
1aとして採り得るアルケニル基は、炭素数が2〜18のアルケニル基が好ましく、2〜6のアルケニル基がより好ましい。例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはヘキセニル等が挙げられる。
1aとして採り得るアルキニル基は、炭素数が2〜18のアルキニル基が好ましく、2〜4のアルキニル基がより好ましい。例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
1aとして採り得るアリール基は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、例えば、フェニルが挙げられる。
1aとして採り得るヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香環、脂肪族環やヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3〜8員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。
5員環の芳香族ヘテロ環および5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
式(2)で表すことができる基において、XはNR1c、酸素原子または硫黄原子を表し、NR1cが好ましい。ここで、R1cは、水素原子または置換基を表し、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
1bは、水素原子または置換基を表し、水素原子が好ましい。R1bが採り得る置換基は、アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基が挙げられる。
1bおよびR1cがそれぞれ採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、それぞれ上記R1aが採り得るアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。
式(2)で表すことができる基としては、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基またはアミジノ基が挙げられる。
(チオ)アシル基は、アシル基およびチオアシル基を包含する。アシル基は、総炭素数が1〜7のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル、アセチル(CHC(=O)−)、プロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。チオアシル基は、総炭素数が1〜7のチオアシル基が好ましく、例えば、チオホルミル、チオアセチル(CHC(=S)−)、チオプロピオニル等が挙げられる。
(チオ)カルバモイル基は、カルバモイル基(HNC(=O)−)およびチオカルバモイル基(HNC(=S)−)を包含する。
イミドイル基は、R1b−C(=NR1c)−で表される基であり、R1bおよびR1cはそれぞれ水素原子またはアルキル基が好ましく、アルキル基は上記R1aのアルキル基と同義であるのがより好ましい。例えば、ホルムイミドイル(HC(=NH)−)、アセトイミドイル(CHC(=NH)−)、プロピオンイミドイル(CHCHC(=NH)−)等が挙げられる。中でも、ホルムイミドイルが好ましい。
式(2)で表すことができる基としてのアミジノ基は、上記イミドイル基のR1bがアミノ基でR1cが水素原子である構造(−C(=NH)NH)を有する。
1aが採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基および上記式(2)で表すことができる基は、いずれも、置換基を有していてもよい。R1aが有していてもよい置換基Wとしては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはカルボキシ基が挙げられる。R1aが有していてもよい各置換基は、さらに置換基を有していてもよい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、その結晶構造中に、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを有する。周期表第一族元素以外の金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)等の金属原子が挙げられ、なかでも、Pb原子、Cu原子、Ge原子またはSn原子が特に好ましく、Pb原子またはSn原子がさらに好ましく、Pb原子が特に好ましい。本発明に用いるペロブスカイト化合物は、その結晶構造中に周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを1種有してもよく、2種以上の有してもよい。周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを2種以上有する場合には、Pb原子およびSn原子の2種を有することが好ましい。ペロブスカイト化合物が周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンを2種以上有する場合、これら2種以上のカチオンの存在比率は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物を構成するアニオンは、単原子アニオンであってもよく、多原子アニオンでもよい。単原子アニオンとしてはハロゲン原子のアニオンが挙げられる。また、多原子アニオンの好ましい例としては、NCS、NCOおよびCOOが挙げられる。なかでも、ペロブスカイト化合物を構成するアニオンはハロゲン原子のアニオンであることが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、臭素原子またはヨウ素原子が好ましい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物を構成するアニオンは、1種のアニオンであってもよく、2種以上のアニオンであってもよい。ペロブスカイト化合物を構成するアニオンが1種の場合、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。また、ペロブスカイト化合物を構成するアニオンが2種以上の場合、2種以上のハロゲン原子のアニオンを有する形態が好ましく、なかでも塩素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンの2種を有する形態がより好ましい。ペロブスカイト化合物が2種以上のアニオンを有する場合、その割合に特に制限はない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記の各構成イオンを有するペロブスカイト型結晶構造を有する。本発明に用いるペロブスカイト化合物は下記式(I)で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
式(I)
式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子またはアニオン性原子群を表す。
aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
本明細書において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンとして存在する有機基を意味し、アニオン性原子とは、ペロブスカイト型結晶構造において単原子アニオンとして存在する原子を意味し、アニオン性原子群とは、ペロブスカイト型結晶構造において多原子アニオンとして存在する原子群を意味する。
式(I)において、周期表第一族元素Aは、ペロブスカイト型結晶構造中においてカチオンとして存在する。
式(I)において、カチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造中において上述した有機カチオンとして存在する。
式(I)において、金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンとして存在している。
式(I)において、アニオン性原子Xは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した単原子アニオンとして存在する。
式(I)において、アニオン性原子群Xは、ペロブスカイト型結晶構造中において、上述した多原子アニオンとして存在する。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記式(I)中のaが1のペロブスカイト化合物と、aが2のペロブスカイト化合物の混合物であってもよい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物の具体例として、例えば、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHPbI、CHNHPbBrI、CHNHPbBrI、CHNHSnBr、CHNHSnI、CH(=NH)NHPbI
(CNHPbI、(CH=CHNHPbI、(CH≡CNHPbI、(n−CNHPbI、(n−CNHPbI、(C1021NHPbI、(CNHPbI、(CCHCHNHPbI、(CNHPbI、(CNHPbI、(CSNHPbI、(CNHGeI4、(CHNHCuCl、(CHCHNHFeBrが挙げられる。ここで、(CSNHPbIにおけるCSNHはアミノチオフェンである。
ペロブスカイト化合物は、MXとAXとから合成することができる。例えば、上記非特許文献1を参照してペロブスカイト化合物を合成することができる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible−Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),6050−6051も適宜に参照し、ペロブスカイト化合物を合成することができる。
光吸収剤の使用量は、多孔質層12の表面のうち光が入射する表面の少なくとも一部であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
感光層13中、ペロブスカイト化合物の含有量は、通常は1〜100質量%である。
<正孔輸送層3>
本発明の光電変換素子は、第一電極と第二電極との間に正孔輸送層3を有することが好ましい。
正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層である。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられる。
正孔輸送層3を形成する正孔輸送材料は、特に限定されないが、CuI、CuNCS等の無機材料、および、特開2001−291534号公報の段落番号0209〜0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。有機正孔輸送材料としては、好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子、2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心原子を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン化合物、トリフェニレン化合物、含窒素複素環化合物または液晶性シアノ化合物が挙げられる。
正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTADともいう)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンゾアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されないが、50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、5nm〜5μmがさらに好ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。
本発明において、多孔質層12と感光層13と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されないが、例えば、180nm〜200μmが好ましく、200nm〜50μmがより好ましく、250nm〜5μmがさらに好ましい。
<第二電極2>
第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
第二電極2を形成する材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)、アルミニウム(Al)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料および伝導性高分子等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック等が挙げられる。
第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、または、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが好ましい。
第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmがさらに好ましく、0.01〜1μmが特に好ましい。
<その他の構成>
本発明では、第一電極1と第二電極2との接触を防ぐために、下地層14とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
<<太陽電池>>
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて構成される。例えば図1〜図4に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)および第二電極2に接続される外部回路は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
本発明は、例えば、非特許文献1、J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050−6051およびScience,338,p.643(2012)に記載の各太陽電池に適用することができる。
本発明の太陽電池は、構成物の劣化および蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
<<光電変換素子および太陽電池の製造方法>>
本発明の光電変換素子および太陽電池は、下地層14の形成以外は、公知の製造方法、例えば非特許文献1等に記載の方法に準拠して、製造できる。
以下に、本発明の光電変換素子および太陽電池の製造方法を、多孔質層12、正孔輸送層3を設ける場合を例にとって簡単に説明する。
導電性支持体11の表面に、下地層14を形成する。
下地層14は、例えば、上述した導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質またはその前駆体化合物等を含有する塗布液を導電性支持体11の表面に塗布して成膜し、この塗布膜を焼成して形成することが好ましい。導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質は、無機半導体材料が好ましい。この無機半導体材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化スズ、酸化ニオブ、および酸化タングステン等から選ばれるものが好ましい。
また、この無機半導体材料の前駆体化合物としては、例えば、各材料のアルコキシド(好ましくはチタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、アルミニウムトリイソプロポキシド、およびジエトキシ亜鉛から選ばれる1種または2種以上)、ハロゲン化物(好ましくは四塩化チタンおよび塩化亜鉛から選ばれる1種または2種)、および水酸化物(好ましくはテトラヒドロキシチタンおよびヒドロキシ亜鉛から選ばれる1種または2種)から選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。
塗布液中、上記絶縁性物質またはその前駆体化合物の含有量は1〜99質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましい。
下地層14を形成するための塗布液に用いる溶媒は、焼成時においても溶媒が一定程度の時間をかけて蒸発するように、沸点150℃以上の溶媒Sが含まれることが好ましい。塗布液中の溶媒が低沸点溶媒のみであると、短時間に溶媒が揮発してしまい、塗布ムラ(凹凸)が是正されないまま成膜されてしまう傾向がある。塗布液に含まれる溶媒Sは1種でも2種以上であってもよい。
下地層のRzをより抑える観点から、溶媒Sの沸点は200℃以上が好ましく、215℃以上がより好ましく、230℃以上がさらに好ましく、240℃以上がさらに好ましく、250℃以上がさらに好ましい。また、溶媒Sの沸点は400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。
また、塗布液中の溶媒は、溶媒Sを1質量%以上含有することが好ましく、3〜10質量%含有することがより好ましい。塗布液中の高沸点溶媒の割合が一定量を超えると、高温状態でTiOの析出が生じやすくなったり、凝集物が生じやすくなったりしてRzを本発明の規定内へと調節することが難しくなる傾向がある。
塗布液の溶媒中、溶媒S以外の残部を構成する溶媒は、溶媒Sの沸点にもよるが、沸点が140℃未満であることが好ましく、120℃未満であることがより好ましく、100℃未満であることがさらに好ましい。
下地層14を形成するための塗布液中の溶媒は、上記溶媒Sと、上記溶媒Sの沸点よりも沸点が50℃以上低い溶媒Sとを含有することが好ましい。溶媒Sの沸点は150℃未満であり、140℃未満がより好ましく、120℃未満がさらに好ましく、100℃未満がさらに好ましい。溶媒Sの沸点は通常は30℃以上であり、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。
溶媒Sは1種の溶媒でも2種以上の溶媒でもよい。この場合において、下地層14の形成は、導電性支持体11上に上記塗布液を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を、上記溶媒Sの沸点よりも低く上記溶媒Sの沸点よりも高い温度で1分間以上(好ましくは5〜30分間)熱し、次いで、上記溶媒Sの沸点以上の温度で焼成することにより行うことが好ましい。こうすることで、溶媒の揮発速度を適度なレベルに調整することができ、下地層14表面のRzを効果的に低減することができる。上記溶媒Sの沸点よりも低く上記溶媒Sの沸点よりも高い温度での加熱中、温度は一定でも変動させてもよい。この温度は一定か、または加温していく態様が好ましい。
上記溶媒Sの沸点は、上記溶媒Sの沸点よりも50〜200℃低いことが好ましく、50〜180℃低いことがより好ましく、70〜160℃低いことがさらに好ましい。
ここで、「溶媒Sと、溶媒Sの沸点よりも沸点が50℃以上低い溶媒Sとを含有する」とは、上記溶媒Sとして2種以上の溶媒を含む場合には、上記溶媒Sの沸点が、上記溶媒Sのうち沸点の最も低い溶媒の沸点よりも50℃以上低いことを意味する。
また、上記の「溶媒Sの沸点よりも低く溶媒Sの沸点よりも高い温度」は、溶媒Sの沸点(Sが2種以上の溶媒である場合には、最も沸点の低い溶媒の沸点、以下同様)よりも10〜190℃低く、溶媒Sの沸点(Sが2種以上の溶媒である場合には、最も沸点の高い溶媒の沸点、以下同様)よりも10〜190℃高いことが好ましく、溶媒Sの沸点よりも60〜150℃低く、溶媒Sの沸点よりも60〜150℃高いことがより好ましい。
また、「溶媒Sの沸点以上の温度で焼成する」とは、上記溶媒Sとして2種以上の溶媒を含む場合には、溶媒Sのうち最も沸点の高い溶媒の沸点以上の温度で焼成することを意味する。「溶媒Sの沸点以上の温度」は、溶媒Sの沸点(2種以上の溶媒を含む場合には、溶媒Sのうち最も沸点の高い溶媒の沸点)よりも10〜600℃高いことが好ましく、50〜300℃高いことがより好ましい。
上記溶媒Sが2種以上の溶媒である場合には、溶媒S中、最も沸点の高い溶媒の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
また、上記溶媒Sが2種以上の溶媒である場合には、溶媒S中、最も沸点の低い溶媒の割合が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
上記溶媒Sは1種の溶媒であることが好ましい。また、上記溶媒Sは1種または2種の溶媒からなることが好ましく、1種の溶媒であることがより好ましい。また塗布液は、溶媒S及びS以外の溶媒を含まないことが好ましい。
上記溶媒Sとしては、オリゴアルキレングリコール(好ましくは炭素数2〜10のオリゴアルキレングリコール、具体例としては、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラエチレングリコールから選ばれる1種または2種以上)、グリコールエーテル(好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルおよびテトラエチレングリコールジブチルエーテルから選ばれる1種または2種以上)、アルコール(好ましくはαテルピネオールおよびデカノールから選ばれる1種または2種)、アミド(好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンから選ばれる1種または2種以上)、およびラクトン(好ましくはγ−ブチロラクトン)から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。なかでもRzをより小さくする観点から、αテルピネオール、オリゴアルキレングリコールおよびグリコールエーテルから選ばれる1種または2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
また、上記溶媒Sとしては、アルコール(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノールから選ばれる1種または2種以上)、エステル(好ましくは酢酸メチルおよび酢酸エチルから選ばれる1種または2種)、ケトン(好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびシクロペンタノンから選ばれる1種または2種以上)、エーテル(好ましくはジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランから選ばれる1種または2種)、炭化水素(置換炭化水素を含む。好ましくはヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼンおよびトルエンから選ばれる1種または2種以上)、およびニトリル(好ましくはアセトニトリル)から選ばれる1種または2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
多孔質層12を形成する材料は、好ましくは微粒子として用いられ、さらに好ましくは微粒子を含有する分散物として用いられる。
多孔質層12を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)が挙げられる。これらの方法において、導電性支持体11の表面または下地層14の表面に分散物(ペースト)を塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間、例えば空気中で焼成することが好ましい。これにより、微粒子同士を密着させることができる。
焼成を複数回行う場合、最後の焼成以外の焼成の温度(最後以外の焼成温度)を、最後の焼成の温度(最後の焼成温度)よりも低い温度で行うのがよい。例えば、酸化チタンペーストを用いる場合、最後以外の焼成温度を50〜300℃の範囲内に設定することができる。また、最後の焼成温度を、100〜600℃の範囲内において、最後以外の焼成温度よりも高くなるように、設定することができる。支持体11aとしてガラス支持体を用いる場合、焼成温度は60〜500℃が好ましい。
多孔質層12を形成するときの、多孔質材料の塗布量は、多孔質層12の膜厚および塗布回数等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。導電性支持体11の表面積1m当たりの、多孔質材料の塗布量は、例えば、0.5〜500gが好ましく、さらには5〜100gが好ましい。
次いで、感光層13を設ける。
感光層13を設ける方法は、湿式法および乾式法が挙げられ、特に限定されない。本発明においては、湿式法が好ましく、例えば、吸収剤を含有する光吸収剤溶液に接触させる方法が好ましい。この方法においては、まず、感光層13を形成するための光吸収剤溶液を調製する。光吸収剤溶液は、上記ペロブスカイト化合物の原料であるMXとAXとを含有する。ここで、A、MおよびXは上記式(I)のA、MおよびXと同義である。この光吸収剤溶液において、MXとAXとのモル比は目的に応じて適宜に調整される。光吸収剤としてペロブスカイト化合物を形成する場合、AXとMXとのモル比は、1:1〜10:1であることが好ましい。この光吸収剤溶液は、AXとMXとを所定のモル比で混合した後に好ましくは加熱することにより、調製できる。この形成液は通常溶液であるが、懸濁液でもよい。加熱する条件は、特に限定されないが、加熱温度は30〜200℃が好ましく、60〜150℃がさらに好ましい。加熱時間は0.5〜100時間が好ましく、1〜3時間がさらに好ましい。溶媒または分散媒は後述するものを用いることができる。
次いで、調製した光吸収剤溶液を、その表面に感光層13を形成する層(例えば多孔質層12)の表面に接触させる。具体的には、光吸収剤溶液を塗布または浸漬することが好ましい。。これにより、ペロブスカイト化合物が多孔質層12の表面に形成される。接触させる温度は5〜100℃であることが好ましく、浸漬時間は5秒〜24時間であるのが好ましく、20秒〜1時間がより好ましい。塗布した光吸収剤溶液を乾燥させる場合、上記乾燥は熱による乾燥が好ましく、通常は、20〜300℃、好ましくは50〜170℃に加熱することで乾燥させる。
また、上記ペロブスカイト化合物の合成方法に準じて感光層を形成することもできる。
さらに、上記AXを含有するAX溶液と、上記MXを含有するMX溶液とを、別々に塗布(浸漬法を含む)し、必要により乾燥する方法も挙げられる。この方法では、いずれの溶液を先に塗布してもよいが、好ましくはMX溶液を先に塗布する。この方法におけAXとMXとのモル比、塗布条件および乾燥条件は、上記方法と同じである。この方法では、上記AX溶液および上記MX溶液の塗布に代えて、AXまたはMXを、蒸着させることもできる。
さらに他の方法として、上記光吸収剤溶液の溶剤を除去した化合物または混合物を用いた、真空蒸着等の乾式法が挙げられる。例えば、上記AXおよび上記MXを、同時または順次、蒸着させる方法も挙げられる。
これにより、光吸収剤が形成され、感光層13となる。
このようにして設けられた感光層13上に、好ましくは、正孔輸送層3を形成する。
正孔輸送層3は、正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点、および多孔質層12を有しかつ空隙がある場合は多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.01〜1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
正孔輸送層3を形成した後に、第二電極2を形成して、光電変換素子および太陽電池が製造される。
各層の膜厚は、各分散液または溶液の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調整できる。例えば、膜厚が厚い感光層13Bを設ける場合には、光吸収剤溶液を複数回塗布、乾燥すればよい。
上述の各分散液および溶液は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
光電変換素子および太陽電池の製造方法に使用する溶媒または分散媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特にこれに限定されない。本発明においては、有機溶媒が好ましく、さらに、アルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、ハロゲン溶媒、スルフィド溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはジメチルアセトアミド、または、これらの混合溶媒が好ましい。
各層を形成する溶液または分散剤の塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷、浸漬法等が好ましい。
上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1および第二電極2に外部回路6を接続して、太陽電池として用いることができる。
以下に実施例に基づき本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例、比較例
[光電変換素子の製造]
以下に示す手順により、図1に示される光電変換素子10Aを製造した。なお、感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示される光電変換素子10Bに対応することになる。
<導電性支持体11の作製>
ガラス基板(支持体11a、縦×横×厚さ=25mm×25mm×2.2mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明電極11b、膜厚300nm)を形成し、導電性支持体11を作製した。
<下地層用溶液の調製>
チタニウム(IV)イソプロポキシド(アルドリッチ社製)を、下記溶媒(a)及び(b)の混合溶媒で希釈して、0.02Mの下地層用溶液を調製した。
<下地層14の形成>
調製したチタニウム(IV)イソプロポキシドを0.02M濃度で含有する下地層用溶液を、比較例1〜3および実施例1についてはスプレー法により、その他の例についてはスピンコート法により、導電性支持体11のSnO導電膜上に塗布した。
次いで、比較例1〜4並びに実施例1〜8、10および11については、空気中、室温から10℃/分で加温して500℃に到達後、1時間焼成し、導電性支持体11の導電膜上に酸化チタンからなる下地層14(膜厚50nm)を形成した。また、実施例9については、空気中、室温から10℃/分で加温して150℃に到達後、150℃±10℃の温度範囲で10分間維持した。その後、10℃/分で加温して500℃に到達後、30分間焼成した。
<酸化チタンペーストの調製>
酸化チタン(アナターゼ、平均粒径20nm)のエタノール分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸およびテルピネオールを加えて、酸化チタンペーストを調製した。
<多孔質層12の形成>
調製した酸化チタンペーストを下地層14の上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成した。この酸化チタンペーストの塗布および焼成を2回繰り返した。焼成温度は、1回目の焼成を130℃で行い、2回目の焼成を500℃で1時間行った。得られた酸化チタンの焼成体を、40mMのTiCl水溶液に浸した後、60℃で1時間加熱し、続けて500℃で30分間加熱して、TiOからなる多孔質層12(膜厚300nm)を形成した。
<感光層13Aの形成>
メチルアミンの40%メタノール溶液(27.86mL)と、57質量%のヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸、30mL)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CHNHIの粗体を得た。得られたCHNHIの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で24時間減圧乾燥して、精製CHNHIを得た。
次いで、精製CHNHIとPbIを、モル比で2:1とし、γ−ブチロラクトン中、60℃で12時間攪拌して混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Aを調製した。
調製した光吸収剤溶液Aをスピンコート法(2000rpmで60秒、続けて3000rpmで60秒)により多孔質層12の上に塗布し、塗布した光吸収剤溶液Aをホットプレートにより100℃で40分間乾燥して、ペロブスカイト化合物を有する感光層13Aとしての感光層A(膜厚350nm(多孔質層12の膜厚300nmを含む))を形成した。得られたペロブスカイト化合物はCHNHPbIであった。
このようにして、第一電極1を作製した。
<正孔輸送材料溶液の調製>
正孔輸送材料としてのSpiro−OMeTAD(180mg)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させた。このクロロベンゼン溶液に、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(170mg)をアセトニトリル(1mL)に溶解させたアセトニトリル溶液(37.5μL)と、t−ブチルピリジン(TBP、17.5μL)とを加えて混合し、正孔輸送材料溶液を調製した。
<正孔輸送層3の形成>
次いで、正孔輸送材料溶液を、スピンコート法により、第一電極1の感光層13上に塗布し、塗布した正孔輸送材料溶液を乾燥して、正孔輸送層3(膜厚0.5μm)を形成した。
<第二電極2の作製>
蒸着法により金を正孔輸送層3上に蒸着して、第二電極2(膜厚0.3μm)を作製した。
このようにして、比較例1〜4並びに実施例1〜11の光電変換素子10を製造した。
[下地層14表面の最大高さ粗さRzの測定]
導電性支持体11上に、上述の通り下地層14を形成した後(感光層形成前)の試料を用いて、下地層14表面(感光層が形成される側の表面)のRzを以下のように測定した。
<Rzの測定方法>
図5に示すように5箇所の各測定エリア(1.2mm×0.9mm)について、白色光干渉計(Wyko、日本ビーコ社製)を用いてエリア全体のRzを測定した。ここでいうエリア全体のRzとは、XY軸それぞれの方向に対し5μmの分解能でRz(Rz’とする)を測定した結果を指す。5つの測定エリアの各Rz値の平均(測定値5つの平均)を下地層14表面のRzとした。
図5に示す5箇所の測定エリアは、無作為に選んだ5箇所の測定エリアと等価である。無作為に選んだ5箇所の測定エリアにより決定されるRzは、下地層14の表面全体のRzと同視できる。
[光電変換効率のばらつきの評価]
<初期の光電変換効率の測定>
光電変換効率を以下のようにして評価した。
上記各比較例及び実施例の光電変換素子をそれぞれ10検体作製し、電池特性試験を行って、光電変換効率(η/%)を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「WXS−85H」(WACOM社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射することにより行った。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η/%)を求めた。
各比較例、実施例毎に、10検体の光電変換効率のばらつきを、下記評価基準により評価した。結果を下表に示す。
ここで、下表に記載された各比較例および実施例における多孔質層のRzは、10検体のうち最も高かったRz値である。つまり、各比較例および実施例において、10検体の多孔質層のRz値はすべて、表中のRz値以下であった。
また、各実施例および比較例において、光電変換効率の平均値は7%以上であり、高い光電変換効率を示した。
(ばらつきの評価基準)
A:10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.5](%)以上[Av+0.5](%)以下を満たす。
B:上記Aを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.6](%)以上[Av+0.6](%)以下を満たす。
C:上記Bを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−0.8](%)以上[Av+0.8](%)以下を満たす。
D:上記Cを満たさず、且つ、10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体各々の光電変換効率(%)がすべて、[Av−1.1](%)以上[Av+1.1](%)以下を満たす。
E:10検体の光電変換効率の平均値(Av%)に対し、10検体の光電変換効率(%)のうち少なくとも1つが、[Av−1.1](%)未満であるか、または[Av+1.1](%)超である。
下表中、使用した溶媒の比率は質量比である。また、溶媒(a)が2種類の溶媒からなる場合、溶媒(a)の沸点のカラムには、溶媒(a)に含まれる溶媒のうち沸点の高い溶媒の沸点を示した。
Figure 2016208506
上記の結果から、下地層のRzを本発明の規定内とした光電変換素子は、光電変換効率に優れ、且つ、素子間(10検体間)における光電変換効率のばらつきを高度に低減できることがわかった。
本発明をその実施態様および図面とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2015年6月22日に日本国で特許出願された特願2015−124713に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1A、1B、1C、1F 第一電極
11 導電性支持体
11a 支持体
11b 透明電極
12 多孔質層
13A、13B、13C 感光層
14 下地層
2 第二電極
3A、3B 正孔輸送層
6 外部回路(リード)
10A、10B、10C、10F 光電変換素子
100A、100B、100C、100F 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 電動モーター

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に、下地層と、光吸収剤を含む感光層とをこの順に有する第一電極と、第一電極に対向する第二電極とを有する光電変換素子であって、
    前記光吸収剤が、周期表第一族元素のカチオンまたは有機カチオンと、周期表第一族元素以外の金属原子のカチオンと、アニオンとを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、
    前記下地層表面の最大高さ粗さRzが250nm以下である、光電変換素子。
  2. 前記Rzが230nm以下である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記Rzが200nm以下である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記下地層が無機半導体材料で形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法であって、該製造方法は、前記導電性支持体上に無機半導体材料またはその前駆体を含有する塗布液を塗布して塗布膜を形成する工程と、該塗布膜を焼成して前記下地層を形成する工程とを含み、
    該塗布液中の溶媒が、沸点150℃以上の溶媒Sを1質量%以上含有する、光電変換素子の製造方法。
  6. 前記塗布液中の溶媒が、前記溶媒Sを3〜10質量%含有する、請求項5に記載の光電変換素子の製造方法。
  7. 前記溶媒Sの沸点が250℃以上である、請求項5または6に記載の光電変換素子の製造方法。
  8. 前記塗布液中の溶媒が、前記溶媒Sと、沸点が150℃未満であり、且つ前記溶媒Sの沸点よりも沸点が50℃以上低い溶媒Sとを含有し、
    前記下地層が、前記導電性支持体上に前記塗布液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を、前記溶媒Sの沸点よりも低く前記溶媒Sの沸点よりも高い温度で1分間以上熱し、次いで、前記溶媒Sの沸点以上の温度で焼成することにより形成される、請求項5〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
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