JP2017152575A - 積層型圧電素子およびこれを備えた音響発生器、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高電圧での連続駆動時に圧電体層と内部電極層との界面にクラックが生じるのを抑制できる積層型圧電素子およびこれを備えた音響発生器、電子機器を提供する。【解決手段】 本発明の積層型圧電素子1は、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とが積層された積層体13を備え、複数の内部電極層12における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返された形状である。これにより、高電圧での連続駆動時に圧電体層と内部電極層との界面にクラックが生じるのを抑制できる。【選択図】図1
Description
本発明は、積層型圧電素子およびこれを備えた音響発生器、電子機器に関するものである。
圧電体層と内部電極層とが複数積層された積層型圧電素子が知られている(例えば、特許文献1を参照)。積層型圧電素子の駆動による伸縮を利用して、当該積層型圧電素子は圧電アクチュエータや音響発生器として使用されている。
上記の積層型圧電素子においては、駆動時の電圧印加によって、圧電体層が変形するのに対し、内部電極層はほとんど変形しないことから、圧電体層と内部電極層との界面で応力が発生する。ここで、積層型圧電素子における圧電体層と内部電極層との界面が平坦であると、高電圧での連続駆動時に圧電体層と内部電極層との界面にクラックが発生するという問題があった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、高電圧での連続駆動時に圧電体層と内部電極層との界面にクラックが生じるのを抑制できる積層型圧電素子およびこれを備えた音響発生器、電子機器を提供することを目的とする。
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体層と複数の内部電極層とが積層された積層体を備え、前記複数の内部電極層における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返された形状であることを特徴とする。
また本発明の音響発生器は、上記の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子が取り付けられた振動板とを備えることを特徴とする。
また本発明の電子機器は、上記の音響発生器と、該音響発生器を構成する前記圧電素子に接続された電子回路と、前記音響発生器および前記電子回路を収容する筐体とを備えていることを特徴とする。
本発明の積層型圧電素子によれば、圧電体層と内部電極層との境界に発生する引っ張り応力がさまざまな向きに分散されるため、高電圧での連続駆動時に圧電体層と内部電極層との界面にクラックが生じるのを抑制することができる。
また本発明の音響発生器および電子機器によれば、高電圧での連続駆動に対する高い信頼性を有し、長期間にわたって良好な音質を発生させることができる。
本発明の積層型圧電素子の実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は本実施形態の積層型圧電素子の一例を示す概略斜視図、図1(b)は図1(a)に示すA−A線で切断した概略断面図である。図1に示す積層型圧電素子1は、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とが積層された積層体13を備え、複数の内部電極層12における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返された形状である。
本例の積層型圧電素子1を構成する積層体13は、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とが積層されて長方形板状(直方体状)にされてなるものである。携帯端末のディスプレイまたは筐体に取り付けられる積層型圧電素子の場合には、積層体13の長さとしては、例えば18mm〜28mmとされる。積層体13の幅は、例えば1mm〜6mmとされる。積層体13の厚みは、例えば0.2mm〜1.0mmとされる。
積層体13を構成する複数の圧電体層11は、圧電特性を有するセラミックスからなるもので、このようなセラミックスとして、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO3−PbTiO3)からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などを用いることができる。圧電体層11の一層の厚みは、低電圧で駆動させるために、例えば0.01〜0.1mmに設定することが好ましい。また、大きな屈曲振動を得るために、200pm/V以上の圧電d31定数を有することが好ましい。
積層体13を構成する複数の内部電極層12は、圧電体層11を形成するセラミックスと同時焼成により形成されたもので、第1の内部電極層121および第2の内部電極層122からなる。圧電体層11と交互に積層されて圧電体層11を上下から挟んでいる。この形成材料として、例えば低温焼成が可能な銀や銀−パラジウム合金を主成分とする導体、あるいは銅、白金などを含む導体を用いることができるが、これらにセラミック成分やガラス成分を含有させてもよい。
第1の内部電極層121および第2の内部電極層122の端部がそれぞれ積層体13の対向する一対の側面(端面)に互い違いに導出されている。携帯端末のディスプレイまたは筐体に取り付けられる積層型圧電素子1の場合には、内部電極層12の長さは、例えば17mm〜25mmとされる。内部電極層12の幅は、例えば1mm〜5mmとされる。
また、積層体13の第1の主面(図の上面)には第1の表面電極141、第2の表面電極142が設けられている。図に示す例では、第1の表面電極141が積層体13の第1の主面(図の上面)および第2の主面(図の下面)に設けられ、第2の表面電極142が第1の主面(図の上面)のみに設けられている。
第1の表面電極141を第1および第2の両主面に設けることで、積層体13の最外の圧電体層11を第2の内部電極層122と第1の表面電極141とで挟むことになり、最外の圧電体層11に駆動電圧を印加して積層型圧電素子1の振動に寄与させることができる。第2の表面電極142も積層体13の両主面に設けてもかまわない。なお、第1の表面電極141、第2の表面電極142の形成材料としては、銀や銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
また、積層体13の対向する一対の側面(端面)には、第1の側面電極151、第2の側面電極152が設けられていて、第1の側面電極151によって第1の内部電極層121と表面電極141とが電気的に接続されているとともに、第2の側面電極152によって第2の内部電極層122と表面電極142とが電気的に接続されている。第1の側面電極151、第2の側面電極152の形成材料としては、第1の表面電極141、第2の表面電極142と同様の、銀や銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。なお、第1の表面電極141、第2の表面電極142と第1の内部電極層121、第2の内部電極層122との電気的な接続は、本例のような第1の側面電極151、第2の側面電極152にかえて、圧電体層11を貫通する貫通導体によってもよい。
なお、積層型圧電素子1(積層体13)の形状は特に制限はなく、図1に示す例のような矩形状などの多角形状以外に、円形状や楕円形状であってもよい。また、積層型圧電素子1(積層体13)の積層構造として、ユニモルフ構造に限られず、バイモルフ構造であってもよい。
そして、複数の内部電極層12における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返された形状となっている。
このような構成とすることで、圧電体層11と内部電極層12との境界に発生する引っ張り応力がさまざまな向きに分散されるため、高電圧での連続駆動時に圧電体層11と内部電極層12との界面にクラックが生じるのを抑制することができ、信頼性の高い積層型圧電素子1とすることができる。
ここで、凹凸の繰り返された形状のパターンとしては、図2に示すような突起123を一方主面および他方主面に縦横に並べて設けたパターンが挙げられる。図2に示す例では、突起123は円柱状になっているが、突起123としてはこのような形状に限られず、円錐状等どのような形状でもよい。なお、一方主面および他方主面に設けられた突起123の高さを除く内部電極層12の厚みが0.1〜5.0μmの場合に、突起123の起点となる部位を断面で見たときの幅は例えば10〜200μmに設定され、隣り合う突起123の起点と突起123の起点との間隔は例えば10〜200μmに設定される。また、突起123の高さは、例えば0.5〜10μmに設定される。
また、図3に示すような突条124(言い換えると、線状に延びた突起またはリブ)を一方主面および他方主面に縦横に並べて網目状に設けたパターンも挙げられる。図3に示す例において、一方主面および他方主面に設けられた突条124の高さを除く内部電極層12の厚みが0.1〜5.0μmの場合に、突条124の起点となる部位を断面で見たときの幅は例えば10〜200μmに設定され、隣り合う突条124の起点と突条124の起点との間隔は、例えば10〜200μmに設定される。また、突条124の高さは、例えば0.5〜10μmに設定される。
ここで、図4に示すように、複数の内部電極層12における一方主面および他方主面の
形状が面内方向に一様に曲面状の凹凸が繰り返された形状であるのがよい。言い換えると、凹凸が曲面で構成されているのがよい。上述の図2に示す例においては、突起123および突起123とそれ以外の領域との境界に角がある形状を示したが、図4に示す例では、突起123および突起123とそれ以外の領域との境界が全て曲面になっている。
形状が面内方向に一様に曲面状の凹凸が繰り返された形状であるのがよい。言い換えると、凹凸が曲面で構成されているのがよい。上述の図2に示す例においては、突起123および突起123とそれ以外の領域との境界に角がある形状を示したが、図4に示す例では、突起123および突起123とそれ以外の領域との境界が全て曲面になっている。
なお、図示しないが、上述の図3に示す例における突条124および突条124とそれ以外の領域との境界の角の全てに丸みをもたせた形状とし、突条124および突条124とそれ以外の領域との境界が全て曲面になってもよい。
このような構成とすることで、局所的に集中する応力が発生しにくくなるため、圧電体層11と内部電極層12との境界に発生する引っ張り応力が更に分散されて、よりクラックを抑制できる。
これまでの例では、複数の内部電極層12における一方主面および他方主面に突起123や突条124が縦横にきれいに並んで配列されて面内方向に一様に凹凸が繰り返された形状について述べてきたが、このような例に限定されず、凹凸が複雑に入り乱れたパターンになっていてもよい。
図5は、複数の内部電極層12における一方主面および他方主面において、面内方向に一様に凹凸が複雑に入り乱れたパターンの例を示しており、その断面の一部を拡大したものである。図5に示す例では、隣り合う凹凸の底から頂点までの高さがh1〜h5のように異なる高さとなっており、隣り合う凹凸の頂点から頂点までの内部電極層12の主面に平行な方向の直線距離(間隔)がp1、p2のように異なる距離となっている。この隣り合う凹凸の底から頂点までの高さ(h1〜h5)は、例えば0.5〜10μmの範囲内となるように設定される。また、隣り合う凹凸の頂点から頂点までの内部電極層12の主面に平行な方向の直線距離(p1,p2)は、例えば20〜200μmの範囲内となるように設定される。
なお、複数の内部電極層12における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸が繰り返された形状は、積層型圧電素子1(積層体13)をダイサーなどのスライシングマシーンで複数の切断片に加工し、その断面を電子顕微鏡で観察することで、確認することができる。
次に、本実施形態の積層型圧電素子1の製造方法の一例について説明する。
まず、圧電体層11となるセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系,ブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してセラミックスラリーを作製する。そして、ドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、このセラミックスラリーを用いてセラミックグリーンシートを作製する。圧電セラミックスとしては圧電特性を有するものであればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO3−PbTiO3)からなるペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。また、可塑剤としては、フタル酸ジブチル(DBP),フタル酸ジオクチル(DOP)等を用いることができる。
次に、内部電極層12となる導電性ペーストを作製する。具体的には、銀−パラジウム合金の金属粉末にバインダーおよび可塑剤を添加混合することによって導電性ペーストを作製する。そして、セラミックグリーンシート上に、内部電極層12となる導電性ペーストを例えばスクリーン印刷等の印刷法によって内部電極層12のパターン形状に塗布する。この導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層して、上下から所定の圧力で加圧して、セラミックグリーンシート積層体を作製する。このセラミック
グリーンシート積層体を所定の温度で加熱して脱バインダー処理を行なった後、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等を主成分とする焼成鉢中で900℃〜1200℃の温度で焼成することによって、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とが積層された、焼結体である積層体13を作製する。積層体13は、例えば平面研削盤等を用いて研削処理を施すなどして所定の形状に整えてもよい。
グリーンシート積層体を所定の温度で加熱して脱バインダー処理を行なった後、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等を主成分とする焼成鉢中で900℃〜1200℃の温度で焼成することによって、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とが積層された、焼結体である積層体13を作製する。積層体13は、例えば平面研削盤等を用いて研削処理を施すなどして所定の形状に整えてもよい。
ここで、内部電極層12において、一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返された形状とするためには、導電性ペーストを異なるパターンで2回スクリーン印刷法を用いて塗布すればよい。例えば、1回目のスクリーン印刷では通常の内部電極層を形成するのと同様のパターンに印刷を行い、2回目のスクリーン印刷では突起123や突条124(リブ)を形成するようなパターンの印刷を行えばよい。なお、このような方法によっても、セラミックグリーンシートの積層の際に所定の圧力で加圧することで、内部電極層12の一方主面および他方主面の両主面に突起123や突条124(リブ)を有する形状とすることができる。
なお、積層体13は、上記の製造方法によって作製されるものに限定されるものではなく、圧電体層11と内部電極層12とを複数積層してなる積層体13を作製できれば、どのような製造方法によって作製されてもよい。
その後、銀を主成分とする導電粒子とガラスとを混合したものに、バインダー,可塑剤および溶剤を加えて作製した銀ガラス含有導電性ペーストを、第1の表面電極141、第2の表面電極142、第1の側面電極151および第2の側面電極152のパターンで積層体13の主面および側面にスクリーン印刷法等によって印刷して乾燥させた後、650〜750℃の温度で焼き付け処理を行ない、第1の表面電極141、第2の表面電極142を形成する。
なお、第1の表面電極141、第2の表面電極142と第1の内部電極層121、第2の内部電極層122との電気的な接続は、第1の側面電極151および第2の側面電極152にかえて、圧電体層11を貫通する貫通導体によって接続してもよい。この場合は、例えば、第1の表面電極141、第2の表面電極142、第1の側面電極151および第2の側面電極152となる導電性ペーストの印刷の前に、金型による打ち抜き加工やレーザー加工による穴あけ加工によってセラミックグリーンシートに貫通孔を形成し、この貫通孔に貫通導体となる導電性ペーストを印刷法によって充填しておけばよい。貫通導体となる導電性ペーストは、第1の表面電極141、第2の表面電極142、第1の側面電極151および第2の側面電極152となる導電性ペーストと同様のものバインダーや溶剤の量を調整することによって粘度を調整したものを用いればよい。
積層型圧電素子1に分極処理を施して圧電活性を付与することで、電圧の印加により屈曲振動する振動発生体となる。分極処理には直流電源装置を用いて、例えば2kV/mm〜3kV/mmの電位差を、15℃〜35℃の雰囲気温度にて、印加時間として数秒印加すればよい。圧電材料の性質により、電圧、雰囲気温度、印加時間は好適に選定される。
以上の方法により、積層型圧電素子1を製造することができる。
次に、本実施形態の音響発生器の一例について、図6を参照して説明する。
図6に示す音響発生器10は、上述の積層型圧電素子1と、積層型圧電素子1が取り付けられた振動板2とを備えている。
振動板2は、例えば矩形状の薄板である。振動板2は、黄銅、リン青銅、ステンレス等
の金属や、ガラスや、アクリル系、ポリカーボネート系等の樹脂や、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂フィルムを好適に用いることができる。振動板2の形状は特に制限はなく、図5に示す例のような矩形状などの多角形板状のもの以外に、円形板状や楕円形板状のものであってもよい。振動板2の厚みは、例えば0.4mm〜1.5mmに設定される。
の金属や、ガラスや、アクリル系、ポリカーボネート系等の樹脂や、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂フィルムを好適に用いることができる。振動板2の形状は特に制限はなく、図5に示す例のような矩形状などの多角形板状のもの以外に、円形板状や楕円形板状のものであってもよい。振動板2の厚みは、例えば0.4mm〜1.5mmに設定される。
積層型圧電素子1の第2の主面(図の下面)が、接合材3を介して振動板2に接合されている。接合材3は、樹脂系接着剤や、粘弾性体をシート状に成型したものや、基材層と粘弾性体からなる層とを積層した構成のもの(両面テープ)などを用いることができ、これらの材料としてアクリル系、エポキシ系等の接着剤やゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の粘着剤が用いられる。また、基材層としては、アセテートフォーム、アクリルフォーム、セロハン、ポリエチレンフォーム、紙、不織布が用いられる。中でも、接合材3の少なくとも一部が粘弾性体で構成されていることで、積層型圧電素子1からの強い振動を振動板2へ伝える一方、振動板2から反射される弱い振動を接合材3が吸収することができる点で好ましい。接合材3の厚みとしては、例えば0.1mm〜2mmに設定することができる。ただし、接合材3の材質に限定はなく、接合材3が振動板2よりも固く変形し難いもので形成されていても構わず、場合によっては、接合材3を有していない構成であっても構わない。
このような構成の音響発生器10は、積層型圧電素子1に電気信号を加えることによって積層型圧電素子1を屈曲振動させ、振動板2を振動させて、音響を発生する。なお、振動板2の周囲を、図示せぬ枠部材によって支持しても構わない。
本例の音響発生器10は、高電圧での連続駆動時に圧電体層11と内部電極層12との界面にクラックが生じるのを抑制した積層型圧電素子1を用いて構成されていることから、高電圧での連続駆動に対する高い信頼性を有し、長期間にわたって良好な音質を発生させることができる。
次に、音響発生器10を搭載した電子機器の一例について、図7を参照して説明する。図7は、電子機器50の構成を示すブロック図である。なお、図7においては、電子機器50が携帯端末である場合の例を示しており、説明に必要となる構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
図7に示すように、本例の電子機器50は、音響発生器10と、音響発生器10を構成する積層型圧電素子1に接続された電子回路60と、電子回路60および音響発生器10を収容する筐体70とを備え、音響発生器10から音響を発生させる機能を有する。なお、本実施形態の電子機器50としては、音響発生器10を筐体70に収容したもののみならず、筐体70の一部が音響発生器10を構成する振動板2となっていてもよい。
電子機器50は、電子回路60を備えている。電子回路60としては、例えば、ディスプレイに表示させる画像情報や携帯端末によって伝達する音声情報を処理する回路や、通信回路等が例示できる。これらの回路の少なくとも1つであってもよいし、全ての回路が含まれていても構わない。また、他の機能を有する回路であってもよい。さらに、複数の電子回路を有していても構わない。なお、電子回路60と積層型圧電素子1とは図示しない接続用配線で接続されている。
図に示す電子回路60は、例えば、コントローラ60aと、送受信部60bと、キー入力部60cと、マイク入力部60dとから構成される。電子回路60は、音響発生器10に接続されており、音響発生器10へ音声信号を出力する機能を有している。音響発生器10は電子回路60から入力された音声信号に基づいて音響を発生させる。
また、電子機器50は、表示部50aと、アンテナ50bと、音響発生器10とを備えている。また、電子機器50は、これら各デバイスを収容する筐体70を備えている。なお、図7では、1つの筐体70にコントローラ60aをはじめとする各デバイスがすべて収容されている状態をあらわしているが、各デバイスの収容形態を限定するものではない。本実施形態では、少なくとも電子回路60と音響発生器10とが、1つの筐体70に収容されていればよい。
コントローラ60aは、電子機器50の制御部である。送受信部60bは、コントローラ60aの制御に基づき、アンテナ50bを介してデータの送受信などを行う。キー入力部60cは、電子機器50の入力デバイスであり、操作者によるキー入力操作を受け付ける。キー入力部60cは、ボタン状のキーであってもよいし、表示部50と一体となっているタッチパネルであってもよい。マイク入力部60dは、同じく電子機器50の入力デバイスであり、操作者による音声入力操作などを受け付ける。表示部50aは、電子機器50の表示出力デバイスであり、コントローラ60aの制御に基づき、表示情報の出力を行うものであり、ディスプレイに相当する。なお、ディスプレイとしては、例えば、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の既知のディスプレイを好適に用いることができる。
そして、音響発生器10は、電子機器50における音響出力デバイスとして動作する。なお、音響発生器10は、電子回路60のコントローラ60aに接続されており、コントローラ60aによって制御された電圧の印加を受けて音響を発することとなる。
なお、電子機器50として、アンテナなどを介してデータの送受信などを行う通信手段を有する携帯端末について説明を行ったが、電子機器50の種別を問うものではなく、音響を発する機能を有する様々な民生機器に適用されてよい。たとえば、薄型テレビやカーオーディオ機器は無論のこと、音響を発する機能を有する製品、例を挙げれば、掃除機や洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどといった種々の製品に用いられてよい。
このような電子機器50は、高電圧での連続駆動時に圧電体層11と内部電極層12との界面にクラックが生じるのを抑制した積層型圧電素子1を用いて構成されていることから、高電圧での連続駆動に対する高い信頼性を有し、長期間にわたって良好な音質を発生させることができる。
本発明の積層型圧電素子の具体例について説明する。
以下に示すような積層型圧電素子を作製した。
積層型圧電素子は、長さが23.5mmで、幅が3.3mmで、厚みが0.5mmの直方体状とした。この積層型圧電素子は、厚みが30μmの圧電体層と内部電極層とが交互に積層された構造とし、圧電体層の総数は16層とした。圧電体層はチタン酸ジルコン酸鉛で形成し、内部電極層は銀パラジウムの合金を用いた。
銀パラジウムからなる内部電極層用の導電性ペーストは、セラミックグリーンシートに異なるパターンで2回印刷し、図2に示すような、内部電極層における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返された形状を形成した。
銀パラジウムからなる導電性ペーストの印刷されたセラミックグリーンシートを積層した後、加圧密着させ、所定の温度で脱脂を行った後、1000℃で焼成を行い、積層焼結体を得た。
次に、銀からなる導電性ペーストを用いて表面電極および側面電極を形成した。
表面電極を介して、内部電極層間(第1の内部電極層と第2の内部電極層との間)に、2kV/mmの電界強度の電圧を印加し、積層型圧電素子に分極を施し、本発明実施例の積層型圧電素子を作製した。
一方、比較例として、内部電極層用の導電性ペーストをセラミックグリーンシートに1回印刷し、内部電極層における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返されていない積層型圧電素子を作製した。
そして、それぞれの積層型圧電素子に1kHzの周波数で、実効値10.6Vrms 1700V/mmの正弦波信号を170時間印加し、連続駆動試験を行った。その後、それぞれの積層型圧電素子(積層体)をスライシングマシーン(ダイサー)で複数の切断片に加工し、その断面を電子顕微鏡で観察し、圧電体層と内部電極層との間のクラック(剥離)について発生の有無を観察した。
その結果、本発明実施例の積層型圧電素子には、圧電体層と内部電極層との界面にクラックが観測されなかったのに対し、比較例の積層型圧電素子にはクラックが観測された。すなわち、本発明の積層型圧電素子を用いることで、圧電体層と内部電極層との界面にクラックが生じるのを抑制することができ、信頼性の高い積層型圧電素子とすることができることが確認できた。
1 積層型圧電素子
11 圧電体層
12 内部電極層
121 第1の内部電極層
122 第2の内部電極層
123 突起
124 突条(リブ)
13 積層体
141 第1の表面電極
142 第2の表面電極
151 第1の側面電極
152 第2の側面電極
2 振動板
3 接合材
11 圧電体層
12 内部電極層
121 第1の内部電極層
122 第2の内部電極層
123 突起
124 突条(リブ)
13 積層体
141 第1の表面電極
142 第2の表面電極
151 第1の側面電極
152 第2の側面電極
2 振動板
3 接合材
Claims (4)
- 複数の圧電体層と複数の内部電極層とが積層された積層体を備え、前記複数の内部電極層における一方主面および他方主面の形状が面内方向に一様に凹凸の繰り返された形状であることを特徴とする積層型圧電素子。
- 前記複数の内部電極層における前記一方主面および前記他方主面の形状が面内方向に一様に曲面状の凹凸が繰り返された形状であることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
- 請求項1または請求項2に記載の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子が取り付けられた振動板とを備えることを特徴とする音響発生器。
- 請求項3に記載の音響発生器と、該音響発生器を構成する前記積層型圧電素子に接続された電子回路と、前記音響発生器および前記電子回路を収容する筐体とを備えていることを特徴とする電子機器。
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2016
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