JP5938284B2 - 超電導線材および超電導コイル - Google Patents
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Description
また、超電導線材をコイル化する場合など、表面絶縁する必要がある場合は、密閉構造とする目的も含めてポリイミドなどの絶縁材料からなるテープを超電導線材の外周に2重に巻回して表面をテープ絶縁層で覆う構造を採用している。
しかし、本発明者らが超電導線材の周囲を樹脂テープで取り囲む構造について種々研究し、樹脂テープによる水分のシールド性を高めるために接着剤層の接着力を強化した構造を検討したところ、以下に説明する問題を知見するに至った。
この種の超電導線材の主要な用途として超電導コイルが知られている。超電導線材を用いて超電導コイルを製造する場合、超電導線材を樹脂テープで覆って絶縁処理した後、渦巻き状に巻回して超電導コイルを構成し、通電時の電磁力等に耐えるためにエポキシ樹脂などの含浸樹脂層で超電導コイルを覆い、超電導コイルを固定した構造とする必要がある。
本発明者らが、接着剤層を介し樹脂テープで取り囲んだ構造の絶縁被覆超電導線材をコイル加工し、含浸樹脂で固めて超電導コイルを作製し、その超電導特性を測定する試験を行ってみたところ、樹脂テープの接着状態によっては超電導特性に影響を生じることが判明した。例えば、接着剤層の接着力が高く、樹脂テープからなる絶縁層を超電導線材に強固に接着固定すると、超電導特性の劣化が増加することがわかった。よって、超電導線材を樹脂テープで取り囲む場合、接着力を高くすれば良好であるとは限らないことが判明した。
本発明において、先の粘着層の粘着力は5N/cm以下であることが好ましい。
絶縁被覆層を超電導積層体に付着させている粘着層の粘着力を5N/cm以下とするならば、超電導積層体に絶縁被覆層が適切な粘着力で付着しているので、超電導積層体の端末を接続処理するなどの理由で絶縁被覆層を剥離する場合も支障なく剥離することができる。このため、端末処理時のハンドリング性の良好な超電導線材を提供できる。
超電導積層体の裏面側に回り込む絶縁被覆層の裏面部の幅は上述の範囲であるならば、充分な粘着強度が得られる。このため、超電導線材の周囲を絶縁被覆層で確実に覆うことができ、水分が内部に浸入するおそれのない超電導線材を提供できる。よって、水分浸入による超電導特性劣化の生じ難い超電導線材を提供できる。
外周を絶縁被覆層で覆った超電導線材からコイル体を構成し、その外側に含浸樹脂層を設けた構造であるならば、超電導層の臨界温度以下に冷却して使用する場合、冷却に伴う含浸樹脂層の収縮により超電導線材に層間剥離する方向に応力が作用したとしても、適切な粘着力の粘着層が応力の一部を吸収するので、超電導線材に作用する応力を緩和することができる。このため、冷却時に超電導特性の劣化を生じない超電導コイルを提供できる。
また、超電導線材の周囲を粘着層を介し絶縁被覆層で覆っているので、外部から内部側への水分の浸入を抑制できる超電導線材を提供できる。
また、5N/cm以下の粘着力の粘着層を介して絶縁被覆層を設けた構造とした場合、好適な粘着力で超電導積層体の外周面に設けることができる結果として、冷却時の応力緩和ができ、水分の浸入のおそれのない、必要に応じて端末処理時などの場合に剥離が容易な構造にすることができる。
即ち、超電導コイルを構成し、含浸樹脂で覆った構造を採用し、冷却して酸化物超電導層を超電導状態として使用し、含浸樹脂の収縮力に起因する応力が酸化物超電導積層体の厚さ方向に剥離力として作用しようとした場合、粘着層の粘着した部分で層間剥離を生じさせて含浸樹脂から超電導積層体に作用しようとする応力を緩和できる。
このため、コイル化後に含浸樹脂により固めた構造として冷却して使用した場合、超電導特性が劣化し難い超電導線材を提供できる。また、絶縁被覆層が好適な範囲の粘着力でもって超電導積層体の外周面に密着し、絶縁被覆層が内部側への水分の浸入を防止するので、水分の浸入に伴う超電導特性の劣化も生じない。
図1は本発明に係る第1実施形態の超電導線材を示すもので、図1に示す超電導線材1は、テープ状の基材2の一面上に中間層5と酸化物超電導層6と金属安定化層7、8を形成して超電導積層体9が構成され、この超電導積層体9の外周面の大部分を覆うように絶縁被覆層10が形成されている。
基材2の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。
中間層5は、単層でも良いし、複数層でも良く、複数層である場合には、最外層(最も酸化物超電導層6に近い層)が少なくとも結晶配向性を有していることが好ましい。
中間層5は、基板2側にベッド層が介在された複数層構造でもよい。ベッド層は、必要に応じて配され、イットリア(Y2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3、「アルミナ」とも呼ぶ)等から構成される。ベッド層の厚さは例えば10〜200nmである。
中間層5は、前記金属酸化物層の上に、さらにキャップ層が積層された複数層構造でも良い。キャップ層は、酸化物超電導層6の配向性を制御し、単結晶のように良好な結晶配向性とする機能を有する。キャップ層は、特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO2、Y2O3、Al2O3、Gd2O3、Zr2O3、Ho2O3、Nd2O3等を例示できる。キャップ層の材質がCeO2である場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
なお、図1に示す構造では、一例として、基材2の上に積層された拡散防止層3Aと結晶配向制御された金属酸化物層3Bとキャップ層3Cからなる3層構造の中間層5が形成された構造を示している。
第1の金属安定化層7をAgから構成する理由としては、酸化物超電導層6に酸素をドープするアニール工程において、ドープした酸素を酸化物超電導層6から逃避し難くする性質を有する点を挙げることができる。Agの第1の金属安定化層7を成膜するには、スパッタ法などの成膜法を採用し、その厚さは1〜30μm程度とされる。
第2の金属安定化層8を構成する金属材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが、銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅が好ましい。なお、酸化物超電導線材1を超電導限流器に使用する場合は、第2の金属安定化層8は抵抗金属材料より構成され、Ni−Cr等のNi系合金などを使用できる。
絶縁被覆層10は、第2の金属安定化層8の上面全域を覆う主被覆部10Aと、第2の金属安定化層8の側面から、第1の金属安定化層7の側面、酸化物超電導層6の側面、キャップ層3Cの側面、金属酸化物層3Bの側面、拡散防止層3Aの側面、基材2の側面までを覆う側壁部10B、10Bを備えている。また、各側壁部10Bの下端側には、超電導積層体9の裏面幅方向両端部側、換言すると基材2の裏面幅方向両端部側を所定幅で覆う裏面部10Cが一体に延出形成されている。
絶縁被覆層10を構成する樹脂は絶縁性を有する樹脂テープからなることが好ましい。樹脂テープを構成する樹脂材料としては、前記したポリイミド樹脂の他に、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、ビニル樹脂等を例示できる。これらの中でも、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などが、耐熱性、絶縁性に優れているとともに、極低温環境下での機械的応力によるクラックが入り難く好適である。
t×20<L≦D/2 …(1)式
(1)式において、上限がD/2であるのは、絶縁被覆層10の幅Lが1/2を超えると基材2の裏面側に樹脂テープの重なり部分を生じるためである。基材2の裏面側に樹脂テープの重なり部分を生じると、この重なり部分が凸部となり、超電導線材1をコイル化して超電導コイルを作製する場合に巻き付け部分に凸部が存在することにより巻き乱れを生じ易いため、この巻き乱れを無くするためである。図3にL=D/2の場合の絶縁被覆層10の構成を示すが、L=D/2の場合に僅かでも樹脂テープの折り曲げ状態に差異があると、樹脂テープの端部が重なって基材2の裏面中央部に凸部が形成されるので、L<D/2の関係としておくことが好ましい。
また、幅Lは厚さtの20倍を超える値であることが望ましい。これは、絶縁被覆層10の厚さtに対し超電導積層体9の裏面側(基材2の裏面側)に回り込む絶縁被覆層10の量が少なく過ぎる場合、絶縁被覆層10が剥がれて浮いてしまうおそれがあるため、20倍を超える値であることが好ましい。
この実施形態では超電導積層体9の幅を10mmに設定した場合、被覆層厚みt=25μmの絶縁テープからなる絶縁被覆層10を粘着層11を介し粘着すると仮定するならば、基材2の裏面幅方向両端部を覆う裏面部10Cの幅Lとして、前記(1)式に従い、0.5mm<L≦5mmの範囲とすることができ、0.5mm<L<5mmの範囲とすることがより好ましい。
ただし、これらの粘着剤を用いるにしても、粘着層11の粘着力について、2N/cm以上の粘着力である必要があり、2N/cm以上、5N/cm以下の範囲の粘着力であることが好ましい。
粘着力を2N/cm以上としたのは、樹脂テープを折り曲げ加工して超電導積層体9を覆う絶縁被覆層10を形成するので、絶縁被覆層10が満足な強度で超電導積層体9に密着すること、後述する試験で明らかにするように、外部から水分が浸入しないようにするためである。また、粘着力を5N/cm以下としたのは、絶縁被覆層10があまりに強固に超電導積層体9に密着すると、後述する説明で明らかにするように、線材端末の剥離処理などの際に困難となるためである。
超電導コイル17は、酸化物超電導層6の臨界温度以下、例えば液体窒素温度(77K)以下の温度に冷却して使用する。冷却するには、液体窒素に浸漬しても良いし、冷凍機を備えた断熱容器に超電導コイル17を収容して冷却する構造としても良い。酸化物超電導層6を臨界温度以下に冷却すると超電導状態となるので、酸化物超電導層6に通電することができる。この超電導コイル17は、超電導マグネットに適用した場合であれば超電導コイル17から磁力を発生させて使用することができる。
ここで超電導線材1に絶縁被覆層10が形成されていて、絶縁被覆層10と超電導積層体9の境界にある粘着層11の粘着強度は2N/cm以上、5N/cm以下の範囲であるので、前述の応力が作用すると粘着層11で前述の応力の一部を吸収できる結果、超電導積層体9に対し層間剥離を誘起する応力を解消するか抑制することができる。このため、超電導コイル17を冷却して使用する場合、超電導特性の劣化を生じ難い構造を提供できる。
ここで仮に、裏面部10Cの幅を大きくして基材2の裏面側を全て裏面部10Cで覆った構造(図3の構造)を想定すると、主被覆部10Cと基材2の裏面との接着強度は、粘着層11による粘着力となる。これに対し、含浸樹脂の層間部18aがそれより外層側の基材2と接着する強度は含浸樹脂の接着により発生する接着力なので前記粘着力より大きくなる。また、層間部18aがそれより内層側の主被覆部10Aと接着する強度は含浸樹脂の接着により発生する接着力なので前記粘着力よりも大きくなる。
従って、図5に示す構造において、含浸樹脂の層間部18aはその厚さ方向両側に位置する主被覆部10Aと基材2の裏面部に対し強く接着する。このような構造であると、超電導コイル17に通電して電磁力を作用させた場合、層間部18aと主被覆部10Aとの界面部分と、層間部18aと基材2の裏面との界面部分において剥がれを生じ難い。
これに対し、図3に示すように基材2の裏面側に幅の広い裏面部10Cが粘着されている構造では、電磁力に伴う応力が作用すると、図5に示す構造よりも基材2の裏面と裏面部10Cとの界面で剥がれを生じ易い。このため、図3に示す構造よりは、図2に示す構造の線材をコイル化した図5に示す超電導コイル17の方が電磁力に対し超電導線材の動きの少ない構造にすることができる。即ち、含浸樹脂による層間部18aを設けて主被覆部10Aとの界面部分と、層間部18aと基材2の裏面との界面部分を接着しておくならば、電磁力に対し超電導線材の動きの少ない構造とするには有利であると思われる。また、含浸樹脂による層間部18aが接着するのは、基材2の裏面側であるため、超電導線材を常温から低温まで冷却して熱履歴を与えた場合、あるいは、低温から常温まで戻して熱履歴を与えた場合などに生じる熱収縮に起因する酸化物超電導層6の剥離には問題を生じない。
図6に示す超電導機器20は、真空容器などの収容容器21と、その内部に設置された複数段の超電導コイル17と、収容容器21の内部の超電導コイル17を臨界温度以下に冷却するための冷凍機22を備えて構成された超電導マグネット装置の一例である。収容容器21は、図示略の真空ポンプに接続されていて、内部を目的の真空度に減圧できるように構成されている。また、超電導コイル17は、図6の例では4段積み構造とされ、収容容器21の外部の電源23に電流リード線23a、23bを介し接続されており、この電源23から超電導コイル17に通電できるようになっている。
そして、最上段のダブルパンケーキコイル17の超電導線材に電流リード線23aが接続され、最下段のダブルパンケーキコイル17の超電導線材に電流リード線23bが接続され、電源23から超電導コイル17に通電が可能とされている。
超電導機器20において冷却板25とフランジ26を上下に貫通するように冷却ロッド27が複数本設けられている。これらの冷却ロッド27は上側のフランジ26を貫通して上方に延出形成され、超電導コイル17の上方に設置された金属製のフレーム状の伝熱部材28に接続され、この伝熱部材28が冷凍機22の下端部に接続されている。
図6に示す超電導機器20において、常温から冷凍機により冷却を開始し、臨界温度以下まで超電導コイル17を冷却して使用する場合、超電導コイル17を覆っている含浸樹脂層18が熱収縮することで超電導コイル17に応力が作用しようとするが、適度な粘着力で超電導積層体9を覆っている粘着層11がこの応力の一部を吸収するので、超電導線材1の超電導特性を劣化させることなく超電導機器20を使用することができる。
例えば、含浸樹脂層18から超電導積層体9の垂直方向に各層を剥離する方向に剥離応力が作用しようとした場合、粘着層11の部分が上述した適切な粘着力を有するため、上述の剥離応力の一部を吸収するので、酸化物超電導層6に作用する応力を緩和することができる。このため、冷却時に超電導特性の劣化を生じない超電導コイルを提供できる。
また、上述の例と同等構造の超電導テープを用い、前記同等の粘着層を片面に形成した幅21mmのポリイミドテープを縦添えしてポリイミドテープの両端側を基材裏面側にまで折返し、基材裏面側のほぼ全面をポリイミドテープで覆う構造として絶縁被覆型の超電導線材(実施例2)を得た。
比較例1の絶縁被覆型の超電導線材を作製する際、粘着層付きのポリイミドテープを真空中で貼り付けて絶縁被覆型の超電導線材を作製した(比較例2)。真空中とは、減圧チャンバの内部を100Paに減圧した環境下で粘着層と安定化層との境界に空気を巻き込まないようにして貼り付けて製造した被覆層付きの超電導線材試料である。
通常絶縁の超電導線材として粘着層付きのポリイミドテープに代えて粘着層を備えていないポリイミドテープを超電導積層体の周面に1/2重ねラップ巻きして超電導線材(通常絶縁線)を作製した。
48時間経過後の各試料の液体窒素温度(77K)における臨界電流値Icを測定した。各試料について、プレッシャークッカー試験前の臨界電流値Ic0に対して試験後の臨界電流値Icの割合(Ic/Ic0×100(%))を算出した。得られた結果を以下の表1に記載する。
Ic/Ic0の値において、60%未満は×印、60〜80%は△印、80〜90%は○印、90%以上は◎印にて評価した。
次に、前記各超電導コイルについて各々真空容器の内部に収容し、各真空容器の内部を減圧雰囲気5×10−2Paとした後、エポキシ樹脂を含浸して固め、樹脂含浸固定型の超電導コイルを作製し、樹脂含浸後に臨界電流値Icの割合(Ic/Ic0×100(%))を算出した。得られた結果を以下の表1に記載する。評価基準は先の例と同等である。
表1の通常絶縁線と比較例1の対比から、安定化層の上面のみに粘着層付きの絶縁被覆を形成するなら、プレッシャークッカー試験後、コイル化後、真空含浸後のいずれの場合においても特性は向上するが、プレッシャークッカー試験後の結果が悪い。これは、プレッシャークッカー試験は超電導線材にとって過酷な環境加速試験であり、大気中で超電導線材に多少の水分が浸入しても問題を起こす確率は低いが、プレッシャークッカー試験のように高温多湿環境で大量の水分が浸入するとIcの低下を引き起こすこととなる。なお、希土類系の酸化物超電導層は一部系の材料で水分との反応性があり、また、中間層として用いるMgOも水分との反応性を有していることから、水分の浸入による超電導層自体の結晶配向性が低下するか、下地として用いているMgOの中間層が水分と反応して剥離するなど、が原因となってその上の酸化物超電導層に影響が現れたものと思われる。
これらに対し、実施例1、2の超電導線材はプレッシャークッカー試験後、コイル化後、真空含浸後のいずれにおいても臨界電流値の低下割合が少なく、優れた結果を発揮した。
また、比較例2の試料は真空中で第1の安定化層上にポリイミドテープを貼着し、第1の安定化層上に空気を巻き込むこと無く隙間無く、良好な密着性でポリイミドテープの絶縁被覆層を設けた例であるが、プレッシャークッカー試験後の臨界電流値が若干低下した。
なお、表2においてハンドリングと記載した欄の評価基準は、ポリイミドテープの剥がれている部分があるか無いかを目視で確認した結果である。剥離部分が6以上のものは×印、剥離部分が1〜5カ所生じたものは△印、剥離部分が生じなかったものは○印で示した。
また、粘着力2N/cm以上、5N/cm以下の粘着層であるならば、プレッシャークッカー試験後の臨界電流値の低下割合が少なく電流特性に優れるとともに、ハンドリングにおいても良好な酸化物超電導線材を提供することができる。なお、ハンドリングについては、一端被覆した超電導積層体の端末処理あるいは端末接続などのために、絶縁被覆層を剥離してその内側の金属安定化層を露出させることがあるため、粘着力としてあまりに高いものを用いると、後処理で絶縁被覆層を剥がすことができなくなる。このため、粘着力の上限を5N/cmとすることが好ましい。
Claims (3)
- テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と金属安定化層が積層された超電導積層体と、前記超電導積層体の外周面を覆う粘着層付きの絶縁テープからなる絶縁被覆層とを備えた超電導線材であり、
前記絶縁被覆層が、前記粘着層付きの絶縁テープを超電導積層体に縦添えして該超電導積層体の外周を覆って構成され、前記絶縁被覆層が、前記金属安定化層の上面側を覆う主被覆部と、前記金属安定化層の側面側から前記基材の側面側までを覆う側壁部と、前記基材の裏面側を覆う裏面部とからなり、前記粘着層の粘着力が2N/cm以上であり、前記超電導積層体の幅方向に沿う裏面部の幅が、絶縁被覆層の厚さの20倍を超え、前記超電導積層体の幅の1/2以下であることを特徴とする超電導線材。 - 前記粘着層の粘着力が5N/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の超電導線材。
- 請求項1または2に記載された超電導線材が巻回されてコイル体が構成され、該コイル体が含浸樹脂層により覆われたことを特徴とする超電導コイル。
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