JPWO2016076265A1 - 粘着剤組成物、粘着剤、粘着フィルム、表面保護用粘着フィルム並びに自動車ホイール表面保護用粘着フィルム - Google Patents

粘着剤組成物、粘着剤、粘着フィルム、表面保護用粘着フィルム並びに自動車ホイール表面保護用粘着フィルム Download PDF

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Abstract

貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時での粘着力上昇抑制に効果を有する粘着剤として有用な粘着剤を提供する。本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)を含有する重合成分(a)を重合して得られるアクリル系樹脂(A)及びエポキシ系架橋剤(B)を含有してなり、エポキシ系架橋剤(B)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.030〜0.25重量部である。

Description

本発明は、アクリル系の粘着剤組成物、粘着剤及び粘着フィルムに関し、更に詳しくは、自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための表面保護用粘着フィルム用として有用な粘着剤組成物、それを用いてなる粘着剤、粘着フィルムに関するものである。
従来からアルミホイール等の自動車ホイールは、自動車の輸送段階において、例えば、船舶による輸送の場合、船内の湿度の変化などにより、外部から自動車ホイールの内側に水が浸入し、これによりホイールの内面側のディスクブレーキに錆が発生する等の問題が生じており、この錆の発生を防止するため、ホイール表面に保護用粘着フィルムが貼り付けられている。
自動車ホイールに用いられる保護用粘着フィルムは、自動車の納車時まで貼付された状態を維持する必要があり、貼付時に中程度の粘着力を有し、かつ、納車時に、保護用粘着フィルムを剥離する際には、容易に剥離することができ、剥離した際に、ホイール表面に糊残りが発生しないこと等が要求されている。
このような自動車ホイール用表面保護フィルムに用いる粘着剤として、例えば、特許文献1には、少なくとも(メタ)アクリル系ポリマー及び架橋剤を含有する粘着剤組成物からなり、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分とし、他の重合成分として、少なくともヒドロキシル基含有モノマーを構成成分とし、前記架橋剤を前記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜6重量部含有する粘着剤組成物が開示されており、また、特許文献2には、少なくとも、架橋性官能基を有する単量体由来の繰り返し単位と(メタ)アクリル酸の炭素数1〜14のアルキルエステル由来の繰り返し単位とを有する(メタ)アクリル系重合体、架橋剤、及び紫外線吸収剤を含有するアクリル系粘着剤が開示されている。
日本国特開2010−253889号公報 国際公開第2013/147101号
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示の粘着剤は、主としてイソシアネート系架橋剤とアクリル系樹脂中のヒドロキシル基またはアミド基との反応により形成される架橋構造を有する粘着剤であり、かかる粘着剤を高温下または高温高湿下で使用した際には、凝集力や粘着力が貼り合せ時と比較して上昇しやすいという問題点があった。更に、イソシアネート系架橋剤を用いた場合には、一般的にポットライフや光による塗膜の着色(耐光性)、液の白濁やゲル化等といった問題も懸念されるところである。
また、上記特許文献1及び2においては、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤の他に、エポキシ系架橋剤についても記載があり、特に、特許文献2では、エポキシ架橋剤を0.3部(アクリル樹脂100重量部に対して0.289部)配合した例が記載されているが、かかる配合量では貼り合せ初期の粘着力が低くなり、充分な粘着力が得られないため、剥離の懸念が生じるといった問題もある。
そこで、本発明ではこのような背景下において、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性(耐湿熱性、耐光性)に優れ、経時での粘着力上昇が抑制でき、剥離する際に糊残りが生じない粘着剤であり、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための表面保護用粘着フィルム用の粘着剤として有用な粘着剤組成物、更には該粘着剤を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、官能基含有アクリル系樹脂及びエポキシ系架橋剤を含有してなる粘着剤組成物において、エポキシ系架橋剤の含有量を、通常一般的に用いられる量(通常、アクリル系樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部程度)よりもごく少量とすることにより、意外にも、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐湿熱性、耐光性、耐候性に優れ、経時粘着力上昇抑制効果に優れる粘着剤となり、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための表面保護用粘着フィルム用の粘着剤として有用な粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(11)の態様を含む。
(1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)を含有する重合成分(a)を重合して得られるアクリル系樹脂(A)及びエポキシ系架橋剤(B)を含有してなり、該エポキシ系架橋剤(B)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.030〜0.25重量部である粘着剤組成物。
(2)アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が−90〜10℃である前記(1)に記載の粘着剤組成物。
(3)重合成分(a)中に、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−25〜−10℃となるエチレン性不飽和モノマーを含有しない前記(1)または(2)に記載の粘着剤組成物。
(4)重合成分(a)が、水酸基含有モノマーを含まない前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
(5)エポキシ系架橋剤(B)が、窒素原子含有エポキシ系架橋剤である前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
(6)自動車ホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用粘着剤に用いる前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の粘着剤組成物を硬化してなる粘着剤。
(8)ゲル分率が60〜90%である前記(7)に記載の粘着剤。
(9)前記(7)または(8)に記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有する粘着フィルム。
(10)前記(7)または(8)に記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有する表面保護用粘着フィルム。
(11)前記(7)または(8)に記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有する自動車ホイール表面保護用粘着フィルム。
本発明の粘着剤組成物は、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐湿熱性、耐光性、耐候性に優れ、経時粘着力上昇抑制効果に優れる粘着剤組成物である。とりわけ、自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための表面保護用粘着フィルムとした際には、耐侯性に優れ、長期間保管されるような場合であってもホイール表面に傷が付くことや、汚れが付着することを防止でき、更に、ホイールの内面側のディスクブレーキに錆が発生することを防止することができ、また、ホイールに貼り付けてから長期間保管した後であっても、容易に剥離することができ、剥離の際には、糊残りの発生を防止できるものであり、非常に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
また、本発明において、フィルムとはシートをも含めた意味を有するものである。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)を含有する重合成分(a)を重合して得られるアクリル系樹脂(A)(以下、「アクリル系樹脂(A)」と記載することがある。)及びエポキシ系架橋剤(B)を必須の構成成分として含有してなるものである。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)を含有する重合成分(a)を重合して得られるものであり、更には必要に応じて、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)を重合成分として含んでいてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜32、特には2〜20、更には3〜15、殊には4〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーであることが好ましい。アルキル基の炭素数が多すぎると粘着剤の凝集力が低下して使用後に剥離する際の剥離性が低下し糊残りが発生しやすくなる傾向がある。
また、比較的長時間貼り付けた後に剥離する(すなわち経時粘着力上昇の抑制が必要とされる)場合においては、アルキル基の炭素数が5〜20というように比較的鎖長の長いものであることが好ましく、特には5〜14、更には6〜12、殊には8〜10であることが好ましい。このような、比較的鎖長の長い(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを用いることで、エポキシ系架橋剤の使用量が通常よりもごく少量であっても、経時的な粘着力の上昇が生じず、かつ貼付時に充分な粘着力を有する粘着剤が得られる。
アルキル基の炭素数が少なすぎると被着体(ホイール等)に対する初期の粘着力や冬場など低温雰囲気下での粘着力が低下する傾向があり、多すぎると粘着剤の凝集力が低下して使用後に剥離する際の糊残り防止性が低下する傾向がある。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の具体例としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;
ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)メタクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、2−ドデシル−ヘキサデカニル(メタ)アクリレート、2−テトラデシル−オクタデカニル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜32のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーが挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが好ましく、汎用性が高い点で、特に好ましくは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有量は、重合成分(a)全体に対して、20〜99.99重量%であることが好ましく、特に好ましくは50〜99.9重量%、更に好ましくは75〜99重量%、殊に好ましくは90〜98重量%である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の含有量が少なすぎると被着体(ホイール等)に対する初期の粘着力や冬場など低温雰囲気下での粘着力が低下する傾向があり、多すぎると凝集力が低下し剥離性が低下する傾向がある。
上記官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)としては、エポキシ系架橋剤と反応し得る官能基を有するものであればよく、例えば、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられ、これらの中でも、効率的に架橋反応ができる点でカルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、特にカルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。
水酸基含有モノマーは、一般的に架橋剤との反応性が非常に高く、含有量のわずかな違いが架橋後の粘着剤の物性に大きく影響してしまい、品質管理が困難であるという点から、本発明においては、重合成分として水酸基含有モノマーを含まないことが好ましい。
なお、水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これら官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)の含有量は、重合成分(a)全体に対して、0.01〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%、殊に好ましくは2〜5重量%である。
上記官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)の含有量が少なすぎると粘着剤の凝集力が低下して使用後に剥離する際の糊残り防止性が低下する傾向があり、多すぎると粘度が高くなったり、樹脂の安定性が低下したりする傾向がある。
本発明においては、重合成分(a)として、必要に応じて更に、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)を含有してもよい。
かかるエチレン性不飽和モノマー(a3)としては、例えば、
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香環含有モノマー;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、(メタ)アクリロイルモルホリン等
を用いることができる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、酢酸ビニルを用いることが、凝集力が向上する点で好ましい。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の多官能性モノマー等を併用することもできる。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)の含有量は、重合成分(a)全体に対して、好ましくは0〜40重量%、特に好ましくは0〜30重量%、更に好ましくは0〜25重量%であり、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)が多すぎると所望の粘着特性が得られにくい傾向がある。
なお、本発明においては、重合成分(a)中に、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−35〜0℃、特に−25〜−10℃となるエチレン性不飽和モノマーを含有しないことが、経時粘着力上昇を抑制し剥離性を向上させる点から好ましい。
かかるエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート等の炭素数1〜2のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル系モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等の1級水酸基含有モノマー等が挙げられる。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、上記重合成分(a)を所定の割合で配合し、重合することにより製造することができる。上記重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法により行なうことができる。
例えば、有機溶媒中に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)、必要に応じて更にその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a3)を含有する重合成分(a)、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合する。これら重合方法のうち、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、更に好ましくは溶液ラジカル重合ある。
上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
これらの有機溶剤の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全上から、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく、更に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
また、かかる溶液ラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、通常のラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。
これらの溶剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、10万〜500万が好ましく、特に好ましくは30万〜150万、更に好ましくは50万〜100万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると凝集力が低下し剥離性が低下する傾向があり、重量平均分子量が大きすぎると粘着力が低下しやすく、また製造が困難となる傾向がある。
上記アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2〜20であることが好ましく、特に好ましくは2〜15、更に好ましくは2〜10である。
かかる分散度が高すぎると低分子量成分が増え剥離性が低下する傾向があり、低すぎると粘着力が低下しやすく、また製造が困難となる傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−90〜10℃であることが好ましく、特に好ましくは−80〜−20℃、更に好ましくは−70〜−45℃である。
かかるガラス転移温度が高すぎると粘着力が低下しやすくなり、低すぎるとアクリル系樹脂が硬くなりすぎて剥離性が低下する傾向がある。
なお、上記ガラス転移温度は、以下のFoxの式より算出されるものである。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・Wk/Tgk
但し、Tgは共重合体のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独共重合体のTgであり、w1,w2,・・・・・・wkは各単量体成分のモル分率を表し、w1+w2+・・・・・・wk=1である。
かくして本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。
本発明で用いられるエポキシ系架橋剤(B)としては、例えば、
1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)トルエン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン等の窒素原子含有エポキシ系架橋剤;ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも硬化物の架橋密度が高まり、耐熱性、耐湿熱性、耐薬品性等が向上する点で窒素含有エポキシ系架橋剤が好ましく、特には1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン等が好ましい。
本発明において、上記エポキシ系架橋剤(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.030〜0.25重量部であることが必要であり、好ましくは0.030〜0.15重量部、特に好ましくは0.040〜0.12重量部、更に好ましくは0.050〜0.10重量部である。かかる含有量が少なすぎると架橋に関与する官能基量が少なくなることで凝集力が低下し、十分な耐久性が得られず剥離性が低下することとなり、多すぎると柔軟性、および粘着力が低下し剥離が起こりやすくなり、本発明の目的を達成しない。
なお、アクリル系粘着剤において、一般的には、架橋剤としてエポキシ系架橋剤を使用すること自体は公知の技術であるが、通常、その使用量は剥離性、凝集力、耐久性、粘着力、柔軟性を両立させる点から、アクリル系樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部程度である。本発明においては、通常量に比べても更にごく少量を用いたものであり、かかるごく少量では、架橋に関与する官能基量が少なくなることで凝集力が低下するという事情から、耐久性や剥離性といった粘着性能までは得られないと考えられるところ、意外にも、本発明の目的を達成することができることを見出したものである。
本発明においては、架橋剤として上記エポキシ系架橋剤(B)を含有するものであるが、必要に応じてその他の架橋剤を併用してもよい。
その他の架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
かくして、本発明のアクリル系樹脂(A)及びエポキシ系架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物が得られる。
本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、帯電防止剤、その他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の各種添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。また、上記添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。これら添加量は所望する物性が得られるように適宜設定すればよい。
本発明においては、本発明の粘着剤組成物がエポキシ系架橋剤により架橋(硬化)されて粘着剤となるが、かかる粘着剤のゲル分率は、60〜90%であることが好ましく、特に好ましくは65〜86%、更に好ましくは70〜82%である。かかるゲル分率が低すぎると架橋(硬化)が充分に促進されず高温下または高温高湿下での粘着力上昇を十分に抑制できない傾向があり、高すぎると架橋(硬化)が促進され過ぎて粘着力が低下する傾向がある。
なお、粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、架橋剤の種類と量を調整すること、組成物中の官能基の量を調整すること等により達成される。また、かかる架橋剤と官能基量との割合は、それぞれの相互作用によりゲル分率が変化するので、それぞれバランスをとることが必要になる。
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着フィルム(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
つぎに、上記の本発明の粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成することにより粘着フィルムを作製することができる。すなわち、上記粘着フィルムは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
まず、所定の厚みとなるように支持基材の片面もしくは両面に上記粘着剤組成物を塗工し、加熱乾燥することにより粘着剤層を形成する。ついで、必要に応じて上記粘着剤層面に剥離フィルムを貼り合わせることにより粘着フィルムを作製することができる。また、得られた粘着フィルムには、必要に応じて、エージング処理を行なった後、使用時には、上記剥離フィルムを粘着剤層から剥離して使用に供される。このようにして、支持基材の片面もしくは両面に粘着剤層が形成され、さらにこの粘着剤層面に必要に応じて剥離フィルムが設けられた粘着フィルムが得られる。
上記支持基材としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属箔;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルムまたはシート、上質紙、グラシン紙等の紙、硝子繊維、天然繊維、合成繊維等から選択される単層体または複層体が挙げられる。かかる支持基材の厚みとしては、通常10〜120μmであり、好ましくは20〜80μmである。
さらに、上記剥離フィルムとしては、例えば、上記支持基材で例示した各種合成樹脂フィルム、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。
また、剥離フィルムに上記粘着剤組成物を塗工し、加熱乾燥することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層に剥離フィルムを貼り合わせることにより、基材レスで粘着フィルムを作製することもできる。
上記粘着剤組成物の塗工に際しては、この粘着剤組成物を溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは20〜50重量%、特に好ましく30〜40重量%である。また、上記溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンが好適に用いられる。
また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
そして、上記加熱乾燥条件としては、粘着剤組成物を乾燥させることが可能であればよく、例えば、50〜150℃、好ましくは60〜130℃で、1〜10分間程度、好ましくは1.5〜5分間程度の条件が挙げられる。
上記エージング処理は、粘着物性のバランスをとるために行なうものであり、エージングの条件としては、温度は、通常室温(25℃±5℃)〜70℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
さらに、得られる粘着フィルムにおける粘着剤層の厚みは、通常5〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜75μm、特に好ましくは15〜50μmである。この粘着剤層の厚みが薄すぎると粘着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると乾燥が困難となり、残溶媒の影響により被着体(ホイール等)に対する初期の粘着力が不安定となる、かつ粘着力が経時で変化しやすくなる傾向がある。
このようにして得られる粘着フィルムの厚みは、用途に応じ適宜設定されるが、例えば、30〜300μmの範囲に設定することが好ましい。
本発明における粘着フィルムの利用に際し、被着体の種類として、例えば、各種金属面を有する物品;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、シートまたは板が挙げられる。
上記金属面を有する物品としては、金属面を有しており、この金属面に、直接、上記粘着フィルムが、少なくとも部分的にまたは全面的に貼り合わされる。このような金属面を有する物品において、上記粘着フィルムが貼り合わされる被着体(「金属面含有被着体」と称する場合がある)としては、少なくとも部分的に金属面を有していれば特に制限されない。このような金属面含有被着体において、金属面が形成されている部位は、上記粘着フィルムを直接貼付することが可能な部位であれば特に制限されず、外側の面であってもよく、また、内側の面等であってもよい。なお、1つの金属面含有被着体に金属面が複数形成されている場合、これらの複数の金属面は同一の金属材料により形成された面であってもよく、異なる金属材料により形成された面であってもよい。
上記金属面含有被着体における金属面は、金属材料により形成された金属面含有被着体の表面であってもよく、また各種材料により形成された基材(または構造体)の表面に形成された金属層表面(特に、金属薄膜層表面)であってもよい。上記金属面は、いずれにせよ、金属材料による表面であればよい。
上記金属薄膜層等の金属層は、各種材料により構成された基材(または構造体)の表面の所定の部位に形成することができる。このような金属層において、金属薄膜層の厚みとしては、金属面含有被着体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上であってもよい。なお、金属薄膜層の厚みの上限としては、一般的に薄膜層とみなされる厚みであれば特に制限されない。
上記金属面を形成するための金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、鉄、チタン、白金、ニッケル等の金属単体による金属材料;金合金(例えば、金−銅合金等)、銅合金(例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−アルミニウム合金等)、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−モリブデン合金、アルミニウム−タンタル合金、アルミニウム−コバルト合金、アルミニウム−クロム合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−白金合金等)、ニッケル合金(例えば、ニッケル−クロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金等)、スズ合金、ステンレス等の各種合金による金属材料等が挙げられる。これら金属材料は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、金属材料は、金属元素のみを含有する金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含有する金属材料〔例えば、金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物等)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等)等の金属系化合物〕であってもよく、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO、(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)、CTO(酸化カドミウムスズ)等が挙げられる。
これらの中でも、価格や軽量性の点でアルミニウム、アルミニウム合金であることが好ましい。そのため、とりわけ、自動車のタイヤのアルミホイールの保護用フィルムとして特に好適である。
かくして得られる、本発明の粘着剤並びに粘着フィルムは、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時粘着力上昇抑制に効果を有するため、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための表面保護用粘着フィルム用の粘着剤として有用である。
また、本発明の粘着剤組成物は、とりわけ有機溶剤含有タイプの粘着剤組成物として使用し、架橋剤存在下、熱により硬化させて粘着剤とすることで、低程度〜中程度の粘着力(約3.5N/25mm以上)を示し、中〜長期間(数ヶ月〜数年間)にわたり被着体と貼り合せることができる粘着剤として好適に用いられる。
本発明の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着フィルム、表面保護用粘着フィルム、アルミホイール表面保護用粘着フィルムの粘着剤層の粘着力は、被着体の材料等に応じて適宜調整されるが、例えばSUS−BA板に貼り付ける場合には、初期粘着力が3.5N/25mm以上であることが好ましく、特に好ましくは3.5〜7.0N/25mm、更に好ましくは5.0〜7.0N/25mmである。
また、アルミニウム板に貼り付ける場合には、初期粘着力が3.5N/25mm以上であることが好ましく、特に好ましくは3.5〜7.0N/25mm、更に好ましくは4.0〜7.0N/25mmである。
また、上記粘着剤層の粘着力は、例えばSUS−BA板、アルミニウム板等に貼り付ける場合には、経時後(耐候性、耐熱性試験後)の粘着力の粘着力が12.0N/25mm以下であることが好ましく、特に好ましくは6.0〜12.0N/25mm、更に好ましくは7.0〜12.0N/25mmである。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂を調製した。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
また、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
[製造例1]
<アクリル系樹脂(A−1)の調製>
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル38部とアセトン15部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)95部、アクリル酸(AAc)5部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.036部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル85部で希釈し、アクリル系樹脂(A−1)溶液(重量平均分子量76万;分散度4.7;ガラス転移温度−65℃;固形分40%;粘度3,000mPa・s(25℃))を得た。
[製造例2]
<アクリル系樹脂(A−2)の調製>
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル50.5部、重合開始剤AIBN0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)71.25部、ブチルアクリレート(BA)23.75部、アクリル酸(AAc)5部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.036部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル87.5部で希釈し、アクリル系樹脂(A−2)溶液(重量平均分子量78万;分散度5.6;ガラス転移温度−62℃;固形分42%;粘度3,000mPa・s(25℃))を得た。
[製造例3]
<アクリル系樹脂(A−3)の調製>
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル58部、重合開始剤AIBN0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)23.75部、ブチルアクリレート(BA)71.25部、アクリル酸(AAc)5部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.036部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル80部で希釈し、アクリル系樹脂(A−3)溶液(重量平均分子量91万;分散度5.6;ガラス転移温度−55℃;固形分41%;粘度15,500mPa・s(25℃))を得た。
[製造例4]
<アクリル系樹脂(A−4)の調製>
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル78部、重合開始剤AIBN0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、ブチルアクリレート(BA)95部、アクリル酸(AAc)5部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.036部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル60部で希釈し、アクリル系樹脂(A−4)溶液(重量平均分子量86万;分散度5.0;ガラス転移温度−51℃;固形分40%;粘度12,700mPa・s(25℃))を得た。
[製造例5]
<アクリル系樹脂(A−5)の調製>
温度計、攪拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル30.9部とアセトン12.2部、重合開始剤AIBN0.016部を仕込み、撹拌しながら昇温し、沸点になったら、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)97部、アクリル酸(AAc)3部、AIBN0.014部、酢酸エチル2部を混合溶解させ、混合物を2時間にわたって滴下した。更に、滴下終了1時間後に、酢酸エチル10部とAIBN0.018部を溶解させた重合触媒液を追加し、更に4時間重合させた後、紫外線吸収剤としてIRGANOX1010(Irg1010)0.1部を溶解させた酢酸エチル95部で希釈し、アクリル系樹脂(A−5)溶液(重量平均分子量83万;分散度5.0;ガラス転移温度−67℃;固形分38%;粘度3,300mPa・s(25℃))を得た。
・エポキシ系架橋剤(B)として以下のものを用意した。
(B−1):1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)
〔実施例1〕
上記製造例1で調製したアクリル系樹脂(A−1)溶液の固形分100部あたり、エポキシ系架橋剤(B−1)0.083部を加え、この溶液が35%になるよう酢酸エチルで希釈し、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌を行い、さらにローリングミキサーで30分以上攪拌し、粘着剤組成物を得た。
〔実施例2〕
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて、上記製造例2で調製したアクリル系樹脂(A−2)溶液を用い、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.081部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔実施例3〕
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて、上記製造例3で調製したアクリル系樹脂(A−3)溶液を用い、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.081部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔実施例4〕
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて、上記製造例4で調製したアクリル系樹脂(A−4)溶液を用い、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.082部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔実施例5〕
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)溶液に代えて、上記製造例5で調製したアクリル系樹脂(A−5)溶液を用い、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.081部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔実施例6〕
実施例5において、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.053部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔実施例7〕
実施例1において、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.2部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔実施例8〕
実施例4において、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.2部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.028部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔比較例2〕
実施例5において、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.027部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
〔比較例3〕
実施例4において、エポキシ系架橋剤(B−1)の配合量を0.3部に変更した以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
<評価>
<粘着フィルムの作製>
上記実施例1〜8及び比較例1〜3で得られた粘着剤組成物を低密度ポリエチレンフィルム(LDPE、タマポリ(株)社製;商品名「V−1(LDPE60、膜厚60μm)」)のコロナ処理面にアプリケーターを用いて塗工し、80℃で2分間乾燥させることにより、厚さ25μmの粘着剤層が形成された粘着フィルム(粘着剤層付きポリエチレンフィルム)を得た。
[粘着力測定用試験片の作製]
<SUS−BA板試験片の作製>
まず上記粘着フィルムを40℃で7日間エージングした後、幅25mm、長さ150mmにカットした。次に幅25mm、長さ180mmにカットした離型フィルムの非離型面をカットした上記粘着フィルムの粘着剤層に3cm程度重なるように貼り付け、重なり面をホッチキスで固定した。
次いで酢酸エチルを使用して表面を洗浄化したSUS−BA板(鏡面仕上げステンレス鋼板;厚さ0.5mm;サイズ:幅70mm、長さ150mm)に離型フィルムを貼り付けた上記粘着フィルムをJIS Z 0237に準じた自動ローラで2往復して圧着することで、SUS−BA板試験片を作製した。
<アルミニウム板試験片の作製>
まず上記粘着フィルムを40℃で7日間エージングした後、幅25mm、長さ150mmにカットした。次に幅25mm、長さ180mmにカットした離型フィルムの非離型面をカットした上記粘着フィルムの粘着剤層に3cm程度重なるように貼り付け、重なり面をホッチキスで固定した。
次いで酢酸エチルを使用して表面を洗浄化したアルミニウム板(A−1050P;厚さ1mm;サイズ:幅70mm、長さ150mm)に離形フィルムを貼り付けた上記粘着フィルムをJIS Z 0237に準じた自動ローラで2往復して圧着することで、アルミニウム板試験片を作製した。
<常態粘着力>
上記SUS−BA板試験片およびアルミニウム板試験片を23±2℃×50±5%RHに調整した恒温恒湿機内に20分間放置したものを、引張試験機(オートグラフ、島津製作所社製AG−IS)を用い、引張速度0.3m/min、剥離角度180°における粘着力(N/25mm)を測定した。
<経時粘着力(耐候性試験)>
ブラックパネル温度23〜58℃、槽内温度40±5℃、湿度10〜100RH(降雨あり)に調整したサンシャイン・ウェザー・メータ内に60時間放置したアルミニウム板試験片を引張速度0.3m/min、剥離角度180°における粘着力(N/25mm)を測定した。
更に、測定された粘着力の常態粘着力(アルミニウム板試験片)に対する変化率(%)を経時粘着力変化率とした。
また、試験片の糊残りの有無を目視にて、確認した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
○…変化率が150%未満、かつ糊残り無し
△…変化率が150%以上、または糊残り有り
×…変化率が150%以上、かつ糊残り有り
<経時粘着力(耐熱性試験)>
80±2℃に調整した熱風循環乾燥機内に7日間(168時間)放置したアルミニウム板試験片を、引張試験機(オートグラフ、島津製作所社製AG−IS)を用い、引張速度0.3m/min、剥離角度180°における粘着力(N/25mm)を測定した。更に、測定された粘着力の常態粘着力(アルミニウム板試験片)に対する変化率(%)を経時粘着力変化率とした。
また、試験片の糊残りの有無を目視にて、確認した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
○…変化率が150%未満、かつ糊残り無し
△…変化率が150%以上、または糊残り有り
×…変化率が150%以上、かつ糊残り有り
<ゲル分率>
上記粘着フィルムを幅50mm、長さ50mmにカットし、メッシュ数200inchのSUSシート(平均線径約0.05mm、平均目開き0.077mm)に貼り付けて包んだ後、その際の重量を測定し、前記重量を浸漬前重量(C)とした。なお、前記浸漬前重量は、粘着フィルム(粘着剤層と低密度ポリエチレンフィルム)と、SUSシートとの総重量である。
また、使用するSUSシートの重量も測定しておき、前記重量を包袋重量(B)とした。
次に、前記粘着フィルムをSUSシートに貼り付けて包んだもの(サンプル)を、トルエンで満たした容器(容量70mL程度以上)に完全浸漬させ、23±2℃×50±5%RHに調整した恒温恒湿機内に2日間静置した。その後、容器からサンプルを取り出し、80℃で5時間、乾燥機中で乾燥してトルエンを除去した後、サンプル重量を測定し、該重量を浸漬後重量(A)とした。さらに、乾燥後のサンプルから前記粘着フィルムを剥し、粘着フィルムから粘着剤層を(酢酸エチル等を用いて)除去した後の低密度ポリエチレンフィルムの重量を測定し、該重量を基材重量(D)とした。そして、下記式からゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=(A−B−D)/(C−B−D)×100
(式中、Aは浸漬後重量であり、Bは包袋重量であり、Cは浸漬前重量であり、Dは基材重量である。)
なお、ゲル分率は、60〜90%あることが好ましく、保護フィルムをホイールから剥離した場合であっても、良好な剥離作業性を実現することができる。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2016076265
上記評価結果より、アクリル系樹脂(A)にエポキシ系架橋剤(B)を0.030〜0.25部配合した粘着剤組成物を用いた実施例1〜8は、経時粘着力(耐熱性試験、耐候性試験)の変化率も低く、かつ耐熱性試験後、耐候性試験後における糊残りも無く、更にいずれもゲル分率は60%以上であり、良好な粘着剤であった。
一方、アクリル系樹脂(A)にエポキシ系架橋剤(B)を0.030部未満配合した粘着剤組成物を用いた比較例1〜2は、いずれも耐熱性試験後、耐候性試験後の両方で糊残りが見られた。また、経時粘着力(耐熱性試験)、経時粘着力(耐候性試験)のいずれかあるいは両方で変化率は150%以上であり、更に、いずれもゲル分率は60%未満であり、耐熱性試験、耐候性試験により架橋反応が進行し粘着力が大きく上昇してしまうといった不都合が考えられる。
また、アクリル系樹脂(A)にエポキシ系架橋剤(B)を、0.25部を超えて配合した粘着剤組成物を用いた比較例3は、常態粘着力(SUS−BA)かつ常態粘着力(AL)が3.5N/25mm以下となった。更にゲル分率は90%以上であり、架橋反応が過度に進行し柔軟性、および粘着力が低下し剥離が起こりやすくなるといった不都合が考えられる。
これらの結果より、アクリル系樹脂(A)にエポキシ系架橋剤(B)を0.030〜0.25部配合することで粘着剤の柔軟性、および粘着力を保持したまま(大きく低下させることなく)経時粘着力の変化率を減少させるとともに、糊残りの発生を抑制できることがわかる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2014年11月10日出願の日本特許出願(特願2014−227785)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤は、貼り合せ時に充分な粘着力を示し、かつ耐熱性、耐候性に優れ、経時での粘着力上昇抑制に効果を有するものであり、そのため、特に自動車等のホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用粘着剤として有用である。

Claims (11)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)及び官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a2)を含有する重合成分(a)を重合して得られるアクリル系樹脂(A)及びエポキシ系架橋剤(B)を含有してなり、該エポキシ系架橋剤(B)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.030〜0.25重量部である粘着剤組成物。
  2. アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が−90〜10℃である請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 重合成分(a)中に、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−25〜−10℃となるエチレン性不飽和モノマーを含有しない請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. 重合成分(a)が、水酸基含有モノマーを含まない請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. エポキシ系架橋剤(B)が、窒素原子含有エポキシ系架橋剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  6. 自動車ホイールの表面を一時的に保護するための保護フィルム用粘着剤に用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物を硬化してなる粘着剤。
  8. ゲル分率が60〜90%である請求項7記載の粘着剤。
  9. 請求項7または8記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有する粘着フィルム。
  10. 請求項7または8記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有する表面保護用粘着フィルム。
  11. 請求項7または8記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有する自動車ホイール表面保護用粘着フィルム。
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