JPWO2017017911A1 - 電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
焼成温度が低くても、導電性を阻害しない程度の有機物残渣が少なく、耐熱性の低い基板等に適用でき、更に、TFT等の電極にも好適に利用できる電極の製造方法を提供する。本発明は、金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、前記焼成前被膜を焼成して導電性被膜を形成する第二工程と、前記導電性被膜の少なくとも一部に酸性溶液を接触させて洗浄する第三工程と、を含むことを特徴とする電極の製造方法である。
Description
本発明は電極の製造方法に関し、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)基板に対する電極として用いられる電極の製造方法に関する。
従来から、基板の全面にスパッタや蒸着等で金属薄膜を形成させた後、フォトリソグラフィー法によって不要な部分をエッチングして必要な導電膜パターン(導電性被膜)を形成させる方法が知られている。しかしながら、当該方法は工程が煩雑であることに加え、高価な真空装置を用いる必要がある。
このため、より簡便かつ安価な導電膜被膜の形成方法が求められており、近年、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法を用いた方法が提案されている。更に、より高精細なパターンが形成できる印刷手法として、反転印刷法やマイクロコンタクト印刷法等を用いた方法が提案されており、これらの印刷法に適した導電性インク、絶縁性インク、及び抵抗インク等の各種インクが開発されている。
例えば、特許文献1(WO2008/111484号公報)では、凸版反転印刷法により導電性パターンを形成するための実質的にバインダー成分を含まない導電性インキであって、体積平均粒径(Mv)が10〜700nmの導電性粒子、離型剤、表面エネルギー調整剤、溶剤成分を必須成分とし、前記溶剤成分が25℃での表面エネルギーが27mN/m以上の溶剤と、大気圧下での沸点が120℃以下の揮発性の溶剤との混合物であり、25℃におけるインキの表面エネルギーが10〜21mN/mであることを特徴とする 導電性インキ、が提案されている。
上記特許文献1に記載の導電性インキにおいては、インキ組成の最適化によって転写残りが抑制されるので、完全転写を実現し、高精細な微細パターンの形成を容易化することができ、また、低沸点溶剤の揮発により、インキの付着性が短時間で得られる一方、高表面エネルギー溶剤の残留により、インキの凝集性が持続し、パターンが維持される、としている。
また、例えば特許文献2(WO2010/113931号公報)においては、マイクロコンタクトプリント法や反転印刷法等、撥液性の転写用基版を用いてパターンを転写することにより有機トランジスタを形成する方法に最適なインキ、すなわち、撥液性の転写用基版表面に均一なインキ塗膜形成ができ、インキ乾燥膜又は半乾燥膜が転写基版より、被転写基材上に容易に転写することが出来る有機半導体インキ組成物、が提案されている。
上記特許文献2に記載の有機半導体インキ組成物においては、形状が自在で部位選択的な精密・微細な有機半導体パターンを形成できると共に、優れた電気特性を有する有機トランジスタを製造でき、例えば、有機TFTを製造する際、回路の必要所用領域にのみ、有機半導体パターンを形成することができる、としている。
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法を用いると、導電性被膜を形成させるための焼成温度が175℃以上となり、PET等の耐熱性の低い基板には適用することが困難である。
これに対し、本発明者は、耐熱性の低い基板にも適用可能な、焼成温度を低くしても十分な導電性を得ることができる、導電性インクを発明しているが(特願2014−238100及び特願2014−238101)、TFT等の電極に使用する場合、導電性を阻害しない程度の有機物残渣が半導体へのキャリア注入を効率的に行えない場合がある等の点で、未だ改善の余地があった。
即ち、焼成温度を高くすれば有機物残渣を減らすことができるが、焼成温度が低いと有機物残渣を完全に除去できず少なからず有機物が残り、導電性を利用する場合には問題は無いが、電極として利用する場合には問題があるという点で改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、焼成温度が低くても、導電性を阻害しない程度の有機物残渣が少なく、耐熱性の低い基板等に適用でき、更に、TFT等の電極にも好適に利用できる電極の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、低い焼成温度で形成した電極表面を特定の溶液に接触させれば、有機物残渣の極めて少ない電極を得ることができ、上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、
前記焼成前被膜を焼成して導電性被膜を形成する第二工程と、
前記導電性被膜の少なくとも一部に酸性溶液を接触させて洗浄する第三工程と、
を含むことを特徴とする電極の製造方法
を提供する。
金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、
前記焼成前被膜を焼成して導電性被膜を形成する第二工程と、
前記導電性被膜の少なくとも一部に酸性溶液を接触させて洗浄する第三工程と、
を含むことを特徴とする電極の製造方法
を提供する。
このような構成を有する本発明の電極の製造方法によれば、導電性被膜の少なくとも一部を酸性溶液で洗浄する工程により、焼成温度が低くても、導電性を阻害しない程度の有機物残渣までをも効果的に除去することができ、したがって、TFT等の電極にも好適に利用できる電極が得られる。
上記のような構成を有する本発明の電極の製造方法によれば、前記電極が薄膜トランジスタ(TFT)用の電極であることが好ましい。電極がTFTである場合に、上記のように、本発明の電極の製造方法により得られる電極はより好適に利用することができる。
上記のような構成を有する本発明の電極の製造方法においては、前記酸性溶液が硫酸を含むことが好ましい。
このような構成を有する本発明の電極の製造方法によれば、導電性を阻害しない程度の有機物残渣までもより効果的に除去することができる。
ここで、本発明の電極の製造方法における前記導電性インクとしては、種々のものを使用することができるが、主として、下記に記述するものを好適に使用することができる。
(1)金属ナノ粒子と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、前記金属ナノ粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含み、前記短鎖アミンの分配係数logPが−1.0〜1.4である金属ナノ粒子分散体を含む(金属ナノ粒子分散体A)。
(2)金属ナノ粒子と、エタノールを含む溶媒と、水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含む(導電性インクB)。
(1)金属ナノ粒子と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、前記金属ナノ粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含み、前記短鎖アミンの分配係数logPが−1.0〜1.4である金属ナノ粒子分散体を含む(金属ナノ粒子分散体A)。
(2)金属ナノ粒子と、エタノールを含む溶媒と、水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含む(導電性インクB)。
上記金属ナノ粒子分散体Aでは、前記金属ナノ粒子分散体が、更に、酸価を有する保護分散剤を含むこと、が好ましい。
また、前記短鎖アミンがアルコキシアミンであること、が好ましい。
また、前記保護分散剤の酸価が5〜200であること、が好ましい。
更に、前記保護分散剤がリン酸由来の官能基を有すること、が好ましい。
更にまた、前記高極性溶媒がメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又はn−プロピルアルコールであること、が好ましい。
また、前記短鎖アミンがアルコキシアミンであること、が好ましい。
また、前記保護分散剤の酸価が5〜200であること、が好ましい。
更に、前記保護分散剤がリン酸由来の官能基を有すること、が好ましい。
更にまた、前記高極性溶媒がメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又はn−プロピルアルコールであること、が好ましい。
上記導電性インクBでは、前記高沸点溶剤が、1,3−ブチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール又はオクタンジオールを含むこと、が好ましい。
また、前記導電性インクBは、更にハイドロフルオロエーテルを含むこと、が好ましい。
また、前記導電性インクBは、更にハイドロフルオロエーテルを含むこと、が好ましい。
本発明の電極の製造方法によれば、焼成温度が低くても、導電性を阻害しない程度の有機物残渣が少なく、耐熱性の低い基板等に適用でき、更に、TFT等の電極にも好適に利用できる電極の製造方法を提供することができる。
本発明は、金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、前記焼成前被膜を焼成して導電性被膜を形成する第二工程と、前記導電性被膜の少なくとも一部に酸性溶液を接触させて洗浄する第三工程と、を含むことを特徴とする。
第一工程
第一工程においては、金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する。この第一工程における印刷や塗布の方法については、従来公知の方法を採用することができる。焼成前被膜の形状やパターンについても、従来公知のものでよい。
第一工程においては、金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する。この第一工程における印刷や塗布の方法については、従来公知の方法を採用することができる。焼成前被膜の形状やパターンについても、従来公知のものでよい。
この導電性インクは、本実施形態においては、銀微粒子(銀ナノ粒子)と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含む銀微粒子分散体で構成されている。なかでも、前記短鎖アミンの分配係数logPが−1.0〜1.4であるのが好ましい(上記の金属ナノ粒子分散体A)。
上記銀微粒子分散体は、種々の溶媒(特に高極性溶媒)に銀微粒子が均一分散した低温焼結性を有する銀微粒子分散体であり、導電性被膜を当該銀微粒子複合体の焼結によって形成することで、良好な導電性を有する導電性被膜を低温で形成することができる。なかでも、本実施形態に記載の特定の銀ナノ粒子で構成される導電性被膜が好ましいのは、後述するアミン系の分散剤を用いることにより、必ずしも理由は明らかではないが、酸性溶液とアミン系の分散剤がより相互作用しやすく、清浄効果が発揮されるためであると考えている。特に後述する銀ナノ粒子を用いることによって、低温焼成可能で良好なTFT特性を発揮できる電極をより確実に得ることができる。
アミンの一分子内におけるアミノ基は、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、アミノ基は、それぞれアルカリ性的性質を示し易い。したがって、アミンは、銀微粒子の表面の少なくとも一部に局在化(付着)すると(即ち、銀微粒子の表面の少なくとも一部を被覆すると)、有機成分と無機粒子とを十分に親和させることができ、銀微粒子同士の凝集を防ぐことができる(分散性を向上させる)。即ち、アミンは官能基が銀微粒子の表面に適度の強さで吸着し、銀微粒子同士の相互の接触を妨げるため、保管状態での銀微粒子の安定性に寄与する。また、加熱によって銀微粒子の表面から移動及び又は揮発することにより、銀微粒子同士の融着を促進するものと考えられる。
また、銀微粒子分散体を構成するアミンを炭素数が5以下である短鎖アミンとすることで、加熱によって銀微粒子の表面の少なくとも一部に付着したアミンを容易に除去することができ、銀微粒子の良好な低温焼結性(例えば、100〜350℃における焼結性)を担保することができる。
また、短鎖アミンの分配係数logPを−1.0〜1.4とするのは、分配係数logPが−1.0以下になれば、短鎖アミンの極性が高すぎるため、銀の還元が急速に進んでしまい銀微粒子生成の制御が困難となり、分配係数logPが1.5以上になれば、銀に配位するアミンの極性が低い為に高極性溶媒に分散しづらくなるからである。
分配係数logPは、溶媒としてn−オクタノールと水を用いたオクタノール/水分配係数を意味しており、オクタノール中の濃度Coと水中の濃度Cwをそれぞれ求め、濃度比P=Co/Cwの常用対数 logPを分配係数として算出する。そのため、分配係数logPは銀微粒子がどの範囲の極性溶媒で分散させうることが可能かどうかを表す一つの指標であることを意味する。分配係数logPの測定方法は特に限定されず、例えば、フラスコ振盪法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、及び定量的構造活性相関アルゴリズムを用いた計算等によって求めることができるが、国立生物工学情報センター等のウェブサイトで公表されている文献値を用いてもよい。
更に、銀微粒子分散体は、銀微粒子合成後に添加される酸価を有する分散剤(即ち、銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤)を含むことを特徴とする。ここでいう「酸価を有する分散剤」とは、吸着基乃至は官能基としてアミン価や水酸基価等を有さない分散剤全てを包含するものである。かかる分散剤を用いることで、溶媒中の銀微粒子の分散安定性を向上させることができる。当該分散剤の酸価は5〜200であることが好ましく、また、当該分散剤がリン酸由来の官能基を有することが好ましい。「酸価を有する分散剤」が好ましい理由は、必ずしも明らかではないが、本発明者らは、金属への吸着作用だけではなく、短鎖アミンと相互作用することによって、より密な形態で吸着することができ、低温焼結性を有しつつ高い分散性を発現させているものと考えている。
後述する高極性溶剤に銀微粒子を分散させたい場合は、一般的に極性の高い分散剤を使用することが有効である。例えばlogPがより小さい短鎖アミンを用いることが考えられるが、短鎖アミンは一般的に還元性を発揮して反応速度を適切に保てない場合がある。具体的には、反応速度を過剰に高めてしまい、分散性に優れた銀微粒子を形成できない場合がある。そこで、より高極性な分散剤を銀微粒子合成後に添加することで、銀微粒子はそのままに分散媒に対する相溶性のみを高めること(表面改質)が可能となる。
分散剤の酸価が5以上であるとアミンと配位し粒子表面が塩基性となっている金属物への酸塩基相互作用での吸着が起こり始め、200以下であると過度に吸着サイトを有さないため好適な形態で吸着するから好ましい。また、分散剤がリン酸由来の官能基を有することでリンPが酸素Oを介して金属Mと相互作用し引き合うので金属や金属化合物との吸着には最も効果的であり、必要最小限の吸着量で好適な分散性を得ることができるから好ましい。ここで「酸価」とは、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価の測定法として、指示薬法(p−ナフトールベンゼイン指示薬)や電位差滴定法をあげることができる。
・ISO6618−1997:指示薬滴定法による中和価試験法→指示薬滴定法(酸価)に対応
・ISO6619−1988:電位差滴定法(酸価)→電位差滴定法(酸価)に対応
・ISO6618−1997:指示薬滴定法による中和価試験法→指示薬滴定法(酸価)に対応
・ISO6619−1988:電位差滴定法(酸価)→電位差滴定法(酸価)に対応
銀微粒子分散体は、更に、銀微粒子合成前に添加される保護剤としての酸価を有する分散剤(保護分散剤)を含んでいてもよい。ここでいう「保護分散剤」は、上記の銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」と同じであってもよい。
また、銀微粒子分散体においては、溶媒として種々の溶媒、特に高極性溶媒を用いることができる。高極性溶媒とは、一般的に水や炭素数の短いアルコールなど、ヘキサンやトルエンのような低極性溶剤と相溶しにくいものを意味するが、本発明においては炭素数1〜6のアルコールを用いることがより好ましい。高極性溶媒として炭素数1〜6のアルコールとすることで、低極性溶媒を用いた時の不具合、例えば樹脂上で銀微粒子分散体を積層した際に、溶媒が下地の樹脂層を侵すことを回避できる。ここで、アミンにはアルコキシアミンを用いることが好ましい。アミンをアルコキシアミンとすることで、銀微粒子を高極性溶媒に良好に分散させることができる。さらに、必ずしもその機構は明らかではないが、アルコキシアミンのアルコキシ基が水蒸気と効率良く相互作用するために、十分な粒成長を促すことができる点においても好ましい。
銀微粒子分散体を構成する銀微粒子の粒径は、融点降下が生じるようなナノメートルサイズ、望ましくは1〜200nmが適切であるが、必要に応じてミクロンメートルサイズの粒子が含まれていてもよい。
本実施形態において得られる導電性被膜は銀微粒子から形成され、それを外部加熱によって形成した焼結体であり、銀微粒子が本来有する導電性と同程度の良好な導電性を有している。導電性被膜の形成に用いる銀微粒子分散体(導電性インク)について、以下において更に詳細に述べる。
導電性被膜の形成に用いる銀微粒子分散体(導電性インク)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の銀微粒子分散体を用いることができるが、銀微粒子と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含む短鎖アミンの分配係数logPが−1.0〜1.4である銀微粒子分散体を用いることが好ましい。
上記銀微粒子分散体は、種々の溶媒(特に高極性溶媒)に銀微粒子が均一分散した低温焼結性を有する銀微粒子分散体であり、導電性被膜を当該銀微粒子複合体の焼結によって形成することで、良好な導電性を有する導電性被膜を低温で形成することができる。
(A)銀微粒子
本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の平均粒径は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、融点降下が生じるような平均粒径を有するのが好ましく、例えば、1〜200nmであればよい。更には、2〜100nmであるのが好ましい。銀微粒子の平均粒径が1nm以上であれば、銀微粒子が良好な低温焼結性を具備すると共に銀微粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、200nm以下であれば、銀微粒子の分散性が経時的に変化しにくく、好ましい。
本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の平均粒径は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、融点降下が生じるような平均粒径を有するのが好ましく、例えば、1〜200nmであればよい。更には、2〜100nmであるのが好ましい。銀微粒子の平均粒径が1nm以上であれば、銀微粒子が良好な低温焼結性を具備すると共に銀微粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、200nm以下であれば、銀微粒子の分散性が経時的に変化しにくく、好ましい。
銀微粒子分散体を、例えばマイグレーションの問題を考慮して、イオン化列が水素より貴である金属、即ち金、銅、白金、パラジウム等の粒子を添加してもよい。
なお、本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の粒径は、一定でなくてもよい。また、銀微粒子分散体が、任意成分として、後述する分散剤等を含む場合、平均粒径が200nm超の金属粒子成分を含む場合があるが、凝集を生じたりせず、本発明の効果を著しく損なわない成分であればかかる200nm超の平均粒径を有する金属粒子成分を含んでもよい。
ここで、本実施形態の銀微粒子分散体における銀微粒子の粒径は、動的光散乱法、小角X線散乱法、広角X線回折法で測定することができる。ナノサイズの銀微粒子の融点降下を示すためには、広角X線回折法で求めた結晶子径が適当である。例えば広角X線回折法では、より具体的には、理学電機(株)製のRINT−UltimaIIIを用いて、回折法で2θが30〜80°の範囲で測定することができる。この場合、試料は、中央部に深さ0.1〜1mm程度の窪みのあるガラス板に表面が平坦になるように薄くのばして測定すればよい。また、理学電機(株)製のJADEを用い、得られた回折スペクトルの半値幅を下記のシェラー式に代入することにより算出された結晶子径(D)を粒径とすればよい。
D=Kλ/Bcosθ
ここで、K:シェラー定数(0.9)、λ:X線の波長、B:回折線の半値幅、θ:ブラッグ角である。
D=Kλ/Bcosθ
ここで、K:シェラー定数(0.9)、λ:X線の波長、B:回折線の半値幅、θ:ブラッグ角である。
(B)炭素数が5以下である短鎖アミン
本実施形態の銀微粒子分散体において、銀微粒子の表面の少なくとも一部には炭素数が5以下である短鎖アミンが付着している。なお、銀微粒子の表面には、原料に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入する微量有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、微量の有機物が付着していてもよい。
本実施形態の銀微粒子分散体において、銀微粒子の表面の少なくとも一部には炭素数が5以下である短鎖アミンが付着している。なお、銀微粒子の表面には、原料に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入する微量有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、微量の有機物が付着していてもよい。
炭素数が5以下である短鎖アミンは分配係数logPが−1.0〜1.4であれば特に限定されず、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、側鎖を有していてもよい。当該短鎖アミンとしては、例えば、エチルアミン(−0.3)プロピルアミン(0.5)、ブチルアミン(1.0)、N−(3−メトキシプロピル)プロパン−1,3−ジアミン(−0.6)、1,2−エタンジアミン、N−(3−メトキシプロピル)ホルムアミド(−0.2),2−メトキシエチルアミン(−0.9)、3−メトキシプロピルアミン(−0.5)、3−エトキシプロピルアミン(−0.1)、1,4−ブタンジアミン(−0.9)、1,5−ペンタンジアミン(−0.6)、ペンタノールアミン(−0.3)、アミノイソブタノール(−0.8)等が挙げられるが、なかでもアルコキシアミンを用いることが好ましい。
上記短鎖アミンは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、アミン以外の官能基を含む化合物であってもよい。また、上記アミンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常圧での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。
本実施形態の銀粒子分散体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記の炭素数が5以下である短鎖アミンに加えて、カルボン酸を含んでいてもよい。カルボン酸の一分子内におけるカルボキシル基が、比較的高い極性を有し、水素結合による相互作用を生じ易いが、これら官能基以外の部分は比較的低い極性を有する。更に、カルボキシル基は、酸性的性質を示し易い。また、カルボン酸は、本実施形態の銀粒子分散体中で、銀微粒子の表面の少なくとも一部に局在化(付着)すると(即ち、銀微粒子の表面の少なくとも一部を被覆すると)、溶媒と銀微粒子とを十分に親和させることができ、銀微粒子同士の凝集を防ぐことができる(分散性を向上させる。)。
カルボン酸としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物を広く用いることができ、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、ヘキサン酸、アクリル酸、オクチル酸、オレイン酸等が挙げられる。カルボン酸の一部のカルボキシル基が金属イオンと塩を形成していてもよい。なお、当該金属イオンについては、2種以上の金属イオンが含まれていてもよい。
上記カルボン酸は、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、メルカプト基等の、カルボキシル基以外の官能基を含む化合物であってもよい。この場合、カルボキシル基の数が、カルボキシル基以外の官能基の数以上であることが好ましい。また、上記カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加えて、常圧での沸点が300℃以下、更には250℃以下であることが好ましい。また、アミンとカルボン酸はアミドを形成する。当該アミド基も銀微粒子表面に適度に吸着するため、銀微粒子表面にはアミド基が付着していてもよい。
銀微粒子と当該銀微粒子の表面に付着した有機物(上記炭素数が5以下である短鎖アミン等)によってコロイドが構成される場合、当該コロイド中の有機成分の含有量は、0.5〜50質量%であることが好ましい。有機成分含有量が0.5質量%以上であれば、得られる銀微粒子分散体の貯蔵安定性が良くなる傾向があり、50質量%以下であれば、銀微粒子分散体を加熱して得られる焼成体の導電性が良い傾向がある。有機成分のより好ましい含有量は1〜30質量%であり、更に好ましい含有量は2〜15質量%である。
(C)高極性溶媒
本実施形態の銀微粒子分散体は、種々の高極性溶媒に銀微粒子が分散したものである。
本実施形態の銀微粒子分散体は、種々の高極性溶媒に銀微粒子が分散したものである。
上記溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の高極性溶媒を用いることができる。高極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソアミルアルコール、フルフリルアルコール、ニトロメタン、アセトニトリル、ピリジン、アセトンクレゾール、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、エチレングリコール、グリセリン、フェノール、p−クレゾール、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール2−ペンタノン、2−ヘプタノン、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−ブトキシエチル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−メトキシエチル、2−ヘキシルオキシエタノール等を例示することができるが、本発明では前記炭素数が5以下の短鎖アミンと相溶性が良好であるため、炭素数1〜6のアルコールを用いることが好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)分散剤
本実施形態の銀粒子分散体には、更に、銀微粒子を分散させるために銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」を含む。かかる分散剤を用いることで、溶媒中の銀微粒子の分散安定性を向上させることができる。ここで、当該分散剤の酸価は5〜200であることがより好ましく、また、当該分散剤がリン酸由来の官能基を有することが更に好ましい。
本実施形態の銀粒子分散体には、更に、銀微粒子を分散させるために銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」を含む。かかる分散剤を用いることで、溶媒中の銀微粒子の分散安定性を向上させることができる。ここで、当該分散剤の酸価は5〜200であることがより好ましく、また、当該分散剤がリン酸由来の官能基を有することが更に好ましい。
分散剤の酸価が5以上であるとアミンと配位し粒子表面が塩基性となっている金属物への酸塩基相互作用での吸着が起こり始めるからであり、200以下であると過度に吸着サイトを有さないため好適な形態で吸着するからである。また、分散剤がリン酸由来の官能基を有することでリンPが酸素Oを介して金属Mと相互作用し引き合うので金属や金属化合物との吸着には最も効果的であり、必要最小限の吸着量で好適な分散性を得ることができるからである。
なお、酸価が5〜200の高分子分散剤としては、例えば、ルーブリゾール社のSOLSPERSEシリーズではSOLSPERSE−16000、21000、41000、41090、43000、44000、46000、54000等が挙げられ、ビックケミー社DISPERBYKシリーズではDISPERBYK−102、110、111、170、190.194N、2015.2090、2096等が挙げられ、エボニック社のTEGO Dispersシリーズでは610、610S、630、651、655、750W、755W等が挙げられ、楠本化成(株)製のディスパロンシリーズではDA−375、DA−1200等が挙げられ、共栄化学工業(株)製のフローレンシリーズではWK−13E、G−700、G−900、GW−1500、GW−1640、WK−13Eを例示することができる。
本実施形態の銀微粒子分散体に分散剤を含有させる場合の含有量は、粘度などの所望の特性によって調整すれば良いが、例えば、銀微粒子分散体を銀インクとして用いる場合は、分散剤の含有量を0.5〜20質量%とすることが好ましく、銀ペーストとして用いる場合は、分散剤の含有量を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
高分子分散剤の含有量は0.1〜15質量%であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が0.1%以上であれば得られる銀微粒子分散体の分散安定性が良くなるが、含有量が多過ぎる場合は低温焼結性が低下することとなる。このような観点から、高分子分散剤のより好ましい含有量は0.3〜10質量%であり、更に好ましい含有量は0.5〜8質量%である。
本実施形態の分散体は、更に、熱分析によって室温から200℃まで加熱したときの重量減少率が20質量%以下であり、かつ、200℃から500℃まで加熱したときの重量減少率が10質量%以下であることが好ましい。ここで、200℃までの重量減少率は主として低温焼結性に寄与する低温成分である短鎖アミンの含有量を示し、200〜500℃での高温性分の重量減少率は主として分散安定性に寄与する酸価の分散剤の含有量を示す。短鎖アミンや高温成分が過剰になると低温焼結性が損なわれる。即ち、室温から200℃まで加熱したときの重量減少率が20質量%以下で、200℃から500℃まで加熱したときの重量減少率が10質量%以下であれば低温焼結性がより優れる。
(E)保護剤(保護分散剤)
本実施形態の銀微粒子分散体は、更に、銀微粒子合成前に添加される保護剤としての酸価を有する分散剤(保護分散剤)を含んでいてもよい。ここでいう「保護分散剤」は、上記の銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」と同じ種類のものでも異なる種類のものであってもよい。
本実施形態の銀微粒子分散体は、更に、銀微粒子合成前に添加される保護剤としての酸価を有する分散剤(保護分散剤)を含んでいてもよい。ここでいう「保護分散剤」は、上記の銀微粒子合成後に添加される「酸価を有する分散剤」と同じ種類のものでも異なる種類のものであってもよい。
(F)その他の成分
本実施形態の銀微粒子分散体には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、例えばバインダーとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
本実施形態の銀微粒子分散体には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、例えばバインダーとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ブロックドイソシアネート等のポリウレタン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂又はテルペン系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物、例えば、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのセルロース誘導体、キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機成分とは異なる界面活性剤を添加してもよい。多成分溶媒系の無機コロイド分散液においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本実施形態の銀微粒子分散体に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、均一な導電性被膜を形成することができる銀微粒子分散体が得られる。
本実施形態において用いることのできる界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れかを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、少量の添加量で効果が得られるので、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が好ましい。
本実施形態の銀微粒子分散体に含まれる銀微粒子は、表面の少なくとも一部に分配係数logPが−1.0〜1.4であり炭素数が5以下であるアルコキシアミンが付着した銀微粒子であるのが好ましい。
銀微粒子の表面の少なくとも一部に分配係数logPが−1.0〜1.4である炭素数が5以下のアルコキシアミンを付着させることで、銀微粒子に種々の溶媒(特に高極性溶媒)に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
上記溶媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の溶媒を用いることができ、SP値(溶解パラメーター)が7.0〜15.0である溶媒を用いることができる。ここで、高極性溶媒中においても銀微粒子が均一に分散していることが本発明の銀微粒子分散体の特徴の一つであり、本発明では前記炭素数が5以下の短鎖アミンと相溶性が良好であるため、炭素数1〜6のアルコールを用いることが好ましい。なお、これらの溶媒はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SP値(溶解パラメーター)が7.0〜15.0である溶媒としては、例えば、ヘキサン(7.2)、トリエチルアミン(7.3)、エチルエーテル(7.7)、n−オクタン(7.8)、シクロヘキサン(8.3)、n−アミルアセテート(8.3)、酢酸イソブチル(8.3)、メチルイソプロピルケトン(8.4)、アミルベンゼン(8.5)酢酸ブチル(8.5)、四塩化炭素(8.6)、エチルベンゼン(8.7)、p−キシレン(8.8)、トルエン(8.9)、メチルプロピルケトン(8.9)酢酸エチル(8.9)、テトラヒドロフラン(9.2)、メチルエチルケトン(9.3)、クロロホルム(9.4)、アセトン(9.8)、ジオキサン(10.1)、ピリジン(10.8)、イソブタノール(11.0)、n−ブタノール(11.1)、ニトロエタン(11.1)イソプロピルアルコール(11.2)、m−クレゾール(11.4)、アセトニトリル(11.9)、n−プロパノール(12.1)、フルフリルアルコール(12.5)、ニトロメタン(12.7)、エタノール(12.8)、クレゾール(13.3)、エチレングリコール(14.2)、メタノール(14.8)フェノール、p−クレゾール、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール2−ペンタノン、2−ヘプタノン、酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−ブトキシエチル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸−2−メトキシエチル、2−ヘキシルオキシエタノール等を例示することができる。
本実施形態の銀微粒子の粒径は、融点降下が生じるようなナノメートルサイズ、望ましくは1〜200nmが適切であるが、必要に応じてミクロンメートルサイズの粒子が含まれていてもよい。
ここで、本実施形態における導電性インクとして転写印刷用導電性インクを用いる場合、当該転写印刷用導電性インクは、より具体的には、金属ナノ粒子と、エタノールを含む溶媒と、水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含むことを特徴とする(上記の導電性インクB)。また、金属粒子と有機成分とからなる金属粒子分散体(換言すれば金属コロイド粒子)を主成分とする固形分と、これら固形分を分散する分散媒とを含むものである。ただし、上記コロイド液において、「分散媒」は上記固形分の一部を溶解していても構わない。
このような金属コロイド液によれば、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での金属コロイド粒子の分散性を向上させることができ、したがって、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増やしても金属コロイド粒子が凝集しにくく、良好な分散安定性を保つことができる。なお、ここでいう「分散性」とは、金属コロイド液を調製した直後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が優れているか否か(均一か否か)を示すものであり、「分散安定性」とは、金属コロイド液を調製して所定の時間を経過した後において、当該金属コロイド液中での金属粒子の分散状態が維持されているか否かを示すものであり、「低沈降凝集性」ともいえる。
ここで、上記の金属コロイド液において、金属コロイド粒子中の「有機成分」は、上記金属成分とともに実質的に金属コロイド粒子を構成する有機物のことである。当該有機成分には、金属中に最初から不純物として含まれる微量有機物、後述する製造過程で混入した微量の有機物が金属成分に付着した有機物、洗浄過程で除去しきれなかった残留還元剤、残留分散剤等のように、金属成分に微量付着した有機物等は含まれない。なお、上記「微量」とは、具体的には、金属コロイド粒子中1質量%未満が意図される。
本実施形態における金属コロイド粒子は、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での分散安定性が高い。そのため、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増大させても金属コロイド粒子が凝集しにくく、その結果、良好な分散性が保たれる。
本実施形態における金属コロイド粒子は、有機成分を含んでいるため、金属コロイド液中での分散安定性が高い。そのため、金属コロイド液中の金属成分の含有量を増大させても金属コロイド粒子が凝集しにくく、その結果、良好な分散性が保たれる。
また、本実施形態における金属コロイド液の「固形分」とは、シリカゲル等を用いて金属コロイド液から分散媒を取り除いた後、例えば、30℃以下の常温(例えば25℃)で24時間乾燥させたときに残存する固形分のことをいい、通常は、金属粒子、残存有機成分及び残留還元剤等を含むものである。なお、シリカゲルを用いて金属コロイド液から分散媒を取り除く方法としては、種々の方法を採用することが可能であるが、例えばガラス基板上に金属コロイド液を塗布し、シリカゲルを入れた密閉容器に塗膜付ガラス基板を24時間以上放置することにより分散媒を取り除けばよい。
本実施形態の金属コロイド液において、好ましい固形分の濃度は1〜60質量%である。固形分の濃度が1質量%以上であれば、転写印刷用導電性インクにおける金属の含有量を確保することができ、導電効率が低くならない。また、固形分の濃度が60質量%以下であれば、金属コロイド液の粘度が増加せず取り扱いが容易で、工業的に有利であり、平坦な薄膜を形成することができる。より好ましい固形分の濃度は5〜40質量%である。
転写印刷用導電性インクは、水酸基を有する高沸点溶剤を0.1〜3.0質量%含むことを特徴とする。水酸基を有する高沸点溶剤は、1,3−ブチレングリコール(沸点:203℃)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(沸点:150℃/5mmHg、1気圧では200℃以上)又はオクタンジオール(沸点:243℃)から選択されるのが好ましい。
「高沸点溶剤」とは、200℃以上の沸点を有する溶剤のことをいう。また、水酸基を有することによって水に対して適度な親和性を有し、空気中の水分を吸収乃至は吸着等して保湿する傾向があるため、少ない添加量で転写印刷法に好適なインクとすることができる。更に、高沸点溶剤の添加量を必要最小限とすることで、シリコーンブランケット上に塗布したインクを短時間に半乾燥させることができ、印刷タクトを短くすることができるという効果を奏する。
水酸基を有する高沸点溶剤の添加量は、0.1〜3.0質量%である。0.1質量%未満であると、量が少なすぎて転写印刷法に好適なインク状になりにくく、3.0質量%を超えると、転写印刷法に好適な半乾燥状態に到達する時間が長くなり印刷タクトの面で不利となる。水酸基を有する高沸点溶剤の添加量は、0.3〜2.0質量%であるのが、より確実に、転写印刷法に好適なインク状になり易く、転写印刷法に好適な半乾燥状態に到達する時間を短くでき印刷タクトの面で有利となるという観点から、特に好ましい。
また、転写印刷用導電性インクにおいては、インクの乾燥性を高めるためにエタノール等の高揮発性溶剤を添加する。当該溶剤を添加することにより、転写印刷用導電性インクを素早く印刷に適した粘度に調整することができる。高揮発性溶剤としては、エタノールの他、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の沸点100℃未満の溶剤の群から選ばれる1又は2以上の低沸点溶剤を用いることができる。
更に、転写印刷用導電性インクにおいては、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素溶剤を含んでいることが好ましい。フッ素溶剤は、表面張力が低いためにシリコーンブランケットに対し良好な濡れ性を発揮させることができ、沸点が比較的低いために良好な乾燥性を付与することができる。なかでも、オゾン破壊係数の観点から、ハロゲン原子を含むフッ素溶剤よりもハイドロフルオロエーテルのほうが好ましい。
また、ハイドロフルオロエーテルは、ハイドロフルオロカーボン類よりもエーテル結合を有しているために極性が高く、シリコーンブランケットをほとんど膨潤させないという利点を有しており、エタノール等のアルコールとの相溶性が良く、アルコールに分散した金属粒子との相溶性にも優れるという効果を奏するため、より好ましい。
転写印刷用導電性インクにおいては、シリコーンブランケットに対する濡れ性を向上させる目的で、フッ素原子を有するフッ素系界面活性剤を添加してもよい。ただし、この場合、添加量が多過ぎると転写印刷用導電性インクを用いて作製した導電性被膜の導電性が低下し、添加量が少な過ぎると濡れ性改善の効果が不十分であるため、0.01〜2質量%であるのが好適である。
転写印刷用導電性インクにおいては、表面張力が22mN/m以下である。表面張力を22mN/m以下と十分に下げることで、シリコーン樹脂等のブランケットへの転写印刷用導電性インクの濡れ性を十分に担保することができる。表面張力を22mN/m以下にすることは、上記の本発明の転写印刷用導電性インクの成分比を調整することによって実現できる。表面張力の下限は13mN/m程度であればよい。なお、本発明においていう表面張力とは、プレート法(Wilhelmy法)という原理で測定して得られるものであり、例えば、協和界面科学(株)製の全自動表面張力計CBVP−Z等により測定することができる。
次に、本実施形態の銀微粒子及び銀微粒子分散体の製造方法は、銀微粒子を生成する工程と、前記銀微粒子に、前記銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤を添加・混合する工程と、を有するものであるが、更に、還元により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、の混合液を調製する第1前工程と、当該混合液中の前記銀化合物を還元することで表面の少なくとも一部に炭素数が5以下である短鎖アミンが付着した銀微粒子を生成する第2前工程と、を含んでいる。
上記第1前工程においては、短鎖アミンを金属銀1molに対して2mol以上添加すること、が好ましい。短鎖アミンの添加量を金属銀1molに対して2mol以上とすることで、還元によって生成される銀微粒子の表面に短鎖アミンを適量付着させることができ、当該銀微粒子に種々の溶媒(特に高極性溶媒)に対する優れた分散性と低温焼結性とを付与することができる。
なお、上記第1前工程における混合液の組成及び上記第2前工程における還元条件(例えば、加熱温度及び加熱時間等)によって、得られる銀微粒子の粒径を融点降下が生じるようなナノメートルサイズとすることが好ましく、1〜200nmとすることがより好ましい。ここで、必要に応じてミクロンメートルサイズの粒子が含まれていてもよい。
上記第2前工程で得られる銀微粒子分散体から銀微粒子を取り出す方法は特に限定されないが、例えば、その銀微粒子分散体の洗浄を行う方法等が挙げられる。
有機物(分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミン)で被覆された銀微粒子を得るための出発材料としては、種々の公知の銀化合物(金属塩又はその水和物)を用いることができ、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、シュウ酸銀、ギ酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩が挙げられる。これらは還元可能なものであれば特に限定されず、適当な溶媒中に溶解させても、溶媒中に分散させたまま使用してもよい。また、これらは単独で用いても複数併用してもよい。
また、上記原料液においてこれらの銀化合物を還元する方法は特に限定されず、例えば、還元剤を用いる方法、紫外線等の光、電子線、超音波又は熱エネルギーを照射する方法、加熱する方法等が挙げられる。なかでも、操作の容易の観点から、還元剤を用いる方法が好ましい。
上記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヨウ素化水素、水素ガス等の水素化合物;例えば、一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;例えば、硫酸第一鉄、酸化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸スズ、塩化スズ、二リン酸スズ、シュウ酸スズ、酸化スズ、硫酸スズ等の低原子価金属塩;例えば、エチレングリコール、グリセリン、ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等が挙げられるが、分散媒に溶解し上記金属塩を還元し得るものであれば特に限定されない。上記還元剤を使用する場合は、光及び/又は熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
上記金属塩、有機成分、溶媒及び還元剤を用いて、有機物で被覆された銀微粒子を調製する具体的な方法としては、例えば、上記金属塩を有機溶媒(例えばトルエン等)に溶かして金属塩溶液を調製し、当該金属塩溶液に分散剤としての短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤を添加し、ついで、ここに還元剤が溶解した溶液を徐々に滴下する方法等が挙げられる。
上記のようにして得られた短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤で被覆された銀微粒子を含む分散液には、銀微粒子の他に、金属塩の対イオン、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度や有機物濃度が高い傾向にある。このような状態の液は、電導度が高い等の理由で銀微粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。あるいは、沈殿しなくても、金属塩の対イオン、還元剤の残留物、又は分散に必要な量以上の過剰な分散剤が残留していると、導電性を悪化させるおそれがある。そこで、上記銀微粒子を含む溶液を洗浄して余分な残留物を取り除くことにより、有機物で被覆された銀微粒子を確実に得ることができる。
上記洗浄方法としては、例えば、有機成分で被覆された銀微粒子を含む分散液を一定時間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、銀微粒子を沈殿させる溶媒(例えば、水、メタノール、メタノール/水混合溶媒等)を加えて再度撹枠し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等が挙げられる。このような洗浄によって余分な残留物を取り除くと共に有機溶媒を除去することにより、本実施形態の「短鎖アミンや酸価をもつ分散剤」で被覆された銀微粒子を得ることができる。
本実施形態のうち、金属コロイド分散液は、上記において得た短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤で被覆された銀微粒子と、上記本実施形態で説明した分散媒と、を混合することにより得られる。かかる「短鎖アミンや酸価をもつ保護分散剤」で被覆された銀微粒子と分散媒との混合方法は特に限定されるものではなく、攪拌機やスターラー等を用いて従来公知の方法によって行うことができる。スパチュラのようなもので撹拌したりして、適当な出力の超音波ホモジナイザーを当ててもよい。
複数の金属を含む金属コロイド分散液を得る場合、その製造方法としては特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる金属コロイド分散液を製造する場合には、上記の有機物で被覆された銀微粒子の調製において、銀微粒子を含む分散液と、その他の金属粒子を含む分散液とを別々に製造し、その後混合してもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
還元により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、分配係数logPが−1.0〜1.4である短鎖アミンと、の混合液を調製する第1工程と、当該混合液中の前記銀化合物を還元することで表面の少なくとも一部に炭素数が5以下である短鎖アミンが付着した銀微粒子を生成する第2工程により、銀微粒子を製造してもよい。
例えば、銀を含むシュウ酸銀等の金属化合物と短鎖アミンから生成される錯化合物を加熱して、当該錯化合物に含まれるシュウ酸イオン等の金属化合物を分解して生成する原子状の銀を凝集させることにより、短鎖アミンの保護膜に保護された銀微粒子を製造することができる。
このように、金属化合物の錯化合物をアミンの存在下で熱分解することで、アミンにより被覆された銀微粒子を製造する金属アミン錯体分解法においては、単一種の分子である金属アミン錯体の分解反応により原子状金属が生成するため、反応系内に均一に原子状金属を生成することが可能であり、複数の成分間の反応により金属原子を生成する場合に比較して、反応を構成する成分の組成揺らぎに起因する反応の不均一が抑制され、特に工業的規模で多量の銀微粒子を製造する際に有利である。
また、金属アミン錯体分解法においては、生成する金属原子に短鎖アミン分子が配位結合しており、当該金属原子に配位した短鎖アミン分子の働きにより凝集を生じる際の金属原子の運動がコントロールされるものと推察される。この結果として、金属アミン錯体分解法によれば非常に微細で、粒度分布が狭い銀微粒子を製造することが可能となる。
更に、製造される銀微粒子の表面にも多数の短鎖アミン分子が比較的弱い力の配位結合を生じており、これらが銀微粒子の表面に緻密な保護被膜を形成するため、保存安定性に優れる表面の清浄な被覆銀微粒子を製造することが可能となる。また、当該被膜を形成する短鎖アミン分子は加熱等により容易に脱離可能であるため、非常に低温で焼結可能な銀微粒子を製造することが可能となる。
また、固体状の金属化合物とアミンを混合して錯化合物等の複合化合物が生成する際に、被覆銀微粒子の被膜を構成する酸価をもつ分散剤に対して、炭素数が5以下である短鎖アミンを混合して用いることにより、錯化合物等の複合化合物の生成が容易になり、短時間の混合で複合化合物を製造可能となる。また、当該短鎖アミンを混合して用いることにより、各種の用途に応じた特性を有する被覆銀微粒子の製造が可能である。
以上のようにして得られる本実施形態の分散体は、そのままの状態で使用することができるが、導電インク、導電性ペーストの分散安定性及び低温焼結性を損なわない範囲で種々の無機成分や有機成分を添加することができる。
第二工程
ついで、前記第一工程で形成した焼成前被膜を焼成する。この焼成は従来公知の方法及び条件で実施すればよい。例えば従来公知のギアオーブン等を用いて、上記の第一工程及び第二工程を経た焼成前被膜をそ温度が300℃以下(好ましくは180℃未満)となるように焼成することによって導電性被膜(導電膜パターン)を形成することができる。
ついで、前記第一工程で形成した焼成前被膜を焼成する。この焼成は従来公知の方法及び条件で実施すればよい。例えば従来公知のギアオーブン等を用いて、上記の第一工程及び第二工程を経た焼成前被膜をそ温度が300℃以下(好ましくは180℃未満)となるように焼成することによって導電性被膜(導電膜パターン)を形成することができる。
上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、基材上に導電膜パターンを形成できる温度であって、かつ、本発明の効果を損なわない範囲で上記有機成分等を蒸発又は分解により除去できる温度であることが好ましい(本発明の効果を損なわない範囲で一部が残存していてもよいが、望ましくは全て除去されるのが好ましい。)。
本実施形態の導電性インクによれば、100℃程度の低温加熱処理でも高い導電性を発現する導電膜パターンを形成することができるため、比較的熱に弱い基材上にも導電膜パターンを形成することができる。また、焼成時間は特に限定されるものではなく、焼成温度に応じて、基材上に導電膜パターンを形成できる。
本実施形態における上記の第一工程を経て得られる焼成前被膜は銀微粒子から形成され、それを外部加熱によって形成した焼結体であり、銀微粒子が本来有する導電性と同程度の良好な導電性を有しており、適度なラフネス及び反射率を有している。
第三工程
次に、上記の第二工程で形成した導電性被膜の少なくとも一部に、酸性溶液を接触させて洗浄する第三工程を実施する。当該第三工程により、本実施形態の電極を得る。
次に、上記の第二工程で形成した導電性被膜の少なくとも一部に、酸性溶液を接触させて洗浄する第三工程を実施する。当該第三工程により、本実施形態の電極を得る。
この第三工程においては、導電性被膜の少なくとも一部に酸性溶液を接触させればよく、この「接触」は「浸漬」や「噴霧」等をも含む概念である。また、酸性溶液を導電性被膜に滴下することも含む概念である。
ここで、本実施形態において用いる酸性溶液は、硫酸又は塩酸を含み、導電性被膜を効果的に洗浄できるものであればよいが、例えば1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の酸濃度の酸性溶液が望ましい。酸濃度が、1質量%以上であれば、洗浄の効果が得られ、50質量%以下であれば、導電性被膜を形成するフィルム基材や他の部材の劣化を抑制することができる。また、5質量%以上であれば、洗浄の効果がより確実に得られ、30質量%以下であれば、導電性被膜を形成するフィルム基材や他の部材の劣化をより確実に抑制することができる。
また、酸性溶液は、導電性被膜の表面への濡れ性を向上させるために、界面活性剤や水溶性溶剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられ、少量の添加で十分に表面自由エネルギーを低下させることができるフッ素系界面活性剤を好適に用いることができる。水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等が挙げられる。市販の界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル(株)製のフッ素系界面活性剤(サーフロン)を好適に使用することができる。
上記の酸性溶液として好適に使用できるものとして、例えば、奥野製薬工業(株)製のDPクリーン320等を例示することができる。また、この第三工程における接触による洗浄の環境温度は、室温でもよく、必要に応じて加温してもよい。また、酸性溶液による洗浄後は、水又は水溶性溶剤によって洗浄するのが好ましい。
また、第三工程を経た後の導電性被膜(即ち、電極)の厚さについては、特に制限はなく、得られた電極の用途によって適宜決定すればよいが、例えば、0.05〜1μmであるのが好ましく、0.1〜0.5μmであるのが特に好ましい。0.05μm以上であれば好適な導通が得られ、1μm以下であれば所望の性能が得られかつ余分な材料を必要とせずコスト面でも好ましい。
本実施形態においては、第三工程の導電性被膜の洗浄の後に得られた電極を、電極のキャリア注入性をより高める目的でSAM(自己組織化膜)による表面修飾(後工程)を行ってもよい。SAMとしては、例えばペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)、ホスホン酸、又はこれらの誘導体等を好適に使用することができる。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、特に記載していない内容については従来公知の技術を援用すればよく、また、種々の設計変更が可能であり、それらは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、導電性インクを印刷又は塗布するのに用いることのできる基材としては、導電性インクを印刷又は塗布して加熱により焼成して導電膜パターンを搭載することのできる、少なくとも1つの主面を有するものであれば、特に制限はないが、耐熱性に優れた基材であるのが好ましい。また、先に述べたように、本実施形態の導電性インクは、従来の導電性インクに比較して低い温度で加熱して焼成しても十分な導電性を有する導電膜パターンを得ることができるため、この低い焼成温度よりも高い温度範囲で、従来よりも耐熱温度の低い基材を用いることが可能である。
このような基材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミックス、ガラス又は金属等を挙げることができる。また、基材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された基材や親水化処理等の表面処理を施した基材を用いてもよい。
本実施形態においては、上記基材と導電膜パターン(導電性被膜乃至は電極)との密着性を更に高めるため、上記基材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性インク受容層を設ける方法等が挙げられる。
好適なプライマー層としては、例えばポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、無置換またはハロゲン原子置換ポリパラキシリレン、ポリアクリロニトリル、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、シルセスキオキサン、ポリビニルブチラール等を用いることができる。
上記のポリウレタンとしては、例えば特願2015−060183号明細書に記載の、−COO−H、−COOR、−COO−NH+R2及び−COO−NH4+(但し、R、R2はそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐の、置換基を有しても良いアルキル基、同シクロアルキル基、同アルキレン基、同オキシアルキレン基、同アリール基、同アラルキル基、同複素環基、同アルコキシ基、同アルコキシカルボニル基、同アシル基を示す。)のうちのいずれかの官能基を有し、破断伸度が600%以上であるポリウレタン樹脂が好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の電極の製造方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪調製例1≫
3−メトキシプロピルアミン(和光純薬工業(株)製試薬一級、炭素数:4、logP:−0.5)8.9gと、高分子分散剤であるDISPERBYK−102を0.3gと、を混合し、マグネティックスターラにてよく撹拌してアミン混合液を生成した(添加したアミンのモル比は銀に対して5)。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0gを添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で攪拌を続けることでシュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したと認められる時点で撹拌を終了した。
3−メトキシプロピルアミン(和光純薬工業(株)製試薬一級、炭素数:4、logP:−0.5)8.9gと、高分子分散剤であるDISPERBYK−102を0.3gと、を混合し、マグネティックスターラにてよく撹拌してアミン混合液を生成した(添加したアミンのモル比は銀に対して5)。次いで、撹拌を行いながら、シュウ酸銀3.0gを添加した。シュウ酸銀の添加後、室温で攪拌を続けることでシュウ酸銀を粘性のある白色の物質へと変化させ、当該変化が外見的に終了したと認められる時点で撹拌を終了した。
得られた混合液をオイルバスに移し、120℃で加熱撹拌を行った。撹拌の開始直後に二酸化炭素の発生を伴う反応が開始し、その後、二酸化炭素の発生が完了するまで撹拌を行うことで、銀微粒子がアミン混合物中に懸濁した懸濁液を得た。
次に、当該懸濁液の分散媒を置換するため、メタノール/水の混合溶媒10mLを加えて撹拌した後、遠心分離により銀微粒子を沈殿させて分離し、分離した銀微粒子に対して再度メタノール/水の混合溶媒10mLを加え、撹拌、遠心分離を行うことで銀微粒子を沈殿させて分離し、SOLSPERSE41000(日本ルーブリゾール(株)製)0.06gを含むエタノール2.1gを加えることで固形分濃度48質量%の銀微粒子分散体aを得た。
上記のようにして得た銀微粒子分散体aと、表1に示すその他の成分を添加・混合して、導電性インクaを調製した。なお、表1に示す成分の量は質量%で示している。
≪調製例2≫
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、タンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に対して3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間攪拌を行い銀コロイド水溶液を得た。得られた銀コロイド水溶液に対し、導電率が30μS/cm以下になるまで透析することで脱塩を行った。透析後、2100rpm(920G)、10分の条件で遠心分離を行うことで、粗大銀コロイド粒子を除去し、銀微粒子分散体bを得た。
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17g、タンニン酸0.36gを溶解した。得られた溶液に対して3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間攪拌を行い銀コロイド水溶液を得た。得られた銀コロイド水溶液に対し、導電率が30μS/cm以下になるまで透析することで脱塩を行った。透析後、2100rpm(920G)、10分の条件で遠心分離を行うことで、粗大銀コロイド粒子を除去し、銀微粒子分散体bを得た。
上記のようにして得た銀微粒子分散体bと、表2に示すその他の成分を添加・混合して、導電性インクbを調製した。なお、表2に示す成分の量は質量%で示している。
≪実施例1≫
本実施例においては、図1に示すトップゲートボトムコンタクト型構造を有するTFTを作製した。
PEN(ポリエチレンナフタレート)基板1上に、下地2としてDIC社製の「ハイドランHW−312B」をエタノールで3倍希釈することで樹脂層形成インクを、スピンコーターを用いて、ガラス基板上に樹脂層形成インクを2000rpm、30秒の条件で成膜した。その後、120℃で30分加熱することで樹脂層を形成させた。次いで、導電性インクaをシリコーン製ブランケット上にバーコーター(No.7)で塗布し、ガラス凸版を押圧し、非画像部(不要部分)を転写して除去した。更に、ブランケット材に基材を押圧することでS−D(ソース−ドレイン)電極パターンを基材1上の下地2に転写した(第一工程)。
得られたS−D電極パターンを120℃×30分の条件で焼成し導電性被膜積層体(1,2,3)を形成した(第二工程)。
次に、上記導電性被膜を奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)に45℃で30秒間浸漬した後、純水にてリンスし、本発明の電極3を得た(第三工程)。
本実施例においては、図1に示すトップゲートボトムコンタクト型構造を有するTFTを作製した。
PEN(ポリエチレンナフタレート)基板1上に、下地2としてDIC社製の「ハイドランHW−312B」をエタノールで3倍希釈することで樹脂層形成インクを、スピンコーターを用いて、ガラス基板上に樹脂層形成インクを2000rpm、30秒の条件で成膜した。その後、120℃で30分加熱することで樹脂層を形成させた。次いで、導電性インクaをシリコーン製ブランケット上にバーコーター(No.7)で塗布し、ガラス凸版を押圧し、非画像部(不要部分)を転写して除去した。更に、ブランケット材に基材を押圧することでS−D(ソース−ドレイン)電極パターンを基材1上の下地2に転写した(第一工程)。
得られたS−D電極パターンを120℃×30分の条件で焼成し導電性被膜積層体(1,2,3)を形成した(第二工程)。
次に、上記導電性被膜を奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)に45℃で30秒間浸漬した後、純水にてリンスし、本発明の電極3を得た(第三工程)。
次いで、Sigma−Aldrich社製の半導体F8T2(Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-co-bithiophene])をテトラリンに溶解させたものをインクジェットにより、S−D電極パターンからなる電極3間に塗布を行った。その後、チッ素雰囲気中で100℃×5分の条件で加熱することで半導体層4を形成した。
その後、スピンコーターを用いて、3000rpm×30秒の条件でフッ素系の絶縁膜5を形成した。その後、100℃×5分の条件で形成した。
次いで、上記のS−D電極パターンと同様に、G(ゲート)電極パターンを印刷した。得られたG電極パターンを120℃×30分の条件で焼成し、G電極6を形成することで図1に示す構造のTFT(トップゲートボトムコンタクト型)を作製した。
その後、スピンコーターを用いて、3000rpm×30秒の条件でフッ素系の絶縁膜5を形成した。その後、100℃×5分の条件で形成した。
次いで、上記のS−D電極パターンと同様に、G(ゲート)電極パターンを印刷した。得られたG電極パターンを120℃×30分の条件で焼成し、G電極6を形成することで図1に示す構造のTFT(トップゲートボトムコンタクト型)を作製した。
≪比較例1≫
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
≪実施例2≫
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」の代わりに、硫酸10%、IPA10%水溶液を用い、室温で1分浸漬させた以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」の代わりに、硫酸10%、IPA10%水溶液を用い、室温で1分浸漬させた以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
≪実施例3≫
実施例1と同様に、電極3の表面を洗浄した後、ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)のIPA溶液に基板を1分浸漬し、その後IPAに浸漬・洗浄した後、60℃、1分の条件で基板を乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、TFTを作製した。
実施例1と同様に、電極3の表面を洗浄した後、ペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)のIPA溶液に基板を1分浸漬し、その後IPAに浸漬・洗浄した後、60℃、1分の条件で基板を乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、TFTを作製した。
≪実施例4≫
導電性インクaの代わりに導電性インクbを用いたこと以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
≪実施例5≫
硫酸10%水溶液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、TFTを作製した。
導電性インクaの代わりに導電性インクbを用いたこと以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
≪実施例5≫
硫酸10%水溶液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、TFTを作製した。
≪比較例2≫
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」の代わりに、奥野製薬工業(株)製の「OPC−180クリーナー(200g/水1L)」を用い、60℃で1分浸漬させた以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」の代わりに、奥野製薬工業(株)製の「OPC−180クリーナー(200g/水1L)」を用い、60℃で1分浸漬させた以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
≪比較例3≫
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」の代わりに、奥野製薬工業(株)製の「OPCクリーン65(500g/水1L)」を用い、室温で1分浸漬させた以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」の代わりに、奥野製薬工業(株)製の「OPCクリーン65(500g/水1L)」を用い、室温で1分浸漬させた以外は実施例1と同様にして、TFTを作製した。
[評価試験1]
上記の実施例1〜4及び比較例1〜3において得られたTFT素子の特性を、Agilent社製のB1500Aを用いて評価した。ゲート電圧を0Vから80Vまで、ドレイン電圧を0Vから80Vまで走査したときの出力特性を測定し、ドレイン電圧が−80Vの時のゲート電圧とドレイン電流の関係より、移動度とON−OFF比を算出した。結果を表3に示した。
上記の実施例1〜4及び比較例1〜3において得られたTFT素子の特性を、Agilent社製のB1500Aを用いて評価した。ゲート電圧を0Vから80Vまで、ドレイン電圧を0Vから80Vまで走査したときの出力特性を測定し、ドレイン電圧が−80Vの時のゲート電圧とドレイン電流の関係より、移動度とON−OFF比を算出した。結果を表3に示した。
また、実施例1におけるTFTの出力特性を示すグラフ及び比較例1におけるTFTの出力特性を示すグラフを、それぞれ図2及び図3に示した。
図2及び図3並びに表1から、実施例1及び2で洗浄した場合は 良好なTFT特性を示したが、比較例1(洗浄なし)、比較例2(アルカリ性)及び比較例3(中性)では、相対的にTFT特性が劣ることがわかる。
また、実施例3から、PFBTによってS−D電極表面が適切に修飾されており、良好なTFT特性を示していることが伺える。実施例4は、インクbを用いることで、移動度とON−OFF比がインクaを用いた実施例1の結果よりもやや劣るものの、比較的良好な結果である。更に、実施例5では、目視で、S−D電極表面上の処理ムラが認められるが、比較的良好なTFT特性を示していることがわかる。
また、実施例3から、PFBTによってS−D電極表面が適切に修飾されており、良好なTFT特性を示していることが伺える。実施例4は、インクbを用いることで、移動度とON−OFF比がインクaを用いた実施例1の結果よりもやや劣るものの、比較的良好な結果である。更に、実施例5では、目視で、S−D電極表面上の処理ムラが認められるが、比較的良好なTFT特性を示していることがわかる。
[評価試験2]
次に、上記の導電性インクを用いて得られた電極の洗浄効果について、実施例1及び比較例1に相当する実験を行って、追加的に評価試験を行った。
(1)導電性インクaをシリコーン製ブランケット上にバーコーター(No.7)で塗布し、ブランケット材に基材を押圧することでベタ膜を基材に転写した。得られたベタ膜を120℃×30分の条件で焼成し導電性被膜を形成した。次いで、奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)に45℃で30秒間浸漬した後、純水にてリンスした。これにより、本発明の電極を得た。
(2)奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」を用いなかったこと以外は上記(1)と同様とし、比較用電極を得た。
次に、上記の導電性インクを用いて得られた電極の洗浄効果について、実施例1及び比較例1に相当する実験を行って、追加的に評価試験を行った。
(1)導電性インクaをシリコーン製ブランケット上にバーコーター(No.7)で塗布し、ブランケット材に基材を押圧することでベタ膜を基材に転写した。得られたベタ膜を120℃×30分の条件で焼成し導電性被膜を形成した。次いで、奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)に45℃で30秒間浸漬した後、純水にてリンスした。これにより、本発明の電極を得た。
(2)奥野製薬工業(株)製の「DPクリーン320(100g/水1L)」を用いなかったこと以外は上記(1)と同様とし、比較用電極を得た。
上記(1)及び(2)で得た電極及び比較用電極の仕事関数を、理研計器(株)製のAC−2を用いて測定した。得られた結果を図4に示した。図4は、実施例1及び比較例1で得た電極において、導電性被膜の洗浄効果を評価した結果を示すグラフである。
図4から、AC−2により算出される仕事関数はそれぞれ、4.4eV(実施例1)及び4.8eV(比較例1)となり、実施例1のほうがバルクの銀(4.3eV)に近い値となっており、かつ、Yield(縦軸)が上昇していることから、同じエネルギーを与えても放出される光電子がより多く、その結果として効率的なキャリア注入が行われたものと判断される。
Claims (15)
- 金属ナノ粒子を主成分とする導電性インクを印刷又は塗布することにより焼成前被膜を形成する第一工程と、
前記焼成前被膜を焼成して導電性被膜を形成する第二工程と、
前記導電性被膜の少なくとも一部に酸性溶液を接触させて洗浄する第三工程と、
を含むことを特徴とする電極の製造方法。 - 前記電極が薄膜トランジスタ(TFT)用の電極であること、
を特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。 - 前記酸性溶液が硫酸を含むこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の電極の製造方法。 - 前記酸性溶液が界面活性剤又は水溶性溶剤を含むこと、
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極の製造方法。 - 前記水溶性溶剤がメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極の製造方法。
- 前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子であること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極の製造方法。 - 前記導電性インクが、
金属ナノ粒子と、炭素数が5以下である短鎖アミンと、高極性溶媒と、前記金属ナノ粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含み、前記短鎖アミンの分配係数logPが−1.0〜1.4である金属ナノ粒子分散体を含むこと、
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電極の製造方法。 - 前記金属ナノ粒子分散体が、更に、酸価を有する保護分散剤を含むこと、
を特徴とする請求項7に記載の電極の製造方法。 - 前記短鎖アミンがアルコキシアミンであること、
を特徴とする請求項7又は8に記載の電極の製造方法。 - 前記保護分散剤の酸価が5〜200であること、
を特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の電極の製造方法。 - 前記保護分散剤がリン酸由来の官能基を有すること、
を特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の電極の製造方法。 - 前記高極性溶媒がメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又はn−プロピルアルコールであること、
を特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の電極の製造方法。 - 前記導電性インクが、
金属ナノ粒子と、
エタノールを含む溶媒と、
水酸基を有する高沸点溶剤0.1〜3.0質量%と、を含むこと、
を特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電極の製造方法。 - 前記高沸点溶剤が、1,3−ブチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール又はオクタンジオールを含むこと、
を特徴とする請求項13に記載の電極の製造方法。 - 前記導電性インクが、更にハイドロフルオロエーテルを含むこと、
を特徴とする請求項13又は14に記載の電極の製造方法。
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