JPWO2016148101A1 - 光電変換素子、色素増感太陽電池、ルテニウム錯体色素および色素溶液 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池、ルテニウム錯体色素および色素溶液 Download PDF

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Abstract

感光体層が、式(1)で表されるルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子および色素増感太陽電池;式(1)で表されるルテニウム錯体色素;この色素を含む色素溶液。式中、Mは水素イオンまたは陽イオンを表す。X1は窒素原子またはCR2を表す。X2は窒素原子またはCR3を表す。R1〜R3は水素原子または特定の基を表す。G1は式(G1)で表される基を示す。R4は特定の基を表す。R5は、水素原子または特定の基を表す。mは1〜3、nは0〜2の整数を表す。Y1は酸素原子、硫黄原子、NRf、セレン原子、CRf2またはSiRf2を表す。Rfは水素原子またはアルキル基を表す。*は式(1)中のピリジン環との結合部を表す。

Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池、ルテニウム錯体色素および色素溶液に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等の光電気化学電池等に用いられている。この光電変換素子には、金属を用いた方式、半導体を用いた方式、有機顔料や色素を用いた方式、または、これらを組み合わせた方式等の様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。その中でも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループットおよびコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで、色素増感太陽電池の研究が精力的に行われている。特にその契機となったのは、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzel等の研究成果である。彼らは、ポーラス酸化チタン膜の表面にルテニウム錯体からなる色素を固定した構造を採用し、アモルファスシリコン並の光電変換効率を実現した。これにより、高価な真空装置を使用しなくても製造できる色素増感太陽電池が一躍世界の研究者から注目を集めるようになった。
現在までに、色素増感太陽電池に使用される金属錯体色素として、一般的に、N3、N719、N749(ブラックダイともいう)、Z907、J2と呼ばれる色素等が開発されている。
これらの色素以外にも、色素増感太陽電池の光電変換効率の向上等を示す金属錯体色素が開発されている。
例えば、特許文献1には、ターピリジン配位子と、特定のピリジン系2座配位子と、単座配位子が中心金属に配位した金属錯体色素が記載され、この金属錯体色素を光電変換素子の増感色素として用いることにより、長波長領域のIPCE(Incident Photon to Current Conversion Efficiency)が高まり、また耐久性も向上したことが記載されている。特許文献1記載の上記色素において、上記2座配位子のピリジン環と単座配位子はシス配置である。
特開2013−72080号公報
色素増感太陽電池の実用化には、これらが設置される外部環境(例えば昼夜の温度変化の激しい環境)における使用において、光電変換性能を安定的に維持できる高度な耐久性が求められる。かかる耐久性の実現には、太陽電池が設置される過酷な現場環境においても、半導体微粒子表面に増感色素が担持された状態を安定的に維持することが重要となる。すなわち、外部環境の変化に対して増感色素が半導体微粒子表面から容易に脱離してしまうと、長期に亘り安定した光電変換性能を発現する実用的な電池を得ることはできない。
本発明は、外部環境の温度変化(例えば昼夜の過酷な温度変化)の繰り返しによっても光電変換効率が低下しにくく高度な耐久性を示す光電変換素子、およびこの光電変換素子を用いた色素増感太陽電池を提供することを課題とする。
また本発明は、光電変換素子ないし色素増感太陽電池の増感色素として好適なルテニウム錯体色素であって、半導体微粒子表面への吸着安定性に優れ、外部環境の温度変化(例えば昼夜の過酷な温度変化)の繰り返しに対して高度な耐久性を示す光電変換素子ないし色素増感太陽電池の製造を可能とするルテニウム錯体色素を提供することを課題とする。また本発明は、本発明の光電変換素子ないし色素増感太陽電池の感光体層の形成に好適な色素溶液を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって解決された。
<1>導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、感光体層が、下記式(1)で表されるルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
式中、Mは水素イオンまたは陽イオンを表す。Xは窒素原子またはCRを表す。Xは、Xが窒素原子の場合、窒素原子を表し、XがCRの場合、窒素原子またはCRを表す。R〜Rは、水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、アリール基またはハロゲン原子を表す。Gは、下記式(G1)で表される基を示す。
式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。mは1〜3の整数を表す。nは0〜2の整数を表す。Yは酸素原子、硫黄原子、NR、セレン原子、CR またはSiR を表す。Rは水素原子またはアルキル基を表す。*は式(1)中のピリジン環との結合部を表す。
<2>XがCHであって、Xが窒素原子である<1>に記載の光電変換素子。
<3>Yが硫黄原子である<1>または<2>に記載の光電変換素子。
<4>nが0である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<5>上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の光電変換素子を有する色素増感太陽電池。
<6>下記式(1)で表されるルテニウム錯体色素。
式中、Mは水素イオンまたは陽イオンを表す。Xは窒素原子またはCRを表す。Xは、Xが窒素原子の場合、窒素原子を表し、XがCRの場合、窒素原子またはCRを表す。R〜Rは、水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、アリール基またはハロゲン原子を表す。Gは、下記式(G1)で表される基を示す。
式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。mは1〜3の整数を表す。nは0〜2の整数を表す。Yは酸素原子、硫黄原子、NR、セレン原子、CR またはSiR を表す。Rは水素原子またはアルキル基を表す。*は式(1)中のピリジン環との結合部を表す。
<7>XがCHであって、Xが窒素原子である<6>に記載のルテニウム錯体色素。
<8>Yが硫黄原子である<6>または<7>に記載のルテニウム錯体色素。
<9>nが0である<6>〜<8>のいずれか1つに記載のルテニウム錯体色素。
<10>上記<6>〜<9>のいずれか1つに記載のルテニウム錯体色素を溶解してなる色素溶液。
本明細書において、特に断りがない限り、二重結合については、分子内にE型およびZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
特定の符号や式で表示された置換基や連結基、配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。
また、環、例えば、芳香族環または脂肪族環は、さらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を奏する範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。さらに、置換または無置換を明記していない化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは、置換基、連結基および配位子についても同様である。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、外部環境の温度変化(例えば昼夜の過酷な温度変化)の繰り返しによっても光電変換効率が低下しにくく高度な耐久性を示す。また、本発明のルテニウム錯体色素は半導体微粒子表面への吸着安定性に優れ、外部環境の温度変化の繰り返しに対して高度な耐久性を示す光電変換素子ないし色素増感太陽電池の製造を可能とする。また本発明の色素溶液は、上記の高度な耐久性を示す本発明の光電変換素子ないし色素増感太陽電池の感光体層の形成に好適に用いることができる。
本発明の上記および他の特徴および利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
図1は、本発明の第1態様の光電変換素子を、電池用途に応用したシステムにおいて、層中の円部分の拡大図も含めて、模式的に示した断面図である。 図2は、本発明の第2態様の光電変換素子からなる色素増感太陽電池を模式的に示した断面図である。
[光電変換素子および色素増感太陽電池]
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極(対向電極)とを有する。感光体層と電荷移動体層と対極とがこの順で導電性支持体上に設けられている。
本発明の光電変換素子において、その感光体層を形成する半導体微粒子の少なくとも一部は、増感色素として後述する式(1)で表されるルテニウム錯体色素を担持している。ここで、ルテニウム錯体色素が半導体微粒子の表面に担持される態様は、半導体微粒子の表面に吸着する態様、半導体微粒子の表面に堆積する態様、および、これらが混在した態様等を包含する。吸着は、化学吸着と物理吸着とを含み、化学吸着が好ましい。
半導体微粒子は、後述する式(1)で表されるルテニウム錯体色素と併せて他の金属錯体色素を担持していてもよいが、後述するように、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体は実質的に担持していない。
また、感光体層は電解質を含む。感光体層に含まれる電解質は、電荷移動体層が有する電解質と同種でも異種であってもよいが、同種であることが好ましい。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する上記各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。また、必要により上記各層以外の層を有してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いてなる。
以下、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池の好ましい実施形態について説明する。
図1に示されるシステム100は、本発明の第1態様の光電変換素子10を、外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したものである。
光電変換素子10は、導電性支持体1と、色素(ルテニウム錯体色素)21が担持されることにより増感された半導体微粒子22、および、半導体微粒子22間に電解質を含む感光体層2と、正孔輸送層である電荷移動体層3と、対極4とからなる。
光電変換素子10において、受光電極5は、導電性支持体1および感光体層2を有し、作用電極として機能する。
光電変換素子10を応用したシステム100において、感光体層2に入射した光は、ルテニウム錯体色素21を励起する。励起されたルテニウム錯体色素21はエネルギーの高い電子を有しており、この電子がルテニウム錯体色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このときルテニウム錯体色素21は酸化体(カチオン)となっている。導電性支持体1に到達した電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4、電荷移動体層3を経由してルテニウム錯体色素21の酸化体に到達し、この酸化体を還元することで、システム100が太陽電池として機能する。
図2に示される色素増感太陽電池20は、本発明の第2態様の光電変換素子により構成されている。
色素増感太陽電池20となる光電変換素子は、図1に示す光電変換素子に対して、導電性支持体41および感光体層42の構成、および、スペーサーを有する点で異なるが、それらの点以外は図1に示す光電変換素子10と同様に構成されている。すなわち、導電性支持体41は、基板44と、基板44の表面に成膜された透明導電膜43とからなる2層構造を有している。また、感光体層42は、半導体層45と、半導体層45に隣接して成膜された光散乱層46とからなる2層構造を有している。導電性支持体41と対極48との間にはスペーサーが設けられている。色素増感太陽電池20において、40は受光電極であり、47は電荷移動体層である。
色素増感太陽電池20は、光電変換素子10を応用したシステム100と同様に、感光体層42に光が入射することにより、太陽電池として機能する。
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子または色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材は常法により調製することができる。例えば、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2001−185244号公報、特開2001−210390号公報、特開2003−217688号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
<ルテニウム錯体色素>
− 式(1)で表されるルテニウム錯体色素 −
本発明に用いられるルテニウム錯体色素は、下記式(1)で表される。
式中、Mは水素イオンまたは陽イオンを表す。Xは窒素原子またはCRを表す。Xは、Xが窒素原子の場合、窒素原子を表し、XがCRの場合、窒素原子またはCRを表す。R〜Rは、水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、アリール基またはハロゲン原子を表す。Gは、下記式(G1)で表される基を示す。
(ルテニウム錯体色素における立体配置の表記方法)
まず、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の骨格構造を用いて、ルテニウム錯体色素における化学構造式の立体配置の表記方法について説明する。
本明細書においては、ルテニウム錯体色素の3次元構造を、下記(I)の表記方法を使用して、示す。下記(I)で表されるルテニウム錯体色素は、環Aのピリジン環を3個有するターピリジン配位子と、環Bのピリジン環と環Cのピラゾール環が結合したピラゾリルピリジン2座配位子と、−NCS(イソチオシアネート基)とが、Ruにオクタへドラルに配位した3次元構造を有する。ここで、Ruに対する結合のうち、下記(I)の表記中、通常の直線で示す結合が紙面(すなわち同一平面)上にある結合を表し、くさび形の太線で示す結合が紙面の手前にある結合を表し、くさび形の破線が紙面の向こう側(奥側)にある結合を表す。
すなわち、下記(I)で表される構造は、3次元直交座標系の左手座標系を用いて明確に表記すると、下記(II)で表される3次元構造を有する(すなわちトランス配置)。この構造は、Ruを原点として、xy平面上に、ターピリジン配位子の環Aのピリジン環3個と、環Cのピラゾール環とが配置され、z軸の負側に環Bのピリジン環が配置され、z軸の正側に−NCS(イソチオシアネート基)が配置された構造である。
(トランスおよびシス配置)
また、本明細書において、トランス配置とは、増田秀樹、長嶋雲兵編「ベーシックマスター無機化学」(2010年、オーム社)240ページに記載されているように、八面体型6配位錯体における2つの配位子の位置が金属イオンをはさんで反対側にあるものを意味する。このトランス配置は、上記2つの配位子の位置が隣り合っているシス配置のものとは、幾何異性体の関係となる。本明細書においては、トランス配置−シス配置は、下図のLのピリジン環と、下図のXの位置関係を表現するものであり、本発明に用いる式(1)で表されるルテニウム錯体色素の構造はトランス配置である。トランス配置とシス配置を以下に模式的に示す。
上記の模式図において、Lは3個のピリジン環からなるターピリジン配位子を表し、各ピリジン環をNの丸囲み文字で表す。Lはピリジン環と含窒素5員環からなる2座配位子を表し、ピリジン環をNの丸囲み文字で、含窒素5員環をGで表す。また、Xは−NCS(イソチオシアネート基)を表す。MはRuを表す。
本発明の光電変換素子は、増感色素として、式(1)で表されるルテニウム錯体色素のみを用いてもよく、式(1)で表されるルテニウム錯体色素と共に式(1)で表されるルテニウム錯体色素とは異なる金属錯体色素を用いてもよいが、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体は用いない。すなわち、本発明において「式(1)で表されるルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子を有する」とは、半導体微粒子表面に式(1)で表されるルテニウム錯体色素が担持され、且つ、半導体微粒子表面に式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体が担持されていない形態を意味する。
本明細書において、「半導体微粒子表面に式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体が担持されていない形態」とは、半導体微粒子表面に担持された、式(1)で表されるルテニウム錯体色素と式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体の総モル量中、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体のモル量の割合(以下、単に「異性体含有量」ともいう)が0.5モル%以下であること意味し、好ましくは0.3モル%以下であり、より好ましくは0.1モル%以下である。なお、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の合成上、異性体を完全に除くことは難しく、上記割合の現実的な下限値は、0.01モル%以上である。
式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体は、ルテニウム錯体色素の錯体構造に基づく異性体であり、種々のものが挙げられる。例えば、立体異性体、構造異性体が挙げられる。
立体異性体の代表的な例は、例えば、置換基の二重結合におけるE体とZ体(E/Z異性体)、中心金属に対する配位子の空間的配置(絶対配置)による幾何異性体が挙げられる。
一方、構造異性体の代表的な例は、例えば、イオン化異性体、配位異性体および結合異性体が挙げられる。結合異性体は、異なった原子で配位可能な配位子(両座配位子)、例えば−NCS基(イソチオシアネート基)が異なる原子で配位した異性体をいう。例えば、−NCS基がその窒素原子で配位した式(1)で表されるルテニウム錯体色素において、結合異性体は、NCS基がその硫黄原子で配位したルテニウム錯体色素が挙げられる。
本発明において、「式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体」には、不斉炭素原子を持つ置換基に基づく光学異性体は含まれず、また、式(1)で表されるルテニウム錯体色素のMが陽イオンである場合、陽イオンの結合位置(ターピリジン配位子のピリジン環)の違いによる異性体も含まれない(すなわちこれらの異性体は式(1)に含まれる)。したがって、本発明の光電変換素子の感光体層において、これらの異性体が半導体微粒子に担持されていてもよい。
式(1)で表されるルテニウム錯体色素とその異性体の存在は、それぞれ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)において、異なった位置(保持時間)に現れるピークにより、確認(同定)できる。このため、式(1)で表されるルテニウム錯体色素と、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の異性体との存在比率については、HPLCにより決定することができる。具体的には、高速液体クロマトグラフィー装置(島津製作所)を用いて、測定条件として、カラム:YMC−Pac ODS−AM 型番AM−312、温度40℃、検出波長254nm、流速1.0mL/min、溶離液THF(テトラヒドロフラン)/水/TFA(トリフルオロ酢酸)としたときに、得られるそれぞれのピークの面積比から、求めることができる。
以下、本発明に用いるルテニウム錯体色素についてより詳細に説明する。
本発明において、式(1)で表されるルテニウム錯体色素は、含窒素5員環とピリジン環からなる2座配位子におけるピリジン環の3位(ピリジン環中のルテニウムに配位する窒素原子を起点として含窒素5員環に結合する炭素原子を2位とする場合、5位)に置換基Gを有し、かつ、この2座配位子がNCS基に対してトランス位置に存在し、この色素を増感色素として用いることにより、光電変換素子の耐久性(特に昼夜の過酷な温度変化の繰り返しに対する耐久性)が大きく向上する。この理由は以下のように推定される。すなわち、式(1)で表されるルテニウム錯体色素が半導体微粒子の表面に吸着した際に、置換基Gがターピリジン配位子におけるカルボキシ基の近傍に位置するため、吸着基であるカルボキシ基が置換基Gの疎水的作用によって保護され、吸着状態が高度に安定化するためと考えられる。
式(1)で表されるルテニウム錯体色素において、Mが採りうる陽イオンとしては、特に限定されないが、例えば、下記対イオンCIにおける正の対イオン(水素イオンを除く)が挙げられる。なかでも、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンが好ましい。
1〜Rにおけるアルキル基、ヘテロアリール基、アリール基およびハロゲン原子の好ましい形態は、後述の置換基Zにおける対応する基の好ましい形態と同じである。
〜Rとして採りうるアルキル基は、電子求引性基が置換したアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、特にフッ素原子が置換したアルキル基がさらに好ましい。ハロゲン原子が置換したアルキル基において、置換するハロゲン原子の数は、特に限定されず、1個以上で、置換される前のアルキル基が有する水素原子数以下であることが好ましく、1〜6個がより好ましく、1〜3個がさらに好ましい。なかでも、ハロゲン原子が置換したアルキル基は、アルキル基が有するすべての水素原子が置換されたパーハロゲン化アルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチルがさらに好ましい。
〜Rが採りうるアリール基は、電子求引性基が置換したアリール基がより好ましく、ハロゲン原子、特にフッ素原子が置換したアリール基がさらに好ましい。ハロゲン原子が置換したアリール基において、置換するハロゲン原子の数は、特に限定されず、1個以上で、置換される前のアリール基が有する水素原子数以下であることが好ましく、2〜5個がより好ましく、3〜5個がさらに好ましい。なかでも、ハロゲン原子が置換したアリール基は、ハロゲン原子が置換したフェニル基が好ましく、例えば、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルが挙げられる。
〜Rが採りうるヘテロアリール基は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかを環構成原子として有し、環員数が5または6のヘテロアリール基がより好ましく、窒素原子および硫黄原子のいずれかを環構成原子として有するヘテロアリール基がさらに好ましく、さらに好ましくは上記ヘテロアリール基の環構造はチアゾール環、ピリジン環またはチオフェン環であり、ピリジン環またはチオフェン環が特に好ましい。なお、ヘテロアリール基は置換基を有していてもよく、この置換基としては後述の置換基Zが挙げられ、アルキル基が好ましい。具体的には、例えば、3−ピリジニル、5−メチル−2−チオフェニル、2−チアゾリルが挙げられる。
1は、上記の各基のなかでも、アルキル基、ヘテロアリール基、アリール基またはハロゲン原子が好ましく、フッ素原子が置換したアルキル基、またはフッ素原子が置換したアリール基もしくはヘテロアリール基がより好ましく、フッ素原子が置換したアルキル基がさらに好ましい。
は、上記の各基のなかでも、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
は水素原子が好ましい。
は、CRが好ましい。
とXの組み合わせ(以下、(X、X)の順で記載)は、(窒素原子、窒素原子)または(CR、窒素原子)が好ましく、(窒素原子、窒素原子)または(CH、窒素原子)がより好ましく、(CH、窒素原子)がさらに好ましい。
は、下記式(G1)で表される基である。
式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。
mは1〜3の整数を表す。nは0〜2の整数を表す。
は、酸素原子、硫黄原子、NR、セレン原子、CR またはSiR を表す。ここで、Rは水素原子またはアルキル基を表す。*は式(1)中のピリジン環との結合部を表す。
、RおよびRとして採りうる各基の好ましい形態は、後述の置換基Zにおける対応する基の好ましい形態と同じである。
は、上記の各基のなかでも、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基またはヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基がさらに好ましい。
nは、0または1が好ましく、Rが水素原子である場合は1がより好ましく、Rが水素原子でない場合は0がより好ましい。
nが2である場合、2つのRが互いに結合して環を形成していてもよく、隣接するRとRが結合して環を形成していてもよい。形成される環としては、ベンゼン環等のアリール環や、ピラジン環、ピロール環、チオフェン環等のヘテロアリール環、シクロペンタジエン環等の芳香属性を示さない不飽和炭化水素環、1,4−ジオキサン環、2,3−ジヒドロピラジン環等の芳香属性を示さないヘテロ環、これらの環が縮合してなる環(例えばベンゾチオフェン環)等が挙げられる。
は、上記の各基のなかでも、水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基またはアミノ基が好ましく、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基がより好ましく、アルキル基、アルキニル基またはアルキルチオ基がさらに好ましく、アルキル基が特に好ましい。Rが採りうるヘテロアリール基は、上記式(G1)中の、Yを含む環を含まない。
は、酸素原子、硫黄原子またはNRが好ましく、酸素原子または硫黄原子がより好ましく、硫黄原子がさらに好ましい。
mは、1または2が好ましく、1がより好ましい。
mが2または3である場合、隣接するYを含む環が有するRのうち、一方のYを含む環が有するRが他方のYを含む環に結合して環を形成してもよく、また隣接する2つのYを含む環が有するR同士が結合して環を形成していてもよい。形成される環としては、上記Rが形成する環と同義である。
式(G1)で表される基は、下記式(G1−1a)〜(G1−7a)のいずれかで表される基が好ましく、式(G1−1a)または式(G1−5a)で表される基がより好ましく、式(G1−1a)で表される基がさらに好ましい。
式(G1−1a)〜(G1−7a)において、R、Yおよびmは、それぞれ式(G1)における、R、Yおよびmと同義であり、好ましい範囲も同じである。
は水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。
は、水素原子または置換基(好ましくはアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基)を表す。
およびRとして採りうるアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基およびアリール基は、それぞれ式(G1)のRとして採りうるアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基およびアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。RおよびRは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基またはヘテロアリール基がより好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
は、窒素原子またはCRを表し、窒素原子が好ましい。
〜Zは、酸素原子、硫黄原子、NR、CR 、セレン原子またはSiR を表す。ZはNRまたはCR が好ましく、Z〜Zは酸素原子または硫黄原子が好ましい。Zは酸素原子がより好ましい。
およびRは、水素原子またはアルキル基を表す。RおよびRとして採りうるアルキル基の好ましい形態は後述の置換基Zにおけるアルキル基の好ましい形態と同じである。
本明細書において、上記式(1)で表されるルテニウム錯体色素には、ルテニウム錯体色素の電荷を中和するための対イオン(CI)が含まれる形態も包含される。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)、ホスホニウムイオン(例えばテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン)、アルカリ金属イオン(Liイオン、Naイオン、Kイオン等)、アルカリ土類金属イオン、金属錯体イオンまたは水素イオンである。正の対イオンとしては、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等)、または水素イオンが好ましい。
対イオンCIが負の対イオンの場合、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオンが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III))も使用可能である。負の対イオンとしては、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、過塩素酸イオンまたはヘキサフルオロホスフェートイオンが好ましく、ハロゲン陰イオンまたはヘキサフルオロホスフェートイオンがより好ましい。
上記式(1)で表されるルテニウム錯体色素は、例えば、特開2013−084594号公報に記載の方法、特許第4298799号公報に記載の方法、米国特許出願公開第2013/0018189A1、米国特許出願公開第2012/0073660A1、米国特許出願公開第2012/0111410A1および米国特許出願公開第2010/0258175A1号の各明細書に記載の方法、Angew.Chem.Int.Ed.,2011,50,2054−2058に記載の方法、Chem.Commun.,2014,50,6379−6381に記載の方法、Chemical Communications,2009,5844−5846に記載の方法、Journal of Materials Chemistry A,2014,2,17618−17627に記載の方法、これらの文献で挙げられている参照文献に記載の方法、太陽電池に関する上記特許文献、公知の方法、または、これらに準じた方法を参考にして、Ruにターピリジン配位子と二座配位子が配位した中間体合成時の加熱温度または溶媒等を変更することで、トランス幾何異性体である式(1)で表されるルテニウム錯体色素を多く含む混合物を得、この中間体混合物からトランス幾何異性体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー等により単離することで、調製することができる。トランス幾何異性体を単離する操作は、上記の中間体以降ルテニウム錯体色素までのいずれの段階においても実施することができる。
式(1)で表されるルテニウム錯体色素は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜900nmの範囲であり、より好ましくは350〜850nmの範囲であり、特に好ましくは370〜800nmの範囲である。また、吸収波長領域は300〜900nmの全体にわたっていることが好ましい。
以下の記載(実施例を含む)において、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の具体例を示す。また、下記具体例および実施例の具体例に対して、−COOHの少なくとも1つをカルボキシ基の塩とした金属錯体色素も挙げられる。この金属錯体色素において、カルボキシ基の塩を形成する対カチオンとしては、上記CIで説明する正のイオンが挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例のルテニウム錯体色素が、プロトン解離性基を有する配位子を含む場合、配位子は必要に応じて解離してプロトンを放出してもよい。
<置換基群Z
本発明における置換基としては、下記置換基群Zから選ばれる置換基が挙げられる。
本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基群Zを参照するものである。また、各々の基(例えばアルキル基、アリール基等)が記載されているのみの場合は、この置換基群Z中の対応する基(例えばZ中のアルキル基、アリール基等)における好ましい範囲、具体例が適用される。
置換基群Zに含まれる基としては、下記の基、または、下記の基を複数組み合わせてなる基を含む。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、1−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、ベンジル、2−エトキシエチルまたはトリフルオロメチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12で、例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはオレイル)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12で、例えば、エチニル、ブチニル、オクチニルまたはフェニルエチニル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル、ジフルオロフェニルまたはテトラフルオロフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5員環または6員環のヘテロ環基がより好ましい。ヘテロ環には芳香族環および脂肪族環を含む。芳香族ヘテロ環基(例えばヘテロアリール基)として次の基が挙げられる。例えば、2−ピリジル、2−チエニル、2−フラニル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリルまたは2−オキサゾリル)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシまたはベンジルオキシ)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜20)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノまたはトリアジニルアミノ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましい)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましい)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましい)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオまたはベンジルチオ)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましい)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましい)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)が挙げられる。
置換基群Zから選ばれる基は、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはシアノ基である。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、アリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
次に、光電変換素子および色素増感太陽電池の主たる部材の好ましい態様について説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体は、導電性を有し、感光体層2等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された導電性支持体1、または、ガラスもしくはプラスチックの基板44とこの基板44の表面に成膜された透明導電膜43とを有する導電性支持体41が好ましい。
なかでも、基板44の表面に、金属酸化物の透明導電膜43を有する導電性支持体41が好ましい。このような導電性支持体41は、基板44の表面に導電性の金属酸化物を塗布して透明導電膜43を成膜することにより、得られる。プラスチックで形成された基板44としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。また、基板44を形成する材料は、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、基板44の表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体41を用いる場合、光は基板44側から入射させることが好ましい。
導電性支持体1および41は、実質的に透明であることが好ましい。「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性支持体1および41の厚みは、特に限定されないが、0.05μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることがさらに好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明導電膜43を有する場合、透明導電膜43の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることがさらに好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体1および41は、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、表面に、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
<感光体層>
感光体層は、上記色素21が担持された半導体微粒子22および電解質を有していれば、その他の構成は特に限定されない。好ましくは、上記感光体層2および上記感光体層42が挙げられる。
− 半導体微粒子(半導体微粒子が形成する層) −
半導体微粒子22は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物)またはペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブもしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドは、単独で、または、チタニア微粒子に混合して、用いることができる。
半導体微粒子22の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。
半導体微粒子22は多くの色素21を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子22を導電性支持体1または41上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。
半導体微粒子が形成する層の好ましい厚みは、光電変換素子の用途によって一義的なものではないが、典型的には0.1〜100μmである。色素増感太陽電池として用いる場合は、1〜50μmがより好ましく、3〜30μmがさらに好ましい。
半導体微粒子22は、導電性支持体1または41に塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成して、粒子同士を密着させることが好ましい。成膜温度は、導電性支持体1または基板44の材料としてガラスを用いる場合、60〜600℃が好ましい。
半導体微粒子22の、導電性支持体1または41の表面積1m当たりの塗布量は0.5〜500g、さらには5〜100gが好ましい。
導電性支持体1または41と、感光体層2または42との間には、感光体層2または42が含む電解質と導電性支持体1または41が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。
また、受光電極5または40と対極4または48の接触を防ぐために、スペーサーS(図2参照)やセパレータを用いることが好ましい。
− 色素 −
光電変換素子10および色素増感太陽電池20においては、増感色素として少なくとも1種の、上記式(1)で表されるルテニウム錯体色素を使用する。
本発明において、式(1)で表されるルテニウム錯体色素と併用できる色素としては、式(1)で表されるルテニウム錯体色素以外のRu錯体色素(ただし、式(1)で表されるルテニウム錯体色素における異性体の許容量は前述の通りである)、スクアリリウムシアニン色素、有機色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
併用できる色素としては、式(1)で表されるルテニウム錯体色素以外のRu錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、または有機色素が好ましい。
色素の使用量は、全体で、導電性支持体1または41の表面積1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜10ミリモルである。また、色素21の半導体微粒子22に対する吸着量は1gの半導体微粒子22に対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子22における増感効果が十分に得られる。
式(1)で表されるルテニウム錯体色素と他の色素を併用する場合、式(1)で表されるルテニウム錯体色素の質量/他の色素の質量の比は、95/5〜10/90が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40がさらに好ましく、95/5〜65/35が特に好ましく、95/5〜70/30が最も好ましい。
色素を半導体微粒子22に担持させた後に、アミン化合物を用いて半導体微粒子22の表面を処理してもよい。好ましいアミン化合物としてピリジン化合物(例えば4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
− 共吸着剤 −
本発明においては、式(1)で表されるルテニウム錯体色素または必要により併用する色素とともに、さらに共吸着剤を使用することが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基またはその塩)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えば、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、さらに好ましくはデオキシコール酸である。
上記共吸着剤は、特開2014−82187号公報の段落番号0125〜0129に記載の式(CA)で表される共吸着剤が好ましく、特開2014−82187号公報の段落番号0125〜0129の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
上記共吸着剤は、半導体微粒子22に吸着させることにより、ルテニウム錯体色素の非効率な会合を抑制する効果および半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は、特に限定されないが、上記の作用を効果的に発現させる観点から、上記ルテニウム錯体色素1モルに対して、好ましくは1〜200モル、さらに好ましくは10〜150モル、特に好ましくは20〜50モルである。
− 光散乱層 −
本発明において、光散乱層は、入射光を散乱させる機能を有する点で、半導体層と異なる。
色素増感太陽電池20において、光散乱層46は、好ましくは、棒状または板状の金属酸化物微粒子を含有する。光散乱層46に用いられる金属酸化物としては、例えば、上記半導体微粒子を形成する化合物として説明した上記金属のカルコゲニド(酸化物)が挙げられる。光散乱層46を設ける場合、光散乱層の厚みは感光体層42の厚みの10〜50%とすることが好ましい。
光散乱層46は、特開2002−289274号公報に記載されている光散乱層が好ましく、特開2002−289274号公報の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
<電荷移動体層>
本発明の光電変換素子に用いられる電荷移動体層3および47は、色素21の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極5または40と、対極4または48との間に設けられる。
電荷移動体層3および47は電解質を含む。ここで、「電荷移動体層が電解質を含む」とは、電荷移動体層が電解質のみからなる態様、および、電解質と電解質以外の物質を含有する態様の、両態様を含む意味である。
電荷移動体層3および47は、固体状、液体状、ゲル状またはこれら混合状態のいずれであってもよい。
− 電解質 −
電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を含有する溶融塩および酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質が挙げられる。なかでも、液体電解質が光電変換効率の点で好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合わせ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合わせ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが挙げられる。これらのうち、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、または2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましく、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせが特に好ましい。
上記コバルト錯体は、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156に記載の式(CC)で表される錯体が好ましく、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせを用いる場合、5員環または6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩をさらに併用するのが好ましい。
液体電解質およびゲル電解質に用いる有機溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン)が好ましい。
特に、液体電解質に用いる有機溶媒としては、ニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が好ましく、ニトリル化合物がより好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
溶融塩やゲル電解質としては、特開2014−139931号公報の段落番号0205および段落番号0208〜0213に記載のものが好ましく、特開2014−139931号公報の段落番号0205および段落番号0208〜0213の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質は、添加物として、4−t−ブチルピリジン等のピリジン化合物のほか、アミノピリジン化合物、ベンズイミダゾール化合物、アミノトリアゾール化合物およびアミノチアゾール化合物、イミダゾール化合物、アミノトリアジン化合物、尿素化合物、アミド化合物、ピリミジン化合物または窒素を含まない複素環を含有していてもよい。
また、光電変換効率を向上させるために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
ヨウ素は、ヨウ素とシクロデキストリンとの包接化合物として使用することもできる。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
以上の液体電解質および擬固体電解質の代わりに、p型半導体あるいはホール輸送材料等の固体電荷輸送層、例えば、CuI、CuNCSを用いることができる。また、Nature,vol.486,p.487(2012)等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送層として有機ホール輸送材料を用いてもよい。有機ホール輸送材料としては、特開2014−139931号公報の段落番号0214に記載のものが好ましい。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限は特に制限はないが、通常5モル/L程度である。
<対極>
対極4および48は、色素増感太陽電池の正極として働くものであることが好ましい。対極4および48は、通常、上記導電性支持体1または41と同じ構成とすることもできるが、強度が十分に保たれるような構成では基板44は必ずしも必要でない。対極4および48の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光体層2および42に光が到達するためには、上記導電性支持体1または41と対極4または48との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体1または41が透明であって太陽光を導電性支持体1または41側から入射させるのが好ましい。この場合、対極4および48は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。色素増感太陽電池の対極4および48としては、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。色素増感太陽電池では、構成物の蒸散を防止するために、電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
[光電変換素子および色素増感太陽電池の製造方法]
本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池は、本発明のルテニウム錯体色素および溶媒を含有する色素溶液(本発明の色素溶液)を用いて、製造することができる。
このような色素溶液には、本発明のルテニウム錯体色素が溶媒に溶解されてなり、必要により上記共吸着剤等の他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒を挙げることができるが、特にこれに限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、さらにアルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、および、これらの2種以上の混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。さらに好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒の混合溶媒、アルコール溶媒と炭化水素溶媒の混合溶媒、特に好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒の混合溶媒である。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールの少なくとも1種と、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびアセトニトリルの少なくとも1種との混合溶媒が好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、上記の共吸着剤が好ましい。
ここで、本発明の色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を製造する際に、この溶液をこのまま使用できるように、ルテニウム錯体色素や共吸着剤の濃度が調整されている色素溶液が好ましい。本発明において、本発明の色素溶液は本発明のルテニウム錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。共吸着剤の使用量は上記した通りである。
色素溶液は、水分含有量を調整することが好ましく、本発明では水分含有量を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体微粒子表面に式(1)で表されるルテニウム錯体色素またはこれを含む色素を担持させることにより、感光体層を作製することが好ましい。すなわち、感光体層は、導電性支持体上に設けた半導体微粒子に上記色素溶液を塗布(ディップ法を含む)し、乾燥または硬化させて、形成することが好ましい。
このようにして作製した感光体層を備えた受光電極に、さらに電荷移動体層や対極等を設けることで、本発明の光電変換素子を得ることができる。
色素増感太陽電池は、上記のようにして作製した光電変換素子の導電性支持体1および対極4に外部回路6を接続して、製造される。
本発明の色素溶液を用いて光電変換素子の感光体層を形成することにより、半導体表面への色素の吸着安定性を高度に高めることができ、且つ、得られた光電変換素子の、温度変化の繰り返しに対する電流値の減少率を効果的に抑えることができ、安定した電池性能を示す光電変換素子および色素増感太陽電池を製造できる。
以下に実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれに限定されない。
実施例1
[ルテニウム錯体色素の調製]
本発明のルテニウム錯体色素Dye−2、3および5〜12と、比較例のルテニウム錯体色素Dye−1および4の構造を以下に示す。
(ルテニウム錯体色素Dye−1の調製)
ルテニウム錯体色素Dye−1は、米国特許出願公開第2012/0111410A1号の明細書に記載のPRT4の合成法に従いRu4とターピリジン配位子を反応させた後で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってDye−1の前駆体となる中間体を単離し、これ以降の操作はPRT4の合成法と同様に行うことで合成した。質量分析およびH NMRからDye−1は米国特許出願公開第2012/0111410A1号の明細書に記載のPRT4の幾何異性体であることを確認した。
(ルテニウム錯体色素Dye−2および4の調製)
ルテニウム錯体色素Dye−2および4は、Chemical Communications,2009,5844−5846およびこの文献のSupplementary Materialsに記載のPRT1の合成法に従い、ルテニウム二座配位子錯体とターピリジン配位子を反応させた後で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってDye−2およびDye−4の前駆体となる中間体をそれぞれ単離し、これ以降の操作はPRT1の合成法と同様に行うことでそれぞれ合成した。質量分析およびH NMRからDye−2とDye−4は互いに幾何異性体であることを確認した。
(ルテニウム錯体色素Dye−3の調製)
ルテニウム錯体色素Dye−3は下記のスキームにしたがって合成した。下記スキームおよび明細書中の略語の意味は下記の通りである。
Ph :フェニル
Et :エチル
すなわち、Journal of Materials Chemistry A,2014,2,17618−17627およびこの文献のElectronic supplementary informationに記載のPRT−21の合成法を参考にして、中間体3−1とRu−ターピリジン錯体を反応させた後で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって中間体3−2を単離し、これ以降の操作はPRT−21の合成法と同様に行うことで合成した。質量分析およびH NMRからDye−3は特開2013−72080号公報に記載のDye3の幾何異性体であることを確認した。
中間体3−2
H NMR(CDCl):δ=0.90(t,J=6Hz,3H),1.42(t,J=8Hz,9H),1.30−1.80(m,8H),2.88(t,J=6Hz,2H),4.46(q,J=8Hz,4H),4.63(q,J=8Hz,2H),6.60(s,1H),6.99(d,J=3.6Hz,1H),7.52(d,J=3.6Hz,1H),7.75(dd,J=2,5.6Hz,2H),7.82(d,J=8.4Hz,1H),8.00(d,J=5.6Hz,2H),8.18(dd,J=2,8.4Hz,1H),8.77(s,2H),8.92(s,2H),10.31(d,J=1.6Hz,1H)
ESI−MS m/z=965.2(M+H
比較(中間体3−2の幾何異性体(特開2013−72080号公報に記載のDye3の中間体))
H NMR(CDCl):δ=0.90(t,J=6Hz,3H),1.42(t,J=8Hz,9H),1.30−1.80(m,8H),2.88(t,J=6Hz,2H),4.46(q,J=8Hz,4H),4.63(q,J=8Hz,2H),6.71(s,1H),6.85(d,J=3.6Hz,1H),7.45(d,J=3.6Hz,1H),7.75(dd,J=2,5.6Hz,2H),7.81(d,J=8.4Hz,1H),8.00(d,J=5.6Hz,2H),8.09(dd,J=2,8.4Hz,1H),8.72(s,2H),8.84(s,2H),10.31(d,J=1.6Hz,1H)
ESI−MS m/z=965.2(M+H
(ルテニウム錯体色素Dye−5〜12の調製)
ルテニウム錯体色素Dye−2またはDye−3の調製と同様にして、ルテニウム錯体色素Dye−5〜12を調製した。
調製したルテニウム錯体色素をそれぞれMS(マススペクトル)測定により同定した。その結果をまとめて下記表1に示した。また、調製した色素はいずれも異性体含有量が0.1モル%以下であった。
実施例2
[ルテニウム錯体色素の吸着安定性]
ルテニウム錯体色素の半導体微粒子表面への吸着安定性(吸着力)を評価した。この吸着性の評価では、半導体微粒子として二酸化チタンを使用し、この二酸化チタン表面からのルテニウム錯体色素の脱離速度を指標とした。
ルテニウム錯体色素の脱着速度はQuartz Crystal microbalance with Dissipation monitoring(QCM−D)分子間相互作用測定装置E1(メイワフォーシス株式会社製)を用いて算出した。
QCM−Dに用いる金センサー(メイワフォーシス株式会社製)にチタニアペースト「18NR−T」(DyeSol社製)をスクリーン印刷により印刷した(膜厚:20μm)。印刷後の金センサーを空気中、450℃で1時間焼成することにより半導体層が吸着した金センサーを作製した。
作製したセンサーをQCM−D分子間相互作用測定装置にセットし、0.2mMのルテニウム錯体色素溶液(溶媒は、DMF(ジメチルホルムアミド)とt−ブタノールとの体積比が1:1の混合溶媒を使用。)を流すことにより、半導体層へ色素吸着量が所定値(200μg/cm)となるように色素を吸着させた。色素吸着量は水晶振動子の共振周波数シフト(△F)から、下記のSauerbreyの式により算出した。
△F=−2×F ×△m/A(μ×P)1/2
ここで、Fは水晶振動子の単独の周波数、△mは質量変化、AはAu電極の圧電活性面積、μとPは各々水晶の密度と剛性率を表す。
その後、ヨウ素0.1M(モル/L)、ヨウ化リチウム0.1M、4−t−ブチルピリジン0.5Mおよび1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド0.6Mをアセトニトリルに溶解して作製した電解液を75℃で1時間流すことにより脱離した色素の量を測定した。脱離した色素量を上記Sauerbreyの式により算出し、1時間あたりに脱離した色素量、すなわち脱離速度μg/cm・hrにより、以下の評価基準で吸着安定性を評価した。
− 評価基準 −
A:脱離速度が10μg/cm・hr未満
B:脱離速度が10μg/cm・hr以上〜20μg/cm・hr未満
C:脱離速度が20μg/cm・hr以上〜30μg/cm・hr未満
D:脱離速度が30μg/cm・hr以上
上記評価基準A〜Cが本発明の合格レベルであり、評価基準A〜Cに該当するルテニウム錯体色素は、実用的な吸着力を有しているといえる。
下記表2に上記結果をまとめて示す。
実施例3
[色素増感太陽電池の製造]
実施例1で合成したルテニウム錯体色素を用いて、図2に示す色素増感太陽電池20(5mm×5mmのスケール)を製造した。この製造は、以下に示す方法で行った。製造した各色素増感太陽電池20について、下記性能を評価した。
(受光電極前駆体の作製)
ガラス基板(基板44、厚み4mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明導電膜43、膜厚;500nm)を形成し、導電性支持体41を作製した。そして、このSnO導電膜上に、チタニアペースト「18NR−T」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で乾燥させた。次いで、チタニアペースト「18NR−T」を再度スクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを、空気中、500℃で焼成し、半導体層45(層厚;10μm)を成膜した。さらに、この半導体層45上に、チタニアペースト「18NR−AO」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを500℃で焼成し、半導体層45上に光散乱層46(層厚;5μm)を成膜した。
このようにして、SnO導電膜上に、感光体層42(受光面の面積;5mm×5mm、層厚;15μm、ルテニウム錯体色素は未担持)を形成し、ルテニウム錯体色素を担持していない受光電極前駆体を作製した。
(色素吸着)
次に、ルテニウム錯体色素を担持していない感光体層42に、実施例1で合成したルテニウム錯体色素Dye−1〜Dye−12を以下のようにして担持させた。まず、上記で合成したルテニウム錯体色素を、マグネシウムエトキシドで脱水したt−ブタノールとアセトニトリルとの1:1(体積比)の混合溶媒に、上記ルテニウム錯体色素濃度が2×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらにそこへ共吸着剤としてデオキシコール酸を上記ルテニウム錯体色素1モルに対して30モル加え、各色素溶液を調製した。次に、各色素溶液に受光電極前駆体を25℃で45時間浸漬し、引き上げ後に乾燥させた。
このようにして、受光電極前駆体にそれぞれ異なるルテニウム錯体色素を担持させた受光電極40を作製した。
(色素増感太陽電池の組み立て)
対極48として、上記の導電性支持体41と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚み;100nm)を作製した。また、電解液として、ヨウ素0.1M(モル/L)、ヨウ化リチウム0.1M、4−t−ブチルピリジン0.5Mおよび1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド0.6Mをアセトニトリルに溶解して、液体電解質を調製した。さらに、感光体層42の大きさに合わせた形状を有するスペーサーS「サーリン」(商品名、デュポン社製)を準備した。
上記のようにして作製した受光電極40それぞれと対極48とを、上記スペーサーSを介して、対向させて熱圧着させた後に、感光体層42と対極48との間に電解液注入口から上記液体電解質を充填して電荷移動体層47を形成した。このようにして作製した電池の外周および電解液注入口を、レジンXNR−5516(商品名、ナガセケムテック社製)を用いて、封止、硬化し、各色素増感太陽電池(試料番号101〜112)を製造した。
<ヒートサイクル試験>
上記で製造した色素増感太陽電池を、−10℃の冷凍庫と40℃の恒温槽へ2時間毎に交互に入れて冷却と加温を繰り返し、ヒートサイクル試験を行った。ヒートサイクル試験前の色素増感太陽電池およびヒートサイクル試験を24時間行った後の色素増感太陽電池について、ソーラーシミュレーター(WACOM社製、商品名「WXS−85H」)を用い、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/mの擬似太陽光を照射した際に発生する電流を測定した。ヒートサイクル試験を24時間行った後の電流値をヒートサイクル試験前の電流値で割った値を算出し、維持率とした。試料番号101の色素増感太陽電池の維持率を基準とし、試料番号101の色素増感太陽電池の維持率に対する各試料番号の色素増感太陽電池の維持率を、下記評価基準により評価した。
− 評価基準 −
A:試料番号101の維持率の1.20倍以上
B:試料番号101の維持率の1.10倍以上1.20倍未満
C:試料番号101の維持率の1.00倍より大きく1.10倍未満
D:試料番号101の維持率の1.00倍以下
上記評価基準A〜Cが、本発明の合格レベルである。
下記表2に上記結果をまとめて示す。
表2の結果から以下のことがわかる。
本発明のルテニウム錯体色素は、いずれも半導体微粒子表面への吸着安定性に優れることがわかった。また、本発明のルテニウム錯体色素を用いた色素増感太陽電池は、いずれも、温度変化の繰り返しに対する電流値の減少率も小さく、安定した電池性能を示すことがわかった。
これに対して、置換基Gをルテニウムに配位する窒素原子に対して4位に有する含窒素5員環−ピリジン環2座配位子を持つルテニウム錯体色素(Dye−1)を用いた試料番号101、および、含窒素5員環−ピリジン環2座配位子におけるピリジン環と−NCS(イソチオシアネート基)がシス配置であるルテニウム錯体色素(Dye−4)を用いた試料番号104では、いずれも、ルテニウム錯体色素の半導体微粒子表面への吸着安定性およびヒートサイクル試験のいずれも十分な効果が得られず、本試験の合格レベルを満たさなかった。
本発明をその実施態様および図面とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2015年3月17日に日本国で特許出願された特願2015−054037に基づく優先権を主張するものであり、これをここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1、41 導電性支持体
2、42 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3、47 電荷移動体層
4、48 対極
5、40 受光電極
6 外部回路
10 光電変換素子
100 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 動作手段(例えば電動モーター)
20 色素増感太陽電池
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
S スペーサー

Claims (10)

  1. 導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、該感光体層が、下記式(1)で表されるルテニウム錯体色素が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。
    式中、Mは水素イオンまたは陽イオンを表す。Xは窒素原子またはCRを表す。Xは、Xが窒素原子の場合、窒素原子を表し、XがCRの場合、窒素原子またはCRを表す。R〜Rは、水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、アリール基またはハロゲン原子を表す。Gは、下記式(G1)で表される基を示す。
    式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。mは1〜3の整数を表す。nは0〜2の整数を表す。Yは酸素原子、硫黄原子、NR、セレン原子、CR またはSiR を表す。Rは水素原子またはアルキル基を表す。*は式(1)中のピリジン環との結合部を表す。
  2. 前記XがCHであって、前記Xが窒素原子である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記Yが硫黄原子である請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記nが0である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する色素増感太陽電池。
  6. 下記式(1)で表されるルテニウム錯体色素。
    式中、Mは水素イオンまたは陽イオンを表す。Xは窒素原子またはCRを表す。Xは、Xが窒素原子の場合、窒素原子を表し、XがCRの場合、窒素原子またはCRを表す。R〜Rは、水素原子、アルキル基、ヘテロアリール基、アリール基またはハロゲン原子を表す。Gは、下記式(G1)で表される基を示す。
    式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、ヘテロアリール基またはアリール基を表す。mは1〜3の整数を表す。nは0〜2の整数を表す。Yは酸素原子、硫黄原子、NR、セレン原子、CR またはSi(Rを表す。Rは水素原子またはアルキル基を表す。*は式(1)中のピリジン環との結合部を表す。
  7. 前記XがCHであって、前記Xが窒素原子である請求項6に記載のルテニウム錯体色素。
  8. 前記Yが硫黄原子である請求項6または7に記載のルテニウム錯体色素。
  9. 前記nが0である請求項6〜8のいずれか1項に記載のルテニウム錯体色素。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のルテニウム錯体色素を溶解してなる色素溶液。
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