JP2011074188A - ポリエステル樹脂組成物、該ポリエステル樹脂組成物よりなる接着剤、該接着剤を用いた積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、結晶性ポリエステル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とからなり、以下の(i)〜(v)を同時に満足することを特徴とする。
(i)結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が30℃未満であり、かつ非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が40℃以上である。
(ii)結晶性ポリエステル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)との混合比が、質量比で、(A)/(B)=20/80〜98/2である。
(iii)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、側鎖を有する脂肪族多価アルコールが0.5〜10モル%含有されている。
(iv)非晶性ポリエステル樹脂(B)に、1,2−プロピレングリコールが10〜80モル%含有されている。
(v)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、酸成分としてテレフタル酸およびアジピン酸を含有する。
(vi)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、グリコール成分として1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを含有する。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)結晶性ポリエステル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とからなり、以下の(i)〜(v)を同時に満足するものであるポリエステル樹脂組成物。
(i)結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が30℃未満であり、かつ非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が40℃以上である。
(ii)結晶性ポリエステル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)との混合比が、質量比で、(A)/(B)=20/80〜98/2である。
(iii)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、側鎖を有する脂肪族多価アルコールが0.5〜10モル%含有されている。
(iv)非晶性ポリエステル樹脂(B)に、1,2−プロピレングリコールが10〜80モル%含有されている。
(v)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、酸成分としてテレフタル酸およびアジピン酸が含有されている。
(vi)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、グリコール成分として1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールが含有されている。
(2)示差走査熱量計を用いて、JIS K 7121に準拠して測定した融解熱量Qが0.2〜10J/gであることを特徴とする(1)のポリエステル樹脂組成物。
(3)結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶液に溶解したときの、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)の固形分濃度の合計が5〜50質量%であることを特徴とする(1)または(2)のポリエステル樹脂組成物。
(4)結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を固形分濃度の合計が50質量%となるように、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶液に溶解させた溶液の全光線透過率が、85%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のポリエステル樹脂組成物。
(5)ポリエステル樹脂組成物と有機溶剤とを含む接着剤であって、(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物と有機溶剤とを含むことを特徴とする接着剤。
(6)(5)の接着剤を用いた樹脂層と基材とからなる積層体。
(7)樹脂層が2層以上で積層されていることを特徴とする(6)の積層体。
(8)フレキシブルフラットケーブルに用いられたものであることを特徴とする(6)または(7)の積層体。
本発明のポリステル樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、結晶性ポリエステル樹脂(A)(以下、単に「樹脂A」と称する場合がある)と、非晶性のポリエステル樹脂(B)(以下、単に「樹脂B」と称する場合がある)が混合されているものである。
本発明に使用する樹脂Aはガラス転移温度が30℃未満であることが必要であり、20℃未満が好ましく、10℃未満であることがより好ましい。ガラス転移温度が30℃を超えると、樹脂Aおよび樹脂Bを用いて接着剤を得たときに、後述の基材への接着強度が低下するため好ましくない。ガラス転移温度の下限は、−50℃が好ましく、−30℃がさらに好ましい。前記ガラス転移温度が−50℃未満であると、樹脂Aおよび樹脂Bを用いて接着剤を得たときに、接着性が強過ぎて取扱性が低下する場合がある。
樹脂A中のアジピン酸の含有率は、結晶性の促進の観点から、10〜50モル%で配合することが好ましく、20〜40モル%で配合することがより好ましい。
樹脂A中の1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有率は、溶解性を向上させる観点から、20〜60モル%以上であることが好ましく、30〜50モル%以上であることがより好ましい。
樹脂Bは、非晶性のポリエステル樹脂である。樹脂Bはガラス転移温度が40℃以上であることが必要であり、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。ガラス転移温度が40℃未満であると、樹脂Aと混合させて樹脂組成物を得た場合に、耐熱性が低下するため好ましくない。また、樹脂Bのガラス転移温度の上限は、通常85℃程度である。
樹脂Bの酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。ただし、テレフタル酸、アジピン酸を併用すると結晶性が高まる傾向がある。従って、アジピン酸、テレフタル酸を単体で配合したり、アジピン酸、テレフタル酸以外の酸成分と併用したりしても良いが、アジピン酸とテレフタル酸を併用してはならない。
樹脂Bには、1,2−プロピレングリコールが含有されていることが必要である。その含有形態は、特に限定されないが、ブロック共重合により含有されていることが好ましい。樹脂Bに1,2−プロピレングリコールを含有することにより、樹脂Aとの相溶性を高めることができ、両者が透明均一に混ざり合うことで、得られる樹脂組成物の透明性を達成することができる。また、樹脂Bに1,2−プロピレングリコールが含有されていることにより、樹脂Bのガラス転移温度を40℃以上に制御することができる。
本発明においては、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、180℃以上の温度で4時間以上、エステル化反応を行った後、重縮合をさせることにより、樹脂Aおよび樹脂Bを得ることができる。重縮合反応は公知の方法が挙げられ、例えば、130Pa以下の減圧下において、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで縮合反応を進めて、樹脂A、樹脂Bを得ることができる。
上記樹脂Aと樹脂Bとを混合して樹脂組成物を得、該樹脂組成物を有機溶剤に溶解させることで、本発明の接着剤を得ることができる。本発明においては、有機溶剤に溶解させた後の樹脂Aと樹脂Bの相溶性に優れるため、混合した溶液が相分離したり白濁したりすることを防止し、接着剤を基材に塗工した後でも、透明均一な塗膜を形成することができる。本発明においては、樹脂組成物の透過率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
上記の溶解液には、必要に応じて、難燃剤を添加することができる。難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化物;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、1,−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸アミド、燐酸グアニジン等の燐化合物;トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の含ハロゲン燐酸エステル;赤燐;トリアジン、メラミンイソシアヌレート、エチレンジメラミン等の窒素系難燃剤;二酸化スズ、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃剤;シリコーンパウダーなどが挙げられる。上記の難燃剤の中でも、環境負荷低減の観点から、非ハロゲン系難燃剤、非燐系難燃剤、脱重金属系難燃剤を選択することが好ましい。
上記の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、アクリルなどからなるフィルム、無機ガラス板などから任意に選択することができる。なかでも、透明性の観点から、無機ガラス板が特に好ましい。
本発明においては、必要に応じて、基材と樹脂層との間に、適宜なプライマー層を設けてもよい。
本発明の積層体は、透明性に優れるものである。用いられる基材や樹脂層の厚みにより、該透明性は異なるが、例えば、ヘイズ値が5%である厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥後の厚みが10μmとなるように樹脂層を設けた積層体において、その透明性は、ヘーズメーター(日本電色工業社製、「HazeMeter NDH2000」)を用いて測定される全光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上がさらに好ましい。本発明においては、全光線透過率が70%以上である場合に、積層体とした場合の透明性を有するものであると判断する。
本発明において用いた評価方法を以下に示す。
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、「JNM−LA400」)を用いて、1H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から組成を求めた。分析条件を以下に示す。
周波数:400MHz
溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸
温度:25℃
(2)ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)
送液ユニット(島津製作所製、「LC−10ADvp型」)と、紫外−可視分光光度計(島津製作所製、「SPD−6AV型」、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、「ダイヤモンドDSC」)を用いて、JIS−K 7121に準拠して測定した。まず、DSC曲線から、ガラス転移温度、融点を測定した。次いで、融点より30℃高い温度まで昇温させた後、−50℃まで急冷し、−50℃から200℃まで10℃/分の昇温速度でスキャンさせた場合のチャートから、融解熱量を算出した。
トルエンとメチルエチルケトンを、トルエン/メチルエチルケトン=8/2(質量比)の割合で混合した溶液に、ポリエステル樹脂を固形分濃度が30質量%になるように溶解させた。その後、透明なガラス瓶の中で2時間静置し、目視で均一性を確認し、以下の基準で評価した。
○:層分離しておらず均一である。
×:層分離している。
トルエンとメチルエチルケトンを、トルエン/メチルエチルケトン=8/2(質量比)の割合で混合した溶液に、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bを所定の配合で混合した後、固形分濃度が30質量%になるように溶解させた。その後、透明なガラス瓶の中で2時間静置し、目視で均一性を確認し、以下の基準で評価した。
○:層分離しておらず均一である。
×:層分離している。
トルエンとメチルエチルケトンを、トルエン/メチルエチルケトン=8/2(質量比)の割合で混合した溶液に、ポリエステル樹脂組成物を固形分濃度が30質量%になるように溶解させ、接着剤を作製した。得られた接着剤を石英ガラス製セルに適量(例えば、50g)入れ、ヘーズメーター(日本電色工業社製、商品名「HazeMeter NDH2000」)を用いて全光線透過率を測定し、以下の基準で評価した。
◎:全光線透過率が95%以上である。
○:全光線透過率が85%以上95%未満である。
×:全光線透過率が85%未満である。
本発明においては、○以上であるものを実用に耐えうるものとした。
上記(5)と同様にして接着剤を得た。得られた接着剤を厚み0.3mmのステンレス板にバーコーターを用いて塗布し、120℃で2分間乾燥させ、厚み20μmの樹脂層を形成してラミネート用シートを作製した。このラミネート用シートに、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、「エンブレットS−38」)のコロナ処理を施していない面を重ねて、180℃で1分間、圧力100kPaでプレスし、ラミネートし、ラミネートシートを得た。得られたラミネートシートを25mm巾に切断し、剥離試験機(インテスコ社製、「モデル2001型」)を用いて、23℃で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。以下の基準で評価した。
○:剥離強度が15N/25mm以上である。
×:剥離強度が15N/25mm未満である。
(3)と同様にして樹脂層の融点(Tm)、融解熱量(Q)の測定を行った。
(9)樹脂層の軟化点(Ts)
上記(5)と同様にして接着剤を得た。厚み50μmのポリプロピレンフィルム(サン・トックス社製、「PA20」)に、得られた接着剤を厚みが30μmとなるようにバーコーターを用いてコーティングし、120℃で2分間乾燥させ、乾燥後の厚みが10μmの樹脂層を形成して積層体を作製した。その後、ポリプレピレンフィルムから樹脂層を剥離させ、この樹脂層を熱機械分析装置(SIIナノテクノロジー社製、「TMA−120」)を用いて、針入プロープにて、荷重2gf、昇温速度5℃/minで軟化点Tsを測定した。以下の基準で耐熱性の評価を行なった。
○:軟化点Tsが90℃以上である。
×:軟化点Tsが90℃未満である。
上記(5)と同様にして接着剤を得た。厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、商品名「エンブレットS−38」)(ヘイズ値:5%)に、得られた接着剤を厚みが30μmとなるようにバーコーターを用いてコーティングし、120℃で2分間乾燥させ、乾燥後の厚みが10μmの樹脂層を形成して積層体を作製した。ヘーズメーター(日本電色工業社製、「HazeMeter NDH2000」)を用いて全光線透過率を測定し、以下の基準で透明性の評価を行なった。
◎:全光線透過率が85%以上である。
○:全光線透過率が70%以上である。
×:全光線透過率が70%未満である。
本発明においては、○以上であるものが、実用に耐えうるものとした。
上記(4)と同様にして得られた有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂、または上記(5)と同様にして得られた接着剤を適量(例えば、5g)秤量し、これを残存物(固形分)の質量が恒量(すなわち、残存物がそれ以上減少しない量)になるまで150℃で加熱した。以下の式に従って固形分濃度を算出した。
固形分濃度(質量%)=加熱後の質量/加熱前の質量×100
本発明において用いた原料を以下に示す。
・テレフタル酸(三菱化学社製、「高純度テレフタル酸PTA」)(以下、TPAと称する場合がある)
・イソフタル酸(AGIC社製、「高純度イソフタル酸PIA」)(以下、IPAと称する場合がある)
・アジピン酸(旭化成社製)(以下、ADAと称する場合がある)
・セバシン酸(小倉合成社製)(以下、SEAと称する場合がある)
(2)樹脂Aのアルコール成分
・1,4−ブタンジオール(東ソー社製)(以下、1,4−BDと称する場合がある)
・1,4−シクロヘキサンジメタノール(イーストマン社製)(以下、1,4−CHDMと称する場合がある)
・トリエチレングリコール(東京化成社製)(以下、TEGと称する場合がある)
・2−メチル−1,3−プロパンジオール(大連化学工業社製)(以下、MPDと称する場合がある)
・エチレングリコール(三菱化学社製)(以下、EGと称する場合がある)
(3)樹脂Bの酸成分
・テレフタル酸(三菱化学社製、「高純度テレフタル酸PTA」)(以下、TPAと称する場合がある)
・イソフタル酸(AGIC社製、「高純度イソフタル酸PIA」)(以下、IPと称する場合がある)
・セバシン酸(小倉合成社製)(以下、SEAと称する場合がある)
(4)樹脂Bのアルコール成分
・エチレングリコール(三菱化学社製)(以下、EGと称する場合がある)
・ネオペンチルグリコール(イーストマンケミカル社製」)(以下、NPGと称する場合がある)
・ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(明成化学社製、「AE−2」)(以下、BAと称する場合がある)
・1,2−プロピレングリコール(三協化学社製)(以下、PGと称する場合がある)
TPA70モル%、ADA30モル%、1,4−BD34モル%、1,4−CHDM35モル%、TEG30モル%、MPD1モル%となるように、上記の原料を攪拌翼の付いた反応缶に投入し、100rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下250℃で5時間エステル化を行った。その後、重縮合缶へ移送して重合触媒として(テトラブチルチタネート)を投入し、60分かけて1.3hPaになるまで徐々に減圧していき、分子量が20000となるまで260℃で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた樹脂(A−1)のTgは−5℃、Tmは138℃、Qは7.2J/gであった。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、酸成分、アルコール成分の種類、酸成分とアルコール成分の混合割合、その他の共重合成分の有無を変更した以外は、(A−1)と同様にして樹脂Aを調製した。評価結果を表1に示す。
TPA100モル%、EG30モル%、PG80モル%となるように、上記の原料を攪拌翼の付いた反応缶に投入し、100rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下250℃で5時間エステル化を行った。その後、重縮合缶へ移送して重合触媒としてテトラブチルチタネートを投入し、60分かけて1.3hPaになるまで徐々に減圧していき、分子量が16000となるまで260℃で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(B−1)を得た。得られた樹脂(B−1)のTgは80℃であった。評価結果を表2に示す。
表2に示すように、酸成分、アルコール成分の種類、酸成分とアルコール成分の混合割合、その他の共重合成分の有無を変更した以外は、(B−1)と同様にして樹脂Bを調製した。評価結果を表2に示す。
ポリエステル樹脂(A−1)とポリエステル樹脂(B−1)をそれぞれ表3に示した混合割合でガラス瓶に投入し、さらに、(A−1)と(B−1)を合計した樹脂固形分の濃度が30質量%になるように、トルエン/メチルエチルケトン=8/2(質量比)である混合溶剤を投入した。次いで、ガラス瓶を密栓しペイントシェーカーで溶解させたところ、溶液は層分離せず、均一に溶解された接着剤を得た。溶液の全光線透過率を測定したところ、98%であった。また、この接着剤のTmは106℃、Qは3.1J/g、Tsは111℃であった。
樹脂Aおよび樹脂Bの種類と、樹脂Aと樹脂Bとの混合割合を、表3、表4に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、接着剤、および積層体を作製し、評価に付した。その結果を表3、表4に示す。
樹脂Aと樹脂Bの種類と混合割合を実施例1と同じにし、樹脂Aと樹脂の固形分濃度の合計が50質量%となるように接着剤、および積層体を作製し、評価に付した。その結果を表4に示す。
樹脂Aおよび樹脂Bの種類と、樹脂Aおよび樹脂Bとの混合割合を、表5、表6に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、接着剤、および積層体を作製し、評価に付した。その結果を表5、表6に示す。
比較例14においては、樹脂(A−1)と樹脂(B−1)の混合割合が範囲外であったため、耐熱性は良好であったが、透明性と接着性が低下した。
Claims (8)
- 結晶性ポリエステル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)とからなり、以下の(i)〜(v)を同時に満足するものであるポリエステル樹脂組成物。
(i)結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が30℃未満であり、かつ非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度が40℃以上である。
(ii)結晶性ポリエステル樹脂(A)と非晶性ポリエステル樹脂(B)との混合比が、質量比で、(A)/(B)=20/80〜98/2である。
(iii)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、側鎖を有する脂肪族多価アルコールが0.5〜10モル%含有されている。
(iv)非晶性ポリエステル樹脂(B)に、1,2−プロピレングリコールが10〜80モル%含有されている。
(v)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、酸成分としてテレフタル酸およびアジピン酸が含有されている。
(vi)結晶性ポリエステル樹脂(A)に、グリコール成分として1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールが含有されている。 - 示差走査熱量計を用いて、JIS K 7121に準拠して測定した融解熱量Qが0.2〜10J/gであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶液に溶解したときの、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)の固形分濃度の合計が5〜50質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を固形分濃度の合計が50質量%となるように、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)をトルエンとメチルエチルケトンの混合溶液に溶解させた溶液の全光線透過率が、85%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
- ポリエステル樹脂組成物と有機溶剤とを含む接着剤であって、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物と有機溶剤とを含むことを特徴とする接着剤。
- 請求項5に記載の接着剤を用いた樹脂層と基材とからなる積層体。
- 樹脂層が2層以上で積層されていることを特徴とする請求項6に記載の積層体。
- フレキシブルフラットケーブルに用いられたものであることを特徴とする請求項6または7に記載の積層体。
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