JP2020186421A - 導電性微粒子分散体、導電性パターンの形成方法及び導電性基板の製造方法 - Google Patents

導電性微粒子分散体、導電性パターンの形成方法及び導電性基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】650℃以上の高温焼結条件においても導電性に優れ、厚さ5μm以下の薄膜や幅50μm以下の細線の形成に適した導電性微粒子分散体を提供する。【解決手段】導電性微粒子と、金属酸化物ナノ粒子と、2価のアルコールとを含有し、上記金属酸化物ナノ粒子は、酸化錫、酸化亜鉛、及び、これらが別元素でドープされたものからなる群より選択される少なくとも1種であり、上記導電性微粒子と上記金属酸化物ナノ粒子との含有比(導電性微粒子:金属酸化物ナノ粒子)が質量比で、80:20〜99:1であり、上記2価のアルコールは、シリコーンブランケット膨潤率が2%以下である導電性微粒子分散体。【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性微粒子分散体、導電性パターンの形成方法及び導電性基板の製造方法に関する。
近年、印刷技術を利用して電子回路、デバイス等を形成するプリンテッドエレクトロニクス技術が注目されている。上記プリンテッドエレクトロニクス技術においては、より簡便かつ安価な導電性パターンの形成方法として、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法又はインクジェット印刷法等の印刷法を用いることが検討されており、それぞれの印刷法に適した導電性インクや導電性ペースト等が研究開発されている。
また、金属微粒子を含有する導電性ペーストを基材上に印刷して焼成することにより、極めて微細な細線や薄層を電子回路やデバイスを形成するプリンテッドエレクトロニクス技術が注目されている。このような細線や薄層を形成する導電性ペーストに用いられる金属微粒子は、従来から知られた導電ペースト中の導電フィラーよりもはるかに小さいナノメートルサイズの粒子が用いられており、ナノ粒子特有の融点降下によって低温で焼結させることができ、かつ金属箔に近い高い導電性を示す金属微粒子としては、銀ナノ粒子が知られている。
ところで、上述の各種印刷法に適した導電性インクや導電性ペーストに用いられる金属粒子としては、上記銀ナノ粒子以外にも、合金や金属酸化物を金属微粒子として用いることも検討されている。
例えば、特許文献1には、スクリーン印刷技術を使用し、基板に堆積させることができる、高いアスペクト比の印刷可能な厚膜金属ペースト組成物が開示されており、該ペースト組成物は電気伝導性金属粒子と、焼結助剤として金属酸化物とを含むことが開示されている。
また、特許文献2には、半導体素子の電極端子又は回路基板の電極端子の接合等に使用される導電性ペースト、及び該導電性ペーストを焼成して得られる接合体が提案されており、導電性ペーストに含まれる金属微粒子が、金属、合金及び金属酸化物から選択された1種又は2種以上からなることが記載されている。
例えば、特許文献3には、低温で加熱することにより、耐熱性に乏しい基材上でも高導電性金属薄膜を得ることができる金属酸化物分散体が開示されており、加熱処理によって還元可能な一次粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子、貴金属微粒子及び分散剤を含む金属酸化物分散体であって、該分散剤として3価以上の多価アルコールを含有することが開示されている。
また、例えば特許文献4には、プリント配線板のスルーホールや有底ビアに充填して層間の電気的導通を得るために好適に利用される導電性金属ペーストが開示されており、該金属ペーストは金属フィラー及び金属酸化物超微粒子を含み、焼結性や導電性に優れ、低体積収縮率と低抵抗率とを両立できることが開示されている。
特表2014−515160号公報 特開2013−69475号公報 特開2007−87735号公報 特開2007−80720号公報
このように、各種印刷法に適した導電性インクや導電性ペーストが提案されており、金属微粒子の他に金属酸化物を含むことは従来から提案されている。しかしながら、650℃以上の高温焼成で、線幅が50μm以下で、層厚みが5μm以下の微細な導電性パターンを形成できる導電性微粒子分散体は提案されていなかった。
ここで、銀等の金属微粒子は、そのサイズが小さくなればなるほど、融点が低くなる特徴を持っており、特に、数十ナノメートル程度以下のサイズを有するナノ粒子において、より顕著に融点降下が表れることは上述の通り知られている。特に、このように融点の低い金属微粒子を印刷した導電配線等は金属微粒子の過焼結、融解、蒸発が起こり急激な体積収縮や断線が生じる。そのため、線幅が50μm以下の細線や、層厚みが5μm以下の薄膜を650℃以上の高温焼結条件で形成させることが可能な、導電性微粒子分散体が求められている。
上記文献2に記載されている導電性ペースト、上記文献3及び4に記載されている金属酸化物分散体は、500℃以下の低温加熱処理により導電性の接合体等や導電性金属皮膜を形成するものであり、650℃以上の高温焼結条件に適した導電性ペースト、又は、金属酸化物分散体は開示されていない。また、上記文献1に記載されている金属ペーストは、圧膜印刷可能なものであり、上述のような層厚みが5μm以下の被膜を650℃以上の高温焼結条件で形成させることが可能な導電性微粒子分散体は開示されていない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、650℃以上の高温焼結条件においても導電性に優れ、厚さ5μm以下の薄膜や幅50μm以下の細線の形成に適した導電性微粒子分散体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、厚さ5μm以下の薄膜形態及び/又は幅50μm以下の細線形態で塗布され、650℃以上の高温焼結条件で焼成された場合にも充分な導電性を発現し、支持体への密着性に優れた導電性微粒子分散体について種々検討した結果、導電性微粒子分散体と金属酸化物ナノ粒子とを特定の含有比で2価アルコール中に分散させる事で、650℃以上の高温焼成においても、導電性微粒子の過焼結、融解、蒸発による急激な体積収縮を防ぐことができ、更に、支持体への密着性に優れた導電性微粒子分散体が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の導電性微粒子分散体は、導電性微粒子と、金属酸化物ナノ粒子と、2価のアルコールとを含有し、上記金属酸化物ナノ粒子は、酸化錫、酸化亜鉛、及び、これらが別元素でドープされたものからなる群より選択される少なくとも1種であり、上記導電性微粒子と上記金属酸化物ナノ粒子との含有比(導電性微粒子:金属酸化物ナノ粒子)が質量比で、80:20〜99:1であることを特徴とする導電性微粒子分散体である。
上記2価のアルコールは、シリコーンブランケット膨潤率が2%以下であることが好ましい。
上記導電性微粒子は、銀及び/又は金であることが好ましい。
上記導電性微粒子の平均粒径が、1nm〜1μmであり、上記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径が、1〜100nmであることが好ましい。
導電性微粒子分散体は、オフセット印刷用導電性微粒子分散体であり、さらに樹脂成分を含むことが好ましい。
また、本発明は、基材の少なくとも一部に、本発明に記載の導電性微粒子分散体を塗布する第一工程と、上記導電性微粒子分散体に含まれる導電性微粒子を外部加熱によって焼結させ、導電性パターンを形成する第二工程と、を含み、上記第二工程における焼結温度が、650℃以上であることを特徴とする導電性パターンの形成方法でもある。
上記第一工程において、上記オフセット印刷用導電性微粒子分散体を、グラビア版を用いたグラビアオフセット印刷法により塗布することが好ましい。
上記グラビア版は、印刷面に上記オフセット印刷用導電性微粒子分散体が充填される凹部を有し、上記凹部は、線幅が50μm以下、膜厚が5μm以下である細線パターンの印刷に対応していることが好ましい。
また本発明は、上述の導電性パターンの形成方法を用いて、基材上に導電性パターンを描画することを特徴とする導電性基板の製造方法でもある。
本発明の導電性微粒子分散体は、焼結温度条件が650℃以上の高温領域での焼成であっても、導電性に優れ、厚さ5μm以下の薄膜や幅50μm以下の細線を形成できる導電性微粒子分散体を提供することができる。そのため、本発明の導電性微粒子分散体を用いることにより、高温領域での焼成においても、細線印刷が可能である。また、本発明の導電性パターンの形成方法によれば、焼結温度条件が650℃以上の高温領域においても膜厚が5μm以下及び/又は線幅が50μm以下の導電性パターンを形成することができる。なお、本発明の導電性パターンの形成方法によれば、線幅が30μm以下の導電性パターンであっても断線することなく形成することができる。本発明の導電性基板の製造方法によれば、焼結温度条件が650℃以上の高温領域であっても、膜厚が5μm以下及び/又は線幅が50μm以下の精密な導電性パターンが印刷された導電性基板を製造することができる。
グラビアオフセット印刷法の一例を模式的に示した概念図である。 実施例1及び比較例1に係る導電性微粒子分散体を用いて得られた導電性パターン上部の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像である。 実施例2及び比較例4に係る導電性微粒子分散体を用いて得られた導電性パターン上部の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像である。
[導電性微粒子分散体]
本発明の導電性微粒子分散体は、導電性微粒子と、金属酸化物ナノ粒子と、2価のアルコールとを含有し、上記金属酸化物ナノ粒子は、酸化錫、酸化亜鉛、及び、これらが別元素でドープされたものからなる群より選択される少なくとも1種であり、上記導電性微粒子と上記金属酸化物ナノ粒子との含有比(導電性微粒子:金属酸化物ナノ粒子)が質量比で、80:20〜99:1であり、上記2価のアルコールは、シリコーンブランケット膨潤率が2%以下であることを特徴とする。導電性微粒子と金属酸化物ナノ粒子とを合わせた金属成分全体に対して、金属酸化物ナノ粒子の含有量が1%以上であることで、焼結温度条件が650℃以上の高温領域における導電性微粒子の過焼結、融解、蒸発による急激な体積収縮を充分に防止することができ、焼結後の導電塗膜と基材間の密着性を良好なものとすることができる。これは、特定の2価のアルコールが、特定の金属酸化物ナノ粒子の良好な分散溶媒となり得るためと考えられ、導電性微粒子分散体における金属酸化物ナノ粒子の分散性が良くなることで、導電性微粒子の隙間に効率よく金属酸化物ナノ粒子が配置され、導電性微粒子の焼結状態が制御され、焼結後の導電塗膜の断線等が防止され、焼結後の導電塗膜と基材間の密着性を良好なものとすることができる。また、上記金属成分全体に対する導電性微粒子の含有量が80%以上であることで、導電性微粒子含有率の高い導電性パターンを形成することができる。導電性微粒子は、化学的な安定性に優れるため、導電性微粒子をメインとすることで、酸化し難く、体積抵抗値が低下し難い導電性パターンを形成することができる。本発明の導電性微粒子分散体は、導電性微粒子と金属酸化物ナノ粒子とを上記特定の含有比(質量比)で含むため、焼結温度条件が650℃以上の高温領域であっても、高耐熱性及び高導電性を両立することができる。なお、上記導電性微粒子と上記金属酸化物ナノ粒子との含有比(導電性微粒子:金属酸化物ナノ粒子)は、質量基準で、90:10〜98:2であることが好ましい。
本発明の導電性微粒子分散体は、導電性パターンの形成に用いられることが好ましい。本発明の導電性微粒子分散体は、焼結温度条件が650℃以上の高温領域であっても、導電性微粒子の過焼結、融解、蒸発による急激な体積収縮や断線が起こらないため、線幅が50μm以下の細線及び/又は膜厚が5μm以下の薄膜の形成に好適である。また、本発明の導電性微粒子分散体は、焼結温度条件が650℃以上である導電性パターンの形成に用いられることが好ましい。
(導電性微粒子)
上記導電性微粒子としては、銀及び/又は金であることが好ましく、銀であることがより好ましい。また、上記導電性微粒子の平均粒径は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、例えば、1nm〜1μmであればよい。より好ましくは20〜700nmである。上記導電性微粒子の平均粒径が1nm以上であれば、導電性微粒子の製造コストを抑制することができ、実用的である。また、導電性微粒子の平均粒径が1μm以下であれば、グラビアオフセット印刷やスクリーンオフセット印刷等の、オフセット印刷にも好適に用いることができる。なお、本発明における導電性微粒子分散体における導電性微粒子の粒径は、一定でなくてもよい。
本発明における平均粒径は、平均一次粒子径を意味する。平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いて撮影した写真から測定することができる。具体的には、SEM((株)日立製のS−4800型)にて、乾燥させた粒子をカーボンテープに付着させ白金蒸着を行い、加速電圧5.0KVで観察測定することができる。
(金属酸化物ナノ粒子)
本発明における金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径が1〜100nmの金属酸化物をいう。上記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径を上記特定の範囲とすることにより、金属酸化物ナノ粒子の分散安定性が経時的に変化しにくくなり、導電性微粒子分散体中に、金属酸化物ナノ粒子が効果的に分散できる。なお、好ましい上記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径は、10nm以上、100nm以下である。金属酸化物ナノ粒子の粒径が微小化することで、金属酸化物ナノ粒子の比表面積が増加し、金属酸化物ナノ粒子同士の接触点が増える。よって、金属酸化物ナノ粒子の過焼結をより充分に抑えることができる。
上記金属酸化物ナノ粒子は、酸化錫、酸化亜鉛、及び、これらが別元素でドープされたものからなる群より選択される少なくとも1種である。本発明の導電性微粒子分散体は、特定の金属酸化物ナノ粒子を含むことで、焼結温度条件が650℃以上の高温領域であっても、導電性微粒子の過焼結、融解、蒸発による急激な体積収縮や断線を防ぎ、焼結後の導電塗膜と基材間の良好な密着性と、高い導電性を得ることができる。
上記金属酸化物ナノ粒子としては、酸化錫及び/又は酸化亜鉛が別元素でドープされたものであることが好ましい。導電性が高いためである。
酸化錫及び/又は酸化亜鉛が別元素でドープされたものとしては、アンチモンドープ酸化錫、リンドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化亜鉛、リンドープ酸化亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化錫酸化亜鉛ドープ酸化インジウム(ITZO)、酸化ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が挙げられ、なかでも、アンチモンドープ酸化錫であることが好ましい。
(有機成分)
上記導電性微粒子の表面の少なくとも一部には有機成分が付着していることが好ましい。上記導電性微粒子の表面は、有機成分で被覆されていることがより好ましい。被覆の形態については特に限定されないが、上記有機成分は、いわゆる分散剤として上記導電性微粒子とともに実質的に無機コロイド粒子を構成する。上記有機成分には、導電性微粒子に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入して導電性微粒子に付着した微量有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、導電性微粒子に微量付着した有機物等は含まれない概念である。なお、上記「微量」とは、具体的には、無機コロイド粒子中1質量%未満が意図される。
上記有機成分は、導電性微粒子を被覆して導電性微粒子の凝集を防止するとともに無機コロイド粒子を形成することが可能な有機物であり、分散性及び導電性等の観点から、アミン及びカルボン酸を含むことが好ましい。なお、これらの有機成分は、導電性微粒子と化学的あるいは物理的に結合している場合、アニオンやカチオンに変化していることも考えられ、これらの有機成分に由来するイオンや錯体等も上記有機成分に含まれる。
上記アミンとしては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、側鎖を有していてもよい。具体的には、N−(3−メトキシプロピル)プロパン−1,3−ジアミン、1,2−エタンジアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、ペンタノールアミン、アミノイソブタノール等のジアミン、アルコキシアミン又はアミノアルコールや、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘキシルアミン等のアルキルアミン(直鎖状アルキルアミン、側鎖を有していてもよい。);シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン;アニリン、アリルアミン等の第1級アミン;ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等の第2級アミン;トリプロピルアミン、ジメチルプロパンジアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、キノリン等の第3級アミン等が挙げられる。なかでも、アルキルアミン、又は、アルコキシアミンが好ましい。
上記アミンは、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等のアミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記アミンは、常圧での沸点が300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲であれは、上記のアミンに加えて、カルボン酸を含んでいてもよい。カルボン酸の一分子内におけるカルボキシル基が、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、カルボキシル基は、酸性的性質を示し易い。
上記カルボン酸としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物を広く用いることができ、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、ヘキサン酸、アクリル酸、オクチル酸、オレイン酸等が挙げられる。カルボン酸の一部のカルボキシル基が金属イオンと塩を形成していてもよい。なお、上記金属イオンについては、2種以上の金属イオンが含まれていてもよい。
上記カルボン酸は、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、カルボキシル基以外の官能基を含む化合物であってもよい。この場合、カルボキシル基の数が、カルボキシル基以外の官能基の数以上であることが好ましい。また、上記カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記カルボン酸は、常圧での沸点が300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましい。また、アミンとカルボン酸はアミド基を形成する。上記アミド基も導電性微粒子表面に適度に吸着するため、有機成分にはアミド基が含まれていてもよい。
本発明の導電性微粒子分散体における無機コロイド中の有機成分の含有量は、0.5〜50質量%であることが好ましい。有機成分含有量が0.5質量%以上であれば、得られる導電性微粒子分散体の貯蔵安定性が良くなる傾向があり、50質量%以下であれば、導電性パターンの導電性が良い傾向がある。有機成分のより好ましい含有量は1〜30質量%であり、更に好ましい含有量は2〜15質量%である。
上記アミンと上記カルボン酸とを併用する場合、上記アミンと上記カルボン酸との組成比(質量)は、1/99〜99/1の範囲で任意に選択することができる。好ましくは、上記アミンと上記カルボン酸との組成比が20/80〜98/2であり、更に好ましくは30/70〜97/3である。なお、上記アミン又は上記カルボン酸は、それぞれ複数種類のアミン又はカルボン酸を用いてもよい。
上記有機成分が表面に付着した導電性微粒子の製造方法としては、例えば、導電性微粒子として銀を用いる場合は、還元により分解して銀を生成しうる銀化合物と、アミンと、分散剤との混合液を調製する混合液調製工程と、上記混合液中の上記銀化合物を還元することで表面の少なくとも一部に上記アミンが付着した銀微粒子を生成する銀微粒子生成工程とを含む方法が挙げられる。
上記混合液調製工程においては、アミンを銀1molに対して2mol以上添加することが好ましい。上記アミンの添加量を銀1molに対して2mol以上とすることで、還元によって生成される銀微粒子の表面に上記アミンを適量付着させることができ、上記銀微粒子に種々の分散媒に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
なお、上記混合液調製工程における混合液の組成、及び、上記銀微粒子生成工程における還元条件(例えば、加熱温度及び加熱時間等)は、得られる銀微粒子の粒子径をナノメートルサイズとするように調整することが好ましい。銀微粒子の粒子径をナノメートルサイズとすることで、融点降下が生じ、低温で焼成できるためである。得られる銀微粒子の粒子径は、1〜3000nmとすることがより好ましい。必要に応じてミクロンサイズの粒子が含まれていてもよい。上記銀微粒子生成工程で得られる銀微粒子を含むコロイド液から銀微粒子を取り出す方法は特に限定されないが、例えば、そのコロイド液の洗浄を行う方法等が挙げられる。
銀微粒子生成工程で得られたコロイド液には、銀微粒子の他に分散剤等が存在しており、溶液全体の電解質濃度が高い傾向にある。このような状態のコロイド液では、電導度が高い等の理由で、銀微粒子の凝析が起こり、沈殿しやすい。そこで、このコロイド液を洗浄して余分な電解質を取り除くことが好ましい。
コロイド液の洗浄方法としては、例えば、調製されたコロイド液を一定期間静置して上澄み液を取り除いた後、純水を加えて撹拌し、更に一定期間静置して上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法が挙げられる。その他の洗浄方法としては、例えば、上述した静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置、イオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。中でも、脱塩する方法が好ましい。脱塩した液は、適宜濃縮されてもよい。
上記銀化合物としては、種々の公知の銀化合物を用いることができ、例えば、銀塩又は銀塩の水和物を用いることができる。具体的には、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、シュウ酸銀、ギ酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩が挙げられる。これらは還元可能なものであれば特に限定されず、適当な溶媒中に溶解させても、溶媒中に分散させたまま使用してもよい。また、これらは単独で用いても複数併用してもよい。なかでも、シュウ酸銀が好ましい。シュウ酸銀は、最も単純なジカルボン酸銀であり、シュウ酸銀を用いて合成されるシュウ酸銀アミン錯体は、低温かつ短時間で還元が進むことから、ナノメートルサイズの銀微粒子の合成に好適である。更に、シュウ酸銀を用いると、合成時には副生成物が発生せず、系外にシュウ酸イオン由来の二酸化炭素が出るのみであるため、合成後に精製の手間が少ない。
上記分散剤としては、例えば、市販されている湿潤分散剤を使用することができる。市販の湿潤分散剤としては、例えば、ソルスパース(SOLSPERSE)11200、ソルスパース13940、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(日本ルーブリゾール社製);DISPERBYK−102、110、111、170、190.194N、2015、2090、2096(ビックケミー・ジャパン社製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(共栄社化学工業社製)等が挙げられる。また、エボニック社のTEGO Dispersシリーズの610、610S、630、651、655、750W、755W等;楠本化成社のディスパロンシリーズのDA−375、DA−1200等を用いてもよい。低温焼結性及び分散安定性の観点からは、DISPERBYK−102、ソルスパース11200、ソルスパース13940、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース28000等を用いることが好ましい。
上記銀化合物を還元する方法としては、加熱する方法が好ましい。上記加熱方法は特に限定されない。上記加熱により上記銀化合物を還元する方法としては、例えば、シュウ酸銀等の銀化合物とアミン等の有機成分から生成される錯化合物を加熱して、上記錯化合物に含まれるシュウ酸イオン等の金属化合物を分解して生成する原子状の銀を凝集させる方法が挙げられる。上記方法により、アミン等の有機成分の保護膜に保護された銀微粒子を製造することができる。
このように、銀化合物の錯化合物をアミンの存在下で熱分解することで、アミンにより被覆された銀微粒子を製造する金属アミン錯体分解法においては、単一種の分子である銀アミン錯体の分解反応により原子状銀が生成するため、反応系内に均一に原子状銀を生成することが可能であり、複数の成分間の反応により銀原子を生成する場合に比較して、反応を構成する成分の組成揺らぎに起因する反応の不均一が抑制され、特に工業的規模で多量の銀粉末を製造する際に有利である。
また、金属アミン錯体分解法においては、生成する銀原子にアミン分子が配位結合しており、上記銀原子に配位したアミン分子の働きにより凝集を生じる際の銀原子の運動がコントロールされるものと推察される。この結果として、金属アミン錯体分解法によれば非常に微細で、粒度分布が狭い金属粒子を製造することが可能となる。
更に、製造される銀微粒子の表面にも多数のアミン分子が比較的弱い力の配位結合を生じており、これらが銀微粒子の表面に緻密な保護被膜を形成するため、保存安定性に優れる表面の清浄な有機被覆銀微粒子を製造することが可能となる。また、上記被膜を形成するアミン分子は加熱等により容易に脱離可能であるため、非常に低温で焼結可能な銀微粒子を製造することが可能となる。
(分散媒)
本発明の導電性微粒子分散体に含有される分散媒は、導電性微粒子及び金属酸化物ナノ粒子を分散させるものであり、2価のアルコールである。このような2価のアルコールを分散媒として用いることで、導電性微粒子の凝集を抑制し、金属酸化物ナノ粒子の分散性を良好な状態にすることができ、さらに、導電性微粒子分散体に適当な塗布性(流動性)を付与することができ、例えば、線幅が50μm以下のような細線印刷時の乾燥を抑制することができる。また、このような2価のアルコールは一般的に沸点が高く乾燥し難いことから、インクジェット印刷で吐出可能な粘度に調整しやすく、また、オフセット印刷で導電性微粒子分散体の塗布性を高めることができる。
上記2価のアルコールは、シリコーンブランケット膨潤率が2%以下であることが好ましい。このような2価のアルコールとしては、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1.3ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられ、なかでも2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。なお、これらの2価のアルコールは単独で用いてもよく、2種以上を混合したものを用いてもよい。
上記2価のアルコールは、常圧での沸点が170℃以上であることが好ましい。分散媒の常圧での沸点が170℃以上であることで、導電性微粒子分散体が塗布後に過度に乾燥することを抑制できる。
本発明の導電性微粒子分散体全体に対する2価のアルコールの含有量は、導電性微粒子分散体の塗布方法(印刷方法)や用途に応じて適宜調整することができる。
インクジェットインクのように低粘度に調整する場合、導電性微粒子分散体(導電性インク)は、上記2価のアルコールを40〜80質量%程度含有することが好ましい。また、グラビアオフセット印刷やスクリーンオフセット印刷等のオフセット印刷用の導電性ペーストのように高粘度に調整する場合、導電性微粒子分散体(導電性ペースト)は、上記2価のアルコールを10〜30質量%程度含有することが好ましい。
本発明の導電性微粒子分散体が、オフセット印刷用導電性微粒子分散体である場合、オフセット印刷用導電性微粒子分散体は水を含まないことが好ましい。分散媒として水を用いた場合には、導電性微粒子が凝集し、グラビア版の凹部に詰まるおそれがある。また、水は、表面張力が高くブランケットに対する濡れ性が悪い、沸点が低く乾燥しやすい等の理由から、転写工程を有するオフセット印刷用に用いる導電性微粒子分散体の分散媒としては不向きである。
一般的にオフセット印刷に用いる印刷版の最表面はシリコーンゴム製であり、本発明における「シリコーンブランケット膨潤率」とは、シリコーンゴムを有機溶媒に浸漬させた際の膨潤率を意味する。ここで、「シリコーンブランケット膨潤率」は、有機溶媒中にブランケット(シリコーンゴム)を浸漬させた際の、上記浸漬前後におけるブランケット(シリコーンゴム)の質量変化率と同意である。具体的には、ブランケット(シリコーンゴム)を1cm角に切り出して試験片とし、上記試験片を有機溶媒に室温条件下(25℃±5℃)で浸漬させ、10時間後に取り出して浸漬前後における質量増加率を求めることで、「ブランケット膨潤率」を評価することができる。オフセット印刷用導電性微粒子(導電性ペースト)印刷用に標準的に用いられているシリコーンブランケットであれば、特定の有機溶媒に対して測定される膨潤率に大きな差は無いことが実験的に証明されている。
(樹脂成分)
本発明の導電性微粒子分散体が、オフセット印刷用導電性微粒子分散体である場合、上記オフセット印刷用導電性分散体は、樹脂成分を含有することが好ましい。樹脂成分を含有することで、ブランケット及び被着体界面への吸着作用が高まるため、オフセット印刷法を用いて、例えば、線幅が3μm以下の導電性パターンであっても断線することなく形成することができる。樹脂成分としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールを挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂成分の含有量は、上記導電性微粒子分散体全体に対して、2〜8質量%であることが好ましい。上記樹脂成分の含有量が2質量%未満では、被着体への粘着性が低下することがある。一方、上記樹脂成分の含有量が8質量%を超えると、本発明の一形態のオフセット印刷用導電性微粒子分散体により形成される導電性パターンの体積抵抗値が上昇することがある。上記樹脂成分の含有量のより好ましい上限は7質量%である。
本発明の導電性微粒子分散体は、界面活性剤を含んでもよい。多成分溶媒系の無機コロイド分散液においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本発明の導電性微粒子分散体に界面活性剤を添加することによって、これらの不利益を抑制し、均一な導電性パターンを形成することができる。
上記界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等を用いることができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。少量の添加量で効果が得られる観点からは、フッ素系界面活性剤がより好ましい。
本発明の導電性微粒子分散体の製造方法は特に限定されず、例えば、次の方法が挙げられる。まず、有機成分が表面に付着した導電性微粒子を固形分として含有するコロイド液を調製する。次に、得られたコロイド液と、金属酸化物ナノ粒子と、分散媒である2価のアルコールと、必要に応じて上述した任意の成分とを混合することにより、本発明の導電性微粒子分散体が得られる。
導電性パターンの形成方法も本発明の一つであり、基材の少なくとも一部に、本発明の導電性微粒子分散体を塗布する第一工程と、上記導電性微粒子分散体に含まれる導電性微粒子を外部加熱によって焼結させ、導電性パターンを形成する第二工程と、を含み、上記第二工程における焼結温度が、650℃以上であることを特徴とする。
本発明の導電性微粒子分散体は、焼結温度条件が650℃以上の高温領域においても、導電性微粒子の過焼結、融解、蒸発による急激な体積収縮を充分に防止することができ、優れた導電性を示す導電性パターンを形成することができる。これは、本発明の導電性微粒子分散体は、特定の金属酸化物ナノ粒子と特定の2価のアルコールとを含有するため、導電性微粒子分散体における金属酸化物ナノ粒子の分散性を良好な状態にすることができ、導電性微粒子の隙間に効率よく金属酸化物ナノ粒子が配置され、導電性微粒子の焼結状態が制御されるためと考えられる。よって、焼結後の導電性パターン(導電塗膜)の断線等が防止され、焼結後の導電性パターン(導電塗膜)と基材間の密着性を良好なものとすることができる。
本発明の導電性微粒子分散体は、プリンテッドエレクトロニクス分野において、導電性インク、又は、導電性ペーストとして好適に用いることができる。上記導電性パターン(又は、導電塗膜)は、電子回路基板(例えば、半導体集積回路)、プリント配線基板、薄膜トランジスタ基板の配線、電極等として用いることができる。
本発明の導電性微粒子分散体が適用される上記基材の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で種々の基材を用いることができるが、焼結温度条件が650℃以上の高温領域においても用いることができる耐熱性を有する基材であることが好ましい。このような基材としては、例えば、アルミナセラミック等が挙げられる。基材の表面には、導電膜との密着性を高める目的で、表面層(プライマー層)が設けられていてもよく、親水化処理等の表面処理が施されていてもよい。表面処理の方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理が挙げられる。また、上記基材として、アルミナセラミック基板の他に、具体的には、酸化物基板、PZT基板、アルミナ基板、ジルコニア基板、セラミック基板、セラミックグリーンシート等を用いることができる。
上記塗布とは、導電性微粒子分散体を面状に塗布する場合も線状に塗布(描画)する場合も含む概念である。導電性微粒子分散体を塗布することにより形成される塗膜(導電膜)の形状は、面状であってもよく、線状であってもよく、これらを組み合わせた形状であってもよい。また、塗膜(導電膜)は、連続するパターンであってもよく、不連続なパターンであってもよく、これらを組み合わせたパターンであってもよい。
本発明の導電性微粒子分散体の塗布方法としては特に限定されず、例えば、グラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、スクリーンオフセット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、反転印刷法、マイクロコンタクト印刷法、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、スピンコート法、ディスペンサー法、流延法、フレキソ法、グラビア法、シリンジ法、刷毛による塗布法等が挙げられる。中でも、本発明の導電性微粒子分散体は、オフセット印刷用の導電性微粒子分散体(導電性ペースト)、インクジェット印刷用の導電性微粒子分散体(導電性インク)であることが好ましく、グラビアオフセット印刷用の導電性微粒子分散体(導電性ペースト)であることがより好ましい。
上記第二工程において、第一工程で形成された塗膜に含まれる導電性微粒子同士の結合が高まり、焼結される。本発明の導電性パターンの形成方法では、本発明の導電性微粒子分散体を用いるため、塗膜中に金属酸化物が分散されており、焼結温度が650℃以上の高温領域であっても、金属酸化物が導電性微粒子の過焼結、融解、蒸発による急激な体積収縮を防止する。上記焼結温度は、1000℃以下であることが好ましい。また、上記焼結温度は、700℃以上が好ましい。また、850℃以上とすることもできる。塗膜の焼成時間は、特に限定されず、焼結温度に応じて適宜設定すればよい。
上記塗膜の焼成方法としては、特に限定されず、例えば、従来公知のギヤオーブン等を用いる方法が挙げられる。
上記導電性パターンの膜厚は、例えば、0.1〜5μmであり、好ましくは0.2〜3μmである。上記導電性パターンの線幅は、例えば、50μm以下であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下である。上記導電性パターンの体積抵抗値は、好ましくは20μΩ・cm以下、より好ましくは10μΩ・cm以下、更に好ましくは5μΩ・cm以下である。
なお、導電性パターンの膜厚tは、レーザー顕微鏡(例えば、キーエンス社製のレーザー顕微鏡VK−9510)で測定可能である。また、導電性パターンの膜厚tは、下記式を用いて求めることができる。
式:t=m/(d×M×w)
m:導電性パターン質量(スライドガラス上に形成した導電性パターンの重さを電子天秤で測定)
d:導電性パターン密度(g/cm)(銀の場合は10.5g/cm
M:導電性パターン長(cm)(スライドガラス上に形成した導電性パターンの長さをJIS1級相当のスケールで測定)
w:導電性パターン幅(cm)(スライドガラス上に形成した導電性パターンの幅をJIS1級相当のスケールで測定)
本発明の導電性パターンの形成方法により得られる導電性パターンの体積抵抗値は、例えば、以下の方法により測定することができる。まず、本発明の導電性微粒子を2.5cm角のグレーズ加工されたアルミナセラミックにwet膜厚30μm狙いでアプリケーターで塗膜を形成し、マッフル炉中で8℃/minの昇温速度で900℃まで昇温し、その後室温まで冷却する条件で加熱・焼成することにより焼結させ、導電性被膜を形成する。この被膜の表面抵抗(R)を三菱化学アナテリック社製ロレスタGP MCP−T610を用いて測定し、これに膜厚(t)を乗ずることで体積抵抗値を算出する。膜厚(t)は、例えば、キーエンス社製の形状測定レーザマイクロスコープ「VK−X100」を用いて測定することができる。上記体積抵抗値算出に用いる式は下記のとおりである。
式:(体積抵抗値ρv)=(表面抵抗値R)×(被膜厚さt)
また、本発明の導電性微粒子分散体が、オフセット印刷用導電性微粒子分散体である場合、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、湿潤分散剤、オリゴマー成分、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
なお、上記湿潤分散剤としては、上述した市販されている湿潤分散剤と同様のものを使用することができる。
上記湿潤分散剤の含有量は、上記導電性微粒子分散体全体に対して、0.1〜15質量%であることが好ましい。導電性微粒子分散体全体に対する上記湿潤分散剤の含有量が0.1質量%以上であれば、得られる導電性微粒子分散体の分散安定性が良くなるが、含有量が多過ぎる場合は分散安定性が低下することとなる。このような観点から、湿潤分散剤のより好ましい含有量は0.3〜3質量%であり、更に好ましい含有量は0.5〜2質量%である。
上記増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物;ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記オフセット印刷用導電性微粒子分散体の粘度は、500cP〜50000cPであることが好ましい。オフセット印刷用導電性微粒子分散体の粘度が上記範囲であると、グラビア版の凹部に充填しやすく、また、被着体への転写後に導電性ペーストがにじみにくいため、細線印刷が可能である。上記粘度は、コーンプレート型粘度計(例えばアントンパール社製のレオメーターMCR301)により測定可能である。測定は温度25℃で行い、コーン回転数50rpmにおける粘度を採用できる。上記粘度は、せん断粘度で表すこともでき、シェアレート1s−1でのペースト粘度が50Pa・s以下、かつシェアレート100s−1でのペースト粘度が0.5Pa・s以上であることが印刷性の点では好ましい。
なお、導電性パターンの印刷には、一般的にスクリーン印刷も用いられるが、スクリーン印刷は孔版印刷であるため、粘度が低ければペーストが流れてしまいパターン通りの印刷が困難となるため、オフセット印刷用よりも高粘度の導電性ペーストが用いられる。一般的にスクリーン印刷に用いられる導電性ペーストは、50000〜100000cP程度の粘度範囲のものが多い。仮に、スクリーン印刷用の導電性ペーストをオフセット印刷のグラビア版に充填すると、粘度が高すぎてブランケットへの転写が困難であるとともに、グラビア版の凹部に詰まりが発生する。
[オフセット印刷用導電性微粒子分散体の製造方法]
本発明の一形態のオフセット印刷用導電性微粒子分散体を製造する方法は、特に限定されないが、まず、導電性微粒子を含むコロイドを調製し、上記導電性微粒子分散体と、金属酸化物ナノ粒子と、2価のアルコールと樹脂成分と、必要に応じて上記各種成分とを混合することにより、本発明の一形態のオフセット印刷用導電性微粒子分散体を得ることができる。上記導電性微粒子分散体の調製方法は、上述した通りである。
上述した方法により得られた上記導電性微粒子分散体と、金属酸化物ナノ粒子と、2価のアルコールと樹脂成分とを混合する方法は特に限定されず、攪拌機やスターラー等を用いて従来公知の方法によって行うことができる。スパチュラのようなもので撹拌したりして、適当な出力の超音波ホモジナイザーを当ててもよい。
[導電性パターンの形成方法]
上記オフセット印刷用導電性微粒子分散体を用いることで、グラビア版を用いたオフセット印刷法によって精細な導電性パターンを形成することができる。上記グラビア版は、印刷面にオフセット印刷用導電性微粒子分散体が充填される凹部を有し、上記凹部は、線幅が50μm以下、膜厚が5μm以下である細線パターンの印刷に対応している。このような導電性パターンの形成方法も本願発明の一態様である。
上記オフセット印刷は、グラビアオフセット印刷であることが好ましい。
以下に図1を用いて、グラビアオフセット印刷法を用いて基材60にオフセット印刷用導電性微粒子分散体(以下、導電性ペーストという。)を塗布する方法について説明する。図1は、グラビアオフセット印刷法の一例を模式的に示した概念図である。図1に示したように、グラビアオフセット印刷用印刷装置100は、グラビア版40と、ブランケット50とを備える。グラビアオフセット印刷用印刷装置100は、更に、導電性ペースト10を上記グラビア版40に塗布するためのピックアップロール20と、余剰な導電性ペースト10を取り除くブレード30を備えることが好ましい。
上記グラビア版40は、印刷面に上記導電性ペースト10が充填される凹部41を有する。上記凹部41の幅Wは、50μm以下である。上記凹部41の幅Wを50μm以下とすることで、線幅が50μm以下の導電性パターンを形成することができる。上記凹部41の幅Wは、30μm以下であることが好ましい。本発明のオフセット印刷用導電性微粒子分散体(導電性ペースト)を用いることで、上記凹部41の幅Wが50μm以下のグラビア版を用いても、断線することなく、線幅が50μm以下の微細導電性パターンを形成することができる。上記グラビア版40は、板状であっても、筒状であってもよい。
上記ブランケット50は、シリコーンゴム層を有しているものが好ましい。上記ブランケット50としては、例えば、金陽社のシルブランシリーズ、藤倉ゴム工業社の#700−STD等を用いることができる。上記ブランケット50は、板状であっても、筒状であってもよい。
上記基材60としては、導電性ペースト10を塗布して加熱により焼成して導電性パターンを搭載することのできる、少なくとも1つの主面を有するものであれば、特に制限はないが、耐熱性に優れた基材であるのが好ましい。
上記基材60を構成する材料としては、上述したように、酸化物基板、PZT基板、アルミナ基板、ジルコニア基板、アルミナセラミック基板、セラミック基板、セラミックグリーンシート等を用いることができる。また、上記基材60は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。上記基材60の厚さは、適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的のために、表面層が形成された基材や親水化処理等の表面処理を施した基材を用いてもよい。
上記導電性パターンの形成方法は、上記導電性ペースト10を基材60に塗布する塗布工程と、基材60に塗布した導電性ペースト10を焼成して導電性パターンを形成する焼成工程とを有することが好ましい。
以下に、図1を用いて上記塗布工程の一例を説明する。図1中、ピックアップロール20、グラビア版40及びブランケット50に示した矢印は、それぞれの回転方向を示す。また、基材60の下方の矢印は、基材60の移動方向を示す。まず、ピックアップロール20により導電性ペースト10をグラビア版40に塗布し、ブレード30により余剰な導電性ペースト10を取り除くことにより、上記グラビア版40の印刷面に設けられた凹部41に導電性ペースト10が充填される(図1の(a))。次に、上記凹部41に充填された導電性ペースト10が、ブランケット50に転写される(図1の(b))。その後、上記ブランケット50に転写された半固体/半液体状態(ウェット状態又は半乾燥状態)の導電性ペースト10が基材(被着体)60に転写される(図1の(c))。以上の工程により、基材60上に、グラビア版40の表面に形成された印刷パターンに対して反転したパターンが印刷される。
導電性ペースト10を用いて細線を印刷する場合、上記グラビア版40からブランケット50への転写時、及び、上記ブランケット50から基材60への転写時に、転写不良が起こりやすいが、本発明のオフセット印刷用導電性微粒子分散体(導電性ペースト)は、樹脂成分を含有するため、ブランケット50上に転写された導電性ペースト10が広がり難く、また、基材60への充分な密着性及び転写性を有するため、例えば、線幅が10μm以下、特に線幅が3μm以下の導電性パターンであっても断線することなく形成することができる。
ブランケット50の表面に導電性ペースト10を転写した後、短時間の放置により、低沸点溶剤が揮発及びブランケット50中に吸収されることにより導電性ペースト10の粘度が上昇することがある。これに対し、導電性ペースト10を構成する分散媒として、ブランケット膨潤率が2.0%以下の2価のアルコールを含有する場合は、ブランケット50への有機溶媒の吸収が低減されるため、ブランケット50表面での導電性ペースト10の乾燥を大幅に抑制することができる。そのため、例えば、線幅が50μm以下の細線導電性パターンをより好適に形成することができる。
上記焼成工程における導電性ペーストの焼成温度は、650℃以上であることが好ましく、700℃以上であることがより好ましく、850℃以上とすることもできる。また、焼成温度は、1000℃以下であることが好ましい。本発明の導電性微粒子分散体を用いることで、650℃以上の温度で焼成しても、導電性微粒子の体積収縮を抑制する事が可能となり印刷時の線幅を維持する事ができる。
本発明の導電性パターンの形成方法を用いて、基材上に導電性パターンを描画する導電性基板の製造方法もまた、本発明の一態様である。上記基材としては、本発明の導電性パターンの形成方法で説明した基材と同様のものを用いることができる。本発明の導電性基板の製造方法は、本発明のオフセット印刷用導電性微粒子分散体(導電性ペースト)を用いた導電性パターンの形成方法を用いるため、例えば、線幅が50μm以下、特に線幅が30μm以下の細線導電性パターンの形成することができる。そのため、精密な電子回路を備えた導電性基板を製造することができる。上記導電性基板としては、例えば、電子回路基板等が挙げられる。上記導電性パターンは、例えば、電子回路基板上に形成される配線等である。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<合成例1>
(銀微粒子の調製)
3−メトキシプロピルアミン4.0gと、ドデシルアミン0.5gと2−(2−アミノエトキシ)エタノール5.5gとを混合し、マグネティックスターラーにてよく撹拌してアミン混合液を生成した。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0gを添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で攪拌を続けることでシュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、上記変化が外見的に終了したと認められる時点で撹拌を終了した(混合液調製工程)。
得られた混合液をオイルバスに移し、100℃で加熱撹拌を行った。撹拌の開始直後に二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素の発生が完了するまで撹拌を行うことで、銀微粒子がアミン混合物中に懸濁した懸濁液を得た(銀微粒子生成工程)。
上記懸濁液の分散媒を置換するため、メタノール10mLを加えて撹拌後、遠心分離により銀微粒子を沈殿させて分離した。次に、分離した銀微粒子に対してメタノール10mLを加え、撹拌及び遠心分離を行うことで銀微粒子を沈殿させて精製分離し、分離したものを回収し、銀スラリーを得た。
得られたスラリーに含まれる銀微粒子の平均一次粒子径を測定した。平均一次粒子径は、SEM((株)日立製のS−4800型)にて乾燥させた粒子をカーボンテープに付着させ白金蒸着を行い、加速電圧5.0KVで観察測定することができる。このようにして撮影した粒子画像を使用して算出した。異なる撮影点のSEM像5点以上から、合計200個以上の粒子を画像処理ソフト(MITANI CORPORATION、Win ROOF)を使用して一次粒径を測定し、算術平均で平均一次粒径を算出した。
(実施例1)
合成例1で得た銀微粒子76質量部に対して、金属酸化物として4質量部のアンチモンドープ酸化錫(石原産業(株)製 製品名SN−100P)を加え、有機溶媒として2エチル−1,3−ヘキサンジオール異性体混合物17質量部に樹脂材のポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学工業(株) 製品名KS−10)3質量部を溶解した混合溶液計20質量部を加えた後、撹拌棒で混合し、自転・公転ミキサーでミキシング、デフォーミングし導電性微粒子分散体1を得た。
(実施例2)
金属酸化物をアンチモンドープ酸化錫(石原産業(株)製品名SN−100P)4質量部から酸化亜鉛(堺化学工業(株)製 製品名NANOFINE 50A)4質量部に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体2を得た。
(実施例3)
銀微粒子76質量部を金微粒子(大研化学工業(株) 製品名G−200)76質量部に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体3を得た。
(実施例4)
有機溶媒として2−エチル−1,3−ヘキサンジオール異性体混合物17質量部を、3−メチル−1,5−ペンタンジオール7質量部とターピネオール異性体混合物10質量部の混合溶媒に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体4を得た。
(比較例1)
金属酸化物をアンチモンドープ酸化錫(石原産業(株)製 製品名SN−100P)から酸化タングステン(VI)(シグマアルドリッチ製)4質量部に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体5を得た。
(比較例2)
金属酸化物をアンチモンドープ酸化錫(石原産業(株)製 製品名SN−100P)4質量部から白金族のパラジウム((株)徳力本店製 製品名TPD−1)4質量部に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体6を得た。
(比較例3)
金属酸化物をアンチモンドープ酸化錫(石原産業(株)製 製品名SN−100P)4質量部から白金族ルテニウム((株)徳力本店製 製品名TRU−300)4質量部に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体7を得た。
(比較例4)
有機溶媒として2−エチル−1,3−ヘキサンジオール異性体混合物17質量部を、ターピネオール異性体混合物15質量部に変え、溶解させる樹脂剤のポリビニルアセトアセタール樹脂(積水工業(株)製) 製品名エスレックKS−10)を3質量部から5質量部に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体8を得た。
(比較例5)
有機溶媒として2−エチル−1,3−ヘキサンジオール異性体混合物17質量部を、グリセリン5質量部とターピネオール異性体混合物12質量部の混合溶媒に変えた以外は実施例1と同様にして導電性微粒子分散体9を得た。
(比較例6)
金微粒子を76質量部から80質量部に変え、金属酸化物としてアンチモンドープ酸化錫(石原産業(株)製 製品名SN−100P)4質量部を加えなかった以外は実施例3と同様にして導電性微粒子分散体10を得た。
実施例及び比較例で用いた金属酸化物について下記表1に示す。
[評価試験]
上記実施例及び比較例で得られた導電性ペーストについて、(1)グラビアオフセット印刷での印刷適性、(2)分散性を評価した。更に、得られた導電性微粒子分散体で形成された導電性パターンについて、(3)密着性(4)線幅の収縮性、(5)体積抵抗値を測定した。各評価試験の結果を、下記表2に示した。
(1)印刷適性
手刷りによる簡易グラビアオフセット印刷法を用いて、以下の方法により印刷適性の評価を行った。グラビア版としては、パターン1として溝の線幅30μm、溝の深さ5μmの溝(凹部)と、パターン2として溝の線幅50μm、溝の深さ5μmの溝(凹部)が設けられた平板バラードメッキ凹版に各導電性微粒子分散体をドクターブレードによりインキングした後に、シリコーンブランケットを巻き付けたゴムローラーに押圧、接触させ、所望のパターンをブランケット上に転移させた。その後、該ブランケット上の塗膜を、枚葉のグレーズ加工されたアルミナセラミックに押圧、転写して印刷し、線幅約30μmと50μmとの印刷パターンを作成した。こうして、印刷された線幅約30μmと50μmとの印刷パターンが得られた。線の直線性に特に優れ、断線箇所なしのものを「◎」、線の直線性に優れ、断線箇所なしのものを「○」、線の直線性に劣り、断線箇所なしのものを「△」、線の直線性に劣り、断線箇所があるものを「×」として評価した。
(2)分散性
導電性ペーストを分散溶媒で2倍希釈して容器中に静置し、室温で1日放置し、その後、沈殿の有無及び上澄みの状態を目視で観察することにより、導電性微粒子分散体の分散性を評価した。容器下に沈降物がほとんど認められない場合を「○」、沈降物が少量認められた場合を「△」、容器上下で明らかに濃度差があり、沈降物がはっきり認められる場合を「×」と評価した。
(3)密着性試験
グラビアオフセット印刷により、実施例及び比較例で得られた導電性微粒子分散体を用いて、2.5cm角のグレーズ加工されたアルミナセラミックと石英ガラスにwet膜厚30μm狙いでアプリケーターで塗膜を形成し、マッフル炉中で8℃/minの昇温速度で900℃まで昇温し、その後室温まで冷却する条件で加熱・焼成することにより焼結させ、導電性被膜を形成した。密着性試験として碁盤目試験によるテープ剥離を行った。ASTM D3359−09に則り評価した。試験面にカッターナイフを用いて、素地に達する縦6本、横6本の切り傷をつけ、切り傷の間隔は1mmで25個の碁盤目を作った。ニチバン製テープCT−24を用い碁盤目部分にテープを強く圧着させ、テープの端を持ち一気に引き剥がし、碁盤目の剥離状態を評価した。判定基準は以下とした。全ての基材において5B以上の評価のものは「◎」、4B以上の評価のものは「〇」、3B以上のものは「△」、どれか1種類の基材でも2B評価以下があるものを「×」とする。
<判定基準>
5B:剥離無し
4B:剥離した部分が明確に5%を上回らない
3B:剥離した部分が5%以上15%未満である
2B:剥離した部分が15%以上35%未満である
1B:剥離した部分が35%以上65%未満である
0B:剥離した部分が65%以上である
(4)線幅の収縮性
手刷りによる簡易グラビアオフセット印刷により評価した。溝の線幅30μm、溝の深さ5μmの溝(凹部)が設けられた平板バラードめっき凹版に各導電性微粒子分散体をドクターブレードによりインキングした後に、シリコーンブランケットを巻きつけたゴムローラーに押圧、接触させ、所望のパターンをブランケット上に転移させた。その後、該ブランケット上の塗膜を、枚葉のグレーズ加工されたアルミナセラミックに押圧、転写して印刷し、線幅約30μmの印刷パターンを作成した。こうして、印刷された線幅約30μmの印刷パターンが得られた。得られた印刷物を8℃/minの昇温速度で900℃まで昇温しその後室温に戻した時点での線幅をレーザー顕微鏡にて測定し、印刷時の幅からの収縮率を測定した。線の収縮が5%以内のものを「○」、線の収縮が20%以内のものを「△」、線の収縮が21%以上のものを「×」として評価した。
(5)体積抵抗値
グラビアオフセット印刷により、実施例及び比較例で得られた導電性微粒子分散体を用いて、2.5cm角のグレーズ加工されたアルミナセラミックにwet膜厚30μm狙いでアプリケーターで塗膜を形成し、マッフル炉中で8℃/minの昇温速度で900℃まで昇温し、その後室温まで冷却する条件で加熱・焼成することにより焼結させ、導電性被膜(パターン)を形成した。この被膜(パターン)の表面抵抗(R)を三菱化学アナテリック社製ロレスタGP MCP−T610を用いて測定し、これに膜厚(t)を乗ずることで体積抵抗値を算出した。体積抵抗値が5μΩ・cm以下の場合を「◎」、10μΩ・cm以下の場合を「〇」、20μΩ・cm以下の場合を「△」、20μΩ・cmを超える値の場合は「×」と評価した。結果を表2に示した。
式:(体積抵抗値ρv)=(表面抵抗値R)×(パターン厚さt)
(導電性パターンの凝集及び焼結状態)
実施例1で得られた導電性微粒子分散体を用いて、2.5cm角のグレーズ加工されたアルミナセラミックにwet膜厚30μm狙いでアプリケーターで塗膜を形成し、マッフル炉中で8℃/minの昇温速度で900℃まで昇温し、その後室温まで冷却する条件で加熱・焼成することにより焼結させ、導電性被膜(パターン)を形成した。この被膜(パターン)上部の表面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−4800」)によって観察した。同様にして、比較例1、実施例2及び比較例4で得られた導電性微粒子分散体を用いた導電性パターンについてもSEM観察を行った。各実施例及び比較例のSEM画像を図2及び図3に示す。
図2は、実施例1及び比較例1に係る導電性微粒子分散体を用いて得られた導電性パターン上部の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像である。また、図3は、実施例2及び比較例4に係る導電性微粒子分散体を用いて得られた導電性パターン上部の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像である。
上記表2から分かるように、導電性微粒子と、金属酸化物ナノ粒子と、2価のアルコールとを含有し、金属酸化物ナノ粒子はアンチモンドープ酸化錫又は酸化亜鉛であり、導電性微粒子と金属酸化物ナノ粒子との含有比(導電性微粒子:金属酸化物ナノ粒子)が質量基準で、80:20〜99:1であった実施例1〜4に係る導電性微粒子分散体は、印刷適性、分散性、900℃の高温焼結における密着性、900℃の恒温焼結における線幅の収縮性、及び体積抵抗値のすべてにおいて良好な結果が得られた。
また、図2から分るように、実施例1に係る導電性微粒子分散体は、900℃の高温焼結を経て形成された導電性パターンにおいて、導電性微粒子同士の高温収縮が見られず、分散した状態で焼結されていることが確認できた。一方、比較例1に係る導電性微粒子分散体は、900℃の高温焼結を経ると、導電性微粒子同士の高温収縮が観察された。
また、図3から分るように、実施例2に係る導電性微粒子分散体は、900℃の高温焼結を経て形成された導電性パターンにおいて、導電性微粒子同士の高温収縮が見られず、分散した状態で焼結されていることが確認できた。一方、比較例4に係る導電性微粒子分散体は、900℃の高温焼結を経ると、導電性微粒子同士の高温収縮が観察された。
10 導電性ペースト
20 ピックアップロール
30 ブレード
40 グラビア版
41 凹部
50 ブランケット
60 基材(被着体)
100 グラビアオフセット印刷用印刷装置

Claims (9)

  1. 導電性微粒子と、金属酸化物ナノ粒子と、2価のアルコールとを含有し、
    前記金属酸化物ナノ粒子は、酸化錫、酸化亜鉛、及び、これらが別元素でドープされたものからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
    前記導電性微粒子と前記金属酸化物ナノ粒子との含有比(導電性微粒子:金属酸化物ナノ粒子)が質量比で、80:20〜99:1であることを特徴とする導電性微粒子分散体。
  2. 前記2価のアルコールは、シリコーンブランケット膨潤率が2%以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性微粒子分散体。
  3. 前記導電性微粒子は、銀及び/又は金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性微粒子分散体。
  4. 前記導電性微粒子の平均粒径が、1nm〜1μmであり、前記金属酸化物ナノ粒子の平均粒径が、1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性微粒子分散体。
  5. 導電性微粒子分散体は、オフセット印刷用導電性微粒子分散体であり、さらに樹脂成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子分散体。
  6. 基材の少なくとも一部に、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性微粒子分散体を塗布する第一工程と、
    前記導電性微粒子分散体に含まれる導電性微粒子を外部加熱によって焼結させ、導電性パターンを形成する第二工程と、を含み、
    前記第二工程における焼結温度が、650℃以上であることを特徴とする導電性パターンの形成方法。
  7. 前記第一工程において、請求項5に記載の導電性微粒子分散体を、グラビア版を用いたグラビアオフセット印刷法により塗布することを特徴とする請求項6に記載の導電性パターンの形成方法。
  8. 前記グラビア版は、印刷面に請求項5に記載のオフセット印刷用導電性微粒子分散体が充填される凹部を有し、
    前記凹部は、線幅が50μm以下、膜厚が5μm以下である細線パターンの印刷に対応していることを特徴とする請求項6に記載の導電性パターンの形成方法。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の導電性パターンの形成方法を用いて、基材上に導電性パターンを描画することを特徴とする導電性基板の製造方法。

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