以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
まず、本発明の粘着剤組成物について説明する。
本発明の粘着剤組成物は、水酸基価が40mgKOH/g以上のアクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)、エチレン性不飽和基を2個以上有するエチレン性不飽和化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含有するものである。
アクリル系樹脂(A)の水酸基価としては、40mgKOH/g以上であることが必要であり、好ましくは40〜150mgKOH/g、特に好ましくは50〜130mgKOH/g、更に好ましくは60〜110mgKOH/g、殊に好ましくは70〜100mgKOH/gである。
かかる水酸基価が低すぎると、高温高湿度条件下での透明性が低下してしまうこととなる。
アクリル系樹脂(A)は、水酸基価が40mgKOH/g以上であるアクリル系樹脂であればよく、例えば、モノマー成分として、水酸基含有モノマー(a1)を必須成分として含有し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)、必要に応じて更に官能基含有共重合性モノマー(a3)、その他の共重合性モノマー(a4)を含有してなるモノマー成分を共重合して得ることができる。
上記水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜16(好ましくは1〜12)の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることも好ましく、更に0.2%以下、殊には0.1%以下のものを使用することが好ましく、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a1)の全モノマー成分中における含有量としては、10〜40重量%であることが好ましく、特に好ましくは15〜35重量%、更に好ましくは17〜30重量%である。
かかる水酸基含有モノマー(a1)の含有量が少なすぎると高温高湿条件下での透明性が低下する傾向があり、多すぎると他のモノマー成分との相溶性が低下する傾向がある。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)としては、アルキル基の炭素数が、通常1〜20であり、特に好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8、殊に好ましくは1〜4であり、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso―ステアリルアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、更に好ましく耐久性に優れる点でn−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の全モノマー成分中における含有量としては、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは20〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%であり、(メタ)アクリル酸エアルキルステル系モノマー(a2)の含有量が少なすぎると、粘着剤として使用した場合の粘着力が不足する傾向にあり、多すぎると相対的に(a1)の含有量が少なくなるため本発明の効果が得られにくい傾向がある。
官能基含有共重合性モノマー(a3)としては、例えば、オキシアルキレン基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、窒素含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等の官能基含有共重合性モノマーがあげられ、これらから選ばれる1種もしくは2種以上が用いられる。
オキシアルキレン基含有モノマーとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステルや、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族系の(メタ)アクリル酸エステル等があげられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド等があげられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物等があげられる。
窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン等があげられる。
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等があげられる。
官能基含有共重合性モノマー(a3)の全モノマー成分中における含有割合は、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.2〜5重量%であり、官能基含有共重合性モノマー(a3)が少なすぎると官能基間の相互作用が小さくなり凝集力が低下する傾向があり、多すぎると粘着力が下がりすぎる傾向がある。
その他の共重合性モノマー(a4)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
また、その他の共重合性モノマー(a4)として脂環式構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを用い、水酸基含有モノマー(a1)と併用することも耐熱性を向上させる点で好ましい。
脂環式構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、脂環式構造の炭素数が、通常、炭素数4〜20であり、特に好ましくは6〜10であり、具体的には、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の共重合性モノマー(a4)の全モノマー成分中における含有割合は、好ましくは0〜30重量%、特には好ましくは1〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%であり、その他の共重合性モノマー(a4)の含有量が多すぎると粘着性能が低下しやすい傾向がある。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、耐腐食性に優れる点で、酸性基を含有しないものであることが好ましい。
上記水酸基モノマー(a1)を必須成分として含有し、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)、必要に応じて更に官能基含有共重合性モノマー(a3)、その他の共重合性モノマー(a4)を含有してなるモノマー成分を重合することにより、アクリル系樹脂(A)を製造するのであるが、かかる重合にあたっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合など当業者周知の方法によって製造することができる。
これらの中でも、懸濁重合が、分子量の大きいポリマーを得ることができ、また生成ポリマーの単離も容易であるため好ましく用いられ、アクリル系樹脂(A)は、懸濁重合により得られたドライレジンであることがより好ましい。
上記重合に際し、必要に応じて、ポリビニルアルコール等の分散安定剤や、アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を添加することができる。
なお、一般に、粘着剤組成物に用いられるアクリル系樹脂は、その製造時に有機溶剤を使用する溶剤系重合により製造されることが多い。このような溶剤系重合のアクリル系樹脂を粘着剤組成物に用いる場合、粘着剤組成物溶液を高温で乾燥することを要するため、多くのエネルギーが必要となったり、また、有機溶剤は引火しやすいだけでなく大気汚染も引き起こすため、溶剤の大規模な回収装置や安全装置が必要となる。しかしながら、上記懸濁重合により得られたドライレジンのアクリル系樹脂を用いると、このような有機溶剤を含有せずに粘着剤組成物を製造することができる。
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、50万〜300万であることが好ましく、特に好ましくは85万〜250万、更に好ましくは100万〜200万である。アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が小さすぎると、活性エネルギー線照射によって得られる粘着剤の凝集力が低下する傾向があり、大きすぎると、均一に相溶した粘着剤組成物が得難くなる傾向がある。
アクリル系樹脂(A)の分散度(Mw/Mn)は、7以下であることが好ましく、特には5以下、更には4以下であることが好ましい。アクリル系樹脂(A)の分散度(Mw/Mn)が大きすぎると、凝集力や粘着物性において活性エネルギー線照射条件による振れが大きくなる傾向がみられる。また、分散度(Mw/Mn)の下限値としては通常2である。なお、上記Mnとは、数平均分子量のことをいう。
アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−70〜20℃であることが好ましく、特に好ましくは−60〜0℃、更に好ましくは−55〜−10℃である。アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が低すぎると、凝集力が低下する傾向がみられ、高すぎると、粘着剤の脆質化を招く傾向がみられる。
なお、本発明において重量平均分子量とは、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量をいい、具体的には、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10、000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものである。数平均分子量においても同様に、上記測定装置を用いて測定されるものである。
また、本発明においてガラス転移温度とは、下記Foxの式より算出されるものである。
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
アクリル系樹脂(A)の含有量は、アクリル系樹脂(A)と後述のエチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)の合計100重量部に対して、5〜50重量部であることが好ましく、特に好ましくは7〜45重量部、更に好ましくは10〜40重量部である。
アクリル系樹脂(A)の含有量が少なすぎると、粘度が低すぎて塗工しにくくなる傾向があり、多すぎると粘度が高く塗工しにくくなる傾向がある。
エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)(以下、「単官能性不飽和化合物(B)」と記すことがある。)としては、脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)および水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)を含有することが必要である。
本発明においては、かかる(B1)および(B2)を必須成分として併用することにより、とりわけ脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)に由来する粘着剤の離型抑制効果による高い粘着力と、とりわけ水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)に由来する水素結合による高い凝集力がバランスよく発揮されるものである。
脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)としては、脂環式構造含有(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましく、脂環式構造の炭素数としては、通常、炭素数4〜20であり、特に好ましくは6〜10であり、具体的には、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらの中でも、アクリル系樹脂(A)との相溶性が優れる点で、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、特に好ましくは、シクロヘキシルアクリレートである。
水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜16(好ましくは1〜12)の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有エチレン性不飽和化合物;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有エチレン性不飽和化合物;2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられる。
これらの中でも、1級水酸基含有エチレン性不飽和化合物が好ましく、粘度およびアクリル系樹脂との相溶性に優れ、入手が容易である点で、特に好ましくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであり、更に好ましくは、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
単官能性不飽和化合物(B)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、上記脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)、水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)以外のエチレン性不飽和基を1個有する不飽和化合物(B3)(以下、「単官能性不飽和化合物(B3)」と記すことがある。)を用いることが好ましいが、耐腐食性に優れる点で、酸性基を有する化合物は用いないことが好ましい。
単官能性不飽和化合物(B3)としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがあげられ、具体的には、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、等があげられる。中でも、好ましくはアルキル基の炭素数が2〜20、特に好ましくは4〜18、更に好ましくは4〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがあげられ、特には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
また、単官能性不飽和化合物(B3)としては、上記の他、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有不飽和モノマー;t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等のアセトアセチル基含有モノマー;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のアリル化合物類;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−2−オキシジメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−3−オキシトリメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−4−オキシテトラメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−5−オキシペンタメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド類;N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニル系モノマー等を用いてもよい。
これら単官能性不飽和化合物(B3)の中から、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いればよい。
単官能性不飽和化合物(B)全体に対する、脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)の含有割合としては、好ましくは0.5〜70重量%、特に好ましくは1〜60重量%、更に好ましくは3〜50重量%、殊に好ましくは5〜40重量%である。脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)の含有割合が高すぎても低すぎても粘着力が低下する傾向がある。
単官能性不飽和化合物(B)全体に対する、水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)の含有割合としては、好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは3〜60重量%、更に好ましくは5〜50重量%、殊に好ましくは7〜40重量%である。水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)の含有割合が高すぎると、凝集力が高くなりすぎる傾向があり、低すぎると耐久性が低下する傾向がある。
単官能性不飽和化合物(B)全体に対する、脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)および水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)の合計量の含有割合としては、好ましくは10〜75重量%、特に好ましくは20〜70重量%、更に好ましくは25〜65重量%、殊に好ましくは30〜60重量%である。脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)および水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)の合計量の含有割合が高すぎると、凝集力が高くなりすぎる傾向があり、低すぎると本発明の効果を充分に得られない傾向がある。
脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)と水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)の含有割合(重量比)は、(B1):(B2)=10:90〜90:10であることが好ましく、特に好ましくは(B1):(B2)=20:80〜80:20、更に好ましくは(B1):(B2)=30:70〜70:30である。水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)に対する脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)の含有割合が高すぎると凝集力が低下しやすい傾向があり、低すぎると粘着力が低下しやすい傾向がある。
単官能性不飽和化合物(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)と単官能性不飽和化合物(B)の合計100重量部に対して、50〜95重量部であることが好ましく、特に好ましくは55〜93重量部、更に好ましくは60〜90重量部である。
単官能性不飽和化合物(B)の含有量が多すぎると、粘度が低すぎて塗工しにくくなる傾向があり、低すぎると粘度が高く塗工しにくくなる傾向がある。
エチレン性不飽和基を2個以上含有するエチレン性不飽和化合物(C)(以下、「多官能性不飽和化合物(C)」と記すことがある。)としては、例えば、2官能の(メタ)アクリレート系モノマー、3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーや、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物を用いることができる。また、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
2官能の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を2つ含有するモノマーであればよく、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等があげられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を3つ以上含有するモノマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等があげられる。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系化合物であり、水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート系化合物(必要に応じて、ポリオール系化合物)を、公知一般の方法により反応させて得られるものを用いればよく、その重量平均分子量としては、通常300〜4000のものを用いればよい。
多官能性不飽和化合物(C)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)と単官能性不飽和化合物(B)の合計100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが必要であり、特に好ましくは0.1〜13重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。
多官能性不飽和化合物(C)の含有量が多すぎると、粘着力が低下しやすくなる傾向があり、少なすぎると凝集力が低下しやすくなる傾向がある。
光重合開始剤(D)としては、光等の活性エネルギー線の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、分子内自己開裂型の光重合開始剤や水素引抜型の光重合開始剤が用いられる。
分子内自己開裂型の光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド等があげられ、中でも2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好適である。
また、水素引抜型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン等があげられ、中でもベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンが好適である。これら光重合開始剤(D)は1種又は2種以上併用して用いられる。
さらに、上述の光重合開始剤以外に、トリアジン系光重合開始剤を用いることにより、硬化後に良好な粘着物性を得るために必要な積算光量を少なくすることが可能となる。
トリアジン系光重合開始剤としては、例えば、下記の一般式(a)で表される2,4,6−三置換−s−トリアジンがあげられる。
〔上記式(a)において、R
1、R
2、およびR
3は、それぞれアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基またはアルコキシ基であり、互いに同じであっても異なっていてもよいが、少なくとも一つはモノハロゲン置換メチル基、ジハロゲン置換メチル基またはトリハロゲン置換メチル基である。〕
上記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等があげられる。また、上記置換アルキル基としては、ハロゲン原子により置換された炭素数1〜10のアルキル基、具体的には、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、α,α,β−トリクロロエチル基等があげられる。
そして、上記アリール基および置換アリール基としては、例えば、炭素数6〜20のもの、具体的には、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基、ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等があげられる。
また、上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、2−フェニルエテニル基等の炭素数2〜12のものがあげられる。さらに、上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のものがあげられる。
そして、上記モノハロゲン置換メチル基、ジハロゲン置換メチル基またはトリハロゲン置換メチル基としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジヨードメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基があげられる。なかでも、塩素原子が置換したトリクロロメチル基が好適である。
このような一般式(a)で表される2,4,6−三置換−s−トリアジンは、例えば、Journal of American Chemical Society 第72巻第3257〜3528頁(1950年)、Journal of American Chemical Society 第74巻第5633〜5636頁(1952年)、Juatus LieblgsAnnalen der Chemie 第577巻第77〜95頁(1952年)に記載された方法に従い合成することができる。
上記一般式(a)で表される2,4,6−三置換−s−トリアジンとしては、具体的には、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−トリル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−n−プロピル−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(クロロメチル)−s−トリアジン等の脂肪族系置換基のみを有する2,4,6−三置換−s−トリアジン系光重合開始剤、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルチオフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(2’,4’−ジクロロフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−メトキシ−1′−ナフチル)−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシナフチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(ピペロニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシスチリル)−s−トリアジン等の芳香族系置換基を有する2,4,6−三置換−s−トリアジン系光重合開始剤等をあげることができる。
これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いられる。
これらの中でも、上記トリアジン系光重合開始剤として、芳香族系置換基を有する2,4,6−三置換−s−トリアジン系光重合開始剤を用いることが好ましく、更には塗膜の黄変が少ない、相溶性がよいという点から、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニル)−s−トリアジンを用いることが特に好ましい。
更に必要に応じて、光重合開始剤(D)の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
光重合開始剤(D)の含有量は、単官能性不飽和化合物(B)と多官能性不飽和化合物(C)との合計100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜15重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
光重合開始剤(D)の含有量が少なすぎると、紫外線等の活性エネルギー線照射による重合にばらつきができやすくなる傾向があり、多すぎると、一定以上の添加効果が得られず不経済となる傾向がある。
また、光重合開始剤(D)として上記トリアジン系光重合開始剤を単独で用いる場合は、単官能性不飽和化合物(B)と多官能性不飽和化合物(C)との合計100重量部に対して、トリアジン系光重合開始剤を0.01〜0.5重量部含有させることが好ましく、特に好ましくは0.05〜0.45重量部、更に好ましくは0.1〜0.4重量部、殊に好ましくは0.15〜0.35重量部である。
かくして、アクリル系樹脂(A)、単官能性不飽和化合物(B)、多官能性不飽和化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含有してなる本発明の粘着剤組成物が得られるが、本発明の効果を損なわない範囲において、イソシアネート系、エポキシ系、金属塩、金属アルコシド、アルデヒド系化合物、非アミノ樹脂系アミノ化合物、尿素系、金属キレート系、メラミン系、アジリジン系等、一般的に使用される架橋剤、他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、公知の添加剤や紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。また、上記配合剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。これら配合剤の配合量は所望する物性が得られるように適宜設定すればよい。
上記粘着剤組成物は、実質的に酸を含まないことが耐腐食性に優れる点で好ましく、実質的に酸を含まないとは、粘着剤組成物の酸価が、通常1mgKOH/g以下、好ましくは0.5mgKOH/g以下、特に好ましくは0であることを意味する。
本発明で得られる粘着剤組成物は、水、水性溶媒あるいは有機溶媒等の溶剤を実質的に含有しないことが好ましく、アクリル系樹脂(A)、多官能性不飽和化合物(C)、光重合開始剤(D)、さらに必要に応じ配合される他の成分は、単官能性不飽和化合物(B)中に溶解もしくは均一に分散した状態となる。かかる粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、単官能性不飽和化合物(B)、多官能性不飽和化合物(C)、光重合開始剤(D)、更に必要に応じて配合される他の成分を、常温あるいは、60℃程度まで加温してから、混合することにより調製することができる。
かくして、本発明の粘着剤組成物が得られるのであるが、かかる粘着剤組成物が、活性エネルギー線照射により硬化されて本発明の粘着剤が得られるのである。
活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ等を用いることができる。
活性エネルギー線の照射量としては、500mJ/cm2以上であることが好ましく、更には1000mJ/cm2以上、特には1500mJ/cm2以上であることが好ましい。かかる照射量が少なすぎると活性エネルギー線照射による重合にばらつきができやすくなる傾向がある。なお、照射量の上限は通常10000mJ/cm2であり、照射量が多すぎると装置及びコストの関係不経済となる傾向がある。
本発明の粘着剤は、粘着シートとして用いることが好適である。
粘着シートの製造方法としては、[I]粘着剤組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して粘着剤層とした後、離型シートを貼合する方法、[II]粘着剤組成物を基材上に塗布し、離型シートを貼合した後、活性エネルギー線照射を行ない粘着剤層を形成する方法、[III]粘着剤組成物を離型シート上に塗布し、活性エネルギー線を照射して粘着剤層とした後、基材もしくは離型シートを貼合する方法、[IV]粘着剤組成物を離型シート上に塗布し、基材もしくは離型シートを貼合した後、活性エネルギー線照射を行ない粘着剤層を形成する方法等が挙げられる。
なお、活性エネルギー線照射後に基材または離型シートを貼合する場合は、活性エネルギー線照射時の酸素による重合阻害要因を排除するため、不活性ガス雰囲気下において活性エネルギー線を照射することがより好ましいが、酸素による重合阻害要因を考慮して照射条件を調整し物性のバランスをとることも可能である。
基材としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属箔;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルムまたはシート、上質紙、グラシン紙等の紙、硝子繊維、天然繊維、合成繊維等から選択される単層体または複層体があげられる。また、基材シートとして不織布やフォーム基材などを用いて、両面テープなどの用途に使用することも可能である。
上記基材の厚さは、特に限定されないが、通常500μm以下、好ましくは5〜300μm、更に好ましくは10〜200μmであればよい。
離型シートとしては、例えば、上記支持基材で例示した各種合成樹脂シート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。
粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法があげられる。
また、活性エネルギー線照射後に基材上に形成される上記粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定されるものであるが、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜250μmである。粘着剤層の厚みが薄すぎると、貼着物性が安定しにくい傾向があり、厚すぎると糊残りを起こしやすくなる傾向がある。
本発明における粘着シートの利用に際し、被着体の種類として、例えば、各種金属面を有する物品;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、シートまたは板等があげられる。
上記金属面を有する物品としては、金属面を有しており、この金属面に、直接、上記粘着シートが、少なくとも部分的にまたは全面的に貼り合わせられているものがある。このような金属面を有する物品において、上記粘着シートが貼り合わせられる被着体(「金属面含有被着体」と称する場合がある)としては、少なくとも部分的に金属面を有していれば特に制限されない。このような金属面含有被着体において、金属面が形成されている部位は、上記粘着シートを直接貼付することが可能な部位であれば特に制限されず、外側の面であってもよく、また、内側の面等であってもよい。なお、1つの金属面含有被着体に金属面が複数形成されている場合、これらの複数の金属面は同一の金属材料により形成された面であってもよく、異なる金属材料により形成された面であってもよい。
上記金属面含有被着体における金属面は、金属材料により形成された金属面含有被着体の表面であってもよく、また各種材料により形成された基材(または構造体)の表面に形成された金属層表面(特に、金属薄膜層表面)であってもよい。上記金属面は、いずれにせよ、金属材料による表面であればよい。
上記金属薄膜層等の金属層は、各種材料により構成された基材(または構造体)の表面の所定の部位に形成することができる。このような金属層において、金属薄膜層の厚みとしては、金属面含有被着体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上であってもよい。なお、金属薄膜層の厚みの上限としては、一般的に薄膜層とみなされる厚みであれば特に制限されない。
上記金属面を形成するための金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、鉄、チタン、白金、ニッケル等の金属単体による金属材料;金合金(例えば、金−銅合金等)、銅合金〔例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−アルミニウム合金等〕、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−モリブデン合金、アルミニウム−タンタル合金、アルミニウム−コバルト合金、アルミニウム−クロム合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−白金合金等)、ニッケル合金(例えば、ニッケル−クロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金等)、スズ合金、ステンレス等の各種合金による金属材料等があげられる。これら金属材料は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、金属材料は、金属元素のみを含有する金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含有する金属材料〔例えば、金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物等)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等)等の金属系化合物〕であってもよい。
具体的には、上記金属面含有被着体としては、例えば、少なくとも部分的に金属面(金属薄膜層面等)を有している窓材またはこの窓材を構成するための部材や、金属薄膜層により形成された電磁波シールド層を有する光学的製品またはこの光学的製品を構成するための部材等があげられる。上記電磁波シールド層を有する光学的製品としては、例えば、電子ディスプレイ(プラズマディスプレイ等)等の光学機器や、デジタル万能ディスク等の光学的に記録可能なディスク(光学的記録ディスク)等があげられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
〔製造例1〕アクリル系樹脂(A−1)の製造
撹拌機を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を溶解し、撹拌翼により300rpmで撹拌しつつ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)20部、n−ブチルアクリレート(a2)35部、2−エチルヘキシルアクリレート(a2)40部、アクリロニトリル(a4)5部、からなる単量体混合物と重合開始剤としてN,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.9部を一括投入し、懸濁液を作成した。
この懸濁液を、撹拌継続下に反応系内を68℃まで昇温させ、4時間一定に保って反応させた。その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、塊状のアクリル系樹脂(A−1)を得た。得られたアクリル系樹脂(A−1)の重量平均分子量(Mw)は80万、分散度(Mw/Mn)は3.3、ガラス転移温度は−41.9℃、水酸基価は86mgKOH/gであった。
〔製造例2〕アクリル系樹脂(A−2)の製造
撹拌機を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を溶解し、撹拌翼により300rpmで撹拌しつつ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)20部、n−ブチルアクリレート(a2)75部、アクリロニトリル(a4)5部、からなる単量体混合物と重合開始剤としてN,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.9部を一括投入し、懸濁液を作成した。
この懸濁液を、撹拌継続下に反応系内を68℃まで昇温させ、4時間一定に保って反応させた。その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、塊状のアクリル系樹脂(A−2)を得た。得られたアクリル系樹脂(A−2)の重量平均分子量は92万、分散度は(Mw/Mn)3.6、ガラス転移温度は-34.9℃、水酸基価は86mgKOH/gであった。
〔アクリル系樹脂(A’−1)の製造〕
撹拌機を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を溶解し、撹拌翼により300rpmで撹拌しつつ、n−ブチルアクリレート(a2)87.8部、アクリロニトリル(a4)7.2部、2−ヒドロキシエチルメタリレート(a1)5部からなる単量体混合物と、重合開始剤としてN,N′−アゾビスイソブチロニトリル0.9部を一括投入し、懸濁液を作製した。
この懸濁液を、撹拌継続下に反応系内を68℃まで昇温させ、4時間一定に保って反応させた。その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、塊状のアクリル系樹脂(A’−1)を得た。得られたアクリル系樹脂(A’−1)の重量平均分子量は130万、分散度は(Mw/Mn)4.6、ガラス転移温度は−47℃、水酸基価は21.5mgKOH/gであった。
・2HEM:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
BA :n−ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
〔実施例1〕
アクリル系樹脂(A)として、アクリル系樹脂(A−1)12部、単官能性不飽和化合物(B)として、シクロヘキシルアクリレート(CHA:(B1))5部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(HBA:(B2))20部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA:(B3))63部、多官能性不飽和化合物(C)として、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.3部を撹拌機のついた容器に入れ、24時間撹拌混合し溶解した。この溶液に、光重合開始剤(D)として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:「ダロキュア1173」;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)(HMPP)1部を混合することにより粘着剤組成物を得た。
上記で得られた粘着剤組成物を、厚みが100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に175μmの厚みになるように塗工した。さらに離型処理されたPET基材を用い、離型処理面が上記塗工面に接するようにして塗工面を被膜した。その後、下記に示す紫外線照射装置を用い、照射強度が200mW/cm2となるように調整した高圧水銀ランプより、積算光量が2400mJ/cm2となるように紫外線を照射することにより、粘着剤組成物が硬化させて得られる粘着剤層を有する粘着シートを得た。
<紫外線照射装置>
アイグランデージECS−301G1型(アイグラフィックス社)
<照射条件>
80W/cm(高圧水銀ランプ)×18cmH、照射強度200mW/cm2
〔実施例2−4〕
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)、単官能性不飽和化合物(B)を表2記載の比率で配合した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および粘着シートを得た。
〔実施例5〕
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)の代わりにアクリル系樹脂として(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および粘着シートを得た。
〔比較例1〕
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)をアクリル系樹脂(A’−1)に変更し、単官能性不飽和化合物(B)の配合割合を下記表2の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および粘着シートを得た。
※ ・CHA:シクロヘキシルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
HMPP:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
・表中(A)〜(D)の数字は重量部を表す。
上記の実施例および比較例で得られた粘着シートについて、下記の方法により、粘着剤層の粘着力、保持力(凝集力)、耐腐食性、透明性を測定・評価し、その結果を後記の表3に示す。
<粘着力>
JIS Z−0273に準じ粘着力を測定した。すなわち、上記粘着シートを25mm×100mmに切断した後、これを、被着体としてのステンレス板(SUS304BA板)に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラーを用いて2往復させることにより圧着し、試験片を作製した。この試験片を、同雰囲気下で、30分放置した後、剥離速度0.3m/分により、180度剥離試験を行ない、粘着力(N/25mm)を測定した。
(評価基準)
◎・・・15N/25mm以上
○・・・5N/25mm以上〜15N/25mm未満
△・・・1N/25mm以上〜5N/25mm未満
×・・・1N/25mm未満
<保持力(凝集力)>
得られた粘着シートをJIS Z−0273に準じ、SUS304を被着体とし、貼付面積25mm×25mmで貼り付けた後、80℃で20分間放置したものについて1kgの荷重をかけて測定し、評価した。
(評価基準)
○・・・24時間放置後でも落下しなかった
△・・・24時間放置後のズレが1mm以内
×・・・24時間放置後のズレが1mm以上又は落下
<耐腐食性>
得られた粘着シートを銅箔(厚さ:130μm)に貼り合わせた後、60℃×90%RHの雰囲気下に250時間保存した。その後、目視で、ポリエチレンテレフタレート製フィルム側から銅箔の表面を観察して、粘着シートが貼り合わせられている銅箔の表面の腐食の有無を確認した。
(評価基準)
○・・・腐食無し
×・・・腐食有り
<透明性(耐湿熱ヘイズ)>
・ヘイズ測定用サンプルの製造
上記粘着シートを3cm×4cmに切り抜き、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、イーグルXG)に押圧した後、オートクレーブ(50℃、0.5MPa×20min)処理し、ヘイズ測定用サンプルを得た。
[耐湿熱試験(A)]
上記ヘイズ測定用サンプルを用いて、60℃、90%RH雰囲気下で100時間の耐湿熱性試験をおこない、耐湿熱性試験開始前と、耐湿熱性試験後のヘイズ値を測定し、下記の基準で評価した。
なお、ヘイズ値は、拡散透過率及び全光線透過率を、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定し、得られた拡散透過率と全光線透過率の値を下記式に代入して、ヘイズ値を算出した。なお、本機はJIS K7361−1に準拠している。
ヘイズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
・(ヘイズ値の測定)
試験前ヘイズ値 :ヘイズ測定用サンプル作成後、耐湿熱性前に測定した。
試験後ヘイズ値1 :耐湿熱性試験終了直後に測定した。
試験後ヘイズ値2 :耐湿熱性試験終了後、さらに室温で3時間静置後に測定した。
・(評価)
○・・・試験後のヘイズ値が3.0未満であり、耐湿熱性試験前後でヘイズ値の変化率が150%未満。
△・・・耐湿熱性試験直後のヘイズ値が3.0未満であり、耐湿熱性試験前後でヘイズ値の変化率が150%以上。
×・・・耐湿熱性試験直後のヘイズ値が3.0以上
[耐湿熱試験(B)]
上記ヘイズ測定用サンプルを用いて、80℃、90%RH雰囲気下で100時間の耐湿熱性試験をおこない、耐湿熱性試験開始前と、耐湿熱性試験後のヘイズ値の測定し、下記の基準で評価した。
・(ヘイズ値の測定)
試験前ヘイズ値 :ヘイズ測定用サンプル作成後、耐湿熱性前に測定。
試験後ヘイズ値1 :耐湿熱性試験終了直後に測定。
試験後ヘイズ値2 :耐湿熱性試験終了後、さらに室温で3時間静置後に測定。
・(評価)
◎・・・試験後のヘイズ値が3.0未満であり、耐湿熱性試験前後でヘイズ値の変化率が150%未満。
○・・・試験後のヘイズ値が3.0以上10未満であり、耐湿熱性試験前後でヘイズ値の変 化率が150%以上300%未満。
△・・・耐湿熱性試験直後のヘイズ値が3.0以上10未満であり、耐湿熱性試験前後でヘイズ値の変化率が300%以上。
×・・・耐湿熱性試験直後のヘイズ値が10以上
上記結果から、本発明の粘着剤組成物から得られた実施例1〜5の粘着シートは、粘着力、保持力等の粘着物性、耐腐食性にバランスよく優れるものであり、更に、通常の使用環境に比べてかなり過酷な環境下である60℃や80℃といった高温かつ高湿度(90%RH)の環境下に長時間放置された場合においても、ヘイズの変化率が少なく、透明性に非常に優れるものであることがわかる。
一方、水酸基価の低い粘着剤組成物から得られた比較例1の粘着シートは高温高湿度環境下においてヘイズ値が上昇してしまい、透明性に劣るものであることがわかる。