以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。
顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
以下では、現金自動取引装置1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
紙幣入出金機10は、図2に示すように、箱状の入出金機筐体11を中心に構成されており、紙幣制御部12が各部(入出金部16、搬送部24、鑑別部18、一時保留部20、紙幣収納庫26、リジェクト庫28及び取忘れ庫22)を統括制御する。
紙幣制御部12は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部14(図1)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。記憶部14は、鑑別部18が紙幣を鑑別した鑑別結果及び紙幣の記番号の識別結果等を取引情報と合わせて記憶する。
紙幣入出金機10の内部には、上側に入出部としての入出金部16、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部18及び入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部20等が設けられている。
入出金部16は、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離し搬送部24へ繰り出す。また入出金部16は、搬送部24へ繰り出す紙幣と、入金リジェクト紙幣として入出金部16へ戻された紙幣とを分別して保持する。また入出金部16は、当該入出金部16内部において、搬送部24へ繰り出す紙幣が存在するか否かを検出する図示しない紙幣検知センサが設けられている。
搬送部24は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部24は、鑑別部18を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、当該鑑別部18の後側と一時保留部20及び入出金部16とをそれぞれ接続している。また搬送部24は、鑑別部18の前側と入出金部16、紙幣収納庫26、リジェクト庫28及び取忘れ庫22とを接続している。搬送部24の分岐点には、セレクタ(図示せず)が設けられており、紙幣制御部12の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。この搬送部24には、紙幣を検出する紙幣検出センサが複数箇所に設けられており、紙幣の検出結果を紙幣制御部12へ送出する。
鑑別部18は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部12へ通知する。また鑑別部18は、撮像した紙幣の画像データから、紙幣毎に付与されその紙幣の一面に予め印刷された英数字等で構成された紙幣識別情報である記番号を読み取り識別する。このとき鑑別部18は、識別した字を識別結果として紙幣制御部12へ通知する。これに応じて紙幣制御部12は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
一時保留部20は、入金時に顧客が入出金部16へ投入した紙幣を一時的に保留し、鑑別部18で入金可能と鑑別された入金可能紙幣を入金が確定するまで一時的に保留する。一方、入金不可と鑑別された入金リジェクト紙幣は入出金部16へ排出される。また一時保留部20は、出金時において鑑別部18で出金不可能と鑑別された出金不可紙幣を、出金可能な紙幣が出金されるまで一時的に保留し、その後当該出金不可紙幣をリジェクト庫28へ排出する。
また紙幣入出金機10の内部には、下側に金種別の紙幣収納庫26と、鑑別部18において破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣を格納するリジェクト庫28と、取引時に顧客が入出金部16から取り忘れた紙幣を回収して格納する取忘れ庫22とが設けられている。紙幣収納庫26、リジェクト庫28及び取忘れ庫22は、紙幣入出金機10に設けられたスロットに着脱自在に構成されている。紙幣収納庫26は、収納繰出機構により、搬送部24から搬送されてきた紙幣を取り込んで収納すると共に、収納されている紙幣を排出して搬送部24へ供給する。
かかる構成において現金自動取引装置1は、鑑別部18による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び紙幣制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
すなわち現金自動取引装置1は、入金取引時、顧客により操作表示部6を介して入金取引が選択され、さらに入出金部16に紙幣が投入されると、投入された紙幣を入出金部16から1枚ずつ鑑別部18に搬送する。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部18の鑑別結果及び識別結果に基づき入金可能と判定された入金可能紙幣については一時保留部20に搬送して一時的に収納する。一方で現金自動取引装置1は、入金に適さないと判定された入金リジェクト紙幣については入出金部16へ戻して、シャッタ34を開くことで顧客に返却する。その後顧客により入金金額が確定されると、現金自動取引装置1は、一時保留部20に収納している紙幣を鑑別部18に搬送して鑑別結果及び記番号の識別結果を得る。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部18の鑑別結果及び識別結果に基づき収納可能と判定された紙幣については、その金種に応じて各紙幣収納庫26へ搬送して保管する。一方で現金自動取引装置1は、収納に適さないと判定された紙幣については、リジェクト庫28へ搬送する。
一方出金取引時、現金自動取引装置1は、顧客により操作表示部6を介して出金取引が選択され出金金額が入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣収納庫26から紙幣を繰り出して鑑別部18に搬送して鑑別結果及び記番号の識別結果を得る。ここで現金自動取引装置1は、鑑別部18の鑑別結果及び識別結果に基づき出金可能と判定された出金可能紙幣については入出金部16に搬送する。一方で現金自動取引装置1は、出金に適さないと判定された出金リジェクト紙幣については一時保留部20に搬送して一時的に収納する。そして要求金額分の紙幣が入出金部16へ集積されると、現金自動取引装置1は、シャッタ34を開ける。これにより入出金部16内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、顧客がこの紙幣を受け取る。その後現金自動取引装置1は、一時保留部20に収納している出金リジェクト紙幣をリジェクト庫28へと搬送して保管する。
[1−3.入出金部の構成]
図3乃至図6に示すように、入出金部16は、フレーム30内に複数の部品が取り付けられており、内部に紙幣を集積するための集積空間32を形成している。このフレーム30は、入出金機筐体11と電気的に接続されている。図3及び図5は左側部30Lを図示せず省略し、図6は後側部30Bを図示せず省略する。
フレーム30は、金属板により形成され、全体として直方体状に構成されており、内部に直方体状の内部空間30Aが形成されている。内部空間30Aは、その下側、前側、後側、右側及び左側においてそれぞれ下側部30D、前側部30F、後側部30B、右側部30R及び左側部30Lにより囲まれる一方、上側が大きく開放されることにより外部と連通している。フレーム30の上側には、シャッタ34が設けられている。シャッタ34は、図示しない駆動機構によってそれぞれ前後方向へ摺動されることにより、内部空間30Aを外部から閉塞し、また外部へ開放する。
内部空間30Aの左端近傍には、上側に上側サイドガイド36Lが、下側に下側サイドガイド38Lが、アーム部ガイド空間40Lを空けて設けられている。内部空間30Aの右端近傍には、上側に上側サイドガイド36Rが、下側に下側サイドガイド38Rが、アーム部ガイド空間40Rを空けて設けられている。以下では上側サイドガイド36L及び36Rをまとめて上側サイドガイド36とも呼び、下側サイドガイド38L及び38Rをまとめて下側サイドガイド38とも呼び、アーム部ガイド空間40L及び40Rをまとめてアーム部ガイド空間40とも呼ぶ。
上側サイドガイド36及び下側サイドガイド38は、集積方向である前後方向に細長く左右方向にやや薄い直方体状に形成されている。すなわち上側サイドガイド36及び下側サイドガイド38は、いずれも前後対称に構成されている。上側サイドガイド36L及び下側サイドガイド38Lと上側サイドガイド36R及び下側サイドガイド38Rとは、互いに左右対称に構成されている。上側サイドガイド36及び下側サイドガイド38は、内部空間30A内において、左右方向すなわち紙幣の幅方向に関する位置を規制している。
下側サイドガイド38L及び38Rには、前後方向のほぼ中央部分において、左側面と右側面とを連通させ後述する媒体検知センサとしての紙幣検知センサ35L及び35Rそれぞれの光軸を通過させる円筒形状の孔部41L及び41Rが左右方向に対向するようそれぞれ穿設されている。下側サイドガイド38Lの左側面には、紙幣の有無を光学的に検出する紙幣検知センサ35Lが、円筒形状の検出部を孔部41Lに挿入されつつ固定されている。この紙幣検知センサ35Lは、金属製のパーツを含んで構成されている。下側サイドガイド38Rの右側面には、紙幣の有無を光学的に検出する紙幣検知センサ35Rが、円筒形状の検出部を孔部41Rに挿入されつつ固定されている。この紙幣検知センサ35Rは、金属製のパーツを含んで構成されている。紙幣検知センサ35L及び35Rは、互いに左右対称に構成されており、以下では紙幣検知センサ35L及び35Rをまとめて保護対象部としての紙幣検知センサ35とも呼ぶ。
また内部空間30A内には、導電性材料で樹脂成形された成形品であり板状のビルプレス42及びプールガイド44が設けられている。ビルプレス42は、前後方向に薄い板状に形成されており、内部空間30Aを前後方向に仕切る。ビルプレス42の上端及び下端は、それぞれシャッタ34の下面及びフレーム30の下側部30Dに対し、それぞれ僅かな隙間を形成している。またビルプレス42は、左右の両側面における上下の中央付近からそれぞれ外方へ向けて四角柱形状のビルプレスアーム部43L及び43R(以下ではまとめてビルプレスアーム部43とも呼ぶ)が延設されている。
ビルプレスアーム部43Lは、上側サイドガイド36L及び下側サイドガイド38Lとの間にそれぞれ僅かな隙間を形成しつつ、アーム部ガイド空間40Lを介し上側サイドガイド36L及び下側サイドガイド38Lの外側まで貫通している。ビルプレスアーム部43Rは、ビルプレスアーム部43Lと左右対称に形成されており、アーム部ガイド空間40Rを介し上側サイドガイド36R及び下側サイドガイド38Rの外側まで貫通している。これによりビルプレス42は、アーム部ガイド空間40によってビルプレスアーム部43が案内されることにより、前後方向へ自在に移動する。
このビルプレス42は、紙幣制御部12(図2)の制御に基づき、ビルプレス駆動部46により前後方向へ駆動される。ビルプレス駆動部46は、左側部30Lの左側及び右側部30Rの右側にそれぞれ設けられており、駆動プーリ48、従動プーリ50、ベルト52及び固定部54により構成されている。
駆動プーリ48は、内部空間30Aの前側に配置されており、回転軸を左右方向に向けた円板状に形成されている。また駆動プーリ48は、図示しないアクチュエータからの駆動力が伝達されることにより、図5における時計回り又は反時計回りに回転する。従動プーリ50は、内部空間30Aの後側に配置されており、駆動プーリ48と同様、回転軸を左右方向に向けた円板状に形成されている。この駆動プーリ48は、図示しない軸受を介して、フレーム30に対し図5における時計回り又は反時計回りに自在に回転し得るように取り付けられている。ベルト52は、柔軟性を有する材料でなり、円環状に形成されている。このベルト52は、駆動プーリ48及び従動プーリ50の周囲に掛け回されており、駆動プーリ48が回転されると、従動プーリ50を回転させながら走行する。固定部54は、ベルト52に対し固定されると共に、ビルプレスアーム部43における左右の側部に対しても固定されている。このため固定部54は、ベルト52の走行に伴ってビルプレス42を前後方向へ移動させる。
プールガイド44は、ビルプレス42と同様の板状に構成されており、上端及び下端は、それぞれシャッタ34の下面及びフレーム30の下側部30Dに対し、それぞれ僅かな隙間を形成している。またプールガイド44は、左右の両側面における上下の中央付近からそれぞれ外方へ向けて四角柱形状のプールガイドアーム部45L及び45R(以下ではまとめてプールガイドアーム部45とも呼ぶ)が延設されている。
プールガイドアーム部45Lは、上側サイドガイド36L及び下側サイドガイド38Lとの間にそれぞれ僅かな隙間を形成しつつ、アーム部ガイド空間40Lを介し上側サイドガイド36L及び下側サイドガイド38Lの外側まで貫通している。プールガイドアーム部45Rは、プールガイドアーム部45Lと左右対称に形成されており、アーム部ガイド空間40Rを介し上側サイドガイド36R及び下側サイドガイド38Rの外側まで貫通している。これによりプールガイド44は、アーム部ガイド空間40によってプールガイドアーム部45が案内されることにより、ビルプレス42よりも前方において、アーム部ガイド空間40に沿って前後方向へ自在に移動する。
このプールガイド44は、紙幣制御部12(図2)の制御に基づき、プールガイド駆動部56により前後方向へ駆動される。プールガイド駆動部56は、ビルプレス駆動部46の左右方向の外側にそれぞれ設けられており、駆動プーリ58、従動プーリ60、ベルト62及び固定部64により構成されている。
駆動プーリ58は、内部空間30Aの前側に配置されており、回転軸を左右方向に向けた円板状に形成されている。また駆動プーリ58は、図示しないアクチュエータからの駆動力が伝達されることにより、図5における時計回り又は反時計回りに回転する。従動プーリ60は、内部空間30Aの後側に配置されており、駆動プーリ58と同様、回転軸を左右方向に向けた円板状に形成されている。この駆動プーリ58は、図示しない軸受を介して、フレーム30に対し図5における時計回り又は反時計回りに自在に回転し得るように取り付けられている。ベルト62は、柔軟性を有する材料でなり、円環状に形成されている。このベルト62は、駆動プーリ58及び従動プーリ60の周囲に掛け回されており、駆動プーリ58が回転されると、従動プーリ60を回転させながら走行する。固定部64は、ベルト62に対し固定されると共に、プールガイドアーム部45における左右の側部に対しても固定されている。このため固定部64は、ベルト62の走行に伴ってプールガイド44を前後方向へ移動させる。
このように内部空間30A内には、上下がシャッタ34及びフレーム30の下側部30Dにより挟まれ、前後がプールガイド44及びビルプレス42により挟まれ、さらに左右が上側サイドガイド36L及び下側サイドガイド38L並びに上側サイドガイド36R及び下側サイドガイド38Rにより挟まれた集積空間32が形成される。集積空間32は、紙幣の紙面を前後方向に向けると共に、その長手方向を左右方向に向けた状態、すなわち短手方向を概ね上下方向に向けた状態で、複数の当該紙幣を前後方向に集積した状態で収容する。
さらにフレーム30の下部には、集積空間32内の紙幣を搬送部24(図2)へ受け渡す繰出部66と、搬送部24から搬送されてきた紙幣を集積空間32内へ集積する集積部67とが組み込まれている。
繰出部66は、上下方向に沿って形成された搬送路68の前後に配置された繰出ローラ69及び従動ローラ70と、フレーム30の前側部30Fにおける下寄りに配置されたピッカローラ71とにより構成されている。搬送路68は、フレーム30を上下に貫通するように形成されており、紙幣を下方向へ通過させ得る。繰出ローラ69は、搬送路68を挟んで従動ローラ70と対向しており、図示しない駆動機構から駆動力が伝達されることにより、左側面視で反時計回りに回転する。従動ローラ70は、繰出ローラ69と当接しており、当該繰出ローラ69の回転に伴い、左側面視で時計回りに回転する。ピッカローラ71は、内部空間30A内に後側の一部分を突出させており、繰出ローラ69と同様、図示しない駆動機構から駆動力が伝達されることにより、左側面視で反時計回りに回転する。因みにプールガイド44には、このピッカローラ71を後側に露出させるための孔部が設けられている。
集積部67は、上下方向に沿って形成された搬送路72の前後に配置された集積ローラ73及び従動ローラ74により構成されている。搬送路72は、フレーム30を上下に貫通するように形成されており、紙幣を上方向へ通過させ得る。集積ローラ73は、搬送路72を挟んで従動ローラ74と対向しており、図示しない駆動機構から駆動力が伝達されることにより、左側面視で反時計回りに回転する。従動ローラ74は、集積ローラ73と当接しており、当該集積ローラ73の回転に伴い、左側面視で時計回りに回転する。
かかる構成において入出金部16は、例えば入金取引において顧客に紙幣BLを入金させる際、ビルプレス42を搬送路72よりも前側に位置させると共にプールガイド44を搬送路68よりも後側に位置させ、シャッタ34を開放して集積空間32を外部空間と連通させる。これにより入出金部16は、顧客に紙幣を集積空間32内へ投入させる。このとき投入された紙幣は、集積空間32内で長辺をフレーム30の下側部30Dに当接させ、長手方向をほぼ左右方向へ向けて、ビルプレス42又はプールガイド44に立て掛けられた状態となる。
続いて入出金部16は、図8に示すように、シャッタ34を閉塞し、プールガイド44を最も前側に移動させると共に、ビルプレス42を極力前方へ移動させて当該プールガイド44に紙幣BLを押し付ける。この状態で入出金部16は、繰出部66のピッカローラ71を回転させることにより、紙幣BLを順次下方へ送り出し、繰出ローラ69及び従動ローラ70により当該紙幣BLを搬送路68に沿って順次下方へ搬送し、搬送部24(図2)に受け渡していく。この分離動作においては、集積空間32から繰り出される紙幣BLは、プールガイド44や集積されている紙幣BLと接触して擦れつつ搬送路68へ移動することとなる。このため分離動作が行われると、分離される紙幣BLと、プールガイド44と、集積されている紙幣BLとの互いの摩擦面には静電気が発生し、分離される紙幣BLと、プールガイド44と、集積されている紙幣BLとは帯電することとなる。
また入出金部16は、例えば出金取引において顧客へ紙幣BLを出金する際、図9に示すように、ビルプレス42を最も後側に移動させると共に、プールガイド44を搬送路72よりもやや前方に位置させ、集積空間32を内部空間30Aにおける後寄りの部分に形成する。この状態で入出金部16は、集積ローラ73及び従動ローラ74を回転させることにより、搬送部24(図2)から順次受け渡される紙幣BLを搬送路72に沿って順次上方へ搬送し、集積空間32内に集積させていく。このとき入出金部16は、集積される紙幣BLが増えるに連れてプールガイド44を前方へ徐々に移動させていき、集積空間32を徐々に拡大していく。この集積動作においては、搬送路72を通過した紙幣BLは、ビルプレス42や既に集積されている紙幣BLと接触して擦れつつ集積空間32に集積されることになる。このため集積動作が行われると、集積される紙幣BLと、ビルプレス42と、既に集積されている紙幣BLとの互いの摩擦面には静電気が発生し、集積される紙幣BLと、ビルプレス42と、既に集積されている紙幣BLとは帯電することとなる。
その後入出金部16は、出金すべき全ての紙幣BLを集積空間32内に集積すると、プールガイド44及びビルプレス42をそれぞれ図3に示した位置まで前方へ移動させ、さらにシャッタ34を開放することにより集積空間32を外部空間と連通させて、紙幣BLを顧客に取り出させる。
このように入出金部16は、集積空間32に紙幣BLを収容しながら、顧客との間で当該紙幣BLを授受する。ここで、分離動作及び集積動作を行う際、プールガイド44、ビルプレス42及び紙幣BLには静電気が帯電することとなる。
[1−4.放電保護部の構成]
図7に示すように、下側サイドガイド38Lの右側面における孔部41Lの周辺の表面には、銅箔である配線パターン75Lがメッキ処理により形成されている。配線パターン75Lは、円形部75C及び導通部75Sにより構成されている。円形部75Cは、孔部41Lの周囲を囲うように円形状に形成されている。導通部75Sは、上端部が円形部75Cに接続されて下方向に延び、下端部が下側サイドガイド38Lの下端面に沿って図6に示すように下側サイドガイド38Lの左端面の下端部まで配設され、当該導通部75Sがフレーム30の下側部30Dと接触している。これにより配線パターン75Lは、フレーム30と電気的に接続されている。配線パターン75Rは、配線パターン75Lと左右対称に構成されており、フレーム30と電気的に接続されている。以下では配線パターン75L及び75Rをまとめて配線パターン75とも呼ぶ。この配線パターン75とフレーム30とにより、紙幣やビルプレス42やプールガイド44に帯電した静電気を、下側サイドガイド38の配線パターン75を介しフレーム30へ放電させることにより紙幣検知センサ35を静電気から保護する放電保護部31が形成されている。
かかる構成において、入出金部16が分離動作及び集積動作を繰り返すと、紙幣、プールガイド44及びビルプレス42が帯電していく。そして紙幣、プールガイド44及びビルプレス42の帯電量が一定量以上になると、紙幣、プールガイド44及びビルプレス42に近接する金属製の部材である紙幣検知センサ35に向かって、紙幣、プールガイド44又はビルプレス42から静電気が放電される。このとき紙幣検知センサ35に向かう静電気は、当該紙幣検知センサ35よりも紙幣、プールガイド44及びビルプレス42に近接する配線パターン75に流れ込むこととなる。
銅箔である配線パターン75は、樹脂製の下側サイドガイド38よりも電気抵抗が低いため、配線パターン75に移動した電荷は、下側サイドガイド38における配線パターン75以外の箇所へは移動せず、配線パターン75からフレーム30へ移動する。このため紙幣BL、プールガイド44又はビルプレス42に帯電され紙幣検知センサ35に向かって放電された静電気は、配線パターン75を介しフレーム30へ放電される。これにより紙幣、プールガイド44又はビルプレス42は除電される。
これにより現金自動取引装置1は、繰出部66及び集積部67に近接する位置に配された電子機器である紙幣検知センサ35に紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から静電気が流れることを防止でき、静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止できる。
[1−5.搬送部の構成]
搬送部24は、図10に示すように、上側搬送ガイド76U、下側搬送ガイド76D及び図示しないローラにより構成されている。
上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dは、導電性材料で樹脂成形された成形品であり、紙幣BLの紙面と対向する平面状の上側搬送面76AU及び下側搬送面76ADをそれぞれ有しており、互いの搬送面の間に紙幣BLが走行する紙幣搬送空間77を形成している。
上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dの左右側面であるガイド側面78には、銅箔である配線パターン79がメッキ処理により直接形成されている。配線パターン79は、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dのガイド側面78において紙幣BLの搬送方向に沿って直線部79Sが配設されており、当該直線部79Sの一端に円形のグラウンド接続部79Gが形成されている。上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dは、グラウンド接続部79Gにおいて螺子84により入出金機筐体11(図2)に螺子止めされている。これにより配線パターン79は、入出金機筐体11と電気的に接続されている。
ガイド側面78には、搬送される紙幣BLに当接し静電気を取り除く除電ブラシ81が所定箇所に設けられている。除電ブラシ81は、円柱形状である導電製の除電バー82が紙幣BLの搬送方向に沿って所定間隔で複数本並んで貼付部材83により配線パターン79の直線部79Sと接触するようガイド側面78に貼り付けられており、紙幣搬送空間77に向かって伸びている。
この除電ブラシ81、配線パターン79及び入出金機筐体11により、紙幣BLに帯電した静電気を、除電ブラシ81及び配線パターン79を介し入出金機筐体11へ放電させる帯電除去部85が形成されている。
かかる構成において、紙幣BLが搬送部24を搬送され当該紙幣BLが除電ブラシ81に接触すると、紙幣BLから電荷が除電ブラシ81を介し配線パターン79へ移動する。銅箔である配線パターン79は、樹脂製の上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dよりも電気抵抗が低いため、配線パターン79に移動した電荷は、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dにおける配線パターン79以外の箇所へは移動せず、配線パターン79のグラウンド接続部79Gから螺子84を介し入出金機筐体11へ移動する。
このため紙幣BLに帯電された静電気は、除電ブラシ81、配線パターン79及び螺子84を介し入出金機筐体11へ放電される。これにより紙幣BLは除電される。これにより現金自動取引装置1は、搬送部24の近傍に配されたセンサ等の電子機器に紙幣BL及び上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから静電気が流れこむことを防止でき、静電気による電子機器の誤動作及び破損を防止できる。
[1−6.効果]
ところで、入出金部16において静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止するために、紙幣検知センサ35を紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から十分に離隔させる、すなわち紙幣検知センサ35と紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42との間に、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から紙幣検知センサ35へ静電気が放電されない程度の空間を空けることがあった。しかしながらその場合、入出金部が大型化してしまっていた。
これに対し現金自動取引装置1は、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42と紙幣検知センサ35との位置関係は変化させずに、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から紙幣検知センサ35に静電気が放電されることを防止することができる。これにより現金自動取引装置1は、入出金部16が大型化することを防ぎつつ、静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止できる。
また静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止するために、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から紙幣検知センサへ向かって放電された静電気を紙幣検知センサに到達させない静電気対策部品を別途追加したり、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から紙幣検知センサへ静電気が放電されないようにする静電気対策部品を別途追加したりすることも考えられるが、その場合、部品が追加されるため入出金部の構成が複雑化してしまうと共に、コストアップしてしまう。
これに対し現金自動取引装置1は、元々存在する下側サイドガイド38に配線パターン75を形成するだけで、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から紙幣検知センサ35に静電気が放電されることを防止することができる。これにより現金自動取引装置1は、構成の複雑化とコストアップとを抑止しつつ、静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止できる。また現金自動取引装置1は、別途部品を追加する必要がないため、入出金部16を組み立てる際の組立工程が変化することを防止できる。
また、従来の現金自動取引装置において、搬送部における搬送路を構成する成形品である搬送ガイドの表面に導電性膜を設けることにより、紙幣に帯電した静電気を気中放電させるものがある。しかしながらこの従来の現金自動取引装置においては、紙幣をある程度除電できるものの、紙幣から搬送ガイドに移動した電荷は、当該搬送ガイドに帯電したままとなってしまい、当該搬送ガイドの近傍にセンサ等が存在すると、当該搬送ガイドからセンサへ静電気が放電されてしまう可能性がある。
これに対し本実施の形態の現金自動取引装置1は、配線パターン75とフレーム30とを接触させることにより、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から配線パターン75へ移動した電荷をフレーム30へ移動させることができるため、配線パターン75に移動した電荷が当該配線パターン75に帯電し続けることがない。これにより現金自動取引装置1は、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から配線パターン75へ移動した電荷を速やかにフレーム30へ逃し、静電気が紙幣検知センサ35へ放電されてしまうことを防止できる。
また従来の現金自動取引装置において、導電性ケーブルを搬送ガイドと現金自動取引装置内部の金属製の機構とに接続することにより、紙幣から搬送ガイドに移動した電荷を金属製の機構に逃がすことも考えられる。しかしながらその場合、導電性ケーブルを別途追加しなくてはいけなくなってしまい、構成が複雑化してしまう。
これに対し現金自動取引装置1は、元々存在する下側サイドガイド38に配線パターン75をメッキ処理で形成し、当該配線パターン75とフレーム30とを接触させるだけで、紙幣BL、プールガイド44及びビルプレス42から配線パターン75へ移動した電荷をフレーム30へ移動させることができる。これにより現金自動取引装置1は、構成の複雑化とコストアップとを抑止しつつ、静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止できる。
さらに、静電気による搬送部24近傍の電子機器の誤動作及び破損を防止するために、当該電子機器を紙幣BLから十分に離隔させる、すなわち当該電子機器と紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dとの間に、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから当該電子機器へ静電気が放電されない程度の空間を空けることがあった。しかしながらその場合、搬送部が大型化してしまっていた。
これに対し現金自動取引装置1は、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dと電子機器との位置関係は変化させずに、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから電子機器に静電気が放電されることを防止することができる。これにより現金自動取引装置1は、搬送部24が大型化することを防ぎつつ、静電気による電子機器の誤動作及び破損を防止できる。
また静電気による搬送部24近傍の電子機器の誤動作及び破損を防止するために、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから電子機器へ向かって放電された静電気を当該電子機器に到達させない静電気対策部品を別途追加したり、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから電子機器へ静電気が放電されないようにする静電気対策部品を別途追加したりすることも考えられるが、その場合、部品が追加されるため搬送部24の構成が複雑化してしまうと共に、コストアップしてしまう。
これに対し現金自動取引装置1は、元々存在する上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dに配線パターン79を形成し、螺子84で入出金機筐体11に接続するだけで、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから電子機器に静電気が放電されることを防止することができる。これにより現金自動取引装置1は、構成の複雑化とコストアップとを抑止しつつ、静電気による電子機器の誤動作及び破損を防止できる。また現金自動取引装置1は、別途多くの部品を追加する必要がないため、搬送部24を組み立てる際の組立工程が大きく変化することを防止できる。
また、従来の現金自動取引装置において、搬送路を構成する成形品である搬送ガイドの表面に導電性膜を設けることにより、紙幣に帯電した静電気を気中放電させるものがある。しかしながらこの従来の現金自動取引装置においては、紙幣をある程度除電できるものの、紙幣から搬送ガイドに移動した電荷は、当該搬送ガイドに帯電したままとなってしまい、当該搬送ガイドの近傍にセンサ等が存在すると、当該搬送ガイドからセンサへ静電気が放電されてしまう。
これに対し本実施の形態の現金自動取引装置1は、除電ブラシ81を配線パターン79と接触させ、当該配線パターン79を入出金機筐体11と接触させることにより、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから除電ブラシ81へ移動した電荷を、配線パターン79を介し入出金機筐体11へ移動させることができるため、除電ブラシ81及び配線パターン79に移動した電荷が当該除電ブラシ81及び配線パターン79に帯電し続けることがない。これにより現金自動取引装置1は、紙幣BLから除電ブラシ81及び配線パターン79へ移動した電荷を速やかに入出金機筐体11へ逃し、静電気が電子機器へ放電されてしまうことを防止できる。
また従来の現金自動取引装置において、導電性ケーブルを搬送ガイドと現金自動取引装置内部の金属製の機構とに接続することにより、紙幣から搬送ガイドに移動した電荷を金属製の機構に逃がすことも考えられる。しかしながらその場合、導電性ケーブルを別途追加しなくてはいけなくなってしまい、構成が複雑化してしまう。
これに対し現金自動取引装置1は、元々存在する上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dに配線パターン79をメッキ処理で形成し、当該配線パターン79と入出金機筐体11とを接触させるだけで、紙幣BL、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから除電ブラシ81及び配線パターン79へ移動した電荷を入出金機筐体11へ移動させることができる。これにより現金自動取引装置1は、構成の複雑化とコストアップとを抑止しつつ、静電気による電子機器の誤動作及び破損を防止できる。
以上の構成によれば、現金自動取引装置1は、媒体としての紙幣に関する取引を受け付ける顧客応対部3と、移動する紙幣の近傍において当該紙幣を支持し成形により形成されたビルプレス42、プールガイド44、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dと、当該ビルプレス42、プールガイド44、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dの近傍に設けられた導電性のフレーム30及び入出金機筐体11と、ビルプレス42、プールガイド44、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dの表面に形成された導体でありフレーム30及び入出金機筐体11と電気的に接続され、帯電した紙幣から移動した電荷をフレーム30及び入出金機筐体11へ放電する配線パターン75である放電保護部31と配線パターン79である帯電除去部85とを設けるようにする。これにより現金自動取引装置1は、構造を複雑化させることなく静電気が紙幣検知センサ35に放電されることを防止し、静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止できると共に、搬送部24の近傍に配された電子機器に紙幣から静電気が流れこむことを防止でき、静電気による電子機器の誤動作及び破損を防止できる。
[2.第2の実施の形態]
[2−1.現金自動取引装置及び紙幣入出金機の構成]
図1及び図2に示すように、第2の実施の形態による現金自動取引装置101の紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1の紙幣入出金機10と比べて、入出金部116が入出金部16と、搬送部124が搬送部24と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
[2−2.入出金部の構成]
図11及び図12に示すように、入出金部116は、入出金部16と比べて、放電保護部31に替えて帯電除去部33が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
[2−3.帯電除去部の構成]
図11及び図12に示すように、下側サイドガイド138Lの右側面の表面には、銅箔である配線パターン175Lがメッキ処理により形成されている。配線パターン175Lは、下側サイドガイド138Lの上端面の右端部から下方向に延び、下端部が下側サイドガイド138Lの下端面に沿って下側サイドガイド138Lの左端面の下端部まで配設され、フレーム30の下側部30Dと接触している。これにより配線パターン175Lは、フレーム30と電気的に接続されている。配線パターン175Rは、配線パターン175Lと左右対称に構成されており、フレーム30と電気的に接続されている。以下では配線パターン175L及び175Rをまとめて配線パターン175とも呼ぶ。
ビルプレス142には、ビルプレスアーム部143Lにおいて下側サイドガイド138Lの上端面と対向する下端面から、ビルプレス142の後側面を介し、ビルプレスアーム部143Rにおいて下側サイドガイド138Rの上端面と対向する下端面までに亘って、銅箔であり直線形状の配線パターン86が形成されている。以下では下側サイドガイド138L及び138Rをまとめて下側サイドガイド138とも呼ぶ。これによりビルプレス142は、配線パターン86と下側サイドガイド138の配線パターン175とが、ビルプレス142の位置に拘らず、常に接触している。
プールガイド144にも、ビルプレス142と同様に、プールガイドアーム部145Lにおいて下側サイドガイド138Lの上端面と対向する下端面から、プールガイド144の後側面を介し、プールガイドアーム部145Rにおいて下側サイドガイド138Rの上端面と対向する下端面までに亘って、銅箔であり直線形状の配線パターン88が形成されている。これによりプールガイド144は、配線パターン88と下側サイドガイド138の配線パターン175とが、プールガイド144の位置に拘らず、常に接触している。
この配線パターン86及び88と配線パターン175とフレーム30とにより、紙幣やビルプレス142やプールガイド144に帯電した静電気を、ビルプレス142の配線パターン86と、プールガイド144の配線パターン88から下側サイドガイド138の配線パターン175を介しフレーム30へ放電させる帯電除去部33が形成されている。
かかる構成において、現金自動取引装置1が分離動作及び集積動作を繰り返すと、紙幣、プールガイド144及びビルプレス142が帯電していく。このときビルプレス142に帯電された静電気は、配線パターン86から下側サイドガイド138の配線パターン175へ放電される。またこのときプールガイド144に帯電された静電気は、配線パターン88から下側サイドガイド138の配線パターン175へ放電される。
このため紙幣、プールガイド144及びビルプレス142に帯電された静電気は、配線パターン86及び88それぞれから配線パターン175を介しフレーム30へ放電される。これにより紙幣、プールガイド144及びビルプレス142は除電される。これにより現金自動取引装置101は、繰出部66及び集積部67に近接する位置に配された電子機器である紙幣検知センサ35に紙幣、プールガイド144及びビルプレス142から静電気が流れることを防止でき、静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止できる。
[2−4.搬送部の構成]
図13に示すように、搬送部124は、搬送部24と比べて、帯電除去部185が帯電除去部85と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dのガイド側面78には、銅箔である配線パターン179がメッキ処理により直接形成されている。配線パターン179は、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dのガイド側面78において紙幣BLの搬送方向に沿って直線部179Sが配設されており、当該直線部179Sの一端に円形のグラウンド接続部179Gが形成されている。上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dは、グラウンド接続部179Gにおいて螺子84により入出金機筐体11(図2)に螺子止めされている。これにより配線パターン179は、入出金機筐体11と電気的に接続されている。
また配線パターン179は、紙幣搬送空間77に向かうに連れて先細りとなり先端が尖った突出部179Pが、紙幣BLの搬送方向に沿って所定間隔で複数本並んで直線部179Sから紙幣搬送空間77に向かって上側搬送面76AU及び下側搬送面76ADの側方まで伸びている。
この配線パターン179及び入出金機筐体11により、紙幣BLに帯電した静電気を、配線パターン179を介し入出金機筐体11へ放電させる帯電除去部185が形成されている。
かかる構成において、紙幣BLが搬送部24を搬送され当該紙幣BLが配線パターン179の突出部179Pに接触すると、紙幣BLから電荷が配線パターン179へ移動し、グラウンド接続部179Gから螺子84を介し入出金機筐体11へ移動する。
このため紙幣BLに帯電された静電気は、配線パターン179及び螺子84を介し入出金機筐体11へ放電される。これにより紙幣BLは除電される。これにより現金自動取引装置1は、搬送部24の近傍に配されたセンサ等の電子機器に紙幣BL及び上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dから静電気が流れこむことを防止でき、静電気による電子機器の誤動作及び破損を防止できる。
[2−5.効果]
従来の現金自動取引装置において、導電性ケーブルをビルプレス及びプールガイドとフレームとに接続することにより、ビルプレス及びプールガイドからフレームへ電荷を逃がすことも考えられる。しかしながらその場合、導電性ケーブルを別途追加しなくてはいけなくなってしまい、構成が複雑化してしまう共に、ビルプレス及びプールガイドが移動した際に当該導電性ケーブルが他の機構と干渉しないように導電性ケーブルを引き回す必要があるため、実質的に導電性ケーブルをビルプレス及びプールガイドに接続することは困難であった。
これに対し現金自動取引装置101は、元々存在する下側サイドガイド138に配線パターン175をメッキ処理で形成し当該配線パターン175と入出金機筐体11とを接触させると共に、ビルプレス142及びプールガイド144に配線パターン86及び配線パターン88をそれぞれメッキ処理で形成し当該配線パターン86及び88と配線パターン175とを接触させるだけで、ビルプレス142及びプールガイド144に帯電した電荷を入出金機筐体11へ移動させることができる。これにより現金自動取引装置1は、構成の複雑化とコストアップとを抑止しつつ、移動する機構であるビルプレス142及びプールガイド144の除電を行うことができる。
また、従来の現金自動取引装置において移動するビルプレス及びプールガイドを除電する場合、当該ビルプレス及びプールガイドが、移動経路上における所定位置に来た場合にのみフレームと接触するような構造にすることも考えられるが、その場合、ビルプレス及びプールガイドの移動経路における位置に拘らず常に当該ビルプレス及びプールガイドから静電気を逃がすことはできなかった。
これに対し現金自動取引装置101は、ビルプレス142及びプールガイド144の位置に拘らず当該ビルプレス142及びプールガイド144の配線パターン86及び88を下側サイドガイド138の配線パターン175に常に接触させることにより、ビルプレス142及びプールガイド144が帯電した静電気を常にフレーム30に放電させることができる。これにより現金自動取引装置101は、可動するビルプレス142及びプールガイド144を常にフレーム30と導通させ、ビルプレス142とプールガイド144の電荷を帯電量が増大する前にフレーム30に逃すことができる。
また現金自動取引装置101は、ビルプレスアーム部143において下側サイドガイド138の上端面と対向する下端面に配線パターン86を形成するようにした。ここで、ビルプレスアーム部143は重力の影響で下方向に向かうため、上側サイドガイド36に対するビルプレスアーム部143の接触力よりも下側サイドガイド138に対するビルプレスアーム部143の接触力の方が強くなる。これにより現金自動取引装置101は、ビルプレスアーム部143と上側サイドガイド36との対向する面に配線パターンを形成する場合よりも、ビルプレスアーム部143に帯電した電荷を確実に逃すことができる。プールガイド144においても同様である。
また現金自動取引装置101は、現金自動取引装置1と比べて、除電ブラシ81を搬送部24に別途追加することなく、搬送される紙幣BLに近接する突出部179Pを上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dの配線パターン179に形成するだけで、紙幣BLを除電することができる。
その他第2の実施の形態による帯電除去部33及び帯電除去部185は、第1の実施の形態による放電保護部31及び帯電除去部85とほぼ同様の作用効果を奏する。
以上の構成によれば、現金自動取引装置101は、紙幣に関する取引を受け付ける顧客応対部3と、移動する紙幣の近傍において当該紙幣を支持し成形により形成されたビルプレス142、プールガイド144、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dと、当該ビルプレス142、プールガイド144、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dの近傍に設けられた導電性のフレーム30及び入出金機筐体11と、ビルプレス142、プールガイド144、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dの表面に形成された導体でありフレーム30及び入出金機筐体11と電気的に接続され、帯電した紙幣から移動した電荷をフレーム30及び入出金機筐体11へ放電する配線パターン86、88及び175である帯電除去部33と配線パターン179である帯電除去部185とを設けるようにする。これにより現金自動取引装置101は、構造を複雑化させることなく静電気が紙幣検知センサ35に放電されることを防止し、静電気による紙幣検知センサ35の誤動作及び破損を防止できると共に、搬送部24の近傍に配された電子機器に紙幣BLから静電気が流れこむことを防止でき、静電気による電子機器の誤動作及び破損を防止できる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、配線パターン75とフレーム30とを物理的に接触させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、配線パターン75とフレーム30とは、物理的に接触せず、配線パターン75からフレーム30へ放電可能な程度に近接しているだけでも良い。第2の実施の形態においても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、ビルプレス42及びプールガイド44を、導電性樹脂で成形する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ビルプレス42及びプールガイド44を絶縁性の樹脂で成形しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、円形部75C及び導通部75Sで配線パターン75を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、下側サイドガイド38において紙幣検知センサ35の光軸を通過させる孔部41Lの近傍に形成され、紙幣BL、ビルプレス42又はプールガイド44から紙幣検知センサ35に向かって移動する電荷が紙幣検知センサ35よりも先に到達する、種々の形状の配線パターンで良い。この場合、円形部75Cのように、孔部41を取り囲むように配線パターンが形成されている方がより一層紙幣検知センサを放電から保護することができる。
さらに上述した第2の実施の形態においては、ビルプレスアーム部143Lにおいて下側サイドガイド138Lの上端面と対向する下端面から、ビルプレス142の後側面を介し、ビルプレスアーム部143Rにおいて下側サイドガイド138Rの上端面と対向する下端面までに亘って配線パターン86を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ビルプレス142の後側面には配線パターン86を形成しなくても良い。またビルプレスアーム部143L又は143Rの何れか一方にのみ、配線パターン179と接触する配線パターン86を形成しても良い。要は、ビルプレス142と下側サイドガイド138とを配線パターンで電気的に接続できれば良い。プールガイド144についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、下側サイドガイド138の上端面に上端部の高さが揃うよう配線パターン175を下側サイドガイド138の内壁面に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、下側サイドガイド138の上端面に沿って当該下側サイドガイド138の外壁面に向かって配線パターン175を形成しても良い。この場合、配線パターン86及び88が配線パターン175とより一層接触し易くなるため、より確実に配線パターン86及び88から配線パターン175へ電荷を移動させることができる。
さらに上述した実施の形態においては、紙幣検知センサ35Lを1個設け、当該紙幣検知センサ35Lに対し放電保護部31を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣検知センサ35Lを複数個設け、複数個の当該紙幣検知センサ35Lそれぞれに対し放電保護部31を設けても良い。紙幣検知センサ35Rについても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dの両方に帯電除去部85を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、上側搬送ガイド76U又は下側搬送ガイド76Dの何れか一方のみに帯電除去部85を設けても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態における入出金部16の放電保護部31と、入出金部116の帯電除去部33と、搬送部24の帯電除去部85と、搬送部124の帯電除去部185とを、適宜組み合わせて良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、入出金部16に放電保護部31を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、一時保留部20、取忘れ庫22、紙幣収納庫26やリジェクト庫28等、紙幣BLが周囲の機構と擦れながら搬送される箇所に対し、放電保護部を設けても良い。第2の実施の形態による帯電除去部33においても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、紙幣を取引する現金自動取引装置1及び101において本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば債権、証書、商品券、金券や入場券等のような薄い紙状の媒体を取り扱う種々の装置に適用しても良い。また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。
さらに上述した実施の形態においては、入金取引及び出金取引を行う現金自動取引装置に本発明を適用する場合について述べたが、入金取引又は出金取引の何れか一方のみを行う装置に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、成形品としての下側サイドガイド38又は、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dと、フレームとしてのフレーム30又は入出金機筐体11と、除電部としての放電保護部31又は帯電除去部85とによって、帯電防止機構としての入出金部16又は搬送部24を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる成形品と、フレームと、除電部とによって、帯電防止機構を構成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、顧客応対部としての顧客応対部3と、成形品としての下側サイドガイド38又は、上側搬送ガイド76U及び下側搬送ガイド76Dと、フレームとしてのフレーム30又は入出金機筐体11と、除電部としての放電保護部31又は帯電除去部85とによって、媒体取引装置としての現金自動取引装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる顧客応対部と、成形品と、フレームと、除電部とによって、媒体取引装置を構成しても良い。