JPWO2015093443A1 - 摺動部材用樹脂組成物及び摺動部材 - Google Patents
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Abstract
本発明は、安価かつ容易に入手可能な樹脂を使用でき、大量生産が容易であると共に、耐摩耗性等の摺動特性に優れる摺動部材を形成できる樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明の摺動部材用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、グラファイト及びホウ素系化合物を含む。上記熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びこれらの組み合わせが好ましく、ポリエーテルエーテルケトンがより好ましい。上記ホウ素系化合物の含有量としては、上記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.2質量部以上5質量部以下が好ましい。上記ホウ素系化合物及び上記グラファイトのうちの少なくとも一方の全部又は一部が、ホウ素系化合物及びグラファイトのうちの少なくとも一方とフェノール樹脂とを含有する樹脂粉末として含有されるとよい。上記樹脂粉末の最大粒径としては0.04mm以下が好ましい。
Description
本発明は、摺動部材用樹脂組成物及び摺動部材に関する。
摺動部材用の樹脂組成物としては、例えば耐熱性ポリアミドやポリフェニレンサルファイドを樹脂成分として含有するものがある。
ポリアミドを含有する樹脂組成物としては、270℃以上の融点を有するポリアミドを主成分とし、これに一定量の固体潤滑剤とメタフェニレンイソフタルアミドの樹脂粉末とを配合したものがある(特開平6−32978号公報参照)。しかし、この樹脂組成物は、270℃以上の融点を有するポリアミドや特殊な芳香族ポリアミド粉末を使用しなければならない。そのため、大量の材料を揃えるのが困難であり大量生産に不向きであると共に、材料のコストが割高になる。
一方、ポリフェニレンサルファイドを含有する樹脂組成物としては、(A)ポリフェニレンサルファイド100重量部に対して(B)固定炭素が98%以上、平均粒径が1〜20μmであり、かつ結晶化度が80〜92%の範囲にある黒鉛1〜200重量部を含有するものがある(特開平7−11135号公報参照)。しかし、黒鉛を添加することで摺動特性は向上するが、より高度な摺動特性を要求される用途においては黒鉛の添加のみでは十分に対応できていないのが現状である。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、安価かつ容易に入手可能な樹脂を使用でき、大量生産が容易であると共に、耐摩耗性等の摺動特性に優れる摺動部材を形成できる樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、熱可塑性樹脂、グラファイト及びホウ素系化合物を含む摺動部材用樹脂組成物である。
本発明の摺動部材用樹脂組成物によれば、グラファイト及びホウ素系化合物を含有することで、ホウ素系化合物がグラファイトの酸化を抑制するため、耐摩耗性等の摺動特性を向上できる。これにより、当該摺動部材用樹脂組成物から形成される摺動部材における摩擦による温度上昇が抑えられる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの組み合わせが好ましく、ポリエーテルエーテルケトンがより好ましい。これらの樹脂は、従来のメタフェニレンイソフタルアミド等に比べて簡易かつ安価に入手可能な材料である。よって、これらの樹脂を用いることにより大量の材料を揃えるのが容易となるため、大量生産が可能となり、製造コストを低減できる。
上記ホウ素系化合物の含有量としては、上記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.2質量部以上5質量部以下が好ましい。ホウ素系化合物の含有量を上記範囲とすることで、ホウ素系化合物を含有することによる高い摺動特性をより確実に得ることができる。
上記ホウ素系化合物及び上記グラファイトのうちの少なくとも一方の全部又は一部が、ホウ素系化合物及びグラファイトのうちの少なくとも一方とフェノール樹脂とを含有する樹脂粉末として含有されるとよい。上記ホウ素系化合物及び上記グラファイトの全部又は一部を樹脂粉末として含有させることで、摺動特性がより向上する。また、フェノール樹脂を含有する樹脂粉末は簡易かつ安価に入手可能な材料から形成できるため、特殊な芳香族ポリアミド粉末等を使用する場合に比べて、材料コストの上昇を抑制できる。
上記樹脂粉末の最大粒径としては0.04mm以下が好ましい。樹脂粉末の最大粒径を0.04mm以下とすることで、上記樹脂粉末を適切に分散させることができ、摺動特性の向上効果をより確実に得ることができる。
上記樹脂粉末としては、成形時に発生するスプルー、ランナー若しくは成形不良品、又は使用済成形品から形成したものであるとよい。樹脂粉末として成形時に発生するスプルー等や使用済成形品を利用することで、製造コストを低減することができると共に廃棄物を有効利用できるため環境負荷を低減できる。
上記ホウ素系化合物としては、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、酸化ホウ素、及びこれらの組み合わせが好ましく、ホウ酸がより好ましい。上記ホウ素系化合物として上記特定の化合物を含有させることで、摺動特性の向上効果をより確実に得ることができる。
本発明は、当該摺動部材用樹脂組成物を用いてなる摺動部材を含む。当該摺動部材は、当該摺動部材用樹脂組成物を用いてなるため、耐摩耗性等の摺動特性に優れ、摩擦による温度上昇が抑えられる。
本発明によれば、グラファイト及びホウ素系化合物を含有することで、耐摩耗性等の摺動特性を向上できる。これにより、当該摺動部材用樹脂組成物から形成される摺動部材における摩擦による温度上昇が抑えられる。
以下、本発明の摺動部材用樹脂組成物及び摺動部材について説明する。
[摺動部材用樹脂組成物]
本発明の摺動部材用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物を含有する。当該摺動部材用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。
本発明の摺動部材用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物を含有する。当該摺動部材用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。
<(A)熱可塑性樹脂>
(A)熱可塑性樹脂は、摺動部材用樹脂組成物における樹脂成分の主成分(ベース樹脂)である。ここで、樹脂成分の主成分とは、当該摺動部材用樹脂組成物に含有される樹脂成分中の最も質量基準の含有量が多い成分であり、例えば樹脂成分中の50質量%以上を占める樹脂をいう。(A)熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、液晶ポリマー(LCP)、フッ素樹脂(PFA,EPA)等が挙げられる。上記ポリアミド(PA)としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン410、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等の脂肪族ポリアミド;ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5T、ナイロンMDX6等の半芳香族ポリアミドなどが挙げられる。
(A)熱可塑性樹脂は、摺動部材用樹脂組成物における樹脂成分の主成分(ベース樹脂)である。ここで、樹脂成分の主成分とは、当該摺動部材用樹脂組成物に含有される樹脂成分中の最も質量基準の含有量が多い成分であり、例えば樹脂成分中の50質量%以上を占める樹脂をいう。(A)熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、液晶ポリマー(LCP)、フッ素樹脂(PFA,EPA)等が挙げられる。上記ポリアミド(PA)としては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン410、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等の脂肪族ポリアミド;ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5T、ナイロンMDX6等の半芳香族ポリアミドなどが挙げられる。
(A)熱可塑性樹脂の融点の下限としては200℃が好ましい。(A)熱可塑性樹脂の融点が200℃以上であることで、当該摺動部材用樹脂組成物の高温用途、高負荷用途への適用が可能となり、また摺動部材を射出成形により大量生産することが可能となる。このような融点を有する(A)熱可塑性樹脂としては、例えばナイロン6、ナイロン46、ナイロン410、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5T、ナイロンMDX6、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
当該摺動部材用樹脂組成物は、これらの樹脂の1種を単独で含有してもよいし2種以上を含有してもよい。(A)熱可塑性樹脂としてはPPS、PA、PEEK及びこれらの組み合わせが好ましく、PPS、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66及びPEEKがより好ましく、PEEKがさらに好ましい。PPSは、優れた耐熱性、難燃性、靭性、耐薬品性等のエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有しており、射出成形用を中心として各種電気部品、機械部品、自動車部品等に広く使用できる。なお、PPSには、架橋型及び直鎖型があるが、架橋型のほうが成形時のバリが出にくく、摺動部材の製造上の作業性に優れるためより好ましい。また、ナイロン6、ナイロン46及びナイロン66は、摩擦係数が低く、耐熱性、靭性、耐摩耗性等に優れるため、ハウジング、ギア等に好適である。PEEKは、連続使用温度が260℃と極めて高く、摩擦係数が低い上、機械的強度、化学的特性及び耐摩耗性に優れるため、高温特性が要求される各種摺動部品に好適である。
当該摺動部材用樹脂組成物における(A)熱可塑性樹脂の含有量の下限としては、25質量%が好ましく、50質量%がより好ましい。また、上記含有量の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。(A)熱可塑性樹脂の含有量が上記下限未満であると、射出成形や押出成形等による摺動部材の形成が困難となるおそれがある。一方、(A)熱可塑性樹脂の含有量が上記上限を超えると、当該摺動部材用樹脂組成物から得られる摺動部材に十分な摺動性を付与できないおそれがある。また、当該摺動部材用樹脂組成物の樹脂成分中における(A)熱可塑性樹脂の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、75質量%がより好ましい。なお、当該摺動部材用樹脂組成物の樹脂成分中における(A)熱可塑性樹脂の含有量は100質量%であってもよい。
なお、当該摺動部材用樹脂組成物は、例えば50質量%未満の範囲で(A)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分を含有していてもよい。この(A)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分は、粉末状で(A)熱可塑性樹脂と分離して存在しても、(A)熱可塑性樹脂と相溶していてもよい。また、(A)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分として、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物のうちの少なくとも一方を含有する樹脂粉末を使用し、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物の含有分の一部又は全部を樹脂粉末に含有させた状態で当該摺動部材用樹脂組成物の成分として配合してもよい。この場合の(A)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分としては、後述するようにフェノール樹脂が好ましい。
<(B)グラファイト>
(B)グラファイトは、摺動部材における低摩擦係数化等の摺動特性を向上させるものである。この(B)グラファイトの(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する含有量の下限としては、10質量部が好ましく、20質量部がより好ましい。一方、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する(B)グラファイトの含有量の上限としては、50質量部が好ましく、40質量部がより好ましい。(B)グラファイトの含有量が上記下限未満であると、摺動部材の動摩擦係数を十分に低下させることができないおそれがある。一方、(B)グラファイトの含有量が上記上限を超えると、摺動部材の摩耗量を抑えることができないおそれがある。なお、(B)グラファイトは、天然黒鉛(鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土壌黒鉛等)と人造黒鉛とに大別できるが、上記の特性を有する限り何れのグラファイトを用いても良い。
(B)グラファイトは、摺動部材における低摩擦係数化等の摺動特性を向上させるものである。この(B)グラファイトの(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する含有量の下限としては、10質量部が好ましく、20質量部がより好ましい。一方、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する(B)グラファイトの含有量の上限としては、50質量部が好ましく、40質量部がより好ましい。(B)グラファイトの含有量が上記下限未満であると、摺動部材の動摩擦係数を十分に低下させることができないおそれがある。一方、(B)グラファイトの含有量が上記上限を超えると、摺動部材の摩耗量を抑えることができないおそれがある。なお、(B)グラファイトは、天然黒鉛(鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土壌黒鉛等)と人造黒鉛とに大別できるが、上記の特性を有する限り何れのグラファイトを用いても良い。
<(C)ホウ素系化合物>
(C)ホウ素系化合物は、(B)グラファイトの酸化を抑制すると共に摺動部材における低摩擦係数化等の摺動特性を向上させるものである。このような(C)ホウ素系化合物としては、例えばホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル、酸化ホウ素、ホウ砂等のホウ素原子と酸素原子とを含む化合物などが挙げられる。ホウ酸としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸の塩が挙げられ、具体的にはこれらのホウ酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、鉛塩、リチウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カドミウム塩、銀塩、銅塩、ニッケル塩、バリウム塩、ビスマス塩、マンガン塩等が挙げられる。ホウ酸エステルとしては、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリフェニル等が挙げられる。これらの中でも、ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ酸系化合物、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせが好ましく、ホウ酸、ホウ酸カリウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸銅、ホウ酸ビスマス、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせがより好ましく、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせがさらに好ましい。中でも、ホウ酸は、融点が184℃と低く、摺動部材性用樹脂組成物の製造において原材料を加熱混練する際に溶融し均一に分散するため、最も好ましい。これらのホウ素系化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(C)ホウ素系化合物は、(B)グラファイトの酸化を抑制すると共に摺動部材における低摩擦係数化等の摺動特性を向上させるものである。このような(C)ホウ素系化合物としては、例えばホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル、酸化ホウ素、ホウ砂等のホウ素原子と酸素原子とを含む化合物などが挙げられる。ホウ酸としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸の塩が挙げられ、具体的にはこれらのホウ酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、鉛塩、リチウム塩、アルミニウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カドミウム塩、銀塩、銅塩、ニッケル塩、バリウム塩、ビスマス塩、マンガン塩等が挙げられる。ホウ酸エステルとしては、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリフェニル等が挙げられる。これらの中でも、ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ酸系化合物、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせが好ましく、ホウ酸、ホウ酸カリウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸銅、ホウ酸ビスマス、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせがより好ましく、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせがさらに好ましい。中でも、ホウ酸は、融点が184℃と低く、摺動部材性用樹脂組成物の製造において原材料を加熱混練する際に溶融し均一に分散するため、最も好ましい。これらのホウ素系化合物は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する(C)ホウ素系化合物の含有量の下限としては、0.2質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1.0質量部がさらに好ましい。一方、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する(C)ホウ素系化合物の含有量の上限としては、5質量部が好ましく、4質量部がより好ましく、3質量部がさらに好ましい。(C)ホウ素系化合物の含有量が上記下限未満であると、(C)ホウ素系化合物を加えたことによる摺動特性の向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、(C)ホウ素系化合物の含有量が上記上限を超えると、材料の溶融押出時に樹脂の流動性が低下する傾向があるため、摺動部材の製造上の安定性や作業性を損なうおそれがある。また、(B)グラファイトの酸化をより低減させ、摩耗の進行をより抑える観点から、(C)ホウ素系化合物の含有量としては、(B)グラファイトの構成単位に対して等モル量未満が好ましい。
<(D)任意成分>
当該摺動部材用樹脂組成物は、上述のように(A)熱可塑性樹脂、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物以外に(D)任意成分を含有していてもよい。かかる(D)任意成分としては、例えば硬化剤(例えばヘキサメチレンテトラミン等)、離型剤(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等)、硬化促進剤(例えば酸化マグネシウム、消石灰等)、固体潤滑材(例えばポリテトラフルオロエチレン等)、カップリング剤、熱硬化性樹脂粉末、溶剤などが挙げられる。これらの他に本発明の効果を損なわないものであれば公知のエラストマーやフィラー等を含んでいても良い。エラストマーとしては、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム等が挙げられる。フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、アルミナ、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。(D)任意成分は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
当該摺動部材用樹脂組成物は、上述のように(A)熱可塑性樹脂、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物以外に(D)任意成分を含有していてもよい。かかる(D)任意成分としては、例えば硬化剤(例えばヘキサメチレンテトラミン等)、離型剤(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等)、硬化促進剤(例えば酸化マグネシウム、消石灰等)、固体潤滑材(例えばポリテトラフルオロエチレン等)、カップリング剤、熱硬化性樹脂粉末、溶剤などが挙げられる。これらの他に本発明の効果を損なわないものであれば公知のエラストマーやフィラー等を含んでいても良い。エラストマーとしては、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム等が挙げられる。フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、アルミナ、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。(D)任意成分は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
<摺動部材用樹脂組成物の調製方法>
当該摺動部材用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物、並びに必要に応じて(A)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分や他の任意成分を混合することで調製することができる。この混合は、例えば公知のミキサーを用いて行うことができる。また、二軸押し出し機にて、加熱混練して、調製することもできる。
当該摺動部材用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物、並びに必要に応じて(A)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分や他の任意成分を混合することで調製することができる。この混合は、例えば公知のミキサーを用いて行うことができる。また、二軸押し出し機にて、加熱混練して、調製することもできる。
(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物は、そのまま(A)熱可塑性樹脂と混合してもよいが、これらのうちの少なくとも一方の全部又は一部を、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物のうちの少なくとも一方を含有する(E)樹脂粉末として混合してもよい。
<(E)樹脂粉末>
(E)樹脂粉末の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性又は光硬化性樹脂であってもよいが、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、後述するフェノール樹脂を主成分とすることがより好ましい。このように、ホウ素系化合物及びグラファイトのうちの少なくとも一方とフェノール樹脂とを含有する樹脂粉末として、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物のうちの少なくとも一方を添加することにより、従来のグラファイトのみを添加した場合以上の摩耗抑制効果が得られると共に材料の摩擦による温度上昇が抑えられる。
(E)樹脂粉末の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性又は光硬化性樹脂であってもよいが、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、後述するフェノール樹脂を主成分とすることがより好ましい。このように、ホウ素系化合物及びグラファイトのうちの少なくとも一方とフェノール樹脂とを含有する樹脂粉末として、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物のうちの少なくとも一方を添加することにより、従来のグラファイトのみを添加した場合以上の摩耗抑制効果が得られると共に材料の摩擦による温度上昇が抑えられる。
(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物の一部を(E)樹脂粉末として混合する場合、当該摺動部材用樹脂組成物中の(B)成分及び(C)成分の合計含有量に対する(E)樹脂粉末として混合する(B)成分及び(C)成分の合計含有量の含有割合の下限としては、20質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。上記含有割合が上記下限以上の場合、摩耗をより効果的に抑制できると共に、材料の摩擦による温度上昇をより効果的に抑制できる。
(E)樹脂粉末の形状としては、特に制限はなく、例えば球状、針状、棒状、板状等が挙げられる。また、(E)樹脂粉末の最大粒径の上限としては、0.04mmが好ましく、0.03mmがより好ましい。(E)樹脂粉末の最大粒径を上記上限以下とすることで、当該摺動部材用樹脂組成物中に(E)樹脂粉末を適切に分散させることができ、摺動特性の向上効果をより確実に得ることができる。一方、(E)樹脂粉末の最大粒径が上記上限を超えると、(E)樹脂粉末の粒径のバラツキが大きくなることで性能にムラが生じやすくなり、摺動部材の機械物性の低下を生じるおそれがある。また、上記最大粒径の下限としては、摺動特性の向上効果をより確実に得る観点から0.01mmが好ましい。ここで、(E)樹脂粉末の「最大粒径」とは、レーザー散乱回析式粒度分布測定装置を用いて測定した粒径の最大値である。
(E)樹脂粉末は、当該摺動部材用樹脂組成物のために別途形成したものであってもよいが、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物のうちの少なくとも一方を含有する樹脂組成物を転用してもよい。具体的には、成形時に発生するスプルー、ランナー若しくは成形不良品、又は使用済み成形品を使用することができる。このように(E)樹脂粉末として成形時に発生するスプルー等や使用済成形品を利用することで、製造コストを低減することができると共に、廃棄物を有効利用できるため環境負荷を低減できる。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂としては、特に制限はないが、摺動部材の材料として慣用されているフェノール樹脂が好ましい。このようなフェノール樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらの中でも摩耗量が少なくなり、後述するPV値を高める点でノボラック型フェノール樹脂が好ましい。また、レゾール型フェノール樹脂としては、例えばメチロール型、ジメチレンエーテル型等が挙げられ、これらの中でも加工時の欠けの発生が少ない点で、ジメチレンエーテル型フェノール樹脂が好ましい。これらのフェノール樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
フェノール樹脂としては、特に制限はないが、摺動部材の材料として慣用されているフェノール樹脂が好ましい。このようなフェノール樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらの中でも摩耗量が少なくなり、後述するPV値を高める点でノボラック型フェノール樹脂が好ましい。また、レゾール型フェノール樹脂としては、例えばメチロール型、ジメチレンエーテル型等が挙げられ、これらの中でも加工時の欠けの発生が少ない点で、ジメチレンエーテル型フェノール樹脂が好ましい。これらのフェノール樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する(E)樹脂粉末の含有量の下限としては、8質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、25質量部がさらに好ましい。一方、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対する(E)樹脂粉末の含有量の上限としては、260質量部が好ましく、160質量部がより好ましく、100質量部がさらに好ましい。(E)樹脂粉末の含有量が上記下限未満の場合、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物のうちの少なくとも一方の含有量が不十分となって摺動部材の摩擦係数を低下させることができないおそれがある。一方、(E)樹脂粉末の含有量が上記上限を超えると、当該摺動部材用樹脂組成物を用いて溶融押出等により摺動部材を成形するときに、当該摺動部材用樹脂組成物の流動性が低下する傾向があるため、摺動部材の製造上の安定性や作業性を損なうおそれがある。
なお、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物のうちの少なくとも一方の全部又は一部が(E)樹脂粉末として含有される場合においても、当該摺動部材用樹脂組成物における(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物の含有量は、上述した範囲が好ましい。
また、フェノール樹脂粉末等の樹脂粉末は、(B)グラファイト及び(C)ホウ素系化合物を含有しない状態で(D)任意成分として添加してもよい。また、フェノール樹脂粉末等の樹脂粉末に硬化剤等の先に例示した任意成分を含有させて(D)任意成分として含有させてもよい。
[摺動部材]
本発明の摺動部材は、当該摺動部材用樹脂組成物を用いてなる。当該摺動部材は、上述の摺動部材用樹脂組成物を用いてなるため、耐摩耗性等の摺動特性に優れ、摩擦による温度上昇が抑えられる。
本発明の摺動部材は、当該摺動部材用樹脂組成物を用いてなる。当該摺動部材は、上述の摺動部材用樹脂組成物を用いてなるため、耐摩耗性等の摺動特性に優れ、摩擦による温度上昇が抑えられる。
当該摺動部材としては、特に限定されるものではないが、例えば軸、軸受、内燃機関のピストン、ピストンリング、ピストンピン、シリンダ、ブレーキパッド、スラストワッシャー、プーリ、ギア、歯車、ポンプ部品、斜板等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例によって限定されるものではない。なお、実施例に記載の「%」は、特に断らない限り「質量%」を示す。
[樹脂粉末の製造]
温度計、攪拌装置及びコンデンサーを備えた反応容器内に、フェノール(P)を193質量部、92%パラホルムアルデヒド(F)を57質量部(F/P(モル比)=0.85)、89%リン酸を116質量部(フェノール100質量部に対して60質量部)、そしてエチレングリコールを96.5質量部(フェノール100質量部に対して50質量部)、それぞれ仕込んだ後、攪拌混合を行った。次いで、攪拌混合により形成された二相混合物(白濁状態)を還流温度まで徐々に昇温し、さらに同温度で10時間縮合反応を行なった。反応停止後、攪拌混合しながらメチルイソブチルケトンを反応混合物に添加して縮合生成物を溶解した。その後、攪拌混合を停止して内容物を分液フラスコ内に移して静置し、メチルイソブチルケトン溶液層(上層)とリン酸水溶液層(下層)とに分離させた。次いで、リン酸水溶液層を除去し、メチルイソブチルケトン溶液を数回水洗してリン酸を除いた後、再び内容物を反応容器内に戻し、減圧蒸留によりメチルイソブチルケトンを完全に除去して213.5質量部のノボラック型フェノール樹脂を得た。このノボラック型フェノール樹脂は、数平均分子量(Mn)が755、重量平均分子量(Mw)が1227であり、分散比(Mw/Mn)が1.63であった。なお、上記Mn及びMwは、ゲル濾過クロマトグラフ(東ソー社の「SC−8020シリーズビルドアップシステム」、カラム:G2000Hxl+G4000Hxl、検出器:UV254nm、キャリヤー:テトラヒドロフラン1mL/分、カラム温度:38℃)を用いて標準ポリスチレン換算で求めた。また、上記分散比(Mw/Mn)は、求めたMn及びMwから算出した。また、上記ゲル濾過クロマトグラフによる測定において、分子量分布の全面積に対するフェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの面積占有率を測定したところ、それぞれ0.3%及び3.3%であった。
温度計、攪拌装置及びコンデンサーを備えた反応容器内に、フェノール(P)を193質量部、92%パラホルムアルデヒド(F)を57質量部(F/P(モル比)=0.85)、89%リン酸を116質量部(フェノール100質量部に対して60質量部)、そしてエチレングリコールを96.5質量部(フェノール100質量部に対して50質量部)、それぞれ仕込んだ後、攪拌混合を行った。次いで、攪拌混合により形成された二相混合物(白濁状態)を還流温度まで徐々に昇温し、さらに同温度で10時間縮合反応を行なった。反応停止後、攪拌混合しながらメチルイソブチルケトンを反応混合物に添加して縮合生成物を溶解した。その後、攪拌混合を停止して内容物を分液フラスコ内に移して静置し、メチルイソブチルケトン溶液層(上層)とリン酸水溶液層(下層)とに分離させた。次いで、リン酸水溶液層を除去し、メチルイソブチルケトン溶液を数回水洗してリン酸を除いた後、再び内容物を反応容器内に戻し、減圧蒸留によりメチルイソブチルケトンを完全に除去して213.5質量部のノボラック型フェノール樹脂を得た。このノボラック型フェノール樹脂は、数平均分子量(Mn)が755、重量平均分子量(Mw)が1227であり、分散比(Mw/Mn)が1.63であった。なお、上記Mn及びMwは、ゲル濾過クロマトグラフ(東ソー社の「SC−8020シリーズビルドアップシステム」、カラム:G2000Hxl+G4000Hxl、検出器:UV254nm、キャリヤー:テトラヒドロフラン1mL/分、カラム温度:38℃)を用いて標準ポリスチレン換算で求めた。また、上記分散比(Mw/Mn)は、求めたMn及びMwから算出した。また、上記ゲル濾過クロマトグラフによる測定において、分子量分布の全面積に対するフェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの面積占有率を測定したところ、それぞれ0.3%及び3.3%であった。
次に、上記ノボラック型フェノール樹脂100質量部、グラファイト(黒鉛)(日本黒鉛工業社)100質量部、ホウ酸(日本電工社)5質量部、並びにその他の添加剤として炭素繊維(東レ社の「TA008A」)32質量部、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン15質量部及び離型剤であるステアリン酸カルシウム3質量部を配合し、均一に混合した。その後、得られた混合物を熱ロールにて均一に加熱混練してシート状にし、冷却後、パワーミルで粉砕してグラニュール状の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、20tプレス機を用いて成形温度180℃、成形圧力15tで圧縮成形した後、カッターミル及びピンミルで粉砕を行い、最大粒径が0.04mm以下の粉砕物(樹脂粉末A)を得た。なお、粉砕後の最大粒径は、レーザー散乱回析式粒度分布測定装置を用いて測定した。
[摺動部材用樹脂組成物の製造方法]
<実施例1>
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)0.2質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部を、ミキサーにより均一に混合した後、二軸押出機にてスクリュー回転数6rpm〜16rpm、押出先端温度265℃〜295℃で溶融混練して、ペレットを得た。このペレットを130℃で4時間、乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダ温度280℃〜320℃、金型温度150℃で評価用の試験片を成形した。
<実施例1>
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)0.2質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部を、ミキサーにより均一に混合した後、二軸押出機にてスクリュー回転数6rpm〜16rpm、押出先端温度265℃〜295℃で溶融混練して、ペレットを得た。このペレットを130℃で4時間、乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダ温度280℃〜320℃、金型温度150℃で評価用の試験片を成形した。
<実施例2>
ホウ酸1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
ホウ酸1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例3>
ホウ酸3質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
ホウ酸3質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例4>
ホウ酸5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
ホウ酸5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例5>
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、及び上述の方法で得られた樹脂粉末A10.2質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、及び上述の方法で得られた樹脂粉末A10.2質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例6>
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末25.5質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。なお、用いた樹脂粉末は、表1に示す組成で原料を配合したこと以外は上記樹脂粉末Aの場合と同様の方法で製造した。後述する実施例7〜9、15及び17の場合も同様である。
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末25.5質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。なお、用いた樹脂粉末は、表1に示す組成で原料を配合したこと以外は上記樹脂粉末Aの場合と同様の方法で製造した。後述する実施例7〜9、15及び17の場合も同様である。
<実施例7>
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末76.5質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末76.5質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。
<実施例8>
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末153質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末153質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。
<実施例9>
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末255質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。
樹脂粉末Aの代わりに表1に示す組成の樹脂粉末255質量部とした以外は実施例5と同様にして試験片を作製した。
<実施例10>
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)1.5質量部、グラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部、及びノボラック型フェノール樹脂硬化物25質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。なお、上記ノボラック型フェノール樹脂硬化物としては、ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社の「CP1006」)100質量部とヘキサメチレンテトラミン12質量部とを混合し、加熱硬化させた後、粉砕したものを用いた。
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)1.5質量部、グラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部、及びノボラック型フェノール樹脂硬化物25質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。なお、上記ノボラック型フェノール樹脂硬化物としては、ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社の「CP1006」)100質量部とヘキサメチレンテトラミン12質量部とを混合し、加熱硬化させた後、粉砕したものを用いた。
<実施例11>
ホウ素系化合物をホウ酸の代わりにホウ酸亜鉛1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
ホウ素系化合物をホウ酸の代わりにホウ酸亜鉛1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例12>
ホウ素系化合物をホウ酸の代わりに酸化ホウ素1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
ホウ素系化合物をホウ酸の代わりに酸化ホウ素1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例13>
ホウ素系化合物をホウ酸の代わりにホウ砂1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
ホウ素系化合物をホウ酸の代わりにホウ砂1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例14>
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)1.5質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部を、ミキサーにより均一に混合した後、二軸押し出し機にてスクリュー回転数200rpm、押出先端温度250〜280℃で溶融混練して、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間、乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダ温度260〜280℃、金型温度85℃の条件で評価用の試験片を成形した。
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)1.5質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部を、ミキサーにより均一に混合した後、二軸押し出し機にてスクリュー回転数200rpm、押出先端温度250〜280℃で溶融混練して、ペレットを得た。得られたペレットを80℃で12時間、乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダ温度260〜280℃、金型温度85℃の条件で評価用の試験片を成形した。
<実施例15>
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、及び表1に示す組成の樹脂粉末25.5質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、及び表1に示す組成の樹脂粉末25.5質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例16>
PEEK(ダイセルエポニック社の「VESTAKEEP 2000G」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)1.5質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部を、ミキサーにより均一に混合した後、二軸押し出し機にてスクリュー回転数200rpm、押出先端温度310〜360℃で溶融混練して、ペレットを得た。得られたペレットを150℃で5時間、乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダ温度360〜380℃、金型温度180℃の条件で評価用の試験片を成形した。
PEEK(ダイセルエポニック社の「VESTAKEEP 2000G」)100質量部、ホウ酸(日本電工社)1.5質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部を、ミキサーにより均一に混合した後、二軸押し出し機にてスクリュー回転数200rpm、押出先端温度310〜360℃で溶融混練して、ペレットを得た。得られたペレットを150℃で5時間、乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダ温度360〜380℃、金型温度180℃の条件で評価用の試験片を成形した。
<実施例17>
PEEK(ダイセルエポニック社の「VESTAKEEP 2000G」)100質量部、及び表1に示す組成の樹脂粉末25.5質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PEEK(ダイセルエポニック社の「VESTAKEEP 2000G」)100質量部、及び表1に示す組成の樹脂粉末25.5質量部を、ミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<比較例1>
PPS(東レ社の「A900」)100質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PPS(東レ社の「A900」)100質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<比較例2>
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<比較例3>
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、及びホウ酸1.5質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PPS(東レ社の「A900」)100質量部、及びホウ酸1.5質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<比較例4>
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<比較例5>
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、及びグラファイト(日本黒鉛工業社)25質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<比較例6>
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、及びホウ酸1.5質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
PA(東レ社の「CM−3001N」)100質量部、及びホウ酸1.5質量部をミキサーにより均一に混合した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<摺動特性の試験方法>
(1)摩擦摩耗試験評価(樹脂摩耗量、動摩擦係数、上昇温度)
これら評価項目は、摩擦摩耗試験機(オリエンテック社の「AFT−6−A」)を用いて、下記条件にて測定した。なお、樹脂摩耗量については配合により各実施例の比重が変わるため摩耗した体積で評価した。結果を表1及び表2に示す。なお、樹脂摩耗量、動摩擦係数及び上昇温度は、数値の低い方が望ましい。
(1)摩擦摩耗試験評価(樹脂摩耗量、動摩擦係数、上昇温度)
これら評価項目は、摩擦摩耗試験機(オリエンテック社の「AFT−6−A」)を用いて、下記条件にて測定した。なお、樹脂摩耗量については配合により各実施例の比重が変わるため摩耗した体積で評価した。結果を表1及び表2に示す。なお、樹脂摩耗量、動摩擦係数及び上昇温度は、数値の低い方が望ましい。
試験片の形状:30mm×30mm×厚み3mmの角板試験片
相手材の形状:外径25.6mm、内径20mm、長さ15mmの中空円筒
相手材の材質:S45C
試験面圧:0.49MPa(PPS、PA)、0.98MPa(PEEK)
試験速度:0.33m/s(回転数250rpm)
環境:無潤滑
摺動距離:1188m
試験時間:60min
相手材の形状:外径25.6mm、内径20mm、長さ15mmの中空円筒
相手材の材質:S45C
試験面圧:0.49MPa(PPS、PA)、0.98MPa(PEEK)
試験速度:0.33m/s(回転数250rpm)
環境:無潤滑
摺動距離:1188m
試験時間:60min
(2)PV値
上記(1)の試験において、PPS及びPAについては0.49MPa、PEEKについては0.98MPaの一定面圧下で、試験速度を0.33m/s(回転数250rpm)から2.68m/s(回転数2000rpm)まで20分毎に0.33m/sずつ段階的に加速した。このとき、摩擦抵抗が大きくなり、摺動試験が不可能となる限界摺動試験条件下での試験面圧と試験速度との積をPV値とした。結果を表1及び表2に示す。なお、PV値は高い方が望ましい。
上記(1)の試験において、PPS及びPAについては0.49MPa、PEEKについては0.98MPaの一定面圧下で、試験速度を0.33m/s(回転数250rpm)から2.68m/s(回転数2000rpm)まで20分毎に0.33m/sずつ段階的に加速した。このとき、摩擦抵抗が大きくなり、摺動試験が不可能となる限界摺動試験条件下での試験面圧と試験速度との積をPV値とした。結果を表1及び表2に示す。なお、PV値は高い方が望ましい。
<評価結果の検討>
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜17の試験片は、比較例1〜6の試験片よりも摩擦摩耗試験評価が向上していることが分かる。これは、実施例1〜17の摺動部材用樹脂組成物がホウ素系化合物及びグラファイトを含有するためであると考えられる。また、比較例2の試験片は、比較例1,3の試験片に比べてグラファイトを添加することにより摩擦摩耗試験評価が向上しているが、実施例1〜17の試験片は比較例2の試験片よりも摩擦摩耗試験評価が向上している。これは、グラファイトに加えてホウ素系化合物をさらに含有することで、グラファイト及びホウ素系化合物の相乗効果により、グラファイトのみを添加する場合に比べて摩擦摩耗試験評価が向上しているものと考えられる。また、実施例1〜17の試験片におけるホウ素系化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下であることから、ホウ素系化合物の含有量が先の範囲であることで、摩擦摩耗試験評価がより向上するものと考えられる。
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜17の試験片は、比較例1〜6の試験片よりも摩擦摩耗試験評価が向上していることが分かる。これは、実施例1〜17の摺動部材用樹脂組成物がホウ素系化合物及びグラファイトを含有するためであると考えられる。また、比較例2の試験片は、比較例1,3の試験片に比べてグラファイトを添加することにより摩擦摩耗試験評価が向上しているが、実施例1〜17の試験片は比較例2の試験片よりも摩擦摩耗試験評価が向上している。これは、グラファイトに加えてホウ素系化合物をさらに含有することで、グラファイト及びホウ素系化合物の相乗効果により、グラファイトのみを添加する場合に比べて摩擦摩耗試験評価が向上しているものと考えられる。また、実施例1〜17の試験片におけるホウ素系化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下であることから、ホウ素系化合物の含有量が先の範囲であることで、摩擦摩耗試験評価がより向上するものと考えられる。
特に、実施例7の試験片は、実施例10の試験片よりも摩擦摩耗試験評価が向上している。これは、実施例7の摺動部材用樹脂組成物に含まれるホウ酸及びグラファイトが、これらを含有する樹脂粉末として添加されているためであると考えられる。
本発明によれば、グラファイト及びホウ素系化合物を含有することで、耐摩耗性等の摺動特性を向上できる。これにより、当該摺動部材用樹脂組成物から形成される摺動部材における摩擦による温度上昇が抑えられる。
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂、グラファイト及びホウ素系化合物を含む摺動部材用樹脂組成物。
- 上記熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン又はこれらの組み合わせである請求項1に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 上記熱可塑性樹脂がポリエーテルエーテルケトンである請求項2に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 上記ホウ素系化合物の含有量が上記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.2質量部以上5質量部以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 上記ホウ素系化合物及び上記グラファイトのうちの少なくとも一方の全部又は一部が、ホウ素系化合物及びグラファイトのうちの少なくとも一方とフェノール樹脂とを含有する樹脂粉末として含有される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 上記樹脂粉末の最大粒径が、0.04mm以下である請求項5に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 上記樹脂粉末が、成形時に発生するスプルー、ランナー若しくは成形不良品、又は使用済成形品から形成したものである請求項5又は請求項6に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 上記ホウ素系化合物が、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、酸化ホウ素又はこれらの組み合わせである請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 上記ホウ素系化合物がホウ酸である請求項8に記載の摺動部材用樹脂組成物。
- 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の摺動部材用樹脂組成物を用いてなる摺動部材。
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