以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この錠剤印刷装置は、図1、2に示すように、搬送コンベヤ1により、錠剤を収容した多数の錠剤マガジン60を搬送しながら、上記印刷装置としてのインクジェットプリンタ10により、錠剤の両面に非接触で順次印刷を行ない、印刷を行った錠剤マガジン60を搬送コンベヤ1から平面上の循環搬送路に移載し、循環搬送路で印刷後の乾燥と、錠剤の回収を行なった後、空の錠剤マガジン60を再び搬送コンベヤ1の始端部に戻すように循環させ、連続して錠剤印刷を行うように構成される。
搬送コンベヤ1は、例えばタイミングベルトを用いたベルトコンベヤから構成され、ベルトコンベヤの上段搬送路がコンベヤ移動部2として形成される。搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2上には、多数の錠剤マガジン60を並列に載置して保持するために、上記移動ホルダーとして、アタッチメント3が、ベルトコンベヤの長手方向に所定の間隔で取り付けられている。アタッチメント3はベルトコンベヤとともに回転し、錠剤マガジン60は搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2の終端部から錠剤乾燥コンベヤ8に移載される。
なお、搬送コンベヤ1には、チェーンスプロケット間にコンベヤチェーンを掛け渡した構造のチェーンコンベヤを使用することもでき、この場合、両側のコンベヤチェーン間に、一定の間隔で錠剤マガジンを保持させるためのアタッチメントを連結することとなる。
錠剤印刷装置の搬送コンベヤ1は、予め設定されたタクトタイムで、所定の移動距離、移動時間、停止位置検出或いは停止時間ごとに、間欠運転されるように構成される。搬送コンベヤ1の間欠運転の制御は、図示しないコントローラにより、各錠剤マガジン60が、図1,2に示すように、マガジン装着装置7、錠剤供給装置55、印刷装置のインクジェットプリンタ10、及び移載装置14,15,16の位置に達したとき、その位置で正確に停止させるように制御される。
搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2となるコンベヤベルト上に、所定の間隔で、磁性体(例えばステンレス製)のアタッチメント3が取り付けられ、各アタッチメント3には錠剤マガジン60が、磁力により吸着されて保持されるようになっている。錠剤マガジン60は硬質合成樹脂或いはアルミニウムなどの非磁性体金属などにより板状の直方体形状に成形され、その下部に複数の永久磁石64が埋設され、錠剤マガジン60は磁力によりコンベヤ移動部2上のアタッチメント3に吸着固定されるようになっている。なお、錠剤マガジン60は、磁力により着脱可能に、コンベヤ移動部2に装着すればよく、永久磁石をアタッチメント側に取り付け、磁性体を錠剤マガジン60側に取り付けることもできる。
錠剤マガジン60は、図3〜図5に示す如く、正面を長方形とした薄い板状に形成され、水平直線状の底辺部を、アタッチメント3の上面に当接させ、永久磁石64によってその正面下部をアタッチメント3の垂直部3aの垂直面に磁力により吸着させて、アタッチメント3上の正確な位置に取り付けられる。アタッチメント3の垂直部3aの側面には、位置決め凸部3b(図3b)が水平横方向に突設される。
上記のように、錠剤マガジン60は、硬質合成樹脂或いは金属により一体成形され、アタッチメント3に吸着させるために、その下部に複数の永久磁石64が埋設される。さらに、図3bに示す如く、錠剤マガジン60の下部には、永久磁石64側の位置決め凸部3bに対応した位置に、位置決め孔65が設けられる。これにより、後述の移載装置14〜16の動作によって、錠剤マガジン60はその位置決め孔65を位置決め凸部3bに嵌め込み、永久磁石64の磁力により、アタッチメント3の所定位置に、正確に且つ容易に取り付けることができる。
さらに、錠剤マガジン60は、図3,5に示すように、長方形の板状本体内に、複数の錠剤を縦方向に収容する縦長の収容室61を複数個並設して形成される。錠剤マガジン60には、例えば6本の収容室61が一定間隔で縦に形成され、各収容室61は、搬送コンベヤ1の幅方向に1列で且つ搬送コンベヤ1の移動方向に並設され、各収容室61には、上端開口部62が開口して設けられる。なお、錠剤マガジンは、図4に示すように、12本の収容室61を設けた大型の錠剤マガジン60Aとすることもでき、より多くの錠剤を一度に印刷位置まで搬送し、多数の錠剤を効率良く印刷することもできる。
各収容室61には、上端開口部62とともにその前後両側に印刷用開口部63が縦方向に設けられ、各収容室61には、標準の大きさの錠剤が複数個(例えば6個)収容される形状となっている。さらに、縦長の各収容室61の底部には、図5に示すように、収容室61及び印刷用開口部63の幅より小幅の底溝66が、前後に水平に貫通して形成される。この底溝66は、図14,15に示すように、錠剤持上装置85の持上ピン88を、前後から挿通可能の形状に形成される。
錠剤マガジン60の各収容室61の正面と背面の両側に設けられた印刷用開口部63は、インクジェットプリンタ10から噴出するインクジェットの正常な通過を許容する幅に、縦方向に沿って設けられる。図5a,5bに示すように、印刷用開口部63の幅寸法W1は、錠剤Mの外径Bより僅かに短く形成され、錠剤Mが収容室61内で安定して保持される。錠剤マガジン60は、印刷する錠剤Mの大きさ(外径B)に応じて製作され、各収容室61内に、任意の個数の錠剤Mを縦1列に収容するように製作される。
図5a,5bに示す如く、収容室61の内側の幅寸法W2は、印刷用開口部63の幅寸法W1より僅かに広く形成され、且つ収容室61の内側の幅寸法W2は、錠剤Mの外径Bより僅かに広く形成される。また、錠剤の厚さTは、収容室61の厚さW3より小さく形成されるが、収容室61の厚さW3より僅かに厚くなってもよい。これにより、錠剤供給装置55において、上方の上端開口部62から縦列状の錠剤Mが錠剤挟持部56により挟持されて供給されたとき、各列の錠剤Mは収容室61内に進入可能である。
上記の如く、錠剤マガジン60の各収容室61の正面と背面に開口する印刷用開口部63の幅寸法W1は、錠剤Mの外径Bより僅かに狭く(小さく)形成され、収容室61内に供給された6個の錠剤Mが収容室61内で安定して保持される構造となっている。また、この印刷用開口部63の幅寸法W1は、錠剤Mの外径Bに対し比較的広くすることができ、印刷は、インクジェットによりこの印刷用開口部63を通して非接触で行なわれるため、錠剤Mの印刷面は従来のオフセット印刷などに比して広くすることができ、従来の印刷より遥かに多くの文字を印刷することができる。
さらに、各収容室61の底部には、底溝66が、正面側から背面側に貫通するように形成される。この底溝66は、後述の錠剤持上装置85の持上ピン88を挿入するために設けられ、且つ錠剤の粉体を収容室61から排出してその底部に粉体が溜まりにくくしている。
このように、多数の錠剤を収容する錠剤マガジン60を、コンベヤ移動部2上に、磁力により容易に着脱可能に装着し、搬送しながら印刷するように構成されるので、後述の如く、錠剤マガジン60は錠剤を収容した状態で、移載装置により別のコンベヤに、簡単に移すことができ、印刷後の乾燥、検査、不良品排出、良品回収の工程を、別の専用コンベヤ上に移載して、そのコンベヤ上で、各工程の必要時間に合せて、効率良く乾燥処理などを行うことができる。
図1、2に示す如く、搬送コンベヤ1の始端部近傍にマガジン装着装置7が配設される。マガジン装着装置7は、空の錠剤マガジン60を搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2上に装着する装置であり、図2に示すように、印刷後の錠剤を回収された後、戻りコンベヤ17により、搬送コンベヤ1の始端部近傍に運ばれた空の錠剤マガジン60を把持して、停止中のコンベヤ移動部2上の所定位置のアタッチメント3上に錠剤マガジン60を載置する。これにより、錠剤マガジン60は、その底部を、コンベヤ移動部2上のアタッチメント3の垂直部3aに当接され、その位置決め凸部3bを垂直部3aの位置決め孔65に嵌め込み、永久磁石64によりアタッチメント3に吸着させる。この状態で、空の錠剤マガジン60は、コンベヤ移動部2上の所定位置に、立てた状態で取り付けられ、装着される。
さらに、マガジン装着装置7の直ぐ下流側(次工程側)に、錠剤を供給するための錠剤供給装置55が配設される。錠剤供給装置55は、図6,7に示すように、搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2の供給位置、つまり所定の錠剤供給位置で停止した錠剤マガジン60上に、錠剤供給部55aを載置して連通接続するように、錠剤供給部55aが昇降可能に配設される。錠剤供給部55aは、錠剤マガジン60の収容室61に対応した本数の錠剤供給路55bをその内部縦方向に設けて構成され、流体圧シリンダ55eによって昇降するようになっている。
この錠剤供給部55aでは、2個の錠剤マガジン60に対し1度に錠剤を供給するために、12本の錠剤供給路55bが錠剤供給部55aに設けられるが、1個の錠剤マガジン60に錠剤を供給するように構成することもできる。図4に示す大型の錠剤マガジン60Aの場合、12本の錠剤供給路55bから1度に錠剤を供給することができる。錠剤供給部55aの上部には、可撓性を有するチューブ状の可撓性フィーダー55dが接続され、可撓性フィーダー55dを通して錠剤供給装置55の図示しない錠剤フィーダーから送られる錠剤を、各錠剤供給路55bに供給するようになっている。
錠剤供給部55aの各錠剤供給路55bは、錠剤マガジン60の収容室61と同様に、その正面と背面を縦方向に連続して開口し、縦に細長い開口部を設けて構成される。図7に示すように、錠剤供給部55aの前後両側には、錠剤挟持片56aを有した錠剤挟持部56が上下動及び前後移動可能に配設される。錠剤挟持部56の各錠剤挟持片56aは、錠剤供給部55aの各錠剤供給路55bの開口部に対応して設けられ、各錠剤供給路55bの開口部から収容室61内に進入し、錠剤供給路55b内の錠剤を前後両側から挟持可能な構造となっている。錠剤挟持片56aは、高分子弾性体(高分子エラストマー、合成ゴム等)、軟質発泡合成樹脂等から細い棒状に形成され、錠剤マガジン60内の複数の錠剤を両側から錠剤挟持片56aで確実に挟んで挟持する構造である。
さらに、錠剤挟持部56に錠剤挟持片56aは、錠剤を前後両側から挟持した状態で下降し、錠剤供給路55b内の錠剤を押し下げるように構成される。このために、図7に示す如く、錠剤挟持部56は流体圧シリンダ56bによって前後に移動可能に取り付けられ、錠剤挟持部56を保持する流体圧シリンダ56bは上下動可能に配設され、昇降用の流体圧シリンダ56cによって昇降する。錠剤供給位置には、ガイドポスト56dが床上に鉛直に立設され、錠剤挟持部56及び流体圧シリンダ56bの上下動をガイドする構造である。ガイドポスト56d、流体圧シリンダ56b、56c、及び錠剤挟持部56は、図7に示すように、搬送コンベヤ1上の錠剤マガジン60の前後両側に1対づつ配設される。
上記構成により、搬送コンベヤ1上の空の錠剤マガジン60が錠剤供給装置55まで移動し、図示しない停止位置検出センサの検出により、或いは搬送コンベヤ1の間欠停止時に錠剤マガジン60が供給位置で停止したとき、錠剤供給装置55は、流体圧シリンダ55eを動作させて錠剤供給部55aを錠剤マガジン60上に載置させ、錠剤供給部55aの各錠剤供給路55bを錠剤マガジン60の各収容室61の上端開口部62に接続する。このとき、錠剤供給部55aでは、各錠剤供給路55b内の所定数の錠剤が入った状態であり、それらの錠剤は前後両側から錠剤挟持部56の錠剤挟持片56aにより安全確実に挟持され、錠剤供給路55b内に保持された状態にある。次に、錠剤を挟持した状態の錠剤供給部55aが図9のように下降し、これにより、錠剤供給部55aの各錠剤供給路55bから所定数の錠剤が、錠剤マガジン60の各収容室61内に、その上端開口部62から供給されるようになっている。
また、この後、錠剤挟持部56は錠剤挟持片56aを両側に引き戻した状態で、所定の位置まで上昇し、その状態で、錠剤挟持部56は再び錠剤挟持片56aを押し出し、錠剤供給部55aの錠剤供給路55bに上方から供給されている所定数の錠剤を挟持して保持する。この後、錠剤供給部55aが錠剤挟持部56とともに僅かに上昇し、これにより、錠剤マガジン60と錠剤供給部55aとの間が僅かに開き、錠剤供給路55b内に錠剤を保持した状態で、次の空の錠剤マガジン60が錠剤供給路55bの真下まで移動する間、錠剤を保持した錠剤供給部55aは所定の上方位置で待機する。
さらに、図1、2に示すように、錠剤供給装置55の下流側の次工程近傍位置に、錠剤Mの錠剤情報を印刷する上記印刷装置として、インクジェットプリンタ10が配設され、印刷前に錠剤Mの両側面を撮影する撮影装置20が配設される。インクジェットプリンタ10は、錠剤マガジン60が搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2上を搬送され、所定の印刷位置で間欠停止したとき、錠剤マガジン60の各収容室61に収容された複数の錠剤に対し、その両側面に、略同時に印刷を行なうように、1対の印刷ヘッド11がサーボスライダ12の水平移動部12aの両側に垂下した状態で取り付けられる。1対の印刷ヘッド11は、図12、13に示すように、搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2を移動して所定位置に停止した錠剤マガジン60に対し、サーボスライダ12の作動により、収容室61の両側(正面と背面)の印刷用開口部63に向けてインクジェットを噴出し、印刷する。
インクジェットプリンタ10の印刷ヘッド11は、縦長状に形成され、1個の収容室61内に収容される全錠剤を、一度に(1回の停止期間中に)印刷することができる構造であり、6個の収容室61を有する錠剤マガジン60に対し、サーボスライダ12の動作により横方向に、順に移動して6個の収容室61内の全錠剤に印刷する。また、図10〜図12に示すように、印刷ヘッド11は、搬送コンベヤ1の両側に配設され、両側の印刷ヘッド11は、サーボスライダ12の水平移動部12a上に、搬送コンベヤ1上の錠剤マガジン60の収容室61内の錠剤に向けて取り付けられ、収容室61内の全錠剤の表裏両側面に、略同時に印刷することができる。
この実施形態のサーボスライダ12のスライダ本体は、水平移動部12aが2個の錠剤マガジン60の長さ以上に長尺に形成され、錠剤マガジン60の一度の停止時に、2個分の錠剤マガジン60内の錠剤を、サーボスライダ12の動作により、水平横方向に移動して、一度に印刷するようになっている。これにより、一度の停止時に1個の錠剤マガジンの錠剤に印刷する場合に比べ、印刷効率を高くしている。
上記のように、両側の印刷ヘッド11は、サーボスライダ12の水平移動部12aに取り付けられ、サーボスライダ12の制御駆動により、搬送コンベヤ1の搬送方向(錠剤マガジン60の長手方向)と平行に、精密に制御移動可能である。サーボスライダ12の水平移動部12aは長尺のスライダ本体上を摺動可能に取り付け、ステップモータにより回転駆動されるボールねじの回転により、水平移動部12aを長手方向に往復移動し、水平移動部12aの移動量は、ステップモータの制御により精密に制御される。
さらに、水平移動部12aの両側に垂下して取り付けられた印刷ヘッド11の下側に、錠剤マガジン60の位置を正確に検出するために、精密位置センサ13が取りけられる。精密位置センサ13はレーザ光を投光して受光する透過型レーザセンサ等から構成され、錠剤マガジン60のエッジを正確に検出する。インクジェットプリンタ10は、精密位置センサ13が錠剤マガジン60のエッジを検出し、その検出信号を入力したとき、その錠剤マガジン60の収容室61内の錠剤に対し印刷工程に入るように制御される。
インクジェットプリンタ10は、一定時間ごとに自動的に印刷ヘッド11のノズル部をクリーニングする機構を内蔵する。ノズル部のクリーニングは、図10に示すサーボスライダ12のクリーニング可動範囲を使用して実施される。錠剤の印刷に使用されるインクには、水性インクで人体に対し無害のインク、例えば黒色或いは有彩色の可食顔料系インク或いは可食染料系インクが使用される。また、色彩の異なるインクを噴出する複数のノズルを、印刷ヘッド11に設けることにより、2色以上のカラー印刷で、錠剤識別コード、主薬含有量、会社マーク、錠剤名などの錠剤情報を、非接触で錠剤に印刷することができるようになっている。ここで、インクジェットプリンタ10は、図示しない印刷コントローラから送られる印刷画像データに基づき、ピエゾ型の印刷ヘッド11を制御して印刷するように構成され、錠剤マガジン60の収容室61の印刷用開口部63を通して、インクジェットを内部の錠剤に噴出し、略同時に錠剤の表裏に錠剤情報を印刷する。
さらに、図11,12に示す如く、インクジェットプリンタ10の近傍における搬送コンベヤ1の両側位置に、撮影装置20が、錠剤マガジン60の両側面に向けて、錠剤の画像を撮影するように、配置される。撮影装置20は、例えばイメージセンサカメラから構成され、前面に光学系22が設けられ、光学系22により結像した錠剤マガジン60の画像をイメージセンサ21に取り込み、その画像データを送出する。撮影装置20は図12に示すように両側に2対づつ設置され、2個の錠剤マガジン60内の全錠剤を同時に両側から撮影し、その画像データを印刷コントローラに出力する。
印刷コントローラは、例えば4フレーム分の画像データから錠剤の画像データを抽出し、それらの画像データから、錠剤の外観の良否を検査し、或いは錠剤が割線錠である場合、その割線の画像データを抽出する。そして、印刷コントローラは、その割線の角度を算出し、割線の角度に沿ってその両側に錠剤名などの文字列を印刷するように印刷画像データを作成し、その印刷画像データに基づき錠剤印刷を行うように制御信号を印刷ヘッド11に出力する。
なお、インクジェットプリンタ10と撮影装置20を使用して錠剤印刷を行う印刷工程では、印刷位置で停止した錠剤マガジン60を、所定位置で位置決めし且つロックするロック装置(例えば図18に示すホルダーロック装置162)を設けることが好ましい。これにより、常に一定の印刷位置で錠剤マガジン60を静止させた状態で、錠剤の画像撮影と印刷を行うことができ、印刷精度を高めることができる。
さらに、図1、2に示す如く、搬送コンベヤ1上のインクジェットプリンタ10の次工程近傍位置には、錠剤の印刷状態を検査する印刷検査装置9が配設される。印刷検査装置9は、錠剤マガジン60内に収容され印刷を行なった各収容室61内の複数の錠剤の印刷部分を、両側から一度に撮影し、その画像データに基づき印刷状態を検査するように構成され、CCD撮像素子やCMOS撮像素子などのイメージセンサ或いはラインセンサを用いた撮影装置が停止した錠剤マガジン60の両側に対向して設置される。撮影装置が撮影した画像データは、画像処理した後、予め記憶した正常印刷状態の錠剤の画像データと比較され、錠剤の印刷不良の有無が検査される。
図1,2に示すように、搬送コンベヤ1の終端部近傍には、錠剤印刷を行って搬送された錠剤マガジン60を、次の錠剤乾燥コンベヤ8に移載するための移載装置14が配設される。移載装置14は、搬送コンベヤ1の終端部近傍に達して停止した錠剤マガジン60を把持し、コンベヤ移動部2のアタッチメント3の垂直部3aに、磁力により磁気吸着されている錠剤マガジン60を、側方に押して或いは引いてアタッチメント3から離脱させ、錠剤乾燥コンベヤ8上に移すように構成される。
錠剤乾燥コンベヤ8は、図2に示すように、搬送コンベヤ1の終端部近傍の側方に直角に配置され、移載装置14により移載された錠剤マガジン60を、順にその厚さ方向にコンベヤ上に載置し、搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2と同じ平面上でその搬送方向と直角方向に、多数の錠剤マガジン60を順に移動させるように構成される。図では省略しているが、この錠剤乾燥コンベヤ8上にも、上記と同様のアタッチメントが取り付けられ、錠剤マガジン60の底部の永久磁石
4の磁力によりアタッチメントに吸着させて、各錠剤マガジン60を立てた状態で保持する。或いは、錠剤乾燥コンベヤ8は、コンベヤベルト上に多数の保持枠を並設し、それらの保持枠により錠剤マガジン60の底部を保持する構造としてもよい。
そして、この錠剤乾燥コンベヤ8は、図2のように、多数の錠剤マガジン60をその厚さ方向に沿ってコンベヤ上に並置させ、搬送コンベヤ1と直角方向に移動させ、移動時間中に錠剤の印刷インクを乾燥させる。錠剤乾燥コンベヤ8は多数の錠剤マガジン60を厚さ方向に並置させて低速で移動させるので、搬送コンベヤ1の長さに比して短い長さのコンベヤ上に、例えば常時約20個程度の錠剤マガジン60を並置して、所定の乾燥時間移動させながら、乾燥処理するようになっている。
さらに、錠剤乾燥コンベヤ8の終端部近傍に、移載装置15が配置され、この移載装置15は、錠剤乾燥コンベヤ8の終端部に達した錠剤マガジン60を把持して、コンベヤ上に磁気吸着されている錠剤マガジン60を、側方に押して或いは引いてアタッチメント3から離脱させ、戻りコンベヤ17に移すように構成される。
戻りコンベヤ17は、図2に示すように、搬送コンベヤ1の移動方向とは逆方向に、コンベヤ移動部を移動させるように構成され、錠剤マガジン60を搬送コンベヤ1の始端部に戻すように動作する。戻りコンベヤ17の構造は、搬送コンベヤ1と同様に構成され、そのコンベヤ移動部上に所定間隔で取り付けたアタッチメントに、錠剤マガジン60の底部を磁気吸着させて保持し、各錠剤マガジン60をその長手方向に向けて搬送する。
戻りコンベヤ17の側方近傍に、図2に示すように、錠剤マガジン60から錠剤を取り出す取出装置30が配設される。取出装置30は、不良品排出部80と良品回収部90とから構成され、不良品排出部80と良品回収部90は、図14,15に示すように、同様な構成である。不良品排出部80または良品回収部90となる取出装置30は、図14,15に示すように、取り出そうとする収容室61の底溝66に、正面側から持上ピン88を差し込み、その持上ピン88を上昇させて、当該収容室61内の錠剤をその上端開口部62から上方に押し出し、押し出した錠剤を、シュート92を通して排出または回収する。
このために、図14,15に示す如く、複数の持上ピン88を水平に保持する支持板91が、上下動用の流体圧シリンダ87とガイドポスト86により、水平状態を保持しながら上下動可能に配設される。支持板91には錠剤マガジン60の各収容室61の底溝66に対向して、各々、流体圧シリンダ89が水平に取り付けられ、各流体圧シリンダ89のピストンロッドの先端には、持上ピン88が錠剤マガジン60の各収容室61の底溝66に押し込み可能に取り付けられる。
印刷検査装置9によって印刷不良とされた錠剤が、錠剤マガジン60の収容室61内にある場合、その錠剤マガジン60とその収容室61を示す信号が検査装置から不良品排出部80のコントローラに送られる。不良品排出部80の取出装置30は、この信号を入力すると、当該錠剤マガジン60が停止したとき、流体圧シリンダ89を動作させて不良錠剤を含む収容室61の底溝66内に持上ピン88を差し込む。その状態で、不良品排出部80は、上下動用の流体圧シリンダ87を動作させ、持上ピン88を上昇させ、これにより、不良錠剤を収容室61の上端開口部62から押し出し、シュート92を通して排出する。
一方、錠剤マガジン60内に不良品がなく、或いは不良品を排出した後に、良品が錠剤マガジン60内にある場合、良品回収部90の取出装置30は、上記と同様、錠剤マガジン60が停止したとき、流体圧シリンダ89を動作させて良品錠剤の入った収容室61の底溝66内に持上ピン88を差し込む。その状態で、良品回収部90は、上下動用の流体圧シリンダ87を動作させ、持上ピン88を上昇させ、これにより、良品錠剤を収容室61の上端開口部62から押し出し、シュート92を通して回収する。
なお、錠剤マガジン60の各収容室61の上端開口部62の上方で、シュート92との間に、空気ノズルを配設し、空気ノズルの噴出空気により、錠剤を良品回収部に或いは不良品排出部に向けて選択的に落下させるように構成してもよい。この場合、各収容室61に上方に配置された各空気ノズルは、持上ピン88により持ち上げられた上端開口部62の錠剤を、空気ノズルの噴出空気により回収部側に吹き飛ばして落下させるように配設される。各空気ノズルの空気噴出量は、錠剤の良否データに基づき、調整される。
これにより、各空気ノズルは、錠剤印刷良否データに応じて、各錠剤の吹き飛し位置を調整し、印刷検査装置9からの印刷良否データに基づき、例えば、良品の場合、空気ノズルの空気噴出量を少なくして良品回収部に錠剤を落下させ、不良品の場合、空気噴出量を増大させ、不良錠剤を遠くに落下させ、不良品排出部に排出するように構成してもよい。
さらに、図2に示すように、取出装置30の下流側における、戻りコンベヤ17の終端部近傍には、移載装置16が配設される。この移載装置16は、戻りコンベヤ17の終端部まで搬送された空の錠剤マガジン60を把持し、戻りコンベヤ17上のアタッチメントから錠剤マガジン60を離脱させ、次の載せ換えコンベヤ18上に載せ換えるように構成される。載せ換えコンベヤ18は、移載装置
16により移載された空の錠剤マガジン60を、搬送コンベヤ1の始端部近傍まで移動させる構造である。載せ換えコンベヤ18は空の錠剤マガジン60を搬送するのみのため、錠剤マガジン60を単純に吊り下げて所定位置まで運ぶ構造であってもよい。
このように、載せ換えコンベヤ18により搬送コンベヤ1の始端部近傍まで搬送された空の錠剤マガジン60は、上記マガジン装着装置7によって、再び、上記搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2の始端部上に載置され、永久磁石64の磁力によりアタッチメント3上に装着され、平面上を移動して循環使用されるので、錠剤印刷装置の全体を比較的コンパクトに構成しつつ、乾燥工程、検査工程、錠剤の不良品排出工程、良品回収工程で必要な処理を、必要な時間をかけて確実に処理することができるようになっている。
次に、上記構成の錠剤印刷装置の動作を説明する。図1、2に示すように、搬送コンベヤ1は、その始端部において、マガジン装着装置7により空の錠剤マガジン60が、載せ換えコンベヤ18から、コンベヤ移動部2のアタッチメント3上に立てた状態で順に装着され、予め設定されたタクトタイムで間欠運転する。
搬送コンベヤ1の間欠運転により、各錠剤マガジン60が錠剤供給装置55の対向位置に達して停止したとき、図6〜図9に示すように、流体圧シリンダ56cの作動により錠剤供給部55aが錠剤マガジン60上に下降し、その各錠剤供給路55bの下端が各収容室61の上端に連通した状態となる。このとき、錠剤供給部55aの各錠剤供給路55b内には、錠剤Mが可撓性フィーダー55dを通して充填されており、その前後両側から錠剤挟持部56の錠剤挟持片56aが錠剤供給路55b内の錠剤Mを、その両側から挟持している。
次に、流体圧シリンダ56cの作動により、両側の錠剤挟持部56が錠剤を挟持した状態で下降し、それによって、錠剤供給路55b内の錠剤が錠剤マガジン60の収容室61内に押し下げるように供給される。このとき、錠剤供給部55aの各錠剤供給路55b内の錠剤Mは、錠剤挟持部56の錠剤挟持片56aにより、両側から挟持された状態で押し下げ供給されるので、錠剤マガジン60の収容室61内には所定数の錠剤を確実に供給することができる。押し下げ供給を行なった錠剤挟持部56の錠剤挟持片56aは、その後、流体圧シリンダ56bの引き戻し動作により、両側に開くように移動した状態で、錠剤供給部55aの位置まで上昇する。
そして、再び流体圧シリンダ56bが押し出し動作し、両側の錠剤挟持部56の錠剤挟持片56aが錠剤供給部55aの各錠剤供給路55b内の錠剤Mを挟持した状態となり、その状態で、上下用の流体圧シリンダ55eが僅かに引き戻し作動する。これにより、錠剤供給部55aが僅かに上昇して錠剤マガジン60との間を離し、次の錠剤マガジン60が供給位置に進むまで、錠剤供給部55aは錠剤挟持片56aにより錠剤を挟持した状態で待機する。このような錠剤供給装置55の動作が繰り返されることにより、錠剤供給位置まで移動した錠剤マガジン60には、錠剤供給部55aに供給された所定数の錠剤Mが、その収容室61内に供給される。
図1、2に示すように、錠剤Mを供給された錠剤マガジン60は、次に、搬送コンベヤ1の間欠運転により、インクジェットプリンタ10の印刷ヘッド11との対向位置(印刷位置)まで移動し、停止する。停止中のタクトタイムにおいて、錠剤の両面に錠剤名などの錠剤情報を印刷する印刷処理が行われる。
2個の錠剤マガジン60が、印刷位置で停止すると、図11,12に示すように、先ず、その両側に設置された2対の撮影装置20により、2個の錠剤マガジン60の全収容室61内の錠剤Mの両側面が、略同時に撮影され、その画像データが印刷コントローラに取り込まれる。
印刷コントローラは、撮影された画像データの輝度データなどから、撮影された画像中から錠剤Mの画像を抽出し、割線を設けた割線錠剤の場合には、割線の画像データを抽出する。割線のない通常の錠剤Mの場合、錠剤Mの表面に通常姿勢で印刷するように、錠剤情報の印刷画像データを作成して出力し、割線錠剤の場合には、当該割線に沿って割線の両側に印刷するように、印刷画像データを作成して出力する。
次に、作成された印刷画像データが、インクジェットプリンタ10に転送され、インクジェットプリンタ10は、サーボスライダ12を駆動制御して、その水平移動部12aを所定位置(停止中の錠剤マガジン60の各収容室61の位置)まで移動させ、印刷画像データが印刷ヘッド11のヘッドコントローラに送られ、錠剤Mの両側面の印刷が略同時に行われる。
このとき、図13に示すように、先ず、マガジンAの各収容室61内の錠剤について、その両側面に錠剤情報を印刷する処理を行い、続いて、マガジンBの各収容室61内の錠剤について、その両側面に錠剤情報を印刷する処理を行う。そして、マガジンA,Bの印刷が連続して実施され、印刷が完了したとき、サーボスライダ12の水平移動部12aがホームポジションに戻され、次の錠剤マガジン60が印刷位置に到達するまで待機することとなる。
このように、マガジンA,Bの収容室61内に収容された各々の錠剤Mについて、印刷画像データが印刷ヘッド11のヘッドコントローラに送られ、印刷ヘッド11の多数のノズルが開閉制御されて、インクが噴出し、インクは印刷用開口部63を通して収容室61内の錠剤表面及び裏面に付着し、錠剤名、錠剤識別コード、主薬含有量、会社マークなどの錠剤情報が錠剤Mの両面に略同時に印刷される。
次に、錠剤Mに印刷を施した錠剤マガジン60は、図1、2に示すように、搬送コンベヤ1の間欠運転によって、印刷検査装置9の対向位置まで移動する。このとき、印刷検査装置9は、錠剤マガジン60内に収容され印刷を行なった各収容室61内の6個の錠剤の印刷部分を、CCDカメラ等の撮影装置により両側から一度に撮像する。撮影装置が撮影した画像データは、画像処理した後、予め記憶した正常印刷状態の錠剤の画像データと比較され、錠剤の印刷不良の有無が検査される。
このとき、印刷不良が検知された場合、その印刷不良検出信号がコントローラに送られ、後述の不良品排出部80による不良品排出の指令に使用される。一方、印刷不良が検出されず、錠剤印刷が良品である場合、後述の良品回収部90で錠剤マガジン60から良品錠剤が回収されることとなる。印刷検査装置9の検査後の錠剤マガジン60は、搬送コンベヤ1の間欠運転により、次にコンベヤの終端部に位置する移載装置14まで搬送される。
移載装置14は、搬送コンベヤ1の終端部まで搬送された錠剤マガジン60を、把持装置により把持し、コンベヤの搬送方向に対し直角方向に、押し出す、引き離す、或いは引き上げるように移動させ、コンベヤ移動部2のアタッチメント3上から錠剤マガジン60を離脱させ、図2のように、搬送コンベヤ1と隣接する錠剤乾燥コンベヤ8上に載置して載せ換える。なお、錠剤乾燥コンベヤ8の詳細な構造省略しているが、搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2と同様に、錠剤乾燥コンベヤ8のコンベヤ移動部には、所定の間隔で錠剤マガジン60の底部が磁力により吸着するアタッチメントが取り付けられている。
錠剤乾燥コンベヤ8は、図2のように、そのコンベヤ移動部上に載置された錠剤マガジン60を、搬送コンベヤ1の搬送方向と直角方向に搬送させながら、所定の乾燥時間だけ終端まで搬送し、錠剤印刷のインクを乾燥させる。このとき、各錠剤マガジン60は、その厚さ方向を錠剤乾燥コンベヤ8の搬送方向と平行に、その正面幅方向を錠剤乾燥コンベヤ8の搬送方向に直角にして、搬送するため、比較的短いコンベヤ移動部上に多くの錠剤マガジン60を載置して、低速で移動させながら、必要な乾燥時間をかけて、インクの乾燥を十分に行うことができる。
錠剤乾燥コンベヤ8上で移動しながら、印刷インクを乾燥させた錠剤マガジン60は、錠剤乾燥コンベヤ8の終端部で、図2に示す如く、移載装置15によって、次の戻りコンベヤ17に載せ換えられる。この場合も、上記と同様に、移載装置15は、錠剤乾燥コンベヤ8の終端部まで搬送された錠剤マガジン60を、把持装置により把持し、錠剤乾燥コンベヤ8の搬送方向に対し直角方向に、押し出す、引き離す、或いは引き上げるように移動させ、錠剤乾燥コンベヤ8のアタッチメント上から錠剤マガジン60を離脱させ、図2のように、戻りコンベヤ17に載置して載せ換える。
戻りコンベヤ17は、そのコンベヤ移動部を搬送コンベヤ1とは逆方向に移動させるように敷設されており、錠剤マガジン60を搬送コンベヤ1の始端部側に戻すように搬送する。図2に示すように、不良品排出部80と良品回収部90とからなる取出装置30が、戻りコンベヤ17に隣接して配設され、錠剤マガジン60の収容室61内に印刷不良などの不良品錠剤がある場合、図14,15に示すように、不良品排出部80から錠剤Mが排出され、印刷不良のない錠剤Mは、良品回収部90から錠剤マガジン60から回収される。
すなわち、不良印刷がある場合、その不良品(錠剤)を収容した錠剤マガジン60が不良品排出部80まで移動し停止したとき、不良品排出部80は、不良錠剤を錠剤マガジン60から排出するように動作する。不良品排出部80は、図14,15に示すように、不良品(不良印刷錠剤)を収容した錠剤マガジン60が停止し、不良品信号を入力すると、当該錠剤マガジン60が排出部の前で停止したとき、流体圧シリンダ89を動作させて不良錠剤を含む収容室61の底溝66内に持上ピン88を差し込む。その状態で、不良品排出部80は、上下動用の流体圧シリンダ87を動作させ、持上ピン88を上昇させ、これにより、不良錠剤を収容室61の上端開口部62から押し出し、シュート92を通して排出する。
一方、不良品のない或いは不良品を除去した後の良品錠剤のみを収容した錠剤マガジン60が、良品回収部90に達すると、上記と同様に、流体圧シリンダ89を動作させて全ての収容室61の底溝66内に持上ピン88を差し込む。その状態で、良品回収部90は、上下動用の流体圧シリンダ87を動作させ、持上ピン88を上昇させ、これにより、良品錠剤が全ての収容室61の上端開口部62から押し出され、シュート92を通して回収される。戻りコンベヤ17上の全ての錠剤マガジン60から錠剤が排出或いは回収され、空の錠剤マガジン60が戻りコンベヤ17の終端部に達する。
空の錠剤マガジン60が戻りコンベヤ17の終端部に達すると、当該終端部近傍に配設された移載装置16が作動し、終端部まで搬送された錠剤マガジン60を、把持装置により把持し、それを押し出す、引き離す、或いは引き上げるように移動させ、戻りコンベヤ17のアタッチメント上から錠剤マガジン60を離脱させ、図2のように、載せ換えコンベヤ18上に錠剤マガジン60を載置する。
載せ換えコンベヤ18は、錠剤マガジン60を搬送コンベヤ1の始端部近傍まで移動させるように動作する。
そして、載せ換えコンベヤ18の終端部に移動した錠剤マガジン60は、上記マガジン装着装置7により把持されて、搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2上に所定の間隔で取り付けたアタッチメント3上に載置され、空の錠剤マガジン60が再び搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2上に戻され、搬送コンベヤ1の間欠運転により、上記のように、錠剤供給装置55にて、再び錠剤マガジン60の収容室61内に新たな錠剤が入れられ、インクジェットプリンタ10へと移動して錠剤印刷が行われる。
なお、上記実施形態では、素錠の両側表面に、インクジェットプリンタ10により、錠剤名などを印刷したが、酸化チタンを含むコーティング層を錠剤の表面にコートしたコート錠M1に印刷する場合、図16に示すように、インクジェットプリンタ10に代えてレーザーマーカー40を使用し、レーザーマーキングによる印刷を行なうこともできる。
レーザーマーカー40は、図16に示すように、UVレーザー発振器40aを備え、UVレーザー発振器40aから出力されたUVレーザー光(紫外線レーザー光)を、スキャニング機構40bに通し、細いレーザービームをスキャニングしてコート錠M1の表面に照射するように構成される。レーザーマーカー40は、スキャニングしたUVレーザーの照射によって、コート錠M1の表面の酸化チタンの色調を灰色に変化させ、錠剤名などをコート錠M1に印刷する。
上記のように、素錠の表面に印刷する場合、インクジェットプリンタを使用することとなるが、酸化チタンを含むコーティング層をコートしたコート錠M1では、レーザーマーカー40を使用し、細いレーザービームをスキャニングして、錠剤の表面に印刷を行なうことができるため、この場合も上記と同様、錠剤マガジンの縦方向の収容室に錠剤を収容した状態で、多数の錠剤の両側面に同時に、非常に高い効率で印刷することができる。
このように、搬送コンベヤ1は、コンベヤ移動部2上に多数の錠剤マガジン60を、その移動方向と平行に1列に並べ磁力により着脱可能に装着し、各錠剤マガジンの幅(厚さ)方向に1列で設けた収容室61内に、複数の錠剤を縦に収容し、搬送コンベヤ1によりそれらを間欠移動させ、間欠停止中の錠剤マガジン60の収容室61内の錠剤に対し、インクジェットプリンタ10の印刷ヘッド或いはレーザーマーカー40を横方向に移動させながら、収容室61両側の印刷用開口部63を通して、インク或いはレーザーを各錠剤の両面に噴出し或いは照射して、印刷を行なうので、従来の錠剤印刷装置のように、搬送コンベヤに錠剤を吸着させるための大型真空吸引装置が不要となり、装置の電力消費量も大幅に削減することができ、且つ多数の錠剤に効率良く印刷を行うことができる。
また、従来の錠剤印刷装置で使用されていた、整列トラフ、第1搬送コンベヤのコンベヤベルト、反転装置、及び第2搬送コンベヤのコンベヤベルトが不要となり、印刷装置の構成を非常に簡単化し且つ小型化することができる。さらに、錠剤マガジン60に収容された錠剤の両面に、同時にインクを噴出或いはレーザーを照射して印刷を行なうので、従来の錠剤印刷装置のような、錠剤の反転による転写や印刷不良を防止することができ、高い精度で錠剤に印刷することができる。
さらに、従来の錠剤印刷装置のように、整列トラフ、第1搬送コンベヤのコンベヤベルト、反転装置、及び第2搬送コンベヤのコンベヤベルト間における錠剤の載せ換え移動がなく、錠剤マガジン60の載せ換えで印刷処理を行うため、錠剤の載せ換え移動に伴う、粉体の発生が少ないので、薬剤のコンタミネーションを防止し、吸引装置のフィルタの目詰まりも低減させることができる。
さらに、錠剤の搬送時に錠剤の載せ換え移動がないため、載せ換えに伴う、錠剤の脱落、錠剤の搬送姿勢の悪化、或いは錠剤の姿勢不良による印刷不良を防止し、高い精度の印刷を行なうことができる。また、搬送コンベヤ1上の錠剤マガジン60は、縦長の収容室61内に複数の錠剤を縦に収容し、錠剤が自重で収容室61内に保持されるため、収容室61内の錠剤を一定の姿勢で間欠移動させることができ、非常停止時などで搬送コンベヤ1が停止した場合でも、収容室61内の錠剤を安全に保持することができる。
さらに、各錠剤マガジン60は、コンベヤのアタッチメント上に磁力により吸着されて着脱可能に装着され、搬送コンベヤ1のコンベヤ移動部2を含む平面上の循環搬送路で移動し、移載装置14〜16の動作により移載され、錠剤供給、印刷、検査、乾燥、不良品の排出、良品の回収などの各工程を進むので、錠剤印刷装置全体がコンパクトにまとまり、且つ効率良く錠剤の印刷を行うことができる。
図17、図18は、錠剤マガジン60を搬送するコンベヤとして、摺動レール式の搬送コンベヤ101を使用する実施形態の例を示している。
この搬送コンベヤ101は、錠剤マガジン60を搬送するために、摺動レール式コンベヤを用いており、錠剤マガジン60を装着した移動ホルダー103を、摺動移動させるための摺動レール102と、摺動レール102上の移動ホルダー103を間欠移動させる間欠移動駆動機構110とを備えて構成される。
摺動レール102は、図18などに示すように、横断面をコ字状(方形)としてチャンネル状に形成され、錠剤の供給工程から印刷工程まで直線状に敷設される。摺動レール102内には、錠剤マガジン60を保持する移動ホルダー103が挿入され、長手方向に摺動可能に保持される。
移動ホルダー103は、図19、図20に示す如く、上部に錠剤マガジン60を立てた状態で保持する保持部を有し、且つチャンネル状の摺動レール102内に挿入されて円滑に摺動可能な形状に、磁性体金属によって形成される。移動ホルダー103は、図20に示す如く、その内側に錠剤マガジン60を鉛直に立てた状態で挿入したとき、錠剤マガジン60内の永久磁石64の磁力により、錠剤マガジン60を移動ホルダー103内の定位置に吸着し保持する。
なお、移動ホルダー103は非磁性体金属或いは硬質合成樹脂により成形することもでき、この場合、錠剤マガジン60は磁性体金属で形成し、移動ホルダー103内に永久磁石を埋設すればよい。
図19に示す如く、移動ホルダー103の底部には、矩形穴状の被係合部103aが、間欠移動駆動機構110の係合部104を係合させるように穿設される。間欠移動駆動機構110の係合作動部105の長尺のベース板105bには、図17に示す如く、複数(例えば4個)の係合部104が、所定の間隔(移動ホルダー103の長さ間隔)で、上向きに突設される。
この搬送コンベヤ101の間欠移動駆動機構110は、移動駆動時、先ず係合作動部105を上昇させ、摺動レール102の底部長手方向に設けたスリットを通して、その係合部104を突出させ、移動ホルダー103の底部の被係合部103aに係合させる。次に、図18に示す往復移動駆動部106を動作させて、係合作動部105を水平方向つまり摺動レール102の搬送方向に移動させ、係合部104の係合した移動ホルダー103を、搬送方向に移動ホルダーの長さ幅だけ移動させる構造である。
図17、図18に示すように、間欠移動駆動機構110は、移動ホルダー103の底部に設けた被係合部103aに、係合部104を係合させる係合作動部105と、係合作動部105を摺動レール102の長手方向に沿って往復移動させる往復移動駆動部106と、を備える。係合作動部105は、複数の流体圧シリンダ105aをベース部106a上に上向きに取り付け、そのピストンロッドの上端にベース板105bを水平に取り付け、ベース板105b上に複数の係合部104を、移動ホルダー103の長さ幅で設けて構成される。これにより、間欠移動駆動機構110は、搬送時、係合作動部105の流体圧シリンダ105aが作動してベース板105bを上昇させ、ベース板105b上の各係合部104を上昇させたとき、各係合部104は各移動ホルダー103の被係合部103a内に係合する。
間欠移動駆動機構110の往復移動駆動部106は、図17、図18に示すように、オシレートモータまたはロータリシリンダなどを用いて回転軸を往復回転駆動する回転駆動部108を備え、上側に突出した回転軸に揺動アーム108aを水平に軸着し、回転駆動部108の回転軸を所定の角度範囲内で往復回転させ、揺動アーム108aを往復回動させるように構成される。なお、往復移動駆動部106は、上記の回転駆動部108、揺動アーム108aに代えて、リニアモータ、流体圧シリンダなどを使用して、往復移動駆動を行なうようにしてもよい。
往復移動駆動部106は、ベース部106aの下側にガイド部106bが設けられ、ガイド部106bには、摺動レール102に沿って水平に取り付けられた2本のガイドロッド107が挿通され、ベース部106aの水平方向への往復移動がガイドされる。一方、揺動アーム108aの先端部は、ガイド部106bの下側に設けた係合部に係合し、揺動アーム108aが水平方向に往復回動すると、往復移動駆動部106のガイド部106b、ベース部106a、その上の係合作動部105が、摺動レール102の長手方向に沿って水平往復移動する構造である。
これにより、係合作動部105が係合部104を上昇させて移動ホルダー103と係合した状態で、回転駆動部108が回転軸を所定角度範囲で回転すると、揺動アーム108aが同角度範囲で回動し、ベース部106aが水平移動し、係合作動部105が一定の間欠移動距離(移動ホルダー103の長さ幅)だけ搬送方向に移動する。
これにより、複数(例えば4個)の移動ホルダー103が各々、係合部104を介して往復移動駆動部106の駆動力を受け、摺動レール102上を移動ホルダー103の長さ幅だけ移動する。この後、係合作動部105の流体圧シリンダ105aがベース板105bを下降させ、これにより、係合部104が移動ホルダー103の被係合部103aから離脱する。そして、回転駆動部108が上記と逆方向に同じ角度範囲で戻り回動し、往復移動駆動部106が元の位置まで移動し、これにより、係合作動部105の流体圧シリンダ105a、ベース板105b、及び係合部104が駆動開始位置に復帰する。
摺動レール式の搬送コンベヤ101は、このような、間欠移動駆動機構110の動作により、摺動レール102上で複数の錠剤マガジン60の移動ホルダー103を、移動ホルダーの長さ幅づつ間欠搬送する。
なお、上記搬送コンベヤ101の間欠移動駆動機構110は、錠剤の供給工程から印刷工程にかけて配設され、例えばベース板105b上に4個の係合部104が移動ホルダーの長さ間隔で立設される場合、4個の移動ホルダー103が一度にその長さ幅だけ移動するが、係合部104は、任意の数だけ移動ホルダーの長さ間隔で設け、任意の数の移動ホルダー103を一度にその長さ幅だけ間欠移動させることもできる。
上記構成の摺動レール式の搬送コンベヤ101では、図21に示す移載装置117が、錠剤マガジン60の移動ホルダー103を、別のコンベヤに移すために、搬送コンベヤ101の始端位置及びその終端位置に配設される。
移載装置117は、図21に示す如く、移動ホルダー103の左端部の被係合部103bに係合部118aを係合させる係合作動部118と、係合作動部118を摺動レール102の長手方向に沿って略移動ホルダー103の長さだけ移動させる移動作動部119とを備えて構成される。
係合作動部118は、ベース部118d上に揺動レバー118bを、上下に揺動可能に軸支し、揺動レバー118bの先端部に係合部118aを設け、ベース部118上に取り付けた流体圧シリンダ118cにより、揺動レバー118bを上下に揺動させる。図21bに示す如く、揺動レバー118bがその先端の係合部118aを、下方に揺動したとき、係合部118aが移動ホルダー103の被係合部103bに係合する構造である。
移動作動部119は、図21に示すように、係合作動部118のベース部118dを、摺動レール102の長手方向に沿って所定距離だけ水平移動させる。移動作動部119は、摺動レール102の長手方向に沿って配設された2本のガイドロッド119bを有し、ベース部118dの下側に突設されたガイド部が2本のガイドロッド119b上で摺動可能に支持される。係合作動部118のベース部118dには、流体圧シリンダ119aのピストンロッドの先端部が連結され、流体圧シリンダ119aの押し出しまたは引き戻し動作により、移載装置117の係合作動部118は、摺動レール102の長手方向に移動する。
したがって、図21に示すように、移載装置117は、係合作動部118の揺動レバー118bを下方に揺動させ、先端の係合部118aを移動ホルダー103の被係合部103aに係合させた状態で、移動作動部119の流体圧シリンダ119aを動作させる。これにより、係合作動部118が摺動レール102の長手方向(搬送方向)に移動し、揺動レバー118bの係合部118aが係合する錠剤マガジン60の移動ホルダー103を、摺動レール102上で摺動させながら、次のコンベヤ上に移すように動作する。
摺動レール式の搬送コンベヤ101が使用される場合、この移載装置117は、上記の移載装置14,15、16、及びマガジン装着装置7として使用することができる。例えば、錠剤乾燥コンベヤ8に錠剤マガジン60を移載する上記移載装置15の場合は、搬送コンベヤ101の終端位置まで移動した錠剤マガジン60の移動ホルダー103に対し、係合作動部118の係合部118aを、移動ホルダー103の被係合部103bに係合させ、その状態で、移動作動部119の流体圧シリンダ119aを押し出し動作させ、係合作動部118全体が摺動レール102の長手方向に移動し、係合した移動ホルダー103を、摺動レール102から錠剤乾燥コンベヤ8上に押し出すようにして移載する。なお、移載装置117の係合作動部118の係合部118aが、移動ホルダー103の側端部に係合して、それを搬送方向に移動させるように構成すれば、移動ホルダー103の被係合部103bは不要となる。
錠剤の乾燥を行う錠剤乾燥コンベヤ8は、図24に示すように、コンベヤベルト(タイミングベルト)81上に、多数の保持枠82を横断方向に向けて並設して形成され、隣接する2本の保持枠82の間に、錠剤マガジン60の移動ホルダー103が挿入されて保持される。錠剤乾燥コンベヤ8は、その上部搬送路上の隣接する保持枠82間に収容した多数の錠剤マガジンの移動ホルダー103を、印刷後の錠剤の乾燥に必要な時間だけ、縦に並べた状態で保持して低速で間欠搬送するように構成される。
各錠剤マガジン60の移動ホルダー103を錠剤乾燥コンベヤ8に移載する移載装置117は、図24に示す如く、搬送コンベヤ101の摺動レール102上を移動ホルダー103が終端まで搬送されたとき、その係合作動部118の流体圧シリンダ118cが作動して、係合作動部118の先端の係合部118aが下降揺動し、移動ホルダー103の被係合部103bに係合する。
その状態で、図21に示す如く、移動作動部119の流体圧シリンダ119aが押し出し作動し、これにより、係合作動部118全体が摺動レール102の長手方向に移動し、係合した移動ホルダー103を、図24のように、摺動レール102から錠剤乾燥コンベヤ8上に押し出すようにして移載する。移載後、係合作動部118の流体圧シリンダ118cが引き戻し作動し、係合作動部118の先端の係合部118aが上に揺動し、移動ホルダー103の被係合部103bから離脱する。この後、移動作動部119(図21)の流体圧シリンダ119aがピストンロッドを引き戻し作動して、係合作動部118全体が元の位置まで移動することとなる。
図22、図23は、他の実施形態の錠剤供給装置150を示している。この錠剤供給装置150は、搬送コンベヤ101の始端部近傍に配設され、所定位置で間欠停止した錠剤マガジン60に対し、錠剤供給部151から錠剤をその自重により錠剤供給路164内に落下させながら、所定数の錠剤を錠剤マガジン60の各収容室61内に供給するように構成される。
図22、23に示すように、錠剤供給装置150は、錠剤マガジン60内の複数の収容室61に対応した各々の錠剤供給路164を有する固定錠剤供給部163を備える。錠剤供給装置150は、搬送コンベヤ101上の錠剤マガジン60が所定の錠剤供給位置に停止したとき、固定錠剤供給部163を錠剤マガジンの各収容室61の上端開口部62の真上に位置させ、錠剤供給支持ピン152を錠剤マガジン60の各収容室61の上端開口部62内に挿入して、錠剤供給路164内の錠剤を下側から上下動可能な錠剤供給支持ピン152により支持させ、その状態で、錠剤を支持した錠剤供給支持ピン152を下降させて、錠剤マガジン60の収容室61内に所定数の錠剤を供給する構造である。
錠剤供給支持ピン152は、図22、23に示す如く、錠剤マガジン60の各収容室61に対応して複数本のピンが水平横方向に向けて配置され、流体圧シリンダなどからなるピン前後作動部154によって、供給位置の錠剤マガジン60の各収容室61の上部と下部に各錠剤供給支持ピン152が挿入されるように前後に移動し、且つピン上下作動部153によって上下に移動する。そのために、錠剤供給装置150の下部には、流体圧シリンダなどからなるピン上下作動部153が上向きに配設され、ピン前後作動部154がピン上下作動部153の上部に取り付けられる。
各収容室61に対応した各錠剤供給支持ピン152は、その上昇端位置で、ピン前後作動部154により、図22の前方に移動して、錠剤マガジン60の各収容室61の上端開口部62内に進入し、複数の錠剤を支持した状態で、ピン上下作動部153により各収容室61の縦方向に沿って下降し、各収容室61内に所定数の錠剤をそれらの自重により供給する。
図22,23に示す如く、錠剤供給装置150の上部には、錠剤を供給する可撓性フィーダー55dに接続された微動錠剤供給部155が配設され、微動錠剤供給部155は、固定錠剤供給部163に対し、供給路の横断方向に僅かに移動可能に配設され、僅かに横方向に移動することにより、自重落下する錠剤の供給を一旦止めるように構成される。
微動錠剤供給部155は、固定錠剤供給部163の上部に配設された固定枠158内に微動可能に配設され、固定枠158に取り付けられた流体圧シリンダ156により、供給路の横断方向(左右横方向)に僅かな距離だけ移動可能に構成される。微動錠剤供給部155内には、固定錠剤供給部163内の錠剤供給路164と同様な内径を有した錠剤供給路159が設けられる。これにより、錠剤供給装置150は、錠剤の供給を止める場合、流体圧シリンダ156を動作させて、微動錠剤供給部155を固定錠剤供給部163に対し僅かに横方向に移動させ、錠剤供給路159を固定側の錠剤供給路164に対し位置をずらす。これにより、錠剤供給路159と錠剤供給路164との境界位置に、縦方向の段差が発生し、錠剤の自重による供給がその位置で停止する。
一方、図22に示す如く、固定錠剤供給部163の両側部には、供給位置で停止した錠剤マガジン60の位置決めとロックを行うために、マガジンロック装置160が配設される。錠剤マガジン60の上端部には、位置決め用の凹部67が設けられる。マガジンロック装置160は、流体圧シリンダなどにより、ロック部材161をこの錠剤マガジン60の位置決め用の凹部67に押し下げて進入させ、錠剤マガジン60の上端開口部62を、錠剤供給路164の下端開口に正確に合せるように構成される。
さらに、図23に示すように、摺動レール102の側部に、ホルダーロック装置162が配設される。このホルダーロック装置162は、錠剤供給装置150の真下に停止した錠剤マガジン60の移動ホルダー103に対し、位置決めとロックを行うために設けられる。ホルダーロック装置162は、摺動レール102に向けて取り付けられた流体圧シリンダなどから構成され、先端に設けたロック部材165を、移動ホルダー103の位置決め孔103cに押し込み、錠剤供給位置に停止した移動ホルダー103の位置決めとロックを行う。
移動ホルダー103に穿設した位置決め孔103cは半球状に形成され、ロック部材165もその位置決め孔に対応して半球状に形成される。これにより、ホルダーロック装置162がロック部材165を移動ホルダー103の位置決め孔103cに押し込むと、移動ホルダー103の位置決めとロックが行われる。このホルダーロック装置162は、錠剤供給位置のほかに、インクジェットプリンタ10による印刷位置にも配設され、印刷位置で停止した錠剤マガジン60の移動ホルダー103に対し、位置決めとロックを行うようになっている。
上記構成の錠剤供給装置150は、摺動レール102上の錠剤マガジン60の移動ホルダー103が所定の錠剤供給位置で停止すると、図22,23に示すように、ホルダーロック装置162がロック部材165を押し出して移動ホルダー103をロックし、マガジンロック装置160がロック部材161を押し下げて、錠剤マガジン60の位置決めとロックを行う。これにより、錠剤マガジン60の各収容室61の上端開口部62が、固定錠剤供給部163の各錠剤供給路164の真下位置に正確に位置決めされロックされる。
この状態で、ピン上下作動部153が押し上げ作動して、錠剤供給支持ピン152を錠剤マガジン60の収容室61の上端開口部62の水平位置まで上昇させ、次に、ピン前後作動部154が押し出し作動して、錠剤供給支持ピン152を上端開口部62内に印刷用開口部63を通して挿入する。
次に、錠剤供給部151の微動錠剤供給部155が横方向に僅かに移動し、その内側の錠剤供給路159の位置を、下方の固定錠剤供給部163の錠剤供給路164の位置に合致させる。これにより、微動錠剤供給部155の錠剤供給路159内の錠剤が固定錠剤供給部163の錠剤供給路164内に自重で落下し、錠剤供給支持ピン152上に支持される状態となる。
次に、ピン上下作動部153が下降動作して、錠剤供給支持ピン152を錠剤マガジン60の収容室61内で下降させる。これにより、錠剤供給部151内の錠剤は、錠剤供給支持ピン152上に支持された状態で順に流れ落ち、錠剤が各収容室61内に順に供給されていく。そして、収容室61内の錠剤の数と固定錠剤供給部163の各錠剤供給路164内の錠剤の数の和が所定収容数に達したとき、ピン上下作動部153の下降が一旦停止する。
次に、微動錠剤供給部155が僅かにずれるように、横方向に移動し、それにより、固定錠剤供給部163の上端と微動錠剤供給部155の下端の境界位置で、錠剤供給部151での錠剤の供給が停止する。そして、再びピン上下作動部153が下降を開始し、錠剤供給支持ピン152が収容室61内でさらに下降すると、固定錠剤供給部163の各錠剤供給路164内の錠剤を含む適正数の錠剤が、錠剤供給支持ピン152とともに収容室61内を下降し、錠剤供給支持ピン152が収容室61の底部に達したとき、適正数の錠剤が収容室61内に入り、錠剤マガジン60内への錠剤の供給が完了する。
その後、ピン前後作動部154が作動して、錠剤供給支持ピン152が収容室61から引き戻される。そして、マガジンロック装置160が錠剤マガジンのロックを解除するとともに、ホルダーロック装置162が移動ホルダー103のロックを解除した後、錠剤を充填した錠剤マガジン60は、上記の間欠移動駆動機構110の動作により、摺動レール102上を摺動して次の印刷工程に移動することとなる。
図25は、他の実施形態の移動ホルダー203を示している。この移動ホルダー203は、上方から差し込まれた錠剤マガジン60の下部を嵌合させて保持する、嵌合凹部204を備えて構成される。
移動ホルダー203の嵌合凹部204は、図25に示すように、錠剤マガジン60の下部を密に嵌合させる直方体状の空間を有して形成され、移動ホルダー203の嵌合凹部204に対向した側壁部には、上記永久磁石64に代えて、ボールプランジャ205が配設される。
これにより、錠剤マガジン60の下部を嵌合凹部204に差し込むと、ボールプランジャ205のコイルばねのばね力により、その先端に設けたボールが付勢されて、移動ホルダー203の定位置に設けた凹部に押し付けられ、嵌合凹部204内で移動ホルダー203の下部を、定位置にガタツキなく保持するようになっている。
なお、移動ホルダー203の底部には、上記と同様、矩形穴状の被係合部203aが、間欠移動駆動機構110の係合部104を係合させるように穿設される。移動ホルダー203の左端部には被係合部203bが設けられ、上記と同様、係合作動部118の係合部118aがこの被係合部203bに係合可能となっている。さらに、移動ホルダー203の正面には、位置決め孔203cが設けられ、上記と同様、移動ホルダーの停止時、ホルダーロック装置162のロック部材165が、位置決め孔203cに押し込まれ、移動ホルダー203の位置決めとロックを行う。
このような嵌合凹部204とボールプランジャ205を設けた移動ホルダー203によっても、錠剤マガジン60を移動ホルダー203に対し容易に着脱可能に装着することができる。また、錠剤マガジン60を移動ホルダー203に着脱する際、取付ねじやナットを使用しないため、これらの部品が外れ、錠剤に混入する不具合は防止される。