JPWO2016152954A1 - カリックスアレーン誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、近赤外有機色素および式(I)表されるカリックスアレーン誘導体を含有する組成物を提供する(式(I)中、nは、4〜8の整数を示し、n個のR1は、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、M+は、1価のカチオンを示す。)。

Description

本発明は、水中における近赤外有機色素の発光強度および安定性を向上させるために有用なカリックスアレーン誘導体に関する。
生体を非侵襲でイメージングする方法として、X線CT、MRI、PETが一般的であるが、近年、簡便且つ高感度な非侵襲イメージング法として近赤外蛍光イメージングが注目されている。近赤外領域の光(700〜1,500nm)は生体透過性に優れているため、近赤外蛍光イメージングは、血管撮像等の外科手術ナビゲーションツールとして、臨床応用が進みつつある。
近赤外蛍光イメージングでは、インドシアニングリーン(ICG)等の近赤外有機色素が蛍光プローブとして用いられる。しかし、近赤外有機色素は共役系が長く、その疎水性が高いため、水への溶解性(安定性)が低く、且つ有機溶媒中での発光強度に比べて水中での発光強度が低下する傾向がある。
上記のような近赤外有機色素の欠点を克服するため、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ゼラチン誘導体およびインドシアニングリーンを有する複合体が記載されている。また、特許文献2には、インドシアニングリーンおよび正帯電部位を有する脂質を有する粒子が記載されている。また、特許文献3には、インドシアニングリーン等の光吸収化合物に結合したリポソーム膜構成物質を含み、且つリポソーム内に薬剤を含むリポソーム複合体が記載されている。また、特許文献4には、PEG−アルキルブロックコポリマーおよび近赤外線蛍光色素を含むナノ粒子製剤が記載されている。また、特許文献5には、荷電された高分子電解質および反対に荷電された親水性の光学的蛍光剤の共凝集体を含む超微粒子マトリックスが記載されている。
しかし、特許文献1〜3に記載されているようなゼラチン誘導体、正帯電部位を有する脂質、リポソーム膜構成物質等は製造コストが高いという問題がある。また、特許文献4および5に記載されているようなナノ粒子製剤、超微粒子マトリックス等は、製造に手間がかかるという問題がある。
特開2012−67295号公報 国際公開2013/125237号 国際公開2013/051732号 特表2010−539138号公報 特表2009−507092号公報
本発明の目的は、水中における近赤外有機色素の発光強度および安定性を向上させることにある。
本発明者が、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、スルホナート基(−SO 基)および特定の炭素数のアルキル基を有するカリックスアレーン誘導体を用いれば、水中における近赤外有機色素の発光強度および安定性を向上させ得ることを見出した。この知見に基づく本発明は以下の通りである。
[1] 近赤外有機色素、および
式(I):
(式(I)中、
nは、4〜8の整数を示し、
n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
は、1価のカチオンを示す。)
で表されるカリックスアレーン誘導体
を含有する組成物。
[2] Mが、アルカリ金属イオンである前記[1]に記載の組成物。
[3] Mが、ナトリウムイオンである前記[1]に記載の組成物。
[4] nが4であり、4個のRが、それぞれ独立に、C4−11アルキル基である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の組成物。
[5] nが6であり、6個のRが、それぞれ独立に、C4−12アルキル基である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の組成物。
[6] nが8であり、8個のRが、それぞれ独立に、Cアルキル基である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の組成物。
[7] 近赤外有機色素が、インドシアニングリーン、ローダミン800、オキサジン750、IR780、IR813およびIR1048からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の組成物。
[8] 近赤外有機色素が、抗体と結合したものである前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の組成物。
[9] 式(I)で表されるカリックスアレーン誘導体の量が、近赤外有機色素1モルに対して、10〜10,000モルである前記[1]〜[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[10]式(I):
(式(I)中、
nは、4〜8の整数を示し、
n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
は、1価のカチオンを示す。)
で表されるカリックスアレーン誘導体を含有する、水中における近赤外有機色素の発光強度増強剤。
[11]式(I):
(式(I)中、
nは、4〜8の整数を示し、
n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
は、1価のカチオンを示す。)
で表されるカリックスアレーン誘導体を含有する、水中における近赤外有機色素の安定化剤。
[12] 式(I):
(式(I)中、
nは、4〜8の整数を示し、
n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
は、1価のカチオンを示す。)
で表されるカリックスアレーン誘導体を使用して水中における近赤外有機色素の発光強度を向上させる方法。
[13] 式(I):
(式(I)中、
nは、4〜8の整数を示し、
n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
は、1価のカチオンを示す。)
で表されるカリックスアレーン誘導体を使用して水中における近赤外有機色素の安定性を向上させる方法。
[14] 水中における近赤外有機色素の発光強度および安定性を向上させるために用いられる、式(I):
(式(I)中、
nは、4〜8の整数を示し、
n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
は、1価のカチオンを示す。)
で表されるカリックスアレーン誘導体。
本発明によれば、水中における近赤外有機色素の蛍光強度および安定性を向上させることができる。
試験例1で測定したインドシアニングリーンのリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例2で測定したインドシアニングリーンのリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例3で測定したインドシアニングリーンのリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例4で測定したローダミン800のリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例5で測定したオキサジン750のリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例6で測定したIR780のリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例7で測定したIR813のリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例8で測定した測定したIR1048のリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例9で測定した、インドシアニングリーンのリン酸緩衝生理食塩水溶液を調製してからの時間と蛍光強度との関係を示すグラフである。 試験例9で測定した、調製してから1ヶ月後のインドシアニングリーンのリン酸緩衝生理食塩水溶液の蛍光スペクトルである。 試験例10で測定した、インドシアニングリーン−抗HER2抗体およびカリックスアレーン誘導体S4−6を用いた乳がん細胞の近赤外蛍光イメージングの画像である。 試験例10で測定した、インドシアニングリーン−抗HER2抗体を用いた乳がん細胞の近赤外蛍光イメージングの画像である。 試験例11で測定した、インドシアニングリーンおよびカリックスアレーン誘導体S4−6を用いたマウス肝臓の近赤外蛍光イメージングの画像である。 試験例11で測定した、インドシアニングリーンを用いたマウス肝臓の近赤外蛍光イメージングの画像である。 試験例12で測定した、インドシアニングリーンおよびカリックスアレーン誘導体S4−6を用いたマウスリンパ節の近赤外蛍光イメージングの画像である。 試験例12で測定した、インドシアニングリーンを用いたマウスリンパ節の近赤外蛍光イメージングの画像である。 試験例13で測定した、インドシアニングリーン−抗HER2抗体よびカリックスアレーン誘導体S4−6を用いた乳がん腫瘍の近赤外蛍光イメージングの画像である((A)〜(C)は、それぞれ、投与直後(0時間)、投与40時間後、投与69時間後の画像である)。 試験例13で測定した、インドシアニングリーン−抗HER2抗体よびカリックスアレーン誘導体S4−6を用いた乳がん腫瘍の近赤外蛍光イメージングの画像である((A)〜(C)は、それぞれ、投与直後(0時間)、投与40時間後、投与69時間後の画像である)。 試験例14で測定した、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加したHeLa細胞およびカリックスアレーン誘導体S4−6を添加していないHeLa細胞(コントロール)の細胞生存率を示すグラフである。 試験例15で測定した、スルホン化カリックス[4]アレーンのナトリウム塩S4のリン酸緩衝生理食塩水溶液中での粒径を示すグラフである。 試験例15で測定した、カリックスアレーン誘導体S4−6のリン酸緩衝生理食塩水溶液中での粒径を示すグラフである。
本発明は、水中における近赤外有機色素の蛍光強度および安定性を向上させるために、上記式(I)で表されるカリックスアレーン誘導体(以下「カリックスアレーン誘導体(I)」と略称することがある。)を使用することを特徴とする。そのため本発明は、(i)近赤外有機色素およびカリックスアレーン誘導体(I)を含有する組成物;(ii)カリックスアレーン誘導体(I)を含有する、水中における近赤外有機色素の発光強度増強剤;(iii)カリックスアレーン誘導体(I)を含有する、水中における近赤外有機色素の安定化剤;(iv)カリックスアレーン誘導体(I)を使用して水中における近赤外有機色素の蛍光強度を向上させる方法;および(v)カリックスアレーン誘導体(I)を使用して水中における近赤外有機色素の安定性を向上させる方法;を提供する。
本発明は、好ましくは、(i)近赤外有機色素およびカリックスアレーン誘導体(I)を含有する組成物;(ii−iii)カリックスアレーン誘導体(I)を含有する、水中における近赤外有機色素の発光強度および安定性の増強剤;および(iv−v)カリックスアレーン誘導体(I)を使用して水中における近赤外有機色素の蛍光強度および安定性を向上させる方法;を提供する。
本発明において近赤外有機色素とは、光を吸収して、近赤外領域の光(700〜1,500nm)を発光する有機化合物を意味する。近赤外有機色素としては、例えば、下記式で表されるインドシアニングリーン、ローダミン800、オキサジン750、IR780、IR813、IR1048等が挙げられる。これらの中でインドシアニングリーンが好ましい。
近赤外有機色素は、抗体と結合したものであってもよい。抗体としては、モノクロナール抗体が好ましい。モノクロナール抗体としては、ヒト化抗体、ヒト抗体が好ましい。ヒト化抗体としては、例えば、抗HER2抗体(例えば、ハーセプチン(登録商標))、抗VEGF抗体(ベバシズマブ)、抗IGF1R抗体(AMG479)、抗CD22抗体(エプラツズマブ)、抗EGFR抗体(マツズマブ)等が挙げられる。ヒト抗体としては、例えば、抗HGF抗体(AMG102)、抗IGF1R抗体(シクスシマブ)、抗IGF1R抗体(ダロツズマブ)、抗RANKL抗体(デノスマブ)、抗EGFR抗体(マニツズマブ)等が挙げられる。抗体と結合した近赤外有機色素は、公知の方法、例えば、BioconjugateChem., 2009, 20(11), p 2177. に記載の方法によって製造することができる。近赤外有機色素と抗体との結合は、公知のリンカーを使用してもよい。そのため、上述の「抗体と結合した近赤外有機色素」には、リンカーを介して抗体と結合した近赤外有機色素が含まれる。
本発明で使用するカリックスアレーン誘導体(I)は、ハロゲン化アルキルを用いて、スルホン化カリックス[n]アレーン(nは4〜8の整数を示す)のフェノール性水酸基をアルキル化することによって製造することができる。ハロゲン化アルキルを用いるアルキル化は周知の合成法であり、当業者であれば、合成条件を適宜設定して容易に行うことができる。また、スルホン化カリックス[n]アレーンは市販されており、容易に入手することができる。このようにカリックスアレーン誘導体(I)は、従来技術で使用されている物(例えば、特許文献1で使用されているゼラチン誘導体等)に比べて大量合成が容易であり、安価に製造することができる。また、カリックスアレーン誘導体(I)は、下記試験例で示されるように、細胞毒性を有さないという利点を有する。
下記試験例で示されるように、近赤外有機色素の水溶液にカリックスアレーン誘導体(I)の出発原料であるスルホン化カリックス[n]アレーンのナトリウム塩を添加すると、かえって発光強度が低下する。しかし、驚くべきことに、スルホン化カリックス[n]アレーンをアルキル化したカリックスアレーン誘導体(I)を近赤外有機色素の水溶液に添加すると、水中での近赤外有機色素の安定性および発光強度が顕著に向上する。
カリックスアレーン誘導体(I)は、親水性の−SO 基および疎水性の基R(即ち、C4−12アルキル基)を有する両親媒性化合物であり、水中では、親水性の−SO 基を外側にし、疎水性のC4−12アルキル基を内側にしたミセルを形成すると考えられる。形成したカリックスアレーン誘導体(I)のミセルの内側には疎水的な環境が形成され、この内側に近赤外有機色素が取り込まれることによって、近赤外有機色素の安定性および発光強度の向上が達成されると推定される。但し、本発明はこのような推定に限定されない。
式(I)中のnは4〜8の整数を示す。nは、好ましくは4、6または8であり、より好ましくは4または6であり、さらに好ましくは4である。
式(I)中のRはC4−12アルキル基を示す。n個のRは、同じものでも、異なるものでもよく、好ましくは、同じものである。アルキル基は、直鎖状でも、分枝鎖状でもよく、好ましくは直鎖状である。C4−12アルキル基としては、例えば、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられる。
式(I)中のMは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン等の1価のカチオンを示す。Mは、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
nが4であるカリックスアレーン誘導体(I)において、4個のRは、それぞれ独立に、好ましくはC4−11アルキル基、より好ましくは直鎖のC4−11アルキル基、さらに好ましくは直鎖のC4−9アルキル基である。前記C4−11アルキル基およびC4−9アルキル基の具体例としては、それぞれ、前記C4−12アルキル基の具体例の中で炭素数が4〜11であるもの、および炭素数が4〜9であるものが挙げられる。前記カリックスアレーン誘導体(I)において、4個のRは同じものであることが好ましい。前記カリックスアレーン誘導体(I)において、Mは、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
nが6であるカリックスアレーン誘導体(I)において、6個のRは、それぞれ独立に、好ましくはC4−12アルキル基、より好ましくは直鎖のC4−12アルキル基、さらに好ましくは直鎖のC6−11アルキル基である。前記C4−11アルキル基およびC4−9アルキル基の具体例としては、それぞれ、前記C4−12アルキル基の具体例の中で炭素数が4〜11であるもの、および炭素数が4〜9であるものが挙げられる。前記カリックスアレーン誘導体(I)において、6個のRは同じものであることが好ましい。前記カリックスアレーン誘導体(I)において、Mは、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
nが8であるカリックスアレーン誘導体(I)において、8個のRは、それぞれ独立に、好ましくはCアルキル基である。前記カリックスアレーン誘導体(I)において、8個のRは、より好ましくはn−ペンチルである。前記カリックスアレーン誘導体(I)において、Mは、好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。
水中における近赤外有機色素の安定化および発光強度の向上の観点から、カリックスアレーン誘導体(I)の量は、近赤外有機色素1モルに対して、好ましくは10〜10,000モル、より好ましくは100〜10,000モル、さらに好ましくは500〜5,000モル、特に好ましくは1,000〜3,000モルである。
以下、製造例および試験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の製造例および試験例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
製造例1:カリックスアレーン誘導体S4−6の製造
50mLの三角フラスコに、スルホン化カリックス[4]アレーン(即ち、テトラスルホ(テトラヒドロキシ)カリックス[4]アレーン、東京化成工業社製)1gを秤り取り、蒸留水4mLに溶かし、水酸化ナトリウム0.5gを加えた。得られた溶液に、ジメチルスルホキシド20mLを加え、撹拌した。得られた溶液に、臭化ヘキシル(n−C13Br)4gを加え、50〜60℃で24時間反応させた。反応終了後、ろ過し、ろ液にエタノールを加えて、生成物を沈殿させた。遠心分離機(15,000g)により生成物を分離し、蒸留水10mLに溶解させた。これに再びエタノールを加えて生成物を沈殿させた。この操作をさらに2回繰り返して、精製を行った。得られた精製物を真空乾燥して、上記式で表されるカリックスアレーン誘導体S4−6を得た。得られたS4−6を、乳鉢にて粉砕し、得られた粉末を保存した。
製造例2:カリックスアレーン誘導体Sn−mの製造
出発原料としてスルホン化カリックス[4]アレーン、スルホン化カリックス[6]アレーンまたはスルホン化カリックス[8]アレーン(即ち、テトラスルホ(テトラヒドロキシ)カリックス[4]アレーン、ヘキサスルホ(ヘキサヒドロキシ)カリックス[4]アレーン、またはオクタスルホ(オクタヒドロキシ)カリックス[8]アレーン)を使用し、製造例1と同様にして、上記式で表されるカリックスアレーン誘導体Sn−mを製造した(nおよびmは整数を示す。)。なお、前記Sn−mにおいて、nは、式(I)中のn(即ち、繰返し単位の数)に対応し、mは、式(I)中のRの炭素数に対応する。また、製造例1および2のいずれにおいても、直鎖の臭化アルキルを使用し、Rとして直鎖アルキル基を導入した。
試験例1:カリックスアレーン誘導体S4−mによるインドシアニングリーン(ICG)の蛍光強度向上の観察
ICG(Sigma-Aldrich 社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、スルホン化カリックス[4]アレーンのナトリウム塩S4またはカリックスアレーン誘導体S4−m(mは整数を示す。)(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、スルホン化カリックス[4]アレーンのナトリウム塩S4等を添加していないICGのPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長740nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。結果を図1に示す。
図1に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−4〜S4−11を添加したPBS溶液では、これらを添加しないPBS溶液に比べて、ICGの蛍光強度が向上した。一方、スルホン化カリックス[4]アレーンのナトリウム塩S4または短鎖アルキル基(プロピル基)を導入したカリックスアレーン誘導体S4−3を添加したPBS溶液では、これらを添加しないPBS溶液に比べて、ICGの蛍光強度が低下した。
試験例2:カリックスアレーン誘導体S6−mによるインドシアニングリーン(ICG)の蛍光強度向上の観察
ICG(Sigma-Aldrich 社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、スルホン化カリックス[6]アレーンのナトリウム塩S6またはカリックスアレーン誘導体S6−m(mは整数を示す。)(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、スルホン化カリックス[6]アレーンのナトリウム塩S6等を添加していないICGのPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長740nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。結果を図2に示す。
図2に示されるように、カリックスアレーン誘導体S6−4〜S6−12を添加したPBS溶液では、これらを添加しないPBS溶液に比べて、ICGの蛍光強度が向上した。一方、スルホン化カリックス[6]アレーンのナトリウム塩S6または短鎖アルキル基(プロピル基)を導入したカリックスアレーン誘導体S6−3を添加したPBS溶液では、これらを添加しないPBS溶液に比べて、ICGの蛍光強度が低下した。
試験例3:カリックスアレーン誘導体S8−mによるインドシアニングリーン(ICG)の蛍光強度向上の観察
ICG(Sigma-Aldrich 社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、スルホン化カリックス[8]アレーンのナトリウム塩S8またはカリックスアレーン誘導体S8−m(mは整数を示す。)(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、スルホン化カリックス[8]アレーンのナトリウム塩S8等を添加していないICGのPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長740nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。結果を図3に示す。
図3に示されるように、カリックスアレーン誘導体S8−5を添加したPBS溶液では、これを添加しないPBS溶液に比べて、ICGの蛍光強度が向上した。一方、スルホン化カリックス[8]アレーンのナトリウム塩S8または短鎖アルキル基(プロピル基)を導入したカリックスアレーン誘導体S8−3を添加したPBS溶液では、これらを添加しないPBS溶液に比べて、ICGの蛍光強度が低下した。
試験例4:カリックスアレーン誘導体S4−6によるローダミン800の蛍光強度向上の観察
ローダミン800(和光純薬工業社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、カリックスアレーン誘導体S4−6(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加していないローダミン800のPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長640nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。結果を図4に示す。
図4に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加したPBS溶液では、これを添加しないPBS溶液に比べて、ローダミン800の蛍光強度が向上した。
試験例5:カリックスアレーン誘導体S4−6によるオキサジン750の蛍光強度向上の観察
オキサジン750(エキシトン社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、カリックスアレーン誘導体S4−6(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加していないオキサジン750のPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長640nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。結果を図5に示す。
図5に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加したPBS溶液では、これを添加しないPBS溶液に比べて、オキサジン750の蛍光強度が向上した。
試験例6:カリックスアレーン誘導体S4−6によるIR780の蛍光強度向上の観察
IR780(シグマアルドリッチ社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、カリックスアレーン誘導体S4−6(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加していないIR780のPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長740nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。結果を図6に示す。
図6に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加したPBS溶液では、これを添加しないPBS溶液に比べて、IR780の蛍光強度が向上した。
試験例7:カリックスアレーン誘導体S4−6によるIR813の蛍光強度向上の観察
IR813(シグマアルドリッチ社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、カリックスアレーン誘導体S4−6(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加していないIR813のPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長740nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。結果を図7に示す。
図7に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加したPBS溶液では、これを添加しないPBS溶液に比べて、IR813の蛍光強度が向上した。
試験例8:カリックスアレーン誘導体S4−6によるIR1048の蛍光強度向上の観察
IR1048(シグマアルドリッチ社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL、10体積%のジメチルスルホキシドを含む)に、カリックスアレーン誘導体S4−6(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加していないIR1048のPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長960nmおよび室温の条件で(株)堀場製作所製NanoLogを用いて測定した。結果を図8に示す。
図8に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加したPBS溶液では、これを添加しないPBS溶液に比べて、IR1048の蛍光強度が向上した。
試験例9:カリックスアレーン誘導体S4−6によるインドシアニングリーン(ICG)の安定性向上の観察
ICG(Sigma-Aldrich 社製)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(色素濃度:1μM、3mL)に、カリックスアレーン誘導体S4−6(10mg)を添加し、蛍光スペクトルを測定した。同様に、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加していないICGのPBS溶液の蛍光スペクトルを測定した。なお、蛍光スペクトルは、励起波長740nmおよび室温の条件で日本分光社製JASCO FP−8200を用いて測定した。ICGのPBS溶液を調製してからの時間と蛍光強度との関係を示すグラフを図9に、PBS溶液を調製してから1ヶ月後の蛍光スペクトルを図10に示す。
図9に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6を添加したPBS溶液では、PBS溶液の調製から6日後でも蛍光強度が高いままであり、図10に示されるように、PBS溶液の調製から1ヶ月後でも蛍光スペクトルが観察された。一方、S4−6を添加していないPBS溶液では、PBS溶液の調製から2日程度で蛍光が消失した。
試験例10:インドシアニングリーン(ICG)−抗HER2抗体を用いた乳がん細胞(KPL−4)の近赤外蛍光イメージング
まず、抗HER2抗体(ハーセプチン(登録商標)、中外製薬社製)を結合したICG(ICG−抗HER2抗体)を、Bioconjugate Chem., 2009, 20(11), p 2177. に記載の方法によって製造した。
次いで、得られたICG−抗HER2抗体を用いて、HER2陽性ヒト乳がん細胞(KPL−4、川崎医大)の細胞表面にあるHER2受容体の近赤外蛍光イメージングを行った。画像は、励起波長760nmおよび蛍光波長830nmの条件でキーエンス社製の蛍光顕微鏡を用いて取得した。ICG−抗HER2抗体溶液(色素濃度:1μM、100μL)にカリックスアレーン誘導体S4−6(1mg)を加えたときの画像を図11に、S4−6を加えていないときの画像を図12に示す。
図11および図12の対比から明らかなように、カリックスアレーン誘導体S4−6を用いることによって、蛍光画像の強度が顕著に改善される。
試験例11:インドシアニングリーン(ICG)を用いたマウス肝臓の近赤外蛍光イメージング
ヌードマウスの尾静脈から、ICGおよびカリックスアレーン誘導体S4−6の溶液(色素濃度:1μM、S4−6濃度:125μM、0.1mL)またはICG溶液(色素濃度:1μM、0.1mL)を投与し、肝臓の近赤外蛍光イメージングを行った。画像は、励起波長760nm、蛍光波長830nmおよび露光時間30秒の条件で Bruker 社製イメージング装置 MS FX PRO を用いて取得した。S4−6を用いたときの画像を図13に、S4−6を用いていないときの画像を図14に示す。
カリックスアレーン誘導体S4−6を用いたときの画像(図13)は、S4−6を用いないときの画像(図14)に比べて、肝臓部分の蛍光強度が2〜3倍高かった。
試験例12:インドシアニングリーン(ICG)を用いたマウスリンパ節の近赤外蛍光イメージング
ヌードマウスの左足表面からICGおよびカリックスアレーン誘導体S4−6の溶液(色素濃度:1μM、S4−6濃度:125μM、0.1mL)またはICG溶液(色素濃度:1μM、0.1mL)を投与し、下肢リンパ節の近赤外蛍光イメージングを行った。画像は、励起波長785nmおよび蛍光波長800nm以上の条件で Andor 社製Si EM カメラを用いて取得した。S4−6を用いたときの画像を図15に、S4−6を用いていないときの画像を図16に示す。
カリックスアレーン誘導体S4−6を用いた場合には、ICGの蛍光強度が高いため、リンパ節が造影できた(図15)。しかし、S4−6を用いない場合には、リンパ節を造影できなかった(図16)。
試験例13:インドシアニングリーン(ICG)−抗HER2抗体を用いた乳がん腫瘍の近赤外蛍光イメージング
抗HER2抗体(ハーセプチン(登録商標)、中外製薬社製)を結合したICGを用いて、HER2陽性ヒト乳がん細胞(KPL−4、川崎医大製)を移植したヌードマウスの乳がん腫瘍の近赤外蛍光イメージングを行った。ICG−抗HER2抗体およびカリックスアレーン誘導体S4−6の溶液(色素濃度:1μM、S4−6濃度:125μM、0.1mL)またはICG−抗HER2抗体の溶液(色素濃度:1μM、0.1mL)は、尾静脈から投与した。画像は、励起波長760nm、蛍光波長830nm、および露光時間60秒の条件で Bruker 社製イメージング装置 MS FX PRO を用いて取得した。S4−6を用いたときの画像を図17に、S4−6を用いていないときの画像を図18に示す。
カリックスアレーン誘導体S4−6を用いたときの画像(図17)は、S4−6を用いないときの画像(図18)に比べて、乳がん腫瘍の蛍光強度が2〜3倍高かった。
試験例14:カリックスアレーン誘導体S4−6の細胞毒性の評価
カリックスアレーン誘導体S4−6のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(S4−6濃度:1mM)をHeLa細胞に所定の濃度(10μM、50μMまたは100μM)になるように添加し、添加24時間後にInvitrogen 社製セルカウンターで細胞生存率を測定した。同様に、S4−6を添加しないコントロールの細胞生存率を測定した。結果を図19に示す。
図19に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6は100μM以下の濃度では細胞毒性を示さなかった。
試験例15:スルホン化カリックス[4]アレーンのナトリウム塩S4およびカリックスアレーン誘導体S4−6のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中の粒径測定
PBS(3mL)に、スルホン化カリックス[4]アレーンのナトリウム塩S4またはカリックスアレーン誘導体S4−6(10mg)を溶かし、光路長1cmのセルを用いたMalvern 社製 Nano-ZS によって、それらの粒子径を測定した。それらの結果を図20および図21に示す。
図21に示されるように、カリックスアレーン誘導体S4−6の粒径は10nm以下であり、リポソームのような大きな構造を持っていなかった。この結果から、カリックスアレーン誘導体S4−6のミセル形成が示唆される。
本発明によれば、水中における近赤外有機色素の蛍光強度および安定性を向上させることができる。そのため、本発明は近赤外蛍光イメージング等に利用することができる。
本願は、日本で出願された特願2015−063326号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。

Claims (13)

  1. 近赤外有機色素、および
    式(I):
    (式(I)中、
    nは、4〜8の整数を示し、
    n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
    は、1価のカチオンを示す。)
    で表されるカリックスアレーン誘導体
    を含有する組成物。
  2. が、アルカリ金属イオンである請求項1に記載の組成物。
  3. が、ナトリウムイオンである請求項1に記載の組成物。
  4. nが4であり、4個のRが、それぞれ独立に、C4−11アルキル基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. nが6であり、6個のRが、それぞれ独立に、C4−12アルキル基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  6. nが8であり、8個のRが、それぞれ独立に、Cアルキル基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 近赤外有機色素が、インドシアニングリーン、ローダミン800、オキサジン750、IR780、IR813およびIR1048からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 近赤外有機色素が、抗体と結合したものである請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 式(I)で表されるカリックスアレーン誘導体の量が、近赤外有機色素1モルに対して、10〜10,000モルである請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 式(I):
    (式(I)中、
    nは、4〜8の整数を示し、
    n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
    は、1価のカチオンを示す。)
    で表されるカリックスアレーン誘導体を含有する、水中における近赤外有機色素の発光強度増強剤。
  11. 式(I):
    (式(I)中、
    nは、4〜8の整数を示し、
    n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
    は、1価のカチオンを示す。)
    で表されるカリックスアレーン誘導体を含有する、水中における近赤外有機色素の安定化剤。
  12. 式(I):
    (式(I)中、
    nは、4〜8の整数を示し、
    n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
    は、1価のカチオンを示す。)
    で表されるカリックスアレーン誘導体を使用して水中における近赤外有機色素の発光強度を向上させる方法。
  13. 式(I):
    (式(I)中、
    nは、4〜8の整数を示し、
    n個のRは、それぞれ独立に、C4−12アルキル基を示し、
    は、1価のカチオンを示す。)
    で表されるカリックスアレーン誘導体を使用して水中における近赤外有機色素の安定性を向上させる方法。
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