JPWO2016031410A1 - 媒体搬送識別装置及び媒体取引装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、媒体を円滑に搬送しながら識別する媒体識別装置及び媒体取引装置を提供する。現金自動預払機(1)の識別部(14)は、隣接する第1搬送前部(21A)及び第1搬送後部(21B)の範囲に至るまで、上搬送ガイド(30A)及び下搬送ガイド(30B)をそれぞれ1の部品として形成した。これにより識別部(14)は、ガイド間隔が比較的狭い領域において噛合部同士を噛み合わせた場合に生じ得る隙間や段差等を形成すること無く、平滑な下面及び上面に沿って紙幣を案内できる。よって、本発明は、紙幣の詰まりが発生する可能性を格段に低減できる。

Description

本発明は、媒体搬送識別装置及び媒体取引装置に関し、例えば媒体として紙幣を取り扱う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)等に適用可能な媒体搬送識別装置及び媒体取引装置に関する。
従来の金融機関等で使用される現金自動預払機等としては、利用者との取引内容に応じて、例えば利用者に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また利用者へ現金を出金する現金自動預払機が広く普及している。
現金自動預払機としては、入出金部と、搬送部と、識別部と、一時保留部と、紙幣収納庫と、全体を制御する制御部等とを有するものが提案されている。入出金部は、例えば利用者との間で紙幣の受け渡しを行う。搬送部は、紙幣を搬送する。識別部は、投入された紙幣を鑑別する。一時保留部は、投入された紙幣を一時的に保留する。紙幣収納庫は、紙幣を金種ごとに格納する。
現金自動預払機は、例えば入金取引において、利用者により入出金部に投入された紙幣を1枚ずつに分離して取り込み、搬送部により識別部へ搬送して鑑別し、その鑑別結果を基に制御部によって搬送先を決定した上で一時保留部に収納する。その後、現金自動預払機は、一時保留部に収納している紙幣をそれぞれ決定された搬送先へ搬送し、収納する。
識別部には、例えば内部に形成された搬送経路に沿って、紙幣の厚みを検出する厚みセンサ、画像を撮像する画像センサ、磁気を検出する磁気センサ、及び紙幣を搬送する搬送ローラが配置されている。このため識別部は、搬送部から受け渡された紙幣を内部の搬送経路に沿って搬送しながら、各センサによりそれぞれ検出結果を得る(例えば、特開2004−83172号公報(第11図)参照)。
ところで、上記構成の識別部では、各センサをそれぞれ独立したモジュールとして構成し、紙幣を案内する搬送ガイドをこのモジュール毎に設け、これらを互いに連結させることで、搬送経路を形成していた。
しかしながら各モジュールの連結部分では、取付精度の問題等により、搬送経路の表面にある程度の段差や隙間が形成されてしまう。また識別部内の搬送経路では、互いに対向する搬送ガイド同士の間隔を搬送部における搬送ガイド同士の間隔よりも狭めることにより、紙幣と各センサとを近接させて検出精度を高めている。
このため識別部内では、搬送ガイド同士の間隔が比較的狭い箇所において、各モジュールの連結部分に段差や隙間が形成された場合、紙幣の詰まりが発生する可能性があった。
本発明は、媒体を円滑に搬送しながら識別する媒体搬送識別装置及び媒体取引装置を提供する。
本発明の第1の態様は、媒体搬送識別装置であって、媒体を搬送する第1搬送領域及び第2搬送領域の間に、当該媒体を搬送しながら識別する識別領域が配置された搬送経路と、搬送経路を挟んで互いに対向し、識別領域における互いの間隔が、第1搬送領域及び第2搬送領域における互いの間隔よりも狭い第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドと、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの少なくとも一方における識別領域に設けられ、媒体を識別する識別センサと、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの識別領域に設けられ、媒体を搬送する識別搬送ローラとを備え、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドは、搬送経路側の面において、第1搬送領域、識別領域及び第2搬送領域に渡る範囲で、媒体を搬送する搬送方向に関し一体に形成されている。
また、本発明の第2の態様は、媒体取引装置であって、利用者と取引する媒体を当該利用者との間で授受する授受部と、媒体を搬送する第1搬送領域及び第2搬送領域の間に、当該媒体を搬送しながら識別する識別領域が配置された搬送経路と、搬送経路を挟んで互いに対向し、識別領域における互いの間隔が、第1搬送領域及び第2搬送領域における互いの間隔よりも狭い第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドと、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの少なくとも一方における識別領域に設けられ、媒体を識別する識別センサと、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの識別領域に設けられ、媒体を搬送する識別搬送ローラとを備え、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドは、搬送経路側の面において、第1搬送領域、識別領域及び第2搬送領域に渡る範囲で、媒体を搬送する搬送方向に関し一体に形成されている。
本発明の上記態様によれば、搬送経路のうち、識別センサにより精度良く媒体を識別するために比較的狭く形成された識別領域において、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドと他の搬送ガイドとを連結させる必要が無く、段差や隙間の発生を排除できる。
本発明によれば、媒体を円滑に搬送しながら識別する媒体識別装置及び媒体取引装置を提供できる。
現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。 紙幣入出金機の構成を示す略線図である。 第1の例示的実施形態による搬送部の構成を示す略線図である。 第1の例示的実施形態による識別部の構成を示す略線図である。 第1の例示的実施形態による識別部の構成を示す略線図である。 搬送ガイドの構成を示す略線図である。 上搬送ガイドに対する画像モジュールの取付を示す略線図である。 下搬送ガイドにおける噛合部の構成を示す略線図である。 下搬送ガイドにおける噛合部の構成を示す略線図である。 搬送ガイドと識別搬送ローラとの関係を示す略線図である。 搬送ガイドの領域と搬送ローラとの関係を示す略線図である。 第2の例示的実施形態による搬送部の構成を示す略線図である。 第2の例示的実施形態による識別部の構成を示す略線図である。 第3の例示的実施形態による搬送部の構成を示す略線図である。 第3の例示的実施形態による中間搬送ガイドの構成を示す略線図である。 第4の例示的実施形態による識別部の構成を示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下例示的実施形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の例示的実施形態]
[1−1.現金自動預払機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を含み、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
筐体2には、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。顧客応対部3には、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客によって入金される紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙で構成されている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、CPU(Central Processing Unit)(図示せず)を中心に構成されている。主制御部9は、ROM(Read Only Memory)(図示せず)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1−2.紙幣入出金機の構成]
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ブロック10Uと、その下側部分を閉める下部ブロック10Lとにより構成されている。
[1−2−1.上部ブロックの構成]
上部ブロック10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、顧客との間で紙幣を授受する入出金部12、紙幣を各部へ搬送する搬送部13、紙幣を鑑別する識別部14、紙幣を一時的に収納する一時保留部15、及び偽券と鑑別された紙幣を収納する偽券庫18が設けられている。
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、CPU(図示せず)を中心に構成されている。紙幣制御部11は、ROM(図示せず)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
入出金部12は、上部ブロック10U内における前上部に位置している。この入出金部12は、顧客から入金された紙幣及び顧客へ出金すべき紙幣を収容する収容器12Aを内部に有しており、その上方をシャッタ12Bにより開閉可能に構成されている。収容器12A内には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で、すなわち前後方向に沿って整列された状態で収容される。
また入出金部12の前下方には、取込放出口12C及び入出金搬送部12Dが設けられている。取込放出口12Cは、紙幣制御部11の制御に基づき、取込モード及び放出モードといった2種類の動作モードを切り替えて動作する。すなわち取込放出口12Cは、取込モードにおいて、収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して所定の時間間隔毎に下方へ送り出し、入出金搬送部12Dを介して搬送部13に受け渡す。また取込放出口12Cは、放出モードにおいて、搬送部13から入出金搬送部12Dを介して受け渡された紙幣を収容器12A内へ放出して集積させる。
搬送部13は、上部ブロック10U内における下端部分に、すなわち紙幣入出金機10全体における上下のほぼ中央を前後方向に横切るように位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部13内には、多数の回転するローラや紙幣を案内する搬送ガイド等が適宜配置されており、紙幣の短手方向を進行方向として、主に前後方向に沿って搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。
また搬送部13内には、複数の切替部が配置されている。各切替部は、ブレードと呼ばれる部材(図中三角形で示す)、及びその周囲に配置された複数のローラにより構成されている。ブレードは、左右方向に長く、且つ左右方向から見て楔形に形成されている。ブレードは、所定のアクチュエータにより駆動され、回動して傾斜方向を変化させることで、紙幣の搬送方向を2通りに切り替える。各ローラは、紙幣の搬送路を挟んで互いに対向するように配置されている。この切替部は、紙幣制御部11の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレードの傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
搬送部13は、図3に拡大図を示すように、大きく分けて前側の第1搬送部21と、後側の第2搬送部22と、両者を接続する一時保留切替部20とにより構成されている。一時保留切替部20は、中心に位置するブレードと、当該ブレードの前側、後側及び上側にそれぞれ位置するローラとにより、いわゆる3ウェイブレードとして構成されている。
第1搬送部21内には、前方から順に、リジェクト切替部23、識別部14(詳しくは後述する)及び第1切替部24が直列に配置されている。これらの間は、比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されており、全体として前後方向に沿った直線状の搬送経路が形成されている。また説明の都合上、第1搬送部21のうち識別部14の前側及び後側の各部分をそれぞれ第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bと呼ぶ。
第2搬送部22内には、前方から順に、第2切替部25、第3切替部26、第4切替部27及び偽券切替部28が直列に配置されている。第2搬送部22内には、第1搬送部21と同様、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されることで、全体として前後方向に沿った直線状の搬送経路が形成されている。また第2搬送部22内の搬送経路は、数枚程度の紙幣を一時的に貯留する搬送経路貯留部としても機能する。
識別部14は、内部に複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を認識し、その認識結果を紙幣制御部11へ送出する(詳しくは後述する)。
一時保留部15は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。
偽券庫18は、上部ブロック10U内における後端近傍であって、搬送部13の真上に隣接する位置に設けられており、内部に紙幣を収納する空間を有している。この偽券庫18は、後述する識別部14及び紙幣制御部11により偽造紙幣(以下、偽券と呼ぶ)と判断された紙幣が搬送部13により搬送されてくると、これを内部に収納する。
このように搬送部13は、第1搬送部21、一時保留切替部20及び第2搬送部22により、前後方向に沿った直線状の搬送経路を形成する。搬送部13は、この搬送経路に沿って紙幣を主に前後方向へ搬送すると共に、複数の切替部によりその搬送経路を切り替える。
[1−2−2.下部ブロックの構成]
下部ブロック10Lは、その全ての周側面が頑強な金庫筐体10Sにより覆われている。この金庫筐体10Sの内部には、再使用すべきでない紙幣を収納するリジェクト庫16及び再利用可能な紙幣を収納する5個の紙幣収納庫17(17A、17B、17C、17D及び17E)が設けられている。因みにリジェクト庫16及び紙幣収納庫17は、金庫筐体10Sに対し着脱可能に構成されている。
リジェクト庫16は、下部ブロック10L内における最も前側に位置しており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫16は、識別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部13により搬送されて来ると、当該紙幣を内部に収納する。
下部ブロック10L内におけるリジェクト庫16の後方には、前側から後側へ向けて順に紙幣収納庫17A、17B、17C、17D及び17Eが設けられている。各紙幣収納庫17は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。
各紙幣収納庫17は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫17は、識別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部13により搬送されてくると、当該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫17は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に受け渡す。
[1−3.識別部の構成]
[1−3−1.搬送ガイドの構成]
図4に左側面図を示すと共に図5に平面図を示すように、識別部14は上下のほぼ中央を前後方向に貫通する上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bを中心に構成されている。
上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、何れも所定の樹脂材料が成型されることにより、それぞれ上下方向に薄い1枚の板状に形成されている。これを換言すれば、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、左端から右端までの全範囲に渡り、それぞれ1の部品として一体に形成されている。
また上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30B(以下、これらをまとめて搬送ガイド30と呼ぶ)は、上搬送ガイド30Aの下面30AS及び下搬送ガイド30Bの上面30BSを互いに対向させ、上下方向に比較的狭い隙間(以下、これを搬送経路U1と呼ぶ)を形成している。この搬送経路U1は、図4にその中心線を一点鎖線により示したように、前後方向に沿って直線状に形成されている。
さらに上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、それぞれ識別部14の前端よりも先方及び後端よりも後方へそれぞれ延長されており、識別部14に隣接する第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの内部に位置する部分まで、それぞれ一体に形成されている。
また搬送ガイド30は、搬送経路U1における上下方向の高さ、すなわち上搬送ガイド30Aと下搬送ガイド30Bとの上下方向の間隔(以下これをガイド間隔と呼ぶ)を、前後方向に区切られた領域ごとに、具体的には領域AR1、AR2、AR3、AR4及びAR5のそれぞれにおいて相違させている。
第1搬送領域としての領域AR1及び第2搬送領域としての領域AR5は、ほぼ一様に、ガイド間隔を比較的大きいAとしている。因みに紙幣入出金機10では、搬送部13(図3)等におけるガイド間隔も同様のAとしている。一方、識別領域としての領域AR3は、ほぼ一様に、ガイド間隔を比較的小さいBとしている。ガイド間隔Aは、ガイド間隔Bに対して1.5mm〜4mm広くなっている。すなわちガイド間隔は、領域AR1及びAR5よりも領域AR3の方が狭くなっている。これにより上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、後述する各種センサに紙幣を近接させ、検出精度を高めることができる。
また図4から分かるように、識別部14は、その全てが領域AR3に含まれている。換言すれば、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、識別部14の範囲外である第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの内部において、他の搬送ガイドとそれぞれ連結されている。このため上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、識別部14の範囲内において、それぞれの下面30AS及び上面30BSを、段差や隙間が無く一様に平坦な平面状としている。
第1中間領域としての領域AR2は、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bの双方において、領域AR1と領域AR3とを円滑に接続する傾斜面となっている。具体的に領域AR2は、領域AR1との境界においてガイド間隔をAとし、且つ領域AR3との境界においてガイド間隔をBとするような、すなわち後側から前方へ進むに連れてガイド間隔を徐々に縮小するような傾斜面となっている。
また領域AR2は、図6に部分的な拡大図を示すように、搬送経路U1に沿った方向、すなわち水平方向に対する傾斜角度αが比較的小さい角度、具体的には10度〜40度となっている。なお第2中間領域としての領域AR4は、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bの双方において、領域AR2とほぼ前後対称な傾斜面となっている。
さらに上搬送ガイド30Aの上側及び下搬送ガイド30Bの下側には、搬送経路U1に沿うようにして、後述する各種センサや搬送ローラを構成する部材がそれぞれ取り付けられる。これに応じて上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bには、例えば図7に示すように、これらの部材が取り付けられる箇所に、必要最小限の大きさでなる種々の孔が形成されている。各種センサや搬送ローラは、その一部をこの孔から搬送経路U1側に露出させ、或いは当該搬送経路U1内へ突出させる。
また下搬送ガイド30Bは、図8Aに平面図を示すと共に,そのA1−A2断面図を図8Bに示すように、その後端に識別側噛合部30Gが形成されている。識別側噛合部30Gは、下搬送ガイド30Bの後端から後方へ伸びる爪状の突起が左右方向に沿って周期的に配置され、各突起の間に溝状の隙間が形成された構成となっている。
一方、第1搬送後部21Bは、下搬送ガイド30Bと同様に紙幣を案内する下搬送ガイド50Bが設けられている。この下搬送ガイド50Bの前端には、下搬送ガイド30Bの識別側噛合部30Gと対応する搬送側噛合部50Gが設けられている。搬送側噛合部50Gは、下搬送ガイド30Bの識別側噛合部30Gと前後対称の形状でなる爪状の突起が、左右方向に関し当該識別側噛合部30Gの各突起と相補的な位置に、すなわち識別側噛合部30Gの各隙間とそれぞれ対応する位置に設けられている。この突起は、上面の先端部分に傾斜面が形成されている。この傾斜面の傾斜角度β、すなわち紙幣の進行方向に対する角度は、10度〜40度となっている。
下搬送ガイド30Bは、識別側噛合部30Gを下搬送ガイド50Bの搬送側噛合部50Gと互いに噛み合わせる。具体的に識別側噛合部30G及び搬送側噛合部50Gは、互いの上面をほぼ同等の高さに合わせた状態で、互いの突起を相手の隙間にそれぞれ入り込ませる。これにより下搬送ガイド30Bは、見かけ上、下搬送ガイド50Bとの間で大きな段差や隙間を形成すること無く、その上面を連続した平面状とすることができる。
また下搬送ガイド30Bの前端、並びに上搬送ガイド30Aの後端及び前端(何れも図示せず)には、それぞれ下搬送ガイド30Bの後端と同様又は前後対称の識別側噛合部30Gが形成されている。また第1搬送後部21Bにおける上搬送ガイドの前端、並びに第1搬送前部21Aにおける上搬送ガイド及び下搬送ガイドの後端(何れも図示せず)にも、それぞれ搬送側噛合部50Gと同様又は前後対称の搬送側噛合部50Gが形成されている。このため上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、それぞれの識別側噛合部30Gを搬送側噛合部50Gと互いに噛み合わせることで、見かけ上、その下面又は上面を連続した平面状とすることができる。
[1−3−2.識別搬送ローラ及び各センサの構成]
ところで搬送ガイド30の近傍における識別部14の範囲内には、図4及び図5に示したように、搬送経路U1に沿って、後側から順に識別搬送ローラ32、厚みセンサ33、識別搬送ローラ34、画像センサ35、識別搬送ローラ36、磁気センサ37及び識別搬送ローラ38が配置されている。
このうち識別搬送ローラ32、34、36及び38は、何れも同様に構成されている。以下では、識別搬送ローラ32について説明し、識別搬送ローラ34、36及び38についての説明を省略する。
識別搬送ローラ32は、複数のローラにより構成されるローラ群を、搬送経路U1の上下に1群ずつ配置している。各ローラ群は、中心軸を左右方向に向けた短い円柱状ないし円板状のローラが、左右方向に離散した4箇所に配置されている(図5)。また各ローラ群は、互いに対向するローラ32A及び32Bの周側面同士を搬送経路U1のほぼ中心で当接させるように、すなわち搬送経路U1を前後方向から挟むように、それぞれ配置されている。
因みに下側のローラ32Bは、識別部14の外部に設けられたモータ(図示せず)等の動力源から駆動力が供給されることにより、図の時計回り又はその反対回りに回転駆動される。上側のローラ32Aは、これに従動して回転する。
また識別搬送ローラ32の各ローラ32A及び32Bは、図9に示すように、搬送されてきた紙幣BLが最初に当接する際に、その当接箇所における当たり角γ、すなわち当該紙幣BLとローラ32A又は32Bの接線との間の角度が比較的小さい値、具体的には10度〜40度となるよう、その半径や取付位置が調整されている。
これに加えて、搬送ガイド30の近傍における識別部14の範囲外、すなわち第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの範囲内には、搬送ローラ41及び42がそれぞれ設けられている。
搬送ローラ42は、識別搬送ローラ32と類似した構成となっているものの、各ローラ群に属するローラ42A又は42Bが左右方向に離れた2箇所に配置されている。また各ローラ42A及び42Bは、識別搬送ローラ32の各ローラ32A及び32Bよりも半径が大きくなっている。
さらに搬送ローラ42の各ローラ42A及び42Bは、図10に示すように、領域AR2とほぼ一致する範囲において、搬送経路U1内にその一部を露出させている。なお搬送ローラ41は、搬送ローラ42とほぼ前後対称に構成されている。
ところで搬送ローラ42及び識別搬送ローラ32の間、識別搬送ローラ32及び34の間、識別搬送ローラ34及び36の間、識別搬送ローラ36及び38の間、並びに識別搬送ローラ38及び搬送ローラ41の間における搬送経路U1に沿った距離は、何れも紙幣における進行方向に沿った長さ、すなわち短辺の長さよりも短くなっている。
このため識別部14、第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bは、搬送ローラ41、識別搬送ローラ32、34、36及び38並びに搬送ローラ41をそれぞれ回転駆動させることにより、紙幣を常に何れかの搬送ローラ又は識別搬送ローラにより挟持しながら互いに受け渡し、搬送経路U1に沿って前方向又は後方向へ搬送することができる。
[1−3−3.各センサの構成]
厚みセンサ33(図4)は、複数の可動ホルダ33Aと、可動ローラ33Bと、固定ローラ33Cとにより構成されている。複数の可動ホルダ33Aは、上搬送ガイド30Aに対し回動可能又は上下方向へ移動可能に支持されている。可動ローラ33Bは、当該可動ホルダ33Aにより回転可能に支持されている。固定ローラ33Cは、下搬送ガイド30Bに取り付けられ上下方向に移動しない。
可動ホルダ33Aは、付勢手段(図示せず)により可動ローラ33Bを固定ローラ33Cに押し付けている。また可動ホルダ33Aは、位置センサ(図示せず)により、可動ローラ33Bの上下方向への移動量を検出し、この検出結果を紙幣制御部11(図2)へ通知する。
厚みセンサ33は、識別搬送ローラ32又は34により紙幣が搬送されてくると、この紙幣を可動ローラ33B及び固定ローラ33Cの間に挟み込む。このとき可動ローラ33Bは、挟み込んだ紙幣の厚みに応じた移動量だけ上方へ移動する。そこで厚みセンサ33は、上述した位置センサにより可動ローラ33Bの移動量を検出し、この検出結果を紙幣の厚みとして紙幣制御部11(図2)へ通知する。
紙幣制御部11は、厚みセンサから供給された検知結果を基に、搬送経路U1上を搬送されている紙幣の厚みが0枚分に相当するか、1枚分に相当するか、或いは2枚以上に相当するかを判断する。これにより紙幣制御部11は、紙幣を搬送していないか、1枚の紙幣のみを正常に搬送しているか、或いは2枚以上の紙幣を重ねて搬送しているか(すなわち重送しているか)を認識することができる。
画像センサ35は、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bにそれぞれ取り付けられた画像モジュール35A及び35Bにより構成されている。画像モジュール35A及び35Bは、例えばLED(Light Emitting Diode)のように光を発光する発光素子と、この光を受光する受光素子とが組み込まれている。また画像モジュール35A及び35Bは、互いに回転対称となるように、すなわち左右方向から見て互いに180度回転させたように構成されており、搬送経路U1を上下方向から挟んで、一方の発光素子と他方の受光素子とを互いに対向させるように配置されている。因みに受光素子は、左右方向に沿って直線状に形成された撮像素子となっている。
この画像センサ35は、画像モジュール35A及び35Bの双方において光の発光及び受光を同時に又は順次行うことにより、搬送経路U1を搬送される紙幣の両面について透過光及び反射光をそれぞれ検出し、その検出結果を紙幣制御部11(図2)へ送出する。因みにこの検出結果は、紙幣を左右方向に沿って直線状に撮像したものであり、これらを搬送方向に沿って連結することで、紙幣を撮像した平面画像を得ることができる。
ところで画像モジュール35Aは、図7に示したように、その下面に左右方向に細長い長方形状のガラス板35AGを有しており、このガラス板35AGを介して画像を撮像するようになっている。一方、上搬送ガイド30Aには、ガラス板35AGよりも一回り大きな長方形状の孔部が穿設されている。このため画像モジュール35Aは、ガラス板35AGの外周と孔部との隙間を埋めるように、樹脂材料でなる充填部35AFが設けられている。
充填部35AFの線膨張係数は、ガラス板35AGを構成するガラス材料の線膨張係数よりも大きく、且つ上搬送ガイド30Aを構成する樹脂材料の線膨張係数よりも小さくなっている。この充填部35AFは、例えばガラス板35AGの周囲を覆うように形成された後、上搬送ガイド30Aと共に加熱された状態で、当該上搬送ガイド30Aの孔部に嵌め込まれ、冷却される。
これにより画像モジュール35Aは、充填部35AFとガラス板35AGとの間、及び充填部35AFと孔部との間において、隙間を極めて狭く抑えた状態で、その下面と上搬送ガイド30Aの下面30ASとの間に隙間や段差を殆ど形成させず、一様な平面状とすることができる。
磁気センサ37は、搬送経路U1の上側に磁気モジュール37Aが配置されると共に、搬送経路U1の下側に当接ローラ37Bが配置されている。磁気モジュール37Aは、鑑別搬送ローラ群により搬送経路U1に沿って搬送される紙幣が当接ローラ37Bにより押し付けられると、当該紙幣から磁気を検出し、その検出結果を紙幣制御部11(図2)へ送出する。
紙幣制御部11は、画像センサ35及び磁気センサ37からそれぞれ供給された検出結果を基に、紙幣が真正なもの(いわゆる真券)又は偽造されたもの(いわゆる偽券)の何れであるか、及びその金種や損傷の程度等を判断する。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の例示的実施形態による現金自動預払機1の識別部14は、隣接する第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの範囲に至るまで、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bをそれぞれ1の部品として形成し、これらに各種ローラや各種センサを構成する部品をそれぞれ取り付けた(図4)。
このため識別部14は、上搬送ガイド30Aの下面30AS及び下搬送ガイド30Bの上面30BSそれぞれにおいて、各種ローラと各種センサとが隣接する箇所で隙間や段差等を形成すること無く、平滑な平面とすることができる。すなわち識別部14は、従来の識別部のように、各センサを独立したモジュールとして構成し、搬送ガイドをこのモジュール毎に設けて互いに連結させ搬送経路を形成した場合に生じ得る、連結部分における段差や隙間を、原理的に排除できる。
これにより識別部14は、その内部で紙幣を搬送する際に、隙間や段差に引っ掛かることによる詰まりの発生を回避でき、当該紙幣を円滑に進行させながら適切に識別することができる。
また上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、その両端を識別部14の範囲外、すなわち第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの範囲内にそれぞれ位置させ、当該第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの範囲内において、識別側噛合部30Gと搬送側噛合部50G等とを互いに噛み合わせるようにした。
すなわち上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、識別部14内の領域AR3のようにガイド間隔が狭いところでは無く、第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの領域AR1及びAR5のようにガイド間隔が広いところで、識別側噛合部30Gと搬送側噛合部50G等とを噛み合わせるようにした。
このため上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、識別側噛合部30Gと搬送側噛合部50G等とを噛み合わせる箇所において、互いの取付位置に上下方向の誤差が生じたとしても、ガイド間隔に対する影響を相対的に小さく抑えることができる。例えば、仮に領域AR3において噛み合わせる場合、誤差が0.5mmであれば、ガイド間隔は、残りのB−0.5mmと極めて狭くなる。一方、領域AR1及びAR5において噛み合わせる場合、誤差が0.5mmであっても、ガイド間隔は残りのA−0.5mmとなる。ガイド間隔Aは、ガイド間隔Bと比較して1.5mm〜4mm広いことから、誤差0.5mm狭くなったA−0.5mmは、B−0.5mmよりも十分に広い状態を維持できる。すなわち上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、取付位置に誤差が生じた場合にもガイド間隔を十分に広い状態に維持でき、紙幣の詰まりの発生を良好に抑制することができる。
また上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、領域AR2及びAR4における、紙幣の進行方向に対する下面30AS及び上面30BSの傾斜角度α(図6)を、比較的小さい角度、すなわち10度〜40度に抑えるようにした。
このため上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、領域AR1側から紙幣が領域AR2内へ進行する場合、及び領域AR5側から紙幣が領域AR4内へ進行する場合、当該紙幣が上搬送ガイド30A又は下搬送ガイド30Bに当接したとしても、詰まりを発生させる可能性を格段に低減でき、当該紙幣を円滑に進行させることができる。
さらに搬送ローラ42及び41は、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bの領域AR2及びAR4とほぼ一致する範囲において、ローラ42A及び42B並びに41A及び41Bを搬送経路U1内へ突出させるようにした。これにより上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、領域AR2及びAR4において、回転するローラ42A及び42B並びに41A及び41Bに紙幣を当接及び挟持させ、極めて円滑に進行させることができる。
また識別部14では、識別搬送ローラ32等に対する紙幣の当たり角γ(図9)を10度〜40度とするようにした。このため識別部14は、紙幣が識別搬送ローラ32の各ローラ32A及び32B等に当接した際に、当該紙幣を詰まらせること無く、円滑に進行させることができる。
以上の構成によれば、第1の例示的実施形態による現金自動預払機1の識別部14は、隣接する第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bの範囲に至るまで、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bをそれぞれ1の部品として形成した。これにより識別部14は、ガイド間隔が比較的狭い領域AR3において噛合部同士を噛み合わせた場合に生じ得る隙間や段差等を形成すること無く、平滑な下面30AS及び上面30BSに沿って紙幣を案内でき、紙幣の詰まりが発生する可能性を低減できる。
[2.第2の例示的実施形態]
第2の例示的実施形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の例示的実施形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違する。紙幣入出金機110(図2)は、第1の例示的実施形態による紙幣入出金機10と比較して、搬送部13に代わる搬送部113を有する点において相違する。
搬送部113は、図3と対応する図11に示すように、第1搬送部21に代わる第1搬送部121を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第1搬送部121は、第1の例示的実施形態における識別部14及び第1搬送前部21Aを一体に構成した識別部114と、第1の例示的実施形態と同様の第1搬送後部21Bとにより構成されている。
識別部114は、図4と対応する図12に示すように、第1の例示的実施形態における識別部14と同様の識別搬送ローラ32等に加えて、その前側に、搬送ローラ41及びリジェクト切替部23が組み込まれている。また識別部114は、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bに代わる上搬送ガイド130A及び下搬送ガイド130Bを有している。
上搬送ガイド130A及び下搬送ガイド130Bは、領域AR1〜AR5においては第1の例示的実施形態と同様に構成され、下面130ASと上面130BSとを互いに対向させているものの、これに加えて領域AR5の前側に領域AR6が延設されている。
リジェクト切替部23内には、上方の入出金部12(図2)に接続される搬送経路U2と、下方のリジェクト庫16(図2)に接続される搬送経路U3とが設けられ、搬送経路U1、U2及びU3が交わる箇所にブレード23Bが配置されている。
搬送経路U2における後側部分は、識別部114内から連続する上搬送ガイド130Aの領域AR6により構成されている。また搬送経路U3における後側部分も、これと同様に識別部114内から連続する下搬送ガイド130Bの領域AR6により構成されている。
以上の構成において、第2の例示的実施形態による識別部114は、第1の例示的実施形態と同様、上搬送ガイド130A及び下搬送ガイド130Bをそれぞれ1の部品として形成し、領域AR3の範囲内で他の搬送ガイドとの連結を行わないようにした。
このため識別部114は、第1の例示的実施形態と同様、その内部で紙幣を搬送する際に、隙間や段差に引っ掛かることによる詰まりの発生を回避でき、当該紙幣を円滑に進行させながら適切に識別することができる。
また上搬送ガイド130A及び下搬送ガイド130Bは、前側のリジェクト切替部23において、搬送経路U2及びU3の一部も構成するようにした。これにより上搬送ガイド130A及び下搬送ガイド130Bは、識別部114の範囲内に加えて、リジェクト切替部23の範囲内においても、連結部分等を介すること無く、連続した下面130AS及び上面130BSにより、紙幣を円滑に案内することができる。これを他の観点から見れば、リジェクト切替部23は、第1の例示的実施形態における識別部14に相当する各部品との間で生じ得る組立上の誤差を、極めて小さく抑えることができる。
その他の点においても、第2の例示的実施形態による識別部114並びに上搬送ガイド130A及び下搬送ガイド130Bは、第1の例示的実施形態による識別部14並びに上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bと同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の例示的実施形態による現金自動預払機101の識別部114は、上搬送ガイド130A及び下搬送ガイド130Bをそれぞれ1の部品として形成した。これにより識別部114は、第1の例示的実施形態と同様、ガイド間隔が比較的狭い領域AR3において噛合部同士を噛み合わせた場合に生じ得る隙間や段差等を形成すること無く、平滑な下面130AS及び上面130BSに沿って紙幣を案内でき、リジェクト切替部23の範囲内も含めて、紙幣の詰まりが発生する可能性を低減できる。
[3.第3の例示的実施形態]
第3の例示的実施形態による現金自動預払機201(図1)は、第1の例示的実施形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違する。紙幣入出金機210(図2)は、第1の例示的実施形態による紙幣入出金機10と比較して、搬送部13に代わる搬送部213を有する点において相違する。
搬送部213は、図3と対応する図13に示すように、第1搬送部21に代わる第1搬送部221を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第1搬送部221は、第1の例示的実施形態と同様の識別部14を有することに加えて、第1の例示的実施形態における第1搬送前部21A及び第1搬送後部21Bとそれぞれ対応する第1搬送前部221A及び第1搬送後部221Bを有している。
また搬送部213は、本来的に識別部14と異なる他の識別部を搭載するよう設計されている。具体的に第1搬送前部221A及び第1搬送後部221Bには、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bの前後両端にそれぞれ設けられた識別側噛合部30Gと噛み合うような噛合部が形成されていない。また第1搬送前部221Aに設けられた搬送ガイドの後端と第1搬送後部221Bに設けられた搬送ガイドの前端との間隔は、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bにおける前後方向の長さよりも広くなっている。
そこで搬送部213は、第1搬送前部221Aと識別部14との間に中間搬送ガイド251を設け、また第1搬送後部221Bと識別部14との間に中間搬送ガイド252を設けた。中間搬送ガイド252は、図14に拡大図を示すように、上搬送ガイド252A及び下搬送ガイド252Bにより構成されている。
上搬送ガイド252A及び下搬送ガイド252Bの前端には、第1の例示的実施形態における搬送側噛合部50G(図8A、図8B)と同様の噛合部252Gがそれぞれ形成されている。また上搬送ガイド252A及び下搬送ガイド252Bの後端には、第1搬送後部221Bにおける搬送ガイド262A及び262Bの前端にそれぞれ設けられた噛合部と対応する形状の噛合部がそれぞれ形成されている。
このため中間搬送ガイド252は、上搬送ガイド252A及び下搬送ガイド252Bの前端を上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bの後端に設けられた識別側噛合部30Gとそれぞれ適切に噛み合わせて、見かけ上、連続した面をそれぞれ形成することができる。また中間搬送ガイド252は、上搬送ガイド252A及び下搬送ガイド252Bの後端を第1搬送後部221Bにおける搬送ガイド262A及び262Bの前端と適切に噛み合わせて、見かけ上、連続した面をそれぞれ形成することができる。また中間搬送ガイド251は、中間搬送ガイド252とほぼ前後対称に形成されている。
すなわち搬送部213は、第1搬送前部221A及び第1搬送後部221Bと識別部14との間に、いわゆるアダプタやアタッチメントのように中間搬送ガイド251及び252を介在させるようにした。これにより搬送部213は、本来的に識別部14に対応した設計で無いにも拘わらず、第1搬送前部221Aと識別部14との間、及び第1搬送後部221Bと識別部14との間において、それぞれ紙幣を円滑に搬送でき、当該識別部14において当該紙幣を適切に識別させることができる。
また識別部14は、第1の例示的実施形態と同様に構成されているため、第1の例示的実施形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の例示的実施形態による現金自動預払機201の搬送部213は、第1搬送前部221A及び第1搬送後部221Bと識別部14との間に、中間搬送ガイド251及び252をそれぞれ設けた。これにより搬送部213は、直接紙幣を受け渡すことができない第1搬送前部221A及び識別部14の間、並びに第1搬送後部221B及び識別部14の間において、円滑に紙幣を受け渡し、当該識別部14内において当該紙幣を円滑に搬送させながら、適切に識別させることができる。
[4.第4の例示的実施形態]
第4の例示的実施形態による現金自動預払機301は、第1の例示的実施形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違する。紙幣入出金機310は、第1の例示的実施形態による紙幣入出金機10と比較して、搬送部13に代わる搬送部313を有する点において相違する。
搬送部313は、識別部14に代わる識別部314を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。識別部314は、図4と対応する図15に示すように、識別部14と同様の構成に加えて、駆動部360が組み込まれている。
駆動部360は、アクチュエータ361、ベルト362、ローラ363及びベルト365により構成されている。アクチュエータ361は、供給される電力を基に出力軸361Xを回転させる。
またアクチュエータ361は、出力軸361Xの回転を検出するセンサが組み込まれており、このセンサにより当該出力軸361Xの回転を検出して検出信号を生成し、これを識別部314の厚みセンサ33、画像センサ35及び磁気センサ37にそれぞれ供給する。厚みセンサ33、画像センサ35及び磁気センサ37は、供給される検出信号にタイミングを合わせて動作するようになっている。
ベルト362は、出力軸361Xと搬送ローラ42におけるローラ42Bの中心軸42Xとの間に掛け回されており、その張力がローラ363により調整されている。ベルト365は、ローラ42B、32B、固定ローラ33C、ローラ34B、36B、当接ローラ37B、ローラ38B及び41Bの各回転軸と当接しながら走行するよう、掛け回されている。
この駆動部360は、搬送ローラ41及び42と共に、識別部14の外周を覆う筐体(図示せず)に取り付けられている。すなわち識別部14は、搬送ローラ41及び42並びに駆動部360を含んだ1個のモジュールとして構成されている。
かかる構成により搬送部313は、識別部14内の各部品等に不具合が生じた場合、保守作業により、駆動部360を含んだモジュール全体を交換するようになっている。これにより搬送部313は、保守作業においてベルト365やベルト362をかけ直す作業や張力等を調整する作業が不要となり、当該保守作業を容易化でき、また保守作業員の習熟度による品質のばらつき等も抑えることができる。
その他の点においても、第4の例示的実施形態による識別部314並びに上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bは、第1の例示的実施形態による識別部14並びに上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bと同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第4の例示的実施形態による現金自動預払機101の識別部314は、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bをそれぞれ1の部品として形成し、さらに駆動部360を1のモジュールとして組み込んだ。これにより識別部314は、第1の例示的実施形態と同様、ガイド間隔が比較的狭い領域AR3において噛合部同士を噛み合わせた場合に生じ得る隙間や段差等を形成すること無く、平滑な下面30AS及び上面30BSに沿って紙幣を案内できる。さらに識別部314は、保守作業においてベルト365やベルト362にまつわる作業を排除できるので、作業全体を容易化することができる。
[5.他の例示的実施形態]
なお上述した第1の例示的実施形態においては、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bをそれぞれ一体に形成された1の部品として構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上搬送ガイド30Aを左右方向に分割し、複数の部品を組み合わせることにより構成しても良い。この場合、紙幣の搬送方向である前後方向に関しては、領域AR1から領域AR5までを分割すること無く連続した部品とすることで、連結部分があることによる紙幣の搬送不良や詰まりの発生を未然に防止できれば良い。第2〜第4の例示的実施形態についても同様である。
また上述した第1の例示的実施形態においては、上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bの領域AR2及びAR4を傾斜面として構成し、その傾斜角度αを10度〜40度とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば湾曲された面や段差を有する面としても良く、また傾斜角度αを例えば45度のように40度よりも大きい角度としても良い。この場合、搬送ローラ41及び42のローラ41A等が搬送経路U1内に突出する範囲を領域AR2及びAR4にほぼ一致させることで、当該ローラ41A等の回転により紙幣を円滑に搬送できれば良い。第2〜第4の例示的実施形態についても同様である。
さらに上述した第1の例示的実施形態においては、領域AR2とほぼ一致する範囲において、搬送経路U1内に搬送ローラ42における各ローラ42A及び42Bの一部を露出させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、領域AR2と必ずしも一致しない範囲において、搬送経路U1内に搬送ローラ42における各ローラ42A及び42Bの一部を露出させるようにしても良い。第2〜第4の例示的実施形態についても同様である。
さらに上述した第1の例示的実施形態においては、上搬送ガイド30Aの下面30AS及び下搬送ガイド30Bの上面30BSにおける領域AR3の部分をそれぞれ平面状とし、ガイド間隔を一定とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、これらを例えば曲面状としても良く、またガイド間隔を部分毎に変化させても良い。またこの場合、上搬送ガイド30Aの下面30ASと下搬送ガイド30Bの上面30BSとが上下方向に非対称な形状となっても良い。第2〜第4の例示的実施形態についても同様である。
さらに上述した第1の例示的実施形態においては、領域AR3に相当する範囲のみを識別部14とし、これより前側の領域AR4及びAR5を第1搬送前部21Aの一部とし、後側の領域AR2及びAR1を第1搬送後部21Bの一部とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば領域AR1からAR5までの全範囲を識別部14とするように、すなわち搬送ローラ41及び42も識別部14の一部とみなすようにしても良い。この場合、噛合部30G(図9)も識別部14の一部となるものの、ガイド間隔が比較的広い箇所で相手方の噛合部50G等と噛み合わせれば良い。第3及び第4の例示的実施形態についても同様である。
さらに上述した第1の例示的実施形態においては、現金自動預払機1の紙幣入出金機10において紙幣を識別する識別部14に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金融機関の窓口に設置され、主に金融機関の職員に使用される紙幣整理装置(いわゆるテラーマシン)等、紙幣を取り扱う種々の装置において紙幣を識別する識別部に適用しても良い。第2〜第4の例示的実施形態についても同様である。
さらに上述した第1の例示的実施形態においては、媒体としての紙幣を取り扱う現金自動預払機1において当該紙幣を識別する識別部14に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種の金券や証券のような種々の媒体を取り扱う装置において、この媒体を識別する識別部に適用しても良い。
さらに本発明は、上述した各例示的実施形態及び他の例示的実施形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各例示的実施形態と上述した他の例示的実施形態の一部又は全部を任意に組み合わせた例示的実施形態や、一部を抽出した例示的実施形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した例示的実施形態においては、搬送経路としての搬送経路U1と、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドとしての上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bと、識別センサとしての厚みセンサ33、画像センサ35及び磁気センサ37と、識別搬送ローラとしての識別搬送ローラ32、34、36及び38とによって媒体搬送識別装置としての識別部14を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送経路と、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドと、識別センサと、識別搬送ローラとによって媒体搬送識別装置を構成しても良い。
さらに上述した例示的実施形態においては、授受部としての入出金部12と、搬送経路としての搬送経路U1と、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドとしての上搬送ガイド30A及び下搬送ガイド30Bと、識別センサとしての厚みセンサ33、画像センサ35及び磁気センサ37と、識別搬送ローラとしての識別搬送ローラ32、34、36及び38とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる授受部と、搬送経路と、第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドと、識別センサと、識別搬送ローラとによって媒体取引装置を構成しても良い。
日本出願特願2014−170531の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
本発明は、媒体としての紙幣を利用車との間で取引する現金自動預払機でも利用できる。

Claims (7)

  1. 媒体を搬送する第1搬送領域及び第2搬送領域の間に、当該媒体を搬送しながら識別する識別領域が配置された搬送経路と、
    前記搬送経路を挟んで互いに対向し、前記識別領域における互いの間隔が、前記第1搬送領域及び前記第2搬送領域における互いの間隔よりも狭い第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドと、
    前記第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの少なくとも一方における前記識別領域に設けられ、前記媒体を識別する識別センサと、
    前記第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの前記識別領域に設けられ、前記媒体を搬送する識別搬送ローラと
    を具え、
    前記第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドは、前記搬送経路側の面において、前記第1搬送領域、前記識別領域及び前記第2搬送領域に渡る範囲で、前記媒体を搬送する搬送方向に関し一体に形成されている、
    媒体搬送識別装置。
  2. 前記第1搬送ガイド及び前記第2搬送ガイドは、前記第1搬送領域と前記識別領域との間に第1中間領域を有すると共に、前記第2搬送領域と前記識別領域との間に第2中間領域を有し、
    前記第1中間領域及び前記第2中間領域は、前記第1搬送ガイド及び前記第2搬送ガイドの間隔を、前記第1搬送領域及び前記第2搬送領域における間隔から前記識別領域における間隔へ連続的に変化させる、
    請求項1に記載の媒体搬送識別装置。
  3. 前記第1搬送ガイドおよび前記第2搬送ガイドの前記第1中間領域及び前記第2中間領域と一致する範囲において前記搬送経路内に一部を突出させ、前記媒体を搬送する搬送ローラをさらに具える請求項2に記載の媒体搬送識別装置。
  4. 前記第1搬送ガイドおよび前記第2搬送ガイドは、前記第1中間領域及び前記第2中間領域における前記搬送経路側の面を、前記第1搬送領域及び前記第2搬送領域における前記搬送経路側の面である搬送面に対して傾斜する傾斜面とし、且つ前記搬送面に対する前記傾斜面のなす角度を10度〜40度とする、請求項2に記載の媒体搬送識別装置。
  5. 前記識別搬送ローラは、前記第1搬送ガイドおよび前記第2搬送ガイドの前記識別領域における搬送経路側の面である識別面と、当該識別搬送ローラの外周が当該識別面と交差する箇所における仮想的な接線とのなす角度が、10度〜40度である、請求項1に記載の媒体搬送識別装置。
  6. 前記第2搬送領域に隣接して配置され、前記媒体の前記搬送経路を切り替える切替部をさらに具え、
    前記第1搬送ガイドおよび前記第2搬送ガイドは、前記切替部における前記媒体の前記搬送経路に沿った搬送ガイドと一体に形成されている、
    請求項1に記載の媒体搬送識別装置。
  7. 利用者と取引する媒体を当該利用者との間で授受する授受部と、
    前記媒体を搬送する第1搬送領域及び第2搬送領域の間に、当該媒体を搬送しながら識別する識別領域が配置された搬送経路と、
    前記搬送経路を挟んで互いに対向し、前記識別領域における互いの間隔が、前記第1搬送領域及び前記第2搬送領域における互いの間隔よりも狭い第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドと、
    前記第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの少なくとも一方における前記識別領域に設けられ、前記媒体を識別する識別センサと、
    前記第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドの前記識別領域に設けられ、前記媒体を搬送する識別搬送ローラと
    を具え、
    前記第1搬送ガイド及び第2搬送ガイドは、前記搬送経路側の面において、前記第1搬送領域、前記識別領域及び前記第2搬送領域に渡る範囲で、前記媒体を搬送する搬送方向に関し一体に形成されている、
    媒体取引装置。
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