図1A及び図1Bは、本発明の実施例に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の概略図である。なお、図1Aはアスファルトフィニッシャ100の左側面図であり、図1Bはその上面図である。
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、スクリード3、及びコントローラ50で構成される。なお、本実施例では、トラクタ1から見たホッパ2の方向を前方とし、トラクタ1から見たスクリード3の方向を後方とする。
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。本実施例では、コントローラ50は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。そして、コントローラ50の各種機能は、内部メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。本実施例では、トラクタ1は、後輪走行用モータ20L、20Rを用いて後輪5L、5Rを回転させ、且つ、前輪走行用モータ22L、22Rを用いて前輪6L、6Rを回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。なお、図1A及び図1Bでは各種油圧アクチュエータの概略位置が透過的に示され、後輪5R及び前輪6Rは隠れて見えない。後輪走行用モータ20L、20R及び前輪走行用モータ22L、22Rは油圧源14から作動油の供給を受けて回転する。また、トラクタ1の上部には運転席及びコントロールパネルを含むキャブが設置され、キャブの上部にはキャノピー10が取り付けられる。なお、図1Bでは、図の明瞭化のため、キャノピー10の図示が省略されている。
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構である。本実施例では、ホッパシリンダ24L、24Rによって車幅方向に開閉可能に構成される。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプカー(図示せず。)の荷台から舗装材(例えばアスファルト合材である。)を受け入れる。なお、図1(A)及び図1(B)は、ホッパ2が全開状態であることを示す。そして、ホッパ2内のアスファルト合材が減少するとホッパ2を閉じ、ホッパ2の内壁付近にあったアスファルト合材をホッパ2の中央部に集めてコンベアCV及びスクリュ(図示せず。)でスクリード3に給送できるようにする。
スクリード3は、アスファルト合材を敷き均すための機構である。本実施例では、スクリード3は、主に、左レベリングアーム(スクリードアーム)3AL、右レベリングアーム3AR、左フロントスクリード3LF、右フロントスクリード3RF、左リアスクリード3LR、及び、右リアスクリード3RRを含む。また、スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、左レベリングアーム3AL及び右レベリングアーム3ARを介してトラクタ1と連結される。
スクリード3は、スクリードリフトシリンダ25L、25Rを用いて上下動され、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rを用いて車幅方向に伸縮される。
スクリードリフトシリンダ25L、25Rは、スクリード3を地面(舗装面)から持ち上げるための油圧アクチュエータである。本実施例では、スクリードリフトシリンダ25L、25Rは、シリンダがトラクタ1に連結され、ロッドがスクリード3に連結される。また、スクリード3を地面から持ち上げる場合、コントローラ50は、油圧源14が吐出する作動油がスクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室内に流入可能となるようにしてスクリードリフトシリンダ25L、25Rを収縮させる。一方、持ち上げたスクリード3を地面に下ろす場合、コントローラ50は、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室内の作動油が流出可能となるようにする。そして、スクリード3の重量によってロッド側油室内の作動油を流出させてスクリードリフトシリンダ25L、25Rを伸張させる。
スクリード伸縮シリンダ27L、27Rは、スクリード3を車幅方向に伸縮させるための油圧アクチュエータである。本実施例では、スクリード伸縮シリンダ27Lは、左リアスクリード3LRを左フロントスクリード3LFに対して図の左方向に伸縮させる。また、スクリード伸縮シリンダ27Rは、右リアスクリード3RRを右フロントスクリード3RFに対して図の右方向に伸縮させる。
レベリングアーム3AL、3ARは、スクリード3をトラクタ1に連結する装置である。具体的には、レベリングアーム3AL、3ARは、一端がスクリード3に連結され、他端がトラクタ1に枢着される。
レベリングシリンダ23L、23Rは、アスファルトの施工厚さを調整するためにレベリングアーム3AL、3ARを上下動させる油圧アクチュエータである。本実施例では、レベリングシリンダ23L、23Rは、シリンダがトラクタ1に連結され、ロッドがレベリングアーム3AL、3ARのトラクタ1との枢着部に連結される。また、施工厚さを増大させる場合、コントローラ50は、油圧源14が吐出する作動油をレベリングシリンダ23L、23Rのそれぞれのロッド側油室内に流入させ、レベリングシリンダ23L、23Rを収縮させてレベリングアーム3AL、3ARを上昇させる。一方、施工厚さを低減させる場合、コントローラ50は、レベリングシリンダ23L、23Rのそれぞれのロッド側油室内の作動油を流出させ、レベリングシリンダ23L、23Rを伸張させてレベリングアーム3AL、3ARを下降させる。
次に、図2を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載される油圧システムについて説明する。なお、図2は、アスファルトフィニッシャ100に搭載される油圧システムの構成例を示す油圧回路図である。
油圧システムは、主に、油圧源14、後輪駆動部F1、コンベア・スクリュ駆動部F2、前輪駆動部F3、操舵・締め固め装置駆動部F4、レベリング部F5、ホッパ駆動部F6、スクリードリフト部F7、クラウン装置駆動部F8、スクリード伸縮部F9、段差装置駆動部F10、及びキャノピー駆動部F11を含む。
油圧源14は、駆動部F1〜F10を動作させる作動油を供給する機能要素である。本実施例では、油圧源14は、主に、エンジン14E、後輪走行用ポンプ14R、チャージポンプ14C、シリンダ用ポンプ14M、コンベア・スクリュ用ポンプ14S、及び前輪走行用ポンプ14Fを含む。
エンジン14Eは、油圧ポンプ14R、14C、14M、14S、14Fを駆動する駆動源である。
後輪走行用ポンプ14Rは、後輪駆動部F1に駆動用の作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、後輪走行用ポンプ14Rは、閉回路で用いられる斜板式可変容量型の双方向油圧ポンプである。
チャージポンプ14Cは、後輪駆動部F1に制御用の作動油を供給する固定容量型の油圧ポンプである。
シリンダ用ポンプ14Mは、駆動部F4〜F10に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、シリンダ用ポンプ14Mは、斜板式可変容量型の油圧ポンプであり、吐出圧が所定圧で一定となるようにその吐出量が制御される。
コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、コンベア・スクリュ駆動部F2に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sは、斜板式可変容量型の油圧ポンプである。
前輪走行用ポンプ14Fは、前輪駆動部F3に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプである。本実施例では、前輪走行用ポンプ14Fは斜板式可変容量型の油圧ポンプである。
後輪駆動部F1は、後輪5L、5Rを駆動する機能要素である。本実施例では、後輪駆動部F1は、左後輪走行用モータ20L、右後輪走行用モータ20R、チェック弁20La、20Ra、リリーフ弁20Lb、20Rb、及び減速機切替バルブ40を含む。
左後輪走行用モータ20Lは、左側の後輪5Lを駆動する油圧モータである。また、右後輪走行用モータ20Rは、右側の後輪5Rを駆動する油圧モータである。本実施例では、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rは無段変速式油圧モータであり、後輪走行用ポンプ14Rと共に閉回路(HST回路)を形成する。
チェック弁20Laは、後輪走行用ポンプ14Rの第1ポートと左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第2ポートとを繋ぐ管路C1内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Laは、管路C1内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合にチャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C1内に流入させる。なお、図中の括弧内の数字はポート番号を表す。同様に、チェック弁20Raは、後輪走行用ポンプ14Rの第2ポートと左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの第1ポートとを繋ぐ管路C2内の作動油の圧力を所定圧力以上に維持する。具体的には、チェック弁20Raは、管路C2内の作動油の圧力がチャージポンプ14Cの吐出圧を下回った場合にチャージポンプ14Cが吐出する作動油を管路C2内に流入させる。
リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧未満に維持する。具体的には、リリーフ弁20Lbは、管路C1内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合に管路C1内の作動油を閉回路外に流出させる。同様に、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力を所定のリリーフ圧未満に維持する。具体的には、リリーフ弁20Rbは、管路C2内の作動油の圧力がリリーフ圧を上回った場合に管路C2内の作動油を閉回路外に流出させる。
減速機切替バルブ40は、左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える機構である。本実施例では、減速機切替バルブ40は、コントローラ50からの制御指令に応じ、チャージポンプ14Cが吐出する作動油を利用して左後輪走行用モータ20L及び右後輪走行用モータ20Rのそれぞれの減速比を切り替える。
コンベア・スクリュ駆動部F2は、コンベア及びスクリュを駆動する機能要素である。本実施例では、コンベア・スクリュ駆動部F2は、主に、コンベア・スクリュモータ21及びコンベア・スクリュバルブ41を含む。
コンベア・スクリュモータ21は、開回路を形成する可変容量型油圧モータであり、コンベア用モータ及びスクリュ用モータを含む。また、コンベア・スクリュバルブ41は、コンベア用制御弁及びスクリュ用制御弁を含む。
コンベア用制御弁は、コントローラ50からの制御指令に応じて切り替わり、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油をコンベア用モータの吸込ポートに流入させ、且つ、コンベア用モータの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出する。同様に、スクリュ用制御弁は、コントローラ50からの制御指令に応じて切り替わり、コンベア・スクリュ用ポンプ14Sが吐出する作動油をスクリュ用モータの吸込ポートに流入させ、且つ、スクリュ用モータの吐出ポートから流出する作動油を作動油タンクTに排出する。なお、スクリュ用モータの吐出ポートから流出する作動油は、オイルクーラー43を通って作動油タンクTに排出される。
前輪駆動部F3は、前輪6L、6Rを駆動する機能要素である。本実施例では、前輪駆動部F3は、主に、前輪走行用モータ22L、22R及び前輪走行用バルブ42を含む。
前輪走行用モータ22L、22Rは、開回路を形成する固定容量型油圧モータである。そして、前輪走行用バルブ42は、コントローラ50からの制御指令に応じて切り替わり、前輪走行用ポンプ14Fが吐出する作動油を前輪走行用モータ22L、22Rの吸込ポートに流入させる。前輪走行用ポンプ14Fの吐出ポートから流出する作動油は、前輪走行用バルブ42を経由せずにそのまま作動油タンクTに排出される。
操舵・締め固め装置駆動部F4は、操舵装置及び締め固め装置(何れも図示せず。)を駆動する機能要素である。操舵装置は、前輪6L、6Rを操舵するための油圧装置である。本実施例では、操舵装置は、操作者によるステアリングST(図1A参照。)の操作に応じ、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用して前輪6L、6Rの操舵角を変化させる。また、締め固め装置はアスファルト合材を締め固めるための油圧装置である。本実施例では、締め固め装置はタンパ及びバイブレータを含み、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を利用してタンパ及びバイブレータを作動させる。
レベリング部F5は、アスファルトの施工厚さを調整する機能要素である。本実施例では、レベリング部F5は、主に、レベリング用制御弁33L、33R、レベリングシリンダ23L、23R、及びパイロットチェック弁33La、33Lb、33Ra、33Rbを含む。
レベリングシリンダ23L、23Rは、アスファルトの施工厚さを調整するためにレベリングアーム3AL、3ARを上下動させる油圧シリンダであり、施工厚さを増大させる際に収縮し、施工厚さを低減させる際に伸張する。
レベリング用制御弁33L、33Rは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。施工厚さを増大させる場合、レベリング用制御弁33L、33Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をレベリングシリンダ23L、23Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、レベリングシリンダ23L、23Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、レベリングシリンダ23L、23Rは収縮し、レベリングアーム3AL、3ARは上昇する。一方、施工厚さを低減させる場合、レベリング用制御弁33L、33Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をレベリングシリンダ23L、23Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、レベリングシリンダ23L、23Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、レベリングシリンダ23L、23Rは伸張し、レベリングアーム3AL、3ARは下降する。
パイロットチェック弁33La、33Lb、33Ra、33Rbは、外力によってレベリングシリンダ23L、23Rが動いてしまうのを防止する。例えば、パイロットチェック弁33Laは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油がレベリングシリンダ23Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、レベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、それ以外の場合にレベリングシリンダ23Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁33Lb、33Ra、33Rbについても同様である。
ホッパ駆動部F6は、ホッパ2を開閉させる機能要素である。本実施例では、ホッパ駆動部F6は、主に、ホッパ用制御弁34L、34R、ホッパシリンダ24L、24R、及びパイロットチェック弁34La、34Raを含む。
ホッパシリンダ24L、24Rは、ホッパ2を開閉する油圧アクチュエータであり、ホッパ2を開く際に収縮し、ホッパ2を閉じる際に伸張する。
ホッパ用制御弁34L、34Rは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。ホッパ2を開く場合、ホッパ用制御弁34L、34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、ホッパシリンダ24L、24Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、ホッパシリンダ24L、24Rは収縮する。一方、ホッパ2を閉じる場合、ホッパ用制御弁34L、34Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をホッパシリンダ24L、24Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、ホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、ホッパシリンダ24L、24Rは伸張する。
パイロットチェック弁34La、34Raは、ホッパ2の重量、又は、ホッパ2及びホッパ2内のアスファルト合材の重量によってホッパシリンダ24L、24Rが収縮し、ホッパ2が開いてしまうのを防止する。例えば、パイロットチェック弁34Laは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油がホッパシリンダ24Lのロッド側油室に流入する場合に限り、ホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、それ以外の場合にホッパシリンダ24Lのヘッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁34Raについても同様である。
なお、ホッパ駆動部F6では、ホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室とホッパ用制御弁34L、34Rとの間にはパイロットチェック弁が設置されていない。これは、ホッパ2の重量が大きいので外力によってホッパシリンダ24L、24Rが意図せず伸張してしまう可能性が低いためである。但し、ホッパシリンダ24L、24Rのロッド側油室とホッパ用制御弁34L、34Rとの間にパイロットチェック弁が設置されてもよい。
スクリードリフト部F7は、スクリード3を持ち上げる機能要素である。本実施例では、スクリードリフト部F7は、主に、スクリードリフト用制御弁35、スクリードリフトシリンダ25L、25R、切替弁35a、リリーフ弁35b、及び切替弁35cを含む。
スクリードリフトシリンダ25L、25Rは、スクリード3を持ち上げる油圧アクチュエータであり、スクリード3を持ち上げる際に同時に収縮し、スクリード3を下ろす際に同時に伸張する。
スクリードリフト用制御弁35は、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。スクリード3を持ち上げる場合、スクリードリフト用制御弁35は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室内に流入させる。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じ、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室から作動油タンクTに向けて作動油が逆流するのを防止するためである。なお、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのヘッド側油室から流出する作動油は、スクリードリフト用制御弁35を通過することなく作動油タンクTに排出される。この場合、スクリードリフトシリンダ25L、25Rは収縮する。一方、スクリード3を地面に下ろす場合、スクリードリフト用制御弁35は利用されない(図2に示す状態のまま維持される。)。この場合、切替弁35aは、コントローラ50からの制御信号に応じ、チェック弁を含まない第2位置に切り替えられる。スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室の作動油を作動油タンクTに向けて流出させるためである。そのため、スクリードリフトシリンダ25L、25Rはスクリード3の重量によって伸張し、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室の作動油は切替弁35a及びリリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。
切替弁35a、及びリリーフ弁35bは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際に発生する揚力(アスファルト合材がスクリード3を持ち上げようとする力)の変化に伴うスクリード3の上下動を実現する。具体的には、揚力の増大によりスクリード3が上昇するとスクリードリフトシリンダ25L、25Rは収縮する。この場合、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油は、管路C3、スクリードリフト用制御弁35、及び切替弁35aを通ってスクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室に流入する。一方、揚力の減少によりスクリード3が下降するとスクリードリフトシリンダ25L、25Rは伸張する。この場合、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室から流出する作動油は、切替弁35a、スクリードリフト用制御弁35、リリーフ弁35bを通って作動油タンクTに排出される。なお、切替弁35cは、アスファルトフィニッシャ100が移動しながら道路を舗装する際、コントローラ50からの制御信号に応じ、駆動部F8〜F10を使用しない間、チェック弁を含む第1位置に切り替えられる。下流にある駆動部F8〜F10に悪影響を及ぼさないようにするためである。具体的には、クラウン装置、段差装置等が意図せず動いてしまうのを防止するためである。
クラウン装置駆動部F8は、クラウン装置を駆動する機能要素である。本実施例では、クラウン装置駆動部F8は、主に、クラウン装置用制御弁36及びクラウン装置用モータ26を含む。
クラウン装置は、左フロントスクリード3LFと右フロントスクリード3RFの間に取り付けられるターンバックル26a(図1B参照。)の長さを伸縮させ、後方から見たときのスクリード3の上面輪郭形状を凸状又は凹状にする機構である。具体的には、クラウン装置は、コントローラ50からの制御指令に応じて油圧アクチュエータとしてのクラウン装置用モータ26を回転させることでターンバックル26aの長さを伸縮させる。
スクリード3の上面輪郭形状は、ターンバックル26aの長さが基準長さに比べて大きいほど凸状度が大きくなり、ターンバックル26aの長さが基準長さに比べて小さいほど凹状度が大きくなり、基準長さに等しい場合に直線状となる。
クラウン装置用制御弁36は、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。スクリード3の上面輪郭形状の凸状度を大きくする場合、クラウン装置用制御弁36は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をクラウン装置用モータ26の一方のポートに流入させる。また、スクリード3の上面輪郭形状の凹状度を大きくする場合、クラウン装置用制御弁36は、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をクラウン装置用モータ26の他方のポートに流入させる。
スクリード伸縮部F9は、リアスクリードを車幅方向に伸縮させる機能要素である。本実施例では、スクリード伸縮部F9は、主に、スクリード伸縮用制御弁37L、37R、スクリード伸縮シリンダ27L、27R、パイロットチェック弁37La、37Lb、37Ra、37Rb、及びリリーフ弁37Lc、37Rcを含む。
スクリード伸縮シリンダ27Lは、左リアスクリード3LRを車幅方向に伸縮させる油圧アクチュエータであり、幅を狭める際に収縮し、幅を拡げる際に伸張する。また、スクリード伸縮シリンダ27Rは、右リアスクリード3RRを車幅方向に伸縮させる油圧シリンダであり、幅を狭める際に収縮し、幅を拡げる際に伸張する。
スクリード伸縮用制御弁37L、37Rは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。幅を狭める場合、スクリード伸縮用制御弁37L、37Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリード伸縮シリンダ27L、27Rのロッド側油室内に流入させ、且つ、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rのヘッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rは収縮し、左リアスクリード3LR、右リアスクリード3RRは中央に引っ込められる。一方、幅を拡げる場合、スクリード伸縮用制御弁37L、37Rは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油をスクリード伸縮シリンダ27L、27Rのヘッド側油室内に流入させ、且つ、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rのロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rは伸張し、左リアスクリード3LR、右リアスクリード3RRは左右に押し出される。
パイロットチェック弁37La、37Lb、37Ra、37Rbは、外力によってスクリード伸縮シリンダ27L、27Rが意図せずに動いてしまうのを防止する。例えば、パイロットチェック弁37Laは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油がスクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室に流入する場合に限り、スクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを許容する。そして、それ以外の場合にスクリード伸縮シリンダ27Lのロッド側油室の作動油が作動油タンクTに向かって流れるのを禁止する。パイロットチェック弁37Lb、37Ra、37Rbについても同様である。
リリーフ弁37Lc、37Rcは、リアスクリードを収縮させる方向に作用する過度の外力によってリアスクリードに関連する部材が破壊されるのを防止する。例えば、リリーフ弁37Lcは、スクリード伸縮シリンダ27Lを収縮させる方向に作用する過度の外力を受けてスクリード伸縮シリンダ27Lのヘッド側油室における作動油の圧力が過度に上昇した場合、ヘッド側油室における作動油の作動油タンクTへの流出を許容する。その結果、スクリード伸縮シリンダ27Lは収縮して外力の一部を吸収することで左リアスクリード3LRが損傷を受けるのを防止する。リリーフ弁37Rcについても同様である。
段差装置駆動部F10は、段差装置を駆動する機能要素である。本実施例では、段差装置駆動部F10は、主に、段差装置用制御弁38L、38R、及び、段差装置用モータ28L、28Rを含む。
段差装置は、フロントスクリードによる舗装面とリアスクリードによる舗装面との間に形成される段差を解消するためにリアスクリードを上下動させる機構である。具体的には、段差装置はコントローラ50からの制御指令に応じて油圧アクチュエータとしての段差装置用モータ28L、28Rを回転させ、リアスクリードに取り付けられた回転・直動変換機構を駆動してリアスクリードを上下動させる。
段差装置用制御弁38Lは、コントローラ50からの制御信号に応じて弁位置を切り替える。左リアスクリード3LRを上昇させる場合、段差装置用制御弁38Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を段差装置用モータ28Lの一方のポートに流入させる。また、左リアスクリード3LRを下降させる場合、段差装置用制御弁38Lは、シリンダ用ポンプ14Mが吐出する作動油を段差装置用モータ28Lの他方のポートに流入させる。段差装置用制御弁38Rが右リアスクリード3RRを上下動させる場合についても同様である。
キャノピー駆動部F11は、折り畳まれているキャノピー10を展開する機能要素である。本実施例では、キャノピー駆動部F11は、主に、補助油圧源60、セルフシールカップリング機構46、及びキャノピーシリンダ29を含む。
補助油圧源60は、油圧源14とは別に用意される補助的な油圧源である。本実施例では、補助油圧源60は、主に、手動式油圧ポンプシステム15及び補助油圧源用制御弁39を含む。
手動式油圧ポンプシステム15は、操作者が付属のレバーを上下動させることで作動油タンクTの作動油を汲み上げて吐出する。
補助油圧源用制御弁39は、操作者の手動操作に応じて弁位置を切り替える。キャノピー10を展開させる場合、補助油圧源用制御弁39は、手動式油圧ポンプシステム15が吐出する作動油をキャノピーシリンダ29のヘッド側油室内に流入させ、且つ、キャノピーシリンダ29のロッド側油室から流出する作動油を作動油タンクTに排出する。この場合、キャノピーシリンダ29は伸張し、折り畳まれた状態のキャノピー10が展開される。一方、展開されたキャノピー10を折り畳む場合、補助油圧源用制御弁39は、キャノピーシリンダ29のヘッド側油室内の作動油が流出可能となるようにし、キャノピー10の重量によってヘッド側油室内の作動油を流出させてキャノピーシリンダ29を収縮させる。この場合、操作者は手動式油圧ポンプシステム15を手動操作する必要はない。キャノピーシリンダ29はキャノピー10の重量によって作動油タンクTの作動油をキャノピーシリンダ29のロッド側油室に引き込みながら自然に収縮するためである。
セルフシールカップリング機構46は、キャノピーシリンダ29のヘッド側油室と補助油圧源60とを連結するための機構であり、一対のカプラ46L、46Rを含む。カプラ46Lは、キャノピーシリンダ29のヘッド側油室から延びる管路に取り付けられる。カプラ46Rは、補助油圧源60の吐出側から延びる管路に取り付けられる。そして、セルフシールカップリング機構46は、一対のカプラ46L、46Rが連結された場合にそれら一対のカプラ46L、46Rを通って作動油が流れるようにする。また、一対のカプラ46L、46Rが切り離された場合にはカプラ46L、46Rのそれぞれで自動的に管路を密閉する。
セルフシールカップリング機構47は、シリンダ用ポンプ14Mと駆動部F5〜F10とを連結するための機構であり、一対のカプラ47L、47Rを含む。カプラ47Lは、シリンダ用ポンプ14Mの吐出側から延びる管路に取り付けられる。カプラ47Rは、レベリング部F5の上流側の管路に取り付けられる。そして、セルフシールカップリング機構47は、一対のカプラ47L、47Rが連結された場合にそれら一対のカプラ47L、47Rを通って作動油が流れるようにする。また、一対のカプラ47L、47Rが切り離された場合にはカプラ47L、47Rのそれぞれで自動的に管路を密閉する。
操作者は、これら2つのセルフシールカップリング機構46、47を用い、油圧源14(エンジン14Eとシリンダ用ポンプ14Mの組み合わせ)の代わりに補助油圧源60を駆動部F5〜F10に連結できる。そのため、操作者は、油圧源14に関する故障が発生した場合、補助油圧源60で駆動部F5〜F10を動作させることができる。具体的には、操作者は、2つのセルフシールカップリング機構46、47のそれぞれにおける連結を切り離した上で、カプラ46Rとカプラ47Rとを連結して補助油圧源60を駆動部F5〜F10に連結できる。
なお、補助油圧源60は、後輪走行用モータ20L、20Rの駆動には利用されない。後輪走行用モータ20L、20Rを駆動するためには他の油圧アクチュエータを駆動する場合よりも高い吐出圧とより多くの吐出量が必要となり、構成が大掛かりとなってしまうためである。前輪走行用モータ22L、22Rについても同様である。そのため、補助油圧源60の吐出側から延びる管路は、後輪走行用モータ20L、20R、前輪走行用モータ22L、22Rに接続される管路とは分離されており、互いに非接続状態となっている。また、セルフシールカップリング機構を介して連結されることもない。すなわち、セルフシールカップリング機構46、47は、後輪走行用モータ20L、20R、前輪走行用モータ22L、22Rに接続される管路とは非接続状態にある。
ここで、図3を参照し、操作者が補助油圧源60でスクリードリフト部F7を動作させる処理について説明する。なお、図3は、操作者が補助油圧源60でスクリードリフト部F7を動作させる場合の油圧システムの状態を示し、図2に対応する。また、図3は、カプラ46Rとカプラ47Rとが操作者によって既に連結された状態を示す。なお、図3中の実線矢印は作動油タンクTからスクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室に流入する作動油の流れを表し、図3中の点線矢印はスクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのヘッド側油室から流出する作動油の流れを表す。
最初に、操作者は、補助油圧源60及び補助油圧源用制御弁39を手動操作して手動式油圧ポンプシステム15が吐出する作動油がスクリードリフト部F7に向かうようにする。手動式油圧ポンプシステム15が吐出する作動油は、補助油圧源用制御弁39、カプラ46R、カプラ47R、スクリードリフト用制御弁35、切替弁35aを通ってスクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室に流入する。このとき、スクリードリフト用制御弁35は、電気系統が使用できる場合には、コントロールパネルを介した操作者の操作入力に応じたコントローラ50からの制御指令を受けて図3に示す状態に切り替えられる。電気系統が使用できない場合には操作者の手動操作によって図3に示す状態に切り替えられる。なお、スクリードリフト用制御弁35を操作する操作者は、典型的には手動式油圧ポンプシステム15を手動操作する操作者とは別の操作者であるが、手動式油圧ポンプシステム15を手動操作する操作者と同じ操作者であってもよい。
スクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室に作動油が流入すると、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのヘッド側油室から作動油タンクTに向かって作動油が流出する。その結果、スクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれが収縮してスクリード3が持ち上げられる。
スクリード3が所望の高さまで持ち上げられると、操作者は、スクリードリフト用制御弁35を操作し、手動式油圧ポンプシステム15からスクリードリフトシリンダ25L、25Rのそれぞれのロッド側油室への作動油の流れを遮断する。その結果、スクリードリフトシリンダ25L、25Rは収縮した状態で保持され、スクリード3は持ち上げられた状態で保持される。
次に、図4を参照し、操作者が補助油圧源60でスクリード伸縮部F9を動作させる処理について説明する。なお、図4は、操作者が補助油圧源60でスクリード伸縮部F9を動作させる場合の油圧システムの状態を示し、図2及び図3に対応する。また、図4は、カプラ46Rとカプラ47Rとが操作者によって既に連結された状態を示す。なお、図4中の実線矢印は作動油タンクTからスクリード伸縮シリンダ27L、27Rのそれぞれのロッド側油室に流入する作動油の流れを表し、図4中の点線矢印はスクリード伸縮シリンダ27L、27Rのそれぞれのヘッド側油室から流出する作動油の流れを表す。また、図4は、手動操作によって収縮されたスクリードリフトシリンダ25L、25Rを示す。
最初に、操作者は、補助油圧源60及び補助油圧源用制御弁39を手動操作して手動式油圧ポンプシステム15が吐出する作動油がスクリード伸縮部F9に向かうようにする。手動式油圧ポンプシステム15が吐出する作動油は、補助油圧源用制御弁39、カプラ46R、カプラ47R、切替弁35c、スクリード伸縮用制御弁37L、37R、パイロットチェック弁37La、37Raを通ってスクリード伸縮シリンダ27L、27Rのそれぞれのロッド側油室に流入する。このとき、切替弁35c及びスクリード伸縮用制御弁37L、37Rは、電気系統が使用できる場合には、コントロールパネルを介した操作者の操作入力に応じたコントローラ50からの制御指令を受けて図4に示す状態に切り替えられる。電気系統が使用できない場合には操作者の手動操作によって図4に示す状態に切り替えられる。なお、切替弁35c及びスクリード伸縮用制御弁37L、37Rを操作する操作者は、典型的には手動式油圧ポンプシステム15を手動操作する操作者とは別の操作者であるが、手動式油圧ポンプシステム15を手動操作する操作者と同じ操作者であってもよい。
以上の処理により、操作者は、油圧源14に関する故障によりスクリード3を舗装面に接触させた状態で動けなくなったアスファルトフィニッシャ100のスクリードリフト部F7を補助油圧源60で動作させてスクリード3を舗装面から持ち上げることができる。このように、操作者は、油圧源14に関する故障によりアスファルトフィニッシャ100を動かすことができない場合であっても、牽引不能な状態にあるアスファルトフィニッシャ100を牽引可能な状態にできる。
また、操作者は、油圧源14に関する故障により左リアスクリード3LR及び右リアスクリード3RRの少なくとも一方を車幅方向に拡げた状態で動けなくなったアスファルトフィニッシャ100のスクリード伸縮部F9を補助油圧源60で動作させてリアスクリードを引っ込めることができる。また、操作者は、油圧源14に関する故障によりホッパ2を開いた状態で動けなくなったアスファルトフィニッシャ100のホッパ駆動部F6を補助油圧源60で動作させてホッパ2を閉じることができる。このように、操作者は、油圧源14に関する故障によりアスファルトフィニッシャ100を動かすことができない場合であっても、トレーラ輸送不能な状態にあるアスファルトフィニッシャ100をトレーラ輸送可能な状態にできる。
その結果、操作者は、煩雑な作業を回避しながら、アスファルトフィニッシャ100を簡易且つ迅速に牽引可能な状態又はトレーラ輸送可能な状態にできる。煩雑な作業は、例えば、動作させたい油圧シリンダの配管又はホースを外した後、クレーンでスクリード3を吊り上げたり、他の機械でリアスクリードを中央に押し込んだり、或いは他の機械でホッパ2を閉じるといった作業である。
通常、高速道路、国道等の道路の舗装施工は道路を閉鎖して行われ、空港の滑走路の舗装施工は滑走路が利用されない夜間等に行われる。そして、道路を閉鎖可能な時間、滑走路が利用されない時間には制限があり、舗装施工はその制限時間内に完了されなければならない。このような制限下において、油圧源14に関する故障によりアスファルトフィニッシャ100が動けなくなった場合、その制限時間内に少なくともアスファルトフィニッシャ100を施工現場の外に移動させて施工現場を復旧させる必要がある。上述の油圧システムは、油圧源14に関する故障によりアスファルトフィニッシャ100が動けなくなった場合であってもアスファルトフィニッシャ100を簡易且つ迅速に牽引可能な状態にでき、このような要求を満たすことができる。
なお、上述の実施例では、操作者は、補助油圧源60でスクリードリフトシリンダ25L、25Rを収縮させた後でスクリード伸縮シリンダ27L、27Rを収縮させ、或いは、ホッパシリンダ24L、24Rを伸張させる。アスファルトフィニッシャ100をできるだけ早期に牽引可能な状態にするためである。しかしながら、操作者は、スクリードリフトシリンダ25L、25Rの収縮、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rの収縮、及び、ホッパシリンダ24L、24Rの伸張を別の順番で実行してもよく、同時に実行してもよい。
また、上述の実施例では、操作者は、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rを同時に収縮させるが、1つずつ順番に収縮させてもよい。ホッパシリンダ24L、24Rについても同様である。
また、上述の実施例では、操作者は、駆動部F5〜F10のそれぞれを動作させることができるように補助油圧源60の吐出側から延びる管路に取り付けられたカプラ46Rとレベリング部F5の上流側の管路に取り付けられたカプラ47Rとを連結する。しかしながら、補助油圧源60は、スクリードリフトシリンダ25L、25Rを収縮させるためだけにスクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室の上流側の直前に連結されてもよい。具体的には、セルフシールカップリング機構47のような連結機構がスクリードリフトシリンダ25L、25Rのロッド側油室の上流側の直前に配置されてもよい。この場合、補助油圧源60がスクリード伸縮シリンダ27L、27Rを収縮させることができるように、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rのロッド側油室の上流側の直前にそのような連結機構が追加的に配置されてもよい。また、補助油圧源60がホッパシリンダ24L、24Rを伸張させることができるように、ホッパシリンダ24L、24Rのヘッド側油室の上流側の直前にそのような連結機構が追加的に配置されてもよい。また、他の油圧シリンダの上流側の直前にそのような連結機構が追加的に配置されてもよい。
また、上述の実施例では、補助油圧源60は、駆動部F5〜F10のそれぞれを動作させることができるように油圧システムに連結されるが、スクリードリフト部F7のみを動作させることができるように油圧システムに連結されてもよい。スクリードリフト部F7を動作させることができればアスファルトフィニッシャ100を少なくとも牽引可能な状態にできるためである。また、ホッパ駆動部F6、スクリードリフト部F7、及びスクリード伸縮部F9のみを動作させることができるように油圧システムに連結されてもよい。ホッパ駆動部F6、スクリードリフト部F7、及びスクリード伸縮部F9を動作させることができればアスファルトフィニッシャ100を少なくとも牽引可能で且つトレーラ輸送可能な状態にできるためである。
また、上述の実施例では、補助油圧源60はアスファルトフィニッシャ100に固定的に取り付けられているが、アスファルトフィニッシャ100に脱着可能に取り付けられてもよい。この場合、補助油圧源60の吸込側と作動油タンクTとの間に別のセルフシールカップリング機構が配置されてもよい。この構成により、操作者は、アスファルトフィニッシャ100が補助油圧源60を標準で装備していない場合であっても、必要に応じて他の場所にある補助油圧源60を取り付けることができる。
また、上述の実施例では、補助油圧源60は手動式油圧ポンプシステム15で構成されるが、電動式油圧ポンプシステム又はアキュムレータで構成されてもよい。
また、補助油圧源60は可搬式であってもよい。その場合、補助油圧源60は、望ましくは、操作者が一人で持ち運ぶことのできる程度の大きさ及び重量で構成される。
また、上述の実施例では、補助油圧源60の吸込側は作動油タンクTに脱着不能に連結される。また、補助油圧源60の吐出側は、セルフシールカップリング機構47を介してシリンダ用ポンプ14Mの吐出側に、或いは、セルフシールカップリング機構46を介してキャノピーシリンダ29の膨張側油室(ヘッド側油室)に脱着可能に連結される。すなわち、補助油圧源60は、キャノピーシリンダ29を伸張させることを主な用途として取り付けられる。その上で、緊急時にホッパシリンダ24L、24Rを伸張させ、スクリードリフトシリンダ25L、25Rを収縮させ、或いは、スクリード伸縮シリンダ27L、27Rを収縮させることができるように取り付けられる。しかしながら、補助油圧源60の主な用途はキャノピーシリンダ29を伸張させること以外であってもよい。また、補助油圧源60は、緊急時における使用のためだけに取り付けられていてもよい。
また、油圧システムは、2以上の補助油圧源を有していてもよい。この場合、第1の補助油圧源の吐出側がセルフシールカップリング機構47を介してシリンダ用ポンプ14Mの吐出側に脱着可能に連結され、第2の補助油圧源の吐出側がセルフシールカップリング機構46を介してキャノピーシリンダ29の膨張側油室(ヘッド側油室)に脱着可能に連結されてもよい。また、セルフシールカップリング機構46及びセルフシールカップリング機構47の少なくとも一方が省略されてもよい。すなわち、第1の補助油圧源及び第2の補助油圧源の少なくとも一方の吐出側が脱着不能に連結されてもよい。なお、セルフシールカップリング機構47を省略する場合には、第1の補助油圧源の吐出側が連結される点とシリンダ用ポンプ14Mの吐出側との間にストップバルブを配置してもよい。緊急時の使用において第1の補助油圧源が吐出する作動油がシリンダ用ポンプ14Mから漏出するのを防止するためである。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、本発明はアスファルトフィニッシャに適用されたが、コンクリートフィニッシャ、モータグレーダ等、油圧源に関する故障で牽引不能又はトレーラ輸送不能となり得る他の道路機械に適用されてもよい。
また、本願は、2014年10月10日に出願した日本国特許出願2014−208605号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。