JPWO2016006680A1 - 細胞培養システム - Google Patents

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Abstract

細胞を培養するための培地を保持する溶液保持手段と、溶液保持手段と連結され、溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、を備えた細胞培養システムを提供する。溶液供給手段が、溶液を滴下する工程を経て細胞培養容器に溶液を供給してもよい。細胞培養容器が溶液供給手段より重力方向で下の位置で溶液供給手段と連結され、溶液供給手段が、溶液保持手段から供給された溶液を滴下する空間を有し、細胞培養装置が、溶液を排出するための排出口を容器側面の所望の高さの位置に備え、溶液が溶液供給手段から細胞培養容器に供給されることによって細胞培養容器内の溶液上面の高さが排出口に達した時に溶液を外部に排出してもよい。

Description

本発明は、細胞培養容器内の培地を交換するための細胞培養システムに関するものである。
近年、幹細胞研究や再生医療の進展に伴い、臨床用途の細胞を大量に調製することが要求されている。臨床用途の細胞の調製には厳しい基準に適った環境での作業が求められ、そのため、作業者が作業空間に立ち入る際には使い捨ての作業着に着替えたりするなど大変な手間とコストが発生している。また、作業者による作業工程は培養系が汚染される機会となっている。したがって、作業者が作業空間に立ち入り作業をする回数をできる限り少なくし、可能な作業については人手によらず自動で行うことが求められている。
細胞を培養するには定期的に培地(細胞培養液)の交換が必要となるが、培地交換は培養系の汚染(コンタミネーション)のリスクを伴い、可能な限り人手を介さずに自動で行えることが望ましい。自動で培地を交換するシステムとして培地を培養系に連続還流するシステムが知られている(特許文献1)。
特開昭61−58582号公報
臨床用途の細胞の調製には厳しい基準が設定されており、培養系が汚染されるリスクはなるべく排除する必要があるが、特許文献1のような培地を連続還流するシステムでは、還流の不具合等により劣化した培地が逆流し培養系が汚染されるリスクがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、細胞培養空間における細胞培養容器内の培地を簡易に交換することができるとともに、細胞培養系の汚染のリスクを軽減できる細胞培養システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。本発明の第1の態様は、
細胞を培養するための培地を保持する溶液保持手段と、
該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段と、
を備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養容器が、前記培地供給手段より重力方向で下の位置で前記培地供給手段と連結され、
前記培地供給手段が、前記溶液保持手段から供給された培地を滴下する空間を有し、
前記細胞培養容器が、培地を排出するための排出口を容器側面の所望の高さの位置に備え、前記排出口が、前記培地供給手段から培地が供給されることによって培地上面の高さが前記排出口に達したときに培地を外部に排出する細胞培養システムを提供する。
本態様によって、ユーザがその場にいない場合も培地等の溶液を細胞培養容器に対して供給・排出することが可能である。また、滴下容器内で培地が滴下されるので、それより上流にある溶液保持手段の培地が汚染されるリスクを下げることができる。
本発明の第2の態様は、
細胞を培養するための培地を保持する溶液保持手段と、
該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段と、
を備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養容器が、容器上面に前記培地供給手段から培地を供給される供給口を備えるとともに、培地を排出するための排出口を容器側面の所望の高さの位置に備え、
前記供給口から供給された培地が、細胞培養容器内の空間を前記供給口から培地上面に滴下され、前記排出口が、前記培地供給手段から培地が供給されることによって培地上面の高さが前記排出口に達したときに培地を外部に排出する細胞培養システムを提供する。
本態様によって、ユーザがその場にいない場合も、培地等の溶液を細胞培養容器に対して供給・排出することが可能である。また、細胞培養容器内で培地が滴下されるので、それより上流にある溶液保持手段、培地供給手段の培地が汚染されるリスクを下げることができる。
また、上記各態様においては、溶液の滴下速度を制御する滴下速度調整手段を備えていても良い。このことにより、細胞培養容器中の古い培地を任意の交換効率で置き換えることができ、培地の劣化速度を遅くすることが可能となる。
また、上記滴下速度調整手段を備える態様においては、前記滴下速度調整手段を遠隔的に制御する制御部を備えていても良い。このことにより、作業者が作業空間に立ち入り作業をする回数を減らすことができ、作業にともなう手間とコストを減らすとともに、培養系が汚染される機会も減らすことができる。
また、上記各態様においては、前記培地保存手段の培地に圧力をかけるための圧力付加手段を備えていても良い。このことにより、滴下速度の調整範囲が広がり、より精度よく滴下速度のコントロールが可能となる。また、培地保存手段や一時培地保持手段の設置位置の自由度があがることになる。
また、上記各態様においては、前記細胞培養容器の前記排出口に陰圧をかけるための陰圧供給手段を備えていても良い。このことにより、細胞培養容器の排出口の設置位置の自由度があがることになり、使用可能な細胞培養容器の態様を増やすことができる。
また、上記各態様においては、前記細胞培養容器の排出口と連結され、前記細胞培養容器から供給された培地を保持する廃液保持手段をさらに備え、前記細胞培養容器から排出された培地は前記廃液保持手段の中の空間を滴下されても良い。このことにより、廃液保持手段内で廃液が滴下されるので逆流を防ぐことができ、細胞培養容器が汚染されるリスクを下げることができる。
本発明の第3の態様は、
細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、
該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、
前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段とを備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養容器が、前記溶液供給手段より重力方向で下の位置で前記溶液供給手段と連結され、
前記溶液供給手段が、前記溶液保持手段から供給された溶液を滴下する空間を有する細胞培養システムを提供する。
本態様によれば、溶液供給手段内で溶液が滴下されるので、それより上流にある溶液保持手段の培地等の溶液が汚染されるリスクを下げることができる。
本発明の第4の態様は、
細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、
該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、
前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段とを備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養容器が、前記溶液供給手段より重力方向で下の位置で前記溶液供給手段と連結され、前記細胞培養容器上面に前記溶液供給手段から溶液を供給される供給口を備え、
該供給口から供給された溶液が、前記細胞培養容器内の空間を前記供給口から滴下される細胞培養システムを提供する。
本態様によれば、細胞培養容器内で溶液が滴下されるので、それより上流にある溶液保持手段の培地等の溶液が汚染されるリスクを下げることができる。
また、上記第3及び第4の態様においては、前記溶液供給手段が溶液の滴下速度を制御する滴下速度調整手段を備え、前記溶液排出手段が溶液の排出速度を制御する廃液速度調整手段を備え、前記滴下速度調整手段による溶液の滴下速度の制御と、前記廃液速度調整手段による溶液の排出速度の制御とを遠隔的に操作する制御部を備えていても良い。
このことにより、作業者が遠隔的に培養系の培地を交換することができるので、作業者が作業空間に立ち入り作業をする回数を減らし、作業にともなう手間とコストを減らすとともに、培養系が汚染される機会も減らすことができる。
また、上記第3及び第4の態様においては、前記溶液保持手段の溶液に圧力をかけるための圧力付加手段を備えていても良い。このことにより、滴下速度の調整範囲が広がり、より精度よく滴下速度のコントロールが可能となる。また、溶液保存手段の設置位置の自由度があがることになる。
また、上記第3及び第4の態様においては、前記細胞培養容器が、前記溶液排出手段と連結する排出口を備え、前記細胞培養容器の前記排出口に陰圧をかけるための陰圧供給手段を備えていても良い。このことにより、細胞培養容器からの溶液の排出速度の調整範囲が広がり、より精度よく排出速度のコントロールが可能となる。また、細胞培養容器の排出口の設置位置の自由度があがることになり、使用可能な細胞培養容器の態様を増やすことができる。
また、上記第3及び第4の態様においては、前記溶液排出手段が、前記細胞培養容器と連結され前記細胞培養容器から排出された溶液を保持する廃液保持手段を備え、前記細胞培養容器から排出された溶液が、前記廃液保持手段の中の空間を滴下されても良い。このことにより、廃液保持手段内で廃液が滴下されるので逆流を防ぐことができ、細胞培養容器が汚染されるリスクを下げることができる。
本発明のほかの一態様は、
細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、
該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、
を備えた細胞培養システムであって、
前記溶液供給手段が、溶液を滴下する工程を経て前記細胞培養容器に溶液を供給する細胞培養システムを提供する。
本態様によって、培地等の溶液が細胞培養容器に滴下されるので、それより上流にある溶液保持手段の培地が汚染されるリスクを下げることができる。
本発明のほかの一態様は、
細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、
該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、
前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段と、
を備えた細胞培養システムであって、
前記溶液排出手段が、溶液を滴下する工程を経て前記細胞培養容器から溶液を排出する細胞培養システムを提供する。
本態様によって、ユーザがその場にいない場合も、培地等の溶液を細胞培養容器に対して供給・排出することが可能である。
本発明のほかの一態様は、
細胞を培養するための培地を培地の保存に適した温度で保持する培地保存手段と、
該培地保存手段と連結され、前記培地保存手段から供給された培地を細胞培養に適した温度で保持する一時培地保持手段と、
該一時培地保持手段と連結され、前記一時培地保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段と、
該培地供給手段より重力方向で下の位置で前記培地供給手段と連結され、前記培地供給手段から供給された培地中で細胞を培養する細胞培養容器と、
を備えた細胞培養システムであって、
前記培地供給手段が、前記一時培地保持手段から供給された培地を滴下する空間を有する滴下容器を備え、該滴下容器内で滴下された培地を前記細胞培養容器に供給し、
前記細胞培養容器が、容器側面の所望の高さの位置に培地を排出するための排出口を備え、該排出口が、前記培地供給手段から培地が供給されることによって培地上面の高さが前記排出口に達したときに培地を外部に排出する細胞培養システムを提供する。
本態様によって、ユーザがその場にいない場合も、培地等の溶液を自動で細胞培養容器に対して供給・排出することが可能である。また、滴下容器内で培地が滴下されるので、それより上流にある培地保存手段、一時培地保持手段の培地が汚染されるリスクを下げることができる。
本発明のほかの一態様は、
細胞を培養するための培地を培地の保存に適した温度で保持する培地保存手段と、
該培地保存手段と連結され、前記培地保存手段から供給された培地を細胞培養に適した温度で保持する一時培地保持手段と、
該一時培地保持手段と連結され、前記一時培地保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段と、
該培地供給手段より重力方向で下の位置で前記培地供給手段と連結され、前記培地供給手段から供給された培地中で細胞を培養する細胞培養容器と、
を備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養容器が、容器上面に前記培地供給手段から供給される供給口と、容器側面の所望の高さの位置に培地を排出するための排出口を備え、前記供給口から供給された培地が、細胞培養容器内の空間を前記供給口から培地上面に滴下され、前記排出口が、前記培地供給手段から培地が供給されることによって培地上面の高さが前記排出口に達したときに培地を外部に排出する細胞培養システムを提供する。
本態様によって、ユーザがその場にいない場合も、培地等の溶液を自動で細胞培養容器に対して供給・排出することが可能である。また、細胞培養容器内で培地が滴下されるので、それより上流にある培地保存手段、一時培地保持手段、培地供給手段の培地が汚染されるリスクを下げることができる。
本発明によれば、作業者がその場にいなくても遠隔的に細胞培養系の培地交換が可能となり、作業者が作業空間に立ち入る回数を減らすことができる。このことにより、使い捨ての作業着に着替えたりするなどの手間とコストを削減できるとともに、細菌等による細胞培養系へのコンタミネーションのリスクを低減することができる。
本発明の第1実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す側面図である。 本発明の第1実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の滴下速度調整手段の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の滴下速度調整手段の別の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の滴下速度調整手段のさらに別の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の滴下速度調整手段のさらに別の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の第2実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す側面図である。 本発明の第2実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の第2実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す側面図である。 本発明の第2実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の第3実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す側面図である。 本発明の第3実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の圧力付加手段の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の圧力付加手段の別の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の圧力付加手段のさらに別の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の第4実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す側面図である。 本発明の第4実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の陰圧供給手段の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の第5実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す側面図である。 本発明の第5実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す説明図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の別の例の概略構成を示す説明図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の蓋部の例の概略構成を示す斜視図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例において、蓋部を細胞培養容器の首部に取り付けた際の概略構成を示す部分断面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す説明図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す平面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す側面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の別の例の概略構成を示す平面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の別の例の概略構成を示す側面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す側面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す平面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の別の例の概略構成を示す側面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す平面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す側面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す側面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す側面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す側面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す側面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の別の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の別の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の別の変形例の概略構成を示す正面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す側面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の別の例の概略構成を示す側面図である。 本発明の第6実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の細胞培養容器内に突出した管状部材の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の陰圧供給手段の例の概略構成を示す説明図である。 本発明の第6実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の第6実施形態の別の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の第6実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の第6実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の第6実施形態の別の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の第7実施形態にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明の各実施形態の変形例にかかる細胞培養システムの概略構成を示す正面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の例の概略構成を示す側面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の別の例の概略構成を示す側面図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の蓋部の例の概略構成を示す斜視図である。 本発明で使用可能な細胞培養容器の蓋部の別の例の概略構成を示す側面図である。
本発明の実施形態に係る細胞培養システムについて、図面を参照して以下に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム100は、図1A及び図1Bに示される構成のシステムであり、インキュベータ内に設置された細胞培養容器(培養容器)内の培地を交換するシステムである。図1Aに側面図、図1Bに正面図を示す。
培地保存手段3は、インキュベータ1の外部に設置されており、内部に培地(細胞培養液)を保存するためのものである。培地の温度を保存に適した温度(例えば4℃)に維持するために温度制御手段2を備えている。
培地保存手段3は、管状部材(チューブ等)を介して、インキュベータ1の内部に設置された一時保持手段4に連結している。培地保存手段3は一時保持手段4よりも重力方向で高い位置に設置されているため、培地保存手段3内の培地は重力により管状部材(チューブ等)を介して一時保持手段4に供給される。一時保持手段4に供給された培地は、細胞培養に適した温度であるインキュベータ内の温度(例えば37℃)に温められる。
一時保持手段4で細胞培養に適した温度(例えば37℃)に温められた培地は、インキュベータ1内で培地供給手段6を介して細胞培養容器11に供給される。
培地供給手段6は、滴下速度調整手段7と滴下容器8とを備えている。滴下速度調整手段7は、一時保持手段4と滴下容器8とをつなぐ管状部材に設置されており、管状部材内を流れる培地の流速を制御することができる。
滴下容器8は、一時保持手段4からつながる管状部材と接続する供給口9と、細胞培養容器11へつながる管状部材と接続する排出口10とを有した容器である。供給口9は重力方向の上部に、排出口10は供給口9より重力方向で下部に配置されている。供給口9へ供給された培地は滴下容器8内の空間に滴下し、排出口10から排出され、管状部材を介して細胞培養容器11に供給される。
このように、培地が滴下容器8内の空間に滴下されることで、培地の逆流を防ぐことができ、一時保持手段4や培地保存手段3内の培地が汚染される(コンタミネーションが起こる)ことを防止することができる。
細胞培養容器11は、滴下容器8からつながる管状部材と接続する供給口12と、細胞培養容器外に培地を排出する排出口13とを有している。排出口13は、細胞培養容器11の側面に配置され、細胞培養容器内の培地量(培地の高さ)が一定値を超えると排出口13を通して培地が廃液保持手段14へ排出されるようになっている。細胞培養容器内に保持される培地の量は、排出口13の設置高さによりが決定されることになる。一方、供給口12の設置位置は任意であるが、排出口13との距離を可能な限り離した方が培地の変換効率を上げることができる。
廃液保持手段14は、細胞培養容器11からつながる管状部材と接続する廃液供給口15と、廃液保持手段14外に培地を排出する廃液排出口16とを有しており、培地排出手段として機能する。廃液供給口15は廃液保持手段14の上面に設置されており、廃液供給口15へ供給された培地は廃液保持手段内の空間に滴下され、廃液排出口16を通して排出される。このように、培地が廃液保持手段14内の空間に滴下されることで、培地の逆流を防ぐことができ、細胞培養容器11内が汚染される(コンタミネーションが起こる)ことを防止することができる。
図1Bには、培地供給手段6、細胞培養容器11を4組備えた細胞培養システムの一例を示している。
次に、滴下速度調整手段7について説明をする。
滴下速度調整手段7は、一時保持手段4の排出口5と滴下容器8の供給口9をつなぐ管状部材(チューブ等)に配置されており、管状部材に外力を加えて変形させ、管状部材内腔の断面積を小さくすることで溶液の流量を制限して流速を抑制する。逆に外力を解除すると、管状部材の弾性力により管状部材が元の状態に戻り、流速を上げることができる。このように、滴下速度調整手段7は、管状部材に対する外力の強弱により管状部材内に流れる溶液の流速を調整する。滴下速度調整手段7による管状部材への外力の加え方について図2Aから図2Dに例を示す。図2Aは2枚の板状部材21により管状部材20を挟む例、図2Bは複数の球状(または円柱状)部材22により貫通穴23に通した管状部材20を挟む例、図2Cはシャッター状部材24で貫通穴25に通した管状部材20を挟む例、図2Dは管状部材20を通した貫通穴26の内径が小さくなり管状部材を変形させる例である。これ以外でも外力を加えて管状部材を変形させることができる機構であれば良い。
また、滴下速度調整手段7としてペリスタポンプ等の送液ポンプを使用しても良い。
次に、本実施形態に係る培地交換システム100を用いて培地を交換する手順について一例を説明する。
本システムのユーザは、まず滴下速度調整手段7により、滴下速度が0の状態、つまり、滴下が止まった状態にシステムを設定する。培地保存手段3および一時保持手段4に培地を補充し、一時保持手段4内の培地温度をインキュベータ内の温度にする。培地及び細胞が入った細胞培養容器11を用意し、インキュベータ内で、細胞培養容器11の供給口12を管状部材を介して滴下容器8の排出口10に、培養容器11の排出口13を管状部材を介して廃液保持手段14の廃液供給口15に、それぞれ接続する。
培地交換が必要になった際、ユーザはまず滴下速度調整手段7を調整して滴下速度を適当な速度にする。滴下速度調整手段7により滴下速度が0の状態を解除すると、滴下容器8内で培地は重力により滴下し始める。滴下速度の調整はあらかじめ決められた速度に設定しても良いし、ユーザが目視しながら適当な滴下速度に調整しても良い。
滴下が開始されると、培地は滴下容器8を介して細胞培養容器11に供給され、細胞培養容器11内で規定量を超えた培地は細胞培養容器11の排出口13から排出され、廃液保持手段14を介してインキュベータ外に排出される。このことにより、細胞培養容器11内の古くなった培地は新しい培地と置き換わり、培地の劣化する速度を遅くすることが可能となる。
(第2実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム200は、図3A及び図3Bに示すように滴下容器8を備えず、細胞培養容器11の供給口12を細胞培養容器11の上面に配置させる点で第1実施形態と異なっている。それ以外は第1実施形態と同様である。
この場合、細胞培養容器11の供給口12は細胞培養容器11の上面に位置するため、供給された培地は細胞培養容器11内の空間を培地表面に向け滴下されることになり、滴下容器8と同様の機能を有することになる。したがって、本実施形態においても培地の逆流を防ぐことができ、一時保持手段4や培地保存手段3内の培地が汚染される(コンタミネーションが起こる)ことを防止することができる。
また、滴下容器8を設置しないのでシステムをコンパクトにすることができる。
なお、滴下容器8を備えていないため、一時保持手段4の排出口5と細胞培養容器11の供給口12は管状部材を介して直接連結され、その管状部材に滴下速度調整手段7が設置されている。
本実施形態の変形例としては、図4A及び図4Bに示す細胞培養システム300を例示できる。
本変形例は、第2実施形態において、第1実施形態と同様に滴下容器8を採用するものである。このことにより、培地の滴下を滴下容器8と細胞培養容器11とで行うことになり、培地の逆流により一時保持手段4や培地保存手段3内の培地が汚染される(コンタミネーションが起こる)リスクをさらに減少させることができる。
(第3実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム400は、図5A及び図5Bに示すように、培地保存手段3内の培地に圧力をかけるための圧力付加手段60を備えている点で上記各実施形態と異なっている。それ以外は上記各実施形態と同様である。図5A及び図5Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
圧力付加手段60としては、例として、培地保存手段3内にポンプにより気体を送り込む手段を挙げることができる。これにより、培地保存手段3内の空気層の圧力が高まり、培地に外圧を加えることが可能となる。培地保存手段3内に送り込む気体は滅菌されたものを用いるのが好ましい。図6Aに示すように袋状部材61の中に気体(または液体)を送り込み、体積が増加した袋により培地に圧力を加えたり、図6Bに示すように気密性を確保しながら移動可能な隔離部材62を用いて空気層63と培地を遮断し、空気層63に気体(または液体)を送りこみ隔離部材62により培地に圧力を加えるたりすることもできる。これにより、培地の汚染のリスクを下げることが可能となる。なお、図6Cに示すように、図6Bに示した隔離部材を用いた態様で気体(または液体)を送り込むかわりに、所定の重さの重り65を隔離部材64の上部にのせることで隔離部材64に一定の圧力をかけても良い。培地保持手段と隔壁部材がそれぞれシリンジの筒と押子(プランジャ)のような構造をしていて、押子(プランジャ)である隔壁部材を機械的に移動させて培地保持手段内部の培地に圧力をかけても良い。この場合、制御部によって有線または無線で隔壁部材の移動を制御しても良い。
また、培地保持手段が円柱状構造をし、隔壁部材がその円柱状構造の内壁に気密性を保ちながらはまる円盤状構造をし、円柱状構造の内壁と円盤状構造の外周に互いにかみ合うネジ構造を有する態様にしても良い。この場合、隔壁部材を培地保持手段の内部に取り付けて円盤周方向に回転させると隔壁部材が円柱構造の高さ方向に移動して培地保持手段内部の培地に圧力をかる(または圧力を除く)ことができる。隔壁部材の回転を機械的行い、制御部によって有線または無線で隔壁部材の回転を制御しても良い。
ここで、圧力付加手段60は、培地保存手段3内の圧力が一定以上に上がらないように制御されたものが好ましい。
なお、本実施形態においては、培地保存手段3は一時保持手段4よりも必ずしも高い位置に設置されている必要はない。また、一時保持手段4は培地供給手段6よりも必ずしも高い位置に設置されている必要はない。
(第4実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム500は、図7A及び図7Bに示すように、細胞培養容器11の排出口13に陰圧をかけるための陰圧供給手段71を備えている点で上記各実施形態と異なっている。それ以外は上記各実施形態と同様である。図7A及び図7Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
陰圧供給手段71としては、例として、図8に示すようなポンプ81と廃液容器82とを備えた手段を挙げることができる。陰圧供給手段71の吸引口83を廃液保持手段14の廃液排出口16と接続して廃液保持手段14内を陰圧にし、培養容器11の排出口13を陰圧にすることで培養容器11から培地を吸引することが可能である。
陰圧供給手段のポンプとしてペリスタポンプ等の送液ポンプを使用しても良い。この場合、送液ポンプを吸引口83の管状部材に設置しても良い。
(第5実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム600は、図9A及び図9Bに示すように、上記各実施形態において、滴下速度調整手段7が、インキュベータ外に設置された制御部19によって、無線または有線により遠隔的に操作可能となっている。それ以外は上記各実施形態と同様である。図9A及び図9Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
本実施形態において、滴下速度調整手段7はインキュベータ外に設置された制御部19と無線または有線により情報交換可能となっており、遠隔的に管状部材(チューブ等)内を流れる培地等の溶液の流速をコントロール可能となっている。
培地交換が必要になった際、ユーザは制御部19により遠隔的に滴下速度調整手段7を調整して滴下速度を適当な速度にする。滴下速度の調整はあらかじめ決められた速度に設定しても良いし、図示しないモニタリングシステムで滴下速度を監視しながら適当な滴下速度に調整しても良い。
本実施形態によれば、ユーザは細胞培養中の任意のタイミングで遠隔的に培地交換を開始したり、遠隔的に滴下速度を変更することができる。例えば、遠隔的に細胞の状態を監視できるシステム(図示せず)と併用することにより、細胞の状態に合わせて、細胞培養中の任意のタイミングで遠隔的に培地交換を開始したり、遠隔的に滴下速度を変更することができる。こうすることで、ユーザは作業空間に入ることなく作業をすることができるので、使い捨ての作業着に着替えたりするなどの手間とコストを削減できるとともに、細菌等による細胞培養系へのコンタミネーションのリスクを低減することができる。
本実施形態の制御部19は、上記各実施形態における温度制御手段2、圧力付加手段60、陰圧供給手段71と無線または有線により情報交換可能して遠隔的にそれらをコントロール可能になっていても良い。このことにより、ユーザによる遠隔作業の効率を上げることができる。
上記各実施形態において、図10A及び図10Bに示す細胞培養容器91も使用することもできる。当該細胞培養容器91は、容器の蓋部92に供給口93および排出口94を有している。
供給口93は管状部材を介して培地供給手段6に接続されているとともに、供給口93から細胞培養容器内部に向かって供給管部95が伸びている。培地供給手段6から供給された培地は、供給口93を通過し、供給管部95に進入する。図10Aに示すように、供給管部95の先端は培地表面より上方に配置されており、供給管部95を出た培地は細胞培養容器91内に滴下される。なお、滴下容器8を採用する態様においては、図10Bに例を示すように、必ずしも供給管部95の先端が培地表面より上方に配置されている必要はない。
排出口94は管状部材を介して廃液保持手段14に接続されているとともに、排出口94から細胞培養容器内部に向かって排出管部96が伸びている。排出管部96の先端は培養容器内部の底面から所定の高さの位置に配置されるようになっており、細胞培養容器内の培地が排出管部96の先端の高さに達すると細胞培養容器の外に排出される。細胞培養容器内に保持する培地の量は、排出管部96の先端を配置する高さにより調整可能となる。
このとき、供給管部95の先端と排出管部96の先端は可能な限り距離を隔てたほうが培地の交換効率は向上する。
細胞培養容器91の蓋部92の供給管部95および排出管部96の位置決め機構の例について図11A及び図11Bを用いて説明する。
蓋部92は、細胞培養容器本体の首部97に取り付けるための蓋本体112と、供給口93と排出口94があいた円盤部材111と、蓋本体112の内側との間でかみ合うねじを外周に切ってあるリング状部材113から構成される。蓋本体112の内周と細胞培養容器本体の首部97の外周には、互いにかみ合うねじがきってあり、蓋本体112を回転させることで首部97に蓋本体112を固定することができる。円盤部材111は、蓋本体112の内側で周方向に独立して回転できる直径の円盤であり、円盤部材111を回転させ供給管部95や排出管部96が細胞培養容器内で適当な位置に配置するように調整することができる。円盤部材111を蓋本体112に対して独立して回転できるように配置するには、例えば図11A及び図11Bに示すように、まず蓋本体112の内側に円盤部材111をはめ込み、リング状部材113を蓋本体112の内側にねじ込むことで円盤部材111を蓋本体112に対し回転可能に取り付ける。その状態で蓋本体112を首部97にねじ込むと、円盤部材111が首部97とリング状部材113に挟まれるかたちで締め付けられるので、供給管部95と排出管部96の位置決めをしながら蓋本体112を首部97にねじ込み、円盤状部材の締め付けを行う。なお、細胞培養中は蓋本体112と首部97のねじ込みを緩めたり、リング状部材113と蓋本体112のねじ込みを緩めたりすることで、細胞培養容器内を開放系とする。
細胞培養容器91の蓋部92の供給管部95および排出管部96の位置決め機構の別の例について説明する。
蓋部92の内側には凸部を備え、一方の容器本体の首部97は凸部がはまる凹部を備えている。蓋部92を首部97にはめた時、凸部と凹部をかみ合わせることで、供給管部95や排出管部96が細胞培養容器内で適当な位置に配置できるように凸部と凹部の位置決めをしておけば良い。
蓋部付近の構造の、より具体的な一例を図12に示す。首部97は、周方向に2つのリング状部材102を間隔をあけて備えており、2つのリング状部材102の間には凹部103が設けられている。蓋部92を首部97にはめ込むと、蓋部92内側の凸部101が2つのリング状部材102の間のはまるようになっており、このとき蓋部92は首部97の周方向に回転可能な状態となる。ここで、凸部101と凹部103とをかみ合わせると、供給管部95や排出管部96が細胞培養容器内で適当な位置に配置できるようになっている。
図12においては、蓋部の凸部と首部の凹部をかみ合わせる態様を示したが、蓋部および首部がともに凸部を有し、それら凸部が互いに突き当たる位置で供給管部95や排出管部96が細胞培養容器内で適当な位置に配置できるようになっていても良い。
上記各実施形態において、使用する培養容器として図面では、フラスコ様の培養容器を示したが、図13Aから図13Dに示すように、シャーレ様の培養容器などを用いても良い。なお、図13CおよびDには、図10の細胞培養容器に対応する構成に同じ番号を付している。
また、溶液を供給する供給口、溶液を排出する排出口を備えた袋状の細胞培養バッグを用いても良い。
さらに、図14Aから図14Dに示すように、流路を形成するしきいを有した細胞培養容器を用いても良い。当該容器を用い、供給口141と排出口142を流路に沿って離れた位置に設置すれば培地の交換効率が向上する。
上記各実施形態においては、培養容器の排出口から排出された廃液は廃液保持手段を介して排出される例を示したが、例えば図15A及び図15Bに示すように、廃液保持手段を設けず、細胞培養容器の排出口から直接排出されることにしても良い。図15A及び図15Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
この場合、第3実施形態では、培養容器の各排出口に陰圧供給手段の吸引口を接続すれば良い。
上記各実施形態においては培地保存手段を採用する態様を示したが、例えば図16A及び図16Bに示すように培地保存手段を採用しなくても良い。この場合、一時保持手段に培地を直接補充すれば良く、一時保持手段はそのための供給口を備えていることが好ましい。一時保持手段に供給口がなく使い切りとしても良い。図16A及び図16Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。第3実施形態においては、圧力付加手段60が、培地保存手段にかわり、一時保持手段内の培地に圧力をかける態様とすれば良い。
上記各実施形態において、培地保存手段3は管状部材(チューブ等)を介して一時保持手段4に連結し、培地保存手段3は一時保持手段4よりも重力方向で高い位置に設置されているため、培地保存手段3内の培地は重力により管状部材(チューブ等)を介して一時保持手段4に供給される態様を示した。例えば図17A及び図17Bに示すように、培地保存手段と一時保持手段とをつなぐ管状部材(チューブ等)にペリスタポンプなどの送液ポンプ121を設置して、培地保存手段から一時保持手段へ培地を供給しても良い。この場合、培地保持手段3は必ずしも一時保持手段4より重力方向で高い位置に設置する必要がなく、培地保持手段3の設置場所の自由度が上がる。この場合、ペリスタポンプなどの送液ポンプ121は、制御手段により遠隔的に操作されても良い。遠隔的な操作は有線でも無線でも良い。図17A及び図17Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
上記各実施形態においては一時保持手段を採用する態様を示したが、細胞培養容器に培地が供給されるまでに培地が細胞培養に適した温度に上昇する場合は、必ずしも一時保持手段を採用する必要はない。例えば、滴下速度が十分に遅い場合や滴下容器の容量が十分に大きい場合は、細胞培養容器に培地が供給されるまでに培地が細胞培養に適した温度になるので、一時保持手段を採用しないことも可能である。この場合、培地保存手段と培地供給手段を管状部材(チューブ等)で直接連結すれば良い。例えば図21Aのように、培地保存手段が複数の排出口を備え、当該複数の排出口が各々異なる培地供給手段につながっていても良いし、例えば図21Bのように、培地保存手段の排出口につながる管状部材が途中で複数の管状部材に分岐し、当該複数の管状部材が各々異なる培地供給手段につながっていても良い。培地保存手段内の培地等の溶液の設定温度は、保存に適した温度(例えば4℃)でも良いし、細胞培養に適した温度(例えば37℃)でも良く、培養条件により最適な温度に設定することができる。
また、例えば図22A及び図22Bに示すように、培地保存手段と培地供給手段とをつなぐ管状部材(チューブ等)にペリスタポンプなどの送液ポンプを設置して、培地保存手段から培地供給手段へ培地を供給しても良い。こうすることで、培地保持手段は必ずしも培地供給手段より重力方向で高い位置に設置する必要がなく、培地保存手段の設置場所の自由度が上がる。この場合、送液ポンプが培地供給手段の滴下速度調整手段として機能するため、滴下速度調整手段がなくても良い。ペリスタポンプなどの送液ポンプは、インキュベータの内外どちらに設置されていても良く、制御手段により有線または無線で遠隔的に操作されても良い。また、図22A及び図22Bに示すように、滴下容器を採用せず、細胞培養容器の供給口を容器上面に設置してそこから培地等の溶液を滴下させても良い。
図21A及び図21Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。また図22A及び図22Bは第2実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
上記各実施形態において、培地保持手段や一時保持手段をそれぞれ1つずつ備えた態様を示したが、例えば図18A及び図18Bに示すように培地保持手段や一時保持手段をそれぞれ複数備えていても良い。この場合、複数種類の培地を細胞培養容器に供給することが可能となる。一時保持手段に連結する培地供給手段は、例えば図18A及び図18Bに示すように複数の一時保持手段それぞれに備えられた態様でも良いし、例えば図19A及び図19Bに示すように複数の一時保持手段から1つの培地供給手段に連結するようにした態様でも良い。図18A及び図18B、図19A及び図19Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
上記各実施形態において、1つの培地供給手段から1つの細胞培養容器につながる態様を示したが、1つの培地供給手段から複数の細胞培養容器につながる態様でも良い。例えば図20Aのように、滴下容器が複数の排出口を備え、当該複数の排出口が各々異なる細胞培養容器の供給口につながっていても良いし、例えば図20Bのように、滴下容器の排出口につながる管状部材が途中で複数の管状部材に分岐し、当該複数の管状部材が各々異なる細胞培養容器の供給口につながっていても良い。図20A及び図20Bは第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
上記各実施形態において、滴下速度調整手段としてペリスタポンプ等の送液ポンプを使用しても良い。当該送液ポンプは制御部により有線または無線で遠隔的に制御されても良い。
上記各実施形態において、一時保持手段に培地温度をモニタリングする培地温度モニタリング手段を設置しても良い。このとき培地温度モニタリング手段がモニタリングした培地温度の情報を遠隔的に制御部に送るようにしても良い。このことで、細胞培養に適していない温度の培地を誤って供給してしまうことを防ぐことができる。
本発明の細胞培養システムは、接着性細胞の培養はもちろんのこと、非接着性細胞の培養にも適用することができる。培地の交換速度を低速にすることができ、また、細胞培養容器の排出口を高さ方向で上方に配置しているため非接着性細胞が排出口から流出してしまうリスクを下げることができるからである。
また、細胞培養容器内に保持する培地の量を可能な限り少量とすることで、培地の交換効率を向上させることができる。細胞培養容器内に保持する培地の量は、培養する細胞の種類により最適化すれば良い。
上記各実施形態において、制御部は、上記各実施形態における温度制御手段、圧力付加手段、陰圧供給手段、送液ポンプと無線または有線により情報交換可能して遠隔的にそれらをコントロール可能になっていても良い。このことにより、ユーザによる遠隔作業の効率を上げることができる。
上記各実施形態において、ユーザが制御部により遠隔的に培地交換の操作をする態様については、ユーザがあらかじめ設定したスケジュール(プログラム)に基づき制御部が培地交換を遠隔的に操作しても良い。
上記各実施形態において、一時保持手段がインキュベータ内に設置された態様を示したが、一時保持手段がインキュベータの外に設置されていても良い。その場合、一時保持手段内の溶液を細胞培養に適した温度(例えば37℃)に維持するための温度制御手段を設置することが好ましい。
また、上記各実施形態において、廃液保持手段がインキュベータ内に設置された態様を示したが、例えば図22A及び図22Bに示すように、廃液保持手段がインキュベータ外に設置されていても良い。
上記各実施形態において、図23Aに示す細胞培養容器を使用することができる。当該細胞培養容器は、容器内部に板状部材130で構成された棚状構造を備えている。板状部材は容器内部に固定されて棚状構造を形成し、その上面部に所定量の溶液を保持できるよう溶液ストッパ131を備えている。板状部材130は、それにより仕切られる上下空間が開口部132を通して連通するように容器内部に固定されている。容器上面には供給口133があり、そこから供給された溶液は板状部材130により形成される棚部に供給される。板状部材130上で溶液ストッパ131により所定量の溶液が保持され、所定量を超えた溶液は溶液ストッパ131を越え、開口部132から下部空間に滴下される。容器側面には底面から所定の高さの位置に排出口134があり、下部空間に保持された溶液が排出口134の高さに達するとそこから排出されるようになっている。供給口133は、板状部材130により形成される棚部に溶液を供給できる位置にあれば良く、容器側面であっても良い。また、それとは別に、図23Bに示すように、下部空間に直接溶液を供給できる位置にさらに供給口133’を備えていても良い。図では一の板状部材により一の棚部を形成する例を示したが、2以上の板状部材により2以上の棚部を形成しても良い。
このような細胞培養容器によれば、細胞を培養する培養面積をかせぐことができ、効率的に細胞を増やすことができる。
上記各実施形態において、細胞培養容器の排出口と廃液保持手段の廃液供給口とをつなぐ管状部材に、廃液速度調整手段を備えていても良い。廃液速度調整手段は、管状部材内を流れる廃液の流速を制御することができ、その構造は、図2Aから図2Dに示す滴下速度調整手段と同様である。廃液速度調整手段としてペリスタポンプなどの送液ポンプを採用しても良い。廃液速度調整手段は、インキュベータ外に設置された制御部によって無線または有線により遠隔的に操作可能となっていても良い。
本発明の制御部の例としてはPCを挙げることができ、PCが上記各実施形態における制御部が実行する制御を行うことができる。
本発明において、培地保存手段、一時培地保持手段は、培地やその他の溶液(例えば洗浄液など)を保持することが可能な手段であり、それぞれ溶液保持手段として機能するものである。つまり、培地保存手段または一時培地保持手段のみを備えた態様ではそれぞれが溶液保持手段として機能し、培地保存手段および一時培地保持手段を備えた態様では両手段が一体として溶液保持手段として機能する。
本発明により、細胞を培養するための培地を培地の保存に適した温度で保持する培地保存手段と、該培地保存手段と連結され、前記培地保存手段から供給された培地を細胞培養に適した温度で保持する一時培地保持手段と、該一時培地保持手段と連結され、前記一時培地保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段と、該培地供給手段と連結され、前記培地供給手段から供給された培地中で細胞を培養する細胞培養容器とを備えた細胞培養システムであって、前記培地供給手段は培地を滴下する工程を経て前記細胞培養容器に培地を供給することを特徴とする細胞培養システムを提供することができる。
本発明により、細胞を培養するための培地を培地の保存に適した温度で保持する培地保存手段と、該培地保存手段と連結され、前記培地保存手段から供給された培地を細胞培養に適した温度で保持する一時培地保持手段と、該一時培地保持手段と連結され、前記一時培地保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段と、該培地供給手段と連結され、前記培地供給手段から供給された培地中で細胞を培養する細胞培養容器と、該細胞培養容器と連結され、前記細胞培養容器から供給された培地を排出する培地排出手段を備えた細胞培養システムであって、前記培地排出手段は培地を滴下する工程を経て培地を排出することを特徴とする細胞培養システムを提供することができる。
本発明により、培地を保持する溶液保持手段と、該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段とを備えた細胞培養システムであって、前記培地供給手段は培地を滴下する工程を経て前記細胞培養容器に培地を供給することを特徴とする細胞培養システムを提供することができる。
本発明により、培地を保持する溶液保持手段と、該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された培地を細胞培養容器に供給する培地供給手段と、前記細胞培養容器と連結され、前記細胞培養容器から供給された培地を排出する培地排出手段を備えた細胞培養システムであって、前記培地排出手段は培地を滴下する工程を経て培地を排出することを特徴とする細胞培養システムを提供することができる。
本発明のさらなる実施形態に係る細胞培養システムについて、図面を参照して以下に説明する。
(第6実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム1800は、図24に示される構成のシステムであり、インキュベータ内に設置された細胞培養容器(培養容器)内の培地を交換するシステムである。
溶液保持手段3(第1溶液保持手段3a、第2溶液保持手段3b)は、インキュベータ1の内部に設置されており、内部に培地(細胞培養液)や洗浄液等の溶液を保存するためのものである。図24では、第1溶液保持手段3aに培地(細胞培養液)を、第2溶液保持手段3bに洗浄液を保持する例を示す。溶液保持手段3に保持された溶液は、細胞培養に適した温度であるインキュベータ内の温度(例えば37℃)に温められる。
溶液保持手段3で細胞培養に適した温度(例えば37℃)に温められた溶液は、インキュベータ1内で溶液供給手段6(第1溶液供給手段6a、第2溶液供給手段6b)を介して細胞培養容器11に供給される。
溶液供給手段6は、滴下速度調整手段7(第1滴下速度調整手段7a、第2滴下速度調整手段7b)と滴下容器8(第1滴下容器8a、第2滴下容器8b)とを備えている。滴下速度調整手段7は、溶液保持手段3と滴下容器8とをつなぐ管状部材(チューブ等)に設置されており、管状部材内を流れる溶液の流速を制御することができる。第1滴下速度調整手段7aは第1溶液保持手段3aと第1滴下容器8aとをつなぐ管状部材に設置され、第2滴下速度調整手段7bは第2溶液保持手段3bと第2滴下容器8bとをつなぐ管状部材に設置されている。
滴下速度調整手段7は、インキュベータ外に設置された制御部19により無線または有線により遠隔的に操作可能となっており、遠隔的に管状部材(チューブ等)内を流れる培地等の溶液の流れを止めたり(流速0の状態)、流速をコントロールすることが可能となっている。
培地交換が必要になった際、ユーザは制御部19により遠隔的に滴下速度調整手段7を調整して滴下速度を適当な速度にする。滴下速度の調整はあらかじめ決められた速度に設定しても良いし、図示しないモニタリングシステムで滴下速度を監視しながら適当な滴下速度に調整しても良い。
滴下容器8は、溶液保持手段3からつながる管状部材と接続する供給口9と、細胞培養容器11へつながる管状部材(チューブ等)と接続する排出口10とを有した容器である。供給口9は重力方向の上部に、排出口10は供給口9より重力方向で下部に配置されており、供給口9へ供給された溶液は滴下容器8内の空間に滴下し、排出口10から排出され、管状部材を介して細胞培養容器11に供給される。
このように、溶液が滴下容器8内の空間に滴下されることで、溶液の逆流を防ぐことができ、溶液保持手段3内の溶液が汚染される(コンタミネーションが起こる)ことを防止することができる。
細胞培養容器11は滴下容器8からつながる管状部材と接続する供給口12(第1供給口12a、第2供給口12b)と、細胞培養容器外に溶液を排出する排出口13とを有している。第1供給口12aは管状部材を介して第1滴下容器8aの排出口10と接続され、第2供給口12bは管状部材を介して第2滴下容器8bの排出口10と接続されている。
供給口12を通過した溶液は、培養容器内の空間を滴下され培養容器内に供給される。このとき、供給口12から培養容器内部に向け管状部材(チューブ等)を設置して溶液を滴下させずに供給しても良い。また、供給口12の設置位置は溶液を滴下させる場合は、図24に示すように細胞培養容器の蓋に設置することが望ましいが、例えば細胞培養容器側面に設置しても良い。
一方、排出口13は、例えば図24に示すように細胞培養容器の蓋に設置され、細胞培養容器内部に向け管状部材(チューブ等)が伸びた構造をしている。当該管状部材は細胞培養容器の略底面に到達する長さを有しており、細胞培養容器の底面部の溶液を排出することが可能となっている。このことにより、培養容器内の溶液をほぼ全量排出することが可能となる。また、排出口13から細胞培養容器内部に伸びる管状部材は、その側面に図25に示すような穴28を有し、当該穴28を通して溶液を排出しても良い。この場合、管状部材の先端を培養容器底面に這わせるように配置しても溶液の排出が可能となる。
排出口13の設置位置は、細胞培養容器の底面部の溶液を排出することが可能であれば任意であり、例えば細胞培養容器の側面や底面に設置しても良い。その場合、細胞培養容器内部に伸びる管状部材がなくても良い。
細胞培養容器11の排出口13は、管状部材(チューブ等)を介して溶液排出手段に接続している。溶液排出手段は、廃液保持手段14および陰圧供給手段71を備えている。廃液保持手段14は、管状部材を介して、細胞培養容器11の排出口13と接続されており、当該管状部材と接続する廃液供給口15と、廃液保持手段14外に廃液を排出する廃液排出口16とを有している。廃液保持手段14の設置位置はインキュベータ内外どちらでも良い。廃液供給口15は廃液保持手段14の上面に設置されており、廃液供給口15へ供給された廃液は廃液保持手段内の空間に滴下され、廃液排出口16を通して排出される。このように、廃液が廃液保持手段14内の空間に滴下されることで、廃液の逆流を防ぐことができ、細胞培養容器11内が汚染される(コンタミネーションが起こる)ことを防止することができる。細胞培養容器11の排出口13と廃液供給口15とをつなぐ管状部材は、廃液速度調整手段17を備えている。廃液速度調整手段17は、管状部材内を流れる廃液の流速を制御することができる。
廃液速度調整手段17は、インキュベータ外に設置された制御部19によって無線または有線により遠隔的に操作可能となっており、遠隔的に管状部材(チューブ等)内の廃液の流れを止めたり(流速0の状態)、流速をコントロールすることが可能となっている。
培地交換が必要になった際、ユーザは制御部19により遠隔的に廃液速度調整手段17を調整して廃液速度を適当な速度にする。廃液速度の調整はあらかじめ決められた速度に設定しても良いし、図示しないモニタリングシステムで廃液速度を監視しながら適当な速度に調整しても良い。廃液速度調整手段17の構造は、図2Aから図2Dに示す滴下速度調整手段7と同様である。
廃液保持手段14の廃液排出口16は、陰圧供給手段71に接続されており、廃液保持手段14を陰圧にすることが可能となっている。
陰圧供給手段71としては、図26に示すようなポンプ31と廃液容器32とを備えた手段を挙げることができる。陰圧供給手段71の吸引口33を廃液保持手段14の廃液排出口16と接続して廃液保持手段14内を陰圧にし、培養容器11の排出口13を陰圧にすることで細胞培養容器11から培地を吸引することが可能である。
また、陰圧供給手段71としてペリスタポンプなどの送液ポンプを使用しても良い。この場合、送液ポンプを吸引口33の管状部材に設置しても良い。
次に、滴下速度調整手段7について説明をする。
滴下速度調整手段7は、溶液保持手段3の排出口5と滴下容器8の供給口9とをつなぐ管状部材(チューブ等)に配置されており、管状部材に外力を加えて変形させ、管状部材内腔の断面積を小さくすることで溶液の流量を制限して流速を抑制する。逆に外力を解除すると、管状部材の弾性力により管状部材が元の状態に戻り、流速を上げることができる。このように、滴下速度調整手段7は管状部材に対する外力の強弱により管状部材内に流れる溶液の流速を調整する。滴下速度調整手段7による管状部材への外力の加え方については、図2Aから図2Dに例を示した第1実施形態と同様である。
なお、廃液速度調整手段の構造は、滴下速度調整手段7と同様である。
また、滴下速度調整手段7としてペリスタポンプなどの送液ポンプを採用しても良い。廃液速度調整手段としてペリスタポンプなどの送液ポンプを採用しても良い。送液ポンプは制御部19により遠隔的に操作されても良い。
次に、本実施形態に係る培地交換システム1800を用いて培地を交換する手順について一例を説明する。
本システムのユーザは、まず滴下速度調整手段7により、滴下速度が0の状態つまり滴下が止まった状態にシステムを設定する。溶液保持手段3に培地等の溶液を補充し、溶液保持手段3内の培地や溶液の温度をインキュベータ内の温度にする。培地及び細胞が入った細胞培養容器11を用意し、インキュベータ内で細胞培養容器11の供給口12を管状部材を介して滴下容器8の排出口10に、細胞培養容器11の排出口13を管状部材を介して廃液保持手段14の廃液供給口15に、それぞれ接続する。
培地交換が必要になった際、ユーザはまず制御部19により廃液速度調整手段17を操作して廃液速度を適当な速度にする。廃液速度調整手段17により廃液速度が0の状態を解除すると、廃液保持手段14の陰圧が細胞培養容器の排出口13に伝わり、細胞培養容器内の培地が廃液として廃液保持手段14へ吸引される。細胞培養容器内の培地がなくなったら廃液速度調整手段17により廃液速度を0の状態にもどす。
次に、ユーザは制御部19により第2滴下速度調整手段7bを操作して滴下速度を適当な速度にする。滴下速度調整手段7bにより滴下速度が0の状態を解除すると、第2溶液保持手段4b内の洗浄液が滴下容器8b内で重力により滴下し始め、細胞培養容器内に供給される。細胞培養容器内に所望な量の洗浄液が供給された後、ユーザは制御部19により第2滴下速度調整手段7bを操作して滴下速度を0の状態に戻す。さらに、制御部19により廃液速度調整手段17を操作して廃液速度を適当な速度にして培養容器内の洗浄液を排出する。
次に、ユーザは制御部19により第1滴下速度調整手段7aを操作して滴下速度を適当な速度にする。滴下速度調整手段7aにより滴下速度が0の状態を解除すると、第1溶液保持手段4a内の培地が滴下容器8a内で重力により滴下し始め、細胞培養容器内に供給される。細胞培養容器内に所望な量の培地が供給された後、ユーザは制御部19により第1滴下速度調整手段7aを操作して滴下速度を0の状態に戻す。
本実施形態の変形例を図27A及び図27Bに示す。
本変形例に係る細胞培養システム1900は、第1滴下容器41aおよび第2滴下容器41bがそれぞれ複数の排出口を有する態様である。第1滴下容器41aおよび第2滴下容器41bが備えた複数の排出口は、各々異なる細胞培養容器の供給口12(第1供給口42a、第2供給口42b)に管状部材を介して接続される。図27Aは2つの細胞培養容器を用いる態様であるが、各滴下容器が備えた排出口の数だけ細胞培養容器を設置することが可能である。
各滴下容器が複数の排出口を備える代わりに、図27Bに示すように各滴下容器が1つの排出口を備え、そこにつながる管状部材が途中で複数に分岐し、各々異なる細胞培養容器の供給口12(第1供給口42a、第2供給口42b)に接続されても良い。
他は第1実施形態と同様である。
本実施形態の別の変形例を図28に示す。
本変形例に係る細胞培養システム2100は、第1滴下容器8aおよび第2滴下容器8bを一つの滴下容器8cとする態様である。滴下容器8cは溶液を内部に供給するための2つの供給口(第1供給口43a、第2供給口43b)と、溶液を内部から排出するための1つの排出口44とを有している。第1供給口43a、第2供給口43bは、それぞれ管状部材を介して第1溶液保持手段3a、第2溶液保持手段3bと接続している。排出口44は管状部材を介して細胞培養容器の供給口45に接続している。他は第1実施形態と同様である。
この場合において、図29Aに示すように第1滴下容器8cが複数の排出口を有する態様でも良い。滴下容器8cが備えた複数の排出口は各々異なる細胞培養容器の供給口45に管状部材を介して接続される。図29Aは2つの細胞培養容器を用いる態様であるが、3以上の細胞培養容器を設置することが可能である。
滴下容器が複数の排出口を供える代わりに、図29Bに示すように各滴下容器が1つの排出口を備え、そこにつながる管状部材が途中で複数に分岐し、各々異なる細胞培養容器の供給口45に接続されても良い。
滴下容器が1つの供給口を備え、第1溶液保持手段3a、第2溶液保持手段3bからの管状部材が途中で合流し、当該1つの供給口に接続していても良い。
(第7実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム2400は、図30に示すように滴下容器8を備えず、細胞培養容器11の供給口12(第1供給口12a、第2供給口12b)の配置位置を細胞培養容器11の上面に限定する点で第6実施形態と異なっている。それ以外は第6実施形態と同様である。
この場合、細胞培養容器11の供給口12は細胞培養容器11の上面に位置するため、供給された溶液は細胞培養容器11内の空間を滴下されることになり、滴下容器8と同様の機能を有することになる。したがって、本実施形態においても培地の逆流を防ぐことができ、溶液保存手段3内の培地が汚染される(コンタミネーションが起こる)ことを防止することができる。また、滴下容器8を設置しないのでシステムをコンパクトにすることができる。
なお、滴下容器8を備えていないため、溶液保持手段3の排出口5と細胞培養容器11の供給口12は管状部材を介して直接連結され、その管状部材に滴下速度調整手段7が設置されている。つまり、第1溶液保持手段3a、第2溶液保持手段3bは、管状部材を介してそれぞれ細胞培養容器の第1供給口12a、第2供給口12bに接続し、それぞれの管状部材には第1滴下速度調整手段7a、第2滴下速度調整手段7bが設置されている。
(第8実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム2500は、図31に示すように、溶液保持手段3に溶液を供給するための溶液ストック手段51(第1溶液ストック手段51a、第2溶液ストック手段51b)を備えている点で上記各実施形態と異なっている。それ以外は上記各実施形態と同様である。図31は第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
溶液ストック手段51は、内部に保持した培地等の溶液を溶液の保存に適した温度(例えば4℃)に維持するために温度制御手段52を備えている。溶液ストック手段51の設置場所は、溶液保持手段3よりも重力方向で高い位置であれば任意であり、インキュベータの内外どちらに設置しても良い。
溶液ストック手段51(第1溶液ストック手段51a、第2溶液ストック手段51b)は、管状部材(チューブ等)を介して溶液保持手段3(第1溶液保持手段3a、第2溶液保持手段3b)に連結している。溶液ストック手段51は溶液保持手段3よりも重力方向で高い位置に設置されているため、溶液ストック手段51内の溶液は重力により管状部材(チューブ等)を介して溶液保持手段3に供給される。溶液保持手段3に供給された培地は、細胞培養に適した温度であるインキュベータ内の温度(例えば37℃)に温められる。
図31は、重力を使って溶液を溶液ストック手段51から溶液保持手段3に移動させる態様を示したが、図32に示すように溶液ストック手段51と溶液保持手段3とをつなぐ管状部材(チューブ等)にペリスタポンプのような送液ポンプ53(第1送液ポンプ53a、第2送液ポンプ53b)を設置して、溶液を溶液ストック手段51から溶液保持手段3に移動させても良い。この場合、溶液ストック手段51の設置場所は溶液保持手段3よりも重力方向で高い位置でなくても良い。
(第9実施形態)
本実施形態に係る細胞培養システム2700は、図33に示すように、溶液保持手段3内の溶液に圧力をかけるための圧力付加手段60を備えている点で上記各実施形態と異なっている。それ以外は上記各実施形態と同様である。図33は第6実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
圧力付加手段60としては、溶液保持手段3内にポンプにより気体を送り込む手段を例として挙げることができる。これにより、溶液保存手段3内の空気層の圧力が高まり、溶液に外圧を加えることが可能となる。溶液保持手段3内に送り込む気体は滅菌されたものを用いるのが好ましい。圧力付加手段は、図6Aから図6Cに例示したものと同様のものを用いることができる。
ここで、圧力付加手段60は、溶液保持手段3内の圧力が一定以上に上がらないように制御されたものが好ましい。
本実施形態においては、溶液保持手段3は溶液供給手段6よりも必ずしも高い位置に設置されている必要はない。
なお、溶液ストック手段を備えた態様においては、圧力付加手段60が溶液保持手段内の溶液に圧力を加えることにかえ、図34に示すように、溶液ストック手段51(第1溶液ストック手段51a、第2溶液ストック手段51b)内の溶液に圧力を加える態様にすれば良い。この場合においては、溶液ストック手段51は溶液保持手段3よりも必ずしも高い位置に設置されている必要はない。また、溶液保持手段3は溶液供給手段6よりも必ずしも高い位置に設置されている必要はない。
上記各実施形態において、図38A及び図38Bに示す細胞培養容器91も使用することもできる。当該細胞培養容器91は容器の蓋部92に供給口93および排出口94を有している。
供給口93は管状部材を介して溶液保持手段6に接続されているとともに、供給口93から細胞培養容器内部に向かって供給管部95が伸びている。溶液供給手段6から供給された溶液は供給口93を通過し供給管部95に進入する。図38Aに示すように、供給管部95の先端は細胞培養容器内部の底面より所定の高さ上方に配置されており、供給管部95を出た溶液は細胞培養容器91内に滴下される。なお、滴下容器8を採用する態様においては、図38Bに例を示すように、必ずしも供給管部95の先端が細胞培養容器内部の底面より所定の高さ上方に配置されている必要はない。
排出口94は管状部材を介して廃液保持手段14に接続されているとともに、排出口94から細胞培養容器内部に向かって排出管部96が伸びている。排出管部96の先端は培養容器内部の底面に達する位置に配置されるようになっており、細胞培養容器内の溶液をほぼ全量排出することが可能である。
排出管部96は、その側面に図25に示すような穴28を有し、当該穴28を通して溶液を排出しても良い。この場合、排出管部96の先端を培養容器底面に這わせるように配置しても溶液の排出が可能となる。
排出口94の設置位置は、細胞培養容器内の溶液をほぼ全量排出することができる場所であれば任意であり、例えば細胞培養容器の底面や側面に設置しても良い。この場合、排出管部96がなくても良い。
細胞培養容器91の蓋部92の供給管部95および排出管部96の位置決め機構の例については、図11A及び図11Bに例示したものと同様のものを用いることができる。
蓋部付近の構造の、より具体的な一例としては、図12に示したものを挙げることができる。
上記各実施形態において、細胞培養容器の排出口から排出された廃液は廃液保持手段を介して排出される例を示したが、廃液保持手段を設けず細胞培養容器の排出口から直接排出されることにしても良い。例えば図35に示すように、細胞培養容器の排出口を管状部材を介して陰圧供給手段71につなげても良い。図35は第1実施形態に対応する例であるが、他の実施形態も同様である。
上記各実施形態において、溶液保持手段に溶液温度をモニタリングする溶液温度モニタリング手段を設置しても良い。このとき溶液温度モニタリング手段がモニタリングした溶液温度の情報を遠隔的に制御部に送るようにしても良い。このことで、細胞培養に適していない温度の溶液を誤って供給してしまうことを防ぐことができる。
上記各実施形態において、溶液保持手段(および溶液ストック手段)を2つ設置した態様を示したが、溶液保持手段(および溶液ストック手段)を3つ以上設置しても良い。この場合、組成の異なる複数の培地を使用することが可能となる。また、溶液保持手段(および溶液ストック手段)を1つにし、洗浄液用の溶液保持手段(および溶液ストック手段)を使わない態様でも良い。
上記各実施形態において、制御部19は、上記各実施形態における温度制御手段2、圧力付加手段60、陰圧供給手段71と無線または有線により情報交換可能して遠隔的にそれらをコントロール可能になっていても良い。このことにより、ユーザによる遠隔作業の効率を上げることができる。
上記各実施形態において、1つ(または2つ)の細胞培養容器に関して説明をしたが、実際は複数の細胞培養容器を設置することが可能である。上記各実施形態および変形例の説明は、複数の細胞培養容器が設置された場合、その各々の細胞培養容器に適用される。
上記各実施形態において、陰圧供給手段を採用して廃液を吸引する態様を示したが、図36に示すように、陰圧供給手段を用いず重力により廃液を排出しても良い。この場合、細胞培養容器の排出口は細胞培養容器の底面や側面に配置され、細胞培養容器内の溶液が重力により排出口から排出されれば良い。また、細胞培養容器内の溶液をほぼ全量排出するために、排出口の方向に溶液が流れるよう細胞培養容器を傾けて設置するのが好ましい。
また、図37に示すように、細胞培養容器の排出口につながる管状部材にペリスタポンプ等の送液ポンプ53を設置しても良い。この場合、細胞培養容器の排出口の設置位置を細胞培養容器上面の蓋にし、そこから細胞培養容器内部に向け管状部材が伸びた態様も可能となる。
上記各実施形態において、ユーザが制御部により遠隔的に培地交換の操作をする態様を示したが、ユーザがあらかじめ設定したスケジュール(プログラム)に基づき制御部が培地交換を遠隔的に操作しても良い。
上記各実施形態において、溶液保持手段がインキュベータ内に設置された態様を示したが、溶液保持手段がインキュベータの外に設置されていても良い。その場合、溶液保持手段内の溶液を細胞培養に適した温度(例えば37℃)に維持するための温度制御手段を設置することが好ましい。
本発明の制御部の例としてはPCを挙げることができ、PCが上記各実施形態における制御部19が実行する制御を行うことができる。
上記各実施形態で細胞培養容器の供給口を2つ(複数)設ける態様において、供給口を1つにして2つ(複数)の溶液供給手段からつながる管状部材を合流させた後に当該1つの供給口に接続しても良い。
本発明において使用する細胞培養容器として、袋状の細胞培養バッグを用いても良い。
本発明で使用可能な培養容器の例として、図39A及び図39Bに示すような蓋部151が熱滅菌可能な素材でできた容器を挙げることができる。当該蓋部151は、蓋本体152に少なくとも1つの穴部154がありそこを管状部材153が貫通する構造をしている。図39A及び図39Bは穴部154および管状部材153がそれぞれ2つの場合を示しているが、それぞれ3つ以上でも良いし1つでも良い。蓋部151は、乾熱処理やオートクレーブによる滅菌の際の高熱に耐え得る素材で作られている。高熱に耐え得る素材としては、アルミニウムなどの金属や、ガラスを挙げることができる。容器本体部155は、高熱に耐え得る素材でなくても良い。このようにすることで、培養容器を使用後に容器本体155は捨て、蓋部は洗浄、滅菌後に新しい容器本体と組合せて再度使用することが可能となる。管状部材153は穴部154を介して挿入方向に移動できるようになっていることが好ましい。このことにより、管状部材153の容器内に突出した長さを調整することが可能となり、使用する容器の種類や培養系に応じて最適な条件に適宜調整することができる。
当該培養容器によれば、蓋部を再利用することができコストの点で有効となる。また、容器本体部が交換可能なので培養系に応じて最適な容器を適宜選択することができ培養系のバリエーションが広がるとともに、市販の容器本体部を使用することでコストの点でも有効である。
本発明によれば、細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段とを備えた細胞培養システムであって、前記溶液供給手段は溶液を滴下する工程を経て前記細胞培養容器に溶液を供給することを特徴とする細胞培養システムを提供することができる。
本発明によれば、細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段とを備えた細胞培養システムであって、前記溶液排出手段は溶液を滴下する工程を経て溶液を排出することを特徴とする細胞培養システムを提供することができる。
1 インキュベータ
2 温度制御手段
3 培地保存手段(溶液保持手段)
4 一時保持手段
6 培地供給手段
7 滴下速度調整手段
8 滴下容器
11 細胞培養容器
14 廃液保持手段
17 廃液速度調整手段
19 制御部
20 管状部材(チューブ)
21 板状部材
22 球状(円柱状)部材
24 シャッター状部材
23、25、26 貫通穴
31 ポンプ
32 廃液容器
33 吸引口
41 滴下容器
51 溶液ストック手段
52 温度制御手段
53 ポンプ
60 圧力付加手段
61 袋状部材
62、64 隔離部材
65 重り
71 陰圧供給手段
81 ポンプ
82 廃液容器
83 吸引口
91 培養容器
92 蓋部
95 供給管部
96 排出管部
97 首部
101 凸部
102 リング状部材
103 凹部
111 円盤状部材
112 蓋本体
113 リング状部材
121 送液ポンプ
130 板状部材
131 溶液ストッパ
132 開口部
133 供給口
134 排出口
151 蓋部
152 蓋本体
153 管状部材
154 穴部
155 容器本体

Claims (16)

  1. 細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、
    該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、
    を備えた細胞培養システムであって、
    前記溶液供給手段が、溶液を滴下する工程を経て前記細胞培養容器に溶液を供給する細胞培養システム。
  2. 前記細胞培養容器が、前記溶液供給手段より重力方向で下の位置で前記溶液供給手段と連結され、
    前記溶液供給手段が、前記溶液保持手段から供給された溶液を滴下する空間を有し、
    前記細胞培養容器が、溶液を排出するための排出口を容器側面の所望の高さの位置に備え、
    溶液が前記溶液供給手段から前記細胞培養容器に供給されることによって、前記細胞培養容器内での溶液上面の高さが前記排出口に達したときに、溶液が前記排出口から前記細胞培養容器の外部に排出される請求項1に記載の細胞培養システム。
  3. 前記細胞培養容器が、容器上面に前記溶液供給手段から溶液を供給される供給口を備えるとともに、溶液を排出するための排出口を容器側面の所望の高さの位置に備え、
    前記供給口から供給された溶液が、前記細胞培養容器内の空間で溶液上面に向けて滴下され、
    溶液が前記溶液供給手段から供給されることによって、前記細胞培養容器内での溶液上面の高さが前記排出口に達したときに、溶液が前記排出口から前記細胞培養容器の外部に排出される請求項1に記載の細胞培養システム。
  4. 前記溶液供給手段が、
    前記溶液保持手段から供給された溶液を滴下する空間を有する滴下容器と、
    該滴下容器内における溶液の滴下速度を制御する滴下速度調整手段と、を備える請求項1に記載の細胞培養システム。
  5. 前記細胞培養容器内における溶液滴下速度を制御する滴下速度調整手段を備える請求項1に記載の細胞培養システム。
  6. 前記滴下速度調整手段を遠隔的に制御する制御部を備えた請求項4または5に記載の細胞培養システム。
  7. 前記溶液保持手段の溶液に圧力をかけるための圧力付加手段を備えた請求項1から6のいずれかに記載の細胞培養システム。
  8. 前記細胞培養容器の前記排出口に陰圧をかけるための陰圧供給手段を備えた請求項1から7のいずれかに記載の細胞培養システム。
  9. 前記細胞培養容器の排出口と連結され、前記細胞培養容器から排出された培地を保持する廃液保持手段をさらに備え、
    前記細胞培養容器から排出された培地が、前記廃液保持手段の中の空間に滴下される請求項1から8のいずれかに記載の細胞培養システム。
  10. 前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段をさらに備え、
    前記細胞培養容器が、前記溶液供給手段より重力方向で下の位置で前記溶液供給手段と連結され、
    前記溶液供給手段が、前記溶液保持手段から供給された溶液を滴下する空間を有する請求項1に記載の細胞培養システム。
  11. 前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段をさらに備え、
    前記細胞培養容器が、容器上面に前記溶液供給手段から溶液を供給される供給口を備え、
    前記溶液供給手段から該供給口に供給された溶液が、前記供給口から、前記細胞培養容器内の空間に滴下される請求項1に記載の細胞培養システム。
  12. 前記溶液供給手段が、溶液の滴下速度を制御する滴下速度調整手段を備え、
    前記溶液排出手段が、溶液の排出速度を制御する廃液速度調整手段を備え、
    前記滴下速度調整手段による溶液の滴下速度の制御と、前記廃液速度調整手段による溶液の排出速度の制御とを遠隔的に操作する制御部を備えた請求項10または11に記載の細胞培養システム。
  13. 前記溶液保持手段の溶液に圧力をかけるための圧力付加手段を備えた請求項10から12のいずれかに記載の細胞培養システム。
  14. 前記細胞培養容器が、前記溶液排出手段と連結する排出口を備え、
    前記細胞培養容器の前記排出口に陰圧をかけるための陰圧供給手段を備えた請求項10から13のいずれかに記載の細胞培養システム。
  15. 前記溶液排出手段が、前記細胞培養容器と連結され前記細胞培養容器から排出された溶液を保持する廃液保持手段を備え、
    前記細胞培養容器から排出された溶液が、前記廃液保持手段の中の空間に滴下される請求項10から14のいずれかに記載の細胞培養システム。
  16. 細胞を培養するための培地等の溶液を保持する溶液保持手段と、
    該溶液保持手段と連結され、前記溶液保持手段から供給された溶液を細胞培養容器に供給する溶液供給手段と、
    前記細胞培養容器から溶液を排出する溶液排出手段と、
    を備えた細胞培養システムであって、
    前記溶液排出手段が、溶液を滴下する工程を経て前記細胞培養容器から溶液を排出する細胞培養システム。
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