本発明は、化粧室や公衆洗面所においてユーザが手を洗った後に乾燥させるための手乾燥装置に関し、特に、設定等の操作部に静電容量の変化によって検知するスイッチを用いた手乾燥装置に関する。
従来のハンドドライヤ(手乾燥装置)は、外郭を形成する本体と、本体に配置された空気流を送風する電動送風機と、本体の開放部から挿入された手を乾燥する手挿入部と、手挿入部に挿入された手を検知する手検知部と、電動送風機の動作を制御する制御部と、電源の入切や制御部の設定等を行う操作部と、本体下面に配置されている吸気口と、吸気口から吸気した空気が電動送風機を通り、空気流として送風されるノズル部と、手検知部で検知した入力信号を処理し電動送風機を始動させる制御部と、手挿入部の底部に溜まった水分を排水させる排水口とを備えている。
このうち操作部は、人の手によって操作されるため、本体の外側に配置されているが、手乾燥装置は水回り環境に設置されるため、防水構造を必要とする。
この問題を解決するために、例えば特許文献1に記載されているように、操作部を水のかからない下部や背面に設け、水の付着を防止しているものがある。
しかしながら、特許文献1の方法では、操作部の位置が制限され、さらに操作部が直接見えないため操作性が悪くなる。
別の解決手段として、静電容量の変化により指の接触を検知する静電容量スイッチの採用が考えられる。静電容量スイッチでは、外郭に穴等を開ける必要がなく特別な防水構造を必要としない。また、防水構造が不要であるため、本体のどの位置にでも配置が可能である。
操作部に静電容量スイッチを用いた場合、水が付着した際に水の静電容量を指の静電容量と誤検知してしまう可能性がある。小さな水滴に関しては、指の静電容量との差が大きいため、検知用の閾値を設けることで誤検知を防止できる。しかし、本体を伝うような大きな水滴の誤検知を防止できるようにするためには、検出用の閾値を高く設定する必要があるが、この場合には指をしっかりと接触させないと指を検出できなくなり、操作性が悪くなる。また、検知を確定させるための時間を長くすると、風量設定等の連続で行う必要がある操作の場合、一回ごとの操作時間が長くなり、操作性が悪くなる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、設定時の操作感や操作性を悪化させることなく、操作部への水の付着によってスイッチが誤動作したり、操作部の水拭き清掃時に不意に装置設定が変更されてしまうことを防止できる手乾燥装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ユーザが手を挿入可能な手挿入部が形成された筐体と、筐体の内部に設置された送風モータと、手挿入部にユーザの手が挿入されたことを検知する手検知センサと、該手検知センサがユーザの手を検知した場合に、送風モータが発生させた気流を手挿入部に噴射する送風口とを有する手乾燥装置であって、装置設定を変更するための静電容量方式の複数のスイッチを備えた操作部と、操作部の複数のスイッチの操作を無効化するキーロックのオン/オフを設定するキーロック手段とを有することを特徴とする。
本発明にかかる手乾燥装置は、設定時の操作感や操作性を悪化させることなく、操作部への水の付着によってスイッチが誤動作したり、操作部の水拭き清掃時に不意に装置設定が変更されてしまうことを防止できるという効果を奏する。
図1は、本発明にかかる手乾燥装置の実施の形態1としてのハンドドライヤの構成を示す斜視図である。
図2は、ハンドドライヤに対して前後方向に平行に延びる鉛直断面から見た断面図である。
図3は、操作部の拡大図である。
図4は、静電容量スイッチに指を接触させた場合の静電容量の変化を示す図である。
図5は、静電容量スイッチに水が付着した場合の静電容量の変化を示す図である。
図6は、キーロック時の動作の流れを示すフローチャートである。
図7は、本発明にかかる手乾燥装置の実施の形態2のハンドドライヤの操作部を示す図である。
以下に、本発明にかかる手乾燥装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる手乾燥装置の実施の形態1としてのハンドドライヤの構成を示す斜視図である。図2は、ハンドドライヤに対して前後方向に平行に延びる鉛直断面から見た断面図である。ハンドドライヤ1の筐体10は、ユーザに対して概ね前後に配置された前方フランジ(前方張出部、ユーザに近い張出部)18及び後方フランジ(後方張出部、ユーザから遠い張出部)19を有し、それらの間に手挿入部11が形成されている。
ハンドドライヤ1は、手挿入部11内にユーザの手が挿入されたか否かを検知するための手検知センサ20と、手挿入部11内に挿入されたユーザの濡れた手を乾燥させるための乾燥風を形成するための送風モータ21を含む送風部とを有する。
ユーザが手挿入部11内に手を挿入すると、手検知センサ20は、手挿入部11内に手が挿入されたことを検知し、制御部22へ伝達する。手の挿入検知を受け取った制御部22は、送風モータ21を動作させ、送風口12から高速空気が噴出される。
本体外装には、風量等を調整する際に設定を行う操作部13が設けられている。なお、操作部13の位置は、正面下部に限らず、正面上部や側面、後方フランジ19に配置されていても良い。
図3は、操作部の拡大図である。操作部13は、風量の調整、ヒータの入/切など、本体の動作に係る機能を設定・変更するスイッチであり、静電容量を検出する電極を内包した操作スイッチとして、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cを備えている。また、操作部13には、キーロックスイッチ15も配置されている。電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15は、ユーザの指が触れることで電極の静電容量が変化し、変化した静電容量によってスイッチの判定を行う静電容量スイッチである。
なお、実施の形態1では、キーロックスイッチ15として静電容量スイッチを採用した例を示したが、キーロックスイッチ15は、静電容量スイッチに限らず、機械式のシーソースイッチやタクトスイッチであっても良い。また、配置位置も操作部13に限られることはなく、側面や底面に配置されていてもよい。
操作部13には、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15の上方の近傍に、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15によって設定されたそれぞれの状態を報知するLEDランプ71a1〜71dが設けられている。電源入/切スイッチ14aには、「切」及び「入」の表示文字の上に対応してそれぞれLEDランプ71a1,71a2が設けられており、それぞれのLEDランプ71a1,71a2の点灯で、電源が入っている状態又は電源が切れている状態を報知している。また、風量調節スイッチ14bの上方には、5個のLEDランプ71b1〜71b5が横一列に並べて設けられており、送風口12から吹き出される風量の大きさを報知しており、左から順に点灯することで風量が大きいことを報知している。
また、ヒータスイッチ14cの上方には、LEDランプ71cが設けられ、送風口12から吹き出す空気を加熱するヒータ(図示せず)が「入」の場合には点灯し、ヒータが「切」の場合は消灯して、ヒータの入切状態を報知している。また、キーロックスイッチ15の上方には、LEDランプ71dが設けられ、キーロックが設定されている場合には点灯し、キーロックが設定されていない場合には消灯して、キーロックの設定状態を表示している。
図4は、静電容量スイッチに指を接触させた場合の静電容量の変化を示す図である。図5は、静電容量スイッチに水が付着した場合の静電容量の変化を示す図である。静電容量スイッチでは指の接触面積によって静電容量が変化するため、指をしっかり接触させることで、図4中のA線のように静電容量の変化が大きくなるが、軽く触れたり静電容量スイッチの端に触れるなどすると、図4中のB線のように静電容量の変化は小さくなる。
また、静電容量スイッチでは、水などの導体が触れると、指で触れた場合と同様に、静電容量が変化する。小さな水滴の場合は、図5中のC線のように静電容量の変化は小さいが、本体を伝うような大きな水滴が静電容量スイッチの上を通る場合、図5中のD線のように、静電容量の変化はやや大きくなる。
ここで、水の付着による誤検知を防止するために、スイッチ検知の閾値を高く設定すると、スイッチに軽く触れただけでは検出できなくなるため、操作感が悪くなる。逆に閾値を低く設定すると、大きな水滴が付着した場合に指が触れたと誤検知してしまう。
例えば、検知閾値41を設定した場合、指をしっかり接触させれば静電容量が検知閾値41以上となってスイッチ操作を検出でき、かつ、水滴が付着しても静電容量は検知閾値41以上とはならないため誤検出は発生しない。ただし、ユーザの指が軽く触れたり静電容量スイッチの端に触れたりした場合は、静電容量は検知閾値41以上とならないため、操作感が悪くなる。
また、検知閾値42を設定した場合、ユーザの指が軽く触れたり静電容量スイッチの端に触れたりしても静電容量が検知閾値42以上となってスイッチ操作を検出できるため操作感は良くなる。ただし、水滴が付着しても静電容量は検知閾値42以上となるため、水滴が付着すると、指が触れたと誤検知してしまう。
なお、本体を伝うような大きな水滴は、静電容量スイッチ上に留まらず短時間で流れ去るため、閾値を超えた変化が一定時間以上継続した場合に検知とすることで誤検知を防止することができるが、操作する際に一定時間以上静電容量スイッチに触れておく必要がある。風量の設定など複数回操作する必要があるスイッチの場合、1回あたりの操作時間が長くなるため、操作性が悪くなる。
そこで、ハンドドライヤ1では、操作するスイッチの機能によって、操作を受け付けるまでに触れている必要時間を変えている。電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14cの切り替え及びキーロックスイッチ15でのキーロック設定時の必要時間はどれも同じであるが、キーロックスイッチ15でのキーロック解除時のみ必要時間を長くし、例えば、約2秒以上触れ続けていないと操作を受け付けないようになっている。このようにすることで、できるだけ操作性を良好に維持するとともに、水滴の流下においても誤動作を防止できる。
次に、動作の概要について説明する。電源入/切スイッチ14aの「切」に対応する赤いLEDランプ71a1が点灯している状態は、ハンドドライヤ1の電源が切れている状態である。まず、電源入/切スイッチ14aに指を触れると、電源入/切スイッチ14aが動作して電源が入り、「入」に対応するLEDランプ71a2が点灯するとともに、「切」に対応する赤いLEDランプ71a1は消灯する。電源が入れられると、ハンドドライヤ1はいつでも使用可能な待機状態となる。したがって、手挿入部11に濡れた手を挿入すれば、手検知センサ20が手を検知して送風モータ21を動作させ、送風口12から空気が吹き出され、手を乾燥させることができる。
また、電源が入れられると、風量調節スイッチ14bに対応するLEDランプ71b1〜71b5、ヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71c及びキーロックスイッチ15に対応するLEDランプ71dのそれぞれが、その時点での設定状態に合わせて点灯又は消灯のままとなり、それぞれの設定状態を報知する。電源が入っている状態で電源入/切スイッチ14aに触れると、ハンドドライヤ1の電源が切れ、「切」に対応するLEDランプ71a1が点灯するとともに、「入」に対応するLEDランプ71a2が消灯し、風量調節スイッチ14bに対応するLEDランプ71b1〜71b5、ヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71c及びキーロックスイッチ15に対応するLEDランプ71dは全て消灯する。
電源が入った状態においてのみ、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15の受付が可能となる。電源が入っている状態で風量調節スイッチ14bに触れると、一度触れるたびに風量が一段階ずつ大きくなり、対応するLEDランプ71b1〜71b5が左から順に点灯していく。風量は、5段階設けられ、横並びの5個のLEDランプ71b1〜71b5が全て点灯した状態が最大風量に設定されていることを意味する。最大風量に設定されている状態で更に風量調節スイッチ14bを一度操作すると、最小風量に戻り、横並びの5個のLEDランプ71b1〜71b5のうち、左端のLEDランプ71b1のみが点灯し、残りのLEDランプ71b2,71b3,71b4,71b5は消灯する。
電源が入った状態でヒータスイッチ14cに触れると、不図示のヒータの「入」・「切」を切り替えることができ、ヒータが「入」の設定状態であれば、ヒータが動作し対応するLEDランプ71cが点灯する。ヒータが「切」の設定状態であれば、ヒータは動作せず、LEDランプ71cは消灯している。ヒータの入・切の切り替えは、ヒータスイッチ14cに触れるたびに順に「入」と「切」とを繰り返す。
電源が入った状態でキーロックスイッチ15に触れると、キーロックの設定を切り替えることができる。キーロックが設定された状態では、対応するLEDランプ71dが点滅し、キーロックが設定されていない状態では対応するLEDランプ71dが消灯している。キーロックが設定されていない状態でキーロックスイッチ15に触れると、キーロックが設定され、キーロックが設定されている状態でキーロックスイッチ15に触れるとキーロックが解除される。ただし、上述したように、キーロックを解除させるときは、キーロックスイッチ15を2秒以上触れていないと操作を受け付けないようになっている。
キーロックが設定されると、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作受付が禁止される。このため、キーロックが設定されている状態では、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cのいずれに指を触れても操作は受け付けられず、設定の切り替えや変更はできないようになっている。
図6は、キーロック時の動作の流れを示すフローチャートである。操作部13のいずれかのスイッチが操作されると、制御部22は、キーロックが設定されているか否かを判断する(ステップS101)。キーロックが設定されている場合は(ステップS101/YES)、制御部22はキーロックスイッチ15に対する操作であるか否かを判断し(ステップS102)、キーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作であれば(ステップS102/NO)、操作を受け付けない。キーロックスイッチ15に対する操作であれば(ステップS102/YES)、制御部22はキーロックを解除する(ステップS103)。キーロックが設定されていない場合は(ステップS101/NO)、制御部22はキーロックスイッチ15に対する操作であるか否かを判断する(ステップS104)。キーロックスイッチ15に対する操作であれば(ステップS104/YES)、制御部22はキーロックを設定する(ステップS105)。キーロックスイッチ15に対する操作では無い場合(ステップS104/NO)、キーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作であるかを判断する(ステップS106)。キーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作であれば(ステップS106/YES)、制御部22は操作されたスイッチに対応する設定変更を行う(ステップS107)。必要接触時間に満たない場合など、制御部22がキーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作と認識できなかった場合(ステップS106/NO)、ステップS101に戻る。
このようにハンドドライヤ1は、キーロックが設定されていない状態で、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cが操作された場合のみ本体設定を変更する。よって、前述の検知閾値が低く設定されていても、キーロック設定中はキーロックスイッチ15以外の操作を受け付けないため、静電容量スイッチに大きな水滴が付着しても誤動作せず、キーロック解除時には短時間の軽い接触でもスイッチの操作を受け付け、設定を変更できる。
また、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15のいずれかの操作後、30秒間にいずれのスイッチも操作されなかった場合には、自動的にキーロックに設定変更されてキーロック状態になる。したがって、設定操作終了後は自動的にキーロック状態になる。
本実施の形態によれば、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作を受け付けないようにするキーロック機能を持つため、操作部13のスイッチとして静電容量スイッチを採用しても、設定時の操作感や操作性を悪化させることなく、操作部13への水の付着によるスイッチの誤動作や操作部13の水拭き清掃時における不意の設定変更をキーロック機能によって防止できる。
また、キーロックスイッチ15の操作において、キーロックの設定を解除する場合だけ操作を受け付けるために必要な接触継続時間を、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作を受け付けるための接触継続時間やキーロックを設定するときのキーロックスイッチ15の操作を受け付けるために必要な接触継続時間よりも長くしている。このため、各種設定操作を行うときは、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cやキーロックスイッチ15がすぐに反応して操作を受け付けるため、操作性を損なうことはない。また、水の付着によるキーロックスイッチ15の誤操作やキーロックスイッチ15の水拭き清掃時における不意の設定変更によりキーロックが解除されてしまうことを防止できる。
また、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15のいずれかを操作後30秒間にいずれのスイッチも操作されなかった場合は、自動的にキーロックが設定されてキーロック状態になるため、清掃者や管理者がキーロックを設定し忘れても、自動的にキーロック状態にすることができる。
なお、キーロックの設定状態を報知するLEDランプ71dは専用に設けず、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71a1〜71cのいずれかを点滅させることによって、キーロックの状態にあることを報知するようにしても良い。
また、キーロックスイッチ15は、キーロックの設定・解除を切り替えるものであり、キーロックスイッチ15の場所には「キーロック」と表示されているが、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cやキーロックスイッチ15が操作されてから所定時間経過すると自動的にキーロック状態に設定されるため、キーロックスイッチ15は主にキーロックを解除するために使用されると予想される。したがって、キーロックスイッチ15の場所には、「キーロック」という表示の代わりに「キーロック解除」という表示をするようにしても良い。
実施の形態2.
図7は、本発明にかかる手乾燥装置の実施の形態2のハンドドライヤの操作部を示す図である。操作部13には静電容量を検出する電極が内包された電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cが配置され、電源の入/切、風量の調整、ヒータの入/切で、本体の動作にかかる機能を設定したり変更したりするためのスイッチである。電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cは、操作者の指が触れることで電極の静電容量が変化し、変化した静電容量によってスイッチの判定を行う静電容量スイッチである。実施の形態2は、実施の形態1では設けられていたキーロックスイッチ15を省いた構成となっている。
実施の形態2においては、電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの中のスイッチを複数同時に操作することでキーロックの設定及び解除を行う。例えば、風量調節スイッチ14bとヒータスイッチ14cとに同時に接触すると、キーロックの設定や解除が行われる。キーロックの設定状態では、風量調節スイッチ14bに対応するLEDランプ71b1〜71b5とヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71cとを点滅させる。
なお、キーロックの設定や解除の操作は、二つのスイッチの同時操作に限られることはなく、三つ以上のスイッチの同時操作であってもよい。また、二つのスイッチの同時操作の場合でも、同時に操作するスイッチの組み合わせは任意であり、電源入/切スイッチ14aと風量調節スイッチ14bとの組み合わせや、電源入/切スイッチ14aとヒータスイッチ14cとの組み合わせであっても良い。
実施の形態2においては、複数のスイッチの同時操作によりキーロックの設定・解除を行うため、水滴の付着により誤ってキーロックが解除される可能性は低いが、実施の形態1と同様に、キーロックの解除の際の必要接触時間を長くすることで、キーロックの誤解除をより発生しにくくできる。
この他については実施の形態1と同様である。
実施の形態2によれば、操作部13にキーロックスイッチを設けることなく、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、キーロックの設定や解除を別の機能を持つスイッチの組み合わせで行うため、キーロックの解除方法を予め知っている者でないとキーロックの設定や解除を行えない。したがって、ハンドドライヤ1を使用する不特定の人が勝手に電源を切ったり各種設定を変えてしまうことを防止できる。
実施の形態3.
実施の形態1においては、キーロックスイッチ15の操作においてキーロックを解除する場合だけ操作を受け付けるために必要な接触継続時間を電源入/切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作を受け付けるための接触継続時間やキーロックを設定するときのキーロックスイッチ15の操作を受け付けるために必要な接触継続時間よりも長くしたが、実施の形態3では、電源入/切スイッチ14aの操作において、電源を入れる場合、すなわち電源が切れている状態で電源入/切スイッチ14aに指で触れた場合の操作を受け付けるための接触継続時間を長く(例えば2秒以上)している。このようにすることで、電源を切った状態においても、水の付着による電源入/切スイッチ14aの誤作動や電源入/切スイッチ14aの水拭き清掃時の不意の操作受付によって、ハンドドライヤ1の電源が入ってしまうことを防止できる。
この他については、実施の形態1と同様である。
以上のように、本発明にかかる手乾燥装置は、設定時の操作感や操作性を悪化させることなく、操作部への水の付着によってスイッチが誤動作したり、操作部の水拭き清掃時に不意に装置設定が変更されてしまうことを防止できる点で有用である。
1 ハンドドライヤ、10 筐体、11 手挿入部、12 送風口、13 操作部、14a 電源入/切スイッチ、14b 風量調節スイッチ、14c ヒータスイッチ、15 キーロックスイッチ、18 前方フランジ、19 後方フランジ、20 手検知センサ、21 送風モータ、22 制御部、71a1,71a2,71b1,71b2,71b3,71b4,71b5,71c,71d LEDランプ。
従来のハンドドライヤ(手乾燥装置)は、外郭を形成する本体と、本体に配置されて空気流を送風する電動送風機と、本体の開放部から挿入された手を乾燥する手挿入部と、手挿入部に挿入された手を検知する手検知部と、電動送風機の動作を制御する制御部と、電源の入切や制御部の設定等を行う操作部と、本体下面に配置されている吸気口と、吸気口から吸気した空気が電動送風機を通り、空気流として送風されるノズル部と、手検知部で検知した入力信号を処理し電動送風機を始動させる制御部と、手挿入部の底部に溜まった水分を排水させる排水口とを備えている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ユーザが手を挿入可能な手挿入部が形成された筐体と、筐体の内部に設置された送風モータと、手挿入部にユーザの手が挿入されたことを検知する手検知センサと、該手検知センサがユーザの手を検知した場合に、送風モータが発生させた気流を手挿入部に噴射する送風口とを有する手乾燥装置であって、装置設定を変更するための静電容量方式の複数のスイッチを備えた操作部と、操作部の複数のスイッチの操作を無効化するキーロックのオン又はオフを設定するキーロック手段とを有することを特徴とする。
図3は、操作部の拡大図である。操作部13は、風量の調整、ヒータの入切など、本体の動作に係る機能を設定及び変更するスイッチであり、静電容量を検出する電極を内包した操作スイッチとして、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cを備えている。また、操作部13には、キーロックスイッチ15も配置されている。電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15は、ユーザの指が触れることで電極の静電容量が変化し、変化した静電容量によってスイッチの判定を行う静電容量スイッチである。
操作部13には、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15の上方の近傍に、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15によって設定されたそれぞれの状態を報知するLED(Light Emitting Diode)ランプ71a1〜71dが設けられている。電源入切スイッチ14aには、「切」及び「入」の表示文字の上に対応してそれぞれLEDランプ71a1,71a2が設けられており、それぞれのLEDランプ71a1,71a2の点灯で、電源が入っている状態又は電源が切れている状態を報知している。また、風量調節スイッチ14bの上方には、5個のLEDランプ71b1〜71b5が横一列に並べて設けられており、送風口12から吹き出される風量の大きさを報知しており、左から順に点灯することで風量が大きいことを報知している。
そこで、ハンドドライヤ1では、操作するスイッチの機能によって、操作を受け付けるまでに触れている必要時間を変えている。電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14cの切り替え及びキーロックスイッチ15でのキーロック設定時の必要時間はどれも同じであるが、キーロックスイッチ15でのキーロック解除時のみ必要時間を長くし、例えば、約2秒以上触れ続けていないと操作を受け付けないようになっている。このようにすることで、できるだけ操作性を良好に維持するとともに、水滴の流下においても誤動作を防止できる。
次に、動作の概要について説明する。電源入切スイッチ14aの「切」に対応する赤いLEDランプ71a1が点灯している状態は、ハンドドライヤ1の電源が切れている状態である。まず、電源入切スイッチ14aに指を触れると、電源入切スイッチ14aが動作して電源が入り、「入」に対応するLEDランプ71a2が点灯するとともに、「切」に対応する赤いLEDランプ71a1は消灯する。電源が入れられると、ハンドドライヤ1はいつでも使用可能な待機状態となる。したがって、手挿入部11に濡れた手を挿入すれば、手検知センサ20が手を検知して送風モータ21を動作させ、送風口12から空気が吹き出され、手を乾燥させることができる。
また、電源が入れられると、風量調節スイッチ14bに対応するLEDランプ71b1〜71b5、ヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71c及びキーロックスイッチ15に対応するLEDランプ71dのそれぞれが、その時点での設定状態に合わせて点灯又は消灯のままとなり、それぞれの設定状態を報知する。電源が入っている状態で電源入切スイッチ14aに触れると、ハンドドライヤ1の電源が切れ、「切」に対応するLEDランプ71a1が点灯するとともに、「入」に対応するLEDランプ71a2が消灯し、風量調節スイッチ14bに対応するLEDランプ71b1〜71b5、ヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71c及びキーロックスイッチ15に対応するLEDランプ71dは全て消灯する。
電源が入った状態でヒータスイッチ14cに触れると、不図示のヒータの「入」と「切」とを切り替えることができ、ヒータが「入」の設定状態であれば、ヒータが動作し対応するLEDランプ71cが点灯する。ヒータが「切」の設定状態であれば、ヒータは動作せず、LEDランプ71cは消灯している。ヒータの入と切との切り替えは、ヒータスイッチ14cに触れるたびに順に「入」と「切」とを繰り返す。
キーロックが設定されると、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作受付が禁止される。このため、キーロックが設定されている状態では、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cのいずれに指を触れても操作は受け付けられず、設定の切り替えや変更はできないようになっている。
図6は、キーロック時の動作の流れを示すフローチャートである。操作部13のいずれかのスイッチが操作されると、制御部22は、キーロックが設定されているか否かを判断する(ステップS101)。キーロックが設定されている場合は(ステップS101/Yes)、制御部22はキーロックスイッチ15に対する操作であるか否かを判断し(ステップS102)、キーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作であれば(ステップS102/No)、操作を受け付けない。キーロックスイッチ15に対する操作であれば(ステップS102/Yes)、制御部22はキーロックを解除する(ステップS103)。キーロックが設定されていない場合は(ステップS101/No)、制御部22はキーロックスイッチ15に対する操作であるか否かを判断する(ステップS104)。キーロックスイッチ15に対する操作であれば(ステップS104/Yes)、制御部22はキーロックを設定する(ステップS105)。キーロックスイッチ15に対する操作では無い場合(ステップS104/No)、キーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作であるかを判断する(ステップS106)。キーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作であれば(ステップS106/Yes)、制御部22は操作されたスイッチに対応する設定変更を行う(ステップS107)。必要接触時間に満たない場合など、制御部22がキーロックスイッチ15以外のスイッチに対する操作と認識できなかった場合(ステップS106/No)、ステップS101に戻る。
このようにハンドドライヤ1は、キーロックが設定されていない状態で、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cが操作された場合のみ本体設定を変更する。よって、前述の検知閾値が低く設定されていても、キーロック設定中はキーロックスイッチ15以外の操作を受け付けないため、静電容量スイッチに大きな水滴が付着しても誤動作せず、キーロック解除時には短時間の軽い接触でもスイッチの操作を受け付け、設定を変更できる。
また、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b、ヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15のいずれかの操作後、30秒間にいずれのスイッチも操作されなかった場合には、自動的にキーロックに設定変更されてキーロック状態になる。したがって、設定操作終了後は自動的にキーロック状態になる。
本実施の形態によれば、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作を受け付けないようにするキーロック機能を持つため、操作部13のスイッチとして静電容量スイッチを採用しても、設定時の操作感や操作性を悪化させることなく、操作部13への水の付着によるスイッチの誤動作や操作部13の水拭き清掃時における不意の設定変更をキーロック機能によって防止できる。
また、キーロックスイッチ15の操作において、キーロックの設定を解除する場合だけ操作を受け付けるために必要な接触継続時間を、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作を受け付けるための接触継続時間やキーロックを設定するときのキーロックスイッチ15の操作を受け付けるために必要な接触継続時間よりも長くしている。このため、各種設定操作を行うときは、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cやキーロックスイッチ15がすぐに反応して操作を受け付けるため、操作性を損なうことはない。また、水の付着によるキーロックスイッチ15の誤操作やキーロックスイッチ15の水拭き清掃時における不意の設定変更によりキーロックが解除されてしまうことを防止できる。
また、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14c及びキーロックスイッチ15のいずれかを操作後30秒間にいずれのスイッチも操作されなかった場合は、自動的にキーロックが設定されてキーロック状態になるため、清掃者や管理者がキーロックを設定し忘れても、自動的にキーロック状態にすることができる。
なお、キーロックの設定状態を報知するLEDランプ71dは専用に設けず、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71a1〜71cのいずれかを点滅させることによって、キーロックの状態にあることを報知するようにしても良い。
また、キーロックスイッチ15は、キーロックの設定と解除とを切り替えるものであり、キーロックスイッチ15の場所には「キーロック」と表示されているが、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cやキーロックスイッチ15が操作されてから所定時間経過すると自動的にキーロック状態に設定されるため、キーロックスイッチ15は主にキーロックを解除するために使用されると予想される。したがって、キーロックスイッチ15の場所には、「キーロック」という表示の代わりに「キーロック解除」という表示をするようにしても良い。
実施の形態2.
図7は、本発明にかかる手乾燥装置の実施の形態2のハンドドライヤの操作部を示す図である。操作部13には静電容量を検出する電極が内包された電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cが配置され、電源の入切、風量の調整、ヒータの入切で、本体の動作にかかる機能を設定したり変更したりするためのスイッチである。電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cは、操作者の指が触れることで電極の静電容量が変化し、変化した静電容量によってスイッチの判定を行う静電容量スイッチである。実施の形態2は、実施の形態1では設けられていたキーロックスイッチ15を省いた構成となっている。
実施の形態2においては、電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの中のスイッチを複数同時に操作することでキーロックの設定及び解除を行う。例えば、風量調節スイッチ14bとヒータスイッチ14cとに同時に接触すると、キーロックの設定や解除が行われる。キーロックの設定状態では、風量調節スイッチ14bに対応するLEDランプ71b1〜71b5とヒータスイッチ14cに対応するLEDランプ71cとを点滅させる。
なお、キーロックの設定や解除の操作は、二つのスイッチの同時操作に限られることはなく、三つ以上のスイッチの同時操作であってもよい。また、二つのスイッチの同時操作の場合でも、同時に操作するスイッチの組み合わせは任意であり、電源入切スイッチ14aと風量調節スイッチ14bとの組み合わせや、電源入切スイッチ14aとヒータスイッチ14cとの組み合わせであっても良い。
実施の形態3.
実施の形態1においては、キーロックスイッチ15の操作においてキーロックを解除する場合だけ操作を受け付けるために必要な接触継続時間を電源入切スイッチ14a、風量調節スイッチ14b及びヒータスイッチ14cの操作を受け付けるための接触継続時間やキーロックを設定するときのキーロックスイッチ15の操作を受け付けるために必要な接触継続時間よりも長くしたが、実施の形態3では、電源入切スイッチ14aの操作において、電源を入れる場合、すなわち電源が切れている状態で電源入切スイッチ14aに指で触れた場合の操作を受け付けるための接触継続時間を長く(例えば2秒以上)している。このようにすることで、電源を切った状態においても、水の付着による電源入切スイッチ14aの誤作動や電源入切スイッチ14aの水拭き清掃時の不意の操作受付によって、ハンドドライヤ1の電源が入ってしまうことを防止できる。
1 ハンドドライヤ、10 筐体、11 手挿入部、12 送風口、13 操作部、14a 電源入切スイッチ、14b 風量調節スイッチ、14c ヒータスイッチ、15 キーロックスイッチ、18 前方フランジ、19 後方フランジ、20 手検知センサ、21 送風モータ、22 制御部、71a1,71a2,71b1,71b2,71b3,71b4,71b5,71c,71d LEDランプ。