JPWO2016038854A1 - ゴム繊維複合体 - Google Patents
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Abstract
Description
(Vリブドベルト)
図1は、実施形態1に係るVリブドベルトB(ゴム繊維複合体)を示す。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動用のベルト伝動装置等に用いられるエンドレスの伝動ベルトである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト長さが700〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜5.0mmである。
図6は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置20のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置20は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法について図7〜11に基づいて説明する。
−ゴム−
ゴム成分にゴム配合物を配合してニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して接着ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を作製する。このとき、ゴム成分としてエチレン−α−オレフィンエラストマーを主体としたものを用い、架橋剤として有機過酸化物及びチオカルボニル基を有する加硫促進剤を用いる。同様に、圧縮ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’も作製する。圧縮ゴム層12に短繊維を含める場合には、この未架橋ゴムシート12’に短繊維を配合すればよい。
背面補強布13’に対して接着処理を施す。具体的には、背面補強布13’を、RFL水溶液に浸漬して加熱するRFL処理、RFL処理後に低粘度のソーキング剤に浸漬して乾燥させるソーキング処理、及びRFL処理後又はソーキング処理後にVリブドベルト本体10側となる表面、つまり、接着ゴム層11と接触する表面に高粘度のコーティング剤をコーティングして乾燥させるコーティング処理のうちRFL処理を含む1種又は2種以上の接着処理を施す。なお、プライマー層を設ける場合には、RFL処理前に背面補強布13’をエポキシやイソシアネートのプライマー溶液に浸漬して加熱するプライマー処理を施す。また、RFL処理に代えて、RF水溶液に浸漬して加熱するRF処理を施してもよく、RFL処理に加えて、RFL処理前若しくは処理後に、RF水溶液に浸漬して加熱するRF処理を施してもよい。
心線14’に対して接着処理を施す。具体的には、心線14’を、RFL水溶液に浸漬して加熱するRFL処理、及びRFL処理後の心線14’をゴム糊に浸漬して乾燥させるゴム糊処理のうちRFL処理を含む1種又は2種の接着処理を施す。なお、プライマー層を設ける場合には、RFL処理前に心線14’をエポキシやイソシアネートのプライマー溶液に浸漬して加熱するプライマー処理を施す。
次いで、図7に示すように、円筒型31の外周上に、接着処理を施した背面補強布13’、及び接着ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’を順に巻き付けて積層し、その上に接着処理を施した心線14’を円筒型31に対して螺旋状に一定の張力を付与して巻き付け、更にその上に接着ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’及び圧縮ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’を順に巻き付けて積層することによりベルト形成用成形体B’を成形する。このとき、接着ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’については、その引出方向である列理方向がベルト長さ方向に対応するように巻き付け、圧縮ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’については、その列理方向に直交する反列理方向がベルト長さ方向に対応するように巻き付ける。
次いで、図8に示すように、ベルト形成用成形体B’にゴムスリーブ32を被せ、それを加硫缶内に配置して密閉すると共に、加硫缶内に高温及び高圧の蒸気を充填して所定時間だけ保持する。このとき、有機過酸化物により未架橋ゴムシート11’,12’の架橋が進行して一体化すると共に背面補強布13’及び心線14’と複合化し、図9に示すように、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。
続いて、加硫缶内から蒸気を排出して密閉を解き、円筒型31上に成型されたベルトスラブSを型抜きし、図10に示すように、ベルトスラブSを一対のスラブ掛け渡し軸33間に掛け渡すと共に、ベルトスラブSの外周面に対し、周方向に延びるVリブ形状溝が外周面の軸方向に連設された研削砥石34を回転させながら当接させ、また、ベルトスラブSも一対のスラブ掛け渡し軸33間で回転させることにより、その外周面を全周に渡って研削する。このとき、図11に示すように、ベルトスラブSの外周面にはVリブ15が形成される。なお、ベルトスラブSは、必要に応じて長さ方向に分割して研削を行ってもよい。
そして、研削によりVリブ15を形成したベルトスラブSを所定幅に幅切りして表裏を裏返すことによりVリブドベルトBが得られる。
実施形態2に係るVリブドベルトB(ゴム繊維複合体)は、外観構成が実施形態1と同一である。以下では、実施形態2に係るVリブドベルトBについて、実施形態1と同一図面及び同一符号を用いて説明する。
実施形態3に係るVリブドベルトB(ゴム繊維複合体)は、外観構成が実施形態1と同一である。以下では、実施形態3に係るVリブドベルトBについて、実施形態1と同一図面及び同一符号を用いて説明する。
実施形態4に係るVリブドベルトB(ゴム繊維複合体)は、外観構成が実施形態1と同一である。以下では、実施形態4に係るVリブドベルトBについて、実施形態1と同一図面及び同一符号を用いて説明する。
上記実施形態1〜4では、VリブドベルトBを事例としたが、ゴム部材と接着処理が施された繊維部材とが複合した構造を含むゴム繊維複合体を構成する伝動ベルトであれば、特にこれらに限定されるものではなく、例えば、図12Aに示すようなローエッジ型のVベルトBであってもよく、図12Bに示すようなラップドVベルトBであってもよく、図12Cに示すような平ベルトBであってもよく、図12Dに示すような歯付ベルトBであってもよい。また、ゴム部材と接着処理が施された繊維部材とが複合した構造を含むゴム繊維複合体を構成するものであれば、伝動ベルトに限定されず、タイヤ、ホース等であってもよい。
(Vリブドベルト)
上記実施形態1と同様の方法により次の実施例1-1〜1-4及び比較例1-1〜1-4のVリブドベルトを作製した。なお、それぞれにおける接着ゴム層用の未架橋ゴムシートの配合について表1にも示す。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートとして、EPDM(JSR社製 商品名:EP33 エチレン含量:52質量%、エチリデンノボルネン(ジエン成分)含量:8.1質量%、ムーニー粘度:28ML1+4(125℃))をゴム成分とし、このゴム成分100質量部に対し、補強材のカーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シーストSO)40質量部、補強材のシリカ(エボニック社製 商品名:ウルトラジルVN3)40質量部、軟化剤のプロセスオイル(日本サン石油社製 商品名:サンパー2280)15質量部、加硫促進助剤の酸化亜鉛(白水化学社製 酸化亜鉛3種)5質量部、加工助剤のステアリン酸(新日本理化社製 ステアリン酸S50)1質量部、ベンズイミダゾール系老化防止剤(大内新興化学社製 商品名:ノクラックMB)2質量部、共架橋剤(精工化学社製 商品名:ハイクロスM)2質量部、架橋剤の有機過酸化物(日油社製 商品名:ペロキシモンF40、純度40質量%)4.3質量部、架橋剤の硫黄(日本乾溜工業社製 商品名:セイミOT)2質量部、及びチオカルボニル基を有するチウラム系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーTET)1質量部を配合してバンバリーミキサーで混練後、カレンダロールで圧延したものを用いた。この接着ゴム層用の未架橋ゴムシートにおいて、有機過酸化物の含有量は0.81質量%、硫黄の含有量は0.94質量%、及びチウラム系加硫促進剤の含有量は0.47質量%であり、また、硫黄の含有量/有機過酸化物の含有量は1.16、チウラム系加硫促進剤の含有量/有機過酸化物の含有量は0.58、及びチウラム系加硫促進剤の含有量/硫黄の含有量は0.5である。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、チウラム系加硫促進剤の代わりに、チオカルボニル基を有するジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーEZ)を配合した以外は実施例1-1と同一構成のVリブドベルトを実施例1-2とした。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、硫黄の配合量をゴム成分100質量部に対して1質量部とした以外は実施例1-1と同一構成のVリブドベルトを実施例1-3とした。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、硫黄を配合していない以外は実施例1-1と同一構成のVリブドベルトを実施例1-4とした。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、硫黄及びチウラム系加硫促進剤を配合していない以外は実施例1-1と同一構成のVリブドベルトを比較例1-1とした。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、有機過酸化物を配合していない以外は実施例1-1と同一構成のVリブドベルトを比較例1-2とした。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、チウラム系加硫促進剤の代わりに、チオカルボニル基を有さないグアニジン系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーDT)を配合した以外は実施例1-1と同一構成のVリブドベルトを比較例1-3とした。
接着ゴム層用の未架橋ゴムシートについて、チウラム系加硫促進剤の代わりに、チオカルボニル基を有さないスルフェンアミド系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーCZ−G)を配合した以外は実施例1-1と同一構成のVリブドベルトを比較例1-4とした。
<心線の剥離接着力>
実施例1-1〜1-4及び比較例1-1〜1-4のそれぞれにおける接着ゴム層用の未架橋ゴムシート及び心線を用い、図13に示すような板状ゴム41の表層に7本の心線42が間隔をおいて平行に延びるように埋設された接着試験用試験片40をプレス成型した。なお、プレス成型条件は、温度160℃、圧力2.9MPa、及び時間30分とした。
図14はベルト試験走行機50のプーリレイアウトを示す。
表2及び3は試験結果を示す。
(Vリブドベルト)
上記実施形態1と同様の方法により次の実施例2-1〜2-4及び比較例2-1〜2-4のVリブドベルトを作製した。なお、それぞれにおける心線のゴム糊処理で用いるゴム糊に含まれる未架橋ゴム組成物の配合について表4にも示す。
心線としてポリエステル繊維製の撚り糸を用いた。心線には、プライマー処理、RFL処理、及びゴム糊処理からなる接着処理を施した。
心線のゴム糊処理に用いるゴム糊について、チウラム系加硫促進剤の代わりに、チオカルボニル基を有するジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーEZ)を配合した以外は実施例2-1と同一構成のVリブドベルトを実施例2-2とした。
心線のゴム糊処理に用いるゴム糊について、硫黄の配合量をゴム成分100質量部に対して1質量部とした以外は実施例2-1と同一構成のVリブドベルトを実施例2-3とした。
心線のゴム糊処理に用いるゴム糊について、硫黄を配合していない以外は実施例2-1と同一構成のVリブドベルトを実施例2-4とした。
心線のゴム糊処理に用いるゴム糊について、硫黄及びチウラム系加硫促進剤を配合していない以外は実施例2-1と同一構成のVリブドベルトを比較例2-1とした。
心線のゴム糊処理に用いるゴム糊について、有機過酸化物を配合していない以外は実施例2-1と同一構成のVリブドベルトを比較例2-2とした。
心線のゴム糊処理に用いるゴム糊について、チウラム系加硫促進剤の代わりに、チオカルボニル基を有さないグアニジン系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーDT)を配合した以外は実施例2-1と同一構成のVリブドベルトを比較例2-3とした。
心線のゴム糊処理に用いるゴム糊について、チウラム系加硫促進剤の代わりに、チオカルボニル基を有さないスルフェンアミド系加硫促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーCZ−G)を配合した以外は実施例2-1と同一構成のVリブドベルトを比較例2-4とした。
<心線の剥離接着試験>
実施例2-1〜2-4及び比較例2-1〜2-4のそれぞれにおける接着処理を施した心線及び接着ゴム層用の未架橋ゴムシートを用い、試験評価1と同様の心線の剥離接着試験を行った。
実施例2-1〜2-4及び比較例2-1〜2-4のそれぞれのVリブドベルトBについて、試験評価1と同様のベルト走行試験を行った。
表5及び6は試験結果を示す。
11 接着ゴム層(ゴム部材)
13 背面補強布(繊維部材)
14 心線(繊維部材)
16b ソーキングゴム層
16c コーティングゴム層
17b 糊ゴム層
本発明は、エチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とするゴム組成物で形成されたゴム部材と接着処理が施された繊維部材とが、前記ゴム部材と前記接着処理が施された繊維部材との間に、前記接着処理が施された繊維部材に接触するゴム層を有して複合した構造を含むゴム繊維複合体であって、前記ゴム層は、エチレン−α−オレフィンエラストマーを主体とするゴム成分に、チウラム系加硫促進剤が配合され、且つ有機過酸化物により架橋されたゴム組成物で形成されている。
本発明は、エチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とするゴム組成物で形成されたゴム部材と接着処理が施された繊維部材とが、前記ゴム部材と前記接着処理が施された繊維部材との間に、前記接着処理が施された繊維部材に接触するゴム層を有して複合した構造を含むゴム繊維複合体の製造方法であって、前記接着処理が施された繊維部材を、前記ゴム層を形成するためのエチレン−α−オレフィンエラストマーを主体とするゴム成分にチウラム系加硫促進剤及び有機過酸化物が配合された未架橋ゴム組成物に接触させ、前記未架橋ゴム組成物を前記有機過酸化物により架橋させるものである。
Claims (13)
- ゴム部材と接着処理が施された繊維部材とが複合した構造を含むゴム繊維複合体であって、
前記接着処理が施された繊維部材は、エチレン−α−オレフィンエラストマーを主体とするゴム成分に、チオカルボニル基を有する加硫促進剤が配合され、且つ有機過酸化物により架橋されたゴム組成物に接触しているゴム繊維複合体。 - 請求項1に記載されたゴム繊維複合体において、
前記ゴム組成物における前記チオカルボニル基を有する加硫促進剤の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1〜3.0質量部であるゴム繊維複合体。 - 請求項1又は2に記載されたゴム繊維複合体において、
前記チオカルボニル基を有する加硫促進剤は、チウラム系加硫促進剤又はジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤を含むゴム繊維複合体。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載されたゴム繊維複合体において、
前記ゴム組成物は、硫黄によっても架橋されているゴム繊維複合体。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載されたゴム繊維複合体において、
前記ゴム部材が前記ゴム組成物で形成されているゴム繊維複合体。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載されたゴム繊維複合体において、
前記ゴム部材と前記接着処理が施された繊維部材との間に、前記ゴム組成物のゴム層を有するゴム繊維複合体。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載されたゴム繊維複合体において、
前記接着処理が施された繊維部材は、前記ゴム組成物に接触している表面がRFL層で被覆されているゴム繊維複合体。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載されたゴム繊維複合体において、
前記ゴム繊維複合体が伝動ベルトであるゴム繊維複合体。 - ゴム部材と接着処理が施された繊維部材とが複合した構造を含むゴム繊維複合体の製造方法であって、
前記接着処理が施された繊維部材を、エチレン−α−オレフィンエラストマーを主体とするゴム成分に、チオカルボニル基を有する加硫促進剤及び有機過酸化物が配合された未架橋ゴム組成物に接触させ、前記未架橋ゴム組成物を前記有機過酸化物により架橋させるゴム繊維複合体の製造方法。 - 請求項9に記載されたゴム繊維複合体の製造方法において、
前記未架橋ゴム組成物における前記チオカルボニル基を有する加硫促進剤の含有量が前記有機過酸化物の含有量よりも少ないゴム繊維複合体の製造方法。 - 請求項9又は10に記載されたゴム繊維複合体の製造方法において、
前記未架橋ゴム組成物に硫黄が配合されており、前記未架橋ゴム組成物を前記硫黄によっても架橋させるゴム繊維複合体の製造方法。 - 請求項11に記載されたゴム繊維複合体の製造方法において、
前記未架橋ゴム組成物における前記硫黄の含有量が前記有機過酸化物の含有量よりも多いゴム繊維複合体の製造方法。 - 請求項11又は12に記載されたゴム繊維複合体の製造方法において、
前記未架橋ゴム組成物における前記チオカルボニル基を有する加硫促進剤の含有量が前記硫黄の含有量以下であるゴム繊維複合体の製造方法。
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