JPWO2016051688A1 - 電極用合金粉末、それを用いたニッケル水素蓄電池用負極およびニッケル水素蓄電池 - Google Patents

電極用合金粉末、それを用いたニッケル水素蓄電池用負極およびニッケル水素蓄電池 Download PDF

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Abstract

電極用合金粉末は、球状のコア部分を有する第1水素吸蔵合金の粒子と、非球状の第2水素吸蔵合金の粒子とからなる。第1水素吸蔵合金の平均粒子径は50μm以下である。第1水素吸蔵合金の含有量は30体積%よりも小さい。

Description

本発明は、電極用合金粉末、それを用いたニッケル水素蓄電池用負極およびニッケル水素蓄電池に関し、詳しくは水素吸蔵合金を用いた電極用合金粉末の改良に関する。
ニッケル水素蓄電池では、負極活物質として水素吸蔵合金を含む負極が用いられている。この種のアルカリ蓄電池は、出力特性に優れる上、耐久性(例えば、寿命特性や保存特性)も高い。そのため、このようなアルカリ蓄電池は、例えば、乾電池の代替品、および電気自動車などの動力電源として注目を集めている。一方、リチウムイオン二次電池もこのような用途に用いられているため、アルカリ蓄電池の利点を際立たせる観点から、容量、出力特性、寿命特性などの電池特性をさらに向上させることが望まれている。
水素吸蔵合金は、水素を吸蔵しても水素化物として安定に存在する。この水素化物は、水素を放出することにより、金属へと戻る。一般に、水素の吸蔵によって水素化物が形成されると、体積が大きくなる。すなわち、水素吸蔵合金は膨張して水素化物になる。したがって、水素吸蔵合金をアルカリ蓄電池の負極材料として用いた場合、電池の充放電により、水素の吸蔵・放出による膨張収縮が繰り返され、結晶学的な破壊が生じる。このような破壊により水素吸蔵合金の微粉化が進むと、水素吸蔵合金と電解液との接触面積が増える。そのため、アルカリ水溶液による水素吸蔵合金の腐食が増加し、水素吸蔵合金の水素吸蔵能力が低下する。その結果、電池の特性が低下する。
したがって、水素吸蔵合金の膨張・収縮による体積変化、および結晶学的破壊現象を抑制することが、アルカリ蓄電池の寿命特性向上につながる。原理的に、固体の膨張・収縮によるストレスを最小限にするには、球体における同心円方向の膨張・収縮が理想的である。そのため、アルカリ蓄電池の寿命特性を向上するために、水素吸蔵合金の球状粒子を作製することが試みられている。具体的な製造方法として、合金の溶湯に不活性ガスを吹き付けて合金粒子を調製するアトマイズ法などが知られている。
アトマイズ法では、微細な球状の合金粒子を調製することができる。また、鋳造法やロール急冷法のように、アルカリ蓄電池用負極に用いる合金粒子を調製するために、機械的な粉砕を行う工程を必要としない。しかしながら、アトマイズ法で得られた合金粒子は球状であるため、粒子間の接触や合金粒子と集電体との接触が点接触となり、接触面積が小さくなる。そのため、粉砕工程を経て調製された非球状の合金粒子に比べて集電性に劣る。
このような課題に対して、球状の合金粒子と非球状の合金粒子を混合することで、集電性を向上させることが検討されている。例えば、特許文献1では、30μm以下の粒径を有する球状又は非球状の水素吸蔵合金粒子Aと、30μmより大きく、100μm以下の粒径を有する非球状の水素吸蔵合金粒子Bとを混合して用いている。水素吸蔵合金粒子Aが水素吸蔵合金粒子全体の30体積%〜80体積%を占め、残部が水素吸蔵合金粒子Bである。特許文献1は、このような水素吸蔵合金粒子を用いることで、導電性を高めるとともに、充填密度を向上することを提案している。
また、特許文献2では、球状の水素吸蔵合金粒子と不定形の水素吸蔵合金粒子とを混合し、かつ不定形の水素吸蔵合金粒子の表面を、ニッケルおよび/またはコバルトで被覆している。特許文献2は、この構成により、集電性を高め、寿命特性と放電特性とを両立することを提案している。
特開平11−97002号公報 特開2002−246015号公報
本発明は、球状の合金粒子の特長を効果的に引出すことで、寿命特性とともにレート特性に優れた電極用合金粉末と、それを用いたニッケル水素蓄電池用電極およびニッケル水素蓄電池を提供する。
本発明の一態様による電極用合金粉末は、球状のコア部分を有する第1水素吸蔵合金の粒子と、非球状の第2水素吸蔵合金の粒子とからなる。第1水素吸蔵合金の平均粒子径は0μmより大きく、50μm以下である。第1水素吸蔵合金の含有量は0体積%よりも大きく、30体積%よりも小さい。
また本発明の一態様によるニッケル水素蓄電池用負極は、上記電極用合金粉末と、電極用合金粉末と電気的に接続された集電体とを有する。
さらに本発明の一態様によるニッケル水素蓄電池は、正極と、上記負極と、正極と負極との間に介在するセパレータとアルカリ電解液とを有する。
本発明によれば、ニッケル水素蓄電池において、長寿命を確保しながらも、十分な負極活性化により、レート特性を向上することができる。
本発明の実施の形態に係るニッケル水素蓄電池の構造を模式的に示す縦断面図 図1Aに示すニッケル水素蓄電池の負極の模式断面図 本発明の実施の形態に係る第1水素吸蔵合金の粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図 図2Aの模式図 本発明の実施の形態に係る第1水素吸蔵合金の粒子の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す図 本発明の実施の形態に係る第2水素吸蔵合金の粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図 図3Aの模式図 本発明の実施の形態に係る他の第1水素吸蔵合金の粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図 図4Aの模式図 本発明の実施の形態に係る他の第1水素吸蔵合金の粒子の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す図
本発明の実施の形態の説明に先立ち、従来の技術における問題点を簡単に説明する。
前述のように、球状の合金粒子では、充放電時の膨張・収縮を抑え、結晶学的な破壊を抑制することができる。そのため、球状の合金粒子を負極に用いることで電池の寿命特性を向上させることができる。しかしながら、球状の合金粒子の比表面積は、非球状の合金粒子と比較すると小さい。さらに結晶学的な破壊が起こりにくいことから、合金の割れに起因する新生面の創出も少ない。したがって、合金と電解液との反応面積を十分に大きく取れず、活性化効果が、非球状の合金粒子と比較して小さい。すなわち、分子状の水素を原子状化して水素吸蔵を促進する効果が小さい。このような球状の合金粒子を負極に用いると、電池の放電特性、特に大電流で放電する場合の放電可能な容量を示すハイレート特性が低くなる。
特許文献1の水素吸蔵合金負極では、球状の合金粒子の比率を増やすことにより、放電特性、特に水素吸蔵合金の活性化に依存するハイレート特性が低下しやすい。
また特許文献2の水素吸蔵合金負極では、活性化および集電性の低い球状の合金粒子の特性を補うために、不定形の合金粒子の表面にNiやCoの被膜を形成している。しかしながら、膜状の被膜では、十分な表面積が確保できず、レート特性の改善効果も不十分である。
以下、必要に応じて、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
まず図1Aを参照しながら、本実施の形態によるニッケル水素蓄電池の構成を説明する。図1Aは、本実施の形態に係るニッケル水素蓄電池の構造を模式的に示す縦断面図である。このニッケル水素蓄電池は、負極端子を兼ねる有底円筒型の電池ケース4と、電池ケース4内に収容された電極群10と、図示しないアルカリ電解液とを含む。電極群10では、負極1と、正極2と、これらの間に介在するセパレータ3とが、渦巻き状に巻回されている。電池ケース4の開口部には、絶縁ガスケット8を介して、安全弁6を有する封口板7が配置されている。封口板7を挟むように、電池ケース4の開口端部が内側にかしめられることにより、ニッケル水素蓄電池が密閉されている。封口板7は、正極端子を兼ねており、正極リード9を介して、正極2と電気的に接続されている。
このようなニッケル水素蓄電池は、以下のようにして作製することができる。まず、電極群10を電池ケース4内に収容する。そして、電池ケース4内にアルカリ電解液を注液する。その後、電池ケース4の開口部に絶縁ガスケット8を介して封口板7を配置する。そして、電池ケース4の開口端部を、かしめ封口する。このとき、負極1と電池ケース4とは、電極群10と電池ケース4の内底面との間に配置された負極集電板(図示せず)を介して電気的に接続される。また、正極2と封口板7とは、正極リード9を介して電気的に接続される。
このように、ニッケル水素蓄電池は、正極2と、負極1と、正極2と負極1との間に介在するセパレータ3と、アルカリ電解液とを有する。負極1は、後述する電極用合金粉末を負極活物質として含む。
以下に、ニッケル水素蓄電池の構成要素をより具体的に説明する。
(負極)
負極1は、後述する電極用合金粉末を負極活物質として含む限り特に制限されず、他の構成要素としては、ニッケル水素蓄電池において使用される公知の材料が使用できる。
図1Bは負極1の模式断面図である。負極1は、負極集電体である負極芯材(以下、芯材)1Cと、芯材1Cに付着した負極合剤層1Eとを含む。負極合剤層1Eは負極活物質を含んでいる。負極1は、芯材1Cに少なくとも負極活物質を含む負極ペーストを付着させて負極合剤層1Eを形成することにより作製できる。
芯材1Cとしては、公知の材料が使用でき、ステンレス鋼、ニッケルまたはその合金などで形成された多孔性または無孔の基板が例示できる。芯材1Cが多孔性基板の場合、活物質は、芯材1Cの空孔に充填されていてもよい。
負極ペーストには、通常、分散媒が含まれ、必要に応じて、負極に使用される公知の成分、例えば、導電剤、結着剤、増粘剤などを添加してもよい。
負極1は、例えば、芯材1Cに負極ペーストを塗布した後、乾燥により分散媒を除去し、圧延することにより形成できる。分散媒としては、公知の媒体、例えば、水、有機媒体、これらの混合媒体などが使用できる。
導電剤としては、電子伝導性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、グラファイト、カーボンブラック、導電性繊維、銅粉などの金属粒子、ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料を用いることができる。グラファイトの例は、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛、膨張黒鉛を含む。カーボンブラックの例は、アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。導電性繊維の例は、炭素繊維、金属繊維を含む。これらの導電剤は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、人造黒鉛、ケッチェンブラック、炭素繊維などが好ましい。導電剤の量は、電極用合金粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜50質量部、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。
導電剤は、負極ペーストに添加し、他の成分とともに混合して用いてもよい。また、電極用合金粉末の表面に、導電剤を予め被覆させてもよい。導電剤は、公知の方法により被覆することができる。例えば、電極用合金粉末の表面に、導電剤をまぶす、導電剤を含む分散液を付着させて乾燥させる、メカノケミカル法などにより機械的に被覆するなどの方法を適用できる。
結着剤としては、樹脂材料、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)などのゴム状材料、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂およびそのNaイオン架橋体を用いることができる。ポリオレフィン樹脂の例は、ポリエチレン、ポリプロピレンを含む。フッ素樹脂の例は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む。アクリル樹脂の例は、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体を含む。これらの結着剤は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用できる。結着剤の量は、電極用合金粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。
増粘剤としては、例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールなどと酢酸ビニルユニットを有するポリマーとのケン化物;ポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキサイドなどが挙げられる。セルロース誘導体の例は、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびその変性体(Na塩などの塩も含む)、メチルセルロースなどのセルロース誘導体を含む。これらの増粘剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。増粘剤の量は、電極用合金粉末100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。
(正極)
正極2は、正極芯材(正極集電体)と、正極芯材に付着した活物質または活物質層とを含んでもよい。また、正極2は、活物質粉末を焼結した電極であってもよい。
正極2は、例えば、正極芯材に少なくとも正極活物質を含む正極ペーストを付着させることにより形成できる。より具体的には、正極2は、正極芯材に正極ペーストを塗布した後、乾燥により分散媒を除去し、圧延することにより、正極芯材に付着した正極合剤を形成できる。
正極芯材としては、公知のものが使用でき、ニッケル発泡体、焼結ニッケル板などのニッケルまたはニッケル合金などで形成された多孔性基板が例示できる。
正極活物質としては、例えば、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケルなどのニッケル化合物が使用される。このような正極活物質を含む正極ペーストを正極芯材に塗布あるいは充填し、正極ペーストを乾燥し、所定の寸法に切断し、正極芯材に正極リード9を結合することで正極2が完成する。
正極ペーストには、通常、分散媒が含まれる。必要に応じて、正極2に使用される公知の成分、例えば、導電剤、結着剤、増粘剤などを添加してもよい。分散媒、導電剤、結着剤および増粘剤およびその量としては、負極ペーストの場合と同様のものまたは範囲からそれぞれ選択できる。導電剤としては、水酸化コバルト、γ型のオキシ水酸化コバルトなどの導電性のコバルト酸化物を用いてもよい。また、正極ペーストは、添加剤として、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの金属化合物(酸化物、水酸化物など)などを含んでもよい。
(セパレータ)
セパレータ3としては、ニッケル水素蓄電池に使用される公知の材料、例えば、微多孔膜、不織布、これらの積層体などが使用できる。微多孔膜や不織布の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂などが例示できる。アルカリ電解液に対する耐分解性が高い点からは、ポリオレフィン樹脂製のセパレータ3を用いることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂などの疎水性の高い材料で形成されたセパレータ3には、親水化処理により、親水性基を導入しておくことが好ましい。親水化処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、スルホン化処理などが例示できる。セパレータ3には、これらの親水化処理のうち一種の処理を行ってもよく、また、二種以上の処理を組み合わせて行ってもよい。例えば、コロナ放電処理およびスルホン化処理の双方を施したセパレータ3を使用してもよい。セパレータ3には、予め、少なくともスルホン化処理を施すことが好ましい。スルホン化処理により、セパレータ3にはスルホン酸基が導入される。すなわち、スルホン化処理されたセパレータ3は、スルホン酸基を有する。
セパレータ3の厚さは、例えば、10〜300μmの範囲から適宜選択でき、例えば、15〜200μmであってもよい。セパレータ3が微多孔膜である場合、セパレータ3の厚さは、例えば、10〜100μm、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。セパレータ3が不織布構造を有する場合、セパレータ3の厚さは、例えば、50〜300μm、好ましくは70〜200μm、さらに好ましくは80〜150μmである。
セパレータ3は、不織布構造を有することが好ましい。不織布構造を有するセパレータ3としては、不織布、または不織布と微多孔膜との積層体が例示できる。不織布構造を有するセパレータ3の目付は、例えば、35〜70g/mであり、好ましくは40〜65g/mであり、さらに好ましくは45〜55g/mである。
(アルカリ電解液)
アルカリ電解液としては、例えば、アルカリ化合物(アルカリ電解質)を含む水溶液が使用される。アルカリ化合物としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物が例示できる。これらは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
正極活物質の自己分解を抑制して、自己放電を抑制し易い観点から、アルカリ電解液は、少なくとも水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。アルカリ電解液は、水酸化ナトリウムと、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群より選択される少なくとも一種とを含んでもよい。
アルカリ電解液中における水酸化ナトリウムの濃度は、例えば、5〜40質量%、好ましくは9.5〜35質量%、または9.7〜33質量%以上である。水酸化ナトリウムの濃度がこのような範囲である場合、自己放電をより効果的に抑制することができる。
アルカリ電解液が水酸化カリウムを含む場合、電解液のイオン伝導度を高め易く、高出力化が容易になる。アルカリ電解液中における水酸化カリウム濃度は、例えば、0〜45質量%の範囲から選択でき、0.05〜41質量%または0.1〜33質量%であってもよい。アルカリ電解液が水酸化カリウムを含む場合、アルカリ電解液中の水酸化カリウムの濃度は、水酸化ナトリウムの濃度よりも高くてもよいが、自己放電をより効果的に抑制する観点からは、水酸化ナトリウム濃度よりも小さくしてもよい。
アルカリ電解液が水酸化リチウムを含む場合、酸素過電圧を高め易い。アルカリ電解液が水酸化リチウムを含む場合、アルカリ電解液の高いイオン伝導性を確保する観点から、アルカリ電解液中の水酸化リチウム濃度は、例えば、0〜5質量%の範囲から適宜選択でき、0.1〜3質量%、または0.1〜1質量%であってもよい。なお、アルカリ電解液の比重は、例えば、1.03〜1.55、好ましくは1.11〜1.32である。
(電極用合金粉末)
図2Aは負極1に用いる電極用合金粉末に含まれる第1水素吸蔵合金の粒子11の走査型電子顕微鏡観察像を示す図、図2Bはその模式図である。図2Cは粒子11の断面の走査型電子顕微鏡観察像を示す図である。また図3Aは負極1に用いる電極用合金粉末に含まれる第2水素吸蔵合金の粒子12の走査型電子顕微鏡観察像を示す図、図3Bはその模式図である。
負極1に用いる電極用合金粉末は、球状のコア部分11Cを有する第1水素吸蔵合金の粒子11と、非球状の第2水素吸蔵合金の粒子12との混合物である。第1水素吸蔵合金の平均粒子径Dは、50μm以下であり、上記混合物中の第1水素吸蔵合金の含有量は30体積%よりも少ない。
すなわち、本実施の形態の電極用合金粉末は、水素の吸蔵放出による結晶的破壊が起こりにくい球状(鶏卵状などの類似の形状を含む)の粒子11を含む。図2Cに示す粒子11は、ほぼ球状のコア部分11Cで構成されている。そのため、混合物としての微粉化比率が抑制され、水素吸蔵能力の低下を抑えることができる。
さらに、粒子11の平均粒子径が比較的小さいことで、その表面積を増やすことができる。また粒子11の体積比率を30体積%より少なくすることで、混合物全体の活性化を向上させることができる。よって、この電極用合金粉末を用いたニッケル水素蓄電池を長寿命化しつつ、負極1が十分に活性化されてレート特性を改善することができる。
第1水素吸蔵合金の含有量は、さらに長寿命およびレート特性を向上する観点から、5体積%以上、25体積%以下とすることがより好ましい。なお、平均粒子径とは、メジアン径を意味する。
第1水素吸蔵合金の平均粒子径Dは、好ましくは20μm以上、50μm以下であり、さらに好ましくは25μm以上、40μm以下である。平均粒子径Dがこのような範囲である場合、第1水素吸蔵合金の微粉化を抑制しながら、活性化を得られやすい。
第2水素吸蔵合金の平均粒子径Dは、好ましくは15μm以上60μm以下であり、さらに好ましくは30μm以上50μm以下である。平均粒子径Dがこのような範囲である場合、第2水素吸蔵合金の微粉化を抑制しながら、活性化されやすい。
図4Aは第1水素吸蔵合金の他の粒子11の走査型電子顕微鏡観察像を示す図、図4Bはその模式図である。図4Cは粒子11の断面の走査型電子顕微鏡観察像を示す図である。
レート特性の観点からは、水素吸蔵合金の活性化が特に重要となる。水素吸蔵合金の活性化は、水素吸蔵合金の粒子の表面形状、表面組成および比表面積に、関連づけられる。そのため、図4A〜図4Cに示すように、粒子11は、コア部分11Cの表面に対する高さが、コア部分11Cの径の10%以上である凸部11Pを有することが好ましい。凸部11Pにより、粒子11の表面のナノサイズの触媒作用を促進させることが可能となり、さらにレート特性を向上することができる。なお、凸部11Pの高さは、実質的にはコア部分11Cの径の100%未満となる。
また、第1水素吸蔵合金の比表面積Sは、例えば0.01g/m以上、1.0g/m以下とすることが好ましい。このように第1水素吸蔵合金の比表面積を最適化することで、膨張収縮による微粉化を抑制しつつ、活性化を促進することが可能となる。なお球状のコア部分を有する第1水素吸蔵合金の比表面積は1.0g/mを超えることはない。一方、第2水素吸蔵合金の比表面積は1.0g/mを大きく上回ることが知られている。したがって1.0g/mを閾値として第1水素吸蔵合金と第2水素吸蔵合金とを区別することができる。
第1水素吸蔵合金の表面に凸部11Pを形成するとともに、比表面積を調整するには、例えば、アトマイズ法で水素吸蔵合金を作製する際に、アルゴンと窒素の混合ガスを吹き付けて冷却する。このようにして、水素吸蔵合金の表面に窒化物を形成する。具体的には、水素吸蔵合金の表面に存在する窒化物により凸部11Pが形成され、比表面積を調整することができる。第1水素吸蔵合金の表面に形成される窒化物の量は、窒素ガスとアルゴンガスとの混合比率を変えることで可能となる。
この窒化物は、電池内での第1水素吸蔵合金の過度の腐食劣化を抑制すると考えられ、それにより第1水素吸蔵合金の劣化を抑えることができる。例えば窒素含有量Nは、0wt%より大きく、0.2wt%以下とすることが好ましい。
さらに、例えば、電池組み立て前に、アルカリ水溶液に浸漬させた水素吸蔵合金を加熱することで、水素吸蔵合金の表面に、原子状あるいは、ナノサイズのNiクラスター(磁性体)を形成させることが好ましい。この磁性体は、水素の吸蔵放出に対して触媒作用を有する。磁性体が増加すると、アルカリ蓄電池の電極活物質として用いた場合に、水素吸蔵合金表面における水素の拡散速度が増加し、放電特性を向上できる。
電極用合金粉末中に含まれる磁性体の含有量は、例えば、振動試料磁気測定装置を用いて測定することができる。具体的には、10kOeの磁場における電極用合金粉末の飽和磁化を求め、飽和磁化に相当する金属ニッケル量(磁性体Ni量)を求める。この磁性体Ni量に基づいて磁性体の含有量が算出される。
本実施の形態による第1、第2水素吸蔵合金のそれぞれにおいて、磁性体の含有量(VSM値)は、例えば、0wt%より大きく、3wt%より小さいことが好ましい。含有量がこのような範囲であれば、電極用合金粉末をアルカリ蓄電池における電極活物質として用いた場合、電池反応をより効率よく行うことができる。また、水素吸蔵合金の構成元素の溶出を抑制して、電池容量の低下を抑制できる。
第1水素吸蔵合金および/または第2水素吸蔵合金は、例えば、AB型、AB型、AB型、A型のうちのいずれの結晶格子を有してもよい。なかでもAB型、AB型の結晶構造を有する水素吸蔵合金が好ましい。なお、第1水素吸蔵合金と第2水素吸蔵合金は、結晶構造が異なってもよく、またその組成も異なっていてもよい。
第1水素吸蔵合金および/または第2水素吸蔵合金の組成は、例えば、元素L、元素M、およびNiを含むことが好ましい。任意成分として、元素Eを含んでもよい。元素Lは、周期律表第3族元素および第4族元素からなる群より選択される少なくとも一種であり、元素Mは、アルカリ土類金属元素である。
元素Lのうち、周期律表第3族元素には、Sc、Y、ランタノイド元素、およびアクチノイド元素が含まれる。ランタノイド元素には、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuが含まれる。アクチノイド元素としては、例えば、Ac、Th、Pa、およびNpなどが挙げられる。元素Lのうち、周期律表第4族元素には、Ti、Zr、およびHfが含まれる。
元素Mのアルカリ土類金属元素には、Mg、Ca、SrおよびBaが含まれる。元素Mは、これらのアルカリ土類金属元素を一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。このような元素Mを含むことで、イオン結合性の水素化物が形成され易くなり、水素吸蔵能が高まることで、高容量化し易くなる。元素Mのうち、Mgおよび/またはCaが好ましい。
水素吸蔵合金は、Niを必須成分として含むことが好ましい。
元素Eは、例えば、周期律表第5族〜第11族の遷移金属元素(ただし、Niを除く)、第12族元素、第13族の第2周期〜第5周期の元素、第14族の第3周期〜第5周期の元素、およびPからなる群より選択される少なくとも一種である。遷移金属元素としては、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Pd、Cu、Agなどが例示できる。第12族元素としては、Znなどが例示でき、第13族元素としては、B、Al、Ga、Inなどが例示できる。第14族元素としては、Si、Ge、Snなどが例示できる。
(電極用合金粉末の製造方法)
電極用合金粉末は、第1水素吸蔵合金粒子と第2水素吸蔵合金粒子とを混合することにより調製することができる。
第1水素吸蔵合金粒子、および第2水素吸蔵合金粒子は、それぞれ、
(1)第1水素吸蔵合金の構成元素の単体から合金を形成する工程A、第2水素吸蔵合金の構成元素の単体から合金を形成する工程A
(2)工程Aで得られた第2水素吸蔵合金を粒状化する工程B、および、
(3)工程Aおよび工程Bで得られた粒状物を活性化処理する工程C、
を経ることにより、調製することができる。
(1)工程Aおよび工程A(合金化工程)
第1水素吸蔵合金を形成する工程Aでは、例えば、公知の合金化方法を利用することにより、構成成分の単体から合金を形成できる。このような合金化方法としては、例えば、急冷凝固法を用いることができる。急冷凝固法の具体例は、ロールスピニング法、メルトドラッグ法、直接鋳造圧延法、回転液中紡糸法、スプレイフォーミング法、ガスアトマイズ法、湿式噴霧法、スプラット法、急冷凝固薄帯粉砕法、ガス噴霧スプラット法、メルトエクストラクション法、回転電極法を含む。これらの方法は、単独で用いてもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
工程Aでは、各構成元素の単体を混合し、得られた混合物を、加熱して溶融し、構成元素を合金化してもよい。このような合金化には、例えば、急冷凝固法(具体的には、ガスアトマイズ法)が適している。
工程Aにおいて、各構成元素の単体を混合する際には、水素吸蔵合金が所望の組成となるように、各単体のモル比、質量比などを調整する。不活性ガス雰囲気中で、高周波誘導加熱溶解炉により溶解して得られた溶湯を坩堝の下方から滴下させ、その溶湯に高圧の冷却ガスを噴霧し、球状の合金粒子を作製することができる。冷却ガスとしては、例えば、アルゴンガスまたは窒素ガス、あるいはアルゴンガスと窒素ガスの混合ガスを用いる。
得られた合金粒子は、必要に応じて、加熱処理してもよい。加熱処理を行うことにより、水素吸蔵合金中での構成元素の分散性を調整することができる。その結果、構成元素の溶出および/または偏析をより効果的に抑制できるとともに、水素吸蔵合金を活性化し易くなる。加熱条件は、特に制限されず、例えば、700〜1200℃の温度で、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
工程Aでは、例えば、公知の合金化方法を利用することにより、構成成分の単体から合金を形成できる。このような合金化方法としては、例えば、プラズマアーク溶融法、高周波溶融(金型鋳造)法、メカニカルアロイング法(機械合金法)、メカニカルミリング法を用いることができる。これらの方法は、単独で用いてもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。
工程Aでは、各構成元素の単体を混合し、得られた混合物を、上記の方法などにより合金化することができる。混合物を、加熱により溶融して、構成元素を合金化してもよい。このような合金化には、例えば、プラズマアーク溶融法、高周波溶融(金型鋳造)法が適している。
工程Aにおいて、各構成元素の単体を混合する際には、水素吸蔵合金が所望の組成となるように、各単体のモル比、質量比などを調整する。
溶融状態の合金は、工程Bでの粒状化に先立って固化される。溶融状態の合金は、溶融状態の合金を、必要に応じて鋳型などに供給し、鋳型内で冷却することにより固化することができる。合金中での構成元素の分散性を高める観点から、供給速度などを適宜調整してもよい。
得られた固化状態の合金(インゴット)は、必要に応じて、加熱処理してもよい。加熱処理を行うことにより、水素吸蔵合金中での構成元素の分散性を調整することができる。その結果、構成元素の溶出および/または偏析をより効果的に抑制できるとともに、水素吸蔵合金を活性化し易くなる。加熱条件は、特に制限されず、例えば、700〜1200℃の温度で、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
(2)工程B(粒状化工程)
工程Bでは、工程Aで得られた合金(具体的には、インゴット)を粒状化する。合金は、湿式粉砕、乾式粉砕などによりの粒状化することができ、これらを組み合わせてもよい。具体的には、ボールミルなどによりインゴットを粉砕することができる。湿式粉砕では、水などの液体媒体を用いてインゴットを粉砕する。なお、得られた粒子は、必要に応じて分級してもよい。
(3)工程C(活性化工程)
工程Cにおいて、工程Aおよび工程Bで得られた粉砕物を活性化する。その際、合金粒子を、アルカリ水溶液と接触させる。アルカリ水溶液と原料粉末との接触は、特に制限されない。例えば、アルカリ水溶液中に、原料粉末を浸漬させたり、アルカリ水溶液中に原料粉末を添加して、撹拌したり、アルカリ水溶液を原料粉末に噴霧したりすることによりアルカリ水溶液と原料粉末とを接触させることができる。必要に応じて、加熱下で活性化させてもよい。
活性化に用いるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物などを、アルカリとして含む水溶液が使用できる。これらのうち、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムなどを用いることが好ましい。
活性化の効率、生産性、工程の再現性などの観点から、アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、例えば、5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%である。
アルカリ水溶液による活性化処理の後、得られる合金粒子を水洗してもよい。合金粒子の表面に不純物が残存するのを低減するため、洗浄に用いた水のpHが9以下になってから水洗を終了することが好ましい。活性化処理後の合金粒子は、通常、乾燥される。
合金粒子の粒度分布は、例えば、動的光散乱法(レーザ回折法)、電気的検知帯法、沈降法、画像解析法などにより測定することができる。特に、画像解析法(フロー式画像解析粒子径・形状測定装置)によれば、粒子形状の情報も容易に得ることができるため、適している。画像解析法では、測定粒子を分散媒で均一に分散し、フローセルに通過させる。そして、光源からフローセルに光をあて、粒子がセル内を通過した時の投影像を、高感度CCDカメラで撮影する。粒子像は、デジタル変換され、解析用PCへ送られ、粒子の円相当径、形状情報などが求められる。
電極用合金粉末は、第1水素吸蔵合金の粒子11と第2水素吸蔵合金の粒子12との混合物であればよく、粒子12の表面に粒子11を付着させた状態であってもよい。粒子12の表面に粒子11を付着させると、高密度充填の観点からより好ましい。このような状態の混合物では、第2水素吸蔵合金の平均粒子径Dに対する第1水素吸蔵合金の平均粒子径Dの比(D/D)は、例えば、0.3以上、3.4以下であり、0.3を超え、2以下であることが好ましく、0.3以上、0.9以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて本実施の形態による効果を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(サンプルA1)
(1)第1水素吸蔵合金の粒子の作製
La、Ce、Mg、Ni、Co、Mn、およびAlの各単体を、水素吸蔵合金の組成がLa0.66Ce0.27Mg0.07Ni4.00Co0.30Mn0.40Al0.30となるような割合で混合する。この混合物を、不活性ガス雰囲気中で、高周波誘導加熱溶解炉により溶解して溶湯を形成する。この溶湯を2m/分の速度で坩堝の下方から滴下させ、その溶湯に高圧のアルゴンガスを噴霧し、球状の合金粒子を調製する。図2Aは、このようにして調製された合金粒子の形状を走査型電子顕微鏡により観察した結果を示している。この球状の合金粒子を、アルゴン雰囲気下、900℃で10時間加熱し、加熱後の粒子を、乾式状態でメッシュ径が75μmの篩でふるい、平均粒子径30μmの第1水素吸蔵合金を含む原料粉末を調製する。
この原料粉末と、水酸化ナトリウムを40質量%の濃度で含むアルカリ水溶液とを混合し、100℃で50分間撹拌する(アルカリ処理)。得られた粉末を回収し、温水で洗浄し、脱水後、乾燥する。なお、使用後の温水のpHが9以下になるまで洗浄を続ける。このようにして、不純物が除去された状態の第1水素吸蔵合金の粒子が得られる。この第1水素吸蔵合金の平均粒子径Dは30μmである。
(2)第2水素吸蔵合金粒子の作製
La、Ce、Mg、Ni、Co、Mn、およびAlの各単体を、上記第1水素吸蔵合金と同じ割合で混合し、高周波溶解炉で溶融する。溶融した金属を、2m/分の速度で、鋳型へ流し込み(供給し)、インゴットを作製する。得られたインゴットを、アルゴン雰囲気下、1060℃で10時間加熱する。加熱後のインゴットを、粗粒子に粉砕する。得られた粗粒子を、湿式ボールミルを用いて水の存在下で粉砕し、湿潤状態でメッシュ径が90μmの篩でふるい、平均粒子径45μmの水素吸蔵合金を含む原料粉末を調製する。
この原料粉末を、上記第1水素吸蔵合金と同様にアルカリ処理、洗浄、乾燥して不純物が除去された状態の第2水素吸蔵合金粒子が得られる。
(3)負極の作製
上記工程(1)で得られた第1水素吸蔵合金粒子と、上記工程(2)で得られた第2水素吸蔵合金粒子とを、20:80の体積比率で均一に混合することにより、電極用合金粉末を調製する。
この電極用合金粉末100質量部に対して、CMC(エーテル化度0.7、重合度1600)0.15質量部、アセチレンブラック0.3質量部およびSBR0.7質量部を加え、さらに水を添加して混練することにより、電極ペーストを調製する。得られた電極ペーストを、ニッケルメッキを施した鉄製パンチングメタル(厚み60μm、孔径1mm、開孔率42%)からなる負極芯材の両面に塗布し、乾燥してペーストの塗膜を形成する。この塗膜を負極芯材とともにローラでプレスする。以上のようにして形成された負極シートを切断し、厚み0.4mm、幅35mm、容量2200mAhの負極を作製する。負極の長手方向に沿う一端部では負極合剤を部分的に除去し、負極芯材の露出部を設ける。
(4)正極の作製
多孔性焼結基板からなる正極芯材に正極合剤を充填して正極シートを作製する。正極合剤は、正極活物質として約90質量部のNi(OH)を用い、添加剤として約6質量部のZn(OH)を添加し、導電材として約4質量部のCo(OH)を添加する。このようにして作製された正極シートを所定の寸法に切断して、容量1500mAhの焼結式正極を準備する。正極芯材の長手方向に沿う一方の端部には、正極合剤を充填せずに正極芯材の露出部を設ける。
(5)ニッケル水素蓄電池の作製
工程(4)、(5)で作製された負極および正極を用いて、図1Aに示すような4/5Aサイズで公称容量1500mAhのニッケル水素蓄電池を作製する。具体的には、正極と負極とを、セパレータを介して捲回し、円柱状の極板群を作製する。この極板群では、正極合剤が付着していない正極芯材の露出部と、負極合剤が付着していない負極芯材の露出部とを、それぞれ反対側の端面に露出させる。なお、セパレータとして、スルホン化処理したポリプロピレン製の不織布(厚み100μm、目付50g/cm)を用いる。
正極芯材が露出する極板群の端面には正極集電板を溶接し、負極芯材が露出する極板群の端面には、負極集電板を溶接する。そして、正極リードを介して封口板と正極集電板とを電気的に接続する。その後、負極集電板を下方にして、極板群を円筒形の有底缶からなる電池ケースに収容する。そして、負極集電板と接続された負極リードを、電池ケースの底部と溶接する。電池ケースに電解液を注液した後、周縁に絶縁ガスケットを有する封口板で、電池ケースの開口部を封口し、ニッケル水素蓄電池(サンプルA1)を完成させている。
なお、電解液には、水酸化ナトリウム31質量%、水酸化カリウム1質量%、および水酸化リチウム0.5質量%を含むアルカリ水溶液(比重:1.23)を用いる。
(サンプルA2〜A9、B1〜B4)
第1水素吸蔵合金の粒子の作製において、溶湯を坩堝の下方から滴下させる際に、高圧のアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスを噴霧し、球状の合金粒子を調製する。混合体積比率は、アルゴンガス99.98vol%、窒素ガス0.02%である。また、サンプルA2〜A9、B1〜B4では、電極用合金粉末における第1水素吸蔵合金の含有量(体積%)を(表1)に示すように変えている。これ以外はサンプルA1と同様にしてサンプルA2〜A9、B1〜B4のニッケル水素蓄電池を作製している。なお、図4A〜図4CはサンプルA2の第1水素吸蔵合金を示している。
(サンプルA10〜A15、B5)
第1水素吸蔵合金の粒子の作製において、溶湯を坩堝の下方から滴下させる際のノズル径を変えて、液滴の大きさを変化させる。このようにして第1水素吸蔵合金の平均粒子径を(表1)に示すように変えている。これ以外はサンプルA2と同様にしてサンプルA10〜A15、B5のニッケル水素蓄電池を作製している。
(サンプルA16〜A23)
第2水素吸蔵合金の粒子の作製において、粗粒子を、湿式ボールミルを用いて水の存在下で粉砕する際の条件(例えば粉砕時間)を変え、湿潤状態でふるう篩のメッシュ径を変える。このようにして第2水素吸蔵合金の平均粒子径を(表1)に示すように変えている。これ以外はサンプルA2と同様にしてサンプルA16〜A23のニッケル水素蓄電池を作製している。
(サンプルA24〜A27)
第1水素吸蔵合金の粒子の作製において、溶湯を坩堝の下方から滴下させる際に噴霧する高圧の混合ガスの、アルゴンガスと窒素ガスとの比率を変えている。具体的には、窒素ガスの体積比率は、サンプルA24では0.01vol%、サンプルA25では0.03vol%、サンプルA26では0.04vol%、サンプルA27では0.05vol%とする。その結果、第1水素吸蔵合金の粒子における凸部の高さと、第1水素吸蔵合金の粒子の比表面積、および窒素含有量Nを(表1)に示すように変化させている。これ以外はサンプルA2と同様にしてサンプルA24〜A27のニッケル水素蓄電池を作製している。
(サンプルA28〜A30)
第2水素吸蔵合金の粒子の作製において、アルカリ処理の時間を変更する。具体的には、サンプルA28では100分、サンプルA29では150分、サンプルA30では180分とする。その結果、第2水素吸蔵合金におけるNi磁性体の含有量を(表1)に示すように変化させている。これ以外はサンプルA2と同様にしてサンプルA28〜A30のニッケル水素蓄電池を作製している。
(サンプルA31〜A33)
第1水素吸蔵合金の粒子の作製において、アルカリ処理の時間を変更する。具体的には、サンプルA31では80分、サンプルA32では100分、サンプルA33では130分とする。その結果、第1水素吸蔵合金におけるNi磁性体の含有量を(表1)に示すように変化させている。これ以外はサンプルA2と同様にしてサンプルA31〜A33のニッケル水素蓄電池を作製している。
(6)評価
以上のようにして作製した各サンプルのニッケル水素蓄電池を下記のように評価する。
(a)高温寿命特性
各サンプルのニッケル水素蓄電池を、40℃環境下にて10時間率(150mA)で15時間充電し、5時間率(300mA)で電池電圧が1.0Vになるまで放電する。この充放電サイクルを100回繰り返し、2サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比率を、容量維持率として百分率で求めている。
(b)低温放電特性
各サンプルのニッケル水素蓄電池を、20℃にて、電流値0.75Aで、容量が理論容量の120%になるまで充電し、20℃にて、電流値0.3Aで電池電圧が1.0Vに低下するまで放電する。このときの放電容量を測定する。
さらに、同じニッケル水素蓄電池を、20℃にて、電流値0.75Aで、容量が理論容量の120%になるまで充電し、−10℃にて、電流値1.5Aで電池電圧が1.0Vに低下するまで放電する。このときの放電容量(低温放電容量)を測定する。
低温放電容量を20℃での放電容量で除して百分率で表し、低温放電率を求め、この値を低温放電特性の指標としている。
(c)レート特性
まず、各サンプルのニッケル水素蓄電池を、上記低温放電特性と同様に20℃にて、充放電して0.3Aでの放電容量を測定する。
さらに、同じニッケル水素蓄電池を、20℃にて、電流値0.75Aで、容量が理論容量の120%になるまで充電し、20℃にて、電流値3.0Aで電池電圧が1.0Vに低下するまで放電する。このときの放電容量(2It放電容量)を測定する。
2It放電容量を0.3Aでの放電容量で除して百分率で表し、高率放電率を求め、この値をレート特性の指標としている。
以上の評価結果を、(表2)に示す。
まず、サンプルA2〜A9およびサンプルB1〜B4の評価結果から、第1水素吸蔵合金の粒子の体積比率が1%(サンプルA3)から25%(サンプルA8)へと増加するにしたがい、高温寿命特性が向上していることがわかる。しかしながら、その効果の体積比率依存は、それほど大きくない。これは、第1水素吸蔵合金の平均粒子径Dが50μm以下の比較的小さい粒子であることによると考えられる。
さらに、体積比率29%のサンプルA9ではサンプルA8よりも高温寿命特性が低下し、体積比率30%以上のサンプルB1〜B4ではサンプルA3よりも高温寿命特性が低くなっている。これは、非球状の合金粒子の割れに比較して、体積比率30%以上では、平均粒子径Dが50μm以下である球状合金の割れが顕著になったためと考えられる。
また、第1水素吸蔵合金粒子の含有量が30質量%以上であるサンプルB1〜B4では、低温放電特性およびレート特性が、顕著に低下している。これは、これらのサンプルでは第1水素吸蔵合金の含有量が相対的に多くなることで、第1水素吸蔵合金の活性度の低さが顕著になり、放電時の反応抵抗増加を抑制できなかったためと考えられる。
次に、サンプルA2、A10〜A15、B5の評価結果から、第1水素吸蔵合金の平均粒子径Dが18μm(サンプルA10)以上、50μm(サンプルA15)の場合に高率放電率が大きくなっていることがわかる。一方、平均粒子径Dが55μmのサンプルB5では極端に高率放電率が低下している。これは、平均粒子径Dが上記の範囲にあることで第1水素吸蔵合金の粒子が活性化しやすいためと考えられる。なお、平均粒子径Dが18μmのサンプルA10では高温寿命特性がやや低下している。これは、平均粒子径Dが小さく、充放電サイクルによる微粉化の点でやや不利なためと考えられる。
次に、サンプルA2、A16〜A23の評価結果から、第2水素吸蔵合金の平均粒子径Dが12μm(サンプルA16)以上、60μm(サンプルA22)の場合に高率放電率が大きくなっていることがわかる。一方、平均粒子径Dが65μmのサンプルA23ではやや高率放電率が低下している。これは、平均粒子径Dが上記の範囲にあることで第2水素吸蔵合金の粒子が活性化しやすいためと考えられる。なお、平均粒子径Dが12μmのサンプルA16では高温寿命特性がやや低下している。これは、平均粒子径Dが小さく、充放電サイクルによる微粉化の点でやや不利なためと考えられる。
次に、サンプルA1、A2の評価結果から、第1水素吸蔵合金の粒子が凸部を有することで高率放電率が向上することがわかる。さらに、サンプルA2、A24〜A27の評価結果から、凸部の高さがコア部分の径の10%以上、18%以下のサンプルA2、A25、A26で高率放電率が、凸部がないサンプルA1やその高さが低いサンプルA24に比べて大きくなっていることがわかる。また、凸部が高いほど、表面積Sが大きくなっていることがわかる。しかしながらサンプルA27では窒素含有量Nが0.2wt%を超えている。このように表面の窒素化物が多くなり、電極反応を阻害するため、高率放電率が低下していると考えられる。したがって、窒素化物の生成以外の方法によって凸部をコア部分の径の18%より高くすれば、さらに高率放電率が向上すると考えられる。
次に、サンプルA2、A28〜A30の評価結果から、第1水素吸蔵合金のNi磁性体の含有率が3wt%未満でも、第2水素吸蔵合金のNi磁性体の含有率が3wt%以上の場合(サンプルA30)に高率放電率が低下することがわかる。またサンプルA2、A31〜A33の評価結果から、第2水素吸蔵合金のNi磁性体の含有率が3wt%未満でも、第1水素吸蔵合金のNi磁性体の含有率が3wt%以上の場合(サンプルA33)に高率放電率が低下することがわかる。よって第1、第2水素吸蔵合金のそれぞれにおいて、磁性体の含有量(VSM値)は、0wt%より大きく、3wt%より小さいことが好ましい。
本発明は、電極用合金粉末、それを用いたニッケル水素蓄電池用負極およびニッケル水素蓄電池に関し、寿命特性および放電特性を改良できる。そのため、このニッケル水素蓄電池は、乾電池の代替品の他、各種機器の電源としての利用が期待されるとともに、ハイブリッド自動車用電源などの用途にも期待できる。
1 負極
1C 負極芯材(芯材)
1E 負極合剤層
2 正極
3 セパレータ
4 電池ケース
6 安全弁
7 封口板
8 絶縁ガスケット
9 正極リード
10 電極群
11,12 粒子
11C コア部分
11P 凸部
正極2は、例えば、正極芯材に少なくとも正極活物質を含む正極ペーストを付着させることにより形成できる。より具体的には、正極2においては、正極芯材に正極ペーストを塗布した後、乾燥により分散媒を除去し、圧延することにより、正極芯材に付着した正極合剤を形成できる。
(4)正極の作製
多孔性焼結基板からなる正極芯材に正極合剤を充填して正極シートを作製する。正極合剤は、正極活物質として約90質量部のNi(OH)2を用い、添加剤として約6質量部のZn(OH)2を添加し、導電材として約4質量部のCo(OH)2を添加して得られる。このようにして作製された正極シートを所定の寸法に切断して、容量1500mAhの焼結式正極を準備する。正極芯材の長手方向に沿う一方の端部には、正極合剤を充填せずに正極芯材の露出部を設ける。
(5)ニッケル水素蓄電池の作製
工程(3)、(4)で作製された負極および正極を用いて、図1Aに示すような4/5Aサイズで公称容量1500mAhのニッケル水素蓄電池を作製する。具体的には、正極と負極とを、セパレータを介して捲回し、円柱状の極板群を作製する。この極板群では、正極合剤が付着していない正極芯材の露出部と、負極合剤が付着していない負極芯材の露出部とを、それぞれ反対側の端面に露出させる。なお、セパレータとして、スルホン化処理したポリプロピレン製の不織布(厚み100μm、目付50g/cm)を用いる。
(サンプルA2〜A9、B1〜B4)
第1水素吸蔵合金の粒子の作製において、溶湯を坩堝の下方から滴下させる際に、高圧のアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスを噴霧し、球状の合金粒子を調製する。混合体積比率は、アルゴンガス99.98vol%、窒素ガス0.02vol%である。また、サンプルA2〜A9、B1〜B4では、電極用合金粉末における第1水素吸蔵合金の含有量(体積%)を(表1)に示すように変えている。これ以外はサンプルA1と同様にしてサンプルA2〜A9、B1〜B4のニッケル水素蓄電池を作製している。なお、図4A〜図4CはサンプルA2の第1水素吸蔵合金を示している。
次に、サンプルA2、A10〜A15、B5の評価結果から、第1水素吸蔵合金の平均粒子径Dが18μm(サンプルA10)以上、50μm(サンプルA15)以下の場合に高率放電率が大きくなっていることがわかる。一方、平均粒子径Dが55μmのサンプルB5では極端に高率放電率が低下している。これは、平均粒子径Dが上記の範囲にあることで第1水素吸蔵合金の粒子が活性化しやすいためと考えられる。なお、平均粒子径Dが18μmのサンプルA10では高温寿命特性がやや低下している。これは、平均粒子径Dが小さく、充放電サイクルによる微粉化の点でやや不利なためと考えられる。
次に、サンプルA2、A16〜A23の評価結果から、第2水素吸蔵合金の平均粒子径Dが12μm(サンプルA16)以上、60μm(サンプルA22)以下の場合に高率放電率が大きくなっていることがわかる。一方、平均粒子径Dが65μmのサンプルA23ではやや高率放電率が低下している。これは、平均粒子径Dが上記の範囲にあることで第2水素吸蔵合金の粒子が活性化しやすいためと考えられる。なお、平均粒子径Dが12μmのサンプルA16では高温寿命特性がやや低下している。これは、平均粒子径Dが小さく、充放電サイクルによる微粉化の点でやや不利なためと考えられる。

Claims (10)

  1. 球状のコア部分を有する第1水素吸蔵合金の粒子と、
    非球状の第2水素吸蔵合金の粒子と、からなり、
    前記第1水素吸蔵合金の平均粒子径は、0μmより大きく、50μm以下であり、
    前記第1水素吸蔵合金の含有量は、0体積%よりも大きく、30体積%よりも小さい、
    電極用合金粉末。
  2. 前記第1水素吸蔵合金の前記平均粒子径は、20μm以上、50μm以下である、
    請求項1記載の電極用合金粉末。
  3. 前記第2水素吸蔵合金の平均粒子径は、15μm以上、60μm以下である、
    請求項1、2のいずれか一項に記載の電極用合金粉末。
  4. 前記第1水素吸蔵合金の前記コア部分の表面には、凸部が形成され、前記コア部分の前記表面に対する前記凸部の高さが、前記コア部分の直径の10%以上である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極用合金粉末。
  5. 前記第1水素吸蔵合金の比表面積は、0.01g/m以上、1.0g/m以下である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極用合金粉末。
  6. 前記第1水素吸蔵合金は、組成中に、0wt%より多く、0.2wt%以下の窒素を含有する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極用合金粉末。
  7. 前記第1水素吸蔵合金と前記第2水素吸蔵合金とは、組成中にNiを含有し、
    振動試料磁気測定装置により求められるNi磁性体の含有量が、それぞれの合金で、0wt%より大きく、3wt%よりも小さい、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の電極用合金粉末。
  8. 前記第1水素吸蔵合金は、アトマイズ法により調製された粒子である、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の電極用合金粉末。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電極用合金粉末と、
    前記電極用合金粉末と電気的に接続された集電体と、を備えた、
    ニッケル水素蓄電池用負極。
  10. 正極と、
    請求項9に記載の負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在するセパレータとアルカリ電解液と、を備えた、
    ニッケル水素蓄電池。
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