JPH089958A - 細胞代謝物質の連続的生産方法および装置 - Google Patents

細胞代謝物質の連続的生産方法および装置

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JPH089958A
JPH089958A JP14661694A JP14661694A JPH089958A JP H089958 A JPH089958 A JP H089958A JP 14661694 A JP14661694 A JP 14661694A JP 14661694 A JP14661694 A JP 14661694A JP H089958 A JPH089958 A JP H089958A
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culture solution
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cells
separation membrane
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JP14661694A
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Kiyokazu Suzuki
木 清 和 鈴
Tadao Suzuki
木 直 生 鈴
Masahiro Numata
田 正 寛 沼
Maki Kawaguchi
口 麻 紀 河
Toyoro Nakamura
村 豊 郎 中
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Ito Ham KK
Itoham Foods Inc
Shibaura Mechatronics Corp
Unitika Ltd
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Shibaura Engineering Works Co Ltd
Ito Ham KK
Itoham Foods Inc
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸素供給のための培養液の撹拌操作を必要と
せず、長期間の連続運転および省スペース化が可能な細
胞代謝物質の生産技術を提供する。 【構成】 培養槽(7、8)内における培養液表面位a
から浅い部位に、細胞(細菌、糸状菌、酵母等の微生
物、あるいはヒト、動物、植物等の細胞)を通過させず
に培養液成分および細胞代謝物質を通過させる分離膜6
を設置し、分離膜6を底部とする培養域7内において、
液面位調節手段(たとえばオーバーフロー槽9)によっ
て培養液表面位aを所定の高さに維持した浅い液深(通
常15mm以内、好ましくは10mm以内の深さ)で細
胞を分離膜6より深部側の培養液供給域8への移行を防
止しながら培養し、細胞の代謝物質を分離膜6を介して
培養液供給域8に拡散移行させることにより、培養液出
口5から細胞を含まない代謝物質含有培養液を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、バイオ産業に利用され
る細胞、すなわち細菌あるいはカビ等の微生物、ヒト、
動物あるいは植物の細胞等の培養による細胞代謝物質の
連続的生産方法および装置(すなわちバイオリアクタ
ー)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連するバイオリアクターに関
して、Shallow flow surface reactorを用いた食酢醸造
についての実験報告がある(Journal of Fermentation
and Bioengineering., 70, 2, 114-118, 1990 )。これ
は、培地表面上に酢酸菌を生育させ、培地を連続供給し
ながら発酵によって生成した酢酸を連続的に生産するリ
アクターである。しかしながら、その構造上他種の多く
の細胞への適用はできない。また、膜を設置した培養器
を用いて細胞を培養する方法は透析培養法として知られ
ているが、培養液中への酸素交換を目的として膜上の培
養液の液深を酸素が十分供給される程度に設定したもの
はなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術に於いて、
酸素供給が十分行なわれる状態で培養できる細胞は、培
養液表面に菌膜あるいは菌蓋を形成するものに限られて
いた。しかし、糸状菌の場合は菌蓋を形成するものの、
培養液中で菌糸の塊となって浮遊するものもあり、これ
がリアクターの排出口に付着して閉塞を起こし、リアク
ターの運転が妨げられる場合があった。また、培養液表
面に保持されず、培養槽の底へ沈降する好気性の細胞を
培養する場合、気液表面から拡散により培養液中に溶け
込んで来る酸素の供給が十分に受けられない為、死滅す
る細胞の割合が多くなる(好気性の細胞が良好に生育で
きる培養液の表面からの液深は15mm以内、望ましく
は5〜10mm程度であるが、産業規模の培養槽ではそ
れ以上の液深をもつもの、例えば液量1000ミリリッ
トルのもので18cm、1000リットルのもので8c
mの液深のものが使用されている(微生物学基礎講座
7,共立出版株式会社,微生物培養工学,田口久治/永
井史郎編,p120(1985)参照))。これを避け
る為には、培養液を撹拌し、溶存酸素を均一にする方法
もあるが、撹拌の為の運転コストが掛かるという問題点
があった。本発明は、上記の問題点を解決すること、す
なわち酸素供給のための培養液の撹拌操作を必要とせ
ず、またリアクター排出口の閉塞を起こすことなく長期
間の連続運転および省スペースが可能でかつ種々の細胞
培養に適用できる細胞代謝物質の生産技術を提供するこ
とを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、培養液の
表面(気液界面)から浅い部位に、培地成分や細胞の生
産物(代謝物質)は通過できるが細胞は通過できない分
離膜を設置することにより、上記課題を解決できること
を見出し、この知見をもとに本発明を完成させるに至っ
た。すなわち、本発明方法は、細胞培養による代謝物質
の連続的生産方法であって、細胞を培養液の表面から浅
い部位(通常15mm以内の深さ位置)において分離膜
により深部側と隔離して培養し、該分離膜より深部側の
培養液中に細胞の代謝物質を拡散移行させ、該培養液を
回収すること、を特徴とするものである。また、本発明
装置は、培養槽内における培養液表面位から浅い部位
(通常15mm以内の深さ位置)に、細胞を通過させず
に細胞代謝物質および培養液成分を通過させる分離膜を
設置し、分離膜から浅部側を培養域とすると共に深部側
を培養液供給域とし、該供給域の下流側端部に、分離膜
を通して培養域側に供給された培養液の表面位を所定の
高さに維持する液面位調節手段を連設してなるものであ
る。
【0005】
【作用】細胞を培養液の浅い部位(培養域)において分
離膜により深部側(培養液供給域)と隔離して培養する
ことにより、培養槽底部(培養液供給域側)への細胞の
沈降が防止され、細胞培養を行なう部位において気層か
ら培養液中への酸素供給が行なわれ易い(嫌気性菌の場
合は、酸素濃度が高いと生育阻害を起こす為、たとえば
培養液中に不活性ガス(炭酸ガスまたは窒素ガス)を供
給しながら培養を行なう)。分離膜による細胞の隔離に
より、深部側の培養液供給域への細胞の浸入が阻止さ
れ、これによって培養液の入口および代謝物質が移行し
た培養液の出口への細胞塊の付着および閉塞が防止され
る。分離膜により細胞を培養液の浅い部位に保持するこ
とで、通常行われる培養液を撹拌するための攪拌機の設
置が不必要となり、培養槽(分離膜を介して培養域と培
養液供給域が結合したもの)を多段状に積層することが
可能となる。
【0006】〔発明の具体的説明〕本発明において培養
の対象となる細胞は、特に医薬、食品あるいは化粧品等
のバイオ産業の分野において有用な物質を産生する微生
物細胞(細菌、糸状菌(カビ)、酵母、放線菌など)、
ヒト細胞、動物細胞、植物細胞を包含するものであり、
好気性の細胞がより適している。
【0007】このような細胞(およびその有用な代謝物
質)の具体例としては、糸状菌ではペニシリウム属(ペ
ニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roquef
orti i :抗酸化性物質の産生)など)、アスペルギルス
属(アスペルギルス・ソイヤ(Aspergillus soja:ア
ミラーゼの産生)など)、アクレモニウム属(Acremo ni
um strictum: セファロスポリンの産生)など、細菌で
は酢酸菌属(酢酸菌(Acetobacter aceti :酢酸の産
生)、乳酸菌(Lactobacillus 属:乳酸の産生)、Baci
llus sp. :セルラーゼの産生)など、酵母ではサッッ
カロミセス属(Saccharomyces cerevisiae:エタノー
ルの産生)など、放線菌ではストレプトミセス属(Stre
ptomyces griseus :ストレプトマイシンの産生)な
ど、ヒト細胞ではヒト白血病細胞(EGFの産生)、Na
malwa 細胞(インターフェロンαの産生)、ヒト−ヒト
ハイブリドーマ(モノクローナル抗体の産生)など、動
物細胞ではマウス−マウスハイブリドーマ(モノクロー
ナル抗体の産生)など、植物細胞ではAmaranths Tric
olor(ハゲイトウ:シュウサンの産生)、Asclepias syr
iaca (オオトウワタ:プロテアーゼの産生)、Coffea
arabica (コーヒーノキ:カフェインの産生)、Glyc
ine max (ダイズ:フェノール類の産生)、Lavandul
a vera(ラベンダー:青色色素の産生)、Morinda
citrifolia(ヤエヤマアオキ:アントラキノンの産
生)、Solanum aviculare (ナス属:ステロイド- グリ
コアルカロイドの産生)、C.frutescens(カプサイシン
の産生)、C.roseus(アジュマリシンまたはセルペンチ
ンの産生)の細胞など、をあげることができ、これらの
うち、好気性の細胞が好ましく、糸状菌(ペニシリウム
属およびアルペルギルス属の細胞が代表的)が特に好ま
しい。
【0008】糸状菌の場合の具体例として、青かびチー
ズの製造に古くから使用されているペニシリウム・ロッ
クフォルティ(たとえばIFO 5956株など)は食
品、化粧品あるいは医薬品などの用途に広く利用可能な
強力な抗酸化性物質を産生すること(特開平5−319
421号公報参照)、またはアルペルギルス・ソイヤ
(たとえばIFO 2240株など)は食品、医薬品な
どの分野に利用されるアミラーゼを産生すること、など
があげられる。
【0009】また、所望の代謝物質をコードする遺伝子
もしくはこの物質の生合成に関与する遺伝子によって形
質転換された種々の細胞(大腸菌、酵母など)あるいは
上記に例示したハイブリドーマのようないわゆる融合細
胞も、本発明方法もしくは装置の培養に使用する対象の
細胞となりうる。
【0010】細胞代謝物質の生産方法 本発明方法は、細胞培養による代謝物質の連続的生産方
法であって、細胞を培養液の表面から浅い部位において
分離膜により深部側と隔離して培養し、該分離膜より深
部側の培養液中に細胞の代謝物質を拡散移行させ、該培
養液を回収することを特徴とするものであることは前記
したところであり、基本的には培養液の表面位側の浅い
部位において細胞を深部側に移行させない状態で(分離
膜上で)培養し、培養細胞の産生する有用な代謝物質を
分離膜を通して培養液の深部側に移行させて細胞を含ま
ない代謝物質液を得ようとするものである。
【0011】本発明方法において、培養液表面位から
「浅い部位」とは、撹拌操作を必要とせずに気相からの
酸素が好気性細胞の増殖に必要な酸素が供給されうる培
養液における領域を意味し、これは通常15mm以内の
深さ、好ましくは10mm以内の深さのものである。ま
た、細胞を隔離して培養液成分および細胞の代謝物質を
自由に通過させるような分離膜としては、具体的には後
述するようにメンブランフィルターあるいはセラミッッ
クスフィルターなどを使用することができる。本発明方
法において、培養液表面位から浅い部位を維持するため
に、たとえば分離膜より深部側の培養液をオーバーフロ
ーさせるなどの手段により浅部側の培養液表面位を所定
の高さに維持することにより、分離膜上の常に所望の浅
い部位において細胞培養を行ない、深部側の培養液から
目的の細胞代謝物質を得ることができる。上記したよう
な本発明方法は、後述の本発明装置によって更に具体的
に説明することができる。
【0012】細胞代謝物質の連続的生産装置 本発明による細胞代謝物質の生産装置は、上述の生産方
法を基本原理とするものであって、培養槽内における培
養液表面位から浅い部位に、細胞を通過させずに細胞代
謝物質および培養液成分を通過させる分離膜を設置し、
分離膜から浅部側を培養域とすると共に深部側を培養液
供給域とし、該供給域の下流側端部に、分離膜を通して
培養域側に供給された培養液の表面位を所定の高さに維
持する液面位調節手段を連設してなるものであり、基本
的には分離膜によって仕切られた細胞培養のための培養
域およびこれに分離膜を通して培養液を供給しかつ細胞
の代謝物質を分離膜を介して深部側の培養液中に拡散移
行させる培養液供給域を備えた構造を有する隔膜式のバ
イオリアクターである。
【0013】分離膜は、培養槽内の培養液表面位から通
常の15mm以内の深さ、好ましくは10mm以内の深
さ位置に設置されている。上記液面位調節手段として
は、合目的的な任意の手段がありうるが、たとえば培養
液供給域の入口から供給された培養液を、上記培養液表
面位と同じ高さ位置に設けた培養液出口からオーバーフ
ローさせて培養液表面位を所定の高さに維持するオーバ
ーフロー槽を培養液供給域の下流側端部に連通させるこ
とにより、培養域の培養液が所定の浅い液深(通常15
mm以内、好ましくは10mm以内)に維持され、また
培養槽の積層、すなわち分離膜を介して培養域と培養液
供給域が結合した培養槽を多段状に積層することが可能
となると共に、比較的簡単な構造で連続運転を可能とす
ることができる。分離膜は、細胞を通過させずに培養液
成分および細胞の代謝物質を通過させる膜状物質であれ
ばよく、代表的な例としては、細菌や酵母等の濾過用と
して一般に用いられているメンブランフィルターあるい
はセラミックスフィルターなどがあげられる。メンブラ
ンフィルターとしては、アセチルセルロース、ポリカー
ボネート、テフロン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルな
どのポリマー材質でできた種々の孔径をもつものがあげ
られるが、培養すべき細胞の大きさに適応できる孔径の
ものが必要である他は、その材質あるいは寸法などにつ
いて種々のものの中から適宜選択することができる。
【0014】以下に、本発明による細胞代謝物質の生産
装置を図1(断面図)および図2(平面図)に従って更
に具体的に説明する。この装置は、適宜な材質(培養に
通常用いられるプラスチック、ガラス、金属など)で形
成された培養槽内における培養液表面位aから浅い部位
(通常15mm以内、好ましくは10mm以内の深さ)
に、細胞を通過させずに培養液成分および細胞代謝物質
を通過させる分離膜6を底部と平行に設けることによ
り、細胞を培養するための培養域7と該培養域に培養液
を供給する培養液供給域8とが分離膜6を介して連絡し
た構造を有している。
【0015】分離膜6は、その孔を介して培養液供給域
8中の培養液を培養域7に供給する役割と培養域7の細
胞注入口3から注入された細胞を培養液供給域8から隔
離すると共に目的とする細胞の代謝物質を培養液供給域
8側に拡散移行させる役割とを有している。培養液供給
域8の下流側端部には、培養液表面位aと同じ高さ位置
に開設した培養液出口5を備えたオーバーフロー槽9が
設けられ、上流側端部に開設された培養液入口1から該
培養液供給域8に供給された培養液はオーバーフロー槽
9を通じて培養液出口5から過剰分が排出するようにな
っている。この構成により、培養液の表面位aはオーバ
ーフロー槽9の培養液出口5の高さに規制されることに
なるため、培養液出口5の高さを分離膜6の位置に対し
て所定の距離(通常15mm以下、好ましくは10mm
以下)だけ高くなるように設定することにより、供給さ
れる培養液の表面位aが所定の高さに維持され、培養域
7における培養液の液深を所定の大きさ(通常15mm
以下、好ましくは10mm以下)とすることができる。
【0016】なお、オーバーフロー槽9の隔壁板11
は、図1に示されるように深部側に突設することによ
り、培養液入口1より供給される培養液の分離膜6付近
における流れが静止に近い状態となり、分離膜6を介し
た培養液の培養域7への供給および細胞代謝物質の培養
液供給域8への拡散移行の効率がより向上する。図中、
培養域7の上面に開設された2および4はそれぞれ酸素
供給のための空気入口および培養液供給による空気排出
のための空気出口であるが、必要に応じ一方のみを設け
て空気の出入口を共用させることも可能である。なお、
嫌気性菌(たとえば乳酸菌:乳酸の産生)を培養する場
合には、酸素濃度が高いと生育阻害を起こすため、空気
入口2から培養域7へ不活性ガス(炭酸ガスまたは窒素
ガス)を供給し、空気出口4をそのまま空気排出用とし
て用いればよい。また、培養域7およびオーバーフロー
槽9の上面には、必要に応じて、分離膜6上に蓄積して
くる少量のガスを排出する脱気口10およびオーバーフ
ロー槽9の培養液から発生してくる少量のガスを排出す
る脱気口10′を設けることも可能である。
【0017】なお、上記したように培養槽を多段状に積
層するば場合には、細胞注入口3あるいは空気の出入口
2、4などの配管は、上方への高さを小さくして水平方
向へ折曲延設するか培養域7の上側部に設けることによ
り、積層型でありながら装置全体を省スペースとするこ
とができる。上述のようにして構成された本発明装置
は、連続運転(培養)可能なものであり、本発明方法の
基本原理に従って前記したような種々の細胞培養に用い
られる。
【0018】使用する培養液は、培養しようとする細胞
に通常用いられている種々の培養培地の中から適宜選択
することができる。具体例をあげると、たとえば糸状菌
(ペニシリウム属、アスペルギルス属など)の培養には
一般に微生物の培養によく用いられる培地を使用するこ
とができる。具体的には、炭素源としては炭水化物、炭
化水素、油脂類があげられるが、好ましくは炭水化物で
あり、さらに、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、でんぷん、糖
蜜などの糖類がより好ましい。添加量としては培地組成
中、0.1〜30重量%(以下%と略称する)が適当で
あり、好ましくは1〜5%である。窒素源としてはペプ
トン、肉エキス、酵母エキス、コーン、ステープ、リカ
ー、大豆ホエーなどの有機の窒素源と共に塩化アンモニ
ウム、硫酸アンモニウムなどの無機の窒素源も使用する
ことができるが、ペプトン、肉エキス、酵母エキスなど
の有機の窒素源がより好ましく、その添加量としては、
0.1〜30%が適当であり、好ましくは1〜5%であ
る。無機塩としては例えばK2 HOP4 ,KH2
4 ,MgSO4 ・7H2 O,ZnSO4 ・7H2 O,
FeSO4 ,CuSO4 などが用いられる。また、必要
に応じてビタミン、ミネラルなどの他の栄養源を添加し
てもよい。また、培地のpHとしてはpH3.5−9.
5が好ましく、さらに好ましくは、pH4.0−8.0
である。具体的な培地としては、グルコース・ペプトン
培地、ツァペック培地、麦芽エキス培地などがあげら
れ、これらの培地を単独または適宜組み合わせて通常の
培養温度条件(20〜35℃)で培養を行うことができ
る。また、酵母細胞であれば、MY培地、麦芽エキス培
地などを用いて通常の温度(20〜35℃)で培養を行
うことができる。本発明おける細胞培養は、培養液を連
続的に供給することにより通常連続的に行ない、目的の
細胞代謝物質を連続的に得ることを目的とするものであ
る。
【0019】上記のような本発明装置は、細胞培養にお
いて次のように作用する。培養液入口1から供給された
(好ましくは連続的に)培養液は空気出口4から空気を
排出しながら培養液槽8を満たした後に、オーバーフロ
ー槽9の培養液出口5から過剰分が排出され、培養液の
液面が所定の高さ位置(培養液表面位a)、すなわち分
離膜6から培養液表面までの液深、が浅い位置(通常1
5mm以下、好ましくは10mm以下)に維持される。
一方、細胞注入口3より培養域7内に注入された細胞
は、培養液の浅い部位に位置する分離膜6上において、
空気入口2から供給される十分な酸素の存在下で培養液
供給域8に沈降することなく増殖活動を続け、目的の代
謝物質を産生する。培養中に培養液から発生してくる少
量のガスは脱気口10,10′から排出される。培養細
胞が嫌気性菌の場合には、空気入口2から培養域7へ適
宜不活性ガス(炭酸ガスあるいは窒素ガス)を供給し、
酸素濃度が高くならないようにして培養を行なえばよ
い。産生された細胞の代謝物質は、細胞が培養域7中
(分離膜6上)に隔離された状態で、分離膜6の孔を介
して培養液供給域8の培養液中に拡散移行し、オーバー
フロー槽9を経由して培養液出口5から流出して代謝物
質含有培養液として回収される。該培養液出口5から回
収される目的の代謝物質含有培養液は、必要に応じて凍
結乾燥の形態にしたりあるいは適当な有機溶媒を用いて
有効成分を含む抽出液を得たり、更には目的とする物質
の種類等に応じて通常の精製手段(種々のクロマトグラ
フィーなど)で精製した形にすることも可能である。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれによって限定されるものでは
ない。下記の実施例において、本発明方法に従い、本発
明装置を用いて、ペニシリウム・ロックフォルティ(Pe
nicillium roquefortii )による抗酸化活性の生産お
よびアスペルギルス・ソイヤ(Aspergillus soja)の
α−アミラーゼの連続生産を実施した。また、菌の培養
においては、分離膜6下に培養液入口1から培養液を満
たした後、細胞液注入口3から膜6上に107 個の胞子
懸濁液を注入し、24時間毎に25mlの培養液を間欠
的に培養域7に供給しながら28℃下で連続培養を実施
した。
【0021】実施例1:細胞代謝物質生産装置 図1に示すような細胞代謝物質生産装置を以下の条件で
作製した。 ・オーバーフロー槽9を除く培養槽内径:10cm ・膜面積:50cm2 (直径8cm) ・膜の装着位置:容器(培養槽)の底から2.5cm上
部 ・膜の種類:ミリポア社製VCフィルター、ポアサイズ
0.10μm ・装置高さ:5cm ・培養液出口5(培養液表面位a)の高さ:膜6の上面
から5mm上部
【0022】実施例2Penicillium roquefortii
(IFO 5956)に於ける抗酸化活性含有濾過液の
連続生産 本菌株の培養は2段階培養とし、初めに増殖用の培養液
としてのグルコース・ペプトン培地で、培養域7(分離
膜6上)の胞子が発芽し膜上に菌膜が形成されるまで3
日間培養し、その後ツァペック(Czapek)培地に変換し
た上で5日間の連続培養を実施した。培養排出液は培養
液出口5から24時間ごとにサンプリングし、リノール
酸の酸化に対する抗酸化活性を下記のロダン−鉄法
(*)によりリノール酸の過酸化抑制力を指標として測
定し、5日間の生産変化を測定した。 <結果>培養された菌株IFO 5956は、膜6によ
り膜下に流出する事がなく、培養液入口1や培養液出口
5への菌の付着、閉塞を起こす事もなかった。連結培養
に於いて、培養1日目より5日間に渡り、リノール酸の
酸化を80〜90%抑制する活性を持った培養濾過液抽
出物を得る事ができた。 (*)ロダン−鉄法による測定方法:リノール酸0.1
3mlを50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)10mlとエタノール10mlと蒸留水5mlに混
合し、リノール酸溶液とする。このリノール酸溶液の2
mlを栓付き試験管に入れ、さらに、任意の濃度に試料
を溶解、または懸濁させたエタノール溶液0.05ml
を添加し、反応液とする。これを密栓後、50℃で反応
させる。一定時間放置後、反応液から0.05mlを採
取し、それを75%(V/V)エタノール水溶液2.4
ml、30%チオシアン酸アンモニウム水溶液0.05
ml、および20mM塩化第一鉄(3.5%塩酸水溶
液)0.05mlと混合し、3分後に500nmの吸光
度を測定する。
【0023】実施例3Aspergillus soja(IFO
2240)に於けるアミラーゼの生産 本菌株の培養は、下記のような培地組成のものを培養液
とし、実施例1と同様に3日間前培養の後5日間の連続
培養を実施した(この場合、5日間の連続培養は前培養
で使用した培地と同じ組成のものを使用した)。 マルトース 30g ポリペプトン 20g ファイトン 1g 酵母エキス 3g KHPO 5g KHPO 5g MgSO・7HO 1g 以上を1リットルの水に溶解させ、pH5.5に調整す
る。 培養液は24時間ごとにサンプリングし、アミラーゼ活
性をpH5.0、37℃の条件下で Wohlgemuth の方法
を用いてデンプン(1%デンプン溶液)の分解力によっ
てヨウ素−デンプン反応の呈色を指標として測定した。 <結果>培養状態は実施例2の場合と同様、分離膜6に
よって菌が膜下に流出することがなく、培養液入口1や
出口5への菌の付着、閉塞を起こすこともなかった。ア
ミラーゼ活性の生産に於いても、培養1日目より5日間
一定した活性量(培養液1ml中に1%デンプン溶液4
0mlを分解するアミラーゼを含有するもの)が生産で
きた。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、下記のような効果を奏
することができる。 (1) 細胞が培養液における液深の浅い部位に存在で
きるため、生育に必要な酸素を撹拌操作を必要とせず容
易に供給できる(省エネルギー型である)。 (2) 培養域の底部の分離膜により、膜下の培養液供
給域への細胞の侵入を阻止できるため、細胞塊による培
養液入口および培養液出口への付着、閉塞が起こらず、
長期間の運転も可能である。 (3) 培養液表面に菌膜あるいは菌蓋を形成しない大
腸菌、酵母菌などのバクテリアの培養も可能であり、更
にはヒト、動物および植物細胞の培養にも応用可能であ
る。 (4) 本発明装置は、培養液を攪拌するための攪拌機
の設置が不要であるため構造上薄型化が可能となり、培
養槽(分離膜を介した培養域と培養液供給域との結合
体)を積層型とすることができるため、設置面積当りの
培養面積を大きくする事が可能である(大量培養に於い
ても省スペース型となる)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による細胞代謝物質の連続的生産装置の
断面図である。
【図2】図1に示す本発明装置の平面図である。
【符号の説明】
1 培養液入口 2 空気入口 3 細胞注入口 4 空気出口 5 培養液出口 6 分離膜 7 培養域 8 培養液供給域 9 オーバーフロー槽 10,10′ 脱気口 11 隔壁板 a 培養液表面位
フロントページの続き (72)発明者 鈴 木 直 生 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 沼 田 正 寛 茨城県北相馬郡守谷町久保ヶ丘1丁目2番 地 伊藤ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 河 口 麻 紀 茨城県北相馬郡守谷町久保ヶ丘1丁目2番 地 伊藤ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 中 村 豊 郎 茨城県北相馬郡守谷町久保ヶ丘1丁目2番 地 伊藤ハム株式会社中央研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細胞培養による代謝物質の連続的生産方法
    であって、細胞を培養液の表面から浅い部位において分
    離膜により深部側と隔離して培養し、該分離膜より深部
    側の培養液中に細胞の代謝物質を拡散移行させ、該培養
    液を回収することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】培養液表面から15mm以内の深さ位置に
    おいて細胞を培養する、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】培養液表面から10mm以内の深さ位置に
    おいて細胞を培養する、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】培養細胞が好気性の細胞である、請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】好気性の細胞が糸状菌である、請求項4記
    載の方法。
  6. 【請求項6】糸状菌がペニシリウム属またはアスペルギ
    ルス属に属するものである、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】培養槽内における培養液表面位から浅い部
    位に、細胞を通過させずに細胞代謝物質および培養液成
    分を通過させる分離膜を設置し、分離膜から浅部側を培
    養域とすると共に深部側を培養液供給域とし、該供給域
    の下流側端部に、分離膜を通して培養域側に供給された
    培養液の表面位を所定の高さに維持する液面位調節手段
    を連設してなる、細胞代謝物質の連続的生産装置。
  8. 【請求項8】上記供給域の培養液入口から供給された培
    養液を、培養液出口よりオーバーフローさせて培養域側
    の培養液表面位を所定の高さに維持するオーバーフロー
    槽を連通させてなる、請求項7記載の装置。
  9. 【請求項9】分離膜の設置位置が培養液表面位より15
    mm以内の深さである、請求項7または8記載の装置。
  10. 【請求項10】分離膜の設置位置が培養液表面位より1
    0mm以内の深さである、請求項9記載の装置。
  11. 【請求項11】分離膜を介して培養域と培養液供給域が
    結合した培養槽を多段状に積層してなる、請求項7〜1
    0のいずれか1項に記載の装置。
  12. 【請求項12】培養細胞が好気性の細胞である、請求項
    7〜11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 【請求項13】培養細胞が糸状菌である、請求項12記
    載の装置。
  14. 【請求項14】糸状菌がペニシリウム属またはアスペル
    ギルス属に属するものである、請求項13記載の装置。
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