JPWO2016080524A1 - 超電導コイル - Google Patents

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Abstract

超電導コイルであって、超電導線材が巻回されたコイル体と、前記コイル体の外周面に対向する第1面と、前記第1面とは反対に位置する第2面と、前記第1面において前記コイル体の前記超電導線材に半田接合された基部と、前記第2面から前記コイル体の外側に延出する延出部を有する電極部材と、前記電極部材の前記第2面から前記延出部に向けて延び、前記基部および前記延出部に亘って半田接合された電極用超電導線材と、を備え、前記コイル体の前記超電導線材の幅W1と、前記電極部材の前記基部の幅W2と、前記電極用超電導線材の幅W3と、の関係が式W1>W2≧W3を満たす。

Description

本発明は、超電導コイルに関する。
本願は、2014年11月21日に出願された特願2014−236194号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、超電導線材として、Bi2212(BiSrCaCu8+δ)、Bi2223(BiSrCaCu10+δ)等のビスマス系超電導線材や、RE123(REBaCu7−δ、RE:希土類元素、例えばイットリウム)等のイットリウム系超電導線材といった、酸化物超電導線材(以下、単に超電導線材)の開発が進められている。超電導線材は、比較的高温の領域で使用できることから、超電導コイル等への応用開発も進められている。超電導線材としては、テープ状に形成された線材が知られており、このような超電導線材を用いた超電導コイルとして、パンケーキコイル、ダブルパンケーキコイル、あるいはこれらのコイルが複数積層された超電導コイルが開発されている。
超電導コイルは、巻回された超電導線材に電流供給のための電極が設けられる。電極は常電導部材から形成されるため、電極からの発熱を抑制するための構造が求められる。例えば、特許文献1に記載の超電導コイルは、巻回された超電導線材の端部を引き出して、L字状に形成された電極に沿う様に半田付けすることで、電極での発熱を抑制する。
日本国特開2012−164859号公報
通常、超電導コイルは、超電導線材を巻回した後に、樹脂により含浸される。したがって、超電導コイルから超電導線材を引き出すためには、超電導コイルの端部付近において超電導線材を含浸樹脂から引き剥がす必要がある。この作業により、超電導線材の酸化物超電導体に負荷がかかり、超電導特性が劣化する虞があった。
また、超電導コイルは、コイル冷却用の金属製フランジ等により超電導コイルの上面および下面から挟み込まれる等、周囲に導電性の部材が配置されることがある。電極が導電性の部材に近接すると電極からフランジに放電する虞があり、超電導コイルの耐電圧が低下する。したがって、電極を超電導コイルの外周に沿って設ける構造とする場合には、電極が超電導コイルの高さ寸法内に収まるように電極の半田付けを行う必要があり、大変な労力を要していた。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、電極における発熱を抑制するとともに、超電導特性の劣化が生じにくく、容易な作業工程で耐電圧を高めることができる超電導コイルの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る超電導コイルは、超電導線材が巻回されたコイル体と、前記コイル体の外周面に対向する第1面と、前記第1面とは反対に位置する第2面と、前記第1面において前記コイル体の前記超電導線材に半田接合された基部と、前記第2面から前記コイル体の外側に延出する延出部を有する電極部材と、前記電極部材の前記第2面から前記延出部に向けて延び、前記基部および前記延出部に亘って半田接合された電極用超電導線材と、を備え、前記コイル体の前記超電導線材の幅W1と、前記電極部材の前記基部の幅W2と、前記電極用超電導線材の幅W3と、の関係が式W1>W2≧W3を満たす。
上記態様に係る構成によれば、電極部材に電極用超電導線材が半田接合されているために、電極部材に流れる電流を電極用超電導線材でバイパスして、電極部材の発熱を抑制できる。
また、上記態様に係る構成によれば、コイル体の外周面に位置する超電導線材に、電極部材が半田接合されている。したがって、コイル体の外周面に位置する超電導線材の一面を露出させるのみで、電極部材を接合できるため、コイル体が樹脂により含浸されていた場合であっても、超電導線材に負荷が加わりにくい。したがって、電極部材の接続工程で、超電導特性の劣化が起こりにくい。
加えて、上記態様に係る構成によれば、電極部材および電極用超電導線材の幅寸法が、コイル体の超電導線材の幅寸法より狭い。これにより、電極部材がコイル体の幅方向において(幅寸法に対して)、コイル体の上端および下端からはみ出すことがない。したがって、コイル体が導電性のフランジに挟み込まれる場合などにおいても、フランジと電極部材および電極用超電導線材との距離を確保して、超電導コイルの耐電圧を高めることができる。
前記電極部材は、前記第2面が延在する方向と交差する方向に延在する第3面と、前記第2面と前記第3面との間に位置する境界部とを有し、前記電極用超電導線材は、前記第2面、前記第3面、及び前記境界部を覆うように前記基部および前記延出部に亘って半田接合されていてもよい。
前記コイル体の臨界電流値Ic1と、前記電極用超電導線材の臨界電流値Ic2と、の関係が式Ic2≧Ic1を満たしていてもよい。
コイル体の臨界電流値に対して、電極用超電導線材の臨界電流値が低い場合には、電極用超電導線材の臨界電流値以上の電流をコイル体に流そうとすると、電極部材に電流が流れて、発熱する虞がある。上記態様に係る構成によれば、電極用超電導線材の臨界電流値が、コイル体の臨界電流値より高いため、超電導コイルには、コイル体の臨界電流値まで電流を流すことが可能となる。したがって、超電導コイルの能力を十分に発揮させることができる。
また、上述したように、上記態様に係る超電導コイルは、電極用超電導線材の幅が、コイル体の超電導線材の幅より狭くなっている。上述した超電導線材の臨界電流値を基準に、電極用超電導線材の幅を規定して、電極用超電導線材を選定することができる。
前記電極部材の前記第2面から前記延出部に向けて延び、前記基部および前記延出部に亘って前記電極用超電導線材の幅より大きい溝が設けられ、前記溝内において前記電極用超電導線材が前記基部および前記延出部に半田接合されていてもよい。
上記態様に係る構成によれば、電極用超電導線材を電極部材の溝に沿うように配置した状態で、半田接合を行うことができるため、半田接合の作業性が高まる。加えて、電極用超電導線材が電極部材に対し斜めに配置されることがなく、電極用超電導線材がコイル体の幅方向における上端および下端からはみ出すことを抑制できる。したがって、超電導コイルの耐電圧を確実に確保できる。
また、電極部材は、第1面にコイル体の超電導線材が半田接合され、第2面に電極用超電導線材が半田接合されるため、厚さ方向に電流が流れる。したがって、電極部材を薄くすることで、線材間の距離を小さくして、接続抵抗を低くすることができる。一方で、電極部材は自重や弱い外力で容易に変形することがない十分な剛性を得るため所定の厚さが必要となる。電極部材に溝を設けることで、電極部材の厚さ方向の軸に関する断面二次モーメントを大きくすることができ、電極部材の剛性を高めることができる。溝を設けることにより、電極部材は、十分な剛性を備えつつ、線材間の距離を小さくして、接続抵抗を低くすることができる。
前記超電導線材が、第1の基材と前記第1の基材上に設けられた第1の酸化物超電導層と前記第1の酸化物超電導層上に設けられた第1の安定化層とを有し、前記電極用超電導線材が、第2の基材と前記第2の基材上に設けられた第2の酸化物超電導層と前記第2の酸化物超電導層上に設けられた第2の安定化層とを有し、前記電極部材の前記第1面に、前記第1の安定化層が対向するように半田接合され、前記電極部材の前記第2面に、前記第2の安定化層が対向するように半田接合されていてもよい。
上記態様に係る構成によれば、超電導線材は積層構造を有するために、超電導線材を幅方向に切断するのみで容易に細幅の超電導線材を作製できる。したがって、コイル体の超電導線材に対して細幅の電極用超電導線材を容易に形成できる。
前記電極用超電導線材は、外周が銅で被覆されていてもよい。
上記態様に係る構成によれば、電極用超電導線材が銅で覆われているために、電極用超電導線材の電流特性を安定化できるのみならず、内部を封止して水分浸入を抑制し水分による超電導特性の劣化を防ぐことができる。また、銅は、半田に対するなじみが良く、また半田に対する接合性が高い。電極用超電導線材の外周を銅で覆うことにより、電極用超電導線材と電極部材との接合において、電極用超電導線材の側部まで半田が広がり、電極用超電導線材と電極部材との接合強度を高め、電極用超電導線材が電極部材から剥離することを抑制できる。
前記コイル体の前記超電導線材は前記電極部材と、第1の半田部材により接合されており、前記電極部材は前記電極用超電導線材と、第2の半田部材により接合されており、前記第1の半田部材の融点は、前記第2の半田部材の融点と異なっていてもよい。
上記態様に係る構成によれば、融点の高い一方の半田部材により電極部材と線材とを半田付けした後に、融点の低い他方の半田部材により電極部材と線材とを半田付けできる。融点の低い半田部材により接合する際には、融点の高い半田部材より低い温度で半田を溶融させることで、融点の高い半田部材が溶融しない。したがって、電極部材の第1面と第2面とにそれぞれ線材を半田接合できる。
上記態様によれば、電極部材に電極用超電導線材が半田接合されているために、電極部材に流れる電流を電極用超電導線材でバイパスして、電極部材の発熱を抑制できる。また、コイル体の外周面に位置する超電導線材の安定化層を露出させるのみで、電極部材を接合でき、超電導線材に負荷が加わりにくい。したがって、電極部材の接続工程で、超電導特性の劣化が起こりにくい。加えて、電極部材および電極用超電導線材の幅寸法が、コイル体の超電導線材の幅寸法より狭くなっていることで、コイル体の周囲に導電性の部材と電極部材との距離を確保して、超電導コイルの耐電圧を高めることができる。
実施形態に係る超電導コイルの一例構造を示す概略斜視図である。 図1に示す超電導コイルが備える超電導線材および電極用超電導線材の一例構造を示す概略斜視図である。 図1に示す超電導コイルの電極接合部の構造を模式的に示す上面図である。 図1に示す超電導コイルの正面図である。 図1に示す超電導コイルに採用可能な変形例の電極部材を説明するための図であり、変形例の電極部材を備えた電極接合部の斜視図である。 図5AのB−B線に沿う断面図である。 ビスマス系の超電導線材の一例構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る超電導コイルについて図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明の一実施形態に係る超電導コイル10を示す概略斜視図である。超電導コイル10は、第1のコイル6Aと第2のコイル6Bとが、同軸に第2のコイル6Bの上に第1のコイル6Aが設けられるように積層されたコイル体6と、2つの電極接合部7を有している。コイル体6は、含浸樹脂5で覆われている。
第1のコイル6Aは、超電導線材1が同心円状、時計回りに多数回巻回されたパンケーキ型のコイルである。第2のコイル6Bは、超電導線材1が同心円状、反時計回りに多数回巻回されたパンケーキ型のコイルである。
各コイル6A、6Bの内側に位置する第1のコイル6Aの巻回始端と第2のコイル6Bの巻回始端とは、互いに隣接するように配されており、良導電性の接続板(図示略)により、電気的および機械的に接続され、コイル体6を形成している。また、各コイル6A、6Bの最外周に位置する巻回終端には、電極部材2が接合され、電極接合部7を形成している。電極接合部7において、電極部材2には、電極用超電導線材3が接合されている。
コイル体6は、含浸樹脂5により固定されており、磁場に起因する応力に対し強固な構造である。含浸樹脂5としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いる事ができる。これにより超電導コイル10の機械的強度(コイル剛性)を向上させることができる。
図2は、超電導コイル10が備える超電導線材1の構造の一例を示す概略斜視図である。
本実施形態では、超電導線材1として、イットリウム系酸化物超電導線材を例示する。超電導線材1は、テープ状の基材11の上に中間層15と酸化物超電導層17と保護層18とが積層されるとともに、少なくとも保護層18上に安定化層19が積層された構造を有している。また、超電導線材1は、絶縁性の被覆層20で覆われた状態で、コイル6A、6Bとして巻回されている。図1に示すように、各コイル6A、6Bの超電導線材1は、コイル6Aおよび6Bの巻回終端側において安定化層19上の含浸樹脂5と被覆層20が除去され、露出した安定化層19上に電極部材2が接合されている。
基材11は、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)に代表されるニッケル合金やステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金が適用される。基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、10〜500μmの範囲とすることができる。
中間層15は、基材11の上面に形成される。中間層15は、一例として、基材11側から順に拡散防止層とベッド層と配向層とキャップ層の積層構造とすることができるが、拡散防止層とベッド層の一方あるいは両方を略して構成してもよい。
酸化物超電導層17は酸化物超電導体として公知の材料で良く、具体的には、RE−123系と呼ばれるREBaCu(REは希土類元素)を例示できる。
保護層18は、酸化物超電導層17の上面に形成されるAg又はAg合金から形成される層である。保護層18は、酸化物超電導層17を保護する役割および事故時に発生する過電流をバイパスする役割を果たす。
安定化層19は、少なくとも保護層18の上面に形成されている。本実施形態に係る安定化層19は、金属テープにより基材11、中間層15、酸化物超電導層17、保護層18からなる積層体を断面視略C字型に覆うことで形成されている。安定化層19は、基材11、中間層15、酸化物超電導層17および保護層18からなる積層体の外周(横断面四方)において半田層13を介し接合されている。安定化層19により覆われていない部分(即ち、金属テープの側端部同士の間)は、溶融した半田層13が埋め込まれた埋込部13aが形成されている。安定化層19を構成する金属テープの厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜300μmとすることができる。
安定化層19は、良導電性を有する材料からなり、例えば、銅、黄銅、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなる材料を用いることが好ましい。安定化層19は、保護層18とともに、酸化物超電導層17の電流が転流するバイパスとして機能する。
なお、安定化層19は、保護層18の上面のみに金属テープを半田付けすることで形成してもよい。また、安定化層19は、めっき法、スパッタ法などの公知の方法により形成してもよい。
以上説明のように構成された超電導線材1は、全周を取り囲む被覆層20が形成された状態でコイル6A、6Bとして巻回される。被覆層20は、例えば、超電導線材1の全周を取り囲むようにポリイミドテープなどの絶縁テープを螺旋状に重ね巻きして形成できる。
絶縁テープの巻きつけ方は、螺旋状に重ね巻きする方法以外にも、縦添えによって包囲する方法などがある。
本実施形態に係る超電導線材1は、基材11を内側に、安定化層19を外側にしてコイル状に巻回される。これにより、超電導線材1の巻回終端部において、超電導線材1の安定化層19が外側に配置される。なお、巻回終端部において、安定化層19が外側に配置されていれば、コイル6A、6Bの内部において表面と裏面とが逆に配置された超電導線材1を接続して用いてもよい。即ち、巻回始端部において、基材11を外側にしてコイル状に巻回し、途中で基材11を内側に配置した超電導線材と接続した線材を巻回してコイル6A、6Bを作製してもよい。
以上のように構成された超電導線材1の巻回終端部において、超電導線材1の安定化層19上に電極部材2が接合されて、電極接合部7を形成している。図3は、本実施形態に係る超電導コイル10における電極接合部7の構造を模式的に示す上面図である。なお、第1のコイル6Aと第2のコイル6Bとの電極接合部7の構造は、各コイル体を構成する超電導線材1の巻回方向が逆であること、および、電極接合部7における電極部材2の接合方向が周方向逆向きであること以外は同様の構成であるため、以下の説明においては、第1のコイル6Aの電極接合部7の構造を例に説明する。
図3は、図1に示す超電導コイル10の電極接合部7の構造を模式的に示す上面図である。図3において、含浸樹脂5を二点鎖線で示す。
図3に示すように、第1のコイル6Aは、超電導線材1の巻回終端部において、含浸樹脂5および超電導線材1の外周を覆う被覆層20が除去されている。本実施形態に係る超電導線材1の安定化層(第1の安定化層)19は、基材(第1の基材)11、中間層(第1の中間層)15、酸化物超電導層(第1の酸化物超電導層)17および保護層(第1の保護層)18からなる積層体の外周を覆う様に設けられている。含浸樹脂5および被覆層20の除去は、超電導線材1の全周に位置する安定化層19のうち、コイル6Aの外周側に位置する面が露出するように行われていればよい。また、コイル6Aは、基材11を内側にして巻回されているため、安定化層19のうち、酸化物超電導層17側の(酸化物超電導層17に近い)面が露出されている。露出された安定化層19(第1の安定化層)には、第1の半田部材21を介し、電極部材2が半田接合されている。
電極部材2は、第1のコイル6Aの超電導線材1の巻回終端部に沿うように配置される基部2aと、基部2aの一端からコイル体6の外側に延出する延出部2bと、を有し、L字状に形成されている。また、電極部材2は、基部2aおよび延出部2bに亘る全長に対し、表面として第1面2cと、裏面として第2面2d(基部2a上の面)および第3面2f(延出部2b上の面)とを有している。また、電極部材2は、基部2aと延出部2bとの境界部2eを有している。電極部材2において、第2面2dが延在する方向と交差する方向に第3面2fは延在しており、かつ、境界部2e(境界部の内角側の面、湾曲部)は第2面2dと第3面2fとの間に位置している。第1面2cの一部は、コイル体6の外周面と対向している。
電極部材2の基部2aは、第1面2cにおいて、含浸樹脂5及び被覆層20が除去され露出された超電導線材1の安定化層(第1の安定化層)19と、半田接合されている。電極部材2は超電導線材1と、第1の半田部材21により接合されている。
また、電極部材2は、第2面2dおよび第3面2fにおいて、電極用超電導線材3によって第2面2d、第3面2f、および境界部2e(境界部の内角側の面、湾曲部)が覆われるように、基部2aおよび延出部2bに亘って、電極用超電導線材3と半田接合されている。電極部材2は電極用超電導線材3と、第2の半田部材22により接合されている。
電極部材2は、電極材料として従来公知の材料を用いることが可能であり、高い導電性を有する金属、例えば、銅、銀、金、白金、又はこれらの金属を少なくとも1種含む合金が挙げられ、中でも安価で導電率の優れた銅が好ましい。また、電極部材2は、表面に半田、Sn、Ag、Auのうち何れかをめっきした部材であってもよい。電極部材2は、自重や弱い外力で容易に変形することがない十分な剛性を得るために、所定の厚さを有することが好ましい。例えば電極部材2の厚さは1mm〜5mm程度である。また、後段に詳しく説明するように、電極部材2の基部2aの幅W2は、超電導線材1の幅W1より狭いことが好ましい。即ちW1>W2であることが好ましい(図1等参照)。
電極用超電導線材3は、電極部材2の基部2aおよび延出部2bに亘って半田接合されて設けられていることで、電極部材2に流れる電流をバイパスする。これにより、電極用超電導線材3は、電極部材2に流れる電流を低減させ電極部材2の発熱を抑制する機能を果たす。
電極用超電導線材3は、コイル6Aの超電導線材1と同様の層構造を有する。即ち、図2に示すように、電極用超電導線材3は、テープ状の基材11の上に中間層15と酸化物超電導層17と保護層18とが積層されるとともに、少なくとも保護層18上に安定化層19が設けられた構造である。ただし、電極用超電導線材3の外周には、被覆層20が設けられていない。
電極用超電導線材3の安定化層(第2の安定化層)19は、基材(第2の基材)11、中間層(第2の中間層)15、酸化物超電導層(第2の酸化物超電導層)17および保護層(第2の保護層)18からなる積層体の外周を覆うように設けられていることが好ましい(図2参照)。また、安定化層19としては、導電性が高く比較的安価な銅を用いることが好ましい。即ち、電極用超電導線材3は、外周を銅で覆われた構造であることが好ましい。銅は、半田とのなじみが良く、また半田との接合性が高い。電極用超電導線材3の外周を銅で覆うことにより、電極用超電導線材3と電極部材2との接合において、電極用超電導線材3の側部まで半田が広がり、電極用超電導線材3と電極部材2との接合強度を高め、電極用超電導線材3が電極部材2から剥離することを抑制できる。加えて、電極用超電導線材3は、外周を銅で覆われた構造に形成することで、電流特性を安定化できる。また、銅により内部を封止し水分浸入を抑制し水分による超電導特性の劣化を防ぐことができる。
電極用超電導線材3は、酸化物超電導層17側に位置する安定化層(第2の安定化層)19が、第2の半田部材22により、電極部材2の基部2aにおける第2面2dおよび延出部2bにおける第3面2fに接合されている。後段に詳しく説明するように、電極用超電導線材3の幅W3は、電極部材2の幅W2と同じか狭いことが好ましい。即ち、W2≧W3であることが好ましい(図1等参照)。
電極用超電導線材3は、電極部材2の基部2aおよび延出部2bに亘って半田接合されているために、基部2aと延出部2bとの境界部2eに沿って湾曲している。湾曲部における電極用超電導線材3の曲げ半径Rは、例えば、曲げ半径Rを5mm以上であることが好ましく、6〜16mmの範囲であることがより好ましい、電極部材2の曲げ半径Rを前記範囲とすることにより、折り曲げによる超電導特性の低下を抑制できる。また、電極接合部7の寸法が大きくならずコンパクトにできる。
電極用超電導線材3の曲げ半径Rは、境界部2eにおける内角側の曲率半径に依存するため、境界部2eの内角側の曲率半径は、電極用超電導線材3の曲げ半径Rが上述の範囲となるように決定することが好ましい。
電極用超電導線材3の臨界電流値Ic2は、コイル体6の臨界電流値Ic1と同じか、臨界電流値Ic1より高いことが好ましい。即ち、Ic2≧Ic1であることが好ましい。コイル体6の臨界電流値Ic1に対して、電極用超電導線材3の臨界電流値Ic2が低い場合には、電極用超電導線材3の臨界電流値以上の電流を超電導コイル10に流そうとすると、電極部材2に電流が流れて、発熱する虞がある。電極用超電導線材3の臨界電流値Ic2が、コイル体6の臨界電流値Ic1より高くなることで、超電導コイル10には、コイル体6の臨界電流値Ic1まで電流を流すことが可能となる。したがって、超電導コイル10の能力を十分に発揮させることができる。
なお、コイル体6の臨界電流値Ic1は、必ずしも巻回された超電導線材1の臨界電流値とは、一致しない。コイル体6は、超電導線材1を巻回して形成されているために、電流を流すと大きな磁場が加わる。この磁場の影響により、コイル体6の臨界電流値Ic1は、超電導線材1の臨界電流値より低くなる場合がある。
超電導コイル10は、電極用超電導線材3の幅W3が、コイル体6の超電導線材1の幅W1より狭くなっている。一般的に各層の膜厚が一定であれば、超電導線材の臨界電流値は、幅が狭くなるに従い低くなる。電極用超電導線材3は、臨界電流値Ic3が、コイル体6の臨界電流値Ic2以上となるように、幅W3が設定されることが好ましい。また、電極用超電導線材3の幅W3に応じて、W2≧W3となるように電極部材2の幅W2が設定されることが好ましい。
第1の半田部材21は、コイル体6の超電導線材1と電極部材2とを接合する。また、第2の半田部材22は、電極部材2と電極用超電導線材3とを接合する。第1の半田部材21と第2の半田部材22とは、融点が異なるものであることが好ましい。
例えば、第1の半田部材21の融点が、第2の半田部材22の融点より高い場合には、まず、第1の半田部材21により、コイル体6の超電導線材1と電極部材2とを接合する。次に、第2の半田部材22の融点以上であり第1の半田部材21の融点以下の温度で第2の半田部材22を溶融させ、第2の半田部材22で電極部材2と電極用超電導線材3とを接合する。このような手順で電極用超電導線材3を接合することで、第1の半田部材21が溶融することがなく、電極部材2の第1面2c、第2面2d、および第3面2fにそれぞれ超電導線材1および電極用超電導線材3を半田接合できる。
なお、第1の半田部材21および第2の半田部材22の半田の種類は、特に限定されず、例えば、Sn、Sn−Pb系合金半田、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−In系合金等の鉛フリー半田、共晶半田、低温半田等が挙げられ、これらの半田を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
次に、コイル体6の超電導線材1の幅W1と、電極部材2の基部2aの幅W2と、電極用超電導線材3の幅W3と、の関係について、図4を基により詳しく説明する。図4は、超電導コイル10の正面図である。図4において、図3と同様に含浸樹脂5を二点鎖線で示す。図4に示すように、超電導コイル10の上面と下面には、それぞれ冷却用のフランジ25が配置されている。フランジ25は、冷却効率を高めるために金属材料からなる。
図4に示すように、超電導コイル10は、コイル体6の超電導線材1の幅W1と、電極部材2の基部2aの幅W2と、の関係がW1>W2を満たす。即ち、電極部材2の基部2aの幅寸法(W2)が、コイル体6の超電導線材1の幅寸法(W1)より狭くなっている。この関係を満たすことにより、電極部材2の基部2aがコイル体6の幅方向において(幅寸法に対して)コイル体6の上端および下端からはみ出すことがない。
また、超電導コイル10は、電極部材基部2aの幅W2と、電極用超電導線材3の幅W3と、の関係がW2≧W3を満たす。即ち、電極用超電導線材3の幅寸法(W3)が、電極部材2の基部2aの幅寸法(W2)以下となっている。この関係を満たすことにより、電極用超電導線材3が電極部材2の基部の幅方向に収まった状態となる。
以上の構成を有することで、超電導コイル10は、超電導コイル10の上面および下面から導電性のフランジ25に挟み込まれる場合においても、フランジ25と電極部材2および電極用超電導線材3との距離を確保できる。電極部材2および電極用超電導線材3がフランジ25に近接すると電極部材2からフランジ25に放電する虞がある。フランジ25と電極部材2および電極用超電導線材3との距離を確保することで、超電導コイル10の耐電圧を高めることができる。
また、ここでは、電極部材2の基部2aの幅W2に注目したが、電極部材2は、全体に亘り幅が一定であり、基部2aの幅W2と延出部2bの幅は同じとすることが好ましい。
これにより、電極部材2の延出部2bがフランジ25と近接することがなく、耐電圧を高めることができる。
なお、本実施形態に係る超電導線材1および電極用超電導線材3は、基材11と、基材11上に設けられた酸化物超電導層17と、酸化物超電導層17上に設けられた安定化層19と、を有する。このような積層構造の超電導線材を採用する場合には、超電導線材を幅方向に切断するのみで容易に細幅化できる。したがって、コイル体6の超電導線材1に対して細幅の電極用超電導線材3を容易に製造できる。
(変形例)
図5Aおよび図5Bは、上述した超電導コイル10に採用可能な変形例の電極部材102を説明するための図である。図5Aは、電極部材102を備えた電極接合部107の斜視図であり、図5Bは、図5AのB−B線に沿った断面図である。上述した実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。また、図5Bにおいて、電極部材102と超電導線材1とを接合する第1の半田部材21および電極部材102と電極用超電導線材3とを接合する第2の半田部材22の図示を省略する。
電極部材102は、上述した電極部材2と概略同様の構造を有しているが、溝108が設けられている点において電極部材2の構造とは異なる。
電極部材102は、コイル体6の超電導線材1の巻回終端部に沿うように配置される基部102aと、基部102aの一端からコイル体6の外側に延出する延出部102bと、を有し、L字状に形成されている。また、電極部材102は、基部102aおよび延出部102bに亘る全長に対し、表面として第1面102cと、裏面として第2面102d(基部102a上の面)および第3面102f(延出部102b上の面)とを有している。第1面102cの一部は、コイル体6の外周面と対向しており、コイル体6の外周面から露出する超電導線材1と半田接合されている。
また、電極部材102は、基部102aと延出部102bとの境界部102eを有している。電極部材102において、第2面102dが延在する方向と交差する方向に第3面102fは延在しており、境界部102e(境界部の内角側の面、湾曲部)は第2面102dと第3面102fとの間に位置している。
基部102aにおける第2面102d、延出部102bにおける第3面102f、および境界部102e(境界部の内角側の面、湾曲部)には、電極用超電導線材3の幅より大きい溝108が設けられている。溝108内には、電極用超電導線材3が、第2面102d、第3面102f、および境界部102e(境界部の内角側の面、湾曲部)を覆うように、基部102aおよび延出部102bに亘って半田接合されている。溝108の深さは、特に限定されない。
溝108を設けることで、作業者は、電極用超電導線材3を電極部材102の溝108に沿うように配置した状態で、半田接合を行うことができるため、半田接合の作業性が高まる。加えて、電極用超電導線材3を溝108内に収めるため、電極用超電導線材3が電極部材102に対し斜めに配置されない。したがって、電極用超電導線材3がコイル体6の上端および下端からはみ出すことを抑制でき、コイル体6の上面および下面にフランジが配置された場合であっても、超電導コイル10の耐電圧を確実に確保できる。
電極部材102は、第1面102cにコイル体6の超電導線材1が半田接合され、第2面102dおよび第3面102fに電極用超電導線材3が半田接合される。電極部材102の内部では、電極部材102の厚さ方向に超電導線材1と電極用超電導線材3との間で電流が流れる。このため、電極部材102の厚さ方向に対する超電導線材1と電極用超電導線材3との距離が、電気抵抗成分となる。電極部材102を薄くし、超電導線材1と電極用超電導線材3との距離を近づけることで、電極接合部7の電気抵抗を低減できる。一方で、電極部材102は自重や弱い外力で容易に変形することがない十分な剛性を得るため所定の厚さが必要となる。電極部材102に溝108を設けることで、電極部材102の厚さ方向の軸に関する断面二次モーメントを大きくすることができ、電極部材102の剛性を高めることができる。溝108を設けることで、電極部材102は、十分な剛性を備えつつ、超電導線材1と電極用超電導線材3との距離を小さくして接続抵抗を低くすることができる。
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
例えば、実施形態において、超電導線材は、RE−123系(又はイットリウム系)と呼ばれる超電導体からなる酸化物超電導層を基材上に積層した構成であると説明した。超電導線材の種類は、この構成に限られるものではなく、図6に示すようなビスマス系の超電導線材200を採用してもよい。超電導線材200は、ビスマス系の超電導体からなる酸化物超電導層201をAgのシース材202で被覆した状態となるようにロール圧延法などにより製造された構造である。
また、上述の実施形態に係るコイル体は、2つのコイルを積層した構造を有するが、1つのコイルのみからなる構造であってもよく、また3つ以上のコイルを積層した構造であってもよい。
また、上述の実施形態において、電極部材は、コイル体の超電導線材の先端側(先端に近い位置)に延出部が配置された構造を例示した。しかしながら、延出部が、超電導線材の先端と反対側に配置された構成とされていてもよい。さらに、電極部材は、基部と延出部によってL字状に形成された構造を例示したが、基部の長さ方向中央に延出部が配置されたT字状の構造を有していてもよい。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(試料の作製)
まず、コイルとして巻回される超電導線材を作製した。
幅5mm、厚さ75μmのテープ状のハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)製の基材上に、中間層を形成した。中間層としては、Al(拡散防止層)、Y(ベッド層)、MgO(配向層(IBAD層))、並びにCeO(キャップ層)をこの順で(順次)成膜した。次に、中間層上に、GdBaCu7−δ(酸化物超電導層)を成膜した。
次に酸化物超電導層上にAgからなる保護層を成膜した。次に、保護層の上面に、75μm厚、5mm幅の銅テープをSn半田で接合し安定化層を形成した。以上の工程を経て、幅5mmの超電導線材を作製した。この超電導線材の臨界電流値を測定したところ、250Aであった。
次に、上記の超電導線材の外周にポリイミドテープを巻きつけ被覆層とし、絶縁加工した。次に、この超電導線材を直径50mmの巻枠に、安定化層が外側となるように100ターン巻回してコイル(パンケーキコイル)を作製した。次に、上記の工程で作製したコイルを2つ積層し、エポキシ樹脂(含浸樹脂)で含浸してコイル体を形成した。
次に、それぞれのコイルに巻回された超電導線材の巻回端末部において、含浸樹脂と被覆層を除去して、安定化層を露出させた。各コイルに電極接合部を形成するための一対の電極部材を用意し、露出させた安定化層に、それぞれ電極部材の基部を第1の半田部材により接合した。第1の半田部材として、融点が184℃の半田を用いた。また、電極部材は、基部、延出部ともに幅4mm、厚さ3mmの部材を用いた。
次に、それぞれの電極部材に電極用超電導線材を第2の半田部材により、半田接合した。電極用超電導線材は、上述の超電導線材と同様の層構造を有している。ただし、電極用超電導線材の安定化層は、保護層の上面のみならず、外周全体を覆うように形成した(図2参照)。また、電極用超電導線材の幅は、3mmとした。電極用超電導線材の臨界電流値を測定したところ、150Aであった。
電極用超電導線材は、電極用超電導線材の酸化物超電導層側が電極部材に対向するように半田接合した。電極部材の基部と延出部の境界において電極用超電導線材は、湾曲されており、湾曲部における電極用超電導線材の曲げ半径は15mmとした。また、第2の半田部材として、融点が130℃の半田を用いた。
以上の工程を経て、図1に示すような実施例の超電導コイルを作製した。
次に、上記の超電導コイルのそれぞれの電極部材(電極部材7の延出部2bにおいて、電極用超電導線材3が接合された面である第3面2fとは反対の面)に電流リードを接続し、液体窒素中(液体窒素温度)で超電導コイルの臨界電流値と電極接合部の電気抵抗を測定した。その結果、超電導コイルの臨界電流値は、89.0Aであった。また、2つの電極接合部の電気抵抗は、合計で2.1μΩであった(2つの電極接合部の電気抵抗をそれぞれ測定し、2つの電極接合部の電気抵抗の合計が2.1μΩであった)。超電導コイルの臨界電流値(89.0A)に達した時点で、電極接合部に非線形な抵抗成分は現れなかった。超電導コイルの臨界電流値が、電極用超電導線材の臨界電流値(150A)より低いことから、コイル体の臨界電流値が、超電導コイルの臨界電流値として現れたと考えられる。即ち、コイル体の臨界電流値は、89.0Aであったと考察される。
さらに、上述の実施例の超電導コイルと比較するための比較例の超電導コイルを作製した。
上述の超電導コイルと同様の構成であり、電極用超電導線材を有さない比較例の超電導コイルを作製した。比較例の超電導コイルの電極部材に電流リードを接続し、液体窒素中(液体窒素温度)で超電導コイルの臨界電流値と電極接合部の電気抵抗を測定した。その結果、超電導コイルの臨界電流値は、88.7Aであり、2つの電極接合部の電気抵抗は、合計で12.5μΩであった(2つの電極接合部の電気抵抗をそれぞれ測定し、2つの電極接合部の電気抵抗の合計が12.5μΩであった)。以上の結果から、実施例の超電導コイルを用いることで、電極接合部における電気抵抗を抑制できることが確認された。
1、200…超電導線材
2、102…電極部材
2a、102a…基部
2b、102b…延出部
2c、102c…第1面
2d、102d…第2面
2e、102e…境界部
2f、102f…第3面
3…電極用超電導線材
5…含浸樹脂
6…コイル体
6A、6B…コイル
7、107…電極接合部
10…超電導コイル
11…基材
15…中間層
17、201…酸化物超電導層
18…保護層
19…安定化層
20…被覆層
21…第1の半田部材
22…第2の半田部材
25…フランジ
202…シース材
R…曲げ半径
W1…超電導線材の幅
W2…電極部材の基部の幅
W3…電極用超電導線材の幅

Claims (7)

  1. 超電導コイルであって、
    超電導線材が巻回されたコイル体と、
    前記コイル体の外周面に対向する第1面と、前記第1面とは反対に位置する第2面と、前記第1面において前記コイル体の前記超電導線材に半田接合された基部と、前記第2面から前記コイル体の外側に延出する延出部を有する電極部材と、
    前記電極部材の前記第2面から前記延出部に向けて延び、前記基部および前記延出部に亘って半田接合された電極用超電導線材と、を備え、
    前記コイル体の前記超電導線材の幅W1と、前記電極部材の前記基部の幅W2と、前記電極用超電導線材の幅W3と、の関係が式W1>W2≧W3を満たす超電導コイル。
  2. 前記電極部材は、前記第2面が延在する方向と交差する方向に延在する第3面と、前記第2面と前記第3面との間に位置する境界部とを有し、
    前記電極用超電導線材は、前記第2面、前記第3面、及び前記境界部を覆うように前記基部および前記延出部に亘って半田接合されている請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記コイル体の臨界電流値Ic1と、前記電極用超電導線材の臨界電流値Ic2と、の関係が式Ic2≧Ic1を満たす請求項1又は2に記載の超電導コイル。
  4. 前記電極部材の前記第2面から前記延出部に向けて延び、前記基部および前記延出部に亘って前記電極用超電導線材の幅より大きい溝が設けられ、前記溝内において前記電極用超電導線材が前記基部および前記延出部に半田接合された請求項1〜3の何れか一項に記載の超電導コイル。
  5. 前記超電導線材が、第1の基材と前記第1の基材上に設けられた第1の酸化物超電導層と前記第1の酸化物超電導層上に設けられた第1の安定化層とを有し、
    前記電極用超電導線材が、第2の基材と前記第2の基材上に設けられた第2の酸化物超電導層と前記第2の酸化物超電導層上に設けられた第2の安定化層とを有し、
    前記電極部材の前記第1面に、前記第1の安定化層が対向するように半田接合され、
    前記電極部材の前記第2面に、前記第2の安定化層が対向するように半田接合された
    請求項1〜4の何れか一項に記載の超電導コイル。
  6. 前記電極用超電導線材は、外周が銅で被覆された請求項1〜5の何れか一項に記載の超電導コイル。
  7. 前記コイル体の前記超電導線材は前記電極部材と、第1の半田部材により接合されており、
    前記電極部材は前記電極用超電導線材と、第2の半田部材により接合されており、
    前記第1の半田部材の融点は、前記第2の半田部材の融点と異なる請求項1〜6の何れか一項に記載の超電導コイル。
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