JPWO2016024612A1 - ポリエステル樹脂、塗布液および積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)ガラス転移温度が−40〜40℃であり、JIS K7196の熱機械分析による軟化温度試験方法で測定される温度−変形量曲線において、変曲点の数が2〜7であり、変曲点の温度の最大値が5〜55℃であることを特徴とするポリエステル樹脂。
(2)ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸から選択される少なくとも3種のジカルボン酸を含有し、グリコール成分として、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリテトラメチレングリコールから選択される少なくとも3種のグリコールを含有することを特徴とする(1)に記載のポリエステル樹脂。
(3)ガラス転移温度が−10〜40℃であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移温度が−40〜−10℃であるポリエステル樹脂(B)とを含有し、両樹脂の質量比〔(A)/(B)〕が20/80〜95/5であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリエステル樹脂。
(4)有機溶剤中に、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂を5質量%以上含有してなることを特徴とする塗布液。
(5)基材上に、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含有する塗膜が形成されてなることを特徴とする積層体。
(6)基材上の塗膜にさらに他の基材が積層されてなることを特徴とする(5)に記載の積層体。
本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が−40〜40℃であり、JIS K7196の熱機械分析による軟化温度試験方法で測定される温度−変形量曲線において、変曲点の数が2〜7であり、変曲点の温度の最大値が5〜55℃である。
ポリエステル樹脂は、Tgが−40℃未満であると、ブロッキング防止効果に劣るものとなり、一方、Tgが40℃を超えると、低温で接着加工を行うことができず、接着加工が行えても接着力に劣るものとなる。
なお、変曲点は、温度−変形量曲線の微分チャートにおいてピークとして表示されるので、変曲点の数や温度は、微分チャートにおけるピークの数やピークトップの温度と同等であり、微分チャートを使用して求めてもよい。
図1を用いて説明する。温度−変形量曲線を示すものは1であり、変曲点は3で示すものであり、図1で示す温度−変形量曲線1においては、変曲点を3点有している。そして、変曲点3のそれぞれの温度は、5〜7に示すものであり、変曲点の温度の最大値は5に示す温度である。そして、変曲点の温度の最小値は7に示す温度である。温度−変形量曲線の微分チャートを示すものは2であり、これらのピークを示すものは4である。
さらには、変曲点の温度の最小値は、−20〜5℃であることが好ましく、中でも−15〜0℃であることが好ましい。ポリエステル樹脂は、変曲点の温度の最小値が−20℃未満であると、ブロッキング防止効果に劣るものとなりやすく、また、変曲点の温度の最小値が5℃を超えると、低温で接着加工を行うことが困難となりやすい。
ポリエステル樹脂(A)は、多価カルボン酸成分とグリコール成分とを主成分として構成されることが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)を構成する多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシ−イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、シュウ酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などや、またはその無水物が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、耐久性などの観点から、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸を含有することが好ましい。
また、低温での接着加工性を向上させるために、主鎖の炭素数が4〜18である脂肪族ジカルボン酸を含有することが好ましく、中でもアジピン酸(炭素数6)、アゼライン酸(炭素数9)、セバシン酸(炭素数10)、ドデカン二酸(炭素数12)を含有することが好ましい。上記脂肪族ジカルボン酸を用いる場合、ポリエステル樹脂(A)を構成する全酸成分中、炭素数が4〜6の脂肪族ジカルボン酸は25〜50mol%、炭素数が7〜10の脂肪族ジカルボン酸は20〜45mol%、炭素数が11〜18の脂肪族ジカルボン酸は10〜40mol%含有することが好ましい。
なかでも、溶解性などの観点から、グリコール成分として、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールを含有することが好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸と同様の効果が期待でき、低温での接着加工性を向上させることができることから、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル等のポリアルキレングリコールを0.5〜5mol%含有することが好ましい。
・テレフタル酸(20〜60mol%)/イソフタル酸(20〜55mol%)/セバシン酸またはアゼライン酸(20〜45mol%)/エチレングリコール(40〜70mol%)/ネオペンチルグリコール(30〜60mol%)
・テレフタル酸(20〜55mol%)/イソフタル酸(20〜55mol%)/アジピン酸(20〜50mol%)/エチレングリコール(40〜70mol%)/ネオペンチルグリコール(30〜60mol%)
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、4−(β-ヒドロキシ)エトキシ安息香酸などが挙げられる。
脂肪族ラクトンとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸などが挙げられる。
モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂(A)とともに含有されるポリエステル樹脂(B)も、多価カルボン酸成分とグリコール成分とを主成分として構成されることが好ましい。
なかでも、耐久性などの観点から、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸を含有することが好ましい。
また、低温での接着加工性を向上させるために、主鎖の炭素数が6〜12である脂肪族ジカルボン酸を含有することが好ましく、中でもアジピン酸(炭素数6)、アゼライン酸(炭素数9)、セバシン酸(炭素数10)、ドデカン二酸(炭素数12)を含有することが好ましい。上記脂肪族ジカルボン酸を用いる場合、ポリエステル樹脂(B)を構成する全酸成分中、炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸を10〜40mol%含有することが好ましく、炭素数が6〜8の脂肪族ジカルボン酸は20〜40mol%、炭素数が9〜12の脂肪族ジカルボン酸は10〜30mol%含有することがさらに好ましい。
なかでも、結晶性の観点から、グリコール成分として、1,4−ブタンジオールを含有することが好ましい。1,4−ブタンジオールを含有する場合、その含有量は、ポリエステル樹脂(B)を構成する全グリコール成分中、50mol%以上であることが好ましく、70mol%以上であることがさらに好ましい。
また、低温での接着加工性を向上させるために、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンクリコール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル等のポリアルキレングリコールを0.5〜5mol%含有することが好ましい。
・テレフタル酸(15〜50mol%)/イソフタル酸(20〜50mol%)/セバシン酸またはアゼライン酸(10〜30mol%)/1,4−ブタンジオール(96mol%以上)
・テレフタル酸(15〜50mol%)/イソフタル酸(20〜50mol%)/アジピン酸(20〜50mol%)/1,4−ブタンジオール(96mol%以上)
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、4−(β-ヒドロキシ)エトキシ安息香酸などが挙げられる。
脂肪族ラクトンとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸などが挙げられる。
モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどが挙げられる。
エステル化反応は、例えば、180℃以上の温度において、4時間以上行われる。
重縮合反応は、一般的には、130Pa以下の減圧下、220〜280℃で、重合触媒を用いて行われる。重合触媒としては、テトラブチルチタネ−トなどのチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛などの金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物などが挙げられる。なお、重合触媒の使用量が過少であると重合反応が遅くなる場合があり、一方、過多であると得られるポリエステル樹脂の色調が低下する場合がある。そのため、重合触媒の使用量は、酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4モルであることが好ましい。
そして、ポリエステル樹脂の酸価を調整するために、前記の重縮合反応に引き続き、多価カルボン酸をさらに添加し、不活性雰囲気下で解重合反応を行うことができる。
熱安定剤としては、リン酸、リン酸エステル等が挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物等が挙げられる。
滑剤としては、タルクやシリカ、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。顔料としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。粘着付与剤としては、タッキファイヤー等が挙げられる。
難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、燐酸グアニジン等の燐化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲン燐酸エステル、赤燐、トリアジン、メラミンイソシアヌレート、エチレンジメラミン等の窒素系難燃剤、二酸化スズ、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃助剤、シリコーンパウダー等が挙げられる。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等のエステル系溶剤、セロソルブアセテート、メトキシアセテート等のアセテート系溶剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塗布液におけるポリエステル樹脂の含有量は、用途により適宜調整することが好ましく、中でも20質量%以上であることが好ましく、さらには30質量%以上であることが好ましい。
本発明の積層体において、基材表面の全体にわたって、均一に塗膜が形成されていることが好ましいが、基材表面の一部に塗膜を形成する場合、例えば、ドット状や帯状の塗膜を基材表面に略均一に形成することが好ましい。
本発明の積層体において、基材面積に対する塗膜面積の割合は、用途に応じて適宜調整することができる。塗膜面積の割合が小さいほど、積層体は、ブロッキング防止効果が高くなるが、接着性は低下する傾向がある。よって、接着性を考慮すると、基材面積に対する塗膜面積の割合は20%以上であることが好ましく、中でも50%以上であることが好ましい。
基材上に形成される塗膜は、本発明のポリエステル樹脂を70質量%以上含有することが好ましく、中でも80質量%以上含有することが好ましい。
本発明の積層体を構成する基材としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂からなるフィルムやシート、あるいは、アルミニウム箔または銅箔などの金属箔などが挙げられる。基材としては、これらのフィルム、シート、金属箔などを複数種用いたものでもよい。
他の基材は、限定されるものではなく、塗膜が形成された基材と同種の基材であっても、異種の基材であってもよい。
他の基材としては、ポリエチレンテレフタレート、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリサルフォン、アラミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリイミド、アイオノマー等の樹脂フィルムや樹脂成形体;織編物、不織布、ガラスクロス、コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類、紙や不織布を含む複合材などの隙間のある多孔性基材;金属などが挙げられる。他の基材も上記のような種々の材を複数種用いたものでもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、上述のポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とを、それぞれを重合した後に、重合釜中や押出機を用いて溶融混練することにより製造することができる。また、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)のそれぞれを有機溶剤に溶解した後、これらの溶液を混合することにより製造することができる。有機溶剤としては、塗布液を構成する有機溶剤と同様のものを用いることができる。なお、本発明の塗布液は、ポリエステル樹脂と有機溶剤を含有するものであることから、後者の製造方法を採用することが好ましい。
また、本発明の塗布液は、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を同時に有機溶剤に添加して溶解する方法や、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とを溶融混練して得られた本発明のポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解する方法により製造することができる。
塗布液を基材上に塗布する方法としては、特に限定されるものではなく、リバースロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法またはスプレーコート法などの公知の方法を用いることができる。
(1)ポリエステル樹脂の組成
NMR測定装置(日本電子社製JNM−LA400型)を用い、1H−NMR測定をおこなって、それぞれのモノマー成分のピーク強度からポリエステル樹脂の組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
ポリエステル樹脂を25℃以上で1週間エージングした後、JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC型)を用い、−50℃から200℃まで、10℃/分で昇温させたチャートから、ガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間点をガラス転移温度(Tg)とし、昇温時の融解温度のピークをポリエステル樹脂の融点(Tm)とした。また、融解温度のピーク面積から結晶融解熱量を求めた。
送液ユニット(島津製作所社製LC−10ADvp型)および紫外−可視分光光度計(島津製作所社製SPD−6AV型)を用い、GPC分析により、ポリスチレン換算でポリエステル樹脂の数平均分子量を求めた。なお、GPC分析条件としては、検出波長を254nmとし、溶媒としてテトラヒドロフランを用いた。
得られた塗布液をテフロン(登録商標)シート上に塗布し、60℃で30分間熱処理して混合溶剤を除去した後、80℃で24時間真空乾燥を行って、テフロンシート上に厚さ200μmの塗膜を形成した。
形成された塗膜をテフロンシートから剥離し、塗膜を試料として、JIS K7196の熱機械分析による軟化温度試験方法で温度−変形量曲線を測定した(温度−変形量曲線の模式図を図1に示す)。測定は、熱機械分析装置(TAインスツルメント社製、「TMA2940」)を用い、荷重500mN、昇温速度が5℃/分、先端プローブ径が1mm、測長温度0℃、試料厚み200μmの条件でおこなった。
そして、測定した温度−変形量曲線の変曲点の数と、変曲点の温度を読み取った。
得られた塗布液を、ポリエステルフィルム(ユニチカ社製S−50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)を用い、その内面コロナ処理面に塗布面積の50%となるように格子状に穴を空けたポリエステルフィルムを重ねてから、卓上型コーティング装置(安田精機社製バーコータ装置、フィルムアプリケータNo.542−AB型)を用いて、得られた塗布液を塗布した。その後、重ねたポリエステルフィルムを取り除き100℃で30秒間熱処理し、混合溶剤を乾燥することで、基材上に、厚さ10μmの塗膜が形成された積層体1を得た。
続いて、得られた積層体1の塗膜上に、他の基材としてポリエステルフィルム(ユニチカ社製S−50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)の外面非コロナ処理面を、ホットプレス機(林機械製作所製)を用いて、30℃、70%RHの雰囲気下で、0.1MPaの荷重を与えて、接着させて積層体2を得た。
積層体2を23℃×50%RHの雰囲気下で24時間放置した後、長さ10cm、幅25mmに切断し、引張強度試験機(島津製作所社製オートグラフAG100B型)を用いて、23℃の恒温槽で180度剥離試験をおこない、剥離強度を測定し、サンプル数5個の平均値を算出した。
剥離強度の値により、以下の4段階でブロッキング防止性能を評価した。
◎:0.1N/25mm未満
○:0.1N/25mm以上、1.0N/25mm未満
△:1.0N/25mm以上、2.0N/25mm未満
×:2.0N/25mm以上
実施例、比較例において作製した、基材上に塗膜が形成された積層体1と他の基材とを、70、85、100、120℃の各温度条件下、圧力0.2MPaで10秒プレスして作製した積層体2について、23℃×50%RHの雰囲気下で24時間放置した後、長さ10cm、幅25mmに切断し、引張強度試験機(島津製作所社製オートグラフAG100B型)を用いて、23℃の恒温槽で180度剥離試験をおこない、剥離強度を測定し、サンプル数5個の平均値を算出した。
剥離強度の値により、以下の4段階で低温での接着加工性を評価した。
◎:20N/25mm以上
○:10N/25mm以上、20N/25mm未満
△: 5N/25mm以上、10N/25mm未満
×: 5N/cm未満
本発明においては、△以上の評価であるものが実用性を有するものであると判断し、×であるものは実用性を有しないと判断した。
なお、プレス温度70℃、85℃のいずれの剥離試験においても、接着性の評価が◎または○であるものが、低温での接着加工性に十分優れていると判断した。
調製例1
テレフタル酸58g(35mol%)、イソフタル酸58g(35mol%)、セバシン酸61g(30mol%)、エチレングリコール42g(67mol%)、ネオペンチルグリコール71g(68mol%)、および重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を250℃とし系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに3.0時間重合反応をおこない、ポリエステル樹脂(A1)を得た。
ポリエステル樹脂の仕込組成を表1、2のように変更した以外は、調製例1と同様の操作をおこない、ポリエステル樹脂(A2)〜(A15)、ポリエステル樹脂(B1)〜(B11)を得た。調製例1〜26で得られたポリエステル樹脂における、モノマーの仕込組成、最終組成、および樹脂特性を表1および表2に示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
ADA:アジピン酸
AZA:アゼライン酸
SEA:セバシン酸
EG:エチレングリコール
BD:1,4−ブタンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
BEPG:2,2−ブチルエチルプロパンジオール
MPD:2−メチル−1,3−プロパンジオール
PEG1000:ポリエチレングリコール
NEE:ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル
PTMG1000:ポリテトラメチレングリコール
ポリエステル樹脂(A1)60質量部とポリエステル樹脂(B1)40質量部とからなるポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=8/2(質量比))に添加し、ペイントシェイカーで振盪して、混合溶剤中にポリエステル樹脂を30質量%含有する塗布液を作製した。
基材としてポリエステルフィルム(ユニチカ社製S−50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)を用い、その内面コロナ処理面の全面(塗布面積100%)に、卓上型コーティング装置(安田精機社製バーコータ装置、フィルムアプリケータNo.542−AB型)を用いて、上記塗布液を塗布した。その後、100℃で30秒間熱処理し、混合溶剤を乾燥することで、基材上に、厚さ10μmの塗膜が形成された積層体1を作製した。
続いて、得られた積層体1の塗膜上に、他の基材としてのポリエステルフィルム(ユニチカ社製S−50、厚さ50μm、内面コロナ処理、外面非コロナ処理)の内面コロナ処理面を、ホットプレス機(林機械製作所製)を用いて、70、85、100、120℃の各温度条件下、圧力0.2MPaで10秒プレスし、他の基材が積層された積層体2を作製した。
表3〜5に示すように、ポリエステル樹脂(A)、(B)の種類、含有量を変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を含有する塗布液、積層体1、および他の基材が積層された積層体2を作製した。
実施例27では、基材表面に塗布液を塗布する際に、基材上に格子状に穴が空いたポリエステルフィルムを重ねて、基材表面の面積に対して、20%の塗布面積となるように塗布し、塗布後、格子状に穴が空いたポリエステルフィルムを取り除いた以外は、実施例1と同様にして、積層体1、および他の基材が積層された積層体2を作製した。実施例28では、塗布面積が50%、実施例29では塗布面積が80%となるように、格子状に穴が空いたポリエステルフィルムを用いた以外は、実施例27と同様にして、積層体1、他の基材が積層された積層体2を作製した。
比較例1のポリエステル樹脂は、変曲点の温度の最大値が5℃未満であったため、ブロッキング防止効果が劣るものであった。比較例2〜5のポリエステル樹脂は、変曲点の温度の最大値が55℃を超え、また比較例5ではガラス転移温度も40℃を超えたため、低温での接着加工性が劣るものであった。
比較例6のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が−40℃未満であったため、ブロッキング防止効果が劣るものであった。
比較例7、8のポリエステル樹脂は、変曲点の数が1つであり、比較例7ではブロッキング防止効果が劣り、比較例8では低温での接着加工性が劣るものであった。
2 微分チャート
3 変曲点
4 ピーク
5 変曲点の温度の最大値
6 変曲点の温度の中間値
7 変曲点の温度の最小値
Claims (6)
- ガラス転移温度が−40〜40℃であり、JIS K7196の熱機械分析による軟化温度試験方法で測定される温度−変形量曲線において、変曲点の数が2〜7であり、変曲点の温度の最大値が5〜55℃であることを特徴とするポリエステル樹脂。
- ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸から選択される少なくとも3種のジカルボン酸を含有し、グリコール成分として、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリテトラメチレングリコールから選択される少なくとも3種のグリコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
- ガラス転移温度が−10〜40℃であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移温度が−40〜−10℃であるポリエステル樹脂(B)とを含有し、両樹脂の質量比〔(A)/(B)〕が20/80〜95/5であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
- 有機溶剤中に、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂を5質量%以上含有してなることを特徴とする塗布液。
- 基材上に、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含有する塗膜が形成されてなることを特徴とする積層体。
- 基材上の塗膜にさらに他の基材が積層されてなることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
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