JP6433224B2 - ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置 - Google Patents

ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6433224B2
JP6433224B2 JP2014202289A JP2014202289A JP6433224B2 JP 6433224 B2 JP6433224 B2 JP 6433224B2 JP 2014202289 A JP2014202289 A JP 2014202289A JP 2014202289 A JP2014202289 A JP 2014202289A JP 6433224 B2 JP6433224 B2 JP 6433224B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten glass
glass
glass substrate
platinum group
group metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014202289A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016069246A (ja
Inventor
佑紀 服部
佑紀 服部
慎吾 藤本
慎吾 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Avanstrate Inc
Avanstrate Asia Pte Ltd
Original Assignee
Avanstrate Inc
Avanstrate Asia Pte Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Avanstrate Inc, Avanstrate Asia Pte Ltd filed Critical Avanstrate Inc
Priority to JP2014202289A priority Critical patent/JP6433224B2/ja
Publication of JP2016069246A publication Critical patent/JP2016069246A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6433224B2 publication Critical patent/JP6433224B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

Landscapes

  • Glass Compositions (AREA)
  • Glass Melting And Manufacturing (AREA)

Description

本発明は、ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置に関する。
ガラス基板は、一般的に、ガラス原料から熔融ガラスを生成させた後、清澄工程、均質化工程を経て、熔融ガラスをガラス基板へと成形する工程を経て製造される。 ところで、高温の熔融ガラスから品位の高いガラス基板を量産するためには、ガラス基板の欠陥の要因となる異物等が、ガラス基板を製造するいずれのガラス処理装置からも熔融ガラスへ混入しないよう考慮することが望まれる。このため、ガラス基板の製造過程において熔融ガラスに接する部材の壁は、その部材に接する熔融ガラスの温度、要求されるガラス基板の品質等に応じ、適切な材料により構成する必要がある。
たとえば、熔融ガラスを生成した後成形工程に供給するまでの間の熔融ガラスは極めて高温状態になるため、熔融、清澄、供給、攪拌を行う装置は、耐熱性の高い白金族金属である白金を含有する部材が用いられる(例えば、特許文献1)。
特開2010−111533号公報
しかし、白金族金属は、高温になるに従って揮発し易くなる。そして白金族金属の揮発物が凝集すると、この凝集物である結晶の一部が異物として熔融ガラス中に混入し、ガラス基板の品質の低下を招くおそれがあった。特に、清澄工程は、熔解工程から成形工程にいたるまでの間で熔融ガラスの温度が最も高くなる工程であるので、清澄工程を主に行う清澄管は、極めて高い温度に加熱される。このため、清澄工程後の熔融ガラスには、清澄管から揮発した白金族金属が凝集することで得られる凝集物の一部が異物となって混入し易い。
ガラス基板製造過程で白金族金属の異物が混入すると、白金族金属の異物とガラスの熱膨張係数の差に起因してガラス基板に歪が生じ、この歪によってディスプレイ装置の表示不良を引き起こす問題や、白金族金属がガラス基板の主表面付近に存在してガラス基板の主表面に凹凸を形成し、主表面上に薄膜トランジスタ(TFT)を形成するときにTFTの形成が均一に行えないことに起因するディスプレイ装置の表示不良の問題が生じる。近年、画像表示装置の画面表示の高精細化に伴ってディスプレイ装置に用いるガラス基板では、ガラス基板内に混入する白金族金属の異物の低減がさらに強く求められている。
一方で、ガラス基板の品質を低減させるために、白金族金属の異物を低減することに加えて、ガラス基板中に残存する泡を低減することも必要である。ガラス基板中の酸素泡を低減するためには、清澄管において熔融ガラスの酸素泡の放出量を多くすることが好ましい。しかし、酸素泡の放出量を増やすと、熔融ガラスは還元状態になり、ガラス基板にCO、SO等のリボイル泡が多数発生し熔融ガラス中に残留し易くなる。このように、ガラス基板内に混入する白金族金属の異物による欠陥個数の低減と、ガラス基板内に残存するリボイル泡を含む泡の欠陥個数の低減は、必ずしも両立しない場合があった。
そこで、本発明は、製造工程中、白金族金属の凝集物が熔融ガラスに混入しても、白金族金属の凝集物の欠陥個数を低減したガラス基板を製造することができるガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、ガラス基板の製造方法である。当該ガラス基板の製造方法は、
ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
前記熔ガラスの導入により、前記熔融ガラスの自由表面と壁に囲まれた気相空間が形成される空間を有し、前記壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されたガラス処理装置において前記熔融ガラスを処理する工程であって、前記熔融ガラスの処理時、前記気相に存在する、前記壁から揮発した白金族金属の揮発物の凝集物が異物として前記熔融ガラスに混入する熔融ガラス処理工程と、
前記熔融ガラス処理工程の実行中、前記熔融ガラスに混入した凝集物の少なくとも一部を前記熔融ガラスに溶解させることにより、前記凝集物の少なくとも一部の大きさを小さくする凝集物処理工程と、を備え、
前記熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数が許容レベルになるように、前記凝集物処理工程が前記熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を30%〜85%にし、かつ、前記熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数が許容レベルになるように、前記凝集物処理工程が前記熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を30%〜85%にし、かつ、前記ガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])([Fe2+],[Fe3+]は、ガラス基板中のFe2+,Fe3+の質量百分率表示含有量である)を0.2〜0.5にする、ことを特徴とする。

前記[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、前記熔融ガラスに含まれる清澄剤の含有量によって調整される、ことが好ましい。
また、前記[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、前記ガラスの原料の酸化物量によって調整される、ことも好ましい。
また、前記[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、前記熔融ガラス処理工程を実行する前に前記熔融ガラスに対して酸素含有ガスでバブリングを行なうことにより調整される、ことが好ましい。
前記ガラス処理装置は、前記熔融ガラスが流れる管を有し、前記管内で、前記熔融ガラス処理工程及び前記凝集物処理工程が行われ、
前記凝集物処理時間の前記割合は、前記熔融ガラスが前記白金族金属の凝集物が熔解する温度以上になる、前記熔融ガラスの流れ方向に沿った前記管の温度領域の長さを調整することにより、調整される、ことが好ましい。
前記凝集物処理工程では、前記熔融ガラス処理工程中の前記凝集物処理工程を行なわない期間に比べて、前記熔融ガラスにおける前記白金族金属の飽和溶解度を高くする、ことが好ましい。
前記白金族金属の飽和溶解度は、前記熔融ガラスの温度分布を調整することにより、調整する、ことが好ましい。
前記ガラス処理装置は、清澄管を有する清澄装置であり、
前記清澄管内の前記気相は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
前記凝集物処理工程は、前記清澄管の一部で行われる、ことが好ましい。
前記ガラス基板は、ディスプレイ用ガラス基板である、ことが好ましい。
また、前記ガラス基板中の泡の欠陥個数を抑制しつつ、前記凝集物処理工程において前記凝集物を前記熔融ガラスに溶解させる量を大きくするために、前記気相空間の圧力は、0.8〜1.2気圧の範囲で調整されることが好ましい。
また、前記凝集物を前記熔融ガラスに溶解させる量を大きくするために、前記凝集物処理工程開始時に熔融ガラスに溶けている白金族金属の濃度を0.05〜20ppmとすることが好ましい。
本発明の他の一実施形態は、ガラス基板製造装置である。当該ガラス基板製造装置は、
ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解槽と、
前記熔融ガラスの導入により、前記熔融ガラスの自由表面と壁に囲まれた気相空間が形成される空間を有し、前記壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成された装置であって、前記熔融ガラスを処理する熔融ガラス処理装置、とを備え、
前記熔融ガラス処理装置は、前記気相空間に存在する、前記壁から揮発した白金族金属の揮発物の凝集物が異物として前記熔融ガラスに混入した凝集物の少なくとも一部を前記熔融ガラスに溶解させることにより、前記凝集物の少なくとも一部の大きさを小さくする部分を有し、
前記熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルにするよう、前記熔融ガラス処理装置における前記凝集物を処理する時間が、前記熔融ガラスを処理する時間に占める割合を30%〜85%にし、かつ、前記熔融ガラスの酸素活性量の指標であるガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])([Fe2+],[Fe3+]は熔融ガラス中の質量百分率表示含有量である)を0.2〜0.5にする、ことを特徴とする。
上記ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置によれば、製造工程中、白金族金属の凝集物が熔融ガラスに混入しても、白金族金属の凝集物の欠陥個数及び泡の欠陥個数を低減したガラス基板を製造することができる。
実施形態に係るガラス基板の製造方法の工程を示すフローチャートである。 実施形態に係るガラス基板製造装置の構成を示す模式図である。 実施形態に係る清澄管を主に表した外観図である。 実施形態に係る清澄管の内部を表す断面図と清澄管の温度プロファイルの一例を示す図である。
(実施形態の概要)
本実施形態のガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置について説明する。
本実施形態のガラス基板の製造方法は、熔融ガラス処理工程と凝集物処理工程と、を少なくとも備える。
熔融ガラス処理工程は、ガラス処理装置を用いて熔融ガラスを処理する工程であるが、このとき、熔融ガラスを構成する白金族金属が揮発して凝集した凝集物(以降、異物ともいう)が熔融ガラスに混入する。なお、ガラス処理装置は、熔融ガラスの導入により、熔融ガラスの自由表面と壁に囲まれる気相空間が形成される空間を有する。この気相空間に接する壁の少なくとも一部は白金族金属を含む材料で構成されている。
凝集物処理工程は、熔融ガラス処理工程で熔融ガラスに混入した白金族金属の凝集物の少なくとも一部を熔融ガラスに溶解させる工程である。
このとき、本実施形態では、熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数が許容レベルになるように、凝集物処理工程の、熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を30〜85%にし、かつ、熔融ガラスからつくられるガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])([Fe2+],[Fe3+]は、ガラス基板中のFe2+,Fe3+の質量百分率表示含有量である)を0.2〜0.5にする。ここで、[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+](以降、単に比ともいう)は、ガラス基板の酸素活性量に対応し、熔融ガラスの酸素活性量の指標となり得るものである。上記比は0.2〜0.5となるように、例えば、熔融ガラスのガラス組成(清澄剤の含有量やガラス原料における酸化物量の含有量)、熔解工程における加熱条件が調整される。
また、本実施形態のガラス基板製造装置は、ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解槽と、熔融ガラスの導入により、熔融ガラスの自由表面と壁に囲まれた気相空間が形成される空間を有し、上記壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成された装置であって、熔融ガラスを処理する熔融ガラス処理装置、とを備える。
上記熔融ガラス処理装置は、気相空間に存在する、壁から揮発した白金族金属の揮発物の凝集物が異物として前記熔融ガラスに混入した凝集物の少なくとも一部を熔融ガラスに溶解させることにより、凝集物の少なくとも一部の大きさを小さくする部分を有する。
このガラス基板製造装置では、熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルにするよう、熔融ガラス処理装置における凝集物を処理する時間が、熔融ガラスを処理する時間に占める割合を30〜85%にし、かつ、熔融ガラスからつくられるガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])([Fe2+],[Fe3+]は、ガラス基板中のFe2+,Fe3+の質量百分率表示含有量である)を0.2〜0.5にする。
ここで、凝集物処理工程の時間は、熔融ガラスに混入する凝集物が溶解可能な条件、例えば熔融ガラスの温度が白金族金属の凝集物の溶解する温度となる条件を維持する合計時間である。熔融ガラス処理時間は、熔融ガラスに対して行う処理、例えば清澄処理、酸素バブリング処理、攪拌処理を行う持続時間をいう。ガラス処理装置において、熔融ガラスが導入された時点から排出時点まで熔融ガラスの処理が行われる場合、ガラス処理装置に熔融ガラスが滞在する時間である。
本実施形態において、凝集物処理工程の時間を長くするほど(熔融ガラス処理工程の時間に占める凝集物処理の時間の割合を大きくするほど)、熔融ガラス中に溶解する凝集物の量は多くなり、熔融ガラス中に残存する白金族金属の凝集物の量は低減する。しかし、凝集物処理工程では、凝集物を溶解させるために熔融ガラスの温度を高くして、清澄剤の酸素の放出を活発化させるため、上記凝集物処理工程の時間を長くすると熔融ガラスの還元状態の程度は高くなる。このとき、熔融ガラスに溶存しているSO、COが容易に還元されて、SO、COのリボイル泡が発生しやすくなる。このように、ガラス基板中の白金族金属の凝集物を低減するために凝集物処理工程の時間を長くすると、ガラス基板中のリボイル泡の欠陥個数が増加する。また、凝集物処理工程では、凝集物を溶解させるために熔融ガラスの温度を高くするので、凝集物処理工程の時間を長くすることにより、熔融ガラスの成分、例えばBが気相空間に多く揮発する。この結果、ガラス組成が局部的に変化してガラスの熱膨張係数や粘度等のガラス特性が局所的に変わり、脈理等のスジをガラス基板に発生させる。
また、本実施形態において、熔融ガラスの酸素活性量を大きくするほど白金族金属の飽和溶解度が上昇するので熔融ガラス中に溶解する凝集物の量は多くなり、熔融ガラス中に残存する白金族金属の凝集物の量は低減する。しかし、凝集物処理工程では、凝集物を溶解させるために熔融ガラスの温度を高くして、酸素の放出を活発化させるが、酸素活性量が大きいため、十分に酸素が放出されず、その後において酸素泡が熔融ガラス中に溶解することなく多くの酸素泡がガラス基板に残存する場合がある。このように、ガラス基板中の白金族金属の凝集物を低減するために熔融ガラスの酸素活性量を大きくすると、ガラス基板中の酸素泡の欠陥個数は増加する。
しかし、本実施形態では、凝集物処理工程の、熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を30%〜85%に調整し、かつ、熔融ガラスからつくられるガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])を0.2〜0.5にする。これにより、白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルにすることができる。さらに、リボイル泡や酸素泡を含む泡の欠陥個数を抑制することができる。さらに、熔融ガラス処理工程に占める凝集物処理工程の時間の割合を調整するので、ガラス基板に脈理等のスジの発生を抑制することができる。
本実施形態でいう白金族金属は、単一の白金族元素からなる金属、および、白金族元素からなる金属の合金を意味する。白金族元素は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)およびイリジウム(Ir)の6元素である。
本実施形態でいう白金族金属の異物は、一方向に細長い線状物である。白金族金属の凝集物(異物)の最大長さとは、白金族金属の異物を撮影して得られる異物の像に外接する外接長方形のうち最大長辺の長さをいう。最小長さとは、白金族金属の異物を撮影して得られる異物の像に外接する外接長方形の最小短辺の長さをいう。なお、凝集物処理工程前の熔融ガラスでは、最大長さが100μm以上である白金族金属の異物の割合が80%を超える。凝集物処理工程前の白金族金属の異物とは、最大長さの最小長さに対する比であるアスペクト比が100を超える白金族金属の異物を指す。例えば、白金族金属の異物の最大長さは50μm〜300μm、最小長さは0.5μm〜2μmである。
このような熔融ガラス処理工程及び凝集物処理工程は、以下に説明するガラス基板の製造方法の一部として行なわれる。
(ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置)
図1は、本実施形態のガラス基板製造方法の工程の一例を示すフローチャートである。ガラス基板の製造方法は、図1に示されるように、主として、熔解工程S1と、清澄工程S2と、攪拌工程S3と、成形工程S4と、徐冷工程S5と、切断工程S6とを備える。
図2は、本実施形態のガラス基板製造装置200の構成の一例を示す模式図である。ガラス基板製造装置200は、熔解槽40と、清澄管41と、攪拌装置100と、成形装置42と、移送管43a,43b,43cとを備える。移送管43aは、熔解槽40と清澄管41を接続する。移送管43bは、清澄管41と攪拌装置100を接続する。移送管43cは、攪拌装置100と成形装置42を接続する。
熔解工程S1では、ガラスの原料を熔解して熔融ガラスが生成される。熔融ガラスは、熔解槽に貯留され、所望の温度を有するように加熱される。熔融ガラスは、清澄剤を含有する。環境負荷低減の観点から、清澄剤として酸化スズが好適に用いられる。
熔解槽40では、ガラス原料は、その組成等に応じた温度に加熱されて熔解される。これにより、熔解槽40では、例えば、1500℃〜1620℃の高温の熔融ガラスGが得られる。なお、熔解槽40では、少なくとも1対の電極間に電流を流すことで、電極間の熔融ガラスGが通電加熱されてもよく、また、通電加熱に加えてバーナーによる火焔を補助的に与えることで、ガラス原料が加熱されてもよい。
清澄工程S2は、少なくとも清澄管41の内部を流れる熔融ガラスに対して行われる。清澄工程S2は、移送管43aの内部を熔融ガラスが流れる時点で行われてもよい。最初に、熔融ガラスの温度を上昇させる。清澄剤は、昇温により還元反応を起こして酸素を放出する。熔融ガラス中に含まれる泡は、放出した酸素を含んで泡の大きさが大きくなり、熔融ガラスの自由表面に浮上し、破泡して消滅する。すなわち、脱泡処理工程S2Aが行われる。さらに、脱泡処理工程S2Aの途中から、あるいは、脱泡処理工程S2Aの終了後、熔融ガラスの温度を高くして、脱泡処理において混入した白金族金属の凝集物の大きさを低減する凝集物処理工程S2Bが行われる。その後、熔融ガラスの温度を低下させる。これにより、還元された清澄剤は、酸化反応を起こして、熔融ガラス中に残存している酸素等のガス成分が熔融ガラス中に溶け込む。すなわち、吸収処理工程S2Cが行われる。吸収処理工程S2Cは、清澄管41内ばかりでなく、移送管43bで行なわれてもよい。
具体的には、熔解槽40で得られた熔融ガラスGは、熔解槽40から移送管43aを通過して清澄管41に流入する。清澄管41では、熔融ガラスが導入されることにより、熔融ガラスの自由表面と壁に囲まれる気相空間が形成される。この気相空間を囲む清澄管41の壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されている。移送管43a,43b,43cは、白金族金属製の管である。本実施形態では、例えば、白金含有量が70%以上である白金とロジウムの合金が好適に用いられる。白金族金属は、融点が高く、熔融ガラスに対する耐食性に優れている。清澄管41には、熔解槽40と同様に加熱手段が設けられている。また、少なくとも移送管43aにも加熱機構が設けられている。
清澄工程S2では、熔融ガラスGを昇温することで脱泡する脱泡処理工程と、熔融ガラスに混入する白金族金属の異物の溶解量を大きくするための後述するパラメータ(例えば、凝集物処理工程の、熔融ガラス処理工程に占める時間の割合、熔融ガラスの酸素活性量)を調整して、白金族金属の異物を熔融ガラスに溶解させる凝集物処理工程と、熔融ガラスを降温させて、熔融ガラス中の泡を熔融ガラス中に溶け込ませることで、泡を消滅させる、すなわち、熔融ガラスに泡を取り込ませる吸収処理工程を行う。凝集物処理工程では、熔融ガラスに混入した異物を熔融ガラスに溶解させるために、凝集物の溶解量を大きくするためのパラメータが調整される。このことは後で詳細に説明する。
清澄工程S2では、熔融ガラスGの清澄を十分に行なうという観点からは、移送管43aの内部を流れる熔融ガラスGの温度は、降温されることなく、順次昇温されることが好ましい。熔解工程S1の後、熔融ガラスGは1630℃以上まで3℃/分以上の速度で昇温されることが好ましい。
清澄工程S2を移送管43aで行なう場合、移送管43aを流れる熔融ガラスGの最高温度は1620℃〜1690℃であり、1640℃〜1670℃であることが好ましい。また、移送管43aと清澄管41を接続する領域である清澄管入口での熔融ガラスGの温度は、1610℃〜1680℃であり、1630℃〜1660℃であることが好ましい。さらに、清澄管41と移送管43bとを接続する領域である清澄管出口での熔融ガラスGの温度は、1530℃〜1600℃であり、1540℃〜1580℃であることが好ましい。
清澄管41において清澄された熔融ガラスGは、清澄管41から移送管43bを通過して攪拌装置100に流入する。熔融ガラスGは、移送管43bを通過する際に冷却される。
攪拌工程S3では、清澄された熔融ガラスが攪拌されて、熔融ガラスの成分が均質化される。これにより、ガラス基板の脈理等の原因である熔融ガラスの組成ムラが低減される。均質化された熔融ガラスは、成形工程S4に送られる。
具体的には、攪拌装置100では、清澄管41を通過する熔融ガラスGの温度よりも低い温度で、熔融ガラスGが攪拌される。例えば、攪拌装置100において、熔融ガラスGの温度は、1250℃〜1450℃である。例えば、攪拌装置100において、熔融ガラスGの粘度は、500ポアズ〜1300ポアズである。熔融ガラスGは、攪拌装置100において攪拌されて均質化される。
攪拌装置100で均質化された熔融ガラスGは、攪拌装置100から移送管43cを通過して成形装置42に流入する。熔融ガラスGは、移送管43cを通過する際に、熔融ガラスGの成形に適した粘度となるように冷却される。例えば、熔融ガラスGは、1100〜1300℃まで冷却される。
なお、本実施形態の攪拌工程S3は、清澄工程S2の後に行なわれるが、攪拌工程S3は、清澄工程S2の前に行われてもよい。この場合、攪拌工程S3時の熔融ガラスGの温度は、清澄管41内の熔融ガラスGの温度と同等か高くてもよい。
成形工程S4では、オーバーフローダウンドロー法またはフロート法によって、熔融ガラスからシートガラスが連続的に成形される。
具体的には、成形装置42に流入した熔融ガラスGは、成形炉(図示せず)の内部に設置されている成形体52に供給される。成形体52の上面には、成形体52の長手方向に沿って溝が形成されている。熔融ガラスGは、成形体52の上面の溝に供給される。溝から溢れた熔融ガラスGは、成形体52の一対の側面を伝って下方へ流下する。成形体52の側面を流下した一対の熔融ガラスGは、成形体52の下端で合流して、シートガラスGRが連続的に成形される。
徐冷工程S5では、成形工程S4で連続的に成形されたシートガラスが所望の厚みを有し、かつ、歪みおよび反りが生じないように徐々に冷却される。
切断工程S6では、徐冷工程S5で徐冷されたシートガラスが所定の長さに切断されて、ガラスシートが得られる。ガラスシートは、さらに、所定のサイズに切断されて、ガラス基板が得られる。
本実施形態は、熔融ガラス処理工程を清澄工程とし、ガラス処理装置を、清澄管41を含んだ清澄装置とする形態を例に挙げて説明しているが、熔融ガラス処理工程を行う装置は、熔解槽40と成形装置42との間に設けられ、熔融ガラスに所定の処理をする装置である限りにおいて、特に制限されない。ガラス処理装置は、清澄装置の他に、例えば攪拌装置、あるいは熔融ガラスを移送する移送管とすることもできる。また、ガラス処理装置は、熔融ガラス中の酸素濃度を高めるために酸素含有ガスのバブリングを行なうバブリング槽を有するバブリング装置とすることもできる。したがって、熔融ガラスの処理は、熔融ガラスを清澄する処理の他に、熔融ガラスを均質化する処理、熔融ガラスを移送する処理、熔融ガラスを酸素含有ガスでバブリングする処理等を含む。また、凝集物処理工程S2Bも、清澄工程S2で行われる例を挙げて説明したが、例えば、攪拌工程S3、移送管にて熔融ガラスGを移送する工程で行われてもよい。なお、凝集物処理工程S2Bが清澄工程S2で行われる場合であっても、凝集物処理工程S2Bは、上述したように、吸収処理工程S2Cの前に行われる必要はなく、吸収処理工程S2Cの後に行われてもよい。
(清澄管の構成)
次に、本実施形態における清澄装置の清澄管41の構成について詳細に説明する。なお、清澄装置は、清澄管41の他に、通気管41a、加熱電極41b、及び、清澄管41の外周を囲む図示されない耐火物保護層及び耐火物レンガを含む。図3は、清澄管41を主に表す外観図である。図4は、清澄管41の内部を表す断面図と清澄管の温度プロファイルの一例を示す図である。
清澄管41には、通気管41aおよび一対の加熱電極41bが取り付けられている。清澄管41の内部には、熔融ガラスGが流れる液相があり、さらに、熔融ガラスGの自由表面と壁で囲まれる気相空間が形成されている。気相空間41cは、熔融ガラスGの流れの方向に沿って形成されている。気相空間41cを囲む壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されている。本実施形態では、気相空間41cを囲む壁全体が白金族金属を含む材料で構成されている。また、清澄管41には、気相空間にガスを供給するためのガス供給機構が設けられてもよい。ガスは、特に制限されないが、不活性ガスや酸素を含んだガス(酸素含有ガス)を含む。ガスは気相空間に直接供給されてもよい。ガスを供給するための機構として、例えば、気相空間を囲む清澄管の壁に設けられたノズルが用いられる。ノズルは、清澄管の外部に配されたガス源と接続される。
通気管41aは、熔融ガラスGが流れる方向の途中であって、気相空間41cと接する壁に設けられ、気相空間41cと清澄管41の外側の大気とを連通させる。通気管41aは、清澄管41と同様に、白金族金属で成形されることが好ましい。通気管41aは放熱機能により、通気管41aの温度が低下し易いので、通気管41aを加熱するための加熱機構を設けてもよい。
一対の加熱電極41bは、清澄管41の両端に設けられたフランジ形状の電極板である。加熱電極41bは、図示されない電源から供給される電流を清澄管41に流し、この電流により、清澄管41は通電加熱される。
このような清澄管41の内部では、熔融ガラスGに添加されている清澄剤、例えば酸化錫の酸化還元反応によって、熔融ガラスGに含まれる泡が除去される。具体的には、最初に、熔融ガラスGの温度を高くして、清澄剤を還元させることにより、酸素の泡を熔融ガラスG中に発生させる。熔融ガラスG中に含まれるCO2、SO2等の気体成分を含む泡は、清澄剤の還元反応によって生じた酸素を含んで泡の大きさが大きくなる。この泡は、熔融ガラスGの自由表面に浮上し泡の成分を放出する、すなわち破泡して消滅する。(脱泡処理)。このとき、清澄管41の壁から白金族金属は盛んに揮発する。脱泡によって気相空間に酸素が放出されるので、脱泡処理が行われる気相空間の部分では、酸素濃度が高くなり、この結果、白金族金属の揮発はよりいっそう盛んになる。これに伴って、気相空間に含まれる白金族金属の揮発物の濃度が高くなるので、気相空間に含まれる白金族金属の揮発物の凝集が生じやすくなる。特に、壁の部分的に冷えた位置、例えば、清澄管41の入口近傍の壁で白金族金属の揮発物は凝集し易くなる。したがって、清澄管41の壁に付着した白金族金属の凝集物の一部が脱落して、熔融ガラスG内に異物として混入し易い。
このため、脱泡処理の途中から、あるいは脱泡処理の終了後から、熔融ガラスGに混入する白金族金属の異物を熔融ガラスGに溶解させる凝集物処理工程を行う。
脱泡処理の終了後から凝集物処理工程を行う場合、白金族金属の異物を含む熔融ガラスGの温度を、白金族金属の異物が熔融ガラスGに混入する領域における熔融ガラスの温度と比べて高くなるように熔融ガラスGを昇温させることが好ましい。
また、脱泡処理工程の途中から凝集物処理工程を行う場合、脱泡処理工程と凝集物処理工程が同時に行われる。
清澄管41の内部では、この後、熔融ガラスGの温度を低くして、還元された清澄剤を酸化させる。これにより、熔融ガラスG中に残留する泡の酸素を熔融ガラスGに溶け込ませることで、泡を消滅させる(吸収処理)。こうして、熔融ガラスGに残存する泡は小さくなり消滅する。このように、清澄剤の酸化還元反応によって、熔融ガラスGに含まれる泡が除去される。また、吸収処理工程S2Cでは、熔融ガラスGの温度及び清澄管41の壁の温度は例えば1580℃以下に低下するので、白金族金属の揮発及び凝集は行われ難くなる。このため、吸収処理工程S2Cでは、脱泡処理工程S2Aと比較して新たな白金族金属の凝集物が異物となって熔融ガラスGに混入する可能性は遥かに低い。
なお、図2には示されていないが、清澄管41の外壁面には耐火物保護層が設けられる。耐火物保護層の外側には、さらに、耐火物レンガが設けられる。耐火物レンガは、基台(図示せず)に載置されている。
図4は、清澄管41のX方向の位置に合わせて表した清澄管41の温度プロファイル(清澄管41の気相空間41cと接する壁のX方向の温度プロファイル)の一例を示している。温度プロファイルでは、清澄管41の熔融ガラスGの流入する側の端41d(入口)と通気管41aとの間で、温度が最高温度Tmaxとなっている。この最高温度Tmaxの位置Pから、清澄管41の端41dに向かって温度が低下する温度勾配が形成されている。同様に、最高温度Tmaxの位置Pから、通気管41aのX方向の位置に向かって温度が低下する温度勾配が形成されている。また、温度勾配領域は、図示されないが、上記以外に、通気管41aのX方向の位置と清澄管41の熔融ガラスGの流出する側の端41e(出口)との間にも形成されている。このような温度勾配領域において、いずれの温度勾配領域においても温度勾配領域における最高温度と最低温度の温度差が0℃超、100℃以下になっている。図4に示すように、壁の温度が端41dから最高温度Tmaxになるまで継続して続く温度上昇区間おける清澄管41の前半部分で、脱泡処理が開始し、少なくとも最高温度Tmaxまで続く。また、最高温度Tmaxを含む、温度上昇区間の後半部分で凝集物処理工程が開始し、少なくとも最高温度Tmaxまで続く。なお、脱泡処理工程の終了と凝集物処理工程の終了の時点は、どちらが先であってもよいが、熔融ガラスに混入する全ての白金族金属の異物を凝集物処理工程の対象とする点から、凝集物処理工程の終了は、脱泡処理工程の終了と同時あるいはそれ以降であることが好ましい。
このように、凝集物処理工程の時間は、熔融ガラスGの温度プロファイルによって定まる。凝集物処理工程の上記時間は、例えば、熔融ガラスGの温度が1670℃〜1750℃にあるときの持続時間の合計である。
このような熔融ガラス処理装置において、白金族金属の凝集物が熔融ガラスに溶解される量(以降、この量を溶解量という)を大きくするためのガラス処理装置における条件パラメータについて説明する。
(凝集物の溶解量を大きくするための条件パラメータ)
本実施形態では、ガラス処理装置において、ガラス基板中の凝集物の欠陥個数が許容レベルなるよう、さらに、ガラス基板中の泡の欠陥個数が許容レベルなるよう、ガラス処理装置における各条件パラメータを調整する。
白金族金属の凝集物の溶解量を大きくするための条件パラメータとしては、例えば、
(a)熔融ガラスの酸素活性量、
(b)凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合、が挙げられる。
以降では、ガラス処理装置として清澄管を例にし、熔融ガラス処理工程として清澄工程を例にして説明する。
(a)熔融ガラスの酸素活性量
清澄管において、白金族金属の凝集物の溶解量は、熔融ガラスの酸素活性量を上昇させることにより、増加させることができる。熔融ガラスの酸素活性量は、熔融ガラスに溶けて、ガラスを構成する金属成分等と結合した酸素の量である。例えば、清澄工程における脱泡処理工程では、熔融ガラスの温度が高くなって、熔融ガラスに溶存する酸素が気泡となって脱泡されるため、熔融ガラスの酸素活性量は低下する。一方、清澄工程において、熔融ガラスの温度が低くなると、清澄剤が酸素を取り込むため、酸素活性量は増大する。
熔融ガラスの酸素活性量は、直接計測できないため、計測可能なガラス基板における酸素活性量が用いられることが好ましい。ガラス基板における酸素活性量は、熔融ガラスの酸素活性量が大きければ大きいほど、大きい。本実施形態では、ガラス基板における酸素活性量として、ガラス基板における[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])が用いられる。[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])が高い場合、Fe3+(三価の鉄原子)に結合する酸素の量は多くなるため、酸素活性量は大きくなる。[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])が低い場合、Fe3+(三価の鉄原子)に結合する酸素の量は少なくなるため、酸素活性量は小さくなる。したがって、ガラス基板における[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、ガラス基板における酸素活性量に対応する。したがって、ガラス基板における[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、熔融ガラスの酸素活性量の指標となり得る。なお、[Fe2+]、[Fe3+]は分光光度法を用いて計測したガラス基板の透過度によって算出することができる。
熔融ガラスの酸素活性量は、例えば、熔解工程において、熔融ガラスに含まれる清澄剤、酸化物の量を調整することのほか、熔解工程における燃焼加熱と電気加熱の割合、清澄工程において、熔融ガラスの温度を調整することや、熔融ガラス内に酸素含有ガスをバブリングすることによって調整することができる。
熔融ガラスの酸素活性量の調整の際、熔融ガラスの酸素活性量を大きくし過ぎると、白金族金属の凝集物の溶解量が大きくなる反面、下記のデメリットを生じさせる。
・白金族金属の揮発量の増加
熔融ガラスの酸素活性量を大きくし過ぎると、脱泡処理工程において熔融ガラスから気相空間に放出される酸素量が増加し、気相空間の酸素濃度が上昇するため、白金族金属が容易に酸化されて揮発しやすくなる。白金族金属が揮発しやすくなると、白金族金属の凝集物が生成しやすく、熔融ガラスに混入しやすくなる。
・酸素泡の熔融ガラス中の残存
熔融ガラスの酸素活性量を大きくし過ぎると、吸収処理工程において、還元された清澄剤が酸素を取り込めなくなり、酸素を含んだ泡(酸素泡)が熔融ガラス中に残存し、ガラス基板において気泡として残るため、ガラス基板の品質を低下させやすくなる。
このようなデメリットの発生を抑える観点から、熔融ガラスの酸素活性量、さらには、ガラス基板における[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])の調整によって白金族金属の凝集物の溶解量を大きくする際には、適宜条件パラメータ(凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合、熔融ガラスの温度等)を組み合わせて調整することが好ましい。
(b)凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合
白金族金属の凝集物の溶解量は、凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を大きくすることで増加させることができる。凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合は、熔融ガラス処理工程全体に要する時間に占める凝集物処理工程に要する時間の割合である。熔融ガラス処理工程全体に要する時間は、例えば、清澄処理全体に要する時間の場合、熔融ガラスが清澄装置を通過する時間として特定でき、具体的には、熔解工程後、熔融ガラスが流れるガラス基板製造装置の領域のうち温度が1500℃以上に加熱される領域を通過する時間として特定できる。
凝集物処理工程の時間は、白金族金属の凝集物が熔融ガラスに溶解する溶解温度領域にある時間である。溶解温度領域とは、熔融ガラスの白金族金属の凝集物が熔融ガラスに溶解する温度の領域であり、熔融ガラスが流れる清澄管の場合、上記凝集物が熔融ガラスに溶解する温度の清澄管の長手方向に沿った長さである。上記凝集物が熔融ガラスに溶解する温度は、清澄管41の標準的な動作条件を再現した実験において、白金族金属が所定の時間内において溶解することが確かめられる温度であり、例えば、1650℃〜1750℃のように定められている。上記所定の時間とは、適宜設定され、例えば、標準的な条件下、清澄管41を熔融ガラスが通過する時間をいう。
熔融ガラスが溶解温度域にある時間は、例えば、清澄管の壁の温度プロファイルから定めることができる。具体的には、熔融ガラスの流れる方向に沿って清澄管の外壁の複数箇所に設けた熱電対によって測定される清澄管の壁の温度プロファイルから熔融ガラスの温度プロファイルを求め、この熔融ガラスの温度プロファイルに基づいて溶解温度領域を
求めることができる。清澄管の壁の温度と、これに対応する熔融ガラスの温度は、例えば、過去にガラス基板を製造した時のデータや清澄管41の熱伝導シミュレーション計算結果を用いて予め対応付けておくことができる。これにより、清澄管の壁の温度プロファイルから熔融ガラスの温度プロファイルを求めることができる。清澄管41では、熔融ガラスは略一定の速度で流れるので、清澄管における溶解温度域の、熔融ガラスの流れに沿った長さを熔融ガラスの流れの流速で割ることにより上記時間を求めることができる。
熔融ガラスの温度が温度プロファイルを有し、溶解温度域が複数存在する場合、複数の溶解温度領域に熔融ガラスがある時間の合計の時間で表される。
熔融ガラス処理工程の時間は、清澄工程の場合、熔融ガラスが脱泡処理S2A及び吸収処理S2Cにある時間をいう。脱泡処理S2A及び吸収処理S2Cは、清澄剤の酸化還元反応を利用する処理であるので、脱泡処理S2A及び吸収処理S2Cの時間は、酸化還元反応を発現する温度が異なる清澄剤の種類によって異なる。例えば酸化錫の場合、移送管43a、清澄管41、移送管43bにおける熔融ガラスの温度が1550℃〜1760℃の温度範囲にある時間を脱泡処理S2A及び吸収処理S2Cの時間とする。
また、清澄管41およびその前後の移送管43a,43bで清澄工程が行われる場合、清澄管41および移送管43a,43bの該当部分の管の長手方向に沿った長さで、上述の溶解温度領域の管の長手方向に沿った長さを割った値が、凝集物処理工程が熔融ガラス処理に占める時間の割合となる。
凝集物処理工程が熔融ガラス処理に占める時間の割合が大きくなると、白金族金属の凝集物の溶解量が大きくなる反面、下記のデメリットが生じる。
・リボイル泡の増加
凝集物処理工程が熔融ガラス処理に占める時間の割合を大きくし過ぎると、清澄工程において、熔融ガラスが脱泡処理工程にある時間も長くなりやすいため、後の吸収処理工程でリボイル泡が生じやすくなる。
具体的には、時間の割合を大きくし過ぎると、熔融ガラスに溶存している酸素が泡となって気相空間に放出される量が増大し、熔融ガラスの酸素活性量は小さくなり、その結果、熔融ガラスは還元状態になる。この状態で、吸収処理工程が行われると、以下のメカニズムに従って、熔融ガラス中にリボイル泡が過剰に発生して、ガラス基板にリボイル泡の気泡が残存する場合がある。リボイル泡は、具体的には、熔融ガラスに不純物として含まれる硫黄や炭素に起因して生じたSOあるいはCO等を含む泡である。熔融ガラスの還元状態が時間的に長くなる場合、熔融ガラスに溶存しているSO、COが容易に還元されることでSO、COが生成しやすい。このSO、COはSO、COに比べて熔融ガラスに溶存されにくいために吸収処理工程において気泡として残り易い。このようなリボイル泡が多くあると、ガラス基板に泡欠陥として残り、ガラス基板の品質を低下させる場合がある。なお、ガラス基板に残存した泡は、例えば、レーザ顕微鏡または目視により検出される。
(凝集物処理工程が熔融ガラス処理に占める時間の割合と[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])の調整)
このように、凝集物処理工程が熔融ガラス処理に占める時間の割合を大きくすることにより、リボイル泡を含む泡欠陥の個数の増加が生じる。このため、清澄工程のような熔融ガラス処理工程を開始するときの熔融ガラスの酸素活性量を予め調整することにより、ガラス基板中の泡の欠陥個数を許容レベルに抑制しつつ、白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルに抑制することができる。すなわち、本実施形態では、凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を30〜85%にし、かつ、熔融ガラス処理工程を開始するときの熔融ガラスの酸素活性量の指標となり得るガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])を0.2〜0.5にする。
凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を変化させた場合、例えば、凝集物処理工程の時間を長くした場合、熔融ガラスの酸素活性量は小さくなり、リボイル泡を含む泡の欠陥個数を増大させる。本実施形態は、この泡の欠陥個数の増大を抑制するために、熔融ガラス処理工程開始時における酸素活性量の指標となるガラス基板における[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])が0.2〜0.5となるように調整する。
また、清澄工程時の熔融ガラスの酸素活性量を大きくした場合、熔融ガラスの清澄剤が吸収できない酸素泡が多数存在し、酸素泡を含む泡の欠陥個数を増大させる。本実施形態は、この泡の欠陥個数の増大を抑制するために、凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合が30〜85%となるように調整する。
ガラス基板中の白金族金属の凝集物の欠陥は、ガラス板の表面に斜め方向からレーザ光等の光を入射させ、その反射光を受光することを、各位置で行なうことにより、受光により得られた画像から白金族金属の凝集物の形状に合致する領域を特定することにより、検出することができる。この凝集物の欠陥個数は、単位質量当たり、例えば0.02個/kg以下である。
同様に、ガラス基板中の泡の欠陥は、ガラス板の表面に斜め方向からレーザ光等の光を入射させ、その反射光を受光することを、各位置で行なうことにより、受光により得られた画像から泡の欠陥の領域を特定することにより、検出することができる。この泡の欠陥個数は、単位質量当たり、例えば0.01個/kg以下である。このような許容レベルは、ガラス基板のユーザが求める、歪みや主表面の凹凸に関するスペックに応じて変化する。
上記酸素活性量は、熔融ガラスに添加される清澄剤の量によって調整されることが、酸素活性量を容易に調整することができる点から好ましい。この場合、ガラス基板における清澄剤の含有量は、例えば0.01質量%〜1質量%であることが好ましく、0.01質量%〜0.5質量%であることがより好ましい。
また、酸素活性量は、前記ガラスの原料の酸化物量によって調整されることも、酸素活性量を容易に調整することができる点から好ましい。例えば、酸化鉄をガラス原料として含む場合、FeとFeOの比率を調整する。さらに、酸素活性量は、熔融ガラス処理工程を実行する前に熔融ガラスに対して酸素含有ガスをバブリングすることにより調整されることも、酸素活性量を容易に調整することができる点から好ましい。
また、熔融ガラス処理装置が、清澄管41や移送管43a,43bのように、熔融ガラスが流れる管を有し、その管内で、熔融ガラス処理工程及び凝集物処理工程が行われる場合、凝集物処理工程の熔融ガラス処理工程に占める時間の割合は、熔融ガラスが白金族金属の凝集物が熔解する温度以上になる熔融ガラスの流れ方向に沿った管の温度領域の長さを調整することにより、調整されることが、凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を容易に調整することができる点から好ましい。
凝集物処理工程では、熔融ガラス処理工程中の凝集物処理工程を行なわない期間に比べて、熔融ガラスにおける白金族金属の飽和溶解度を高くするようにすることが好ましい。例えば、飽和溶解度を高くするには、熔融ガラスの温度を高くするとよい。
このような本実施形態で上記割合を30〜85%にし、かつ、ガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])を0.2〜0.5にする場合、熔融ガラスの清澄工程は、例えば、以下の温度条件で行なわれることが好ましい。
図4に示すような清澄管41の壁の温度プロファイルで説明すると、清澄管41の壁の最高温度Tmaxは、1670℃〜1750℃であることが好ましく、1690℃〜1750℃であることがより好ましい。このとき、上記温度プロファイルの最高温度と最低温度の温度差は5℃以上である。このような温度プロファイルにおいて、壁の温度が上記最高温度まで上昇する区間における清澄管41の前半部分で、脱泡処理が開始し、少なくとも上記最高温度まで続く。また、上記最高温度を含む、温度が上昇する区間の後半部分で凝集物処理工程が開始し、少なくとも上記最高温度まで続く。凝集物処理工程は、例えば上記最高温度になる前の領域で開始する。
清澄管41における凝集物処理工程において、熔融ガラスの温度は、好ましくは1660℃以上に調整される。具体的には、熔融ガラスは、1660℃〜1750℃に加熱されることが好ましく、1680℃〜1700℃に加熱されることがより好ましい。熔融ガラスGの最高温度が1750℃を超えると、清澄管41aを構成する白金族金属が熔損し易くなる。また、リボイル泡が生じやすくなる。なお、熔融ガラスGの最高温度は、清澄管41に設けられた図示されない熱電対による計測値から算出することができる。熱電対は、例えば、熔融ガラスの流れる方向に沿って清澄管41の外壁の複数箇所に設けられる。
特に、凝集物処理工程において、熔融ガラスGの温度が1660℃上の状態を10分以上、好ましくは30分以上維持することが好ましい。すなわち、白金族金属の異物を熔融ガラスに溶解させる凝集物処理工程は、1660℃以上の温度で、10分以上保持することで、白金族金属の異物を溶解させやすくすることができる。
このような清澄管41の内部を流れる熔融ガラスの温度は、例えば、清澄管41の壁を流れる電流を調整することで調整することができる。電流量は、加熱電極41bに印加される電圧の大きさによって調整することができる。なお、加熱電極41bは清澄管41に一対設けられるが、加熱電極41bの数は特に制限されない。加熱電極41bの電流量を調整することで、清澄管41の気相空間41cと接する壁の温度は、例えば1500〜1750℃の範囲に調整される。また、熔融ガラスGの温度は、清澄管41を流れる電流の調整に代えて、または、清澄管41を流れる電流の調整と組み合わせて、清澄管41の周囲に配した図示されないヒータによって間接的に調整されてもよい。ヒータは、例えば、後述する耐火物保護層や耐火物レンガの内部または外側に配置される。
また、ガラス基板中の泡の欠陥個数を抑制しつつ、凝集物処理工程において白金族金属の凝集物を熔融ガラスに溶解させる量を大きくするために、気相空間41cの圧力は、0.8〜1.2気圧の範囲で調整されることが好ましい。
また、凝集物処理工程において、白金族金属の凝集物を熔融ガラスに溶解させる量を大きくするために、凝集物処理工程開始時に熔融ガラスに溶けている白金族金属の濃度を0.05〜20ppmとすることが好ましい。
以上、本実施形態では、凝集物処理工程が熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を30〜85%にし、かつ、ガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])を0.2〜0.5にすることにより、熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数が許容レベルにし、かつ、熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる泡の欠陥個数が許容レベルにすることができる。
(ガラス基板の適用例)
本実施形態のガラス基板の製造方法によって製造されるガラス基板は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを含むディスプレイ用ガラス基板や、ディスプレイを保護するカバーガラスに適している。ディスプレイ用ガラス基板の中で、特に、高精細ディプレイ用ガラス基板、例えば、アルカリ金属酸化物の含有量が極めて少ないことが求められる液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ用ガラス基板、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体を用いた酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板、あるいはLTPS(Low Temperature Poly-silicon)薄膜半導体を用いたLTPSディプレイ用ガラス基板に適している。
ディスプレイ用ガラス基板としては、無アルカリガラス、または、アルカリ微量含有ガラスが用いられる。ディスプレイ用ガラス基板は、高温時における粘性が高い。例えば、102.5ポアズの粘性を有する熔融ガラスの温度は、1500℃以上である。なお、無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物(R2O)を実質的に含まない組成のガラスである。アルカリ金属酸化物を実施的に含まないとは、原料等から混入する不純物を除き、ガラス原料としてアルカリ金属酸化物を添加しない組成のガラスであり、例えば、アルカリ金属酸化物の含有量は0.1質量%未満である。
(ガラス組成)
ガラス原料は、所望の組成のガラスを実質的に得ることができるように調製される。ガラスの組成の一例として、フラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板等のディスプレイ用ガラス基板として好適な無アルカリガラスは、酸化物換算で、SiO2 50質量%〜70質量%、Al23 0質量%〜25質量%、B23 0質量%〜15質量%、MgO 0質量%〜10質量%、CaO 0質量%〜20質量%、SrO 0質量%〜20質量%、BaO 0質量%〜10質量%、全鉄量(Fe23換算)0.005質量%〜0.15質量%を含有する。ここで、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計の含有量は、5質量%〜30質量%である。
また、ディスプレイ用ガラス基板として、アルカリ金属酸化物を微量含むアルカリ微量含有ガラスを用いてもよい。アルカリ微量含有ガラスは、成分として、0.1質量%〜0.5質量%のR’2Oを含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のR’2Oを含む。ここで、R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種であり、R’2Oは、Li2O、Na2O、K2Oの含有量の合計である。なお、R’2Oの含有量の合計は、0.1質量%未満であってもよい。したがって、本実施形態のガラス基板は、無アルカリガラスを含めて、アルカリ金属酸化物(R’2O)の含有量が0〜0.5質量%であるガラスが好適に用いられる。
本実施形態によって製造されるガラスは、上記成分に加えて、SnO2 0.01質量%〜1質量%(好ましくは、0.01質量%〜0.5質量%)をさらに含有してもよい。本発明によって製造されるガラスは、環境負荷を考慮して、As23、Sb23およびPbOを実質的に含有しないことが好ましい。環境負荷低減のために、好ましくは、酸化錫が清澄剤として用いられる。
本実施形態では、熔融ガラスGの温度を高くするために、清澄管41の温度を高くする場合、本実施形態の上述した効果を有効に発揮することができる。
例えば、環境負荷低減のために、熔融ガラスの清澄剤として酸化錫が用いられることが好ましいが、酸化錫は、As23やSb23と比較して、清澄効果(酸化反応)が得られる温度が高い。このため、酸化錫を清澄剤とした用いた場合、As23やSb23を清澄剤とした用いた場合と比較して清澄管41の温度を高くして、熔融ガラスGの温度を高くする必要がある。すなわち、清澄剤として酸化錫を使用するため、従来よりも清澄管41の揮発(酸化)が生じ易くなり、白金族金属の揮発及び凝集の問題が生じ易い。このように、清澄剤として酸化錫を用いることで、白金族金属の異物が熔融ガラスに混入する量が増加したとしても、本実施形態のように、凝集物処理工程の、熔融ガラス処理工程に占める時間の割合の範囲と熔融ガラスの酸素活性量を上述した範囲に調整することにより、ガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルにするので、ガラス基板に歪が生じ難く、ガラス基板の主表面の凹凸を作りにくくすることができるといった効果が顕著になる。すなわち、表示不良を引き起こすような異物の量を十分に低減できる。
ディスプレイパネルに用いるガラス基板には、薄膜トランジスタが形成されるが、薄膜トランジスタの動作に悪影響を与えないように、上述したように、ガラス基板には、無アルカリガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスを用いることが好ましい。無アルカリガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスは、アルカリ含有ガラスと比較して、粘性が高いため、脱泡処理工程において泡の浮上速度が遅く、清澄することが難しい。このため、清澄効果を十分に得るためには、清澄管41の温度を高くして、熔融ガラスGの温度を高くする必要がある。つまり、製造する対象が無アルカリガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスであるため、アルカリガラスよりも清澄管41の揮発(酸化)が生じやすくなっており、白金族金属の揮発及び凝集の問題が生じ易い。このように、無アルカリガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスを用いるために、清澄管41の温度を高くして、白金族金属の異物が熔融ガラスに混入する量が増加したとしても、本実施形態のように、ガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルにすることができるので、ガラス基板に歪が生じ難く、ガラス基板の主表面の凹凸を作りにくくすることができるといった効果が顕著になる。すなわち、表示不良を引き起こすような異物の量を十分に低減できる。
また、歪点の高いガラスは、歪点が低いガラスと比較して、同じ温度において熔融ガラスの粘性が高いため、脱泡処理工程において泡の浮上速度が遅く、清澄することが難しい。このため、清澄効果を十分に得るためには、清澄管41の温度を高くして、熔融ガラスGの温度を高くする必要がある。つまり、つまり、歪点が高いガラスのガラス基板を製造する場合、歪点が低いガラスを製造する場合よりも清澄管の揮発(酸化)が生じやすくなっており、白金族金属の揮発及び凝集の問題が生じ易い。このように、歪点の高いガラスを用いるために、清澄管41の温度を高くして、白金族金属の異物が熔融ガラスに混入する量が増加したとしても、本実施形態のように、ガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルに調整することができるので、ガラス基板に歪が生じ難く、ガラス基板の主表面の凹凸を作りにくくすることができるといった効果が顕著になる。すなわち、表示不良を引き起こすような異物の量を十分に低減できる。
なお、ディスプレイ用ガラス基板には、ガラス基板の歪点が600℃以上、より好ましくは650℃以上であることが求められるが、ガラス基板の歪点が600℃以上であると、表示不良を引き起こすような大きさの異物の量を十分に低減できる本実施形態の効果が顕著となる。また、高精細ディスプレイ用ガラス基板には、より歪点が高いことが求められ、歪点が690℃以上であることが好ましく、730℃以上であることがより好ましい。このように歪点が690℃以上、730℃以上であると、本実施形態の上述した効果がより顕著になる。
[実験例]
本実施形態の効果を確認するために、図1に示す凝集物処理工程S2Bを含んだ製造工程でガラス基板を作製した(実施例)。
ガラス基板の作製条件は下記の通りである。
ガラス基板の作製に用いたガラスの組成は、SiO2 60.7質量%、Al23 17質量%、B23 11.5質量%、MgO 2質量%、CaO 5.6質量%、SrO 3質量%、SnO2 0.18質量%、全鉄量(Fe23換算) 0.02質量%、とした。凝集物処理工程が清澄工程に占める時間の割合を70%になるように、移送管43a、清澄管41、移送管43bにおける熔融ガラスの温度プロファイルを調整した。さらに、ガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、0.30〜0.35であった。
一方、凝集物処理工程が清澄工程に占める時間の割合を10%になるように、移送管43a、清澄管41、移送管43bにおける熔融ガラスの温度プロファイルを調整し、ガラス組成以外実施例と同じ条件でガラス基板を作製した(従来例)。このとき、ガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])が0.1になるように、清澄剤の含有量と溶解工程の加熱条件を調整した。
こうして作製したガラス基板における白金族金属の異物及び泡を、光学顕微鏡を用いて検出し、その個数をカウントした。泡のカウント数は、そのまま泡の欠陥個数とした。さらに、検出した白金族金属の異物については、その最大長さ、最小長さを計測した。そして、ガラス基板に含まれる全白金族金属の異物のうち、最大長さの最小長さに対する比であるアスペクト比が100を超える白金族金属の異物の個数(欠陥個数)を求めた。実施例のガラス基板では、泡の欠陥個数及び白金族金属の異物の欠陥個数は、許容レベルにあったが、従来例のガラス基板では、泡の欠陥個数及び白金族金属の異物の欠陥個数は、許容レベルを外れていた。
以上、本発明のガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 検出装置
40 熔解槽
41 清澄管
41a 通気管
41b 加熱電極
41c 気相空間
42 成形装置
52 成形体
43a,43b.43c 移送管
100 攪拌装置
200 ガラス基板製造装置

Claims (8)

  1. ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解工程と、
    前記熔ガラスの導入により、前記熔融ガラスの自由表面と壁に囲まれた気相空間が形成される空間を有し、前記壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成されたガラス処理装置において前記熔融ガラスを処理する工程であって、前記熔融ガラスの処理時、前記気相に存在する、前記壁から揮発した白金族金属の揮発物の凝集物が異物として前記熔融ガラスに混入する熔融ガラス処理工程と、
    前記熔融ガラス処理工程の実行中、前記熔融ガラスに混入した凝集物の少なくとも一部を前記熔融ガラスに溶解させることにより、前記凝集物の少なくとも一部の大きさを小さくする凝集物処理工程と、を備え、
    前記熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数及び前記ガラス基板に含まれる泡の欠陥個数が許容レベルになるように、前記凝集物処理工程が前記熔融ガラス処理工程に占める時間の割合を30%〜85%にし、かつ、前記ガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])([Fe2+],[Fe3+]は、ガラス基板中のFe2+,Fe3+の質量百分率表示含有量である)を0.2〜0.5にする、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、前記熔融ガラスに含まれる清澄剤の含有量によって調整される、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])は、前記ガラスの原料の酸化物量によって調整される、請求項1または2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記ガラス処理装置は、前記熔融ガラスが流れる管を有し、前記管内で、前記熔融ガラス処理工程及び前記凝集物処理工程が行われ、
    前記凝集物処理時間の前記割合は、前記熔融ガラスが前記白金族金属の凝集物が熔解する温度以上になる、前記熔融ガラスの流れ方向に沿った前記管の温度領域の長さを調整することにより、調整される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  5. 前記凝集物処理工程では、前記熔融ガラス処理工程中の前記凝集物処理工程を行なわない期間に比べて、前記熔融ガラスにおける前記白金族金属の飽和溶解度を高くする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  6. 前記ガラス処理装置は、清澄管を有する清澄装置であり、
    前記清澄管内の前記気相は、前記熔融ガラスの流れの方向に沿って形成され、
    前記凝集物処理工程は、前記清澄管の一部で行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  7. 前記ガラス基板は、ディスプレイ用ガラス基板である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
  8. ガラスの原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔解槽と、
    前記熔融ガラスの導入により、前記熔融ガラスの自由表面と壁に囲まれた気相空間が形成される空間を有し、前記壁の少なくとも一部が白金族金属を含む材料で構成された装置であって、前記熔融ガラスを処理する熔融ガラス処理装置、とを備え、
    前記熔融ガラス処理装置は、前記気相空間に存在する、前記壁から揮発した白金族金属の揮発物の凝集物が異物として前記熔融ガラスに混入した凝集物の少なくとも一部を前記熔融ガラスに溶解させることにより、前記凝集物の少なくとも一部の大きさを小さくする部分を有し、
    前記熔融ガラスからつくられるガラス基板に含まれる白金族金属の凝集物の欠陥個数を許容レベルにするよう、前記熔融ガラス処理装置における前記凝集物を処理する時間が、前記熔融ガラスを処理する時間に占める割合を30%〜85%にし、かつ、前記熔融ガラスの酸素活性量の指標であるガラス基板の[Fe3+]/([Fe2+]+[Fe3+])([Fe2+],[Fe3+]は熔融ガラス中の質量百分率表示含有量である)を0.2〜0.5にする、ことを特徴とするガラス基板製造装置。
JP2014202289A 2014-09-30 2014-09-30 ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置 Active JP6433224B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014202289A JP6433224B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014202289A JP6433224B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016069246A JP2016069246A (ja) 2016-05-09
JP6433224B2 true JP6433224B2 (ja) 2018-12-05

Family

ID=55863849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014202289A Active JP6433224B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6433224B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022014937A (ja) * 2020-07-08 2022-01-21 日本電気硝子株式会社 アルカリ土類アルミノケイ酸ガラスの製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7071133B2 (en) * 1993-11-16 2006-07-04 Ppg Industries Ohio, Inc. Colored glass compositions and-automotive vision panels with-reduced transmitted-color shift
JP2004075498A (ja) * 2002-08-22 2004-03-11 Nippon Electric Glass Co Ltd 酸化物系ガラス及びその製造方法
JP4946216B2 (ja) * 2005-07-06 2012-06-06 旭硝子株式会社 無アルカリガラスの製造方法
CN103118994B (zh) * 2011-03-31 2016-03-16 安瀚视特控股株式会社 玻璃板制造方法
JP5840998B2 (ja) * 2012-03-30 2016-01-06 AvanStrate株式会社 ガラス板の製造方法およびガラス板製造装置
CN203625224U (zh) * 2013-09-17 2014-06-04 安瀚视特控股株式会社 熔融玻璃处理装置及玻璃基板的制造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016069246A (ja) 2016-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5921730B2 (ja) ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置
JP6722096B2 (ja) ガラス基板、及びガラス基板積層体
JP6082779B2 (ja) ガラス板の製造方法
WO2013054531A1 (ja) ガラス板の製造方法
TWI551562B (zh) Method for manufacturing glass substrates
JP6585983B2 (ja) ガラス基板の製造方法およびガラス基板の製造装置
JP5937704B2 (ja) ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置
JP6433224B2 (ja) ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
JP2016069252A (ja) ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
JP2016069250A (ja) ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
JP6494969B2 (ja) ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
JP2016069247A (ja) ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
JP6396744B2 (ja) ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
JP2017119602A (ja) ガラス基板の製造方法、及び、ガラス基板の製造装置
JP2016069249A (ja) ガラス基板の製造方法、およびガラス基板製造装置
JP2014205581A (ja) ガラス基板の製造方法及びガラス基板製造装置
JP6043550B2 (ja) ガラス基板の製造方法、および、ガラス基板の製造装置
JP2016069253A (ja) ガラス基板の製造方法、及び、ガラス基板の製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170914

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6433224

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250