JPWO2015118736A1 - システム同定装置 - Google Patents

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Abstract

システム同定装置は、指定されたシステム次元の探索範囲に属するそれぞれの次元に対して再帰的手法によって線形離散時間システムを同定し、各次元に対応する線形離散時間システムに対して、実際の同定用入力データを適用した場合のシステム出力をシステム特性として算出し、当該システム出力と、動的システムの実際の同定用出力データとの時間領域における誤差2乗和のノルム分布(41)が閾値(42)以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定すると共に、動的システムの入出力ベクトルおよび、決定されたシステム次元を用いて生成された状態ベクトルに基づいて線形離散時間システムのシステム行列を同定する。

Description

この発明は、対象とする動的システムに対して擬似ランダム入力を印加した場合のシステム入出力に基づいて、当該システムの数学モデルを構築するシステム同定装置に関する。
従来の擬似ランダム入力によるシステム同定装置として、例えば非特許文献1に記載されたN4SID法に基づくものがある。このN4SID法では、線形離散時間システム(Ad,Bd,Cd,d)で記述される動的システムに擬似ランダム入力を印加した場合のシステム入出力に基づいて、システム入力に関するブロックハンケル行列(Up,Uf)、およびシステム出力に関するブロックハンケル行列(Yp,Yf)を生成し、さらにブロックハンケル行列(Uf,Yf)に基づいて、入出力ベクトル(~UK|K,~YK|K)を生成する。なお、「~」の表記は、本来であれば「U」の文字の上部に横線(オーバーバー)を引くべきところであるが、その表記ができない。このため、本明細書では、イメージで挿入する数式部分を除き、横線(オーバーバー)を「~」で代替する。
次に、上記ブロックハンケル行列を結合したデータ行列をLQ分解し、LQ分解により得られた部分行列と、ブロックハンケル行列Up,Ypから平行射影Θを生成する。この平行射影Θを特異値分解し、有意な値を持つ特異値の個数をシステム次元として決定して、特異値分解の結果と決定したシステム次元から、動的システムの状態ベクトル(~XK,~XK+1)を算出する。最後に、入出力ベクトル(~UK|K,~YK|K)および状態ベクトル(~XK,~XK+1)に対して最小2乗法を適用することで、動的システムを記述する線形離散時間システム(Ad,Bd,Cd,Dd)を同定している。
また、従来の擬似ランダム入力によるシステム同定装置の他の例として、例えば特許文献1に記載された露光装置及び除振装置、システム同定装置及びその方法がある。
この露光装置及び除振装置、システム同定装置及びその方法では、対象とする動的システムに擬似ランダム入力を印加した場合のシステム入出力に基づいて、N4SID法に代表される部分空間法により、動的システムの状態方程式を同定する。このとき、同定する状態方程式のシステム次元を、動的システムの運動方程式から定まるシステム次元に一致させることで、運動方程式に基づく特性方程式と、同定した状態方程式に基づく特性方程式との比較により、運動方程式に含まれる未知の物理パラメータを同定している。
特開2000−82662号公報
システム同定−部分空間法からのアプローチ、朝倉書店 pp.117−120
このような擬似ランダム入力によるシステム同定装置では、有意な値を持つ特異値の個数、または動的システムの運動方程式から定まるシステム次元から、対象とする動的システムのシステム次元を決定している。
しかしながら、現実のシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値は、なだらかな単調減少となる場合が多数存在し、この場合は有意な値を持つ特異値と、無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となる。したがって、非特許文献1に記載された従来のシステム同定装置では、システム次元の決定が作業者の判断に依存し、常に最適なシステム次元を決定しているとは限らないか、もしくはシステム次元の決定に関して試行錯誤が必要になるという問題があった。
また、動的システムのモデリングによって得られる運動方程式では、動的システムの実際の動特性を全て記述することは困難であり、一般に、“運動方程式から定まるシステム次元<動的システムの実際のシステム次元”となる。したがって、特許文献1に記載された従来のシステム同定装置では、そもそも動的システムを記述する最適なシステム次元を決定することができないという問題があった。
加えて、従来の擬似ランダム入力によるシステム同定装置では、同定結果として得られる線形離散時間システム(Ad,Bd,Cd,Dd)の安定性は全く考慮されていないため、現実の動的システムが安定であるにも関わらず、不安定システムとして同定される場合があるという問題もあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、現実のシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値がなだらかな単調減少となり、したがって有意な値を持つ特異値と、無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となる場合においても、システム次元の決定から試行錯誤を排除し、最適なシステム次元を決定することができるシステム同定装置を得ることを目的とする。
また、本発明は、現実の動的システムが安定であることが明確である場合に、安定システムに限定して同定することができるシステム同定装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るシステム同定装置は、同定対象とする動的システムに対して擬似ランダム入力を印加した場合のシステム入出力および指定されたシステム次元の探索範囲を入力とするシステム同定装置において、前記動的システムのシステム入出力から同定に適用する同定用入出力データを抽出するシステム入出力抽出部と、前記同定用入出力データに基づいて、ブロックハンケル行列を生成するブロックハンケル行列生成部と、前記ブロックハンケル行列に基づいて、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルを生成する入出力ベクトル生成部と、前記ブロックハンケル行列を結合してデータ行列を生成し、当該データ行列をLQ分解した部分行列を出力するLQ分解部と、前記部分行列と前記ブロックハンケル行列に基づいて、平行射影を生成する平行射影生成部と、前記平行射影の特異値分解により、前記平行射影の特異ベクトルを列ベクトルとする第1の直交行列、当該平行射影の右特異ベクトルを列ベクトルとする第2の直交行列および当該平行射影の特異値を出力する特異値分解部と、前記第2の直交行列および前記特異値と、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルと、前記探索範囲に基づいて、当該探索範囲に属するそれぞれの次元に対して動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定し、さらに当該システム行列に基づいて算出した線形離散時間システムのシステム特性と、動的システムの実際のシステム特性との比較から、システム次元を決定するシステム次元決定部と、前記第2の直交行列および特異値と、前記決定されたシステム次元に基づいて、前記動的システムの状態ベクトルを生成する状態ベクトル生成部と、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルならびに前記動的システムの状態ベクトルに基づいて、当該動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定するシステム行列同定部と、を備え、前記同定されたシステム行列を、前記動的システムを記述する線形離散時間システムとして出力することを特徴とする。
この発明によれば、同定対象とする動的システムにおいて、現実のシステム入出力から算出した平行射影の特異値がなだらかな単調減少となり、したがって有意な値を持つ特異値と、無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となる場合においても、システム次元の決定から試行錯誤を排除し、常に最適なシステム次元の決定と、動的システムを記述する線形離散時間システムの同定が可能となる。
図1は、実施の形態1および実施の形態2に係るシステム同定装置の全体構成を示すブロック線図である。 図2は、実施の形態1のシステム同定装置におけるシステム入出力の時間波形を示す概略図である。 図3は、実施の形態1および実施の形態2に係るシステム同定装置における平行射影の特異値と次元との関係を示す概略図である。 図4は、実施の形態1のシステム同定装置におけるシステム次元決定部の内部構成を示すブロック線図である。 図5は、実施の形態1および実施の形態2に係るシステム同定装置において、同定した線形離散時間システムの時間領域または周波数領域における誤差2乗和のノルムと次元との関係を示す概略図である。 図6は、実施の形態2のシステム同定装置における動的システムをM系列加振した場合のシステム入出力の時間波形を示す概略図である。 図7は、実施の形態2のシステム同定装置におけるシステム次元決定部の内部構成を示すブロック線図である。 図8は、実施の形態3に係る全体構成を示すブロック線図である。
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態に係るシステム同定装置について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るシステム同定装置の全体構成を示すブロック線図であり、図2は、実施の形態1のシステム同定装置におけるシステム入出力の時間波形を示す概略図である。
実施の形態1に係るシステム同定装置10では、図1および図2に示すように、同定対象とする動的システムに対して擬似ランダム入力を印加した場合のシステム入力11(u(jTS)(j=0,1,2,…))および、システム出力12(y(jTS)(j=0,1,2,…))を入力とする。
システム入出力抽出部1は、予め設定された比率閾値とシステム入力11の最大値とを乗じた値で決定されるシステム入力閾値13に対して、システム入力11の絶対値がシステム入力閾値13以上となる時刻の最小値を擬似ランダム入力印加時刻(図2では3TS)として、擬似ランダム入力印加時刻以降のシステム入力11およびシステム出力12を、それぞれ同定用入力データ(uid(jTS)(j=0,1,2,…))および、同定用出力データ(yid(jTS)(j=0,1,2,…))として抽出して出力する。
ブロックハンケル行列生成部2は、システム入出力抽出部1から出力される同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)および、同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)に基づいて、ブロックハンケル行列Up,UfおよびYp,Yfを生成する。
入出力ベクトル生成部3は、ブロックハンケル行列Up,Uf,Yp,Yfに基づいて、動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kを生成する。
LQ分解部4は、ブロックハンケル行列Up,Uf,Yp,Yfを結合したデータ行列を生成し、当該データ行列をLQ分解した部分行列L22,L32を生成して出力する。
平行射影生成部5は、LQ分解部4から出力される部分行列L22,L32と、ブロックハンケル行列生成部2から出力されるブロックハンケル行列Up,Ypに基づいて、動的システムの平行射影Θを生成する。
特異値分解部6は、平行射影生成部5から出力される平行射影Θを特異値分解し、平行射影Θの左特異ベクトルを列ベクトルとする第1の直交行列U、平行射影Θの右特異ベクトルを列ベクトルとする第2の直交行列Vおよび、平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3…)を出力する。
システム次元決定部7は、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3…)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kならびに、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対して動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定する。さらに当該システム行列に基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対応する線形離散時間システムに対して実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)を適用した場合のシステム出力を算出し、動的システムの実際の同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)(図1では動的システムのシステム特性と記載)との比較から、システム次元nを決定する。
状態ベクトル生成部8では、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3…)および、システム次元決定部7から出力されるシステム次元nに基づいて、動的システムの状態ベクトル~XK+1,~XKを生成する。
システム行列同定部9は、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび、出力ベクトル~YK|Kと、状態ベクトル生成部8から出力される動的システムの状態ベクトル~XK+1,~XKに基づいて、動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列Ad,Bd,Cd,Ddを同定して出力する。
図3は、実施の形態1のシステム同定装置10における平行射影Θの特異値σiと次元(i=1,2,3…)の関係を示す概略図であり、図4は、実施の形態1のシステム同定装置10におけるシステム次元決定部7の内部構成を示すブロック線図であり、図5は、実施の形態1のシステム同定装置10における同定した線形離散時間システムのシステム出力と、動的システムの実際のシステム出力との時間領域における誤差2乗和のノルム||en||と次元ni(i=1,2,…,a)との関係を示す概略図である。
図3に示すように、動的システムのシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3…)は、理想的には次元(i=1,2,3…)に対して、例えば特異値分布21に示す関係となる。この場合、有意な値を持つ特異値の個数を明確に規定することができ、当該個数が動的システムのシステム次元nに対応する(図3の場合はシステム次元n=4)。
一方、観測ノイズ等の影響を受ける現実のシステム入出力に基づいて算出した特異値σiは、次元(i=1,2,3…)に対して例えば特異値分布22に示す関係となるため、有意な値を持つ特異値と、無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となり、常に最適なシステム次元nを決定しているとは限らない。よって、システム次元nの決定に関して試行錯誤が必要になるという問題が発生する。
そこで、実施の形態1に係るシステム同定装置10では、システム次元決定部7により、図4に示す処理を実行する。具体的には、以下の通りである。
システム次元決定部7には、再帰的システム行列推定部31、システム特性推定部32およびシステム次元推定部33が設けられる。
再帰的システム行列推定部31は、作業者が予め指定したシステム次元の探索範囲ni(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する第1の次元niに対応するシステム行列の同定に関して、第1の次元niよりも1段階低い第2の次元ni-1に対応したシステム行列Ad,ni-1,Bd,ni-1,Cd,ni-1,Dd,ni-1の同定結果と、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3…)のうち、それぞれ第2の次元ni-1よりも大きく、第1の次元ni以下となる右特異ベクトルvjおよび特異値σj(j=ni-1+1,ni-1+2,…,ni)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|K、および出力ベクトル~YK|Kとを用いて、再帰的手法によって第1の次元niに対応するシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niを同定する。
次にシステム特性推定部32は、システム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属するそれぞれの次元に対して、再帰的システム行列推定部31から出力されるシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niに基づいて、同定した線形離散時間システムに対して、実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)を適用した場合のシステム出力を算出する。
なお、再帰的システム行列推定部31およびシステム特性推定部32の処理は、iをインクリメントし、i=aとなるまで実行される。
システム次元推定部33は、システム特性推定部32から出力される線形離散時間システムのシステム出力と、動的システムの実際の同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)(図4では動的システムのシステム特性と記載)との時間領域における誤差2乗和eni(i=1,2,…,a)を算出し、図5に示したように誤差2乗和のノルム||eni||の分布41が、予め設定された誤差2乗和ノルム閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定して出力する構成としている(図5の場合はシステム次元n=n6)。
次に、実施の形態1に係るシステム同定装置の動作について説明する。
同定対象とする動的システムが、次式のように、1入力P出力のn次元線形離散時間システムで記述できるとする。
Figure 2015118736
上記の動的システムへのシステム入力u(jTS)を擬似ランダム入力で構成すると、当該システム入力u(jTS)および、上記[数1]式に対応するシステム出力y(jTS)は、例えば図2に示したシステム入力11、およびシステム出力12のような時間波形となる。
ここで、図1および図2の説明で述べたように、予め設定された比率閾値とシステム入力11(u(jTS))の最大値とを乗じた次式をシステム入力閾値13として使用する。
Figure 2015118736
システム入出力抽出部1は、システム入力11の絶対値がシステム入力閾値13以上となる時刻の最小値を擬似ランダム入力印加時刻jminSとして特定する(図2の場合はjminS=3TS)。
また、システム入出力抽出部1は、擬似ランダム入力印加時刻jminS以降のシステム入力11およびシステム出力12を次式を用いて抽出する。
Figure 2015118736
さらに、システム入出力抽出部1は、上記[数3]を用いて抽出したそれぞれの値を同定用入力データuid(jTS)および同定用出力データyid(jTS)とすることで、対象とする動的システムのシステム入出力から擬似ランダム入力印加前のシステム静止時間領域データを除去する。
ブロックハンケル行列生成部2は、システム入出力抽出部1から出力される同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)および同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)に基づいて、次式で与えられるブロックハンケル行列Up,Uf,Yp,Yfを生成する。
Figure 2015118736
入出力ベクトル生成部3は、このブロックハンケル行列Up,Uf,Yp,Yfに基づいて、次式で与えられる動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kを生成する。
Figure 2015118736
LQ分解部4は、ブロックハンケル行列Up,Uf,Yp,Yfを結合した次式で与えられるデータ行列を生成する。
Figure 2015118736
また、LQ分解部4は、上記データ行列を次式のようにLQ分解すると共に、LQ分解した行列の要素から、部分行列L22,L32を出力する。
Figure 2015118736
平行射影生成部5は、LQ分解部4から出力される部分行列L22,L32と、ブロックハンケル行列生成部2から出力されるブロックハンケル行列Up,Ypに基づいて、次式で定義される動的システムの平行射影Θを生成する。
Figure 2015118736
特異値分解部6は、上式で示される平行射影Θを特異値分解することで、次式で与えられる平行射影Θの左特異ベクトルujを列ベクトルとする第1の直交行列U、平行射影Θの右特異ベクトルvjを列ベクトルとする第2の直交行列Vおよび、平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3…)を出力する。
Figure 2015118736
対象とする動的システムのシステム次元nは、平行射影Θの特異値において有意な値を持つものはn個であり、それらに比してn+1個目以降は十分小さいとする以下の関係に基づいて決定することができる。
Figure 2015118736
図3に示したように、動的システムのシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σiは、理想的には次元(i=1,2,3…)に対して、例えば特異値分布21に示す関係となる。この場合、有意な値を持つ特異値の個数を明確に規定することができ、当該個数から動的システムのシステム次元nを決定することができる(図3の場合はシステム次元n=4)。一方、観測ノイズ等の影響を受ける現実のシステム入出力に基づいて算出した特異値σiは、次元(i=1,2,3…)に対して、例えば特異値分布22に示す関係となるため、有意な値を持つ特異値と、無視できる微小な値となる特異値との境界σn>>σn+1が不明確となる。したがって、従来の手法では、常に最適なシステム次元nを決定しているとは限らず、最適なシステム次元nを決定するためには、試行錯誤が必要になるという課題があった。
そこで、実施の形態1に係るシステム同定装置10では、“時間領域において実際のシステム入出力に最も適合する”という前提の下、システム次元決定部7において最適なシステム次元nを決定する。システム次元決定部7では、図1に示したように特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3…)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kならびに、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対して動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定する。さらに当該システム行列に基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対応する線形離散時間システムに対して、実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)を適用した場合のシステム出力を算出し、動的システムの実際の同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)(図1では動的システムのシステム特性と記載)との比較から、システム次元nを決定する。
具体的には図4に示したように、再帰的システム行列推定部31は、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する第1の次元niに対応するシステム行列の同定に関して、第1の次元niよりも1段階低い第2の次元ni-1に対応したシステム行列Ad,ni-1,Bd,ni-1,Cd,ni-1,Dd,ni-1の同定結果と、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3…)のうち、それぞれ第2の次元ni-1よりも大きく、第1の次元ni以下となる右特異ベクトルvjおよび特異値σj(j=ni-1+1, ni-1+2,…,ni)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kとを用いて、次式に示す再帰的手法によって第1の次元niに対応するシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niを同定する。
Figure 2015118736
システム特性推定部32は、システム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに対して、再帰的システム行列推定部31から出力されるシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niに基づいて、同定した線形離散時間システムに対して実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)([数3]参照)を適用した場合のシステム出力^yid,ni(jTS)(j=0,1,2,…)を算出する。なお、「^y」の表記は、「y」という文字の上部に「^」の記号を付したことを意味する代替表記である。
また、システム次元推定部33は、システム特性推定部32から出力される線形離散時間システムのシステム出力^yid,ni(jTS)(j=0,1,2,…)と、動的システムの実際の同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)(図4では動的システムのシステム特性と記載)との時間領域における誤差2乗和eni(i=1,2,…,a)を次式を用いて算出する。
Figure 2015118736
上式で示される誤差2乗和のノルム||eni||を最小とする次元niが、“時間領域において実際のシステム入出力に最も適合する”システム次元nとなる。一方、実際のノルム||eni||は、観測ノイズが白色性であれば、そのノイズレベルによらず次元niの増加に伴って単調減少し、図5に示すようにある次元以上でほぼ一定値となる。そこでここでは、システム次元nの推定値が必要以上に高次元となることを避けるため、次式で与えられる誤差2乗和ノルム閾値42を規定する。
Figure 2015118736
システム次元推定部33は、誤差2乗和のノルム||eni||の分布41が上記誤差2乗和ノルム閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定して出力する(図5の例では、システム次元n=n6)。
状態ベクトル生成部8は、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3…)と、システム次元決定部7から出力されるシステム次元nに基づいて、動的システムの状態ベクトル~XK,~XK+1を次式に従って生成する。
Figure 2015118736
最後に、システム行列同定部9は、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kならびに、状態ベクトル生成部8から出力される動的システムの状態ベクトル~XK,~XK+1に基づいて、動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列Ad,Bd,Cd,Ddを次式を用いて同定して出力する。
Figure 2015118736
このように、実施の形態1に係るシステム同定装置10によれば、現実のシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3…)がなだらかな単調減少となり、したがって有意な値を持つ特異値と、同定において無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となる場合においても、システム次元nの決定から試行錯誤を排除し、現実の動的システムに対して時間領域で一致度の高いシステム次元nを決定することができ、動的システムを記述する線形離散時間システムの同定が可能となる。
また、動的システムの現実のシステム入出力から、擬似ランダム入力印加前のシステム静止時間領域データを除去することで、同定精度を向上させることも可能となる。
さらに、再帰的システム行列推定部31の存在により、現実の動的システムに対して一致度の高いシステム次元nを決定するための演算量を低減することが可能となる。
なお、実施の形態1のシステム同定装置10では、線形離散時間システムに対して実際の同定用入力データを適用した場合のシステム出力をシステム特性として算出し、当該システム出力と、動的システムの実際の同定用出力データとの時間領域における誤差2乗和のノルム分布41が閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定している。しかしながら、本発明はこれに限定するものではなく、線形離散時間システムのシステム特性を周波数応答として算出し、当該周波数応答と、動的システムの同定用入出力データから得られる実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗和に基づいて、システム次元nを決定してもよい。この場合、さらに動的システムの実際の周波数応答に基づいて重み関数を決定し、線形離散時間システムの周波数応答と、動的システムの実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗値に当該重み関数を乗じた値の加算値に基づいて、システム次元nを決定してもよい。
実施の形態2.
つぎに、実施の形態2に係るシステム同定装置について説明する。なお、実施の形態2に係るシステム同定装置の全体構成を示すブロック線図、平行射影Θの特異値σiと次元(i=1,2,3…)の関係を示す概略図および、同定した線形離散時間システムの周波数応答と動的システムの実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗和のノルム||eni||と次元ni(i=1,2,…,a)との関係を示す概略図は、それぞれ実施の形態1の説明において使用した図1、図3および図5と同一である。
図6は、実施の形態2のシステム同定装置における動的システムをM系列加振した場合のシステム入出力の時間波形を示す概略図である。
図6に示したように、実施の形態2に係るシステム同定装置10では、同定対象とする動的システムに対してM系列信号を印加した場合のシステム入力11(u(jTS)(j=0,1,2,…))およびシステム出力12(y(jTS)(j=0,1,2,…))に基づいて、当該システムを記述する線形離散時間システムを同定する。
図7は、実施の形態2のシステム同定装置におけるシステム次元決定部7の内部構成を示すブロック線図である。図7において、図4と同一符号を付したものは、実施の形態1と同一または同等の構成要素であり、システム安定性評価部34が追加されている。
実施の形態2によるシステム次元決定部7では、図7に示すように、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに対して、再帰的システム行列推定部31で同定したシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niに基づき、システム安定性評価部34にて線形離散時間システムの安定性を評価する。
システム特性推定部32は、システム安定性評価部34にて安定システムと判断された次元に対して、再帰的システム行列推定部31から出力されるシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niに基づいて、同定した線形離散時間システムに関する周波数応答を算出する。
システム次元推定部33は、動的システムのシステム入出力から得られる実際の周波数応答(図7では動的システムのシステム特性と記載)に基づいて重み関数を決定し、システム特性推定部32から出力される線形離散時間システムの周波数応答と、動的システムの実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗値に対して、当該重み関数を乗じた値の加算値eni(ni:安定システムとなる次元)を算出し、図5に示したように当該加算値のノルム||eni||の分布41が予め設定された誤差2乗和ノルム閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定して出力する(図5の場合はシステム次元n=n6)。
次に、実施の形態2に係るシステム同定装置の動作について説明する。
同定対象とする動的システムが、1入力P出力のn次元線形離散時間システムとして[数1]で記述できるとする。この動的システムへのシステム入力u(jTS)をM系列信号で構成すると、当該システム入力u(jTS)および[数1]に対応するシステム出力y(jTS)は、例えば図6に示したシステム入力11およびシステム出力12のような時間波形となる。
実施の形態2に係るシステム同定装置10では、図1および図6に示すように、システム入出力抽出部1は、予め設定された比率閾値とシステム入力11(u(jTS))の最大値とを乗じた[数2]をシステム入力閾値13とし、システム入力11の絶対値がシステム入力閾値13以上となる時刻の最小値をM系列信号印加時刻jminsとして特定する(図6の例はjmins=2Ts)。
また、システム入出力抽出部1は、M系列信号印加時刻jmins以降のシステム入力11およびシステム出力12を[数3]で抽出し、抽出したそれぞれを同定用入力データuid(jTS)および同定用出力データyid(jTS)とすることで、対象とする動的システムのシステム入出力からM系列信号印加前のシステム静止時間領域データを除去する。
次に実施の形態1と同様に、ブロックハンケル行列生成部2は[数4]で与えられるブロックハンケル行列Up,Uf,Yp,Yfを生成し、入出力ベクトル生成部3は[数5]で与えられる動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kを生成し、LQ分解部4はブロックハンケル行列Up,Uf,Yp,Yfを結合したデータ行列([数6])をLQ分解し([数7])、部分行列L22,L32を出力する。
平行射影生成部5は、[数8]で定義される動的システムの平行射影Θを生成し、特異値分解部6は、生成された平行射影Θを特異値分解することで、[数9]で与えられる第1の直交行列U、第2の直交行列Vおよび、特異値σi(i=1,2,3…)を出力する。
システム次元決定部7では、図7に示す処理が実行される。まず、再帰的システム行列推定部31は、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに関して、[数11]に示される再帰的手法によって、対応するシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niを同定する。
次にシステム安定性評価部34は、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに対して、再帰的システム行列推定部31が同定したシステム行列Ad,niに基づいて、線形離散時間システムの安定性を、以下の内容にて評価する。
Figure 2015118736
システム特性推定部32は、システム安定性評価部34で安定システムと判断された次元に対して、再帰的システム行列推定部31が生成したシステム行列Ad,ni,Bd,ni,Cd,ni,Dd,niに基づいて、同定された線形離散時間システムの周波数応答^Hni(kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)を算出する。
実施の形態2のシステム同定装置10では、“周波数領域において実際の周波数応答に最も適合する”という前提の下、システム次元推定部33にて最適なシステム次元nを決定する。具体的には、以下の通りである。
まず、次式で与えられる同定用入出力データuid(jTS),yid(jTS)の有限離散化フーリエ変換Uid(kΔf),Yid(kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)から、次々式で得られる動的システムの実際の周波数応答H(kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)(図7では動的システムのシステム特性と記載)を算出する。
Figure 2015118736
Figure 2015118736
次に周波数応答H(kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)に基づいて、例えば高ゲインかつ低周波領域に重みを持たせた次式で示されるような重み関数W(kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)を決定する。
Figure 2015118736
そして、システム特性推定部32から出力される線形離散時間システムの周波数応答^Hni(kΔf)と、動的システムの実際の周波数応答H(kΔf)との周波数領域における誤差2乗値に対して、重み関数W(kΔf)を乗じた値の加算値eni(ni:安定システムとなる次元)を次式にて算出する。
Figure 2015118736
この重み付き誤差2乗和のノルム||eni||を最小とする次元niが、“重み関数に応じて、周波数領域において実際の周波数応答に最も適合する”安定なシステム次元nとなる。ここでは、図5に示すように重み付き誤差2乗和のノルム||eni||の分布41が、[数13]で与えられる誤差2乗和ノルム閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定して出力する(図5の例は、システム次元n=n6)。
状態ベクトル生成部8は、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3…)と、システム次元決定部7から出力されるシステム次元nに基づいて、動的システムの状態ベクトル~XK,~XK+1を[数14]を用いて生成する。
最後にシステム行列同定部9は、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kならびに、状態ベクトル生成部8から出力される動的システムの状態ベクトル~XK,~XK+1に基づいて、動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列Ad,Bd,Cd,Ddを[数15]を用いて同定して出力する。
このように、実施の形態2に係るシステム同定装置10によれば、現実のシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3…)がなだらかな単調減少となり、したがって有意な値を持つ特異値と、同定において無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となる場合においても、システム次元nの決定から試行錯誤を排除し、現実の動的システムに対して、周波数領域での重み関数に応じて一致度の高いシステム次元nを決定することができ、動的システムを記述する線形離散時間システムの同定が可能となる。
また、動的システムの現実のシステム入出力から、M系列信号印加前のシステム静止時間領域データを除去することで、同定精度を向上させることも可能となる。
さらに、再帰的システム行列推定部31の存在により、現実の動的システムに対して一致度の高いシステム次元nを決定するための演算量を低減することが可能となる。
加えて、システム安定性評価部34の存在により、現実の動的システムが安定システムであることが明確である場合に、安定システムに限定した線形離散時間システムの同定が可能となる。
なお、実施の形態2のシステム同定装置10では、線形離散時間システムのシステム特性を周波数応答として算出し、当該周波数応答と、動的システムの同定用入出力データから得られる実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗和のノルム分布41が予め設定された閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定している。しかしながら、本発明はこれに限定するものではなく、線形離散時間システムに対して実際の同定用入力データを適用した場合のシステム出力をシステム特性として算出し、当該システム出力と、動的システムの実際の同定用出力データとの時間領域における誤差2乗和に基づいて、システム次元nを決定してもよい。
実施の形態3.
実施の形態3では、同定対象とする動的システムがDCサーボモータである場合について説明する。図8は、実施の形態3に係る全体構成を示すブロック線図である。本実施の形態において、図8に示すシステム同定装置10は、図1に示した実施の形態1に係るシステム同定装置10と同一または同等の構成をとる。本実施の形態では、DCサーボモータ51の入力電流[Arms]として、例えばM系列信号などの疑似ランダム信号を入力し、当該疑似ランダム信号を動的システムのシステム入力11(u(jTS)(j=0,1,2,…))とする。また、角速度[rad/s]を動的システムのシステム出力12(y(jTS)(j=0,1,2,…))として取得する。システム同定装置10は、これらのシステム入出力および、システム次元の探索範囲を入力とし、DCサーボモータ51を記述する線形離散時間システムを同定する。このとき、システム次元の探索範囲は、ni=(1,2,…,50)のように、予測されるシステム次元に対して十分な幅を取って設定すればよい。システム同定装置10では、現実の動的システムに対して一致度の高いシステム次元の決定と、動的システムを記述する線形離散時間システムの同定とを可能とするため、当該線形離散時間システムをサーボモータの制御系におけるパラメータ設計、フィルタのパラメータ設計などに利用することができる。
1 システム入出力抽出部、2 ブロックハンケル行列生成部、3 入出力ベクトル生成部、4 LQ分解部、5 平行射影生成部、6 特異値分解部、7 システム次元決定部、8 状態ベクトル生成部、9 システム行列同定部、10 システム同定装置、11 システム入力、12 システム出力、13 システム入力閾値、21 (理想的なシステム入出力における平行射影の)特異値分布、22 (現実のシステム入出力における平行射影の)特異値分布、31 再帰的システム行列推定部、32 システム特性推定部、33 システム次元推定部、34 システム安定性評価部、41 (時間領域または周波数領域における)誤差2乗和のノルム分布、42 (時間領域または周波数領域における)誤差2乗和ノルム閾値、51 DCサーボモータ。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るシステム同定装置は、同定対象とする動的システムに対して擬似ランダム入力を印加した場合のシステム入出力を入力とするシステム同定装置において、前記動的システムのシステム入出力から同定に適用する同定用入出力データを抽出するシステム入出力抽出部と、前記同定用入出力データに基づいて、ブロックハンケル行列を生成するブロックハンケル行列生成部と、前記ブロックハンケル行列に基づいて、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルを生成する入出力ベクトル生成部と、前記ブロックハンケル行列を結合してデータ行列を生成し、当該データ行列をLQ分解した部分行列を出力するLQ分解部と、前記部分行列と前記ブロックハンケル行列に基づいて、平行射影を生成する平行射影生成部と、前記平行射影の特異値分解により、前記平行射影の左特異ベクトルを列ベクトルとする第1の直交行列、当該平行射影の右特異ベクトルを列ベクトルとする第2の直交行列および当該平行射影の特異値を出力する特異値分解部と、前記第2の直交行列および前記特異値と、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルと、指定されたシステム次元の探索範囲に基づいて、当該探索範囲に属するそれぞれの次元に対して動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定し、さらに当該システム行列に基づいて算出した線形離散時間システムのシステム特性と、動的システムの実際のシステム特性との比較から、システム次元を決定するシステム次元決定部と、前記第2の直交行列および特異値と、前記決定されたシステム次元に基づいて、前記動的システムの状態ベクトルを生成する状態ベクトル生成部と、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルならびに前記動的システムの状態ベクトルに基づいて、当該動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定するシステム行列同定部と、を備え、前記同定されたシステム行列を、前記動的システムを記述する線形離散時間システムとして出力することを特徴とする。
特異値分解部6は、平行射影生成部5から出力される平行射影Θを特異値分解し、平行射影Θの左特異ベクトルを列ベクトルとする第1の直交行列U、平行射影Θの右特異ベクトルを列ベクトルとする第2の直交行列Vおよび、平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3, …)を出力する。
システム次元決定部7は、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3, …)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kならびに、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対して動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定する。さらに当該システム行列に基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対応する線形離散時間システムに対して実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)を適用した場合のシステム出力を算出し、動的システムの実際の同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)(図1では動的システムのシステム特性と記載)との比較から、システム次元nを決定する。
状態ベクトル生成部8では、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3, …)および、システム次元決定部7から出力されるシステム次元nsに基づいて、動的システムの状態ベクトル~XK+1,~XKを生成する。
図3は、実施の形態1のシステム同定装置10における平行射影Θの特異値σiと次元(i=1,2,3, …)の関係を示す概略図であり、図4は、実施の形態1のシステム同定装置10におけるシステム次元決定部7の内部構成を示すブロック線図であり、図5は、実施の形態1のシステム同定装置10における同定した線形離散時間システムのシステム出力と、動的システムの実際のシステム出力との時間領域における誤差2乗和のノルム||en||と次元ni(i=1,2,…,a)との関係を示す概略図である。
図3に示すように、動的システムのシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3, …)は、理想的には次元(i=1,2,3, …)に対して、例えば特異値分布21に示す関係となる。この場合、有意な値を持つ特異値の個数を明確に規定することができ、当該個数が動的システムのシステム次元nに対応する(図3の場合はシステム次元n=4)。
一方、観測ノイズ等の影響を受ける現実のシステム入出力に基づいて算出した特異値σiは、次元(i=1,2,3, …)に対して例えば特異値分布22に示す関係となるため、有意な値を持つ特異値と、無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となり、常に最適なシステム次元nを決定しているとは限らない。よって、システム次元nの決定に関して試行錯誤が必要になるという問題が発生する。
再帰的システム行列推定部31は、作業者が予め指定したシステム次元の探索範囲ni(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する第1の次元niに対応するシステム行列の同定に関して、第1の次元niよりも1段階低い第2の次元ni-1に対応したシステム行列 d,n(i-1) ,B d,n(i-1) ,C d,n(i-1) ,D d,n(i-1) [ここでのn(i−1)はn i−1 を指す]の同定結果と、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3, …)のうち、それぞれ第2の次元ni-1よりも大きく、第1の次元ni以下となる右特異ベクトルvjおよび特異値σj(j=ni-1+1,ni-1+2,…,ni)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|K、および出力ベクトル~YK|Kとを用いて、再帰的手法によって第1の次元niに対応するシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni を同定する。
次にシステム特性推定部32は、システム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属するそれぞれの次元に対して、再帰的システム行列推定部31から出力されるシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni に基づいて、同定した線形離散時間システムに対して、実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)を適用した場合のシステム出力を算出する。
特異値分解部6は、上式で示される平行射影Θを特異値分解することで、次式で与えられる平行射影Θの左特異ベクトルujを列ベクトルとする第1の直交行列U、平行射影Θの右特異ベクトルvjを列ベクトルとする第2の直交行列Vおよび、平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3, …)を出力する。
Figure 2015118736
図3に示したように、動的システムのシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σiは、理想的には次元(i=1,2,3, …)に対して、例えば特異値分布21に示す関係となる。この場合、有意な値を持つ特異値の個数を明確に規定することができ、当該個数から動的システムのシステム次元nを決定することができる(図3の場合はシステム次元n=4)。一方、観測ノイズ等の影響を受ける現実のシステム入出力に基づいて算出した特異値σiは、次元(i=1,2,3, …)に対して、例えば特異値分布22に示す関係となるため、有意な値を持つ特異値と、無視できる微小な値となる特異値との境界σn>>σn+1が不明確となる。したがって、従来の手法では、常に最適なシステム次元nを決定しているとは限らず、最適なシステム次元nを決定するためには、試行錯誤が必要になるという課題があった。
そこで、実施の形態1に係るシステム同定装置10では、“時間領域において実際のシステム入出力に最も適合する”という前提の下、システム次元決定部7において最適なシステム次元nを決定する。システム次元決定部7では、図1に示したように特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3, …)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kならびに、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<naに基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対して動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定する。さらに当該システム行列に基づいて、当該探索範囲に属する次元ni(i=1,2,…,a)のそれぞれに対応する線形離散時間システムに対して、実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)を適用した場合のシステム出力を算出し、動的システムの実際の同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)(図1では動的システムのシステム特性と記載)との比較から、システム次元nを決定する。
具体的には図4に示したように、再帰的システム行列推定部31は、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する第1の次元niに対応するシステム行列の同定に関して、第1の次元niよりも1段階低い第2の次元ni-1に対応したシステム行列 d,n(i-1) ,B d,n(i-1) ,C d,n(i-1) ,D d,n(i-1) [ここでのn(i−1)はn i−1 を指す]の同定結果と、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3, …)のうち、それぞれ第2の次元ni-1よりも大きく、第1の次元ni以下となる右特異ベクトルvjおよび特異値σj(j=ni-1+1, ni-1+2,…,ni)と、入出力ベクトル生成部3から出力される動的システムの入力ベクトル~UK|Kおよび出力ベクトル~YK|Kとを用いて、次式に示す再帰的手法によって第1の次元niに対応するシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni を同定する。
システム特性推定部32は、システム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに対して、再帰的システム行列推定部31から出力されるシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni に基づいて、同定した線形離散時間システムに対して実際の同定用入力データuid(jTS)(j=0,1,2,…)([数3]参照)を適用した場合のシステム出力^y id,ni (jT S )(j=0,1,2,…)を算出する。なお、「^y」の表記は、「y」という文字の上部に「^」の記号を付したことを意味する代替表記である。
また、システム次元推定部33は、システム特性推定部32から出力される線形離散時間システムのシステム出力^y id,ni (jT S )(j=0,1,2,…)と、動的システムの実際の同定用出力データyid(jTS)(j=0,1,2,…)(図4では動的システムのシステム特性と記載)との時間領域における誤差2乗和 ni (i=1,2,…,a)を次式を用いて算出する。
上式で示される誤差2乗和のノルム||e ni ||を最小とする次元niが、“時間領域において実際のシステム入出力に最も適合する”システム次元nとなる。一方、実際のノルム||e ni ||は、観測ノイズが白色性であれば、そのノイズレベルによらず次元niの増加に伴って単調減少し、図5に示すようにある次元以上でほぼ一定値となる。そこでここでは、システム次元nの推定値が必要以上に高次元となることを避けるため、次式で与えられる誤差2乗和ノルム閾値42を規定する。
システム次元推定部33は、誤差2乗和のノルム||e ni ||の分布41が上記誤差2乗和ノルム閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定して出力する(図5の例では、システム次元n=n6)。
状態ベクトル生成部8は、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3, …)と、システム次元決定部7から出力されるシステム次元nに基づいて、動的システムの状態ベクトル~XK,~XK+1を次式に従って生成する。
このように、実施の形態1に係るシステム同定装置10によれば、現実のシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3, …)がなだらかな単調減少となり、したがって有意な値を持つ特異値と、同定において無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となる場合においても、システム次元nの決定から試行錯誤を排除し、現実の動的システムに対して時間領域で一致度の高いシステム次元nを決定することができ、動的システムを記述する線形離散時間システムの同定が可能となる。
実施の形態2.
つぎに、実施の形態2に係るシステム同定装置について説明する。なお、実施の形態2に係るシステム同定装置の全体構成を示すブロック線図、平行射影Θの特異値σiと次元(i=1,2,3, …)の関係を示す概略図および、同定した線形離散時間システムの周波数応答と動的システムの実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗和のノルム||e ni ||と次元ni(i=1,2,…,a)との関係を示す概略図は、それぞれ実施の形態1の説明において使用した図1、図3および図5と同一である。
実施の形態2によるシステム次元決定部7では、図7に示すように、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに対して、再帰的システム行列推定部31で同定したシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni に基づき、システム安定性評価部34にて線形離散時間システムの安定性を評価する。
システム特性推定部32は、システム安定性評価部34にて安定システムと判断された次元に対して、再帰的システム行列推定部31から出力されるシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni に基づいて、同定した線形離散時間システムに関する周波数応答を算出する。
システム次元推定部33は、動的システムのシステム入出力から得られる実際の周波数応答(図7では動的システムのシステム特性と記載)に基づいて重み関数を決定し、システム特性推定部32から出力される線形離散時間システムの周波数応答と、動的システムの実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗値に対して、当該重み関数を乗じた値の加算値 ni (ni:安定システムとなる次元)を算出し、図5に示したように当該加算値のノルム||e ni ||の分布41が予め設定された誤差2乗和ノルム閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定して出力する(図5の場合はシステム次元n=n6)。
平行射影生成部5は、[数8]で定義される動的システムの平行射影Θを生成し、特異値分解部6は、生成された平行射影Θを特異値分解することで、[数9]で与えられる第1の直交行列U、第2の直交行列Vおよび、特異値σi(i=1,2,3, …)を出力する。
システム次元決定部7では、図7に示す処理が実行される。まず、再帰的システム行列推定部31は、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに関して、[数11]に示される再帰的手法によって、対応するシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni を同定する。
次にシステム安定性評価部34は、作業者が指定したシステム次元の探索範囲ni=(n1,n2,…,na)(ただし、n1<n2<…<na)に属する次元niのそれぞれに対して、再帰的システム行列推定部31が同定したシステム行列 d,ni に基づいて、線形離散時間システムの安定性を、以下の内容にて評価する。
システム特性推定部32は、システム安定性評価部34で安定システムと判断された次元に対して、再帰的システム行列推定部31が生成したシステム行列 d,ni ,B d,ni ,C d,ni ,D d,ni に基づいて、同定された線形離散時間システムの周波数応答^H ni (kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)を算出する。
まず、次式で与えられる同定用入出力データuid(jTS),yid(jTS)の有限離散フーリエ変換Uid(kΔf),Yid(kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)から、次々式で得られる動的システムの実際の周波数応答H(kΔf)(k=0,1,2,…,N/2-1)(図7では動的システムのシステム特性と記載)を算出する。
そして、システム特性推定部32から出力される線形離散時間システムの周波数応答^H ni (kΔf)と、動的システムの実際の周波数応答H(kΔf)との周波数領域における誤差2乗値に対して、重み関数W(kΔf)を乗じた値の加算値 ni (ni:安定システムとなる次元)を次式にて算出する。
この重み付き誤差2乗和のノルム||e ni ||を最小とする次元niが、“重み関数に応じて、周波数領域において実際の周波数応答に最も適合する”安定なシステム次元nとなる。ここでは、図5に示すように重み付き誤差2乗和のノルム||e ni ||の分布41が、[数13]で与えられる誤差2乗和ノルム閾値42以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元nとして決定して出力する(図5の例は、システム次元n=n6)。
状態ベクトル生成部8は、特異値分解部6から出力される第2の直交行列Vおよび特異値σi(i=1,2,3, …)と、システム次元決定部7から出力されるシステム次元nに基づいて、動的システムの状態ベクトル~XK,~XK+1を[数14]を用いて生成する。
このように、実施の形態2に係るシステム同定装置10によれば、現実のシステム入出力から算出した平行射影Θの特異値σi(i=1,2,3, …)がなだらかな単調減少となり、したがって有意な値を持つ特異値と、同定において無視できる微小な値となる特異値との境界が不明確となる場合においても、システム次元nの決定から試行錯誤を排除し、現実の動的システムに対して、周波数領域での重み関数に応じて一致度の高いシステム次元nを決定することができ、動的システムを記述する線形離散時間システムの同定が可能となる。

Claims (7)

  1. 同定対象とする動的システムに対して擬似ランダム入力を印加した場合のシステム入出力および指定されたシステム次元の探索範囲を入力とするシステム同定装置において、
    前記動的システムのシステム入出力から同定に適用する同定用入出力データを抽出するシステム入出力抽出部と、
    前記同定用入出力データに基づいて、ブロックハンケル行列を生成するブロックハンケル行列生成部と、
    前記ブロックハンケル行列に基づいて、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルを生成する入出力ベクトル生成部と、
    前記ブロックハンケル行列を結合してデータ行列を生成し、当該データ行列をLQ分解した部分行列を出力するLQ分解部と、
    前記部分行列と前記ブロックハンケル行列に基づいて、平行射影を生成する平行射影生成部と、
    前記平行射影の特異値分解により、前記平行射影の左特異ベクトルを列ベクトルとする第1の直交行列、当該平行射影の右特異ベクトルを列ベクトルとする第2の直交行列および当該平行射影の特異値を出力する特異値分解部と、
    前記第2の直交行列および前記特異値と、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルと、前記探索範囲に基づいて、当該探索範囲に属するそれぞれの次元に対して動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定し、さらに当該システム行列に基づいて算出した線形離散時間システムのシステム特性と、動的システムの実際のシステム特性との比較から、システム次元を決定するシステム次元決定部と、
    前記第2の直交行列および特異値と、前記決定されたシステム次元に基づいて、前記動的システムの状態ベクトルを生成する状態ベクトル生成部と、
    前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルならびに前記動的システムの状態ベクトルに基づいて、当該動的システムを記述する線形離散時間システムのシステム行列を同定するシステム行列同定部と、を備え、
    前記同定されたシステム行列を、前記動的システムを記述する線形離散時間システムとして出力することを特徴とするシステム同定装置。
  2. 前記システム次元決定部は、
    前記探索範囲に属するそれぞれの次元に対して、
    同定した線形離散時間システムに関して実際の同定用入力データを適用した場合のシステム出力を算出し、当該システム出力を線形離散時間システムのシステム特性として出力するシステム特性推定部と、
    前記線形離散時間システムのシステム出力と、前記動的システムの実際の同定用出力データとの時間領域における誤差2乗和のノルムが設定閾値以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元として決定して出力するシステム次元推定部と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシステム同定装置。
  3. 前記システム次元決定部が、
    前記探索範囲に属するそれぞれの次元に対して、
    同定した線形離散時間システムの周波数応答を算出し、当該周波数応答を線形離散時間システムのシステム特性として出力するシステム特性推定部と、
    前記線形離散時間システムの周波数応答と、前記動的システムのシステム入出力から得られる実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗和のノルムが設定閾値以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元として決定して出力するシステム次元推定部と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシステム同定装置。
  4. 前記システム次元推定部は、
    前記動的システムのシステム入出力から得られる実際の周波数応答に基づいて重み関数を決定し、
    前記線形離散時間システムの周波数応答と、前記動的システムの実際の周波数応答との周波数領域における誤差2乗値に対して、当該重み関数を乗じた値の加算値を算出し、
    当該加算値のノルムが設定閾値以下となる次元のうち、最小の次元をシステム次元として決定して出力する
    ことを特徴とする請求項3に記載のシステム同定装置。
  5. 前記システム次元決定部は、
    前記探索範囲に属する第1の次元に対応するシステム行列の同定に関して、
    当該探索範囲の中で第1の次元よりも1段階低い第2の次元に対応したシステム行列の同定結果と、
    前記第2の直交行列および特異値のうち、それぞれ前記第2の次元よりも大きく、前記第1の次元以下となる右特異ベクトルおよび特異値、ならびに、前記動的システムの入力ベクトルおよび出力ベクトルを用いて、再帰的手法により前記第1の次元に対応するシステム行列を同定する再帰的システム行列推定部と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシステム同定装置。
  6. 前記システム入出力抽出部は、
    設定された比率閾値とシステム入力の最大値とを乗じた値をシステム入力閾値とし、システム入力の絶対値がシステム入力閾値以上となる時刻の最小値を擬似ランダム入力印加時刻として、擬似ランダム入力印加時刻以降のシステム入力およびシステム出力を、それぞれ同定用入力データおよび同定用出力データとして抽出することを特徴とする請求項1に記載のシステム同定装置。
  7. 前記システム次元決定部は、
    前記探索範囲に属するそれぞれの次元に対して線形離散時間システムの安定性を評価するシステム安定性評価部を備え、
    安定システムとなる次元に対応する線形離散時間システムのシステム特性から、システム次元を決定することを特徴とする請求項1に記載のシステム同定装置。
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