JPWO2015145906A1 - 音響発生器およびこれを備えた音響発生装置、電子機器 - Google Patents

音響発生器およびこれを備えた音響発生装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 特定の周波数で音圧が急激に変化することが抑制され、音圧特性が平坦化して高品質な音情報を伝達することができる音響発生器およびこれを備えた音響発生装置、携帯端末、電子機器を提供する。【解決手段】 本発明は、複数の内部電極2および複数の圧電体層3が積層され、第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを有するバイモルフ型の圧電素子7と、圧電素子7の第2の主面に接合された振動板9とを備え、圧電素子7は第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとを有し、圧電素子7の第1の主面側の領域7aを構成する圧電体層3と第2の主面側の領域7bを構成する圧電体層3とで、比誘電率および密度のうち少なくとも一方が異なっている。【選択図】 図2

Description

本発明は、音響発生器およびこれを備えた音響発生装置、電子機器に関するものである。
内部電極層と圧電体層とが複数積層された圧電素子が知られている。圧電素子はパネルスピーカーなどの音響発生器の振動源に利用されており、音圧の高い音響発生器を得るために、バイモルフ型圧電素子を用いることが知られている。(例えば、特許文献1を参照。)
特開2001−95094号公報
現在、音響発生器やそれを備えた音響発生装置および電子機器においては、さらに良好な音質が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、音質を向上させることのできる音響発生器およびこれを備えた音響発生装置、電子機器を提供することを目的とする。
本発明の音響発生器は、複数の内部電極および複数の圧電体層が積層され、第1の主面と、該第1の主面と反対側の第2の主面とを有するバイモルフ型の圧電素子と、該圧電素子の前記第2の主面に接合された振動板とを備え、前記圧電素子は第1の主面側の領域と第2の主面側の領域とを有し、前記圧電素子の前記第1の主面側の領域を構成する圧電体層と前記第2の主面側の領域を構成する圧電体層とで、比誘電率および密度のうち少なくとも一方が異なっていることを特徴とする。
また、本発明の音響発生装置は上記構成の音響発生器と、音響発生器を収容する筐体とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の電子機器は、上記の構成の音響発生器と、音響発生器に接続された電子回路と、電子回路および音響発生器を収容する筐体とを備え、音響発生器から音響を発生させる機能を有することを特徴とする。
本発明の音響発生器によれば、第1の主面側の領域と第2の主面側の領域とで、振幅、振動モード、共振周波数等の振動特性に差が生じることによって、音圧特性が平坦化した高品質な音質とすることができる。
また、本発明の音響発生装置によれば、高音質の音響発生器を備えることから、高音質の音響発生装置となる。
また、本発明の電子機器によれば、高音質の音響発生器または音響発生装置を備えることから、高音質の電子機器となる。
本発明の音響発生器の実施の形態の一例を示す模式的な斜視図である。 (a)は図1のA−A線断面図であり、(b)は図1のB−B線断面図である。 本発明の音響発生器の実施の形態の他の例を示す模式的な斜視図である。 本発明の音響発生装置の実施形態の一例を示すブロック図である。 本発明の電子機器の実施形態の一例を示すブロック図である。 本発明の電子機器の実施形態の一例を示す模式的な斜視図である。 図6のA−A線断面図である。 図6のB−B線断面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る音響発生器の周波数−音圧特性の一例を示すグラフであり、(b)は従来の音響発生器の周波数−音圧特性を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、音響発生器、音響発生装置および電子機器の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本実施形態の音響発生器の一例を示す模式的な斜視図である。図2(a)および図2(b)はそれぞれ、図1のA−A断面およびB−B断面を示す模式的な断面図であり、図1に対して、特に圧電素子に関して音響発生器の厚み方向(図1におけるZ方向)に誇張して示している。
図1、図2(a)および図2(b)に示す本実施形態の音響発生器1は、内部電極2と圧電体層3が積層され、第1の主面と、第1の主面と反対側の第2の主面とを有するバイモルフ型の圧電素子7と、当該圧電素子7の第2の主面に接合された振動板9とを備えている。
なお、バイモルフ型の圧電素子7は、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとを有しており、この第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとで、後述する複数の圧電体層3の分極の向きが対称的になるように配置され、駆動させたときに、第1の主面および第2の主面に平行な方向への伸縮の状態が逆になっている。通常、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの境界は積層方向(厚み方向)の中央に位置するが、後述する複数の内部電極2の電極パターンによっても第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの境界を見分けることができる。ここで、第1の主面とは積層方向の一方の端面のことであって図2における上側の面のことであり、第2の主面とは積層方向の他方の端面のことであって図2における下側の面のことである。
バイモルフ型の圧電素子7は、複数の内部電極2および複数の圧電体層3が積層された積層体4と、この積層体4の第1の主面に設けられた複数の表面電極5と、複数の内部電極2と複数の表面電極5とを電気的に接続する複数の側面電極6とを有している。
積層体4を構成する複数の内部電極2は、複数の圧電体層3と交互に積層されて圧電体層3を上下から挟んでおり、それらの間に挟まれた圧電体層3に駆動電圧を印加するものである。具体的には、複数の内部電極2は、一層おきに設けられた第1の内部電極2aと、圧電素子7の第1の主面側の領域7aに配置されて第1の内部電極2aと対向するように一層おきに設けられた第2の内部電極2bと、圧電素子7の第2の主面側の領域7bに配置されて第1の内部電極2aと対向するように一層おきに設けられた第3の内部電極2cとを含んでいる。例えば、第1の内部電極2aはグランド極となり、第2の内部電極2bおよび第3の内部電極2cは例えば正極または負極となる。これらの材料として、例えば圧電体層3を形成する圧電セラミックスとの反応性が低い銀や銀−パラジウム合金を主成分とする導体、あるいは銅、白金などを含む導体を用いることができるが、これらにセラミック成分やガラス成分を含有させてもよい。
積層体4を構成する複数の圧電体層3は、圧電特性を有するセラミックスで形成されたもので、このようなセラミックスとして、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などを用いることができる。圧電体層3の1層の厚みは、低電圧で駆動させるために、例えば0.01〜0.1mm程度に設定することが好ましい。また、大きな屈曲振動を得るために、200pm/V以上の圧電定数d31を有することが好ましい。
また、複数の表面電極5は、第1の内部電極2aと電気的に接続された第1の表面電極5aと、第2の内部電極2bと電気的に接続された第2の表面電極5bと、第3の内部電極2cと電気的に接続された第3の表面電極5cとを含んでいる。この複数の表面電極5は、積層体4の少なくとも第1の主面に設けられている。図1および図2に示す例では、第1の表面電極5aは積層体4の両主面に設けられ、第2の表面電極5bおよび第3の表面電極5cは積層体4の第1の主面だけに設けられている。第1の表面電極5aを両主面に設けることで、積層体4の最外の圧電体層3を内部電極2と第1の表面電極5aとで挟むことになり、最外の圧電体層3に駆動電圧を印加して圧電素子7の振動に寄与させることができる。第2の表面電極5bおよび第3の表面電極5cも積層体4の両主面に設けてもかまわないが、図1および図2に示す例のように、第2の表面電極5bおよび第3の表面電極5cは積層体4の第1の主面だけに設けると、後述する比誘電率の差異を判別しやすくなる。なお、表面電極5の材料としては、銀や銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
また、複数の側面電極6は、積層体4の少なくとも一つの側面に設けられており、第1の内部電極2aおよび第1の表面電極5aを電気的に接続する第1の側面電極6aと、第2の内部電極2bおよび第2の表面電極5bを電気的に接続する第2の側面電極6bと、第3の内部電極2cおよび第3の表面電極5cを電気的に接続する第3の側面電極6cとを含んでいる。図1および図2に示す例では、第1の側面電極6aは対向する一対の側面の一方の側面に設けられ、第2の側面電極6bおよび第3の側面電極6cは一方の側面に対向する他方の側面に設けられている。第1の側面電極6aと、第2の側面電極6bおよび第3の側面電極6cとを異なる側面に設けることで、これらに接続されている第1の内部電極2aと第2の内部電極2bおよび第3の内部電極2cとの間の絶縁性を確実なものとしている。なお、3つの側面電極6をそれぞれ異なる側面に設けてもよい。側面電極6の材料としては、表面電極5と同様の、銀や銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
なお、表面電極5と内部電極2との電気的な接続は、本例のような側面電極6にかえて、圧電体層3を貫通する貫通導体によって接続してもよい。
上述したように、第1の主面側の領域7aにおいて第1の内部電極2aと第2の内部電極2bとが圧電体層3を間に挟んで対向しており、第2の主面側の領域7bにおいて第1の内部電極2aと第3の内部電極2cとが圧電体層3を間に挟んで対向している。また、積層体4の第1の主面側の最外の圧電体層3は、第2の内部電極2bと第1の内部電極2aに接続されている第1の表面電極5aとに挟まれており、積層体4の第2の主面側の最外の圧電体層3は、第3の内部電極2cと第1の内部電極2aに接続されている第1の表面電極5aとに挟まれている。
そして、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとでは、圧電体層3の分極の向きが異なっている。例えば、図2(a)、(b)に示すように、第1の主面側の領域7aにおいては、圧電体層3内に示す矢印の向きで表した分極の向きが、第1の内部電極2aから対向する第2の内部電極2bに向かっていて、積層体4の第1の主面側の最外の圧電体層3においては、第1の内部電極2aに接続されている第1の表面電極5aから第2の内部電極2bに向かっている。また、第2の主面側の領域7bにおいては、第3の内部電極2cから対向する第1の内部電極2aに向かっていて、積層体4の第2の主面側の最外の圧電体層3においては、第3の内部電極2cから対向する第1の内部電極2aに接続されている第1の表面電極5aに向かっている。
このように、圧電素子7における第1の主面側の領域7a(上側)と第2の主面側の領域7b(下側)とで分極の向きが対称的となるように異なって構成され、いわゆるバイモルフ型の圧電素子7となっている。バイモルフ型の圧電素子7においては、交流電界を印加すると、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとでは圧電体層3の電界による伸び縮みの方向が逆になり、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとが一体となっている圧電体層3は、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとで振動の位相が逆の、厚み方向に振幅を有する屈曲振動するものとなる。圧電体層3の分極の向きの調整は、後述する分極操作により行なうことができる。
なお、バイモルフ型の圧電素子7の形状は特に制限はなく、図1に示す例のような矩形状などの多角形状以外に、円形状や楕円形状であってもよい。
このような圧電素子7の第2の主面に振動板9を接合することで、本実施形態の音響発生器1となる。圧電素子7と振動板9とを接合する接合材8は、樹脂系接着剤や、粘弾性体をシート状に成型したものや、基材層と粘弾性体からなる層とを積層した構成のものなどを用いることができ、これらの材料としてアクリル系、エポキシ系等の接着剤やゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の粘着剤が用いられる。また、基材層としては、アセテートフォーム、アクリルフォーム、セロハン、ポリエチレンフォーム、紙、不織布が用いられる。
また、振動板9は弾性体から構成されており、これらの材料として黄銅、リン青銅、ステンレス等の金属や、ガラスや、アクリル系、ポリカーボネート系等の樹脂やポリエチレン、ポリイミド等の樹脂フィルムを好適に用いることができる。振動板9の形状は特に制限はなく、図1に示す例のような矩形板状などの多角形板状のもの以外に、円形板状や楕円形板状のものであってもよい。
また、振動板9に接合される圧電素子7の数は、複数個であってもよい。その場合、複数の圧電素子7のそれぞれの形状や振動特性等は異なっていてもよい。
なお、外部からの交流電界を圧電素子7へ印加する配線部材、および配線部材と圧電素子7とを電気的に接続し固定する配線接合材は図示していないが、配線部材としては軟銅線に錫を鍍金したリード線やフレキシブル配線基板等を、また配線接合材としては錫、銅、銀等の合金からなるはんだや、銀等の導電性を有する金属粒子と樹脂とを混合した導電性接合材等を好適に用いることができる。
本実施形態の音響発生器1においては、バイモルフ型の圧電素子7の第1の主面側の領域7aを構成する圧電体層3と第2の主面側の領域7bを構成する圧電体層3とで比誘電率および密度のうち少なくとも一方が異なっている。このような圧電素子7とすることで、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bの圧電特性に差が生じ、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとで、振幅、振動モード、共振周波数等の振動特性に差が生じる。そのため、音情報として利用したい主振動(屈曲振動の基本振動やその整数倍の高次振動)以外の高調波や低調波の振動、あるいは異なる振動モードにより発生する異なる周波数の振動といった、スプリアス振動が発生する。そして、このスプリアス振動によって圧電素子7の固有振動のダンピングや分割が発生する。この効果により、周波数−音圧特性において、特定の周波数での音圧の急激な変化が抑制され、音圧特性が平坦化するため良好な音質を得ることができる。
なお、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bの圧電体層3の比誘電率は、例えば以下のような方法によって算出することができる。
第1の主面側の領域7aの圧電体層の比誘電率ε1は、ε1=(C1・T1)/(S1・εo)で算出することができる。C1は第1の主面側の領域7aの静電容量、T1は第1の主面側の領域7aの圧電体層3厚みの平均値、S1は第1の主面側の領域7aにおける圧電体層3の電極に挟まれている部分の面積、εoは真空の誘電率であり、εo=8.854×10−12F/mである。
第1の主面側の領域7aの静電容量C1は、インピーダンス/ゲインフェーズアナライザー等の静電容量測定装置に接続された2つのプローブ端子の一方を第1の表面電極5aに、他方を第2の表面電極5bに当てて測定すればよい。
第1の主面側の領域7aにおける圧電体層3の電極に挟まれている部分の面積S1は、圧電素子7を長さ方向および幅方向にカットし、第1の主面側の領域7aにおける第1の内部電極2aと第2の内部電極2bとが圧電素子7の厚み方向において重なっている領域、および第2の内部電極2bと第1の表面電極5aとが重なっている領域の長さ方向寸法と幅方向寸法とをマイクロスコープ等の計測装置を用いて各々測定することで算出することができる。第1の主面側の領域7aにおける圧電体層3の厚みの平均値T1は、同様にマイクロスコープ等の計測装置を用いて、第1の主面側の領域7aの圧電体層3の各層の厚みを測定して平均値を算出することができる。
第2の主面側の領域7bの圧電体層3の比誘電率ε2についても同様に、ε2=(C2・T2)/(S2・εo)で算出することができる。第2の主面側の領域7bの静電容量C2は、プローブ端子の一方を第1の表面電極5aに、他方を第3の表面電極5cに当てて測定すればよい。また、第2の主面側の領域7bにおける圧電体層3の電極に挟まれている部分の面積S2、第2の主面側の領域7bにおける圧電体層3の平均厚みT2は、S1、T1と同様の方法にて測定すればよい。
一方、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bの密度は、例えば以下のようにして測定できる。
まず、バイモルフ型の圧電素子7を第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの境界で、ダイシングマシーン等を用いて切断する。ここで、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの境界は、圧電体層3の分極の向きが対称的となる境界であってそれぞれ異なる伸縮の動きを呈する領域と領域との境界であり、本例のように第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとで内部電極のパターンが異なる場合には、そのパターンによって圧電体層3の分極の状態を予測でき、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの境界を決定することができる。なお、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの間に、伸縮に寄与しない層が存在する場合は、その伸縮に寄与しない層との境界で切断すればよい。
その後、第1の主面側の領域7aの密度を、アルキメデス法を用いて測定する。具体的には、第1の主面側の領域7aの質量W1を電子天秤で測定したのち、溶媒として水を入れた容器中にて水中での質量W2を測定する。W2測定の際には、水温Tも同時に測定し換算表から水温Tでの水の密度ρwを求めておき、これらの測定値を用いて以下の式から第1の主面側の領域7aの圧電素子の密度ρ1を求めることができる。
ρ1=W1/(W1−W2)×ρw
なお、第2の主面側の領域7bの密度も、同様の方法で求めればよい。
ここで、第1の主面側の領域7aを構成する圧電体層と第2の主面側の領域7bを構成する圧電体層とで比誘電率が異なる場合において、第2の主面側の領域7bを構成する圧電体層の比誘電率が、第1の主面側の領域7aを構成する圧電体層の比誘電率よりも小さいことが、より好ましい。この場合には、圧電体層の比誘電率の小さい第2の主面側の領域7bが、振動板9と接合され機械的に拘束されることで、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bの圧電特性の差がより大きくなり、スプリアス振動がより発生しやすくなるため、圧電素子7の固有振動のダンピングや分割がさらに発生しやすくなる。この効果により圧電素子7を振動板9に接合した音響発生器1では、周波数−音圧特性において、特定の周波数での音圧の急激な変化が更に抑制され、音圧特性がより平坦化するため更に良好な音質を得ることができる。また、第2の主面のほうが第1の主面よりも当該主面に平行な面内方向への伸縮が小さくなることから、圧電素子7と振動板9とを接合する接合材8への負荷を小さくすることができ、耐久性を向上させることができる。
なお、第2の主面側の領域7bの圧電体層3の比誘電率を基準としたときに、第1の主面側の領域7aの圧電体層3の比誘電率が102%から150%であるのがよい。102%より小さい場合は、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bの圧電特性の差が小さく、圧電素子7の固有振動のダンピングや分割の程度が小さくなるため、周波数−音圧特性において特定の周波数での音圧の急激な変化を抑制する効果が小さいものとなる傾向がある。また、150%を超えるとスプリアス振動が大きくなり、周波数−音圧特性において別の周波数での音圧の急激な変化が発生し、意図した効果が得られ難くなる。
例えば、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとで圧電体層3の厚みを異ならせたり、内部電極2および第1の表面電極5aの面積を異ならせたりすると、形状効果により屈曲の基本振動の共振周波数が変動するため、スプリアス振動の周波数との位置関係が変動し音圧の平坦化効果が得られにくくなったり、屈曲の基本振動の共振周波数が大きくなることで特に200Hz〜1kHzの低周波数側の音圧が低下したりする場合がある。
これに対し、比誘電率は圧電体層の圧電定数を構成する誘電率と等価であり、比誘電率が小さいと圧電定数も小さくなるため、圧電体層3の比誘電率を異ならせても圧電素子7の基本振動の共振周波数は変動することがなく、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bの圧電振動特性の差が大きくなり、音圧特性がより平坦化された良好な音質を得ることができるとともに、音圧の低下も抑えられる。
また、第2の主面側の領域7bを構成する圧電体層3の比誘電率が、第1の主面側の領域7aを構成する圧電体層3の比誘電率よりも小さい場合には、さらに、第2の主面側の領域7bにおいて、第2の主面側に位置する圧電体層3のほうが第1の主面側に位置する圧電体層3よりも比誘電率が小さいのがよい。言い換えると、第2の主面に近い位置の圧電体層のほうが第2の主面から遠い位置の圧電体層よりも比誘電率が小さいのがよい。例えば、第2の主面側の領域7bの圧電体層3が複数層ある場合、第2の主面側の領域7bの圧電体層3の中でも、振動板9に遠い圧電体層から振動板9に近い圧電体層に向かって、比誘電率が小さくなっているのがよい。
第2の主面側の領域7bにおいても第1の主面側と第2の主面側とで圧電体層3の比誘電率が異なる、すなわち第2の主面側の領域7bにおいて圧電素子7の厚み方向において圧電体層3の比誘電率が異なることで、スプリアス振動がより発生しやすくなるため、圧電素子7の固有振動のダンピングや分割がさらに発生しやすくなる。そして、圧電素子7を振動板9に接合した音響発生器1では、周波数−音圧特性において、特定の周波数での音圧の急激な変化が更に抑制され、音圧特性がより平坦化するため更に良好な音質を得ることができる。
なお、圧電体層3の一層ごとの比誘電率を測定するには、例えば、以下のような方法を用いればよい。まず圧電素子7を、内部電極2と第1の表面電極5aの全てが重なっている領域で長さ方向および幅方向で任意の寸法の試料を切り出す。切り出された試料の側面に露出した、測定したい圧電体層3を挟んでいる内部電極2に針状のプローブピンを接触させて圧電体層の静電容量C3を測定する。また、内部電極2の長さと幅をマイクロスコープ等の計測装置を用いて測定し、測定したい圧電体層3を挟んでいる内部電極2の面積S3を算出する。そして、静電容量を測定した圧電体層3の厚みT3を同様の方法で測定し、これらの測定値から上記と同様に、ε3=(C3・T3)/(S3・εo)の式から対象とする圧電体層3の比誘電率を求めることができる。この方法で、振動板9に遠い圧電体層から振動板9に近い圧電体層に向かって、比誘電率が小さくなっていることも判別できる。
続いて、第1の主面側の領域7aを構成する圧電体層と第2の主面側の領域7bを構成する圧電体層とで密度が異なる場合は、第2の主面側の領域7bの密度が、第1の主面側の領域7aの密度よりも小さいことが、より好ましい。この場合には、密度の小さい第2の主面側の領域7bが、振動板9によって機械的に拘束されることで、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bの圧電振動特性の差がより大きくなり、スプリアス振動がより発生しやすくなるため、圧電素子7の固有振動のダンピングや分割がさらに発生しやすくなる。この効果により、圧電素子7を振動板9に接合した音響発生器1では、周波数−音圧特性において、特定の周波数での音圧の急激な変化が更に抑制され、音圧特性がより平坦化するため、更に良好な音質を得ることができる。
なお、密度の差としては、例えば第2の主面側の領域7bの密度を基準(100%)としたときに、第1の主面側の領域7aの密度が100.3%から102.5%であるのがよい。100.3%より小さい場合は、第1の主面側の領域7aと他方主面側の領域7bとの圧電振動特性の差が小さく、圧電素子7の固有振動のダンピングや分割の程度が小さくなるため、周波数−音圧特性において特定の周波数での音圧の急激な変化を抑制する効果が小さいものとなる傾向がある。一方、102.5%を超えるとスプリアス振動が大きくなり、周波数−音圧特性において別の周波数での音圧の急激な変化が発生し、意図した効果が得られ難くなる傾向がある。
そして、第2の主面側の領域7bの複数の圧電体層3の密度が第1の主面側の領域7aの複数の圧電体層3の密度よりも小さい場合に、さらに第2の主面側の領域7bの中で、第2の主面側に位置する圧電体層3の方が第1の主面側に位置する圧電体層3よりも密度が小さいのがよい。言い換えると、第2の主面に近い位置の圧電体層のほうが第2の主面から遠い位置よりも密度が小さいのがよい。さらに、振動板9から遠い圧電体層から振動板9に近い圧電体層に向かって、漸次密度が小さくなっているのがよい。第2の主面側の領域7bにおいても第1の主面側と第2の主面側とで密度が異なる、すなわち第2の主面側の領域7bにおいて圧電素子7の厚み方向において密度が異なることで、スプリアス振動がより発生しやすくなるため、圧電素子7の固有振動のダンピングや分割がさらに発生しやすくなる。したがって、圧電素子7を振動板9に接合した音響発生器1では、周波数−音圧特性において、特定の周波数での音圧の急激な変化が更に抑制され、音圧特性がより平坦化するため更に良好な音質を得ることができる。
なお、圧電体層3の一層ごとの密度を測定するには、上述した密度の測定方法を各層ごとに行えばよく、この方法により振動板9に遠い圧電体層3から振動板9に近い圧電体層3に向かって密度が小さくなっていることも判別できる。
また、第1の主面側の領域7aを構成する圧電体層3と第2の主面側の領域7bを構成する圧電体層3とで密度が異なっていることに加えて、比誘電率が異なっていてもよい。

また、本実施形態の音響発生器は、振動板9の外周部に枠体11が設けられているものであってもよい。例えば図3に示すように、振動板9の圧電素子7が接合された主面の外周部に枠体11を接合することで音響発生器110を得ることができる。枠体11を設けることで、振動板9が支持され、電子機器の筐体等への固定も容易になる。また、このような構成を持つ音響発生器110では、振動空間が確保されるため振動板9の振動振幅を大きくすることができ、その結果周波数−音圧特性において、特定の周波数で音圧が急激に変化することの抑制された良好な音質を確保しながら、音圧も向上することが可能となる。
枠体11としてはステンレス等の金属やガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の剛性および弾性が大きい材料を好適に用いて形成することができる。
枠体11は振動板9の主面へ接合材12を介して接合される。接合材12は、樹脂系接着剤や、粘弾性体をシート状に成型したものや、基材層と粘弾性体からなる層とを積層した構成のものなどを用いることができ、これらの材料としてアクリル系、エポキシ系等の接着剤やゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の粘着剤が用いられる。また、基材層としては、アセテートフォーム、アクリルフォーム、セロハン、ポリエチレンフォーム、紙、不織布が用いられる。
図3に示す例のように、振動板9の圧電素子7が接合された主面に枠体11を接合すると、特に枠体11と接合材12を合わせた厚みが圧電素子7の厚みより大きい場合には、枠体11により圧電素子7を保護することができる。
また、この場合、枠体11内の振動板9の主面、または枠体11内の振動板9の主面および圧電素子7を覆うように樹脂層を設けてもよい。樹脂層は圧電素子7および振動板9とともに振動するので、樹脂層によるダンピング効果が得られ、音質がさらに向上するとともに、圧電素子7の保護効果がさらに向上する。
樹脂層は、例えば、アクリル系樹脂を用いてヤング率が例えば1MPa〜1GPaの範囲となるように形成されるのがよい。この樹脂層は必ずしも圧電素子7の表面を覆うまでに設けられていなくてもよいが、圧電素子7の表面を覆うまでに設けられ、樹脂層に圧電素子7が埋設されることで、適度なダンピング効果を誘発させることができるので、共振現象を抑制して、音圧の周波数特性におけるピークやディップを小さく抑えることができる。
なお、枠体11は振動板9の両方の主面に設けてもよく、また、枠体11の開放面である振動板9を接合しない面に板状の部材からなる蓋体を設けてもよい。
振動板9の主面にバイモルフ型の圧電素子7が接合された音響発生器1,110は、例えば、振動板9の他方主面を、接合材を介して電子機器の筺体等へ固定された状態、電子機器の筺体等に設けられた支持部へ振動板9を機械的に固定または、接合材を介して固定された状態、あるいは、小さい筐体を備えた音響発生装置を電子機器の筐体内に組み込んだ状態で、電子機器の音響発生源として用いることができる。
次に、本実施の形態の音響発生器1,110の製造方法について説明する。
まず、圧電体層3となるセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系,ブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してセラミックスラリーを作製する。そして、ドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、このセラミックスラリーを用いてセラミックグリーンシートを作製する。圧電セラミックスとしては圧電特性を有するものであればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。また、可塑剤としては、フタル酸ジブチル(DBP),フタル酸ジオクチル(DOP)等を用いることができる。
次に、セラミックグリーンシート上に、内部電極2となる導電性ペーストを例えばスクリーン印刷等の印刷法によって内部電極2のパターン形状に塗布する。導電性ペーストは、銀−パラジウムの金属粉末にバインダーおよび可塑剤を添加混合することによって作製する。この導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層してセラミックグリーンシート積層体を作製する。セラミックグリーンシート積層体を所定の温度で加熱して脱バインダー処理を行なった後、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等を主成分とする焼成鉢中で900℃〜1200℃の温度で焼成することによって、複数の圧電体層3と複数の内部電極2とが積層された、焼結体である積層体4を作製する。積層体4は、例えば平面研削盤等を用いて研削処理を施すなどして所定の形状に整えてもよい。
積層体4の主面および側面に、表面電極5および側面電極6となる導電性ペーストを例えばスクリーン印刷等の印刷法によって表面電極5および側面電極6のパターン形状で印刷して乾燥させた後、650〜750℃の温度で焼き付け処理を行ない、表面電極5および側面電極6を形成する。表面電極5および側面電極6となる導電性ペーストは、銀を主成分とする導電性粒子とガラスとを混合したものに、バインダー,可塑剤および溶剤を加えて作製した銀ガラス含有導電性ペーストである。
なお、表面電極5と内部電極2との電気的な接続は、側面電極6にかえて、圧電体層3を貫通する貫通導体によって接続してもよい。この場合は、例えば、表面電極5および側面電極6となる導電性ペーストの印刷の前に、金型による打ち抜き加工やレーザー加工による穴あけ加工によってセラミックグリーンシートに貫通孔を形成し、この貫通孔に貫通導体となる導電性ペーストを印刷法によって充填しておけばよい。貫通導体となる導電性ペーストは、表面電極5および側面電極6となる導電性ペーストと同様のものを、バインダーや溶剤の量を調整することによって粘度を調整したものを用いればよい。
圧電素子7に分極処理を施して圧電活性を付与することで、電圧の印加により屈曲振動する振動発生体となる。分極処理には直流電源装置を用いて、例えば、第1の表面電極5aをグランド極に、第2の表面電極5bを正極に、第3の表面電極5cを負極にそれぞれ接続し、例えば2kV/mm〜3kV/mmの電位差を、15℃〜35℃の雰囲気温度にて、印加時間として数秒印加すればよい。圧電材料の性質により、電圧、雰囲気温度、印加時間は好適に選定される。
ここで、第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとで、圧電体層3の比誘電率および密度のうち少なくとも一方を異ならせるには、比誘電率および密度のうち少なくとも一方の異なる圧電層用原料を準備し、その原料を用いてセラミックグリーンシートを成形し、第1の主面側の領域7aとなるシートと第2の主面側の領域7bとなるシートを積層すればよい。
また、上記方法以外に、以下の方法を用いることもできる。上記の焼成の際には、例えば酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等を主成分とする焼成セッターを用いるが、例えば焼成セッターの鉛含有量を調整することで、焼成の終了した後の積層体4の圧電体層3の鉛組成比を調整し、圧電素子7の第1の主面側7aの比誘電率や密度と、第2の主面側7bの比誘電率や密度を調整できる。
具体的には、焼成セッターに上記圧電セラミックスの仮焼粉末を塗布し、900℃〜1300℃で仮焼成する。圧電体層3の厚みが薄い場合や積層体4の積層数が少ない場合は上記仮焼成温度を高めとし、焼成セッターの鉛含有量を多めにすることで、また圧電体層3の厚みが厚い場合や積層体4の積層数が多い場合は、上記仮焼成温度を低めとし、焼成セッターの鉛含有量を少なめにすることで、焼成セッターに遠い側から近い側に向かって圧電体層3の鉛組成を、略仕込み組成から仕込み組成に対して少ない組成となるように調整でき、その結果焼成セッターに遠い側から近い側に向かって比誘電率や密度を徐々に小さくできる。このため圧電素子7の第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの比誘電率や密度を所望の値で調整することができ、また第2の主面側の領域7bの圧電体層3の比誘電率や密度が、第1の主面側の領域7aの圧電体層3の比誘電率や密度よりも小さく、かつ第2の主面側の領域7bの圧電体層3の中でも、振動板9に遠い圧電体層から振動板9に近い圧電体層に向かって、比誘電率や密度を小さく調整することができる。
更には焼成セッターの使用回数と上記仮焼成の頻度を規定すること、例えば1回の焼成毎に上記焼成鉢を用いることなく1000℃〜1300℃の大気中にて焼成セッターを熱処理し、含有した鉛を放出させた後、上記方法の仮焼成を実施することで焼成セッターの鉛含有量を一定に制御でき、所望の比誘電率や密度を安定して得ることが可能となる。
この製造方法によれば、バイモルフ型の圧電素子7の第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの内部電極2の面積、圧電体層3の厚みおよび、内部電極2と圧電体層3の積層数をそれぞれ略同一にした状態で、圧電素子7の第1の主面側の領域7aと第2の主面側の領域7bとの比誘電率や密度を所望の値に調整することができ、また第2の主面側の領域7bの圧電体層3の比誘電率や密度が、第1の主面側の領域7aの圧電体層3の比誘電率や密度よりも小さくかつ、第2の主面側の領域7bの圧電体層3の中でも、振動板9に遠い圧電体層から振動板9に近い圧電体層に向かって、比誘電率や密度を小さく調整することができる。したがって、厚みの異なる複数種のグリーンシートや、内部電極2の面積を変えるため複数種の印刷製版を準備する必要がなく、取り扱いの容易な厚みのグリーンシートを用いることができるので、生産性が高いものとなる。
そして、圧電素子7の第2の主面に接合材8を用いて振動板9を接合固定することで音響発生器1となる。接合材8として、例えば嫌気性樹脂接着剤を用いる場合は、振動板9の所定の位置に嫌気性接着剤用ペーストをスクリーン印刷等の手法を用いて塗布形成する。その後、圧電素子7を当接させた状態で圧力を印加し嫌気性接着剤用ペーストを硬化させることにより、圧電素子7を振動板9に接合固定する。なお、嫌気性接着剤用ペーストは、圧電素子7側に塗布形成しておいてもよい。その他の接合材8としては、例えば、加熱硬化型のエポキシ系接着剤等の接着剤を用いることができる。
そして、圧電素子7に電圧を印加するための配線部材が接続される。配線部材としては、例えばフレキシブル配線基板を用いることができ、例えば導電性接着剤を用いて圧電素子7に接続固定(接合)する。まず、圧電素子7の所定の位置に導電性接着剤用ペーストをスクリーン印刷等の手法を用いて塗布形成する。その後、フレキシブル配線基板を当接させた状態で導電性接着剤用ペーストを硬化させることにより、フレキシブル配線基板を圧電素子7に接続固定する。なお、導電性接着剤用ペーストは、フレキシブル配線基板側に塗布形成しておいてもよい。配線部材の圧電素子7への接続は、圧電素子7と振動板9との接合前であってもよいし、接合後でもよい。
振動板9の主面の外周部に枠体11を接合する場合は、例えばステンレス等の金属やガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の材料を用いて所望の形状に加工された枠体11を、接合材12を介して接合する。さらに、バイモルフ型圧電素子7を覆うように樹脂層を設ける場合は、枠体11を接合した後に樹脂を塗布するようにすればよい。
以上の製法により、本実施形態の音響発生器1,110が得られる。
次に、本発明の音響発生装置の実施形態の一例について説明する。
音響発生装置10は、いわゆるスピーカーのような発音装置であり、図4に示すように、音響発生器1,110と、音響発生器1,110を収容する筐体30を備えている。なお、筐体30の一部が音響発生器1を構成する振動板になっていてもよく、筐体30が音響発生器1,110を収容するとは、音響発生器1,110の一部(圧電素子7)を収容している状態も含むことを意味している。
筐体30は、音響発生器1,110の発する音響を内部で共鳴させるとともに、筐体30に形成された図示せぬ開口から音響を外部へ放射する。この筐体30は、例えば、アルミニウムやマグネシウム合金などの金属、ポリカーボネートなどの樹脂、木材など、種々の材料を用いて形成することができる。このような筐体30を有することにより、たとえば低周波数帯域における音圧を高めることができる。なお、枠体11と上述した板状部材(蓋体)とが一体に形成されたものを筐体30として構わない。筺体30を用いて共鳴空間を構成することで、音圧を向上することが可能となる。
本発明の音響発生装置10によれば、高音質かつ高音圧の音響発生装置を実現することができる。
次に、音響発生器1,110(または音響発生装置10)を搭載した電子機器の一例について、図5を用いて説明する。図5は、実施形態に係る電子機器50の構成を示す図である。なお、図5においては、電子機器50が携帯端末である場合の例を示しており、説明に必要となる構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
図5に示すように、本例の電子機器50は、音響発生器1,110(または音響発生装置10)と、音響発生器1,110(または音響発生装置10)に接続された電子回路60と、電子回路60および音響発生器1,110(または音響発生装置10)を収容する筐体70とを備え、音響発生器1,110(または音響発生装置10)から音響を発生させる機能を有する。なお、本発明の電子機器50としては、音響発生器1,110を筐体70にそのまま収容するもののみならず、音響発生器1を収容した音響発生装置10(音響発生器1と筐体とからなるもの)を筐体70に収容するものも含むことを意味している。また、筐体70の一部が音響発生器1,110を構成する振動板となっていてもよい。
電子機器50は、電子回路60を備えている。電子回路60としては、例えば、ディスプレイに表示させる画像情報や携帯端末によって伝達する音声情報を処理する回路や、通信回路等が例示できる。これらの回路の少なくとも1つであってもよいし、全ての回路が含まれていても構わない。また、他の機能を有する回路であってもよい。さらに、複数の電子回路を有していても構わない。なお、電子回路と圧電素子7とは図示しない接続用配線で接続されている。
図に示す電子回路60は、例えば、コントローラ60aと、送受信部60bと、キー入力部60cと、マイク入力部60dとから構成される。電子回路60は、音響発生器1,110に接続されており、音響発生器1,110へ音声信号を出力する機能を有している。音響発生器1,110は電子回路60から入力された音声信号に基づいて音響を発生させる。
また、電子機器50は、表示部50aと、アンテナ50bと、音響発生器1,110とを備えている。また、電子機器50は、これら各デバイスを収容する筐体70を備えている。なお、図5では、1つの筐体70にコントローラ60aをはじめとする各デバイスがすべて収容されている状態をあらわしているが、各デバイスの収容形態を限定するものではない。本実施形態では、少なくとも電子回路60と音響発生器1,110とが、1つの筐体70に収容されていればよい。
コントローラ60aは、電子機器50の制御部である。送受信部60bは、コントローラ60aの制御に基づき、アンテナ50bを介してデータの送受信などを行う。キー入力部60cは、電子機器50の入力デバイスであり、操作者によるキー入力操作を受け付ける。キー入力部60cは、ボタン状のキーであってもよいし、表示部50と一体となっているタッチパネルであってもよい。マイク入力部60dは、同じく電子機器50の入力デバイスであり、操作者による音声入力操作などを受け付ける。表示部50aは、電子機器50の表示出力デバイスであり、コントローラ60aの制御に基づき、表示情報の出力を行うものであり、後述する図6〜図8におけるディスプレイ14に相当する。なお、ディスプレイは、画像情報を表示する機能を有する表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の既知のディスプレイを好適に用いることができる。
そして、音響発生器1,110(または音響発生装置10)は、電子機器50における音響出力デバイスとして動作する。なお、音響発生器1,110(または音響発生装置10)は、電子回路60のコントローラ60aに接続されており、コントローラ60aによって制御された電圧の印加を受けて音響を発することとなる。
さらに、電子機器50が携帯端末である場合の形態について、図6〜図8を用いて説明する。バイモルフ型の圧電素子7と、電子回路(図示せず)と、筐体70と、ディスプレイ14とを有している。この例では、筐体70は筐体本体70aとカバー70bとで構成されている。圧電素子7の他方主面を筐体70に素子接合材15を介して接合することで、筺体70の一部であるカバー70bを振動板9として本発明の音響発生器を構成したものある。なお、図6は本発明の電子機器を模式的に示す概略斜視図であり、図7は図6に示すA−A線で切断した概略断面図、図8は図6に示すB−B線で切断した概略断面図である。
ここで、圧電素子7と筐体13とが変形可能な接合部材を用いて接合されているのが好ましい。すなわち、図7および図8においては素子接合材15が変形可能な接合部材である。変形可能な素子接合材15で圧電素子7と筐体70とを接合することで、圧電素子7から振動が伝達されたとき、変形可能な素子接合材15が筐体70よりも大きく変形する。このとき、筐体70から反射される逆位相の振動を変形可能な素子接合材15で緩和することができるので、圧電素子7が周囲の振動の影響を受けずに筐体70へ強い振動を伝達させることができる。
中でも、素子接合材15の少なくとも一部が粘弾性体で構成されていることで、圧電素子7からの強い振動を筐体70へ伝える一方、筐体70から反射される弱い振動を素子接合材15が吸収することができる点で好ましい。例えば、不織布等からなる基材の両面に粘着剤が付着された両面テープや、弾性を有する接着剤を含む構成の接合部材を用いることができ、これらの厚みとしては例えば10μm〜2000μmのものを用いることができる。
そして、本例では、圧電素子7はディスプレイ14のカバー70bとなる筐体70の一部に取り付けられ、この筐体70の一部であるカバー70bが振動板9として機能するようになっている。ここで、ディスプレイ14のカバー70b(振動板9)が、タッチパネルのような入力装置を有するものであっても構わない。また、筐体70の一部がディスプレイのカバーとなってその内側にディスプレイが配置されたものの他、筐体70の一部がディスプレイとなっているものでもよく、ディスプレイがタッチパネルのような入力装置を有するものであってもよい。さらに、圧電素子7がディスプレイに素子接合材15を介して接合され、ディスプレイ全体や、ディスプレイの一部が振動板9として機能するようにしても構わない。
筐体70は、1つの面が開口した箱状の筐体本体70aと、筐体本体70aの開口を塞ぐカバー70bとを有している。この筐体70(筐体本体70aおよびカバー70b)は、剛性および弾性率が大きい合成樹脂等の材料を好適に用いて形成することができる。
振動板9でもあるカバー70bの周縁部は、筐体本体70aに筐体接合材70を介して振動可能に取り付けられている。筐体接合材16は、カバー70bよりも柔らかく変形しやすいもので形成されており、カバー70bよりもヤング率,剛性率,体積弾性率等の弾性率や剛性が小さい。すなわち、筐体接合材16は変形可能であり、同じ力が加わったときにカバー70bよりも大きく変形する。
筐体接合材16は、単一のものであっても、いくつかの部材からなる複合体であっても構わない。このような筐体接合材16としては、例えば不織布等からなる基材の両面に粘着剤が付着された両面テープ等を好適に用いることができる。筐体接合材16の厚みは、厚くなりすぎて振動が減衰されないように設定されており、例えば0.1mm〜0.6mmに設定される。ただし、携帯端末においては、筐体接合材16の材質に限定はなく、筐体接合材16が振動板9でもあるカバー70bよりも固く変形し難いもので形成されていても構わない。また、場合によっては、筐体接合材16を有さない構成であっても構わない。
このような電子機器50は、周波数−音圧特性において、特定の周波数で音圧が急激に変化することが抑制された音響発生器1,110を用いているため、音圧特性が平坦化された高品質な音情報を伝達することができる。
なお、電子機器50として、アンテナなどを介してデータの送受信などを行う通信手段を有する携帯端末について説明を行ったが、電子機器50の種別を問うものではなく、音響を発する機能を有する様々な民生機器に適用されてよい。たとえば、薄型テレビやカーオーディオ機器は無論のこと、音響を発する機能を有する製品、例を挙げれば、掃除機や洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどといった種々の製品に用いられてよい。
次に、本発明の音響発生器の具体例について説明する。
バイモルフ型の圧電素子は、長さが23.5mm、幅が3.3mm、厚みが0.9mmの長尺板状とした。また、圧電素子は、厚みが30μmの圧電体層と内部電極とが交互に積層された構造とし、圧電体層の総数は28層とした。圧電体層は、Zrの一部をNb等で置換したチタン酸ジルコン酸鉛で形成し、内部電極は、銀パラジウムの合金を用いた。
まず銀パラジウムからなる導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを積層した後、加圧密着させ所定の寸法にカットし成形体を作製した。その後、上記圧電体層の作製で使用した仮焼粉末を塗布し、1100℃で仮焼成して鉛含有量を調整した焼成セッター上に成形体を整列し、所定の温度で脱脂を行った後、1000℃で焼成して積層焼結体を得た。
この積層焼結体の表面と側面に、銀からなる導電性ペーストを印刷し乾燥した後、700℃で焼成して表面電極と側面電極を形成した。次に表面電極を介して各々の内部電極間に、室温にて2kV/mmの電位差の電圧を印加し、分極処理を施してバイモルフ型圧電素子を作製した。
この圧電素子の第1の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターから遠い側の領域)と第2の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターに近い側の領域)との静電容量を、インピーダンス/ゲインフェーズアナライザーにて周波数1kHzにて測定した。圧電素子の第1の主面側の領域の静電容量は830nFであり、また第2の主面側の領域の静電容量は730nFであって、第1の主面側の領域の静電容量に対し、第2の主面側の領域の静電容量が略12%低いことを確認した。それぞれの領域における圧電体層の厚みおよび内部電極の面積は同じであるので、第2の主面側の領域を構成する圧電体層の比誘電率が第1の主面側の領域を構成する圧電体層の比誘電率よりも小さいことを確認した。
また、この圧電素子の第1の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターから遠い側の領域)と第2の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターに近い側の領域)との密度を、第1の主面側と第2の主面側とを切り分け、それぞれアレキメデス法にて測定した。圧電素子の第1の主面側の領域の密度は7.88g/cm3であり、また第2の主面側の領域の密度は7.79g/cm3であって、第1の主面側の領域の密度に対し、第2の主面側の領域の密度が略1.1%低いことを確認した。
次に、アクリル系の嫌気性接着剤ペーストを用いて、圧電素子を長さ110mm、幅60mm、厚さ0.5mmのアクリル板(振動板)の長さ方向の一端部側へ接着した後、絶縁被覆を施したリード線をはんだで表面電極へ接合し、音響発生器を作成した。
上記のようにして作製した本発明の実施例となる音響発生器の振動板の両主面外周を、ポリブチレンテレフタレートで作製した音圧測定用の枠体治具で固定し、印加電圧30Vp−p、測定距離3cmの条件で周波数−音圧特性を測定した。その結果を図9(a)に示す。
一方、比較例として以下の方法で作製した音響発生器を準備した。
まず導電性ペーストを印刷していないセラミックグリーンシートのみを15層積層し、1050℃で焼成した焼結体を焼成セッター上に配置し、この焼結体上に前述のグリーンシート積層体を整列、焼成し、その他の製造方法は上記実施例と同一として圧電素子を作製した。この圧電素子の第1の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターから遠い側の領域)と第2の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターに近い側の領域)との静電容量を、インピーダンス/ゲインフェーズアナライザーにて周波数1kHzにて測定した。圧電素子の第1の主面側の領域の静電容量は830nFであり、また第2の主面側の領域の静電容量は828nFであって、第1の主面側の領域の静電容量に対し、第2の主面側の領域の静電容量が略同じであることを確認した。すなわち、第2の主面側の領域を構成する圧電体層の比誘電率が第1の主面側の領域を構成する圧電体層の比誘電率と同じであることを確認した。
また、この圧電素子の第1の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターから遠い側の領域)と第2の主面側の領域(上記焼成で焼成セッターに近い側の領域)との密度を、第1の主面側と第2の主面側を切り分け、それぞれアレキメデス法にて測定した。圧電素子の第1の主面側の領域の密度は7.88g/cm3であり、また第2の主面側の領域の密度は7.88g/cm3であって、第1の主面側の領域の密度に対し、第2の主面側の領域の密度が同じであることを確認した。
この圧電素子を用い、上記実施例と同一の方法で音響発生器を作製し、上記実施例と同様に音響発生器の振動板の両主面外周を、ポリブチレンテレフタレートで作製した音圧測定用の枠体治具で固定し、印加電圧30Vp−p、測定距離3cmの条件で周波数−音圧特性を測定した。その結果を図9(b)に示す。
図9(a)と図9(b)との比較において、特に周波数が400Hz〜2kHzおよび、周波数が10kHz〜20kHzでの音圧のピークやディップを比較すると、実施例である図9(a)の方が比較例である図9(b)に対して、明らかに小さくなっていることがわかる。
このようにバイモルフ型の圧電素子において、第1の主面側の領域と第2の主面側の領域とに比誘電率または密度の差を設けることで、特定の周波数で音圧が急激に変化することが抑制され、音圧特性が平坦化して音質を改善できることが確認できた。
1,110 音響発生器
2 内部電極
2a 第1の内部電極
2b 第2の内部電極
2c 第3の内部電極
3 圧電体層
4 積層体
5 表面電極
5a 第1の表面電極
5b 第2の表面電極
5c 第3の表面電極
6 側面電極
6a 第1の側面電極
6b 第2の側面電極
6c 第3の側面電極
7 圧電素子
7a 第1の主面側の領域
7b 第2の主面側の領域
8 接合材
9 振動板
10 音響発生装置
11 枠体
12 接合材
13、70 筺体
13a 筐体本体
13b カバー
14 ディスプレイ
15 素子接合材
16 筐体接合材
50 電子機器
60 電子回路

Claims (8)

  1. 複数の内部電極および複数の圧電体層が積層され、第1の主面と、該第1の主面と反対側の第2の主面とを有するバイモルフ型の圧電素子と、該圧電素子の前記第2の主面に接合された振動板とを備え、前記圧電素子は第1の主面側の領域と第2の主面側の領域とを有し、前記圧電素子の前記第1の主面側の領域を構成する圧電体層と前記第2の主面側の領域を構成する圧電体層とで、比誘電率および密度のうち少なくとも一方が異なっていることを特徴とする音響発生器。
  2. 前記第2の主面側の領域を構成する圧電体層の比誘電率が前記第1の主面側の領域を構成する圧電体層の比誘電率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の音響発生器。
  3. 第2の主面側の領域において、第2の主面側に位置する圧電体層のほうが第1の主面側に位置する圧電体層よりも比誘電率が小さいことを特徴とする請求項2に記載の音響発生器。
  4. 前記第2の主面側の領域を構成する圧電体層の密度が前記第1の主面側の領域を構成する圧電体層の密度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の音響発生器。
  5. 第2の主面側の領域において、第2の主面側に位置する圧電体層のほうが第1の主面側に位置する圧電体層よりも密度が小さいことを特徴とする請求項4に記載の音響発生器。
  6. 前記振動板の外周部に設けられた枠体を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の音響発生器。
  7. 請求項1乃至請求項6のうちのいずれかに記載の音響発生器と、該音響発生器を収容する筐体とを備えていることを特徴とする音響発生装置。
  8. 請求項1乃至請求項6のうちのいずれかに記載の音響発生器と、該音響発生器に接続された電子回路と、該電子回路および前記音響発生器を収容する筐体とを備え、前記音響発生器から音響を発生させる機能を有することを特徴とする電子機器。
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