JPWO2016031063A1 - 分析方法、分析装置及び分析プログラム - Google Patents

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Abstract

フタル酸エステルをそれに電磁波を照射して得られるスペクトルから判別する。異種のフタル酸エステル、例えば(DEHP)と(DINP)を、金属板上に設けた(PVC)等の一対の所定下地膜にそれぞれ付着させ、異種のフタル酸エステルが異なる状態をとっている第1試料及び第2試料を準備する。準備した第1試料及び第2試料にそれぞれ電磁波を照射し、金属反射(IR)スペクトル(P)及び金属反射(IR)スペクトル(Q)を取得する。異種のフタル酸エステルについて、有意な差のあるスペクトルが得られ、また、そのようなスペクトルを用い、フタル酸エステル類の種類の判別が行えるようになる。

Description

本発明は、分析方法、分析装置及び分析プログラムに関する。
フタル酸エステルは、例えば、ケーブル被覆材に用いられるポリ塩化ビニル等の樹脂製品の可塑剤に使用される。可塑剤に使用されるフタル酸エステルとしては、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(Di(2-EthylHexyl)Phthalate;DEHP)、フタル酸ジブチル(DiButyl Phthalate;DBP)、フタル酸ブチルベンジル(ButylBenzyl Phthalate;BBP)、フタル酸ジイソノニル(DiIsoNonyl Phthalate;DINP)等がある。
このようなフタル酸エステルのうち、DEHP、DBP、BBPの3種類は、欧州REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and restriction of CHemicals)規制では、高懸念物質(Substance of Very High Concern;SVHC)に挙げられた経緯がある。また、この3種類は、電子及び電気機器への特定有害物質の使用を制限するRoHS(Restrictions of the certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)指令では、規制候補物質に挙げられた経緯がある。
上記のようなケーブル被覆材等の製品中に含まれるフタル酸エステルの分析に、ガスクロマトグラフ質量分析法や液体クロマトグラフ質量分析法に比べて時間的或いはコスト的に有利となり得る分光分析法を用いる技術が知られている。例えば、ケーブル被覆材を加熱して発生させた蒸気を基板上に捕集した試料を用い、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform - InfraRed spectroscopy;FT−IR)でその試料のIRスペクトルを測定し、フタル酸エステルの有無を分析する技術が知られている。
特開2012−154718号公報
これまでの分光分析技術では、測定されるスペクトルからフタル酸エステルの有無を判別することはできる。しかし、フタル酸エステルは、異なる種類であってもそれらのスペクトルに有意な差が現れ難い。そのため、測定されるスペクトルからフタル酸エステルの種類の判別、例えばRoHS指令で規制候補とされたDEHPなのか規制候補とされなかったDINPなのかといった種類の判別を、精度良く行うことが難しい場合がある。
本発明の一観点によれば、第1フタル酸エステル及び第2フタル酸エステルを、一対の第1下地膜及び第2下地膜にそれぞれ付着させ、前記第1フタル酸エステル及び前記第2フタル酸エステルが互いに異なる状態をとっている第1試料及び第2試料を準備する工程と、前記第1試料及び前記第2試料にそれぞれ電磁波を照射し、第1スペクトル及び第2スペクトルを取得する工程とを含む分析方法が提供される。例えば、この分析方法は更に、前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する判定対象物質を、前記第1下地膜及び前記第2下地膜と同種の第3下地膜に付着させた第3試料を準備する工程と、前記第3試料に電磁波を照射し、第3スペクトルを取得する工程と、前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルを用いて、前記判定対象物質の、前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する工程とを含む。
また、本発明の一観点によれば、分析に用いる分析装置及び分析プログラムが提供される。
開示の技術によれば、異種のフタル酸エステルについて、有意な差のあるスペクトルを取得することが可能になる。また、そのようなスペクトルを用い、フタル酸エステル類の種類を精度良く判別することが可能になる。
本発明の目的、特徴及び利点は、本発明の例として好ましい実施の形態を表す添付の図面と関連した以下の説明により明らかになるであろう。
異種フタル酸エステルのATR−IRスペクトルの一例を示す図(その1)である。 異種フタル酸エステルの金属反射IRスペクトルの一例を示す図である。 異種フタル酸エステルの分析フローの一例を示す図である。 下地膜の準備ステップの説明図である。 滴下法を用いたフタル酸エステルの付着ステップの説明図である。 蒸気捕集法を用いたフタル酸エステルの付着ステップの説明図である。 金属反射IRスペクトルの測定ステップの説明図である。 異種フタル酸エステルをそれぞれ下地膜に付着させた試料の金属反射IRの差スペクトル(下地膜のスペクトルを差し引いたもの)の一例を示す図である。 異種フタル酸エステルのATR−IRスペクトルの一例を示す図(その2)である。 異種フタル酸エステルをそれぞれ下地膜に付着させた試料のATR−IRの差スペクトル(下地膜のスペクトルを差し引いたもの)の一例を示す図(その1)である。 異種フタル酸エステルのATR−IRスペクトルの別例を示す図(その3)である。 異種フタル酸エステルをそれぞれ下地膜に付着させた試料のATR−IRの差スペクトル(下地膜のスペクトルを差し引いたもの)の一例を示す図(その2)である。 下地膜に付着させたフタル酸エステルがとり得る状態の説明図である。 分析装置の一例を示す図である。 分析処理フローの一例を示す図(その1)である。 分析処理フローの一例を示す図(その2)である。 IRスペクトルのピークとその帰属を示す図である。 判定基準テーブルの一例を示す図である。 判定対象テーブルの一例を示す図(その1)である。 判定対象テーブルの一例を示す図(その2)である。 コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。 IRスペクトルの一例を示す図(その1)である。 IRスペクトルの一例を示す図(その2)である。 IRスペクトルの一例を示す図(その3)である。
まず、フタル酸エステルの分析技術の例について述べる。
フタル酸エステルの検出方法の1つに、全反射(Attenuated Total Reflection;ATR)FT−IR法(以下、ATR法という)を用いる方法がある。例えば、ポリ塩化ビニルを用いたケーブル被覆材等の製品では、そのポリ塩化ビニルの可塑剤として、DEHPやDINP等のフタル酸エステルが用いられる場合がある。ATR法では、そのような製品中のフタル酸エステルの有無を、製品を破壊せずに検出することができる。
フタル酸エステルの検出方法には、このようなATR法のほか、ガスクロマトグラフ質量分析法や液体クロマトグラフ質量分析法もある。溶媒を用いて製品試料から成分を抽出し、その抽出液をガスクロマトグラフ質量分析法や液体クロマトグラフ質量分析法を用いて分析する。
このようなガスクロマトグラフ質量分析法や液体クロマトグラフ質量分析法を用いた分析法は、薬品を使用した化学的な処理や、高額な分析装置及び処理設備を要し、また、分析結果を得るまでに比較的長時間を要する。更に、分析結果の解析(フタル酸エステルの同定)に高度な技術を要する場合もある。そのため、製造工場の製品受け入れ検査等に採用することは難しい場合がある。また、ケーブル被覆材等の製品中には、可塑剤のほかにも様々な添加剤が含まれ得るため、製品を直接分析するとフタル酸エステルの検出精度が低下してしまう場合がある。
これに対し、上記のATR法では、製品を非破壊で直接分析することができ、比較的容易に短時間でフタル酸エステルを検出することができる。
但し、ATR法を用いる分析では、製品中のフタル酸エステルの有無は判別することができるものの、検出されたフタル酸エステルの種類を判別することが難しい場合がある。
ここで、ATR法で取得される異種フタル酸エステルのIRスペクトル(以下では、ATRスペクトル、ATR−IRスペクトル等とも言う)の一例を図1に示す。
図1には、式(1)の構造を有するDEHP(C24384)と、式(2)に示す構造を有するDINP(C26424)の、2種類のフタル酸エステルのATRスペクトルを例示している。図1では、DEHPのATRスペクトルを点線で、DINPのATRスペクトルを実線で、それぞれ図示している。
Figure 2016031063
Figure 2016031063
フタル酸エステルの有無は、例えば、この図1に示すようなATRスペクトルの、フタル酸エステルに特徴的な1,2−置換ベンゼン環由来の波数1600cm-1、1580cm-1のピーク(Z部)を基に、判別することができる。
しかしながら、図1に示すように、DEHPとDINPのATRスペクトル間には、それらを識別できるような有意な差が現れない。そのため、ATRスペクトルからは、DEHPとDINPのどちらか一方又は双方の有無は判別できても、DEHPとDINPのどちらなのかを精度良く判別することが難しい。
ここではDEHPとDINPを例にしたが、同様に可塑剤として用いられるDBP、BBPといった他のフタル酸エステルも含め、異種のフタル酸エステルのATRスペクトル間には有意な差が現れない。そのため、ATRスペクトルからフタル酸エステルの種類を判別することが難しい。尚、DBP(C16224)の構造を式(3)に、BBP(C19204)の構造を式(4)に、それぞれ示す。
Figure 2016031063
Figure 2016031063
フタル酸エステルであるDEHP、DBP、BBP、DINPのうち、DINPを除いたDEHP、DBP、BBPの3種類は、例えばRoHS指令で規制候補に挙げられた経緯がある。ATR法では、ATRスペクトルによってフタル酸エステルの検出の有無は判別可能でも、検出されたフタル酸エステルが、そのような規制候補のフタル酸エステルなのか、規制候補ではないフタル酸エステルなのかを判別することが難しい。
FT−IR法には、上記のようなATR法のほかにも、アルミニウム等の金属板上の測定対象物に所定角度で赤外線を照射してIRスペクトルを得る反射法(以下、金属反射法という)がある。
ここで、金属反射法で取得される異種フタル酸エステルのIRスペクトル(以下、金属反射IRスペクトルという)の一例を図2に示す。
図2には、アルミニウム板上に直接DEHPの標準物質約0.1mgを付着させた試料の金属反射IRスペクトルP0(点線)と、アルミニウム板上に直接DINPの標準物質約0.1mgを付着させた試料の金属反射IRスペクトルQ0(実線)を例示している。用いたアルミニウム板の表面反射率は85%である。各試料の金属反射IRスペクトルP0,Q0はそれぞれ、アルミニウム板上のDEHP、DINPに入射角30°で赤外線を照射することで得ている。
図2に示すように、直接アルミニウム板上に付着させたDEHPとDINPの金属反射IRスペクトルP0,Q0には、上記のATRスペクトルと同様に、DEHPとDINPとを判別できるような有意な差が現れない。
ここではDEHPとDINPを例にしたが、DBP、BBPといった他のフタル酸エステルも含め、直接アルミニウム板上に付着させた異種のフタル酸エステルの金属反射IRスペクトルには識別可能な有意な差が現れない。フタル酸エステルをアルミニウム板上に直接付着させた試料について得られる金属反射IRスペクトルを、フタル酸エステルの種類の判別に用いることは難しい。
以上のような点に鑑み、FT−IR法を用いて異種のフタル酸エステルを精度良く識別、判別可能な手法について、以下、詳細に説明する。
図3は異種フタル酸エステルの分析フローの一例を示す図である。図4〜図7は異種フタル酸エステルの分析フローの一例における各ステップの説明図である。
ここでは、上記のように金属板上に直接フタル酸エステルを付着させず、金属板上に設けた所定の下地膜上にフタル酸エステルを付着させ、金属反射法によって金属反射IRスペクトルを得る分析方法を用いる。
図4は下地膜の準備ステップの説明図である。
この分析方法では、まず、図4に示すように、金属板10上に、フタル酸エステルを付着させる下地膜20を設ける(図3;ステップS1)。
金属板10には、下地膜20を設ける側の表面10aが所定の反射率(例えば60%以上)を有するものが用いられる。金属板10には、このような所定の表面反射率を有するアルミニウム板、ステンレス板等を用いることができる。
下地膜20には、極性を有する有機膜が用いられる。このような有機膜として、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)を用いることができる。
フタル酸エステルは、PVCのほか、PVDCやPVAcの可塑剤としても利用可能である。フタル酸エステルを可塑剤として利用可能な材料は、下地膜20として利用し得る。また、フタル酸エステルは、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、ウレタン、天然ゴム等の可塑剤としても利用可能であり、これらの材料もまた下地膜20として利用し得る。
下地膜20は、例えば、上記のようなPVC、PVDC、PVAc等の有機材料を含む溶液を金属板10上にスピナー法を用いて塗布することで、形成することができる。このほか、下地膜20は、スプレー法、ディップ法等を用いて金属板10上に形成することもできる。
金属板10上に設ける下地膜20の膜厚は、例えば、2μmとすることができる。尚、下地膜20の膜厚は2μmに限定されるものではなく、例えば、0.1μm〜10μmといった一定の範囲に設定することができる。下地膜20が薄過ぎると、付着する異種のフタル酸エステルに後述のような配向状態の差が生じず、測定される金属反射IRスペクトル間に差が生じない恐れがある。また、下地膜20が厚過ぎると、金属反射IRスペクトルの測定時に生じる光の干渉によって良好な金属反射IRスペクトルが得られない恐れがある。例えば、このような点を考慮して、金属板10上に設ける下地膜20の膜厚を調整する。
上記のように金属板10上に所定の下地膜20を設けたものを一対準備し、各々の下地膜20に、種類が既知である異種のフタル酸エステルをそれぞれ付着させる(図3;ステップS2)。
図5及び図6はフタル酸エステルの付着ステップの説明図であって、図5は滴下法を用いたフタル酸エステルの付着ステップの説明図、図6は蒸気捕集法を用いたフタル酸エステルの付着ステップの説明図である。
下地膜20へのフタル酸エステルの付着は、例えば、図5に示すような滴下法、図6に示すような蒸気捕集法を用いて、行うことができる。
滴下法では、図5に示すように、ディスペンサ、ピペット等の滴下装置100を用いて、フタル酸エステルとその溶媒を含むフタル酸エステル溶液110を滴下することで、金属板10上の下地膜20にフタル酸エステルを付着させる。尚、フタル酸エステル溶液110には、所定の溶媒に所定のフタル酸エステルを溶解して調製したものや、市販の標準品を用いることができる。
例えば、このような滴下法を用いて、一対の金属板10上に設けた各下地膜20に、異種のフタル酸エステルをそれぞれ付着させる(後述の試料360)。
また、蒸気捕集法では、例えば、図6(A)〜図6(C)に示すようにしてフタル酸エステルの付着が行われる。図6(A)は蒸気捕集装置が備える部材の説明図、図6(B)は蒸気捕集装置200による蒸気捕集の第1工程の説明図、図6(C)は蒸気捕集装置200による蒸気捕集の第2工程の説明図である。
蒸気捕集装置200は、図6(A)に示すように、載置部210、保持部220及びダクト230を有する。
載置部210には、フタル酸エステルを含有する試料250が載置される。試料250には、フタル酸エステルを含有するケーブル被覆材等の製品や、フタル酸エステルを含有する溶液を用いることができる。載置部210は、加熱、或いは加熱と冷却が可能な温度調整機構を備え、その温度調整機構を用いて、載置される試料250の温度を調整する。
保持部220は、フタル酸エステルの蒸気捕集時に載置部210に対向して配置される。保持部220には、下地膜20を設けた金属板10が、その下地膜20の配設面側を載置部210側に向けて、保持される。金属板10は、例えば、下地膜20の配設面と反対側の裏面10bを吸引されて保持部220に保持される。保持部220には、加熱、或いは加熱と冷却が可能な温度調整機構を設けてもよく、その温度調整機構を用いて、保持する金属板10上の下地膜20の温度を調整するようにしてもよい。
ダクト230は、フタル酸エステルの蒸気捕集時に載置部210と保持部220の間に設けられる。ダクト230は、その管壁で、載置部210に載置される試料250を囲むように配置され、蒸気捕集時には、このように試料250を囲むダクト230の上端側が、保持部220に保持された金属板10上の下地膜20で閉塞される。
フタル酸エステルの蒸気捕集を行う際は、図6(B)に示すように、載置部210上に設けられるダクト230の内側に、フタル酸エステルを含有する試料250を載置する。また、図6(B)に示すように、下地膜20を設けた金属板10を、保持部220で保持する。
試料250にケーブル被覆材等の製品を用いる場合には、例えば、まず載置部210及びダクト230の上方から保持部220を退避させた状態で、載置部210の温度調節機構を用いて試料250を所定時間(例えば1分)、所定温度(例えば180℃)で加熱する。これにより、フタル酸エステルと共に試料250に含有されている着色剤等の添加物であって、所定の加熱温度で気化する添加物を蒸発させる。尚、試料250の製品中にフタル酸エステル以外の添加物が含有されていない場合、或いは添加物が以後の測定に影響しない程度の含有量である場合等には、図6(B)に示すような加熱(蒸発)工程を必ずしも行うことを要しない。
次いで、載置部210及びダクト230の上方に、下地膜20を設けた金属板10を保持する保持部220を移動させ、図6(C)に示すように、下地膜20でダクト230の上端側を閉塞する。
この状態で、載置部210の温度調節機構を用い、試料250に含有されるフタル酸エステルが蒸発する温度で所定時間加熱し、試料250から発生するフタル酸エステルの蒸気を、金属板10上の下地膜20に付着させる。ダクト230は、試料250から蒸発するフタル酸エステルの、周辺への拡散を抑え、下地膜20への捕集効率を高める役割を果たす。
例えば、このような蒸気捕集法を用いて、一対の金属板10上に設けた各下地膜20に、異種のフタル酸エステルをそれぞれ付着させる(後述の試料360)。
上記のようにして異種のフタル酸エステルをそれぞれ金属板10上の下地膜20に付着させた試料について、金属反射法により、金属反射IRスペクトルを測定する(図3;ステップS3)。
図7は金属反射IRスペクトルの測定ステップの説明図である。
図7に示す測定装置300は、分光器310、試料室320、赤外検出器330、AD変換器340及びフーリエ変換処理部350を備えている。
分光器310は、赤外線の光源から波長に従って分光し、干渉光を出射する。試料室320には、前述した金属板10上の下地膜20にフタル酸エステルを付着させた試料360が配置される。分光器310から出射された干渉光は、試料360の下地膜20に一定の入射角(例えば30°)で照射される。干渉光は、下地膜20を通り、金属板10の表面10aで反射され、再び下地膜20を通って試料360の外部に放射される。
赤外検出器330は、このように入射されて試料360の外部に放射される干渉光を検出する。AD変換器340は、赤外検出器330からのアナログ信号(インターフェログラム)をデジタル化する。フーリエ変換処理部350は、AD変換器340でデジタル化されたデータをフーリエ変換し、波数成分に対する吸光度、即ち金属反射IRスペクトルを生成する。
このような測定装置300を用い、異種のフタル酸エステルをそれぞれ金属板10上の下地膜20に付着させた試料360の金属反射IRスペクトルを得る。
図8は異種フタル酸エステルをそれぞれ下地膜に付着させた試料の金属反射IRスペクトルの一例を示す図である。
図8には、DEHPを金属板10上の下地膜20に付着させた試料360の金属反射IRスペクトル(図8のP(点線))と、DINPを金属板10上の下地膜20に付着させた試料360の金属反射IRスペクトル(図8のQ(実線))を例示している。
ここで、試料360の金属板10には、表面反射率85%のアルミニウム板を用い、このアルミニウム板上に下地膜20として膜厚2μmのPVC膜を形成し、このPVC膜にDEHP、DINPの標準物質約0.1mgをそれぞれ滴下法で付着させている。このようにDEHP、DINPを付着させてから一定時間(5分)が経過したこれらの試料360について、上記のような構成を有する測定装置300を用い、それぞれの金属反射IRスペクトルを得ている。DEHP、DINPをそれぞれ付着させた試料360に照射する赤外線の入射角は30°としている。
図8の金属反射IRスペクトルP,Qの取得にあたり、DEHP、DINPを付着させていない試料(アルミニウム板上にPVC膜を膜厚2μmで形成したもの)について、同様に赤外線を入射角30°で照射し、ブランクの金属反射IRスペクトルを得ている。このブランクの金属反射IRスペクトルを、DEHP、DINPをそれぞれ付着させた試料360について得られた各金属反射IRスペクトルからそれぞれ差し引き、差スペクトルを得ている。図8には、このようにして2種類の試料360についてそれぞれ得られた差スペクトルのベースラインを揃え、金属反射IRスペクトルP,Qとして図示している。尚、図8に示す基準ピークについては後述する。
図8に示すように、DEHPをアルミニウム板上のPVC膜に付着させた試料360の金属反射IRスペクトルPと、DINPをアルミニウム板上のPVC膜に付着させた試料360の金属反射IRスペクトルQとの間には、差が認められる。金属反射IRスペクトルP,Q間には、単純な相似形の差ではなく、ピーク位置によって互いの吸光度の大小関係が反転するような差が認められる。
上記図2に示したように、アルミニウム板上に直接DEHPを付着させた試料の金属反射IRスペクトルP0と、アルミニウム板上に直接DINPを付着させた試料の金属反射IRスペクトルQ0との間には、それらを識別可能な有意な差は現れない。これに対し、DEHP、DINPをPVC膜に付着させると、図8に示すように、ピーク位置は変化せず、所定ピーク位置の吸光度(ピーク強度)が変化し、DEHPとDINPの金属反射IRスペクトルP,Q間に、それらを識別可能な有意な差が現れるようになる。
図8には、異種フタル酸エステルとしてDEHPとDINPを用い、下地膜20としてPVC膜を用いた場合の金属反射IRの差スペクトル(下地膜のスペクトルを差し引いたもの)を例示した。このほか、DEHPとBBP、DEHPとDBP、DINPとDBPといった組み合わせの異種フタル酸エステルをPVC膜に付着させた場合も同様に、それらのIRスペクトルに有意な差を認めることができる。
図9〜図12は異種フタル酸エステルのATR−IRスペクトルの一例を示す図である。ここでは、DEHPとDBPのIRスペクトルの一例を図9及び図10に、DINPとDBPのIRスペクトルの一例を図11及び図12に、それぞれ示す。
ここで、図9はDEHP及びDBPをそれぞれATR上に直接付着させた試料のIRスペクトルの一例、図10はDEHP及びDBPをそれぞれアルミニウム板上のPVC膜に付着させた試料のATR−IRの差スペクトルの一例である。また、図11はDINP及びDBPをそれぞれATR上に直接付着させた試料のIRスペクトルの一例、図12はDINP及びDBPをそれぞれアルミニウム板上のPVC膜に付着させた試料のATR−IRの差スペクトルの一例である。尚、図10及び図12には、アルミニウム板上のPVC膜について得られたブランクの金属反射IRスペクトルを差し引いたものを示している。
図9及び図10より、DEHPとDBPでは、ATR上に直接付着させた場合(図9)に比べて、アルミニウム板上のPVC膜に付着させた場合(図10)の方が、両者のIRスペクトル間の差がより明確になる。図11及び図12より、DINPとDBPでも同様に、ATR上に直接付着させた場合(図11)に比べて、アルミニウム板上のPVC膜に付着させた場合(図12)の方が、両者のIRスペクトル間の差がより明確になる。このように、PVC膜に付着させることで、異種フタル酸エステルのIRスペクトル間に、識別可能な有意な差を発現させることが可能になる。
上記のように異種のフタル酸エステルを直接測定してもIRスペクトルには差が生じない一方、所定の下地膜に付着させるとIRスペクトルに差が生じるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
ここで、図13は下地膜に付着させたフタル酸エステルがとり得る状態の説明図である。
PVC膜のような有機膜を下地膜とし、これにフタル酸エステルを付着させた場合、フタル酸エステルは、下地膜表面に付着し(ステップS10)、更に下地膜表面から下地膜内部に取り込まれ(吸収され)得る(ステップS11)。フタル酸エステルが下地膜内部に吸収される速度は、フタル酸エステルの種類によって異なってくる。そのため、フタル酸エステルの種類によって、下地膜表面に付着後、比較的多量のフタル酸エステルが下地膜表面に残存したり、比較的多量のフタル酸エステルが下地膜内部に吸収されたりする。
一方、フタル酸エステル分子は、単独で存在する状態や下地膜内部に吸収された状態では無配向であるが、下地膜表面に付着している状態では配向している可能性がある。IRスペクトルを得る際、フタル酸エステル分子が無配向の状態と配向している状態とでは、偏光の影響により、ピーク位置は同じでもピーク強度に差が生じるようになる。
そのため、異種のフタル酸エステルを直接測定しても、それらのフタル酸エステル分子は無配向の状態であり、識別可能な有意な差のあるIRスペクトルを得ることは難しい。しかし、このように無配向の状態ではIRスペクトルの形状が同等の異種のフタル酸エステルであっても、それらを下地膜に付着させる上記方法を用いることで、IRスペクトルの形状に差が生じるようになる。即ち、異種のフタル酸エステルの一方を下地膜内部に吸収させ、他方を下地膜表面に残存させるようにする。これにより、一方が無配向の状態となり、他方が配向の状態となるため、それらのIRスペクトルの形状に差が出てくるようになることが考えられ得る。
下地膜に付着したフタル酸エステルの下地膜内部への吸収、下地膜表面の残存は、前述のようにフタル酸エステルの種類、下地膜に対する吸収速度の違いによって異なってくる。例えば、このような種類、吸収速度の違いを利用して、異種のフタル酸エステルの一方が下地膜内部に吸収され、他方が下地膜表面に残存するような状態を得る。
このような状態を得るために、異種のフタル酸エステルの下地膜への付着(図3;ステップS2)後、下地膜内部への吸収、下地膜表面の残存に差が生じるような一定時間が経過してから、IRスペクトルを取得する(図3;ステップS3)ようにすることができる。例えば、異種のフタル酸エステルの下地膜への付着後、2時間経過してから、IRスペクトルを取得する。取得したIRスペクトル(下地膜のスペクトルを差し引いた差スペクトル)の一例を図22に示す。図22には、下地膜への付着から2時間後に、フタル酸エステルの一方(DEHP)は下地膜内部に吸収されたが、もう一方(DINP)は下地膜表面に残存し、強度に差が生じている状態が示されている。
図23には、下地膜への付着から9日経過後のIRスペクトル(下地膜のスペクトルを差し引いた差スペクトル)の一例を示す。また、図24には、フタル酸エステルをPVCに添加して作製したバルクのPVC試料のIRスペクトル(下地膜のスペクトルを差し引いた差スペクトル)の一例を示す。図23のIRスペクトルは、図24のIRスペクトルとほぼ同様となる。図23には、いずれのフタル酸エステル(DEHP及びDINP)も下地膜中に吸収され、IRスペクトルに違いが見られなくなったことが示されている。
尚、異種のフタル酸エステルの性質により、下地膜への付着後、速やかに下地膜内部への吸収、下地膜表面の残存に差が生じるような場合には、必ずしもこのような一定時間の経過を待ってIRスペクトルを取得することを要しない。
このように、下地膜に付着した異種のフタル酸エステルの種類、吸収速度の違いを利用し、それらの配向状態(配向、無配向)を異ならせることで、異なる形状のIRスペクトルを取得することができる。
また、異種のフタル酸エステルの一方が下地膜内部に吸収され、他方が下地膜表面に残存するような状態を得るためには、次のような手法を用いることもできる。即ち、樹脂中に含まれる異種のフタル酸エステルの判別にも適用できる。
具体的に説明すると、異種のフタル酸エステルの一方が含まれている樹脂、例えば下地膜内部に比較的吸収され易いフタル酸エステルを含んでいる樹脂を、蒸気捕集法で、加熱し、フタル酸エステルを下地膜に捕集する。下地膜の加熱は、上記図6に示した保持部220に温度調節機構を設け、これを用いて加熱することで、行うことができる。下地膜の加熱温度は、その下地膜に用いている材料に基づいて設定する。例えば、下地膜にPVC膜を用いる場合、PVC膜の使用限界温度が60℃、耐熱温度が80℃であることから、30℃〜60℃の範囲になるように下地膜を冷却する。所定の温度に加熱した下地膜に、一方のフタル酸エステルの蒸気を捕集すると、下地膜に付着したそのフタル酸エステルが、その下地内部に浸透(相溶)し易くなる。このようにして、一方のフタル酸エステルを意図的に下地膜内部に吸収させ、無配向の状態とする。
尚、蒸気捕集を行う際、下地膜は常温よりも高い温度に保持され、更に輻射熱がかかるため、滴下法と比べ、フタル酸エステルが吸収され易い。従って、差が生じるまでの時間は、概して滴下法に比べ、短時間になる。
次に、異種のフタル酸エステルの他方が含まれている樹脂、例えば下地膜内部に比較的吸収され難いフタル酸エステルを含んでいる樹脂についても、同様に加熱して下地膜に付着させる。これにより、他方のフタル酸エステルをより下地膜表面に残存させ、配向させた状態とする。
このような手法を用い、異種のフタル酸エステルの配向状態(配向、無配向)を異ならせ、異なる形状の金属反射IRスペクトルを取得することもできる。
以上のような観点から、下地膜には、付着した異種のフタル酸エステルが互いに異なる配向状態をとり得るものを用いる。
所定の下地膜を用いることで、異種のフタル酸エステルについて、識別可能なIRスペクトルを取得することが可能になる。
また、異種のフタル酸エステルの、識別可能なIRスペクトルを用いることで、種類が未知のフタル酸エステルの、その種類の判別、種類が既知のフタル酸エステルとの一致性の判定を行う分析が可能になる。即ち、未知のフタル酸エステルを金属板上の下地膜に付着させた試料を準備し(図3;ステップS4)、その試料の金属反射IRスペクトルを測定する(図3;ステップS5)。そして、得られた金属反射IRスペクトルを、上記ステップS3で得られた2種類の金属反射IRスペクトルとの一致性を判定する(図3;ステップS6)。
このような分析手法について以下に説明する。
まず、分析に用いる分析装置の一例について説明する。
図14は分析装置の一例を示す図である。
図14に示す分析装置400は、スペクトル取得部410、スペクトル処理部420、判定情報生成部430及び一致性判定部440を有している。図14に示す分析装置400は更に、制御部450及び記憶部460を有している。
スペクトル取得部410は、金属板上の下地膜にフタル酸エステルを付着させた試料の金属反射IRスペクトルを取得する。
ここで、スペクトル取得部410は、DEHPとDINPといった種類が既知である異種のフタル酸エステルを、金属板上の下地膜にそれぞれ付着させた試料(第1試料及び第2試料)の、金属反射IRスペクトル(第1金属反射IRスペクトル及び第2金属反射IRスペクトル)を取得する。
更に、スペクトル取得部410は、それら既知のフタル酸エステルとの一致性を判定する対象のフタル酸エステル(判定対象物質)を、金属板上の下地膜に付着させた試料(第3試料)の、金属反射IRスペクトル(第3金属反射IRスペクトル)を取得する。
また、スペクトル取得部410は、金属板上の下地膜にフタル酸エステルを付着させていない試料の金属反射IRスペクトル(ブランク金属反射IRスペクトル)を取得する。
スペクトル取得部410は、例えば、上記第1〜第3金属反射IRスペクトル及びブランク金属反射IRスペクトルの測定機能を備える。このような測定機能は、例えば、上記図7に示したような測定装置300により実現される。測定装置300が用いられ、上記第1〜第3金属反射IRスペクトル及びブランク金属反射IRスペクトルが測定、取得される。
或いは、スペクトル取得部410は、分析装置400の外部で測定装置300等が用いられて測定された上記第1〜第3金属反射IRスペクトル及びブランク金属反射IRスペクトルの各データを受信することで、各金属反射IRスペクトルを取得してもよい。また、金属反射IRスペクトルの代わりに、ATR−IRスペクトルや、スペクトルに違いが生じるその他のあらゆる手法を用いたIRスペクトルを取得してもよい。
金属板上に下地膜を設けた試料としては、上記図4に示したようなものが用いられる。このような試料が用いられ、第1〜第3金属反射IRスペクトルの測定に用いられる第1〜第3試料が準備され、また、ブランク金属反射IRスペクトルが測定される。
第1金属反射IRスペクトルの測定に用いられる第1試料、及び第2金属反射IRスペクトルの測定に用いられる第2試料は、金属板上の下地膜に既知のフタル酸エステルを、上記図5のような滴下法又は上記図6のような蒸気捕集法を用いて付着させ、準備される。例えば、既知のフタル酸エステルを含有する溶液を滴下法で下地膜に付着させ、或いは、その溶液中のフタル酸エステルを蒸気捕集法で下地膜に付着させる。
第3金属反射IRスペクトルの測定に用いられる第3試料は、金属板上の下地膜に判定対象物質のフタル酸エステルを、上記図5のような滴下法又は上記図6のような蒸気捕集法を用いて付着させ、準備される。例えば、判定対象物質のフタル酸エステルを含有する溶液を滴下法で下地膜に付着させ、或いは、その溶液又は固体中のフタル酸エステルを蒸気捕集法で下地膜に付着させる。或いはまた、判定対象物質のフタル酸エステルを含有する溶液やケーブル被覆材等の製品を用い、そのフタル酸エステルを蒸気捕集法で下地膜に付着させる。
スペクトル処理部420は、スペクトル取得部410で取得された第1〜第3金属反射IRスペクトル及びブランク金属反射IRスペクトルを用いた各種処理を実行する。
スペクトル処理部420は、スペクトル取得部410で取得された第1〜第3金属反射IRスペクトルの各々とブランク金属反射IRスペクトルとの差スペクトル(第1〜第3差スペクトル)を生成する。スペクトル処理部420は、第1〜第3金属反射IRスペクトルの各々からブランク金属反射IRスペクトルを差し引くことで、第1〜第3差スペクトルを生成する。
また、スペクトル処理部420は、生成した第1〜第3差スペクトルを規格化する。スペクトル処理部420は、第1差スペクトルと第2差スペクトルを、それらのベースラインと所定のピーク位置(基準ピーク位置)の強度(吸光度)を用いて規格化し、また、第3差スペクトルを、そのベースラインと基準ピーク位置の強度を用いて規格化する。尚、このようなベースラインと基準ピーク位置の強度を用いた規格化については後述する。
更に、スペクトル処理部420は、規格化された第1〜第3差スペクトルに存在する全ての又は所定の一部のピーク位置と、そのピーク位置の強度(ピーク強度)とを抽出する。スペクトル処理部420は、規格化された第1差スペクトルと第2差スペクトルの、強度差のあるピーク位置とそのピーク位置における両スペクトルのピーク強度とを抽出し、また、規格化された第3差スペクトルの、当該ピーク位置におけるピーク強度を抽出する。
判定情報生成部430は、判定対象物質のフタル酸エステルの、既知のフタル酸エステルとの一致性の判定に用いる各種情報を生成する。
例えば、判定情報生成部430は、既知の異種フタル酸エステル(例えばDEHPとDINP)の規格化された第1差スペクトルと第2差スペクトルについてスペクトル処理部420で抽出された、強度差のあるピーク位置における両スペクトルのピーク強度の中間値を算出(生成)する。そして、判定情報生成部430は、一方のフタル酸エステル(例えばDINP)のスペクトルのピーク強度が、算出した中間値に対して大きいか小さいかを正負の符号で表した情報を含むテーブル(判定基準テーブル)を生成する。
また、判定情報生成部430は、判定対象物質の規格化された第3差スペクトルの、規格化された第1差スペクトルと第2差スペクトルについてスペクトル処理部420で抽出されたピーク位置におけるピーク強度から、上記中間値を差し引いた値を算出する。そして、判定情報生成部430は、その差し引いた値の正負(ピーク強度が中間値に対して大きいか小さいか)の情報を含むテーブル(判定対象テーブル)を生成する。
一致性判定部440は、判定情報生成部430で生成された判定基準テーブル及び判定対象テーブルの情報を用い、判定対象物質の、既知のフタル酸エステルとの一致性を判定する。
例えば、一致性判定部440は、判定基準テーブルに含まれる正負の情報と、判定対象テーブルに含まれる正負の情報とを比較する。そして、互いの正負が一致するか否かに基づき、判定対象物質が、既知の異種フタル酸エステル(例えばDEHPとDINP)のいずれと一致するか、いずれとどの程度の確率で一致するか、いずれとも一致しないか、といった判定を行う。
分析装置400において、スペクトル取得部410、スペクトル処理部420、判定情報生成部430及び一致性判定部440の各処理機能は、制御部450によって制御される。
分析装置400は、スペクトル取得部410、スペクトル処理部420、判定情報生成部430及び一致性判定部440の各処理に用いられる各種データや各処理で得られる各種データを記憶する記憶部460を備える。また、分析装置400、そのような各種データを出力する、表示装置等の出力部を備えてもよい。
続いて、上記のような構成を有する分析装置400を用いた分析処理フローの一例について説明する。
図15及び図16は分析処理フローの一例を示す図である。ここで、図15は判定基準の生成処理フローを示す図、図16は判定対象物質の既知フタル酸エステルとの一致性判定処理フローを示す図である。
まず、分析装置400は、スペクトル取得部410により、既知の異種フタル酸エステル、一例としてDEHPとDINPを金属板上の下地膜にそれぞれ付着させた第1試料及び第2試料の第1金属反射IRスペクトル及び第2金属反射IRスペクトルを取得する(図15;ステップS20)。
更に、分析装置400は、スペクトル取得部410により、金属板上の下地膜にフタル酸エステルを付着させていない試料のブランク金属反射IRスペクトルを取得する(図15;ステップS21)。
次いで、分析装置400は、スペクトル処理部420により、第1金属反射IRスペクトルとブランク金属反射IRスペクトルとの第1差スペクトルを生成し、第2金属反射IRスペクトルとブランク金属反射IRスペクトルとの第2差スペクトルを生成する(図15;ステップS22)。
ステップS20〜S22の処理により、例えば、上記図8のP及びQに示したようなスペクトルが、第1差スペクトル及び第2差スペクトルとして取得される。第1差スペクトルと第2差スペクトルの間には、DEHPとDINPを金属板上の所定の下地膜に付着させたことで、識別可能な有意な差が現れる。
分析装置400は、スペクトル処理部420により、生成された第1差スペクトルと第2差スペクトルを、それらのベースラインと基準ピーク位置(上記図8に示した基準ピークの位置)の強度を用いて規格化する(図15;ステップS23)。
この規格化は、第1差スペクトルと第2差スペクトルの、互いのベースラインを揃え、所定の基準ピーク位置における互いの強度を合わせるようにして行う。より具体的には、第1差スペクトルと第2差スペクトルの、一方の差スペクトルの基準ピーク位置における強度が、他方の差スペクトルの基準ピーク位置における強度に一致するように、ベースラインを揃えて、一方の差スペクトル全体の強度を大きく又は小さくする。
このような規格化に用いる基準ピーク位置としては、例えば、エステルのC−O伸縮に帰属する1120cm-1付近のピークの位置を採用する。この点について、図17を参照して説明する。図17はIRスペクトルのピークとその帰属を示す図である。
IRスペクトルから、フタル酸エステルの有無を確認する場合には、フタル酸エステルに特徴的な1,2−置換ベンゼン環(X部)由来の1600cm-1、1580cm-1のピーク(Z部及びZ部を拡大したZ1部)を用いることができる。しかし、ピーク強度が小さいため、上記のような差スペクトルの強度を大きく又は小さくする処理を伴う規格化の基準ピークとして用いた場合には、誤差が大きくなってしまう。そこで、1,2−置換ベンゼン環由来の1600cm-1、1580cm-1のピークと連動した強度変化を示す、より強度の大きいフタル酸エステルの骨格構造由来のピークを調べた。その結果、上記のようなエステル(Y部)のC−O伸縮に帰属する1120cm-1付近のピークが好適であることを見出した。
このような知見に基づき、ここでは上記の規格化に用いる基準ピークとして1120cm-1付近のピークを採用する。
上記のような規格化の後、分析装置400は、スペクトル処理部420により、規格化された第1差スペクトルと第2差スペクトルの、強度差のあるピーク位置と、そのピーク位置における互いのピーク強度とを抽出する(図15;ステップS24)。
ピーク位置とそのピーク強度の抽出は、少なくとも1つのピーク位置について行われる。複数のピーク位置について、それぞれピーク位置とそのピーク強度の抽出を行うようにすれば、後述する一致性の判定の精度を高めることができる。ここでは、強度差のある複数のピーク位置と、各ピーク位置のピーク強度とを抽出する場合を例にして説明する。
ピーク位置群と各々のピーク強度の抽出後、分析装置400は、判定情報生成部430により、各ピーク位置における、規格化された第1差スペクトルと第2差スペクトルのピーク強度の中間値を算出する(図15;ステップS25)。
そして、分析装置400は、判定情報生成部430により、DINPの第2差スペクトルの各ピーク位置におけるピーク強度が、算出した中間値に対して大きいか小さいかを正負の符号で表した情報を含む判定基準テーブルを生成する(図15;ステップS26)。
判定基準テーブルの一例を図18に示す。
図18の判定基準テーブル500には、ステップS24で抽出される10箇所(No.1〜10)のピーク位置と、各ピーク位置における第1差スペクトル(DEHP)と第2差スペクトル(DINP)の規格化前後のピーク強度の情報が含まれる。判定基準テーブル500には更に、ステップS25で算出される、各ピーク位置における第1差スペクトル(DEHP)と第2差スペクトル(DINP)の規格化後のピーク強度の中間値の情報が含まれる。ステップS26では、これらの情報に加え、第2差スペクトル(DINP)のピーク強度が、算出された中間値に対して大きい場合を正(+)、小さい場合を負(−)の符号で表した情報(DINP符号)を更に含めた判定基準テーブル500が生成される。
また、分析装置400は、スペクトル取得部410により、判別対象のフタル酸エステルを金属板上の下地膜に付着させた第3試料の第3金属反射IRスペクトルを取得する(図16;ステップS30)。
次いで、分析装置400は、スペクトル処理部420により、第3金属反射IRスペクトルと、先にステップS21でスペクトル取得部410により取得されたブランク金属反射IRスペクトルとの第3差スペクトルを生成する(図16;ステップS31)。尚、第3差スペクトルを生成する際、スペクトル取得部410により改めてブランク金属反射IRスペクトルを取得してもよい。
分析装置400は、スペクトル処理部420により、生成された第3差スペクトルを、そのベースラインと基準ピーク位置の強度を用いて規格化する(図16;ステップS32)。
この規格化は、上記ステップS23の第1差スペクトルと第2差スペクトルの規格化と同様にして行う。即ち、第3差スペクトルのベースラインを、第1差スペクトル及び第2差スペクトルのベースラインに揃える。そして、第3差スペクトルの基準ピーク位置(1120cm-1付近のC−O伸縮に帰属するピーク位置)の強度を、規格化した第1差スペクトル及び第2差スペクトルの基準ピーク位置の強度に合わせるように、第3差スペクトル全体の強度を大きく又は小さくする。
規格化後、分析装置400は、スペクトル処理部420により、規格化された第3差スペクトルの所定のピーク位置と、そのピーク位置におけるピーク強度とを抽出する(図16;ステップS33)。第3差スペクトルについては、上記ステップS24で第1差スペクトルと第2差スペクトルの間で強度差があるとして抽出されたピーク位置群を抽出し、各々のピーク位置における第3差スペクトルのピーク強度を抽出する。
次いで、分析装置400は、判定情報生成部430により、抽出した各ピーク位置について、第3差スペクトルのピーク強度から、上記ステップS25で算出された中間値を差し引く(図16;ステップS34)。
そして、分析装置400は、判定情報生成部430により、差し引いて得られた値の正負の情報、即ち、第3差スペクトルのピーク強度が中間値に対して大きいか小さいかを示す情報を含む判定対象テーブルを生成する(図16;ステップS35)。
判定対象テーブルの例を図19及び図20に示す。
ここでは、フタル酸エステルを含有する2種類のケーブル被覆材(製品A及び製品B)を第3試料として用い、第3金属反射IRスペクトルを取得し、それを用いることによって得られた判定対象テーブルを例示する。図19には、製品Aについて得られた判定対象テーブル600Aを示し、図20には、製品Bについて得られた判定対象テーブル600Bを示している。
製品Aについては、その製品Aに含まれるフタル酸エステルを、蒸気捕集法によって金属板上の下地膜に付着させることで、第3試料が準備される。尚、既知フタル酸エステルとの一致性判定に用いる場合には、例えば、製品Aに含まれるフタル酸エステルの蒸気捕集時に、下地膜をその内部にフタル酸エステルを相溶させるような温度で加熱せず、蒸気捕集後に一定時間経過させて第3試料が準備される。
このような第3試料について、第3金属反射IRスペクトルが測定される。この第3金属反射IRスペクトルが、スペクトル取得部410により取得される(ステップS30)。そして、その第3金属反射IRスペクトルが用いられて、スペクトル処理部420により、第3差スペクトルが生成され(ステップS31)、その規格化が行われ(ステップS32)、所定のピーク位置群と各ピーク位置のピーク強度が抽出される(ステップS33)。このようにして抽出された第3差スペクトルの各ピーク強度から、それぞれ上記ステップS25で算出された中間値が差し引かれる(ステップS34)。
図19の判定対象テーブル600Aには、抽出される10箇所(No.1〜10)のピーク位置と、各ピーク位置における第3差スペクトルの規格化前後のピーク強度、及び、規格化後の各ピーク強度からそれぞれ上記中間値を差し引いた値の情報が含まれる。ステップS35では、これらの情報に加え、第3差スペクトルの規格化後の各ピーク強度からそれぞれ上記中間値を差し引いた値の正負の情報(判定対象符号)を更に含めた判定対象テーブル600Aが生成される。
製品Bについても同様に、その製品Bに含まれるフタル酸エステルを、蒸気捕集法によって金属板上の下地膜に付着させることで、第3試料が準備される。尚、既知フタル酸エステルとの一致性判定に用いる場合には、例えば、製品Bに含まれるフタル酸エステルの蒸気捕集時に、下地膜をその内部にフタル酸エステルを相溶させるような温度で加熱せず、蒸気捕集後に一定時間経過させて第3試料が準備される。
このような第3試料について、第3金属反射IRスペクトルが測定される。この第3金属反射IRスペクトルが、スペクトル取得部410により取得される(ステップS30)。そして、その第3金属反射IRスペクトルが用いられて、スペクトル処理部420により、第3差スペクトルが生成され(ステップS31)、その規格化が行われ(ステップS32)、所定のピーク位置群と各ピーク位置のピーク強度が抽出される(ステップS33)。このようにして抽出された第3差スペクトルの各ピーク強度から、それぞれ上記ステップS25で算出された中間値が差し引かれる(ステップS34)。
図20の判定対象テーブル600Bには、抽出される10箇所(No.1〜10)のピーク位置と、各ピーク位置における第3差スペクトルの規格化前後のピーク強度、及び、規格化後の各ピーク強度からそれぞれ上記中間値を差し引いた値の情報が含まれる。ステップS35では、これらの情報に加え、第3差スペクトルの規格化後の各ピーク強度からそれぞれ上記中間値を差し引いた値の正負の情報(判定対象符号)を更に含めた判定対象テーブル600Bが生成される。
ここでは本分析手法による判定対象物質の既知フタル酸エステルとの一致性判定の妥当性を評価するため、製品AとしてDEHP(30.8wt%)を含有するケーブル被覆材を用い、製品BとしてDINP(23.2wt%)を含有するケーブル被覆材を用いている。
分析装置400は、このような判定対象テーブル600A及び判定対象テーブル600Bの生成後、次のような処理を実行する。
まず、製品Aについて得られた判定対象テーブル600Aを用いた場合を例に、分析装置400が実行する処理について説明する。
この場合、分析装置400は、一致性判定部440により、判定対象テーブル600A(図19)と、上記判定基準テーブル500(図18)とを参照する。分析装置400は、一致性判定部440により、判定対象テーブル600Aに含まれる判定対象符号(+/−)の情報と、判定基準テーブル500に含まれるDINP符号(+/−)の情報とを比較する(図16;ステップS36)。
そして、分析装置400は、一致性判定部440により、判定対象テーブル600Aの判定対象符号と、判定基準テーブル500のDINP符号とが、全て一致するか否かを判定する(図16;ステップS37)。
この例では、判定対象テーブル600Aの各ピーク位置(No.1〜10)の判定対象符号(+/−)と、判定基準テーブル500の各ピーク位置(No.1〜10)のDINP符号(+/−)とが正反対の関係になっている。
この例のように互いの判定対象符号とDINP符号とが全て一致しない場合、分析装置400は、一致性判定部440により、判定対象符号とDINP符号とが全て不一致なのか否かを判定する(図16;ステップS38)。そして、この例のように全て不一致の場合には、分析装置400は、一致性判定部440により、この判定対象テーブル600Aが得られた製品Aに含まれる判定対象物質のフタル酸エステルがDINP以外(この例ではDEHP)であると判定する(図16;ステップS39)。
判定対象符号とDINP符号とが全て一致していないが、一部は一致している場合には(図16;ステップS38)、その一致割合(=〔一致するピーク位置の数〕/〔全ピーク位置の数〕)を算出する(図16;ステップS40)。このような一致割合を用いることで、判定対象物質の、DINPとの一致性、一致確率を評価することができる。
続いて、製品Bについて得られた判定対象テーブル600Bを用いた場合を例に、分析装置400が実行する処理について説明する。
この場合、分析装置400は、一致性判定部440により、判定対象テーブル600B(図20)と、上記判定基準テーブル500(図18)とを参照し、互いの判定対象符号とDINP符号とを比較する(図16;ステップS36)。
そして、分析装置400は、一致性判定部440により、判定対象テーブル600Bの判定対象符号と、判定基準テーブル500のDINP符号とが、全て一致するか否かを判定する(図16;ステップS37)。
この例では、判定対象テーブル600Bの各ピーク位置(No.1〜10)の判定対象符号(+/−)と、判定基準テーブル500の各ピーク位置(No.1〜10)のDINP符号(+/−)とが全て一致する関係になっている。
この例のように互いの判定対象符号とDINP符号とが全て一致する場合、分析装置400は、一致性判定部440により、この判定対象テーブル600Bが得られた製品Bに含まれる判定対象物質のフタル酸エステルがDINPであると判定する(図16;ステップS41)。
分析装置400を用いた上記のような処理によれば、製品中に含まれる判定対象物質のフタル酸エステルが、DINPなのか、DINP以外なのか、DINP以外の場合にはDINPとの一致性がどの程度なのか、といったことを評価できる。
前述の通り、ここでは本分析手法の妥当性を評価するため、製品AとしてDEHPが含まれているものを用い、製品BとしてDINPが含まれているものを用いている。上記の例では、製品Aについて得られた判定対象テーブル600Aを用いると、製品Aに含まれるフタル酸エステルがDINP以外(DEHP)と判定される。また、製品Bについて得られた判定対象テーブル600Bを用いると、製品Bに含まれるフタル酸エステルがDINPと判定される。このことから、本分析手法は、ケーブル被覆材等の製品中に含まれるフタル酸エステルの、既知フタル酸エステルとの一致性の判定、種類の判別に利用可能であると言うことができる。
本分析手法は、ガスクロマトグラフ質量分析法や液体クロマトグラフ質量分析法を用いる場合に比べ、製品中にどのような種類のフタル酸エステルが含有されているのかを簡便に精度良く分析することが可能である。このような点で、本分析手法は、例えば、製造工場等で実施される、フタル酸エステルを含有し得る製品の受け入れ検査に好適に用いることができる。
尚、上記の例では、判定基準テーブル500において、中間値とDINPのピーク強度の大小からDINP符号を生成し、これを判定対象テーブル600A,600Bの符号と比較するようにした。このほか、判定基準テーブル500において、中間値とDEHPのピーク強度の大小からDEHP符号を生成し、これを判定対象テーブル600A,600Bの符号と比較するようにしてもよい。これにより、製品中に含まれる判定対象物質のフタル酸エステルが、DEHPなのか、DEHP以外なのか、DEHP以外の場合にはDEHPとの一致性がどの程度なのか、といったことを評価できる。
本分析手法は、上記の例のようなDEHPとDINPの組み合わせのほか、他のフタル酸エステルの組み合わせでも同様に適用可能である。
上記のような分析装置400の処理機能は、コンピュータを用いて実現することができる。
図21はコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ700は、プロセッサ701によって全体が制御される。プロセッサ701には、バス709を介してRAM(Random Access Memory)702と複数の周辺機器が接続される。プロセッサ701は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ701は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はPLD(Programmable Logic Device)である。また、プロセッサ701は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2種以上の要素の組み合わせであってもよい。
RAM702は、コンピュータ700の主記憶装置として使用される。RAM702には、プロセッサ701に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM702には、プロセッサ701による処理に必要な各種データが格納される。
バス709に接続される周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)703、グラフィック処理装置704、入力インタフェース705、光学ドライブ装置706、機器接続インタフェース707及びネットワークインタフェース708がある。
HDD703は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込み及び読み出しを行う。HDD703は、コンピュータ700の補助記憶装置として使用される。HDD703には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、及び各種データが格納される。尚、補助記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
グラフィック処理装置704には、モニタ711が接続される。グラフィック処理装置704は、プロセッサ701からの命令に従って、画像をモニタ711の画面に表示させる。モニタ711としては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
入力インタフェース705には、キーボード712及びマウス713が接続される。入力インタフェース705は、キーボード712やマウス713から送られてくる信号をプロセッサ701に送信する。尚、マウス713は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
光学ドライブ装置706は、レーザ光等を利用して、光ディスク714に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク714は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク714には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
機器接続インタフェース707は、コンピュータ700に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば、機器接続インタフェース707には、メモリ装置715やメモリリーダライタ716を接続することができる。メモリ装置715は、機器接続インタフェース707との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ716は、メモリカード717へのデータの書き込み、又はメモリカード717からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード717は、カード型の記録媒体である。
ネットワークインタフェース708は、ネットワーク710に接続される。ネットワークインタフェース708は、ネットワーク710を介して、他のコンピュータ又は通信機器との間でデータの送受信を行う。
以上のようなハードウェア構成によって、分析装置400の処理機能を実現することができる。
コンピュータ700は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、分析装置400の処理機能を実現する。コンピュータ700に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、コンピュータ700に実行させるプログラムをHDD703に格納しておくことができる。プロセッサ701は、HDD703内のプログラムの少なくとも一部をRAM702にロードし、プログラムを実行する。また、コンピュータ700に実行させるプログラムを、光ディスク714、メモリ装置715、メモリカード717等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、プロセッサ701からの制御により、HDD703にインストールされた後、実行可能となる。また、プロセッサ701が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
尚、以上の説明では、赤外分光法を用いて得られる金属反射IRスペクトルを例にした。このほか、ラマン分光法を用いて得られるラマンスペクトルでも、異種フタル酸エステルを所定の下地膜に付着させる上記手法を用いることで、識別可能な有意な差のあるラマンスペクトルを得ることが可能である。また、そのようなラマンスペクトルを用い、製品等に含まれるフタル酸エステルの判別をすることも可能である。また、本発明は、下地膜に付着させない時には識別できないが、下地膜に付着させることによりスペクトルに差が生じる、あらゆる測定手段を適用させることができる。
上記については単に本発明の原理を示すものである。更に、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成及び応用例に限定されるものではなく、対応する全ての変形例及び均等物は、添付の請求項及びその均等物による本発明の範囲とみなされる。
10 金属板
10a 表面
10b 裏面
20 下地膜
100 滴下装置
110 フタル酸エステル溶液
200 蒸気捕集装置
210 載置部
220 保持部
230 ダクト
250,360 試料
300 測定装置
310 分光器
320 試料室
330 赤外検出器
340 AD変換器
350 フーリエ変換処理部
400 分析装置
410 スペクトル取得部
420 スペクトル処理部
430 判定情報生成部
440 一致性判定部
450 制御部
460 記憶部
500 判定基準テーブル
600A,600B 判定対象テーブル
700 コンピュータ
701 プロセッサ
702 RAM
703 HDD
704 グラフィック処理装置
705 入力インタフェース
706 光学ドライブ装置
707 機器接続インタフェース
708 ネットワークインタフェース
709 バス
710 ネットワーク
711 モニタ
712 キーボード
713 マウス
714 光ディスク
715 メモリ装置
716 メモリリーダライタ
717 メモリカード
ここで、図9はDEHP及びDBPをそれぞれアルミニウム板上に直接付着させた試料のIRスペクトルの一例、図10はDEHP及びDBPをそれぞれアルミニウム板上のPVC膜に付着させた試料のATR−IRの差スペクトルの一例である。また、図11はDINP及びDBPをそれぞれアルミニウム板上に直接付着させた試料のIRスペクトルの一例、図12はDINP及びDBPをそれぞれアルミニウム板上のPVC膜に付着させた試料のATR−IRの差スペクトルの一例である。尚、図10及び図12には、アルミニウム板上のPVC膜について得られたブランクの金属反射IRスペクトルを差し引いたものを示している。
図9及び図10より、DEHPとDBPでは、アルミニウム板上に直接付着させた場合(図9)に比べて、アルミニウム板上のPVC膜に付着させた場合(図10)の方が、両者のIRスペクトル間の差がより明確になる。図11及び図12より、DINPとDBPでも同様に、アルミニウム板上に直接付着させた場合(図11)に比べて、アルミニウム板上のPVC膜に付着させた場合(図12)の方が、両者のIRスペクトル間の差がより明確になる。このように、PVC膜に付着させることで、異種フタル酸エステルのIRスペクトル間に、識別可能な有意な差を発現させることが可能になる。

Claims (14)

  1. 第1フタル酸エステル及び第2フタル酸エステルを、一対の第1下地膜及び第2下地膜にそれぞれ付着させ、前記第1フタル酸エステル及び前記第2フタル酸エステルが互いに異なる状態をとっている第1試料及び第2試料を準備する工程と、
    前記第1試料及び前記第2試料にそれぞれ電磁波を照射し、第1スペクトル及び第2スペクトルを取得する工程と
    を含むことを特徴とする分析方法。
  2. 前記第1フタル酸エステル及び前記第2フタル酸エステルの前記異なる状態は、
    前記第1フタル酸エステル及び前記第2フタル酸エステルが前記第1下地膜及び前記第2下地膜に付着することにより、単体と異なる状態になることと、前記第1下地膜及び前記第2下地膜に対する吸収の状態が異なることにより生じることを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  3. 前記第1試料及び前記第2試料を準備する工程は、
    前記第1フタル酸エステルが前記第1下地膜の内部に吸収された状態の前記第1試料、及び、前記第2フタル酸エステルが前記第2下地膜の表面に残存する状態の前記第2試料を準備することを特徴とする請求項2に記載の分析方法。
  4. 前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する判定対象物質を、前記第1下地膜及び前記第2下地膜と同種の第3下地膜に付着させた第3試料を準備する工程と、
    前記第3試料に電磁波を照射し、第3スペクトルを取得する工程と、
    前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルを用いて、前記判定対象物質の、前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する工程と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  5. 前記一致性を判定する工程は、
    前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルを、各々のベースラインと、共通の基準ピーク位置の強度とを用いて規格化する工程と、
    規格化された前記第1スペクトルと前記第2スペクトルの、強度差のある互いの第1ピーク位置の強度の第1中間値を生成する工程と、
    規格化された前記第3スペクトルの前記第1ピーク位置の強度の、前記第1中間値に対する大小を判定する工程と、
    前記第1中間値に対する大小に基づき、前記判定対象物質の前記一致性を判定する工程と
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の分析方法。
  6. 前記一致性を判定する工程は、
    規格化された前記第1スペクトルと前記第2スペクトルの、強度差のある互いの第2ピーク位置の強度の第2中間値を生成する工程と、
    規格化された前記第3スペクトルの前記第2ピーク位置の強度の、前記第2中間値に対する大小を判定する工程と、
    前記第1中間値に対する大小、及び、前記第2中間値に対する大小に基づき、前記判定対象物質の前記一致性を判定する工程と
    を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の分析方法。
  7. 前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルを取得する工程は、前記第1試料、前記第2試料及び前記第3試料の各々に電磁波を照射して測定されるスペクトル群と、前記第1下地膜又は前記第2下地膜に電磁波を照射して測定されるブランクスペクトルとの差スペクトル群を、それぞれ前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルとして取得する工程を含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の分析方法。
  8. 前記第3試料を準備する工程は、前記判定対象物質を含む第4試料を加熱して発生させた前記判定対象物質の蒸気を前記第3下地膜に付着させる工程を含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の分析方法。
  9. 第1フタル酸エステル及び第2フタル酸エステルを、一対の第1下地膜及び第2下地膜にそれぞれ付着させ、前記第1フタル酸エステル及び前記第2フタル酸エステルが互いに異なる状態をとっている第1試料及び第2試料に対し、それぞれ電磁波を照射して測定される、第1スペクトル及び第2スペクトルを取得する第1取得部と、
    前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する判定対象物質を、前記第1下地膜及び前記第2下地膜と同種の第3下地膜に付着させた第3試料に対し、電磁波を照射して測定される、第3スペクトルを取得する第2取得部と、
    前記第1取得部によって取得された前記第1スペクトル及び前記第2スペクトル、並びに、前記第2取得部によって取得された前記第3スペクトルを用いて、前記判定対象物質の、前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する第1判定部と
    を含むことを特徴とする分析装置。
  10. 前記第1判定部は、
    前記第1取得部によって取得された前記第1スペクトル及び前記第2スペクトル、並びに、前記第2取得部によって取得された前記第3スペクトルを、各々のベースラインと、共通の基準ピーク位置の強度とを用いて規格化する規格化部と、
    前記規格化部によって規格化された前記第1スペクトルと前記第2スペクトルの、強度差のある互いの第1ピーク位置の強度の第1中間値を生成する生成部と、
    前記規格化部によって規格化された前記第3スペクトルの前記第1ピーク位置の強度の、前記第1中間値に対する大小を判定する第2判定部と、
    前記第2判定部によって判定された前記第1中間値に対する大小に基づき、前記判定対象物質の前記一致性を判定する第3判定部と
    を含むことを特徴とする請求項9に記載の分析装置。
  11. 前記第1取得部及び前記第2取得部は、前記第1試料、前記第2試料及び前記第3試料の各々に電磁波を照射して測定されるスペクトル群と、前記第1下地膜又は前記第2下地膜に電磁波を照射して測定されるブランクスペクトルとの差スペクトル群を、それぞれ前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルとして取得することを特徴とする請求項9又は10に記載の分析装置。
  12. コンピュータに、
    第1フタル酸エステル及び第2フタル酸エステルを、一対の第1下地膜及び第2下地膜にそれぞれ付着させ、前記第1フタル酸エステル及び前記第2フタル酸エステルが互いに異なる状態をとっている第1試料及び第2試料に対し、それぞれ電磁波を照射して測定される、第1スペクトル及び第2スペクトルを取得し、
    前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する判定対象物質を、前記第1下地膜及び前記第2下地膜と同種の第3下地膜に付着させた第3試料に対し、電磁波を照射して測定される、第3スペクトルを取得し、
    前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルを用いて、前記判定対象物質の、前記第1フタル酸エステル又は前記第2フタル酸エステルとの一致性を判定する
    処理を実行させることを特徴とする分析プログラム。
  13. 前記一致性を判定する処理は、
    前記コンピュータに、
    前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルを、各々のベースラインと、共通の基準ピーク位置の強度とを用いて規格化し、
    規格化された前記第1スペクトルと前記第2スペクトルの、強度差のある互いの第1ピーク位置の強度の第1中間値を生成し、
    規格化された前記第3スペクトルの前記第1ピーク位置の強度の、前記第1中間値に対する大小を判定し、
    前記第1中間値に対する大小に基づき、前記判定対象物質の前記一致性を判定する
    処理を実行させることを特徴とする請求項12に記載の分析プログラム。
  14. 前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルを取得する際は、前記第1試料、前記第2試料及び前記第3試料の各々に電磁波を照射して測定されるスペクトル群と、前記第1下地膜又は前記第2下地膜に電磁波を照射して測定されるブランクスペクトルとの差スペクトル群を、それぞれ前記第1スペクトル、前記第2スペクトル及び前記第3スペクトルとして取得することを特徴とする請求項12又は13に記載の分析プログラム。
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