JPWO2015099133A1 - ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置 - Google Patents

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Abstract

ガラス処理装置は、内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなり、熔融ガラスを流して前記熔融ガラスを処理する装置であり、前記熔融ガラスの表面と前記内壁により内部に気相空間が形成されるように構成されている。前記気相空間は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成されている。前記熔融ガラスを処理するとき、前記気相空間の前記壁において、前記壁における最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が、前記ガラス処理装置の加熱及び放熱の少なくとも一方を用いて形成される。前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を抑制できるように、前記温度勾配領域における前記最高温度と最低温度との温度差を150℃以下にする。

Description

本発明は、ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置に関する。
ガラス基板は、一般的に、ガラス原料から熔融ガラスを生成させた後、清澄工程、攪拌工程(均質化工程)を得た後、熔融ガラスをガラス基板へと成形する工程を経て製造される。 ところで、高温の熔融ガラスから品位の高いガラス基板を量産するためには、ガラス基板の欠陥の要因となる異物等が、ガラス基板を製造するいずれのガラス処理装置からも熔融ガラスへ混入しないよう考慮することが望まれる。このため、ガラス基板の製造過程において熔融ガラスに接する部材の壁は、その部材に接する熔融ガラスの温度、要求されるガラス基板の品質等に応じ、適切な材料により構成する必要がある。たとえば、熔融ガラスを生成した後成形工程に供給するまでの間の熔融ガラスは極めて高温状態になるため、熔融、清澄、供給、攪拌を行う装置は、耐熱性の高い白金族金属である白金を含有する部材が用いられる(例えば、特許文献1)。
特開2010−111533号公報
しかし、白金族金属は、熔融ガラスの高温に伴って揮発し易い。そして白金族金属の揮発物が凝集すると、この凝集物である結晶の一部が微粒子として熔融ガラス中に混入し、ガラス基板の品質の低下を招くおそれがあった。特に、清澄工程は、熔解工程から成形工程にいたるまでの間で熔融ガラスの温度が最も高くなる工程であるので、清澄工程を主に行う清澄管では、極めて高い温度に加熱される。このため、清澄管における白金族金属の揮発は盛んであり、白金族金属の揮発及び凝集を低減することが特に望まれる。
また、上記白金族金属等の揮発物の凝集物に由来する異物の熔融ガラスへの混入の問題は、近年の高精細化に伴い、益々品質要求が厳しくなっている液晶ディスプレイに代表されるディスプレイ用ガラス基板ではより大きくなる。
本発明の目的は、ガラス基板の成形前に熔融ガラスを処理する工程において、ガラス処理装置の気相空間中に存在する白金族金属の揮発物の凝集を低減することにより、熔融ガラスに異物が混入することを抑制することができるガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置を提供する。
本発明は、以下の形態を含む。
(形態1)
ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなるガラス処理装置の内部に熔融ガラスを流して前記ガラス処理装置の内部で前記熔融ガラスを処理する処理工程と、を有し、
前記ガラス処理装置の内部には、前記熔融ガラスの表面と前記内壁により気相空間が形成され、
前記気相空間は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
前記処理工程では、前記気相空間を形成する前記内壁において、前記内壁における最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が、前記ガラス処理装置の加熱及び前記ガラス処理装置の放熱の少なくとも一方を用いて形成され、
前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を抑制するように、前記温度勾配領域における前記最高温度と最低温度との温度差を150℃以下にする、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
(形態2)
ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
前記熔融ガラスが流れる液相と、前記熔融ガラスの液面と壁から形成される気相空間とを有し、前記気相空間を囲む壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されたガラス処理装置において前記熔融ガラスを処理する処理工程と、を有し、
前記気相空間は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
前記処理工程では、前記気相空間を形成する前記壁において、前記壁における最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が、前記ガラス処理装置の加熱及び前記ガラス処理装置の放熱の少なくとも一方を用いて形成され、
前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を抑制できるように、前記温度勾配領域における前記最高温度と最低温度との温度差を150℃以下にする、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
(形態3)
前記ガラス処理装置の前記熔融ガラスが流れる方向の前記内壁の途中には、前記気相空間と大気を連通させる通気管が突設し、
前記温度勾配領域における最高温度の位置は、前記気相空間の端と前記通気管の位置の間に位置し、
前記温度勾配領域は、前記最高温度の位置と前記気相空間の端との間の領域、あるいは、前記最高温度の位置と前記通気管の位置との間の領域に形成される、形態1または2に記載のガラス基板の製造方法。
(形態4)
前記気相空間の端には、前記ガラス処理装置の外周から前記ガラス処理装置の外側に延びるフランジ部材が設けられ、前記温度勾配領域における前記最低温度位置は、前記気相空間の端である、形態1〜3のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(形態5)
前記最低温度と前記最高温度は、1500〜1750℃である、形態1〜4のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(形態6)
前記ガラス処理装置は、熔融ガラスの清澄を行う清澄装置である、形態1〜5のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法。
(形態7)
内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなり、熔融ガラスを流して前記熔融ガラスを処理する装置であり、前記熔融ガラスの表面と前記内壁により内部に気相空間が形成されるように構成されたガラス処理装置を有するガラス基板製造装置であって、
前記気相空間を囲む前記内壁には、前記内壁における最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向の上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が、前記ガラス処理装置の加熱及び前記ガラス処理装置の放熱の少なくとも一方を用いて形成されるように構成され、
前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集が抑制するように、前記温度勾配領域における前記最高温度と最低温度との温度差を150℃以下とした、ことを特徴とするガラス基板製造装置。
(形態8)
前記処理装置の内部を流れる熔融ガラスの最高温度は1630℃〜1750℃である、形態1〜6のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法、あるいは形態7に記載の前記ガラス基板製造装置。
(形態9)
前記ガラス基板の酸化錫の含有量は、0.01モル%〜0.3モル%である、形態1〜6、及び8のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法、あるいは形態7または8に記載の前記ガラス基板製造装置。
(形態10)
前記気相空間中の白金族金属の蒸気圧は、0.1Pa〜15Paである、形態1〜6、8、及び9のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法、あるいは形態7〜9のいずれか1項に記載の前記ガラス基板製造装置。
(形態11) 前記気相空間の酸素濃度は、0〜10%である、形態1〜6、8、9,及び10のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法、あるいは形態7〜10のいずれか1つに記載の前記ガラス基板製造装置。
(形態12)
前記白金族金属の揮発物の凝集により生成される凝集物は、例えば、最大長さの最小長さに対する比であるアスペクト比が100以上である、形態1〜6、8〜11のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法、あるいは形態7〜11のいずれか1つに記載のガラス基板製造装置。
また、例えば、白金族金属の凝集物の最大長さは50μm〜300μm、最小長さは0.5μm〜2μmである。ここで、白金族金属の凝集物の最大長さとは、白金族金属の凝集物を撮影して得られる異物の像に外接する外接長方形のうち最大長辺の長さをいい、最小長さとは、前記外接長方形の最小短辺の長さをいう。
あるいは、前記白金族金属の揮発物の凝集により生成される凝集物として、最大長さの最小長さに対する比であるアスペクト比が100以上であり、白金族金属の凝集物の最大長さが100μm以上、好ましくは100μm〜300μmであるものを定めることができる。
(形態13)
前記ガラス基板は、ディスプレイ用ガラス基板である、形態1〜6、8〜12のいずれか1つに記載のガラス基板の製造方法、あるいは形態7〜12のいずれか1つに記載のガラス基板製造装置。
また、酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板又はLTPSディスプレイ用ガラス基板に好適である。
本発明に係るガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置によれば、ガラス基板の成形前の熔融ガラスを処理する工程において、ガラス処理装置の気相空間中に存在する白金族金属の揮発物の凝集を抑制することができる。これにより、熔融ガラスに異物が混入することを抑制することができる。
実施形態に係るガラス基板製造方法の工程を示すフローチャートである。 実施形態に係るガラス基板製造装置の構成を示す模式図である。 実施形態に係る清澄管を主に表した外観図である。 実施形態に係る清澄管の内部を表す断面図と清澄管の温度プロファイルの一例を示す図である。 実験例の結果の一例を示す図である。
(ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置)
本発明に係るガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るガラス基板製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。ガラス基板の製造方法は、図1に示されるように、主として、熔解工程S1と、清澄工程S2と、攪拌工程S3と、成形工程S4と、徐冷工程S5と、切断工程S6とを備える。
図2は、本実施形態に係るガラス基板製造装置200の構成の一例を示す模式図である。ガラス基板製造装置200は、熔解槽40と、清澄管41と、攪拌装置100と、成形装置42と、移送管43a,43b,43cとを備える。移送管43aは、熔解槽40と清澄管41を接続する。移送管43bは、清澄管41と攪拌装置100を接続する。移送管43cは、攪拌装置100と成形装置42を接続する。
熔解工程S1では、ガラスの原料を熔解して熔融ガラスが生成される。熔融ガラスは、熔解槽に貯留され、所望の温度を有するように加熱される。熔融ガラスは、清澄剤を含有する。環境負荷低減の観点から、清澄剤として酸化錫が好適に用いられる。
熔解槽40では、ガラス原料は、その組成等に応じた温度に加熱されて熔解される。これにより、熔解槽40では、例えば、1500℃〜1620℃の高温の熔融ガラスGが得られる。なお、熔解槽40では、少なくとも1対の電極間に電流を流すことで、電極間の熔融ガラスGが通電加熱されてもよく、また、通電加熱に加えてバーナーによる火焔を補助的に与えることで、ガラス原料が加熱されてもよい。
清澄工程S2では、移送管及び清澄管の内部で行われる。清澄管の内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなり、清澄管の内部に、熔融ガラスを、熔融ガラスの表面の上部に気相空間が形成されるように流してガラス処理装置の内部で清澄が行われる。熔融ガラスの表面の上部とは、表面に対して鉛直上方にある部分をいう。ガラス処理装置の内部とは、内壁で囲まれた内側の空間をいう。最初に、移送管及び清澄管で熔融ガラスの温度を上昇させる。清澄剤は、昇温により還元反応を起こして酸素を放出する。熔融ガラス中に含まれる泡は、放出した酸素を吸収して泡の径が拡大し、清澄管内の気相空間と接する熔融ガラスの表面(液面)に浮上し、破泡して消滅する。次に、清澄工程S2では、熔融ガラスの温度を低下させる。これにより、還元された清澄剤は、酸化反応を起こして、熔融ガラス中に残存している酸素等のガス成分を吸収する。
具体的には、熔解槽40で得られた熔融ガラスGは、熔解槽40から移送管43aを通過して清澄管41に流入する。清澄管41および移送管43a,43b,43cは、白金族金属製の管である。なお、白金族金属は、単一の白金族元素からなる金属、および、白金族元素からなる金属の合金を意味する。白金族元素は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)の6元素である。白金族金属は、融点が高く、熔融ガラスに対する耐食性に優れている。清澄管41には、熔解槽40と同様に加熱手段が設けられている。また、少なくとも移送管43aにも加熱手段が設けられている。清澄工程S2では、熔融ガラスGがさらに昇温させられることで清澄される。例えば、清澄管41における熔融ガラスGの温度は、1600℃〜1720℃である。
清澄管41において清澄された熔融ガラスGは、清澄管41から移送管43bを通過して攪拌装置100に流入する。熔融ガラスGは、移送管43bを通過する際に冷却される。
攪拌工程S3では、清澄された熔融ガラスが攪拌されて、熔融ガラスの成分が均質化される。これにより、ガラス基板の脈理等の原因である熔融ガラスの組成ムラが低減される。均質化された熔融ガラスは、成形工程S4に送られる。
具体的には、攪拌装置100では、清澄管41を通過する熔融ガラスGの温度よりも低い温度で、熔融ガラスGが攪拌される。例えば、攪拌装置100において、熔融ガラスGの温度は、1250℃〜1450℃である。例えば、攪拌装置100において、熔融ガラスGの粘度は、500ポアズ〜1300ポアズである。熔融ガラスGは、攪拌装置100において攪拌されて均質化される。
攪拌装置100で均質化された熔融ガラスGは、攪拌装置100から移送管43cを通過して成形装置42に流入する。熔融ガラスGは、移送管43cを通過する際に、熔融ガラスGの成形に適した粘度となるように冷却される。例えば、熔融ガラスGは、1100〜1300℃まで冷却される。
成形工程S4では、オーバーフローダウンドロー法またはフロート法によって、熔融ガラスからシートガラスが連続的に成形される。
具体的には、成形装置42に流入した熔融ガラスGは、成形炉(図示せず)の内部に設置されている成形体52に供給される。成形体52の上面には、成形体52の長手方向に沿って溝が形成されている。熔融ガラスGは、成形体52の上面の溝に供給される。溝から溢れた熔融ガラスGは、成形体52の一対の側面を伝って下方へ流下する。成形体52の側面を流下した一対の熔融ガラスGは、成形体52の下端で合流して、シートガラスGRが連続的に成形される。
徐冷工程S5では、成形工程S4で連続的に成形されたシートガラスが所望の厚みを有し、かつ、歪みおよび反りが生じないようにシートガラスを徐冷する。
切断工程S6では、徐冷工程S5で徐冷されたシートガラスが所定の長さに切断されて、板状のガラスが得られる。板状のガラスは、さらに、所定のサイズに切断されて、ガラス基板が得られる。
このように、本実施形態のガラス基板の製造方法は、ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、ガラス処理装置において熔融ガラスを処理する処理工程、例えば清澄装置において熔融ガラスを清澄する清澄工程と、を有する。ガラス処理装置は、熔融ガラスを、熔融ガラスの表面の上部に気相空間が形成されるように流すように構成されている。したがって、ガラス処理装置には、熔融ガラスが流れる液相と、気相空間と接する熔融ガラスの表面(液面)と壁から形成される気相空間とが設けられている。この気相空間を囲む内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されている。
以下、ガラス処理装置として清澄管41を含んだ清澄装置を用いて説明するが、ガラス処理装置は、熔解槽40と成形装置42との間に設けられ、熔融ガラスGに所定の処理をする装置である限りにおいて、特に制限されない。ガラス処理装置は、清澄装置の他に、例えば攪拌装置、あるいは熔融ガラスを移送する移送管を対象とすることもできる。したがって、熔融ガラスGの処理は、熔融ガラスを清澄する処理の他に、熔融ガラスを均質化する処理、熔融ガラスを移送する処理等を含む。
(ガラス基板の適用例)
ガラス基板の表面にある白金族金属の凝集物は、ガラス基板を用いたパネル製造工程においてガラス基板の表面から離脱すると、離脱した表面の部分が凹部となり、ガラス基板上に形成される薄膜が均一に形成されず、画面の表示欠陥を引き起こすという問題がある。さらに、ガラス基板中に白金族金属の凝集物が存在すると、徐冷工程において、ガラスと白金族金属の熱膨張率差により歪が生じるため、画面の表示欠陥を引き起こすという問題がある。そのため、本実施形態は、画面の表示欠陥に対する要求の厳しいディスプレイ用ガラス基板の製造に好適である。特に、本実施形態は、画面の表示欠陥に対する要求がさらに厳しい、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体を使用した酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板及びLTPS(低温度ポリシリコン)半導体を使用したLTPSディスプレイ用ガラス基板等の高精細ディスプレイ用ガラス基板に好適である。
以上のことから、本実施形態のガラス基板の製造方法によって製造されるガラス基板は、アルカリ金属酸化物の含有量が極めて少ないことが求められる液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のパネルディスプレイ用のガラス基板やフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板に好適である。また、IGZO酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板及びLTPSディスプレイ用ガラス基板にも好適である。さらに、ディスプレイを保護するカバーガラス、磁気ディスク用ガラス、太陽電池用ガラス基板としても、適している。パネルディスプレイやフラットパネルディスプレイ用のガラス基板としては、無アルカリガラス、または、アルカリ微量含有ガラスが用いられる。パネルディスプレイやフラットパネルディスプレイ用のガラス基板は、高温時における粘性が高い。例えば、102.5ポアズの粘性を有する熔融ガラスの温度は、1500℃以上である。
(ガラス組成)
熔解槽40では、図示されない加熱手段によりガラス原料が熔解され、熔融ガラスが生成される。ガラス原料は、所望の組成のガラスを実質的に得ることができるように調製される。ガラスの組成の一例として、パネルディスプレイやフラットパネルディスプレイ用のガラス基板として好適な無アルカリガラスは、SiO2:50質量%〜70質量%、Al23:10質量%〜25質量%、B23:0質量%〜15質量%、MgO:0質量%〜10質量%、CaO:0質量%〜20質量%、SrO:0質量%〜20質量%、BaO:0質量%〜10質量%を含有する。ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。
あるいは、酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板及びLTPSディスプレイ用ガラス基板に好適なガラス基板は、SiO2:55質量%〜70質量%、Al23:15質量%〜25質量%、B23:0質量%〜15質量%、MgO:0質量%〜10質量%、CaO:0質量%〜20質量%、SrO:0質量%〜20質量%、BaO:0質量%〜10質量%を含有する。ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。このとき、SiO2を60質量%〜70質量%、BaOを3質量%〜10質量%を含有することがより好ましい。
パネルディスプレイやフラットパネルディスプレイ用のガラス基板として、無アルカリガラスの他に、アルカリ金属を微量含むアルカリ微量含有ガラスを用いてもよい。ガラス基板のガラスが、酸化錫を含む無アルカリガラス、又は、酸化錫を含むアルカリ微量含有ガラスであると、後述する本実施形態のガラス処理装置の内壁に用いる白金族金属の揮発によって生じる白金族金属の凝集物の異物が熔融ガラスに混入することを抑制する効果は顕著となる。無アルカリガラス又はアルカリ微量含有ガラスは、アルカリガラスと比較してガラス粘度が高い。熔解工程で熔融温度を高くすることにより多くの酸化錫が熔解工程で還元されることから、清澄効果を得るために清澄工程における熔融ガラス温度を高くして、酸化錫の還元を促進し、かつ熔融ガラス粘度を低下させることが必要がある。また、酸化錫は、従来清澄剤として用いられていた亜ヒ酸やアンチモンと比較して還元反応を促進する温度が高いため、熔融ガラスの温度を高くして清澄を促進させるために、清澄管120の内壁の温度を高くする必要がある。つまり、酸化錫を含む無アルカリガラス基板、又は、酸化錫を含むアルカリ微量含有ガラスのガラス基板を製造する場合には、清澄工程における熔融ガラス温度を高くする必要があるので、白金族金属の揮発が生じやすい。
なお、無アルカリガラス基板とは、アルカリ金属酸化物(Li2O、K2O、及びNa2O)を実質的に含有しないガラスである。また、アルカリ微量含有ガラスとは、アルカリ金属酸化物の含有量(Li2O、K2O、及びNa2Oの合量)が0超0.8モル%以下のガラスである。アルカリ微量含有ガラスは、成分として、例えば0.1質量%〜0.5質量%のアルカリ金属酸化物を含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のアルカリ金属酸化物を含む。ここで、アルカリ金属酸化物は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種である。アルカリ金属酸化物の含有量の合計は、0.1質量%未満であってもよい。 ガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有量が0〜0.8モル%であっても、後述するような方法によって、熔融ガラス中に白金族金属の凝集物が異物として混入することを抑制することができる。
本実施形態によって製造されるガラス基板は、上記成分に加えて、SnO 0.01質量%〜1質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.5質量%)、Fe 0質量%〜0.2質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.08質量%)をさらに含有してもよい。本実施形態によって製造されるガラス基板は、環境負荷を考慮して、As23、Sb23およびPbOを含有しない、あるいは実質的に含有しないことが好ましい。
また、本実施形態で製造されるガラス基板として、さらに、以下のガラス組成のガラス基板も例示される。したがって、以下のガラス組成をガラス基板が有するようにガラス原料は調合される。
例えば、モル%表示で、SiO2 55〜75モル%、Al23 5〜20モル%、B23 0〜15モル%、RO 5〜20モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)、 R’2O 0〜0.4モル%(R’はLi2O、K2O、及びNa2Oの合量)、SnO2 0.01〜0.4モル%、含有する。 このとき、SiO2、Al23、B23、及びRO(Rは、Mg、Ca、Sr及びBaのうち前記ガラス基板に含有される全元素)の少なくともいずれかを含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.0以上であってもよい。すなわち、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.0以上であるガラスは、高温粘性の高いガラスの一例である。高温粘性の高いガラスは、一般的に清澄工程における熔融ガラス温度を高くする必要があるので、白金族金属の揮発が生じやすい。つまり、このような組成を有するガラス基板を製造する場合には、後述する本実施形態の効果、すなわち熔融ガラス中に白金族金属の凝集物が異物として混入することを抑制するといった効果は顕著になる。なお、高温粘性とは、熔融ガラスが高温になるときのガラスの粘性を示し、ここでいう高温とは、例えば、1300℃以上を示す。
本実施形態で用いる熔融ガラスは、粘度が102.5ポアズであるときの温度は1500〜1700℃であるガラス組成であってもよい。このようなガラスは高温粘性の高いガラスであり、高温粘性の高いガラスは、一般的に清澄工程における熔融ガラス温度を高くする必要があるので、白金族金属の揮発が生じやすい。すなわち、高温粘性の高いガラス組成であっても、後述する本実施形態の効果、すなわち、熔融ガラス中に白金族金属の凝集物が異物として混入することを抑制する効果は顕著になる。
本実施形態で用いる熔融ガラスの歪点は650℃以上であってもよく、660℃以上であることがより好ましく、690℃以上であることがさらに好ましく、730℃以上が特に好ましい。また、歪点が高いガラスは、粘度が102.5ポアズにおける熔融ガラスの温度が高くなる傾向にある。つまり、歪点が高いガラス基板を製造する場合ほど、後述する本実施形態の効果、すなわち熔融ガラス中に白金族金属の凝集物が異物として混入することを抑制する効果は顕著になる。また、歪点が高いガラスほど、高精細ディスプレイに使用されるため、白金族金属の凝集物が異物として混入する問題に対する要求が厳しい。そのため、高歪点のガラス基板ほど、白金族金属の凝集物が異物混入を抑制できる本実施形態が好適となる。
また、酸化錫を含み、粘度が102.5ポアズであるときの熔融ガラスの温度が1500℃以上となるガラスになるようにガラス原料を熔解した場合、より本実施形態の上記効果は顕著になり、粘度が102.5ポアズであるときの熔融ガラスの温度は、例えば1500℃〜1700℃であり、1550℃〜1650℃であってもよい。
熔融ガラスに含まれる清澄剤、例えば酸化錫の含有量が変化すれば、熔融ガラスから気相空間に放出される酸素の放出量も変化する。この点から、白金族金属の揮発を抑制する点から、気相空間における酸素濃度は、酸化錫の含有量によって制御(調整)されることが好ましい。したがって白金または白金合金等の揮発を抑制する点から、酸化錫の含有量は制限され、0.01〜0.3モル%、好ましくは0.03〜0.2モルであることが好ましい。酸化錫の含有量が多すぎると酸化錫の2次結晶が熔融ガラス中で発生する問題が生じるので好ましくない。また、酸化錫の含有量が多すぎると、熔融ガラスから気相空間に放出される酸素が増加し、気相空間の酸素濃度が上昇し過ぎてしまい、処理装置からの白金族金属の揮発量が増加してしまうという問題が生ずる。酸化錫の含有量が少なすぎると熔融ガラスの泡の脱泡が十分でない。
(清澄管の構成)
次に、清澄装置の清澄管41の構成について詳細に説明する。なお、清澄装置は、清澄管41の他に、通気管41a、加熱電極41b、及び、清澄管41の外周を囲む図示されない耐火物保護層及び耐火物レンガを含む。図3は、清澄管41を主に表す外観図である。図4は、清澄管41の内部を表す断面図と清澄管の温度プロファイルの一例を示す図である。清澄管41は、白金族金属製、白金、強化白金又は白金合金製であることが好ましい。
清澄管41には、通気管41a、および、一対の加熱電極41bが取り付けられている。清澄管41には、その内部に、熔融ガラスGが流れる液相が形成され、気相空間と接する熔融ガラスGの表面(液面)と壁から形成される気相空間が形成されている。気相空間41cは、熔融ガラスGの流れの方向に沿って形成されている。気相空間41cを囲む壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されている。本実施形態では、気相空間41cを囲む壁全体が白金族金属を含む材料で構成されている。
通気管41aは、熔融ガラスGが流れる方向の途中であり、気相空間41cと接する壁に設けられ、気相空間41cと清澄管41の外側の大気とを連通させる。通気管41aは、清澄管41と同様に、白金族金属で成形されることが好ましい。通気管41aは放熱機能により、通気管41aの温度が低下し易いので、通気管41aを加熱するための加熱機構を設けてもよい。
一対の加熱電極41bは、清澄管41aの両端に設けられたフランジ形状の電極板である。加熱電極41bは、図示されない電源から供給される電流を清澄管41に流し、この電流により、清澄管41は通電加熱される。また、加熱による破損を抑制するために、一対の加熱電極41bは冷却されている。清澄剤として酸化錫を用いる場合、例えば清澄管41は最高温度が1600℃〜1750℃、より好ましくは1630℃〜1750℃となるように加熱され、熔融ガラスGは最高温度が酸化錫の還元反応が起こる温度、例えば1600℃〜1720℃、より好ましくは1620℃〜1720℃に加熱される。清澄管41を流れる電流を制御することで、清澄管41の内部を流れる熔融ガラスGの温度を制御することができる。熔融ガラスの温度は1630℃〜1750℃であることが好ましく、1650℃〜1750℃であることが、白金族金属の揮発量を抑制し残存する泡の数を低減する点から好ましい。
加熱電極41bは清澄管41に一対設けられるが、清澄管41の数は特に制限されない。加熱電極41bによる通電加熱により、清澄管41の気相空間41cと接する内壁の温度は、例えば1500〜1750℃の範囲にある。
清澄管41の内部では、熔融ガラスGに添加されている清澄剤、例えば酸化錫の酸化還元反応によって、熔融ガラスGに含まれるCO2またはSO2を含む泡が除去される。具体的には、最初に、熔融ガラスGの温度を上げて、清澄剤を還元させることにより、酸素の泡を熔融ガラスG中に発生させる。熔融ガラスG中に含まれるCO2、N2、SO2等の気体成分を含む泡は、清澄剤の還元反応によって生じた酸素を吸収する。酸素を吸収して泡径の拡大した泡は、気相空間と接する熔融ガラスGの表面(液面)に浮上し泡を放出する、すなわち破泡して消滅する。消滅した泡に含まれていたガスは、気相空間41cに放出され、通気管41aを経由して清澄管41の外部に排出される。次に、熔融ガラスGの温度を下げて、還元された清澄剤を酸化させる。これにより、熔融ガラスG中に残留する泡の酸素が熔融ガラスGに吸収される(吸収処理)。こうして、残存する泡は小さくなり消滅する。このように、清澄剤の酸化還元反応によって、熔融ガラスGに含まれる泡が除去される。
このように、清澄管41の熔融ガラスの流れ方向の上流部分では、清澄剤の還元反応が生じるように内壁の温度を上げ、下流部分では、清澄剤の酸化反応が生じるように内壁の温度を下げることにより、上流部分の熔融ガラスの温度は下流部分に比べて高くなり、その結果熔融ガラスから気相空間に放出される酸素の放出量が下流部分に比べて多くなるように調整されている。ここで、上流部分とは、下流部分に対して熔融ガラスの流れの上流側にある部分を意味し、下流部分とは、上流部分に対して熔融ガラスの流れの下流側にある部分を意味し、例えば、上流部分は、清澄管41の熔融ガラスの流れ方向の中央位置から熔融ガラスの流れ方向の上流側の部分をいい、下流部分は、清澄管41の熔融ガラスの流れ方向の中央位置から熔融ガラスの流れ方向の下流側の部分をいう。
気相空間41cの酸素濃度(平均酸素濃度)は、0%以上であってもよいが、0.1%以上となるように調節することが好ましい。また、気相空間41cの酸素濃度は、30%以下であってもよいが、10%以下となるように調節することが好ましい。酸素濃度を0%にすれば、白金族金属の揮発を抑えられるので、白金族金属の揮発を抑える点からは、酸素濃度を0%にすることが好ましい。気相空間41cの酸素濃度を常に0%とするには、清澄剤の含有量を極めて減らすことや、コストがかかるという問題があるため、泡低減、低コスト及び白金族金属の揮発の抑制を実現するためには、気相空間41cの酸素濃度は、0.01%以上であることが好ましい。気相空間の酸素濃度が小さくなり過ぎると、熔融ガラスと気相空間の酸素濃度差が大きくなることで熔融ガラスから気相空間120aに放出される酸素が増加し、熔融ガラスが還元され過ぎてしまうことで、結果的に成形後のガラス基板に硫黄酸化物や窒素等の気泡が残存するおそれがある。一方、酸素濃度が大きすぎると、白金族金属の揮発が促進され、揮発した白金族金属の析出量が増大するおそれがある。以上のことから、酸素濃度の上限は10%であることが好ましい。すなわち、酸素濃度は、0〜10%であることが好ましく、0%以上3%以下、0%〜1%であることがより好ましく、特に、0.01%以上1%以下であることが好ましい。
気相空間41cにおける白金族金属の蒸気圧は、白金族金属の揮発を抑制するために調整されることが好ましい。白金族金属の揮発及び凝集を抑制する点から、気相空間41cにおける白金族金属の蒸気圧は0.1Pa〜15Paであることが好ましく、3Pa〜10Paであることが好ましい。
図示されていないが、清澄管41の外壁面には耐火物保護層が設けられる。耐火物保護層の外側には、さらに、耐火物レンガが設けられる。耐火物レンガは、基台(図示せず)に載置されている。
このような清澄工程では、気相空間41cを形成する清澄管41の内壁において、この内壁における最高温度から熔融ガラスGの流れの方向であるX方向(図4参照)のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が形成される。上流方向は、熔融ガラスGの流れ方向のうち、清澄管41からみて熔解槽40の側に向く方向をいい、下流方向は、溶融ガラスGの流れ方向のうち、清澄管41からみて成形装置42の側に向く方向をいう。この温度勾配領域は、清澄管41の加熱及び放熱の少なくとも一方を用いて形成される。そして、気相空間41cに存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を抑制できるように、温度勾配領域における最高温度と最低温度との温度差は150℃以下となるように調整されている。ここで、揮発物の凝集の抑制とは、揮発物の凝集が0になることの他に、揮発量の凝集量が、上記温度差を150℃超の場合に比べて少なくなることを含むことを意味する。
このような温度差に調整することにより、気相空間41c内に存在する白金族金属の揮発物、例えば清澄管41の白金族金属で構成された壁から揮発した白金族金属の揮発物の凝集を抑制することができる。白金族金属は、温度に応じて定まる飽和蒸気圧に従って揮発物として揮発するが、この飽和蒸気圧は温度が低い程低い。このため、揮発物の一部は温度の低い領域で凝集し易くなる。しかし、清澄管41の壁における温度差を150℃以下にすることで、揮発物が飽和蒸気圧の温度依存性の曲線(飽和蒸気圧曲線)に従って凝集する量は少なくなる。このため、気相空間41cに形成される白金族金属の凝集物は少なく、この凝集物の一部が離脱して微粒子となって熔融ガラスGに落下することは少なくなる。これによって、熔融ガラスGに白金族金属の異物が混入することを抑制することができる。
本実施形態の清澄管41の場合、フランジ形状を有する加熱電極(フランジ部材)41bは、高い放熱機能を有するので、電極(フランジ部材)41b近傍の壁は、その壁の周辺の部分に比べて低温になり易い。さらに、加熱電極41bは、例えば、過熱による破損を抑制するために、液体又は気体により冷却されている。また、通気管41aも、清澄管41から突出しているので、通気管41a近傍の気相空間41cと接する清澄管41の壁も、その壁の周辺に比べて低温になり易い。このため、気相空間41cと接する清澄管41の壁の温度は、X方向に沿って必然的に温度プロファイルを持つ。言い換えると、本実施形態の清澄管41の場合、清澄管41の温度が一定になることはなく、不可避的に温度差が生じる。清澄管41の両端近傍の壁、すなわち、一対の加熱電極41bの端近傍の壁及び通気管41aの近傍の壁は、X方向において温度が低い低温領域となり、通気管41aと加熱電極41bとの間の中間部分は、X方向において温度が高い高温領域となる。このような温度プロファイルの温度は、最も低い温度でも、加熱電極41bによる清澄管41の通電加熱により高温、例えば1500℃以上の温度になる。このため、気相空間41cには、清澄管41を構成する白金族金属が揮発して白金族金属の揮発物が存在する。あるいは、別の部分から揮発した白金族金属の揮発物が存在する。このため、上記揮発物が、白金族金属が低温度領域に移動して、白金族金属の飽和蒸気圧曲線に従って凝集し易くなる。しかし、本実施形態では、上述するように、温度勾配領域における最高温度と最低温度との温度差は150℃以下に調整しているので、白金族金属の揮発物の凝集を抑制することができる。このため、気相空間41cに形成される白金族金属の凝集物は少ない。
図4は、清澄管41のX方向の位置に合わせて表した清澄管41の温度プロファイル(清澄管41の気相空間41cと接する壁のX方向の温度プロファイル)の一例を示している。温度プロファイルでは、清澄管41の熔融ガラスGの流入する側の端41dと通気管41aとの間で、温度が最高温度Tmaxとなっている。この最高温度Tmaxの位置Pから、清澄管41の端41dに向かって温度が低下する温度勾配が形成されている。同様に、最高温度Tmaxの位置Pから、通気管41aのX方向の位置に向かって温度が低下する温度勾配が形成されている。また、温度勾配領域は、図示されないが、上記以外に、通気管41aのX方向の位置と清澄管41の熔融ガラスGの流出する側の端41eとの間にも形成されている。このような温度勾配領域において、いずれの温度勾配領域においても温度勾配領域における最高温度と最低温度の温度差が150℃以下になっている。気相空間41cでは、清澄管41の気相空間41cと接する壁に温度勾配領域が形成されるので、最高温度の位置Pから清澄管41の端41dに向かって気流がつくられる。あるいは、最高温度の位置Pから通気管41aの位置に向かって気流がつくられる。このとき、最高温度の位置Pから清澄管41の端41dに向かう気流あるいは最高温度の位置Pから通気管41aの位置に向かう気流が白金族金属の揮発物を含んでいるとしても、上記最高温度と上記最低温度との温度差を150℃以下に調整しているので、気相空間41cの壁に揮発物が凝集することは抑制される。また、最高温度の位置Pから通気管41aの位置に向かう気流は、白金族金属の揮発物を含んでいるとしても、通気管41aから清澄管41の外側に速やかに排気されるので、白金族金属の揮発物が気相空間41a内で凝集することは抑制される。
本実施形態の清澄管41の端41d、41eには、清澄管41の外周から清澄管41の外側に延びる、加熱電極41bを含むフランジ部材が設けられている。フランジ部材は、放熱機能が高い。上述した温度勾配領域における最低温度位置は、清澄管41の端近傍の壁である。この場合においても、上記最高温度と上記最低温度との温度差を150℃以下に調整しているので、白金族揮発物が端41d近傍の壁に凝集することは抑制される。
上記温度勾配領域における最低温度と最高温度Tmaxは、例えば、清澄剤として酸化錫を用いる場合、例えば1500〜1750℃となり、白金族金属が揮発し易い温度となっている。この場合であっても、最高温度Tmaxと上記温度勾配領域における最低温度との温度差が150℃以下、より好ましくは100℃以下であるので、気相空間41cの壁に白金族金属の揮発物が凝集することは抑制する。なお、例えば、最低温度は1500〜1650℃であり、1530℃〜1620℃であることが好ましい。
このような温度差は、清澄装置の清澄管41の壁の加熱及びこの壁の放熱の少なくとも一方を調整して形成される。すなわち、上記温度差は、通電加熱によって清澄管41に与える加熱量、清澄管41の外周から外側に向かって放熱する放熱量の調整により実現できる。また、温度勾配領域の最高温度を含む高温領域から最低温度を含む低温領域に、耐火物保護層や耐火物レンガを通して熱伝導をさせて温度差を小さくすることによっても上記温度差は実現できる。
通電加熱による加熱量の調整は、上記最高温度と上記最低温度の温度差が小さくなるように、清澄管41の周上の各部分(上部、側部、及び下部)にX方向に流れる通電加熱のための電流を調整することにより行われる。例えば、フランジ形状の加熱電極41bに設けられる水冷管の断面積を小さくし、加熱電極41b近傍の電流が清澄管41の上部に偏るようにすることで、フランジ形状の加熱電極41b近傍の気相空間41cと接する内壁の温度を上昇させることができる。これにより上記最高温度と上記最低温度の温度差を150℃以下にすることができる。ただし、水冷管の断面積を小さくした場合、清澄管41の加熱電極41b近傍の気相空間41cと接する内壁の温度上昇と引き換えに、加熱電極41b周辺で熔融ガラスを加熱する能力は低下する。そのため、気相空間の温度差が150℃以下となり、かつ熔融ガラスの温度が清澄剤による清澄効果が得られる温度以上になるように、水冷管の断面積を調整するのが望ましい。なお、清澄管41の上部とは、清澄管41の高さ方向である鉛直方向に沿って清澄管41の高さを均等に3等分したときの高さ方向の最も高い部分であり、下部とは、3等分したときの高さ方向の最も低い部分であり、側部とは、3等分したときの残りの部分をいう。
特に、加熱電極41b及び通気管41a近傍の内壁は、最低温度を含む低温領域となっているので、低温領域の温度を高くすることにより、上記温度差を150℃以下にすることが有効である。
また、清澄管41の外周から清澄管41の外側に向かう放熱量の調整は、清澄管41の外周を囲む耐火物保護層あるいは耐火物レンガの断熱特性(熱伝導率等)や熱抵抗(=(耐火物保護層や耐火物レンガの厚さ)/熱伝導率)等を調整することにより行われる。特に、最高温度Tmaxを含む高温領域の温度を放熱によって下げることにより、上記温度差を150℃以下にすることが有効である。
また、熱伝導量の調整は、清澄管41の周りを覆う耐火物保護層あるいは耐火物レンガに、一部熱伝導率の高い材料を用い、この材料を、上記高温領域と上記低温領域の間にX方向に連続して延びるように配置することにより、上記高温領域から上記低温領域に向かう熱の流れが形成される。これにより、上記最高温度と上記最低温度の温度差を150℃以下にすることができる。勿論、伝導率の高い材料の外側には、断熱性の高い耐火物レンガを用いて、放熱を抑制することが好ましい。
このような温度差を150℃以下にするための清澄管41の内壁の加熱、放熱等を調整する条件は、清澄装置の加熱及び放熱を含んだ熱伝導を再現するコンピュータシミュレーションを用いて決定することができる。
コンピュータシミュレーションでは、清澄管41の周りを覆う耐火物保護層、清澄管41、通気管41a、加熱電極41b、フランジ部材、熔融ガラスのそれぞれをモデル化し、これらのモデル化した部材の比熱、熱伝導率の材料データをモデルに与える。そして、清澄管41が熱量が発生し、耐火物保護層のモデル外面及び熔融ガラスのモデルに向かって熱伝導する様子を再現する。
なお、上記温度差を150℃以下にするための手段は、上述した手段に制限されない。
本実施形態では、ガラス処理装置として清澄管41を含む清澄装置を好適実施形態として説明した。本実施形態は、清澄管41に代えて攪拌装置100の攪拌槽にも適用できるが、内壁の温度差が大きくなリ易い清澄管の適用は、攪拌槽の適用に比べて、本実施形態の効果をより顕著に発揮させる点で好ましい。清澄管41における内壁の温度は、攪拌槽における内壁の温度に比べて高く、内壁の最高温度と最低温度の温度差は大きくなり易い。しかも、清澄管では、清澄剤の還元反応のために清澄管の熔融ガラスの流れ方向の上流部分では内壁を加熱し、下流部分では、清澄剤の酸化反応のために内壁の温度を低下させるといった温度調整を行なうので、清澄管の上流部分と下流部分では内壁の温度差が大きくなり易い。このような上流部分と下流部分の温度差は攪拌槽では設けられない。しかも、清澄剤として酸化錫を使用する場合、清澄剤の還元反応を活発にするために、亜ヒ酸やアンチモンを使用する場合に比べて最高温度を高くする必要がある。このため、清澄管では、攪拌槽に比べて上記温度差は大きくなり易い。本実施形態では、内壁の温度が高くても、上記温度差を低くするので、上記温度差が大きくなり易い清澄管では、揮発した白金族金属の凝集を抑制できるといった効果が攪拌槽に比べて大きくなる。
また、内壁の温度は、清澄管の方が攪拌槽に比べて高いため、白金族金属の揮発量は大きくなること、清澄剤として酸化錫を用いる場合、熔融ガラスから気相空間に酸素が放出され、気相空間の酸素濃度が高くなり白金族金属の揮発を促進させること、さらに、清澄管では温度分布によって揮発した白金族金属が凝集し易くなることから、清澄管の適用は、攪拌槽の適用に比べて、本実施形態の効果をより顕著に発揮させる点で好ましい。
本実施形態に係る製造方法は、白金族合金製の清澄管41において、酸化錫を清澄剤として使用する場合に、特に効果的である。近年、環境負荷の観点から、亜ヒ酸やアンチモンの替わりに酸化錫が清澄剤として用いられる。酸化錫を使用する場合、亜ヒ酸やアンチモンを使用する場合よりも、清澄管41において熔融ガラスGをより高温にする必要があるため、白金族金属の揮発の問題が顕著になる。そして、白金族金属の揮発が促進されると、清澄管41の内壁および通気管41aの内壁に白金族金属の揮発物が異物として凝集し付着しやすくなる。この点で、本実施形態の製造方法は効果的である。
本実施形態の製造方法は、パネルディスプレイやフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造、ディスプレイを保護するカバーガラスの製造、磁気ディスク用ガラスの製造、あるいは太陽電池用ガラス基板の製造において適用することができる。特に、本実施形態の製造方法は、白金族金属で構成した清澄管41において、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイおよび有機ELディスプレイ等のパネルディスプレイやフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造に好適なガラス原料から生成される熔融ガラスを清澄する場合に効果的である。
清澄管41では、熔融ガラスGの粘度を、熔融ガラスGに含まれる泡が気相空間と接する熔融ガラスの表面(液面)に浮上しやすい値に調節することにより、熔融ガラスGが清澄される。しかし、パネルディスプレイやフラットパネルディスプレイ用ガラス基板に好適な無アルカリガラスおよびアルカリ微量含有ガラスは、高温時において高い粘度を有する。例えば、無アルカリガラスおよびアルカリ微量含有ガラスを成形するために用いる熔融ガラスGは、粘度が102.5poiseである場合に、1500℃以上の温度を有する。そのため、清澄工程において、熔融ガラスの温度を、通常のアルカリガラスの熔融ガラスの温度に比べて高くする必要があるため、上述した白金族金属の揮発の問題が顕著になる。そして、白金族金属の揮発が促進されると、清澄管41の内壁および通気管41aの内壁に白金族金属の凝集物が異物として付着しやすくなる。この点で、本実施形態の製造方法は効果的である。
(実験例1)
清澄剤として酸化錫を用い、図3に示す清澄管41を用いて、熔融ガラスの清澄を行うとともに、清澄後、2270mm×2000mmであり、厚さが0.5mmのシートガラスに成形し、100枚のガラス基板を作成した(実施例1〜5、比較例1〜3)。
清澄管41の壁の温度の調整は、上記加熱電極41bのフランジ形状の変更と白金族金属製の通気管41aに対する通電加熱の調整により行い、加熱電極41b及び通気管41a周辺の清澄管41の壁の温度を1550℃以上に保ち、加熱電極41b及び通気管41aと清澄管41の最高温度との温度差は各設定した温度に保った。清澄時間は1時間であった。また、ガラス基板のガラス組成は、SiO 66.6モル%、Al 10.6モル%、B 11.0モル%、MgO,CaO,SrO及びBaOの合量 11.4モル%、SnO 0.15モル%、Fe 0.05モル%、アルカリ金属酸化物の合量 0.2モル%であり、歪点は660℃、粘度が102.5ポアズであるときの熔融ガラスの温度は1570℃であった。
一方、加熱電極41bのフランジ形状の変更と通気管に対する通電加熱の調整を行わなかった点を除いて、上記実施例と同様にして、熔融ガラスの清澄を行った(比較例1)。比較例1において、清澄時の加熱電極及び通気管の温度は、約1300℃であり、加熱電極及び通気管と清澄管の最高温度部分との間の温度差は約350℃であった。
実施例1〜5および比較例1のガラス基板の白金異物の有無を、目視で確認したところ、実施例1〜5では、白金異物が確認されたガラス基板の数は、比較例1の1/6以下に抑えることができた。なお、白金異物として、アスペクト比が100以上であり、最大長さが100μm以上のものをカウントした。
さらに、比較例2、3として、温度差を種々変化させた。
より具体的な温度差と結果を下記表1に示す。最低温度となる加熱電極41b又は通気管41aと最高温度となる清澄管41との温度差が10℃、50℃、80℃、100℃、120℃、170℃、200℃である場合において、ガラス基板1kgあたりの白金異物数をカウントした。なお、最高温度と最低温度の温度差が120℃である場合の白金異物数を1.0として、夫々の条件における白金異物数を比率で示した。温度差が170℃、200℃である場合(比較例2、3)に対し、温度差が10℃、50℃、80℃、100℃、120℃である場合(実施例1〜5)では、ガラス基板中の白金異物の量を抑制できたことを明らかである。なお、温度差が10℃、50℃、80℃、100℃、120℃となるように制御してガラス基板を製造した場合、ガラス基板の白金異物は、0.001個/kg以下に抑えることができた。図5は、実施例1〜5、比較例2、3の結果の一例を示す図である。図5に示すグラフの縦軸は、温度差が120℃である場合の白金異物数を1.0とした時の比率である。比率1.5を超えると、ガラス基板の歩留まりが許容できない範囲となることから、図5では、比率1.5を閾値として点線で示している。しかも温度差が150℃を超えると比率が急激に立ち上がり、ガラス基板の歩留まりが急激に悪化する。
Figure 2015099133
(実験例2)
実験例1に対して、ガラス基板のガラス組成を、SiO 70モル%、Al 12.9モル%、B 2.5モル%、MgO 3.5モル%、CaO 6モル%、SrO 1.5モル%、BaO 3.5モル%、SnO 0.1モル%に変更した以外実験例1と同様の方法でガラス基板を作製した。このとき、ガラス基板の歪点は745℃であった。
その結果、実験例1と同様に、ガラス基板中の白金異物を抑制することができることがわかった。
以上、本発明のガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
40 熔解槽
41 清澄管
41a 通気管
41b 加熱電極
41c 気相空間
42d 端
42 成形装置
52 成形体
43a,43b.43c 移送管
100 攪拌装置
200 ガラス基板製造装置
G 熔融ガラス
(形態1)
ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなるガラス処理装置の内部に熔融ガラスを流して前記ガラス処理装置の内部で前記熔融ガラスを処理する処理工程と、を有し、
前記ガラス処理装置には、前記内壁を加熱する加熱電極が設けられ、前記加熱電極は冷却され、
前記ガラス処理装置の内部には、前記熔融ガラスの表面と前記内壁により気相空間が形成され、
前記気相空間は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
前記気相空間を形成する前記内壁は、当該内壁最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有し、前記温度勾配は、前記内壁の加熱電極による加熱及び前記ガラス処理装置の放熱又は前記加熱電極の冷却により形成され、
前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を抑制するように、前記放熱又は前記加熱電極の冷却が原因となって生じる、前記気相空間を形成する前記内壁の前記温度勾配における最低温度と前記最高温度との温度差を150℃以下にする、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
(形態2)
ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
前記熔融ガラスが流れる液相と、前記熔融ガラスの液面と内壁から形成される気相空間とを有し、前記気相空間を囲む内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されたガラス処理装置において前記熔融ガラスを処理する処理工程と、を有し、
前記ガラス処理装置には、前記内壁を加熱する加熱電極が設けられ、前記加熱電極は冷却され、
前記気相空間は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
前記気相空間を形成する前記内壁は、当該内壁最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有し、前記気相空間を形成する内壁の温度勾配は、前記内壁の加熱電極による加熱及び前記ガラス処理装置の放熱又は前記加熱電極の冷却により形成され、
前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を低減できるように、前記放熱又は前記加熱電極の冷却が原因となって生じる、前記気相空間を形成する前記内壁の前記温度勾配における最低温度と前記最高温度との温度差を150℃以下にする、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
(形態7)
内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなり、熔融ガラスを流して前記熔融ガラスを処理する装置であり、前記熔融ガラスの表面と前記内壁により内部に気相空間が形成されるように構成されたガラス処理装置を有するガラス基板製造装置であって、
前記ガラス処理装置には、前記内壁を加熱する加熱電極が設けられ、前記加熱電極は冷却されるように構成され、
前記気相空間を形成する前記内壁は、当該内壁最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有し、前記気相空間を形成する内壁の温度勾配は、前記内壁の加熱電極による加熱及び前記ガラス処理装置の放熱又は前記加熱電極の冷却により形成され、
前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集が抑制するように、前記放熱又は前記加熱電極の冷却が原因となって生じる、前記気相空間を形成する前記内壁の前記温度勾配における最低温度と前記最高温度との温度差を150℃以下とした、ことを特徴とするガラス基板製造装置。

Claims (7)

  1. ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
    内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなるガラス処理装置の内部に熔融ガラスを流して前記ガラス処理装置の内部で前記熔融ガラスを処理する処理工程と、を有し、
    前記ガラス処理装置の内部には、前記熔融ガラスの表面と前記内壁により気相空間が形成され、
    前記気相空間は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
    前記処理工程では、前記気相空間を形成する前記内壁において、前記内壁における最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が、前記ガラス処理装置の加熱及び前記ガラス処理装置の放熱の少なくとも一方を用いて形成され、
    前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を抑制するように、前記温度勾配領域における前記最高温度と最低温度との温度差を150℃以下にする、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
    前記熔融ガラスが流れる液相と、前記熔融ガラスの液面と壁から形成される気相空間とを有し、前記気相空間を囲む壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されたガラス処理装置において前記熔融ガラスを処理する処理工程と、を有し、
    前記気相空間は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
    前記処理工程では、前記気相空間を形成する前記壁において、前記壁における最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向のうち上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が、前記ガラス処理装置の加熱及び前記ガラス処理装置の放熱の少なくとも一方を用いて形成され、
    前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集を低減できるように、前記温度勾配領域における前記最高温度と最低温度との温度差を150℃以下にする、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス処理装置の前記熔融ガラスが流れる方向の前記内壁の途中には、前記気相空間と大気を連通させる通気管が設けられ、
    前記温度勾配領域における最高温度の位置は、前記気相空間の端と前記通気管の位置の間に位置し、
    前記温度勾配領域は、前記最高温度の位置と前記気相空間の端との間の領域、あるいは、前記最高温度の位置と前記通気管の位置との間の領域に形成される、請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記気相空間の端には、前記ガラス処理装置の外周から前記ガラス処理装置の外側に延びるフランジ部材が設けられ、前記温度勾配領域における前記最低温度位置は、前記気相空間の端である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記最低温度と前記最高温度は、1500〜1750℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記ガラス処理装置は、熔融ガラスの清澄を行う清澄装置である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  7. 内壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料からなり、熔融ガラスを流して前記熔融ガラスを処理する装置であり、前記熔融ガラスの表面と前記内壁により内部に気相空間が形成されるように構成されたガラス処理装置を有するガラス基板製造装置であって、
    前記気相空間を囲む前記内壁には、前記内壁における最高温度から前記熔融ガラスの流れの方向の上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が、前記ガラス処理装置の加熱及び前記ガラス処理装置の放熱の少なくとも一方を用いて形成されように構成され、
    前記気相空間に存在する揮発した白金族金属の揮発物の凝集が抑制するように、前記温度勾配領域における前記最高温度と最低温度との温度差を150℃以下とした、ことを特徴とするガラス基板製造装置。
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