JP2001165769A - 汚染物または汚染ガスを検出する方法 - Google Patents

汚染物または汚染ガスを検出する方法

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JP2001165769A
JP2001165769A JP35160299A JP35160299A JP2001165769A JP 2001165769 A JP2001165769 A JP 2001165769A JP 35160299 A JP35160299 A JP 35160299A JP 35160299 A JP35160299 A JP 35160299A JP 2001165769 A JP2001165769 A JP 2001165769A
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spectral
optical element
contaminant
gas
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JP35160299A
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English (en)
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Shuichi Matsunari
秀一 松成
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Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の極微量汚染物または極微量汚染ガス
の検出方法にあった、サンプル基板の取り扱いの困難
性、サンプル基板の破壊、測定時間の長さ、低感度、揮
発性の汚染物質検出の困難性、及びサンプル基板形状の
制限の問題を解決すること。 【解決手段】サンプル基板上への極微量汚染物の付着に
よる微小なアドミッタンス変化が分光特性変化として高
感度に検出できるようにサンプル基板上に適当な光学薄
膜を設け、汚染物または汚染ガスを分光特性の変化とし
て検出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上の汚染物ま
たは汚染の原因となる汚染ガス、更には汚染の原因とな
る物体を検出する方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、半導体素子の集
積度を増すために、半導体素子の製造工程のリソグラフ
ィー工程に用いられる露光装置の高解像力化の要求が高
まっている。従来、この露光装置の露光光源として水銀
ランプが使われて来た。高解像力化のひとつの方法とし
て、露光光源波長の短波長化が挙げられる。そこで最近
では、水銀ランプより短い波長域の光を発振でき、か
つ、高出力なエキシマレーザを露光光源とした露光装置
の実用化が始まっている。しかしながら、露光光を紫外
域に於いて短波長にするほど、露光光が透過する投影レ
ンズ等に組み込まれたレンズ及びミラーなどの光学素子
に付着している極微量汚染物が、露光装置の露光光強度
を低下させ、更には光吸収の発熱によりレンズに面変化
を生じるために、露光時間の延長による露光装置のスル
ープットの低下、そして露光像の悪化により高解像度化
を行うための障害となっている。
【0003】また、この汚染物は、上記の問題のみなら
ず、汚染物を起点として光学素子上に形成された光学薄
膜にレーザダメージを発生させることが分かってきてい
る。このため、露光装置の高解像度化のために短波長の
露光光源を用いた場合、露光装置に組み込まれた光学素
子の表面に汚染物が存在すると光学素子の長寿命化を図
ることができないという悪影響も受けるのである。
【0004】そこで、露光装置の長寿命化と高解像度化
の障害の除去のために、極微量汚染物が、どのような瞬
間に光学素子に付着するのか、また光学素子表面のどの
部分に付着しているのかを把握する必要がある。
【0005】また、露光装置に組み込まれた光学素子表
面の汚染は、光学素子が置かれる環境の雰囲気ガスに大
きく左右される。そのために、光学素子が置かれる環境
中に分子状の極微量汚染ガスがどの程度存在するのか把
握する必要もある。
【0006】更にまた、露光装置に組み込まれた光学素
子表面の汚染は、光学素子が置かれる環境にどのような
物体が存在するかにも大きく左右される。そのために、
どの物体がどの程度光学素子を汚染させるのかを把握す
る必要もある。
【0007】極微量汚染物が悪影響を与えるのは露光装
置に対してだけではない。例えば、半導体素子のシリコ
ンウェハや工程途上のシリコンウェハ表面に付着した数
ng/cm2のフタル酸エステルによって酸化物絶縁膜の
耐圧特性の劣化などの特性不良が引き起こされる。
【0008】ここで、一般に汚染物は粒子状汚染物と分
子状汚染物とに分類され、半導体関連産業では、粒子状
汚染物に対比して、分子状の汚染物を化学汚染物質また
は分子汚染物質または凝縮物と呼び、その存在量を把握
することが課題になる。本発明で対象とするのは、主に
ここで言う分子状の汚染物である。
【0009】更に、極微量汚染物は、液晶デバイス、ハ
ードディスク、バイオなどの各種産業の製造工程に於い
ても悪影響を与える。
【0010】更に、例えば上記のフタル酸エステルに代
表される有機物の汚染物は、プラスチック製品から発生
しており、一般社会において環境ホルモンと呼ばれ、人
体に悪影響を与えるのではと着目されている。このよう
に、有機物をはじめとする分子状の極微量汚染物の存在
量を把握することの重要性がますます増している。以上
のように、分子状の極微量汚染物を効率的に検出できる
方法が多方面から求められているのである。
【0011】光学素子に吸着・付着した分子状の極微量
汚染物、または雰囲気ガス中に存在する汚染ガスを検出
するために、例えば光学素子上の汚染物を熱脱離させて
ガスクロマト質量分析法(GC-MS )で検出する方法が使
用される。その他に、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)
、飛行時間分解二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)、
X線光電子分光法(XPS )、紫外光電子分光法(UPS
)、オージェ電子分光法(AES )、X 線マイクロアナ
ライシス法(EPMA)、直衝突イオン散乱分光法(ICAIS
S)、グロー放電スペクトル(GDS )、及び大気圧イオ
ン化質量分析法(API-MS)などが用いられている。
【0012】通常、被検雰囲気ガス中に含まれる汚染ガ
ス検出に当たっては、被検雰囲気ガス中で捕集したガス
をガスクロマト質量検出や、フーリエ変換赤外分光(FT-
IR)により測定する。しかし、この方法は、極微量しか
存在しない汚染ガスは検出できないという欠点を持って
いる。
【0013】そこで、極微量しか存在しない汚染ガスを
検出するために、被検雰囲気ガス中にシリコンウェハな
どを放置して雰囲気ガス中の汚染ガスをシリコンウェハ
に吸着させた後、吸着物を熱脱離させてガスクロマト質
量分析法(GC-MS )で検出する方法が使用されている。
これは、吸着という濃縮現象を利用して環境中の極微量
汚染ガスをサンプリングしている訳であり、シリコンウ
エハー上の吸着物を分析して検出される物質は、当然、
雰囲気ガス中に存在していた物質が基になっている。
【0014】シリコンウェハなどの基板を被検雰囲気ガ
ス中に放置し、雰囲気ガス中の極微量汚染ガスを基板面
に吸着サンプリングした後、このサンプル基板面の表面
分析を通して雰囲気ガスを分析するに際して、基板面の
表面分析を行なう方法には、GC-MS 以外にフーリエ変換
赤外分光ART 法(FT-IR-ATR) 、TOF-SIMS、XPS 、UPS、A
ES 、EPMA、ICAISS、GDS 、API-MS、及び接触角測定法
などの分析法が用いられている。
【0015】また、雰囲気ガス中に存在する極微量汚染
ガスを検出する方法として、被検雰囲気ガスを基板上に
サンプリングする方法以外に、極微量汚染ガスの発生源
を調べることも兼ねて、プラスチック材料など発生源と
疑われる材料から脱離するガスを直接捕集、もしくはシ
リコンウエハー等の基板上に吸着サンプリングして分析
することによって検出することもある。
【0016】しかし、上記の何れの検出方法にも以下に
列挙する問題点の少なくとも一つがあった。 1. サンプル基板の取り扱いが困難なこと。 2. サンプル基板を破壊するおそれがあること。 3. 測定に時間がかかること。 4. 感度が低いこと。 5. 揮発性の汚染物を検出することができないこと。 6.サンプル基板の形状に制限が多いこと。
【0017】1.の問題点を有する検出方法には例えば
API-MSやGC-MS がある。API-MSやGC-MS は、サンプル基
板面に被検ガスを吸着サンプリングして、このサンプル
基板面全体から脱離したガスを検出するため、サンプル
基板の取り扱いにはきめ細かな注意が必要である。例え
ば、不用意にサンプル基板に触れると、触れた箇所が汚
染され、検出結果に影響が出てしまう。
【0018】2.の問題点を有する検出方法には以下の
ものがある。先ず、API-MSやGC-MSは、サンプル基板面
に被検ガスを吸着サンプリングして、サンプル基板を加
熱してガスを脱離させるため、熱ダメージがサンプル基
板に生じ、同一のサンプル基板を使い回して何度も使用
するということはできない。また、FT-IR-ATR は、指定
された寸法の平坦なサンプル基板とプリズムが必要で、
サンプル基板とプリズムを密着させるためにサンプル基
板に機械的ダメージが生じる。例えば、基板サンプルと
して光学素子を用いる場合、その表面上の極微量汚染物
を検出することによって光学素子が破壊されてしまって
その光学素子を再利用ができないのは不便である。
【0019】3.の問題点を有する検出方法には以下の
ものがある。TOF-SIMS、XPS 、UPS、AES 、EPMA、及びI
CAISSは、真空中で測定するための真空排気に時間が掛
かり、また、GC-MS やAPI-MSも熱脱離のための加熱や測
定自身に時間が掛かる。
【0020】4.の問題点を有する検出方法には以下の
ものがある。雰囲気ガスをそのまま捕集して被検成分ガ
ス(汚染ガス)の検出を行うガス捕集GC-MS やFT-IR
は、ppm オーダー未満の検出感度を得ることが出来な
い。EPMAなどは元素分析機器であり、微量の汚染物に対
して感度が高いとは言えない。接触角測定は更に感度が
低い。
【0021】5.の問題点を有する検出方法には以下の
ものがある。TOF-SIMS、XPS 、UPS、AES 、EPMA、及びI
CAISSは、真空中で検出を進めるために基板サンプルに
吸着した揮発性の汚染ガスは検出できない。被検雰囲気
ガス中では吸着していても、測定を行なうために基板サ
ンプルの雰囲気を真空にしたときに、吸着物が真空中に
揮発してしまう。そのために、測定段階で付着物が無く
なるか、量が減ってしまっているために正確な測定がで
きないからである。
【0022】6.の問題点を有する検出方法には以下の
ものがある。TOF-SIMS、XPS 、UPS、AES 、EPMA、及びI
CAISSは、真空中で検出を行なうために、基板サンプル
を真空槽に収納しなければならない。基板サンプルとし
て例えば光学素子を用いる場合、光学素子の寸法、形状
は様々であるにもかかわらず、検出装置の真空槽の収納
スペースに限りがあるために、収納される光学素子の寸
法及び形状は制限を受け、特に寸法が大きな光学素子は
全く測定することができない。
【0023】以上のように、光学素子などの基板上の有
機物などの極微量汚染物検出や、雰囲気ガス中に含まれ
る有機物などの極微量汚染ガス検出や、プラスチック材
料等から脱離する極微量汚染ガスの検出に於いて、従来
の検知方法は、上記1.〜6.の少なくとも何れかの問
題点があった。
【0024】そこで、本発明は、以上の問題点を解決し
て、光学素子などの基板上に付着した極微量汚染物の検
出、雰囲気ガス中に含まれる極微量汚染ガスの検出、プ
ラスチックなどの物体から脱離する極微量汚染ガスの検
出を高感度かつ手軽に行う方法を提供することを目的と
する。
【0025】更に本発明は、光学素子等の基板サンプル
上の極微量汚染物の場所依存性や時間変化を検出する方
法を提供することを目的とする。
【0026】更に本発明は、光学素子等の基板サンプル
上の極微量汚染物を非破壊的に、形状や大きさの制限を
受けることが少なく、感度よく検出できる方法を提供す
ることを目的とする。
【0027】更に本発明は、基板サンプルの取り扱いが
容易で、測定時間が短い検出方法を提供することを目的
とする。
【0028】更に本発明は、様々な環境で、発生源と考
えられる様々な物質から脱離する極微量汚染ガスを検出
したり、それらの時間変化をモニターしたりする場合
に、基板サンプルの取り扱いが容易で、且つ短時間で測
定可能で、且つ高感度で、なお且つ大気中で測定可能な
ために、容易に多数回の測定が可能な検出方法を提供す
ることを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述した目的
を達成するために、第一に、光学素子の分光特性を経時
的に測定し、前記分光特性の変化により前記基板表面上
に生ずる汚染物を検出する方法を提供する。
【0030】また第二に、光学素子の2個所以上の各測
定点で分光特性を測定し、前記各測定点間に於ける前記
分光特性の変化により前記光学素子表面上にある汚染物
を検出する方法を提供する。
【0031】また第三に、被検雰囲気ガスを光学薄膜を
有するサンプリング用光学素子に接触させる段階、前記
サンプリング用光学素子の分光特性を前記接触前後に測
定する段階、前記接触前後に於ける分光特性の変化から
前記被検雰囲気ガス中に含まれる汚染ガスを検出する方
法を提供する。
【0032】また第四に、被検物体に接触したガスを光
学薄膜を有するサンプリング用光学素子に接触させる段
階、前記サンプリング用光学素子の分光特性を前記接触
前後に測定する段階、前記接触前後に於ける分光特性の
変化から前記被検物体から脱離する汚染ガスを検出する
方法を提供する。
【0033】また第五に、前記分光特性が、分光透過率
特性、及び分光反射率特性の片方または両方であり、前
記変化が、前記分光特性の極大値または極小値の位置の
波長方向の変化であることを特徴とした請求項1〜4何
れか1項記載の検出する方法を提供する。
【0034】また第六に、前記分光特性が、分光透過率
特性、分光反射率特性、及び吸収から選ばれた一つ以上
であり、前記変化が、分光透過率の低下、または分光透
過率と分光反射率の和の低下、または吸収の増大である
ことを特徴とした請求項1〜4何れか1項記載の検出す
る方法を提供する。
【0035】また第七に、前記分光特性が、分光透過率
特性、分光反射率特性、及び吸収から選ばれた一つ以上
であり、前記変化が、前記分光特性の極大値または極小
値の位置の波長方向及び大きさ方向の変化であることを
特徴とした請求項1〜4何れか1項記載の検出する方法
を提供する。
【0036】また第八に、前記分光特性が、250nm
以下の波長域に於いて測定されることを特徴とした請求
項1〜7何れか1項記載の検出する方法を提供する。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明者は、基板サンプル(光学
素子)に付着したどのような汚染物もその物質(化合
物)固有の屈折率と吸収係数を有するある特定の厚みを
持つ光学薄膜と見做せることに気付いた。そしてこの汚
染物の薄膜を有する光学素子の透過率または反射率等の
分光特性の測定により汚染物の存在が検出できるのでは
ないかと考えた。
【0038】そして、本発明者は、数々の測定実験を重
ねた結果、光学素子の透過率または反射率等の分光特性
の変化から極微量汚染物の検出を行うことが可能である
ことを見つけた。更に、被検雰囲気ガス中で吸着サンプ
リングをおこない、分光特性の変化の測定を行うことに
より、環境中、即ち雰囲気ガス中等に含まれる極微量汚
染ガスの検出、プラスチックなどの物体から脱離する極
微量汚染ガスを高感度かつ手軽に検出する方法を見いだ
した。
【0039】図4は、本発明を説明する検出装置の概念
図である。図4は分光透過率測定の場合を示すが、分光
反射率測定の場合、また透過率の低下(吸収の増大)も
本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0040】図4にて100は分光光源部、109は測
定ビーム、101は測定ボックス、102は基板サンプ
ル(光学素子)、103は基板ホルダ、104と105
は測定窓、106は検出部である。更に、図4には図示
されないが、通常は、測定ビーム109に平行して参照
ビームを具え、2光束測定が出来るよう構成されてい
る。
【0041】測定に当たっては、基板サンプルとしての
光学素子102が測定ボックス101にセットされ、分
光光源部100から発せられた単色光が光学素子102
に照射され、その透過光、結局は透過率が検出部106
により検出される。分光光源部100は波長を連続的に
走査するよう構成されているので、結局は図4により光
学素子の分光透過率特性が測定される。
【0042】分光反射率特性の測定は、基本的には図4
と同じ光学系だが、図4の測定ボックス101のみを図
5で概要を示した測定ボックス110に置き換えること
により可能である。図5に於いて、107はミラー、1
02は光学素子、108はミラーである。更に、反射率
測定の場合も透過率測定の場合と同様に、通常は、図5
には図示されないが、測定ビーム109に平行して参照
ビームを具え、2光束測定が出来るよう構成されてい
る。
【0043】以上の測定に於いて、測定対象外の汚染ガ
スの吸着・付着以外に注意しなければならない。例え
ば、水の吸着・付着である。吸着・付着した水は測定結
果に誤差を与えるので測定は乾燥雰囲気下で行なわなけ
ればならない。
【0044】以上のような装置で測定された分光特性、
即ち分光透過率特性、分光反射率特性、及び吸収から選
ばれた少なくとも一つを用い、光学素子上の極微量汚染
物の検出を行う。そして、更には、光学素子上に雰囲気
汚染ガスを吸着サンプリングし、この光学素子の分光特
性の変化の検出を行うことで、環境である雰囲気ガス中
に含まれる有機物などの極微量汚染ガス、プラスチック
などの物体から脱離する極微量汚染ガスを高感度かつ手
軽に検出する。 [検出方法]以下に本発明の検出方法を詳しく説明す
る。
【0045】本発明の検出対象の汚染物は、量的には表
面汚染の場合、数百ng/cm2以下で、環境中即ち雰囲気
ガス中の存在量が数百μg/m2オーダー以下という極微
量のcm汚染物であり、質的には分子状の有機物などが主
体である。また、本発明で言う光学素子とは、多くの場
合、その表面上に光学薄膜が形成されたレンズ、プリズ
ムなどの素子である。そして、光学薄膜とは、光学素子
に対してある波長または波長帯で反射防止の分光特性
や、高反射の分光特性を与える薄膜である。この光学薄
膜は、フッ化マグネシウムのようなフッ化物や二酸化ケ
イ素のような酸化物などの誘電体、もしくはITO ような
伝導体、アルミニウムのような金属から成る薄膜を1層
または多層形成させた構造を持つ。例えば、石英レンズ
や平面ガラスに、特定波長で反射防止効果を示すように
フッ化マグネシウム薄膜を形成したものが、光学薄膜付
きの吸着サンプリング用光学素子に当たる。薄膜形成方
法には真空蒸着法などの物理的成膜法、化学的成膜法、
それに表面改質による方法などがある。
【0046】汚染ガスの脱離を調べる検出対象の物体に
は、プラスチック材料などに限らず、接着剤やゴムも含
まれ、また、材料形状は、固体、液体を問わない。
【0047】以下、検出手順を詳しく説明する。 <光学素子上の極微量汚染物の場合>先ず、光学素子の
透過率及び反射率を、例えば図4、図5の装置を用いて
前に説明したような分光測定方法により測定する。汚染
物の検出は、透過率及び反射率の測定値の比較を行なう
ことにより行なう。
【0048】例えば以下のような各モードで測定を行な
う。第一は、光学素子表面上で測定位置を変化させ、複
数の位置で分光特性を測定する。第二は、光学素子の汚
染前と汚染後の分光特性を測定する。第三は洗浄により
光学素子表面上の汚染物を取り除いた分光特性の値と汚
染物に汚染された汚染部の値を測定する。
【0049】第一〜第三の測定に於いて、透過率または
反射率は、測定値で約0.05%、且つ測定波長精度で
0.1nm程度よりも高い測定精度で測定する必要があ
る。この測定精度は必ずしも絶対測定精度である必要は
なく、桁違いに低い約0.5%の絶対測定精度であって
も、相対測定精度(或いは繰り返し測定精度)が約0.
05%あれば良い。
【0050】次に、これら第一から第三までの測定モー
ドを適当に選んで測定し、複数の測定間で分光特性の変
化を比較し、解析する。 <環境中などに含まれる有機物などの極微量汚染ガス、
プラスチックなどの物体から脱離する極微量汚染ガスの
場合>先ず、サンプリング用の光学素子を清浄な状態に
保ったままで分光透過率及び分光反射率を、例えば図
4、図5の装置を用いて前に説明したような分光測定方
法により測定する。次にこのサンプリング用の光学素子
を環境中の雰囲気ガスに曝すか、またはプラスチックな
どの被検物体に接触したガスに接触させる。接触後、上
と同様な方法でこのサンプリング用の光学素子の透過率
または反射率を測定する。
【0051】以上のように、サンプリング用光学素子の
被検雰囲気ガスへの暴露または被検物体に接触したガス
への接触前後の透過率及び反射率の測定値の比較を行な
うことにより、これら暴露または接触によりサンプリン
グ用光学素子の表面に吸着または付着の何れか一方また
は両方(以下「吸着または付着の何れか一方または両
方」を単に「吸着・付着」と表現する)により生じた汚
染物を検出する。この検出のために以下のような各モー
ドで測定を行なう。第一は、吸着・付着後に於いてサン
プリング用光学素子表面上での測定位置を変化させ、未
汚染部と汚染部の複数の位置で分光特性を測定する。第
二は、サンプリング用光学素子の吸着・付着前と吸着・
付着後の分光特性を測定する。第三は洗浄によりサンプ
リング用光学素子表面上の吸着・付着による汚染物を取
り除いた分光特性と汚染部の分光特性を測定する。
【0052】調べたい環境、即ち被検雰囲気ガス中に存
在するかもしれない汚染ガスを検出するために、サンプ
リング用光学素子を被検雰囲気ガス中に放置して暴露さ
せるか、もしくはサンプリング用光学素子に被検雰囲気
ガスを吹きかけるなどして接触させる方法を取る。
【0053】サンプリング用光学素子には検出感度を高
めるために好ましくは光学薄膜が形成される。
【0054】サンプリング用光学素子に極微量汚染ガス
を吸着させるサンプリング時間は、環境中に含まれる極
微量汚染ガスの濃度や吸着速度などによって決まる。低
濃度である場合には、サンプリング時間を伸ばすこと
で、高感度検出が可能になる。通常では1日から2週間
のサンプリング時間が適当である。なぜなら、汚染ガス
の吸着は、1日から2週間のサンプリング時間で飽和し
てしまうからである。
【0055】サンプリング温度は、室温でも、室温でな
くても良い。吸着・付着させるサンプリング用光学素子
を冷却することで吸着量を増やすことができる。この場
合、一度吸着・付着した極微量汚染ガスは光学素子から
脱離しにくくなり、サンプリング効率が良くなる。
【0056】汚染ガスは、通常、サンプリング用光学素
子表面の光学薄膜の最上層に吸着・付着する。従って、
吸着・付着確率は、最上層の膜物質に依存する。検出感
度を高めるためにはこれらの物質は出来るだけ吸着・付
着確率が高いことが好ましい。最上層の膜物質が親水性
であると(極性が強いと)、親水性のガスが吸着・付着
し易く、親油性であると(極性が弱いと)、親油性のガ
スが吸着・付着し易い。更にまた、一般に表面自由エネ
ルギーが大きく、また膜にしたときに表面があれる物質
が好ましい。更に測定光として好ましい紫外光を良く透
過する物質が好ましい。その意味で、サンプリング用光
学素子の光学薄膜の最上層物質として、フッ化マグネシ
ウム(MgF2 )や2酸化ケイ素(SiO2 )等が好ま
しい。
【0057】また、被検物体から脱離するかもしれない
極微量汚染ガスを検出するために、調べたい物体近くに
サンプリング用光学素子を放置するか、もしくは調べた
い物体に接したガスをサンプリング用光学薄膜に吹きか
ける方法などがある。サンプル測定に際し、被検物体を
加熱することで脱離するガスを増やし、サンプリング効
率を向上することが出来る。サンプリング用光学素子
は、それを冷却することで吸着量を増やすことができ
る。
【0058】被検雰囲気ガスまたは被検物体からの脱離
ガスのサンプリング用光学素子へのサンプリングの際に
は、調べたい環境もしくは物体以外からの汚染ガスが混
じらないように注意する必要がある。このためには、被
検雰囲気ガスもしくは物体からの脱離ガスを含んだガス
をサンプリング用光学素子と一緒に、脱離ガスが充分に
少ない金属やガラスなどの部材から作られた密閉容器に
導入し、他の測定対象外のガスから隔離するのが好まし
い。勿論、様々な発生源からくるガスを含む雰囲気ガス
が測定対象の場合には、サンプリングの際に隔離しない
ほうがよい。
【0059】サンプリング用光学素子へのサンプリング
は、密閉容器内等の専用の場所で行なっても、図4また
は図5示されるような測定ボックス(101、110)
内で行なっても良い。この場合測定ボックス内は脱ガス
を充分に小さくされ、好ましくは被検ガス導入用の導入
口及び排出用排出口が設けられる。
【0060】物体からの脱離ガスをサンプリング用光学
素子へ接触させるために、清浄なキャリアガスに脱離ガ
スを混入させてキャリアガスごとサンプリング場所へ導
入するのは好ましい方法である。
【0061】測定に於いて、透過率または反射率は、測
定値で約0.05%、且つ測定波長精度で0.1nm程
度よりも高い測定精度で測定する必要がある。この測定
精度は必ずしも絶対測定精度である必要はなく、桁違い
に低い約0.5%の絶対測定精度であっても、相対測定
精度(或いは繰り返し測定精度)が約0.05%あれば
良い。
【0062】次に、これら第一から第三までの何れかの
測定モードに於いて、複数の測定間で分光特性の変化を
比較し、解析する。 [解析法]前に述べたように、光学素子上の汚染物やサ
ンプリング用光学素子上に極微量汚染ガスが接触して吸
着・付着して生じる汚染物は、主に、分光透過率特性、
分光反射率特性、全透過率(全吸収)により検出され
る。更に具体的に言うと、前に述べた各モードで各々測
定された分光特性のシフトにより検出される。具体的に
は分光反射率特性または分光透過率特性などのシフト、
またはこれらの極大または極小位置のシフト、または透
過率の低下( 吸収の増大) シフトである。以下に分光特
性のシフトや透過率の低下( 吸収の増大) が生じる原理
と、それを利用した極微量汚染物の検出法を具体的に示
す。 <分光特性のシフト>光学薄膜を具えた光学素子に汚染
物が付くと(吸着・付着すると)、光学素子上の光学薄
膜のアドミッタンスに、汚染物の屈折率と膜厚に対応す
る微小変化が生じる。この変化分だけ分光特性に変化が
もたらされる。この汚染物によって生じるアドミッタン
スの微小変化の例を図1により説明する。図1で、1
は、複素屈折率n0 の基板7上に単一の層が形成され複
素屈折率nx を示す光学薄膜6のアドミッタンス図であ
る。2は、同じ光学薄膜6上に極微量汚染ガスが吸着・
付着して汚染物9が生じたときのアドミッタンス図であ
る。吸着・付着により、4で示した分だけのアドミッタ
ンス変化を生じる。3は、1と同様に、複素屈折率n0
の基板7上に単一の層が形成された光学薄膜60のアド
ミッタンス図であるが、1の場合よりも適当な量だけ長
波長側にずらして設計された。長波長側にずらして設計
された結果、光学薄膜60の膜厚は光学薄膜6の膜厚よ
りも微小量だけ厚いために、3のアドミッタンス図は、
1のアドミッタンス図とは微小量4’の分だけ異なり、
2のアドミッタンス図と同一と見做せるほど類似してい
る。つまり、基板7上に、極微量汚染ガスが吸着・付着
して汚染物9が生じた光学薄膜6は、中心波長を長波長
側にずらして設計された光学薄膜60と近似的に同一の
アドミッタンスを持つので、分光特性が長波長側にシフ
トしたように観測されるのである。
【0063】分光特性のシフトは光学素子がモノリシッ
クな基板のみでは観測されにくく、基板上に光学薄膜が
積層されていることが大いに好ましい。この理由は以下
の通りである。
【0064】一般に光学素子上の汚染物、または環境中
の極微量汚染ガスまたは物体からの脱離ガスが吸着・付
着して生じる汚染物の厚さはせいぜい数nmオーダーで
あるため、汚染物のある場合とない場合との間のアドミ
ッタンス変化はとても小さい。しかしながら、測定光の
波長領域での顕著な干渉効果の結果、測定波長域で、反
射防止効果、またはダイクロイック効果、またはバンド
パス効果等の所定の光学特性を示すように調整された光
学薄膜の場合は、このアドミッタンスが微小な厚さの汚
染物により微小変化すると、測定領域で顕著な干渉効果
・分光特性の変化が現れる。
【0065】しかし、モノリシックな基板のみでは、も
ともと基板のみでは干渉効果を示さないために、微小な
厚さの汚染物によりアドミッタンスが同じ微小変化して
も測定波長域に於いて分光特性の変化を及ぼさない。光
学薄膜のないモノリシックな基板上で分光特性に変化が
現れ、検出可能となるためには、汚染物の光学的厚さが
干渉効果が生じる厚さ、測定波長λの1/4 程度ほど必要
である。この厚さは通常は数十nm以上であり、これは
我々が目指す極微量汚染物の測定方法としては満足でき
る精度ではない。
【0066】以上の理由で、一般に測定波長域は、光吸
収係数が測定の障害にならないほど大きくない限り、短
波長である程検出精度が高い。
【0067】複素屈折率n0 の基板に複素屈折率n
1 (n1 ≠n0 )、物理的膜厚d1 (光学的膜厚でn1
1 )の層が積層された光学薄膜は、波長λ0 =4n1
1 で反射率が極値を有する分光特性を示すことは周知
である。この表面に、複素屈折率n2 、物理的膜厚d2
(光学的膜厚でn2 2 )の非常に薄い極微量汚染物が
付いた場合、簡単のためにn2 〜n1 と近似すると、複
素屈折率n1 、物理的膜厚d1 の光学薄膜が、複素屈折
率n1 、物理的膜厚d1 +d2 の光学薄膜に変化したと
言える。この変化に対応してアドミッタンスが変化し、
このアドミッタンス変化に対応して、極値の波長位置
(λ0 =4n1 1 )が、Δλ0 =4n1 1だけ長波
長側にシフトする。
【0068】以上のことから、逆に、光学素子の分光特
性を前に示したようなモードで測定し、分光特性の長波
長側へのシフトが生じていることが検出できれば、光学
素子上に極微量汚染物が存在していると見做せる。
【0069】更に、シフト量から極微量汚染物の(複素
屈折率)×(厚さ)の値を求めることが可能である。も
う少し厳密にいうと、第一の極微量汚染物と第二の極微
量汚染物とが同じ大きさの長波長シフトを起こすとき、
第一の極微量汚染物の複素屈折率n´1 、物理的膜厚d´
1 と第二の極微量汚染物の複素屈折率n´2 、物理的膜
厚d´2 との間には(n´2 2-n x 2)×n´2 ×d´2=(n´1 2
-n x 2)×n´1 ×d´1 なる近似関係式がある。上式のn
x は極微量汚染物がない場合の光学薄膜の複素屈折率で
ある。従って、ある長波長シフト量に対応する極微量汚
染物の複素屈折率と物理的膜厚の組み合わせは、上記の
式に当てはまる全ての組み合わせのものとなる。
【0070】光学素子上に生じる汚染物が同種であるこ
とが分かっていれば、汚染物の複素屈折率は同じである
筈であり、シフト量が大きいほど汚染量も多いというこ
とである。
【0071】ここで、注意すべきは検出対象の汚染物の
厚みである。汚染物の厚みが充分に薄い場合には、分光
特性は汚染物の厚みに比例して長波長側へシフトする
が、汚染物が余り厚いと、アドミッタンスの変化が大き
すぎて、分光特性の変化が単純な長波長側へのシフトで
はなくなってしまう。この意味で、分析対象の汚染物の
厚みは、長波長側へのシフト量が汚染物の厚みに比例す
る範囲である、数十分子層程度以下に留めるのが好まし
い。
【0072】また更に、多層光学薄膜の場合、設計によ
っては単純な長波長側へのシフトだけではなくなってし
まうので注意が必要である。さらに多層膜の構成次第で
は、極微量汚染物が同じ汚染物の厚みでも大きな波長シ
フトとして検出できる場合と小さな波長シフトとしてし
か検出できない場合とがある。そういう意味で汚染物ま
たは汚染ガスを大きな感度で検出するのに適した光学薄
膜の膜構成が存在し、最適化法(オプティマイズ)、等
によりこの光学薄膜構成を設計することが出来る。
【0073】どんな化合物等の物質も複素屈折率を有す
る。そのため、殆どの極微量汚染物は光学薄膜の最上層
に吸着・付着する限り検知可能である。
【0074】環境中などに含まれる有機物などの極微量
汚染ガス、プラスチックなどの物体から脱離する極微量
汚染ガスを検出する場合には、吸着サンプリング用光学
素子に対し同様な解析を行えばよい。この汚染ガスは、
汚染層の厚み×屈折率として検出される。
【0075】反射防止膜を有する光学素子にシロキサン
が吸着したときの分光特性の変化を図2にしめす。この
シロキサン濃度はng/cm2オーダーであることはGC-MS
測定で確認された。図2により汚染量が多くなるほ
ど、長波長シフト量も多くなることが分かる。
【0076】以上の説明は、測定波長域に於いて汚染物
の吸収係数が無視できるほど小さく、汚染物による分光
特性のシフトが主として波長方向のシフトである場合を
述べた。
【0077】汚染物の吸収係数が大きくて、測定光に対
して光吸収性の場合、極微量汚染物が吸着・付着した光
学素子や、サンプリング用光学素子は、分光特性の長波
長シフトに加え、後述する透過率の低下( 吸収の増大)
シフトも同時に起こる。これら長波長シフトと透過率の
低下は、どちらか一方のみを解析することも可能である
し、両方を総合的にも解析することも可能である。<透
過率の低下( 吸収の増大) >汚染物は、それぞれ固有の
波長または波長帯で光吸収を示す。特に、波長が短くな
る程、どの様な汚染物でも吸収が増える傾向がある。つ
まり、極微量汚染物が吸着・付着した光学素子や、サン
プリング用光学素子の分光特性を測定すると、極微量汚
染物の光吸収に応じて、光学素子が吸収し、透過率と反
射率の和が低下する。
【0078】吸収は、ランベルト- ベアの法則、 I =I0exp(-abd) (1) に従う。本発明では、I0を清浄な光学素子や、清浄なサ
ンプリング用光学薄膜を通る光量、I を極微量汚染物が
吸着・付着した光学素子や、極微量汚染物が吸着・付着
したサンプリング用光学素子を通る光量とする。a は光
学素子に吸着・付着した極微量汚染物の吸光係数、b は
吸着・付着した極微量汚染物の濃度、dは吸収層の厚さ
である。もっと詳細に表現すれば、光学素子の表面と裏
面との両面に反射率rの同じ光学薄膜が形成されている
場合、表面反射損失を考慮すれば、I=I0×(1-r)2exp(-a
bd) となり、また更に詳しく表現すると、反射率(r)
の式である、フレネル(Fresnel )の式、r={(n-1)/(n
+1) }2 を用い、且つ光学素子の表面と裏面間の多重反
射を考慮すれば、I=I0×(1-r)2exp(-abd)/{1-r2exp(-2
abd)}であるが、原理理解のためには、前述のI=I0exp
(-abd) の式をもとに考えても差し支えなく、吸収の増
大は、吸着・付着した汚染物の吸光係数、濃度、厚さに
指数関数的に依存していることが明らかである。これ
が、本検出法が極微量汚染物に対して高感度である理由
である。汚染物にもよるが、分子層以下の極微量汚染物
でも検出可能である。
【0079】吸収をA 、散乱をS 、透過率をT 、そして
反射をR で表すと、一般に、1-A-S-T-R=0 の関係が成立
し、散乱S が無視できる場合、A=1-T-R の関係になり、
透過率及び反射率の分光特性から吸収を求めることが出
来る。
【0080】以上のことより、光学素子の分光特性の変
化を測定して、透過率と反射率の和の低下量が大きけれ
ば、吸収の増大が大きいことを意味し、式(1)により
吸光係数×濃度×厚さの大きな極微量汚染物が吸着・付
着していることが分かる。
【0081】極微量汚染物の種類が予め分かっている場
合には、その吸光係数が既知であるので、光学素子上の
極微量汚染物の濃度×厚さが分かることになる。
【0082】環境中の雰囲気ガスなどに含まれる有機物
などの極微量汚染ガス、プラスチックなどの物体から脱
離する極微量汚染ガスを検出する場合には、吸着サンプ
リング用光学素子に対し同様な解析を行えばよい。
【0083】サンプリングする光学素子に形成されてい
る光学薄膜が同じであれば、極微量汚染ガスの吸着確率
は同じであり、吸着した極微量汚染ガスにより生じる汚
染物の濃度×厚さは環境中に含まれる極微量汚染ガスの
濃度に依存するので、透過率と反射率の和の低下量が大
きいほど、即ち吸収の増大が大きい程、環境中の被検雰
囲気ガス中の極微量汚染ガス濃度は高いことが分かる。
環境中の極微量汚染ガスの光学薄膜に対する吸着確率や
吸着量はGC-MS 測定などにより求めることができ、この
吸着量等と分光特性の測定により得られる吸収等との関
係の検量線さえ予め求めておけば、吸収量( 透過率と反
射率の和の低下量) から正確に環境中の対象の極微量汚
染ガス濃度を求めることが出来る。
【0084】特に、芳香族や、二重結合基やアミノ基を
持っている物質は、短波長で非常に大きな吸光係数を持
つために、これらの汚染ガスの検出は高感度に行うこと
が出来る。他の汚染物も250nm 以下の短波長になると、
大きい光吸収を示すので問題はない。
【0085】検出精度の向上のためには、極微量汚染ガ
スの吸着・付着で、分光特性が出来るだけ大きく変化す
ることが好ましい。そのためには式(1)から分かるよ
うに、殆どの極微量汚染ガスが大きい吸収を示す短波長
で、I0が大きい、つまり光学薄膜と基板の透過率ができ
るだけ高い光学素子やサンプリング用光学素子を用いる
ことが好ましい。
【0086】反射防止膜が形成された光学素子にフタル
酸ジブチルが吸着したときの分光特性の変化を図3に示
す。このフタル酸ジブチルの濃度はng/cm2オーダーであ
ることはGC-MS 測定で確認された。汚染量が多くなるほ
ど透過率低下量も多くなることが分かる。
【0087】極微量汚染物が吸着・付着した光学素子や
サンプリング用光学素子は、透過率の低下( 吸収の増
大) に加え、長波長シフトも同時に起こる。しかし、別
々に解析することも可能であるし、総合的にも解析可能
である。
【0088】以上詳細に説明したように、本発明者は、
どのような化合物も固有の複素屈折率( 屈折率及び吸収
係数) を持つことに着目した。
【0089】このような複素屈折率を有する極微量汚染
物が、光学素子、またはサンプリング用光学素子上に物
理的膜厚d だけ吸着・付着すると、それらは必ず複素屈
折率n をもつために、光学薄膜の分光特性に影響を与え
る。つまり、極微量汚染物が吸着・付着した光学素子
は、吸着・付着前の本来の光学薄膜の最上層に新たにn
の複素屈折率を持つものが物理的膜厚d だけ積層された
新しい光学薄膜になるといえる。そして、その結果、汚
染ガスが吸着・付着した光学薄膜と、吸着・付着前の光
学薄膜では、吸着・付着した極微量汚染物の量の分だけ
分光特性が変化することになるのである。汚染前後の光
学素子( もしくは光学素子上の清浄部分と汚染部分な
ど) の分光特性変化を分光測定器などで測定し解析する
ことでその上に生じた極微量汚染物を検出することが出
来る。また、環境中などに含まれる極微量汚染ガス、プ
ラスチックなどの物体から脱離する極微量汚染ガスを適
当なサンプリング用光学素子に吸着させて吸着前後の分
光特性変化を分光測定器などで測定し解析することで有
機物などの極微量汚染ガスを検出することが可能であ
る。更に、光学素子またはサンプリング用光学素子を測
定するに当たって、測定ビームを充分に絞り込むことに
より、光学素子上の汚染物の分布を検知することが可能
である。
【0090】本発明により、汚染による光学素子の吸収
の発生原因を簡便に、且つ安価に探究できるので、特に
紫外光を用いる光学装置、特に半導体露光装置の露光用
レンズの光学特性の低下問題の解決、光学素子の寿命の
低下の原因追求に好都合である。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、以下の
ような利点を持っている。 1. 測定光をサンプルに照射して、その照射部分のみの
分光特性を測定するので、照射部分以外はサンプルに触
れることが可能であり、サンプルの取り扱いが容易であ
る。 2. 測定光が微弱であっても検出可能であるため、サン
プルを破壊することがない。 3. 測定自体は、透過率などの分光特性を測定するだけ
なので測定時間が短い。 4. 短波長の測定光を使用すると、高感度測定が可能で
ある。 5. 専用のサンプリング用光学薄膜を用いると、高感度
測定が可能である。 6. 測定により、吸着または付着した汚染物の複素屈折
率×物理膜厚を知ることが可能である。 7. 大気圧下で検出可能なため、従来の真空中で測定す
る測定器では測定不可能な、揮発性の極微量汚染物をも
検出することが可能である。 8. 測定光のスポット径をサンプル径より小さく絞った
場合には、サンプル上の汚染物の場所依存性を調べるこ
とができる。
【0092】その結果、光学素子上の極微量汚染物は勿
論のこと、環境中などに含まれる極微量汚染ガス、及び
プラスチックなどの各種発ガス性材料から脱離する極微
量汚染ガスの検出を、高感度、短時間、且つ安価に行な
うことが出来るばかりでなく、6.、7.の効果により
従来は不可能であった測定も行なうことができる。
【0093】その結果、高性能で寿命が長い光学装置、
特に半導体露光装置等の露光用レンズを得ることが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】極微量汚染ガスの吸着・付着によって生じる光
学薄膜のアドミッタンスの微小変化を説明する図。
【図2】反射防止膜を有する光学素子にシロキサンが吸
着・付着したときの分光特性の変化。
【図3】反射防止膜を有する光学素子にフタル酸ジブチ
ルが吸着・付着したときの分光特性の変化。
【図4】本発明を説明する分光透過率特性測定装置の概
念図。
【図5】本発明を説明する分光反射率特性測定用測定ボ
ックスの概念図。
【符号の説明】
1 光学薄膜6のアドミッタンス図の例 2 光学薄膜6に極微量汚染ガスが吸着・付着した
ときのアドミッタンス図の例 3 光学薄膜6よりも微小膜厚だけ厚い光学薄膜6
0に対するアドミッタンス図の例 4 光学薄膜6への極微量汚染ガスの吸着・付着に
よって生じたアドミッタンスの微小変化 4’ 光学薄膜6と光学薄膜60の膜厚の差分によっ
て生じたアドミッタンスの微小変化 5 光学薄膜付き光学素子 6 光学薄膜 7 基板 8 極微量汚染ガスが吸着・付着した光学薄膜付き
光学素子 9 吸着・付着した極微量汚染ガスによる汚染物 10 反射防止膜のついた光学素子の分光特性 11 反射防止膜のついた光学素子にシロキサンが吸
着したときの分光特性 12 反射防止膜のついた光学素子の分光特性 13 反射防止膜のついた光学素子にフタル酸ジブチ
ルが吸着したときの分光特性 60 光学薄膜 100 分光光源部 101 測定ボックス 102 基板サンプル(光学素子) 103 基板ホルダ 104 測定窓 105 測定窓 106 検出部 107 ミラー 108 ミラー 109 測定ビーム 110 測定ボックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/33 G01N 21/33 21/41 21/41 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学素子の分光特性を経時的に測定し、前
    記分光特性の変化により前記基板表面上に生ずる汚染物
    を検出する方法。
  2. 【請求項2】光学素子の2個所以上の各測定点で分光特
    性を測定し、前記各測定点間に於ける前記分光特性の変
    化により前記光学素子表面上にある汚染物を検出する方
    法。
  3. 【請求項3】被検雰囲気ガスを光学薄膜を有するサンプ
    リング用光学素子に接触させる段階、前記サンプリング
    用光学素子の分光特性を前記接触前後に測定する段階、
    前記接触前後に於ける分光特性の変化から前記被検雰囲
    気ガス中に含まれる汚染ガスを検出する方法。
  4. 【請求項4】被検物体に接触したガスを光学薄膜を有す
    るサンプリング用光学素子に接触させる段階、前記サン
    プリング用光学素子の分光特性を前記接触前後に測定す
    る段階、前記接触前後に於ける分光特性の変化から前記
    被検物体から脱離する汚染ガスを検出する方法。
  5. 【請求項5】前記分光特性が、分光透過率特性、及び分
    光反射率特性の片方または両方であり、前記変化が、前
    記分光特性の極大値または極小値の位置の波長方向の変
    化であることを特徴とした請求項1〜4何れか1項記載
    の検出する方法。
  6. 【請求項6】前記分光特性が、分光透過率特性、分光反
    射率特性、及び吸収から選ばれた一つ以上であり、前記
    変化が、分光透過率の低下、または分光透過率と分光反
    射率の和の低下、または吸収の増大であることを特徴と
    した請求項1〜4何れか1項記載の検出する方法。
  7. 【請求項7】前記分光特性が、分光透過率特性、分光反
    射率特性、及び吸収から選ばれた一つ以上であり、前記
    変化が、前記分光特性の極大値または極小値の位置の波
    長方向及び大きさ方向の変化であることを特徴とした請
    求項1〜4何れか1項記載の検出する方法。
  8. 【請求項8】前記分光特性が、250nm以下の波長域
    に於いて測定されることを特徴とした請求項1〜7何れ
    か1項記載の検出する方法。
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