JPWO2015159942A1 - アニオン性薬物含有医療用デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、従来技術に比して、薬物の内包量を増加させるとともに、ゲル強度及び薬物放出後の形状安定性に対する影響を低減させることを可能とする高分子ゲルを応用した薬物含有医療用デバイスを提供することにある。上記目的は、(1)アニオン性薬物;及び(2)構成成分として、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物又はその塩を含むカチオン性モノマーと、これらと共重合可能なモノマーとを含む共重合体を含む、アニオン性薬物含有医療用デバイスにより解決される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年4月17日出願の日本特願2014−085664号の優先権を主張し、その全記載はここに開示として援用される。
本発明は、アニオン性薬物含有医療用デバイスに関する。
緑内障やドライアイなどに代表される眼障害の治療法として、硝子体注射、涙点プラグの挿入、薬剤投与などが挙げられる。硝子体注射や涙点プラグの挿入は、侵襲性の治療法であるために、痛みや異物感を伴うという問題がある。また、薬剤投与については、薬剤の量や投与方法によっては所期の効果が得られないという問題がある。そこで、治療効果のある薬剤投与について種々の試みがなされている。
点眼により薬物を投与する場合、点眼液中の薬物は涙液によって希釈され速やかに涙道より排泄される。そこで、薬物の有効濃度を維持するために、点眼液中の薬物を高用量とするか、点眼液の頻度を増やさなければならず、いずれにしても治療者にとって負担が大きい。
また、コンタクトレンズ装用者への点眼による薬物の投与は、コンタクトレンズに対して歪みや変質などの悪影響を与える可能性があることや、市販されている点眼薬の多くに添加されている防腐剤がコンタクトレンズ内部に取り込まれることによりアレルギーを引き起こす危険性がある。したがって、点眼による薬物治療はコンタクトレンズ装用者には適していない。
そこで、コンタクトレンズ装用者が安全、かつ、簡便に治療が行えるように、予め治療用薬物を含有させたコンタクトレンズを装用することで、眼部組織に薬物を送達させる、いわゆるドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いる技術が開示されている。
治療用薬物を含有するコンタクトレンズとして応用可能な高分子ゲルとして、4級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子ゲルにアニオン性薬物を吸着保持する高分子ゲル(下記特許文献1を参照、該文献の全記載はここに開示として援用される)や、ハイドロゲルの構成成分であるアニオン性モノマーとカチオン性モノマーとのモル比に偏りを設け、余剰のカチオン性モノマーにアニオン性薬物をイオン結合する高分子ゲル(下記特許文献2を参照、該文献の全記載はここに開示として援用される)が知られている。
特開平06−145456号公報 特開2004−307574号公報
特許文献1及び2に記載の高分子ゲルは、高分子ゲル基材の構成成分としてカチオン性基を有するカチオン性モノマーを配合し、当該カチオン性基にアニオン性の治療用薬物をイオン結合により結合することにより構成される。当該高分子ゲルでは、高分子ゲルに内包する治療用薬物の量を増加させるためには、カチオン性モノマーの配合量を増加させなければならない。
しかし、一般的なカチオン性モノマーは極めて高い含水性を有しているために、カチオン性モノマーの配合量を増やすことによって、得られる高分子ゲルの含水率が上昇する。しかし、高分子ゲルの強度は、含水率の上昇に伴い低下する。結果として、カチオン性モノマーの配合量を増加させて薬物内包量を増加させると、含水率の上昇に伴って高分子ゲルの強度が低下するという問題が生じる。この問題について、例えば、特許文献1の段落0015には、カチオン性モノマーは主としてゲルを構成するモノマー総重量に対して最大でも5モル%しか添加することができず、それ以上添加することにより、得られる高分子ゲルの機械的強度は低下することが記載されている。
さらには、内包する薬物を放出した後の高分子ゲルは形状不良を発生しやすい。例えば、特許文献1に記載の高分子ゲルの構成においては、薬物放出前の形状は、高分子ゲル基材と薬物との相互作用によって安定しているが、薬物の放出後は、その相互作用が失われることによって形状は悪化する。特に、カチオン性モノマーの配合量が大きい場合には、薬物放出後の形状悪化は顕著に表れる。
特許文献2に記載の高分子ゲルは、構成成分としてカチオン性モノマーに加え、アニオン性モノマーを有する。当該高分子ゲルについて、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーとが静電相互作用により結合し、かつ、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーとの配合比に大きな片寄りがないことから、内包した薬物を放出した後も高分子ゲルの形状が悪化することはない。しかし、薬物の内包量を増加させるために、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーとの配合比の片寄りを大きくした場合、薬物の放出後に形状が悪化する可能性があるので、配合できるアニオン性モノマー量及びカチオン性モノマー量には制限がある。したがって、特許文献2に記載の高分子ゲルは、内包できる薬物量が制限されるという問題がある。
以上の通り、特許文献1及び2に記載の高分子ゲルは、薬物の内包量が制限されたものであり、仮に薬物の内包量を多くしようとした場合には、ゲル強度の低下、薬物放出後の形状安定性の低下などの問題が発生する可能性があるものである。
そこで、本発明者らは、特許文献1及び2に記載の高分子ゲルに比して、薬物の内包量を増加させるとともに、ゲル強度及び薬物放出後の形状安定性に対する影響を低減させることを可能とする高分子ゲル及び該高分子ゲルを応用した薬物含有医療用デバイスを提供することを、本発明が解決しようとする課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進め、カチオン性モノマーの構造と含水性及び形状安定性との関係について検討する中で、アラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物に着眼するに至った。
該縮合物は、分子内のベンゼン環の疎水性効果により、高分子ゲル基材の構成成分として高比率で配合した場合においても、得られる高分子ゲル基材の含水率の上昇を抑制することが期待できる。そこで、該縮合物をカチオン性モノマーとして使用してアニオン性薬物含有ゲルを作製したところ、特許文献1及び2に記載の高分子ゲルが有する問題であったカチオン性モノマー配合量の増加に伴う高分子ゲル基材の含水率の上昇と、これに起因すると思われる基材強度の低下を抑止することに成功した。また、親水性の薬物との反発作用により、内包した薬物の放出速度を制御できることを見出した。
さらに、驚くべきことに、該縮合物をカチオン性モノマーとして高比率で配合したとしても、薬物放出後に形状不良を引き起こさず、優れた形状安定性を示すことを見出した。本発明は、これらの成果や知見に基づき完成された発明である。
したがって、本発明によれば、(1)アニオン性薬物;及び(2)構成成分として、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物又はその塩を含むカチオン性モノマーと、これらと共重合可能なモノマーとを含む共重合体を含む、アニオン性薬物含有医療用デバイスが提供される。
本発明において、好ましくは、前記置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物が、下記一般式(I)
Figure 2015159942
(I)
(式中、
は水素原子又はCHを表わし;
〜Rは、そのうち1〜3個がそれぞれ独立して下記一般式(II)
Figure 2015159942
(II)
(式中、xは1〜3の整数を表わし;及び、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はC〜Cの直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基を表わす)
で表わされる官能基を表わし、かつ、そのうち残りの2〜0個がC〜Cの直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基を表わし;及び、
nは1〜4の整数を表わす)
で示される化合物である。
本発明において、好ましくは、前記(2)の共重合体が、構成成分として親水性モノマーをさらに含み、かつ、前記アニオン性薬物含有医療用デバイスがハイドロゲルである。
本発明において、好ましくは、前記カチオン性モノマーの配合量が、親水性モノマー1モルに対し、0.5〜20モル%である。
本発明において、好ましくは、前記アニオン性薬物が、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム又はクロモグリク酸ナトリウムである。
本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスによれば、構成成分としてアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物をカチオン性モノマーとして使用することにより、カチオン性モノマーを高比率で配合して高濃度でアニオン性薬物を内包させたとしても、ゲル基材の強度を低下させることなく、かつ、内包したアニオン性薬物放出後においても形状の不良が発生しない優れた形状安定性を示すことが可能である。
したがって、本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスを使用することにより、眼疾患の治療が効果的に行え、さらにアニオン性薬物放出前後での形状変化が小さいことから、装用中の異物感や光学特性への悪影響を抑止することが期待できる。
実施例(1)〜(4)及び比較例(1)〜(4)について、カチオン性モノマーのモノマー量と薬物取込量との関係を表わしたグラフである。 実施例(1)〜(3)及び比較例(1)〜(3)について、カチオン性モノマーのモノマー量と単位カチオン性モノマーの薬物取込量との関係を表わしたグラフである。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスは、(1)アニオン性薬物及び(2)共重合体を少なくとも含む。上記(2)の共重合体は、構成成分として、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物又はその塩を含むカチオン性モノマーと、これらと共重合可能なモノマーとを少なくとも含む。
本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスは、アニオン性薬物の担持体である医療用デバイスの成分として、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物を含むカチオン性モノマーを配合することに特徴がある。置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物は疎水性効果を有することから、重合成分として高比率で配合した場合においても、医療用デバイスの含水率が著しく増加することはない。すなわち、本発明の技術的範囲はいかなる推測にも拘泥されるわけではないが、本発明の医療用デバイスは、カチオン性モノマーを高比率で有することにより、内包する薬物量が増加するにも係わらず、含水率の上昇を低減することができることから、デバイス自体の強度の低下や、内包する薬物が初期に高濃度で放出されることを抑止することが可能である。また、上記縮合物をカチオン性モノマーとして高比率で配合したとしても、薬物放出後に形状不良を引き起こさないことから、本発明の医療用デバイスは、高濃度で内包した薬物を放出した後においても、形状の変化はほとんど見られず、優れた形状安定性を示す。
本発明において使用するカチオン性モノマーは、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物又はその塩を少なくとも含む。置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物は、置換又は非置換のアラルキル基とアルキル基とからなる4級アンモニウム化合物のアルキル基の1つと、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基との間で外形上縮合した構造を形成するものであれば特に限定されない。
置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物を製造する方法は特に限定されず、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物と(メタ)アクリル酸とを縮合して製造する方法だけではなく、結果として置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物と(メタ)アクリル酸とが外形的に縮合した構造を形成するものを製造する方法であってもよい。例えば、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物の塩の具体例であるメタクリルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドは、MRCユニテック社から入手が可能であり、さらに特開2001−106732号公報(該文献の全記載はここに開示として援用される)を参照して製造することができる。
カチオン性モノマーは、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物又はその塩と、別のカチオン性基を有するモノマーとの混合物であってもよい。
置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物の具体的態様として、例えば、下記一般式(I)
Figure 2015159942
(I)
(式中、
は水素原子又はCHを表わし;
〜Rは、そのうち1〜3個がそれぞれ独立して下記一般式(II)
Figure 2015159942
(II)
(式中、xは1〜3の整数を表わし;及び、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はC〜Cの直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基を表わす)
で表わされる官能基を表わし、かつ、そのうち残りの2〜0個がC〜Cの直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基を表わし;及び、
nは1〜4の整数を表わす)
で示される化合物が挙げられる。上記一般式(I)の化合物のうち、本発明に好適に用いられるものは、例えば、Rが水素原子又はCHであり;R〜Rはそのうち1個がベンジル基であり、残りの2個がCH又はCであり;nは1〜2の整数である化合物であり、より好ましくはメタクリルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドである。
カチオン性モノマーの配合量はデバイスが一定の形状を維持できる量であれば特に限定されず、例えば、後述する第二の重合成分である親水性モノマーの配合量に対し数モル%〜数十モル%とすることができる。カチオン性モノマーの具体的な配合量は、例えば、親水性モノマー1モルに対して30モル%を超過しない範囲であることが好ましく、0.5〜20モル%(0.005〜0.2モル)の範囲であることがより好ましく、0.5〜10モル%(0.005〜0.1モル)の範囲であることがさらに好ましい。カチオン性モノマーの配合量が0.5モル%未満の場合、内包できるアニオン性薬物量が少なくなり、治療効果を有するアニオン性薬物含有医療用デバイスが構成できない可能性がある。また、カチオン性モノマーの配合量が30モル%を超過すると、得られる医療用デバイスの含水率が上昇し、形状が安定せず、さらには医療用デバイスとして使用する際の十分な強度が保てず、装用感が損なわれる可能性がある。
本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスは、カチオン性モノマーに加え、第二の重合成分として親水性モノマーを配合することにより、ハイドロゲルとすることができる。親水性モノマーとは、分子内に少なくとも1つの親水性基及び(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有する重合可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。親水性モノマーとしては、これらのうちの1種を単独で使用することができ、又は2種以上を混合して配合することができる。
親水性モノマーの配合量は、共重合して得られる重合体がハイドロゲルの形状をなすことができる量であれば特に限定されないが、例えば、全重合成分中50〜90wt%であり、好ましくは60〜80wt%である。親水性モノマーの配合量が50wt%を下回る場合、得られる医療用デバイスの軟質性が低下し、装用感が損なわれる可能性がある。また、親水性モノマーの配合量が90wt%を上回る場合、カチオン性モノマーを十分量配合できない可能性がある。
本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスの重合成分として、アニオン性薬物の涙液への流出速度を制御するために、疎水性モノマーを配合することができる。疎水性モノマーは、分子内に親水性基を有さず、かつ、1つ以上の(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有する重合可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、トリフルオロエチルメタクリレート、メタクリルアミド、シロキサニルメタクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、エチルへキシルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系モノマーや;α−モノ(メタクリロイルオキシメチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(メタクリルオキシメチル)ポリジメチルシロキサン、α−モノ(3‐メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α−モノ(3−メタクロイルオキシブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ(3−メタクリロイルオキシブチル)ポリジメチルシロキサン、α−モノビニルポリジメチルシロキサン、α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3−メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、3−メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルシロキシジメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、3−トリメチルシロキシジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、3−メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなどのシリコーン含有モノマーが挙げられる。疎水性モノマーとしては、これらのうちの1種を単独で使用することができ、又は2種以上を混合して配合することができる。
本発明の医療用デバイスにおける疎水性モノマーの配合量は特に限定されないが、例えば、全重合成分中0〜30wt%であり、好ましくは0〜20wt%である。疎水性モノマーの配合量が30wt%を上回る場合、得られる医療用デバイスの軟質性が低下し、装用感が損なわれる可能性があることから、好ましくない。
本発明の医療用デバイスの構成成分として、上記成分に加えて高分子ゲルの網目構造の形成や機械的強度を調整するために架橋性モノマーを配合することができる。架橋性モノマーは、分子内に2つ以上の(メタ)アクリル基又はビニル基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。架橋性モノマーとしては、これらのうちの1種を単独で使用することができ、又は2種以上を混合して配合することができる。
架橋性モノマーの配合量は特に限定されないが、例えば、重合成分の総モルに対して0.3〜10モル%であり、好ましくは0.7〜3モル%である。架橋性モノマーの配合量が10モル%を超える場合、得られるアニオン性薬物含有医療用デバイスとしての軟質性が低下し、装用感が損なわれる可能性があることから、好ましくない。
本発明の医療用デバイスは、当業者により知られている工程を組み合わせることで製造することができ、その製造方法は特に限定されないが、例えば、下記工程を含むことができる:
アニオン性薬物含有医療用デバイスを構成するモノマーの混合物に重合開始剤を添加し、撹拌及び溶解することによりモノマー混合液を得る工程;得られたモノマー混合液を所望の成形型に入れ、共重合反応により共重合体を得る工程;共重合体を冷却及び成形型から剥離し、必要に応じて切削、研磨した後に、成形した共重合体を水和膨潤させてハイドロゲルを得る工程;及び、得られたハイドロゲルを、薬物を溶解させた溶液中に浸漬して、ハイドロゲルの内部に薬物を保持させたアニオン性薬物含有医療用デバイスを得る工程。
重合開始剤としては、一般的なラジカル重合開始剤であるラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤;アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系重合開始剤などを単独又は二種以上を組み合わせて使用できる。重合開始剤の添加量としては、モノマーの共重合反応を促進する十分量であれば特に限定されず、例えば、重合成分のモノマー総重量に対して10〜7000ppmが好ましい。
共重合体を得る工程は、モノマー混合液を金属、ガラス、プラスチックなどの成形型に入れ、密閉し、恒温槽などで段階的又は連続的に25〜120℃の範囲で昇温し、5〜120時間で重合を完了させることにより実施できる。重合に関しては、紫外線、電子線、ガンマ線などを用いることが可能である。また、モノマー混合液に水や有機溶媒を添加することで溶液重合を適応することが可能である。
ハイドロゲルを得る工程は、重合終了後、室温に冷却し、得られた重合体を成形型から剥離し、必要に応じて切削、研磨した後に、水和膨潤させてハイドロゲルとする。使用する液体(膨潤液)としては、例えば、水、生理食塩水、等張性緩衝液などが挙げられる。膨潤液を60〜100℃に加温し、一定時間浸漬させ膨潤状態とする。また、膨潤処理時に重合体に含まれる未重合モノマーを除去することが好ましい。
アニオン性薬物含有医療用デバイスを得る工程は、上記の過程を経て得られたハイドロゲルを、アニオン性薬物を溶解させた溶液中に浸漬させ、高温高圧での蒸気滅菌処理を施すことにより行う。アニオン性薬物は、ハイドロゲルの構成成分であるカチオン性モノマーによって付与されたカチオン性基とのイオン結合によってハイドロゲル内に保持される。本工程を高温高圧条件下で行うことにより、高圧蒸気滅菌処理を兼ねることができ、結果として、本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスを安全かつ健全に装用することができるようになり、作業工程を一つ省略できるという効果を奏する。
本発明においてアニオン性薬物は、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基などのアニオン性基を有する薬物であれば特に限定されない。スルホ基を有する薬物としては、好ましくはアズレンスルホン酸ナトリウム、デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム、コンドロイチン硫酸エステルナトリウムなどが挙げられる。カルボキシル基を有する薬剤としては、好ましくはクロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸カリウム、ブロムフェナクナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、バルサルタン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、モキシフロキサシン、アンレキサノクス、プラノプロフェン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸エステルナトリウムなどが挙げられる。リン酸基を有する薬剤としては、好ましくはデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウムなどが挙げられる。本発明において、これらのアニオン性薬物の1種又は2種以上を使用することができる。
薬物を溶解させる溶媒としては特に限定されず、例えば、水、親水性溶媒、水と親水性溶媒との混合溶媒などが挙げられる。親水性溶媒としては特に限定されず、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシド、緩衝液などが挙げられる。
薬物溶液中に含有される薬物濃度は特に限定されず、例えば、薬物の溶解度、薬効が治療効果を発現するための最小有効濃度、最大安全濃度などにより、それぞれの薬物によって適宜設定できる。
本発明のアニオン性薬物含有医療用デバイスは、形状を加工することによって種々の用途に使用することが可能である。具体的には、曲率を持たせることでコンタクトレンズなどの眼用レンズとすることができる。また、強膜部分を覆うリングの形状とすれば強膜表面から後眼部組織へ薬物を効率よく送達することができる。さらに、シート状とすれば、創傷被覆材、湿布剤として利用することが可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[実施例(1)〜(8)の調製]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、HEMA1モルに対し後述する表1に示す割合のメタクリルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(MOEBAC)とを含む混合物に、モノマー総モルに対し1モル%のポリエチレングリコールジアクリレート(A−200)及びモノマーの総重量に対し3000ppm(外部)のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、撹拌混合してモノマー混合液を得た。得られたモノマー混合液を成形型に入れ、30〜110℃の範囲で17時間かけて昇温させて共重合反応に供することにより、重合体を得た。得られた重合体を室温に戻し、成形型より取出した後、60℃のエタノール含有リン酸緩衝液、次いでリン酸緩衝液中に各々1時間浸漬させ、さらに室温で純水に、2時間以上浸漬させることにより、水和膨潤したハイドロゲルを得た。得られたハイドロゲルを、実施例(1)〜(4)、(7)、(8)についてはデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(DSP)0.2wt%水溶液に、実施例(5)〜(6)についてはクロモグリク酸ナトリウム(DSCG)1.0wt%水溶液中に浸漬させた後、121℃、30分間高圧蒸気滅菌を行うことによって、実施例(1)〜(8)の定型デバイスを得た。
[比較例(1)〜(8)の調製]
MOEBACの代わりに表1に示す割合でメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)を用いたことを除いては、実施例(1)〜(8)と同様にして水和膨潤したハイドロゲルを得た。得られたハイドロゲルを、比較例(1)〜(4)、(7)についてはDSP 0.2wt%水溶液に、比較例(5)〜(6)についてはDSCG 1.0wt%水溶液中に浸漬させた後、121℃、30分間高圧蒸気滅菌を行うことによって、比較例(1)〜(7)の定型デバイスを得た。なお、比較例(8)については定型のデバイスを構成することができなかった。
[アニオン性薬物徐放性医療用デバイスの評価方法]
(1)含水率の測定
アニオン性薬物取込後の実施例(1)〜(8)及び比較例(1)〜(7)の定型デバイスを薬液から取出し、余分な水分を拭き取った後、含水状態のデバイスの質量(W)を測定した。その後、60℃の乾燥機にて24時間乾燥させた後のデバイスの重量(W)を測定し、各々の重量から下式に従い、含水率を算出した。
含水率(重量%)=[(W−W)/W]×100
(2)アニオン性薬物の取込量の測定
アニオン性薬物取込後の実施例(1)〜(8)及び比較例(1)〜(7)の定型デバイスを生理食塩水中に浸漬し、室温にて72時間静置し、内包したアニオン性薬物を生理食塩水中へ徐放させた。徐放後の生理食塩水中のアニオン性薬物を常法に従って高速液体クロマトグラフィー(HPLC、日本分光(株)社製)を用いて定量し、得られた値から単位デバイスあたりのアニオン性薬物取込量(μg/g)とした。
(3)引張強度
「プラスチックの引っ張り試験法(JIS K 7113)」に基づき試験片を調整し、薬剤を取り込んだ膨潤後の実施例(1)〜(8)及び比較例(1)〜(7)の定型デバイスをサンプルとして強度を測定した。
○:1.5MPa以上
×:1.5MPa未満
(4)形状安定性
薬物徐放後の実施例(1)〜(8)及び比較例(1)〜(7)の定型デバイスの形状を、ディメンジョンアナライザーを用いて目視で確認した。
○:真円、かつ、面上に凹凸がない。
×:真円でない、あるいは、面上に凹凸がある。
Figure 2015159942
表中の略記の意味は以下の通りである;
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MOEBAC:メタクリルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド
MAPTAC:メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
A−200:ポリエチレングリコールジアクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
DSP:デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
DSCG:クロモグリク酸ナトリウム
実施例(1)〜(8)においては、カチオン性モノマーの配合量が0.5〜20モル%に増加したとしても、含水率の増加率は全体で19.9%と小さいことから、デバイスの強度は維持されており(低下率33.3%)、さらにアニオン性薬物放出後の形状に変化がなかった。
他方、比較例(1)〜(7)においては、実施例と同じモル比率でカチオン性モノマーを配合してはいるものの、使用するカチオン性モノマーが分子内にベンゼン環を有していないため、実施例に比し含水率の増加率が53.1%と大きいことから、デバイスの強度が顕著に低下し(低下率67.4%)、さらにアニオン性薬物放出後の形状安定性が低下する傾向にあった。
さらには、同一のモル比でカチオン性モノマーを含有した場合に、分子内にベンゼン環を有しないカチオン性モノマーを使用した比較例に比べて、分子内にベンゼン環を有するカチオン性モノマーを使用した実施例の方がアニオン性薬物の取込量が多かった。このことは、一定の強度が見られる実施例(1)〜(4)及び比較例(1)〜(4)について、カチオン性モノマーのモノマー量と薬物取込量との関係を表わしたグラフである図1より明らかである。図1から、実施例は、比較例に比して、モノマー量により薬物の取込量を大幅に挙げることができた。
また、図2は、実施例(1)〜(3)及び比較例(1)〜(3)について、カチオン性モノマーのモノマー量と単位カチオン性モノマーの薬物取込量との関係を表わしたグラフである。図2から、実施例は、比較例に比して、カチオン性モノマーのモノマー量による単位カチオン性モノマーの薬物取込量の影響が小さいことがわかる。したがって、実施例は、比較例に比して、カチオン性モノマーのモノマー量を変化させることにより安定して薬物取込量を増やすことができ、所望の薬物取込量の医療用デバイスの設計及び製造が容易なものであることが示された。
以上より、本発明のデバイスによれば、薬物の担持体の構成成分として分子内にベンゼン環を有するカチオン性モノマーを使用することで、含水率の増加や強度の減少を引き起こすことなく、内包する薬物量を増加させることができるものであることから、薬物放出後の形状安定性と高い治療効果とを併せ持つ医療用デバイスを提供することができた。
本発明の医療用デバイスは、所望の薬物取込量に制御でき、ゲル強度及び薬物放出後の形状安定性に優れた薬物含有医療用デバイスであることから、装用者に対して安全かつ優れた治療効果を付与できる、人類の健康と福祉に貢献できるものである。

Claims (5)

  1. (1)アニオン性薬物;及び
    (2)構成成分として、置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物又はその塩を含むカチオン性モノマーと、これらと共重合可能なモノマーとを含む共重合体
    を含む、アニオン性薬物含有医療用デバイス。
  2. 前記置換又は非置換のアラルキル基を有するアルキル4級アンモニウム化合物及び(メタ)アクリル酸の縮合物が、下記一般式(I)
    Figure 2015159942
    (I)
    (式中、
    は水素原子又はCHを表わし;
    〜Rは、そのうち1〜3個がそれぞれ独立して下記一般式(II)
    Figure 2015159942
    (II)
    (式中、xは1〜3の整数を表わし;及び、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はC〜Cの直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基を表わす)
    で表わされる官能基を表わし、かつ、そのうち残りの2〜0個がC〜Cの直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基を表わし;及び、
    nは1〜4の整数を表わす)
    で示される化合物である、請求項1に記載のアニオン性薬物含有医療用デバイス。
  3. 前記(2)の共重合体が、構成成分として親水性モノマーをさらに含み、かつ、前記アニオン性薬物含有医療用デバイスがハイドロゲルである、請求項1に記載のアニオン性薬物含有医療用デバイス。
  4. 前記カチオン性モノマーの配合量が、親水性モノマー1モルに対し、0.5〜20モル%である、請求項1に記載のアニオン性薬物含有医療用デバイス。
  5. 前記アニオン性薬物が、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム又はクロモグリク酸ナトリウムである、請求項1に記載のアニオン性薬物含有医療用デバイス。

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