JPWO2015177851A1 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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浩平 達脇
角田 昌之
昌之 角田
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文彦 石園
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哲仁 ▲高▼井
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Abstract

スラストプレートは、揺動スクロールと摺動する面から圧縮室へ通じるように形成された給油穴を有する。一方、揺動スクロールは、潤滑油が流入する油流入部と、一方側が油流入部に通じており、油流入部から揺動スクロールの回転方向へ延びる油流通部と、油流通部の他方側に通じており、給油穴上に位置したときに油流通部を通った潤滑油を給油穴側へ流出させる油流出部とを備えた油供給溝を有する。

Description

本発明は、例えば空気調和装置や冷凍装置に採用される冷凍サイクルの構成要素として使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
従来のスクロール圧縮機は、揺動スクロールと固定スクロールは互いに概ね対称形状の渦巻体をそれぞれ有しており、揺動スクロールと固定スクロールとは冷媒を吸入する冷媒吸入口を備えたフレームに収納されている。そして、フレーム内において揺動スクロールが揺動運動を行うことにより、冷媒吸入口から吸入された冷媒が圧縮される。この際、揺動スクロールはスラスト軸受面において摺動しながら揺動運動するものであり、揺動スクロールの摺動性を改善するために、揺動スクロールとフレームとの間にはスラストプレートが配置されている。
このようなスクロール圧縮機において、各摺動部位の摺動抵抗を軽減するために、各摺動部位には潤滑油が流通するようになっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、低速回転時に、揺動スクロールと固定スクロールとの渦巻体同士の摺動性の改善及びシール性の向上による冷媒漏れ損失の低減を目的として、揺動スクロールのスラスト軸受面に油供給穴が設けられているとともに、スラストプレートに給油穴が設けられており、油供給穴から給油穴へ間欠的に給油を行うことで渦巻部への必要給油量を確保するスクロール圧縮機が開示されている。
特開2013−133715号公報(第14頁、第5図)
特許文献1の構成を採用すれば、スクロール圧縮機の低速回転時における必要給油量を確保できる。しかしながら、高速回転時における給油量が過大となり、油上がり量の増加に伴い冷凍能力低下及び性能低下を招いてしまう。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、低速回転時のみならず高速回転時においても適切な給油量で潤滑油を圧縮機構に供給することができるスクロール圧縮機を提供することを目的とするものである。
本発明のスクロール圧縮機は、固定側渦巻体を有する固定スクロールと、固定スクロールの固定側渦巻体に組み合わされる揺動側渦巻体を有する揺動スクロールと、揺動スクロールの下面を揺動可能に支持するスラストプレートと、揺動スクロール及びスラストプレートを収容するとともに、固定スクロールを固定するフレームとを備え、固定スクロールと揺動スクロールとの間に圧縮する作動流体を吸入するための圧縮室が形成されているスクロール圧縮機であって、揺動スクロールは、スラストプレートと摺動する摺動面に設けられ、潤滑油が供給される油供給溝を備え、スラストプレートは、揺動スクロールと摺動する面から圧縮室へ通じるように形成された給油穴を有し、油供給溝は、潤滑油が流入する油流入部と、一方側が油流入部に通じており、油流入部から揺動スクロールの回転方向へ延びる油流通部と、油流通部の他方側に通じており、給油穴上に位置したときに油流通部を通った潤滑油を給油穴側へ流出させる油流出部とを備えたものである。
本発明のスクロール圧縮機によれば、油供給溝において油流入部と油流出部との間に揺動スクロールの回転方向へ延びる油流通部が形成されていることにより、回転速度に応じて油流通部における潤滑油の移動が制限させるため、低速回転時の必要給油量を確保しながら、高速回転時の給油量増加を防止して油上がり量を抑制でき、どのような回転速度であっても冷凍能力向上及び性能向上を図ることができる。
本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の断面構成例を示す縦断面図である。 図1のスクロール圧縮機におけるスラストプレートの一例を示す平面図である。 図1のスクロール圧縮機における揺動スクロールのスラスト軸受面の一例を示す平面図である。 図1のスクロール圧縮機において揺動スクロールが回転した際の給油穴と油供給溝との位置関係を示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機におけるスラストプレートの一例を示す平面図である。 本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機におけるスラスト軸受面の一例を示す平面図である。
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら本発明のスクロール圧縮機について詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機の断面構成例を示す縦断面図であり、図1を参照してスクロール圧縮機1について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。図1のスクロール圧縮機1は、冷凍サイクルを循環する冷媒を吸入し、圧縮して高温高圧の状態として吐出させるものであり、たとえば冷蔵庫や冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置、給湯器等の各種産業機械に用いられる冷凍サイクルの構成要素の1つとなるものである。
スクロール圧縮機1は、密閉容器2、固定スクロール3、揺動スクロール4、フレーム5、スラストプレート6等を備えている。また、スクロール圧縮機1は、密閉容器2内に収容されたモータ等からなる回転駆動部10を備えている。スクロール圧縮機1は、密閉容器2内において固定スクロール3及び揺動スクロール4が上側に配置され、回転駆動部10が下側に配置されたいわゆる縦型のスクロール圧縮機について例示している。
密閉容器2は、内部に密閉空間を形成するものであり、センターシェル2aと、センターシェル2aの上部に設けられたアッパーシェル2bと、センターシェル2aの下部に設けられたロアシェル2cとを有している。センターシェル2aには、圧縮する冷媒ガス等の作動流体を吸入するための吸入パイプ2dが接続されている。アッパーシェル2bには、圧縮後の冷媒ガス等の作動流体を吐出するための吐出パイプ2eが接続されている。また、センターシェル2aの内部は低圧室2lになっており、アッパーシェル2bの内部は高圧室2hになっている。センターシェル2aの上部側にはフレーム5が固定されており、下部側には主軸8を保持するサブフレーム9が固定されている。ロアシェル2cは潤滑油を貯留する油溜めになっている。
固定スクロール3は、固定側台板3aと、固定側台板3aの一方の面に設けられた渦巻状突起である固定側渦巻体3bとを備えている。固定側台板3aはフレーム5の上側にボルト等によって固定されており、固定側台板3aの中央部には、圧縮され高圧になった冷媒ガス等の作動流体を吐出する吐出口3cが形成されている。また、吐出口3c上には高圧室2hから吐出口3c側へ冷媒が逆流するのを防止するための吐出弁16が設けられている。
揺動スクロール4は、揺動側台板4aと、揺動側台板4aの一方の面に設けられた渦巻状突起である揺動側渦巻体4bとを備えている。揺動側台板4aはフレーム5内に揺動可能に支持されている。すなわち、揺動スクロール4の他方の面はフレーム5に摺動するスラスト軸受面4cとして作用し、運転中に生じる荷重がスラスト軸受面4cを介してフレーム5において支持される。揺動側渦巻体4bは、固定側渦巻体3bと実質的に同一形状を有しており、固定側渦巻体3bに組み合わされて揺動側渦巻体4bと固定側渦巻体3bとを互いに組み合わされた状態でフレーム5内に収納されている。また、揺動スクロール4は、他方の面(スラスト軸受面4c側)の中心部に中空円筒形状のボス部4dを有している。ボス部4dには、主軸8の上端に設けられた偏心軸部8aが挿入される。そして、揺動スクロール4は、主軸8が回転した際に固定スクロール3に対して公転運動を行う。
固定スクロール3と揺動スクロール4とが組み合わされた状態では、固定側渦巻体3bと揺動側渦巻体4bの巻方向が互いに逆となる。そして、揺動側渦巻体4bと固定側渦巻体3bとの間に圧縮室30が形成されている。なお、固定スクロール3及び揺動スクロール4には、固定側渦巻体3b及び揺動側渦巻体4bの先端面からの冷媒漏れを低減するため、固定側渦巻体3b及び揺動側渦巻体4bの先端面にそれぞれシール25、26が設けられている。
フレーム5は、揺動スクロール4と固定スクロール3とを収納するものであり、密閉容器2の上部に固定されている。フレーム5には、吸入パイプ2dから吸入した冷媒を流入させるための冷媒吸入口が設けられている。また、フレーム5は主軸8の上部を回転可能に支持する主軸受20を有している。
スラストプレート6は、フレーム5と揺動スクロール4のスラスト軸受面4cの間に設けられており、例えば円環状に形成されボス部4dが挿入される穴を有している(図2参照)。スラストプレート6は、揺動スクロール4がフレーム5に公転運転する際に、スラスト軸受面4cの摺動性を改善するものであり、揺動スクロール4はスラストプレート6を介してフレーム5に軸方向に支持された状態になっている。
オルダムリング7は、揺動スクロール4とフレーム5との間に配置されており、揺動スクロール4の自転運動を規制しながら主軸8の回転力を揺動スクロール4に伝達するものである。オルダムリング7は、揺動スクロール4に対向する面側に突出した1対の第1オルダムキー7aと、フレーム5に対向する面側に突出した1対の第2オルダムキー7bとを有している。そして、第1オルダムキー7aが揺動スクロール4側に嵌り込み、第2オルダムキー7bはフレーム5側に嵌り込む。
具体的には、揺動スクロール4のスラスト軸受面4cには、第1オルダムキー7aを挿入するための径方向に延びる第1オルダムキー溝4e(図3参照)が設けられている。また、フレーム5側には、第2オルダムキー7bを挿入するための径方向に延びる第2オルダムキー溝5aが形成されている。第1オルダムキー溝4eと第2オルダムキー溝5aとは、例えば位相が90°ずれた位置に径方向に延びて形成されている。同様に、第1オルダムキー7aと第2オルダムキー7bとは、例えば位相が90°ずれた位置に設けられている。そして、第1オルダムキー7aは第1オルダムキー溝4eに径方向に移動可能に嵌め合わされ、第2オルダムキー7bが第2オルダムキー溝5aに径方向に移動可能に嵌め合わされる。すると、第1オルダムキー7a及び第2オルダムキー7bが、それぞれ第1オルダムキー溝4e及び第2オルダムキー溝5a内を進退し、揺動スクロール4の自転運動を規制しながら回転駆動部10の回転力を公転する揺動スクロール4に伝達する。
主軸8は、密閉容器2内において、上部がフレーム5に設けられた主軸受20によって回転自在に支持されており、主軸8の下部は副軸受21によって回転自在に支持されている。なお、副軸受21は、密閉容器2の下部に設けられたサブフレーム9の中央部に形成された軸受収納部に圧入され固定されている。主軸8の上端には偏心軸部8aが主軸8に対し偏心した状態で取付けられており、偏心軸部8aには揺動スクロール4のボス部4dが公転運動可能に設けられている。
また、サブフレーム9には、容積型のオイルポンプ15が設けられている。オイルポンプ15は、ロアシェル2cに貯留された潤滑油を吸引し、主軸8の内部に形成された油供給路8bを介して各摺動部に送るものである。なお、揺動スクロール4のボス部4dの外周側とフレーム5との間には、油供給路8bに通じる空間である油供給室31が形成されており、油供給室31には油供給路8bから供給される潤滑油が供給される。また、油供給室31は揺動スクロール4の第1オルダムキー溝4eに通じており、油供給室31の潤滑油は第1オルダムキー溝4eに供給される。
また、主軸8には、揺動スクロール4が揺動することにより生じるアンバランスを相殺するための第1バランスウェイト13及び第2バランスウェイト14が設けられている。第1バランスウェイト13は主軸8の上部に焼き嵌めによって固定され、第2バランスウェイト14は主軸8の下部に回転子12と一体的に固定される。
回転駆動部10は、例えばモータからなっており、密閉容器2に固定された固定子11と、主軸8に固定された回転子12とを備えている。固定子11及び回転子12は、例えば第1バランスウェイト13の下部に配置されている。固定子11は、例えばコイルが巻線されたものであって、センターシェル2aに焼き嵌め固定されている。この固定子11には、センターシェル2aに設けられた電源端子19を介して電力が供給される。回転子12は、例えば永久磁石を有するものであり、主軸8に焼き嵌め固定されている。そして、固定子11へ通電が開始されることにより、回転子12及び主軸8が回転するようになっている。
次に、図1を参照してスクロール圧縮機1の動作について説明する。外部から電源端子19に電力が供給された際、固定子11のコイルに電流が流れ磁界が発生する。この磁界は、回転子12を回転させるように働いて回転子12にトルクが発生し、回転子12及び主軸8が回転駆動する。主軸8が回転駆動すると偏心軸部8aから揺動スクロール4へ回転力が伝達され、揺動スクロール4がオルダムリング7により自転運動を規制されながら公転運動を行う。なお、回転子12が回転する際、第1バランスウェイト13及び第2バランスウェイト14により揺動スクロール4の偏心公転運動に対するバランスが保たれている。
一方、冷媒ガス等の作動流体は、吸入パイプ2dを介して密閉容器2内に流入される。この冷媒ガス等の作動流体の一部は、圧縮室30内へ流れて圧縮過程が開始される。この際、揺動スクロール4の公転運動により圧縮室30は揺動スクロール4の中心へ移動して体積が縮小されていき、圧縮室30に吸入された冷媒ガスは圧縮されていく。圧縮された冷媒は固定スクロール3の吐出口3cを通り、吐出弁16を押し開けて高圧室2hに流入する。そして、吐出パイプ2eを介して密閉容器2から吐出される。なお、冷媒ガスの残りの一部は、固定子11の鋼板の切り欠き(図示せず)を通って回転駆動部10及び潤滑油を冷却する。
この際、スラスト軸受面4cを支持するフレーム5が圧縮室30内の冷媒ガスの圧力により発生するスラスト軸受面4cへの荷重を受けている。また、第1バランスウェイト13と第2バランスウェイト14に生じる遠心力及び作動流体からの荷重は、主軸受20及び副軸受21で受けている。さらに、低圧室2l内の低圧冷媒ガスと高圧室2h内の高圧作動流体とは、固定スクロール3及びフレーム5により仕切られており、気密性が保たれている。
また、スクロール圧縮機1が動作する際、部品同士が摺動する摺動部位に潤滑油が供給される。具体的には、ロアシェル2cに貯留されている潤滑油はオイルポンプ15により主軸8の下部から上側へ流れ、主軸8の上端から主軸8と揺動スクロール4のボス部4dとの間に供給される。そして、潤滑油は、主軸8と揺動スクロール4のボス部4dとの摺動部分を潤滑しながら、ボス部4dの外周側の空間にある油供給室31に流れる。油供給室31の潤滑油のうち一部の潤滑油は、第1オルダムキー溝4e、スラストプレート6及び揺動スクロール4内を通り圧縮室30へ供給される。一方、残りの一部の潤滑油は、図示しない排油穴を通り、フレーム5の外側に排出されてロアシェル2cに戻る。
圧縮室30に流入した潤滑油は、圧縮室30の作動流体と混合する。そして、圧縮室30で作動流体と混合した潤滑油は、固定側渦巻体3b及び揺動側渦巻体4bとの摺動部位に付着し、圧縮室30の気密性を向上させるとともに摩耗を抑制する。
このように、潤滑油は、固定スクロール3と揺動スクロール4との潤滑部位を潤滑するために、スラストプレート6及び揺動スクロール4を介して圧縮室30内へ流入される。この際、圧縮室30内へ流入される潤滑油の給油量が足りない場合には摩耗等による不具合が生じてしまい、給油量が過多の場合にはスクロール圧縮機1としての性能低下を招いてしまう。そこで、スクロール圧縮機1は適切な給油量の潤滑油を圧縮室30に供給する構造を有している。
図2は図1のスクロール圧縮機におけるスラストプレートの一例を示す平面図である。図2に示すように、スラストプレート6には給油穴6aが形成されており、給油穴6aは圧縮室30(図1参照)に通じている。したがって、給油穴6aに潤滑油が供給された際には圧縮室30に潤滑油が供給される。給油穴6aは、スラストプレート6の外周側に設けられており、揺動スクロール4が公転運動した際に所定の回転期間において揺動スクロール4から露出するようになっている。揺動スクロール4から露出する回転期間において、給油穴6aには潤滑油が油供給室31から直接供給される。なお、潤滑油が直接供給される回転期間は給油穴6aの形成位置に依存し、例えば給油穴6aがスラストプレート6の外周側に形成されているほど、給油穴6aに潤滑油が直接供給される回転期間は長くなる。この給油穴6aの形成位置は必要に応じて適宜設定することができる。
図3は図1のスクロール圧縮機におけるスラスト軸受面の一例を示す平面図である。図3に示すように、スラスト軸受面4cには油供給溝40が形成されている。油供給溝40は、油流入部41、油流通部42、油流出部43を備えている。油流入部41は、潤滑油が流入する部位であって、例えば揺動スクロール4側の第1オルダムキー溝4eに接続されている。そして、油流入部41には第1オルダムキー溝4e内に充填されている潤滑油が流入される。
油流通部42は、一方側が油流入部41に通じており、油流入部41から揺動スクロール4の回転方向(矢印R方向)へ向かって延びるように形成されている。ここで、油流通部42は、例えば円弧状に形成されており、この円弧形状は、揺動スクロール4の回転軌道に沿った形状を有している。揺動スクロール4が揺動運動している際、油流通部42を流れる潤滑油は相対的に揺動運動の回転方向(矢印R方向)への流れが阻害される。
油流出部43は、油流通部42の他方側に通じており、油流通部42を通った潤滑油を給油穴6aへ流出させるものである。油流出部43は、例えば円弧形状の油流通部42の先端部分に設けられている。言い換えれば、油流出部43は、油流入部41よりも回転方向(矢印R方向)側に設けられている。そして、油流出部43が給油穴6a上に位置した際に、油流通部42を流通する潤滑油が給油穴6aへ供給される。ここで、油供給溝40は、揺動スクロール4が1回揺動運動するうち所定の回転期間において、油流出部43が給油穴6a上に位置するように形成されている。
図4は図1のスクロール圧縮機において揺動スクロールが回転した際の給油穴と油供給溝との位置関係を示す模式図である。なお、図4において、揺動スクロール4の所定の回転位置を回転期間θ=0°とし、揺動スクロール4が45°ずつ回転した状態を示している。はじめに、回転期間θ=0°〜45°の回転期間において、給油穴6a上に油供給溝40の油流出部43が位置している。よって、油供給溝40から給油穴6aに潤滑油を供給することが可能な状態になる。ここで、上述のように、油流通部42を流れる潤滑油は、揺動スクロール4の揺動運動により、油流出部43側への移動が阻害される。さらに、揺動スクロール4の回転が速くなるほど潤滑油は油流出部43側に流れにくくなる。したがって、揺動スクロール4の回転速度によっては、油流出部43が給油穴6a上に位置していても、潤滑油が給油穴6aに供給されない回転期間になる。
回転期間θ=45°〜90°において、給油穴6a上に油供給溝40の油流出部43が位置しておらず、給油穴6aが揺動スクロール4に塞がれている。よって、給油穴6aには潤滑油が流れず、圧縮室30に潤滑油が供給されない。回転期間θ=90°〜225°において、給油穴6aが揺動スクロール4の外側に位置して露出している。このため、給油穴6aには油供給溝40を介さずに油供給室31から直接潤滑油が供給される。
回転期間θ=225°〜315°において、給油穴6a上に油供給溝40の油流出部43が位置しておらず、給油穴6aが揺動スクロール4に塞がれている。よって、給油穴6aには潤滑油が流れず、圧縮室30に潤滑油が供給されない。そして、回転期間θ=315°〜0°の回転期間において、再び給油穴6a上に油供給溝40の油流出部43が位置し、油供給溝40から給油穴6aに潤滑油を供給することが可能な状態になる。
このように、揺動スクロール4が1回転する期間において、潤滑油が油供給溝40から給油穴6aに供給される回転期間と、潤滑油が給油穴6aに供給されない回転期間と、潤滑油が油供給溝40を介さずに給油穴6aに直接供給される回転期間とが存在する。したがって、給油穴6aには間欠的に潤滑油が供給されることになる。さらに、潤滑油が油供給溝40から給油穴6aに供給される回転期間において、潤滑油が油流出部43側に流れて給油穴6aに供給されるか否かは、揺動スクロール4の回転速度に依存する。
スクロール圧縮機1の低速回転時においては、揺動スクロール4が1回転するのに必要な時間が高速回転時に比べて長い。よって、揺動スクロール4の油供給溝40を介してスラストプレート6の給油穴6aに油を供給される時間が充分に有り、かつ、揺動スクロール4の回転速度が遅い。このため揺動スクロール4の回転軌道による油供給溝40(油流通部42)内の油の流れを妨げる効果が低く、揺動スクロール4の油供給溝40を介してスラストプレート6の給油穴6aへ油が供給される。
一方、スクロール圧縮機1の高速回転時においては、揺動スクロール4が1回転するのに必要な時間が低速回転時に比べて短い。よって、揺動スクロール4の油供給溝40を介してスラストプレート6の給油穴6aに油を供給される時間が充分に無く、かつ、スクロールの回転速度が速い。このため、揺動スクロール4の回転軌道による油供給溝40(油流通部42)内の油の流れを妨げる効果が高く、揺動スクロール4の油供給溝40を介してスラストプレート6の給油穴6aへ油が供給されない。
このように、油供給溝40に揺動スクロール4の回転方向に延びる油流通部42が形成されていることにより、低速回転時の必要給油量を確保しながら、高速回転時の給油量の増加を防止し、油上がり量を抑制できるため、冷凍能力の向上及び性能の向上を図ることができる。すなわち、従来のように、揺動スクロール4のスラスト軸受面4cに油供給穴が設けられるとともに、スラストプレート6に給油穴が設けられている場合、スクロール圧縮機の低速回転時に摺動性改善及びシール性向上による冷媒漏れ損失を低減させることができる。しかしながら、回転速度が大きくなるほど給油量が増加してしまうため、高速回転時においては給油量が過大になる。その結果、高速回転時に油上がり量が増加してしまい、冷凍能力低下及び性能低下を招いてしまう。
一方、上述したスクロール圧縮機1においては、給油穴6aと油供給溝40が、揺動スクロール4が1回転する回転期間のうち所定の回転期間で位置が重複するよう配置され、この位置が重複している回転期間においても揺動スクロール4の回転軌道が油供給溝40内の油の流れを妨げるように構成されている。したがって、高速回転時に過剰に潤滑油が圧縮機構に供給されることがなく、油上がり量を抑制することができる。
また、揺動スクロール4の回転期間において、給油穴6aが露出する期間が設けられていることにより、高速回転時であっても給油穴6aから潤滑油が供給されるため、潤滑油が不足することによる不具合の発生を防止することができる。
さらに、油供給溝40の油流出部43が、揺動スクロール4が揺動運動した際の所定の回転期間において、給油穴6a上に位置するように形成されている場合、低速回転時において油供給溝40から給油穴6aへ潤滑油を供給することができるため、低速回転時において潤滑油が不足することを防止することができる。
また、図3に示すように、油流通部42が、円弧状に形成され、特に揺動スクロール4の回転軌道に沿って形成されている場合、油流通部42内における潤滑油の移動をより効率的に規制することができる。
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機におけるスラストプレートの一例を示す平面図、図6は本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機におけるスラスト軸受面の一例を示す平面図であり、図5及び図6を参照してスクロール圧縮機の実施の形態2について説明する。なお、図5及び図6において、図2及び図3と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
図5及び図6のスラストプレート6の給油穴6aと揺動スクロール4の油供給溝40が、それぞれ2個ずつ設けられている。この2つの給油穴6aと油供給溝40とは、それぞれ例えば回転対称になる位置に形成されている。
上記実施の形態2によれば、油供給溝40及び給油穴6aが2つ設けられていることにより、圧縮室30への給油量を増加させることができるため、低速回転時の必要給油量が確保できない場合等の必要に応じて必要給油量を確保することができる。この場合であっても、実施の形態1と同様、高速回転時に過剰な潤滑油が供給されることによる油上がり量の増加及び性能低下を抑制することができる。
本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。たとえば、上記実施の形態1、2において、揺動スクロール4の油供給溝40が円弧形状で構成されている場合について説明したが、この形状に限定されるものではなく、回転方向(矢印R方向)へ向かって延びているものであればよい。言い換えれば、油流通部42は、油供給溝40における油流入部41から油流出部43までの潤滑油の流れが揺動スクロール4の回転軌道に妨げられるものであれば、例えば直線形状、楕円形状もしくは多角形状等のどのような形状でもよい。また、実施の形態2において、2つの油供給溝40及び給油穴6aが設けられている場合について例示しているが、3つ以上設けられていてもよい。
さらに、図3において、油供給溝40が第1オルダムキー溝4eに通じており、潤滑油が第1オルダムキー溝4eを介して油供給溝40に供給される場合について例示しているが、潤滑油が油供給溝40に供給される経路が形成されていればこの形状に限定されない。例えば油供給溝40と第1オルダムキー溝4eがそれぞれ独立して形成されており、油供給室31から油供給溝40へ第1オルダムキー溝4eを介さずに直接潤滑油が供給されるように形成されていてもよい。
1 スクロール圧縮機、2 密閉容器、2a センターシェル、2b アッパーシェル、2c ロアシェル、2d 吸入パイプ、2e 吐出パイプ、2h 高圧室、2l 低圧室、3 固定スクロール、3a 固定側台板、3b 固定側渦巻体、3c 吐出口、4 揺動スクロール、4a 揺動側台板、4b 揺動側渦巻体、4c スラスト軸受面、4d ボス部、4e 第1オルダムキー溝、5 フレーム、5a 第2オルダムキー溝、6 スラストプレート、6a 給油穴、7 オルダムリング、7a 第1オルダムキー、7b 第2オルダムキー、8 主軸、8a 偏心軸部、8b 油供給路、9 サブフレーム、10 回転駆動部、11 固定子、12 回転子、13 第1バランスウェイト、14 第2バランスウェイト、15 オイルポンプ、16 吐出弁、19 電源端子、20 主軸受、21 副軸受、25、26 シール、30 圧縮室、31 油供給室、40 油供給溝、41 油流入部、42 油流通部、43 油流出部、θ 回転期間。
また、サブフレーム9には、容積型のオイルポンプ15が設けられている。オイルポンプ15は、ロアシェル2cに貯留された潤滑油を吸引し、主軸8の内部に形成された油供給路8bを介して各摺動部に送るものである。なお、揺動スクロール4のボス部4dの外周側とフレーム5との間には、油供給路8bに通じる空間である油溜り空間31が形成されており、油溜り空間31には油供給路8bから供給される潤滑油が供給される。また、油溜り空間31は揺動スクロール4の第1オルダムキー溝4eに通じており、油溜り空間31の潤滑油は第1オルダムキー溝4eに供給される。
また、スクロール圧縮機1が動作する際、部品同士が摺動する摺動部位に潤滑油が供給される。具体的には、ロアシェル2cに貯留されている潤滑油はオイルポンプ15により主軸8の下部から上側へ流れ、主軸8の上端から主軸8と揺動スクロール4のボス部4dとの間に供給される。そして、潤滑油は、主軸8と揺動スクロール4のボス部4dとの摺動部分を潤滑しながら、ボス部4dの外周側の空間にある油溜り空間31に流れる。油溜り空間31の潤滑油のうち一部の潤滑油は、第1オルダムキー溝4eへ供給される。一方、残りの一部の潤滑油は、図示しない排油穴を通り、フレーム5の外側に排出されてロアシェル2cに戻る。
図2は図1のスクロール圧縮機におけるスラストプレートの一例を示す平面図である。図2に示すように、スラストプレート6には給油穴6aが形成されており、給油穴6aは圧縮室30(図1参照)に通じている。したがって、給油穴6aに潤滑油が供給された際には圧縮室30に潤滑油が供給される。給油穴6aは、スラストプレート6の外周側に設けられており、揺動スクロール4が公転運動した際に所定の回転期間において揺動スクロール4から露出するようになっている。この給油穴6aの形成位置は必要に応じて適宜設定することができる。
図4は図1のスクロール圧縮機において揺動スクロールが回転した際の給油穴と油供給溝との位置関係を示す模式図である。なお、図4において、揺動スクロール4の所定の回転位置を回転期間θ=0°とし、揺動スクロール4が45°ずつ回転した状態を示している。はじめに、回転期間θ=0°〜135°の回転期間において、給油穴6a上に油供給溝40の油流出部43が位置している。しかし、油流通部42が油溜り空間31とつながっており、油流通部42から油溜り空間31へ潤滑油が流出する。このため、給油穴6aに潤滑油は供給されず、圧縮室30へ潤滑油は供給されない。
回転期間θ=135°〜180°付近において、給油穴6aが揺動スクロール外周から露出し、給油穴6aに油が充填されている場合は、給油穴6aに充填されている油が潤滑油として圧縮室30に供給される。
回転期間θ=180°〜315°において、油流通部42は油溜り空間31とつながっておらず、第1オルダムキー溝4eを介して、油流入部41に流入した潤滑油が油流通部42を流れる。また、このとき油流通部42を移動する潤滑油の移動方向が揺動スクロール4の回転方向が概ね一致するため、相対的に油流出部43へ向かう油の流れが阻害される。そして、回転期間θ=315°付近において、再び給油穴6a上に油供給溝40の油流出部43が位置し、油流出部43と給油穴6aがつながっており、油流通部42を通り、油流出部43まで潤滑油が到達している場合は、油流出部43から給油穴6aに潤滑油が充填される。
このように、揺動スクロール4が1回転する期間において、潤滑油が油供給溝40から給油穴6aに供給されない回転期間と、潤滑油が給油穴6aに供給され回転期間と、潤滑油が給油穴6aを介して圧縮室30に供給される回転期間とが存在する。したがって、給油穴6aには間欠的に潤滑油が供給されることになる。さらに、潤滑油が油供給溝40から給油穴6aに供給される回転期間において、潤滑油が油流出部43側に流れて給油穴6aに供給されるか否かは、揺動スクロール4の回転速度に依存する。
さらに、図3において、油供給溝40が第1オルダムキー溝4eに通じており、潤滑油が第1オルダムキー溝4eを介して油供給溝40に供給される場合について例示しているが、潤滑油が油供給溝40に供給される経路が形成されていればこの形状に限定されない
1 スクロール圧縮機、2 密閉容器、2a センターシェル、2b アッパーシェル、2c ロアシェル、2d 吸入パイプ、2e 吐出パイプ、2h 高圧室、2l 低圧室、3 固定スクロール、3a 固定側台板、3b 固定側渦巻体、3c 吐出口、4 揺動スクロール、4a 揺動側台板、4b 揺動側渦巻体、4c スラスト軸受面、4d ボス部、4e 第1オルダムキー溝、5 フレーム、5a 第2オルダムキー溝、6 スラストプレート、6a 給油穴、7 オルダムリング、7a 第1オルダムキー、7b 第2オルダムキー、8 主軸、8a 偏心軸部、8b 油供給路、9 サブフレーム、10 回転駆動部、11 固定子、12 回転子、13 第1バランスウェイト、14 第2バランスウェイト、15 オイルポンプ、16 吐出弁、19 電源端子、20 主軸受、21 副軸受、25、26 シール、30 圧縮室、31 油溜り空間、40 油供給溝、41 油流入部、42 油流通部、43 油流出部、θ 回転期間。

Claims (7)

  1. 固定側渦巻体を有する固定スクロールと、前記固定スクロールの前記固定側渦巻体に組み合わされる揺動側渦巻体を有する揺動スクロールと、前記揺動スクロールの下面を揺動可能に支持するスラストプレートと、前記揺動スクロール及びスラストプレートを収容するとともに、前記固定スクロールを固定するフレームとを備え、前記固定スクロールと前記揺動スクロールとの間に圧縮する作動流体を吸入するための圧縮室が形成されているスクロール圧縮機であって、
    前記揺動スクロールは、前記スラストプレートと摺動する摺動面に設けられ、潤滑油が供給される油供給溝を備え、
    前記スラストプレートは、前記揺動スクロールと摺動する面から前記圧縮室へ通じるように形成された給油穴を有し、
    前記油供給溝は、
    潤滑油が流入する油流入部と、
    一方側が前記油流入部に通じており、前記油流入部から前記揺動スクロールの回転方向へ延びる油流通部と、
    前記油流通部の他方側に通じており、前記給油穴上に位置したときに前記油流通部を通った潤滑油を前記給油穴側へ流出させる油流出部と
    を備えたスクロール圧縮機。
  2. 前記油供給溝の油流出部は、前記揺動スクロールが揺動運動した際の所定の回転期間において、前記給油穴上に位置するように形成されている請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記油流通部は、円弧状に形成されている請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記油流通部は、前記揺動スクロールの回転軌道に沿って形成されている請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記フレームと前記揺動スクロールの間に設けられ、前記揺動スクロールの自転運動を規制するオルダムリングをさらに備え、
    前記オルダムリングは、前記揺動スクロール側に突出したオルダムキーを備え、
    前記揺動スクロールは、前記オルダムキーが嵌め込まれるオルダムキー溝を有し、
    前記油流入部は、前記オルダムキー溝に通じており、前記オルダムキー溝内の潤滑油が流入されるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記スラストプレートの前記給油穴及び前記揺動スクロールの前記油供給溝は、それぞれ複数個設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記スラストプレートの前記給油穴及び前記揺動スクロールの前記油供給溝は、それぞれ2個設けられている請求項6に記載のスクロール圧縮機。
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