JPWO2016103771A1 - アクリル酸系重合体水溶液の製造方法 - Google Patents

アクリル酸系重合体水溶液の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、原料供給手段13及び攪拌手段12を備え、重合開始剤及び水の存在下に、アクリル酸を含む単量体を重合する第1反応槽11と、第1反応槽11の外部に配設され、第1反応槽11の槽壁に形成された排出口及び導入口を連絡する配管であって、第1反応槽11で生成した重合体を含む反応液の循環に用いられる循環用配管20とを有する第1反応器10を備える装置を用いて、アクリル酸系重合体水溶液を連続的に製造方法する方法であり、循環用配管20には、反応液を冷却する冷却手段25が配設されており、第1反応槽11の排出口15における反応液の温度と、第1反応槽11の導入口17における冷却された反応液の温度との差を30℃以上とし、第1反応槽11の排出口15から冷却手段25までの液量と、第1反応槽11の液量との質量比を0.050以下として、単量体の重合及び反応液の循環を行う。

Description

本発明は、無機粒子の分散剤、水処理剤等として好適なアクリル酸系重合体を含む水溶液の製造方法に関する。
アクリル酸又はその塩に由来する構造単位を有するアクリル酸系重合体は、無機粒子の分散剤や、配管、ボイラー、熱交換器等におけるスケール抑制剤、更には、洗剤ビルダー等に好適であることが知られている。これらの用途では、重量平均分子量(Mw)が2000〜10000程度であり、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除したMw/Mn、即ち、分散度で表される分子量分布ができるだけ狭い低分子量重合体を主とするアクリル酸系重合体が好適であるといわれている。
更に、その製造にあたっては、当然ながら反応時間の短縮化や生産性の向上等、効率の良い製造方法が望ましく、これに見合う製造方法として、従来のバッチ式による製造方法に加えて、連続的製造方法についても開発が進められている。
アクリル酸系の低分子量重合体を連続的に製造する方法としては、下記の方法が知られている。
特許文献1には、アクリル酸単量体又はアクリル酸塩単量体を主とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させてポリアクリル酸塩を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり、少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、第1反応器に、アクリル系単量体、重合開始剤及び亜硫酸水素塩を連続的に仕込みながら、pH値を3.5以下に維持した水性媒体中で単量体の重合を行い、第1反応器から排出される反応液を第2反応器に連続的に仕込み、第2反応器において重合を継続するとともに、第2反応器又は第3反応器以降の反応器において反応液にアルカリを添加して中和することを特徴とする、pH値が6〜9のポリアクリル酸塩水溶液の連続的製造方法が開示されている。
特許文献2には、アクリル酸単量体又はアクリル酸塩単量体を主とするアクリル系単量体を水性媒体中で重合させ、更に、必要によりアルカリを添加することにより水溶性アクリル系重合体を連続的に製造するにあたり、複数個の反応器よりなり、少なくとも第1反応器は槽型反応器である連続反応装置を使用し、第1反応器にアクリル系単量体、重合開始剤及び連鎖移動剤を供給しながら、アクリル系単量体を重合させ、第1反応器に供給された単量体の重合転換率を第1反応器の出口反応液において90質量%以上に維持することを特徴とする水溶性アクリル系重合体の連続的製造方法が開示されている。
また、特許文献3には、タンク及びその外部を循環する配管により構成される循環ラインを有する反応装置に重合性不飽和結合を有する単量体(アクリル酸)を含む循環液を循環させて水溶性重合体を連続的に製造する工程と、循環液の一部を排出ラインから取り出す工程とを有する水溶性重合体(ポリアクリル酸(塩))の連続的製造方法であって、循環ラインは、少なくとも1箇所に冷却器が備えられたものであることを特徴とする水溶性重合体の連続的製造方法が開示されている。
特開2003−2909号公報 特開2003−40912号公報 特開2007−217654号公報
上記の技術によると、分散度が小さいアクリル酸系重合体を製造することができるが、高分子量成分が少量含まれるものであった。このため、例えば分散性能や薬液の低粘度化という点ではさらなる向上が望まれるものであった。本発明の課題は、無機粒子の分散剤、水処理剤等として好適な水溶液であって、分散度が小さく、且つ、高分子量重合体の副生が十分に抑制されたアクリル酸系重合体を含む水溶液を製造する方法を提供することである。
本発明は、以下に示される。
[1]原料供給手段及び撹拌手段を備え、重合開始剤及び水の存在下に、アクリル酸を含む単量体を重合する第1反応槽と、上記第1反応槽の外部に配設されており、且つ、上記第1反応槽の槽壁に形成された排出口及び導入口を連絡する配管であって、上記第1反応槽にて生成した重合体を含む第1反応液の循環に用いられる循環用配管と、を有する第1反応器を備える装置を用いて、アクリル酸系重合体水溶液を連続的に製造する方法において、上記循環用配管には、上記第1反応液を冷却する冷却手段が配設されており、上記第1反応槽の上記排出口における上記第1反応液の温度と、上記第1反応槽の上記導入口における冷却された上記第1反応液の温度との差を30℃以上とし、上記第1反応槽の上記排出口から上記冷却手段までの液量と、上記第1反応槽における液量との質量比を0.050以下とし、上記単量体の重合及び上記第1反応液の循環を行うことを特徴とする、アクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
[2]上記循環用配管には、上記第1反応液を排出するための排出用配管が接続されている上記[1]に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
[3]上記排出用配管から得られた上記第1反応液を中和して、pHが4〜9の範囲にある第2反応液を得る上記[2]に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
[4]上記装置が、上記排出用配管に接続されている第2反応器を、更に、備え、上記第2反応器において、アルカリ剤を用いて、上記第1反応液を中和して、上記第2反応液を得る上記[3]に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
[5]上記装置が、上記排出用配管に接続されている第2反応器と、該第2反応器に接続されている第3反応器とを、更に、備え、上記第2反応器において、上記排出用配管からの上記第1反応液を用いた重合が継続され、上記第3反応器において、アルカリ剤を用いて、上記第2反応器からの反応液を中和する上記[3]に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
本明細書において、重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)及び数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)により測定された標準ポリアクリル酸ナトリウム換算値である。また、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明によれば、分散度(Mw/Mn)が小さく、且つ、高分子量重合体の副生が十分に抑制されたアクリル酸系重合体を含む水溶液を効率よく製造することができる。従って、アクリル酸に由来する構造単位を含む単独重合体又は共重合体だけでなく、その後、アルカリ剤によりアクリル酸に由来するカルボキシル基の一部又は全部を中和した重合体塩であって、分子量に関する上記性質を有するアクリル酸系重合体を含む水溶液も効率よく製造することができる。本発明の製造方法により得られるアクリル酸系重合体水溶液は、無機粒子の分散剤、水処理剤等として好適である。
本発明に係る第1反応器の構成を示す概略図である。 実施例及び比較例で用いた製造装置の構成を示す概略図である。
本発明は、例えば、図1に示す第1反応器10、即ち、原料供給手段13及び撹拌手段12を備え、重合開始剤及び水の存在下に、アクリル酸を含む単量体を重合する第1反応槽11と、この第1反応槽11の外部に配設されており、且つ、第1反応槽11の槽壁に形成された排出口15及び導入口17を連絡する配管であって、第1反応槽11にて生成した重合体を含む第1反応液の循環に用いられる循環用配管20と、を有する第1反応器10を備える装置(以下、「製造装置」という)を用いて、アクリル酸系重合体水溶液を連続的に製造する方法において、循環用配管20には、第1反応液を冷却する冷却手段25が配設されており、第1反応槽11の排出口15における第1反応液の温度と、第1反応槽11の導入口17における冷却された第1反応液の温度との差を30℃以上とし、第1反応槽11の排出口15から冷却手段25までの液量と、第1反応槽11における液量との質量比を0.050以下とし、単量体の重合及び第1反応液の循環を行うことを特徴とする。本発明により、分散度(Mw/Mn)が好ましくは1.8〜2.4、より好ましくは2.0〜2.2であるアクリル酸系重合体を含み、このアクリル酸系重合体の固形分濃度が好ましくは25〜55質量%、より好ましくは35〜45質量%である水溶液が得られる。
本発明で用いられる単量体は、アクリル酸のみであってよいし、アクリル酸と、他の重合性不飽和化合物(以下、「他の単量体」という)との組み合わせであってもよい。他の重合性不飽和化合物としては、アクリル酸の塩、炭素原子数4以上の不飽和モノカルボン酸又はその塩、不飽和ジカルボン酸又はその無水物若しくはその塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アミド基含有重合性不飽和化合物、スルホン酸基含有重合性不飽和化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記「塩」は、ナトリウム、カリウム等によるアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等によるアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等とすることができる。尚、アクリル酸と他の単量体とを組み合わせた場合、アクリル酸の使用量の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
従って、上記単量体を用いて得られるアクリル酸系重合体は、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸と他の単量体との共重合体又はその塩等である。本発明の製造方法は、第1反応器を用いた重合工程により、上記の好ましい分散度(Mw/Mn)を有する重合体を含む第1反応液が得られるが、この第1反応液に含まれる重合体を、更に、従来、公知の変性工程に供した場合にも、得られる重合体(この重合体も、本発明に係る「アクリル酸系重合体」に含まれる)は、上記の好ましい分散度(Mw/Mn)を有する。即ち、変性工程が、例えば、中和工程である場合には、得られる反応液(第2反応液)に含まれる重合体もまた、上記の好ましい分散度(Mw/Mn)を有する。
本発明で用いられる重合開始剤は、特に限定されないが、好ましくは水溶性化合物であり、例えば、アゾ化合物、過硫酸塩、過酸化水素、有機過酸化物等が挙げられる。上記重合開始剤の使用量は、上記単量体を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜3.0質量部、より好ましくは0.3〜2.0質量部、更に好ましくは0.5〜1.5質量部である。
本発明の製造方法では、上記のように、特定の構成を有する第1反応器を備える製造装置が用いられる。
はじめに、図1を用いて、第1反応器を説明するが、図1の第1反応器10は、本発明において限定される構成ではなく、図示していない装備を、適宜、備えることができる。
上記第1反応槽11は、その内部で重合開始剤及び水の存在下に、アクリル酸を含む単量体を重合する容器であり、原料供給手段13及び撹拌手段12を備える。原料供給手段13は、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、水、有機溶剤等を、第1反応槽11に供給する手段である。一般に、アクリル酸系重合体水溶液を製造する際には、各原料が別々に供給されるが、特定の成分どうしを組み合わせて供給するようにしてもよい。また、各原料の供給方法は、特に限定されず、第1反応槽11に連続的に又は間欠的に供給することができる。尚、単量体は、目的のアクリル酸系重合体水溶液に含まれるアクリル酸系重合体の濃度が30〜60質量%程度となるように、使用される。
単量体は、通常、温度を一定に保ちながら重合されるので、第1反応槽11は、原料又は反応液の温度を調整するための温度調整手段、還流冷却手段等を備えることができる。温度調整手段は、第1反応槽11の側壁及び底壁を被覆する構造を備えることが好ましい。
上記第1反応槽11の外部には、槽内で生成した重合体を含む第1反応液を循環させる循環用配管20が配設されており、この循環用配管20は、上記第1反応槽11の槽壁に形成された排出口15及び導入口17を連絡している。また、上記循環用配管20は、第1反応槽11から供給される第1反応液の温度を低下させる冷却手段25を備え、冷却された第1反応液を導入口17から返送する。尚、上記循環用配管20における第1反応液の循環は、図1に示していない送液ポンプにより行われるが、この送液ポンプの位置は、特に限定されない。送液ポンプの位置は、第1反応槽11の排出口15から冷却手段25までの配管部21、又は、冷却手段25から第1反応槽11の導入口17までの配管部23、におけるいずれでもよいが、配管部21の途中であることが好ましい。
上記冷却手段25としては、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器、多管式熱交換器、スパイラル式熱交換器等を用いることができる。
上記循環用配管20を構成する配管部21及び23は、その外側に、管内を流れる第1反応液の温度を保持する温度保持手段を備えてもよい。
また、循環用配管20は、第1反応液(好ましいMw/Mnを有するアクリル酸系重合体を含む水溶液)を排出する排出用配管を備えることができ(図示せず)、この排出用配管は、配管部21の途中で分岐させて配設されていることが好ましい。
図1において、第1反応液を排出する排出口15の位置は、第1反応槽11の底壁としているが、これに限定されない。例えば、排出口15の位置は、第1反応槽11の側壁であってもよく、この場合、第1反応槽11の下方側であることが好ましい。また、冷却手段25により冷却された第1反応液を第1反応槽11の中に返送する導入口17の位置は、第1反応槽11の上方側側壁としているが、これに限定されず、天壁であってもよい。尚、図1において、導入口17は、第1反応槽11における液面より高い位置としているが、これに限定されない。
上記第1反応器10に形成された循環用配管20の数は、1つでも2つ以上でもよい。
次に、第1反応器10を備える製造装置を用いた製造方法について、説明する。
第1反応槽11には、原料供給手段13から、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、水、有機溶剤等が連続的(間欠的供給を含む)に供給され、撹拌手段12を駆動させてこれらを撹拌しながら単量体を重合する。本発明では、第1反応槽11における原料又は反応液の量を、ほぼ一定に保持しながら、原料の供給、単量体の重合及び第1反応液の循環を行うことが好ましい。
単量体の重合温度は、単量体及び重合開始剤の種類により、適宜、設定されるが、好ましくは、60℃〜100℃、より好ましくは70℃〜90℃である。本発明では、分散度が小さく、且つ、高分子量重合体の副生が抑制されたアクリル酸系重合体を含む水溶液を連続的に製造するために、排出口15における第1反応液の温度と、導入口17における、冷却された第1反応液の温度との差を30℃以上、好ましくは30℃〜60℃、より好ましくは35℃〜55℃とする。第1反応槽11における液(原料又は反応液)の温度は、連続的に供給される単量体の重合に伴って変化しやすく、循環用配管20を流れる第1反応液を冷却して返送することによって、第1反応槽11における液(原料又は反応液)の温度変化を抑制する。また、ジャケット及び内部コイル等の公知の温度調整用装置を用いてもよい。尚、循環用配管20を流れる第1反応液の流速は、特に限定されないが、導入口17から供給される、冷却された第1反応液の供給速度は、円滑な重合性の観点から、第1反応槽11における原料又は反応液の全量を100部とした場合に、好ましくは毎分0.1〜20部、より好ましくは毎分0.2〜10部、更に好ましくは毎分0.5〜5部である。
本発明では、排出口15から冷却手段25までの配管部21における液量(第1反応液の量)と、第1反応槽11における液量(原料又は反応液の量)との質量比を0.050以下、好ましくは0.001〜0.040、より好ましくは0.005〜0.020とすることにより、分散度が小さく、且つ、高分子量重合体の副生が抑制されたアクリル酸系重合体を含む水溶液を製造することができる。上記質量比が0.050を超えると、アクリル酸系重合体の分散度が高くなり、高分子量重合体の副生が顕著となり好ましくない。
本発明の製造方法では、反応液1m当たりの撹拌所要動力、即ち、撹拌手段12を駆動するモーター内部の損失を差し引いた消費電力と反応液の量より算出される撹拌所要動力は、好ましくは0.5〜3.0kW/m、より好ましくは1.0〜2.0kW/mである。撹拌所要動力が上記範囲にあると、分散度が小さく、且つ、高分子量重合体の副生が抑制されたアクリル酸系重合体を含む水溶液を製造することができる。
また、原料供給手段13から供給された単量体の重合が完結するまでの第1反応槽11における液の平均滞留時間は、原料の供給速度、第1反応槽11の内容積等により、適宜、設定されるが、好ましくは0.5〜4.0時間、より好ましくは1.0〜3.0時間である。
本発明により、高分子量重合体の含有割合が低減されたアクリル酸系重合体の水溶液を得ることができる。例えば、無機粒子の分散剤及び水処理剤等の用途では、分子量70000以上の高分子量重合体は、分散性能や薬液の低粘度化という点では好ましくないものであり、本発明によれば、この高分子量重合体の含有割合を、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下とすることができる。
上記のように、第1反応器10において、分散度の小さいアクリル酸系重合体の水溶液(第1反応液)を製造した後、この第1反応液(中和前水溶液)を、循環用配管20に配設された排出用配管から回収し、中和工程に供することにより、上記アクリル酸系重合体に含まれるカルボキシル基の一部又は全部を−COOM(但し、Mは、Na、K、NH等である)としたアクリル酸系重合体を含む第2反応液を得ることができる。第1反応液を排出用配管から排出した場合、この第1反応液を、例えば、第2反応器(図示せず)に供給して、中和工程に供することができる。
上記中和工程の方法は、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン等のアルカリ性物質を、そのまま、あるいは、水に溶解させた水溶液が好ましく用いられる。中和液のpHは、アクリル酸系重合体水溶液の使用目的等に応じて、適宜、設定されるが、通常、4〜9である。
以下、無機粒子の分散剤又は水処理剤として、特に好適なアクリル酸系重合体水溶液を、図2に示す製造装置により製造する方法について、説明する。この水溶液に含まれるアクリル酸系重合体は、重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下に得られた重合体の中和物であり、そのMwが、好ましくは3000〜10000、より好ましくは4000〜8000のアクリル酸系重合体塩である。
上記連鎖移動剤としては、次亜リン酸及びその塩、亜リン酸及びその塩、亜硫酸及びその塩、チオール基を有する化合物、イソプロピルアルコール等が挙げられる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記単量体を100質量部とした場合に、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部、更に好ましくは5〜10質量部である。
図2の製造装置1は、第1反応器10、第2反応器30及び第3反応器50が、この順に連結された装置であり、例えば、第1反応器10及び第2反応器30において単量体の重合を完結させ、第3反応器50においてアルカリ剤による中和を行う装置である。
第1反応器10は、図1の構成に加えて、循環用配管20を構成する配管部21の途中に分岐形成された排出用配管29を備える。そして、第1反応槽11で製造された第1反応液のうち、一部を、冷却手段25に供給して冷却して配管部23から第1反応槽11に返送し、他部を、排出用配管29を介して第2反応器30に送液する。
第2反応器30は、撹拌手段32を備える第2反応槽31を備え、更に、第2反応槽31内の液温を調整するための温度調整手段、還流冷却手段等を備えることができる。第2反応器30において得られたアクリル酸系重合体水溶液(中和前水溶液)は、槽壁(図面において底壁)に形成された排出口35から排出用配管39を介して第3反応器50に送液される。
また、第3反応器50は、撹拌手段52と、アルカリ剤供給手段53とを備える第3反応槽51を備え、更に、第3反応槽51内の液温を調整するための温度調整手段、還流冷却手段等を備えることができる。第3反応器50において得られた中和液は、槽壁(図面において底壁)に形成された排出口55から排出される。
製造を円滑に行う目的で、はじめに、目的のアクリル酸系重合体に近い固形分濃度としたアクリル酸系重合体水溶液を、第1反応槽11及び第2反応槽31に収容しておくことが好ましい。
次に、アクリル酸を含む単量体、重合開始剤及び連鎖移動剤を、第1反応槽11に供給し、単量体を重合する。循環用配管20を利用して、本発明の条件のもとで重合を進めると、上記において、図1を用いて説明したように、第1反応器10を用いることによって、単量体の重合を完結することはできる。しかしながら、第1反応器10における循環用配管20を構成する配管部21の途中に分岐形成された排出用配管29から第2反応器30に送液される第1反応液の中には、微量の未反応単量体が含まれる場合があるので、この未反応単量体を、この第2反応器30において確実に重合させる。尚、上記のように、第1反応槽11で得られた第1反応液の一部は冷却手段25により冷却し、第1反応槽11に返送され、第1反応槽11の中の温度調整又は重合の継続に用いられる。排出口15から排出される第1反応液に対して返送する第1反応液の割合は、特に限定されないが、分散度の小さいアクリル酸系重合体の製造を円滑に行い、また、予め、収容した別のアクリル酸系重合体水溶液を円滑に追い出すことができることから、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは55〜85質量%である。このように、第1反応液の循環及び単量体の重合を、上記の平均滞留時間を適用して行うことにより、重合転化率を向上させることができる。
第1反応槽11において単量体の重合が始まると、第1反応液の一部が、排出用配管29から第2反応器30の第2反応槽31に送られる。第2反応槽31には、予め、別のアクリル酸系重合体水溶液等が収容されているので、製造初期においては、供給された第1反応液との混合液であり、排出口35から第3反応器50の第3反応槽51に送られるのみである。第1反応槽11において、上記の平均滞留時間を経過した後、目的の固形分濃度を有するアクリル酸系重合体の水溶液が得られるため、この水溶液が第2反応槽31に送られると、予め、収容した別のアクリル酸系重合体水溶液を円滑に追い出すことができる。第2反応槽31においても、予め、収容した別のアクリル酸系重合体水溶液の体積、第1反応液の第2反応槽31への供給速度等から、液の平均滞留時間を、適宜、設定して、未反応単量体の重合を確実に行う。この第2反応器30において得られたアクリル酸系重合体のMwは、好ましくは3000〜10000、より好ましくは4000〜8000であり、分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.8〜2.4、より好ましくは2.0〜2.2である。
その後、好ましい物性を有するアクリル酸系重合体の水溶液は、排出用配管39を介して第3反応器50の第3反応槽51に送られる。第3反応槽51では、アルカリ剤供給手段53からアルカリ剤を供給し、撹拌下、中和反応を進めて、所望のpHの水溶液とする。
上記の製造例では、中和工程を第3反応器50にて行ったが、未反応単量体の重合を継続した第2反応器30において行ってよいし、第2反応器30及び第3反応器50の両方で行ってもよい。そして、第2反応器30のみにおいて中和工程を完結した場合には、第3反応器50の使用を省略することができる。
本発明により製造されたアクリル酸系重合体水溶液は、無機粒子の分散剤、水処理剤(スケールの形成、沈殿又は沈着を抑制する薬剤)等として、好適である。
無機粒子の分散剤に用いる場合、通常、上記水溶液がそのまま用いられるが、必要に応じて、消泡剤、防腐剤等の他の成分と組み合わせて用いてもよい。無機粒子としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレイ、シリカ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、二酸化チタン等からなる粒子を用いることができる。
また、水処理剤に用いる場合、上記水溶液をそのまま用いてよいし、必要に応じて、ポリマレイン酸又はその塩、(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン・マレイン酸系共重合体等の他のスケール抑制剤、殺菌剤、防食剤、スライム防止剤、消泡剤等の他の成分と組み合わせて用いてもよい。このような水処理剤を用いることにより、例えば、冷却水系、ボイラー水系、海水淡水化装置等における、熱交換効率の低下、配管の閉塞等の不具合を抑制することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。尚、下記において、%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.アクリル酸系重合体水溶液の製造装置
下記の実験例において、図2に示す装置、即ち、第1反応器10、第2反応器30及び第3反応器50が、この順に連結された装置1を用いて、pH7のアクリル酸系重合体水溶液を製造した。
第1反応器10は、その内部で重合を行う有底の円筒状容器(第1反応槽)11と、撹拌機12と、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤等を供給する原料供給用配管13と、コンデンサ(図示せず)とを備え、更に、円筒状容器11の外周を覆うように配設された温度調整手段であって、冷却水を利用して、円筒状容器11内の液温を調整するためのジャケット(図示せず)、並びに、アクリル酸系重合体を含む反応液を、円筒状容器11の外部において循環させるための配管であって、円筒状容器11の底壁に形成された排出口15と、液面より高い位置で側壁に形成された導入口17とを、円筒状容器11の外部において連絡させる循環用配管20を備える。そして、循環用配管20は、排出口15から導入口17に至るまでに、送液ポンプ27、第2反応器30の第2反応槽31へ送液するバルブ付き排出用配管29が配設されたチーズ、並びに、冷却水を利用して、循環する反応液を冷却する熱交換器25を、順次、備える。循環用配管20が配設されている円筒状容器11の排出口15及び導入口17には、反応液の温度を測定するための温度計が設置されている(図示せず)。
第2反応器30は、有底の円筒状容器(第2反応槽)31と、撹拌機32と、コンデンサ(図示せず)と、ジャケット(図示せず)とを備え、更に、円筒状容器31の底壁には、アクリル酸系重合体を含む反応液を第3反応器50へ送液するための排出口35が形成されており、第3反応器50の第3反応槽51に接続される排出用配管39との間に、送液ポンプ37が配設されている。
また、第3反応器50は、有底の円筒状容器(第3反応槽)51と、撹拌機52と、この容器51内に、pH調整剤(アルカリ剤)を供給するpH調整剤供給用配管53と、コンデンサ(図示せず)と、ジャケット(図示せず)とを備え、更に、円筒状容器51の底壁には、アクリル酸系重合体水溶液を排出、回収するための排出口55が形成されている。
2.アクリル酸系重合体水溶液の製造(1)
実施例1
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2200kg収容し、液温を80℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を80℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、80℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、43℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は20kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は60kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2200kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は92分であった。尚、撹拌機12のモーター内部の損失を差し引いた消費電力と液量より算出される撹拌所要動力は1.1kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を80℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2200kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2200kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は92分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」ともいう)とを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を80℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2200kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E1)を得た(表1参照)。
次いで、アクリル酸系重合体を、下記に示す条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に供したところ、Mwは6000、Mw/Mnは2.2であった。また、分子量分画計算にて求めた分子量70000以上の重合体の含有割合は、アクリル酸系重合体の全体に対して0.01%であった。
<GPC測定条件>
装置:東ソー社製HLC8020システム
検出:RI
カラム:東ソー社製G4000PWxl、G3000PWxl及びG2500PWxlを連結
溶離液:0.1M−NaCl+リン酸バッファー(pH7)
標準:創和科学社製ポリアクリル酸ナトリウム
実施例2
撹拌所要動力を0.7kW/mとした以外は、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E2)を製造し、GPC測定を行った(表1参照)。
実施例3
熱交換器25により冷却した49℃の反応液を、第1反応槽11内に供給した以外は、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E3)を製造し、GPC測定を行った(表1参照)。
実施例4
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を1800kg収容し、液温を80℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を80℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、80℃の反応液を124kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である99kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、44℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は20kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は60kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を1800kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は76分であった。尚、撹拌機12のモーター内部の損失を差し引いた消費電力と液量より算出される撹拌所要動力は1.0kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を80℃に、且つ、第2反応槽31における液量を1800kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を1800kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は76分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を80℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を1800kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E4)を製造し、GPC測定を行った(表1参照)。
実施例5
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2200kg収容し、液温を80℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を80℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、80℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、42℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は80kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は60kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2200kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は95分であった。尚、撹拌機12のモーター内部の損失を差し引いた消費電力と液量より算出される撹拌所要動力は1.1kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を80℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2200kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2200kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は92分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を80℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2200kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E5)を製造し、GPC測定を行った(表1参照)。
実施例6
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2200kg収容し、液温を80℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を80℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、80℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、43℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は20kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は180kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2200kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は97分であった。尚、撹拌機12のモーター内部の損失を差し引いた消費電力と液量より算出される撹拌所要動力は1.1kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を80℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2200kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2200kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は92分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を80℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2200kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E6)を製造し、GPC測定を行った(表1参照)。
比較例1
熱交換器25により冷却した58℃の反応液を、第1反応槽11内に供給した以外は、実施例1と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(C1)を製造し、GPC測定を行った(表1参照)。
比較例2
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2200kg収容し、液温を80℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を80℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、80℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、42℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17の循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は160kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は60kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2200kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は98分であった。尚、撹拌機12のモーター内部の損失を差し引いた消費電力と液量より算出される撹拌所要動力は1.1kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を80℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2200kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2200kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は92分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を80℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2200kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を20時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(C2)を製造し、GPC測定を行った(表1参照)。
Figure 2016103771
3.アクリル酸系重合体水溶液の製造(2)
実施例7
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2900kg収容し、液温を85℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を85℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、85℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、46℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は20kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は60kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2900kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は121分であった。尚、撹拌所要動力は1.0kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を85℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2900kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2900kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は121分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を85℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2900kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を24時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E7)を得た(表2参照)。
その後、実施例1と同様にして、アクリル酸系重合体水溶液(E7)に含まれるアクリル酸系重合体のGPC測定を行い、Mw等を表2に併記した。
実施例8
撹拌所要動力を0.7kW/mとした以外は、実施例7と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E8)を製造し、GPC測定を行った(表2参照)。
実施例9
熱交換器25により冷却した54℃の反応液を、第1反応槽11内に供給した以外は、実施例7と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E9)を製造し、GPC測定を行った(表2参照)。
実施例10
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2900kg収容し、液温を85℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を85℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、85℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、46℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は80kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は60kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2900kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は123分であった。尚、撹拌所要動力は1.0kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を85℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2900kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2900kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は121分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を85℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2900kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を24時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E10)を得た(表2参照)。
その後、実施例1と同様にして、アクリル酸系重合体水溶液(E10)に含まれるアクリル酸系重合体のGPC測定を行い、Mw等を表2に併記した。
実施例11
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2900kg収容し、液温を85℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を85℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、85℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、46℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は20kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は180kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2900kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は126分であった。尚、撹拌所要動力は1.0kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を85℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2900kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2900kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は121分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を85℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2900kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を24時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(E11)を得た(表2参照)。
その後、実施例1と同様にして、アクリル酸系重合体水溶液(E11)に含まれるアクリル酸系重合体のGPC測定を行い、Mw等を表2に併記した。
比較例3
熱交換器25により冷却した63℃の反応液を、第1反応槽11内に供給した以外は、実施例7と同じ操作を行い、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(C3)を製造し、GPC測定を行った(表2参照)。
比較例4
初めに、第1反応槽11及び第2反応槽31の両方に、Mwが6000のポリアクリル酸の水溶液(固形分濃度40%)を2900kg収容し、液温を85℃に保持した。
その後、原料供給用配管13を利用して、第1反応槽11へ、60%アクリル酸水溶液を20kg/分、15%過硫酸ナトリウム水溶液を1.2kg/分、30%次亜リン酸ナトリウム水溶液を3.5kg/分で、それぞれ、供給し、液温を85℃に保持しつつ、撹拌機12の回転数を80rpmとして、重合反応を開始した。これと同時に、循環用配管20の途中に配設した送液ポンプ27の出力を調整して、第1反応槽11の排出口15から、85℃の反応液を62kg/分で抜き出し、循環用配管20内を通液させ、反応液の一部である37kg/分を、熱交換器25により冷却し、第1反応槽11の導入口17から、46℃の反応液を第1反応槽11内へ送液した。尚、排出口15からの反応液の残部である25kg/分を、排出用配管29に配されたバルブの弁を調整して、第2反応器30へ送液した。
第1反応槽11の排出口15から導入口17までの循環用配管20を流れる反応液のうち、第1反応槽11の排出口15から熱交換器25までの配管容量は160kgであった。また、熱交換器25から導入口17までの配管容量は60kgであった。以上の条件で、第1反応槽11における液量を2900kgに保持しつつ、重合反応を行った。循環用配管20における反応液の滞留時間と合わせた、反応液全体の平均滞留時間は126分であった。尚、撹拌所要動力は1.0kW/mであった。
次に、第2反応器30では、上記のように、排出用配管29を介して、25kg/分で供給される反応液と、予め、収容されていたポリアクリル酸の水溶液とを、液温を85℃に、且つ、第2反応槽31における液量を2900kgに保持しつつ、撹拌機32の回転数を80rpmとして混合し、残存するアクリル酸の重合反応を行った。尚、第2反応槽31における液量を2900kgに保持するために、第1反応槽11から供給される反応液と同じ量(25kg/分)の反応液を、第2反応槽31の排出口35から、第3反応器50に送液した。反応液全体の平均滞留時間は121分であった。
その後、第3反応器50において、pH調整剤供給用配管53から、水と、48%NaOHとを、それぞれ、供給し、第2反応器30から供給される反応液の中和を、混合液を撹拌しながら、且つ、液温を85℃に保持しつつ行い、混合液のpHを7.0とした。尚、この中和反応は、第3反応槽51における液量を2900kgに保持しつつ行い、この量を超えたところで、中和液(アクリル酸系重合体水溶液)を排出口55から排出した。
これらの運転を24時間継続した後、第3反応槽51の排出口55からの中和液を回収し、アクリル酸系重合体の固形分濃度が40%の水溶液(C4)を得た(表2参照)。
その後、実施例1と同様にして、アクリル酸系重合体水溶液(C4)に含まれるアクリル酸系重合体のGPC測定を行い、Mw等を表2に併記した。
Figure 2016103771
4.アクリル酸系重合体水溶液の評価
上記の実施例1〜11及び比較例1〜4で得られたアクリル酸系重合体水溶液を、下記の各試験に供した。その結果を表3に示す。
(1)重質炭酸カルシウムの湿式粉砕試験
アクリル酸系重合体水溶液7.5g、イオン交換水340g、及び、丸尾カルシウム社製重質炭酸カルシウム「No.A重炭」(商品名)1000gを、撹拌機を備えた円筒型容器へ投入し、軽く撹拌して均一になじませた。次いで、メディア(φ1mmセラミックビーズ)2800gを上記円筒型容器に投入し、1000rpmで50分間撹拌することにより、炭酸カルシウムの湿式粉砕を行った。そして、150メッシュの濾布を通した後、イオン交換水を添加して、固形分濃度が75%のスラリーを得た。
得られたスラリーについて、2.0μmアンダー積算値をマイクロメリティクス社製粒度分布測定装置「セディグラフ5120」(商品名)により測定した。
また、上記スラリーについて、これを調製した直後の粘度、及び、25℃で7日間静置した後の粘度を、B型粘度計を用いて、25℃、60rpmの条件で測定した。
(2)重質炭酸カルシウムのかき混ぜ分散試験
アクリル酸系重合体水溶液6.0g、イオン交換水330g、及び、丸尾カルシウム社製重質炭酸カルシウム「スーパー#2000」(商品名)1000gを、撹拌機を備えた円筒形容器へ投入し、4000rpmで10分撹拌することにより、スラリーを得た。このスラリーについて、調製直後の粘度、及び、25℃で7日間静置した後の粘度を、B型粘度計を用いて、25℃、60rpmの条件で測定した。
(3)泥土分散試験
アクリル酸系重合体水溶液13mg、三菱商事社製クレイ「アマゾン88ノンプレディスパース」(商品名)1g、及び、イオン交換水100gを、100mLメスシリンダーに入れ、マグネティックスターラーを用いて10分間撹拌した。その後、25℃で18時間静置し、上澄み液を採取し、波長380nmにおける吸光度を測定した。吸光度が高いほど、クレイの分散性に優れることを意味する。
(4)炭酸カルシウムスケール抑制試験
200mgCaCO/Lの塩化カルシウム水溶液100mLに対し、アクリル酸系重合体水溶液を、アクリル酸系重合体の含有量が10mgとなるように添加した。次いで、0.2%炭酸水素ナトリウム水溶液10gを添加した後、水酸化ナトリウムで水溶液のpHを8.5に調整した。そして、この混合液を、60℃で24時間放置し、析出分を濾別し、濾液中のカルシウム濃度をEDTA滴定により求め、スケール抑制率を算出した。
Figure 2016103771
表3から明らかなように、比較例1及び3は、いずれも、第1反応槽の排出口の出口における反応液の温度と、熱交換器により冷却された反応液の、第1反応槽の導入口の直前における温度との差が22℃である例であり、アクリル酸系重合体の分散度(Mw/Mn)が大きく、また、高分子量重合体の含有率も高かった。そして、湿式粉砕試験、かきまぜ分散試験、泥土分散試験及びスケール抑制試験の全てにおいて、十分な性能が得られなかった。比較例2及び4は、いずれも、循環用配管における、第1反応槽の排出口から熱交換器までの液量と、第1反応槽における液量との質量比が0.050を超えた例であり、アクリル酸系重合体の分散度(Mw/Mn)が大きく、また、高分子量重合体の含有率も高かった。そして、湿式粉砕試験、かきまぜ分散試験、泥土分散試験及びスケール抑制試験の全てにおいて、十分な性能が得られなかった。
一方、実施例1〜11は、本発明の製造方法により得られた、アクリル酸系重合体の分散度(Mw/Mn)が小さく、また、高分子量重合体の含有率も低い、アクリル酸系重合体水溶液の例であり、湿式粉砕試験、かきまぜ分散試験、泥土分散試験及びスケール抑制試験のいずれにおいても、優れた結果が得られた。
本発明により得られるアクリル酸系重合体水溶液は、無機粒子の分散剤、水処理剤等として好適である。
1:製造装置
10:第1反応器
11:第1反応槽
12:撹拌機(撹拌手段)
13:原料供給用配管(原料供給手段)
15:排出口
17:導入口
20:循環用配管
21:排出口から熱交換器(冷却手段)までの配管部
23:熱交換器(冷却手段)から導入口までの配管部
25:熱交換器(冷却手段)
27:送液ポンプ
29:排出用配管
30:第2反応器
31:第2反応槽
32:撹拌機
35:排出口
37:送液ポンプ
39:排出用配管
50:第3反応器
51:第3反応槽
52:撹拌機
53:pH調整剤供給用配管(アルカリ剤供給手段)
55:排出口

Claims (5)

  1. 原料供給手段及び攪拌手段を備え、重合開始剤及び水の存在下に、アクリル酸を含む単量体を重合する第1反応槽と、前記第1反応槽の外部に配設されており、且つ、前記第1反応槽の槽壁に形成された排出口及び導入口を連絡する配管であって、前記第1反応槽にて生成した重合体を含む第1反応液の循環に用いられる循環用配管と、を有する第1反応器を備える装置を用いて、アクリル酸系重合体水溶液を連続的に製造する方法において、
    前記循環用配管には、前記第1反応液を冷却する冷却手段が配設されており、
    前記第1反応槽の前記排出口における前記第1反応液の温度と、前記第1反応槽の前記導入口における冷却された前記第1反応液の温度との差を30℃以上とし、
    前記第1反応槽の前記排出口から前記冷却手段までの液量と、前記第1反応槽における液量との質量比を0.050以下とし、
    前記単量体の重合及び前記第1反応液の循環を行うことを特徴とする、アクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
  2. 前記循環用配管には、前記第1反応液を排出するための排出用配管が接続されている請求項1に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
  3. 前記排出用配管から得られた前記第1反応液を中和して、pHが4〜9の範囲にある第2反応液を得る請求項2に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
  4. 前記装置が、前記排出用配管に接続されている第2反応器を、更に、備え、
    前記第2反応器において、アルカリ剤を用いて、前記第1反応液を中和して、前記第2反応液を得る請求項3に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
  5. 前記装置が、前記排出用配管に接続されている第2反応器と、該第2反応器に接続されている第3反応器とを、更に、備え、
    前記第2反応器において、前記排出用配管からの前記第1反応液を用いた重合が継続され、
    前記第3反応器において、アルカリ剤を用いて、前記第2反応器からの反応液を中和する請求項3に記載のアクリル酸系重合体水溶液の製造方法。
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