JPH1116599A - 水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池 - Google Patents
水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池Info
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- JPH1116599A JPH1116599A JP9167622A JP16762297A JPH1116599A JP H1116599 A JPH1116599 A JP H1116599A JP 9167622 A JP9167622 A JP 9167622A JP 16762297 A JP16762297 A JP 16762297A JP H1116599 A JPH1116599 A JP H1116599A
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】電池の内圧上昇を十分に抑制でき液漏れ事故を
発生するおそれが少なく、広い使用温度範囲において高
い電極容量が得られるとともに、電池の長寿命化を実現
することが可能な水素吸蔵合金およびその合金を使用し
たニッケル水素二次電池を提供する。 【解決手段】合金溶湯を100℃/秒以上の冷却速度で
急冷凝固せしめた急冷合金から成り、水素粉砕後のBE
T比表面積が0.16m2 /g以上0.25m2/g以
下の範囲であることを特徴とする。
発生するおそれが少なく、広い使用温度範囲において高
い電極容量が得られるとともに、電池の長寿命化を実現
することが可能な水素吸蔵合金およびその合金を使用し
たニッケル水素二次電池を提供する。 【解決手段】合金溶湯を100℃/秒以上の冷却速度で
急冷凝固せしめた急冷合金から成り、水素粉砕後のBE
T比表面積が0.16m2 /g以上0.25m2/g以
下の範囲であることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金およ
びその合金を使用したニッケル水素電池に係り、特に合
金を電池の負電極に使用した場合に、電池の内圧上昇を
十分に抑制でき液漏れ事故を発生するおそれが少なく、
広い使用温度範囲において、高い電極容量(電池容量)
および繰返しの使用に耐える長寿命特性(長サイクル特
性)を共に満足させることが可能な水素吸蔵合金および
ニッケル水素二次電池に関する。
びその合金を使用したニッケル水素電池に係り、特に合
金を電池の負電極に使用した場合に、電池の内圧上昇を
十分に抑制でき液漏れ事故を発生するおそれが少なく、
広い使用温度範囲において、高い電極容量(電池容量)
および繰返しの使用に耐える長寿命特性(長サイクル特
性)を共に満足させることが可能な水素吸蔵合金および
ニッケル水素二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子技術の進歩による省電力化、
実装技術の進歩により従来では予想し得なかった電子機
器が小型化およびポータブル化されてきている。それに
伴い、前記電子機器の電源である二次電池に対する高容
量化,長寿命化,放電電流の安定化が特に要求されてい
る。例えばパーソナル化、ポータブル化が進むOA機
器,電話機,AV機器においては、特に小型軽量化,お
よびコードレスでの機器使用時間の延伸などの目的で高
性能電池の開発が所望されている。このような要求に対
応する電池として、従来の焼結式ニッケルカドミウム電
池の電極基板を三次元構造体とした非焼結式ニッケルカ
ドミウム電池が開発されたが、顕著な容量増加は達成さ
れていない。
実装技術の進歩により従来では予想し得なかった電子機
器が小型化およびポータブル化されてきている。それに
伴い、前記電子機器の電源である二次電池に対する高容
量化,長寿命化,放電電流の安定化が特に要求されてい
る。例えばパーソナル化、ポータブル化が進むOA機
器,電話機,AV機器においては、特に小型軽量化,お
よびコードレスでの機器使用時間の延伸などの目的で高
性能電池の開発が所望されている。このような要求に対
応する電池として、従来の焼結式ニッケルカドミウム電
池の電極基板を三次元構造体とした非焼結式ニッケルカ
ドミウム電池が開発されたが、顕著な容量増加は達成さ
れていない。
【0003】そこで、近年、負極として水素吸蔵合金粉
末を集電体に固定した構造のものを使用したアルカリ二
次電池(ニッケル水素二次電池)が提案され、脚光を浴
びている。このニッケル水素電池に使用される負極は、
一般に、下記の手順で製造される。すなわち、高周波溶
解法やアーク溶解法などによって水素吸蔵合金を溶解し
た後に、冷却・粉砕し、得られた粉砕粉に導電剤や結合
剤を添加して混練物を形成し、この混練物を集電体に塗
布または圧着して製造される。この水素吸蔵合金を使用
した負極は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負極材
料であるカドミウムに比較し、単位重量当りまたは単位
容積当りの実効的なエネルギ密度を大きくすることがで
き、電池の高容量化を可能とする他、毒性が少なく環境
汚染のおそれが少ないという特徴を持っている。
末を集電体に固定した構造のものを使用したアルカリ二
次電池(ニッケル水素二次電池)が提案され、脚光を浴
びている。このニッケル水素電池に使用される負極は、
一般に、下記の手順で製造される。すなわち、高周波溶
解法やアーク溶解法などによって水素吸蔵合金を溶解し
た後に、冷却・粉砕し、得られた粉砕粉に導電剤や結合
剤を添加して混練物を形成し、この混練物を集電体に塗
布または圧着して製造される。この水素吸蔵合金を使用
した負極は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負極材
料であるカドミウムに比較し、単位重量当りまたは単位
容積当りの実効的なエネルギ密度を大きくすることがで
き、電池の高容量化を可能とする他、毒性が少なく環境
汚染のおそれが少ないという特徴を持っている。
【0004】しかしながら、水素吸蔵合金を含む負極
は、二次電池に組み込まれた状態において電解液である
濃厚なアルカリ水溶液に浸漬される他、特に過充電時に
は正極より発生する酸素に曝されるため、水素吸蔵合金
が腐食して電極特性が劣化し易い。さらに、充放電時に
おいて前記水素吸蔵合金中への水素の吸蔵、放出に伴っ
て体積が膨張、収縮するため、水素吸蔵合金に割れを生
じ、水素吸蔵合金粉末の微粉化が進行する。水素吸蔵合
金の微粉化が進行すると、水素吸蔵合金の比表面積が加
速度的に増加するため、水素吸蔵合金表面のアルカリ性
電解液による劣化面積の割合が増加する。しかも、水素
吸蔵合金粉末と集電体との間の導電性も劣化するため、
サイクル寿命が低下する上に電極特性も劣化する。
は、二次電池に組み込まれた状態において電解液である
濃厚なアルカリ水溶液に浸漬される他、特に過充電時に
は正極より発生する酸素に曝されるため、水素吸蔵合金
が腐食して電極特性が劣化し易い。さらに、充放電時に
おいて前記水素吸蔵合金中への水素の吸蔵、放出に伴っ
て体積が膨張、収縮するため、水素吸蔵合金に割れを生
じ、水素吸蔵合金粉末の微粉化が進行する。水素吸蔵合
金の微粉化が進行すると、水素吸蔵合金の比表面積が加
速度的に増加するため、水素吸蔵合金表面のアルカリ性
電解液による劣化面積の割合が増加する。しかも、水素
吸蔵合金粉末と集電体との間の導電性も劣化するため、
サイクル寿命が低下する上に電極特性も劣化する。
【0005】そこで、上述した問題を解決するために水
素吸蔵合金を多元化したり、水素吸蔵合金粉末表面また
は水素吸蔵合金を含む負極表面にニッケル薄膜や銅薄膜
をめっき法、蒸着法等により付着させ電解液と直接接触
しないようにして耐食性を向上させたり、機械的強度を
増加させて割れを防止したり、あるいはアルカリ溶液中
へ浸漬後、乾燥させることにより水素吸蔵合金表面の劣
化を抑制したりという方法が提案されているが、必ずし
も十分な改善を図ることができず、却って電極容量の低
下を招く場合があった。
素吸蔵合金を多元化したり、水素吸蔵合金粉末表面また
は水素吸蔵合金を含む負極表面にニッケル薄膜や銅薄膜
をめっき法、蒸着法等により付着させ電解液と直接接触
しないようにして耐食性を向上させたり、機械的強度を
増加させて割れを防止したり、あるいはアルカリ溶液中
へ浸漬後、乾燥させることにより水素吸蔵合金表面の劣
化を抑制したりという方法が提案されているが、必ずし
も十分な改善を図ることができず、却って電極容量の低
下を招く場合があった。
【0006】上記アルカリ二次電池に用いられる水素吸
蔵合金として、LaNi5 で代表されるAB5 系合金が
ある。この六方晶構造を有する合金系を使用した負極
は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負電極材料であ
るカドミウムを使用した場合と比較して、電池の単位重
量または単位容積当りの実効的なエネルギ密度を大きく
することが可能であり、電池の高容量化を可能とする上
に、カドミウム公害等の環境汚染を発生するおそれも少
なく、電池特性も良好であるという特徴を有している。
また上記AB5 系合金を使用した電池では大電流放電が
可能であるという長所がある。
蔵合金として、LaNi5 で代表されるAB5 系合金が
ある。この六方晶構造を有する合金系を使用した負極
は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負電極材料であ
るカドミウムを使用した場合と比較して、電池の単位重
量または単位容積当りの実効的なエネルギ密度を大きく
することが可能であり、電池の高容量化を可能とする上
に、カドミウム公害等の環境汚染を発生するおそれも少
なく、電池特性も良好であるという特徴を有している。
また上記AB5 系合金を使用した電池では大電流放電が
可能であるという長所がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記L
m−Ni−Co−Mn−Al系合金(LmはLa富化ミ
ッシュメタル)から成るAB5 系水素吸蔵合金の電極容
量は、未だ300mAh/g未満という低い状態であ
り、また充放電によるサイクル寿命は200サイクル程
度である。また上記AB5 系合金を使用した電池では放
電電流を高く設定できる長所がある。しかしながら、0
℃以下の低温度における容量も十分とは言えず、昨今の
技術的要求水準である電極容量およびサイクル寿命を共
に満足する段階には到達していない。
m−Ni−Co−Mn−Al系合金(LmはLa富化ミ
ッシュメタル)から成るAB5 系水素吸蔵合金の電極容
量は、未だ300mAh/g未満という低い状態であ
り、また充放電によるサイクル寿命は200サイクル程
度である。また上記AB5 系合金を使用した電池では放
電電流を高く設定できる長所がある。しかしながら、0
℃以下の低温度における容量も十分とは言えず、昨今の
技術的要求水準である電極容量およびサイクル寿命を共
に満足する段階には到達していない。
【0008】上記従来の水素吸蔵合金を負極材料として
使用したニッケル水素二次電池の高容量化対策として
は、例えば4/3Aサイズで4000mAhの容量を有
する二次電池において、電池缶やセパレータを薄く形成
することにより実質的に缶内容積を増大せしめて活物質
を従来以上に多量に充填する方法や、電池缶自体の直径
を大きくする方法などが検討されている。しかし、これ
らの方法はいずれも電池の耐圧性能や小型化の観点から
限界があり、負極に使われている水素吸蔵合金自体の高
容量化が望まれている。合金の高容量化については元素
置換などの方法が試行されているが、容量を増加させる
ような元素を添加すると一般にサイクル寿命が短縮して
しまうという問題点があった。
使用したニッケル水素二次電池の高容量化対策として
は、例えば4/3Aサイズで4000mAhの容量を有
する二次電池において、電池缶やセパレータを薄く形成
することにより実質的に缶内容積を増大せしめて活物質
を従来以上に多量に充填する方法や、電池缶自体の直径
を大きくする方法などが検討されている。しかし、これ
らの方法はいずれも電池の耐圧性能や小型化の観点から
限界があり、負極に使われている水素吸蔵合金自体の高
容量化が望まれている。合金の高容量化については元素
置換などの方法が試行されているが、容量を増加させる
ような元素を添加すると一般にサイクル寿命が短縮して
しまうという問題点があった。
【0009】また上記従来の水素吸蔵合金を負極材料と
して使用したニッケル水素電池においては、過充電した
場合に正極部に発生した酸素ガスと水素ガスとを水(H
2 O)に戻す触媒作用が不十分となる場合があり、発生
した酸素ガス等により密閉電池の内圧が過大に上昇し、
液漏れ事故を引き起こし易いという問題点があった。こ
の液漏れにより電池使用機器の構成部品や配線が腐食損
傷し、機器の動作不良を生じる大きな原因となってい
た。
して使用したニッケル水素電池においては、過充電した
場合に正極部に発生した酸素ガスと水素ガスとを水(H
2 O)に戻す触媒作用が不十分となる場合があり、発生
した酸素ガス等により密閉電池の内圧が過大に上昇し、
液漏れ事故を引き起こし易いという問題点があった。こ
の液漏れにより電池使用機器の構成部品や配線が腐食損
傷し、機器の動作不良を生じる大きな原因となってい
た。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、電池の内圧上昇を十分に抑制でき液漏
れ事故を発生するおそれが少なく、広い使用温度範囲に
おいて高い電極容量が得られるとともに、電池の長寿命
化を実現することが可能な水素吸蔵合金およびその合金
を使用したニッケル水素二次電池を提供することを目的
とする。
れたものであり、電池の内圧上昇を十分に抑制でき液漏
れ事故を発生するおそれが少なく、広い使用温度範囲に
おいて高い電極容量が得られるとともに、電池の長寿命
化を実現することが可能な水素吸蔵合金およびその合金
を使用したニッケル水素二次電池を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願発明者らは電池特性を良好にする水素吸蔵合金につ
いて鋭意研究を重ねた。その結果、いわゆるCaCu5
型の結晶構造を有する、いわゆるAB5 型合金を基本と
する金属間化合物を形成するような特定組成の合金溶湯
を急冷凝固せしめ、得られた急冷合金を、5〜20℃の
温度範囲で1回水素粉砕を行った後のBET一点法によ
る比表面積が0.16〜0.25m2 /gとなるような
急冷合金粉末を使用することにより、水素吸蔵特性およ
び耐食性が優れた水素吸蔵合金が得られ、また、この合
金を負極材料として使用した場合に電極容量と寿命特性
とがバランスし、かつ電池の内圧上昇を十分に抑制でき
るニッケル水素二次電池が得られるという知見を得た。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
本願発明者らは電池特性を良好にする水素吸蔵合金につ
いて鋭意研究を重ねた。その結果、いわゆるCaCu5
型の結晶構造を有する、いわゆるAB5 型合金を基本と
する金属間化合物を形成するような特定組成の合金溶湯
を急冷凝固せしめ、得られた急冷合金を、5〜20℃の
温度範囲で1回水素粉砕を行った後のBET一点法によ
る比表面積が0.16〜0.25m2 /gとなるような
急冷合金粉末を使用することにより、水素吸蔵特性およ
び耐食性が優れた水素吸蔵合金が得られ、また、この合
金を負極材料として使用した場合に電極容量と寿命特性
とがバランスし、かつ電池の内圧上昇を十分に抑制でき
るニッケル水素二次電池が得られるという知見を得た。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
【0012】すなわち本発明に係る水素吸蔵合金は、合
金溶湯を100℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固せしめ
た急冷合金から成り、水素粉砕後のBET比表面積が
0.16m2 /g以上0.25m2 /g以下の範囲であ
ることを特徴とする。
金溶湯を100℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固せしめ
た急冷合金から成り、水素粉砕後のBET比表面積が
0.16m2 /g以上0.25m2 /g以下の範囲であ
ることを特徴とする。
【0013】また、急冷合金は、一般式ANia Mb M
nc Ald (但し、AはLaを重量比で65〜95%含
有する少なくとも1種の希土類元素であり、MはCo,
Fe,Si,Cr,CuおよびSnから選択される少な
くとも1種の元素であり、a,b,c,dは原子比でそ
れぞれ3.2≦a≦4.1,0.2≦b≦1.0,0<
c≦0.35,0.1≦d≦0.7,0.1≦c/d≦
1.0,4.7≦a+b+c+d≦5.1である。)で
表わされる組成を有することが好ましい。また、一般式
中のA成分としてTiおよびZrの少なくとも一方を重
量比で2%以下含有させることが好ましい。
nc Ald (但し、AはLaを重量比で65〜95%含
有する少なくとも1種の希土類元素であり、MはCo,
Fe,Si,Cr,CuおよびSnから選択される少な
くとも1種の元素であり、a,b,c,dは原子比でそ
れぞれ3.2≦a≦4.1,0.2≦b≦1.0,0<
c≦0.35,0.1≦d≦0.7,0.1≦c/d≦
1.0,4.7≦a+b+c+d≦5.1である。)で
表わされる組成を有することが好ましい。また、一般式
中のA成分としてTiおよびZrの少なくとも一方を重
量比で2%以下含有させることが好ましい。
【0014】さらに、急冷合金の水素粉砕後のBET比
表面積が0.20m2 /gを超え0.23m2 /g以下
の範囲であることが好ましい。
表面積が0.20m2 /gを超え0.23m2 /g以下
の範囲であることが好ましい。
【0015】上記のように急冷合金の水素粉砕後におけ
るBET比表面積を上記範囲にすることにより、この急
冷合金粉末を負極活物質として電池を形成した場合に、
電極容量の初期立上り、最大容量およびサイクル寿命特
性に大きな改善効果が発揮される。すなわち、溶湯急冷
法で作製された水素吸蔵合金は、鋳造法で作製された従
来一般の合金と比較して均質性が非常に高く、水素の吸
蔵・脱蔵による微粉化が生じた場合においても電解液に
対して高い耐食性を示すため、電極の長寿命化が可能と
なる。
るBET比表面積を上記範囲にすることにより、この急
冷合金粉末を負極活物質として電池を形成した場合に、
電極容量の初期立上り、最大容量およびサイクル寿命特
性に大きな改善効果が発揮される。すなわち、溶湯急冷
法で作製された水素吸蔵合金は、鋳造法で作製された従
来一般の合金と比較して均質性が非常に高く、水素の吸
蔵・脱蔵による微粉化が生じた場合においても電解液に
対して高い耐食性を示すため、電極の長寿命化が可能と
なる。
【0016】このため、従来のように水素吸蔵量は多い
が微粉化し易いために鋳造法では電極材料として使用で
きなかった合金組成についても、溶湯急冷処理を行って
作成することにより電解液に対する耐食性が発揮されて
高容量で長寿命の電極材料として使用することが可能と
なる。すなわち、溶湯急冷処理により製造した水素吸蔵
合金粉末を負極材料として用いることにより、ニッケル
水素二次電池の高容量化および長寿命化が実現する。
が微粉化し易いために鋳造法では電極材料として使用で
きなかった合金組成についても、溶湯急冷処理を行って
作成することにより電解液に対する耐食性が発揮されて
高容量で長寿命の電極材料として使用することが可能と
なる。すなわち、溶湯急冷処理により製造した水素吸蔵
合金粉末を負極材料として用いることにより、ニッケル
水素二次電池の高容量化および長寿命化が実現する。
【0017】また、溶湯急冷法により製造した水素吸蔵
合金は、微細な粒子を有するため、鋳造法によって調製
した水素吸蔵合金と比較して、電池の低温度での放電特
性が改善される。
合金は、微細な粒子を有するため、鋳造法によって調製
した水素吸蔵合金と比較して、電池の低温度での放電特
性が改善される。
【0018】さらに、水素吸蔵合金の水素粉砕後におけ
るBET比表面積は、電池特性に大きな影響を及ぼすた
め、本発明では0.16〜0.25m2 /gの範囲とさ
れる。上記比表面積が0.16m2 /g未満と過小な場
合には、電極容量が低下する。一方、比表面積が0.2
5m2 /gを超えるように過大になると、電池のサイク
ル寿命特性が急激に低下するため、上記の範囲とされる
が、0.17〜0.24m2 /gの範囲がより好まし
く、さらに0.20m2 /gを超え0.23m2/g以
下の範囲が特に好ましい。
るBET比表面積は、電池特性に大きな影響を及ぼすた
め、本発明では0.16〜0.25m2 /gの範囲とさ
れる。上記比表面積が0.16m2 /g未満と過小な場
合には、電極容量が低下する。一方、比表面積が0.2
5m2 /gを超えるように過大になると、電池のサイク
ル寿命特性が急激に低下するため、上記の範囲とされる
が、0.17〜0.24m2 /gの範囲がより好まし
く、さらに0.20m2 /gを超え0.23m2/g以
下の範囲が特に好ましい。
【0019】本発明に係る水素吸蔵合金は、上記のよう
な所定の組成を有する合金溶湯を冷却体と接触させて1
00℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固せしめ、さらに得
られた急冷合金を機械的粉砕することにより所定の粒度
分布を得るように粒子径を調整し、さらに必要に応じて
真空中または非酸化性雰囲気中で温度600〜1000
℃で熱処理することにより製造される。上記急冷凝固処
理により、添加成分が合金組織中に初めて均一に分散
し、また粒界析出相も微細化されて電池の長寿命化を図
ることができる。
な所定の組成を有する合金溶湯を冷却体と接触させて1
00℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固せしめ、さらに得
られた急冷合金を機械的粉砕することにより所定の粒度
分布を得るように粒子径を調整し、さらに必要に応じて
真空中または非酸化性雰囲気中で温度600〜1000
℃で熱処理することにより製造される。上記急冷凝固処
理により、添加成分が合金組織中に初めて均一に分散
し、また粒界析出相も微細化されて電池の長寿命化を図
ることができる。
【0020】また本発明に係るニッケル水素二次電池
は、上記所定の組成を有する水素吸蔵合金を含む負極
と,ニッケル酸化物を含む正極との間に電気絶縁性を有
するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密
閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とす
る。
は、上記所定の組成を有する水素吸蔵合金を含む負極
と,ニッケル酸化物を含む正極との間に電気絶縁性を有
するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密
閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とす
る。
【0021】本発明に係る水素吸蔵合金において、一般
式中、AはLaを含む少なくとも1種以上の希土類元素
から成り、La以外の構成元素としては、例えばCe,
Nd,Pr,Sm,Yなどが挙げられる。特に高容量化
を図るためには、Laが有効である。A成分全体に占め
るLa含有量は65〜95重量%に設定される。すなわ
ち、AサイトにおけるLa含有量が65重量%未満の場
合では、電池の高容量化が不十分となる一方、La含有
量が95重量%を超える場合にはサイクル寿命が短くな
ってしまう。La含有量は70〜85重量%の範囲がさ
らに好ましい。また、A成分におけるLa以外の希土類
元素については、一般式中のa,b,c,dの値と対応
させて決定されるが、特にCe,NdおよびPrが含有
されていることが好ましい。また、容量等の電池特性を
改善するために、上記A成分としてTiおよびZrの少
なくとも一方を2重量%以下の範囲で含有させることが
望ましい。
式中、AはLaを含む少なくとも1種以上の希土類元素
から成り、La以外の構成元素としては、例えばCe,
Nd,Pr,Sm,Yなどが挙げられる。特に高容量化
を図るためには、Laが有効である。A成分全体に占め
るLa含有量は65〜95重量%に設定される。すなわ
ち、AサイトにおけるLa含有量が65重量%未満の場
合では、電池の高容量化が不十分となる一方、La含有
量が95重量%を超える場合にはサイクル寿命が短くな
ってしまう。La含有量は70〜85重量%の範囲がさ
らに好ましい。また、A成分におけるLa以外の希土類
元素については、一般式中のa,b,c,dの値と対応
させて決定されるが、特にCe,NdおよびPrが含有
されていることが好ましい。また、容量等の電池特性を
改善するために、上記A成分としてTiおよびZrの少
なくとも一方を2重量%以下の範囲で含有させることが
望ましい。
【0022】また、Ni,M,Mn,Alなどの成分
は、合金界面での触媒作用,容量増加,水素平衡圧の調
整,寿命特性改善に効果をもたらす成分であり、その合
計含有量は、a+b+c+dとして4.7〜5.1の範
囲に設定される。a+b+c+dが4.7未満の場合に
は、上記改善効果が不十分である一方、合計含有量が
5.1を超えると電極容量が過少になり、電池の高容量
化を図ることが困難である。好ましくは、4.8〜5.
05の範囲がよい。
は、合金界面での触媒作用,容量増加,水素平衡圧の調
整,寿命特性改善に効果をもたらす成分であり、その合
計含有量は、a+b+c+dとして4.7〜5.1の範
囲に設定される。a+b+c+dが4.7未満の場合に
は、上記改善効果が不十分である一方、合計含有量が
5.1を超えると電極容量が過少になり、電池の高容量
化を図ることが困難である。好ましくは、4.8〜5.
05の範囲がよい。
【0023】上記成分のうち、特にNiは希土類成分
(A)と合金化されて、耐食性に優れた希土類−Ni系
水素吸蔵合金を形成して水素の吸蔵・放出を行うための
基本元素であり、原子比aが3.2〜4.1の範囲とな
るように添加される。上記Niの原子比の範囲内におい
て、密閉型電池における水素吸蔵平衡圧を適正に設定す
ることができるが、3.3〜4.0の範囲におけるNi
添加量がより好ましい。
(A)と合金化されて、耐食性に優れた希土類−Ni系
水素吸蔵合金を形成して水素の吸蔵・放出を行うための
基本元素であり、原子比aが3.2〜4.1の範囲とな
るように添加される。上記Niの原子比の範囲内におい
て、密閉型電池における水素吸蔵平衡圧を適正に設定す
ることができるが、3.3〜4.0の範囲におけるNi
添加量がより好ましい。
【0024】またMはCo,Fe,Si,Cr,Cuお
よびSnから選択される少なくとも1種の元素であり、
これらの元素はいずれも合金の耐食性を改善するととも
に、水素吸蔵時における格子の膨張に伴う割れの発生を
効果的に抑止し、サイクル寿命改善効果を発揮する元素
である。これらのM成分の添加量bが0.2未満の場合
には上記改善効果が不十分となる一方、添加量が1.0
を超えると容量の低下が顕著になる。M成分の添加量b
は0.3〜0.8の範囲が、より好ましい。
よびSnから選択される少なくとも1種の元素であり、
これらの元素はいずれも合金の耐食性を改善するととも
に、水素吸蔵時における格子の膨張に伴う割れの発生を
効果的に抑止し、サイクル寿命改善効果を発揮する元素
である。これらのM成分の添加量bが0.2未満の場合
には上記改善効果が不十分となる一方、添加量が1.0
を超えると容量の低下が顕著になる。M成分の添加量b
は0.3〜0.8の範囲が、より好ましい。
【0025】またMnは水素平衡圧の制御と水素吸蔵量
の増大とに効果をもたらす元素である。しかし、Mn添
加量cが増大すると、合金の耐食性が大きく低下する。
このため、本発明においては、合金の高容量化をMn添
加量cの調整よりも、上記A成分中のLa量の調整に重
点を置いて実現している。Mnの添加量cが0.35を
超えると水素平衡圧が低くなり過ぎ、また合金の耐食性
も低下する。Mnの添加量cの値としては0.02〜
0.30の範囲が、さらに好ましい。
の増大とに効果をもたらす元素である。しかし、Mn添
加量cが増大すると、合金の耐食性が大きく低下する。
このため、本発明においては、合金の高容量化をMn添
加量cの調整よりも、上記A成分中のLa量の調整に重
点を置いて実現している。Mnの添加量cが0.35を
超えると水素平衡圧が低くなり過ぎ、また合金の耐食性
も低下する。Mnの添加量cの値としては0.02〜
0.30の範囲が、さらに好ましい。
【0026】さらにAlは水素吸蔵合金の平衡圧調整と
耐食性の向上による合金の寿命改善とに有効である。A
lの添加量dが0.1未満の場合には上記改善効果が不
十分となる一方、0.7を超える場合には容量の低下を
招く。Alの添加量dの値としては0.3〜0.6の範
囲が、さらに好ましい。
耐食性の向上による合金の寿命改善とに有効である。A
lの添加量dが0.1未満の場合には上記改善効果が不
十分となる一方、0.7を超える場合には容量の低下を
招く。Alの添加量dの値としては0.3〜0.6の範
囲が、さらに好ましい。
【0027】また合金中のAl添加量dに対するMn添
加量cの比(c/d)は、水素吸蔵合金を負極材料とし
て用いたニッケル水素二次電池において、電池の内圧上
昇に大きな影響を及ぼす要因であり、本発明において上
記比は1以下の範囲とする。すなわちMn添加量cをA
l添加量dよりも小さくすることが電池の内圧上昇を抑
止するために有効である。電池の内圧上昇が抑制できれ
ば、室温から高温までの広い温度範囲で電池使用が可能
になる。上記内圧上昇を抑止する機構については必ずし
も明確ではないが、上記添加量の比(c/d)を0.1
以上及び1以下にすることにより、MnおよびAlがア
ルカリ電解液中に溶出することが抑制され、合金表面に
Ni−Al化合物層が生成して、この化合物層が長期に
亘って維持される。このNi−Al化合物層は、電池の
過充電時に発生した酸素ガスと水素とを化合させて水に
戻す反応に対して触媒作用を有するため、電池の内圧上
昇が効果的に抑止されるものと考えられる。
加量cの比(c/d)は、水素吸蔵合金を負極材料とし
て用いたニッケル水素二次電池において、電池の内圧上
昇に大きな影響を及ぼす要因であり、本発明において上
記比は1以下の範囲とする。すなわちMn添加量cをA
l添加量dよりも小さくすることが電池の内圧上昇を抑
止するために有効である。電池の内圧上昇が抑制できれ
ば、室温から高温までの広い温度範囲で電池使用が可能
になる。上記内圧上昇を抑止する機構については必ずし
も明確ではないが、上記添加量の比(c/d)を0.1
以上及び1以下にすることにより、MnおよびAlがア
ルカリ電解液中に溶出することが抑制され、合金表面に
Ni−Al化合物層が生成して、この化合物層が長期に
亘って維持される。このNi−Al化合物層は、電池の
過充電時に発生した酸素ガスと水素とを化合させて水に
戻す反応に対して触媒作用を有するため、電池の内圧上
昇が効果的に抑止されるものと考えられる。
【0028】本発明に係る電池用水素吸蔵合金の一般式
A Nia Mb Mnc Ald において、Nia Mb Mn
c Ald 部分をBサイトとし、a+b+c+dをXとし
た場合、本発明に係る水素吸蔵合金は、一般式ABX で
表わされ、Bサイトの組成比率Xが4.7〜5.1の範
囲に設定されたAB5 系合金である。Bサイトの組成比
率Xが上記範囲外になると、合金中にAB5 以外の相
(例えばAB,AB3 ,A2 B7 等から成る相およびB
サイトを構成する元素単体から成る相[以下第2相とい
う])の生成量が増大する。
A Nia Mb Mnc Ald において、Nia Mb Mn
c Ald 部分をBサイトとし、a+b+c+dをXとし
た場合、本発明に係る水素吸蔵合金は、一般式ABX で
表わされ、Bサイトの組成比率Xが4.7〜5.1の範
囲に設定されたAB5 系合金である。Bサイトの組成比
率Xが上記範囲外になると、合金中にAB5 以外の相
(例えばAB,AB3 ,A2 B7 等から成る相およびB
サイトを構成する元素単体から成る相[以下第2相とい
う])の生成量が増大する。
【0029】合金中に上記ABX からなる相以外の第2
相が多くなると、水素吸蔵合金中に上記第2相を含む2
種以上の異種組成の合金相が互いに接する割合が高くな
る。このような異種組成の合金相同士の界面は、機械的
強度が弱く、この界面を起点として、水素の吸蔵・放出
に伴い割れが発生し易くなる。
相が多くなると、水素吸蔵合金中に上記第2相を含む2
種以上の異種組成の合金相が互いに接する割合が高くな
る。このような異種組成の合金相同士の界面は、機械的
強度が弱く、この界面を起点として、水素の吸蔵・放出
に伴い割れが発生し易くなる。
【0030】また上記界面には、偏析が生じ易く、その
偏析物を起点として水素吸蔵合金の腐食が生じ易くな
る。さらに、前記第2相は電極使用条件下において、A
BX に比べて水素の吸蔵量が少なく、前記第2相が多い
合金を電極として使用すると、単位体積当りの電極容量
が低下する。いずれにしろ水素吸蔵合金を電極材として
使用した場合において、電極容量および寿命の低下を引
き起こす。
偏析物を起点として水素吸蔵合金の腐食が生じ易くな
る。さらに、前記第2相は電極使用条件下において、A
BX に比べて水素の吸蔵量が少なく、前記第2相が多い
合金を電極として使用すると、単位体積当りの電極容量
が低下する。いずれにしろ水素吸蔵合金を電極材として
使用した場合において、電極容量および寿命の低下を引
き起こす。
【0031】結局、前記Xの値を限定したのは次のよう
な理由によるのである。前記Xを下限値(4.7)未満
にすると電池の充放電時の腐食が多く、また割れや微粉
化し難い水素吸蔵合金を得ることができなくなる。一
方、前記Xが上限値(5.1)を超えると通常の工業的
にとり得る合金作製方法によっては第2相の生成が認め
られ、水素吸蔵合金の特性を向上できなくなる。したが
って、Xの値は4.7〜5.1の範囲に設定される。好
ましくは、4.8〜5.05の範囲がよい。
な理由によるのである。前記Xを下限値(4.7)未満
にすると電池の充放電時の腐食が多く、また割れや微粉
化し難い水素吸蔵合金を得ることができなくなる。一
方、前記Xが上限値(5.1)を超えると通常の工業的
にとり得る合金作製方法によっては第2相の生成が認め
られ、水素吸蔵合金の特性を向上できなくなる。したが
って、Xの値は4.7〜5.1の範囲に設定される。好
ましくは、4.8〜5.05の範囲がよい。
【0032】またM成分としてのCoは、電解液等に対
する合金の耐食性を向上させる上で有効であり、合金の
微粉化は顕著に抑制され、電池の寿命特性が改善され
る。なおCo添加量を増やすとサイクル寿命は向上する
反面、電極容量が低下する傾向があるため、電池の用途
に応じてCo添加量の最適化を図る必要がある。Co添
加量は、Aサイト成分である希土類元素の組成比の大小
とも関連するが、本発明で規定するAサイト成分の組成
範囲に対して、原子比で0.1〜1.0の範囲が好適で
ある。
する合金の耐食性を向上させる上で有効であり、合金の
微粉化は顕著に抑制され、電池の寿命特性が改善され
る。なおCo添加量を増やすとサイクル寿命は向上する
反面、電極容量が低下する傾向があるため、電池の用途
に応じてCo添加量の最適化を図る必要がある。Co添
加量は、Aサイト成分である希土類元素の組成比の大小
とも関連するが、本発明で規定するAサイト成分の組成
範囲に対して、原子比で0.1〜1.0の範囲が好適で
ある。
【0033】Co添加量が原子比で0.1未満の場合で
は、寿命の改善効果が不十分である一方、1.0を超え
る場合には、容量の低下が顕著になり、いずれにしても
電池の2大要求特性を満足することが困難となる。上記
のような観点から本発明の水素吸蔵合金のBサイト成分
として、CoおよびMnが原子比でそれぞれ所定量以上
添加されていることが望ましい。
は、寿命の改善効果が不十分である一方、1.0を超え
る場合には、容量の低下が顕著になり、いずれにしても
電池の2大要求特性を満足することが困難となる。上記
のような観点から本発明の水素吸蔵合金のBサイト成分
として、CoおよびMnが原子比でそれぞれ所定量以上
添加されていることが望ましい。
【0034】この他、本発明に係る水素吸蔵合金には、
Pb,C,N,O,FおよびClなどの元素が不純物と
して本願発明合金の特性を阻害しない範囲で含まれてい
てもよい。なお、これらの不純物の含有量はそれぞれ6
000ppm以下の範囲であることが好ましい。より好
ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは400
0ppm以下が良い。
Pb,C,N,O,FおよびClなどの元素が不純物と
して本願発明合金の特性を阻害しない範囲で含まれてい
てもよい。なお、これらの不純物の含有量はそれぞれ6
000ppm以下の範囲であることが好ましい。より好
ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは400
0ppm以下が良い。
【0035】本発明に係る水素吸蔵合金の製造方法とし
ては、溶湯急冷法により合金組成を均一化して偏析を防
止し得る方法であれば特に限定されない。すなわち所定
組成を有するように調合した原料混合体を高周波誘導炉
等で加熱して合金溶湯を調製し、しかる後にガスアトマ
イズ法.回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロール法,双
ロール法などを使用して上記合金溶湯を急冷凝固せしめ
て形成される。合金溶湯を冷却するに際し、冷却速度を
100℃/秒以上,好ましくは300℃/秒以上、さら
に好ましくは1000℃/秒以上に設定することによ
り、Aサイト成分としてLaを相対的に多量に含有した
場合においても、組織が均一であり、偏析が少ない合金
が得られる。
ては、溶湯急冷法により合金組成を均一化して偏析を防
止し得る方法であれば特に限定されない。すなわち所定
組成を有するように調合した原料混合体を高周波誘導炉
等で加熱して合金溶湯を調製し、しかる後にガスアトマ
イズ法.回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロール法,双
ロール法などを使用して上記合金溶湯を急冷凝固せしめ
て形成される。合金溶湯を冷却するに際し、冷却速度を
100℃/秒以上,好ましくは300℃/秒以上、さら
に好ましくは1000℃/秒以上に設定することによ
り、Aサイト成分としてLaを相対的に多量に含有した
場合においても、組織が均一であり、偏析が少ない合金
が得られる。
【0036】この急冷凝固処理と後述する熱処理とを実
施することにより、高容量かつ長寿命の水素吸蔵合金が
得られる。さらに高速移動する冷却体上に合金溶融を射
出し、厚さ20〜500μm程度のフレーク状合金とし
た場合には、微細な結晶粒から成る水素吸蔵合金が得ら
れ、高容量かつ長寿命の電池を形成することができる。
また結晶粒の微細化により、合金の水素吸収速度が速く
なり、二次電池とした場合に放電容量の立上がりが早く
なる。
施することにより、高容量かつ長寿命の水素吸蔵合金が
得られる。さらに高速移動する冷却体上に合金溶融を射
出し、厚さ20〜500μm程度のフレーク状合金とし
た場合には、微細な結晶粒から成る水素吸蔵合金が得ら
れ、高容量かつ長寿命の電池を形成することができる。
また結晶粒の微細化により、合金の水素吸収速度が速く
なり、二次電池とした場合に放電容量の立上がりが早く
なる。
【0037】さらに合金溶湯の急冷凝固法として、特に
ガスアトマイズ法,回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロ
ール法、双ロール法等のように溶融状態にある合金溶湯
を急冷する溶湯急冷法を用い、冷却ロールの材質および
表面性,冷却ロールの回転数(走行面の周速),溶湯温
度,冷却ロール用の冷却水温度,冷却チャンバ内のガス
種,圧力,溶湯噴射ノズル径,噴射量等の製造条件を最
適化することにより合金を安定的に大量に製造すること
ができる。
ガスアトマイズ法,回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロ
ール法、双ロール法等のように溶融状態にある合金溶湯
を急冷する溶湯急冷法を用い、冷却ロールの材質および
表面性,冷却ロールの回転数(走行面の周速),溶湯温
度,冷却ロール用の冷却水温度,冷却チャンバ内のガス
種,圧力,溶湯噴射ノズル径,噴射量等の製造条件を最
適化することにより合金を安定的に大量に製造すること
ができる。
【0038】単ロール法 図1は、単ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、銅、ニッケル等の熱導伝性に優れ
る直径400mm程度の冷却ロール5と、取鍋2から供
給された水素吸蔵合金溶湯3を貯留した後に前記冷却ロ
ール5の走行面に噴射する注湯ノズル4とを備えた構成
となっている。前記冷却ロール5等は不活性ガス雰囲気
に調整された冷却チャンバー1内に収納されている。ま
た、前記冷却ロール5の回転数は、冷却ロール5の濡性
と冷却速度および水素吸蔵合金溶湯3の噴射量に依存す
るが、概ね300〜5000rpmに設定される。
す。この製造装置は、銅、ニッケル等の熱導伝性に優れ
る直径400mm程度の冷却ロール5と、取鍋2から供
給された水素吸蔵合金溶湯3を貯留した後に前記冷却ロ
ール5の走行面に噴射する注湯ノズル4とを備えた構成
となっている。前記冷却ロール5等は不活性ガス雰囲気
に調整された冷却チャンバー1内に収納されている。ま
た、前記冷却ロール5の回転数は、冷却ロール5の濡性
と冷却速度および水素吸蔵合金溶湯3の噴射量に依存す
るが、概ね300〜5000rpmに設定される。
【0039】上述した図1に示す製造装置において、取
鍋2から供給された水素吸蔵合金溶湯3を注湯ノズル4
より冷却ロール5の走行面へ噴射すると、合金溶湯は冷
却ロール5に接する面より固化し、結晶成長が始まり、
冷却ロール5より離脱するまでに完全に固化が終了す
る。その後、冷却チャンバー1内を飛翔する間に更に冷
却が進み、偏析が少なく結晶成長方向が揃った水素吸蔵
合金6が製造される。
鍋2から供給された水素吸蔵合金溶湯3を注湯ノズル4
より冷却ロール5の走行面へ噴射すると、合金溶湯は冷
却ロール5に接する面より固化し、結晶成長が始まり、
冷却ロール5より離脱するまでに完全に固化が終了す
る。その後、冷却チャンバー1内を飛翔する間に更に冷
却が進み、偏析が少なく結晶成長方向が揃った水素吸蔵
合金6が製造される。
【0040】双ロール法 図2は、双ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、冷却チャンバー1内に各走行面が
対向するように配置された1対以上の冷却ロール5a,
5bと、原料金属を溶解し水素吸蔵合金溶湯3を調製す
る溶解炉7と、この溶解炉7からの水素吸蔵合金溶湯3
をタンディッシュ8を経て前記冷却ロール5a,5bの
間に噴射する注湯ノズル4を備えた構成になっている。
す。この製造装置は、冷却チャンバー1内に各走行面が
対向するように配置された1対以上の冷却ロール5a,
5bと、原料金属を溶解し水素吸蔵合金溶湯3を調製す
る溶解炉7と、この溶解炉7からの水素吸蔵合金溶湯3
をタンディッシュ8を経て前記冷却ロール5a,5bの
間に噴射する注湯ノズル4を備えた構成になっている。
【0041】前記冷却ロール5a,5bは、銅、鉄等の
熱導伝性に優れた材質で形成された直径300mm程度
のものである。前記冷却ロール5a,5bは0〜0.5
mm程度の微少な間隙dを維持しながら300〜200
0rpm程度の回転数で高速回転する。なお、冷却ロー
ルとしては図2に示すように走行面が平行になっている
ものの他、走行面の断面形状をU字型やV字型とした、
いわゆる型ロールを採用することもできる。また、冷却
ロール5a,5bの間隙dを過大にすると、冷却方向が
揃わず、その結果結晶成長方向が揃わない水素吸蔵合金
が製造されるため、0.2mm以下に設定することが好
ましい。
熱導伝性に優れた材質で形成された直径300mm程度
のものである。前記冷却ロール5a,5bは0〜0.5
mm程度の微少な間隙dを維持しながら300〜200
0rpm程度の回転数で高速回転する。なお、冷却ロー
ルとしては図2に示すように走行面が平行になっている
ものの他、走行面の断面形状をU字型やV字型とした、
いわゆる型ロールを採用することもできる。また、冷却
ロール5a,5bの間隙dを過大にすると、冷却方向が
揃わず、その結果結晶成長方向が揃わない水素吸蔵合金
が製造されるため、0.2mm以下に設定することが好
ましい。
【0042】上述した図2に示す製造装置において、注
湯ノズル4から水素吸蔵合金溶湯3を冷却ロール5a,
5bの間隙方向へ噴射すると、水素吸蔵合金溶湯が両側
の冷却ロール5a,5bに接する側より固化、結晶成長
が始まり、冷却ロール5a,5bより離脱するまでに完
全に固化が終了する。その後、冷却チャンバー1内を飛
翔する間に更に冷却が進み、偏析が少なく結晶成長方向
が揃った水素吸蔵合金6が製造される。
湯ノズル4から水素吸蔵合金溶湯3を冷却ロール5a,
5bの間隙方向へ噴射すると、水素吸蔵合金溶湯が両側
の冷却ロール5a,5bに接する側より固化、結晶成長
が始まり、冷却ロール5a,5bより離脱するまでに完
全に固化が終了する。その後、冷却チャンバー1内を飛
翔する間に更に冷却が進み、偏析が少なく結晶成長方向
が揃った水素吸蔵合金6が製造される。
【0043】上記のような急冷凝固法を使用して、リボ
ン状,フレーク状または粒状の水素吸蔵合金を製造する
場合、合金溶湯の凝固時の試料内温度勾配、冷却ロール
や回転ディスクの材質、合金溶湯の供給量等の条件によ
り等軸晶組織や柱状晶組織が合金内に形成される。
ン状,フレーク状または粒状の水素吸蔵合金を製造する
場合、合金溶湯の凝固時の試料内温度勾配、冷却ロール
や回転ディスクの材質、合金溶湯の供給量等の条件によ
り等軸晶組織や柱状晶組織が合金内に形成される。
【0044】上記合金粒子の製造工程において、100
℃/秒以上、好ましくは300℃/秒以上、さらに好ま
しくは1000℃/秒以上の冷却速度にて溶湯を急冷処
理して水素吸蔵合金を製造すると、合金を構成する各結
晶粒が微細化し、合金強度が高まるとともに、粒界の乱
れが減少するため、水素の吸蔵量が増大し、電極容量を
高めることができる。
℃/秒以上、好ましくは300℃/秒以上、さらに好ま
しくは1000℃/秒以上の冷却速度にて溶湯を急冷処
理して水素吸蔵合金を製造すると、合金を構成する各結
晶粒が微細化し、合金強度が高まるとともに、粒界の乱
れが減少するため、水素の吸蔵量が増大し、電極容量を
高めることができる。
【0045】上記溶湯急冷処理は真空中または不活性ガ
ス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で実施することが好ま
しい。また真空度は10-2〜10-6Torr程度で十分であ
る。
ス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で実施することが好ま
しい。また真空度は10-2〜10-6Torr程度で十分であ
る。
【0046】上記溶湯急冷処理により、少なくとも一部
に柱状晶組織を発達させた水素吸蔵合金を形成すること
ができる。ここで柱状晶とは、短径と長径との比(アス
ペクト比)が1:2以上である柱状結晶粒をいう。上記
柱状晶組織においては、等軸晶組織とは異なり、結晶方
位が揃っているため、粒界の乱れが少なく、水素の吸蔵
量が増し、電極容量を増大化できることが本発明者らの
実験により確認された。すなわち柱状晶組織において
は、その界面に沿って、水素分子または水素原子の通路
が形成されるため、合金内への水素の吸蔵あるいは放出
が容易になり、電極容量が増加する。また柱状晶組織に
おける偏析は、極めて少なくなる。従って偏析による局
部電池の形成が少なく、合金組織の微細化による寿命低
下も効果的に防止できる。
に柱状晶組織を発達させた水素吸蔵合金を形成すること
ができる。ここで柱状晶とは、短径と長径との比(アス
ペクト比)が1:2以上である柱状結晶粒をいう。上記
柱状晶組織においては、等軸晶組織とは異なり、結晶方
位が揃っているため、粒界の乱れが少なく、水素の吸蔵
量が増し、電極容量を増大化できることが本発明者らの
実験により確認された。すなわち柱状晶組織において
は、その界面に沿って、水素分子または水素原子の通路
が形成されるため、合金内への水素の吸蔵あるいは放出
が容易になり、電極容量が増加する。また柱状晶組織に
おける偏析は、極めて少なくなる。従って偏析による局
部電池の形成が少なく、合金組織の微細化による寿命低
下も効果的に防止できる。
【0047】上記のように急冷凝固法により調製した合
金においては内部歪みが発生し易く、合金を負極材料と
して用いた場合に電極容量および寿命が低下する場合が
多い。
金においては内部歪みが発生し易く、合金を負極材料と
して用いた場合に電極容量および寿命が低下する場合が
多い。
【0048】そこで急冷凝固せしめて調製した合金を、
温度600〜1000℃で0.5〜10時間加熱する均
質化熱処理を行なうことが望ましい。
温度600〜1000℃で0.5〜10時間加熱する均
質化熱処理を行なうことが望ましい。
【0049】上記均質化熱処理の温度が600℃未満の
場合には、内部歪の除去が困難となる一方、温度が10
00℃を超える場合には、希土類元素などの酸化や蒸発
による組成変動を引き起こしたり、二次再結晶化による
合金強度の低下を引起こす。そのため熱処理温度は60
0〜1000℃の範囲に設定される。特に電極特性を向
上させるためには、750〜950℃の範囲が好まし
い。
場合には、内部歪の除去が困難となる一方、温度が10
00℃を超える場合には、希土類元素などの酸化や蒸発
による組成変動を引き起こしたり、二次再結晶化による
合金強度の低下を引起こす。そのため熱処理温度は60
0〜1000℃の範囲に設定される。特に電極特性を向
上させるためには、750〜950℃の範囲が好まし
い。
【0050】また熱処理時間が0.5時間未満の場合
は、内部歪の除去効果が少なく特性のばらつきが大きく
なる。一方処理時間が10時間を超える程度に長期化す
ると、酸化が大幅に進行したり、結晶粒の粗大化を引起
すおそれが高くなるため、製造効率も勘案すると0.5
〜10時間が好ましい。
は、内部歪の除去効果が少なく特性のばらつきが大きく
なる。一方処理時間が10時間を超える程度に長期化す
ると、酸化が大幅に進行したり、結晶粒の粗大化を引起
すおそれが高くなるため、製造効率も勘案すると0.5
〜10時間が好ましい。
【0051】なお熱処理雰囲気は、水素吸蔵合金の高温
酸化を防止するために、Arなどの不活性ガス雰囲気ま
たは真空が好ましい。
酸化を防止するために、Arなどの不活性ガス雰囲気ま
たは真空が好ましい。
【0052】上記のような条件で均質化熱処理を実施す
ることにより、合金の均質性を保ちながら内部歪を効果
的に除去することが可能となり、電極容量および寿命を
さらに高めることができる。
ることにより、合金の均質性を保ちながら内部歪を効果
的に除去することが可能となり、電極容量および寿命を
さらに高めることができる。
【0053】次に、上記電池用水素吸蔵合金を負極活物
質として使用した本発明に係るニッケル水素二次電池
(円筒形ニッケル水素二次電池)について図3を参照し
て説明する。
質として使用した本発明に係るニッケル水素二次電池
(円筒形ニッケル水素二次電池)について図3を参照し
て説明する。
【0054】本発明に係るニッケル水素二次電池は、前
記の一般式ANia Mb Mnc Ald で表わされる電池
用水素吸蔵合金を含む負極11とニッケル酸化物を含む
正極12との間に電気絶縁性を有するセパレータ13を
介装して密閉容器14内に収容し、この密閉容器14内
にアルカリ電解液を充填して構成される。
記の一般式ANia Mb Mnc Ald で表わされる電池
用水素吸蔵合金を含む負極11とニッケル酸化物を含む
正極12との間に電気絶縁性を有するセパレータ13を
介装して密閉容器14内に収容し、この密閉容器14内
にアルカリ電解液を充填して構成される。
【0055】すなわち、水素吸蔵合金を含む水素吸蔵合
金電極(負極)11は、非焼結式ニッケル電極(正極)
12との間にセパレータ13を介在して渦巻状に捲回さ
れ、有底円筒状の容器14内に収納されている。アルカ
リ電解液は、前記容器14内に収容されている。中央に
穴15を有する円形の封口板16は、前記容器14の上
部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケッ
ト17は、前記封口板16の周縁と前記容器14の上部
開口部内面との間に配置され、前記上部開口部を内側に
縮径するカシメ加工により前記容器14に前記封口板1
6を前記ガスケット17を介して気密に固定している。
正極リード18は、一端が前記正極12に接続され、他
端が前記封口板16の下面に接続されている。帽子形状
をなす正極端子19は、前記封口板16上に前記穴15
を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁20
は、前記封口板16と前記正極端子19で囲まれた空間
内に前記穴15を塞ぐように配置されている。絶縁チュ
ーブ21は、前記正極端子19および前記容器14の上
端に載置される鍔紙22を固定するように前記容器14
の上端付近に取り付けられている。
金電極(負極)11は、非焼結式ニッケル電極(正極)
12との間にセパレータ13を介在して渦巻状に捲回さ
れ、有底円筒状の容器14内に収納されている。アルカ
リ電解液は、前記容器14内に収容されている。中央に
穴15を有する円形の封口板16は、前記容器14の上
部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケッ
ト17は、前記封口板16の周縁と前記容器14の上部
開口部内面との間に配置され、前記上部開口部を内側に
縮径するカシメ加工により前記容器14に前記封口板1
6を前記ガスケット17を介して気密に固定している。
正極リード18は、一端が前記正極12に接続され、他
端が前記封口板16の下面に接続されている。帽子形状
をなす正極端子19は、前記封口板16上に前記穴15
を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁20
は、前記封口板16と前記正極端子19で囲まれた空間
内に前記穴15を塞ぐように配置されている。絶縁チュ
ーブ21は、前記正極端子19および前記容器14の上
端に載置される鍔紙22を固定するように前記容器14
の上端付近に取り付けられている。
【0056】前記水素吸蔵合金電極11は、以下に説明
するペースト式および非ペースト式のものが用いられ
る。 (1)ペースト式水素吸蔵合金電極は、上記水素吸蔵合
金を粉砕することにより得た水素吸蔵合金粉末と高分子
結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを混合し
てペースト状とし、このペーストを集電体である導電性
基板に塗布、充填、乾燥した後、ローラープレス等を施
すことにより作製される。 (2)非ペースト式水素吸蔵合金電極は上記水素吸蔵合
金粉末と高分子結着剤と必要に応じて添加される導電性
粉末とを撹拌し、集電体である導電性基板に散布した後
ローラープレス等を施すことにより作製される。
するペースト式および非ペースト式のものが用いられ
る。 (1)ペースト式水素吸蔵合金電極は、上記水素吸蔵合
金を粉砕することにより得た水素吸蔵合金粉末と高分子
結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを混合し
てペースト状とし、このペーストを集電体である導電性
基板に塗布、充填、乾燥した後、ローラープレス等を施
すことにより作製される。 (2)非ペースト式水素吸蔵合金電極は上記水素吸蔵合
金粉末と高分子結着剤と必要に応じて添加される導電性
粉末とを撹拌し、集電体である導電性基板に散布した後
ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0057】前記水素吸蔵合金の粉砕方法としては、例
えばボールミル、パルペライザー、ジェットミル、ハン
マーミル等の機械的粉砕方法、または高圧の水素を吸蔵
・放出させ、その際の体積膨張により粉砕する方法が採
用される。
えばボールミル、パルペライザー、ジェットミル、ハン
マーミル等の機械的粉砕方法、または高圧の水素を吸蔵
・放出させ、その際の体積膨張により粉砕する方法が採
用される。
【0058】前記高分子結着剤としては、例えばポリア
クリル酸ソーダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリビ
ニルアルコール(PVA)等を挙げることができる。こ
のような高分子結着剤は、前記水素吸蔵合金100重量
部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合することが好
ましい。ただし、前記(2)の非ペースト式水素吸蔵合
金電極を作製する場合には撹拌により繊維化して前記水
素吸蔵合金粉末および必要に応じて添加される導電性粉
末を三次元状(網目状)に固定することが可能なポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)を高分子結着剤とし
て用いることが好適である。
クリル酸ソーダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリビ
ニルアルコール(PVA)等を挙げることができる。こ
のような高分子結着剤は、前記水素吸蔵合金100重量
部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合することが好
ましい。ただし、前記(2)の非ペースト式水素吸蔵合
金電極を作製する場合には撹拌により繊維化して前記水
素吸蔵合金粉末および必要に応じて添加される導電性粉
末を三次元状(網目状)に固定することが可能なポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)を高分子結着剤とし
て用いることが好適である。
【0059】前記導電性粉末としては、例えば黒鉛粉
末、ケッチェンブラックなどのカーボン粉末、またはニ
ッケル、銅、コバルトなどの金属粉末を挙げることがで
きる。このような導電性粉末は、前記水素吸蔵合金10
0重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合するこ
とが好ましい。
末、ケッチェンブラックなどのカーボン粉末、またはニ
ッケル、銅、コバルトなどの金属粉末を挙げることがで
きる。このような導電性粉末は、前記水素吸蔵合金10
0重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合するこ
とが好ましい。
【0060】前記導電性基板としては、例えばパンチド
メタル、エキスパンドメタル、金網等の二次元基板、ま
たは発泡メタル基板、網状焼結繊維基板、不織布へ金属
をめっきしたフェルトめっき基板等の三次元基板を挙げ
ることができる。ただし、前記(2)の非ペースト式水
素吸蔵合金電極を作製する場合には水素吸蔵合金粉末を
含む合剤が散布されることから二次元基板を導電性基板
として用いることが好適である。
メタル、エキスパンドメタル、金網等の二次元基板、ま
たは発泡メタル基板、網状焼結繊維基板、不織布へ金属
をめっきしたフェルトめっき基板等の三次元基板を挙げ
ることができる。ただし、前記(2)の非ペースト式水
素吸蔵合金電極を作製する場合には水素吸蔵合金粉末を
含む合剤が散布されることから二次元基板を導電性基板
として用いることが好適である。
【0061】前記水素吸蔵合金電極と組み合される非焼
結式ニッケル電極12は、例えば水酸化ニッケルと必要
に応じて添加される水酸化コバルト(Co(O
H)2 )、一酸化コバルト(CoO)、金属コバルト等
との混合物にカルボキシメチルセルロース(CMC)、
ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸塩を適宜配
合してペーストとし、このペーストを発泡メタル基板、
網状焼結繊維基板、不織布へ金属をめっきしたフェルト
めっき基板などの三次元構造の基板に充填し、乾燥した
後、ローラープレス等を施すことにより作製される。
結式ニッケル電極12は、例えば水酸化ニッケルと必要
に応じて添加される水酸化コバルト(Co(O
H)2 )、一酸化コバルト(CoO)、金属コバルト等
との混合物にカルボキシメチルセルロース(CMC)、
ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸塩を適宜配
合してペーストとし、このペーストを発泡メタル基板、
網状焼結繊維基板、不織布へ金属をめっきしたフェルト
めっき基板などの三次元構造の基板に充填し、乾燥した
後、ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0062】前記セパレータ13に使用される高分子繊
維不織布としては、例えばナイロン、ポリプロピレン、
ポリエチレンなどの単体高分子繊維、またはこれら高分
子繊維を混紡した複合高分子繊維を挙げることができ
る。
維不織布としては、例えばナイロン、ポリプロピレン、
ポリエチレンなどの単体高分子繊維、またはこれら高分
子繊維を混紡した複合高分子繊維を挙げることができ
る。
【0063】アルカリ電解液としては、例えば6規定か
ら9規定の濃度を有する水酸化カリウム溶液または前記
水酸化カリウム溶液に水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ムなどを混合したものが使用される。
ら9規定の濃度を有する水酸化カリウム溶液または前記
水酸化カリウム溶液に水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ムなどを混合したものが使用される。
【0064】上記構成に係る水素吸蔵合金によれば、合
金を構成する希土類元素の種類およびその組成比と、N
iと置換する元素の種類およびその組成比とを適正に設
定することにより、所定の比表面積を得ることができ、
水素の吸蔵特性および耐食性が優れた水素吸蔵合金が得
られる。また、この合金を負極材料として使用した場合
に、電池の内圧上昇を効果的に抑止でき、液漏れ事故の
発生がない上に電池容量が大きくなり、かつアルカリ溶
解液による合金の微粉化劣化を防止できるため、寿命が
長いニッケル水素二次電池を提供することができる。
金を構成する希土類元素の種類およびその組成比と、N
iと置換する元素の種類およびその組成比とを適正に設
定することにより、所定の比表面積を得ることができ、
水素の吸蔵特性および耐食性が優れた水素吸蔵合金が得
られる。また、この合金を負極材料として使用した場合
に、電池の内圧上昇を効果的に抑止でき、液漏れ事故の
発生がない上に電池容量が大きくなり、かつアルカリ溶
解液による合金の微粉化劣化を防止できるため、寿命が
長いニッケル水素二次電池を提供することができる。
【0065】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下の実施例を参照して、より具体的に説明する。
下の実施例を参照して、より具体的に説明する。
【0066】実施例1〜11 表1の左欄に示す組成となるように各種金属原料粉末を
配合し、得られた原料混合体を真空炉で加熱融解して各
実施例用の合金溶湯(母合金)をそれぞれ調製した。な
お原料粉末のうち、一般式のA成分となるミッシュメタ
ル(Lm)としては、表1に示すようにLa含有量を6
6〜92重量%,Ndを2〜8重量%,Prを1〜4重
量%,Ceを5〜22重量%の範囲で組成を変化させた
La富化ミッシュメタルを使用した。
配合し、得られた原料混合体を真空炉で加熱融解して各
実施例用の合金溶湯(母合金)をそれぞれ調製した。な
お原料粉末のうち、一般式のA成分となるミッシュメタ
ル(Lm)としては、表1に示すようにLa含有量を6
6〜92重量%,Ndを2〜8重量%,Prを1〜4重
量%,Ceを5〜22重量%の範囲で組成を変化させた
La富化ミッシュメタルを使用した。
【0067】次に得られた合金溶湯を、Ar雰囲気中で
以下に示す処理条件に従って急冷凝固せしめ、それぞれ
フレーク状の合金試料を調製した。
以下に示す処理条件に従って急冷凝固せしめ、それぞれ
フレーク状の合金試料を調製した。
【0068】すなわち、実施例1〜11用の合金溶湯を
図1に示すような単ロール法により急冷凝固せめしてフ
レーク状の合金試料をそれぞれ調製した。冷却ロールと
しては、直径400mmのCu−Be製ロールを使用し、
注湯ノズル(射出ノズル)と冷却ロールとの間隙は10
mmに設定し、射出圧力は0.5kg/cm2 とした。また急
冷操作はAr雰囲気で実施し、ロール周速は25m/S
に設定した。
図1に示すような単ロール法により急冷凝固せめしてフ
レーク状の合金試料をそれぞれ調製した。冷却ロールと
しては、直径400mmのCu−Be製ロールを使用し、
注湯ノズル(射出ノズル)と冷却ロールとの間隙は10
mmに設定し、射出圧力は0.5kg/cm2 とした。また急
冷操作はAr雰囲気で実施し、ロール周速は25m/S
に設定した。
【0069】こうして得られた急冷合金試料の形態はい
ずれもフレーク状であり、その厚さは250〜300μ
mであった。これらのフレーク状合金試料について、表
1に示す熱処理条件で均質化熱処理を実施し、内部歪み
を除去した。
ずれもフレーク状であり、その厚さは250〜300μ
mであった。これらのフレーク状合金試料について、表
1に示す熱処理条件で均質化熱処理を実施し、内部歪み
を除去した。
【0070】比較例1〜7 表1左欄に示す組成を満足するように原料粉末を配合
し、得られた原料混合体を真空炉で加熱溶解して、各比
較例用の合金溶湯をそれぞれ調製した。なお、原料粉末
のうち比較例1用の原料粉末のA成分となるミッシュメ
タルとしては、La含有量が過少なものを使用した。ま
た比較例2においては、Mn含有量がAlの含有量より
大きくなるように設定した。さらに、比較例2,3にお
いては、Aサイト成分に対するBサイト成分の比(AB
比)を5.2と過大に設定した。また、比較例4,5に
おいては、後述する水素粉砕後の比表面積が本願規定の
範囲外となるような組成に設定した。
し、得られた原料混合体を真空炉で加熱溶解して、各比
較例用の合金溶湯をそれぞれ調製した。なお、原料粉末
のうち比較例1用の原料粉末のA成分となるミッシュメ
タルとしては、La含有量が過少なものを使用した。ま
た比較例2においては、Mn含有量がAlの含有量より
大きくなるように設定した。さらに、比較例2,3にお
いては、Aサイト成分に対するBサイト成分の比(AB
比)を5.2と過大に設定した。また、比較例4,5に
おいては、後述する水素粉砕後の比表面積が本願規定の
範囲外となるような組成に設定した。
【0071】そして上記比較例1〜5用の各合金溶湯を
実施例1と同様にアルゴン雰囲気中で単ロール法により
急冷凝固せしめて、それぞれフレーク状の合金試料を作
製し、さらに表1に示す熱処理条件で均質化熱処理を実
施した。
実施例1と同様にアルゴン雰囲気中で単ロール法により
急冷凝固せしめて、それぞれフレーク状の合金試料を作
製し、さらに表1に示す熱処理条件で均質化熱処理を実
施した。
【0072】一方、比較例6,7用の各合金溶湯を鋳造
法により作製し、それぞれ厚さ50mmの比較例6〜7に
係るブロック状の合金試料を調製した。さらに得られた
合金試料について1000℃で10時間加熱して均質化
熱処理を実施した。
法により作製し、それぞれ厚さ50mmの比較例6〜7に
係るブロック状の合金試料を調製した。さらに得られた
合金試料について1000℃で10時間加熱して均質化
熱処理を実施した。
【0073】次に得られた各合金試料について、粗粉砕
を実施し、得られた粉砕粉を篩に通して150〜350
μm以下の粒度に分級した。さらに各合金試料について
水素粉砕処理を実施し、水素粉砕後の比表面積を以下に
示すような手順で測定した。
を実施し、得られた粉砕粉を篩に通して150〜350
μm以下の粒度に分級した。さらに各合金試料について
水素粉砕処理を実施し、水素粉砕後の比表面積を以下に
示すような手順で測定した。
【0074】すなわち、各合金試料を20g秤量し、温
度60℃で7時間真空脱気した後に、温度15℃で8気
圧の水素圧力下で水素粉砕を1回実施することにより、
実施例1〜11および比較例1〜7に係る水素吸蔵合金
粉末とした。また水素粉砕後、得られた粉砕粉について
温度60℃で十分な水素脱気を実施し、比表面積測定用
の試料とした。得られた各試料の比表面積をBET一点
法により測定した。各測定結果を下記表1に示す。
度60℃で7時間真空脱気した後に、温度15℃で8気
圧の水素圧力下で水素粉砕を1回実施することにより、
実施例1〜11および比較例1〜7に係る水素吸蔵合金
粉末とした。また水素粉砕後、得られた粉砕粉について
温度60℃で十分な水素脱気を実施し、比表面積測定用
の試料とした。得られた各試料の比表面積をBET一点
法により測定した。各測定結果を下記表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】次に上記各実施例および比較例に係る水素
吸蔵合金の電池材料としての特性を評価するために、以
下に示すような手順で上記各水素吸蔵合金を使用して電
極を形成し、その電極容量,充放電サイクル数(寿命)
および内圧上昇サイクル数を測定した。
吸蔵合金の電池材料としての特性を評価するために、以
下に示すような手順で上記各水素吸蔵合金を使用して電
極を形成し、その電極容量,充放電サイクル数(寿命)
および内圧上昇サイクル数を測定した。
【0077】まず上記実施例および比較例に係る電池用
水素吸蔵合金をハンマーミルで粉砕して得られた合金粉
末と、PTFE粉末と、カーボン粉末とをそれぞれ重量
%で95.5%,4.0%,0.5%になるように秤量
後、混練圧延して各電極シートを作成した。電極シート
を所定の大きさに切り出してニッケル製集電体に圧着
し、水素吸蔵合金電極をそれぞれ作成した。
水素吸蔵合金をハンマーミルで粉砕して得られた合金粉
末と、PTFE粉末と、カーボン粉末とをそれぞれ重量
%で95.5%,4.0%,0.5%になるように秤量
後、混練圧延して各電極シートを作成した。電極シート
を所定の大きさに切り出してニッケル製集電体に圧着
し、水素吸蔵合金電極をそれぞれ作成した。
【0078】一方、水酸化ニッケル90重量%と一酸化
コバルト10重量%とに少量のCMC(カルボキシメチ
ルセルロース)と水とを添加し撹拌混合してペーストを
調製した。このペーストを、三次元構造を有するニッケ
ル多孔体に充填乾燥後、ローラプレスによって圧延する
ことによりニッケル極を製造した。
コバルト10重量%とに少量のCMC(カルボキシメチ
ルセルロース)と水とを添加し撹拌混合してペーストを
調製した。このペーストを、三次元構造を有するニッケ
ル多孔体に充填乾燥後、ローラプレスによって圧延する
ことによりニッケル極を製造した。
【0079】そして上記各水素吸蔵合金電極とニッケル
極とを組み合わせて、容量については単極評価で測定す
る一方、寿命評価については、実際に各実施例の合金を
用いニッケル水素電池(4/3−Aサイズ,4000m
Ah)を組み立てた。ここで電解液としては、8規定の
水酸化カリウムと1規定の水酸化リチウムとの混合水溶
液を使用した。
極とを組み合わせて、容量については単極評価で測定す
る一方、寿命評価については、実際に各実施例の合金を
用いニッケル水素電池(4/3−Aサイズ,4000m
Ah)を組み立てた。ここで電解液としては、8規定の
水酸化カリウムと1規定の水酸化リチウムとの混合水溶
液を使用した。
【0080】そして、各水素吸蔵合金電極の容量評価で
は、25℃の恒温槽中で合金1g当り100mAの電流
値(100mA/g)で400mAh/gまで充電した
後に、上記電流値でHg/HgO参照電極に対して、−
0.5Vの電位になるまで放電させ、この充放電を繰り
返して放電量が最大になったときの値を単極室温容量と
して測定した。さらに、25℃の温度条件で放電容量が
最大になった電極については、−15℃の低温度に設定
した恒温槽中で同一条件で充放電サイクルを繰り返し
て、その放電量が最大になった時点での値を単極低温容
量として測定した。
は、25℃の恒温槽中で合金1g当り100mAの電流
値(100mA/g)で400mAh/gまで充電した
後に、上記電流値でHg/HgO参照電極に対して、−
0.5Vの電位になるまで放電させ、この充放電を繰り
返して放電量が最大になったときの値を単極室温容量と
して測定した。さらに、25℃の温度条件で放電容量が
最大になった電極については、−15℃の低温度に設定
した恒温槽中で同一条件で充放電サイクルを繰り返し
て、その放電量が最大になった時点での値を単極低温容
量として測定した。
【0081】また寿命評価では、45℃の恒温槽内に配
置した各電池について、4Aで1.1時間充電後、電池
電圧が1Vになるまで4Aの電流で放電する充放電サイ
クルを繰り返し、電池容量が初期容量の80%になるま
でのサイクル数を電池寿命として測定した。
置した各電池について、4Aで1.1時間充電後、電池
電圧が1Vになるまで4Aの電流で放電する充放電サイ
クルを繰り返し、電池容量が初期容量の80%になるま
でのサイクル数を電池寿命として測定した。
【0082】さらに、電池の内圧上昇サイクル数は、内
圧上昇により電池の安全弁が作動して電解液の吹きこぼ
れを生じ電池重量が急激に低減した時点における充放電
サイクル数として測定した。各測定結果を下記表2に示
す。
圧上昇により電池の安全弁が作動して電解液の吹きこぼ
れを生じ電池重量が急激に低減した時点における充放電
サイクル数として測定した。各測定結果を下記表2に示
す。
【0083】
【表2】
【0084】上記表1および表2に示す結果から明らか
なように、水素粉砕後の比表面積が適正な範囲にあり、
また一般式のAサイト成分である希土類元素の組成比と
他の構成元素の組成比とを適正に設定し、急冷凝固せし
めて調製した各実施例に係る水素吸蔵合金を使用して形
成した電極および電池においては、比表面積,組成比ま
たは合金製法が異なる比較例の電池と比較して、高容量
・長寿命で低温特性に優れ、さらには内圧上昇による液
漏れが発生しないニッケル水素二次電池が得られること
が判明した。
なように、水素粉砕後の比表面積が適正な範囲にあり、
また一般式のAサイト成分である希土類元素の組成比と
他の構成元素の組成比とを適正に設定し、急冷凝固せし
めて調製した各実施例に係る水素吸蔵合金を使用して形
成した電極および電池においては、比表面積,組成比ま
たは合金製法が異なる比較例の電池と比較して、高容量
・長寿命で低温特性に優れ、さらには内圧上昇による液
漏れが発生しないニッケル水素二次電池が得られること
が判明した。
【0085】特にMn含有量cをAl含有量dより少な
くし、含有量の比(c/d)を0.1以上1以下にした
各実施例の電池においては、少なくとも電池自体の寿命
を終える充放電サイクルまでには内圧上昇は観察されな
かった。一方、上記含有量の比(c/d)を2と過大に
設定した比較例2の電池においては、電池自体の寿命サ
イクル終了前に内圧上昇が起こり、液漏れが観察され
た。
くし、含有量の比(c/d)を0.1以上1以下にした
各実施例の電池においては、少なくとも電池自体の寿命
を終える充放電サイクルまでには内圧上昇は観察されな
かった。一方、上記含有量の比(c/d)を2と過大に
設定した比較例2の電池においては、電池自体の寿命サ
イクル終了前に内圧上昇が起こり、液漏れが観察され
た。
【0086】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る水素吸蔵合
金によれば、合金を構成する希土類元素の種類およびそ
の組成比と、Niと置換する元素の種類およびその組成
比とを適正に設定し、水素粉砕後の比表面積を所定の範
囲としているため、水素の吸蔵特性および耐食性が優れ
た水素吸蔵合金が得られる。また、この合金を負極材料
として使用した場合に、低温特性に優れ、電池の内圧上
昇を効果的に抑止でき、液漏れ事故の発生がない上に電
池容量が大きくなり、かつアルカリ溶解液による合金の
微粉化劣化を防止できるため、寿命が長いニッケル水素
二次電池を提供することができる。
金によれば、合金を構成する希土類元素の種類およびそ
の組成比と、Niと置換する元素の種類およびその組成
比とを適正に設定し、水素粉砕後の比表面積を所定の範
囲としているため、水素の吸蔵特性および耐食性が優れ
た水素吸蔵合金が得られる。また、この合金を負極材料
として使用した場合に、低温特性に優れ、電池の内圧上
昇を効果的に抑止でき、液漏れ事故の発生がない上に電
池容量が大きくなり、かつアルカリ溶解液による合金の
微粉化劣化を防止できるため、寿命が長いニッケル水素
二次電池を提供することができる。
【図1】単ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す斜視図。
を示す斜視図。
【図2】双ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す断面図。
を示す断面図。
【図3】本発明に係るニッケル水素二次電池の構成例を
部分的に破断して示す斜視図。
部分的に破断して示す斜視図。
1 冷却チャンバ 2 取鍋 3 水素吸蔵合金溶湯 4 注湯ノズル 5,5a,5b 冷却ロール 6 水素吸蔵合金 7 溶解炉 8 タンディッシュ 11 水素吸蔵合金電極(負極) 12 非焼結式ニッケル電極(正極) 13 セパレータ 14 容器 15 穴 16 封口板 17 絶縁性ガスケット 18 正極リード 19 正極端子 20 安全弁 21 絶縁チューブ 22 鍔紙 d 間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 19/00 C22C 19/00 F H01M 4/38 H01M 4/38 A (72)発明者 佐藤 典昭 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 稲葉 隆道 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 沢 孝雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内
Claims (6)
- 【請求項1】 合金溶湯を100℃/秒以上の冷却速度
で急冷凝固せしめた急冷合金から成り、水素粉砕後のB
ET比表面積が0.16m2 /g以上0.25m2 /g
以下の範囲であることを特徴とする水素吸蔵合金。 - 【請求項2】 急冷合金は、一般式ANia Mb Mnc
Ald (但し、AはLaを重量比で65〜95%含有す
る少なくとも1種の希土類元素であり、MはCo,F
e,Si,Cr,CuおよびSnから選択される少なく
とも1種の元素であり、a,b,c,dは原子比でそれ
ぞれ3.2≦a≦4.1,0.2≦b≦1.0,0<c
≦0.35,0.1≦d≦0.7,0.1≦c/d≦
1.0,4.7≦a+b+c+d≦5.1である。)で
表わされる組成を有することを特徴とする請求項1記載
の水素吸蔵合金。 - 【請求項3】 一般式中のA成分としてTiおよびZr
の少なくとも一方を重量比で2%以下含有することを特
徴とする請求項2記載の水素吸蔵合金。 - 【請求項4】 急冷合金の水素粉砕後のBET比表面積
が0.20m2 /gを超え0.23m2 /g以下の範囲
であることを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵合金。 - 【請求項5】 合金溶湯を100℃/秒以上の冷却速度
で急冷凝固せしめた急冷合金から成り、水素粉砕後のB
ET比表面積が0.16m2 /g以上0.25m2 /g
以下の範囲である水素吸蔵合金を含む負極と,ニッケル
酸化物を含む正極との間に電気絶縁性を有するセパレー
タを介装して密閉容器内に収容し、この密閉容器内にア
ルカリ電解液を充填したことを特徴とするニッケル水素
二次電池。 - 【請求項6】 急冷合金の水素粉砕後のBET比表面積
が0.20m2 /gを超え0.23m2 /g以下の範囲
であることを特徴とする請求項5記載のニッケル水素二
次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9167622A JPH1116599A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9167622A JPH1116599A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1116599A true JPH1116599A (ja) | 1999-01-22 |
Family
ID=15853209
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9167622A Pending JPH1116599A (ja) | 1997-06-24 | 1997-06-24 | 水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1116599A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100435180B1 (ko) * | 2001-09-28 | 2004-06-11 | 가부시끼가이샤 도시바 | 비수전해질 전지용 음극 재료, 음극, 비수전해질 전지 및비수전해질 전지용 음극 재료의 제조 방법 |
CN116445791A (zh) * | 2023-04-04 | 2023-07-18 | 惠州星燚新材料技术有限公司 | 储氢合金及其制备工艺 |
-
1997
- 1997-06-24 JP JP9167622A patent/JPH1116599A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100435180B1 (ko) * | 2001-09-28 | 2004-06-11 | 가부시끼가이샤 도시바 | 비수전해질 전지용 음극 재료, 음극, 비수전해질 전지 및비수전해질 전지용 음극 재료의 제조 방법 |
CN116445791A (zh) * | 2023-04-04 | 2023-07-18 | 惠州星燚新材料技术有限公司 | 储氢合金及其制备工艺 |
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