JP2016069253A - ガラス基板の製造方法、及び、ガラス基板の製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されたガラス処理装置の気相空間内で揮発した白金族金属の凝集を抑制し、凝集物の一部が異物となって熔融ガラスに混入することを抑制することができるガラス基板の製造方法等を提供する。【解決手段】白金族金属で構成されたガラス処理装置を備えるガラス基板の製造方法であって、ガラス処理装置の内部において、熔融ガラスの液面より上方に気相空間が形成され、ガラス処理装置の内部で白金族金属が凝集する温度以上において、気相空間に含まれる白金揮発物の凝集が抑制されるよう気相空間の絶対湿度が1300g/m3以下の環境下で熔融ガラスを処理する。【選択図】 図4

Description

本発明は、ガラス基板の製造方法、及び、ガラス基板の製造装置に関する。
ガラス基板は、一般的に、ガラス原料から熔融ガラスを生成した後、清澄工程、均質化工程を経て、熔融ガラスをガラス基板へ成形することで製造される。
ところで、高温の熔融ガラスから品位の高いガラス基板を量産するためには、ガラス基板の欠陥の要因となる異物等が、ガラス基板を製造するいずれの装置からも熔融ガラスへ混入しないよう考慮することが望まれる。このため、ガラス基板の製造過程において熔融ガラスに接する部材の内壁は、その部材に接する熔融ガラスの温度、要求されるガラス基板の品質等に応じ、適切な材料により構成する必要がある。たとえば、熔融ガラスを生成した後成形工程に供給するまでの間、熔融ガラスは高温状態になるため、清澄工程を行う清澄装置、均質化工程を行う攪拌装置、及び熔融ガラスを移送するガラス供給管は、耐熱性の高い白金あるいは白金合金である白金族金属を用いて構成されている。しかし、白金族金属は、ガラス熔融に必要な高温下では揮発し易い。そして白金族金属の揮発物が気相空間を取り巻く内壁に凝集して凝集物をつくり、この凝集物の一部が離脱して熔融ガラス中に異物となって混入し、ガラス基板の品質の低下を招くおそれがあった。
これに対して、白金異物の混入のおそれが少なく、コード脈理や異物欠点などの光学欠陥の少ない高品質ガラスを得ることができるガラス溶融炉が知られている(特許文献1)。
当該ガラス溶融炉では、天井部を設けて閉塞した槽本体の内壁面の下部が、白金または白金合金でなる白金面によって形成されており、かつ該白金面は、その上端が溶融ガラスの槽上部雰囲気中に露出しない位置となるように形成されている。
特開2010−202444号公報
上記特許文献1のように、熔融ガラスの液面上部の気相空間の雰囲気と白金族金属の壁面との接触面を無くせば、白金族金属の揮発は生じない。また、気相空間の雰囲気と接触する白金族金属の内壁の接触面積を小さくすることで、白金族金属の揮発を低減することができる、と考えられる。しかし、気相空間の雰囲気と接触する白金族金属の内壁の接触面積を小さくした場合であっても、白金族金属を壁面から十分に揮発を低減することがでず、白金族金属が凝集していた。
そこで、本発明は、ガラス基板の製造過程で用いられる、少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されたガラス処理装置において熔融ガラスを処理する際、ガラス処理装置内部の湿度を低減することにより、気相空間内で揮発した白金族金属の凝集を抑制し、凝集物の一部が異物となって熔融ガラスに混入することを抑制することができるガラス基板の製造方法及びガラス基板の製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、白金族金属で構成されたガラス処理装置を備えるガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス処理装置の内部において、熔融ガラスの液面より上方に気相空間が形成され、
前記ガラス処理装置の内部で前記白金族金属が凝集する温度以上において、前記気相空間に含まれる白金揮発物の凝集が抑制されるよう前記気相空間の絶対湿度が1300g/m3以下の環境下で前記熔融ガラスを処理する、
ことを特徴とする。
前記ガラス処理装置は、前記気相空間の湿度を制御する湿度制御装置を備え、
前記湿度制御装置は、前記気相空間の気体に含まれる水蒸気を吸着して前記気相空間を除湿する、ことが好ましい。
本発明の他の態様は、白金族金属で構成されたガラス処理装置を備えるガラス基板の製造装置であって、
前記ガラス処理装置の内部において、熔融ガラスの液面より上方に気相空間が形成され、
前記ガラス処理装置の内部で前記白金族金属が凝集する温度以上において、前記気相空間に含まれる白金揮発物の凝集が抑制されるよう前記気相空間の絶対湿度が1300g/m3以下の環境下で前記熔融ガラスを処理する、
ことを特徴とする。
本発明によれば、ガラス基板の成形前の熔融ガラスを処理する工程において、ガラス処理装置の気相空間中に存在する白金族金属の揮発物の凝集を低減することができる。これにより、熔融ガラスに異物が混入することを抑制することができる。
実施形態に係るガラス基板製造方法の工程を示すフローチャートである。 実施形態に係るガラス基板製造装置の構成を示す模式図である。 実施形態に係る清澄管を主に表した外観図である。 実施形態に係る清澄管の長手方向における概略断面図である。 実施形態に係る清澄管の内部を表す断面図と清澄管の温度プロファイルの一例を示す図である。 水分子が核生成剤となり、白金族金属の揮発物が固体となって析出することを説明するための模式的な図である。
(ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置)
本発明に係るガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るガラス基板製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。ガラス基板の製造方法は、図1に示されるように、主として、熔解工程S1と、清澄工程S2と、攪拌工程S3と、成形工程S4と、徐冷工程S5と、切断工程S6とを備える。
図2は、本実施形態に係るガラス基板の製造装置200の構成の一例を示す模式図である。ガラス基板の製造装置200は、熔解槽40と、清澄管41と、攪拌装置100と、成形装置42と、移送管43a,43b,43cとを備える。移送管43aは、熔解槽40と清澄管41を接続する。移送管43bは、清澄管41と攪拌装置100を接続する。移送管43cは、攪拌装置100と成形装置42を接続する。
熔解工程S1では、ガラスの原料を熔解して熔融ガラスが生成される。熔融ガラスは、熔解槽に貯留され、所望の温度を有するように加熱される。熔融ガラスは、清澄剤を含有する。環境負荷低減の観点から、清澄剤として酸化スズが好適に用いられる。
熔解槽40では、ガラス原料は、その組成等に応じた温度に加熱されて熔解される。これにより、熔解槽40では、例えば、1500℃〜1620℃の高温の熔融ガラスGが得られる。なお、熔解槽40では、少なくとも1対の電極間に電流を流すことで、電極間の熔融ガラスGが通電加熱されてもよく、また、通電加熱に加えてバーナーによる火焔を補助的に与えることで、ガラス原料が加熱されてもよい。
清澄工程S2では、移送管及び清澄管の内部を熔融ガラスが流れる。最初に、熔融ガラスの温度を上昇させる。清澄剤は、昇温により還元反応を起こして酸素を放出する。熔融ガラス中に含まれる泡は、放出した酸素を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に浮上し、破泡して消滅する。次に、清澄工程S2では、熔融ガラスの温度を低下させる。これにより、還元された清澄剤は、酸化反応を起こして、熔融ガラス中に残存している酸素等のガス成分を吸収する。
具体的には、熔解槽40で得られた熔融ガラスGは、熔解槽40から移送管43aを通過して清澄管41に流入する。清澄管41および移送管43a,43b,43cは、白金あるいは白金合金である白金族金属製の管である。なお、白金族金属は、単一の白金族元素からなる金属、および、白金族元素からなる金属の合金を意味する。白金族元素は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)の6元素である。白金族金属は、融点が高く、熔融ガラスに対する耐食性に優れている。清澄管41には、熔解槽40と同様に加熱手段が設けられている。また、少なくとも移送管43aにも加熱手段が設けられている。清澄工程S2では、熔融ガラスGがさらに昇温させられることで清澄される。例えば、清澄管41における熔融ガラスGの温度は、1600℃〜1720℃である。
清澄管41において清澄された熔融ガラスGは、清澄管41から移送管43bを通過して攪拌装置100に流入する。熔融ガラスGは、移送管43bを通過する際に冷却される。
攪拌工程S3では、清澄された熔融ガラスが攪拌されて、熔融ガラスの成分が均質化される。これにより、ガラス基板の脈理等の原因である熔融ガラスの組成ムラが低減される。均質化された熔融ガラスは、成形工程S4に送られる。
具体的には、攪拌装置100では、清澄管41を通過する熔融ガラスGの温度よりも低い温度で、熔融ガラスGが攪拌される。例えば、攪拌装置100において、熔融ガラスGの温度は、1250℃〜1450℃である。例えば、攪拌装置100において、熔融ガラスGの粘度は、500ポアズ〜1300ポアズである。熔融ガラスGは、攪拌装置100において攪拌されて均質化される。
攪拌装置100で均質化された熔融ガラスGは、攪拌装置100から移送管43cを通過して成形装置42に流入する。熔融ガラスGは、移送管43cを通過する際に、熔融ガラスGの成形に適した粘度となるように冷却される。例えば、熔融ガラスGは、1100〜1300℃まで冷却される。
成形工程S4では、オーバーフローダウンドロー法またはフロート法によって、熔融ガラスからシートガラスが連続的に成形される。
具体的には、成形装置42に流入した熔融ガラスGは、成形炉(図示せず)の内部に設置されている成形体52に供給される。成形体52の上面には、成形体52の長手方向に沿って溝が形成されている。熔融ガラスGは、成形体52の上面の溝に供給される。溝から溢れた熔融ガラスGは、成形体52の一対の側面を伝って下方へ流下する。成形体52の側面を流下した一対の熔融ガラスGは、成形体52の下端で合流して、シートガラスGRが連続的に成形される。
徐冷工程S5では、成形工程S4で連続的に成形されたシートガラスが所望の厚みを有し、かつ、歪みおよび反りが生じないように徐々に冷却される。
切断工程S6では、徐冷工程S5で徐冷されたシートガラスが所定の長さに切断されて、ガラスシートが得られる。ガラスシートは、さらに、所定のサイズに切断されて、ガラス基板が得られる。
このように、本実施形態のガラス基板の製造方法は、ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、ガラス処理装置において熔融ガラスを処理する処理工程、例えば清澄装置において熔融ガラスを清澄する清澄工程と、を有する。ガラス処理装置は、熔融ガラスが流れる液相と、熔融ガラスの液面と壁から形成される気相空間とを有し、気相空間を囲む壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されている。
以下、ガラス処理装置として清澄管41を含んだ清澄装置を用いて説明するが、ガラス処理装置は、熔解槽40と成形装置42との間に設けられ、熔融ガラスGに所定の処理をする装置である限りにおいて、特に制限されない。ガラス処理装置は、清澄装置の他に、例えば攪拌装置、あるいは熔融ガラスを移送する移送管を対象とすることもできる。したがって、熔融ガラスGの処理は、熔融ガラスを清澄する処理の他に、熔融ガラスを均質化する処理、熔融ガラスを移送する処理等を含む。
(ガラス基板の適用例)
本実施形態のガラス基板の製造方法によって製造されるガラス基板は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板やディスプレイを保護するカバーガラスとして、特に適している。FPD用のガラス基板としては、無アルカリガラス、または、アルカリ微量含有ガラスが用いられる。FPD用のガラス基板は、高温時における粘性が高い。例えば、102.5ポアズの粘性を有する熔融ガラスの温度は、1500℃以上である。
(ガラス組成)
熔解槽40では、図示されない加熱手段によりガラス原料が熔解され、熔融ガラスGが生成される。ガラス原料は、所望の組成のガラスを実質的に得ることができるように調製される。ガラスの組成の一例として、FPD用のガラス基板として好適な無アルカリガラスは、SiO:50質量%〜70質量%、Al:0質量%〜25質量%、B:0質量%〜15質量%、MgO:0質量%〜10質量%、CaO:0質量%〜20質量%、SrO:0質量%〜20質量%、BaO:0質量%〜10質量%を含有する。ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。
また、FPD用のガラス基板として、アルカリ金属を微量含むアルカリ微量含有ガラスを用いてもよい。アルカリ微量含有ガラスは、成分として、0.1質量%〜0.5質量%のR’Oを含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のR’Oを含む。ここで、R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種である。なお、R’Oの含有量の合計は、0.1質量%未満であってもよい。
本発明によって製造されるガラスは、上記成分に加えて、SnO:0.01質量%〜1質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.5質量%)、Fe:0質量%〜0.2質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.08質量%)をさらに含有してもよい。また、本発明によって製造されるガラスは、環境負荷を考慮して、As、SbおよびPbOを実質的に含有しない。
(清澄管の構成)
次に、清澄装置の清澄管41の構成について詳細に説明する。なお、清澄装置は、清澄管41の他に、通気管41a、加熱電極41b、及び、清澄管41の外周を囲む図示されない耐火物保護層及び耐火物レンガを含む。図3は、清澄管41を主に表す外観図である。図4は、清澄管41の長手方向における概略断面図である。
清澄管41には、通気管41a、および、一対の加熱電極41bが取り付けられている。清澄管41は、その内部に、熔融ガラスGが流れる液相と、熔融ガラスGの液面LSと清澄管41の壁から形成される気相空間41cを有する。気相空間41cは、熔融ガラスGの流れの方向に沿って形成されている。気相空間41cを囲む壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されている。本実施形態では、気相空間41cを囲む壁全体が白金族金属を含む材料で構成されている。
通気管41aは、熔融ガラスGが流れる方向の途中であり、気相空間41cと接する壁に設けられ、気相空間41cと清澄管41の外側の大気とを連通させる。通気管41aは、清澄管41と同様に、白金族金属で成形されることが好ましい。通気管41aは放熱機能により、通気管41aの温度が低下し易いので、通気管41aを加熱するための加熱機構を設けてもよい。
一対の加熱電極41bは、清澄管41aの両端に設けられたフランジ形状の電極板である。加熱電極41bは、図示されない電源から供給される電流を清澄管41に流し、この電流により、清澄管41は通電加熱される。清澄剤として酸化スズを用いる場合、例えば清澄管41は最高温度が1600℃〜1750℃、より好ましくは1630℃〜1750℃となるように加熱され、熔融ガラスGは最高温度が酸化スズの還元反応が起こる温度、例えば1600℃〜1720℃、より好ましくは1620℃〜1720℃に加熱される。清澄管41を流れる電流を制御することで、清澄管41の内部を流れる熔融ガラスGの温度を制御することができる。加熱電極41bには、加熱電極41bの過熱による破損を抑制するために、加熱電極41bに接触するように冷却管(図示せず)が設けられている。加熱電極41bが冷却管により冷却されると、加熱電極41b近傍の清澄管41a及び気相空間41cも冷却される。このため、加熱電極41bの近傍では、温度が低くなる領域が形成される。この温度が低い領域では、揮発物の凝集が起きやすくなる。ここで、近傍とは、加熱電極41bの位置から例えば50cmの範囲内を意味する。
加熱電極41bは清澄管41に一対設けられるが、清澄管41の数は特に制限されない。加熱電極41bによる通電加熱により、清澄管41の気相空間41cと接する壁の温度は、例えば1500〜1750℃の範囲にある。
清澄管41の内部では、熔融ガラスGに添加されている清澄剤、例えば酸化スズの酸化還元反応によって、熔融ガラスGに含まれるCOまたはSOを含む泡が除去される。具体的には、最初に、熔融ガラスGの温度を上げて、清澄剤を還元させることにより、酸素の泡を熔融ガラスG中に発生させる。熔融ガラスG中に含まれるCO、N、SO等の気体成分を含む泡は、清澄剤の還元反応によって生じた酸素を吸収する。酸素を吸収して成長した泡は、熔融ガラスGの液面に浮上し泡を放出する、すなわち破泡して消滅する。消滅した泡に含まれていたガスは、気相空間41cに放出され、通気管41aを経由して清澄管41の外部に排出される。次に、熔融ガラスGの温度を下げて、還元された清澄剤を酸化させる。これにより、熔融ガラスG中に残留する泡の酸素が熔融ガラスGに吸収される(吸収処理)。こうして、残存する泡は小さくなり消滅する。このように、清澄剤の酸化還元反応によって、熔融ガラスGに含まれる泡が除去される。清澄管41の内部の蒸気圧は、清澄剤の酸化還元反応を促すために、好ましくは100kPa以下、より好ましくは75kPa以下、さらに好ましくは50kPaである。
図示されていないが、清澄管41の外壁面には耐火物保護層が設けられる。耐火物保護層の外側には、さらに、耐火物レンガが設けられる。耐火物レンガは、基台(図示せず)に載置されている。
清澄管41の外壁側には、気相空間41c内の湿度を制御するための湿度制御装置44が設けられる。湿度制御装置44は、例えば、気体を吸引するパイプ44a、吸着剤が設けられた吸着器、湿度センサ等を備える。湿度制御装置44は、パイプ44aから気相空間41cの気体を吸引し、気相空間41cの気体に含まれる水蒸気(水)を吸着して気相空間41cを除湿することにより、気相空間41c内の湿度を制御する。気相空間41c内の湿度が高い、つまり、気相空間41c内に多数の水の粒子が存在すると、揮発した白金族金属が凝集する。本実施形態では、清澄管41の気相空間41c内において白金族金属の凝集を抑制するように、気相空間41c内の湿度が制御されている。気相空間41c内の湿度を制御することにより、清澄管41の内壁等に白金族金属が凝集するのを抑制することができる。この点は、後述する。なお、気相空間41c内の湿度を制御する方法、気相空間41cを除湿する方法は、公知の方法を用いることができる。また、パイプ44aは、通気管41aは放熱機能により、パイプ44aの温度が低下し易いので、通気管41aと同様に、パイプ44aを加熱するための加熱機構を設けてもよい。また、別の形態の方法として、パイプ44aを用いず、清澄管41の設置されている部屋全体の湿度を、湿度制御装置44によって制御することによって、間接的に清澄管41内の湿度を制御する方法を用いてもよい。気相空間41cと清澄管41の外部(清澄管41が設置された部屋)とは通気管41aにより通じているため、清澄管41の外部の湿度を低減することにより、気相空間41c内の湿度を低減することができる。この場合においても、気相空間41c内の湿度を制御する方法、気相空間41cを除湿する方法は、公知の方法を用いることができる。
このような清澄工程では、気相空間41cの空間、及び、気相空間41cを形成する清澄管41の壁において、熔融ガラスGの流れの方向である上流方向あるいは下流方向に沿って温度勾配を有する温度勾配領域が形成される。この温度勾配領域は、清澄管41の加熱及び放熱の少なくとも一方を用いて形成される。白金族金属は、温度に応じて定まる飽和蒸気圧に従って揮発物として揮発するが、この飽和蒸気圧は温度が低いほど低いため、揮発物の一部は温度の低い領域で凝集し易くなる。本実施形態において、気相空間41cの温度の低い領域は、加熱電極41bの近傍、及び、通気管41aの近傍である。図5は、清澄管41のX方向の位置に合わせて表した清澄管41の温度プロファイル(清澄管41の気相空間41cと接する壁のX方向の温度プロファイル)の一例を示している。温度プロファイルでは、清澄管41の熔融ガラスGの流入する側の端41dと通気管41aとの間で、温度が最高温度となっている。この最高温度の位置Pから、清澄管41の端41dに向かって温度が低下する温度勾配が形成されている。同様に、最高温度の位置Pから、通気管41aのX方向の位置に向かって温度が低下する温度勾配が形成されている。また、温度勾配領域は、図示されないが、上記以外に、通気管41aのX方向の位置と清澄管41の熔融ガラスGの流出する側の端41eとの間にも形成されている。清澄管41の温度と気相空間41cの温度とは相関関係があるため、気相空間41cの温度プロファイルは、清澄管41の温度プロファイルと同様の温度プロファイルが形成される。このため、気相空間41cにおいて、加熱電極41bの近傍、及び、通気管41aの近傍に、温度の低い領域、つまり、白金族金属の揮発物の凝集が起きやすい領域が形成される。従って、これらの温度が低く白金族金属の揮発物の凝集が起きやすい領域の湿度を低減させることにより、白金族金属の揮発物が気相空間41c内で凝集すること抑制できる。
本発明者の検討によれば、気相空間41cの湿度が高い方が、白金族金属の揮発物は凝集しやすい。湿度が白金族金属の揮発物の凝集に及ぼすメカニズムの詳細については、今後の解析を待つ必要があるが、気相空間41c中の水分子、もしくは、気相空間41cの内壁に吸着した水分子が核生成剤となり、気相空間41c中にある白金族金属の揮発物が、固体となって析出するのを促進している可能性は高い。
図6は、水分子が核生成剤となり、白金族金属の揮発物が固体となって析出することを説明するための模式的な図である。揮発した白金族金属(Pt)が固体となって析出するときには、まず核と呼ばれる白金族金属の微小粒子を生成する。このプロセスのことを核生成と呼ぶ。核生成の速度は、核生成剤と呼ばれる補助剤によって促進される。空気中の水分子(HO)は、白金族金属の揮発物が固体となって析出するプロセスの核生成剤として作用し、白金族金属の核生成を促進する。生成した白金族金属の核が成長することにより、白金族金属の揮発物の凝集物が生成する。気相空間41c内の湿度が高い場合、気相空間41cの内壁にも多数の水分子が吸着している。揮発した白金族金属は、気相空間41cの内壁に吸着した水分子の周りに凝集する。気相空間41cの内壁に形成された白金族金属の凝集物が剥がれ落ちて、熔融ガラスMに落下すると、熔融ガラスGに白金族金属の異物が混入することとなる。このため、湿度制御装置44を用いて気相空間41cを除湿することにより、白金族金属の揮発物の凝集を抑制する。
本実施形態では、湿度制御装置44を用いて、湿度が高くなる領域である、清澄管41の端41d、41e近傍の気相空間41cの領域41f、及び、通気管41aの近傍の気相空間41cの領域41gの湿度を低減させることにより、白金族金属の揮発物の凝集を抑制する。具体的には、領域41f及び領域41gにおいて、白金族金属が揮発する温度として気相空間41cの温度が例えば1400℃以上、絶対湿度が1300g/m3以下の環境になるよう気相空間41cを除湿する。絶対湿度が1300g/m3以下の環境下では、核生成剤となる水分子の数が少ないため、白金族金属の揮発物の凝集を抑制することができる。白金族金属の揮発物の核生成の速度は、湿度が低いほど小さくなるため、絶対湿度が1000g/m3以下、あるいは絶対湿度が500g/m3以下の環境になるよう気相空間41cを除湿してもよい。上述する低湿度の環境では、核生成剤となる水分子の数が少ないため、白金族金属の揮発物の凝集を抑制することができる。
本実施形態に係る製造方法は、白金族合金製の清澄管41において、酸化スズを清澄剤として使用する場合に、特に効果的である。近年、環境負荷の観点から、Asの替わりに酸化スズが清澄剤として用いられる。酸化スズを使用する場合、Asを使用する場合よりも、清澄管41において熔融ガラスGをより高温にする必要があるため、白金族金属の揮発の問題が顕著になる。そして、白金族金属の揮発が促進されると、清澄管41の内壁および通気管41aの内壁に白金族金属の揮発物が異物として凝集し付着しやすくなる。このため、気相空間41cにおいて除湿することにより、白金族金属の揮発物の凝集を抑制することができるため、本実施形態の製造方法は効果的である。また、気相空間41c内の湿度を低減することで、清澄管41の内壁等に白金族金属が凝集するのを抑制できるため、清澄管41の構造を変更することなく、簡便に実施することができる。
本実施形態の製造方法は、FPD用ガラス基板の製造、ディスプレイを保護するカバーガラスの製造、磁気ディスク用ガラスの製造、あるいは太陽電池用ガラス基板の製造において適用することができる。特に、本実施形態の製造方法は、白金族金属で構成した清澄管41において、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイおよび有機ELディスプレイ等のFPD用ガラス基板の製造に好適なガラス原料から生成される熔融ガラスを清澄する場合に効果的である。
清澄管41では、熔融ガラスGの粘度を、熔融ガラスGに含まれる泡が液面に浮上しやすい値に調節することにより、熔融ガラスGが清澄される。しかし、FPD用ガラス基板に好適な無アルカリガラスおよびアルカリ微量含有ガラスは、高温時において高い粘度を有する。例えば、無アルカリガラスおよびアルカリ微量含有ガラスを成形するために用いる熔融ガラスGは、粘度が102.5poiseである場合に、1500℃以上の温度を有する。そのため、清澄工程において、熔融ガラスの温度を、通常のアルカリガラスの熔融ガラスの温度に比べて高くする必要があるため、上述した白金族金属の揮発の問題が顕著になる。そして、白金族金属の揮発が促進されると、清澄管41の内壁および通気管41aの内壁に白金族金属の凝集物が異物として付着しやすくなる。この点で、本実施形態の製造方法は効果的である。
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
清澄剤として酸化スズを用い、図3に示す清澄管41を用いて、熔融ガラスの清澄を行うとともに、上記実施形態の湿度調整を行い、清澄後、2270mm×2000mmであり、厚さが0.5mmのシートガラスに成形し、100枚のガラス基板を作成した(実施例)。
清澄管41の気相空間41cの湿度の調整は、上記の湿度制御装置44を用いて、パイプ44aから気相空間41cの気体を吸引し、気相空間41cの気体に含まれる水蒸気(水)の量を制御することにより行った。気相空間41cの温度が1400℃以上になるよう設定し、絶対湿度が300g/m3以下、絶対湿度が1300g/m3、絶対湿度が16200g/m3、絶対湿度が32000g/m3の環境になるように、気相空間41cの湿度を調整し、ガラス基板の白金異物の有無を、目視で確認した。また、ガラス基板のガラス組成は、SiO 66.6モル%、Al 10.6モル%、B 11.0モル%、MgO,CaO,SrO及びBaOの合量 11.4モル%であり、歪点は660℃、粘度が102.5ポアズであるときの熔融ガラスの温度は1570℃であった。
その結果、比較例である絶対湿度が32000g/m3の環境下で成形したガラス基板の白金異物の数は55であり、比較例である絶対湿度が16200g/m3の環境下では白金異物の数は51であるのに対し、実施例である絶対湿度が1300g/m3の環境下では白金異物の数は17であり、実施例である絶対湿度が300g/m3以下の環境下では白金異物の数は12であった。従って、気相空間41cの絶対湿度を1300g/m3以下にすることにより、白金族金属の揮発物の凝集を抑制でき、白金異物の数を低減することができた。また、気相空間41cの絶対湿度を300g/m3以下にすることにより、白金族金属の揮発物の凝集を抑制でき、白金異物の数を低減することができた。
以上、本発明のガラス基板の製造方法及びガラス基板の製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
40 熔解槽
41 清澄管
41a 通気管
41b 加熱電極
41c 気相空間
42d 端
42 成形装置
43a,43b.43c 移送管
44 湿度制御装置
44a パイプ
52 成形体
100 攪拌装置
200 ガラス基板の製造装置
G 熔融ガラス

Claims (3)

  1. 白金族金属で構成されたガラス処理装置を備えるガラス基板の製造方法であって、
    前記ガラス処理装置の内部において、熔融ガラスの液面より上方に気相空間が形成され、
    前記ガラス処理装置の内部で前記白金族金属が凝集する温度以上において、前記気相空間に含まれる白金揮発物の凝集が抑制されるよう前記気相空間の絶対湿度が1300g/m3以下の環境下で前記熔融ガラスを処理する、
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラス処理装置は、前記気相空間の湿度を制御する湿度制御装置を備え、
    前記湿度制御装置は、前記気相空間の気体に含まれる水蒸気を吸着して前記気相空間を除湿する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 白金族金属で構成されたガラス処理装置を備えるガラス基板の製造装置であって、
    前記ガラス処理装置の内部において、熔融ガラスの液面より上方に気相空間が形成され、
    前記ガラス処理装置の内部で前記白金族金属が凝集する温度以上において、前記気相空間に含まれる白金揮発物の凝集が抑制されるよう前記気相空間の絶対湿度が1300g/m3以下の環境下で前記熔融ガラスを処理する、
    ことを特徴とするガラス基板の製造装置。
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WO2008029649A1 (fr) * 2006-08-30 2008-03-13 Asahi Glass Company, Limited Procédés de fabrication de verre

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