JPH10237569A - 電池用水素吸蔵合金,その製造方法およびニッケル水素二次電池 - Google Patents

電池用水素吸蔵合金,その製造方法およびニッケル水素二次電池

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JPH10237569A
JPH10237569A JP9042550A JP4255097A JPH10237569A JP H10237569 A JPH10237569 A JP H10237569A JP 9042550 A JP9042550 A JP 9042550A JP 4255097 A JP4255097 A JP 4255097A JP H10237569 A JPH10237569 A JP H10237569A
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alloy
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storage alloy
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JP9042550A
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Toshiya Sakamoto
敏也 坂本
Takamichi Inaba
隆道 稲葉
Shusuke Inada
周介 稲田
Fumiyuki Kawashima
史行 川島
Takao Sawa
孝雄 沢
Noriaki Sato
典昭 佐藤
Masami Okamura
正己 岡村
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/38Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of elements or alloys
    • H01M4/383Hydrogen absorbing alloys
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電池の内圧上昇を十分に抑制でき液漏れ事故を
発生するおそれが少なく、広い使用温度範囲において高
い電極容量が得られるとともに、電池の長寿命化を実現
することが可能な電池用水素吸蔵合金,その製造方法お
よびその合金を使用したニッケル水素二次電池を提供す
る。 【解決手段】一般式ANia b Mnc M′d (但し、
AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから成り、Aにお
けるLa含有量が重量比で25〜95%,Ce含有量が
5〜45%,Pr含有量が0〜15%,Nd含有量が0
〜20%,Y含有量が0〜10%である一方、MはC
o,FeおよびCuから選択される少なくとも1種の元
素であり、M′はAl,Si,Sn,ZnおよびSbか
ら選択される少なくとも1種の元素であり、a,b,
c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a≦4.1,0.2
≦b≦1.0,0<c≦0.35,0.1≦d≦0.
6,0.1≦c/d<1,4.7≦a+b+c+d≦
5.1である。)で表わされる組成を有する急冷合金か
ら成ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用水素吸蔵合
金およびその合金を使用したニッケル水素電池に係り、
特に合金を電池の負電極に使用した場合に、電池の内圧
上昇を十分に抑制でき液漏れ事故を発生するおそれが少
なく、広い使用温度範囲において、高い電極容量(電池
容量)および繰返しの使用に耐える長寿命特性(長サイ
クル特性)を共に満足させることが可能な電池用水素吸
蔵合金,その製造方法およびニッケル水素二次電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子技術の進歩による省電力化、
実装技術の進歩により従来では予想し得なかった電子機
器が小型化およびポータブル化されてきている。それに
伴い、前記電子機器の電源である二次電池に対する高容
量化,長寿命化,放電電流の安定化が特に要求されてい
る。例えばパーソナル化、ポータブル化が進むOA機
器,電話機,AV機器においては、特に小型軽量化,お
よびコードレスでの機器使用時間の延伸などの目的で高
性能電池の開発が所望されている。このような要求に対
応する電池として、従来の焼結式ニッケルカドミウム電
池の電極基板を三次元構造体とした非焼結式ニッケルカ
ドミウム電池が開発されたが、顕著な容量増加は達成さ
れていない。
【0003】そこで、近年、負極として水素吸蔵合金粉
末を集電体に固定した構造のものを使用したアルカリ二
次電池(ニッケル水素二次電池)が提案され、脚光を浴
びている。このニッケル水素電池に使用される負極は、
一般に、下記の手順で製造される。すなわち、高周波溶
解法やアーク溶解法などによって水素吸蔵合金を溶解し
た後に、冷却・粉砕し、得られた粉砕粉に導電剤や結合
剤を添加して混練物を形成し、この混練物を集電体に塗
布または圧着して製造される。この水素吸蔵合金を使用
した負極は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負極材
料であるカドミウムに比較し、単位重量当りまたは単位
容積当りの実効的なエネルギ密度を大きくすることがで
き、電池の高容量化を可能とする他、毒性が少なく環境
汚染のおそれが少ないという特徴を持っている。
【0004】しかしながら、水素吸蔵合金を含む負極
は、二次電池に組み込まれた状態において電解液である
濃厚なアルカリ水溶液に浸漬される他、特に過充電時に
は正極より発生する酸素に曝されるため、水素吸蔵合金
が腐食して電極特性が劣化し易い。さらに、充放電時に
おいて前記水素吸蔵合金中への水素の吸蔵、放出に伴っ
て体積が膨張、収縮するため、水素吸蔵合金に割れを生
じ、水素吸蔵合金粉末の微粉化が進行する。水素吸蔵合
金の微粉化が進行すると、水素吸蔵合金の比表面積が加
速度的に増加するため、水素吸蔵合金表面のアルカリ性
電解液による劣化面積の割合が増加する。しかも、水素
吸蔵合金粉末と集電体との間の導電性も劣化するため、
サイクル寿命が低下する上に電極特性も劣化する。
【0005】そこで、上述した問題を解決するために水
素吸蔵合金を多元化したり、水素吸蔵合金粉末表面また
は水素吸蔵合金を含む負極表面にニッケル薄膜や銅薄膜
をめっき法、蒸着法等により付着させ電解液と直接接触
しないようにして耐食性を向上させたり、機械的強度を
増加させて割れを防止したり、あるいはアルカリ溶液中
へ浸漬後、乾燥させることにより水素吸蔵合金表面の劣
化を抑制したりという方法が提案されているが、必ずし
も十分な改善を図ることができず、却って電極容量の低
下を招く場合があった。
【0006】上記アルカリ二次電池に用いられる水素吸
蔵合金として、LaNi5 で代表されるAB5 系合金が
ある。この六方晶構造を有する合金系を使用した負極
は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負電極材料であ
るカドミウムを使用した場合と比較して、電池の単位重
量または単位容積当りの実効的なエネルギ密度を大きく
することが可能であり、電池の高容量化を可能とする上
に、カドミウム公害等の環境汚染を発生するおそれも少
なく、電池特性も良好であるという特徴を有している。
また上記AB5 系合金を使用した電池では大電流放電が
可能であるという長所がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記L
m−Ni−Co−Al系合金(LmはLa富化ミッシュ
メタル)から成るAB5 系水素吸蔵合金の電極容量は、
未だ300mAh/g未満という低い状態であり、また
充放電によるサイクル寿命は200サイクル程度であ
る。また上記AB5 系合金を使用した電池では放電電流
を高く設定できる長所がある。しかしながら、昨今の技
術的要求水準である電極容量およびサイクル寿命を共に
満足する段階には到達していない。
【0008】また上記従来の水素吸蔵合金を負極材料と
して使用したニッケル水素電池においては、過充電した
場合に正極部に発生した酸素ガスと水素ガスとを水(H
2 O)に戻す触媒作用が不十分となる場合があり、発生
した酸素ガス等により密閉電池の内圧が過大に上昇し、
液漏れ事故を引き起こし易いという問題点があった。こ
の液漏れにより電池使用機器の構成部品や配線が腐食損
傷し、機器の動作不良を生じる大きな原因となってい
た。
【0009】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、電池の内圧上昇を十分に抑制でき液漏
れ事故を発生するおそれが少なく、広い使用温度範囲に
おいて高い電極容量が得られるとともに、電池の長寿命
化を実現することが可能な電池用水素吸蔵合金,その製
造方法およびその合金を使用したニッケル水素二次電池
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願発明者らは電池特性を良好にする水素吸蔵合金につ
いて鋭意研究を重ねた。その結果、いわゆるCaCu5
型の結晶構造を有する、いわゆるAB5 型合金を基本と
する金属間化合物を形成するような特定組成の合金溶湯
を急冷し、熱処理後に粉砕した急冷合金粉末を使用する
ことにより、水素吸蔵特性および耐食性が優れた水素吸
蔵合金が得られ、また、この合金を負極材料として使用
した場合に電極容量と寿命特性とがバランスし、かつ電
池の内圧上昇を十分に抑制できるニッケル水素二次電池
が得られるという知見を得た。本発明は上記知見に基づ
いて完成されたものである。
【0011】すなわち本発明に係る電池用水素吸蔵合金
は、一般式ANia b Mnc M′d (但し、AはL
a,Ce,Pr,NdおよびYから成り、AにおけるL
a含有量が重量比で25〜95%,Ce含有量が5〜4
5%,Pr含有量が0〜15%,Nd含有量が0〜20
%,Y含有量が0〜10%である一方、MはCo,Fe
およびCuから選択される少なくとも1種の元素であ
り、M′はAl,Si,Sn,ZnおよびSbから選択
される少なくとも1種の元素であり、a,b,c,dは
原子比でそれぞれ3.2≦a≦4.1,0.2≦b≦
1.0,0<c≦0.35,0.1≦d≦0.6,0.
1≦c/d<1,4.7≦a+b+c+d≦5.1であ
る。)で表わされる組成を有する急冷合金から成ること
を特徴とする。また急冷合金の平均結晶粒径が5〜20
0μmの範囲であるとよい。
【0012】本発明に係る電池用水素吸蔵合金は、上記
のような所定の組成を有する合金溶湯を冷却体と接触さ
せて100℃/分以上の冷却速度で急冷凝固せしめ、さ
らに得られた急冷合金を非酸化性雰囲気中で温度600
〜1000℃で熱処理することにより製造される。この
急冷凝固処理により、添加成分が合金組織中に初めて均
一に分散し、また粒界析出相も微細化されて電池の長寿
命化を図ることができる。
【0013】また本発明に係るニッケル水素二次電池
は、上記所定の組成を有する水素吸蔵合金を含む負極
と,ニッケル酸化物を含む正極との間に電気絶縁性を有
するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密
閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とす
る。
【0014】本発明に係る電池用水素吸蔵合金におい
て、一般式中、Aは電池の高容量化の基本となる水素吸
蔵能力を有する元素であり、その含有量は、容量と寿命
とのバランスを考慮して、a+b+c+d値との比で決
定される。AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから構
成されるミッシュメタルであり、特に高容量化を図るた
めには、Laが有効である。ミッシュメタルとしてのA
成分全体に占めるLa含有量は25〜95重量%,Ce
含有量は5〜45重量%,Pr含有量は0〜15重量
%,Nd含有量は0〜20重量%,Y含有量は0〜10
重量%に設定される。すなわち、ミッシュメタル中でL
a含有量が25重量%未満の場合では、電池の高容量化
が不十分となる一方、La含有量が95重量%を超える
場合にはサイクル寿命が短くなってしまう。La含有量
は45〜85重量%の範囲がさらに好ましい。またCe
含有量が5重量%未満の場合にはサイクル寿命が短かく
なる一方、45重量%を超える場合には、容量の増大化
が困難になる。Ce含有量は10〜40重量%の範囲
が、さらに好ましい。またPr含有量,Y含有量がそれ
ぞれ15,10重量%を超えると寿命特性が不十分とな
るため、ミッシュメタル中でのPr含有量およびY含有
量は、それぞれ15,10重量%以下とされる。またN
d含有量が20重量%を超えると寿命特性が不十分とな
るため、20重量%以下に設定される。さらにPr含有
量は0〜10重量%,Nd含有量は0〜15重量%,Y
含有量は0〜5重量%の範囲が、さらに好ましい。
【0015】また、Ni,M,Mn,M′などの成分
は、合金界面での触媒作用,容量増加,水素平衡圧の調
整,寿命特性改善に効果をもたらす成分であり、その合
計含有量は、a+b+c+dとして4.7〜5.1の範
囲に設定される。a+b+c+dが4.7未満の場合に
は、上記改善効果が不十分である一方、原子比が5.1
を超えると電池容量が過少になり、電池としての基本要
求特性を満足することが困難である。好ましくは、4.
8〜5.05の範囲がよい。
【0016】上記成分のうち、特にNiは希土類成分
(A)と合金化されて、耐食性に優れた希土類−Ni系
水素吸蔵合金を形成して水素の吸蔵・放出を行うための
基本元素であり、原子比aが3.2〜4.1の範囲とな
るように添加される。上記Niの原子比の範囲内におい
て、密閉型電池における水素吸蔵平衡圧を適正に設定す
ることができるが、3.3〜3.9の範囲におけるNi
添加量がより好ましい。
【0017】またMはCo,FeおよびCuから選択さ
れる少なくとも1種の元素であり、これらの元素はいず
れも合金の耐食性を改善するとともに、水素吸蔵時にお
ける格子の膨張に伴う割れの発生を効果的に抑止し、寿
命改善効果を発揮する元素である。これらのM成分の添
加量bが0.2未満の場合には上記改善効果が不十分と
なる一方、添加量が1.0を超えると容量の低下が顕著
になる。M成分の添加量bは0.3〜0.9の範囲が、
より好ましい。
【0018】またMnは水素平衡圧の制御と水素吸蔵量
の増大とに効果をもたらす元素である。Mnの添加量c
が0.35を超えると水素平衡圧が低くなり過ぎて実用
的ではない。好ましいMnの添加量cは0.02〜0.
30の範囲である。
【0019】さらにM′はAl,Si,Sn,Znおよ
びSbから選ばれる少なくとも1種であり、これらの元
素はいずれも水素吸蔵合金の平衡圧調整と耐食性の向上
による合金の寿命改善とに有効である。これらのM′成
分の添加量dが0.1未満の場合には上記改善効果が不
十分となる一方、0.7を超える場合には容量の低下を
招く。M′成分の添加量dは0.3〜0.6の範囲がよ
り好ましく、さらにM′成分としては特にAlおよびS
iが好ましい。
【0020】また合金中のM′成分含有量dに対するM
n含有量cの比(c/d)は、電池の内圧上昇特性に大
きな影響を及ぼす要因であり、本発明において上記比は
1未満の範囲とする。すなわちMn含有量をM′成分含
有量よりも小さくすることが電池の内圧上昇を抑止する
ために有効である。上記内圧上昇を抑止する機構につい
ては必ずしも明確ではないが、上記含有量の比(c/
d)を0.1以上及び1未満にすることにより、Mnお
よびM′成分がアルカリ電解液中に溶出することが抑制
され、合金表面にNi−M′化合物層が生成して、この
化合物層が長期に亘って維持される。このNi−M′化
合物層は、電池の過充電時に発生した酸素ガスと水素と
を化合させて水に戻す反応に対して触媒作用を有するた
め、電池の内圧上昇が効果的に抑止されるものと考えら
れる。
【0021】本発明に係る電池用水素吸蔵合金の一般式
A Nia b Mnc M′d において、Nia b Mn
c M′d 部分をBサイトとし、a+b+c+dをXとし
た場合、本発明に係る水素吸蔵合金は、一般式ABX
表わされ、Bサイトの組成比率Xが4.7〜5.1の範
囲に設定されたAB5 系合金である。Bサイトの組成比
率Xが上記範囲外になると、合金中にAB4.7 〜5.1
外の相(例えばAB,AB3 ,A2 7 等から成る相お
よびBサイトを構成する元素単体から成る相[以下第2
相という])の生成量が増大する。
【0022】合金中に上記ABX からなる相以外の第2
相が多くなると、水素吸蔵合金中に上記第2相を含む2
種以上の異種組成の合金相が互いに接する割合が高くな
る。このような異種組成の合金相同士の界面は、機械的
強度が弱く、この界面を起点として、水素の吸蔵・放出
に伴い割れが発生し易くなる。
【0023】また上記界面には、偏析が生じ易く、その
偏析物を起点として水素吸蔵合金の腐食が生じ易くな
る。さらに、前記第2相は電極使用条件下において、A
X に比べて水素の吸蔵量が少なく、前記第2相が多い
合金を電極として使用すると、単位体積当りの電極容量
が低下する。いずれにしろ水素吸蔵合金を電極材として
使用した場合において、電極容量および寿命の低下を引
き起こす。
【0024】結局、前記Xの値を限定したのは次のよう
な理由によるのである。前記Xを下限値(4.7)未満
にすると電池の充放電時の腐食が少なく、また割れや微
粉化し難い水素吸蔵合金を得ることができなくなる。一
方、前記Xが上限値(5.1)を超えると通常の工業的
にとり得る合金作製方法によっては第2相の生成が認め
られ、水素吸蔵合金の特性を向上できなくなる。したが
って、Xの値は4.7〜5.1の範囲に設定される。好
ましくは、4.8〜5.05の範囲がよい。
【0025】またM成分としてのCoは、電解液等に対
する合金の耐食性を向上させる上で有効であり、合金の
微粉化は顕著に抑制され、電池の寿命特性が改善され
る。なおCo添加量を増やすとサイクル寿命は向上する
反面、電極容量が低下する傾向があるため、電池の用途
に応じてCo添加量の最適化を図る必要がある。Co添
加量は、Aサイト成分である希土類元素の組成比の大小
とも関連するが、本発明で規定するAサイト成分の組成
範囲に対して、原子比で0.1〜1.0の範囲が好適で
ある。
【0026】Co添加量が原子比で0.1未満の場合で
は、寿命の改善効果が不十分である一方、1.0を超え
る場合には、容量の低下が顕著になり、いずれにしても
電池の2大要求特性を満足することが困難となる。上記
のような観点から本発明の水素吸蔵合金のBサイト成分
として、CoおよびMnが原子比でそれぞれ所定量以上
添加されていることが望ましい。
【0027】この他、本発明に係る水素吸蔵合金には、
Pb,C,N,O,FおよびClなどの元素が不純物と
して本願発明合金の特性を阻害しない範囲で含まれてい
てもよい。なお、これらの不純物の含有量はそれぞれ6
000ppm以下の範囲であることが好ましい。より好
ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは400
0ppm以下が良い。
【0028】本発明に係る電池用水素吸蔵合金の製造方
法としては、合金組成を均一化して偏析を防止し得る方
法であれば特に限定されない。すなわち所定組成を有す
るように調合した原料混合体をアーク炉等で加熱して合
金溶湯を調製し、しかる後にガスアトマイズ法.回転デ
ィスク法,遠心噴霧法,単ロール法,双ロール法などを
使用して上記合金溶湯を急冷凝固せしめて形成される。
合金溶湯を冷却するに際し、冷却速度を100℃/分以
上,好ましくは300℃/分以上、さらに好ましくは2
500℃/分以上に設定することにより、ミッシュメタ
ルとしてLaを相対的に多量に含有した場合において
も、組織が均一であり、偏析が少ない合金が得られる。
【0029】この急冷凝固処理と後述する熱処理とを実
施することにより、高容量かつ長寿命の電池用水素吸蔵
合金が得られる。さらに高速移動する冷却体上に合金溶
融を射出し、厚さ20〜500μm程度のフレーク状合
金とした場合には、平均粒径が5〜200μm程度の微
細な結晶粒から成る水素吸蔵合金が得られ、高容量かつ
長寿命の電池を形成することができる。また結晶粒の微
細化により、合金の水素吸収速度が速くなり、二次電池
とした場合に放電容量の立上がりが早くなる。
【0030】さらに合金溶湯の急冷凝固法として、特に
ガスアトマイズ法,回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロ
ール法、双ロール法等のように溶融状態にある合金溶湯
を急冷する溶湯急冷法を用い、冷却ロールの材質および
表面性,冷却ロールの回転数(走行面の周速),溶湯温
度,冷却ロール用の冷却水温度,冷却チャンバ内のガス
種,圧力,溶湯噴射ノズル径,噴射量等の製造条件を最
適化することにより合金を安定的に大量に製造すること
ができる。
【0031】単ロール法 図1は、単ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、銅、ニッケル等の熱導伝性に優れ
る直径400mm程度の冷却ロール5と、取鍋2から供
給された水素吸蔵合金溶湯3を貯留した後に前記冷却ロ
ール5の走行面に噴射する注湯ノズル4とを備えた構成
となっている。前記冷却ロール5等は不活性ガス雰囲気
に調整された冷却チャンバー1内に収納されている。ま
た、前記冷却ロール5の回転数は、冷却ロール5の濡性
と冷却速度および水素吸蔵合金溶湯3の噴射量に依存す
るが、概ね300〜5000rpmに設定される。
【0032】上述した図1に示す製造装置において、取
鍋2から供給された水素吸蔵合金溶湯3を注湯ノズル4
より冷却ロール5の走行面へ噴射すると、合金溶湯は冷
却ロール5に接する面より固化し、結晶成長が始まり、
冷却ロール5より離脱するまでに完全に固化が終了す
る。その後、冷却チャンバー1内を飛翔する間に更に冷
却が進み、偏析が少なく結晶成長方向が揃った水素吸蔵
合金6が製造される。
【0033】双ロール法 図2は、双ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、冷却チャンバー1内に各走行面が
対向するように配置された1対以上の冷却ロール5a,
5bと、原料金属を溶解し水素吸蔵合金溶湯3を調製す
る溶解炉7と、この溶解炉7からの水素吸蔵合金溶湯3
をタンディッシュ8を経て前記冷却ロール5a,5bの
間に噴射する注湯ノズル4を備えた構成になっている。
【0034】前記冷却ロール5a,5bは、銅、鉄等の
熱導伝性に優れた材質で形成された直径300mm程度
のものである。前記冷却ロール5a,5bは0〜0.5
mm程度の微少な間隙dを維持しながら300〜200
0rpm程度の回転数で高速回転する。なお、冷却ロー
ルとしては図2に示すように走行面が平行になっている
ものの他、走行面の断面形状をU字型やV字型とした、
いわゆる型ロールを採用することもできる。また、冷却
ロール5a,5bの間隙dを過大にすると、冷却方向が
揃わず、その結果結晶成長方向が揃わない水素吸蔵合金
が製造されるため、0.2mm以下に設定することが好
ましい。
【0035】上述した図2に示す製造装置において、注
湯ノズル4から水素吸蔵合金溶湯3を冷却ロール5a,
5bの間隙方向へ噴射すると、水素吸蔵合金溶湯が両側
の冷却ロール5a,5bに接する側より固化、結晶成長
が始まり、冷却ロール5a,5bより離脱するまでに完
全に固化が終了する。その後、冷却チャンバー1内を飛
翔する間に更に冷却が進み、偏析が少なく結晶成長方向
が揃った水素吸蔵合金6が製造される。
【0036】上記のような急冷凝固法を使用して、リボ
ン状,フレーク状または粒状の水素吸蔵合金を製造する
場合、合金溶湯の凝固時の試料内温度勾配、冷却ロール
や回転ディスクの材質、合金溶湯の供給量等の条件によ
り等軸晶組織や柱状晶組織が合金内に形成される。
【0037】上記合金粒子の製造工程において、100
℃/分以上、好ましくは300℃/分以上、さらに好ま
しくは1800℃/分以上の冷却速度にて溶湯を急冷処
理して水素吸蔵合金を製造すると、合金を構成する各結
晶粒が5〜100μm程度と微細化し、合金強度が高ま
るとともに、粒界の乱れが減少するため、水素の吸蔵量
が増大し、電極容量を高めることができる。
【0038】上記溶湯急冷処理は真空中または不活性ガ
ス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で実施することが好ま
しい。また真空度は10-2〜10-6Torr程度で十分であ
る。
【0039】上記溶湯急冷処理により、少なくとも一部
に柱状晶組織を発達させた水素吸蔵合金を形成すること
ができる。ここで柱状晶とは、短径と長径との比(アス
ペクト比)が1:2以上である柱状結晶粒をいう。上記
柱状晶組織においては、等軸晶組織とは異なり、結晶方
位が揃っているため、粒界の乱れが少なく、水素の吸蔵
量が増し、電極容量を増大化できることが本発明者らの
実験により確認された。すなわち柱状晶組織において
は、その界面に沿って、水素分子または水素原子の通路
が形成されるため、合金内への水素の吸蔵あるいは放出
が容易になり、電極容量が増加する。また柱状晶組織に
おける偏析は、極めて少なくなる。従って偏析による局
部電池の形成が少なく、合金組織の微細化による寿命低
下も効果的に防止できる。
【0040】上記のように急冷凝固法により調製した合
金においては内部歪みが発生し易く、合金を負極材料と
して用いた場合に電極容量および寿命が低下する場合が
多い。
【0041】そこで急冷凝固せしめて調製した合金を、
温度600〜1000℃で0.5〜10時間加熱する均
質化熱処理を行なうことが望ましい。
【0042】上記均質化熱処理の温度が600℃未満の
場合には、内部歪の除去が困難となる一方、温度が10
00℃を超える場合には、希土類元素などの酸化や蒸発
による組成変動を引き起こしたり、二次再結晶化による
合金強度の低下を引起こす。そのため熱処理温度は60
0〜1000℃の範囲に設定される。特に電極特性を向
上させるためには、750〜950℃の範囲が好まし
い。
【0043】また熱処理時間が0.5時間未満の場合
は、内部歪の除去効果が少なく特性のばらつきが大きく
なる。一方処理時間が10時間を超える程度に長期化す
ると、酸化が大幅に進行したり、結晶粒の粗大化を引起
すおそれが高くなるため、製造効率も勘案すると0.5
〜10時間が好ましい。
【0044】なお熱処理雰囲気は、水素吸蔵合金の高温
酸化を防止するために、Arなどの不活性ガス雰囲気ま
たは真空が好ましい。
【0045】上記のような条件で均質化熱処理を実施す
ることにより、合金の均質性を保ちながら内部歪を効果
的に除去することが可能となり、電極容量および寿命を
さらに高めることができる。
【0046】次に、上記電池用水素吸蔵合金を負極活物
質として使用した本発明に係るニッケル水素二次電池
(円筒形ニッケル水素二次電池)について図3を参照し
て説明する。
【0047】本発明に係るニッケル水素二次電池は、前
記の一般式ANia b Mnc M′d で表わされる電池
用水素吸蔵合金を含む負極11とニッケル酸化物を含む
正極12との間に電気絶縁性を有するセパレータ13を
介装して密閉容器14内に収容し、この密閉容器14内
にアルカリ電解液を充填して構成される。
【0048】すなわち、水素吸蔵合金を含む水素吸蔵合
金電極(負極)11は、非焼結式ニッケル電極(正極)
12との間にセパレータ13を介在して渦巻状に捲回さ
れ、有底円筒状の容器14内に収納されている。アルカ
リ電解液は、前記容器14内に収容されている。中央に
穴15を有する円形の封口板16は、前記容器14の上
部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケッ
ト17は、前記封口板16の周縁と前記容器14の上部
開口部内面との間に配置され、前記上部開口部を内側に
縮径するカシメ加工により前記容器14に前記封口板1
6を前記ガスケット17を介して気密に固定している。
正極リード18は、一端が前記正極12に接続され、他
端が前記封口板16の下面に接続されている。帽子形状
をなす正極端子19は、前記封口板16上に前記穴15
を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁20
は、前記封口板16と前記正極端子19で囲まれた空間
内に前記穴15を塞ぐように配置されている。絶縁チュ
ーブ21は、前記正極端子19および前記容器14の上
端に載置される鍔紙22を固定するように前記容器14
の上端付近に取り付けられている。
【0049】前記水素吸蔵合金電極11は、以下に説明
するペースト式および非ペースト式のものが用いられ
る。 (1)ペースト式水素吸蔵合金電極は、上記水素吸蔵合
金を粉砕することにより得た水素吸蔵合金粉末と高分子
結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを混合し
てペースト状とし、このペーストを集電体である導電性
基板に塗布、充填、乾燥した後、ローラープレス等を施
すことにより作製される。 (2)非ペースト式水素吸蔵合金電極は上記水素吸蔵合
金粉末と高分子結着剤と必要に応じて添加される導電性
粉末とを撹拌し、集電体である導電性基板に散布した後
ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0050】前記水素吸蔵合金の粉砕方法としては、例
えばボールミル、パルペライザー、ジェットミル等の機
械的粉砕方法、または高圧の水素を吸蔵・放出させ、そ
の際の体積膨張により粉砕する方法が採用される。
【0051】前記高分子結着剤としては、例えばポリア
クリル酸ソーダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリビ
ニルアルコール(PVA)等を挙げることができる。こ
のような高分子結着剤は、前記水素吸蔵合金100重量
部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合することが好
ましい。ただし、前記(2)の非ペースト式水素吸蔵合
金電極を作製する場合には撹拌により繊維化して前記水
素吸蔵合金粉末および必要に応じて添加される導電性粉
末を三次元状(網目状)に固定することが可能なポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)を高分子結着剤とし
て用いることが好適である。
【0052】前記導電性粉末としては、例えば黒鉛粉
末、ケッチェンブラックなどのカーボン粉末、またはニ
ッケル、銅、コバルトなどの金属粉末を挙げることがで
きる。このような導電性粉末は、前記水素吸蔵合金10
0重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合するこ
とが好ましい。
【0053】前記導電性基板としては、例えばパンチド
メタル、エキスパンドメタル、金網等の二次元基板、ま
たは発泡メタル基板、網状焼結繊維基板、不織布へ金属
をめっきしたフェルトめっき基板等の三次元基板を挙げ
ることができる。ただし、前記(2)の非ペースト式水
素吸蔵合金電極を作製する場合には水素吸蔵合金粉末を
含む合剤が散布されることから二次元基板を導電性基板
として用いることが好適である。
【0054】前記水素吸蔵合金電極と組み合される非焼
結式ニッケル電極12は、例えば水酸化ニッケルと必要
に応じて添加される水酸化コバルト(Co(O
H)2 )、一酸化コバルト(CoO)、金属コバルト等
との混合物にカルボキシメチルセルロース(CMC)、
ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸塩を適宜配
合してペーストとし、このペーストを発泡メタル基板、
網状焼結繊維基板、不織布へ金属をめっきしたフェルト
めっき基板などの三次元構造の基板に充填し、乾燥した
後、ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0055】前記セパレータ13に使用される高分子繊
維不織布としては、例えばナイロン、ポリプロピレン、
ポリエチレンなどの単体高分子繊維、またはこれら高分
子繊維を混紡した複合高分子繊維を挙げることができ
る。
【0056】アルカリ電解液としては、例えば6規定か
ら9規定の濃度を有する水酸化カリウム溶液または前記
水酸化カリウム溶液に水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ムなどを混合したものが使用される。
【0057】上記構成に係る電池用水素吸蔵合金によれ
ば、合金を構成する希土類元素の種類およびその組成比
と、Niと置換する元素の種類およびその組成比とを適
正に設定しているため、水素の吸蔵特性および耐食性が
優れた電池用水素吸蔵合金が得られる。また、この合金
を負極材料として使用した場合に、電池の内圧上昇を効
果的に抑止でき、液漏れ事故の発生がない上に電池容量
が大きくなり、かつアルカリ溶解液による合金の微粉化
劣化を防止できるため、寿命が長いニッケル水素二次電
池を提供することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下の実施例を参照して、より具体的に説明する。
【0059】実施例1〜13 表1の左欄に示す組成となるように各種金属原料粉末を
配合し、得られた原料混合体を真空炉で加熱融解して各
実施例用の合金溶湯(母合金)をそれぞれ調製した。な
お原料粉末のうち、一般式のA成分となるミッシュメタ
ル(Lm)としては、表1に示すようにLa含有量を5
5〜90重量%,Ndを3〜10重量%,Prを1〜4
重量%,Ceを6〜31重量%の範囲で組成を変化させ
たLa富化ミッシュメタルを使用した。
【0060】次に得られた合金溶湯を、Ar雰囲気中で
以下に示す処理条件に従って急冷凝固せしめ、それぞれ
フレーク状の合金試料を調製した。
【0061】すなわち、実施例1〜7用の合金溶湯を図
1に示すような単ロール法により急冷凝固せめしてフレ
ーク状の合金試料をそれぞれ調製した。冷却ロールとし
ては、直径400mmのCu−Be製ロールを使用し、注
湯ノズル(射出ノズル)と冷却ロールとの間隙は10mm
に設定し、射出圧力は0.5kg/cm2 とした。また急冷
操作はAr雰囲気で実施し、ロール周速は25m/Sに
設定した。
【0062】一方、実施例8〜13用の合金溶湯は、図
2に示すような双ロール法により急冷凝固せしめてフレ
ーク状の合金試料をそれぞれ調製した。双ロール法にお
ける処理雰囲気は、単ロール法の場合と同様にArガス
雰囲気とした。また冷却ロールの材質はFe(SUJ−
2)であり、直径が300mmの鉄製ロールを使用した。
さらに冷却ロールのロールギャップはゼロとしてロール
周速を10m/Sに設定し、射出圧力を0.5kg/cm2
に設定した。
【0063】こうして得られた急冷合金試料の形態はい
ずれもフレーク状であり、その厚さは250〜300μ
mであった。これらのフレーク状合金試料について、表
1に示す熱処理条件で均質化熱処理を実施し、内部歪み
を除去した。
【0064】比較例1〜2 表1左欄に示す組成を満足するように原料粉末を配合
し、得られた原料混合体を真空炉で加熱溶解して、各比
較例用の合金溶湯をそれぞれ調製した。なお、原料粉末
のうち比較例2用の原料粉末のA成分となるミッシュメ
タルとしては、Ce含有量が過多なものを使用した。ま
た比較例1,2においては、いずれもMn含有量がM′
成分としてのAlの含有量より大きくなるように設定し
た。
【0065】そして各合金溶融を鋳造法により冷却凝固
せしめ、それぞれ厚さ50mmの比較例1〜2に係るブロ
ック状の合金試料を調製した。さらに得られた合金試料
について1000℃で10時間加熱して均質化熱処理を
実施した。
【0066】次に得られた各合金試料について、ハンマ
ーミルによって微粉砕を実施し、得られた粉砕粉を篩に
通して75μm以下の粒度に分級して各電池用水素吸蔵
合金粉末とした。なお平均粒径は35〜40μmであっ
た。
【0067】次に上記各実施例および比較例に係る電池
用水素吸蔵合金の電池材料としての特性を評価するため
に、以下に示すような手順で上記各電池用水素吸蔵合金
を使用して電極を形成し、その電極容量,充放電サイク
ル数(寿命)および内圧上昇サイクル数を測定した。
【0068】まず上記実施例および比較例に係る電池用
水素吸蔵合金粉末と、PTFE粉末と、カーボン粉末と
をそれぞれ重量%で95.5%,4.0%,0.5%に
なるように秤量後、混練圧延して各電極シートを作成し
た。電極シートを所定の大きさに切り出してニッケル製
集電体に圧着し、水素吸蔵合金電極をそれぞれ作成し
た。
【0069】一方、水酸化ニッケル90重量%と一酸化
コバルト10重量%とに少量のCMC(カルボキシメチ
ルセルロース)と水とを添加し撹拌混合してペーストを
調製した。このペーストを、三次元構造を有するニッケ
ル多孔体に充填乾燥後、ローラプレスによって圧延する
ことによりニッケル極を製造した。
【0070】そして上記各水素吸蔵合金電極とニッケル
極とを組み合わせて、容量については単極評価で測定す
る一方、寿命評価については、実際に各実施例の合金を
用いニッケル水素電池(4/3−Aサイズ,4000m
Ah)を組み立てた。ここで電解液としては、8規定の
水酸化カリウムと1規定の水酸化リチウムとの混合水溶
液を使用した。
【0071】そして、各水素吸蔵合金電極の容量評価で
は、25℃の恒温槽中で合金1g当り220mAの電流
値(220mA/g)で400mAh/gまで充電した
後に、上記電流値でHg/HgO参照電極に対して、−
0.5Vの電位になるまで放電させ、この充放電を繰り
返して放電量が最大になったときの値を容量として測定
した。
【0072】また寿命評価では、60℃の恒温槽内に配
置した各電池について、4Aで1.1時間充電後、電池
電圧が1Vになるまで4Aの電流で放電する充放電サイ
クルを繰り返し、電池容量が初期容量の80%になるま
でのサイクル数を電池寿命として測定した。
【0073】さらに、電池の内圧上昇サイクル数は、内
圧上昇により電池の安全弁が作動して電解液の吹きこぼ
れを生じ電池重量が急激に低減した時点における充放電
サイクル数として測定した。各測定結果を下記表1に示
す。
【0074】
【表1】
【0075】上記表1に示す結果から明らかなように、
一般式のAサイト成分である希土類元素の組成比と他の
構成元素の組成比とを適正に設定し、急冷凝固せしめて
調製した各実施例に係る水素吸蔵合金を使用して形成し
た電極および電池においては、組成比または合金製法が
異なる比較例の電池と比較して、高容量で、かつ長寿命
のニッケル水素二次電池が得られることが判明した。
【0076】特にMn含有量cをM′成分(Al,S
i,Sn,Zn,Sb)含有量dより少なくし、含有量
の比(c/d)を0.1以上1未満にした各実施例の電
池においては、少なくとも電池自体の寿命を終える充放
電サイクルまでには内圧上昇は観察されなかった。一
方、上記含有量の比(c/d)を2または3と過大に設
定した比較例1〜2の電池においては、電池自体の寿命
サイクル終了前に内圧上昇が起こり、液漏れが観察され
た。
【0077】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る電池用水素
吸蔵合金によれば、合金を構成する希土類元素の種類お
よびその組成比と、Niと置換する元素の種類およびそ
の組成比とを適正に設定しているため、水素の吸蔵特性
および耐食性が優れた電池用水素吸蔵合金が得られる。
また、この合金を負極材料として使用した場合に、電池
の内圧上昇を効果的に抑止でき、液漏れ事故の発生がな
い上に電池容量が大きくなり、かつアルカリ溶解液によ
る合金の微粉化劣化を防止できるため、寿命が長いニッ
ケル水素二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す斜視図。
【図2】双ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す断面図。
【図3】本発明に係るニッケル水素二次電池の構成例を
部分的に破断して示す斜視図。
【符号の説明】
1 冷却チャンバ 2 取鍋 3 水素吸蔵合金溶湯 4 注湯ノズル 5,5a,5b 冷却ロール 6 水素吸蔵合金 7 溶解炉 8 タンディッシュ 11 水素吸蔵合金電極(負極) 12 非焼結式ニッケル電極(正極) 13 セパレータ 14 容器 15 穴 16 封口板 17 絶縁性ガスケット 18 正極リード 19 正極端子 20 安全弁 21 絶縁チューブ 22 鍔紙 d 間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 10/30 H01M 10/30 Z (72)発明者 川島 史行 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 沢 孝雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 佐藤 典昭 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 岡村 正己 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式ANia b Mnc M′d (但
    し、AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから成り、A
    におけるLa含有量が重量比で25〜95%,Ce含有
    量が5〜45%,Pr含有量が0〜15%,Nd含有量
    が0〜20%,Y含有量が0〜10%である一方、Mは
    Co,FeおよびCuから選択される少なくとも1種の
    元素であり、M′はAl,Si,Sn,ZnおよびSb
    から選択される少なくとも1種の元素であり、a,b,
    c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a≦4.1,0.2
    ≦b≦1.0,0<c≦0.35,0.1≦d≦0.
    6,0.1≦c/d<1,4.7≦a+b+c+d≦
    5.1である。)で表わされる組成を有する急冷合金か
    ら成ることを特徴とする電池用水素吸蔵合金。
  2. 【請求項2】 急冷合金の平均結晶粒径が5〜200μ
    mの範囲であることを特徴とする請求項1記載の電池用
    水素吸蔵合金。
  3. 【請求項3】 一般式ANia b Mnc M′d (但
    し、AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから成り、A
    におけるLa含有量が重量比で25〜95%,Ce含有
    量が5〜45%,Pr含有量が0〜15%,Nd含有量
    が0〜20%,Y含有量が0〜10%である一方、Mは
    Co,FeおよびCuから選択される少なくとも1種の
    元素であり、M′はAl,Si,Sn,ZnおよびSb
    から選択される少なくとも1種の元素であり、a,b,
    c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a≦4.1,0.2
    ≦b≦1.0,0<c≦0.35,0.1≦d≦0.
    6,0.1≦c/d<1,4.7≦a+b+c+d≦
    5.1である。)で表わされる組成を有する合金溶湯を
    冷却媒体と接触させて100℃/分以上の冷却速度で急
    冷凝固せしめる工程と、得られた急冷合金を非酸化性雰
    囲気中で温度600〜1000℃で熱処理する工程とを
    備えることを特徴とする電池用水素吸蔵合金の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 一般式ANia b Mnc M′d (但
    し、AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから成り、A
    におけるLa含有量が重量比で25〜95%,Ce含有
    量が5〜45%,Pr含有量が0〜15%,Nd含有量
    が0〜20%,Y含有量が0〜10%である一方、Mは
    Co,FeおよびCuから選択される少なくとも1種の
    元素であり、M′はAl,Si,Sn,ZnおよびSb
    から選択される少なくとも1種の元素であり、a,b,
    c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a≦4.1,0.2
    ≦b≦1.0,0<c≦0.35,0.1≦d≦0.
    6,0.1≦c/d<1,4.7≦a+b+c+d≦
    5.1である。)で表わされる組成を有する急冷合金か
    ら成る電池用水素吸蔵合金を含む負極と,ニッケル酸化
    物を含む正極との間に電気絶縁性を有するセパレータを
    介装して密閉容器内に収容し、この密閉容器内にアルカ
    リ電解液を充填したことを特徴とするニッケル水素二次
    電池。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000051195A1 (fr) * 1999-02-24 2000-08-31 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Electrode a alliage absorbant l'hydrogene, procede de fabrication d'electrodes et pile alcaline
JP2023027792A (ja) * 2021-08-18 2023-03-03 新日本電工株式会社 水素吸蔵合金
JP7260722B1 (ja) * 2021-10-22 2023-04-18 三井金属鉱業株式会社 水素吸蔵合金
WO2023067848A1 (ja) * 2021-10-22 2023-04-27 三井金属鉱業株式会社 水素吸蔵合金

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