JP2016207439A - 導電性被膜の製造方法 - Google Patents

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卓也 外村
祐樹 新谷
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祐樹 新谷
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Abstract

【課題】高い導電性を有するとともに適度なラフネス及び反射率を有する導電性被膜の製造方法を提供する。【解決手段】金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、前記焼成前被膜の少なくとも一部を相対湿度60%RH以上の環境下に触れさせる第二工程と、前記第二工程を経た前記焼成前被膜を焼成する第三工程と、を含むことを特徴とする導電性被膜の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体集積回路等の配線や電極パターン、例えば有機薄膜トランジスタ基板に対する配線や電極パターンとして用いられる導電性被膜の製造方法に関する。
従来から、基板の全面にスパッタや蒸着等で金属薄膜を形成させた後、フォトリソグラフィー法によって不要な部分をエッチングして必要な導電膜パターン(導電性被膜)を形成させる方法が知られている。しかしながら、当該方法は工程が煩雑であることに加え、高価な真空装置を用いる必要がある。
このため、より簡便かつ安価な導電膜被膜の形成方法が求められており、近年、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法を用いた方法が提案されている。更に、より高精細なパターンが形成できる印刷手法として、反転印刷法やマイクロコンタクト印刷法等を用いた方法が提案されており、これらの印刷法に適した導電性インク、絶縁性インク、及び抵抗インク等の各種インクが開発されている。
なかでも銀微粒子の低温焼結性を利用した導電性インクが注目されており、例えば特許文献1(特開2012−162767号公報)においては、炭素数が6以上のアルキルアミンと、炭素数が5以下であるアルキルアミンとを含むアミン混合液と、金属原子を含む金属化合物を混合して、当該金属化合物とアミンを含む錯化合物を生成する第1工程と、当該錯化合物を加熱することで分解して金属微粒子を生成する第2工程を含むことを特徴とする被覆金属微粒子の製造方法が提案されており、それによって得られる金属微粒子を用いることで特に低温においても円滑に焼結が可能となっている。
また、例えば特許文献2(特開2013−142173号公報)においては、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり、当該脂肪族炭化水素基の炭素総数が6以上である脂肪族炭化水素モノアミン(A)と、脂肪族炭化水素基と1つのアミノ基とからなり、当該脂肪族炭化水素基の炭素総数が5以下である脂肪族炭化水素モノアミン(B)とを、アミン(A)とアミン(B)の合計を基準として、アミン(A)5モル%以上20モル%未満、及びアミン(B)80モル%を超えて95モル%以下の割合で含むアミン混合液を調製し;銀化合物と前記アミン混合液とを混合して、銀化合物及びアミンを含む錯化合物を生成させ;錯化合物を加熱して熱分解させて、銀ナノ粒子を形成する;ことを含む銀ナノ粒子の製造方法が提案されている。
そして、上記特許文献2の銀ナノ粒子の製造方法においては、炭素総数6以上の脂肪族炭化水素モノアミン(A)と炭素総数5以下の脂肪族炭化水素モノアミン(B)とを含むアミン混合液を用いることで、銀ナノ粒子の適切な安定化が得られる、としており、この銀ナノ粒子を用いると、低温で良好な導電性を発現する皮膜が得られる、とされている。
また、特許文献3(特開2013−161593号公報)には、金属微粒子含む膜の導体化方法が開示されており、アルキルアミンを含む保護膜により被覆された被覆金属微粒子を含む膜を導体化する方法が開示されており、14g/m以上の水蒸気を含有する気体を接触させる方法が開示されている。
特開2012−162767号公報 特開2013−142173号公報 特開2013−161593号公報
しかしながら、上記のような従来技術の方法を用いると、アルキルアミンを含む保護膜により被覆された被覆金属微粒子の導体化を促進させることができるものの、皮膜は光沢のある鏡面状であり、用途によっては光が反射しすぎるために使用が困難であるという問題があった。すなわち、本発明の目的は、高い導電性を有するとともに適度なラフネス及び反射率を有する導電性被膜の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、高い導電性を有するとともに適度なラフネス及び反射率を有する導電性被膜を得るためには、原料として金属ナノ粒子を使用しつつも、その製造工程において金属ナノ粒子を十分に粒成長させることができれば、表面に凹凸が形成されて適度な乱反射するような導電性被膜を得ることができ、上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、
前記焼成前被膜の少なくとも一部を相対湿度60%RH以上の環境下に触れさせる第二工程と、
前記第二工程を経た前記焼成前被膜を焼成する第三工程と、
を含むことを特徴とする導電性被膜の製造方法を提供する。
このような構成を有する本発明の導電性被膜の製造方法によれば、焼成前被膜の少なくとも一部を相対湿度60%以上の環境下に触れさせることによって金属ナノ粒子を十分に粒成長させ、得られる導電性被膜の表面に凹凸を形成してラフネスを向上させることができ、表面で乱反射し適度な反射率を有する導電性被膜を確実に得られる。
上記の本発明の導電性被膜の製造方法においては、前記第二工程における前記環境下の温度が室温以上であること、が好ましい。このような構成によれば、より確実に、金属ナノ粒子を十分に粒成長させ、得られる導電性被膜の表面に凹凸を形成してラフネスを向上させることができ、表面で乱反射し適度な反射率を有する導電性被膜が得られる。
また、上記の本発明の導電性被膜の製造方法においては、前記第二工程において前記金属ナノ粒子の粒子径を増大させること、が好ましい。
また、前記導電性インクが、
金属微粒子と、
炭素数が5以下である短鎖アミンと、
高極性溶媒と、
前記金属微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、
を含むこと、が好ましい。
また、前記短鎖アミンがアルコキシアミンであること、が好ましい。
本発明の導電性被膜の製造方法によれば、導電性被膜の導電性を向上させ、導電性被膜を構成する金属ナノ粒子を十分に粒成長させ、得られる導電性被膜の表面に凹凸を形成して適度なラフネス及び反射率を有する導電性被膜が確実に得られる。このように適度なラフネス及び反射率を有することで、例えば透明電極等の光学用途における骨見え現象や光沢によるちらつきを効果的に抑制することができる。
実施例3におけるSEM写真である。 比較例1におけるSEM写真である。
本発明は、銀ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、前記焼成前被膜の少なくとも一部を相対湿度60%以上の環境下に触れさせる第二工程と、前記第二工程を経た前記焼成前被膜を焼成する第三工程と、を含むことを特徴とする。
第一工程
第一工程においては、銀ナノ粒子を主成分とする導電性インクを用いる。この第一工程における印刷や塗布の方法については、従来公知の方法を採用することができる。焼成前被膜の形状やパターンについても、従来公知のものでよい。
この導電性インクは、銀微粒子(銀ナノ粒子)と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含む銀微粒子分散体で構成されている。なかでも、前記短鎖アミンの分配係数logPが−1.0〜1.4であるのが好ましい。
上記銀微粒子分散体は、種々の溶媒(特に高極性溶媒)に銀微粒子が均一分散した低温焼結性を有する銀微粒子分散体であり、導電性被膜を当該銀微粒子複合体の焼結によって形成することで、良好な導電性を有する導電性被膜を低温で形成することができる。
アミンの一分子内におけるアミノ基は、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、アミノ基は、それぞれアルカリ性的性質を示し易い。したがって、アミンは、銀微粒子の表面の少なくとも一部に局在化(付着)すると(即ち、銀微粒子の表面の少なくとも一部を被覆すると)、有機成分と無機粒子とを十分に親和させることができ、銀微粒子同士の凝集を防ぐことができる(分散性を向上させる)。即ち、アミンは官能基が銀微粒子の表面に適度の強さで吸着し、銀微粒子同士の相互の接触を妨げるため、保管状態での銀微粒子の安定性に寄与する。また、加熱によって銀微粒子の表面から移動及び又は揮発することにより、銀微粒子同士の融着を促進するものと考えられる。
また、銀微粒子分散体を構成するアミンを炭素数が5以下である短鎖アミンとすることで、加熱によって銀微粒子の表面の少なくとも一部に付着したアミンを容易に除去することができ、銀微粒子の良好な低温焼結性(例えば、100〜350℃における焼結性)を担保することができる。
また、短鎖アミンの分配係数logPを−1.0〜1.4とするのは、分配係数logPが−1.0以下になれば、短鎖アミンの極性が高すぎるため、銀の還元が急速に進んでしまい銀微粒子生成の制御が困難となり、分配係数logPが1.5以上になれば、銀に配位するアミンの極性が低い為に高極性溶媒に分散しづらくなるからである。
分配係数logPは、溶媒としてn−オクタノールと水を用いたオクタノール/水分配係数を意味しており、オクタノール中の濃度Coと水中の濃度Cwをそれぞれ求め、濃度比P=Co/Cwの常用対数 logPを分配係数として算出する。そのため、分配係数logPは銀微粒子がどの範囲の極性溶媒で分散させうることが可能かどうかを表す一つの指標であることを意味する。分配係数logPの測定方法は特に限定されず、例えば、フラスコ振盪法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、及び定量的構造活性相関アルゴリズムを用いた計算等によって求めることができるが、国立生物工学情報センター等のウェブサイトで公表されている文献値を用いてもよい。
更に、銀微粒子分散体は、銀微粒子合成後に添加される酸価を有する分散剤(即ち、銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤)を含むことを特徴とする。ここでいう「酸価を有する分散剤」とは、吸着基乃至は官能基としてアミン価や水酸基価等を有さない分散剤全てを包含するものである。かかる分散剤を用いることで、溶媒中の銀微粒子の分散安定性を向上させることができる。当該分散剤の酸価は5〜200であることが好ましく、また、当該分散剤がリン酸由来の官能基を有することが好ましい。「酸価を有する分散剤」が好ましい理由は、必ずしも明らかではないが、本発明者らは、金属への吸着作用だけではなく、短鎖アミンと相互作用することによって、より密な形態で吸着することができ、低温焼結性を有しつつ高い分散性を発現させているものと考えている。
後述する高極性溶剤に銀微粒子を分散させたい場合は、一般的に極性の高い分散剤を使用することが有効である。例えばlogPがより小さい短鎖アミンを用いることが考えられるが、短鎖アミンは一般的に還元性を発揮して反応速度を適切に保てない場合がある。具体的には、反応速度を過剰に高めてしまい、分散性に優れた銀微粒子を形成できない場合がある。そこで、より高極性な分散剤を銀微粒子合成後に添加することで、銀微粒子はそのままに分散媒に対する相溶性のみを高めること(表面改質)が可能となる。
分散剤の酸価が5以上であるとアミンと配位し粒子表面が塩基性となっている金属物への酸塩基相互作用での吸着が起こり始め、200以下であると過度に吸着サイトを有さないため好適な形態で吸着するから好ましい。また、分散剤がリン酸由来の官能基を有することでリンPが酸素Oを介して金属Mと相互作用し引き合うので金属や金属化合物との吸着には最も効果的であり、必要最小限の吸着量で好適な分散性を得ることができるから好ましい。ここで「酸価」とは、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価の測定法として、指示薬法(p−ナフトールベンゼイン指示薬)や電位差滴定法をあげることができる。
・ISO6618−1997:指示薬滴定法による中和価試験法→指示薬滴定法(酸価)に対応
・ISO6619−1988:電位差滴定法(酸価)→電位差滴定法(酸価)に対応
銀微粒子分散体は、更に、銀微粒子合成前に添加される保護剤としての酸価を有する分散剤(保護分散剤)を含んでいてもよい。ここでいう「保護分散剤」は、上記の銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」と同じであってもよい。
また、銀微粒子分散体においては、溶媒として種々の溶媒、特に高極性溶媒を用いることができる。高極性溶媒とは、一般的に水や炭素数の短いアルコールなど、ヘキサンやトルエンのような低極性溶剤と相溶しにくいものを意味するが、本発明においては炭素数1〜6のアルコールを用いることがより好ましい。高極性溶媒として炭素数1〜6のアルコールとすることで、低極性溶媒を用いた時の不具合、例えば樹脂上で銀微粒子分散体を積層した際に、溶媒が下地の樹脂層を侵すことを回避できる。ここで、アミンにはアルコキシアミンを用いることが好ましい。アミンをアルコキシアミンとすることで、銀微粒子を高極性溶媒に良好に分散させることができる。さらに、必ずしもその機構は明らかではないが、アルコキシアミンのアルコキシ基が水蒸気と効率良く相互作用するために、十分な粒成長を促すことができる点においても好ましい。
銀微粒子分散体を構成する銀微粒子の粒径は、融点降下が生じるようなナノメートルサイズ、望ましくは1〜200nmが適切であるが、必要に応じてミクロンメートルサイズの粒子が含まれていてもよい。
本実施形態において得られる導電性被膜は銀微粒子から形成され、それを外部加熱によって形成した焼結体であり、銀微粒子が本来有する導電性と同程度の良好な導電性を有している。導電性被膜の形成に用いる銀微粒子分散体(導電性インク)について、以下において更に詳細に述べる。
導電性被膜の形成に用いる銀微粒子分散体(導電性インク)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の銀微粒子分散体を用いることができるが、銀微粒子と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含む短鎖アミンの分配係数logPが−1.0〜1.4である銀微粒子分散体を用いることが好ましい。
上記銀微粒子分散体は、種々の溶媒(特に高極性溶媒)に銀微粒子が均一分散した低温焼結性を有する銀微粒子分散体であり、導電性被膜を当該銀微粒子複合体の焼結によって形成することで、良好な導電性を有する導電性被膜を低温で形成することができる。
(A)銀微粒子
本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の平均粒径は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、融点降下が生じるような平均粒径を有するのが好ましく、例えば、1〜200nmであればよい。更には、2〜100nmであるのが好ましい。銀微粒子の平均粒径が1nm以上であれば、銀微粒子が良好な低温焼結性を具備すると共に銀微粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、200nm以下であれば、銀微粒子の分散性が経時的に変化しにくく、好ましい。
銀微粒子分散体を、例えばマイグレーションの問題を考慮して、イオン化列が水素より貴である金属、即ち金、銅、白金、パラジウム等の粒子を添加してもよい。
なお、本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の粒径は、一定でなくてもよい。また、銀微粒子分散体が、任意成分として、後述する分散剤等を含む場合、平均粒径が200nm超の金属粒子成分を含む場合があるが、凝集を生じたりせず、本発明の効果を著しく損なわない成分であればかかる200nm超の平均粒径を有する金属粒子成分を含んでもよい。
ここで、本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の粒径は、動的光散乱法、小角X線散乱法、広角X線回折法で測定することができる。ナノサイズの銀微粒子の融点降下を示すためには、広角X線回折法で求めた結晶子径が適当である。例えば広角X線回折法では、より具体的には、理学電機(株)製のRINT−UltimaIIIを用いて、回折法で2θが30〜80°の範囲で測定することができる。この場合、試料は、中央部に深さ0.1〜1mm程度の窪みのあるガラス板に表面が平坦になるように薄くのばして測定すればよい。また、理学電機(株)製のJADEを用い、得られた回折スペクトルの半値幅を下記のシェラー式に代入することにより算出された結晶子径(D)を粒径とすればよい。
D=Kλ/Bcosθ
ここで、K:シェラー定数(0.9)、λ:X線の波長、B:回折線の半値幅、θ:ブラッグ角である。
(B)炭素数が5以下である短鎖アミン
本実施形態の銀微粒子分散体において、銀微粒子の表面の少なくとも一部には炭素数が5以下である短鎖アミンが付着している。なお、銀微粒子の表面には、原料に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入する微量有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、微量の有機物が付着していてもよい。
炭素数が5以下である短鎖アミンは分配係数logPが−1.0〜1.4であれば特に限定されず、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、側鎖を有していてもよい。当該短鎖アミンとしては、例えば、エチルアミン(−0.3)プロピルアミン(0.5)、ブチルアミン(1.0)、N−(3−メトキシプロピル)プロパン−1,3−ジアミン(−0.6)、1,2−エタンジアミン、N−(3−メトキシプロピル)ホルムアミド(−0.2),2−メトキシエチルアミン(−0.9)、3−メトキシプロピルアミン(−0.5)、3−エトキシプロピルアミン(−0.1)、1,4−ブタンジアミン(−0.9)、1,5−ペンタンジアミン(−0.6)、ペンタノールアミン(−0.3)、アミノイソブタノール(−0.8)等が挙げられるが、なかでもアルコキシアミンを用いることが好ましい。
上記短鎖アミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、アミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常温での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。
本実施形態の銀粒子分散体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記の炭素数が5以下である短鎖アミンに加えて、カルボン酸を含んでいてもよい。カルボン酸の一分子内におけるカルボキシル基が、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、カルボキシル基は、酸性的性質を示し易い。また、カルボン酸は、本実施形態の銀粒子分散体中で、銀微粒子の表面の少なくとも一部に局在化(付着)すると(即ち、銀微粒子の表面の少なくとも一部を被覆すると)、溶媒と銀微粒子とを十分に親和させることができ、銀微粒子同士の凝集を防ぐことができる(分散性を向上させる。)。
カルボン酸としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物を広く用いることができ、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、ヘキサン酸、アクリル酸、オクチル酸、オレイン酸等が挙げられる。カルボン酸の一部のカルボキシル基が金属イオンと塩を形成していてもよい。なお、当該金属イオンについては、2種以上の金属イオンが含まれていてもよい。
上記カルボン酸は、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、カルボキシル基以外の官能基を含む化合物であってもよい。この場合、カルボキシル基の数が、カルボキシル基以外の官能基の数以上であることが好ましい。また、上記カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常温での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。また、アミンとカルボン酸はアミドを形成する。当該アミド基も銀微粒子表面に適度に吸着するため、銀微粒子表面にはアミド基が付着していてもよい。
銀微粒子と当該銀微粒子の表面に付着した有機物(上記炭素数が5以下である短鎖アミン等)によってコロイドが構成される場合、当該コロイド中の有機成分の含有量は、0.5〜50質量%であることが好ましい。有機成分含有量が0.5質量%以上であれば、得られる銀微粒子分散体の貯蔵安定性が良くなる傾向があり、50質量%以下であれば、銀微粒子分散体を加熱して得られる焼成体の導電性が良い傾向がある。有機成分のより好ましい含有量は1〜30質量%であり、更に好ましい含有量は2〜15質量%である。
(C)高極性溶媒
本実施形態の銀微粒子分散体は、種々の高極性溶媒に銀微粒子が分散したものである。
上記溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の高極性溶媒を用いることができる。高極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソアミルアルコール、フルフリルアルコール、ニトロメタン、アセトニトリル、ピリジン、アセトンクレゾール、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、エチレングリコール、グリセリン、フェノール、p−クレゾール、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール2−ペンタノン、2−ヘプタノン、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−ブトキシエチル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−メトキシエチル、2−ヘキシルオキシエタノール等を例示することができるが、本発明では前記炭素数が5以下の短鎖アミンと相溶性が良好であるため、炭素数1〜6のアルコールを用いることが好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)分散剤
本実施形態の銀粒子分散体には、更に、銀微粒子を分散させるために銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」を含む。かかる分散剤を用いることで、溶媒中の銀微粒子の分散安定性を向上させることができる。ここで、当該分散剤の酸価は5〜200であることがより好ましく、また、当該分散剤がリン酸由来の官能基を有することが更に好ましい。
分散剤の酸価が5以上であるとアミンと配位し粒子表面が塩基性となっている金属物への酸塩基相互作用での吸着が起こり始めるからであり、200以下であると過度に吸着サイトを有さないため好適な形態で吸着するからである。また、分散剤がリン酸由来の官能基を有することでリンPが酸素Oを介して金属Mと相互作用し引き合うので金属や金属化合物との吸着には最も効果的であり、必要最小限の吸着量で好適な分散性を得ることができるからである。
なお、酸価が5〜200の高分子分散剤としては、例えば、ルーブリゾール社のSOLSPERSEシリーズではSOLSPERSE−16000、21000、41000、41090、43000、44000、46000、54000等が挙げられ、ビックケミー社DISPERBYKシリーズではDISPERBYK−102、110、111、170、190.194N、2015.2090、2096等が挙げられ、エボニック社のTEGODispersシリーズでは610、610S、630、651、655、750W、755W等が挙げられ、楠本化成(株)製のディスパロンシリーズではDA−375、DA−1200等が挙げられ、共栄化学工業(株)製のフローレンシリーズではWK−13E、G−700、G−900、GW−1500、GW−1640、WK−13Eを例示することができる。
本実施形態の銀微粒子分散体に分散剤を含有させる場合の含有量は、粘度などの所望の特性によって調整すれば良いが、例えば、銀微粒子分散体を銀インクとして用いる場合は、分散剤の含有量を0.5〜20質量%とすることが好ましく、銀ペーストとして用いる場合は、分散剤の含有量を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
高分子分散剤の含有量は0.1〜15質量%であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が0.1%以上であれば得られる銀微粒子分散体の分散安定性が良くなるが、含有量が多過ぎる場合は低温焼結性が低下することとなる。このような観点から、高分子分散剤のより好ましい含有量は0.3〜10質量%であり、更に好ましい含有量は0.5〜8質量%である。
本実施形態の分散体は、更に、熱分析によって室温から200℃まで加熱したときの重量減少率が20質量%以下であり、かつ、200℃から500℃まで加熱したときの重量減少率が10質量%以下であることが好ましい。ここで、200℃までの重量減少率は主として低温焼結性に寄与する低温成分である短鎖アミンの含有量を示し、200〜500℃での高温性分の重量減少率は主として分散安定性に寄与する酸価の分散剤の含有量を示す。短鎖アミンや高温成分が過剰になると低温焼結性が損なわれる。即ち、室温から200℃まで加熱したときの重量減少率が20質量%以下で、200℃から500℃まで加熱したときの重量減少率が10質量%以下であれば低温焼結性がより優れる。
(E)保護剤(保護分散剤)
本実施形態の銀微粒子分散体は、更に、銀微粒子合成前に添加される保護剤としての酸価を有する分散剤(保護分散剤)を含んでいてもよい。ここでいう「保護分散剤」は、上記の銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」と同じ種類のものでも異なる種類のものであってもよい。
(F)その他の成分
本実施形態の銀微粒子分散体には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、例えばバインダーとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ブロックドイソシアネート等のポリウレタン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂又はテルペン系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物、例えば、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのセルロース誘導体、キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機成分とは異なる界面活性剤を添加してもよい。多成分溶媒系の無機コロイド分散液においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本実施形態の銀微粒子分散体に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、均一な導電性被膜を形成することができる銀微粒子分散体が得られる。
本実施形態において用いることのできる界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れかを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、少量の添加量で効果が得られるので、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が好ましい。
本実施形態の銀微粒子分散体に含まれる銀微粒子は、表面の少なくとも一部に分配係数logPが−1.0〜1.4であり炭素数が5以下であるアルコキシアミンが付着した銀微粒子であるのが好ましい。
銀微粒子の表面の少なくとも一部に分配係数logPが−1.0〜1.4である炭素数が5以下のアルコキシアミンを付着させることで、銀微粒子に種々の溶媒(特に高極性溶媒)に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
上記溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の溶媒を用いることができ、SP値(溶解パラメーター)が7.0〜15.0である溶媒を用いることができる。ここで、高極性溶媒中においても銀微粒子が均一に分散していることが本発明の銀微粒子分散体の特徴の一つであり、本発明では前記炭素数が5以下の短鎖アミンと相溶性が良好であるため、炭素数1〜6のアルコールを用いることが好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SP値(溶解パラメーター)が7.0〜15.0である溶媒としては、例えば、ヘキサン(7.2)、トリエチルアミン(7.3)、エチルエーテル(7.7)、n−オクタン(7.8)、シクロヘキサン(8.3)、n−アミルアセテート(8.3)、酢酸イソブチル(8.3)、メチルイソプロピルケトン(8.4)、アミルベンゼン(8.5)酢酸ブチル(8.5)、四塩化炭素(8.6)、エチルベンゼン(8.7)、p−キシレン(8.8)、トルエン(8.9)、メチルプロピルケトン(8.9)酢酸エチル(8.9)、テトラヒドロフラン(9.2)、メチルエチルケトン(9.3)、クロロホルム(9.4)、アセトン(9.8)、ジオキサン(10.1)、ピリジン(10.8)、イソブタノール(11.0)、n−ブタノール(11.1)、ニトロエタン(11.1)イソプロピルアルコール(11.2)、m−クレゾール(11.4)、アセトニトリル(11.9)、n−プロパノール(12.1)、フルフリルアルコール(12.5)、ニトロメタン(12.7)、エタノール(12.8)、クレゾール(13.3)、エチレングリコール(14.2)、メタノール(14.8)フェノール、p−クレゾール、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール2−ペンタノン、2−ヘプタノン、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−ブトキシエチル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−メトキシエチル、2−ヘキシルオキシエタノール等を例示することができる。
本実施形態の銀微粒子の粒径は、融点降下が生じるようなナノメートルサイズ、望ましくは1〜200nmが適切であるが、必要に応じてミクロンメートルサイズの粒子が含まれていてもよい。
ここで、本実施形態における導電性インクとして転写印刷用導電性インクを用いる場合、当該転写印刷用導電性インクは、より具体的には、金属粒子と、エタノールを含む溶媒と、水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含むことを特徴とする。また、金属粒子と有機成分とからなる金属粒子分散体(換言すれば金属コロイド粒子)を主成分とする固形分と、これら固形分を分散する分散媒とを含むものである。ただし、上記コロイド液において、「分散媒」は上記固形分の一部を溶解していても構わない。
このような金属コロイド液によれば、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での金属コロイド粒子の分散性を向上させることができ、したがって、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増やしても金属コロイド粒子が凝集しにくく、良好な分散安定性を保つことができる。なお、ここでいう「分散性」とは、金属コロイド液を調製した直後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が優れているか否か(均一か否か)を示すものであり、「分散安定性」とは、金属コロイド液を調整して所定の時間を経過した後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が維持されているか否かを示すものであり、「低沈降凝集性」ともいえる。
ここで、上記の金属コロイド液において、金属コロイド粒子中の「有機成分」は、上記金属成分とともに実質的に金属コロイド粒子を構成する有機物のことである。当該有機成分には、金属中に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入した微量の有機物が金属成分に付着した有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、金属成分に微量付着した有機物等は含まれない。なお、上記「微量」とは、具体的には、金属コロイド粒子中1質量%未満が意図される。
本実施形態における金属コロイド粒子は、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での分散安定性が高い。そのため、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増大させても金属コロイド粒子が凝集しにくく、その結果、良好な分散性が保たれる。
また、本実施形態における金属コロイド液の「固形分」とは、シリカゲル等を用いて金属コロイド液から分散媒を取り除いた後、例えば、30℃以下の常温(例えば25℃)で24時間乾燥させたときに残存する固形分のことをいい、通常は、金属粒子、残存有機成分及び残留還元剤等を含むものである。なお、シリカゲルを用いて金属コロイド液から分散媒を取り除く方法としては、種々の方法を採用することが可能であるが、例えばガラス基板上に金属コロイド液を塗布し、シリカゲルを入れた密閉容器に塗膜付ガラス基板を24時間以上放置することにより分散媒を取り除けばよい。
本実施形態の金属コロイド液において、好ましい固形分の濃度は1〜60質量%である。固形分の濃度が1質量%以上であれば、転写印刷用導電性インクにおける金属の含有量を確保することができ、導電効率が低くならない。また、固形分の濃度が60質量%以下であれば、金属コロイド液の粘度が増加せず取り扱いが容易で、工業的に有利であり、平坦な薄膜を形成することができる。より好ましい固形分の濃度は5〜40質量%である。
転写印刷用導電性インクは、水酸基を有する高沸点溶剤を0.1〜3.0質量%含むことを特徴とする。水酸基を有する高沸点溶剤は、1,3−ブチレングリコール(沸点:203℃)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(沸点:150℃/5mmHg、1気圧では200℃以上)又はオクタンジオール(沸点:243℃)から選択されるのが好ましい。
「高沸点溶剤」とは、200℃以上の沸点を有する溶剤のことをいう。また、水酸基を有することによって水に対して適度な親和性を有し、空気中の水分を吸収乃至は吸着等して保湿する傾向があるため、少ない添加量で転写印刷法に好適なインクとすることができる。更に、高沸点溶剤の添加量を必要最小限とすることで、シリコーンブランケット上に塗布したインクを短時間に半乾燥させることができ、印刷タクトを短くすることができるという効果を奏する。
水酸基を有する高沸点溶剤の添加量は、0.1〜3.0質量%である。0.1質量%未満であると、量が少なすぎて転写印刷法に好適なインク状になりにくく、3.0質量%を超えると、転写印刷法に好適な半乾燥状態に到達する時間が長くなり印刷タクトの面で不利となる。水酸基を有する高沸点溶剤の添加量は、0.3〜2.0質量%であるのが、より確実に、転写印刷法に好適なインク状になり易く、転写印刷法に好適な半乾燥状態に到達する時間を短くでき印刷タクトの面で有利となるという観点から、特に好ましい。
また、転写印刷用導電性インクにおいては、インクの乾燥性を高めるためにエタノール等の高揮発性溶剤を添加する。当該溶剤を添加することにより、転写印刷用導電性インクを素早く印刷に適した粘度に調整することができる。高揮発性溶剤としては、エタノールの他、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の沸点100℃未満の溶剤の群から選ばれる1又は2以上の低沸点溶剤を用いることができる。
更に、転写印刷用導電性インクにおいては、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素溶剤を含んでいることが好ましい。フッ素溶剤は、表面張力が低いためにシリコーンブランケットに対し良好な濡れ性を発揮させることができ、沸点が比較的低いために良好な乾燥性を付与することができる。なかでも、オゾン破壊係数の観点から、ハロゲン原子を含むフッ素溶剤よりもハイドロフルオロエーテルのほうが好ましい。
また、ハイドロフルオロエーテルは、ハイドロフルオロカーボン類よりもエーテル結合を有しているために極性が高く、シリコーンブランケットをほとんど膨潤させないという利点を有しており、エタノール等のアルコールとの相溶性が良く、アルコールに分散した金属粒子との相溶性にも優れるという効果を奏するため、より好ましい。
転写印刷用導電性インクにおいては、シリコーンブランケットに対する濡れ性を向上させる目的で、フッ素原子を有するフッ素系界面活性剤を添加してもよい。ただし、この場合、添加量が多過ぎると転写印刷用導電性インクを用いて作製した導電性被膜の導電性が低下し、添加量が少な過ぎると濡れ性改善の効果が不十分であるため、0.01〜2質量%であるのが好適である。
転写印刷用導電性インクにおいては、表面張力が22mN/m以下である。表面張力を22mN/m以下と十分に下げることで、シリコーン樹脂等のブランケットへの転写印刷用導電性インクの濡れ性を十分に担保することができる。表面張力を22mN/m以下にすることは、上記の本発明の転写印刷用導電性インクの成分比を調整することによって実現できる。表面張力の下限は13mN/m程度であればよい。なお、本発明においていう表面張力とは、プレート法(Wilhelmy法)という原理で測定して得られるものであり、例えば、協和界面科学(株)製の全自動表面張力計CBVP−Z等により測定することができる。
次に、本実施形態の銀微粒子及び銀微粒子分散体の製造方法は、銀微粒子を生成する工程と、前記銀微粒子に、前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤を添加・混合する工程と、を有するものであるが、更に、還元により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、の混合液を調整する第1前工程と、当該混合液中の前記銀化合物を還元することで表面の少なくとも一部に炭素数が5以下である短鎖アミンが付着した銀微粒子を生成する第2前工程と、を含んでいる。
上記第1前工程においては、短鎖アミンを金属銀1molに対して2mol以上添加すること、が好ましい。短鎖アミンの添加量を金属銀1molに対して2mol以上とすることで、還元によって生成される銀微粒子の表面に短鎖アミンを適量付着させることができ、当該銀微粒子に種々の溶媒(特に高極性溶媒)に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
なお、上記第1前工程における混合液の組成及び上記第2前工程における還元条件(例えば、加熱温度及び加熱時間等)によって、得られる銀微粒子の粒径を融点降下が生じるようなナノメートルサイズとすることが好ましく、1〜200nmとすることがより好ましい。ここで、必要に応じてミクロンメートルサイズの粒子が含まれていてもよい。
上記第2前工程で得られる銀微粒子分散体から銀微粒子を取り出す方法は特に限定されないが、例えば、その銀微粒子分散体の洗浄を行う方法等が挙げられる。
有機物(分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミン)で被覆された銀微粒子を得るための出発材料としては、種々の公知の銀化合物(金属塩又はその水和物)を用いることができ、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、シュウ酸銀、ギ酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩が挙げられる。これらは還元可能なものであれば特に限定されず、適当な溶媒中に溶解させても、溶媒中に分散させたまま使用してもよい。また、これらは単独で用いても複数併用してもよい。
また、上記原料液においてこれらの銀化合物を還元する方法は特に限定されず、例えば、還元剤を用いる方法、紫外線等の光、電子線、超音波又は熱エネルギーを照射する方法、加熱する方法等が挙げられる。なかでも、操作の容易の観点から、還元剤を用いる方法が好ましい。
上記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヨウ素化水素、水素ガス等の水素化合物;例えば、一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;例えば、硫酸第一鉄、酸化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸スズ、塩化スズ、二リン酸スズ、シュウ酸スズ、酸化スズ、硫酸スズ等の低原子価金属塩;例えば、エチレングリコール、グリセリン、ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等が挙げられるが、分散媒に溶解し上記金属塩を還元し得るものであれば特に限定されない。上記還元剤を使用する場合は、光及び/又は熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
上記金属塩、有機成分、溶媒及び還元剤を用いて、有機物で被覆された銀微粒子を調製する具体的な方法としては、例えば、上記金属塩を有機溶媒(例えばトルエン等)に溶かして金属塩溶液を調製し、当該金属塩溶液に分散剤としての短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤を添加し、ついで、ここに還元剤が溶解した溶液を徐々に滴下する方法等が挙げられる。
上記のようにして得られた短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤で被覆された銀微粒子を含む分散液には、銀微粒子の他に、金属塩の対イオン、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度や有機物濃度が高い傾向にある。このような状態の液は、電導度が高い等の理由で銀微粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。あるいは、沈殿しなくても、金属塩の対イオン、還元剤の残留物、又は分散に必要な量以上の過剰な分散剤が残留していると、導電性を悪化させるおそれがある。そこで、上記銀微粒子を含む溶液を洗浄して余分な残留物を取り除くことにより、有機物で被覆された銀微粒子を確実に得ることができる。
上記洗浄方法としては、例えば、有機成分で被覆された銀微粒子を含む分散液を一定時間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、銀微粒子を沈殿させる溶媒(例えば、水、メタノール、メタノール/水混合溶媒等)を加えて再度撹枠し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。このような洗浄によって余分な残留物を取り除くと共に有機溶媒を除去することにより、本実施形態の「短鎖アミンや酸価をもつ分散剤」で被覆された銀微粒子を得ることができる。
本実施形態のうち、金属コロイド分散液は、上記において得た短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤で被覆された銀微粒子と、上記本実施形態で説明した分散媒と、を混合することにより得られる。かかる「短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤」で被覆された銀微粒子と分散媒との混合方法は特に限定されるものではなく、攪拌機やスターラー等を用いて従来公知の方法によって行うことができる。スパチュラのようなもので撹拌したりして、適当な出力の超音波ホモジナイザーを当ててもよい。
複数の金属を含む金属コロイド分散液を得る場合、その製造方法としては特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる金属コロイド分散液を製造する場合には、上記の有機物で被覆された銀微粒子の調製において、銀微粒子を含む分散液と、その他の金属粒子を含む分散液とを別々に製造し、その後混合してもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
還元により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、の混合液を調整する第1工程と、当該混合液中の前記銀化合物を還元することで表面の少なくとも一部に炭素数が5以下である短鎖アミンが付着した銀微粒子を生成する第2工程により、銀微粒子を製造してもよい。
例えば、銀を含むシュウ酸銀等の金属化合物と短鎖アミンから生成される錯化合物を加熱して、当該錯化合物に含まれるシュウ酸イオン等の金属化合物を分解して生成する原子状の銀を凝集させることにより、短鎖アミンの保護膜に保護された銀微粒子を製造することができる。
このように、金属化合物の錯化合物をアミンの存在下で熱分解することで、アミンにより被覆された銀微粒子を製造する金属アミン錯体分解法においては、単一種の分子である金属アミン錯体の分解反応により原子状金属が生成するため、反応系内に均一に原子状金属を生成することが可能であり、複数の成分間の反応により金属原子を生成する場合に比較して、反応を構成する成分の組成揺らぎに起因する反応の不均一が抑制され、特に工業的規模で多量の銀微粒子を製造する際に有利である。
また、金属アミン錯体分解法においては、生成する金属原子に短鎖アミン分子が配位結合しており、当該金属原子に配位した短鎖アミン分子の働きにより凝集を生じる際の金属原子の運動がコントロールされるものと推察される。この結果として、金属アミン錯体分解法によれば非常に微細で、粒度分布が狭い銀微粒子を製造することが可能となる。
更に、製造される銀微粒子の表面にも多数の短鎖アミン分子が比較的弱い力の配位結合を生じており、これらが銀微粒子の表面に緻密な保護被膜を形成するため、保存安定性に優れる表面の清浄な被覆銀微粒子を製造することが可能となる。また、当該被膜を形成する短鎖アミン分子は加熱等により容易に脱離可能であるため、非常に低温で焼結可能な銀微粒子を製造することが可能となる。
また、固体状の金属化合物とアミンを混合して錯化合物等の複合化合物が生成する際に、被覆銀微粒子の被膜を構成する酸価をもつ分散剤に対して、炭素数が5以下である短鎖アミンを混合して用いることにより、錯化合物等の複合化合物の生成が容易になり、短時間の混合で複合化合物を製造可能となる。また、当該短鎖アミンを混合して用いることにより、各種の用途に応じた特性を有する被覆銀微粒子の製造が可能である。
以上のようにして得られる本実施形態の分散体は、そのままの状態で使用することができるが、導電インク、導電性ペーストの分散安定性及び低温焼結性を損なわない範囲で種々の無機成分や有機成分を添加することができる。
第二工程
次に、第二工程として、上記の第一工程により得られた焼成前被膜の少なくとも一部を相対湿度60%以上の環境下に触れさせる。この環境は、例えば恒温恒湿槽に焼成前被膜を入れることによって作ることができる。
本発明者は、鋭意実験及び検討の結果、一定以上の相対湿度を有することで、雰囲気中に含まれる水蒸気が銀ナノ粒子の表面に含まれる保護剤を効果的に排除し、粒子の融着が進むこと、また、その排除及び融着は温度又は湿度が高いほどより促進されること、を見出した。
更に、保護剤として短鎖アミン、特にアルコキシアミンを有する銀ナノ粒子においてその効果が顕著であった。その理由は定かではないが、アルキルアミンよりも極性が高いために、水蒸気との親和性が高いためにその効果がより顕著に発揮されたものと、発明者は考えている。したがって、本発明においては、短鎖アミンとしてアルコキシアミンを用いた金属ナノ粒子を適用することがより望ましい。
金属ナノ粒子の粒成長を促進し、ある程度の被膜ラフネスを効率的に得るという観点においては、温度及び/又は湿度が高いほうが望ましい。具体的には、相対湿度は60%RH以上、より好ましくは80%RH以上である。相対湿度が高いほど雰囲気内に含まれる水蒸気量が多いために反応が促進する。上限は100%RHであればよい。なお、相対湿度は、一定の温度下において、与えられた体積の空気の飽和水蒸気圧で現実の水蒸気分圧を除することで求められ、例えば乾湿球形湿度計や電気抵抗式や静電容量式の電子式湿度計などを用いて測定することができる。
また、温度は室温以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。同一の相対湿度で比較した場合、高温になるほど容積絶対湿度も上昇し、存在する水蒸気量が増えるため、より粒成長が促進される。
ただし、焼成前被膜に水を直接吹きかけたり、水中に浸漬することは水との急激な反応を引き起こしたり、焼成前被膜が焼成前であることから容易に破壊されるなどの不具合が発生しやすいため 避けるほうが好ましい。
粒成長させた場合のSEM(走査型電子顕微鏡)による粒子径は50nm以上、より好ましくは100nm以上となることが好ましい。100nm以上に成長することで、それに応じてラフネスに制御することができる
第三工程
ついで、前記第二工程を経た前記焼成前被膜を焼成する。この焼成は従来公知の方法及び条件で実施すればよい。
例えば従来公知のギアオーブン等を用いて、上記の第一工程及び第二工程を経た焼成前被膜をそ温度が300℃以下(好ましくは180℃未満)となるように焼成することによって導電性被膜(導電膜パターン)を形成することができる。上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、基材上に導電膜パターンを形成できる温度であって、かつ、本発明の効果を損なわない範囲で上記有機成分等を蒸発又は分解により除去できる温度であることが好ましい(本発明の効果を損なわない範囲で一部が残存していてもよいが、望ましくは全て除去されるのが好ましい。)。
本実施形態の導電性インクによれば、100℃程度の低温加熱処理でも高い導電性を発現する導電膜パターンを形成することができるため、比較的熱に弱い基材上にも導電膜パターンを形成することができる。また、焼成時間は特に限定されるものではなく、焼成温度に応じて、基材上に導電膜パターンを形成できる。
上記の第一工程、第二工程及び第三工程を経て得られる導電性被膜は銀微粒子から形成され、それを外部加熱によって形成した焼結体であり、銀微粒子が本来有する導電性と同程度の良好な導電性を有しており、適度なラフネス及び反射率を有している。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、特に記載していない内容については従来公知の技術を援用すればよく、また、種々の設計変更が可能であり、それらは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、導電性インクを印刷又は塗布するのに用いることのできる基材としては、導電性インクを印刷又は塗布して加熱により焼成して導電膜パターンを搭載することのできる、少なくとも1つの主面を有するものであれば、特に制限はないが、耐熱性に優れた基材であるのが好ましい。また、先に述べたように、本実施形態の導電性インクは、従来の導電性インクに比較して低い温度で加熱して焼成しても十分な導電性を有する導電膜パターンを得ることができるため、この低い焼成温度よりも高い温度範囲で、従来よりも耐熱温度の低い基材を用いることが可能である。
このような基材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミックス、ガラス又は金属等を挙げることができる。また、基材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された基材や親水化処理等の表面処理を施した基材を用いてもよい。
本実施形態においては、上記基材と導電膜パターンとの密着性を更に高めるため、上記基材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性インク受容層を設ける方法等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の導電性被膜の製造方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪調製例1≫
3−メトキシプロピルアミン(和光純薬工業(株)製試薬一級、炭素数:4、logP:−0.5)8.9gと、高分子分散剤であるDISPERBYK−111を0.3gと、を混合し、マグネティックスターラーにてよく撹拌してアミン混合液を生成した(添加したアミンのモル比は銀に対して10)。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0gを添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で攪拌を続けることでシュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したと認められる時点で撹拌を終了した。
得られた混合液をオイルバスに移し、120℃で加熱撹拌を行った。撹拌の開始直後に二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素の発生が完了するまで撹拌を行うことで、銀微粒子がアミン混合物中に懸濁した懸濁液を得た。
次に、当該懸濁液の分散媒を置換するため、メタノール/水の混合溶媒10mLを加えて撹拌後、遠心分離により銀微粒子を沈殿させて分離し、分離した銀微粒子に対して再度メタノール/水の混合溶媒10mLを加え、撹拌、遠心分離を行うことで銀微粒子を沈殿させて分離し、分散溶媒としてエタノール/イソブタノール/IPA(40/40/30 v/v)混合溶媒2.1gを加えることで固形分濃度48wt%の銀微粒子分散体Aを得た。
≪調製例2≫
3−メトキシプロピルアミン(和光純薬工業(株)製試薬一級、炭素数:4、logP:−0.5)8.9gと、高分子分散剤であるDISPERBYK−102を0.3gと、を混合し、マグネティックスターラーにてよく撹拌してアミン混合液を生成した(添加したアミンのモル比は銀に対して5)。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0gを添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で攪拌を続けることでシュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したと認められる時点で撹拌を終了した。
得られた混合液をオイルバスに移し、120℃で加熱撹拌を行った。撹拌の開始直後に二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素の発生が完了するまで撹拌を行うことで、銀微粒子がアミン混合物中に懸濁した懸濁液を得た。
次に、当該懸濁液の分散媒を置換するため、メタノール/水の混合溶媒10mLを加えて撹拌後、遠心分離により銀微粒子を沈殿させて分離し、分離した銀微粒子に対して再度メタノール/水の混合溶媒10mLを加え、撹拌、遠心分離を行うことで銀微粒子を沈殿させて分離し、SOLSPERSE41000(日本ルーブリゾール(株)製)0.06gを含むエタノール2.1gを加えることで固形分濃度48wt%の銀微粒子分散体Bを得た。
上記のようにして得た銀微粒子分散体A又はBと、表1に示すその他の成分を添加・混合して、導電性インクA及びBを調製した。なお、表1に示す成分の量は質量%で示している。

導電性インクA
導電性インクB

銀微粒子分散体
銀微粒子分散体A
40


銀微粒子分散体B

40

溶媒
エタノール
48.3
38.9

高沸点溶剤
1,3-ブチレングリコール
1.5
1

その他溶剤
Novec7300
10
20

界面活性剤
サーフロンS-651
0.1
0.1
≪実施例1≫
ガラス基板上に導電性インクBをスピンコート(2000rpm×30sec)して成膜した焼成前被膜を、相対湿度60%、温度30℃の恒温恒湿槽(エスペック社製のPR−2KT)に15分間入れたのち、120℃×30分の条件で焼成して導電性被膜を得た。得られた導電性被膜の導電性、及び粒成長をSEMにより表面観察を行った。
≪実施例2≫
導電性インクBをシリコーン製ブランケット上にバーコーター(No.7)で塗布し、PEN(ポリエチレンナフタレート)製基板をブランケットに押圧することで焼成前被膜を基板に転写した。その後、相対湿度80%、温度30℃の恒温恒湿槽(エスペック社製のPR−2KT)に15分間入れたのち、120℃×30分の条件で焼成して導電性被膜を得た。
≪実施例3≫
相対湿度80%、温度50℃の恒温恒湿槽(エスペック社製のPR−2KT)に10分間入れたこと以外は実施例2と同様にして導電性被膜を得た。
≪比較例1≫
相対湿度25%、温度30℃の恒温恒湿槽(エスペック社製のPR−2KT)に15分間入れたこと以外は実施例1と同様にして導電性被膜を得た。
≪比較例2≫
相対湿度30%、温度50℃の恒温恒湿槽(エスペック社製のPR−2KT)に30分間入れたこと以外は実施例1と同様にして導電性被膜を得た。
[評価試験]
(1)導電性評価
導電性被膜について、三菱化学アナリテック(株)製のロレスタGP MCP−T610 を用いて表面抵抗を測定し、膜厚を乗することで体積抵抗値を算出した。体積抵抗値が15μΩ・cm以下の場合を「○」、15μΩ・cm超の場合を「×」とした。結果を表2に示した。
(2)粒成長評価
導電性被膜の表面をSEMにより観察し、その大きさより粒成長の有無を見積もった。結果を表2に示した。また、実際のSEM写真については、実施例3のものと比較例1のものをそれぞれ図1及び図2に示した。
表2並びに図1及び図2に示す結果より、本発明の導電性被膜の製造方法によれば、導電性に優れ、銀微粒子の粒成長が認められることによりラフネス及び反射率の向上した導電性被膜が得られることがわかる。

Claims (5)

  1. 金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、
    前記焼成前被膜の少なくとも一部を相対湿度60%RH以上の環境下に触れさせる第二工程と、
    前記第二工程を経た前記焼成前被膜を焼成する第三工程と、
    を含むことを特徴とする導電性被膜の製造方法。
  2. 前記第二工程における前記環境下の温度が室温以上であること、を特徴とする請求項1に記載の導電性被膜の製造方法。
  3. 前記第二工程により前記金属ナノ粒子の粒子径を増大させること、を特徴とする請求項1又は2に記載の導電性被膜の製造方法。
  4. 前記導電性インクが、
    金属微粒子と、
    炭素数が5以下である短鎖アミンと、
    高極性溶媒と、
    前記金属微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、
    を含むこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性被膜の製造方法。
  5. 前記短鎖アミンがアルコキシアミンであること、を特徴とする請求項4に記載の導電性被膜の製造方法。
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