JPWO2016199536A1 - 信号伝達回路及び電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、外部入力信号を正確に反映した外部出力信号を出力する信号伝達回路を得ることを目的とする。そして、本発明に係る第1回路(100)は、入力信号(XIN)の“H”,“L”への遷移時に加え、発振信号(CLK)の周期内において“H”及び“L”間が変化する送信信号(VS及びVR)を出力する。制御保護素子(23S及び23R)は、送信信号(VS及びVR)に応答してトランス(10及び20)から得られる誘導電圧信号(RX1及びRX2)を第1及び第2のマスク期間無効化する。バッファ回路(24S及び24R)並びにシュミット回路(25S及び25R)は、誘導電圧信号(RX1及びRX2)の“H”に基づき、比較的長く“H”を指示する信号(VS2)及び信号(VR2)を生成する。制御回路26は、信号(VS2)及び(VR2)が共に“H”を指示する時、信号(VS2)及び信号(VR2)を無効化する。

Description

この発明は、トランスを介して信号を伝達する信号伝達回路、及び上記信号伝達回路を備えた電力変換装置に関するものである。
例えば、三相交流モータ等を駆動するインバータにおいて、インバータ内のパワー半導体スイッチング素子の駆動回路装置に用いられる従来の信号伝達回路は以下のように構成される。
従来の信号伝達回路は、異なる信号速度を有する第1及び第2の入力信号を電気的に絶縁しながら伝達し、パルス生成部と、第1及び第2の伝達部と、ラッチ回路と、発振判定回路とを備えて構成される。第1及び第2の伝達部は、第1及び第2の入力信号の論理状態に応じてパルス生成部によって生成された第1及び第2のパルス信号を、電気的に絶縁しながら、ラッチ回路及び発振判定回路へ伝達する。ラッチ回路は、第1及び第2のパルス信号の立上りエッジにより第1の入力信号を復元した第1の復元出力信号を得る。発振判定回路は、第1及び第2のパルス信号の発振状態に基づいて、第2の入力信号を復元した第2の復元出力信号を得る。このような構成の信号伝達回路は例えば特許文献1に開示されている。
特開2014−7502号公報
従来の信号伝達回路は以上のように構成されているため、第1の入力信号のON(活性レベル)のパルス幅がパルス生成部によって生成された第1及び第2のパルス信号のタイミングより短い場合、第1及び第2のパルス信号が共にONの状態となる時間帯が生じる恐れがある。上記時間帯が生じると、ラッチ回路への入力信号も共にONとなる状態が存在し、ラッチ回路の出力信号はラッチ回路への入力信号(第1及び第2のパルス信号)のいずれの信号が早く動作するかによって、第1及び第2の復元出力信号の内容が変わる不定状態となり、誤動作が生じる、もしくは第1及び第2のパルス信号のいずれかがOFF(非活性レベル)となるまでの間の遅延時間が生じる。
このように、従来の信号伝達回路は外部入力信号(第1及び第2の入力信号)を正確に反映した外部出力信号(第1及び第2の復元出力信号)を出力することができないという問題点があった。
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、外部入力信号を正確に反映した外部出力信号を出力する信号伝達回路、及び上記信号伝達回路を備えた電力変換装置を提供することを目的とする。
この発明に係る請求項1記載の信号伝達回路は、外部入力信号に基づき、第1及び第2の送信信号を出力する第1回路と、一次側に前記第1及び第2の送信信号を受け、二次側より第1及び第2のトランス出力信号を得る第1及び第2のトランスと、前記第1及び第2のトランス出力信号に基づき、外部出力信号を生成する第2回路とを備え、前記外部入力信号は第1及び第2の論理レベルを有し、第1の遷移時に第2の論理レベルから第1の論理レベルに変化し、第2の遷移時に第1の論理レベルから第2の論理レベルに変化し、前記第1回路は、前記第1の送信信号は、前記外部入力信号が第1の論理レベルの時に第1の周期内において第1及び第2の論理レベル間で変化し、前記外部入力信号が第2の論理レベルの時に第2の論理レベルで固定し、前記外部入力信号の前記第1の遷移時に一定期間第1の論理レベルとなり、かつ、前記第2の送信信号は、前記外部入力信号が第2の論理レベルの時に第2の周期内において第1及び第2の論理レベル間で変化し、前記外部入力信号が第1の論理レベルの時に第2の論理レベルで固定し、前記外部入力信号の前記第2の遷移時に一定期間第1の論理レベルとなるように、前記第1及び第2の送信信号を出力し、前記第2回路は、前記外部出力信号の第1または第2の論理レベルに基づき前記第1及び第2のトランス出力信号を第1及び第2のマスク期間無効化する第1及び第2の制御保護部と、前記第1の制御保護部を介して前記第1のトランス出力信号を受け、前記第1のトランス出力信号が活性レベルを指示する期間を超える第1の論理設定期間において活性レベルを指示する第1の論理設定信号を生成する第1の信号整形回路と、前記第2の制御保護部を介して前記第2のトランス出力信号を受け、前記第2のトランス出力信号が活性レベルを指示する期間を超える第2の論理設定期間において活性レベルを指示する第2の論理設定信号を生成する第2の信号整形回路と、前記第1及び第2の論理設定信号を受け、前記第1及び第2の論理設定信号が共に活性レベルを指示する時、前記第1及び第2の論理設定信号による活性レベルの指示を無効化する論理設定信号制御回路と、前記論理設定信号制御回路を介して前記第1及び第2の論理設定信号を受け、第1及び第2の論理レベルのうち、前記第1の論理設定信号が活性レベルを指示する時に一方の論理レベルとなり、前記第2の論理設定信号が活性レベルを指示する時に他方の論理レベルとなる、前記外部出力信号を生成する出力信号生成回路とを含む。
請求項1記載の本願発明の信号伝達回路において、第1回路は、外部入力信号の第1及び第2の遷移時に加え、外部入力信号が第1及び第2の論理レベルの時に、第1及び第2の周期内において第1及び第2の論理レベル間が変化する第1及び第2の送信信号を出力することにより、外部入力信号が第2及び第1の論理レベルから、第1及び第2の論理レベルに変化したことを、第1及び第2のトランス出力信号として確実に第2回路に検知させることができる。
さらに、第1及び第2の制御保護部によって、外部出力信号の第1または第2の論理レベルに基づき第1及び第2のトランス出力信号を第1及び第2のマスク期間無効化している。このため、外部入力信号が第1の論理レベルに変化したことを検知する必要がない期間を第1のマスク期間に設定し、外部入力信号が第2の論理レベルに変化したことを検知する必要がない期間を第2のマスク期間に設定することにより、出力信号生成回路より生成される外部出力信号の信頼性の向上を図ることができる。
加えて、第1及び第2の信号整形回路により、第1及び第2のトランス出力信号が活性レベルを指示する期間を超える第1及び第2の論理設定期間において活性レベルを指示する第1及び第2の論理設定信号を生成することにより、第1及び第2の論理設定信号の指示内容を確実に反映した外部出力信号を出力信号生成回路から生成させることができる。
また、論理設定信号制御回路は、第1及び第2の論理設定信号が共に活性レベルを指示する時、第1及び第2の論理設定信号を無効化することにより、出力信号生成回路により外部出力信号を生成する際、第1及び第2の論理設定信号が共に活性レベルとなる状況を確実に回避することができるため、外部出力信号の信頼性の向上を図ることができる。
したがって、請求項1記載の本願発明の信号伝達回路は、外部入力信号を正確に反映した外部出力信号を出力する結果、高い信頼性で信号伝達を行うことができる。
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
この発明の実施の形態1であるの信号伝達回路の構成を示すブロック図である。 実施の形態1の信号伝達回路を含む電力変換装置の全体構成を示すブロック図である。 実施の形態1の信号伝達回路による信号伝達処理における動作波形を示す説明図である。 実施の形態1の信号伝達回路の第1回路を構成するパルス変換回路の内部構成を示すブロック図である。 図4で示したパルス変換回路のパルス変換動作における動作波形を示す波形図である。 図4で示した立上りエッジ検出回路の内部構成を示す回路図である。 図6で詳細を示した立上りエッジ検出回路の検出処理の動作波形を示す波形図である。 図4で示した立下りエッジ検出回路の内部構成を示す回路図である。 図8で詳細を示した立下りエッジ検出回路の検出処理の動作波形を示す波形図である。 図1で示した制御保護素子の内部構成を示す回路図である。 図1で示した制御回路の内部構成を示す回路図である。 図11で詳細を示した制御回路の制御内容の動作波形を示す波形図である。 図4で示したバッファ回路の内部構成を示す回路図である。 この発明の実施の形態2である電力変換装置における第1の態様の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2である電力変換装置における第2の態様の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2である電力変換装置における第3の態様の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3である電力変換装置における第1の態様の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3である電力変換装置における第2の態様の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3である電力変換装置における第3の態様の構成を示すブロック図である。
<実施の形態1>
(信号伝達回路6の全体構成)
図1はこの発明の実施の形態1であるの信号伝達回路6の全体構成を示すブロック図である。以下、図1を参照して、実施の形態1の信号伝達回路6を説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図1に示すように、信号伝達回路6は、第1回路100、トランス10(第1のトランス)、トランス20(第2のトランス)、及び第2回路200から構成される。
トランス10は一次側コイルであるコイル110及び二次側コイルであるコイル210を有し、トランス20は一次側コイルであるコイル120及び二次側コイルであるコイル220を有している。
第1回路100はトランス10のコイル110とトランス20のコイル120に電気的に接続され、第2回路200はトランス10のコイル210とトランス20のコイル220に電気的に接続される。
第1回路100は、外部より入力端子101を介して受ける入力信号XIN(外部入力信号)を、トランス10及びトランス20を介して第2回路200に伝達し、トランス10及び20からの誘導電圧信号RX1及びRX2に基づき第2回路200の出力端子201から出力信号XOUT(外部出力信号)を外部に出力する。
したがって、信号伝達回路6は、入力信号XINを受け、入力信号XINの信号内容を反映させた出力信号XOUTを外部に出力する信号伝達処理を実行する。すなわち、出力信号XOUTは入力信号XINに対応した信号となる。
トランス10の第1回路100及び第2回路200との接続関係を説明する。コイル110の第1端は第1回路100の第1出力端子(送信信号VS用)に接続され、コイル110の第2端は第1回路100によって基準電位VSS1に設定される。コイル210の第1端は第2回路200の第1入力端子(誘導電圧信号RX1用)に接続され、コイル210の第2端は第2回路200によって基準電位VSS2に設定される。
トランス20の第1回路100及び第2回路200との接続関係を説明する。コイル120の第1端は第1回路100の第2出力端子(送信信号VR用)に接続され、コイル120の第2端は、第1回路100の基準電位VSS1に設定される。コイル220の第1端は第2回路200の第2入力端子(誘導電圧信号RX2用)に接続され、コイル220の第2端は第2回路200によって基準電位VSS2に設定される。
第1回路100はパルス変換回路102を主要構成部として有している。パルス変換回路102は、入力端子101を介して受信される入力信号XINに基づき得られる送信信号VS(第1の送信信号)及び送信信号VR(第2の送信信号)を第1及び第2の出力端子に接続されるコイル110の第1端及びコイル120の第1端に出力する。
パルス変換回路102は、後に詳述するが、入力信号XINと発振器の発振信号との論理積として得られる第1クロック信号を用いて、入力信号XINの立上りエッジを検出した信号と第1クロック信号との論理和として得られる第1パルス信号をコイル110の第1端への送信信号VSとして出力する。
さらに、パルス変換回路102は、入力信号XINを反転した信号と発振器の発振信号との論理積として得られる第2クロック信号を用いて、入力信号XINの立下りエッジを検出した信号と第2クロック信号との論理和として得られる第2パルス信号をコイル120の第1端への送信信号VRとして出力する。
したがって、トランス10は一次側に第1回路100の第1出力端子より送信信号VS(第1の送信信号)を受け、二次側より第2回路200の第1入力端子に誘導電圧信号RX1(第1のトランス出力信号)を得ている。
同様に、トランス20は一次側に第1回路100の第2出力端子より送信信号VR(第2の送信信号)を受け、二次側より第2回路200の第2入力端子に誘導電圧信号RX2(第2のトランス出力信号)を得ている。
第2回路200は、制御保護素子23S及び23R、バッファ回路24S及び24R、シュミット回路25S及び25R、制御回路26、並びにラッチ回路27より構成され、第1入力端子がトランス10のコイル210の第1端に接続され、第2入力端子がトランス20のコイル220の第1端に接続される。
制御保護素子23Sは入力部IN、出力部OUT及び制御入力部SWを有し、入力部INは第2回路200の第1入力端子より誘導電圧信号RX1を受け、制御入力部SWはラッチ回路27から出力信号XOUTを制御信号VSMとして受ける。制御保護素子23Sは制御信号VSMが“H”を指示する第1のマスク期間を除き、出力部OUTから誘導電圧信号RX1をそのまま出力する。ただし、制御保護素子23Sは、上記第1のマスク期間中において誘導電圧信号RX1は強制的に無効化し、出力部OUTは“L”固定される。
同様にして、制御保護素子23Rは入力部IN、出力部OUT及び制御入力部SWを有し、入力部INは第2回路200の第2入力端子より誘導電圧信号RX2を受け、制御入力部SWはラッチ回路27から反転出力信号バーXOUTを制御信号VRMとして受ける。制御保護素子23Rは制御信号VRMが“H”を指示する第2のマスク期間を除き、出力部OUTから誘導電圧信号RX2をそのまま出力する。ただし、制御保護素子23Rは、上記第2のマスク期間中は誘導電圧信号RX2を強制的に無効化し、出力部OUTは“L”固定される。
このように、制御保護素子23S及び23Rは、誘導電圧信号RX1及びRX2(第1及び第2のトランス出力信号)を第1及び第2のマスク期間無効化する。
バッファ回路24Sは制御保護素子23Sを介して得られる誘導電圧信号RX1を反転増幅して信号VS1を得る。シュミット回路25Sは信号VS1を波形整形処理して信号VS2を得る。上記波形整形処理は、信号VS1の反転信号を信号VS2として得る際、信号VS1が“L”(活性レベル)を指示する期間を超える期間(第1の論理設定期間)において“H”(活性レベル)を指示する信号VS2(第1の論理設定信号)を生成する処理である。
バッファ回路24Rは制御保護素子23Rを介して得られる誘導電圧信号RX2を反転増幅して信号VR1を得る。シュミット回路25Rは信号VR1を波形整形処理して信号VR2を得る。上記波形整形処理は、信号VR1の反転信号を信号VR2として得る際、信号VR1が“L”(活性レベル)を指示する期間を超える期間(第2の論理設定期間)において“H”(活性レベル)を指示する信号VR2(第2の論理設定信号)を生成する処理である。
したがって、バッファ回路24S及びシュミット回路25Sは、制御保護素子23S(第1の制御保護部)を介して誘導電圧信号RX1(第1のトランス出力信号)を受け、誘導電圧信号RX1が制御保護素子23Sによって無効化されていない場合、誘導電圧信号RX1が“H”(活性レベル)を指示する期間を超える上記第1の論理設定期間において“H”(活性レベル)を指示する信号VS2(第1の論理設定信号)を生成する第1の信号整形回路として機能する。
同様にして、バッファ回路24R及びシュミット回路25Rは、制御保護素子23R(第2の制御保護部)を介して誘導電圧信号RX2(第2のトランス出力信号)を受け、誘導電圧信号RX2が制御保護素子23Rによって無効化されていない場合、誘導電圧信号RX2が“H”(活性レベル)を指示する期間を超える上記第2の論理設定期間において“H”(活性レベル)を指示する信号VR2(第2の論理設定信号)を生成する第2の信号整形回路として機能する。
制御回路26は、信号VS2及び信号VR2(第1及び第2の論理設定信号)を受け、信号VS2及び信号VR2が共に“H”(活性レベル)を指示する時、信号VS2及び信号VR2の“H”を無効化して“L”の信号VS3及び信号VR3を出力する。
一方、制御回路26は、信号VS2及び信号VR2の少なくとも一方が“L”の場合、信号VS2及び信号VR2をそのまま信号VS3及び信号VR3としてラッチ回路27のセット入力部S及びリセット入力部Rに出力する。
出力信号生成回路であるラッチ回路27は、制御回路26(論理設定信号制御回路)を介して信号VS3及び信号VR3を受ける。この際、制御回路26が信号VS2及び信号VR2の無効化処理を行っていない場合、信号VS3及びVR3は信号VS2及びVR2(第1及び第2の論理設定信号)となる。
したがって、ラッチ回路27は信号VS3及びVR3を受け、信号VS3(=VS2)が“H”(活性レベル)を指示する時に“H”(“H”,“L”のうち一方の論理レベル)となり、信号VR3(=VR2)が“H”(活性レベル)を指示する時に“L”(“H”,“L”のうち他方の論理レベル)となる、出力信号XOUT(外部出力信号)を生成して出力部Qから出力する。さらに、ラッチ回路27は出力信号XOUTと共に出力信号XOUTの反転信号である反転出力信号バーXOUTを反転出力部QBから出力する。
(信号伝達回路6を備える電力変換装置60)
図2は実施の形態1の信号伝達回路6を含む電力変換装置60の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、実施の形態1の信号伝達回路6は、電力変換装置60内でIGBT等のパワー半導体スイッチング素子2(電力半導体スイッチング素子)を駆動制御する制御信号S4の伝達に適用される。
すなわち、ハイブリッド自動車や電気自動車等で用いられるモータ1を制御するために設けられる電力変換装置60は、パワー半導体スイッチング素子2と、パワー半導体スイッチング素子2を駆動する駆動回路としてのドライバ部3と、ドライバ部3によってパワー半導体スイッチング素子2を駆動するためにドライバ部3用の制御信号S4を生成する制御部4と、制御部4からの制御信号S4を入力信号XINとして受け、出力信号XOUTとしてドライバ部3に伝達する、実施の形態1の信号伝達回路6とを備える。
信号伝達回路6は、制御部4とドライバ部3との間に設けられることにより、ドライバ部3、パワー半導体スイッチング素子2及びモータ1等、高電圧で制御される装置と制御部4とを絶縁しつつ、制御部4からの制御信号S4を入力信号XINとして入力し、制御信号S4に対応する出力信号XOUTを生成してドライバ部3に出力することができる。
(信号伝達回路6の信号伝達処理)
図3は、この発明の実施の形態1の信号伝達回路6による信号伝達処理における動作波形を示す説明図である。
図3には、信号伝達回路6に入力される入力信号XINと、第1回路100の発振信号CLKと、第1回路100からコイル110の第1端に送信される第1パルス信号である送信信号VSと、第1回路100からコイル120の第1端に送信される第2パルス信号である送信信号VRの動作波形が示されている。これらの信号がパルス変換回路102を有する第1回路100に関連した信号となる。
さらに、図3において、コイル210の第1端に発生して第2回路200が受信する誘導電圧信号RX1と、コイル220の第1端に発生して第2回路200が受信する誘導電圧信号RX2と、バッファ回路24Sの出力信号である信号VS1と、バッファ回路24Rの出力信号である信号VR1と、シュミット回路25Sの出力信号である信号VS2と、シュミット回路25Rの出力信号である信号VR2の動作波形が示されている。
さらに、図3において、ラッチ回路27のセット入力部Sへの入力信号である信号VS3と、ラッチ回路27のリセット入力部Rへの入力信号である信号VR3、ラッチ回路27の(正転)出力部Qの出力信号である信号伝達回路6の出力信号XOUT(=制御信号VSM)と、ラッチ回路27の反転出力部QBの出力信号である反転出力信号バーXOUT(=制御信号VRM)の動作波形を示している。
以下、信号伝達回路6内の各部の詳細構成、及び動作について説明する。
(信号伝達回路6の各部構成)
図4は、信号伝達回路6の第1回路100を構成するパルス変換回路102の内部構成を示すブロック図であり、図5はパルス変換回路102のパルス変換動作における動作波形を示す波形図である。なお、図4に示すパルス変換回路102の構成は一例であって限定されるものではない。
図4に示すように、パルス変換回路102は、立上りエッジ検出回路31と、立下りエッジ検出回路32と、発振器38と、2つのANDゲート34及び35と、2つのORゲート36及び37と、インバータ39とを備える。パルス変換回路102に入力される入力信号XINは、立上りエッジ検出回路31、立下りエッジ検出回路32、ANDゲート34の一方入力、及びインバータ39の入力部に付与される。
発振器38の発振信号CLKは、ANDゲート34の他方入力と、ANDゲート35の一方入力に付与される。インバータ39の出力信号は、ANDゲート35の他方入力に付与される。立上りエッジ検出回路31の出力信号VAは、ORゲート36の一方入力に付与され、ANDゲート34の出力信号VCは、ORゲート36の他方入力に付与される。立下りエッジ検出回路32の出力信号VBは、ORゲート37の一方入力に付与され、ANDゲート35の出力信号VDは、ORゲート37の他方入力に付与される。
図5に示すように、パルス変換回路102では、入力信号XINの論理値が“L”から“H”に変化すると(第1の遷移時)、これに応じて立上りエッジ検出回路31は所定期間の幅を持った“H”パルスを有する信号VAを出力する。また、入力信号XINの指示する論理値が“H”から“L”に変化すると(第2の遷移時)、これに応じて立下りエッジ検出回路32は所定期間の幅を持った“H”パルスを有する信号VBを出力する。
発振器38は、一定周期の発振信号CLKを出力する。ANDゲート34は、入力信号XINと発振信号CLKとの論理積となる信号VCを出力し、ANDゲート35は、入力信号XINの反転信号と発振信号CLKとの論理積となる信号VDを出力する。ORゲート36には信号VA及び信号VCが付与され、ORゲート36の出力信号がパルス変換回路102から出力される送信信号VSとなる。ORゲート37には信号VB及び信号VDが付与され、ORゲート37の出力信号がパルス変換回路102から出力される送信信号VRとなる。
したがって、入力信号XIN(外部入力信号)は、“H”及び“L”(第1及び第2の論理レベル)を有し、上記第1の遷移時に“L”から“H”に変化し、上記第2の遷移時に“H”から“L”に変化する信号となる。
また、送信信号VS(第1の送信信号)は入力信号XINが“H”の時に発振信号CLKの周期(第1の周期)内において“H”,“L”間で変化し、入力信号XINが“L”の時に“L”で固定し、入力信号XINの上記第1の遷移時に一定期間“H”となる信号である。
同様に、送信信号VR(第2の送信信号)は、入力信号XINが“L”の時に発振信号CLKの周期(第2の周期(=第1の周期))内において“H”,“L”間で変化し、入力信号XINが“H”の時に“L”で固定され、入力信号XINの上記第2の遷移時に一定期間“H”となる信号である。
図6は、図4で示した立上りエッジ検出回路31の内部構成を示す回路図であり、図7は立上りエッジ検出回路31の検出処理の動作波形を示す波形図である。なお、図6に示す立上りエッジ検出回路31の構成は一例であって限定されるものではない。
図6に示すように、立上りエッジ検出回路31は、遅延回路311、インバータ312、及びANDゲート313で構成される。立上りエッジ検出回路31に入力される信号DIN1は、遅延回路311の入力部とANDゲート313の一方入力とに付与される。遅延回路311に入力された信号DIN1は、所定期間(図7ではこの所定期間を「τ」で示す)だけ遅延されて、インバータ312を介してANDゲート313の他方入力に付与される。そして、ANDゲート313の出力信号が、立上りエッジ検出回路31の出力信号DOUT1となる。
図7に示すように、立上りエッジ検出回路31では、入力される信号DIN1が“L”から“H”に変化する際に、所定期間τ、“H”パルス幅を持った信号DOUT1を出力する。
したがって、図4で示す立上りエッジ検出回路31は入力信号XINが“L”から“H”に変化する上記第1の遷移時に、所定期間τの“H”パルスの幅を持った信号VAを出力することができる。
図8は、図4で示した立下りエッジ検出回路32の内部構成を示す回路図であり、図9は立下りエッジ検出回路32の検出処理の動作波形を示す波形図である。なお、図8に示す立下りエッジ検出回路32の構成は一例であって限定されるものではない。
図8に示すように、立下りエッジ検出回路32は、遅延回路321、インバータ322、及びANDゲート323で構成される。立下りエッジ検出回路32に付与される信号DIN2は、遅延回路321の入力部とインバータ322の入力部とに付与される。インバータ322の出力信号がANDゲート323の一方入力に付与される。
遅延回路321に入力された信号DIN2は、所定期間τだけ遅延されてANDゲート323の他方入力に付与される。そして、ANDゲート323の出力信号が、立下りエッジ検出回路32の出力信号DOUT2となる。
図9に示すように、立下りエッジ検出回路32では、入力される信号DIN2が“H”から“L”に変化すると、所定期間τ、“H”パルス幅を持った信号DOUT2を出力する。
したがって、図4で示す立下りエッジ検出回路32は入力信号XINが“H”から“L”に変化する上記第2の遷移時に、所定期間τの“H”パルスの幅を持った信号VBを出力することができる。
図10は、制御保護素子23(23S,S3R)の内部構成を示す回路図である。なお、制御保護素子23は制御保護素子23S及び23Rそれぞれに共通の回路構成である。また、図10に示す制御保護素子23の構成は一例であって限定されるものではない。
図10に示すように、制御保護素子23は、2つのNMOSトランジスタ231及び232と、PMOSトランジスタ233とを備える。制御保護素子23の入力部INは、NMOSトランジスタ231のドレイン(端子)と、NMOSトランジスタ232のドレインと、PMOSトランジスタのドレインに共通に接続され、制御保護素子23の出力部OUTは、入力部INに接続される。制御保護素子23の制御入力部SWは、NMOSトランジスタ231のゲート(端子)に接続される。NMOSトランジスタ231のソース(端子)は基準電位VSSに設定される。NMOSトランジスタ232のゲート及びソースも基準電位VSSに設定される。一方、PMOSトランジスタ233のゲートとソースが電源電位VDDに設定される。なお、制御保護素子23は、ゲートの電位を固定したサージ保護素子であり、サージ保護素子の一部(この場合、NMOSトランジスタ231)を制御動作して用いる。
制御保護素子23は、制御入力部SWより得られる制御信号(VSM,VRM)が“H”を指示する時、NMOSトランジスタ231がON状態となり、出力部OUTを“L”固定して入力部INより得られる信号を無効化し、上記制御信号が“L”を指示する時、NMOSトランジスタ231がOFF状態となり、入力部INより得られる信号をそのまま出力部OUTから出力することができる。
したがって、制御保護素子23Sは、制御入力部SWより得られる制御信号VSM(=出力信号XOUT)が“H”(第1の論理レベル)を指示する期間を第1のマスク期間とし、誘導電圧信号RX1を無効化することができる。
同様に、制御保護素子23Rは、制御入力部SWより得られる制御信号VRM(=反転出力信号バーXOUT)が“H”、すなわち、出力信号XOUTが“L”(第2の論理レベル)を指示する期間を第2のマスク期間とし、誘導電圧信号RX2を無効化することができる。
なお、制御保護素子23S及び23Rは制御信号VSM及びVRMが“L”の時、誘導電圧信号RX1及びRX2をそのまま次段のバッファ回路24R及び24Rの入力部に出力する。
図11は制御回路26内部の構成を示す回路図であり、図12は制御回路26の制御内容の動作波形を示す波形図である。なお、図11に示す制御回路26の構成は一例であって限定されるものではない。
図11に示すように、制御回路26は、2つのANDゲート261及び262と、NANDゲート263とを備える。入力信号I1はANDゲート261の一方入力とNANDゲート263の一方入力に付与される。入力信号I2はANDゲート262の一方入力とNANDゲート263の他方入力に付与される。ANDゲート261の他方入力とANDゲート262の他方入力はNANDゲート263の出力信号を受ける。
図12に示すように、制御回路26は、入力信号I1と入力信号I2とが同時に“H”となる状態を抑制し、出力信号O1は入力信号I1に対応し、出力信号O2は入力信号I2に対応した信号を出力する。すなわち、制御回路26は、入力信号I1及びI2のうち少なくとも一つが“L”の時、入力信号I1及びI2をそのまま出力信号O1及びO2として出力し、入力信号I1及びI2が共に“H”の時、出力信号O1及びO2を“L”固定している。
このように、制御回路26は、入力信号I1及びI2として信号VS2及び信号VR2(第1及び第2の論理設定信号)を受け、信号VS2及び信号VR2が共に“H”(活性レベル)を指示する時、信号VS2及び信号VR2による“H”の指示を無効化し、“L”の信号VS3及び信号VR3を出力している。
なお、信号VS2及び信号VR2のうち少なくとも一つが“L”の時、信号VS2及び信号VR2をそのまま信号VS3及びVR3として出力している。
図13は、バッファ回路24(24S及び24R)の内部構成を示す回路図である。なお、バッファ回路24はバッファ回路24S及びバッファ回路24Rそれぞれに共通の回路構成である。また、図13に示すバッファ回路24の構成は一例であって限定されるものではない。
図13に示すように、バッファ回路24は、NMOSトランジスタ241と、抵抗242と、容量243とを備える。入力信号INは、NMOSトランジスタ241のゲートに付与される。NMOSトランジスタ241は、ドレインが抵抗242の第2端に接続され、ソースが基準電位VSSに接続される。抵抗242の第1端は、電源電位VDDに設定される。容量243の一方電極は、抵抗242の第2端とNMOSトランジスタ241のドレインに接続され、容量243の他方電極は基準電位VSSに設定される。容量243の一方電極より得られる信号が出力信号OUTとなる。
このような構成のバッファ回路24は、入力信号INを反転して出力信号OUTを出力する増幅器であり、抵抗242と容量243の定数設定で出力信号OUTが電源電位VDDまで戻る時間が決まる。
(信号伝達回路6の動作)
次に、図3を参照して信号伝達回路6の全体の動作について説明する。上述したように、信号伝達回路6は、コイル110及びコイル210を有するトランス10と、コイル120及びコイル220を有するトランス20と、コイル110とコイル120に接続される第1回路100と、コイル210とコイル220に接続される第2回路200とを備えている。そして、信号伝達回路6は、第1回路100に付与される入力信号XINをトランス10及びトランス20を介して誘導電圧信号RX1及びRX2として第2回路200に伝達し、第2回路200から出力信号XOUTを出力している。
時刻t1は、第1回路100のパルス変換回路102に入力される入力信号XINが“L”から“H”になる第1の遷移時刻である。パルス変換回路102では、入力信号XINが“L”から“H”になると、“H”パルスの送信信号VSをコイル110の第1端へ出力する。なお、時刻t1から時刻t2の入力信号XINが“H”の期間では、入力信号XINの立上りエッジを検出した信号と制御回路26の発振信号CLKとを論理和した送信信号VSが出力される。
時刻t1を起点として、送信信号VSが“L”から“H”になると、コイル110に電流変化が起こり、その電流変化に誘起され、コイル210の第1端に誘導電圧信号RX1が出力される。誘導電圧信号RX1は、制御保護素子23Sに付与され、制御保護素子23Sの制御入力部SWに付与される制御信号VSM(=出力信号XOUT)が“L”の場合、誘導電圧信号RX1が同じ状態で次段のバッファ回路24Sに出力される。
制御保護素子23Sを介してバッファ回路24Sに入力され誘導電圧信号RX1は、増幅した反転信号である信号VS1として出力される。バッファ回路24Sの出力信号VS1は、シュミット回路25Sに入力され、波形整形した信号VS2は“L”から“H”になる。
シュミット回路25Sの出力信号VS2は、制御回路26の入力端子I1に入力される。この時、制御回路26の入力端子I2への入力信号VR2が“L”のため、制御回路26の出力端子O1の出力信号VS3は、入力信号VS2と同じ状態で出力される。また、制御回路26の出力信号VS3(ラッチ回路27のセット入力部Sへの入力信号)が“L”から“H”になると、ラッチ回路27の(正転)出力部Qからの出力信号は“L”から“H”になり、信号伝達回路6の出力信号XOUTとして出力される。
この際、ラッチ回路27の出力部Qの出力信号は、制御保護素子23Sの制御信号VSMとして制御入力部SWに付与され、制御信号VSMが“L”から“H”になると、制御保護素子23Sの入力端子INは基準電位VSS2に接続され、誘導電圧信号RX1は基準電位VSS2と同電位となり無効化される。
なお、時刻t1までの期間において、制御保護素子23Rの制御入力部SWに付与される制御信号VRMは、ラッチ回路27の反転出力部QBの出力信号である反転出力信号バーXOUTの状態が“H”であるため、ラッチ回路27の反転出力部QBの出力信号が“L”から“H”に切り替わるまで制御保護素子23Rの入力端子INは基準電位VSS2に接続され、誘導電圧信号RX2は基準電位VSS2と同電位となり無効化されている。
時刻t2は、第1回路100のパルス変換回路102に入力される入力信号XINが“H”から“L”になる第2の遷移時刻である。パルス変換回路102では、入力信号XINが“H”から“L”になると、“H”パルスの送信信号VRをコイル120の第1端へ出力する。なお、時刻t2以降の入力信号XINが“L”の期間では、入力信号XINの立下りエッジを検出した信号と発振器38の発振信号CLKとを論理和した送信信号VRが出力される。
送信信号VRが“L”から“H”になると、コイル120に電流変化が起こり、その電流変化に誘起され、コイル220の第1端に誘導電圧信号RX2が出力される。誘導電圧信号RX2は、制御保護素子23Rに入力され、制御保護素子23Rの制御入力部SWに付与される制御信号VRMが“L”の場合、誘導電圧信号RX2が同じ状態で次段のバッファ回路24Rに出力される。
制御保護素子23Rを介してバッファ回路24Rへ入力された誘導電圧信号RX2は、増幅した反転信号である信号VR1として出力される。バッファ回路24Rの出力信号VR1は、シュミット回路25Rに入力され、波形整形した信号VR2は“L”から“H”になる。シュミット回路25Rの出力信号VR2は、制御回路26の入力端子I2に入力される。この時、制御回路26の入力端子I1への入力信号VS2が“L”のため、制御回路26の出力端子O2の出力信号VR3は、入力信号VR2と同じ状態で出力される。
また、制御回路26の出力信号VR3(ラッチ回路27のリセット入力部Rへの入力信号)が“L”から“H”になると、ラッチ回路27の出力部Qの出力信号は“H”から“L”になり、信号伝達回路6の出力信号XOUTとして出力される。この際、ラッチ回路27の反転出力部QBの出力信号である反転出力信号バーXOUTは、制御信号VRMとして制御保護素子23Rの制御入力部SWに付与され、制御信号VRMが“L”から“H”になると、制御保護素子23Rの入力端子INは基準電位VSS2に接続され、誘導電圧信号RX2は基準電位VSS2と同電位となり無効化される。
このように、この実施の形態1による信号伝達回路6は、第1回路100で入力信号XINの論理値の変化と、発振器の発振信号CLKに応じて、コイル110の第1端とコイル120の第1端へ複数のパルス信号(送信信号VS及びVR)を出力するため、ノイズによって第2回路200が誤動作した場合でも、速やかに復帰することができ、高い信頼性で信号を伝達できる。
すなわち、第1回路100は、入力信号XINの第1及び第2の遷移時に加え、入力信号XINが“H”及び“L”のそれぞれの期間に、発振信号CLKの周期内(第1及び第2の周期内)において“H”及び“L”間が変化する送信信号VS及びVRを出力することにより、入力信号XINが“L”から“H”、あるいは“H”から“L”に変化したことを、誘導電圧信号RX1及びRX2(第1及び第2のトランス出力信号)として確実に第2回路200に検知させることができる。
具体的には、時刻t1における誘導電圧信号RX1の“H”立ち上がりを仮に検出し損ねても、時刻t1直後の第1パルス信号VSの立ち上がり時(信号CLKによる立ち上がり時刻t1a等)に信号RX1が再度、立ち上がる機会があるため、パルス幅は少し短くなるが、ほぼ正常な出力信号XOUTを出力することができる。この場合、時刻t1aまでは出力信号XOUT(制御信号VSM)が“L”のため、時刻t1a直後に発生する誘導電圧信号RX1は制御保護素子23Sによって無効化されることはない。
また、第2回路200の制御保護素子23Sと制御保護素子23Rとを用いて、不要な検出期間となる第1及び第2のマスク期間中における誘導電圧信号RX1及びRX2を基準電位VSSに接続して無効化しつつ次段のバッファ回路24S及び24Rに伝達している。
そして、バッファ回路24S及び24R、並びにシュミット回路25S及び25Rを用いてコイル210の誘導電圧信号RX1及びコイル220の誘導電圧信号RX2を増幅、及び波形整形し、ラッチ回路27のセット入力部S及びリセット入力部Rへの入力信号となる信号VS2及びVR2の“H”(活性レベル)のパルス幅を、誘導電圧信号RX1とRX2の“H”(活性レベル)のパルス幅と比較して長くすることで、高い信頼性で信号を伝達できる。
すなわち、バッファ回路24S及びシュミット回路25Sからなる第1の信号整形回路並びにバッファ回路24R及びシュミット回路25Rからなる第2の信号整形回路により、誘導電圧信号RX1及びRX2(第1及び第2のトランス出力信号)が“H”(活性レベル)を指示する期間を超える第1及び第2の論理設定期間において“H”(活性レベル)を指示する信号VS2及び信号VR2(第1及び第2の論理設定信号)を生成している。このため、信号VS2(=VS3)及び信号VR2(=VR3)の指示内容を確実に反映した出力信号XOUTを出力信号生成回路であるラッチ回路27から生成させることができる。
さらに、制御回路26を用いてラッチ回路27のセット入力部Sとリセット入力部Rとが同時ON状態(“H”レベルとなること)を抑制することで、同時ON状態で生じる誤動作や信号遅延を抑制することができる。
すなわち、論理設定信号制御回路である制御回路26は、信号VS2及びVR2が共に“H”(活性レベル)を指示する時、信号VS2及び信号VR2を無効化することにより、ラッチ回路27により出力信号XOUTを生成する際、信号VS2及びVR2が共に“H”となる状況を確実に回避することができるため、出力信号XOUTの信頼性の向上を図ることができる。
さらに、制御保護素子23S及び23R(第1及び第2の制御保護部)によって、誘導電圧信号RX1及びRX2(第1及び第2のトランス出力信号)を第1及び第2のマスク期間無効化している。したがって、制御保護素子23S及び23Rにおいて、入力信号XINが“H”(第1の論理レベル)に変化したことを検知する必要がない期間を上記第1のマスク期間に設定し、入力信号XINが“L”(第2の論理レベル)に変化したことを検知する必要がない期間を上記第2のマスク期間に設定することにより、ラッチ回路27より生成される出力信号XOUTの信頼性の向上を図ることができる。
具体的には、制御保護素子23Sにおいて、出力信号XOUTが“H”(第1の論理レベル)をすでに指示している期間を上記第1のマスク期間とすることにより、ラッチ回路27より生成される出力信号XOUTの“H”の信頼性の向上を図ることができる。
同様にして、制御保護素子23Rにおいて、出力信号XOUTが“L”(第2の論理レベル)をすでに指示している期間を上記第2のマスク期間とすることにより、ラッチ回路27より生成される出力信号XOUTの“L”の信頼性の向上を図ることができる。
したがって、実施の形態1の信号伝達回路6は、入力信号XINを正確に反映した出力信号XOUTを出力する結果、高い信頼性で信号伝達を行うことができる。
また、図2に示すように、電力変換装置60が実施の形態1の信号伝達回路6を備えることで、制御部4からの制御信号S4をドライバ部3に伝達する信号伝達のノイズ耐性を向上させ、信頼性を高めると共に、誤動作や信号遅延を抑制することができる。その結果、電力変換装置60の長期使用が可能となる。
<実施の形態2>
図14は、この発明の実施の形態2である電力変換装置における第1の態様をモータ制御に適用した構成を示すブロック図である。図14では、上記実施の形態1による信号伝達回路6を備えた電力変換装置61の構成について示している。
図14に示すように、ハイブリッド自動車や電気自動車等で用いられるモータ1を制御するために設けられる電力変換装置61は、1または複数のパワー半導体スイッチング素子2(図14では1つのパワー半導体スイッチング素子2を示す)とドライバ部3とを共に樹脂封止により一体化して構成される一単位のパワーモジュール81と、ドライバ部3によってパワー半導体スイッチング素子2を駆動するためにドライバ部3用の制御信号S4を生成する制御部4と、制御部4からの制御信号S4をドライバ部3に伝達する信号伝達回路6とを備える。
信号伝達回路6は、制御部4とドライバ部3との間に接続され、ドライバ部3、パワー半導体スイッチング素子2及びモータ1等、高電圧で制御される装置と制御部4とを絶縁し、制御部4からの制御信号S4を入力信号XINとして入力し、出力信号XOUTとして出力する。
実施の形態2の電力変換装置61は、信号伝送の確度を向上し、さらに、誤動作や信号遅延の抑制を促進した信号伝達回路6を備え、さらにパワー半導体スイッチング素子2(電力半導体スイッチング素子)とドライバ部3とで構成される一単位のパワーモジュール81を備えているため、電力変換装置61の信号伝達の確度向上と、誤動作や信号遅延の抑制を促進できる。その結果、電力変換装置61の長期使用が可能となる。
図15は、この発明の実施の形態2である電力変換装置における第2の態様をモータ制御に適用した構成を示すブロック図である。同図に示すように、パワー半導体スイッチング素子2及びドライバ部3に加え、信号伝達回路6を共に樹脂封止により一体化して構成される一単位のパワーモジュール82を備えた電力変換装置62を用いても良く、第1の態様と同様の効果が得られる。
図16は、この発明の実施の形態2である電力変換装置における第3の態様をモータ制御に適用した構成を示すブロック図である。同図に示すように、パワー半導体スイッチング素子2、ドライバ部3及び信号伝達回路6に加え、制御部4を共に樹脂封止により一体化して構成される一単位のパワーモジュール83自体が電力変換装置63となる構成でも良く、第1の態様と同様の効果が得られる。
<実施の形態3>
図17は、この発明の実施の形態3による電力変換装置をモータ制御に適用した第1の態様の構成を示すブロック図である。ここでは、上記実施の形態1による信号伝達回路6を備えた電力変換装置71について示す。
図17に示すように、ハイブリッド自動車や電気自動車等で用いられるモータ1を制御するために設けられる電力変換装置71は、1または複数のパワー半導体スイッチング素子2とドライバ部3と異常検出部5とを共に樹脂封止により一体化して構成される一単位のパワーモジュール84と、ドライバ部3によってパワー半導体スイッチング素子2を駆動するためのドライバ部3用の制御信号S4を生成する制御部4と、制御部4からの制御信号S4をドライバ部3に伝達する信号伝達回路6A(第1の信号伝達回路)と、異常検出部5で検出した異常検出信号S5を制御部4に伝達する信号伝達回路6B(第2の信号伝達回路)とを備える。
異常検出部5はパワー半導体スイッチング素子2の短絡保護及び加熱保護、ドライバ部3の制御電源電圧低下保護を行うべく、パワー半導体スイッチング素子2の短絡状態、加熱状態、またはドライバ部3の制御電源電圧低下を検出すると、これらの異常状態を指示する異常検出信号S5を出力する既存の構成部である。
信号伝達回路6Aと信号伝達回路6Bとは、上記実施の形態1による信号伝達回路6と実質的に等価の機能を備える構成を呈している。
信号伝達回路6Aは、制御部4とドライバ部3との間に接続され、ドライバ部3、パワー半導体スイッチング素子2、モータ1、及び異常検出部5等、高電圧で制御される装置と制御部4とを絶縁し、制御部4からの制御信号S4を入力信号XIN1として入力し、出力信号XOUT1として出力する。
信号伝達回路6Bは、制御部4と異常検出部5との間に接続され、ドライバ部3、パワー半導体スイッチング素子2、モータ1、異常検出部5等、高電圧で制御される装置と制御部4とを絶縁し、ドライバ部3、パワー半導体スイッチング素子2等で構成される一単位のパワーモジュール84で生じた電源電圧低下や過電流、過温度等の異常動作を検出する異常検出部5から出力される異常検出信号S5を入力信号XIN2として入力し、出力信号XOUT2として出力する。
実施の形態3では、電力変換装置71が、信号伝送の確度を向上し、さらに、誤動作や信号遅延の抑制を促進した信号伝達回路6A及び6B(第1及び第2の信号伝達回路)を備え、さらにパワー半導体スイッチング素子2とドライバ部3と異常検出部5とを一体化して構成される一単位のパワーモジュール84を備えているため、電力変換装置71の信号伝達の確度向上と、誤動作や信号遅延の抑制を促進できる。その結果、異常検出部5による異常検出機能を備えた電力変換装置71の長期使用が可能となる。
図18は、この発明の実施の形態3である電力変換装置における第2の態様をモータ制御に適用した構成を示すブロック図である。同図に示すように、パワー半導体スイッチング素子2、ドライバ部3及び異常検出部5に加え、信号伝達回路6A及び信号伝達回路6Bを共に樹脂封止により一体化して構成される一単位のパワーモジュール85を備えた電力変換装置72を用いても良く、第1の態様と同様の効果が得られる。
図19は、この発明の実施の形態3である電力変換装置における第3の態様をモータ制御に適用した構成を示すブロック図である。同図に示すように、パワー半導体スイッチング素子2、ドライバ部3、異常検出部5、信号伝達回路6A、及び信号伝達回路6Bに加え、制御部4を共に樹脂封止により一体化して構成される一単位のパワーモジュール86自体が電力変換装置73となる構成でも良く、第1の態様と同様の効果が得られる。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
1 モータ、2 パワー半導体スイッチング素子、3 ドライバ部、4 制御部、5 異常検出部、6,6A,6B 信号伝達回路、10,20 トランス、23S,23R 制御保護素子、24S,24R バッファ回路、25S,25R シュミット回路、26 制御回路、27 ラッチ回路、60〜63,71〜73 電力変換装置、81〜86 パワーモジュール、100 第1回路、102 パルス変換回路、200 第2回路。

Claims (10)

  1. 外部入力信号(XIN)に基づき、第1及び第2の送信信号(VS,VR)を出力する第1回路(100)と、
    一次側に前記第1及び第2の送信信号を受け、二次側より第1及び第2のトランス出力信号(RX1,RX2)を得る第1及び第2のトランス(10,20)と、
    前記第1及び第2のトランス出力信号に基づき、外部出力信号(XOUT)を生成する第2回路(200)とを備え、
    前記外部入力信号は第1及び第2の論理レベルを有し、第1の遷移時に第2の論理レベルから第1の論理レベルに変化し、第2の遷移時に第1の論理レベルから第2の論理レベルに変化し、
    前記第1回路は、
    前記第1の送信信号は、前記外部入力信号が第1の論理レベルの時に第1の周期内において第1及び第2の論理レベル間で変化し、前記外部入力信号が第2の論理レベルの時に第2の論理レベルで固定し、前記外部入力信号の前記第1の遷移時に一定期間第1の論理レベルとなり、かつ、
    前記第2の送信信号は、前記外部入力信号が第2の論理レベルの時に第2の周期内において第1及び第2の論理レベル間で変化し、前記外部入力信号が第1の論理レベルの時に第2の論理レベルで固定し、前記外部入力信号の前記第2の遷移時に一定期間第1の論理レベルとなるように、前記第1及び第2の送信信号を出力し、
    前記第2回路は、
    前記外部出力信号の第1または第2の論理レベルに基づき前記第1及び第2のトランス出力信号を第1及び第2のマスク期間無効化する第1及び第2の制御保護部(23S,23R)と、
    前記第1の制御保護部を介して前記第1のトランス出力信号を受け、前記第1のトランス出力信号が活性レベルを指示する期間を超える第1の論理設定期間において活性レベルを指示する第1の論理設定信号(VS2)を生成する第1の信号整形回路(24S、25S)と、
    前記第2の制御保護部を介して前記第2のトランス出力信号を受け、前記第2のトランス出力信号が活性レベルを指示する期間を超える第2の論理設定期間において活性レベルを指示する第2の論理設定信号(VR2)を生成する第2の信号整形回路(24R,25R)と、
    前記第1及び第2の論理設定信号を受け、前記第1及び第2の論理設定信号が共に活性レベルを指示する時、前記第1及び第2の論理設定信号による活性レベルの指示を無効化する論理設定信号制御回路(26)と、
    前記論理設定信号制御回路を介して前記第1及び第2の論理設定信号を受け、第1及び第2の論理レベルのうち、前記第1の論理設定信号が活性レベルを指示する時に一方の論理レベルとなり、前記第2の論理設定信号が活性レベルを指示する時に他方の論理レベルとなる、前記外部出力信号を生成する出力信号生成回路(27)とを含む、
    信号伝達回路。
  2. 請求項1記載の信号伝達回路であって、
    前記第1の制御保護部は、前記外部出力信号が第1の論理レベルを指示する期間を前記第1のマスク期間とし、
    前記第2の制御保護部は、前記外部出力信号が第2の論理レベルを指示する期間を前記第2のマスク期間とする、
    信号伝達回路。
  3. 電力半導体スイッチング素子(2)と、
    前記電力半導体スイッチング素子を駆動する駆動回路(3)と、
    前記駆動回路によって前記電力半導体スイッチング素子を駆動するための制御信号(S4)を生成する制御部(4)と、
    請求項1または請求項2記載の信号伝達回路(6)とを備え、
    前記信号伝達回路は、前記制御部と前記駆動回路との間に設けられ、前記制御部と前記駆動回路とを絶縁し、前記制御部からの前記制御信号を前記外部入力信号として入力し、前記外部出力信号を前記駆動回路に出力することを特徴とする、
    電力変換装置。
  4. 請求項3記載の電力変換装置であって、
    前記駆動回路及び前記電力半導体スイッチング素子は一単位のパワーモジュール(81〜83)として一体的に形成されることを特徴とする、
    電力変換装置。
  5. 請求項4記載の電力変換装置であって、
    前記信号伝達回路がさらに前記パワーモジュール(82,83)として一体的に形成されることを特徴とする、
    電力変換装置。
  6. 請求項5記載の電力変換装置であって、
    前記制御部がさらに前記パワーモジュール(83)として一体的に形成されることを特徴とする、
    電力変換装置。
  7. 電力半導体スイッチング素子(2)と、
    前記電力半導体スイッチング素子を駆動する駆動回路(3)と、
    前記駆動回路によって前記電力半導体スイッチング素子を駆動するための制御信号(S4)を生成する制御部(4)と、
    前記電力半導体スイッチング素子または前記駆動回路で生じた異常状態を検出して異常検出信号(S5)を出力する異常検出部(5)と、
    第1及び第2の信号伝達回路(6A,6B)とを備え、前記第1及び第2の信号伝達回路はそれぞれ請求項1または請求項2記載の信号伝達回路を含み、
    前記第1の信号伝達回路は、前記制御部と前記駆動回路との間に設けられ、前記制御部と前記駆動回路とを絶縁し、前記制御部からの前記制御信号を前記外部入力信号(XIN1)として入力し、前記外部出力信号(XOUT1)を前記駆動回路に出力し、
    前記第2の信号伝達回路は、前記制御部と前記異常検出部との間に設けられ、前記制御部と前記異常検出部とを絶縁し、前記異常検出部からの前記異常検出信号を前記外部入力信号(XIN2)として入力し、前記外部出力信号(XOUT2)を前記制御部に出力することを特徴とする、
    電力変換装置。
  8. 請求項7記載の電力変換装置であって、
    前記駆動回路、前記電力半導体スイッチング素子及び前記異常検出部は一単位のパワーモジュール(84〜86)として一体的に形成されることを特徴とする、
    電力変換装置。
  9. 請求項8記載の電力変換装置であって、
    前記第1及び第2の信号伝達回路がさらに前記パワーモジュール(85,86)として一体的に形成されることを特徴とする、
    電力変換装置。
  10. 請求項9記載の電力変換装置であって、
    前記制御部がさらに前記パワーモジュール(86)として一体的に形成されることを特徴とする、
    電力変換装置。
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