JPWO2016084312A1 - 導電性インク - Google Patents

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Abstract

十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる転写印刷用導電性インクを提供する。金属粒子と、エタノールを含む溶媒と、水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含むこと、を特徴とする転写印刷用導電性インク。

Description

本発明は、半導体集積回路等の配線や電極パターンを形成するために用いる導電性インクであって、有機薄膜トランジスタ基板に対する配線や電極パターンの形成が可能な導電性インクに関する。より詳しくは、本発明は、反転印刷法等を含む転写印刷法を用いた配線や電極パターンの形成に好適に用いることができる導電性インクに関する。
従来から、基板の全面にスパッタや蒸着等で金属薄膜を形成させた後、フォトリソグラフィー法によって不要な部分をエッチングして必要な導電膜パターンを形成させる方法が知られている。しかしながら、当該方法は工程が煩雑であることに加え、高価な真空装置を用いる必要がある。
このため、より簡便かつ安価な導電膜パターンの形成方法が求められており、近年、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法を用いた方法が提案されている。更に、より高精細なパターンが形成できる印刷手法として、反転印刷法やマイクロコンタクト印刷法等を用いた方法が提案されており、これらの印刷法に適した導電性インク、絶縁性インク、及び抵抗インク等の各種インクが開発されている。
特許文献1においては、凸版反転印刷法による微細な導電膜パターンを形成するための導電性インクが提案されており、具体的には、凸版反転印刷法により導電膜パターンを形成するための実質的にバインダ成分を含まない導電性インクであって、体積平均粒径(Mv)が10〜700nmの導電性粒子、離型剤、表面エネルギー調整剤、溶剤成分を必須成分とし、溶剤成分が25℃での表面エネルギーが27mN/m以上の溶剤と、大気圧下での沸点が120℃以下の揮発性の溶剤との混合物であり、25℃におけるインクの表面エネルギーが10〜21mN/mであることを特徴とする導電性インクが開示されている。
上記特許文献1に記載の導電性インクを用いることで、凸版反転印刷法により微細な導電膜パターンを転写不良が無く安定的に形成することができ、例えば導電性粒子として銀を用いた場合には形成した微細パターンを200℃以下の低温で焼成することで、比抵抗が10-5Ω・cmオーダー以下の優れた導電性を付与することができることに加え、転写性に優れるので、全転写にて微細パターンの形成が可能となる、としている。
また、特許文献2においては、「最大泡圧法によって求められる25℃での動的表面張力を、気泡の発生周期を0.05Hzに設定して測定したとき16mN/m以上、23mN/m以下で、かつ前記発生周期を10.0Hzに設定して測定したとき20mN/m以上、27mN/m以下としたインキ」が開示されている。
このインキは、動的表面張力を適切な範囲に調整することによって、シリコーンブランケットの表面に対して適度の濡れ性と離型性とを兼ね備え、基板等の被印刷体の表面にムラや欠陥の無い厚みが均一なインキパターンが得られる反転印刷用のインキである。
国際公開第WO2008/111484号公報 特開2011−252072号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の導電性インクを用いることで微細なパターンを形成させることはできるが、実質的にバインダを含まないために、基板上に形成された導電膜パターンの密着性が乏しい場合が存在する。更に、導電性を発現するためには180℃以上の焼成温度が必要であり、耐熱性に劣る安価な基材を用いることができないという問題がある。
また、上記特許文献2で開示されているインキは主として液晶ディスプレイを構成するカラーフィルタに好適なインキであってそのまま反転印刷法等の転写印刷法に好適な導電性インクに使用できず、またバインダを溶解させる溶剤を比較的多量に含むため、シリコーンブランケット表面に塗工後比較的長い時間乾燥させる必要があり、印刷タクトが比較的長いという点で問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、反転印刷法等を含む転写印刷法に好適に用いることができる転写印刷用導電性インクであって、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる転写印刷用導電性インクを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、反転印刷法等を含む転写印刷法に好適に用いることができる転写印刷用導電性インクであって、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる転写印刷用導電性インクを得るためには、適当な量の金属粒子及び特定の水酸基を有する高沸点溶剤を含むことが、上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
金属粒子と、
エタノールを含む溶媒と、
水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含むこと、
を特徴とする転写印刷用導電性インク
を提供する。
本発明における「転写印刷法」のなかで、その代表的な「反転印刷法」について説明する。「反転印刷法」は、シリコーン樹脂等のブランケット上にインクを塗布してインク塗布面を形成し、当該インク塗布面に非画像部を除去するための凸版を押圧して当該凸版に接触する部分のインクをブランケット上から除去した後、当該ブランケット上に残ったインクを被印刷体に転写する印刷方法である。
本発明の転写印刷用導電性インクにおいては、前記高沸点溶剤が、1,3−ブチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール又はオクタンジオールを含むこと、がより好ましい。
また、本発明の転写印刷用導電性インクは、更にハイドロフルオロエーテルを含むこと、が好ましい。
また、本発明の転写印刷用導電性インクは、
前記金属粒子が銀微粒子であり、
銀微粒子と、
炭素数が5以下であり分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、
高極性溶媒と、
前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、
を含む銀微粒子分散体を含むこと、
が好ましい。
更に、本発明の転写印刷用導電性インクは、
前記銀微粒子分散体において、前記短鎖アミンがアルコキシアミンであり、更に、酸価を有する保護分散剤を含むこと、
が好ましい。
更に、本発明の転写印刷用導電性インクにおいては、
前記保護分散剤の酸価が5〜200であり、リン酸由来の官能基を有すること、
が好ましい。
本発明の転写印刷用導電性インクによれば、反転印刷法を含む転写印刷法に好適に用いることができる転写印刷用導電性インクであって、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる転写印刷用導電性インクを実現することができる。
以下、(1)本発明の転写印刷用導電性インクの好適な一実施形態、(2)本発明の転写印刷用導電性インクの製造方法の好適な一実施形態、(3)本発明の転写印刷用導電性インクを用いた導電膜パターン及びその製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明では重複する説明は省略することがある。
(1)転写印刷用導電性インク
本実施形態の転写印刷用導電性インクは、金属粒子と、エタノールを含む溶媒と、水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含むことを特徴とする。また、金属粒子と有機成分とからなる金属粒子分散体(換言すれば金属コロイド)粒子を主成分とする固形分と、これら固形分を分散する分散媒とを含むものである。ただし、上記コロイド液において、「分散媒」は上記固形分の一部を溶解していても構わない。
このような金属コロイド液によれば、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での金属コロイド粒子の分散性を向上させることができ、したがって、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増やしても金属コロイド粒子が凝集しにくく、良好な分散安定性を保つことができる。なお、ここでいう「分散性」とは、金属コロイド液を調製した直後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が優れているか否か(均一か否か)を示すものであり、「分散安定性」とは、金属コロイド液を調整して所定の時間を経過した後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が維持されているか否かを示すものであり、「低沈降凝集性」ともいえる。
ここで、上記の金属コロイド液において、金属コロイド粒子中の「有機成分」は、上記金属成分とともに実質的に金属コロイド粒子を構成する有機物のことである。当該有機成分には、金属中に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入した微量の有機物が金属成分に付着した有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、金属成分に微量付着した有機物等は含まれない。なお、上記「微量」とは、具体的には、金属コロイド粒子中1質量%未満が意図される。
本実施形態における金属コロイド粒子は、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での分散安定性が高い。そのため、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増大させても金属コロイド粒子が凝集しにくく、その結果、良好な分散性が保たれる。
また、本実施形態における金属コロイド液の「固形分」とは、シリカゲル等を用いて金属コロイド液から分散媒を取り除いた後、例えば、30℃以下の常温(例えば25℃)で24時間乾燥させたときに残存する固形分のことをいい、通常は、金属粒子、残存有機成分及び残留還元剤等を含むものである。なお、シリカゲルを用いて金属コロイド液から分散媒を取り除く方法としては、種々の方法を採用することが可能であるが、例えばガラス基板上に金属コロイド液を塗布し、シリカゲルを入れた密閉容器に塗膜付ガラス基板を24時間以上放置することにより分散媒を取り除けばよい。
本実施形態の金属コロイド液において、好ましい固形分の濃度は1〜60質量%である。固形分の濃度が1質量%以上であれば、転写印刷用導電性インクにおける金属の含有量を確保することができ、導電効率が低くならない。また、固形分の濃度が60質量%以下であれば、金属コロイド液の粘度が増加せず取り扱いが容易で、工業的に有利であり、平坦な薄膜を形成することができる。より好ましい固形分の濃度は5〜40質量%である。
本発明の転写印刷用導電性インクは、水酸基を有する高沸点溶剤を0.1〜3.0質量%含むことを特徴とする。水酸基を有する高沸点溶剤は、1,3−ブチレングリコール(沸点:203℃)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(沸点:150℃/5mmHg、1気圧では200℃以上)又はオクタンジオール(沸点:243℃)から選択されるのが好ましい。
本発明においていう「高沸点溶剤」とは、200℃以上の沸点を有する溶剤のことをいう。また、水酸基を有することによって水に対して適度な親和性を有し、空気中の水分を吸収乃至は吸着等して保湿する傾向があるため、少ない添加量で転写印刷法に好適なインクとすることができる。更に、高沸点溶剤の添加量を必要最小限とすることで、シリコーンブランケット上に塗布したインクを短時間に半乾燥させることができ、印刷タクトを短くすることができるという効果を奏する。
水酸基を有する高沸点溶剤の添加量は、0.1〜3.0質量%である。0.1質量%未満であると、量が少なすぎて転写印刷法に好適なインク状になりにくく、3.0質量%を超えると、転写印刷法に好適な半乾燥状態に到達する時間が長くなり印刷タクトの面で不利となる。水酸基を有する高沸点溶剤の添加量は、0.3〜2.0質量%であるのが、より確実に、転写印刷法に好適なインク状になり易く、転写印刷法に好適な半乾燥状態に到達する時間を短くでき印刷タクトの面で有利となるという観点から、特に好ましい。
また、本発明の転写印刷用導電性インクにおいては、インクの乾燥性を高めるためにエタノール等の高揮発性溶剤を添加する。当該溶剤を添加することにより、転写印刷用導電性インクを素早く印刷に適した粘度に調整することができる。高揮発性溶剤としては、エタノールの他、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の沸点100℃未満の溶剤の群から選ばれる1又は2以上の低沸点溶剤を用いることができる。
更に、本発明の転写印刷用導電性インクにおいては、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素溶剤を含んでいることが好ましい。フッ素溶剤は、表面張力が低いためにシリコーンブランケットに対し良好な濡れ性を発揮させることができ、沸点が比較的低いために良好な乾燥性を付与することができる。なかでも、オゾン破壊係数の観点から、ハロゲン原子を含むフッ素溶剤よりもハイドロフルオロエーテルのほうが好ましい。
また、ハイドロフルオロエーテルは、ハイドロフルオロカーボン類よりもエーテル結合を有しているために極性が高く、シリコーンブランケットをほとんど膨潤させないという利点を有しており、エタノール等のアルコールとの相溶性が良く、アルコールに分散した金属粒子との相溶性にも優れるという効果を奏するため、より好ましい。
本発明の転写印刷用導電性インクにおいては、シリコーンブランケットに対する濡れ性を向上させる目的で、フッ素原子を有するフッ素系界面活性剤を添加してもよい。ただし、この場合、添加量が多過ぎると転写印刷用導電性インクを用いて作製した導電性被膜の導電性が低下し、添加量が少な過ぎると濡れ性改善の効果が不十分であるため、0.01〜2質量%であるのが好適である。
本発明の転写印刷用導電性インクにおいては、表面張力が22mN/m以下である。表面張力を22mN/m以下と十分に下げることで、シリコーン樹脂等のブランケットへの転写印刷用導電性インクの濡れ性を十分に担保することができる。表面張力を22mN/m以下にすることは、上記の本発明の転写印刷用導電性インクの成分比を調整することによって実現できる。表面張力の下限は13mN/m程度であればよい。なお、本発明においていう表面張力とは、プレート法(Wilhelmy法)という原理で測定して得られるものであり、例えば、協和界面科学(株)製の全自動表面張力計CBVP−Z等により測定することができる。
ここで、本実施形態の転写印刷用導電性インクは、銀微粒子と、炭素数が5以下であり分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、高極性溶媒と、前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含む銀微粒子分散体(例えばコロイド状)で構成されていることが好ましい。以下においてこの銀微粒子分散体及び各成分等の詳細について説明する。
本実施形態の銀微粒子分散体は、銀微粒子と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、を含んでおり、例えばコロイド状のコロイド液の形態を有している。銀微粒子分散体の固形分に含まれる銀微粒子(銀コロイド粒子)の形態に関しては、例えば、銀成分からなる粒子の表面に有機成分が付着して構成されている銀コロイド粒子、上記銀成分からなる粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されて構成されている銀コロイド粒子、銀成分と有機成分とが均一に混合されて構成されている銀コロイド粒子等が挙げられるが、特に限定されない。銀成分からなる粒子をコアとして、その表面が有機成分で被覆されて構成されている銀コロイド粒子、又は銀成分と有機成分とが均一に混合されて構成されている銀コロイド粒子が好ましい。なお、当業者は、上述した形態を有する銀コロイド粒子を、当該分野における周知技術を用いて適宜調製することができる。
(1−1)銀微粒子
本実施形態における銀微粒子分散体に含まれる銀微粒子の平均粒径は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、融点降下が生じるような平均粒径を有するのが好ましく、例えば、1〜400nmであればよい。更には、1〜70nmであるのが好ましい。銀微粒子の平均粒径が1nm以上であれば、銀微粒子が良好な低温焼結性を具備すると共に銀微粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、400nm以下であれば、銀微粒子の分散性が経時的に変化しにくく、好ましい。なお、本実施形態の銀微粒子分散体を用いて得られる転写印刷用導電性インクにおいても、銀コロイド粒子(銀微粒子を含む。)の平均粒径(メディアン径)はこの範囲と略同じである(近似できる)。
なお、銀微粒子分散体における銀微粒子の粒径は固形分濃度によって変動し、一定とは限らず、一定でなくてもよい。また、銀微粒子分散体が、任意成分として、後述する分散剤等を含む場合、平均粒径が400nm超の銀微粒子成分を含む場合があるが、凝集を生じたりせず、本発明の効果を著しく損なわない成分であればかかる400nm超の平均粒径を有する銀微粒子成分を含んでもよい。
ここで、本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の平均粒径は、動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)によるもので、例えば、(株)堀場製作所製動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550で測定した体積基準のメディアン径(D50)で表すことができる。具体的には、エタノール10mL中に金属コロイド液を数滴滴下し、手で振動し分散させて測定用試料を調製する。ついで、測定用試料3mLを、(株)堀場製作所製動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550、のセル内に投入し、下記の条件にて測定する。
・測定条件
データ読み込み回数:100回
セルホルダー内温度:25℃
・表示条件
分布形態:標準
反復回数:50回
粒子径基準:体積基準
分散質の屈折率:0.200−3.900i(銀の場合)
分散媒の屈折率:1.36(エタノールが主成分の場合)
・システム条件設定
強度基準:Dynamic
散乱強度レンジ上限:10000.00
散乱強度レンジ下限:1.00
(1−2)炭素数が5以下である短鎖アミン
本実施形態の銀微粒子分散体において、銀微粒子の表面の少なくとも一部には炭素数が5以下である短鎖アミンが付着している。なお、銀微粒子の表面には、原料に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入する微量有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、微量の有機物が付着していてもよい。
炭素数が5以下である短鎖アミンは分配係数logPが−1.0〜1.4であれば特に限定されず、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、側鎖を有していてもよい。当該短鎖アミンとしては、例えば、エチルアミン(−0.3)プロピルアミン(0.5)、ブチルアミン(1.0)、N−(3-メトキシプロピル)プロパン-1,3-ジアミン(−0.6)、1,2-エタンジアミン, N−(3-メトキシプロピル)−(−0.9), 2-メトキシエチルアミン(−0.9)、3−メトキシプロピルアミン(−0.5)、3−エトキシプロピルアミン(−0.1)、1,4−ブタンジアミン(−0.9)、1,5−ペンタンジアミン(−0.6)ペンタノールアミン(−0.3)、アミノイソブタノール(−0.8)等が挙げられるが、なかでもアルコキシアミンを用いることが好ましい。
上記短鎖アミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、アミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常温での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。
本実施形態の銀粒子分散体は、本発明の効果を損なわない範囲であれは、上記の炭素数が5以下である短鎖アミンに加えて、カルボン酸を含んでいてもよい。カルボン酸の一分子内におけるカルボキシル基が、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、カルボキシル基は、酸性的性質を示し易い。また、カルボン酸は、本実施形態の銀粒子分散体中で、銀微粒子の表面の少なくとも一部に局在化(付着)すると(即ち、銀微粒子の表面の少なくとも一部を被覆すると)、溶媒と銀微粒子とを十分に親和させることができ、銀微粒子同士の凝集を防ぐことができる(分散性を向上させる。)。
カルボン酸としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物を広く用いることができ、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、ヘキサン酸、アクリル酸、オクチル酸、オレイン酸等が挙げられる。カルボン酸の一部のカルボキシル基が金属イオンと塩を形成していてもよい。なお、当該金属イオンについては、2種以上の金属イオンが含まれていてもよい。
上記カルボン酸は、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、カルボキシル基以外の官能基を含む化合物であってもよい。この場合、カルボキシル基の数が、カルボキシル基以外の官能基の数以上であることが好ましい。また、上記カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常温での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。また、アミンとカルボン酸はアミドを形成する。当該アミド基も銀微粒子表面に適度に吸着するため、銀微粒子表面にはアミド基が付着していてもよい。
銀微粒子と当該銀微粒子の表面に付着した有機物(上記炭素数が5以下である短鎖アミン等)によってコロイドが構成される場合、当該コロイド中の有機成分の含有量は、0.5〜50質量%であることが好ましい。有機成分含有量が0.5質量%以上であれば、得られる銀微粒子分散体の貯蔵安定性が良くなる傾向があり、50質量%以下であれば、銀微粒子分散体を加熱して得られる焼成体の導電性が良い傾向がある。有機成分のより好ましい含有量は1〜30質量%であり、更に好ましい含有量は2〜15質量%である。
(1−3)高極性溶媒
本実施形態の銀微粒子分散体は、種々の高極性溶媒に銀微粒子が分散したものである。
上記溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の高極性溶媒を用いることができる。高極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソアミルアルコール、フルフリルアルコール、ニトロメタン、アセトニトリル、ピリジン、アセトンクレゾール、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、エチレングリコール、グリセリン、フェノール、p−クレゾール、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール2−ペンタノン、2−ヘプタノン、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−ブトキシエチル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−メトキシエチル、2−ヘキシルオキシエタノール等を例示することができるが、本発明では前記炭素数が5以下の短鎖アミンと相溶性が良好であるため、炭素数1〜6のアルコールを用いることが好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1−4)分散剤
本実施形態の銀粒子分散体には、更に、銀微粒子を分散させるために銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」を含む。かかる分散剤を用いることで、溶媒中の銀微粒子の分散安定性を向上させることができる。ここで、当該分散剤の酸価は5〜200であることがより好ましく、また、当該分散剤がリン酸由来の官能基を有することが更に好ましい。
分散剤の酸価が5以上であるとアミンと配位し粒子表面が塩基性となっている金属物への酸塩基相互作用での吸着が起こり始めるからであり、200以下であると過度に吸着サイトを有さないため好適な形態で吸着するからである。また、分散剤がリン酸由来の官能基を有することでリンPが酸素Oを介して金属Mと相互作用し引き合うので金属や金属化合物との吸着には最も効果的であり、必要最小限の吸着量で好適な分散性を得ることができるからである。
なお、酸価が5〜200の高分子分散剤としては、例えば、ルーブリゾール社のSOLSPERSEシリーズではSOLSPERSE−16000、21000、41000、41090、43000、44000、46000、54000等が挙げられ、ビックケミー社DISPERBYKシリーズではDISPERBYK−102、110、111、170、190.194N、2015.2090、2096等が挙げられ、エボニック社のTEGO Dispersシリーズでは610、610S、630、651、655、750W、755W等が挙げられ、楠本化成(株)製のディスパロンシリーズではDA−375、DA−1200等が挙げられ、共栄化学工業(株)製のフローレンシリーズではWK−13E、G−700、G−900、GW−1500、GW−1640、WK−13Eを例示することができる。
本実施形態の銀微粒子分散体に分散剤を含有させる場合の含有量は、粘度などの所望の特性によって調整すれば良いが、例えば、銀微粒子分散体を銀インクとして用いる場合は、分散剤の含有量を0.5〜20質量%とすることが好ましく、銀ペーストとして用いる場合は、分散剤の含有量を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
高分子分散剤の含有量は0.1〜15質量%であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が0.1%以上であれば得られる銀微粒子分散体の分散安定性が良くなるが、含有量が多過ぎる場合は低温焼結性が低下することとなる。このような観点から、高分子分散剤のより好ましい含有量は0.3〜10質量%であり、更に好ましい含有量は0.5〜8質量%である。
本実施形態の銀微粒子分散体は、固形分に対して10℃/分の昇温速度で熱重量分析を行ったときの100〜500℃における重量損失が10質量%以下であることが好ましい。上記固形物を500℃まで加熱すると、有機物などが酸化分解され、大部分はガス化されて消失する。このため、500℃までの加熱による減量は、ほぼ固形分中の有機物の量に相当し得る。
上記重量損失が多いほど銀微粒子分散体の分散安定性は優れるが、多過ぎると有機物が不純物として転写印刷用導電性インクに残留して、導電性を低下させる。特に100℃程度の低温での加熱によって導電性の高い導電膜パターンを得るためには、上記重量損失が20質量%以下であることが好ましい。一方、上記重量損失が少な過ぎるとコロイド状態での分散安定性が損なわれるため、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましい重量損失は0.5〜15質量%である。
(1−5)保護剤(保護分散剤)
本実施形態の銀微粒子分散体は、更に、銀微粒子合成前に添加される保護剤としての酸価を有する分散剤(保護分散剤)を含んでいてもよい。ここでいう「保護分散剤」は、上記の銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」と同じ種類のものでも異なる種類のものであってもよい。
(1−5)その他の成分
本実施形態の銀微粒子分散体には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、例えばバインダとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ブロックドイソシアネート等のポリウレタン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂又はテルペン系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物、例えば、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのセルロース誘導体、キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機成分とは異なる界面活性剤を添加してもよい。多成分溶媒系の無機コロイド分散液においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本実施形態の銀微粒子分散体に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、均一な導電性被膜を形成することができる銀微粒子分散体が得られる。
本実施形態において用いることのできる界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れかを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、少量の添加量で効果が得られるので、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の含有量は少な過ぎると効果が得られず、多過ぎると被膜中で残量不純物となるため、導電性が阻害されるおそれがある。好ましい界面活性剤の含有量は、銀微粒子分散体の分散媒100質量部に対して0.01〜5質量部である。
本実施形態における銀微粒子は、表面の少なくとも一部に分配係数logPが−1.0〜1.4であり炭素数が5以下であるアルコキシアミンが付着した銀微粒子である。銀微粒子の表面の少なくとも一部に分配係数logPが−1.0〜1.4である炭素数が5以下のアルコキシアミンを付着させることで、銀微粒子に種々の溶媒(特に高極性溶媒)に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
上記溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の溶媒を用いることができ、SP値(溶解パラメーター)が7.0〜15.0である溶媒を用いることができる。ここで、高極性溶媒中においても銀微粒子が均一に分散していることが本発明の銀微粒子分散体の特徴の一つであり、本発明では前記炭素数が5以下の短鎖アミンと相溶性が良好であるため、炭素数1〜6のアルコールを用いることが好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SP値(溶解パラメーター)が7.0〜15.0である溶媒としては、例えば、ヘキサン(7.2)、トリエチルアミン(7.3)、エチルエーテル(7.7)、n−オクタン(7.8)、シクロヘキサン(8.3)、n−アミルアセテート(8.3)、酢酸イソブチル(8.3)、メチルイソプロピルケトン(8.4)、アミルベンゼン(8.5)酢酸ブチル(8.5)、四塩化炭素(8.6)、エチルベンゼン(8.7)、p−キシレン(8.8)、トルエン(8.9)、メチルプロピルケトン(8.9)酢酸エチル(8.9)、テトラヒドロフラン(9.2)、メチルエチルケトン(9.3)、クロロホルム(9.4)、アセトン(9.8)、ジオキサン(10.1)、ピリジン(10.8)、イソブタノール(11.0)、n−ブタノール(11.1)、ニトロエタン(11.1)イソプロピルアルコール(11.2)、m−クレゾール(11.4)、アセトニトリル(11.9)、n−プロパノール(12.1)、フルフリルアルコール(12.5)、ニトロメタン(12.7)、エタノール(12.8)、クレゾール(13.3)、エチレングリコール(14.2)、メタノール(14.8)フェノール、p−クレゾール、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール2−ペンタノン、2−ヘプタノン、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−ブトキシエチル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−メトキシエチル、2−ヘキシルオキシエタノール等を例示することができる。
本実施形態の銀微粒子分散体の粘度は、1〜100cpsの粘度範囲であることが望ましく、1〜20cpsの粘度範囲がより好ましい。当該粘度範囲とすることにより、シリコーン樹脂上に銀微粒子分散体を均一かつ薄膜状に塗布することができる。塗布する方法には汎用の塗布方法を利用することができ、アプリケータ法、バーコーター法、キャピラリーコータ法、及びスピンコーティング法等を例示することができる。
本実施形態の銀微粒子分散体の粘度の調整は、固形分濃度の調整、各成分の配合比の調整、増粘剤の添加等によって行うことができる。また、粘度は、振動式粘度計(例えばCBC(株)製のVM−100A−L)により測定できる。測定は振動子に液を浸漬させて行い、測定温度は常温(20〜25℃)とすればよい。
(2)転写印刷用導電性インクの製造方法
本実施形態の転写印刷用導電性インクを製造するためには、まず、銀微粒子分散体(金属コロイド液)を調製する。ついで、この金属コロイド液と、上記各種成分とを混合することにより、本実施形態の導電性インクを得ることができる。
なかでも、本実施形態の銀微粒子分散体は、銀微粒子を生成する工程と、前記銀微粒子に、前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤を添加・混合する工程と、を有するものである。更には、還元により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、の混合液を調整する第1前工程と、当該混合液中の前記銀化合物を還元することで表面の少なくとも一部に炭素数が5以下である短鎖アミンが付着した銀微粒子を生成する第2前工程と、を含むのが好ましい。
上記第1前工程においては、短鎖アミンを金属銀1molに対して2mol以上添加すること、が好ましい。短鎖アミンの添加量を金属銀1molに対して2mol以上とすることで、還元によって生成される銀微粒子の表面に短鎖アミンを適量付着させることができ、当該銀微粒子に種々の溶媒(特に高極性溶媒)に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
なお、上記第1前工程における混合液の組成及び上記第2前工程における還元条件(例えば、加熱温度及び加熱時間等)によって、得られる銀微粒子の粒径を融点降下が生じるようなナノメートルサイズとすることが好ましく、1〜200nmとすることがより好ましい。ここで、必要に応じてミクロンメートルサイズの粒子が含まれていてもよい。
上記第2前工程で得られる銀微粒子分散体から銀微粒子を取り出す方法は特に限定されないが、例えば、その銀微粒子分散体の洗浄を行う方法等が挙げられる。
有機物(分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミン)で被覆された銀微粒子を得るための出発材料としては、種々の公知の銀化合物(金属塩又はその水和物)を用いることができ、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、シュウ酸銀、ギ酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩が挙げられる。これらは還元可能なものであれば特に限定されず、適当な溶媒中に溶解させても、溶媒中に分散させたまま使用してもよい。また、これらは単独で用いても複数併用してもよい。
また、上記原料液においてこれらの銀化合物を還元する方法は特に限定されず、例えば、還元剤を用いる方法、紫外線等の光、電子線、超音波又は熱エネルギーを照射する方法、加熱する方法等が挙げられる。なかでも、操作の容易の観点から、還元剤を用いる方法が好ましい。
上記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヨウ素化水素、水素ガス等の水素化合物;例えば、一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;例えば、硫酸第一鉄、酸化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸スズ、塩化スズ、二リン酸スズ、シュウ酸スズ、酸化スズ、硫酸スズ等の低原子価金属塩;例えば、エチレングリコール、グリセリン、ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等が挙げられるが、分散媒に溶解し上記金属塩を還元し得るものであれば特に限定されない。上記還元剤を使用する場合は、光及び/又は熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
上記金属塩、有機成分、溶媒及び還元剤を用いて、有機物で被覆された銀微粒子を調製する具体的な方法としては、例えば、上記金属塩を有機溶媒(例えばトルエン等)に溶かして金属塩溶液を調製し、当該金属塩溶液に保護分散剤としての短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤を添加し、ついで、ここに還元剤が溶解した溶液を徐々に滴下する方法等が挙げられる。
上記のようにして得られた短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤で被覆された銀微粒子を含む分散液には、銀微粒子の他に、金属塩の対イオン、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度や有機物濃度が高い傾向にある。このような状態の液は、電導度が高い等の理由で金属粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。あるいは、沈殿しなくても、金属塩の対イオン、還元剤の残留物、又は分散に必要な量以上の過剰な分散剤が残留していると、導電性を悪化させるおそれがある。そこで、上記銀微粒子を含む溶液を洗浄して余分な残留物を取り除くことにより、有機物で被覆された銀微粒子を確実に得ることができる。
上記洗浄方法としては、例えば、有機成分で被覆された銀微粒子を含む分散液を一定時間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、銀微粒子を沈殿させる溶媒(例えば、水、メタノール、メタノール/水混合溶媒等)を加えて再度撹枠し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。このような洗浄によって余分な残留物を取り除くと共に有機溶媒を除去することにより、本実施形態の「短鎖アミンや酸価をもつ分散剤」で被覆された金属粒子を得ることができる。
本実施形態のうち、銀微粒子分散体(銀コロイド分散液)は、上記において得た短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤で被覆された銀微粒子と、上記本実施形態で説明した分散媒と、を混合することにより得られる。かかる「短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤」で被覆された金属粒子と分散媒との混合方法は特に限定されるものではなく、攪拌機やスターラー等を用いて従来公知の方法によって行うことができる。スパチュラのようなもので撹拌したりして、適当な出力の超音波ホモジナイザーを当ててもよい。
複数の金属を含む銀微粒子分散体を得る場合、その製造方法としては特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる銀微粒子分散体を製造する場合には、上記の有機物で被覆された金属粒子の調製において、銀微粒子を含む分散液と、その他の金属粒子を含む分散液とを別々に製造し、その後混合してもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
還元により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、の混合液を調整する第1工程と、当該混合液中の前記銀化合物を還元することで表面の少なくとも一部に炭素数が5以下である短鎖アミンが付着した銀微粒子を生成する第2工程により、銀微粒子を製造してもよい。
例えば、銀を含むシュウ酸銀等の金属化合物と短鎖アミンから生成される錯化合物を加熱して、当該錯化合物に含まれるシュウ酸イオン等の金属化合物を分解して生成する原子状の銀を凝集させることにより、短鎖アミンの保護膜に保護された銀粒子を製造することができる。
このように、金属化合物の錯化合物をアミンの存在下で熱分解することで、アミンにより被覆された金属粒子を製造する金属アミン錯体分解法においては、単一種の分子である金属アミン錯体の分解反応により原子状金属が生成するため、反応系内に均一に原子状金属を生成することが可能であり、複数の成分間の反応により金属原子を生成する場合に比較して、反応を構成する成分の組成揺らぎに起因する反応の不均一が抑制され、特に工業的規模で多量の金属粉末を製造する際に有利である。
また、金属アミン錯体分解法においては、生成する金属原子に短鎖アミン分子が配位結合しており、当該金属原子に配位した短鎖アミン分子の働きにより凝集を生じる際の金属原子の運動がコントロールされるものと推察される。この結果として、金属アミン錯体分解法によれば非常に微細で、粒度分布が狭い金属粒子を製造することが可能となる。
更に、製造される金属微粒子の表面にも多数の短鎖アミン分子が比較的弱い力の配位結合を生じており、これらが金属粒子の表面に緻密な保護被膜を形成するため、保存安定性に優れる表面の清浄な被覆金属粒子を製造することが可能となる。また、当該被膜を形成する短鎖アミン分子は加熱等により容易に脱離可能であるため、非常に低温で焼結可能な金属粒子を製造することが可能となる。
また、固体状の金属化合物とアミンを混合して錯化合物等の複合化合物が生成する際に、被覆銀粒子の被膜を構成する酸価をもつ分散剤に対して、炭素数が5以下である短鎖アミンを混合して用いることにより、錯化合物等の複合化合物の生成が容易になり、短時間の混合で複合化合物を製造可能となる。また、当該短鎖アミンを混合して用いることにより、各種の用途に応じた特性を有する被覆銀粒子の製造が可能である。
(3)導電膜パターン(導電膜パターン付基材)及びその製造方法
本実施形態の転写印刷用導電性インクを用いれば、上記転写印刷用導電性インクを基材に塗布する導電性インク塗布工程と、前記基材に塗布した前記転写印刷用導電性インクを200℃以下の温度(好ましくは180℃未満、更に好ましくは150℃以下)で焼成して導電膜パターンを形成する導電膜パターン形成工程と、により、基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に形成される導電膜パターンと、を含む導電膜パターン付基板を製造することができる。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、前記転写印刷用導電性インク塗布工程での導電性インクとして、上述した本実施形態の転写印刷用導電性インクを用いれば、導電膜パターン形成工程において、前記基材に塗布した前記導電性インクを200℃以下での温度で焼成しても、優れた導電性を有する導電膜パターンが確実に得られることを見出した。
転写印刷法のうちの反転印刷法においては、まず、ブランケット上に転写印刷用導電性インクを塗布して導電性インク塗布面を形成する。ブランケットとしては、シリコーンからなるシリコーンブランケットが好ましい。ブランケットの表面に導電性インク塗布面を形成した後、所定時間放置することにより、低沸点溶剤が揮発およびブランケット中に吸収されることにより転写印刷用導電性インクの粘度が上昇する。
上記導電性インク塗布面に所定のパターンに応じた版が形成された凸版を押圧すると、当該凸版に接触する部分の導電性インクがブランケット上から除去される。このとき、導電性インクが適度な凝集性を有することにより、導電性インクが構造破壊すること無しにブランケットからの剥離と、凸版への付着とが確実に行われ、ブランケットへの望ましくない残留が抑制される。この結果、ブランケット上に残った導電性インクにより、凸版のパターンに応じた導電性インクのパターンがブランケット上に形成される。
ブランケット上に残ったウェット状態もしくは半乾燥状態の導電性インクを、被印刷体に転写する。この際、導電性インクが適度な凝集性を有することにより、ブランケットからの剥離と、被印刷体への付着とが確実に行われ、ブランケットへの望ましくない残留が抑制される。この結果、被印刷体には、凸版に形成されたパターンに対して反転したパターンにより導電膜パターンが形成される。
本実施形態において用いることのできる基材としては、導電性インクを塗布して加熱により焼成して導電膜パターンを搭載することのできる、少なくとも1つの主面を有するものであれば、特に制限はないが、耐熱性に優れた基材であるのが好ましい。また、先に述べたように、本実施形態の転写印刷用導電性インクは、従来の導電性インクに比較して低い温度で加熱して焼成しても十分な導電性を有する導電膜パターンを得ることができるため、この低い焼成温度よりも高い温度範囲で、従来よりも耐熱温度の低い基材を用いることが可能である。
このような基材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミックス、ガラス又は金属等を挙げることができる。また、基材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された基材や親水化処理等の表面処理を施した基材を用いてもよい。
上記のように塗布した後の塗膜を、200℃以下(好ましくは180℃未満、更に好ましくは150℃以下)の温度に加熱することにより焼成し、本実施形態の導電膜パターン(導電膜パターン付基材)を得ることができる。
上記焼成を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば従来公知のギアオーブン等を用いて、基材上に塗布または描画した上記導電性インクの温度が200℃以下(好ましくは180℃未満、更に好ましくは150℃以下)となるように焼成することによって導電膜パターンを形成することができる。上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、基材上に導電膜パターンを形成できる温度であって、かつ、本発明の効果を損なわない範囲で上記有機成分等を蒸発又は分解により除去できる温度であることが好ましい(本発明の効果を損なわない範囲で一部が残存していてもよいが、望ましくは全て除去されるのが好ましい。)。
本実施形態の導電性インクによれば、120℃程度の低温加熱処理でも高い導電性を発現する導電膜パターンを形成することができるため、比較的熱に弱い基材上にも導電膜パターンを形成することができる。また、焼成時間は特に限定されるものではなく、焼成温度に応じて、基材上に導電膜パターンを形成できる。
本実施形態においては、上記基材と導電膜パターンとの密着性を更に高めるため、上記基材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性インク受容層を設ける方法等が挙げられる。
このようにして本実施形態の導電膜パターン(導電膜パターン付基材)を得ることができる。このようにして得られる本実施形態の導電膜パターンは、例えば、0.1〜5μm程度、より好ましくは0.1〜1μmである。本実施形態の導電性インクを用いれば、厚さが0.1〜5μm程度であっても、十分な導電性を有する導電膜パターンが得られる。なお、本実施形態の導電膜パターンの体積抵抗値は、15μΩ・cm以下である。
なお、本実施形態の導電膜パターンの厚みtは、例えば、下記式を用いて求めることはできる(導電膜パターンの厚さtは、レーザー顕微鏡(例えば、キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9510)で測定することも可能である。)。
式:t=m/(d×M×w)
m:導電膜パターン重量(スライドガラス上に形成した導電膜パターンの重さを電子天秤で測定)
d:導電膜パターン密度(g/cm3)(銀の場合は10.5g/cm3
M:導電膜パターン長(cm)(スライドガラス上に形成した導電膜パターンの長さをJIS1級相当のスケールで測定)
w:導電膜パターン幅(cm)(スライドガラス上に形成した導電膜パターンの幅をJIS1級相当のスケールで測定)
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の転写印刷用導電性インク及び当該導電性インクを用いた導電膜パターン(導電膜パターン付基材)の製造方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪調製例1≫
3−メトキシプロピルアミン(和光純薬工業(株)製試薬一級、炭素数:4、logP:−0.5)8.9gと、高分子分散剤であるDISPERBYK−111を0.3gとを混合し、マグネティックスターラーにてよく撹拌し、アミン混合液を生成した(添加したアミンのモル比は銀に対して10)。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0gを添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で撹拌を続けることにより、シュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したことを目視により確認し、その時点で撹拌を終了した(第1前工程)。
得られた混合液をオイルバスに移し、120℃で加熱撹拌した。撹拌の開始直後に二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素の発生が完了するまで撹拌を行うことで、銀微粒子がアミン混合液中に懸濁した懸濁液を得た(第2前工程)。
次に、得られた懸濁液の分散媒を置換するため、メタノール/水の混合溶媒10mLを加えて撹拌した後、遠心分離により銀微粒子を沈降させて分離した。分離した銀微粒子に対して、再度、メタノール/水の混合溶媒10mLを加えて撹拌した後、遠心分離により銀微粒子を沈降させて分離し、分散溶媒としてエタノール/イソブタノール/イソプロピルアルコール(40:40:20 v/v)混合溶媒2.1gを加えることで、固形分濃度48質量%の銀微粒子分散体Aを得た。
≪調製例2≫
3−メトキシプロピルアミン(和光純薬工業(株)製試薬一級、炭素数:4、logP:−0.5)8.9gと、高分子分散剤であるDISPERBYK−102を0.3gとを混合し、マグネティックスターラーにてよく撹拌し、アミン混合液を生成した(添加したアミンのモル比は銀に対して5)。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0gを添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で撹拌を続けることにより、シュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したことを目視により確認し、その時点で撹拌を終了した(第1前工程)。
得られた混合液をオイルバスに移し、120℃で加熱撹拌した。撹拌の開始直後に二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素の発生が完了するまで撹拌を行うことで、銀微粒子がアミン混合液中に懸濁した懸濁液を得た(第2前工程)。
次に、得られた懸濁液の分散媒を置換するため、メタノール/水の混合溶媒10mLを加えて撹拌した後、遠心分離により銀微粒子を沈降させて分離した。分離した銀微粒子に対して、再度、メタノール/水の混合溶媒10mLを加えて撹拌した後、遠心分離により銀微粒子を沈降させて分離し、SOLSPERSE41000(日本ルーブリゾール(株)製)0.06gを含むエタノール2.1gを加えることで、固形分濃度48質量%の銀微粒子分散体Bを得た。
≪実施例及び比較例≫
上記のようにして得た銀微粒子分散体A又はBを用い、表1に示すその他の成分と混合し、実施例1〜7実施転写印刷用導電性インク1〜7及び比較例1〜3の比較転写印刷用導電性インク1〜3を調製した。なお表1における成分の量の単位は「質量%」とした。
また、上記の銀微粒子分散体A及びB並びに実施転写印刷用導電性インク1〜7及び比較転写印刷用導電性インク1〜3について、以下の評価試験を実施した。その結果を表1に示した。
[評価試験]
(1)有機分測定
銀微粒子分散体に含まれる有機成分の含有量を、熱重量分析法で測定した。具体的には、銀微粒子分散体の固形分を10℃/分の昇温速度で加熱し、室温〜500℃の重量減少量として有機成分の含有量を特定した。
(2)分散性
転写印刷用導電性インクを容器中に静置し、室温1日後、沈殿の有無及び上澄みの状態を目視で観察することにより、銀微粒子分散体の分散性を評価した。容器下に沈降物がほとんど認められない場合を「○」、沈降物が少量認められた場合を「△」、容器上下で明らかに濃度差があり、沈降物がはっきり認められる場合を「×」と評価した。
(3)導電性インクの表面張力測定
実施例1〜4で得られた実施転写印刷用導電性インク1〜4、及び比較例1〜3で得られた比較転写印刷用導電性インク1〜3の表面張力を、全自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学(株)製)により測定した。測定には白金プレートを用い、自動測定で行った。測定温度は常温(20〜25℃)とした。
(4)導電性インクの濡れ性評価
実施例1〜7で得られた実施転写印刷用導電性インク1〜7、及び比較例1〜3で得られた比較転写印刷用導電性インク1〜3を用い、シリコーン製ブランケット上にバーコーター(No.7)で塗布し、ブランケットに対する転写印刷用導電性インクの濡れ性を目視評価した。濡れ性が良好な場合は「○」、不良な場合は「×」と評価した。
(5)印刷形状(細線描画性)の評価
転写印刷用導電性インクを塗布したブランケット上にガラス凸版を押圧し、非画像部(不要部分)を転写して除去した。更に、ブランケット材に基材(PEN:ポリエチレンナフタレート)を押圧することでパターンを基材に転写した。得られたパターン形状を目視観察することで、印刷形状を評価した。印刷形状が良好な場合は「○」、許容範囲の場合は「△」、不良の場合は「×」と評価し。パターンは細線とし、ライン幅10、20、30、50、100μm、長さ10mmとした。
(6)転写性の評価
上記(5)で形成した印刷形状、及びブランケット上に残った導電性インクを目視評価することによって転写性を評価した。印刷形状が良好で、ブランケット上にほぼ残っていない場合は「○」、許容範囲の場合は「△」、印刷形状が悪いか、もしくはブランケット上に明らかに残っている場合は「×」とした。
(7)連続印刷性の評価
上記(5)の印刷形状の評価の層さを連続5回繰り返すことにより、連続印刷性を評価した。
(8)導電膜パターンの導電性評価
基材に転写されたパターン(ライン幅100μm、長さ10mm)を120℃×30分間の条件で焼成し、パターンの抵抗値を測定した。具体的には、横川メータ&インスツルメンツ(株)製の携帯用ダブルブリッジ2769を用いてダブルブリッジ法により体積抵抗率を求めた。以下の式に基づき、測定端子間距離と導電膜パターンの厚みから体積抵抗値を換算した。
式:(体積抵抗率ρv)=
(抵抗値R)×(被膜幅w)×(被膜厚さt)/(端子間距離L)
Figure 2016084312
なお、表1中、「Novec7300」住友3M製であり、「サーフロンS−651」はAGC製ケミカル製である。また、「フタージェント610FM」はネオス社製である。
表1に示した結果から明らかなように、本発明の転写印刷用導電性インクは、分散性、濡れ性、印刷性及び導電性に優れていることわかる。なかでも、銀微粒子分散体Bを用いた実施例3及び4は、連続印刷性にも優れており、特に好ましい。
これに対し、比較例1及び2により、特定の高沸点溶剤を含有しない導電性インクは転写性に劣ることがわかる。また、比較例3により、高沸点溶剤の含有量が過剰の場合は、乾燥が遅く転写性に劣ることがわかる。更に、比較例2により、フッ素溶剤のみを含む場合でも、濡れ性は確保できるが転写性に劣ることがわかる。

Claims (6)

  1. 金属粒子と、
    エタノールを含む溶媒と、
    水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含むこと、
    を特徴とする転写印刷用導電性インク。
  2. 前記高沸点溶剤が、1,3−ブチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール又はオクタンジオールを含む請求項1に記載の転写印刷用導電性インク。
  3. 更にハイドロフルオロエーテルを含む請求項1又は2に記載の転写印刷用導電性インク。
  4. 前記金属粒子が銀微粒子であり、
    銀微粒子と、
    炭素数が5以下であり分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、
    高極性溶媒と、
    前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、
    を含む銀微粒子分散体を含むこと、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の転写印刷用導電性インク。
  5. 前記銀微粒子分散体において、前記短鎖アミンがアルコキシアミンであり、更に、酸価を有する保護分散剤を含むこと、
    を特徴とする請求項4に記載の転写印刷用導電性インク。
  6. 前記保護分散剤の酸価が5〜200であり、リン酸由来の官能基を有すること、
    を特徴とする請求項5に記載の転写印刷用導電性インク。
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