JPWO2016104582A1 - 体腔液処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明の態様は以下を含む。
(1)体腔液を貯留する体腔液貯留部と、前記体腔液貯留部の体腔液を濾過膜で濾過して体腔液から病因物質を除去する濾過器と、前記濾過器で濾過された濾過液を濃縮膜で濃縮する濃縮器と、前記濃縮器で濃縮された濃縮液を貯留する濃縮液貯留部と、を有する液体回路と、前記液体回路における前記体腔液又は前記濾過液の少なくともいずれかを加温して前記濃縮器に導入される液体の温度を上げる加温手段と、前記液体回路に希釈液を加えて前記濃縮器に導入される液体を希釈する希釈手段と、を有する、体腔液処理システム。
(3)前記加温手段は、前記体腔液貯留部を加温する装置を有する、請求項1又は2に記載の体腔液処理システム。
(4)前記希釈手段は、前記濾過器と前記濃縮器との間の液体流路に希釈液を供給可能に構成されている、(1)〜(3)に記載の体腔液処理システム。
(5)前記希釈手段は、前記体腔液貯留部と前記濾過器との間の流体流路に希釈液を供給可能に構成されている、(1)〜(4)に記載の体腔液処理システム。
(6)前記加温手段は、前記希釈手段の希釈液を加温する装置を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の体腔液処理システム。
(7)前記液体回路は、前記濃縮器で濃縮された濃縮液を再度前記濃縮器に送る再濃縮回路を有し、前記加温手段は、前記再濃縮回路を加温する装置を有する、(1)〜(6)のいずれかに記載の体腔液処理システム。
(8)前記液体回路は、前記濃縮器で濃縮された濃縮液を再度前記濃縮器に送る再濃縮回路を有し、前記希釈手段は、前記再濃縮回路の濃縮液を希釈できる、(1)〜(7)のいずれかに記載の体腔液処理システム。
(9)前記液体回路は、前記濾過器から排出された液体を再度前記濾過器に送る再濾過回路を有し、前記加温手段は、前記再濾過回路を加温する装置を有する、(1)〜(8)のいずれかに記載の体腔液処理システム。
(10)前記液体回路は、前記濾過器から排出された液体を再度前記濾過器に送る再濾過回路を有し、前記希釈手段は、前記再濾過回路の液体を希釈できる、(1)〜(9)のいずれかに記載の体腔液処理システム。
(11)体腔液中に含まれるIL−6を80%以上の除去率で除去する、(1)〜(10)のいずれかに記載の体腔液処理システム。
なお、加温手段には、体腔液又は濾過液に直接熱を加えて加温するもののみならず、体腔液又は濾過液に、熱を加えた液体等を加えて間接的に加温するものも含まれる。
図1は、本実施の形態に係る体腔液処理システムとしての腹水処理システム1の構成の概略を示す説明図である。図1に示すように腹水処理システム1は、例えば液体回路としての腹水処理回路10と、加温手段11と、制御装置12と、希釈手段100を備えている。
さらに、親水化処理を施してもよく、親水化剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体(エバール)、等が挙げられる。濾過器21は、孔径0.2μm以下の微多孔膜からなり、例えば腹水が濾過膜30の一次側(中空糸膜の内側)の入口から供給され、当該腹水が濾過膜30を通過して濾過膜30の二次側(中空糸膜の外側)に排出されることにより、腹水を濾過することができる。濾過器21の濾過膜30の一次側の出口は、濾過膜30を通過しない成分が排液される図示しない排液部に連通している。
さらに、親水化処理を施してもよく、親水化剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体(エバール)、等が挙げられる。濃縮膜50は孔径0.1μm以下の微多孔膜からなり、水分に加え、濾過液に含まれる微小な所定物質も除去できる。当該除去物質には、患者に悪影響を与えるサイトカイン(IL−6、IL−8、IL−10)、遊離ヘモグロビン、ビリルビン、カリウムなどの電解質などの不要物質が含まれる。濃縮器22は、例えば濾過液が濃縮膜50の一次側(中空糸膜の内側)の入口から供給され、当該濾過液に含まれる水分が、濃縮膜50を通じて濃縮膜50の二次側(中空糸膜の外側)に抜けることにより、濾過液を濃縮できる。またこの際、水分と共に不要物質が濃縮膜50を通過することにより、濾過液から不要物質を除去できる。また、濃縮膜50は、アルブミンなどのタンパク質の有用物質を通過させず、濃縮液として残す。濃縮器22の濃縮膜50の二次側は、濾過液から排出された水分や不要物質が排液される排液部に連通している。
上記第1の実施の形態において、腹水処理システム1の加温手段11が、第2の流路25を加温するものであったが、腹水バッグ20を加温するものであってもよい。かかる場合、図2に示すように腹水バッグ20には、加温手段11のヒータ90が設けられる。そして、腹水処理の際には、先ず、患者から採取した腹水が腹水バッグ20に収容されている状態で、加温手段11のヒータ90が作動し、腹水バッグ20内の腹水が目標温度に加温される。このときの腹水の目標加温温度は、常温よりも高い温度、好ましくは20℃〜45℃、より好ましくは25℃〜45℃に設定される。
第1の実施の形態において、腹水処理システム1の加温手段11が第2の流路25を加温するものであり、第2の実施の形態において、加温手段11が腹水バッグ20を加温するものであったが、その両方であってもよい。かかる場合、例えば図3に示すように第2の流路25には加温手段11のヒータ70が設けられ、腹水バッグ20には加温手段11のヒータ90が設けられる。そして、腹水処理の際には、先ず腹水バッグ20において腹水が加温され、次に第2の流路25において濾過液が加温される。なお、このとき、腹水バッグ20における腹水の加温温度と、第2の流路25における濾過液の加温温度は異なっていてもよく、前者が後者よりも低く設定されていてもよいし、高く設定されていてもよい。
以上の実施の形態において、希釈手段100は、第2の流路25に希釈液を供給するものであったが、第1の流路24に希釈液を供給するものであってもよい。かかる場合、例えば図4に示すように希釈手段100は、希釈液が貯留された希釈液貯留部130と、当該希釈液貯留部130から第1の流路24に通じる第2の接続流路131を備えている。第2の接続流路131には、例えばチューブポンプ132が設けられている。
上記第1〜3の実施の形態では、腹水処理システム1の希釈手段100が第2の流路25の濾過液を希釈するものであり、第4の実施の形態では、希釈手段100が第1の流路24の腹水を希釈するものであったが、その両方であってもよい。かかる場合、例えば図5に示すように希釈手段100は、第2の流路25に希釈液を供給するための、希釈液貯留部120、第1の接続流路121及びチューブポンプ122を有し、さらに、第1の流路24に希釈液を供給するための、希釈液貯留部130、第2の接続流路131及びチューブポンプ132を有する。そして、腹水処理の際には、先ず第1の流路24において腹水が希釈され、次に第2の流路25において濾過液が希釈される。そして、第2の流路25において濾過液が加温され、濃縮器22に希釈及び加温された濾過液が導入される。なお、このとき、第1の流路24における腹水の希釈倍率と、第2の流路25における濾過液の希釈倍率は異なっていてもよく、前者が後者よりも低く設定されていてもよいし、高く設定されていてもよい。
加温手段11が、希釈手段100の希釈液を加温する装置を有していてもよい。かかる場合、例えば図6に示すように加温手段11が、希釈手段100の希釈液貯留部120及び希釈液貯留部130を加温するヒータ140を有している。これにより、希釈液が加温されるので、希釈液により希釈された腹水や濾過液も加温される。よって、希釈及び加温された濾過液が濃縮器22に導入されるので、濃縮器22において濾過液の流動性が上がり、濃縮膜50によりサイトカイン等の不要物質の除去率を向上できる。
以上の実施の形態において、図7に示すように腹水処理回路10が、濃縮器22で濃縮された濃縮液を再度濃縮器22に送る再濃縮回路150を有し、加温手段11は、再濃縮回路150を加温する装置を有していてもよい。かかる場合、例えば再濃縮回路150は、濃縮腹水バッグ23から第2の流路25に接続される接続流路160と、当該接続流路160に設けられたチューブポンプ161を有している。接続流路160は、例えば軟質性のチューブである。加温手段11は、接続流路160を加温するヒータ162を有している。
第7の実施の形態において、図9に示すように希釈手段100が、濃縮器22で濃縮された濃縮液を再度濃縮器22に送る再濃縮回路150に設けられていてもよい。かかる場合、腹水処理の際に、チューブポンプ161が作動し、濃縮腹水バッグ23に回収された濃縮液が再度、接続流路160に流出する。このとき希釈手段100から接続流路160に希釈液が供給される。よって、接続流路160に流入した濃縮液は、希釈液によって希釈されて、第2の流路25に流入する。この希釈された濃縮液は、第2の流路25で加温された濾過液と合流し、第2の流路25を通って再度濃縮器22に供給され、再濃縮される。これにより、再濃縮される濃縮液が希釈及び加温されているので、濃縮器22に導入される液体の流動性が上がり、濃縮器22におけるサイトカイン等の不要物質の除去率を上げることができる。
以上の実施の形態において、図10に示すように腹水処理回路10が、濾過器21から排出された液体を再度濾過器21に送る再濾過回路180を有し、加温手段11は、再濾過回路180を加温する装置を有していてもよい。かかる場合、例えば再濾過回路180は、濾過器21の濾過膜30の一次側の出口から腹水バッグ20に接続される接続流路181を有している。接続流路181は、例えば軟質性のチューブである。加温手段11は、接続流路181を加温するヒータ182を有している。
上記第9の実施の形態において、加温手段11に代えて図11に示すように希釈手段100が、濾過器21から排出された液体を希釈できる再濾過回路180に設けられていてもよい。かかる場合、腹水処理の際に、濾過器21から排出された液体が、再濾過回路180を通じて腹水バッグ20に戻される。この際、希釈手段100から再濾過回路180に希釈液が供給され、濾過器21から排出された液体が希釈される。希釈された液体は、第1の流路24及び濾過器21を通過して再度濾過され、その濾過液は、ヒータ70で加温され、濃縮器22に導入される。これにより、濃縮器22に導入される濾過液が、加温及び希釈され、流動性が飛躍的に上がる。この結果、濾過液から濃縮膜50を通じて排出されるサイトカイン等の不要物質の除去率を向上できる。また、濾過器21に導入される液体の流動性も向上するので、濾過器21における病因物質の除去率も向上できる。また、濾過器21の濾過膜30や濃縮器22の濃縮膜50の目詰まりも抑制できる。
生体不要成分を含むタンパク質溶液として、ウシの血液を用いた血球成分を含む疑似腹水を作製した。まず、抗凝固剤としてヘパリンナトリウム注(1万単位/牛血液1L)を添加した牛血液を遠心分離し、血漿層、赤血球層およびバフィーコート層の各溶液を得て、これらを別々に回収した。次に血漿と生理食塩液を混和してタンパク質濃度4.0(g/dL)、アルブミン濃度を2.1(g/dL)に調製した疑似腹水を作製した。また、IL−6(商品名 Recombinant humanIL−6、PEPROTECH社製)を用いて、IL−6の濃度が5000pg/mLとなるように調整した。
タンパク質濃度は、ビューレット法により測定した。自動分析装置(東京貿易メディカルシステム(株)社製、Biolis24i)、測定用試薬としてイアトロTPII((株)LSIメディエンス社製)を用いた。
アルブミン濃度は、BCG法により測定した。自動分析装置(東京貿易メディカルシステム(株)社製、Biolis24i)、測定用試薬としてイアトロファインALBII((株)LSIメディエンス社製)を用いた。
IL−6は、ELISA法により測定した。Quantikine ELISA Human IL−6 Immunoassay(R&Dシステムズ(株)社製)を用いた。
希釈前の腹水中のタンパク質濃度A1を、希釈後の腹水中のタンパク質濃度A2で割った値(A1/A2(倍))を希釈倍率とした。
体腔液貯留部に導入した疑似腹水中のIL−6濃度をX1(pg/mL)、濃縮液貯留部に導入した濃縮液中のIL−6濃度をX2(pg/mL)とし、次の式でIL−6除去能率を求めた。
IL−6除去能=(X1−X2)/X1×100(%)
IL−6除去能が85%以上・・・〇
IL−6除去能が85%以下・・・×
図1に示すように、体腔液貯留部、濾過器、加温手段、希釈手段、濃縮器、濃縮液貯留部を回路で接続した(旭化成メディカル(株)社製 腹水濾過器AHF−MO−Wおよび腹水濃縮器AHF−UP)。また、加温手段(11)を示す位置に、血液浄化装置プラソートiQ21(旭化成メディカル(株)社製)を配置し、そのヒーター部分に回路を配置することで加温手段とした。また、希釈手段(100)の位置に、希釈液として生理食塩水(大塚化学(株)社製)12000mLを導入した。体腔液貯留部に疑似腹水3000mLを導入し、ポンプの流速50mL/minで送液を行った。濃縮液貯留部の濃縮液温度を測定したところ、30.2℃であった。希釈倍率およびIL−6除去能を表1に示した。
希釈液として、生理食塩水(大塚化学(株)社製)を57000mLにしたこと以外は実施例1と同様の試験を実施した。
体腔液貯留部に導入する疑似腹水を6000mLを導入し、生理食塩水(大塚化学(株)社製)を24000mLにしたこと以外は実施例1と同様の試験を実施した。
希釈液として、生理食塩水(大塚化学(株)社製)を3000mLにしたこと以外は実施例1と同様の試験を実施した。
加温および希釈していないこと以外は、実施例1と同様の試験を実施した。
10 腹水処理回路
11 加温手段
12 制御装置
20 腹水バッグ
21 濾過器
22 濃縮器
23 濃縮腹水バッグ
24 第1の流路
25 第2の流路
26 第3の流路
30 濾過膜
50 濃縮膜
100 希釈手段
Claims (11)
- 体腔液を貯留する体腔液貯留部と、前記体腔液貯留部の体腔液を濾過膜で濾過して体腔液から病因物質を除去する濾過器と、前記濾過器で濾過された濾過液を濃縮膜で濃縮する濃縮器と、前記濃縮器で濃縮された濃縮液を貯留する濃縮液貯留部と、を有する液体回路と、
前記液体回路における前記体腔液又は前記濾過液の少なくともいずれかを加温して前記濃縮器に導入される液体の温度を上げる加温手段と、
前記液体回路に希釈液を加えて前記濃縮器に導入される液体を希釈する希釈手段と、を有する、体腔液処理システム。 - 前記加温手段は、前記濾過器と前記濃縮器との間の液体流路を加温する装置を有する、請求項1に記載の体腔液処理システム。
- 前記加温手段は、前記体腔液貯留部を加温する装置を有する、請求項1又は2に記載の体腔液処理システム。
- 前記希釈手段は、前記濾過器と前記濃縮器との間の液体流路に希釈液を供給可能に構成されている、請求項1〜3に記載の体腔液処理システム。
- 前記希釈手段は、前記体腔液貯留部と前記濾過器との間の流体流路に希釈液を供給可能に構成されている、請求項1〜4に記載の体腔液処理システム。
- 前記加温手段は、前記希釈手段の希釈液を加温する装置を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の体腔液処理システム。
- 前記液体回路は、前記濃縮器で濃縮された濃縮液を再度前記濃縮器に送る再濃縮回路を有し、
前記加温手段は、前記再濃縮回路を加温する装置を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の体腔液処理システム。 - 前記液体回路は、前記濃縮器で濃縮された濃縮液を再度前記濃縮器に送る再濃縮回路を有し、
前記希釈手段は、前記再濃縮回路の濃縮液を希釈できる、請求項1〜7のいずれかに記載の体腔液処理システム。 - 前記液体回路は、前記濾過器から排出された液体を再度前記濾過器に送る再濾過回路を有し、
前記加温手段は、前記再濾過回路を加温する装置を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の体腔液処理システム。 - 前記液体回路は、前記濾過器から排出された液体を再度前記濾過器に送る再濾過回路を有し、
前記希釈手段は、前記再濾過回路の液体を希釈できる、請求項1〜9のいずれかに記載の体腔液処理システム。 - 体腔液中に含まれるIL−6を80%以上の除去率で除去する、請求項1〜10のいずれかに記載の体腔液処理システム。
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