JP6649077B2 - 圧電素子、音響発生器、音響発生装置および電子機器 - Google Patents

圧電素子、音響発生器、音響発生装置および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、圧電素子、音響発生器、音響発生装置および電子機器に関するものである。
振動装置や音響機器の駆動源として圧電アクチュエータや発音素子が用いられている。このような用途においては、表面に電圧印加用の表面電極が設けられた積層型圧電素子が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007−173456号公報
近年、振動装置や音響機器用途の圧電素子では、より大きな変位量が要求され、これに伴い、駆動電圧の高電圧化が求められる。しかしながら、圧電素子を高電圧で駆動させると、表面電極と積層体との境界にクラックが発生したり、表面電極が積層体から剥離したりするおそれがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高電圧駆動においてクラックや電極剥離を生じにくい耐久性に優れた圧電素子、ならびにこの圧電素子を備えた音響発生器、音響発生装置および電子機器を提供することを目的とする。
本発明の圧電素子は、圧電体層と内部電極層とが積層された積層体の少なくとも一方主面に表面電極が設けられた圧電素子であって、積層方向から見て、前記表面電極の外周
異なる形状の凹凸を有していることを特徴とする。
また、本発明の圧電素子は、圧電体層と内部電極層とが積層された積層体の少なくとも一方主面に表面電極が設けられた圧電素子であって、積層方向から見て、前記表面電極の外周部は凹凸を有しており、前記表面電極における前記外周部の厚みが中央部の厚みよりも薄くなっていることを特徴とする。
また本発明の音響発生器は、上記圧電素子と、該圧電素子の他方主面に取り付けられた振動板とを備えていることを特徴とする。
また本発明の音響発生装置は、上記音響発生器と、該音響発生器を収容する筐体とを備えていることを特徴とする。
また本発明の電子機器は、上記音響発生器と、該音響発生器を構成する前記圧電素子に接続された電子回路と、前記音響発生器および前記電子回路を収容する筐体とを備えていることを特徴とする。
本発明の圧電素子によれば、表面電極と積層体との境界にクラックが発生することを抑制でき、また表面電極が積層体から剥離することを抑制できる耐久性に優れた圧電素子とすることができる。
また本発明の音響発生器によれば、圧電素子におけるスプリアス振動の発生によりピークやディップが平坦化され、音圧や音質等の音響性能を向上させることができる。
また本発明の音響発生装置および電子機器によれば、本発明の音響発生器と同様に音圧
や音質等の音響性能を向上させることができる。
(a)は本実施形態の圧電素子の一例を示す概略斜視図、(b)は(a)に示すX−X線で切断した一例の概略断面図、(c)は(a)に示すY−Y線で切断した一例の概略断面図である。 本実施形態の圧電素子の一例の分解斜視図である。 図1(a)のA部の一例を拡大した要部拡大平面図である。 図1(a)のA部の他の例を拡大した要部拡大平面図である。 (a)は本実施形態の圧電素子の一例の概略平面図、(b)は(a)に示すZ−Z線で切断した一例の概略断面図である。 (a)、(b)は、図5(a)に示すZ−Z線で切断した他の例の概略断面図である。 (a)は、本実施形態の音響発生器の実施の形態の概略構成を示す模式的な平面図であり、(b)は(a)のV−V線で切断した一例の概略断面図、(c)は、(a)のV−V線で切断した他の例の概略断面図である。 本実施形態の音響発生装置の実施形態の一例を示すブロック図である。 本実施形態の電子機器の実施形態の一例を示すブロック図である。 (a)は本実施形態の実施形態に係る音響発生器の周波数−音圧特性の一例を示すグラフであり、(b)は従来の音響発生器の周波数−音圧特性を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の圧電素子の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1(a)は本実施形態の圧電素子の一例を示す概略斜視図、図1(b)は図1(a)に示すX−X線で切断した一例の概略断面図、図1(c)は図1(a)に示すY−Y線で切断した一例の概略断面図である。また図2は、本実施形態の圧電素子の一例の分解斜視図である。また図3は図1(a)のA部の一例を拡大した要部拡大平面図であり、図4は図1(a)のA部の他の例を拡大した要部拡大平面図である。
図1〜図4に示す本実施形態の圧電素子1は、圧電体層2と内部電極層3とが積層された積層体4の少なくとも一方主面に表面電極5が設けられた圧電素子であって、積層方向から見て、表面電極5の外周部8は凹凸10を有している。例えば図1に示す例の圧電素子1は、複数の圧電体層2および複数の内部電極層3が交互に積層された積層体4を備えた圧電素子である。この積層体4は、平面(上面)から見た主面の形状が長さ方向と幅方向とを有する長方形状の板状体である。したがって、圧電素子1も平面視で長さ方向と幅方向とを有する長方形状になっている。
圧電体層2は、圧電特性を有するセラミックスからなるもので、このようなセラミックスとして、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などを用いることができる。圧電体層2の1層の厚みは、低電圧で駆動させるために、例えば0.01〜0.1mmに設定される。また、大きな屈曲振動を得るために、例えば200pm/V以上の圧電定数d31を有するように設定される。
内部電極層3は、圧電体層2を介して互いに対向するように配置されて圧電体層2を上下から挟んでいる。内部電極層3の材料として、例えば低温焼成が可能な銀や銀−パラジウムを主成分とする導体、あるいは銅、白金などを含む導体を用いることができ、またこ
れらにセラミック成分やガラス成分を含有させてもよい。
また、圧電素子1は、図1(a)、(b)に示すように積層体4の少なくとも一方主面に表面電極5を備えている。表面電極5の材料としては、銀や銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。さらに、積層体4において、表面電極5が形成された一方主面と同一面に、折り返し電極7が形成されている。折り返し電極7は、表面電極5とは電気的に分離され接続されていない。折り返し電極7の材料としては、表面電極5と同様の、銀や銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
また、積層体4の長さ方向の対向する側面(端面)には、表面電極5および折り返し電極7とそれぞれ電気的に接続する側面電極6が設けられている。側面電極6の材料としては、表面電極5と同様の、銀や銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
圧電素子1に給電するための給電部材(配線部材)としては、フレキシブル配線基板、絶縁被覆したリード線などを用い、これを導電性接着剤やはんだを介して表面電極5に接合すればよい。
本発明の圧電素子1は、圧電体層2と内部電極層3とが積層された積層体4の少なくとも一方主面に表面電極5が設けられた圧電素子であって、積層方向から見て、表面電極5の外周部8は凹凸10を有している。このような構成とすることで、圧電素子1が変位する際に圧電体層2と表面電極5との境界に発生する応力が分散され、表面電極5と積層体4との境界にクラックが発生することを抑制でき、また表面電極5が積層体4から剥離することを抑制できる。その結果、圧電素子1の高電圧駆動における耐久性を向上することができる。また、このような構成とすることで、スプリアス振動が発生し、この効果により、固有振動のダンピングや分割が起こり、特定の周波数における圧電共振の強い発現を抑制することができる。したがって、音響発生器11の振動源として用いた場合には、周波数−音圧特性においてピークやディップが平坦化されるため、圧電素子1の他方主面に振動板12を接合して音響発生器11とした場合の音質を向上できる。
図3および図4に示す例は、ともに凸部101および凹部102が交互に繰り返して波うつように連続してつながって、外周部8が波形となっている例である。図3に示す例は、同じ波形でも、凸部101および凹部102が、同じ形状の半円弧状で、規則的に連続して繰り返している例である。また図4に示す例は、同じ波形でも、凸部101および凹部102の形状が異なり、凸部101および凹部102が不規則に連続して繰り返している例である。図3に示す例において、凹凸10の大きさは、凸部101の頂点から凹部102の底までの大きさtが、例えば0.05mm〜1.00mmである。
また図3に示す例は、表面電極5の外周部8における凹凸10の寸法を示している。凸部101の頂点から次の凸部101の頂点までの長さ、または凹部102の底から次の凹部102の底までの長さ(ピッチ)pは、0.05mm〜1.00mmであることが好ましい。ピッチpがこの範囲であると、圧電素子1が変位する際に圧電体層2と内部電極層3との境界に発生する応力がより分散され、表面電極5と積層体4との境界にクラックが発生することを抑制でき、また表面電極5が積層体4から剥離することを抑制できる。その結果、圧電素子1の高電圧駆動における耐久性をより向上することができる。
また図3に示す例において、凸部101の頂点と凹部102の底とを結んだ直線が、圧電素子1の辺のうち隣接する辺に平行な直線に対して傾斜する角度θは、30°〜60°であることが好ましい。角度θがこの範囲であると、圧電素子1が変位する際に圧電体層
2と表面電極5との境界に発生する応力がより分散され、表面電極5と積層体4との境界にクラックが発生することを抑制でき、また表面電極5が積層体4から剥離することを抑制できる。その結果、圧電素子1の高電圧駆動における耐久性をより向上することができる。
また図4に示す例のように、表面電極5の外周部8は、異なる形状の凹凸10を有していることが好ましい。異なる形状の凹凸10とは、凸部101と凹部102との形状が異なっていることである。このような構成とすることで、異なる形状の凸部101と凹部102によって、圧電素子1が変位する際に圧電体層2と表面電極5との境界に発生する応力がより分散され、表面電極5と積層体4との境界にクラックが発生することを抑制でき、また表面電極5が積層体4から剥離することを抑制できる。その結果、圧電素子1の高電圧駆動における耐久性をより向上することができる。さらに、このような構成とすることで、異なる形状の凸部101と凹部102によって、表面電極5の対称性が崩されることにより、共振の対称性が崩れてスプリアス振動が発生しやすくなって、ピークやディップがより平坦化され、圧電素子1を音響発生器11の振動源として用いた場合に音圧や音質等の音響性能を向上させることができる。
図5(a)は本実施形態の圧電素子の一例の概略平面図、図5(b)は図5(a)に示すZ−Z線で切断した一例の概略断面図である。また図6(a)、(b)は、図5(a)に示すZ−Z線で切断した他の例の概略断面図であり、表面電極5の縦断面形状のバリエーションを示す断面図である。図5および図6に示すように、表面電極5における外周部8の厚みが中央部9よりも薄くなっていることが好ましい。このような構成とすることで、焼き付けによる表面電極5の形成に伴う残留応力を低減し駆動時に発生する応力への残留応力の重畳を低減できるため、クラックや電極剥離の発生がさらに抑制され高電圧駆動における耐久性をさらに向上できる。中央部9は、図5(b)における表面電極5の中央領域で符号9で示し、全体の長さの80%程度の部分である。また外周部8は、図5(b)における表面電極5の外周領域で符号8で示し、全体の長さの10%程度の部分である。
図6(a)は、表面電極5の縦断面形状が2段の階段状になっており、外周部8の厚みが中央部9の厚みよりも薄くなっている構成であり、また、図6(b)は、表面電極5の縦断面形状が3段の階段状になっており、外周部8の厚みが中央部9の厚みよりも薄くなっている構成である。これに対し、図5(b)は、表面電極5は中央部9から外周部8に向かって徐々に厚みが薄くなっている構成である。このように図5(b)のような構成とすることで、電極形成に伴う残留応力を徐々に低減し駆動時に発生する応力への残留応力の重畳領域を分散することができるため、クラックや電極剥離の発生がさらに抑制され高電圧駆動における耐久性をさらに向上することができる。図5(b)において、h1は中央部9の厚みの平均値の厚みであり、h2は外周部8の全体の長さの1/2の位置における厚みであって、厚みh2は厚みh1の50%以下であることが好ましい。これにより、圧電素子1が変位する際に圧電体層2と内部電極層3との境界に発生する応力がより分散され、表面電極5と積層体4との境界にクラックが発生することを抑制でき、また表面電極5が積層体4から剥離することを抑制できる。その結果、圧電素子1の高電圧駆動における耐久性をより向上することができる。
次に、本実施形態の圧電素子の製造方法について説明する。
まず、圧電体層2となるセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系,ブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してセラミックスラリーを作製する。そして、ドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、このセラミックスラリーを用い
てセラミックグリーンシートを作製する。圧電セラミックスとしては圧電特性を有するものであればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。また、可塑剤としては、フタル酸ジブチル(DBP),フタル酸ジオクチル(DOP)等を用いることができる。
次に、内部電極層3となる導電性ペーストを作製する。具体的には、銀−パラジウムの金属粉末にバインダーおよび可塑剤を添加混合することによって導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを上記のセラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷法を用いて所望の内部電極層のパターンで塗布する。
そして、この導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層し、所定の温度で脱バインダー処理を行なった後、900℃〜1200℃の温度で焼成し、平面研削盤等を用いて所定の形状になるよう研削処理を施すことによって、交互に積層された内部電極層3および圧電体層2を備えた積層体4を作製する。
積層体4は、上記の製造方法によって作製されるものに限定されるものではなく、内部電極層3と圧電体層2とを複数積層してなる積層体4を作製できれば、どのような製造方法によって作製されてもよい。
その後、銀を主成分とする導電粒子とガラスとを混合したものに、バインダー,可塑剤および溶剤を加えて作製した銀ガラス含有導電性ペーストを、積層体4の主面および側面にスクリーン印刷法等によって印刷して乾燥させた後、600℃〜800℃の温度で焼き付け処理を行ない、表面電極5、側面電極6、折り返し電極7を形成する。
表面電極5の外周部8が凹凸10となるように形成する方法は以下の通りである。
表面電極5の形成は、上記したようにスクリーン印刷法によって形成され、使用するスクリーンメッシュ製版のスクリーンメッシュと組み合わせて、レジストの厚みを5μm以下となるように薄くした製版を作成する。さらに印刷条件とも組み合わせて、スクリーンメッシュの痕跡を残すように印刷を行い表面電極5の外周部8に凹凸10を作製する。また表面電極5の外周部8に凹凸パターンを設けた製版を用いて、同様に印刷法により形成してもよい。
なお、表面電極5と内部電極3とを電気的に接続するためには、上記のように積層体4の側面に形成された側面電極6にかえて、圧電体層2を貫通するように形成された貫通導体を用いてもよい。
その後、積層体4を分極処理して圧電活性を付与する。分極処理には直流電源装置を用いて、例えば図1および図2に示す圧電素子の場合は、表面電極を負極に、折り返し電極7を正極にそれぞれ接続し、例えば2kV/mm〜3kV/mmの電位差を、15℃〜35℃の雰囲気温度にて、印加時間として数秒印加すればよい。圧電材料の性質により、電圧、雰囲気温度、印加時間は好適に選定される。
上述のようにして所望の圧電素子1を得ることができ、給電部材(配線部材)が必要な場合は以下の方法で、圧電素子1に給電部材(配線部材)を接続すればよい。
例えば導電性接着剤を用いて、フレキシブル配線基板を圧電素子1に接続固定(接合)する場合、圧電素子1の所定の位置に導電性接着剤用ペーストをスクリーン印刷等の手法を用いて塗布形成する。その後、フレキシブル配線基板を当接させた状態で導電性接着剤用ペーストを硬化させることにより、フレキシブル配線基板を圧電素子1に接続固定する
。なお、導電性接着剤用ペーストは、フレキシブル配線基板側に塗布形成しておいてもよい。
なお、給電部材(配線部材)としては絶縁被覆したリード線を用い、接合材としてはんだを用いてもよく、同様の機能を有する部材を好適に選択できる。
次に、本実施形態の音響発生器の一例について説明する。
本実施形態の音響発生器11は、図8に示すように、上述の圧電素子1と、圧電素子1が取り付けられており、圧電素子1の振動によって振動する振動板12とを備えている。さらに、図に示す音響発生器11は、振動板2の外周部の少なくとも一部に設けられ、振動板12を支持する支持体としての枠体13とを備えている。
圧電素子1は、電圧の印加を受けて振動することによって振動板12を励振する励振器である。圧電素子1の主面と振動板の主面とがエポキシ系樹脂等の接着剤により接合され、圧電素子1が屈曲振動することにより、圧電素子1が振動板12に一定の振動を与えて音を発生させることができる。
振動板12は、その周縁部が枠体13に固定されていて、圧電素子1の振動によって圧電素子1とともに振動するようになっている。この振動板12は樹脂や金属等の種々の材料を用いて形成することができ、例えば厚さ10〜200μmのポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン等の樹脂フィルムで構成することができる。また、振動板12の形状は特に制限はなく、長方形板状などの多角形板状のもの以外に、円形板状や楕円形板状のものであってもよい。なお、樹脂フィルムで振動板12を構成する場合は、振動板12に張力がかかっている状態でその周縁部が枠体13に固定されていることが好ましい。振動板12を樹脂フィルムにより構成することで、振動板12を大きな振幅で屈曲振動させ、音圧の周波数特性における共振ピークの幅を広く、高さを低くして共振ピークとディップとの差を低減することができる。ただし、振動板12としては樹脂フィルムに限定されず、樹脂板、金属板、ガラス板などでもよく、例えば携帯端末等の電子機器の筐体の一部またはディスプレイの一部が振動板12として機能していてもよい。
枠体13は、振動板12の主面の外周部を支持する支持体として機能する。枠体13で振動板12の外周部を支持することによって振動空間を設けることで、振動板12の振幅が大きくなり、音圧を向上させることができる。枠体13としては、例えばステンレスなどの金属、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂など種々の材料を用いて形成することができる。
枠体13は振動板12の一方主面または他方主面へ接合材を介して接合される。接合材は、樹脂系接着剤や、粘弾性体をシート状に成型したものや、基材層と粘弾性体からなる層とを積層した構成のものなどを用いることができ、これらの材料としてアクリル系、エポキシ系等の接着剤やゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の粘着剤が用いられる。また、基材層としては、アセテートフォーム、アクリルフォーム、セロハン、ポリエチレンフォーム、紙、不織布が用いられる。
音響発生器11としては、枠体13を備えない構成とすることもできるが、図9に示す例のように、振動板12の圧電素子1が接合された主面に枠体13を接合すると、特に枠体13と接合材とを合わせた厚みが圧電素子1の厚みより大きい場合には、枠体13により圧電素子1を保護することができる。また、振動板12が支持され、電子機器の筐体等への固定も容易になる。
この枠体13は、図7(b)に示すように一つの枠部材からなるものでもよく、図7(c)に示すように上下の二つの枠部材からなるものでもよい。この場合、二つの枠部材で振動板を挟むことで、振動板12の張りを安定させることができる。なお、上下の枠部材は、それぞれの厚みが例えば100〜5000μmとされる。
本実施形態の音響発生器においては、図7(b)および図7(c)に示すように、圧電素子1から振動板12の表面の少なくとも一部(例えば圧電素子1の周辺部)までを覆うように設けられた樹脂層14をさらに有していてもよい。樹脂層14としては、例えばヤング率が例えば1MPa〜1GPaの範囲となるように形成され、例えばアクリル系樹脂を用いることができる。かかる樹脂層14に圧電を埋設することで適度なダンパー効果を誘発させることができるので、共振現象を抑制して、音圧の周波数特性におけるピークやディップを小さく抑えることができる。なお、図7(b)および図7(c)に示すように、樹脂層14は枠体13のうちの上の枠部材と同じ高さとなるように形成されていてもよい。
本実施形態の音響発生器は、周波数−音圧特性においてピークやディップが平坦化できる圧電素子を用いて構成されていることから、高音質を有するものとなる。このような音響発生器は、例えば、電子機器の筺体等に設けられた支持部へ振動板12を機械的に固定または、接合材を介して固定された状態、あるいは、小さい筐体を備えた音響発生装置を電子機器の筐体内に組み込んだ状態で、電子機器の音響発生源として用いることができる。
次に、本実施形態の音響発生装置の一例について説明する。
音響発生装置100はいわゆるスピーカのような発音装置であり、図8に示すように、本例の音響発生装置100は、音響発生器111と、音響発生器11を収容する筐体20を備える。なお、筐体20の一部が音響発生器11を構成する振動板12になっていてもよく、筐体20が音響発生器11を収容するとは、音響発生器11の一部(圧電素子1)を収容している状態も含むことを意味している。
筐体20は、音響発生器11の発する音響を内部で共鳴させるとともに、筐体20に形成された図示せぬ開口から音響を外部へ放射する。この筐体20は、例えば、アルミニウムやマグネシウム合金などの金属、ポリカーボネートなどの樹脂、木材など、種々の材料を用いて形成することができる。このような筐体20を有することにより、たとえば低周波数帯域における音圧を高めることができる。
かかる音響発生装置100は、スピーカとして単独で用いることができる他、後述するように、携帯端末や薄型テレビ、あるいはタブレット端末などへ好適に組み込むことが可能である。また、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、洗濯機などのように、従来、音質については重視されなかった家電製品に組み込むこともできる。
上述した本実施形態の音響発生装置は、周波数−音圧特性においてピークやディップが平坦化できる圧電素子を備えた音響発生器を用いて構成されていることから、高音質を有するものとなる。
次に、本実施形態の電子機器の一例について説明する。
図9に示すように、本実施形態の電子機器50は、音響発生器11と、音響発生器10に接続された電子回路60と、電子回路60および音響発生器11を収容する筐体70とを備え、音響発生器11から音響を発生させる機能を有する。なお、電子機器50として
は、音響発生器11を筐体70にそのまま収容するもののみならず、音響発生器11を収容した音響発生装置100(音響発生器11と筐体20とからなるもの)を筐体70に収容するものも含むことを意味している。また、筐体70の一部が音響発生器11を構成する振動板12となっていてもよい。
電子機器50は、電子回路60を備える。電子回路60としては、ディスプレイに表示させる画像情報や携帯端末によって伝達する音声情報を処理する回路、通信回路等が例示できる。これらの回路の少なくとも1つであってもよいし、全ての回路が含まれていても構わない。また、他の機能を有する回路であってもよい。さらに、複数の電子回路を有していても構わない。図に示す電子回路60は、コントローラ60aと、送受信部60bと、キー入力部60cと、マイク入力部60dとから構成される。電子回路60は、音響発生器11に接続されており、音響発生器11へ音声信号を出力する機能を有している。音響発生器11は電子回路60から入力された音声信号に基づいて音響を発生させる。
また、電子機器50は、表示部50aと、アンテナ50bと、音響発生器11とを備え、これら各デバイスを収容する筐体70を備える。なお、図9では、1つの筐体にコントローラ60aをはじめとする各デバイスがすべて収容されている状態をあらわしているが、各デバイスの収容形態を限定するものではない。本実施形態では、少なくとも電子回路60と音響発生器11とが、1つの筐体70に収容されていればよい。
コントローラ60aは、電子機器50の制御部である。送受信部60bは、コントローラ60aの制御に基づき、アンテナ50bを介してデータの送受信などを行う。キー入力部60cは、電子機器50の入力デバイスであり、操作者によるキー入力操作を受け付ける。キー入力部60cは、ボタン状のキーであってもよいし、表示部50と一体となっているタッチパネルであってもよい。マイク入力部60dは、同じく電子機器50の入力デバイスであり、操作者による音声入力操作などを受け付ける。表示部50aは、電子機器50の表示出力デバイスであり、コントローラ60aの制御に基づき、表示情報の出力を行う。
そして、音響発生器11は、電子機器60における音響出力デバイスとして動作する。なお、音響発生器11は、電子回路60のコントローラ60aに接続されており、コントローラ60aによって制御された電圧の印加を受けて音響を発することとなる。
なお、図9では、電子機器が携帯用端末装置であるものとして説明を行ったが、電子機器の種別を問うものではなく、音響を発する機能を有する様々な民生機器に適用されてよい。たとえば、薄型テレビやカーオーディオ機器は無論のこと、音響を発する機能を有する製品、例を挙げれば、掃除機や洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどといった種々の製品に用いられてよい。
上述した本実施形態の電子機器は、周波数−音圧特性においてピークやディップが平坦化できる圧電素子を備えた音響発生器を用いて構成されていることから、高音質を有するものとなる。
次に、本実施形態の音響発生器の具体例について説明する。
圧電素子は、長さが34.0mm、幅が15.0mm、厚みが0.2mmの長尺板状とした。また、圧電素子は、厚みが30μmの圧電体層と内部電極とが交互に積層された構造とし、圧電体層の総数は4〜50層とした。圧電体層は、Zrの一部をNb等で置換したチタン酸ジルコン酸鉛で形成し、内部電極は、銀パラジウムを用いた。
まず、銀パラジウムからなる導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷したものを複数枚準備し、これらを積層した後、加圧密着させ所定の寸法にカットし成形体を作製した。その後、所定の温度で脱脂を行った後、1000℃で焼成して積層焼結体を得た。
この積層焼結体の表面と側面に、銀からなる導電性ペーストを印刷し乾燥した後、700℃で焼成して表面電極、側面電極、折り返し電極を形成した。
表面電極は、メッシュ状の製販を用い、スクリーン印刷法によって形成した。その際、スクリーンメッシュの種類と印刷条件を選択的に行い、表面電極の外周部に凹凸を形成した。
次に、表面電極を介して各々の内部電極間に、室温にて2kV/mmの電位差の電圧を印加し、分極処理を施して圧電素子を作製した。
次に、アクリル系の嫌気性接着剤ペーストを用いて、圧電素子を長さ110mm、幅60mm、厚さ0.5mmのアクリル板(振動板)の長さ方向の一端部側へ接着した後、絶縁被覆を施したリード線をはんだで表面電極へ接合し、音響発生器を作製した。
上記のようにして作製した実施例となる音響発生器の振動板の両主面外周を、ポリブチレンテレフタレートで作製した音圧測定用の枠体治具で固定し、印加電圧30Vp−p、測定距離3cmの条件で周波数−音圧特性を測定した。その結果を図10(a)に示す。
一方、比較例として以下の方法で作製した音響発生器を準備した。
表面電極を形成する際、スクリーンメッシュの種類と印刷条件を選択的に行い、外周部に凹凸のない表面電極を形成した。その他の製造方法は上記実施例と同一として圧電素子を作製した。
この圧電素子を用い、上記実施例と同一の方法で音響発生器を作製し、上記実施例と同様に音響発生器の振動板の両主面外周を、ポリブチレンテレフタレートで作製した音圧測定用の枠体治具で固定し、印加電圧30Vp−p、測定距離3cmの条件で周波数−音圧特性を測定した。その結果を図10(b)に示す。
図10(a)と図10(b)との比較において、特に周波数が400Hz〜2kHzおよび、周波数が5kHz〜8kHzでの音圧のピークやディップを比較すると、実施例である図10(a)の方が比較例である図10(b)に対して、明らかに差が小さくなっていることがわかる。
また圧電素子単体にて表面電極にリード線を半田付け固定し、圧電素子を固着した状態で、引張り試験装置を用いて表面電極の剥がれの有無を確認した結果、比較例は表面電極が剥がれたのに対して、本実施例では表面電極の剥がれは確認されなかった。
以上のことから、圧電素子において、積層方向から見て、表面電極の外周部は凹凸を有していることで、表面電極が積層体から剥離することを抑制できることが確認できた。またこのような圧電素子を音響発生器の振動源として用いた場合に、周波数−音圧特性においてピークやディップが平坦化されるため、圧電素子の他方主面に振動板を接合して音響発生器とした場合の音質を向上できることが確認できた。
1 圧電素子
2 圧電体層
3 内部電極層
4 積層体
5 表面電極
6 側面電極
7 折り返し電極
8 外周部
9 中央部
10 凹凸
101 凸部
102 凹部
11 音響発生器
12 振動板
13 枠体
14 樹脂層
20、70 筺体
100 音響発生装置
50 電子機器
60 電子回路












Claims (7)

  1. 圧電体層と内部電極層とが積層された積層体の少なくとも一方主面に表面電極が設けられた圧電素子であって、積層方向から見て、前記表面電極の外周部は異なる形状の凹凸を有していることを特徴とする圧電素子。
  2. 前記表面電極における前記外周部の厚みが中央部の厚みよりも薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  3. 圧電体層と内部電極層とが積層された積層体の少なくとも一方主面に表面電極が設けられた圧電素子であって、積層方向から見て、前記表面電極の外周部は凹凸を有しており、前記表面電極における前記外周部の厚みが中央部の厚みよりも薄くなっていることを特徴とする圧電素子。
  4. 前記表面電極は前記中央部から前記外周部に向かって徐々に厚みが薄くなっていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の圧電素子。
  5. 請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の圧電素子と、該圧電素子の他方主面に取り付けられた振動板とを備えていることを特徴とする音響発生器。
  6. 請求項5に記載の音響発生器と、該音響発生器を収容する筐体とを備えていることを特徴とする音響発生装置。
  7. 請求項5に記載の音響発生器と、該音響発生器を構成する前記圧電素子に接続された電子回路と、前記音響発生器および前記電子回路を収容する筐体とを備えていることを特徴とする電子機器。
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