JPH1060565A - 水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池 - Google Patents

水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池

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JPH1060565A
JPH1060565A JP8218722A JP21872296A JPH1060565A JP H1060565 A JPH1060565 A JP H1060565A JP 8218722 A JP8218722 A JP 8218722A JP 21872296 A JP21872296 A JP 21872296A JP H1060565 A JPH1060565 A JP H1060565A
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JP
Japan
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alloy
hydrogen storage
storage alloy
battery
hydrogen
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JP8218722A
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English (en)
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Takao Sawa
孝雄 沢
Fumiyuki Kawashima
史行 川島
Takamichi Inaba
隆道 稲葉
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】動作環境が変化した場合においても、高い電極
容量が得られるとともに、電池の長寿命化を実現するこ
とが可能な水素吸蔵合金およびその合金を使用したニッ
ケル水素二次電池を提供する。 【解決手段】一般式(R1-a a 2 (Ni
1-b M′b 7±α(但し、RはLa,Ce,Sm,N
d,PrおよびYから選択される少なくとも1種の元素
であり、MはTi,ZrおよびHfから選択される少な
くとも1種の元素であり、M′はCo,Fe,Cr,M
n,Cu,Al,Ga,Si,Ge,Sn,V,Nb,
Ta,Mo,WおよびZnから選択される少なくとも1
種の元素であり、a,b,αは原子比でそれぞれ0≦a
≦0.5,0<b≦0.3,α≦0.5である。)で表
わされる組成を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金およ
びその合金を使用したニッケル水素電池に係り、特に合
金を電池の負電極に使用した場合に、高い電極容量(電
池容量)および繰返しの使用に耐える長寿命特性(長サ
イクル特性)を共に満足させることが可能な水素吸蔵合
金およびニッケル水素二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】石油系燃料などの従来の化石燃料と異な
り、燃焼させても有害ガスを発生せずにH2 Oとなる水
素が、クリーンなエネルギー源として注目されている。
この水素の具体的な利用を実現するためには、水素の実
用規模での貯蔵方法や輸送方法等が重要である。しかし
ながら、水素を気体として通常のボンベに貯蔵する場合
には、ボンベ容積が過大になる一方、水素を極低温下で
液体として貯蔵する場合には、冷凍設備などの補助設備
が必要になり、いずれにしろ貯蔵設備が大型化する難点
がある。そこで、水素と反応して金属酸化物として水素
を吸収し、かつ加熱等により水素を放出する水素吸蔵合
金が、水素の貯蔵や輸送の手段として注目されている。
水素吸蔵合金の応用範囲は広く、上述した水素の貯蔵手
段や輸送手段以外に、水素駆動自動車の燃料源、二次電
池の負極材料、水素の分離、回収、精製装置、ヒートポ
ンプ、冷暖房システム、冷凍システム、蓄熱装置、アク
チュエータ、コンプレッサ、温度センサ、触媒等と様々
や分野での利用が検討されている。特に二次電池の負極
材料としての水素吸蔵合金の用途は拡大の一途を辿って
いる。
【0003】すなわち、近年の電子技術の進歩による省
電力化、実装技術の進歩により従来では予想し得なかっ
た電子機器が小型化およびポータブル化されてきてい
る。それに伴い、前記電子機器の電源である二次電池に
対する高容量化,長寿命化,放電電流の安定化が特に要
求されている。例えばパーソナル化、ポータブル化が進
むOA機器,電話機,AV機器においては、特に小型軽
量化,およびコードレスでの機器使用時間の延伸などの
目的で高性能電池の開発が所望されている。このような
要求に対応する電池として、従来の焼結式ニッケルカド
ミウム(Ni−Cd)電池の電極基板を三次元構造体と
した非焼結式Ni−Cd二次電池が開発されたが、顕著
な容量増加は達成されていない。
【0004】そこで、近年、負極として水素吸蔵合金粉
末を集電体に固定した構造のものを使用したアルカリ二
次電池(ニッケル水素二次電池)が提案され、脚光を浴
びている。このニッケル水素電池に使用される負極は、
一般に、下記の手順で製造される。すなわち、高周波溶
解法やアーク溶解法などによって水素吸蔵合金を溶解し
た後に、冷却・粉砕し、得られた粉砕粉に導電剤や結合
剤を添加して混練物を形成し、この混練物を集電体に塗
布または圧着して製造される。この水素吸蔵合金を使用
した負極は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負極材
料であるカドミウム(Cd)に比較し、単位重量当りま
たは単位容積当りの実効的なエネルギ密度を大きくする
ことができ、電池の高容量化を可能とする他、毒性が少
なく環境汚染のおそれが少ないという特徴を持ってい
る。
【0005】しかしながら、水素吸蔵合金を含む負極
は、二次電池に組み込まれた状態において電解液である
濃厚なアルカリ水溶液に浸漬される他、特に過充電時に
は正極より発生する酸素に曝されるため、水素吸蔵合金
が腐食して電極特性が劣化し易い。さらに、充放電時に
おいて前記水素吸蔵合金中への水素の吸蔵、放出に伴っ
て体積が膨張、収縮するため、水素吸蔵合金に割れを生
じ、水素吸蔵合金粉末の微粉化が進行する。水素吸蔵合
金の微粉化が進行すると、水素吸蔵合金の比表面積が加
速度的に増加するため、水素吸蔵合金表面のアルカリ性
電解液による劣化面積の割合が増加する。しかも、水素
吸蔵合金粉末と集電体との間の導電性も劣化するため、
サイクル寿命が低下する上に電極特性も劣化する。
【0006】そこで、上述した問題を解決するために水
素吸蔵合金を多元化したり、水素吸蔵合金粉末表面また
は水素吸蔵合金を含む負極表面にニッケル薄膜や銅薄膜
をめっき法、蒸着法等により付着させ電解液と直接接触
しないようにして耐食性を向上させたり、機械的強度を
増加させて割れを防止したり、あるいはアルカリ溶液中
へ浸漬後、乾燥させることにより水素吸蔵合金表面の劣
化を抑制したりという方法が提案されているが、必ずし
も十分な改善を図ることができず、却って電極容量の低
下を招く場合があった。
【0007】上記アルカリ二次電池に用いられる水素吸
蔵合金として、LaNi5 で代表されるAB5 系合金が
ある。この六方晶構造を有する合金系を使用した負極
は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負電極材料であ
るカドミウムを使用した場合と比較して、電池の単位重
量または単位容積当りの実効的なエネルギ密度を大きく
することが可能であり、電池の高容量化を可能とする上
に、カドミウム公害等の環境汚染を発生するおそれも少
なく、電池特性も良好であるという特徴を有している。
また上記AB5 系合金を使用した電池では大電流放電が
可能であるという長所がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記L
m−Ni−Co−Al系合金(LmはLa富化ミッシュ
メタル)から成るAB5 系水素吸蔵合金の電極容量は、
未だ300mAh/g未満という低い状態であり、また
充放電によるサイクル寿命は200サイクル程度であ
る。また上記AB5 系合金を使用した電池では放電電流
を高く設定できる長所がある。しかしながら、昨今の技
術的要求水準である電極容量およびサイクル寿命を共に
満足する段階には到達していない。
【0009】また上記従来の水素吸蔵合金を負極材料と
して使用したニッケル水素電池においては、電池が使用
される温度環境によっては電池容量の低下が顕著にな
り、場合によっては放電しないこともあり、電池機能が
著しく低下する問題点があり、いずれにしても電池を使
用した機器の動作信頼性が大幅に低下してしまう問題点
があった。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、動作環境が変化した場合においても、
高い電極容量が得られるとともに、電池の長寿命化を実
現することが可能な電池用水素吸蔵合金およびその合金
を使用したニッケル水素二次電池を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願発明者らは電池の動作環境に適した水素吸蔵合金に
ついて鋭意研究を重ねた。その結果、合金成分として希
土類元素とNiとを基本とする金属間化合物に、さらに
IVa族元素やVIII族元素などを加えて所定組成に調整し
たときに、水素吸蔵特性および耐食性が優れた水素吸蔵
合金が得られ、また、この合金を負極材料として使用し
た場合に電極容量および寿命特性などの電池特性に優れ
たニッケル水素二次電池が得られるという知見を得た。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
【0012】すなわち本発明に係る電池用水素吸蔵合金
は、一般式(R1-a a 2 (Ni1-b M′b 7±α
(但し、RはLa,Ce,Sm,Nd,PrおよびYか
ら選択される少なくとも1種の元素であり、MはTi,
ZrおよびHfから選択される少なくとも1種の元素で
あり、M′はCo,Fe,Cr,Mn,Cu,Al,G
a,Si,Ge,Sn,V,Nb,Ta,Mo,Wおよ
びZnから選択される少なくとも1種の元素であり、
a,b,αは原子比でそれぞれ0≦a≦0.5,0<b
≦0.3,α≦0.5である。)で表わされる組成を有
することを特徴とする。また合金の平均結晶粒径が1〜
100μmの範囲であるとよい。
【0013】本発明に係る電池用水素吸蔵合金は、通常
の真空溶解・鋳造法によって製造することができる。し
かしながら、後述するような鋳造凝固後に行なう均質化
熱処理条件を緩和するために、上記のような所定の組成
を有する合金溶湯を、高速度で移動する冷却体上に射出
し100℃/分以上の冷却速度で急冷凝固せしめること
により製造することが望ましい。この急冷凝固処理によ
り、添加成分が合金組織中に初めて均一に分散し、また
粒界析出相も微細化されて電池の長寿命化を図ることが
できる。ここで合金の微細結晶の大きさは平均的に1〜
100μmの程度である。そして結晶粒の微細化によ
り、合金による水素吸蔵速度が早くなり、電池材料とし
た場合に放電容量の立上りが早くなる。
【0014】なお、上記のような溶湯急冷法によって調
製した合金中の内部歪みを除去して均質化を図るため
に、非酸化性雰囲気中で合金を温度400〜1100℃
で1〜10時間加熱する均質化熱処理を行うとよい。
【0015】また本発明に係るニッケル水素二次電池
は、上記所定の組成を有する水素吸蔵合金を含む負極
と,ニッケル酸化物を含む正極との間に電気絶縁性を有
するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密
閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とす
る。
【0016】本発明に係る電池用水素吸蔵合金におい
て、一般式中、Rは電池の高容量化の基本となる水素吸
蔵能力を有する元素であるが、水素吸蔵時における合金
の結晶構造の安定性を確保するために、一部をTi,Z
r,Hfなどの IVa族元素(M成分)で置換することが
望ましい。なお、長寿命化の観点から、M成分としては
特にZrおよびTiが好ましい。このM成分による置換
量aが原子比で0.5を超えると、合金の水素吸蔵量が
過度に低下してしまう。そのためR成分に対するM成分
の置換量aは原子比で0〜0.5の範囲に設定される
が、0.01〜0.40の範囲がより好ましい。
【0017】なお寿命を延ばす観点に立てば、R成分と
しては、特にCeおよびPrを使用することが好まし
く、また容量を増大化させる観点に立てば、特にLaを
使用することが好ましい。
【0018】NiはR成分とともに本発明に係る水素吸
蔵合金のR2 Ni7 型の結晶構造を保持するとともに、
合金表面における触媒作用を促進し、また水素の拡散速
度を早めるために有効な元素である。
【0019】このNiの一部を、M′成分、すなわちC
o,Fe,Cr,Mn,Cu,Al,Ga,Si,G
e,Sn,V,Nb,Ta,Mo,WおよびZnから選
択される少なくとも1種の元素で置換することにより合
金の寿命を改善することができる。このNi成分に対す
るM′成分の置換量bが原子比で0.3を超えると、容
量が極度に低下するため、M′成分の置換量bは0.3
以下の範囲とされるが、0.25以下が好ましく、0.
20以下がさらに好ましい。なお合金の寿命を延ばす観
点から、M′成分としてFe,Co,Mn,Cu,A
l,Siを使用することが好ましい。
【0020】そして上記R成分,M成分、およびNi成
分,M′成分に係るそれぞれの組成比(原子比)a,b
が、0≦a≦0.5、0<b≦0.3の範囲になったと
きに、その合金は、ほぼA2 7 型結晶構造を有する単
一相で形成されるか、あるいは、ほぼAB5 型結晶構造
を有する単一相で形成されるか、あるいは主相がA2
7 型結晶構造を有し、それ以外にAB5 型などの第2相
が析出しているか、あるいは主相がAB5 型結晶構造を
有し、それ以外にA2 7 型などの第2相が析出してい
る場合があり、いずれにおいても、良好な電極特性およ
び電池特性を与える水素吸蔵合金が得られる。
【0021】また、本発明に係る水素吸蔵合金の一般式
(R1-a a 2 (Ni1-b M′b)7±αにおける係数
αはA2 7 型の結晶構造を有する合金相からの偏位量
を表わす指標であり、α値が大きい程、A2 7 型以外
の結晶構造を有する第2相の割合が大きいことを意味す
る。α値が0.5以下の場合には高容量で長寿命の水素
吸蔵合金が得られる一方、α値が0.5を超えると寿命
特性が急激に低下し、実用的ではなくなる。
【0022】また、前記合金成分のうち、特にNiは希
土類成分(R)と合金化されて、耐食性に優れた希土類
−Ni系水素吸蔵合金を形成して水素の吸蔵・放出を行
うための基本元素である。またCo,Fe,Cuなどの
元素はいずれも合金の耐食性を改善するとともに、水素
吸蔵時における格子の膨張に伴う割れの発生を効果的に
抑止し、寿命改善効果を発揮する元素である。またM
n,Al,Siなどの元素はいずれも合金の寿命改善に
寄与する元素である。
【0023】さらにSi,Cr,Ga,Mo,Sn,W
などの元素はいずれも合金の寿命改善にも有効である。
【0024】また上記M′成分のうち、Mnは、水素吸
蔵合金を含む負電極の高容量化、不働態膜の形成促進に
よる耐食性改善および水素の吸蔵放出圧力(平衡圧)の
低下調整に有効である。一方、AlはMnと同様に水素
の吸蔵放出圧力(解離圧)を、密閉型電池に好適な操作
圧力まで下げる作用を有するとともに耐久性を増加させ
ることができる。
【0025】またM′成分としてのCoは、電解液等に
対する合金の耐食性を向上させる上で有効であり、合金
の微粉化は顕著に抑制され、電池の寿命特性が改善され
る。なおCo添加量を増やすとサイクル寿命は向上する
反面、電極容量が低下する傾向があるため、電池の用途
に応じてCo添加量の最適化を図る必要がある。
【0026】この他、本発明に係る水素吸蔵合金には、
C,N,O,FおよびClなどの元素が不純物として本
願発明合金の特性を阻害しない範囲で含まれていてもよ
い。なお、これらの不純物の含有量はそれぞれ6000
ppm以下の範囲であることが好ましい。より好ましく
は5000ppm以下、さらに好ましくは4000pp
m以下が良い。
【0027】本発明に係る電池用水素吸蔵合金の製造方
法としては、合金組成を均一化して偏析を防止し得る方
法であれば特に限定されない。すなわち所定組成を有す
るように調合した原料混合体をアーク炉等で加熱して合
金溶湯を調製し、しかる後に通常の真空溶解・鋳造法に
従って製造することも可能である。しかしながら、鋳造
凝固後の均質化熱処理の条件を緩和するために,ガスア
トマイズ法,回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロール
法,双ロール法などを使用して上記合金溶湯を冷却凝固
せしめることが好ましい。そして合金溶湯を冷却するに
際し、冷却速度を100℃/分以上,好ましくは300
℃/分以上、さらに好ましくは2500℃/分以上に設
定することにより、ミッシュメタルとしてLaなどを相
対的に多量に含有した場合においても、組織が均一であ
り、偏析が少ない合金が得られる。
【0028】上記の合金溶湯の具体的な冷却凝固法とし
ては、例えば水冷したCu製円板上に合金溶湯を注ぎ、
10〜50mm程度の厚さを有する合金ブロックを作製す
る方法を使用してもよい。この冷却凝固処理と後述する
熱処理とを実施することにより、高容量かつ長寿命の電
池用水素吸蔵合金が得られる。
【0029】一方、高速移動する冷却体上に合金溶融を
射出し、厚さ10〜300μm程度のフレーク状合金と
した場合には、1〜100μm程度の微細な結晶粒から
成る水素吸蔵合金が得られ、高容量かつ長寿命の電池を
形成することができる。また結晶粒の微細化により、合
金の水素吸収速度が速くなり、二次電池とした場合に放
電容量の立上がりが早くなる。
【0030】さらに合金溶湯の冷却凝固法として、特に
ガスアトマイズ法,回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロ
ール法、双ロール法等のように溶融状態にある合金溶湯
を急冷する溶湯急冷法を用い、冷却ロールの材質および
表面性,冷却ロールの回転数(走行面の周速),溶湯温
度,冷却ロール用の冷却水温度,冷却チャンバ内のガス
種,圧力,溶湯噴射ノズル径,噴射量等の製造条件を最
適化することにより合金を安定的に大量に製造すること
ができる。
【0031】単ロール法 図1は、単ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、銅、ニッケル等の熱導伝性に優れ
る直径400mm程度の冷却ロール5と、取鍋2から供
給された水素吸蔵合金溶湯3を貯留した後に前記冷却ロ
ール5の走行面に噴射する注湯ノズル4とを備えた構成
となっている。前記冷却ロール5等は不活性ガス雰囲気
に調整された冷却チャンバー1内に収納されている。ま
た、前記冷却ロール5の回転数は、冷却ロール5の濡性
と冷却速度および水素吸蔵合金溶湯3の噴射量に依存す
るが、概ね300〜5000rpmに設定される。
【0032】上述した図1に示す製造装置において、取
鍋2から供給された水素吸蔵合金溶湯3を注湯ノズル4
より冷却ロール5の走行面へ噴射すると、合金溶湯は冷
却ロール5に接する面より固化し、結晶成長が始まり、
冷却ロール5より離脱するまでに完全に固化が終了す
る。その後、冷却チャンバー1内を飛翔する間に更に冷
却が進み、偏析が少なく結晶成長方向が揃った水素吸蔵
合金6が製造される。
【0033】双ロール法 図2は、双ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、冷却チャンバー1内に各走行面が
対向するように配置された1対以上の冷却ロール5a,
5bと、原料金属を溶解し水素吸蔵合金溶湯3を調製す
る溶解炉7と、この溶解炉7からの水素吸蔵合金溶湯3
をタンディッシュ8を経て前記冷却ロール5a,5bの
間に噴射する注湯ノズル4を備えた構成になっている。
【0034】前記冷却ロール5a,5bは、銅、鉄等の
熱導伝性に優れた材質で形成された直径300mm程度
のものである。前記冷却ロール5a,5bは0〜0.5
mm程度の微少な間隙dを維持しながら300〜200
0rpm程度の回転数で高速回転する。なお、冷却ロー
ルとしては図2に示すように走行面が平行になっている
ものの他、走行面の断面形状をU字型やV字型とした、
いわゆる型ロールを採用することもできる。また、冷却
ロール5a,5bの間隙dを過大にすると、冷却方向が
揃わず、その結果結晶成長方向が揃わない水素吸蔵合金
が製造されるため、0.2mm以下に設定することが好
ましい。
【0035】上述した図2に示す製造装置において、注
湯ノズル4から水素吸蔵合金溶湯3を冷却ロール5a,
5bの間隙方向へ噴射すると、水素吸蔵合金溶湯が両側
の冷却ロール5a,5bに接する側より固化、結晶成長
が始まり、冷却ロール5a,5bより離脱するまでに完
全に固化が終了する。その後、冷却チャンバー1内を飛
翔する間に更に冷却が進み、偏析が少なく結晶成長方向
が揃った水素吸蔵合金6が製造される。
【0036】上記のような冷却凝固法を使用して、ブロ
ック状,リボン状,フレーク状または粒状の水素吸蔵合
金を製造する場合、合金溶湯の凝固冷却時の試料内温度
勾配、冷却ロールや回転ディスクの材質、合金溶湯の供
給量等の条件により等軸晶組織や柱状晶組織が合金内に
形成される。
【0037】上記合金粒子の製造工程において、100
℃/分以上、好ましくは300℃/分以上、さらに好ま
しくは1800℃/分以上の冷却速度にて溶湯を急冷処
理して水素吸蔵合金を製造すると、合金を構成する各結
晶粒が1〜100μm程度と微細化し、合金強度が高ま
るとともに、粒界の乱れが減少するため、水素の吸蔵量
が増大し、電極容量を高めることができる。
【0038】上記溶湯急冷処理により、少なくとも一部
に柱状晶組織を発達させた水素吸蔵合金を形成すること
ができる。ここで柱状晶とは、短径と長径との比(アス
ペクト比)が1:2以上である柱状結晶粒をいう。上記
柱状晶組織においては、等軸晶組織とは異なり、結晶方
位が揃っているため、粒界の乱れが少なく、水素の吸蔵
量が増し、電極容量を増大化できることが本発明者らの
実験により確認された。すなわち柱状晶組織において
は、その界面に沿って、水素分子または水素原子の通路
が形成されるため、合金内への水素の吸蔵あるいは放出
が容易になり、電極容量が増加する。また柱状晶組織に
おける偏析は、極めて少なくなる。従って偏析による局
部電池の形成が少なく、合金組織の微細化による寿命低
下も効果的に防止できる。
【0039】上記のように冷却凝固法により調製した合
金においては内部歪みが発生し易い一方、鋳造法により
調製した合金においては偏析が発生し易く、いずれの場
合にも合金を負極材料として用いた場合に電極容量およ
び寿命が低下する場合が多い。
【0040】そこで冷却凝固せしめて調製した合金を、
場合により、温度400〜1100℃で1〜10時間加
熱する均質化熱処理を予め行なうことが望ましい。
【0041】上記均質化熱処理の温度が400℃未満の
場合には、内部歪の除去が困難となる一方、温度が11
00℃を超える場合には、希土類元素あるいはIVa族
元素の酸化や蒸発による組成変動を引き起こしたり、二
次再結晶化による合金強度の低下を引起こす。そのため
熱処理温度は400〜1100℃の範囲に設定される。
特に電極特性を向上させるためには、500〜800℃
の範囲が好ましい。
【0042】また熱処理時間が1時間未満の場合は、内
部歪の除去効果が少ない。一方、処理時間が10時間を
超える程度に長期化すると結晶粒の粗大化を引起すおそ
れが高くなるため、製造効率も勘案すると2〜5時間が
好ましい。
【0043】なお熱処理雰囲気は、水素吸蔵合金の高温
酸化を防止するために、Arなどの不活性ガス雰囲気ま
たは真空が好ましい。
【0044】上記のような条件で均質化熱処理を実施す
ることにより、合金の均質性を保ちながら内部歪を効果
的に除去することが可能となり、電極容量および寿命を
さらに高めることができる。
【0045】また上記のように調整した水素吸蔵合金に
対して下記のような表面処理を実施することにより、電
極材料として使用した場合に電極特性を改善することが
できる。すなわち、酸処理,アルカリ処理,ふっ化処
理,めっき処理等の表面処理を実施することにより、合
金表面の活性や耐食性を高めることができる。上記表面
処理のうち、特にKOHやNaOHを使用したアルカリ
処理が特に有効である。これらの表面処理は、急冷凝固
したままの形状の状態で実施してもよい。さらに粉砕し
た後の状態でも、または粉砕中の状態で実施してもよ
い。
【0046】次に、上記水素吸蔵合金を負極活物質とし
て使用した本発明に係るニッケル水素二次電池(円筒形
ニッケル水素二次電池)について図3を参照して説明す
る。
【0047】本発明に係るニッケル水素二次電池は、前
記の一般式(R1-a a 2 (Ni1-b M′b 7±α
で表わされる水素吸蔵合金を含む負極11とニッケル酸
化物を含む正極12との間に電気絶縁性を有するセパレ
ータ13を介装して密閉容器14内に収容し、この密閉
容器14内にアルカリ電解液を充填して構成される。
【0048】すなわち、水素吸蔵合金を含む水素吸蔵合
金電極(負極)11は、非焼結式ニッケル電極(正極)
12との間にセパレータ13を介在して渦巻状に捲回さ
れ、有底円筒状の容器14内に収納されている。アルカ
リ電解液は、前記容器14内に収容されている。中央に
穴15を有する円形の封口板16は、前記容器14の上
部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケッ
ト17は、前記封口板16の周縁と前記容器14の上部
開口部内面との間に配置され、前記上部開口部を内側に
縮径するカシメ加工により前記容器14に前記封口板1
6を前記ガスケット17を介して気密に固定している。
正極リード18は、一端が前記正極12に接続され、他
端が前記封口板16の下面に接続されている。帽子形状
をなす正極端子19は、前記封口板16上に前記穴15
を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁20
は、前記封口板16と前記正極端子19で囲まれた空間
内に前記穴15を塞ぐように配置されている。絶縁チュ
ーブ21は、前記正極端子19および前記容器14の上
端に載置される鍔紙22を固定するように前記容器14
の上端付近に取り付けられている。
【0049】前記水素吸蔵合金電極11は、以下に説明
するペースト式および非ペースト式のものが用いられ
る。 (1)ペースト式水素吸蔵合金電極は、上記水素吸蔵合
金を粉砕することにより得た水素吸蔵合金粉末と高分子
結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを混合し
てペースト状とし、このペーストを集電体である導電性
基板に塗布、充填、乾燥した後、ローラープレス等を施
すことにより作製される。 (2)非ペースト式水素吸蔵合金電極は上記水素吸蔵合
金粉末と高分子結着剤と必要に応じて添加される導電性
粉末とを撹拌し、集電体である導電性基板に散布した後
ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0050】前記水素吸蔵合金の粉砕方法としては、例
えばボールミル、パルペライザー、ジェットミル等の機
械的粉砕方法、または高圧の水素を吸蔵・放出させ、そ
の際の体積膨張により粉砕する方法が採用される。
【0051】前記高分子結着剤としては、例えばポリア
クリル酸ソーダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリビ
ニルアルコール(PVA)等を挙げることができる。こ
のような高分子結着剤は、前記水素吸蔵合金100重量
部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合することが好
ましい。ただし、前記(2)の非ペースト式水素吸蔵合
金電極を作製する場合には撹拌により繊維化して前記水
素吸蔵合金粉末および必要に応じて添加される導電性粉
末を三次元状(網目状)に固定することが可能なポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)を高分子結着剤とし
て用いることが好適である。
【0052】前記導電性粉末としては、例えば黒鉛粉
末、ケッチェンブラックなどのカーボン粉末、またはニ
ッケル、銅、コバルトなどの金属粉末を挙げることがで
きる。このような導電性粉末は、前記水素吸蔵合金10
0重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合するこ
とが好ましい。
【0053】前記導電性基板としては、例えばパンチド
メタル、エキスパンドメタル、金網等の二次元基板、ま
たは発泡メタル基板、網状焼結繊維基板、不織布へ金属
をめっきしたフェルトめっき基板等の三次元基板を挙げ
ることができる。ただし、前記(2)の非ペースト式水
素吸蔵合金電極を作製する場合には水素吸蔵合金粉末を
含む合剤が散布されることから二次元基板を導電性基板
として用いることが好適である。
【0054】前記水素吸蔵合金電極と組み合される非焼
結式ニッケル電極12は、例えば水酸化ニッケルと必要
に応じて添加される水酸化コバルト(Co(O
H)2 )、一酸化コバルト(CoO)、金属コバルト等
との混合物にカルボキシメチルセルロース(CMC)、
ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸塩を適宜配
合してペーストとし、このペーストを発泡メタル基板、
網状焼結繊維基板、不織布へ金属をめっきしたフェルト
めっき基板などの三次元構造の基板に充填し、乾燥した
後、ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0055】前記セパレータ13に使用される高分子繊
維不織布としては、例えばナイロン、ポリプロピレン、
ポリエチレンなどの単体高分子繊維、またはこれら高分
子繊維を混紡した複合高分子繊維を挙げることができ
る。
【0056】アルカリ電解液としては、例えば6規定か
ら9規定の濃度を有する水酸化カリウム溶液または前記
水酸化カリウム溶液に水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ムなどを混合したものが使用される。
【0057】上記構成に係る水素吸蔵合金によれば、合
金を構成する希土類元素,IVa族元素,VIII族元素, IV
b族元素,IIIb族元素などの種類およびその組成比を適
正に設定しているため、水素の吸蔵特性および耐食性が
優れた電池用水素吸蔵合金が得られる。したがって、こ
の合金を負極材料として使用した場合に、電池容量が大
きくなり、かつアルカリ溶解液による合金の微粉化劣化
を防止できるため、寿命が長いニッケル水素二次電池を
提供することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下の実施例を参照して、より具体的に説明する。
【0059】実施例1〜15 表1の左欄に示す合金組成となるように各種金属原料粉
末を配合し、得られた原料混合体を真空炉で加熱融解し
て各実施例用の合金溶湯(母合金)をそれぞれ調製し
た。なおR成分中のLa富化ミッシュメタル(Lm)と
しては96wt%La−2wt%Ce−0.5wt%P
r−1.5wt%Ndなる組成のミッシュメタルを使用
する一方、ミッシュメタル(Mm)としては、26wt
%La−51wt%Ce−6wt%Pr−17wt%N
dなる組成のものを使用した。
【0060】次に得られた合金溶湯を、Ar雰囲気中で
以下に示す処理条件に従って冷却凝固せしめ、それぞれ
インゴット状またはフレーク状の合金試料を調製した。
【0061】すなわち、実施例1,2,5,6,7,1
0,11,14用の合金溶湯を図1に示すような単ロー
ル法により急冷凝固せめしてフレーク状の合金試料をそ
れぞれ調製した。冷却ロールとしては、直径400mmの
Cu−Be製ロールを使用し、注湯ノズル(射出ノズ
ル)と冷却ロールとの間隙は10mmに設定し、射出温度
は各合金の融点+150℃に設定し、射出圧力は0.5
kg/cm2 とした。また急冷操作はAr雰囲気で実施し、
ロール周速は25m/秒に設定した。
【0062】一方、実施例3,4,8,9,12,1
3,15用の合金溶湯は、図2に示すような双ロール法
により急冷凝固せしめてフレーク状の合金試料をそれぞ
れ調製した。双ロール法における処理雰囲気は、単ロー
ル法の場合と同様にArガス雰囲気とした。また冷却ロ
ールの材質はFe(SUJ−2)であり、直径が300
mmの鉄製ロールを使用した。さらに冷却ロールのロール
ギャップはゼロとしてロール周速を10m/秒に設定
し、射出温度を合金融点+150℃とし、射出圧力を
0.5kg/cm2 に設定した。
【0063】こうして得られた急冷合金試料のうち、単
ロール法および双ロール法で製造された急冷合金試料の
形態はいずれもフレーク状であり、その厚さは200〜
300μmであった。これらのフレーク状合金試料につ
いて、800℃で5時間の均質化熱処理を実施し、内部
歪みを除去した。
【0064】比較例1〜3 表1左欄に示す合金組成を満足するように原料粉末を配
合し、得られた原料混合体を真空炉で加熱溶解して、各
比較例用の合金溶湯をそれぞれ調製した。
【0065】そして各合金溶融を鋳造法により、冷却速
度を5〜60℃/分に設定して冷却凝固せしめ、それぞ
れ厚さ50mmの比較例1〜3に係るインゴット状の合金
試料(水素吸蔵合金)を調製した。さらに得られた比較
例1,2の合金試料について900℃で5時間加熱して
均質化熱処理を実施した。また、比較例3の合金試料に
ついては、600℃で1週間、均質化熱処理を実施し
た。
【0066】次に得られた各合金試料について、粗粉砕
後、ハンマーミルによって微粉砕を実施し、得られた粉
砕粉を篩に通して75μm以下の粒度に分級して各電池
用水素吸蔵合金粉末とした。なお平均粒径は35〜40
μmであった。
【0067】次に上記各実施例および比較例に係る電池
用水素吸蔵合金の電池材料としての特性を評価するため
に、以下に示すような手順で上記各電池用水素吸蔵合金
を使用して電極を形成し、その電極容量および充放電サ
イクル数(寿命)を測定した。
【0068】まず上記実施例および比較例に係る電池用
水素吸蔵合金粉末と、PTFE粉末と、カーボン粉末と
をそれぞれ重量%で95.5%,4.0%,0.5%に
なるように秤量後、混練圧延して各電極シートを作成し
た。電極シートを所定の大きさに切り出してニッケル製
集電体に圧着し、水素吸蔵合金電極をそれぞれ作成し
た。
【0069】一方、水酸化ニッケル90重量%と一酸化
コバルト10重量%とに少量のCMC(カルボキシメチ
ルセルロース)と水とを添加し撹拌混合してペーストを
調製した。このペーストを、三次元構造を有するニッケ
ル多孔体に充填乾燥後、ローラプレスによって圧延する
ことによりニッケル極を製造した。
【0070】そして上記各水素吸蔵合金電極とニッケル
極とを組み合わせて、容量については単極評価で測定す
る一方、寿命評価については、実際に各実施例のAA型
(単三型)ニッケル水素電池を組み立てて評価を行なっ
た。ここで電解液としては、8規定の水酸化カリウム水
溶液を使用した。
【0071】そして、各水素吸蔵合金電極の容量評価で
は、50℃の恒温槽中で合金1g当り220mAの電流
値(220mA/g)で400mAh/gまで充電した
後に、上記電流値でHg/HgO参照電極に対して、−
0.5Vの電位になるまで放電させ、この充放電を繰り
返して放電量が最大になったときの値を容量として測定
した。
【0072】また寿命評価では、各電池について、65
0mAで1.5時間充電後、電池電圧が0.9Vになる
まで1Aの電流で放電する充放電サイクルを繰り返し、
電池容量が初期容量の80%になるまでのサイクル数を
50℃で評価し、電池寿命として測定した。各測定結果
を下記表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】上記表1に示す結果から明らかなように、
一般式中のRサイト成分である希土類元素の組成比と、
他の IVa族,VIII族, IVb族,IIIb族などの構成元素の
組成比とを適正に設定し、冷却凝固せしめて調製した各
実施例に係る水素吸蔵合金を使用して形成した電極およ
び電池においては、従来の組成比を有する比較例の電池
と比較して、電極容量が0〜220mAh/g増加する
とともに、充放電サイクル数が1.2〜2.0倍程度に
増加しており、電池の寿命が大幅に改善されることが確
認できた。すなわち、本実施例において規定する組成範
囲に設定することにより、高容量で、かつ長寿命のニッ
ケル水素二次電池が得られることが判明した。
【0075】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る水素吸蔵合
金によれば、合金を構成する希土類元素, IVa族元素,
VIII族元素, IVb族元素,IIIb族元素などの種類および
その組成比を適正に設定しているため、水素の吸蔵特性
および耐食性が優れた電池用水素吸蔵合金が得られる。
したがって、この合金を負極材料として使用した場合
に、電池容量が大きくなり、かつ、寿命が長いニッケル
水素二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す斜視図。
【図2】双ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す断面図。
【図3】本発明に係るニッケル水素二次電池の構成例を
部分的に破断して示す斜視図。
【符号の説明】
1 冷却チャンバ 2 取鍋 3 水素吸蔵合金溶湯 4 注湯ノズル 5,5a,5b 冷却ロール 6 水素吸蔵合金 7 溶解炉 8 タンディッシュ 11 水素吸蔵合金電極(負極) 12 非焼結式ニッケル電極(正極) 13 セパレータ 14 容器 15 穴 16 封口板 17 絶縁性ガスケット 18 正極リード 19 正極端子 20 安全弁 21 絶縁チューブ 22 鍔紙 d 間隙

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(R1-a a 2 (Ni1-b M′
    b 7±α(但し、RはLa,Ce,Sm,Nd,Pr
    およびYから選択される少なくとも1種の元素であり、
    MはTi,ZrおよびHfから選択される少なくとも1
    種の元素であり、M′はCo,Fe,Cr,Mn,C
    u,Al,Ga,Si,Ge,Sn,V,Nb,Ta,
    Mo,WおよびZnから選択される少なくとも1種の元
    素であり、a,b,αは原子比でそれぞれ0≦a≦0.
    5,0<b≦0.3,α≦0.5である。)で表わされ
    る組成を有することを特徴とする水素吸蔵合金。
  2. 【請求項2】 合金の平均結晶粒径が1〜100μmの
    範囲であることを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵合
    金。
  3. 【請求項3】 一般式(R1-a a 2 (Ni1-b M′
    b 7±α(但し、RはLa,Ce,Sm,Nd,Pr
    およびYから選択される少なくとも1種の元素であり、
    MはTi,ZrおよびHfから選択される少なくとも1
    種の元素であり、M′はCo,Fe,Cr,Mn,C
    u,Al,Ga,Si,Ge,Sn,V,Nb,Ta,
    Mo,WおよびZnから選択される少なくとも1種の元
    素であり、a,b,αは原子比でそれぞれ0≦a≦0.
    5,0<b≦0.3,α≦0.5である。)で表わされ
    る組成を有する水素吸蔵合金を含む負極と,ニッケル酸
    化物を含む正極との間に電気絶縁性を有するセパレータ
    を介装して密閉容器内に収容し、この密閉容器内にアル
    カリ電解液を充填したことを特徴とするニッケル水素二
    次電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6660431B1 (en) 1999-02-24 2003-12-09 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Hydrogen absorbing alloy electrode, electrode producing method and alkali storage battery
CN116065055A (zh) * 2023-02-27 2023-05-05 包头稀土研究院 钇镍系储氢合金及其制备方法

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